JP3809830B2 - 近赤外線吸収フィルター - Google Patents

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Description

本発明は、粘着剤で貼り合わせることなく1枚のフィルムで近赤外線吸収性、紫外線吸収性、及び反射防止性を有する一体成型の近赤外線吸収フィルターに関する。さらに詳しくは、その構成が単純化されたものであるにも係らず、光学特性に優れ、かつ耐久性に優れる近赤外線吸収フィルターに関する。
近赤外線の吸収能を有する光学フィルターは、近赤外線を遮断し、可視光を通過させる性質を有しており、各種の用途に使用されている。
近年、薄型大画面ディスプレイとしてプラズマディスプレイが注目されているが、プラズマディスプレイから放出される近赤外線により、近赤外線リモコンを使用する電子機器が誤動作を起こす問題があり、近赤外線吸収フィルターをプラズマディスプレイの前面に設けることが行われている。
近赤外線の吸収能を有するフィルターとしては、(1)燐酸系ガラスに、銅や鉄などの金属イオンを含有したフィルタ−、(2)屈折率の異なる層を積層し、透過光を干渉させることで特定の波長を透過させる干渉フィルタ−、(3)共重合体に銅イオンを含有するアクリル系樹脂フィルタ−、(4)樹脂に色素を分散又は溶解した層を積層したフィルタ−、が提案されている。
これらの中で(4)のフィルターは、加工性、生産性が良好で、光学設計の自由度も比較的大きく、各種の方法が提案されている(特許文献1〜8参照)。
特開2002− 82219号公報 特開2002−214427号公報 特開2002−264278号公報 特開2002−303720号公報 特開2002−333517号公報 特開2003− 82302号公報 特開2003− 96040号公報 特開2003−114323号公報
これらの方法の中には、プラズマディスプレイから放出される近赤外線を十分に遮断する能力を有し、かつ、長時間の使用でも経時変化のないものがあるが、近年のプラズマディスプレイの高輝度化、精細化による高画質化に対して満足するものではなかった。
特に、上記(4)のフィルターは、用いられる色素の耐候性が良くなく、その改良が強く求められていた。また、該フィルターは近赤外線吸収能を有すること以外にも、可視光線領域に特定吸収を付与する色調調整、反射防止性、表面の耐傷付き性等の他の機能を有する必要がある。該課題解決の方策として、例えば、各種機能を有した機能層を多層化した多層タイプの近赤外線吸収フィルムが開示されている(特許文献9参照)。
WO97/38855号公報
該特許文献9においては、近赤外線吸収能以外の機能を有した層としては、電磁波吸収層、反射防止層および紫外線吸収層が開示されているが、詳細に記載されているのは電磁波吸収層と反射防止層についてであり、紫外線吸収層に関しては、発明の詳細な説明や実施例において全く触れられていない。詳細記述されている電磁波吸収層と反射防止層の多層化に関しては、それぞれの機能を有する機能体を近赤外線吸収フィルムとを貼り合わせる方法で実施されている。
また、帯電防止層を含む反射防止機能および紫外線吸収層を複合した近赤外線カットフィルムをプラズマディスプレイパネル表面に直接貼り付けるプラズマディスプレイパネル直貼り用フィルターが開示されている(特許文献10参照)。
特開2002−189423号公報
該特許文献10においては、帯電防止層を含む反射防止機能を有するフィルムと近赤外線カットフィルムとを紫外線吸収剤を含有する透明性の接着(粘着)剤層によって貼り合わせ、さらに近赤外線カットフィルムの表面に透明感圧接着(粘着)剤層を複合した構成が開示されている。
また、近赤外線吸収剤がニッケル錯体化合物に限定されてはいるが、紫外線吸収およびハードコート層の多層化による複合が開示されている(特許文献11参照)。
特開2003−4904号公報
該特許文献11においても、紫外線吸収剤含有フィルムと近赤外線吸収色素含有のシートとの貼り合わせる方法で実施されている。
一方、一枚の基材フィルムで多機能化を行った構成が開示されている(特許文献12参照)。
特開2002−138203号公報
該特許文献12においては、近赤外線吸収機能以外の機能として、反射防止と紫外線吸収機能が付加されている。しかしながら、該特許文献12において開示されている構成は、紫外線吸収剤が近赤外線吸収機能を有する積層体を透明性硬質基板に固定するための粘着層に配合されており、実際に使用する時は紫外線吸収機能を有する層は近赤外線吸収機能を有する層の反外光側に位置しており、実際の使用時に問題となる外光中の紫外線による近赤外線吸収色素の劣化を抑制する効果は発現されない構成となっており、外光による近赤外線吸収色素の耐候性を向上させるという市場要求を満たすものではない。
上記の公知技術は、市場要求を満たす光学特性を有した積層体は、それぞれの機能を有した2枚以上の機能性フィルムを貼り合わせることによる構成となっており、貼り合わせによる界面の増加による光学特性に低下の点が改善できていないし、貼り合わせの工程が必要であり経済的に不利であるという課題が残されている。また、総厚みが厚く被貼着体に対する貼着の作業性が劣るという課題を有している。一方、総厚みが薄く被貼着体に対する貼着の作業性が改善された一枚の基材フィルムよりなる構成の積層体は、紫外線吸収機能は付与されているものの、実際の使用時に要求される外光による耐候性の改善効果は出ない構成になっている。
本発明の目的は、従来技術の課題を背景になされたもので、粘着剤で貼り合わせることなく1枚の多層フィルムで、反射防止性、紫外線吸収性および近赤外線吸収性を有し、光学特性に優れ、かつ耐久性、特に外光に含まれる紫外線による近赤外線吸収色素の劣化を抑制することができる近赤外線吸収フィルターを提供することにある。さらに、薄膜化により、被貼着体に対する貼着の作業性が改善された近赤外線吸収フィルターを提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決するため、鋭意研究した結果、ついに本発明を完成するに到った。即ち、本発明は、近赤外線吸収フィルターであって、紫外線吸収剤を含有した基材フィルム(B)の片面に反射防止機能を有する表面層(A)とその反対面に波長800〜1000nmの近赤外線吸収領域に極大吸収を有する色素と、HLBが2以上12以下の界面活性剤とを含有する近赤外線吸収層(C)を積層してなり、上記近赤外線吸収層(C)をプラズマディスプレイパネル側とすることを特徴とする近赤外線吸収フィルターである。
本発明の近赤外線吸収フィルターは、粘着剤で貼り合わせることなく1枚の基材フィルムよりなる多層フィルムで、反射防止性、紫外線吸収性および近赤外線吸収性を有し、光学特性に優れ、かつ耐久性、特に外光に含まれる紫外線による近赤外線吸収色素の劣化を抑制することができる。さらに、薄膜化されているので被貼着体に対する貼着の作業性が改善され、かつ経済性にも優れており、プラズマディスプレイ等の近赤外線を吸収する機能が要求される表示装置等の光学用フィルターとして好適に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の近赤外線吸収フィルターは、紫外線吸収剤を含有した基材フィルム(B)の片面に反射防止機能を有する表面層(A)とその反対面に波長800〜1000nmの近赤外線領域に極大吸収を有する色素を含有する近赤外線吸収層(C)とを積層してなることが重要である。特に、紫外線吸収剤を含有した基材フィルム(B)のみを基材とし、貼り合わせ構造を省略した単純化した構成で近赤外線吸収フィルターに必要な各種機能を付与したことが本発明の近赤外線吸収フィルターの最も大きな特徴の一つである。しかも、前記の外光中に含まれる紫外線により近赤外線吸収色素が劣化するという課題を改善できる位置に紫外線吸収層が構成されており、市場要求の強い近赤外線吸収フィルターの耐候性の改善効果を有している。
本発明における基材フィルム(B)の材質は、透明体であれば限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートあるいはポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル系2軸配向フィルムが、機械的特性、光学特性、耐熱性および経済性の点より好適である。該ポリエステル系2軸配向フィルムは共重合ポリエステル系であっても構わない。該共重合体の場合の共重合成分としては、そのジカルボン酸成分としてはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;トリメリト酸及びピロメリト酸等の多官能カルボン酸等が用いられる。また、グリコール成分としてはジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール及びネオペンチルグリコール等の脂肪酸グリコール;p−キシレングリコール等の芳香族グリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;平均分子量が150〜20000のポリエチレングリコール等が用いられる。共重合成分の質量比率は20質量%未満である。20質量%以上ではフィルム強度、透明性、耐熱性が劣る傾向がある。
上記基材フィルム(B)は、紫外線吸収剤を含有する必要がある。該紫外線吸収剤は紫外線吸収能を有する化合物で、かつポリエステル系フィルムの製造工程での熱に耐えられるものであれば限定されない。添加される紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤が挙げられるが、透明性の観点から有機系紫外線吸収剤が好ましい。有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、環状イミノエステル系等、及びその組み合わせが挙げられるが特に限定されない。しかし、耐久性の観点からはベンゾトリアゾール系、環状イミノエステル系が特に好ましい。2種以上の紫外線吸収剤を併用した場合には、別々の波長の紫外線を同時に吸収させることができるので、いっそう紫外線吸収効果を改善することができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−[2'−ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−3' −tert−ブチル−5' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−5' −tert−ブチル−3' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−tert−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾールなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジノン−4−オン)、2−メチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−ブチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−フェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(1−又は2−ナフチル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(4−ビフェニル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−p−ニトロフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−m−ニトロフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−p−ベンゾイルフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−p−メトキシフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−o−メトキシフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−シクロヘキシル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−p−(又はm−)フタルイミドフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、 2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジノン−4−オン)2,2’−ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−エチレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−テトラメチレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−デカメチレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−m−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2,6−又は1,5−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2−メチル−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2−ニトロ−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2−クロロ−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(1,4−シクロヘキシレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、1,3,5−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ナフタレン、および2,4,6−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ナフタレン。2,8−ジメチル−4H,6H−ベンゾ(1,2−d;5,4−d’)ビス−(1,3)−オキサジン−4,6−ジオン、2,7−ジメチル−4H,9H−ベンゾ(1,2−d;5,4−d’)ビス−(1,3)−オキサジン−4,9−ジオン、2,8−ジフェニル−4H,8H−ベンゾ(1,2−d;5,4−d’)ビス−(1,3)−オキサジン−4,6−ジオン、2,7−ジフェニル−4H,9H−ベンゾ(1,2−d;5,4−d’)ビス−(1,3)−オキサジン−4,6−ジオン、6,6’−ビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−ビス(2−エチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−ビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−メチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−メチレンビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−エチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−エチレンビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−ブチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−ブチレンビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−オキシビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−オキシビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−スルホニルビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−スルホニルビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−カルボニルビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−カルボニルビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’−メチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’−メチレンビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’−ビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’−エチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’−オキシビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’−スルホニルビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’−カルボニルビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,7’−ビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,7’−ビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,7’−メチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、および6,7’−メチレンビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)等が挙げられる。
特に、分解開始温度が290℃以上の紫外線吸収剤を用いることが、製膜時の工程汚染を少なくする上で好ましい。
上記の紫外線吸収剤を配合する目的は、後記する本発明の近赤外線吸収フィルターの主機能である近赤外線吸収能を発現させる近赤外線吸収層(C)に含有される近赤外線領域に吸収を有する色素が耐候性に劣り、外光中に含まれる紫外線による近赤外線吸収色素の性能低下が起こるという現象を抑えることにある。従って、380nm以下の波長における透過率が10%以下であることが好ましい実施態様である。390nm以下の波長における透過率が10%以下であることがより好ましく、400nm以下の波長における透過率が10%以下であることが特に好ましい。該特性を満足する前記紫外線吸収剤の添加量は、ポリエステルに対し、0.1〜4質量%が好ましく、さらには0.3〜2質量%が好ましい。この量が0.1質量%未満では紫外線吸収効果が小さく、4質量%を越えるとフィルムが黄変したり、ポリエステルフィルムの製膜性が低下したりするので好ましくない。
本発明においては、表層へのブリードの問題がない高分子タイプの紫外線吸収剤を添加することも好ましい実施態様として推奨される。該高分子タイプの紫外線吸収剤とは、紫外線吸収剤として有用な骨格を側鎖に有するポリマーである。ポリエステル樹脂との相溶性から主にポリエステル系、アクリル系ポリマー紫外線吸収剤が好ましい。例えば、ポリエステル樹脂が、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分としてエチレングリコールおよび/または1、4−ブタンジオールを主成分とするポリエステルであって、共重合成分として一般式(I)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミドと一般式(II)で示されるナフタレンジカルボン酸を含有した紫外線吸収化合物(三菱化学株式会社製、Novapex U−110)、2−(2−ヒドロキシルフェニル)ベンゾトリアゾール骨格を側鎖に有するアクリル系ポリマー(BASF社製、UVA−1635)などが目的とするUVカット性能および透明性などの特性が優れ好ましい。
Figure 0003809830
(上記一般式(I)において、Rはアルキレン基等、Xはヒドロキシ基等を示す)
Figure 0003809830
前記高分子タイプの紫外線吸収剤の添加量は、ポリエステルに対し、0.1〜20質量%が好ましく、さらには0.5〜15質量%が好ましい。この量が0.1質量%未満では紫外線劣化防止効果が小さく、20質量%を越えるとフィルムが黄変したり、ポリエステルフィルムの製膜性が低下し、好ましくない。
上記紫外線吸収剤のポリエステルフィルムの配合方法は限定されないが、ポリエステル樹脂の重合時、または溶融押し出し時が好ましい。その際、紫外線吸収剤はマスターペレットにして添加することが好ましい実施態様である。例えば、好ましい実施態様として以下の方法が例示される。
まず、ポリエステル樹脂と紫外線吸収剤とをブレンドしマスターペレットを調整する。該マスターペレットは、易滑性付与を目的とした粒子を実質的に含有していないペレットである。該マスターペレットとポリエステル樹脂とを混合した原料ペレットを十分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し、シート状に溶融押し出しし、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸ポリエステルシートを製膜する。この際、押出機溶融部、混練り部、ポリマー管、ギアポンプ、フィルターまでの樹脂温度は280〜290℃、その後のポリマー管、フラットダイまでの樹脂温度は270〜280℃とすることが紫外線吸収剤のダイス出口での昇華、引取ロールでの汚染を防止するために好ましい。
また、溶融樹脂が約280℃に保たれた任意の場所で、樹脂中に含まれる異物を除去するために高精度濾過を行う。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材は、特に限定はされないが、ステンレス焼結体の濾材の場合、Si、Ti、Sb、Ge、Cuを主成分とする凝集物及び高融点有機物の除去性能に優れ好適である。さらに、濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は、20μm以下、特に15μm以下が好ましい。濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が20μmを超えると、20μm以上の大きさの異物が十分除去できない。濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が20μm以下の濾材を用いて溶融樹脂の高精度濾過を行うことにより、生産性が低下する場合があるが、粗大粒子による粗大突起の少ないフィルムを得る上で重要な工程である。
原料ポリマー中に存在する異物、及び紫外線吸収剤が昇華しロールを汚染し、それらがフィルムに付着したものが存在すると製膜時の延伸工程でこの異物の周囲でポリエステル分子の配向が乱れ、光学的歪みが発生する。この光学的歪みのため、実際の異物の大きさよりもかなり大きな欠点として認識されるため、著しく品位を損なう。例えば、大きさ20μmの異物でも、光学的には50μm以上の大きさとして認識され、さらには100μm以上の大きさの光学欠点として認識される場合もある。高透明なフィルムを得るためには、基材フィルム中に易滑性を付与するための粒子を含有させないか、透明性を阻害しない程度に少量しか含有させないことが望ましいが、粒子含有量が少なくフィルムの透明性が高くなるほど、微小な異物による光学欠点はより鮮明となる傾向にある。また、フィルムが厚手になるほど、フィルム単位面積当たりの異物の含有量が薄手のフィルムより多くなる傾向にあり、一層この問題は大きくなる。
得られた未延伸フィルムを80〜120℃に加熱したロールで長手方向(縦方向:積層フィルム製造時の走行方向)に2.5〜5.0倍延伸し、一軸配向フィルムを得る。引き続いて、フィルムの端部をクリップで把持して120〜150℃に加熱された熱風ゾーンに導き、幅方向に2.5〜5.0倍に延伸し200〜250℃にて熱処理し、この熱処理工程中で必要に応じて幅方向に3%の弛緩処理し、2軸配向ポリエステルフィルムを得る。
上記方法で得られた2軸配向ポリエステルフィルムは表面に存在する深さ1μm以上、長さ3mm以上のキズが100個/m2 以下であることが好ましい。上記キズの個数は30個/m2 以下がより好ましく、10個/m2 以下であることが特に、好ましい。上記キズの個数をこのような範囲とすれば、光学欠点による問題が生じない。
該フィルムのキズの発生を防止するためには、(a)フィルム表面そのものやロール表面、特にフィルムと接触するロール表面にキズの原因となる「欠点」を発生させないこと、(b)接触するロールの表面上でフィルムが縦方向および横方向にずれないようにすることが重要である。上記の「欠点」とは、ロール表面に形成されるキズ、堆積物、付着物、異物などの、フィルムと接触することによりフィルムに微細なキズを発生させるすべての要因を指す。よって、これらの欠点を無くすことで、フィルム表面へのキズの発生を低減できる。上記欠点の発生を防止するためには、例えば、下記に挙げる方法を採用することができる。
上記フィルム製造時に用いるロールの表面粗度をRaで0.1μm以下とする方法や、堆積物、付着物、異物などのキズ発生要因のロール表面への堆積を防止するため、縦延伸工程の予熱入口と冷却ロールにロールクリーナーを設置する方法が挙げられる。
また、上記フィルム製造工程におけるクリーン度をクラス1000以下(1立方フィート当たりの体積中に0.5μm以上の粒子が1000個以下)とする方法があり、特にロール周りはクラス100以下、キャスト工程で反ロール面を冷却するための送風冷却装置についてもクラス100以下のクリーンエアを使用することが好ましい。
さらに、上記フィルム製造前に、研磨材を用いてロール上の欠陥を削り取る作業などによりロールの掃除を行う方法も挙げられる。また、静電気の発生によってフィルムがゴミなどを吸着し、欠点となることを避けるため、フィルムの帯電量が全工程で±1500V以下になるよう除電装置を設ける方法も挙げられる。基材フィルムのキャストから後述するテンターまでの工程はキズが主に発生し易い工程であり、この区間をコンパクトにレイアウトし、通過時間を5分以下にすることも欠点の発生抑制に寄与し得る。
ロールについては、ロール表面に水膜を形成したり、エアフローティングタイプのロールとすることで、フィルムにロール表面の欠点が直接接触しない構造にすることができる。また、フィルムから析出するオリゴマー量を1000ppm以下とすることで、ロール表面への欠点の付着を減少させ、ロール表面の欠点を低減することができる。
さらに、延伸後の巻き取り工程において、フィルムの幅方向の端部側の表面を突起付きのローラで押圧して、その部分に凹凸部を形成すると共に、該凹凸部が形成されたフィルムを巻取り機構でロール状に巻き取るよう構成し、さらに該突起付きのローラにおける突起を先窄まり状に形成し、該突起の頂部に丸みをつけ、その頂面の曲率半径を0.4mm以下に設定することで、フィルムの巻取り装置において、フィルムと欠点が接触しないようにすることもできる。
また、ロール表面上で、フィルムがずれないようにすることもキズ発生防止方法として有効である。例えば下記に挙げる方法が採用可能である。例えば、ロールを小径化すること、サクションロールの使用、静電密着、パートニップの密着装置を使用するなどしてフィルムのロールへの密着力を増大させることにより、長いキズの発生を抑えることができる。特にロールを小径化することは、フィルムのずれ量の細分化にもなり、長いキズの発生防止に寄与し得る。また、キズの多くはロール幅方向の端部に向かうほど、長さおよび頻度が増加し、ロール幅方向の端部においてはキズのない部分を得ることが困難であるため、キズの少ないロール幅方向の中央付近をトリミングすることで、キズの少ないフィルムを得ることが可能となる。
また、縦方向キズまたは横方向キズの発生要因としては、夫々フィルムの縦方向または横方向での、膨張、収縮などの変形も挙げられる。これらのフィルムの変形は、主としてフィルムの温度変化によって生じる。よって、例えば、ロール表面でのフィルムの温度変化を抑制することで、こうした温度によるフィルム変形量を小さくでき、縦方向キズや横方向キズの発生を防止できる。具体的には、ロール1本当たりでのフィルムの温度変化を40℃以下、好ましくは30℃以下、さらに好ましくは20℃以下、さらに一層好ましくは10℃以下、特に好ましくは5℃以下とすることが推奨される。該ロール表面でのフィルムの温度変化を抑制する方法としては、例えば、ロール間での空中冷却、水槽を通過させる水中冷却などが挙げられる。さらに、ロール本数を多くすることにより、1本当たりのロール表面でのフィルムの温度変化を低減できる。好ましくは、縦延伸工程でのロール数を10本以上とするのがよい。
また、複数のロールの相対的な速度の関係を、フィルムの温度や張力による変形量に対して最も近い速度プロファイルに設定することでフィルムの縦方向のズレを低減することができる。さらに、後述する接着性改質樹脂層形成用の塗布液の塗布工程において、乾燥条件を、ドライヤー区間の初期で乾燥を完了し、出口にかけて冷却することにより、ドライヤー出口でのフィルム温度を40℃以下として、温度変化によるフィルムのずれを低減することもできる。
また、フィルム走行時の張力が低すぎると把持力が下がってずれが発生し、高すぎても応力変形が大きくなってずれが発生するため、最適な張力範囲である4.9〜29.4MPaになるように駆動ロール速度と張力調整手段によって調節することが好ましい。また、製造時の使用温度におけるフィルムとロール間の摩擦係数を0.2以上とすることでロール表面でのフィルムのずれを抑制することができる。
さらに、フリーロールについては特殊ベアリングを採用し、19.6N以下の回転抵抗とすることが好ましい。駆動ロールについては回転斑を0.01%以下に制御するのが好ましい。
上記の基材フィルム(B)の厚みは限定なく任意に設定できるが、0.038〜0.188mmが好ましい範囲である。0.038mm未満では、近赤外線吸収フィルターの取り扱い性が悪化するので好ましくない。逆に、0.188mmを超えた場合は、近赤外線吸収フィルターの取り扱い性やプラズマディスプレイ等の被貼着体に貼着する時の作業性が悪化するので好ましくない。また、市場の薄膜化要求にも答えられない。
本発明においては、上記方法で得た基材フィルム(B)の両面に機能性を有した層が積層される。したがって、該基材フィルム(B)の両面は易接着層を設けたものであることが好ましい実施態様である。該易接着層を構成する樹脂としては、例えば共重合ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸グラフトポリエステル樹脂、アクリルグラフトポリエステル樹脂などが挙げられ、少なくとも1つ以上を使用することが好ましい。なかでも、共重合ポリエステル系樹脂及びポリウレタン系樹脂からなる樹脂、スチレン−マレイン酸グラフトポリエステル樹脂が優れた接着性を有し特に好ましい。
上記易接着層形成に用いる塗布液調整について以下に共重合ポリエステル系樹脂及びポリウレタン系樹脂からなる塗布液の一例について説明する。本発明の易接着層に用いる共重合ポリエステル系樹脂とは分岐したグリコール成分を構成成分とする。ここで言う分岐したグリコール成分とは例えば2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2、2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、及び2、2−ジ−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。上記の分岐したグリコール成分は全グリコール成分の中に、好ましくは10モル%以上の割合で、さらに好ましくは20モル%以上の割合で含有される。上記化合物以外のグリコール成分としてはエチレングリコールが最も好ましい。少量であれば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールまたは1,4シクロヘキサンジメタノールなどを用いても良い。
上記共重合ポリエステル系樹脂に構成成分として含有される、ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸およびイソフタル酸が最も好ましい。少量であれば他のジカルボン酸;ジフェニルカルボン酸及び2,6−ナルタレンジカルボン酸の芳香族ジカルボン酸を加えて共重合させてもよい。上記ジカルボン酸成分の他に、水分散性を付与させるため、5−スルホイソフタル酸を1〜10モル%の範囲で使用するのが好ましく、例えばスルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレンイソフタル酸−2,7−ジカルボン酸および5−(4−スルフォフェノキシ)イソフタル酸及びその塩類等を挙げることができる。
上記易接着層に用いるポリウレタン樹脂とは、例えば、ブロック型イソシアネート基を含有する樹脂であって、末端イソシアネート基を親水性基で封鎖(以下ブロックと言う)した、熱反応型の水溶性ウレタンなどが挙げられる。上記イソシアネート基のブロック化剤としては、重亜硫酸塩類及びスルホン酸基を含有したフェノール類、アルコール類、ラクタム類オキシム類及び活性メチレン化合物類等が挙げられる。ブロック化されたイソシアネート基はウレタンプレポリマーを親水化あるいは水溶化する。フィルム製造時の乾燥あるいは熱セット過程で、上記樹脂に熱エネルギーが与えられると、ブロック化剤がイソシアネート基からはずれるため、上記樹脂は自己架橋した編み目に混合した水分散性共重合ポリエステル樹脂を固定化するとともに上記樹脂の末端基等とも反応する。塗布液調整中の樹脂は親水性であるため耐水性が悪いが、塗布、乾燥、熱セットして熱反応が完了すると、ウレタン樹脂の親水基すなわちブロック化剤がはずれるため、耐水性が良好な塗膜が得られる。 上記ブロック化剤の内、熱処理温度、熱処理時間が適当で、工業的に広く用いられるものとしては重亜硫酸塩類が最も好ましい。
上記樹脂において使用される、ウレタンプレポリマーの化学組成としては(1)分子内に2個以上の活性水素原子を有する、有機ポリイソシアネート、あるいは分子内にとも2とも2個の活性水素原子を有する分子量が200〜20,000の化合物、(2)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する、有機ポリイソシアネート、あるいは、(3)分子内に少なくとも2個活性水素原子を有する鎖伸長剤を反応せしめて得られる、末端イソシアネート基を有する化合物である。
上記(1)の化合物として一般に知られているのは、末端又は分子中に2個以上のヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基あるいはメルカプト基を含むものであり、特に好ましい化合物としては、ポリエーテルポリオールおよびポリエーテルエステルポリオール等が挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、例えばエチレンオキシド及び、プロピレンオキシド等アルキレンオキシド類、あるいはスチレンオキシドおよびエピクロルヒドリン等を重合した化合物、あるいはそれらのランダム重合、ブロック重合あるいは多価アルコールへの付加重合を行って得られた化合物がある。
ポリエステルポリオール及びポリエーテルエステルポリオールとしては、主として直鎖状あるいは分岐状の化合物が挙げられる。コハク酸、アジピン酸、フタル酸及び無水マレイン酸等の多価の飽和あるいは不飽和カルボン酸、あるいは該カルボン酸無水物等と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパン等の多価の飽和及び不飽和のアルコール類、比較的低分子量のポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール類、あるいはそれらアルコール類の混合物とを縮合することにより得ることができる。さらにポリエステルポリオールとしてはラクトン及びヒドロキシ酸から得られるポリエステル類、またポリエーテルエステルポリオールとしては、あらかじめ製造されたポリエステル類にエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド等を付加せしめたポリエーテルエステル類も使用することができる。
上記(2)の有機ポリイソシアネートとしては、トルイレンジイソシアネートの異性体類、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、あるいはこれらの化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。
上記(3)の少なくとも2個の活性水素を有する鎖伸長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびピペラジン等のジアミン類、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミン等のアミノアルコール類、チオジエチレングルコール等のチオジグリコール類、あるいは水が挙げられる。
上記(3)のウレタンポリマーを合成するには通常、上記鎖伸長剤を用いた一段式あるいは多段式イソシアネート重付加方法により、150℃以下、好ましくは70〜120℃の温度において、5分ないし数時間反応させる。活性水素原子に対するイソシアネート基の比は、1以上であれば自由に選べるが、得られるウレタンプレポリマー中に遊離のイソシアネート基が残存することが必要である。さらに遊離のイソシアネート基の含有量は10質量%以下であればよいが、ブロック化された後のウレタンポリマー水溶液の安定性を考慮すると、7質量%以下であるのが好ましい。
得られた上記ウレタンプレポリマーは、好ましくは重亜硫酸塩を用いてブロック化を行う。重亜硫酸塩水溶液と混合し、約5分〜1時間、よく攪拌しながら反応を進行させる。反応温度は60℃以下とするのが好ましい。その後、水で希釈して適当な濃度にして、熱反応型水溶性ウレタン組成物とする。該組成物は使用する際、適当な濃度および粘度に調製するが、通常80〜200℃前後に加熱すると、ブロック剤の重亜硫酸塩が解離し、活性なイソシアネート基が再生するために、プレポリマーの分子内あるいは分子間で起こる重付加反応によってポリウレタン重合体が生成する、あるいは他の官能基への付加を起こす性質を有するようになる。
上記のブロック型イソシアネート基を含有する樹脂(B)の1例としては、第一工業製薬(株)製の商品名エラストロンが代表的に例示される。エラストロンは、重亜硫酸ソーダによってイソシアネート基をブロックしたものであり、分子末端に強力な親水性を有する、カルバモイルスルホネート基が存在するため、水溶性となっている。
本発明で使用される、上記の分岐したグリコール成分を含有する共重合ポリエステル樹脂(A)および上記のブロック型イソシアネート基を含有する樹脂(B)を混合して塗布液を調製する場合、樹脂(A)と樹脂(B)の質量比は(A):(B)=90:10〜10:90が好ましく、更に好ましくは(A):(B)=80:20〜20:80の範囲である。固形分質量に対する上記樹脂(A)の割合が10%未満では、基材フィルムへの塗布性が不適で、表面層と該フィルムとの間の接着性が不十分となる。 10%未満の場合には、UV硬化タイプのハードコートにおいては実用性のある接着性が得られない。
本発明で使用される水性塗布液には、熱架橋反応を促進させるため、触媒を添加しても良く、例えば無機物質、塩類、有機物質、アルカリ性物質、酸性物質および含金属有機化合物等、種々の化学物質が用いられる。また水溶液のpHを調節するために、アルカリ性物質あるいは酸性物質を添加してもよい。
上記水性塗布液を基材フィルム表面に塗布する際には、該フィルムへの濡れ性を上げ、塗布液を均一にコートするために、公知のアニオン性活性剤およびノニオン性の界面活性剤を必要量添加して用いることができる。塗布液に用いる溶剤は、水の他にエタノール、イソプロピルアルコールおよびベンジルアルコール等のアルコール類を、全塗布液に占める割合が50質量%未満となるまで混合してもよい。さらに、10質量%未満であれば、アルコール類以外の有機溶剤を溶解可能な範囲で混合してもよい。ただし、塗布液中、アルコール類とその他の有機溶剤との合計は、50質量%未満とする。 有機溶剤の添加量が50質量%未満であれば、塗布乾燥時に乾燥性が向上するとともに、水のみの場合と比較して塗布膜の外観向上の効果がある。50質量%を越えると、溶剤の蒸発速度が速く塗工中に塗布液の濃度変化が起こり、粘度が上昇して塗工性が低下するために、塗布膜の外観不良を起こす恐れがあり、さらには火災などの危険性も考えられる。塗布液の溶液粘度は1.0PaS(パスカルセック)以下が好ましい。1.0PaS(パスカルセック)以上ではスジ状の塗布厚み斑が発生しやすい。
本発明では、透明性の点から、易滑性付与を目的とした粒子を、基材フィルム中に含有させずに、易接着層に含有させた構成とすることが好ましい。すなわち、上記水性塗布液に、粒子を添加しフィルム表面に適度な突起を形成するのが好ましい。かかる粒子の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子を挙げることができる。これらの粒子の中でも、シリカ粒子がポリエステル樹脂と屈折率が比較的近く高い透明性が得やすいため最も好適である。
上記水性塗布液に添加する粒子の平均粒径は、通常0.01〜1.0μm、好ましくは0.01〜0.5μm以下、さらに好ましくは0.01〜0.1μm以下である。平均粒径が1.0μmを超えるとフィルム表面が粗面化し、フィルムの透明性が低下する傾向がある。また、上記塗液中に含まれる粒子含有量は、通常、塗布、乾燥後で塗布膜の粒子含有量が60質量%以下、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下になるよう添加する。塗布膜の粒子含有量が60質量%を超えるとフィルムの易接着性が損なわれることがある。
フィルム中に、上記粒子を2種類以上配合してもよく、同種の粒子で粒径の異なるものを配合してもよい。いずれにしても、粒子全体の平均粒径、および合計の含有量が上記の範囲を満足することが好ましい。上記塗布液を塗布する際には塗布液中の粒子の粗大凝集物を除去するために塗布直前に塗布液が精密濾過されるように濾材を配置する必要がある。本発明で用いられる塗布液を精密濾過するための濾材は濾過粒子サイズ25μm以下(初期濾過効率95%)であることが必要である。25μm以上では粗大凝集物が十分去できず、除去できなかった多くの粗大凝集物は塗布、乾燥後、一軸延伸、あるいは二軸延伸した際に易接着層に粒子の粗大凝集物が広がって100μm以上の凝集物として認識され結果として多くの光学欠点が発生する。塗布液を精密濾過するための濾材のタイプは上記性能を有していれば特に限定されないが例えばフィラメント型、フェルト型、メッシュ型が挙げられる。塗布液を精密濾過するための濾材の材質は上記性能を有しており、且つ塗布液に悪影響を及ばさなければ特に限定はされないが例えばステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。
上記水性塗布液の組成物には、その効果を消失しない限りにおいて帯電防止剤、顔料、有機フィラーおよび潤滑剤等の種々の添加剤を混合してもよい。さらに、塗布液が水性であるため、その寄与効果を消失しない限りにおいて、性能向上のために、他の水溶性樹脂、水分散性樹脂およびエマルジョン等を塗布液に添加してもよい。
上記易接着層を塗布するには、公知の任意の方法で行うことができる。例えばリバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法およびカーテン・コート法などが挙げられ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うことができる。
上記塗布液を塗布する工程は、通常の塗布工程、すなわち二軸延伸し熱固定した基材フィルムに塗布する工程でもよいが、該フィルムの製造工程中に塗布するのが好ましい。さらに好ましくは結晶配向が完了する前の基材フィルムに塗布する。水溶液中の固形分濃度は通常30質量%以下であり、好ましくは10質量%以下である。該水性塗布液は、走行しているフィルム1m2 あたり0.01〜5g、好ましくは0.2〜4gが付着されるように塗工される。該水性塗布液が塗布されたフィルムは、延伸および熱固定のためにテンターに導かれ、そこで加熱されて、熱架橋反応により安定な被膜を形成し、ポリエステル系績層フィルムとなる。十分な赤外線吸収層やハードコート層との密着性を得るためには、この時のコート量がフィルム1m2 あたり0.01g/m2 以上であって、100℃、1分以上の熱処理が必要である。塗布液を塗布する際のクリーン度は、埃の付着を少なくする点から、クラス1000以下が好ましい。
本発明においては、上記の基材フィルム(B)の片面に、反射防止機能を有する表面層(A)を積層することが重要である。反射防止機能とは、表面反射を防ぎ、光線透過率を上げると同時に「ギラツキ」を防止する機能を指す。該反射防止機能を付与する方法は限定させず任意に選択できるが、例えば、基材の表面に屈折率の異なる層を積層し、該層の界面における反射光の干渉を利用して低減する方法が好適である。該方法の反射防止膜を形成する方法として、大きくは下記の2方法が挙げられる。その一つの方法は、基材の表面に、蒸着法やスパッタリング法により反射防止膜を形成する方法であり、他の一つの方法は、基材の表面に、反射防止用塗布液を塗布し乾燥させることにより反射防止膜を形成する方法である。一般論としては、反射防止特性では前者が、経済性では後者が優れていると言われているが、本発明においては、どちらの方法を用いても構わない。また、該反射防止膜の材質も限定なく、無機質、有機質あるいは無機/有機のハイブリッドのいずれであっても構わない。
本発明においては、上記の反射防止膜を形成する時に、傷付き防止性を付与するハード加工、帯電防止性を付与する帯電防止加工および指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れが付着することを防止し、付着しても容易に拭き取れる機能を付与する防汚加工等、近赤外線吸収フィルターとして保有していた方が良いという機能を付与する加工を同時に行うのが好ましい実施態様である。特に、ハード加工は市場要求が強く、上記反射防止機能を有する表面の鉛筆硬度が1H以上であることが好ましい実施態様である。該ハード加工の方法も限定されず任意であるが、多官能性モノマーを主成分とした重合体よりなることが好ましい実施態様である。
本発明においては、上記の基材フィルム(B)の反射防止機能を有する表面層(A)を積層したと反対面に波長800〜1000nmの近赤外線領域に極大吸収を有する色素を含有する近赤外線吸収層(C)を積層することが重要である。該近赤外線吸収層(C)の積層により、例えば、プラズマディスプレイ用の光学フィルターとして用いた場合に、プラズマ発光により発生する近赤外線を遮断できるので、近赤外線を用いたリモコンの誤動作が抑えられるという効果が発現できる。該色素は、ジインモニウム系、フタロシアニン系、ジチオ−ル金属錯体系、ナフタロシアニン系、アゾ系、ポリメチン系、アントラキノン系、ナフトキノン系、ピリリウム系、チオピリリウム系、スクアリリウム系、クロコニウム系、テトラデヒドオコリン系、トリフェニルメタン系、シアニン系、アゾ系、アミニウム系等の等の化合物が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用されるが、近赤外域の吸収が大きく、吸収域も広く、可視域の透過率も高い下式(III)で示すジイモニウム塩化合物を含むことが好ましい。
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前記の式(III)中のR1〜R8の具体例としては、アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基などが、アリール基としてはフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、トリル基、ジエチルアミノフェニル、ナフチル基などが、アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基などが、アラルキル基としては、ベンジル基、p−フルオロベンジル基、p−クロロフェニル基、フェニルプロピル基、ナフチルエチル基などが挙げられる。また、R9〜12としては、水素、フッ素、塩素、臭素、ジエチルアミノ基、ジメチルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。またX−は、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、過塩素酸塩イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオンなどが挙げられる。ただし、本発明では上記で挙げたものに限定されるものではない。これらの一部は市販品として入手可能であり、例えば日本化薬社製Kayasorb IRG−022、IRG−023、IRG−024、日本カーリット社製 CIR−1080、CIR−1081、CIR−1083、CIR−1085等を好適に用いることができる。
本発明の近赤外線吸収フィルタ−は、前記の式(III)で表わされるジイモニウム塩系化合物以外に、近赤外域の吸収域の拡大、色目の調整を目的として、他の近赤外線吸収色素を加えることもできる。
本発明において、近赤外線吸収色素は、目的とする近赤外線の吸収、可視域での透過率を達成するように調整して基材上の設ける必要があり、好ましくは、0.01g/m2 以上1.0g/m2 以下存在することが好ましい。近赤外線吸収色素の量が少ない場合には、近赤外線領域での吸収能が不足し、逆に、多い場合には可視光域での透明性が不足してディスプレイの輝度が低下する問題がある。
上記の近赤外線吸収色素は樹脂中に分散あるいは溶解した状態で前記の基材フィルム(B)に積層する方法が推奨される。該樹脂としては、近赤外線吸収色素を均一に溶解あるいは分散できるものであれば特に限定されないが、ポリエステル系、アクリル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリカ−ボネ−ト系樹脂を好適に用いることができる。好ましくは、柔軟性と基材との密着性に優れるポリエステル系ある。樹脂が硬い場合には、後加工の工程で塗膜に微小なひび割れが発生する問題がある。さらに、樹脂のガラス転移温度が、利用する機器の使用保証温度以上であることが好ましい。
ガラス転移温度が機器使用温度以下であると、樹脂中に分散された色素同士が反応したり、樹脂が外気中の水分等を吸収し色素やバインダ−樹脂の劣化が大きくなる。また、本発明において、樹脂のガラス転移温度は、機器使用温度以上であれば特に限定されないが、特に好ましくは85℃以上160℃以下が好ましい。ガラス転移温度が85℃以下の場合、色素と樹脂との相互作用、色素間の相互作用等が起こり、色素の変性が発生する。また、ガラス転移温度が160℃を超えた場合、該樹脂を溶剤に溶解し、透明基材上に塗布した時に十分な乾燥をしようとすれば高温にしなければならず、基材の熱シワによる平面性不良、更には、色素の劣化が発生する。また、低温で乾燥した場合、乾燥時間が長く生産性が悪くなり、生産性が不良となる。また、十分な乾燥ができない可能性もあり、溶剤が塗膜中に残留し、前述のように樹脂の見かけのガラス転移温度が低下し、やはり、色素の変性を引き起こす。
樹脂中の近赤外線吸収色素の量は、1質量%以上10質量%以下が好ましい。樹脂中の近赤外線吸収色素の量が少ない場合には、目的とする近赤外線吸収能を達成するために近赤外線吸収層の塗工量を増やす必要があり、十分な乾燥をしようとすれば高温及び/又は長時間にする必要があり、色素の劣化、基材の平面性不良の問題が発生する。逆に、樹脂中の近赤外線吸収色素の量が多い場合には、色素間の相互作用が強くなり、残留溶媒が少なくしたとしても経時での色素の変性が起こりやすくなる。
本発明において、近赤外線吸収能を発現する近赤外線吸収層(C)は、樹脂と近赤外線吸収色素を主に含有する塗液を基材(B)上に塗布乾燥して積層する方法が好ましいが、該塗液中にHLBが2以上12以下の界面活性剤を含有させることがより好ましい実施態様である。該界面活性剤を添加することにより近赤外線吸収色素のバインダー樹脂への分散性が向上し、該近赤外線吸収色素を含有する近赤外線吸収層(C)の塗工外観、特に、微小な泡によるヌケ、異物等の付着より凹み、乾燥工程でのハジキが改善される。更には、界面活性剤は塗布乾燥により表面にブリードすることにより、滑り性が付与され、近赤外線吸収層あるいは/及び反対面に表面凹凸を形成しなくともハンドリング性が良好となり、ロール状に巻取ることが容易になる。
上記界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、ノニオン系の公知のものを好適に使用できるが、近赤外線吸収色素の劣化等の問題から極性基を有していないノニオン系が好ましく、更には、界面活性能に優れるシリコン系又はフッ素系界面活性剤が好ましい。
シリコン系界面活性剤としては、ジメチルシリコン、アミノシラン、アクリルシラン、ビニルベンジルシラン、ビニルベンジシルアミノシラン、グリシドシラン、メルカプトシラン、ジメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、ポリアルコキシシロキサン、ハイドロジエン変性シロキサン、ビニル変性シロキサン、ビトロキシ変性シロキサン、アミノ変性シロキサン、カルボキシル変性シロキサン、ハロゲン化変性シロキサン、エポキシ変性シロキサン、メタクリロキシ変性シロキサン、メルカプト変性シロキサン、フッ素変性シロキサン、アルキル基変性シロキサン、フェニル変性シロキサン、アルキレンオキシド変性シロキサンなどが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、4フッ化エチレン、パーフルオロアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルスルホン酸アミド、パーフルオロアルキルスルホン酸ナトリウム、パーフルオロアルキルカリウム塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルアルキル化合物、パーフルオロアルキルアルキルベタイン、パーフルオロアルキルハロゲン化物などが挙げられる。
界面活性剤の含有量は、近赤外線吸収層(C)中に0.01質量%以上2.00質量%以下であることが好ましい。界面活性剤の含有量が少ない場合には、塗工外観や滑り性が不十分となる場合がある。一方、界面活性剤の含有量が多い場合には近赤外線吸収層が水分を吸着しやすくなり、色素の劣化が促進される。
本発明において、界面活性剤のHLBは2以上12以下であることが好ましい。HLBが低い場合には界面活性能の不足によりレベリング性が不足する。逆に、HLBが高い場合には、滑り性が不足するだけでなく、近赤外線吸収層が水分を吸着しやすくなり、経時安定性が不良となる。なお、HLBとはアメリカのAtlas Powder社のW.C.GriffinがHydorophil Lyophile Balanceと名付けて界面活性剤の分子中に含まれる親水基と親油基のバランスを特性値として指標化した値でこの値が低いほど親油性が、逆に高いほど親水性が高いことを意味する。
本発明において、近赤外線吸収色素含有の近赤外線吸収層(C)は、塗液を前記の基材フィルム(B)上に塗布、乾燥することにより積層されるが、該塗液は、塗工性より有機溶媒により希釈する必要がある。該有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、トリデシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−メチルシクロヘキシルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等のグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチレンエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、エチレングリコールモノブチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルアセテート等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸イソプロピレン、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソホロン、ジアセトンアルコール等のケトン類を例示することができ、これら単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。好ましくは、色素の溶解に優れるケトン系を塗液中の溶媒中に30質量%以上80質量%以下含有させ、それ以外は、レベリング性、乾燥性を考慮して選定することが好ましい。また、溶媒の沸点は、60℃以上180℃以下が好ましい。沸点が低い場合には、塗工中に塗液の固形分濃度が変化し、塗工厚みが安定化しにくい問題がある。逆に、沸点が高い場合には、塗膜中に残存する溶媒量が増え、経時安定性が不良となる。
近赤外線吸収色素および樹脂を溶媒中に溶解あるいは分散する方法としては、加温下での攪拌、分散及び粉砕の方法が挙げられる。加温することにより色素及び樹脂の溶解性が向上することができ、未溶解物等による塗工外観への不良が妨げられる。また、分散及び粉砕して樹脂及び色素を0.3μm以下の微粒子状態で塗液中に分散することにより、透明性に優れる層を形成することが可能となる。分散機及び粉砕機としては、公知のものを用いることができ、具体的には、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ホモミキサー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。
塗液中にコンタミや1μm以上の未溶解物が存在した場合、塗布後の外観が不良になるため、塗布する前に、フィルター等で除去する必要がある。フィルターとして、各種のものが好適に使用できるが、1μmの大きさのものを99%以上除去するものを用いることが好ましい。1μm以上のコンタミや未溶解物を含む塗液を塗布し乾燥した場合には、その周囲に凹み等が発生し、100〜1000μmサイズの欠点になる場合がある。
塗液中に含まれる樹脂及び色素等の固形分濃度は、10質量%以上30質量%が好ましい。固形分濃度が低い場合には、塗布後の乾燥に時間が掛かり生産性が劣るばかりか、塗膜中に残存する溶剤量が増加し、経時安定性が不良となる。逆に、固形分濃度が高い場合には、塗布液の粘度が高くなりレベリング性が不足して塗工外観が不良となる。塗液の粘度は、10cps以上300cps以下が塗工外観の面で好ましく、この範囲になるように固形分濃度、溶媒等を調整することが好ましい。
本発明で、近赤外線吸収剤含有の近赤外線吸収層C)を基材フィルム(B)上に塗布する方法としては、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式、バーコート方式、リップコート方式など通常用いられている方法が適用できる。これらのなかで、均一に塗布することのできるグラビアコート方式、特にリバースグラビア方式が好ましい。また、グラビアの直径は、80mm以下であることが好ましい。直径が大きい場合には流れ方向にうねスジが発生する問題がある。
乾燥後の塗布量は特に限定されないが、好ましい下限は1g/m2 以上、より好ましくは3g/m2以上、好ましい上限は50g/m2、より好ましくは30g/m2以下である。乾燥後の塗布量が少ない場合には、近赤外線の吸収力が不足する問題があり、樹脂中の近赤外線吸収色素の存在量を増やすことにより近赤外線の吸収能を目的まであわせたとしても、色素間の相互作用が強くなり、色素の劣化等が起こりやすくなり経時安定性が不良となる。逆に、乾燥後の塗布量が多い場合には、近赤外線の吸収能は十分であるが、可視光領域での透明性が低下し、ディスプレイの輝度が低下する。樹脂中の近赤外線吸収色素の存在量を低減することにより光学特性は目的まで調節できるが、乾燥が不十分になりやすく、塗膜中の残留溶媒により経時安定性が不良となり、乾燥を十分にした場合には基材の平面性が不良となる。
塗布液を基材フィルム(B)上に塗布し、乾燥する方法としては、公知の熱風乾燥、赤外線ヒーター等が挙げられるが、乾燥速度が早い熱風乾燥が好ましい。塗布後の初期の恒率乾燥の段階では、20℃以上80℃以下で、2m/秒以上30m/秒の熱風を用いて乾燥することが好ましい。初期乾燥を強く行う(熱風温度が高い、熱風の風量が大きい)場合には、泡由来の微小なコートヌケ、微小なハジキ、クラック等の塗膜の微小な欠点が発生しやすくなる。逆に、初期乾燥が弱くする(熱風温度が低い、熱風の風量が小さい)場合には、外観は良好になるが乾燥時間が掛かりコスト面で問題がある。
減率乾燥の工程では、初期乾燥よりも高温し、塗膜中の溶剤を減少させる必要があり、好ましい温度は、120℃以上180℃以下である。温度が低い場合には、塗膜中の溶剤が減少しにくい問題がある。逆に、高温の場合には、熱シワにより基材の平面性が不良となるだけでなく、近赤外線色素が熱により劣化する問題がある。また、通過時間としては、5秒以上180秒以下であることが好ましい。時間が短い場合には塗膜中の残留する溶剤が多くなり経時安定性が不良となり、逆に時間が長い場合には、生産性が不良となるだけでなく、基材に熱シワが発生して平面性が不良となる。
乾燥の最終では、熱風温度を樹脂のガラス転移温度以下にし、フラットの状態で基材フィルムの実温を樹脂のガラス転移温度以下にすることが好ましい。高温のままでは乾燥炉を出た場合には、塗工面がロール表面に接触した際に滑りが不良となり、キズ等が発生するだけでなく、カール等が発生する場合がある。
上記の近赤外線吸収色素を含有する近赤外線吸収層(C)は、高温、高湿度下に放置されても近赤外線の透過率、可視光の透過率が変化しないことが好ましい。高温、高湿度下の経時安定性が不良の場合には、ディスプレイの映像の色調が変化するばかりか、近赤外線リモコンを用いた電子機器の誤動作を防止する本発明の効果がなくなる場合がある。経時安定性を良好にするには、上述の塗液中の溶剤の種類、塗布膜厚、乾燥条件等による近赤外線吸収層中に残留溶媒の低減、樹脂中の色素の含有量の調整により達成することができる。尚、近赤外線吸収層の残留溶媒の量は、少なければ少ないほど良いが、3質量%以下にすることが好ましい。3質量%以下になれば、実質的に経時安定性に差がなくなる。しかしながら、さらに残留溶媒量を低下させるために、乾燥を過酷な条件で行うと、フィルターの平面性が不良になる等の弊害が発生する。
上記の近赤外線吸収色素を含有する近赤外線吸収層(C)の塗工外観としては、直径300μm以上、より好ましくは100μmのサイズの欠点を存在しない様にしなかればならない。300μm以上の欠点は、プラズマディスプレイの前面に設置すると輝点の様になり、欠点が顕著化される。また、塗工層の薄いスジ、ムラ等もディスプレイ前面では顕著化されて問題となる。該塗工外観は前記の要件を満たすことで達成できる。
本発明においては、上記の近赤外線領域に極大吸収波長を有する色素を含有する近赤外線吸収層(C)の表面に、透明粘着剤よりなる粘着層(D)を積層することが重要である。該粘着層(D)を積層することにより、前記の反射防止機能を有する表面層(A)、紫外線吸収剤を含有した基材フィルム(B)および近赤外線吸収を有する色素を含有する近赤外線吸収層(C)よりなる近赤外線吸収フィルターとしての光学特を有する積層体を、プラズマディスプレイパネル表面や電磁波吸収機能を有する透光性シートに貼着し固定することができる。該透明粘着剤は限定なく公知のものが用いられるが、ブチルアクリレート等のアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、SEBS、SBS等の熱可塑性エラストマー樹脂をベースとしたTPE系粘着剤等が挙げられる。
本発明において、前記の(A)〜(D)層のいずれかに可視光領域に吸収を有する色素の一種を含有させ色調補正をすることが好ましい実施態様である。例えば、プラズマディスプレイは、600nm付近を中心とするいわゆるネオンオレンジ光を発光し、赤色にオレンジ色が混ざり鮮やかな赤色が得られない欠点がある。該課題は、550〜620nmの波長域に極大吸収を有する色素を(A)〜(D)層のいずれかに配合することで解決ができる。すなわち、該色素は550nm〜620nm、更には、570〜600nmに、シャープな吸収を有することが好ましい。極大吸収波長での透過率は、40%以下、好ましくは30%以下の透過率であることが好ましい。この領域での透過率が高い場合には、プラズマディスプレイから放出されるネオン光を吸収し、赤の発色を良くするという効果がなくなる。また、この領域の吸収が広い場合には、可視光領域の全体の透過率が下がる為、ディスプレイの輝度が低下する問題がある。550〜620nm以外の可視光領域の透過率は、高ければ高いほどよく、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上である。透過率が低い場合には、ディスプレイの発色を妨げ、輝度の低い映像となる。具体的には、シアニン系、スクアリウム系、アゾメチン系、キサンテン系、オキソノール系、アゾ系、フタロシアニン系、キノン系、アズレニウム系、ピリリウム系、クロコニウム系、ジチオール金属錯体系、ピロメテン系化合物等の色素を挙げられる。これらのなかで、スクアリリウム系化合物がネオン光にシャープな吸収があり好ましい。上記のごとくこのような色調補正のための色素を配合する層は限定せれないが、前記の近赤外線吸収色素と共に近赤外線吸収層(C)に配合するのが好ましい実施態様である。
近赤外線吸収フィルターの色調としては、Lab表色系で表現すると、a値は−10.0〜+10.0、b値は−10.0〜+10.0であることが好ましい。この範囲であれば、プラズマディスプレイの前面に設置した場合でもナチュラル色となり好ましい。
本発明の前記の(A)〜(D)よりなる積層体の総厚みは限定なく市場要求に従い任意に設定できるが、0.05〜0.2mmが好ましい範囲である。0.05mm未満では、近赤外線吸収フィルターの取り扱い性が悪化するので好ましくない。逆に、0.2mmを超えた場合は、近赤外線吸収フィルターの取り扱い性やプラズマディスプレイ等に貼着する時の作業性が悪化するので好ましくない。また、市場の薄膜化要求にも答えられない。
近赤外線吸収フィルターの取り扱い性やプラズマディスプレイ等に貼着する時の作業性より、近赤外線吸収フィルターの薄膜化が市場より要望されているが、従来技術は、2枚以上の機能性フィルムやシートを貼り合わせることにより製造されていたので総厚みは0.2mmを超えていた。基材フィルムを一枚化した本発明により、高機能性を維持したうえで、該近赤外線吸収フィルターの薄膜化に対する市場要求は初めて達成することができた。
本発明における基材フィルム(B)への各機能を有した層の積層は、粘着層(D)の積層を最後に実施することを除けばその塗工順序は問わない。また、該塗工は各機能層ごとに逐次に行っても良いし、多層コーターを用いて同時に実施しても構わない。
本発明においては、前記の構成の近赤外線吸収フィルターを粘着層(D)を介してプラズマディスプレイに直接貼着することが好ましい実施態様である。該方法により高機能で薄膜化された近赤外線吸収フィルターをプラズマディスプレイに貼着しその機能を発現させることができる。
また、本発明においては、前記の構成の近赤外線吸収フィルターを粘着層(D)を介して電磁波吸収機能を有した透光性シートに積層するのが好ましい実施態様である。該実施態様により近赤外線吸収フィルターに電磁波吸収機能を付与し、例えば、プラズマディスプレイ等に組み込むことができる。本発明における電磁波吸収機能を有した透光性シートは、透光性と電磁波吸収機能を合わせて有しておれば限定はされないが、以下のようなものが挙げられる。
(1)金属繊維や金属被覆有機繊維よりなる導電性メッシュ。
(2)透明フィルムあるいはシートに金属膜を積層した後にフォトリソグラフィー等の手法で格子状やパンチングメタル状などの形状にエッジング加工したエッジング法導電メッシュ複合シート。
(3)透明フィルムあるいはシートに導電塗料をパターン印刷した導電印刷メッシュ複合シート。
(4)透明フィルムあるいはシートに銀薄膜やITO薄膜等の透明導電層を積層した透明導電体。
本発明においては、上記粘着層(D)を形成することなく、基材フィルム(B)のそれぞれ片面に表面層(A)と近赤外線吸収層(C)を積層した構成として近赤外線吸収フィルターとして使用することができる。該方法で使用する場合のプラズマディスプレイパネル等の被貼着体への近赤外線吸収フィルターの固定方法に限定はないが、光学用の接着剤や粘着剤を用いて行うのが好ましい実施態様である。この場合、近赤外線吸収層(C)を被貼着体側として固定して使用する必要がある。該固定法により、各機能層の機能を発現することができる。
以下、実施例をもとに本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
1.光線透過率
分光光度計(日立U−3500型)を用い、波長200〜1100nmので、近赤外線吸収色素を含む近赤外線吸収層(C)側から光が透過するようにして、空気層を標準として測定した。紫外線透過率は380nmの透過率を、可視光領域の透過率は、450〜700nmの透過率の平均値を、ネオン光領域の透過率は、570〜600nmの透過率の平均値を、
近赤外線領域の透過率は、900〜1100nmの透過率の平均値を求めた。
2.色調
色差計(日本電色工業製ZE−2000)を用い、近赤外線吸収層側に光が照射するようにして、Lab表色系のa値、b値を、標準光としてD65光源、10度視野角で測定した。
3.経時安定性
温度60℃、湿度95%雰囲気中で500時間放置した後、上記記載の分光特性、色調を測定した。
近赤外線領域の透過率、可視光領域の透過率の平均値の経時処理前後の変化量を下記式1より求め、以下の判断基準でランク付けを行った。
◎:透過率の変化が5%未満
○:透過率の変化が5%以上10%未満
△:透過率の変化が10%以上20%未満
×:透過率の変化が20%以上
変化量(%)=(|処理前の透過率−処理後の透過率|/処理前の透過率)×100
・・・(1)
また、色調の経時処理前後での下記式2の変化量より求め、以下の判断基準でランク付けを行った。
◎:透過率の変化が1未満
○:透過率の変化が1以上2未満
△:透過率の変化が2以上4未満
×:透過率の変化が4以上
変化量 = √((処理前a値―処理後a値)2+(処理前b値―処理後b値)2) ・・・(2)
4.耐候性
試験試料を以下の条件で、促進耐候性試験を行い評価した。紫外線オートフェードメーター(スガ試験機社製、商品名「FAL−AU−H−BR」)による照射試験を、ブラックパネル温度63℃で192時間行い、該試験前後の試験試料の近赤外線領域の極大吸収波長での透過率を測定した。試験前の透過率をTと試験後の透過率をT1とした。該測定値から、下記式3で近赤外線吸収能残存率R(%)を求めた。該評価は、試料を粘着層(D)を介して厚さ2mmのSUS板に貼着し、表面層(A)側より紫外線を照射する方法で実施した。
R(%)=(T/T1)×100 ・・・(3)
5.表面層(A)の反射率
分光光度計(日立U−3500型)を用い、JIS−R−3106に準じて、表面層(A)側の5°正反射を測定し、波長380〜700nmでの最小の反射率を求めた。表面層(A)を積層しない比較例のサンプルについては基材フィルム(B)の表面の測定を行った。
6.表面硬度
反射防止機能を有する表面層(A)の表面について、鉛筆引掻き硬度で評価した。サンプルを温度25℃、相対湿度60%の条件下で2時間調湿した後評価した。鉛筆引掻き硬度はJIS−S−6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS−K−5400に準じて実施した。評価結果の鉛筆硬度は9.8Nの荷重にて傷が全く認められない鉛筆の硬度である。表面層(A)を積層しない比較例のサンプルについては基材フィルム(B)の表面の測定を行った。
7.近赤外線吸収色素を含有する近赤外線吸収層(C)の塗膜外観
近赤外線吸収層(C)を積層した積層フィルムを白色フィルム上に置き、3波長の蛍光灯下で観察して評価を行った。
(1)微小欠点
微小欠点は、100m2 あたりの300μm以上の大きさの欠点の個数を計測し、以下の判断基準でランク付けを行った。
◎:微小欠点が1個未満
○:微小欠点が1個以上5個未満
△:微小欠点が5個以上10個未満
×:微小欠点が10個以上
(2)塗工不良
塗工ムラ、スジ等の塗工不良を以下の判断基準でランク付けを行った。
◎:近赤外線吸収フィルターを動かしながら観察すると若干外観不良が見られない
○:近赤外線吸収フィルターを動かしながら観察すると若干外観不良が判る
△:近赤外線吸収フィルターを動かしながら観察すると外観不良が判る
×:静止状態でも外観不良が判る
8.基材フィルム(B)に対する表面層(A)および近赤外線吸収層(C)の接着性
JIS−K5400の8.5.1記載に準じた試験方法で接着性を求めた。すなわち、それぞれ、両表面より基材フィルムに達する100個の升目状の切り傷を隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて付け、セロハン粘着テープ(ニチバン社製405番24mm幅)を升目状の切り傷面に貼り付け、気泡や密着不良な部分が残らないようにプラスティック片でこすって完全に付着させた後、垂直に引き剥がして目視により、下記式4から接着性を求めた。なお、1つの升目で部分的に剥がれているものは、剥がれた升目とした。
接着性(%)=(1−剥がれた升目の数/評価した升目の数)×100 ・・・(4)
実施例1
1.基材フィルム(B)の製造
(1)紫外線吸収剤含有マスターバッチの調整
乾燥させた紫外線吸収剤CYASORB UV−3638サイアテック社製(2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジノン−4−オン))10質量部、粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(東洋紡績製、ME−553)90質量部を混合し、混練押出機を用い、マスターバッチを作製した。この時の押し出し温度は285℃であり、押し出し時間は7分であった。
(2)易接着層形成用の塗布液の調整
易接着層形成用の塗布液を以下の方法に従って調製した。ジメチルテレフタレート95質量部、ジメチルイソフタレート95質量部、エチレングリコール35質量部、ネオペンチルグリコール145質量部、酢酸亜鉛0.1質量部および三酸化アンチモン0.1質量部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に5−ナトリウムスルホイソフタル酸6.0質量部を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の30質量%水分散液を6.7質量部、重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタン樹脂の20%水溶液(第一工業製薬製、エラストロンH−3)を40質量部、エラストロン用触媒(Cat64)を0.5質量部、水を47.8質量部およびイソプロピルアルコールを5質量部、それぞれ混合し、さらにアニオン性界面活性剤を塗布液に対し1質量%、コロイダルシリカ粒子(日産化学工業社製、スノーテックスOL)を塗布液の固形分に対し5質量%添加し塗布液とした。
(3)基材フィルム(B)の製膜
固有粘度が0.62dl/gのPET樹脂の粒子を含有しないペレット(東洋紡績社製、ME−553)90質量部と前記の紫外線吸収剤含有マスターバッチ10質量部とを135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機に供給した。押出機熔融部、混練り部、ポリマー管、ギアポンプ、フィルターまでの樹脂温度は280℃、その後のポリマー管では275℃とし、口金よりシート状にして押し出した。これらのポリマーは、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)を用いて濾過した。また、フラットダイは樹脂温度が275℃になるようにした。押し出した樹脂を静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラム(ロール径400φ、Ra0.1μm以下)に巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この時の吐出量は48kg/hrであり、得られた未延伸シートは幅300mm、厚さ1400μmであった。次に、上記キャストフィルムを加熱されたロール群および赤外線ヒーターを用いて100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向(走行方向)に3.5倍延伸して一軸配向フィルムを得た。該フィルム製造時に用いる全ロールに関し、ロールの表面粗度をRaで0.1μm以下に管理し、縦延伸工程の予熱入口と冷却ロールにロールクリーナーを設置した。縦延伸工程のロール径は150mmであり、サクションロール、静電密着、パートニップの密着装置を採用してフィルムをロールへ密着させた。その後、易接着層形成用の塗布液を濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)25μmのフェルト型ポリプロピレン製濾材で精密濾過し、リバースロール法で両面に塗布、乾燥した。塗布後、引き続いて、フィルムの端部をクリップで把持して130℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後幅方向に4.0倍に延伸し230℃にて5秒間熱処理し、この熱処理工程中で幅方向に3%の弛緩処理し、基材フィルム(B)を得た。該フィルム厚さ100μmであり、この時の易接着層のコート量は0.01g/m2 であった。得られたフィルムの波長380nmの透過率を表1に示す。得られた基材フィルムは優れた紫外線吸収性を有していた。
2.表面層(A)の形成
前記の基材フィルム(B)に紫外線硬化型ハードコート塗料(大日精化社製 セイカビームEXF−01B)をリバースコーティング法にて乾燥後膜厚5μmになるように塗工し、溶剤を乾燥後、高圧水銀灯により紫外線を800mJ/cm2 照射しハードコート層を形成した。次に、γ−アミノプロピルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物5質量部、メタノール30質量部、エタノール30質量部、イソプロパノール35質量部からなる塗布液を乾燥後膜厚0.02μmになるように塗工し、140℃で20秒間乾燥し高屈折率塗布膜層を形成し、次いで、テトラエトキシシラン24質量部、エタノール50質量部、水20質量部、塩酸4質量部を分散し加水分解を行い塗料を作成し、この塗料を乾燥後膜厚0.09μmになるように塗工し、140℃で1分間乾燥し低屈折率塗布膜層を形成した。さらに、前記低屈折率塗布膜層の上にC37―(OC3634―O−(
CF22―C24―O−CH2Si(OCH33からなるパーフルオロポリエーテル基含有シランカップリング剤をパーフルオロへキサンで0.5質量%に希釈した塗布液を塗布し、膜厚8nmの防汚層を形成し120℃で1分間乾燥し、表面層(A)を形成した。
得られた積層フィルムの表面層(A)の特性値を表1に示す。本実施例で得られた積層フィルムは表面反射率が低く、かつ表面硬度も良好であった。また、防汚性にも優れていた。なお、前記の防汚性は、油性ペンの拭き取り性と指紋の拭き取り性で評価した。油性ペンの拭き取り性は、表面層(A)表面に油性ペンで線を引きその線を、また、指紋の拭き取り性は、表面層(A)表面に付着させた指紋をセルロース製の不織布(ベンコットンM−3:旭化成社製)で拭き取り、その取れやすさを目視判定した。どちらも完全に拭き取ることができた。
3.近赤外線吸収層(C)の形成
下記組成の塗布液(固形分濃度が17%、粘度が40cps)を上記の基材フィルム(B)に表面層(A)を積層した積層フィルムの基材フィルム面上に乾燥後の塗布量が8.5g/m2になるように直径60cmの斜線グラビアを用いてリバースで塗工し、40℃で
5m/秒の熱風で20秒間、150℃で20m/秒の熱風で20秒間、さらに、90℃で20m/秒の熱風で10秒間通過させて乾燥し、近赤外線吸収フィルターを作成した。
[近赤外線吸収層(C)形成用の塗布液]
下記の質量比で混合し、加温下で色素および樹脂を溶解し、公称ろ過精度1μmのフィルターで未溶解物を除去して塗布液を作成した。
・シクロペンタノン 41.50質量%
・トルエン 41.50質量%
・エステル系樹脂 16.15質量%
(鐘紡製O−PET)
・ジインモニウム塩化合物 0.5653質量%
(日本化薬製IRG−022)
・ニッケル金属錯体 0.1547質量%
(三井化学社製SIR−128)
・シアニン系化合物 0.0461質量%
(山田化学工業製IR301)
・シアニン系化合物 0.00939質量%
(日本化薬製CY−10)
・スクアリリウム塩系化合物 0.0471質量%
(協和発酵工業製SD184)
・シリコン系界面活性剤 0.0340質量%
(ダウコーニング製ペインタッド57、HLB=6.7)
得られた積層フィルムの物性を表1に示す。近赤外領域の吸収、ネオン光領域の吸収が強く、可視光領域での透過率が高いフィルムが得られた。また、経時安定性や耐候性に優れ、さらに塗工外観も良好であった。
4.粘着層(D)の形成
上記方法で得られた表面層(A)、基材フィルム(B)および近赤外線吸収層(C)よりなる積層フィルムの近赤外線吸収層(C)の表面に、n−ブチルアクリレート(78.4質量%)、2−エチルヘキシルアクリレート(19.6質量%)、およびアクリル酸(2質量%)よりなるアクリル酸エステル共重合体からなる透明性粘着剤をコンマコーター法で乾燥後の膜厚で0.025mmとなるように積層し、さらにその表面にシリコーン処理した厚み0.038mmのポリエチレンテレフタレートよりなるセパレータフィルムを積層し、表面層(A)、基材フィルム(B)、近赤外線吸収層(C)および粘着層(D)よりなる近赤外線吸収フィルターとセパレータフィルムとの複合体を得た。
本実施例で得られた近赤外線吸収フィルターは総厚みが0.14mmと薄い上に、前記のような優れた特性を合わせて保有しているため、上記複合体のセパレーターフィルムを剥離後、粘着層(D)の粘着性を利用して、例えば、プラズマディスプレイ等の被貼着体に容易に貼着することができる。上記のごとく該近赤外線吸収フィルターはその厚みが従来公知のものより薄いので、その貼着の作業性に優れていた。
比較例1
実施例1において、下記(1)〜(3)のように変更すること以外は実施例1と同様にして、本比較例1の近赤外線吸収フィルターを得た。本比較例1で得られた近赤外線吸収フィルターの特性を表1に示す。
(1)基材フィルム(B)への紫外線吸収剤の配合を取り止める。
(2)基材フィルム(B)への易接着層の積層を両面とも取り止める。
(3)近赤外線吸収層(C)形成用塗布液への界面活性剤の配合を取り止める。
本比較例1で得られた近赤外線吸収フィルターは紫外線透過度が高いため、近赤外線吸収色素の光による劣化が大きく耐候性が劣る。また、易接着層が形成されないため、表面層(A)や近赤外線吸収層(C)の基材フィルム(B)に対する接着性が劣る。さらに、近赤外線吸収層(C)形成用塗布液への界面活性剤の配合を取り止めたため、近赤外線吸収色素やネオン光カット用の色調調整用色素のバインダー樹脂への分散性が劣るために、近赤外線吸収層(C)の塗膜外観に劣っていた。
比較例2
実施例1の方法において、下記(4)〜(6)のように変更すること以外は、実施例1と同様にして、本比較例2の近赤外線吸収フィルターを得た。
(4)基材フィルム(B)への表面層(A)の積層を取り止める。
(5)基材フィルム(B)への易接着層の積層を両面とも取り止める。
(6)近赤外線吸収層(C)形成用塗布液への界面活性剤の配合を取り止める。
本比較例2で得られた近赤外線吸収フィルターの特性を表1に示す。なお、本比較例2で得られた近赤外線吸収フィルターは、表面層(A)が複合されていないので、表面反射率と表面硬度は基材フィルム(B)の表面の特性を評価した。
本比較例2で得られた近赤外線吸収フィルターは、表面層(A)が複合されていないので、表面反射率と表面硬度が劣る。また、表面の防汚性も劣り、前記の評価で油性ペンで描いた線や指紋の拭き取り後が残った。また、易接着層が形成されないため、近赤外線吸収層(C)の基材フィルム(B)に対する接着性が劣る。さらに、近赤外線吸収層(C)形成用塗布液への界面活性剤の配合を取り止めたため、近赤外線吸収色素やネオン光カット用の色調調整用色素のバインダー樹脂への分散性が劣るために、近赤外線吸収層(C)の塗膜外観に劣っていた。
比較例3
実施例1の方法において、近赤外線吸収層(C)の積層を取り止めること以外は、実施例1と同様の方法で、本比較例3の近赤外線吸収フィルターを得た。なお、本比較例3では、近赤外線吸収層(C)の積層を取り止めたので、粘着層(D)は基材フィルム(B)表面に行った。本比較例3で得られた近赤外線吸収フィルターの特性を表1に示す。本比較例3で得られた近赤外線吸収フィルターは、近赤外線吸収層(C)が積層されてないので、近赤外線領域の透過率が高く近赤外線吸収フィルターとしての基本機能を有していない。また、色調補正機能が付与されていない。
比較例4
実施例1の方法において、下記(7)〜(10)のように変更すること以外は、実施例1と同様の方法で、本比較例の近赤外線吸収フィルターを得た。
(7)基材フィルム(B)への紫外線吸収剤の配合を取り止める。
(8)基材フィルム(B)への易接着層の積層を両面とも取り止める。
(9)近赤外線吸収層(C)形成用塗布液への界面活性剤の配合を取り止める。
(10)粘着層(D)に紫外線吸収剤としてチバスペシャルティケミカルズ社製TINUVIN 386(3質量%)と、酸化防止剤として同社製のIRUGANOX−1010(1質量%)を配合する。
本比較例4で得られた近赤外線吸収フィルターの特性を表1に示す。本比較例4の近赤外線吸収フィルターは紫外線吸収剤が近赤外線吸収色素の配合された近赤外線吸収層(C)より被貼着体側に複合されているため、耐候性向上効果が発現されず低レベルである。また、易接着層が形成されないため、近赤外線吸収層(C)の基材フィルム(B)に対する接着性が劣る。さらに、近赤外線吸収層(C)形成用塗布液への界面活性剤の配合を取り止めたため、近赤外線吸収色素やネオン光カット用の色調調整用色素のバインダー樹脂への分散性が劣るために、近赤外線吸収層(C)の塗膜外観に劣っていた。
実施例2
実施例1の方法において、紫外線吸収剤を高分子系紫外線吸収剤(三菱化学株式会社製 、Novapex U−110)とし、該配合量を20質量部となるように変更する以外は、実施例1と同様の方法で、本実施例2の近赤外線吸収フィルターを得た。本実施例2で得られた近赤外線吸収フィルターの特性を表1に示す。本実施例2で得られた近赤外線吸収フィルターは、実施例1で得られた近赤外線吸収フィルターと同様に高品質であった。
Figure 0003809830
実施例3および比較例5
プラズマディスプレイパネル(富士通社製、PDS4211J−H)の前面パネルを外し、実施例1、2および比較例1〜4で得られた近赤外線吸収フィルターを粘着層(D)を介して貼着し、機能の評価を実施した。実施例1および2で得られた近赤外線吸収フィルターは、以下の効果が確認できた。
(1)表面の反射防止性が付与されているので、外光反射が抑えられ室内照明に用いた蛍光灯の写り込みが減少した。
(2)表面硬度が高いので傷が付き難い。
(3)防汚性が付与されているので、手で触れて指紋がついても拭き取りで簡単に消すことができる。
(4)ネオンカットの色調改善がされているので色再現性が向上した。具体的には、オレンジ色の入った赤が純赤に、緑がかった青が鮮やかな青に、黄ばんだ感じの白が純白になる。
(5)近赤外線吸収効果が付与されているので、周辺に設置される赤外線リモートコントロール装置に対する妨害を防止できた。
(6)耐候性や経時安定性が優れているので、長期使用をしても(5)の機能が安定していた。
比較例1の近赤外線吸収フィルターは、近赤外線吸収層(C)の塗膜外観が劣るため、該欠点により画像の質が低下した。また、耐候性が劣るので長期使用により、周辺に設置される赤外線リモートコントロール装置に対する妨害が増加した。
比較例2の近赤外線吸収フィルターは、表面反射率が高いので、外光反射が高く室内照明に用いた蛍光灯の写り込みがあり画面の視認性が低かった。また、表面硬度が低く、防汚性が付与されていないので、傷が付き易く、かつ手で触れた時に付着した指紋の拭き取り性が劣っていた。さらに、近赤外線吸収層(C)の塗膜外観が劣るため、該欠点により画像の質が低下した。
比較例3の近赤外線吸収フィルターは、近赤外線吸収能がないので、周辺に設置される赤外線リモートコントロール装置に対する妨害が発生した。また、ネオンカット性が付与されていないので画像の色再現性が劣っていた。
比較例4の近赤外線吸収フィルターは、紫外線吸収剤が近赤外線吸収色素の配合された近赤外線吸収層(C)よりプラズマディスプレイパネル側に複合されているため、外光に対する耐候性向上効果が発現されないので、比較例1の近赤外線吸収フィルターと同様に長期使用により、周辺に設置される赤外線リモートコントロール装置に対する妨害が増加した。また、近赤外線吸収層(C)の塗膜外観が劣るため、該欠点により画像の質が低下した。
また、比較例1、2および4の近赤外線吸収フィルターは基材フィルム(C)と機能性発現層との界面の接着性に劣るので、長期使用により界面の部分剥離が発生し、画像の質が低下した。
また、本発明の近赤外線吸収フィルターは、厚みが薄く、かつ粘着層が複合されているので、プラズマディスプレイパネル表面をイソプロピルアルコールで湿らせた状態で、該フィルターの貼着を行うと気泡の混入を抑えて綺麗に貼着することができた。
実施例4
実施例1、2および比較例1〜4で得られた近赤外線吸収フィルターを、粘着層(D)を介して線径0.03mmの繊維を、1インチ当たり135本の密度で縦横に編んだメッシュを無電解メッキ法でニッケルおよび銅をメッキした導電メッシュに貼着した。プラズマディスプレイパネル(PDS4211J−H、富士通社製)の前面パネルを外し、上記複合体を接着剤で貼着し、機能の評価を実施した。実施例3で確認した効果に加え、電磁波遮断効果が発現された。
実施例5
実施例1および2において、粘着層(D)を積層する前の、表面層(A)/基材フィルム(B)/近赤外線吸収層(C)よりなる積層体よりなる近赤外線吸収フィルターを、光学用の粘着剤で近赤外線吸収層(C)側をプラズマディスプレイパネル側としてプラズマディスプレイパネルに貼着して評価をし、実施例3と同様の結果を得た。
本発明の近赤外線吸収フィルターは、その構成が単純化されたものであるにも係らず、光学特性に優れ、かつその耐久性、特に外光に含まれる紫外線による近赤外線吸収色素の劣化を抑制する効果が優れており、さらに薄膜化により、被貼着体に対する貼着の作業性が改善されており、プラズマディスプレイなどの映像出力装置または照明器具などから発生される近赤外線を吸収することで近赤外線の浸入を遮断し、当該近赤外線領域の光を通信に使用するリモコン/赤外線通信ポートの誤動作を防ぎ、ひいては、これらの遠隔操作機器で制御する機器の誤動作を防ぐ事ができ、またキャッシュカードIDカード等の偽造防止に利用することもできる等の幅広い用途分野に利用することができ、産業界に寄与することが大である。

Claims (11)

  1. 近赤外線吸収フィルターであって、
    紫外線吸収剤を含有した基材フィルム(B)の片面に反射防止機能を有する表面層(A)と、
    その反対面に波長800〜1000nmの近赤外線吸収領域に極大吸収を有する色素と、HLBが2以上12以下の界面活性剤とを含有する近赤外線吸収層(C)を積層してなり、
    上記近赤外線吸収層(C)をプラズマディスプレイパネル側とすることを特徴とする近赤外線吸収フィルター。
  2. 上記近赤外線吸収層(C)の表面に透明粘着剤よりなる粘着層(D)を積層してなることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線吸収フィルター。
  3. 上記(A)〜(D)よりなる積層体の総厚みが0.05〜0.2mmであることを特徴とする請求項2に記載の近赤外線吸収フィルター。
  4. 上記反射防止機能を有する表面層(A)の鉛筆硬度が1H以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の近赤外線吸収フィルター。
  5. 上記(A)〜(D)層のいずれかの層に、可視光領域に吸収を有する色素を少なくとも1種を含有させ色調補正をすることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の近赤外線吸収フィルター。
  6. 上記基材フィルム(B)の両面に易接着層が積層されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の近赤外線吸収フィルター。
  7. 上記近赤外線吸収層(C)が少なくとも波長800〜1000nmの近赤外線領域に吸収を有する色素、透明性樹脂およびHLBが2以上12以下の界面活性剤を含む溶液を用いて塗布法により形成されてなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の近赤外線吸収フィルター。
  8. 上記紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、環状イミノエステル系紫外線吸収剤、及び、高分子タイプの紫外線吸収剤よりなる群から選ばれる1種以上の化合物を含み、380nm以下の波長における光線透過率が10%以下である請求項1〜のいずれかに記載の近赤外線吸収フィルター。
  9. 上記(A)〜(C)よりなる積層体を近赤外線吸収層(C)を電磁波吸収機能を有した透光性シート側として電磁波吸収機能を有した透光性シートとを積層することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の近赤外線吸収フィルター。
  10. 上記(A)〜(C)よりなる積層体を粘着層(D)を介してプラズマディスプレイパネル表面に貼着することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の近赤外線吸収フィルター。
  11. 上記(A)〜(C)よりなる積層体を粘着層(D)を介して電磁波吸収機能を有した透光性シートに積層することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の近赤外線吸収フィルター。
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