JP6135134B2 - 光学積層体及び画像表示装置 - Google Patents
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これらの機能層の基材としては、透明性や硬度性に優れるアクリル樹脂等が使用されている。しかし、このような機能層の基材は、絶縁特性が高いため帯電しやすく、埃等の付着による汚れが生じ、使用する場合のみならずディスプレイ製造工程においても、帯電してしまうことにより障害が発生するといった問題があった。
帯電防止層に添加する帯電防止剤の帯電防止機能を発現するタイプとしては、従来、電子がソリトンやポーラロンといったキャリアを介して移動する電子伝導タイプと、イオン自体が系内を移動するイオン伝導タイプの2種類に分類される。
電子伝導タイプの帯電防止剤としては、例えば、各種金属酸化物や導電性ポリマー等が知られており、一方、イオン伝導タイプの帯電防止剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩や、リチウム塩等が知られている。
なかでも、帯電防止層に添加する帯電防止剤としては、カチオン界面活性剤である第4級アンモニウム塩が好ましく用いられていた。
また、帯電防止層に添加する帯電防止剤として、導電性ポリマーや導電性微粒子を用いることも従来から知られているが、このような帯電防止剤を用いてなる帯電防止層を備えた光学積層体も、耐久性試験により表面抵抗値が悪化するという問題があった。
しかしながら、セルロースエステルフィルムは、コスト的には不利な素材であり、また、耐湿、耐熱性が充分でなく、光学積層体を偏光板保護フィルムとして高温多湿の環境下で使用すると、偏光機能や色相等の偏光板機能を低下させるという欠点があった。
このようなポリエステルフィルム等の面内に複屈折率を有する光透過性基材を用いた光学積層体を画像表示装置の表面に設置した場合、該画像表示装置の表示画面を、偏光特性を有するサングラスをかけた状態で視認すると、色の異なるムラ(以下、「ニジムラ」ともいう)が生じてしまうという問題があった。
また、このような面内に複屈折率を有する光透過性基材を用いた光学積層体を設置した画像表示装置が、スマートフォンやタブレット端末のような場合、偏光特性を有するサングラスをかけた状態で視認しつつ、該画像表示装置を表示画面の外周方向に回転させた場合、表示画像に色味変化が生じるという問題もあった。
また、上記樹脂成分は、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ナイロン、ポリスチレン及びABS樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、上記導電性微粒子は、アンチモン錫酸化物(ATO)であり、樹脂成分は、ポリメチルメタクリレートであり、溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルであることが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光学積層体において、上記帯電防止層は、導電性微粒子と樹脂成分と溶剤とを含有する帯電防止層用組成物を用いて形成されたものである。すなわち、本発明の光学積層体において、上記帯電防止層は、層中にモノマー成分を含有するものではない。
ここで、上記モノマー成分とは、光学積層体の耐久性試験、例えば、80℃の高温試験、カーボンアークのフェードメーター、キセノンランプを用いたキセノンウェザーメーターを用いた耐久性試験を行った時に反応し、帯電防止層に硬化収縮を起こさせる成分を意味する。
本発明の光学積層体は、このようなモノマー成分を帯電防止層に含有しないため、耐久性試験後に帯電防止層に硬化収縮が起きず、耐久性試験の前後において表面抵抗値が変化しない安定したものとなる。
具体的には、本発明の光学積層体は、80℃環境で500時間保持する耐久性試験(1)及びキセノンアークを300時間照射する耐久性試験(2)の前後における表面抵抗値の変化率{(試験後の表面抵抗値)/(試験前の表面抵抗値)}が、いずれも0.5〜2.0であることが好ましい。
0.5未満であると、耐久性試験後における本発明の光学積層体の表面抵抗値が低く、導電性が高くなるため、本発明の光学積層体を静電容量方式のタッチパネルに用いた場合、指で触れた際の表面の電荷が拡散してしまい、センサーが感知できずタッチセンサーが作動しないことがある。一方、2.0を超えると、耐久性試験後における本発明の光学積層体の表面抵抗値が高く、導電性が低下するため、本発明の光学積層体を静電容量方式のタッチパネルに用いた場合、指で触れた際の表面の電荷を充分に拡散できず、一時的に高い電荷が集中してしまい、結果として、液晶分子に影響を及ぼし、表示画面が白濁する現象が発生する恐れがある。
なお、本発明の光学積層体において、上記帯電防止層がモノマー成分を含有しないとは、該帯電防止層中にモノマー成分を全く含有しない場合のほか、耐久性試験後において表面抵抗値の差が上記範囲内に収まる範囲で含まれている場合も含む意味である。
更に、上記帯電防止層は、紫外線によって分解等してしまう樹脂を含有しないことが好ましい。上記紫外線によって分解等してしまう樹脂としては、例えば、分極の大きい官能基を有する樹脂や、主鎖に不飽和結合を有する樹脂等が挙げられる。
このような導電性微粒子としては特に限定されず、例えば、金属微粒子、金属酸化物微粒子、カーボンナノチューブ、コーティング微粒子等、従来公知の材料を用いることができる。なかでも、耐光性、耐熱性、環境依存性が良好なことから、金属酸化物微粒子が好適に用いられる。
また、上記金属酸化物微粒子を構成する金属酸化物としては特に限定されず、例えば、酸化錫(SnO2)、酸化アンチモン(Sb2O5)、アンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、フッ素化酸化スズ(FTO)、ZnO等が挙げられる。
ここで、本発明における「金属酸化物」とは、異種金属がドープされた金属酸化物をも含む概念である。
上記コア微粒子としては特に限定されず、例えば、シリカ微粒子、ガラス微粒子等の無機微粒子;フッ素樹脂微粒子、アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等のポリマー微粒子;有機質無機質複合体粒子等の微粒子が挙げられる。また、上記導電性被覆層を構成する材料としては特に限定されず、例えば、上述した金属又はこれらの合金や、上述した金属酸化物等が挙げられる。
なお、上記導電性微粒子の平均粒子径とは、上記帯電防止層を形成するための帯電防止層用組成物中においては、日機装社製のMICROTRAC粒度分析計を用いて測定した値を意味し、上記帯電防止増においては、該帯電防止層断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真や走査透過電子顕微鏡(STEM)写真により観察される導電性微粒子の10個の粒子径の平均値を意味する。
また、上記帯電防止層において隣接する鎖状又は針状の導電性微粒子の接触が生じやすく、少量の添加量で充分な導電性能を有する帯電防止層とすることもできる。
ここで、上記帯電防止層中の導電性微粒子が単粒子状であると、帯電防止層中で隣接する導電性微粒子同士の接触が取りづらく、充分な帯電防止性能を発揮させるためには添加量を多くする必要がある。その結果、上記帯電防止層と他の層との密着性の低下、及び、導電性の経時変化での影響を受ける確率が上がるといった問題が生じることがある。
なお、上記鎖状又は針状とは、2個以上の上記導電性微粒子が直線状又は分岐状で連結された形態を意味する。
以下、鎖状又は針状の導電性微粒子を、「鎖状導電性微粒子」と称して説明する。
上記導電性微粒子の連結個数が2個未満であると、表面抵抗値を有効に低下させることができないことがあり、上記導電性微粒子の連結個数が50個を超えると、帯電防止層の光透過率が低下し、ヘイズが上昇してしまうことがある。
上記鎖状導電性微粒子を構成する導電性微粒子の連結数のより好ましい下限は3個、より好ましい上限は30個である。
なお、「鎖状導電性微粒子の平均長さ」とは、帯電防止層断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真や走査透過電子顕微鏡(STEM)写真により観察される鎖状導電性微粒子の10個の長さの平均値を意味する。
具体的には、例えば、導電性微粒子が2個以上連結している鎖状導電性微粒子の1個の大きさが確認できる倍率(例えば20万倍以上)で撮影した、帯電防止層断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真等において、鎖状導電性微粒子10個選択し、選んだ鎖状導電性微粒子の最も長い部分の長さをそれぞれ測定し、その平均値を求めることにより、帯電防止層中における鎖状導電性微粒子の平均長さを求めることができる。
なお、鎖状導電性微粒子は、曲線状など多様な形状で存在しているが、その長さ測定においては、最も離れた2点間の長さを測定する。
まず、金属塩又は金属アルコキシドが0.1〜5質量%の濃度で含まれるアルコール溶液を加熱して、該金属塩又は金属アルコキシドを加水分解させ、平均一次粒子径が1〜100nmの導電性微粒子のゲル分散液を調製する。
このとき必要に応じて温水やアルカリを加えてもよい。
次いで、得られたゲル分散液を濾別、洗浄し、空気中、200〜800℃の温度で焼成して導電性微粒子(金属酸化物微粒子)を調製する。
次いで、この焼成した導電性微粒子の粉末を、酸性又はアルカリ性の水、及び、アルコール溶媒の少なくとも一方に分散させて濃度10〜50質量%の分散液とし、必要に応じて有機安定剤の存在下でこの分散液をメカニカル分散処理する。
なお、上記有機安定剤として具体的には、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、クエン酸等の多価カルボン酸及びその塩、複素環化合物あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
このメカニカル分散処理によって、生成ゲルが解膠し、鎖状導電性微粒子が分散したゾルが得られる。
上記メカニカル分散処理としては、例えば、サンドミル法、衝撃分散法等が挙げられ、特に、衝撃分散法が好ましく使用される。
こうして得られた鎖状導電性微粒子は、通常、遠心分離等の方法によって生成後の分散液から取り出され、必要に応じて酸等で洗浄される。
また、得られた鎖状導電性微粒子を含む分散液は、そのまま帯電防止層の形成に使用することもできる。
上記帯電防止層がバインダー成分として、ポリマーである樹脂成分を含有することで、本発明の光学積層体は、耐久性試験後において帯電防止層に硬化収縮が起きず、表面抵抗値が変化しない安定したものとなる。
このため、上記樹脂成分としては、分子中に反応性官能基を有さないものである。上記樹脂成分が分子中に反応性官能基を有さないことにより、該樹脂成分の二次的な反応が無く、帯電防止層用組成物を塗布及び乾燥した後に形成される帯電防止層の性能を維持することができる。上記樹脂成分が分子中に反応性基を有するものである場合、帯電防止層用組成物を塗布及び乾燥した後に形成される帯電防止層中で、暗反応により徐々に上記樹脂成分が反応を進めてしまうことがあり、長期的に徐々に上記樹脂成分の反応が進むと、該反応により樹脂成分の結合が生じることとなり、樹脂成分が形成していた物理的距離が収縮することがある。その結果として帯電防止層中での導電性微粒子の物理的距離も縮まってしまい、導電パスを増大させ帯電防止層の導電性が向上し抵抗値が下がってしまうという問題が生じる。
また、上記樹脂成分が分子中に反応性官能基を有すると、耐久性試験により該反応性官能基が反応して帯電防止層に硬化収縮が生じ、表面抵抗値が変化してしまう。
なお、上記反応性官能基としては、耐久性試験において反応することがある官能基を意味し、例えば、アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を有する官能基、エポキシ環、オキセタン環等の環状エーテル基、ラクトン環等の開環重合基、ウレタンを形成するイソシアネート基等が挙げられる。
なお、これらの反応性官能基は、上記樹脂成分中に全く含まれないことが好ましいが、耐久性試験後において、帯電防止層に硬化収縮を起こさせない程度であれば含まれていてもよい。
上記帯電防止層に硬化収縮を起こさせない程度とは、耐久性試験後における表面抵抗率の変化率が上述した範囲にある場合を意味する。
このような樹脂成分を含有する帯電防止層用組成物を用いてなる帯電防止層は、導電性微粒子の分散性に優れるとともに、経時での表面抵抗値の安定性に優れたものとなる。
なお、本明細書において、「溶解性を有する」とは、上記樹脂成分を後述する溶剤に溶解させた樹脂溶液において、ゲル成分を生じることがなく、かつ、当該樹脂溶液における溶剤比率の増大に応じて粘度が低下する特性を有することを意味する。
また、「相溶性を有する」とは、上記樹脂溶液と上記導電性微粒子とを混合した帯電防止層用組成物において、樹脂成分100質量部に対して、上記導電性微粒子が少なくとも100〜300質量部の範囲において任意の比率で混合しても、ゲル化物を生ずることなく均一分散しており、上記帯電防止層用組成物をムラなく塗工して塗膜を形成することができ、該塗膜を乾燥させてなる帯電防止層にヘイズの上昇等の外観悪化が生じないことを意味する。
上記側鎖を有する樹脂成分は、該側鎖が立体障害となって帯電防止層中で動き難くなり、本発明の光学積層体をより好適に表面抵抗値の安定性に優れたものとすることができる。
なお、上記重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算により求めることができる。GPC移動相の溶剤には、テトラヒドロフランやクロロホルムを使用することができる。測定用カラムは、テトラヒドロフラン用又はクロロホルム用のカラムの市販品カラムを組み合わせて使用するとよい。上記市販品カラムとしては、例えば、Shodex GPC KF−801、GPC KF−802、GPC KF−803、GPC KF−804、GPC KF−805、GPC KF−800D(いずれも、商品名、昭和電工社製)等を挙げることができる。検出器には、RI(示差屈折率)検出器及びUV検出器を使用するとよい。このような溶剤、カラム、検出器を使用して、例えば、Shodex GPC−101(昭和電工社製)等のGPCシステムにより、上記重量平均分子量を適宜測定することができる。
上記アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
また、上記セルロース系樹脂としては、例えば、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)等が挙げられる。
また、上記ウレタン系樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂等が挙げられる。
また、上記塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
また、上記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
また、上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
本発明の光学積層体における上記樹脂成分としては、熱可塑性樹脂であることが好ましく、なかでも、上記導電性微粒子のブリードアウトを防止しやすく、相溶性に優れることから、ポリメチルメタクリレートが好適に用いられる。
なお、上記帯電防止層の厚みは、帯電防止層断面を電子顕微鏡(例えば、SEM、TEM、STEM等)を用いて観測し、測定した値である。
一方、上記樹脂成分がポリメチルメタクリレートである場合、該ポリメチルメタクリレートは、一般的にアルコールに不溶もしくは溶けにくく、水酸基が無く、極性基の少ない溶剤には溶けやすい傾向がある。具体的には、上記ポリメチルメタクリレートは、ケトン類、脂肪族、炭化水素類、脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類、エステル類に溶けやすい傾向がある。よって、これらの溶剤を選択することで、ポリメチルメタクリレート溶液を調製することができ、該溶液を用いることで、上記帯電防止層用組成物の調製を容易にすることができる。
上記帯電防止層用組成物では、上記導電性微粒子(鎖状導電性微粒子)と樹脂成分(ポリメチルメタクリレート)とを安定に存在させる必要がある。すなわち、上記溶剤として、極性基が少ない溶剤を多く加えすぎると、上記鎖状導電性微粒子が安定に存在できなくなり、凝集、ゲル化、沈降等の問題が発生する。一方で、アルコール等の極性の高い溶剤を多く加えすぎると、樹脂成分であるポリメチルメタクリレートが安定に存在できなくなり、析出、ゲル化等の問題が発生する。この結果として、上記帯電防止層用組成物として用いることができず、本発明の目的を達成することができなくなる。
このため、上記帯電防止層用組成物は、上記樹脂成分としてポリメチルメタクリレートを用いる場合、例えば、上記溶剤としてメチルイソブチルケトンを用い、上記鎖状導電性微粒子を含有するアルコール分散液と混合する際に、上記ポリメチルメタクリレートと鎖状導電性微粒子とを更に安定的に存在させるため、溶剤としてメチルイソブチルケトンとアルコールとの中間的性質を持ち、かつ、蒸発速度が遅いグリコールエステル類を追加で混合させることが好ましい。なかでも、プロピレングリコールモノメチルエーテルを追加で混合させることがより好ましい。これにより、上記帯電防止層用組成物の乾燥中であっても蒸発速度の遅いプロピレングリコールモノメチルエーテルが最後に残り、ポリメチルメタクリレートのゲル化や鎖状導電性微粒子の凝集等、乾燥中に悪影響を及ぼすことが無くなり、得られる帯電防止層が安定的に目的とする耐久性能を得ることができる。
上記塗布の方法としては特に限定されず、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の公知の方法を挙げることができる。
上記面内に複屈折率を有する光透過性基材としては特に限定されず、例えば、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、アクリル、ポリエステル等からなる基材が挙げられるが、なかでも、コスト及び機械的強度において有利なポリエステル基材であることが好適である。なお、以下の説明では、面内に複屈折率を有する光透過性基材をポリエステル基材として説明する。
上記ポリエステル基材のリタデーションは、薄膜化の観点から、6500〜25000nmであることが好ましい。より好ましい範囲は、9000〜2万nmである。
リタデーション(Re)=(nx−ny)×d
また、上記リタデーションは、例えば、王子計測機器社製KOBRA−WRによって測定(測定角0°、測定波長589.3nm)することができる。
また、二枚の偏光板を用いて、フィルムの配向軸方向(主軸の方向)を求め、配向軸方向に対して直交する二つの軸の屈折率(nx,ny)を、アッベ屈折率計(アタゴ社製 NAR−4T)によって求める。ここで、より大きい屈折率を示す軸を遅相軸と定義する。フィルム厚みd(nm)は、電気マイクロメータ(アンリツ社製)を用いて測定し、単位をnmに換算する。屈折率差(nx−ny)と、フィルムの厚みd(nm)の積より、リタデーションを計算することもできる。
なお、屈折率は、アッベ屈折率計や、エリプソメーターを用いて測定することもできるし、分光光度計(島津製作所社製 UV−3100PC)を用いて、波長380〜780nmの平均反射率(R)を測定し、得られた平均反射率(R)から、以下の式を用い、屈折率(n)の値を求めてもよい。
帯電防止層を含む光学機能層の平均反射率(R)は、易接着処理のない50μmPET上にそれぞれの原料組成物を塗布し、1〜3μmの厚さの硬化膜にし、PETの塗布しなかった面(裏面)に、裏面反射を防止するために測定スポット面積よりも大きな幅の黒ビニールテープ(例えば、ヤマトビニールテープNO200−38−21 38mm幅)を貼ってから各硬化膜の平均反射率を測定した。ポリエステル基材の屈折率は、測定面とは反対面に同様に黒ビニールテープを貼ってから測定を行った。
R(%)=(1−n)2/(1+n)2
また、光学積層体となった後に光学機能層の屈折率を測定する方法としては、各層の硬化膜をカッターなどで削り取り、粉状態のサンプルを作製し、JIS K7142(2008)B法(粉体又は粒状の透明材料用)に従ったベッケ法を用いることができる。なお、上記ベッケ法とは、屈折率が既知のカーギル試薬を用い、上記粉状態のサンプルをスライドガラスなどに置き、そのサンプル上に試薬を滴下し、試薬でサンプルを浸漬する。その様子を顕微鏡観察によって観察し、サンプルと試薬の屈折率が異なることによってサンプル輪郭に生じる輝線;ベッケ線が目視で観察できなくなる試薬の屈折率を、サンプルの屈折率とする方法である。
ポリエステル基材の場合は、方向によって屈折率が異なるので、ベッケ法ではなく、光学機能層の処理面に上記黒ビニールテープを貼ることで、平均反射率を測定し求めることができる。
上記Δnのより好ましい下限は0.07、より好ましい上限は0.20である。Δnが0.07よりも小さいと、上述した充分なニジムラ及び色味変化の抑制効果を得にくくなるためである。なお、上記Δnが0.20を超えると、耐湿熱性試験でのポリエステル基材の耐久性が劣ることがある。耐湿熱性試験での耐久性が優れることから、上記Δnの更に好ましい上限は0.15である。
なお、上記(nx)としては、1.66〜1.78であることが好ましく、より好ましい下限は1.68、より好ましい上限は1.73である。また、上記(ny)としては、1.55〜1.65であることが好ましく、より好ましい下限は1.57、より好ましい上限は1.62である。
上記nx及びnyが上記範囲にあり、かつ、上述したΔnの関係を満たすことで、好適なニジムラ及び色味変化の抑制効果を得ることができる。
なお、上記PEN基材である場合の(nx)としては、1.70〜1.90であることが好ましく、より好ましい下限は1.72、より好ましい上限は1.88である。また、上記PEN基材である場合の(ny)としては、1.55〜1.75であることが好ましく、より好ましい下限は1.57、より好ましい上限は1.73である。
上記nx及びnyが上記範囲にあり、かつ、上述したΔnの関係を満たすことで、上記PEN基材を用いて好適なニジムラ及び色味変化の抑制効果を得ることができる。
なお、本発明の光学積層体は、画像表示装置に設置した際、偏光サングラス越しに表示画面を観察しても色味変化が抑制されるが、具体的には、以下の方法で測定した色差Δu’v’が、0.03以下であることが好ましく、より好ましい上限は0.01である。
すなわち、まず、液晶表示装置等の画像表示装置の偏光板の吸収軸に対して、本発明の光学積層体を、光透過性基材の遅相軸が45°となるように設置する。
次に、偏光サングラスの吸収軸と上記偏光板の吸収軸とのなす角度が0°(パラレルニコル)となるときと90°(クロスニコル)となるときの正面色味を、輝度計にて測定し、色差Δu’v’を算出する。
また、ポリエステル基材に用いられるポリエステルは、これらのポリエステルの共重合体であってもよく、上記ポリエステルを主体(例えば80モル%以上の成分)とし、少割合(例えば20モル%以下)の他の種類の樹脂とブレンドしたものであってもよい。上記ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートが力学的物性や光学物性等のバランスが良いので特に好ましい。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなることが好ましい。ポリエチレンテレフタレートは汎用性が高く、入手が容易であるからである。本発明においてはPETのような、汎用性が極めて高いフィルムであっても、表示品質の高い液晶表示装置を作製することが可能な、光学積層体を得ることができる。更に、PETは、透明性、熱又は機械的特性に優れ、延伸加工によりリタデーションの制御が可能であり、固有複屈折が大きく、膜厚が薄くても比較的容易に大きなリタデーションが得られる。
また、本発明において、上記ポリエステル基材に用いられるポリエステルとしては、ポリエチレンナフタレート(PEN)も好適に用いられる。これは、PENは、上記PETと比較してΔnが大きな材料であるため、PENを原料としてなるポリエステル基材は、上記PETを用いてなるポリエステル基材と比較して、厚みを約半分としてもニジムラの発生を好適に防止することができる。このため、PEN基材と帯電防止層とを有する本発明の光学積層体は、近年薄膜化の進んでいるモバイル用途、特に偏光子の保護フィルムとして好適なものとなる。
上記横延伸温度としては、80〜130℃が好ましく、より好ましくは90〜120℃である。また、横延伸倍率は2.5〜6.0倍が好ましく、より好ましくは3.0〜5.5倍である。上記横延伸倍率が6.0倍を超えると、得られるポリエステル基材の透明性が低下しやすくなり、横延伸倍率が2.5倍未満であると、延伸張力も小さくなるため、得られるポリエステル基材の複屈折が小さくなり、リタデーションを5000nm以上とできないことがある。
また、本発明においては、二軸延伸試験装置を用いて、上記未延伸ポリエステルの横延伸を上記条件で行った後、該横延伸に対する流れ方向の延伸(以下、縦延伸ともいう)を行ってもよい。この場合、上記縦延伸は、延伸倍率が2倍以下であることが好ましい。上記縦延伸の延伸倍率が2倍を超えると、Δnの値を上述した好ましい範囲にできないことがある。
また、上記熱処理時の処理温度はしては、100〜250℃が好ましく、より好ましくは180〜245℃である。
ただし、上記ポリエステル基材がポリエチレンナフタレート(PEN)基材の場合、その厚みとしては、10〜400μmの範囲内であることが好ましい。10μm未満であると、上記PEN基材のリタデーションを5000nm以上にできず、また、力学特性の異方性が顕著となり、裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下することがある。一方、400μmを超えると、PEN基材が非常に剛直であり、高分子フィルム特有のしなやかさが低下し、やはり工業材料としての実用性が低下するので好ましくない。上記PEN基材の厚さのより好ましい下限は15μm、より好ましい上限は250μmであり、更に好ましい上限は150μmである。本発明の光学積層体の薄膜化の観点から、上記PEN基材の厚みのより好ましい範囲は、20〜50μmである。
上記プライマー層は、ポリエステル基材と帯電防止層の密着性向上を第一目的として設ける層である。その他の目的としては、屈折率を調整し、干渉縞を低減させることもできる。
上記プライマー層の材料としては特に限定されず、例えば、従来公知のものを適宜選択して用いてよいが、具体的には、熱硬化性又は熱可塑性のポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、及び、これらの変性体等が挙げられる。また、上記プライマー層の屈折率を調整するために、高屈折率微粒子、キレート化合物等を添加することができる。
上記多価塩基成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を例示することができる。
上記モノマーとしては、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等);2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等のカルボキシ基又はその塩を有するモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、N−アルコキシアクリルアミド、N−アルコキシメタクリルアミド、N,N−ジアルコキシアクリルアミド、N,N−ジアルコキシメタクリルアミド(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド等のアミド基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物のモノマー;2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有モノマー;メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アルキルイタコン酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエンである。
上記ポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールのようなポリエーテル、ポリエチレンアジペート、ポリエチレン−ブチレンアジペート、ポリカプロラクトン等を含むグリコールとジカルボン酸との脱水反応により製造されるポリエステル、カーボネート結合を有するポリカーボネート、アクリル系ポリオール、ひまし油等が挙げられる。
上記金属酸化物微粒子としては、具体的には、例えば、酸化チタン(TiO2、屈折率:2.71)、酸化ジルコニウム(ZrO2、屈折率:2.10)、酸化セリウム(CeO2、屈折率:2.20)、酸化錫(SnO2、屈折率:2.00)、アンチモン錫酸化物(ATO、屈折率:1.75〜1.95)、インジウム錫酸化物(ITO、屈折率:1.95〜2.00)、燐錫化合物(PTO、屈折率:1.75〜1.85)、酸化アンチモン(Sb2O5、屈折率:2.04)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO、屈折率:1.90〜2.00)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO、屈折率:1.90〜2.00)及びアンチモン酸亜鉛(ZnSb2O6、屈折率:1.90〜2.00)等が挙げられる。
上記高屈折率微粒子は、平均一次粒子径が5〜100nmであることが好ましい。平均一次粒子径が100nmを超えると、上記プライマー層に光学散乱が発生し、透明性が悪くなることがあり、5nm未満であると微粒子同士の凝集が多くなり、二次粒子径が大きくなって光学散乱が発生し、上記プライマー層の透明性が悪くなることがある。
これらの高屈折率微粒子の屈折率は、例えば、屈折率がわかっている熱可塑性の樹脂と、質量を測定した金属酸化物とを混合した後、適当な厚さの透明なペレットに成型し、このペレットの屈折率測定を行い、上記屈折率既知の樹脂との配合比から高屈折率微粒子の屈折率を算出できる。上記屈折率測定は、例えば、JIS K7142(2008)A法に従ったベッケ法によりアッベ屈折計により求めることができ、例えば、アタゴ社製DR−M4を用いることができる。なお、屈折率を測定する波長は589nmとする。
また、上記平均1次粒子径は、TEM、STEM等の透過型電子顕微鏡観察による画像解析によって粒子20個分の粒径の平均値として求めることができる。
上記水溶性のチタンキレート化合物としては、例えば、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、イソプロポキシ(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、ジイソプロポキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、ヒドロキシビス(ラクタト)チタン、ヒドロキシビス(ラクタト)チタンのアンモニウム塩、チタンベロキソクエン酸アンモニウム塩等が挙げられる。
また、水溶性のチタンアシレート化合物としては、例えば、オキソチタンビス(モノアンモニウムオキサレート)等が挙げられる。
また、水溶性のジルコニウム化合物としては、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムアセテート等が挙げられる。
なお、上記プライマー層の厚みは、例えば、上記プライマー層の断面を、電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察することにより、任意の10点を測定して得られた平均値(nm)である。非常に薄い厚みの場合は、高倍率観察したものを写真として記録し、更に拡大することで測定する。拡大した場合、層界面ラインが、境界線として明確に分かる程度に非常に細い線であったものが、太い線になる。その場合は、太い線幅を2等分した中心部分を境界線として測定する。
上記混合分散は、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー等の公知の装置を使用して行うとよい。
上記有機溶媒としては、例えば、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ヘプタノン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル)等が挙げられる。
ここで、結晶配向が完了する前のポリエステル基材とは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向又は横方向の何れか一方に配向せしめた一軸配向フィルム、更には縦方向及び横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたもの(最終的に縦方向又は横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)等を含むものである。なかでも、未延伸フィルム又は一方向に配向せしめた一軸延伸フィルムに、上記プライマー層用組成物の水性塗液を塗布し、そのまま縦延伸及び/又は横延伸と熱固定とを施すのが好ましい。
上記プライマー層用組成物をポリエステル基材に塗布する際には、塗布性を向上させるための予備処理としてポリエステル基材表面にコロナ表面処理、火炎処理、プラズマ処理等の物理処理を施すか、あるいはプライマー層用組成物と共にこれと化学的に不活性な界面活性剤を併用することが好ましい。
上記帯電防止層が上記ハードコート層と上記光透過基材との間に存在することとなり、本発明の光学積層体を、ハードコート性能に優れたものとすることができ、更に、耐久性試験後における表面抵抗値がより安定したものとすることができる。
なお、上記ハードコート層用組成物は、上記樹脂成分として、上記帯電防止層に含有される樹脂成分と同種のものと、異なる種類の樹脂成分とを含有していてもよい。ただし、この場合、上記ハードコート層用組成物における樹脂成分の主成分(すなわち、全樹脂成分における50質量%以上)が、上記帯電防止層に含有される樹脂成分と同種の樹脂成分であることが好ましい。
なお、本明細書において、モノマー成分とは、硬化性樹脂の前駆体を含むものであり、いわゆるオリゴマーも含む。
このような導通微粒子としては特に限定されず、例えば、コア微粒子の表面に導電性被覆層を形成したコーティング微粒子が好適に用いられる。
上記コーティング微粒子を構成する材料としては、例えば、上述した帯電防止層における導電性微粒子において説明したものと同様の材料が挙げられる。
なお、上記導通微粒子は、ハードコート層の厚みと同等か、超える大きさであることが好ましい。すなわち、上記導通微粒子は、ハードコート層の表面付近に存在しているか、該表面から突出していることが好ましい。上記導通微粒子がハードコート層の厚みに対して小さすぎる場合、本発明の光学積層体の表面抵抗値が高くなり、帯電防止性能が劣ることとなることがある。具体的には、上記導通微粒子の平均粒子径は、ハードコート層の厚みに対して、0.8〜1.5倍であることが好ましい。0.8倍未満であると、本発明の光学積層体の帯電防止性能が不充分となることがあり、1.5倍を超えると、上記導通微粒子がハードコート層から脱落することがある。
すなわち、上記ハードコート層中の紫外線吸収剤が、上記耐久性試験時に照射される紫外線を吸収することで、上記帯電防止層を構成する樹脂成分の紫外線による分解等の劣化反応を抑制し、帯電防止層中に含まれる導電性微粒子間の距離を維持することができ、その結果、本発明の光学積層体の耐久性が向上する。
なお、このような効果を奏するために、上記紫外線吸収剤は、上記ハードコート層の帯電防止層を保護できる位置に含有される。
このような紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−アミル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−プロピルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の2’−ヒドロキシフェニル−5−クロロベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等の2’−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等の2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等の2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サルチル酸フェニル、4−t−ブチル−フェニル−サリシレート等のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤が挙げられる。なかでも、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
その他に、ベンゾトリアゾール骨格にアクリロイル基又はメタクリロイル基を導入した反応型紫外線吸収剤等も用いられる。或いは、高い透明度を要求されない場合は、無機系紫外線吸収剤を添加することもできる。無機系紫外線吸収剤としては、粒径0.2μm以下の酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄等が用いられる。
上記光重合開始剤としては、公知のものであれば特に限定されず、例えば、アセトフェノン類(例えば、商品名イルガキュア184、BASF社製の1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、商品名イルガキュア907、BASF社製の2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モリフォリノプロパン−1−オン)、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を挙げることができる。なかでも、アセトフェノン類であることが好ましい。
上記光重合開始剤の含有量は、上記モノマー成分100質量部に対して2〜5質量部であることがより好ましい。
上記他の成分としては、熱重合開始剤、光安定化剤、架橋剤、硬化剤、重合促進剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防汚剤、スリップ剤、屈折率調整剤、分散剤、拡散剤、賦型剤及び防眩剤等を挙げることができる。これらは公知のものを使用することができる。
上記混合分散は、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー等の公知の装置を使用して行うとよい。
また、上記乾燥時間が3秒未満であると、形成するハードコート層と帯電防止層との密着性が劣ることがある。一方、上記乾燥時間が120秒を超えると、上記塗膜の乾燥に長時間を要し、製造コストが高くなることがある。
上記紫外線を照射する場合は、紫外線照射量が30mJ/cm2以上であることが好ましく、50mJ/cm2以上であることがより好ましく、80mJ/cm2以上であることが更に好ましい。
上記膜厚が3μm未満であると、上記ハードコート層の硬度が不充分となるおそれがある。一方、上記膜厚が15μmを超えると、上記ハードコート層に残留溶剤が残ったり、上記塗膜の密着性が低下したり、カールやダメージの防止性が不充分となるおそれがある。上記ハードコート層の層厚みは、下限が3〜10μmであることがより好ましい。
上記層厚みは、ハードコート層の断面を、電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察することにより測定して得られた値である。
上記全光線透過率は、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K7361に準拠した方法により測定することができる。
上記ヘイズは、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所社製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K7136に準拠した方法により測定することができる。
本発明の光学積層体は、また、本発明の効果が損なわれない範囲内で、必要に応じて他の層(防眩層、他の帯電防止層、低屈折率層、防汚層、接着剤層、他のハードコート層等)の1層又は2層以上を適宜形成することができる。なかでも、防眩層、帯電防止層、低屈折率層及び防汚層のうち少なくとも一層を有することが好ましい。これらの層は、公知の反射防止用積層体と同様のものを採用することもできる。
上記画像表示装置としては、例えば、LCD、PDP、FED、ELD(有機EL、無機EL)、CRT、タッチパネル、電子ペーパー、タブレットPC等が挙げられる。
上記バックライト光源としては特に限定されないが、白色発光ダイオード(白色LED)であることが好ましい。
上記白色LEDとは、蛍光体方式、すなわち化合物半導体を使用した青色光又は紫外光を発する発光ダイオードと蛍光体を組み合わせることにより白色を発する素子のことである。なかでも、化合物半導体を使用した青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色発光ダイオードは、連続的で幅広い発光スペクトルを有していることから反射防止性能及び明室コントラストの改善に有効であるとともに、発光効率にも優れるため、本発明における上記バックライト光源として好適である。また、消費電力の小さい白色LEDを広汎に利用可能になるので、省エネルギー化の効果も奏することが可能となる。
このため、本発明の光学積層体は、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、タッチパネル、電子ペーパー、タブレットPC等に好適に使用することができる。
なお、文中、「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り、質量基準である。
(帯電防止層の形成)
ポリエチレンテレフタレート材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。
この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率4.5倍に延伸した後、片側にポリエステル樹脂の水分散体を固形分で28.0質量部と水72.0質量部とからなるプライマー層用樹脂組成物を、ロールコーターにて均一に塗布した。
次いで、この塗布フィルムを95℃で乾燥し、先の延伸方向とは90度の方向に延伸倍率1.5倍にて延伸を行い、リタデーション=10000nm、膜厚=100μm、Δn=0.10の光透過性基材を作製した。
次いで、HRAGアクリル(25)MIBK(熱可塑性樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、固形分25%、MIBK溶液、重量平均分子量7万、ガラス転移温度100℃:DNPファインケミカル社製)をプロピレングリコールモノメチルエーテル中に溶解させ、V3560(ATO分散液:平均粒子径8nm、日揮触媒化成社製)を添加して攪拌し、最終固形分8%、熱可塑性樹脂:ATOの比率が100:200(質量比)となるよう調整し、帯電防止層用組成物を得た。
この帯電防止層用組成物を作製した光透過性基材の一方の面上に、スリットリバースコートにより、乾燥塗布厚みが0.3μmとなるように塗布して塗膜を形成した。得られた塗膜を70℃で1分間乾燥させ帯電防止層を形成した。
イルガキュア184(光重合開始剤、BASFジャパン社製)4質量部を、メチルイソブチルケトン(MIBK)/イソプロパノール(IPA)の混合溶剤中に添加して攪拌し溶解させて、最終固形分が25質量%の溶液を調製した。この溶液に、樹脂成分として、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)とHRAGアクリル(25)MIBK(熱可塑性樹脂:DNPファインケミカル社製)を樹脂成分の質量比率で70:30となるよう添加し、レベリング剤として10−301(TL)(大日精化工業社製)を樹脂成分100質量部に対して0.2質量部となるよう添加し攪拌した。この溶液にブライト分散液(導電性微粒子分散液、DNPファインケミカル社製、平均粒子径4.6μm、固形分25%)を最終組成物であるハードコート層用組成物12kgに対して100g添加して攪拌を行い、最後に紫外線吸収剤(TINUVI477:BASFジャパン社製)を樹脂100質量部に対して6質量部となるよう添加して攪拌し、総固形分25%のハードコート層用組成物を得た。
このハードコート層用組成物を先に形成した帯電防止層の上にスリットリバースコートにより、乾燥塗布量6g/m2となるように塗布して塗膜を形成した。得られた塗膜を70℃で1分間乾燥させた後、紫外線照射量80mJ/cm2で紫外線を照射して塗膜を硬化させ、厚み5μmのハードコート層を形成し光学積層体を得た。
ハードコート層用組成物における紫外線吸収剤の配合量を3質量部とした以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。
ハードコート層用組成物における紫外線吸収剤の配合量を10質量部とした以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。
ハードコート層用組成物における紫外線吸収剤の配合量を15質量部とした以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。
HRAGアクリル(25)MIBK(熱可塑性樹脂、重量平均分子量7万、ガラス転移温度100℃:DNPファインケミカル社製)に代えて、重量平均分子量5万、ガラス転移温度100℃の熱可塑性樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして帯電防止層を形成した。その後、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
HRAGアクリル(25)MIBK(熱可塑性樹脂、重量平均分子量7万、ガラス転移温度100℃:DNPファインケミカル社製)に代えて、重量平均分子量10万、ガラス転移温度100℃の熱可塑性樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして帯電防止層を形成した。その後、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
HRAGアクリル(25)MIBK(熱可塑性樹脂、重量平均分子量7万、ガラス転移温度100℃:DNPファインケミカル社製)に代えて、重量平均分子量7万、ガラス転移温度80℃の熱可塑性樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして帯電防止層を形成した。その後、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
HRAGアクリル(25)MIBK(熱可塑性樹脂、重量平均分子量7万、ガラス転移温度100℃:DNPファインケミカル社製)に代えて、重量平均分子量7万、ガラス転移温度110℃の熱可塑性樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして帯電防止層を形成した。その後、総固形分26%とした以外は実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
熱可塑性樹脂:ATOの比率が100:150(質量比)となるよう調整した以外は実施例1と同様にして帯電防止層を形成した。その後、総固形分26%とした以外は実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
熱可塑性樹脂:ATOの比率が100:250(質量比)となるよう調整した以外は実施例1と同様にして帯電防止層を形成した。その後、総固形分26%とした以外は実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
厚みを0.2μmとした以外は、実施例1と同様にして帯電防止層を形成し、その後、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
厚みを0.5μmとした以外は、実施例1と同様にして帯電防止層を形成し、その後、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
実施例1と同様にして帯電防止層を形成し、その後、厚みを4μmとした以外は、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
実施例1と同様にして帯電防止層を形成し、その後、厚みを7μmとした以外は、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムの延伸倍率を調整して、リタデーション=7200nm、膜厚=80μm、Δn=0.09の光透過性基材を得た。得られた光透過性基材を用いた以外は実施例1と同様の方法で光学積層体を得た。
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムの延伸倍率を調整して、リタデーション=5400nm、膜厚=60μm、Δn=0.09の光透過性基材を得た。得られた光透過性基材を用いた以外は、実施例1と同様の方法で光学積層体を得た。
光透過性基材の材料として、ポリエチレンナフタレート材料を用いた以外は、実施例1と同様にして、未延伸フィルムを作製した。得られた未延伸フィルムの延伸倍率を調整して、リタデーション=10100nm、膜厚=48μm、Δn=0.21の光透過性基材を得た。得られた光透過性基材を用いた以外は、実施例1と同様の方法で光学積層体を得た。
光透過性基材の材料として、ポリエチレンナフタレート材料を用いた以外は、実施例1と同様にして、未延伸フィルムを作製した。得られた未延伸フィルムの延伸倍率を調整して、リタデーション=5500nm、膜厚=26μm、Δn=0.21の光透過性基材を得た。得られた光透過性基材を用いた以外は、実施例1と同様の方法で光学積層体を得た。
イルガキュア184(光重合開始剤、BASFジャパン社製)4質量部を、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)中に添加して攪拌し溶解させて、最終固形分が25質量%の溶液を調製した。この溶液に、樹脂成分として、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を添加し攪拌した。この溶液に硬化後のPETA:ATOが100:200となるようにATOを添加して攪拌し、総固形分25%の帯電防止層用組成物を得た。
この帯電防止層用組成物を実施例1と同様にして作製した光透過性基材にスリットリバースコートにより、乾燥塗布厚みが0.3μmとなるように塗布した。得られた塗膜を70℃で1分間乾燥させた後、紫外線照射量80mJ/cm2で紫外線を照射して塗膜を硬化させて帯電防止層を形成した。
その後、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
PETAに代えて、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)を用いた以外は比較例1と同様にして帯電防止層を形成した。その後、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
PETAに代えて、1,6−ヘキサンジオール(HDDA)を用いた以外は比較例1と同様にして帯電防止層を形成した。その後、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
HRAGアクリル(25)MIBK(熱可塑性樹脂、重量平均分子量7万、ガラス転移温度100℃:DNPファインケミカル社製)に代えて、ウレタンアクリレート(BS577、荒川化学社製)を用いた以外は実施例1と同様にして帯電防止層を形成した。その後、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
PETAに代えて、HRAGアクリル(25)MIBKとPETAとを樹脂比率1:1(質量比)で混合した樹脂を用いた以外は比較例1と同様にして帯電防止層を形成した。その後、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムの延伸倍率を調整して、リタデーション=4000nm、膜厚=40μm、Δn=0.10の光透過性基材を得た。得られた光透過性基材を用いた以外は、実施例1と同様の方法で光学積層体を作製した。
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムの延伸倍率を調整して、リタデーション=2700nm、膜厚=30μm、Δn=0.09の光透過性基材を得た。得られた光透過性基材を用いた以外は、実施例1と同様の方法で光学積層体を作製した。
実施例1と同様にして帯電防止層を形成した。その後、紫外線吸収剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
実施例1と同様にして帯電防止層を形成した。その後、紫外線吸収剤の配合量を16質量部とした以外は、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
HRAGアクリル(25)MIBK(熱可塑性樹脂、重量平均分子量7万、ガラス転移温度100℃:DNPファインケミカル社製)に代えて、重量平均分子量1万、ガラス転移温度110℃の熱可塑性樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして帯電防止層を形成した。その後、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
HRAGアクリル(25)MIBK(熱可塑性樹脂、重量平均分子量7万、ガラス転移温度100℃:DNPファインケミカル社製)に代えて、重量平均分子量7万、ガラス転移温度70℃の熱可塑性樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして帯電防止層を形成した。その後、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
熱可塑性樹脂:ATOの比率が100:50(質量比)となるよう調整した以外は実施例1と同様にして帯電防止層を形成した。その後、総固形分26%とした以外は実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
熱可塑性樹脂:ATOの比率が100:350(質量比)となるよう調整した以外は実施例1と同様にして帯電防止層を形成した。その後、総固形分26%とした以外は実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
厚みを0.09μmとした以外は、実施例1と同様にして帯電防止層を形成し、その後、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
厚みを1.2μmとした以外は、実施例1と同様にして帯電防止層を形成し、その後、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
実施例1と同様にして帯電防止層を形成し、その後、厚みを2μmとした以外は、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
実施例1と同様にして帯電防止層を形成し、その後、厚みを12μmとした以外は、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して光学積層体を得た。
各評価は、光学積層体の製造直後(初期性能)、耐久性試験(1)(80℃環境で500時間保持)後、及び、耐久性試験(2)(キセノンアーク300時間照射)後にそれぞれ行った。なお、耐久性試験(1)及び(2)後の光学積層体の抵抗値については、製造直後(初期性能)に対する変化率(試験後の表面抵抗値)/(試験前の表面抵抗値)を算出した。実施例に係る結果を表1に示し、比較例及び参考例に係る結果を表2に示した。
各光学積層体の透過率(全光線透過率)及びヘイズを、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所社製、製品番号:HM−150)を用いてJIS K7361(全光線透過率)に準拠した方法により測定した。
各光学積層体の表面抵抗値を、ハイレスタUP MCP−HT450(三菱化学社製:Rプローブ、印加電圧500V)を用いて測定した(単位Ω/□)。
各光学積層体にクロスカット碁盤目試験を行い、元のカット部数(100)に対するテープを剥がした後に基材上に残存したカット部数の比について、下記の基準にて評価した。
○:90/100〜100/100
△:50/100〜89/100
×:0/100〜49/100
各光学積層体を、温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS S6006に規定する試験用鉛筆(硬度2B〜3H)を用いて、JIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度評価方法に従い、4.9Nの荷重にて、ハードコート層が形成された表面の鉛筆硬度を測定した。
(ニジムラ評価)
各光学積層体を、液晶モニター(FLATORON IPS226V(LG Electronics Japan社製))の観察者側の偏光板上に粘着をかいして配置し、液晶表示装置を作製した。なお、ポリエステル基材の遅相軸と液晶モニターの観察者側の偏光板の吸収軸とのなす角度が45°となるように配置した。
そして、暗所及び明所(液晶モニター周辺照度400ルクス)にて、正面及び斜め方向(約50度)から目視及び偏光サングラス越しに表示画像の観察を行い、ニジムラの有無を以下の基準に従い評価した。偏光サングラス越しの観察は、目視よりも非常に厳しい評価法である。観察は10人で行い、最多数の評価を観察結果としている。
図1に、使用した液晶モニターのバックライト光源の発光スペクトルを示す。
◎:ニジムラが観測されない
○:ニジムラが観測されるが、実使用上問題ないレベル
×:ニジムラが強く観測される
各光学積層体を、液晶モニター(FLATORON IPS226V(LG Electronics Japan社製))の観察者側の偏光板上に粘着を介して配置し、液晶表示装置を作製した。なお、ポリエステル基材の遅相軸と液晶モニターの観察者側の偏光板の吸収軸とのなす角度が45°となるように配置した。
そして、暗所にて、液晶モニターを白表示とし、偏光サングラス吸収軸と液晶モニターの観測者側の偏光板の吸収軸とのなす角度が0度(パラレルニコル)となる時と、90度(クロスニコル)となる時の正面色味を、輝度計BM−5(トプコン社製)にて測定し、色差Δu’v’を算出した。同時に、10人で観察を行い、下記の基準に従い、評価した。最多数の評価を観察結果としている。
◎:パラレルニコル時とクロスニコル時の色差がない。
色差Δu’v ’<0.01
○:パラレルニコル時とクロスニコル時の色差が少しあるが、実使用上問題ない。
0.01≦色差Δu’v ’≦0.03
×:パラレルニコル時とクロスニコル時の色差がある。
色差Δu’v ’>0.03
これに対し、表2に示したように、比較例に係る光学積層体は、耐久性試験(2)の前後で表面抵抗値の変化率が大きく、帯電防止性能の安定性に劣るものであった。また、比較例6、7に係る光学積層体は、ニジムラ及び色味変化の評価に劣るものであった。
また、帯電防止層における導電性微粒子の配合量の少なかった参考例5に係る光学積層体、帯電防止層の厚みが薄すぎた参考例7に係る光学積層体、及び、ハードコート層の厚みが厚すぎた参考例10に係る光学積層体は、表面抵抗値が高すぎて帯電防止性が不充分であった。また、その他の参考例に係る光学積層体は、耐久性試験の前後で表面抵抗値の変化率が小さく、帯電防止性能の安定性が極めて高いものの、ヘイズ、全光線透過率、密着性及び鉛筆硬度の各評価のいずれもが優れるものはなかった。
Claims (6)
- 面内に複屈折率を有する光透過性基材の一方の面上に帯電防止層を有する光学積層体であって、
前記帯電防止層は、導電性微粒子と樹脂成分と溶剤とを含有する帯電防止層用組成物を用いて形成されたものであり、
前記樹脂成分は、分子中に反応性官能基を有さず、かつ、前記溶剤に対する溶解性と前記導電性微粒子に対する相溶性とを有し、
前記光透過性基材は、リタデーションが5000nm以上であり、
前記導電性微粒子は、鎖状又は針状である
ことを特徴とする光学積層体。 - 樹脂成分は、重量平均分子量が2万〜20万であり、ガラス転移温度が80〜120℃である請求項1記載の光学積層体。
- 樹脂成分は、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ナイロン、ポリスチレン及びABS樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載の光学積層体。
- 導電性微粒子は、アンチモン錫酸化物(ATO)であり、樹脂成分は、ポリメチルメタクリレートであり、溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルである請求項1、2又は3記載の光学積層体。
- 帯電防止層の光透過性基材側と反対側の面上にハードコート層を有する請求項1、2、3又は4記載の光学積層体。
- 請求項1、2、3、4又は5記載の光学積層体を備えることを特徴とする画像表示装置。
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