JP4810155B2 - 光学フィルム及びその製造方法並びに偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光学フィルム及びその製造方法並びに偏光板及び画像表示装置に関する。とくに優れた物理性能をもたらす層配列と関連する層組成を有する光学フィルムとその適用に関する。
近年、様々な光学フィルム(例えば、反射防止フィルム、防眩フィルムなど)を配置した画像表示装置が増大している。
例えば、反射防止フィルム、防眩フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような様々な画像表示装置において、外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するために、ディスプレイの表面に配置される。
このような光学フィルムには高い物理強度(耐擦傷性など)、透明性、耐薬品性、耐候性(耐湿熱性、耐光性など)が要求される。さらにまた、ディスプレイの視認性を低下させる塵埃(埃など)が、光学フィルムの表面に付着するのを防止する対策が要求される。
光学フィルムに高い物理強度を持たせる手法としては、光学フィルムにハードコート皮膜を設けることが知られている。
ディスプレイの視認性を低下させる塵埃(埃など)が、光学フィルムの表面に付着するのを防止する手法としては、光学フィルムに帯電防止皮膜を設けることが知られている。
帯電防止皮膜を塗布で作製する場合、帯電防止皮膜の中に導電性の無機微粒子(例えば、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)など)の導電材を含有させることが通常行われる(例えば、特許文献1〜5)。
また、液晶表示装置において偏光板は不可欠な光学材料であり、一般に、偏光膜が2枚の保護フィルムによって保護されている構造をしている。これらの保護フィルムに反射防止機能、防眩機能などを付与することが出来れば、大幅なコスト削減、表示装置の薄手化が可能となる。
一方、偏光板に用いる保護フィルムは、偏光膜と貼り合わせるうえで十分な接着性を有していることが必要である。偏光膜との接着性を改良する手法として、保護フィルムを鹸化処理して保護フィルムの表面を親水化処理することが通常行われている。
特開平6−123086号公報 特開2002−311208号公報 特開2003−39586号公報 特開2003−292826号公報 特開2003−327430号公報
汚れや塵埃の付着防止のために光学フィルムに帯電防止皮膜を設けることは効果的であるが、ハードコート皮膜の上に導電材(例えば、導電性の無機微粒子など)を含有する帯電防止皮膜を設けることは、光学フィルムの耐擦傷性を損なうことがある。
一方、導電材(例えば、導電性の無機微粒子など)は、通常着色している。ハードコート皮膜は、通常膜厚が1μm以上であり、ハードコート皮膜に導電材を含有させて帯電防止性を付与するためには、多量の導電材を必要とし、光学フィルムの透明性(光透過率など)を損なう。また、導電材は比較的高価であるため、多量の導電材を使用することはコストアップにもなる。
従って、帯電防止皮膜は、透明支持体とハードコート皮膜との間に薄い膜厚で設けることが好ましい。
光学フィルムに用いるハードコート皮膜の作製には、一般に、電離放射線硬化性のバインダーを用いる。しかしながら、透明支持体とハードコート皮膜の間に帯電防止皮膜を設ける検討を行った結果、以下の問題が生じることが解った。
セルロースアシレートから成る透明支持体上に、帯電防止皮膜を設けることで、透明支持体と帯電防止皮膜とハードコート皮膜の相互間の剥離故障を発生しやすい。
また、帯電防止皮膜の上にハードコート皮膜を設けると、光学フィルムの表面の帯電防止効果が低下し、防塵性が低下する。防塵性の低下はハードコート皮膜の層厚が厚いほど顕著となる。
さらにまた、透明支持体を製造機で作製して巻き取ったのち、その支持体上に別の塗布機を用いて帯電防止皮膜、ハードコート皮膜を設けると、安価に光学フィルムを作製することが出来ない。
本発明の目的は、帯電防止皮膜を有するにも拘わらず上記の諸問題を伴うことのない光学フィルムを提供することであり、とりわけ帯電防止皮膜を透明支持体とハードコート皮膜との間に設けることに伴うこれらの問題を解決して、セルロースアシレートから成る透明支持体、帯電防止皮膜及びハードコート皮膜の相互間の接着性に優れ、かつ、優れた防塵性、耐擦傷性など高い物理性能を有する光学フィルムを提供することにある。
また、上記諸性能に優れた光学フィルムを安価で大量に提供することにある。
さらにまた、反射防止性、防眩性、などの光学性能を有し、上記諸性能に優れた偏光板、画像表示装置を提供することにある。
上記課題は、下記構成の光学フィルム及び光学フィルムの製造方法並びに偏光板及び画像表示装置により達成される。
〔1〕
透明支持体上に、少なくとも導電材とセルロースアシレートを含有する帯電防止皮膜、及び該帯電防止皮膜の上にハードコート皮膜が積層されてなり、
該帯電防止被膜中、導電材を除いた成分の中でセルロースアシレートの含有量が最も多く、
該ハードコート皮膜中に固形分換算で、1分子中に6個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールデンドリマー化合物(a)とエチレン性不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応生成物であるエチレン性不飽和基含有ポリエステルデンドリマー(A)を10〜80質量%含むことを特徴とする光学フィルム

前記帯電防止皮膜がセルロースアシレートを主成分とする支持体の一部として、共流延法によって積層されたことを特徴とする上記〔1〕に記載の光学フィルム。

前記ハードコート皮膜が平均粒径0.2μm〜10μmの導電性粒子を含有することを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕に記載の光学フィルム。

前記帯電防止皮膜が、ワイヤーバー、グラビア、ダイ塗工方式のいずれかの塗工方式で積層されたことを特徴とする上記〔1〕〜〔〕のいずれか1項に記載の光学フィルム。

前記光学フィルムが防眩フィルム、光拡散フィルム、反射防止フィルムのいずれかであることを特徴とする上記〔1〕〜〔〕のいずれか1項に記載の光学フィルム。

前記帯電防止皮膜を有する側の表面の表面抵抗が1×1014Ω/□以下であることを特徴とする上記〔1〕〜〔〕のいずれか1項に記載の光学フィルム。

上記〔1〕〜〔〕のいずれか1項に記載の光学フィルムを作製することを特徴とする光学フィルムの製造方法。

偏光膜と該偏光膜の両側に配された2枚の保護フィルムとを有する偏光板であって、上記〔1〕〜〔〕のいずれか1項に記載の光学フィルムを該保護フィルムの少なくとも一方として用いたことを特徴とする偏光板。

偏光膜と該偏光膜の両側に配された2枚の保護フィルムとを有する偏光板であって、上記〔1〕〜〔〕のいずれか1項に記載の光学フィルムを該保護フィルムの一方に用い、他方の保護フィルムに光学異方性層を有する光学補償フィルムを用いたことを特徴とする上記〔〕に記載の偏光板。
10
上記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の光学フィルム、又は、上記〔8〕若しくは〔9〕に記載の偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
11
画像表示装置が、TN、STN、IPS、VA又はOCBモードの、透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする上記〔10〕に記載の画像表示装置。
なお、本発明は上記〔1〕〜〔1〕に関するものであるが、参考のため例えば下記(1)〜(48)などのその他の事項についても記載した。
(1)少なくとも導電材とセルロースアシレートを含有する帯電防止皮膜を有することを特徴とする光学フィルム。
(2)前記帯電防止皮膜がセルロースアシレートを主成分とする透明支持体上に積層されたことを特徴とする上記(1)に記載の光学フィルム。
(3)前記帯電防止皮膜がセルロースアシレートを主成分とする支持体の一部として、共流延法によって積層されたことを特徴とする上記(1)に記載の光学フィルム。
(4)前記セルロースアシレートがセルロースアセテートであることを特徴とする上記(1)〜(3)に記載の光学フィルム。
(5)前記セルロースアセテートにおける置換度が2.0〜3.0であることを特徴とする上記(4)に記載の光学フィルム。
(6)前記導電材が、スズ、インジウム、アンチモン、亜鉛から選ばれる少なくとも1つの元素を含有する無機化合物を含有することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の光学フィルム。
(7)前記導電材が、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、フッ素をドープした酸化錫(FTO)、亜鉛をドープした酸化インジウム(IZO)、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウムから選ばれる少なくとも1種類以上の無機化合物を含有することを特徴とする上記(6)に記載の光学フィルム。
(8)前記導電材の平均粒径が1〜200nmであることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の光学フィルム。
(9)前記導電材の比表面積が1〜400m/gであることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の光学フィルム。
(10)前記導電材が、有機金属化合物により表面処理されていることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載の光学フィルム。
(11)前記導電材が、分散剤を用いて分散されていることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の光学フィルム。
(12)前記分散剤がアニオン性又は非イオン性の分散剤であることを特徴とする上記(11)に記載の光学フィルム。
(13)前記帯電防止皮膜が架橋性又は重合性の官能基を有する化合物を含有することを特徴とする上記(1)〜(12)のいずれかに記載の光学フィルム。
(14)前記架橋性又は重合性の官能基が、熱又は光により、架橋性又は重合性を示す官能基であることを特徴とする上記(13)に記載の光学フィルム。
(15)前記帯電防止皮膜のバインダーが、セルロースアシレートと架橋性、又は、重合性の官能基を有する化合物の硬化物であることを特徴とする上記(13)又は(14)に記載の光学フィルム。
(16)前記帯電防止皮膜の表面抵抗が1×1014Ω/□以下であることを特徴とする上記(1)〜(15)のいずれかに記載の光学フィルム。
(17)前記帯電防止皮膜の表面抵抗が1×1012Ω/□以下であることを特徴とする上記(1)〜(15)のいずれかに記載の光学フィルム。
(18)前記帯電防止皮膜の上にハードコート皮膜が積層されたことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の光学フィルム。
(19)前記帯電防止皮膜の上にハードコート皮膜が積層され、該ハードコート皮膜が平均粒径0.2μm〜10μmの導電性粒子を含有することを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の光学フィルム。
(20)前記平均粒径が0.2〜10μmの導電性粒子の粒径分布を示す下記S値が2.0以下であることを特徴とする上記(19)に記載の光学フィルム。
S=[D(0.9)−D(0.1)]/D(0.5)
D(0.1):体積換算粒径分布の積算値の10%値
D(0.5):体積換算粒径分布の積算値の50%値
D(0.9):体積換算粒径分布の積算値の90%値
(21)前記S値が1.0以下であることを特徴とする上記(20)に記載の光学フィルム。
(22)前記平均粒径が0.2〜10μmの導電性粒子が、有機化合物粒子又は無機化合物粒子の表面に導電性の化合物を有する粒子であることを特徴とする上記(19)〜(21)のいずれかに記載の光学フィルム。
(23)前記平均粒径が0.2〜10μmの導電性粒子が、有機化合物粒子又は無機化合物粒子の表面に導電性の金属を有する粒子であることを特徴とする上記(19)〜(221)のいずれかに記載の光学フィルム。
(24)前記平均粒径が0.2〜10μmの導電性粒子の平均粒径が、ハードコート皮膜の膜厚の30%以上であることを特徴とする上記(19)〜(23)のいずれかに記載の光学フィルム。
(25)前記帯電防止皮膜及び/又はハードコート皮膜を、ワイヤーバー、グラビア、ダイ塗工方式のいずれかの塗工方式で設けたことを特徴とする上記(2)、(4)〜(24)のいずれかに記載の光学フィルム。
(26)前記帯電防止皮膜及び/又はハードコート皮膜をダイ塗工方式で設けたことを特徴とする上記(25)に記載の光学フィルム。
(27)前記帯電防止皮膜及び/又はハードコート皮膜を形成する組成物に含有される溶媒が、前記透明支持体及び/又は帯電防止皮膜が含有するセルロースアシレートを溶解する溶媒を主成分として含有することを特徴とする上記(1)〜(26)のいずれかに記載の光学フィルム。
(28)前記透明支持体及び/又は帯電防止皮膜が含有するセルロースアシレートを溶解する溶媒が、ケトン系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エステル系溶媒のいずれか又はこれらの混合であることを特徴とする上記(27)に記載の光学フィルム。
(29)ハードコート皮膜塗布組成物を塗布した後硬化した皮膜組成物(ハードコート皮膜)中に固形分換算で、1分子中に6個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールデンドリマー化合物(a)とエチレン性不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応生成物であるエチレン性不飽和基含有ポリエステルデンドリマー(A)を10〜80質量%含むことを特徴とする請求項(1)〜(28)のいずれかに記載の光学フィルム。
(30)前記帯電防止皮膜及び/又はハードコート皮膜を、酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で形成したことを特徴とする上記(1)〜(29)のいずれかに記載の光学フィルム。
(31)前記帯電防止皮膜及び/又はハードコート皮膜を、酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で形成したことを特徴とする上記(1)〜(29)のいずれかに記載の光学フィルム。
(32)窒素ガス置換により他の気体を除去すること(窒素パージ)により、酸素濃度が10体積%以下、又は、4体積%以下の雰囲気で形成したことを特徴とする上記(30)又は(31)に記載の光学フィルム。
(33)前記光学フィルムが帯電防止フィルム、防眩フィルム、光拡散フィルム、反射防止フィルムのいずれかであることを特徴とする上記(1)〜(32)のいずれかに記載の光学フィルム。
(34)前記帯電防止皮膜を有する側の表面の表面抵抗が1×1014Ω/□以下であることを特徴とする上記(1)〜(33)のいずれかに記載の光学フィルム。
(35)前記帯電防止皮膜を有する側の表面の表面抵抗が1×1012Ω/□以下であることを特徴とする上記(1)〜(33)のいずれかに記載の光学フィルム。
(36)前記光学フィルムの少なくとも一方の表面を鹸化処理したことを特徴とする上記(1)〜(35)のいずれかに記載の光学フィルム。
(37)前記帯電防止皮膜を有する側とは反対側のセルロースアシレートフィルム表面の水に対する接触角が40°以下であることを特徴とする上記(1)〜(36)のいずれかに記載の光学フィルム。
(38)上記(1)〜(37)のいずれかに記載の光学フィルムを作製することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
(39)上記(1)〜(35)のいずれかに記載の光学フィルムを鹸化処理することを特徴とする上記(38)に記載の光学フィルムの製造方法。
(40)前記帯電防止皮膜がセルロースアシレートを主成分とする透明支持体上に積層されたことを特徴とする上記(38)又は(39)に記載の光学フィルムの製造方法。
(41)前記帯電防止皮膜がセルロースアシレートを主成分とする支持体の一部として、共流延法によって積層されたことを特徴とする上記(38)又は(39)に記載の光学フィルムの製造方法。
(42)前記帯電防止皮膜及び/又はハードコート皮膜をダイ塗工方式で設けることを特徴とする上記(40)に記載の光学フィルムの製造方法。
(43)偏光膜と該偏光膜の両側に配された2枚の保護フィルムとを有する偏光板であって、上記(1)〜(37)のいずれかに記載の光学フィルムを該保護フィルムの少なくとも一方として用いたことを特徴とする偏光板。
(44)偏光膜と該偏光膜の両側に配された2枚の保護フィルムとを有する偏光板であって、上記(1)〜(37)のいずれかに記載の光学フィルムを該保護フィルムの一方に用い、他方の保護フィルムに光学異方性層を有する光学補償フィルムを用いたことを特徴とする上記(43)に記載の偏光板。
(45)前記光学補償フィルムが、ディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性層を有し、該ディスコティック構造単位の円盤面がフィルム面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面とフィルム面とのなす角度が、光学異方性層の深さ方向において変化していることを特徴とする上記(44)に記載の偏光板。
(46)上記(1)〜(37)に記載の光学フィルム及び上記(43)〜(45)に記載の偏光板の少なくともいずれか一つが画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
(47)液晶セルの両側に配置された2枚の偏光板のうち、表示側の偏光板として上記(43)〜(45)のいずれかに記載の偏光板を有し、且つ、該偏光板の保護フィルムである光学フィルムが偏光膜に対し液晶セルとは反対側に配置されている液晶表示装置であることを特徴とする上記(46)に記載の画像表示装置。
(48)画像表示装置が、TN、STN、IPS、VA又はOCBモードの、透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする上記(46)又は(47)に記載の画像表示装置。
本発明の光学フィルムの特徴は、基本的には導電剤とセルロースアシレートを含有する帯電防止膜を有していることであり、とりわけ上記帯電防止皮膜を支持体の一部とすること、もしくは帯電防止皮膜を支持体とハードコート皮膜の間に配置したことであり、この帯電防止膜を有することによって耐擦傷性、層間接着性などの特性が向上する。さらには上記帯電防止皮膜を用いた光学フィルムを適用した偏光板、画像表示素子によって発明の解決課題が達成されて次項に述べる発明の効果が得られる。
本発明の光学フィルムは、帯電防止皮膜に導電材とセルロースアシレートを含有することにより、とりわけ帯電防止皮膜を支持体の一部とすること、もしくは該帯電防止皮膜をセルロースアシレートから成る透明支持体とハードコート皮膜の間に設けることにより、帯電防止皮膜及びハードコート皮膜の相互間の接着性に優れ、かつ、優れた防塵性、耐擦傷性など高い物理性能を有する。
さらに、本発明の光学フィルムは、透明支持体を作製する流延工程から巻き取り工程までの間に、帯電防止皮膜、又は、帯電防止皮膜とハードコート皮膜を作製する方法によって安価で大量に作製することが出来る。
以下に本発明の詳細を説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル及び/またはメタクリロイル」の意味を表す。「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」等の記載も同様である。
(導電材)
本発明において帯電防止皮膜(以下、帯電防止層と記載する。)に用いられる好ましい導電材としては、π共役系導電性有機化合物、導電性微粒子などの電子伝導型の導電材が好ましい。
π共役系導電性有機化合物としては、脂肪族共役系のポリアセチレン、芳香族共役系のポリ(パラフェニレン)、複素環式共役系のポリピロール、ポリチオフェン、含ヘテロ原子共役系のポリアニリン、混合型共役系のポリ(フェニレンビニレン)等が挙げられる。
導電性微粒子としては、カーボン系、金属系、金属酸化物系、導電被覆系微粒子等が挙げられる。
カーボン系微粒子としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボン粉末、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等のカーボン繊維、黒鉛粉砕品のカーボンフレーク等が挙げられる。
金属系微粒子としては、アルミニウム、銅、金、銀、ニッケル、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タングステン、タンタル等の金属、及び、それらの金属を含有する合金の粉末や、金属フレーク、鉄、銅、ステンレス、銀メッキ銅、黄銅等の金属繊維等が挙げられる。
金属酸化物系微粒子としては、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、セリウム(Ce)を含有する金属酸化物系微粒子などが挙げられる。
特に、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、酸化錫(SnO2)、アンチモンをドープした酸化スズ(ATO)、フッ素をドープした酸化錫(FTO)、酸化インジウム(In23)、亜鉛をドープした酸化インジウム(IZO)、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、酸化アンチモン(Sb25)がより好ましく、AZO、ATO、SnO2、In23、ITOが最も好ましい。
導電被覆系微粒子としては、例えば、酸化チタン(球状、針状)、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、マイカ、シリカ、ポリスチレン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の各種微粒子表面を、金属酸化物(例えば、AZO、SnO2、ATO、FTO、In23、IZO、ITO、Sb25、など)、金属(例えば、金及び/又はニッケルなど)で表面処理した微粒子などが挙げられる。
帯電防止層の導電材としては、π共役系導電性有機化合物(特に、ポリチオフェン系導電性ポリマー)、導電性微粒子としては金属系微粒子(特に、金、銀、銀/パラジウム合金、銅、ニッケル、アルミニウム)や金属酸化物系微粒子(特に、AZO、SnO2、ATO、FTO、In23、IZO、ITO、Sb25)が好ましい。特に、金属や金属酸化物などの電子伝導型の導電材が好ましく、なかでも金属酸化物系微粒子が特に好ましい。
導電材の一次粒子の質量平均粒径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。導電材の平均粒径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
導電材の比表面積は、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることがさらに好ましく、30〜150m2/gであることが最も好ましい。
導電材の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、鱗片状、針状あるいは不定形状であることが好ましく、特に好ましくは、不定形状、針状、鱗片状である。
上記導電材は、帯電防止層中での分散性を改良するために、種々の有機金属化合物により表面処理されていることが好ましい。有機金属化合物の例には、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、及び/又は、それらの誘導体などのカップリング剤が挙げられる。特に好ましいのは、下記一般式(a)で表されるシランカップリング剤、及び/又は、その誘導体である。
一般式(a) (R10s−Si(Z)4-s
一般式(a)中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、sec−ブチル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜6である。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Zは水酸基または加水分解可能な基を表す。例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR12COO(R12は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
sは1〜3の整数を表す。好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10あるいはZが複数存在するとき、複数のR10あるいはZはそれぞれ異なっていてもよい。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アルコキシシリル基(トリメトキシシリル、トリエトキシシリル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に別の置換基で置換されていてもよい。
これらのうちで更に好ましくは水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アルコキシシリル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基である。特に、架橋又は重合性の官能基が好ましく、エポキシ基、重合性のアシルオキシ基((メタ)アクリロイル)、重合性のアシルアミノ基(アクリルアミノ、メタクリルアミノ)が好ましい。またこれら置換基は更に上記の置換基で置換されていてもよい。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。一般式(a)で表されるシランカップリング剤、及び/又は、その誘導体の中でも、下記一般式(b)で表されるビニル重合性の置換基を有するシランカップリング剤、及び/又は、その誘導体が好ましい。
一般式(b)
Figure 0004810155
一般式(b)において、R1は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、又は塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合、*−COO−**、*−CONH−**、*−O−**、又は*−NH−CO−NH−**を表し、単結合、*−COO−**、*−CONH−**が好ましく、単結合、*−COO−**が更に好ましく、*−COO−**が特に好ましい。ここで、*はCH2=C(R1)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
nは0または1を表す。nとして好ましくは0である。
10は一般式(a)のR10と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Zは一般式(a)のZと同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。Zが複数存在するとき、複数のZはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
一般式(a)及び一般式(b)の化合物並びにその誘導体は、2種類以上を併用してもよい。
以下に一般式(a)及び一般式(b)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004810155
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Figure 0004810155
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チタネートカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタンなどの金属アルコキシド、プレンアクト(KR-TTS、KR-46B、KR-55、KR-41Bなど;味の素(株)製)などが挙げられる。
これらの有機金属化合物による表面処理量は、上記導電材に対し、0.5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量%、特に好ましくは2〜10質量%である。
導電材を上記有機金属化合物により被覆する手法に関しては、例えば、特開平10−324817号公報、特開2001−26423号公報、特開2003−327430号公報、特開2003−335979号公報などを参考にすることができる。
(セルロースアシレート)
本発明に係る帯電防止層に用いられるセルロースアシレートは、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)を原料として作製されるものが好ましい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)に見られる。
本発明に用いるセルロースアシレートは、セルロースの水酸基への置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するものが好ましい。
(I) 2.0≦A+B≦3.0
(II) 0≦A≦3.0
(III) 0≦B≦3.0
ここで、式中A及びBはセルロースの水酸基に置換されているアシル基の置換基を表し、Aはアセチル基の置換度、また、Bは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。セルロースには1グルコース単位に3個の水酸基があり、上記の数字はその水酸基3.0に対する置換度を表すもので、最大の置換度が3.0である。セルローストリアセテートは一般にAの置換度が2.6〜3.0であり(この場合、置換されなかった水酸基が最大0.4である)、B=0である。
なお、置換度は、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって得られる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
なお、アシル基がすべてアセチル基の場合は、その水酸基の置換度を酢化度であらわすことが通常行われている。ここで酢化度は、結合酢酸量を意味し、セルロース単位質量当たりの結合酢酸の質量百分率をいい、ASTM:D−817−91(セルロースアセテートなどの試験方法)のアセチル化度の測定法に準じて測定できる。
また、置換度は、酢化度と下記一般式で表される関係にある。

置換度=酢化度×162/[(6005−酢化度)×42]
本発明に用いるセルロースアシレートのアシル基としては、脂肪族アシル基でも芳香族アシル基でもよく特に限定されない。例えば、セルロースのアルキルカルボン酸エステル、アルケニルカルボン酸エステルあるいは芳香族カルボン酸エステル、芳香族基置換アルキルカルボン酸エステルなどが挙げられ、それぞれさらに置換された基を有していてもよく、総炭素数が22以下のエステル基が好ましい。
好ましいセルロースアシレートとしては、エステル部の総炭素数が22以下のアシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル、バレル、ヘプタノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイルなど)、アリールカルボニル基(アクリル、メタクリルなど)、芳香族アシル基(ベンゾイル、ナフタロイルなど)、シンナモイル基などを有するセルロースアシレートを挙げることが出来る。これらの中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートベンゾエートなどが好ましい。
さらに又、架橋又は重合性の官能基を導入したセルロースアシレートも好ましく用いられ、光、熱、電子線、放射線により架橋又は重合する官能基を有するセルロースアシレートが好ましく、特に、光又は熱で架橋又は重合する官能基を有するセルロースアシレートが好ましい。
架橋又は重合性の官能基としては、例えば、ラジカル種による架橋反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等、その他、アジリジン基、イソシアネート基を有するバインダーなどが挙げられる。好ましい官能基は、(メタ)アクリロイル基、アリル基、エポキシ基、イソシアネート基であり、特に好ましいのは(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基である。
本発明に用いられる好ましいセルロースアシレートは、特開昭57−182737号公報、特開平4−277530号公報、同8−231761号公報、同9−40792号公報、同9−90101号公報、同10−45803号公報、同10−60170号公報、同11−5851号公報、同11−269304号公報、同11−269304号公報、同11−292989号公報、同12−131524号公報、同12−137115号公報などにも記載されている。
セルロースアシレートの中でも特に好ましいのは、セルロースアセテートであり、置換度としては、2.0〜3.0が好ましく、より好ましくは2.2〜3.0、特に好ましくは2.4〜2.95である。いわゆる、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースジアセテート(DAC)であることが好ましい。
市販品としては、ダイセル化学工業(株)(例えば、LM−80、L−20,30,40,50,70、及び、LT−35,55,105など)、イーストマンケミカル社(例えば、CAB−551−0.01、CAB−551−0.02、CAB−500−5、CAB−381−0.5、CAB−381−02、CAB−381−20、CAB−321−0.2、CAP−504−0.2、CAP−482−20、CA−398−3など)、コートルズ社、ヘキスト社等のセルロースアシレートが挙げられる。
セルロースアシレートの好ましい重合度は、粘度平均重合度100〜700であり、好ましくは120〜500、より好ましくは130〜400、更に好ましくは140〜400であり、特に好ましくは150〜380である。
粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。更に特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。粘度平均重合度は、オストワルド粘度計にて測定したセルロースアシレートの固有粘度[η]から、下記の式により求める。
(a1) DP=[η]/Km
式中、[η]は、セルロースアシレートの固有粘度であり、Kmは、定数6×10-4である。
粘度平均重合度(DP)が290以上である場合、粘度平均重合度と落球式粘度法による濃厚溶液粘度(η)が下記式(a2)の関係を満足することが好ましい。
(a2):2.814×ln(DP)−11.753≦ln(η)≦6.29×ln(DP)−31.469
式中、DPは290以上の粘度平均重合度の値であり、ηは落球式粘度法における標線間の通過時間(sec)である。上記式(a2)は、粘度平均重合度と濃厚溶液粘度をプロットし、その結果から算出したものである。
また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては1.0〜5.0が好ましく、1.0〜4.0が更に好ましく、1.5〜3.5が特に好ましい。
セルロースアシレートのガラス転移温度(Tg)は、70〜200℃であることが好ましく、より好ましくは100〜180℃である。
(帯電防止皮膜)
本発明の帯電防止皮膜(以下、帯電防止層と記載する)は、上記導電材と上記セルロースアシレートを含有することを特徴とする。以下、本発明の帯電防止層について詳述する。
帯電防止層を透明支持体(セルロースアシレートフィルム)上に構築することによって透明支持体の表面に塵埃(埃など)が付着するのが防止されて、優れた防塵性を発現させることができる。防塵性は、透明支持体の表面の表面抵抗値を下げることによって発現し、表面抵抗値が低いほど高い効果が得られる。
本発明の光学フィルムにおいては、帯電防止層を有する側の表面の表面抵抗値が、1×1014Ω/□以下であることが好ましく、1×1012Ω/□以下であることがより好ましく、1×1011Ω/□以下であることが更に好ましく、1×109Ω/□以下であることが特に好ましく、1×108Ω/□以下であることが最も好ましい。
帯電防止層の膜厚は用途により適切に設計することができる。優れた透明性を有する帯電防止層を作製する場合、膜厚は1μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.50μm、更に好ましくは0.05〜0.30μm、特に好ましくは0.07〜0.25μmである。
帯電防止層のヘイズは5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
本発明の帯電防止層は、透明支持体とハードコート皮膜(以下、ハードコート層と記載する。)の間に構築され、透明支持体、帯電防止層、ハードコート層の相互間の接着性を改良する。
(帯電防止層の形成法)
帯電防止層の形成において、導電材は分散物の状態で使用することが好ましい。導電材の分散においては、分散剤の存在下で、分散媒体中に分散することが好ましい。
分散剤を用いて分散することにより、導電材は極めて微細に分散することができ、透明な帯電防止層の作製を可能にする。
本発明において、導電材の分散剤としては、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤、ノニオン性分散剤、両性分散剤を好ましく用いることができ、好ましくはアニオン性分散剤、ノニオン性分散剤である。
本発明に用いる導電材の分散には、特に、アニオン性基を有するアニオン性分散剤を用いることが好ましい。アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ基)、リン酸基(ホスホノ基)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基またはその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。 分散剤1分子当たりに含有されるアニオン性基の数は、1個以上が含有されていればよいが、導電材の分散性をさらに改良する目的で分散剤1分子当たりアニオン性基が複数個含有されていてもよい。1分子当たり平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤1分子中に含有されるアニオン性基は、複数種類であってもよい。
市販の分散剤としては、ホスファノール(PE−510、PE−610、LB−400、EC−6103、RE−410など;東邦化学工業(株)製、いずれも商品名)、Disperbyk(−110、−111、−116、−140、−161、−162、−163、−164、−164、−170、−171など;ビックケミー・ジャパン社製、いずれも商品名)、ソルスパーズ(−24000など;アイ・シー・アイジャパン(株)製、商品名)などが挙げられる。
分散剤は、さらに架橋又は重合性の官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性の官能基としては、ラジカル種による架橋反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等、その他、アジリジン基、イソシアネート基などが挙げられる。分散剤が架橋又は重合性の官能基を有することで、帯電防止層の形成において、導電材の分散状態を維持し、かつ分散剤が架橋又は重合反応することで優れた皮膜形成能を付与して帯電防止層の物理強度を改良する。
本発明の帯電防止層に用いる導電材の分散に用いる分散剤は、アニオン性基及び架橋又は重合性の官能基を有し、かつ該架橋又は重合性の官能基を側鎖に有する分散剤であることが好ましい。
分散剤の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが1000以上であることが好ましい。好ましい質量平均分子量(Mw)は2000〜1000000であり、さらに好ましくは5000〜200000、特に好ましくは10000〜100000である。
分散剤の導電材に対する使用量は、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲であることがより好ましく、5〜20質量%であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
導電材は分散剤の存在下で、分散媒体中に分散することが好ましい。
分散媒体は、沸点が50〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール系溶媒(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコールなど)、ケトン系溶媒(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エステル系溶媒(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチルなど)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサンなど)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(例、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素など)、芳香族炭化水素系溶媒(例、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、アミド系溶媒(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドンなど)、エーテル系溶媒(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、エーテルアルコール系溶媒(例、1−メトキシ−2−プロパノールなど)が含まれる。
特に、帯電防止層が含有するセルロースアシレートを溶解する分散媒体であることが好ましい。好ましい分散媒体は、ケトン系溶媒(例、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エステル系溶媒(例、酢酸メチル、など)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(例、ジクロロメタンなど)である。
導電材は、分散機を用いて分散することが好ましい。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、ダイノミル、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルなどが含まれる。サンドグラインダーミル、ダイノミルなどのメディア分散機が特に好ましい。また、予備分散処理と組合わせて2段階分散を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
導電材は、分散媒体中で微細に分散されていることが好ましく、質量平均粒径が1〜700nmであることが好ましい。好ましくは、10〜500nmであり、さらに好ましくは20〜300nm、特に好ましくは30〜250nmである。
導電材を700nm以下に微細化することで透明性を損なわず、帯電防止性に優れた帯電防止層を作製できる。
本発明の帯電防止層は、導電材に加えて、さらに上記セルロースアシレートを含有する。セルロースアシレートは導電材のバインダーとして機能すると共に、透明支持体(セルロースアシレートフィルム)とハードコート皮膜との間の接着性を改良する。
セルロースアシレートとしては、前記したセルロースのアルキルカルボン酸エステル、アルケニルカルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、芳香族基置換アルキルカルボン酸エステル、とりわけセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートベンゾエートであることが好ましい。
セルロースアシレートの中でも特に好ましいのは、セルロースアセテートであり、置換度としては、2.0〜3.0が好ましく、より好ましくは2.2〜3.0、特に好ましくは2.4〜2.95である。いわゆる、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースジアセテート(DAC)であることが好ましい。
帯電防止層に用いる導電材の含有量は、帯電防止層の全固形分に対し、20〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましく、40〜70質量%であることがさらに好ましく、45〜65質量%であることが特に好ましく、45〜60質量%であることが最も好ましい。
また、帯電防止層に用いるセルロースアシレートの含有量は、帯電防止層の全固形分に対し、10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましく、30〜60質量%であることがさらに好ましく、35〜55質量%であることが特に好ましく、40〜55質量%であることが最も好ましい。さらに、セルロースアシレートは、帯電防止層の導電材を除いた成分の主成分であることが好ましい。ここで、主成分とは、導電材を除いた成分の中で最も含有量が多い成分であることを意味する。
本発明に係る帯電防止層には、帯電防止層の強度を改良する点で、さらに架橋又は重合性の官能基を含有するバインダーを添加することが好ましい。架橋又は重合性の官能基を含有するバインダーとしては、例えば、ラジカル種による架橋反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等、その他、アジリジン基、イソシアネート基を有するバインダーなどが挙げられる。好ましいのは、(メタ)アクリロイル基、アリル基、エポキシ基、イソシアネート基を有するバインダーであり、特に好ましいのは(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基を含有するバインダーである。
本発明に係る帯電防止層は、上記導電材と上記セルロースアシレートを含有する液に、架橋又は重合性の官能基を有するバインダー、重合開始剤及び、反応促進剤等を加えて帯電防止層形成用の塗料とし、透明支持体上に該帯電防止層形成用の塗料を塗布して、架橋又は重合性の官能基を有するバインダーを架橋又は重合反応により硬化させて作製することが特に好ましい。
架橋又は重合性の官能基を有するバインダーとしては、電離放射線硬化性化合物が好ましく、例えば、後述する電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなどが好ましい。
上記作製法において帯電防止層のバインダーは、分散剤、セルロースアシレート及び架橋又は重合性の官能基を有するバインダーの硬化物を含有することが好ましい。
さらに、帯電防止層のバインダーを層の塗布と同時、または塗布後に、分散剤、セルロースアシレート及び架橋又は重合性の官能基を有するバインダーなどを架橋反応又は重合反応させて硬化させて形成することが好ましい。
このようにして塗設した帯電防止層のバインダーは、例えば架橋又は重合性の官能基を有する分散剤、セルロースアシレート及び、架橋又は重合性の官能基を有するバインダーとが、架橋又は重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となり、アニオン性基が導電材の分散状態を維持する機能を有し、架橋又は重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、導電材を含有する帯電防止層の物理強度及び耐薬品性、を改良できるので好ましい。
架橋又は重合性の官能基を有するバインダーの官能基としては、光、熱、電子線、放射線により架橋又は重合するものが好ましく、中でも光又は熱で架橋又は重合する官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類、等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン類等が挙げられる。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX-S、BP-100、BDMK、CTX、BMS、2-EAQ、ABQ、CPTX、EPD、ITX、QTX、BTC、MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651、184、500、907、369、1173、2959、4265、4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F、KB1、EB3、BP、X33、KT046、KT37、KIP150、TZT)等が挙げられる。
特に、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましい。光開裂型の光ラジカル重合開始剤については、高薄一弘著「最新UV硬化技術」((株)技術情報協会、159頁、1991年)に記載されている。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651、184、907)等が挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI、EPA)などが挙げられる。
光重合反応は、帯電防止層の塗布および乾燥後、紫外線照射により行うことが好ましい。
紫外線照射には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
また、架橋又は重合性の官能基を有するバインダーとしては、熱硬化性化合物も好ましく用いられ、例えば、エポキシ基、アジリジン基、イソシアネート基を有するモノマーやオリゴマーなどが好ましく、中でも、イソシアネート基を有するモノマーやオリゴマーが好ましい。
イソシアネート基を有するバインダーとしてはイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物で、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシア−ネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネート類、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの反応生成物(例えば、トルレンジイソシアナート3molとトリメチロールプロパン1molの反応生成物)、これらのイソシアネート類の縮合により生成したポリイソシアネートなどが挙げられる。
また、イソシアネート基を有するバインダー中のイソシアネート基の含有率は20〜40質量%であることが好ましい。より好ましくは25〜35質量%である。
市販品では、ミリオネート(MT、MR−100、MR−200、MR−300、MR−400など、日本ポリウレタン(株)製、いずれも商品名)、コロネート(L など、日本ポリウレタン(株)製、商品名)、スミジュール(44V10、住友バイエルウレタン(株)、商品名)などが挙げられる。上記、イソシアネート基を含有するバインダーを使用する際、架橋促進剤として、3級アミン系、金属塩系、DBU(1,8−ジアザ−ビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7)系化合物を用いることも好ましい。
帯電防止層の作製において、上記導電材、分散剤、セルロースアシレート、及び架橋又は重合性の官能基を有するバインダーは、それぞれ複数種類を用いることもできる。
帯電防止層は、帯電防止層形成用の塗料を透明支持体上に塗布して、また、必要に応じて塗布と同時または塗布後に、架橋又は重合反応を実施して、作製することが好ましい。
帯電防止層の中において、導電材は微細に分散されていることが好ましく、質量平均粒径は1〜700nmであることが好ましい。好ましくは、10〜500nmであり、さらに好ましくは20〜300nm、特に好ましくは30〜250nmである。
導電材を700nm以下に微細化することで透明性を損なわず、帯電防止性に優れた帯電防止層を作製できる。
帯電防止層の好ましい塗布溶媒としては、ケトン系溶媒(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エステル系溶媒(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチルなど)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサンなど)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(例、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素など)、芳香族炭化水素系溶媒(例、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、アミド系溶媒(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドンなど)、エーテル系溶媒(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、エーテルアルコール系溶媒(例、1−メトキシ−2−プロパノールなど)が含まれる。特に、帯電防止層及び/又は透明支持体に含有するセルロースアシレートを溶解する溶媒であることが好ましい。好ましい塗布溶媒は、ケトン系溶媒(例、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エステル系溶媒(例、酢酸メチル、など)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(例、ジクロロメタンなど)である。特に好ましい塗布溶媒は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジクロロメタンである。
塗布溶媒は、その他の溶媒を含んでいてもよい。例えば、水、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。
塗布溶媒は、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒の合計量が全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。
帯電防止層の形成は、特に帯電防止層が電離放射線硬化性化合物を含有し、電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により作製する場合には、酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。
帯電防止層を酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で作製することにより、帯電防止層の物理強度(耐擦傷性など)、耐薬品性を改良することができる。
好ましくは酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により作製することであり、更に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が1体積%以下、最も好ましくは酸素濃度が0.5体積%以下である。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
帯電防止層には、前記の成分(導電材、重合開始剤、光増感剤、バインダーなど)以外に、樹脂、界面活性剤、カップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、などを添加することもできる。
帯電防止層は透明支持体とハードコート層の間に構築され、特に、透明支持体の隣接層として構築することが好ましく、更には、透明支持体とハードコート層の隣接層として構築することが特に好ましい。
(透明支持体)
透明支持体は、セルロースアシレート(例、前記したセルロースのアルキルカルボン酸エステル、アルケニルカルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、芳香族アルキルカルボン酸エステル、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートベンゾエートなど)から形成される。
中でもセルロースアセテートが好ましく、置換度としては2.6〜3.0であることが好ましい。最も好ましくは、セルローストリアセテート(TAC)である。
セルロースアシレートフィルムとしては、セルロースアシレートを溶媒に溶解することで調整したセルロースアシレートドープを単層流延、複数層共流延の何れかの流延方法により作製することが好ましい。
特に、環境保全の観点から、セルロースアシレートを低温溶解法あるいは高温溶解法によってジクロロメタンを実質的に含まない溶媒に溶解することで調整したセルロースアシレートドープを用いて作製したセルロースアシレートフィルムが好ましい。
本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムについては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745)に例示されている。
透明支持体の膜厚は特に限定されるものではないが、膜厚は1〜300μmがよく、好ましくは30〜150μm、特に好ましくは40〜120μm、最も好ましくは40〜100μmである。
透明支持体の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。
透明支持体のヘイズは低い方が好ましい。2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。
透明支持体の屈折率は、1.40〜1.70であることが好ましい。
透明支持体には、赤外線吸収剤あるいは紫外線吸収剤を添加してもよい。赤外線吸収剤の添加量は、透明支持体の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがさらに好ましい。
また、透明支持体には、滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を添加してもよい。無機化合物の例には、SiO2、TiO2、BaSO4、CaCO3、タルクおよびカオリンなどが含まれる。
透明支持体に、表面処理を実施してもよい。表面処理の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が含まれる。グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火焔処理が好ましく、グロー放電処理とコロナ放電処理が特に好ましい。
(ハードコート皮膜)
光学フィルムには、物理強度を付与するために帯電防止層の上に、ハードコート皮膜(以下、ハードコート層と記載する。)を設けることが好ましい。
ハードコート層は、通常、電離放射線硬化性の化合物や反応性有機珪素化合物で形成するが、特に、電離放射線硬化性の化合物の架橋又は重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗料を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋又は重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
ハードコート層を構成する多官能オリゴマーの例としてはエチレン性不飽和基含有ポリエステルデンドリマー(A)を含有することがカール低減や塗布膜の可撓性向上の観点から好ましい。エチレン性不飽和基含有ポリエステルデンドリマー(A)は、1分子中に6個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールデンドリマー化合物(a)とエチレン性不飽和基含有モノカルボン酸(b)とを反応させることにより得られる。
1分子中に6個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールデンドリマー化合物とは、エステル結合により高度に枝分かれした分子構造を有し、末端基のほとんどが水酸基であるポリエステルポリオールであれば特に制限されないが、好ましくは下記一般式(1)で表される化合物であり、具体的には例えば、BOLTORN H20、BOLTORN H30、BOLTORN H40、BOLTORN H2003、BOLTORN H2004、BOLTORN P1000(いずれもペルストルプ アー・ペー社製)等があげられる。
一般式(1)
Figure 0004810155
[式中、Xはジメチロールプロピオン酸残基又は水素原子を示し、nは1〜10の整数を示す]
エチレン性不飽和基含有モノカルボン酸(b)としては例えば、アクリル酸類、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸、桂皮酸、飽和又は不飽和二塩基酸と不飽和基含有モノグリシジル化合物との反応生成物等が挙げられる。
該アクリル酸類としては例えば、アクリル酸、アクリル酸の二量体、メタクリル酸、β−スチリルアクリル酸、β−フルフリルアクリル酸、飽和又は不飽和二塩基酸無水物と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体との等モル反応物である半エステル類、飽和又は不飽和二塩基酸とモノグリシジル(メタ)アクリレート誘導体類との等モル反応生成物である半エステル類等が挙げられ、好ましくはアクリル酸が挙げられる。
飽和又は不飽和二塩基酸無水物と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体との等モル反応物である半エステル類とは、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート又は1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等と、二塩基酸無水物(例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等)との反応物である半エステル等が挙げられる。
飽和又は不飽和二塩基酸とモノグリシジル(メタ)アクリレート誘導体類との等モル反応物である半エステル類には、例えば、メタクリル酸グリシジルと(メタ)アクリル酸との反応物に前記二塩基酸無水物を反応させて得られる生成物等も挙げられる。
飽和又は不飽和二塩基酸と不飽和基含有モノグリシジル化合物との反応生成物には、例えば、フェニルジグリシジルエーテル化合物、ビスフェノール型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール型エポキシ化合物、脂環式ジグリシジルエーテル化合物、脂肪族ジグリシジルエーテル化合物、ポリサルファイド型ジグリシジルエーテル化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、ビキシレノール型エポキシ化合物、ハロゲン化ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物又はハロゲン化ビフェノール骨格を有するエポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸との反応物に前記二塩基酸無水物を反応させて得られる生成物等も挙げられる。
これらは、単独又は2種以上を混合して使用してもよい。
ハードコート層に含有されるエチレン性不飽和基含有ポリエステルデンドリマー(A)は、上記ポリエステルポリオールデンドリマー化合物(a)と上記エチレン性不飽和基含有モノカルボン酸(b)とを反応させて得られるが、好ましくは(a)と(b)とを例えば、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒の存在下で脱水縮合させる方法により製造される。
エチレン性不飽和基含有ポリエステルデンドリマー(A)の硬化後のハードコート層組成物中の含有率は、カールが小さく、クラックが発生しにくい観点から、該層固形分中の10質量%〜80質量%が好ましく、20質量%〜70質量%がより好ましく、30質量%〜60質量%がさらに好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、帯電防止層で例示したものが挙げられ、光重合開始剤、光増感剤を用いて重合することが好ましい。光重合反応は、ハードコート層の塗布および乾燥後、紫外線照射により行うことが好ましい。
ハードコート層は、透明支持体上に、ハードコート層形成用の塗料を塗布することで構築することが好ましい。ハードコート層は、光学フィルムに高い物理強度を付与する目的で、帯電防止層の上に構築し、特に、帯電防止層の上の隣接層として構築することが好ましい。
塗布溶媒としては、帯電防止層で例示したケトン系溶媒、エステル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒であることが好ましい。特に、ケトン系溶媒を用いることで、例えば、帯電防止層とハードコート層との接着性がさらに改良する。
特に好ましい塗布溶媒は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
塗布溶媒は、帯電防止層で例示した以外の溶媒を含んでいてもよい。
塗布溶媒は、ケトン系溶媒の含有量が塗布組成物に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
ハードコート層が電離放射線硬化性の化合物の架橋又は重合反応により作製される場合、架橋又は重合反応は酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で作製することにより、物理強度(耐擦傷性など)や耐薬品性に優れたハードコート層を作製することができる。
好ましくは酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により作製することであり、更に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が1体積%以下、最も好ましくは酸素濃度が0.5体積%以下である。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
ハードコート層は、帯電防止層とハードコート層との接着性を更に改良する目的で、上記電離放射線硬化性化合物の他に、帯電防止層で記載したセルロースアシレートをバインダーとして含有することも好ましい。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは2〜7μm、特に好ましくは3〜5μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層には樹脂、分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、などを添加することもできる。また、ハードコート層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御するなどの目的で、後述する一次粒子の平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を添加することができる。ハードコート層の表面の表面抵抗をさらに下げる目的で、後述する平均粒径0.2〜10μmの導電性粒子を添加することもできる。さらにまた、防眩機能、光拡散機能を付与する目的で、後述する平均粒径0.2〜10μmの粒子を添加することもできる。
(平均粒径0.2〜10μmの導電性粒子)
ハードコート層は、通常、電離放射線硬化性の化合物や反応性有機珪素化合物で形成する。ハードコート層の膜厚があまり厚くない場合、ハードコート層単独では導電性の機能がなくても、帯電防止層が有する導電性がハードコート層の表面に伝達し、ハードコート層を有する側の表面の表面抵抗は下がり、帯電防止効果が発現する。さらにまた、後述する光学干渉層(高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層など)も膜厚が薄いため、ハードコート層の上に構築しても、それらの層の表面の表面抵抗は下がり、帯電防止効果は発現する。
しかしながら、ハードコート層の膜厚が厚い場合、帯電防止層が有する導電性がハードコート層の表面に伝達しにくくなり、帯電防止層を有する側の表面の帯電防止性は極めて弱くなる。帯電防止層を有する側の表面に、より効果的に帯電防止性能を発現させるためには、ハードコート層に平均粒径0.2〜10μmの導電性粒子を添加することが好ましい。平均粒径0.2〜10μmの導電性粒子は、帯電防止層の導電性をハードコート層の表面に伝達する役割を果たし、ハードコート層の表面の表面抵抗を下げ、良好な帯電防止効果が発現する。
ハードコート層に添加する上記導電性粒子としては、カーボンブラック、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)、電子伝導性の金属粒子(Au、Ag、Cu、Ni、など)、さらには、シリコン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、などの有機化合物粒子(樹脂粒子など)や無機化合物粒子の表面を導電性の化合物(例えば、Au及び/又はNiなどの金属、導電性の金属酸化物など)で被覆した粒子、などが挙げられる。
上記導電性粒子の平均粒径は、ハードコート層の膜厚に対し30%以上であることが好ましい。より好ましくは膜厚に対し30〜110%、さらに好ましくは50〜100、特に好ましくは60〜90%である。粒子の平均粒径は、好ましくは0.5〜7.0μm、更に好ましくは1.0〜5.0μm、特に好ましくは2.0〜4.0μmである。また、導電性粒子の平均粒径はハードコート層の膜厚より小さいことが好ましい。
粒子の粒径分布は狭いほど好ましい。粒子の粒径分布が狭いことで、効果的に帯電防止性を発現することができる。粒子の粒径分布を示すS値は下記式で表され、2.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.7以下である。
S=[D(0.9)−D(0.1)]/D(0.5)
D(0.1):体積換算粒径分布の積算値の10%値、
D(0.5):体積換算粒径分布の積算値の50%値、
D(0.9):体積換算粒径分布の積算値の90%値。
上記導電性粒子は、ハードコート層以外の層にも含有させることもできる。上記導電性粒子を含有する層は、厚さ方向と膜面方向の抵抗率が異なる異方導電性層となり、特に厚さ方向の導電性が高い程好ましい。上記導電性粒子を有する層の厚さ方向の体積抵抗率は1010 Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは108Ω・cm以下、さらに好ましくは107Ω・cm以下、特に好ましくは106Ω・cm以下である。
(光学フィルムの構成)
本発明の光学フィルムは、さらに他の層を構築することができる。例えば、光学干渉層(後述する、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層など)を構築することにより、反射防止性能に優れた光学フィルム(反射防止フィルム)を作製できる。また、光学フィルムの表面に凹凸を付与する層(例えば、防眩層など)を構築することで、外光の映り込みを防止することができる光学フィルム(防眩フィルム)を作製することが出来る。更にまた、光学フィルムに、層のマトリックスの屈折率と異なる屈折率を有する粒子を添加して透過光を拡散させる層(例えば、光拡散層など)を構築することで、液晶表示装置の視野角を拡大させることができる光学フィルム(光拡散フィルム)を作製することができる。以下、光学フィルムにおいて好ましく用いられる添加剤、構成について説明する。
(平均粒径が1〜200nmの無機微粒子)
光学フィルムにおいて、透明支持体と透明支持体上に形成された最も外側の層(以下、最外層と記載する。)の間に一次粒子の平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を含有する層を構築することが好ましい。ここでいう平均粒径は質量平均径である。一次粒子の平均粒径を1〜200nmにすることで透明性を損なわない層を作製できる。
一次粒子の平均粒径が1〜200nmの無機微粒子は、層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御するなどの目的で用いられる。
無機微粒子としては、帯電防止層で例示した無機微粒子(金属酸化物系微粒子、金属系微粒子など)に加え、二酸化珪素、フッ化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、などの微粒子が挙げられる。
好ましくは、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化錫、ATO、ITO、酸化亜鉛である。
平均粒径が1〜200nmの無機微粒子は、平均粒径の異なる粒子を複数組み合わせて使用してもよい。また、異なる材質の粒子を複数組み合わせて使用することも好ましい。
無機微粒子の一次粒子の平均粒径は好ましくは5〜200nmであり、より好ましくは10〜150nm、さらに好ましくは20〜100nm、特に好ましくは20〜50nmである。
層の中において、無機微粒子はなるべく微細に分散されていることが好ましく、分散剤を用いて分散されていることが好ましい。層の中における無機微粒子の粒子サイズは、好ましくは平均粒径で5〜300nm、より好ましくは10〜200nmであり、さらに好ましくは20〜150nm、特に好ましくは20〜80nmである。特に、光学干渉層(後述する、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層など)に用いる場合は、200nm以下であることが好ましい。
分散方法については、前述の帯電防止層で説明した事項を適用できる。
層における無機微粒子の含有量は、層の全質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。
高い屈折率を有する層(例えば、高屈折率層、中屈折率層など)を作製する場合、前記帯電防止層で記載した手法と同様の手法を用いて高い屈折率を有する無機微粒子(例えば、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化錫、ATO、ITO、酸化亜鉛など)を微細に分散して層に含有させて作製することが好ましい。
低い屈折率を有する層(例えば、低屈折率層など)を作製する場合、低い屈折率を有する無機微粒子(例えば、二酸化珪素、中空の二酸化珪素、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムなど)を微細に分散して層に含有させて作製することが好ましい。
平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を含有する層として好ましいのは、ハードコート層、後述する防眩層、光拡散層、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層などである。
平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を含有する層は、有機化合物のバインダーを含有することが好ましい。また、上記ハードコート層と同様に、バインダーが架橋又は重合性の官能基を有する化合物の硬化物であることが好ましく、電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成されることが好ましい。
平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を含有する層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下である。
平均粒径が1〜200nmの無機微粒子を含有する層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
(平均粒径が0.2〜10μmの粒子)
本発明の光学フィルムにおいて、透明支持体上に平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層(例えば、防眩層、光拡散層)を構築することが好ましい。
平均粒径が0.2〜10μmの粒子は、光学フィルムに防眩機能及び/又は透過光を拡散させて液晶表示装置の視野角を広げる光拡散機能、を付与する目的で用いられる。
上記粒子としては、無機化合物粒子、有機化合物粒子(樹脂粒子など)、及び、無機/有機化合物の複合粒子などが用いられ、特に樹脂粒子、二酸化珪素粒子であることが好ましい。粒子の粒径分布は狭いほど好ましい。粒子の屈折率は特に限定されないが、1.35〜1.80であることが好ましく、より好ましくは1.40〜1.75、さらに好ましくは1.45〜1.75である。
上記粒子の屈折率は、防眩層の場合、層のマトリックスの屈折率(平均粒径が0.2〜10μmの粒子を除いた層の屈折率)とほぼ同じである(屈折率差で0.005以内)か、0.02以上異なっていることが好ましい。
粒子の屈折率を、層のマトリックスの屈折率とほぼ同じにすることで、光学フィルムを画像表示面に装着したときのコントラストが改良される。一方、粒子の屈折率と層のマトリックスの屈折率との間に屈折率の差を付けることで、光学フィルムを画像表示面に装着したときの視認性(ギラツキ故障、液晶表示装置の視野角特性など)が改良される。
粒子の屈折率と層のマトリックスの屈折率との間に屈折率の差を付ける場合、その差は0.03〜0.5であることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.4、特に好ましくは0.05〜0.3である。
また、光拡散層の場合、粒子の屈折率は層のマトリックスの屈折率と0.02以上異なっていることが好ましい。
粒子の屈折率と層のマトリックスの屈折率との間に屈折率の差を付ける場合、その差は0.03〜0.5であることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.4、特に好ましくは0.05〜0.3である。
平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層は、透明支持体の上に構築されていればよく、特に、本発明に係る帯電防止層を有する側に構築されていることが好ましい。この層は、前記のハードコート層、帯電防止層、低屈折率層、高屈折率層、中屈折率層であることが好ましく、より好ましくはハードコート層、帯電防止層、高屈折率層、最も好ましくはハードコート層である。
平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層に関しては、特開2003−4903号公報に記載の内容を適用することが特に好ましい。
(オルガノシラン化合物)
本発明において、光学フィルムの各層に好ましく用いることができるオルガノシラン化合物について記載する。
皮膜の物理強度(耐擦傷性など)、皮膜と皮膜に隣接する層の接着性を改良する点でオルガノシラン化合物及び/又はその誘導体を透明支持体上のいずれかの層に添加することが好ましい。
オルガノシラン化合物及び/又はその誘導体としては、前記一般式(a)及び一般式(b)で表される化合物及び/又はその誘導体を用いることができる。好ましいのは、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アルコキシシリル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基を含有するオルガノシラン化合物であり、特に好ましいのはエポキシ基、重合性のアシルオキシ基((メタ)アクリロイルなど)、重合性のアシルアミノ基(アクリルアミノ、メタクリルアミノなど)を含有するオルガノシラン化合物である。
(その他添加剤)
また、光学フィルムの各層には、他に、樹脂、分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、なども添加することができる。
(低屈折率層)
低屈折率層は、光学フィルムに反射防止性能を付与する目的で構築することができる。
低屈折率層には、本発明の微粒子を分散・固定するためにバインダーが用いられる。バインダーとしては、前記ハードコート層で述べたバインダーを用いることが出来るが、バインダー自身の屈折率の低い含フッ素ポリマー、あるいは含フッ素ゾルゲル素材などを用いることが好ましい。含フッ素ポリマーあるいは含フッ素ゾルゲルとしては、熱または電離放射線により架橋し、形成される低屈折率層表面の動摩擦係数0.03〜0.30であり、水に対する接触角85〜120°となる素材が好ましい。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.46であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、光学フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90度以上であることが好ましい。更に好ましくは95度以上であり、特に好ましくは100度以上である。
以下に本発明の低屈性率層に好ましく用いられる共重合体について説明する。
含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やR−2020(商品名、ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。これらの含フッ素ビニルモノマーの組成比を上げれば屈折率を下げることができるが、皮膜強度は低下する。本発明では共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。
架橋反応性付与のための構成単位としては主として以下の(A)、(B)、(C)で示される単位が挙げられる。
(A):グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、
(B):カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、
(C):分子内に上記(A)、(B)の官能基と反応する基とそれとは別に架橋性官能基を有する化合物を、上記(A)、(B)の構成単位と反応させて得られる構成単位、(例えばヒドロキシル基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で合成できる構成単位)が挙げられる。
上記(C)の構成単位は、特に本発明においては、該架橋性官能基が光重合性基であることが好ましい。ここに、光重合性基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シンナモイル基、シンナミリデンアセチル基、ベンザルアセトフェノン基、スチリルピリジン基、α−フェニルマレイミド基、フェニルアジド基、スルフォニルアジド基、カルボニルアジド基、ジアゾ基、o−キノンジアジド基、フリルアクリロイル基、クマリン基、ピロン基、アントラセン基、ベンゾフェノン基、スチルベン基、ジチオカルバメート基、キサンテート基、1,2,3−チアジアゾール基、シクロプロペン基、アザジオキサビシクロ基などを挙げることができ、これらは1種のみでなく2種以上であってもよい。これらのうち、(メタ)アクリロイル基およびシンナモイル基が好ましく、特に好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
光重合性基含有共重合体を調製するための具体的な方法としては、下記の方法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸クロリドを反応させてエステル化する方法、
(2)水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、イソシアネート基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させてウレタン化する方法、
(3)エポキシ基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸を反応させてエステル化する方法、
(4)カルボキシル基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、エポキシ基を含有する含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させてエステル化する方法。
尚、上記光重合性基の導入量は任意に調節することができ、塗膜面状安定性・無機微粒子共存時の面状故障低下・膜強度向上などの点からカルボキシル基やヒドロキシル基等を一定量残すことも好ましい。
本発明に有用な共重合体では上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N、N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N、N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
本発明で特に有用な含フッ素ポリマーは、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類のランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基((メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等)を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%の場合である。好ましいポリマーについては、特開2002−243907号、特開2002−372601号、特開2003−26732号、特開2003−222702号、特開2003−294911号、特開2003−329804号、特開2004−4444、特開2004−45462号に記載のものを挙げることができる。
また本発明の含フッ素ポリマーには防汚性を付与する目的で、ポリシロキサン構造が導入されていることが好ましい。ポリシロキサン構造の導入方法に制限はないが例えば特開平6−93100号、特開平11−189621号、同11−228631号、特開2000−313709号の各公報に記載のごとく、シリコーンマクロアゾ開始剤を用いてポリシロキサンブロック共重合成分を導入する方法、特開平2−251555号、同2−308806号の各公報に記載のごとくシリコーンマクロマーを用いてポリシロキサングラフト共重合成分を導入する方法が好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平11−189621号の実施例1、2、及び3のポリマー、又は特開平2−251555号の共重合体A−2及びA−3を挙げることができる。これらのポリシロキサン成分はポリマー中の0.5〜10質量%であることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%である。
本発明に好ましく用いることのできるポリマーの好ましい分子量は、質量平均分子量が5000以上、好ましくは10000〜500000、最も好ましくは15000〜200000である。平均分子量の異なるポリマーを併用することで塗膜面状の改良や耐傷性の改良を行うこともできる。
上記のポリマーに対しては特開平10−25388号公報および特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、前記ハードコート層で述べた多官能モノマーを挙げることができる。これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
ポリマー自身が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。例えばポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。
メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているものであり、具体的には、メラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができるが、1分子中にメチロール基及びアルコキシ化メチル基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上有するものが好ましい。具体的には、メラミンとホルムアルデヒドとを塩基性条件下で反応させて得られるメチロール化メラミン、アルコキシ化メチルメラミン、又はそれらの誘導体が好ましく、特に硬化性樹脂組成物に良好な保存安定性が得られる点、及び良好な反応性が得られる点で、アルコキシ化メチルメラミンが好ましい。架橋性化合物として用いられるメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンには特に制約はなく、例えば、文献「プラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂」(日刊工業新聞社)に記載されている方法で得られる各種の樹脂状物の使用も可能である。
また、尿素系化合物としては、尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、ウロン環を有するメチロール化ウロン及びアルコキシ化メチルウロン等を挙げることができる。そして、尿素誘導体等の化合物についても、上記の文献に記載されている各種樹脂状物の使用が可能である。
本発明の低屈折率層には、電離放射線または熱の照射によりラジカルや酸を発生する化合物を使用することができる。
光ラジカル開始剤、熱ラジカル開始剤については、前述の皮膜形成バインダーの頁で述べた化合物を用いることができる。
<熱酸発生剤>
熱酸発生剤の具体例としては、例えば、各種脂肪族スルホン酸とその塩、クエン酸、酢酸、マレイン酸等の各種脂肪族カルボン酸とその塩、安息香酸、フタル酸等の各種芳香族カルボン酸とその塩、アルキルベンゼンスルホン酸とそのアンモニウム塩、アミン塩、各種金属塩、リン酸や有機酸のリン酸エステル等を挙げることができる。
市販されている材料としては、キャタリスト4040、キャタリスト4050、キャタリスト600、キャタリスト602、キャタリスト500、キャタリスト296−9、以上日本サイテックインダストリーズ(株)製、やNACUREシリーズ155、1051、5076、4054JやそのブロックタイプのNACUREシリーズ2500、5225、X49−110、3525、4167以上キング社製などが挙げられる。
この熱酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。添加量がこの範囲であると、硬化性樹脂組成物の保存安定性が良好で塗膜の耐擦傷性も良好なものとなる。
<感光性酸発生剤>
感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)スルホンイミド化合物類;(5)ジアゾメタン化合物類;を挙げることができる。この感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
低屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)、塗布法のどちらで作製してもよいが、低コストで低屈折率層を作製できる点で塗布法が好ましい。低屈折率層は、光学フィルムの最外層、又は、最外層の隣接層として構築される。
気相法による低屈折率層の作製は、例えば、上記ハードコート層の上に、ケイ素化合物、含フッ素化合物などの低屈折率材料(例えば、MgF2、SiOX(1≦X≦2)など)を真空蒸着やスパッタリングすることで実施できる。気相法を用いた低屈折率層の作製には従来公知の手法を用いることができる。
塗布法による低屈折率層の作製は、例えば、上記ハードコート層上にケイ素化合物、含フッ素化合物などの低屈折率材料を含有する塗料を塗布することで実施できる。例えば、SiO2ゾルを含む塗料を塗布してSiO2ゲル膜を形成する方法、フッ素系樹脂を含む塗料を塗布してフッ素樹脂層を形成する方法などが挙げられる。
フッ素系樹脂としては、熱硬化性の官能基、電離放射線硬化性の官能基などの、架橋、又は、重合性の官能基を有する含フッ素化合物の架橋、又は、重合反応により形成されたフッ素系樹脂であることが好ましい。
低屈折率層の屈折率は、透明支持体の屈折率より低いことが好ましく、好ましくは1.30〜1.50、より好ましくは1.35〜1.48、更に好ましくは1.38〜1.46、特に好ましくは1.40〜1.45である。
低屈折率層の膜厚は、通常50〜200nm程度とすればよく、好ましくは60〜150nm、より好ましくは70〜120nm、特に好ましくは75〜100nmである。
低屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下である。
低屈折率層は、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
好ましい低屈折率層に関しては、特開2001−100005号公報、同2001−100007号公報、同2001−188104号公報、同2001−318207号公報、同2002−55205号公報、同2002−71904号公報、同2002−82207号公報、同2002−131507号公報、同2002−131514号公報、同2002−116323号公報、同2002−148404号公報、同2002−156508号公報、同2002−243907号公報、同2002−243905号公報、同2002−372601号公報、同2003−26732号公報、同2003−222702号公報、同2003−222704号公報、同2003−227901号公報、同2003−294911号公報、同2003−329804号公報、同2004−22278号公報、同2004−4444号公報、同2004−42278号公報、同2004−45462号公報、同2004−69866号公報、同2004−93947号公報、同2004−163610号公報、同2004−170919号公報に記載の内容を適用することが特に好ましい。
(高屈折率層)
より優れた反射防止性能を有する光学フィルムを作製するためは、光学フィルムの上(例えば、ハードコート層と低屈折率層の間)に、低屈折率層より高い屈折率を有する層(高屈折率層、及び/又は、中屈折率層)を設けることが好ましい。ここで、高屈折率、中屈折率とは、層相互の相対的な屈折率の高低を意味し、高屈折率層の方が中屈折率層より屈折率が高い。
高屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)、塗布法のどちらで作製してもよいが、低コストで高屈折率層を作製できる点で塗布法が好ましい。
気相法による高屈折率層の作製は、例えば、上記ハードコート層の上に、高屈折率材料を真空蒸着やスパッタリングすることで実施できる。気相法を用いた高屈折率層の作製には従来公知の手法を用いることができる。
塗布法による高屈折率層、中屈折率層の作製は、高い屈折率を有する無機微粒子(例えば、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化錫、ATO、ITO、酸化亜鉛など)を皮膜中に微細に分散させて作製することが好ましい。分散方法については、前述の帯電防止層で説明した事項を適用できる。
また、高屈折率層、中屈折率層には、芳香環基及び/又はフッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br、I、Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S、N、P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。高屈折率層、中屈折率層の屈折率は、適宜制御することができ、高い屈折率を有する微粒子を含有する場合、皮膜中の微粒子の含有率を制御することで屈折率の調整が可能である。高屈折率層、中屈折率層の膜厚は適宜調整できる。
高屈折率層の屈折率は1.65〜2.40が好ましく、より好ましくは1.70〜2.20、さらに好ましくは1.75〜2.10、特に好ましくは1.80〜2.10である。中屈折率層の屈折率は1.55〜1.80が好ましく、より好ましくは1.60〜1.80、さらに好ましくは1.60〜1.75、特に好ましくは1.60〜1.70である。
高屈折率層、中屈折率層は、有機化合物のバインダーを含有することが好ましい。また、上記ハードコート層と同様に、バインダーが架橋又は重合性の官能基を有する化合物の硬化物であることが好ましく、電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成されることが好ましい。
高屈折率層、中屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下である。
高屈折率層、中屈折率層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
好ましい高屈折率層、中屈折率層に関しては、特開平11−153703号公報、特開2001−166104号公報、同2003−227901号公報、同2004−29705号公報、同2004−29705号公報、などに記載されている。
(光学フィルムの表面の凹凸)
光学フィルムは、帯電防止層を有する側の表面に凹凸を形成し、防眩性を付与することもできる。表面の凹凸の形成法としては公知の手法が用いられる。本発明では、フィルムの表面に高い圧力で凹凸の形状を有する版を押し当てる(例えば、エンボス加工)ことにより形成する手法、また、光学フィルム上のいずれかの層に粒子を含有させて防眩層とし、光学フィルムの表面に凹凸を形成する手法が好ましい。
エンボス加工により表面に凹凸を形成する方法では、公知の手法が適用できるが、特開2000−275401号公報、同2000−275404号公報、同2000−329905号公報、同2004−4404号公報に記載されている手法により凹凸を形成することが好ましい。
光学フィルムの表面の凹凸の形成法に関しては、特に、平均粒径が0.2〜10μmの粒子を塗布層に含有させ、層の表面に凹凸を形成することが好ましい。
さらにまた、防眩層の上に上記光学干渉層(中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層など)を形成して、光学フィルムの表面に凹凸を形成することが好ましい。
これらの手法(防眩層の形成など)に関しては、特開2000−111713号公報、同2001−100004号公報、同2001−281406号公報、同2001−281407号公報、同2001−343503号公報、同2001−343504号公報、同2002−40204号公報、同2002−98804号公報、同2002−169001号公報、同2002−202402号公報、同2002−267814号公報、同2002−267817号公報、同2002−277602号公報、同2003−4903号公報に記載の内容を適用することが特に好ましい。
(光拡散層)
光拡散層は、光学フィルムを液晶表示面に装着したときの視認性(ギラツキ故障、液晶表示装置の視野角特性など)を改良するために構築することができる。
光拡散層は、透明支持体と最外層の間に平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層を構築することで作製できる。
光拡散層において、上記粒子の屈折率と層のマトリックスの屈折率との間に屈折率の差を付けることが好ましく、その差は0.03〜0.5であることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.4、特に好ましくは0.05〜0.3である。
平均粒径が0.2〜10μmの粒子は、平均粒径の異なる粒子群を複数組み合わせて使用してもよい。また、異なる材質の粒子を複数組み合わせて使用することも好ましい。
平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有する層は、有機化合物のバインダーを含有することが好ましい。また、上記帯電防止層、ハードコート層と同様に、バインダーが架橋又は重合性の官能基を有する化合物の硬化物であることが好ましく、電離放射線硬化性化合物の架橋又は重合反応により形成されることが好ましい。光拡散層用の具体的バインダーも帯電防止層やハードコート層のバインダーとして述べた材料から選択することが好ましい。
光拡散層のヘイズは、3〜80%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜60%、特に好ましくは7〜50%、最も好ましくは10〜40%である。
光拡散層に関しては、特開2003−43261号公報、同2003−4903号公報、同2003−270409号公報、同2004−184860号公報、に記載の内容を適用することが特に好ましい。
(光学フィルムの形成法等)
本発明において光学フィルムを構成する各層は、共流延法や塗布により作製したものが好ましい。塗布で形成する場合、各層はディップ塗工法式、エアーナイフ塗工法式、ダイ塗工法式、カーテン塗工法式、ローラー塗工方式、ワイヤーバー塗工方式、グラビア塗工方式、マイクログラビア塗工方式やエクストルージョン塗工方式(米国特許2,681,294号明細書記載)により作製することができる。2層以上を同時に塗布してもよい。 同時塗布の方法については、米国特許2,761,791号、同2,941,898号、同3,508,947号、同3,526,528号の各明細書および原崎勇次著、「コーティング工学」、253頁、朝倉書店(1973年)に記載がある。ダイ塗工方式、ワイヤーバー塗工方式、グラビア塗工方式、マイクログラビア塗工方式が好ましい。特に、ダイ塗工方式、マイクログラビア塗工方式が好ましい。
本発明に用いる帯電防止層やハードコート層を塗布で作製する場合、ダイ塗工方式、グラビア塗工方式で作製することが好ましく、特に、ダイ塗工方式で作製することが好ましい。
特に、透明支持体(セルロースアシレートフィルム)の隣接層として本発明の帯電防止層を構築する場合、セルロースアシレートフィルムの塗布面に、直接、グラビアロール、ワイヤーバーなどの硬質材料が接触しないような塗工方式が好ましく、ダイ塗工方式で帯電防止層用の塗料を塗布することが、セルロースアシレートフィルムの傷付きを防止する点で最も好ましい。
さらにまた、本発明の帯電防止層の隣接層としてハードコート層を構築する場合、帯電防止層の表面に、直接、グラビアロール、ワイヤーバーなどの硬質材料が接触しないような塗工方式が好ましく、ダイ塗工方式でハードコート層用の塗料を塗布することが、帯電防止層の傷付きを防止する点で最も好ましい。
また、帯電防止層は、透明支持体を作製する工程において、セルロースアシレートフィルムの流延から巻き取りまでの間に、構築することが好ましい。更には、セルロースアシレートフィルムの流延から巻き取りまでの間に、帯電防止層とハードコート層の両方を構築することが好ましい。このように、一連の工程で光学フィルムを作製することで、生産性が向上し低コストで光学フィルムを作製できる。
また、本発明に適用される帯電防止層やハードコート層は共流延法で作製することが好ましい。
共流延法としては、特公昭44−20235号公報、特公昭62-43846号公報、特公昭60−27562号公報、及び、特開昭53−134869号公報、同56−162617号公報、同61−18943号公報、同61−94724号公報、同61−94725号公報、同61−104813号公報、同61−158414号公報、同61−158413号公報、特開平1−122419号公報、同6−134933号公報、同10−058514号公報、同11−198285号公報、特開2000−317960号公報、同2002−221620号公報、同2003−80541号公報、同2003−14933号公報、などに記載がある。
[光学フィルム]
光学フィルムは、上記で例示した各層を構築して反射防止フィルム、防眩フィルム、光拡散フィルムとしたフィルムであることが好ましい。
本発明の光学フィルムは、表面に塵埃(埃など)が付着するのを防止するために、帯電防止層を有する側の表面の表面抵抗値が1×1014Ω/□以下であることが好ましい。より好ましくは1×1012Ω/□以下、更に好ましくは1×1011Ω/□以下、特に好ましくは1×109Ω/□以下、最も好ましくは1×108Ω/□以下である。
また、本発明の光学フィルムは、物理強度(耐擦傷性など)を改良するために、帯電防止層を有する側の表面の動摩擦係数は0.25以下であることが好ましい。ここで記載した動摩擦係数は、直径5mmのステンレス剛球に0.98Nの荷重をかけ、速度60cm/分で帯電防止層を有する側の表面を移動させたときの、帯電防止層を有する側の表面と直径5mmのステンレス剛球の間の動摩擦係数をいう。好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
光学フィルムは、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
また、光学フィルムは、防汚性能を改良するために、帯電防止層を有する側の表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
光学フィルムが防眩機能、光拡散機能を持たない場合、ヘイズは低いほど好ましい。
光学フィルムが防眩機能、光拡散機能を有する場合、ヘイズは、0.5〜50%であることが好ましく、1〜40%であることがさらに好ましく、1〜30%であることが最も好ましい。
図1及び図2は光学フィルムの好ましい態様を模式的に示す概略断面図であり、図1は反射防止性能に優れた光学フィルムの層構成を模式的に示すa、bの2つの態様の概略断面図、図2は防眩性能を有する光学フィルムの層構成a及び光拡散性能を有する光学フィルムの層構成bの2つの態様を模式的に示す概略断面図である。図中の部材番号は、1、透明支持体;2、帯電防止層;3、ハードコート層;4、低屈折率層(最外層);5、中屈折率層;6、高屈折率層;7、防眩層;8、平均粒径が0.2〜10μmの粒子;9、平均粒径が0.2〜10μmの導電性粒子;10、粘着剤層;11、12、偏光膜の保護フィルム;13、偏光膜;14、光拡散層を指している。
(偏光板用保護フィルム)
光学フィルムを偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)として用いることができる。この場合、帯電防止層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が40°以下であることが好ましい。さらに好ましくは30°以下であり、特に好ましくは25°以下である。接触角を40°以下にすることは、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに有効である。この接触角は下記の鹸化処理の処理条件により調整することができる。
本発明における偏光板用保護フィルムを作製する手法としては、下記2つの手法が挙げられる。
(1)鹸化処理した透明支持体の一方の面に上記の各層(例、帯電防止層、ハードコート層、低屈折率層、高屈折率層、最外層など)を塗設する手法。
(2)透明支持体の一方の面に上記の各層(例、帯電防止層、ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層、最外層など)を塗設した後、偏光膜と貼り合わせる側を鹸化処理する手法。
上記(1)の手法において、透明支持体の一方の面のみが鹸化処理されている場合、各層は鹸化処理されていない側に塗設する。透明支持体の両方の面が鹸化処理されている場合、各層を塗設する側の鹸化処理した透明支持体の表面をコロナ放電処理、グロー放電処理、火焔処理などの手法により表面処理し、その後、各層を塗設することが好ましい。
上記(2)の手法において、光学フィルム全体を鹸化液に浸漬することが好ましい。この場合、光学フィルムは各層を有する側の表面を保護フィルムで保護して鹸化液に浸せきし、偏光膜と貼り合わせる側の透明支持体の表面を鹸化処理することもできる。
さらにまた、光学フィルムの偏光膜と貼り合わせる側の透明支持体の表面に鹸化処理液を塗布して、偏光膜と貼り合わせる側を鹸化処理することもできる。
鹸化処理は、保護フィルムの上に上記光学性能(反射防止性能、防眩性能,光拡散性能など)を付与した後に実施することで、よりコストを削減でき、特に(2)の手法が、偏光板用保護フィルムを安価に製造できる点で好ましい。
偏光板用保護フィルムは、光学性能(反射防止性能、防眩性能、光拡散性能など)、物理性能(耐擦傷性など)、耐薬品性能、防汚性能(耐汚染性など)、耐候性能(耐湿熱性、耐光性)、防塵性能において、光学フィルムで記載した性能を満足することが好ましい。
従って、帯電防止層を有する側の表面の表面抵抗値が1×1014Ω/□以下であることが好ましい。より好ましくは1×1012Ω/□以下、更に好ましくは1×1011Ω/□以下、特に好ましくは1×109Ω/□以下、最も好ましくは1×108Ω/□以下である。
帯電防止層を有する側の表面の動摩擦係数は0.25以下であることが好ましい。好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
また、帯電防止層を有する側の表面の水に対する接触角は90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
(鹸化処理)
上記の鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に透明支持体、又は、光学フィルムを適切な時間浸漬して実施するのが好ましい。
アルカリ液は、水酸化カリウム水溶液、及び/又は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3規定であり、特に好ましくは1〜2規定である。好ましいアルカリ液の液温は30〜70℃、特に好ましくは40〜60℃である。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、透明支持体の表面が親水化される。偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、帯電防止層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは25゜以下である。
(偏光板)
偏光板は、偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)の少なくとも一方に、本発明の光学フィルムを有する。偏光板用保護フィルムは、上記のように、帯電防止層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が40°以下であることが好ましい。
光学フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いることにより、前記光学性能に優れた偏光板が作製でき、大幅なコスト削減、表示装置の薄手化が可能となる。
また、光学フィルムを2枚の保護フィルムの一方に、後述する光学異方性のある光学補償フィルムをもう一方に用いた偏光板は、さらに、液晶表示装置の明室でのコントラストを改良し、上下左右の視野角を非常に広げることができるので、好ましい。
(光学補償フィルム)
上記光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、ディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性層を有し、該ディスコティック化合物とフィルム面とのなす角度が、光学異方性層の深さ方向で変化していることを特徴とする光学補償フィルムが好ましい。すなわち、ディスコティック構造単位を有する化合物の配向状態としては、例えば、ハイブリッド配向、ベント配向、ツイスト配向、ホモジニアス配向、ホメオトロピック配向等であることが好ましく、ハイブリッド配向であることが特に好ましい。
該角度は、光学異方性層中で光学補償フィルムの支持体面側からの距離の増加とともに局所的なゆらぎをもちつつ増加していることが好ましい。
また、光学異方性層が更にセルロースエステルを含んでいる態様、光学異方性層と光学補償フィルムの透明支持体との間に配向層が形成されている態様、該光学異方性層を有する光学補償フィルムの透明支持体が、光学的に負の異方性を有し、且つ該透明支持体面の法線方向に光軸を有する態様、更に下記の条件を満足する態様も好ましい。
20≦{(nx+ny)/2−nz}×d≦400
式中、nxは面内の遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり、nyは面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率、nzは面に垂直方向の屈折率である。また、dは光学異方性層の厚さ(nm)である。
光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムとして用いる場合、偏光膜と貼り合わせる側の表面が鹸化処理されていることが好ましく、前記の鹸化処理に従って実施することが好ましい。
(画像表示装置)
光学フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。光学フィルムは、光学フィルムの透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着する。
図3及び図4は光学フィルムの画像表示装置に適用する様々な態様を模式的に示す概略断面図である。図3及び図4における各構成層及び構成成分の部材番号は、図1及び図2の説明において前記した部材番号と共通である。
図3(a)は、光学フィルムを画像表示装置、特に、PDP、ELD、CRTに適用する好ましい態様である。この光学フィルムは、透明支持体1を、粘着剤層10を介して画像表示装置の画像表示面に接着することができる。
図3(b)と図4(c)及び(d)は、光学フィルムをLCDに適用する好ましい態様である。
図3(b)では、光学フィルムの透明支持体1が粘着剤層10を介して偏光膜13の保護フィルム12に接着している。もう一方の偏光膜の保護フィルム11側を粘着剤層10を介して液晶表示装置の液晶表示面に接着することができる。
図4(c)では、光学フィルム(偏光板用保護フィルム)の透明支持体1が粘着剤層10を介して偏光膜13に接着しており、偏光膜13のもう一方の保護フィルム11側を粘着剤層10を介して液晶表示装置の液晶表示面に接着することができる。
図4(d)では、光学フィルム(偏光板用保護フィルム)は透明支持体1が直接偏光膜13に接着しており、偏光膜13のもう一方の保護フィルム11側を粘着剤層10を介して液晶表示装置の液晶表示面に接着することができる。
粘着剤層10には、粒子、染料などの添加剤を添加してもよい。
本発明において光学フィルム及び偏光板は、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
特にTNモードやIPSモードの液晶表示装置に対しては、特開2001−100043号公報等に記載されているように、上記の光学補償フィルムと光学フィルムを保護フィルムとして有する偏光板を用いることで、視野角特性と反射防止特性を大幅に改良できる。
また、さらに市販の輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば住友3M(株)製のD−BEF(商品名)など)と併せて用いることにより、透過型または半透過型の液晶表示装置において、さらに視認性の高い表示装置を得ることができる。
また、λ/4板と組み合わせることで、反射型液晶用の偏光板や、有機ELディスプレイ用表面保護板として表面および内部からの反射光を低減するのに用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれによって限定して解釈されるものではない。
なお、実施例1、実施例2、及び実施例4において、「実施例」とあるのを「参考例」と読み替えるものとする。
(帯電防止層用塗料(A))
メチルエチルケトン12.58質量部に、シクロヘキサノン42.50質量部、セルロースアセテート(アセチル基の置換度;2.4、重合度;180)2.17質量部を添加し、撹拌して、セルロースアセテート溶液を作製した。
上記セルロースアセテート溶液に、市販のアンチモン含有酸化錫(ATO)分散液(SNS−10M、固形分濃度30質量%、石原産業(株)製)42.75質量部を添加して、撹拌した。尚、SNS−10Mは、カップリング剤により表面処理したSN−100P(ATO、比表面積80m2/g、石原産業(株)製)を分散剤を用いて分散した、メチルエチルケトン(MEK)分散液である。
孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して帯電防止層用塗料(A)を調製した。
(帯電防止層用塗料(B))
市販のアンチモン含有酸化錫(ATO)分散液(SNS−10M、固形分濃度30質量%、溶媒MEK、石原産業(株)製)のMEK溶媒をシクロヘキサノンに溶媒置換し、固形分濃度30質量%のATO分散液を作製した。
シクロヘキサノン4.08質量部に、メチレンクロライド51.00質量部、セルロースアセテート(アセチル基の置換度;2.4、重合度;180)2.17質量部を添加し、撹拌して、セルロースアセテート溶液を作製した。
上記セルロースアセテート溶液に、上記ATO分散液42.75質量部を添加して、撹拌した。
孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して帯電防止層用塗料(B)を調製した。
(帯電防止層用塗料(C))
市販のアンチモン含有酸化錫(ATO)分散液(SNS−10M、固形分濃度30質量%、溶媒MEK、石原産業(株)製)のMEK溶媒をシクロヘキサノンに溶媒置換し、固形分濃度30質量%のATO分散液を作製した。
シクロヘキサノン38.08質量部に、セルロースアセテート(アセチル基の置換度;2.4、重合度;170)2.17質量部を添加し、撹拌して、セルロースアセテート溶液を作製した。
上記セルロースアセテート溶液に、上記ATO分散液42.75質量部、メチルイソブチルケトン17.00質量部を添加して、撹拌した。
孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して帯電防止層用塗料(C)を調製した。
(帯電防止層用塗料(D))
メチルエチルケトン55.08質量部に、セルロースアセテート(アセチル基の置換度;2.4、重合度;170)2.17質量部を添加し、撹拌して、セルロースアセテート溶液を作製した。
上記セルロースアセテート溶液に、市販のアンチモン含有酸化錫(ATO)分散液(SNS−10M、固形分濃度30質量%、石原産業(株)製)42.75質量部を添加して、撹拌した。
孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して帯電防止層用塗料(D)を調製した。
(帯電防止層用塗料(E))
市販のアンチモン含有酸化錫(ATO)分散液(SNS−10M、固形分濃度30質量%、溶媒MEK、石原産業(株)製)のMEK溶媒をシクロヘキサノンに溶媒置換し、固形分濃度30質量%のATO分散液を作製した。
シクロヘキサノン40.80質量部に、セルロースアセテート(アセチル基の置換度;2.4、重合度;170)3.34質量部を添加し、撹拌して、セルロースアセテート溶液を作製した。
上記セルロースアセテート溶液に、上記ATO分散液38.86質量部、メチルイソブチルケトン17.00質量部を添加して、撹拌した。
孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して帯電防止層用塗料(E)を調製した。
(帯電防止層用塗料(F))
市販のアンチモン含有酸化錫(ATO)分散液(SNS−10M、固形分濃度30質量%、溶媒MEK、石原産業(株)製)のMEK溶媒をシクロヘキサノンに溶媒置換し、固形分濃度30質量%のATO分散液を作製した。
シクロヘキサノン43.53質量部に、セルロースアセテート(アセチル基の置換度;2.4、重合度;170)4.50質量部を添加し、撹拌して、セルロースアセテート溶液を作製した。
上記セルロースアセテート溶液に、上記ATO分散液34.97質量部、メチルイソブチルケトン17.00質量部を添加して、撹拌した。
孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して帯電防止層用塗料(F)を調製した。
(帯電防止層用塗料(G))
市販のアンチモン含有酸化錫(ATO)分散液(SNS−10M、固形分濃度30質量%、溶媒MEK、石原産業(株)製)のMEK溶媒をシクロヘキサノンに溶媒置換し、固形分濃度30質量%のATO分散液を作製した。
シクロヘキサノン40.80質量部に、セルロースアセテート(アセチル基の置換度;2.4、重合度;170)2.59質量部を添加し、撹拌して、セルロースアセテート溶液を作製した。
上記セルロースアセテート溶液に、上記ATO分散液38.86質量部、メチルイソブチルケトン17.00質量部、イソシアネート基含有硬膜剤(ミリオネートMR−400、日本ポリウレタン(株)製)0.75質量部を添加して、撹拌した。
孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して帯電防止層用塗料(G)を調製した。
(帯電防止層用塗料(H))
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、メチルイソブチルケトン120質量部、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100質量部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(商品名:ケロープEP−12,ホープ製薬(株)製)3質量部を加えて混合したのち、イオン交換水30質量部を加え、60℃で4時間反応させた。室温まで冷却し、オルガノシラン化合物Aの溶液(固形分濃度29質量%)を得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、原料の3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランは殆ど残存していなかった。
市販のアンチモン含有酸化錫(ATO)分散液(SNS−10M、固形分濃度30質量%、溶媒MEK、石原産業(株)製)のMEK溶媒をシクロヘキサノンに溶媒置換し、固形分濃度30質量%のATO分散液を作製した。
シクロヘキサノン40.80質量部に、セルロースアセテート(アセチル基の置換度;2.4、重合度;170)2.59質量部を添加し、撹拌して、セルロースアセテート溶液を作製した。
上記セルロースアセテート溶液に、上記ATO分散液38.86質量部、メチルイソブチルケトン15.16質量部、オルガノシラン化合物Aの溶液2.59質量部を添加して、撹拌した。
孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して帯電防止層用塗料(H)を調製した。
(帯電防止層用塗料(I))
メチルエチルケトン54.88質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)2.17質量部を添加し、撹拌して、DPHA溶液を作製した。
上記DPHA溶液に、市販のアンチモン含有酸化錫(ATO)分散液(SNS−10M、固形分濃度30質量%、石原産業(株)製)42.75質量部、重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.20質量部を添加して、撹拌した。
孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して帯電防止層用塗料(I)を調製した。
(帯電防止層用塗料(J))
シクロヘキサノン76.00質量部に、メチルイソブチルケトン19.00質量部、セルロースアセテート(アセチル基の置換度;2.4、重合度;170)5.0質量部を添加し、撹拌して、セルロースアセテート溶液を作製した。
孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、導電材を含有しない塗料(J)を調製した。
(ハードコート層用塗料(I)の調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)45.0質量部に、重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)2.0質量部、オルガノシラン化合物(KBM−5103、信越化学工業(株)製)5.0質量部、メチルイソブチルケトン40.0質量部、シクロヘキサノン8.0質量部を添加して、撹拌した。
孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層用塗料を調製した。
(ハードコート層用塗料(II)の調製)
酸化ジルコニウム微粒子を含有する透明高屈折率ハードコート材料(デソライトZ7404、JSR(株)製、固形分濃度;60質量%、酸化ジルコニウム微粒子含率;70質量%(対固形分)、酸化ジルコニウム微粒子の平均粒径;約20nm、溶剤組成;MIBK/MEK=9/1)285.0質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)85.0質量部、オルガノシラン化合物(KBM−5103、信越化学工業(株)製)28.0質量部、メチルイソブチルケトン60.0質量部、メチルエチルケトン17.0質量部を添加して、撹拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.61であった。
さらにこの溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで分散した平均粒径3.0μmの分級した架橋PMMA粒子(屈折率1.49、MXS−300、綜研化学(株)製)の30質量%メチルイソブチルケトン分散液35.0質量部、同様にして作製した平均粒径1.5μmのシリカ粒子(屈折率1.46、シーホスターKE−P150、(株)日本触媒製)の30質量%メチルエチルケトン分散液90.0質量部を添加して、撹拌した。
孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して光拡散ハードコート層用塗料(II)を調製した。
(ハードコート層用塗料(III)の調製)
ハードコート層塗料(II)に、平均粒径3.0μmの導電性粒子(ブライト41GNR3.0−EH、日本化学工業(株)製)の30質量%メチルエチルケトン分散液2.0質量部を添加して、撹拌した。尚、導電粒子の前記S値は2.0以下であった。
孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して光拡散ハードコート層用塗料(III)を調製した。
(ハードコート層用塗料(IV)の調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)55.0質量部に、重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)2.0質量部、オルガノシラン化合物(KBM−5103、信越化学工業(株)製)8.0質量部、メチルイソブチルケトン30.0質量部、メチルエチルケトン5.0質量部を添加して、撹拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.53であった。
さらにこの溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで分散した平均粒径3.5μmの架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)のメチルイソブチルケトン分散液(固形分濃度30質量%)25.0質量部、同様にして作製した平均粒径3.5μmの架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.56)のメチルイソブチルケトン分散液(固形分濃度30質量%)8.0質量部、及び、平均粒径3.5μmの導電性粒子(ミクロパールAU−2035、積水化学工業(株)製)のメチルイソブチルケトン分散液(固形分濃度30質量%)0.5質量部を添加して撹拌した。尚、導電性粒子の前記S値は1.0以下であった。
孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩ハードコート層用塗料(IV)を調製した。
上記の各材料を用いて、以下の実施例1−1〜25及び比較例1−A、Bの各光学フィルム試料を作製した。
(実施例1−1)
膜厚80μm、幅1340mmのセルローストリアセテートフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)上に、上記帯電防止層用塗料(A)を、ダイ塗工方式で塗布した。100℃で150秒乾燥し、膜厚0.2μmの帯電防止層を作製した。
さらに、帯電防止層の上に、上記ハードコート層用塗料(I)を、ダイ塗工方式で塗布した。100℃で150秒乾燥した後、窒素パージ(酸素濃度0.1%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚2.5μmのハードコート層を作製した。このようにして、実施例1−1の光学フィルムを作製した。
(実施例1−2)
実施例1−1において、帯電防止層用塗料(A)を帯電防止層用塗料(B)に変更した以外は全く同様にして、実施例1−2の光学フィルムを作製した。
(実施例1−3)
実施例1−1において、帯電防止層用塗料(A)を帯電防止層用塗料(C)に変更した以外は全く同様にして、実施例1−3の光学フィルムを作製した。
(実施例1−4)
実施例1−1において、帯電防止層用塗料(A)を帯電防止層用塗料(D)に変更した以外は全く同様にして、実施例1−4の光学フィルムを作製した。
(実施例1−5)
実施例1−1において、帯電防止層用塗料(A)を帯電防止層用塗料(E)に変更した以外は全く同様にして、実施例1−5の光学フィルムを作製した。
(実施例1−6)
実施例1−1において、帯電防止層用塗料(A)を帯電防止層用塗料(F)に変更した以外は全く同様にして、実施例1−6の光学フィルムを作製した。
(実施例1−7)
膜厚80μm、幅1340mmのセルローストリアセテートフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)上に、上記帯電防止層用塗料(G)を、ダイ塗工方式で塗布した。100℃で20分間乾燥して、膜厚0.2μmの帯電防止層を作製した。
さらに、帯電防止層の上に、実施例1−1と全く同様にして、膜厚2.5μmのハードコート層を作製した。このようにして、実施例1−7の光学フィルムを作製した。
(実施例1−8)
膜厚80μm、幅1340mmのセルローストリアセテートフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)上に、帯電防止層用塗料(H)を、ダイ塗工方式で塗布した。100℃で150秒間乾燥した後、窒素パージ(酸素濃度0.5%)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚0.2μmの帯電防止層を作製した。
さらに、帯電防止層の上に、実施例1−1と全く同様にして、膜厚2.5μmのハードコート層を作製した。このようにして、実施例1−8の光学フィルムを作製した。
(実施例1−9)
実施例1−1で作製した帯電防止層の上に、ハードコート層用塗料(II)を、ダイ塗工方式で塗布した。100℃で150秒乾燥した後、窒素パージ(酸素濃度0.1%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚3.7μmのハードコート層を作製した。このようにして、防眩性は殆ど無いが、透過光における光拡散機能を有する実施例1−9の光学フィルムを作製した。
(実施例1−10)
実施例1−9において、ハードコート層用塗料(II)をハードコート層用塗料(III)に変更した以外は全く同様にして、防眩性は殆ど無いが、透過光における光拡散機能を有する実施例1−10の光学フィルムを作製した。
(実施例1−11)
実施例1−2で作製した帯電防止層の上に、ハードコート層用塗料(III)を、ダイ塗工方式で塗布した。100℃で150秒乾燥した後、窒素パージ(酸素濃度0.1%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚3.7μmの透過光における光拡散機能を有するハードコート層を作製した。このようにして、防眩性は殆ど無いが、透過光における光拡散機能を有する実施例1−11の光学フィルムを作製した。
(実施例1−12)
実施例1−11において、帯電防止層を実施例1−3で作製した帯電防止層に変更した以外は全く同様にして、実施例1−12の光学フィルムを作製した。
(実施例1−13)
実施例1−11において、帯電防止層を実施例1−4で作製した帯電防止層に変更した以外は全く同様にして、実施例1−13の光学フィルムを作製した。
(実施例1−14)
実施例1−11において、帯電防止層を実施例1−5で作製した帯電防止層に変更した以外は全く同様にして、実施例1−14の光学フィルムを作製した。
(実施例1−15)
実施例1−11において、帯電防止層を実施例1−6で作製した帯電防止層に変更した以外は全く同様にして、実施例1−15の光学フィルムを作製した。
(実施例1−16)
実施例1−11において、帯電防止層を実施例1−7で作製した帯電防止層に変更した以外は全く同様にして、実施例1−16の光学フィルムを作製した。
(実施例1−17)
実施例1−11において、帯電防止層を実施例1−8で作製した帯電防止層に変更した以外は全く同様にして、実施例1−17の光学フィルムを作製した。
(実施例1−18)
実施例1−1で作製した帯電防止層の上に、上記ハードコート層用塗料(IV)を、ダイ塗工方式で塗布した。100℃で150秒乾燥した後、窒素パージ(酸素濃度0.1%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度400mW/cm2、照射量100mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚5.5μmの防眩機能を有するハードコート層を作製した。ハードコート層の表面の表面粗さ(Ra)を原子間力顕微鏡(AFM)を用いて評価したところ0.14μmであった。
このようにして、防眩性を有する実施例1−18の光学フィルムを作製した。
(実施例1−19)
実施例1−18において、帯電防止層を実施例1−2で作製した帯電防止層に変更した以外は全く同様にして、防眩性を有する実施例1−19の光学フィルムを作製した。
(実施例1−20)
実施例1−19において、帯電防止層を実施例1−3で作製した帯電防止層に変更した以外は全く同様にして、防眩性を有する実施例1−20の光学フィルムを作製した。
(実施例1−21)
実施例1−19において、帯電防止層を実施例1−4で作製した帯電防止層に変更した以外は全く同様にして、防眩性を有する実施例1−21の光学フィルムを作製した。
(実施例1−22)
実施例1−19において、帯電防止層を実施例1−5で作製した帯電防止層に変更した以外は全く同様にして、防眩性を有する実施例1−22の光学フィルムを作製した。
(実施例1−23)
実施例1−19において、帯電防止層を実施例1−6で作製した帯電防止層に変更した以外は全く同様にして、防眩性を有する実施例1−23の光学フィルムを作製した。
(実施例1−24)
実施例1−19において、帯電防止層を実施例1−7で作製した帯電防止層に変更した以外は全く同様にして、防眩性を有する実施例1−24の光学フィルムを作製した。
(実施例1−25)
実施例1−19において、帯電防止層を実施例1−8で作製した帯電防止層に変更した以外は全く同様にして、防眩性を有する実施例1−25の光学フィルムを作製した。
[比較例1]
(比較例1−A)
実施例1−4において、帯電防止層用塗料(D)を帯電防止層用塗料(I)に変更した以外は全く同様にして、比較例1−Aの光学フィルムを作製した。
(比較例1−B)
実施例1−4において、帯電防止層用塗料(D)を帯電防止層用塗料(J)に変更した以外は全く同様にして、比較例1−Bの光学フィルムを作製した。
(光学フィルムの評価)
実施例1−1〜25及び比較例1−A、Bで作製した光学フィルムについて、以下の項目の評価を行った。結果を表1に示す。
(1)接着性の評価
帯電防止層を有する側の表面において、カッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(NO.31B)による接着試験を同じ場所で繰り返し2回行なった。塗布層の剥がれの有無を目視で観察し、下記の4段階で評価した。
◎;100升において剥がれが全く認められなかったもの
○;100升において剥がれが認められたものが2升以内のもの
△;100升において剥がれが認められたものが10〜3升のもの
×;100升において剥がれが認められたものが10升をこえたもの
(2)表面抵抗の評価
ハードコート層を塗設する前の帯電防止層の表面とハードコート層を塗設した後のハードコート層の表面において、それぞれの表面抵抗を表面抵抗測定機(TR8601、(株)アドバンテスト製)を用いて、25℃、相対湿度60%の条件下で測定した。
(3)防塵性の評価
光学フィルムをモニターに張り付け、モニターの電源を入れると同時に帯電防止層を有する側の表面に塵埃(衣服の繊維屑)を振りかけた。クリーニングクロスで塵埃を拭き取り、塵埃の除去性を調べ、下記の4段階で評価した。
◎;塵埃が完全に取り除けたもの
○;塵埃が極めて僅かに残ったもの
△;塵埃が若干残ったもの
×;塵埃がかなり残ったもの
(4)耐擦傷性の評価
光学フィルムの帯電防止層を有する側の表面において、ラビングテスターを用いてスチールウールによる擦りテストを実施した。
こすり材としてスチールウール(日本スチールウール(株)製、グレードNO.0000)を用い、移動距離(片道)13cm、こすり速度13cm/秒、荷重1.96N/cm2、先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数2往復の条件で実施した。表面についた傷について目視観察して、下記の4段階で評価した。
◎;注意深く見ても、全く傷が見えない。
○;注意深く見ると、僅かに弱い傷が見える。
△;弱い傷が見える。
×;一目見ただけで目立つ傷が見える。
(評価結果)
各試料についての評価試験結果を表1に示す。
(表1)
Figure 0004810155
表1の結果から明らかなように、セルロースアシレートを含有する本発明例の帯電防止層を有する実施例1−1〜25の光学フィルムは、接着性、防塵性、耐擦傷性に優れるものであった。
これに対し、セルロースアシレートを含有しない帯電防止層を有する比較例1−Aは、接着性が悪かった。また、帯電防止層を有さない比較例1−Bは防塵性が悪かった。
また、表1には示してないが、帯電防止層とハードコート層を有しない比較例1−C(TAC−TD80U)は、防塵性及び耐擦傷性がともに悪かった。
また、帯電防止層用塗料(A)、(B)において使用したセルロースアセテートをアセチル基の置換度;2.78、重合度;290のセルロースアセテート(セルローストリアセテート)に変更した試料について同じ評価試験を行っても同様の結果が得られた。
また、上記ATO分散液SNS−10M(石原産業(株)製)に含有する導電材(ATO)をスズドープ酸化インジウム(ITO)(比表面積40m2/g)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)(比表面積50m2/g)に変更しても同様の結果が得られた。さらにまた、帯電防止層用塗料の溶剤組成をジクロロメタン/メタノール=90/10、ジクロロメタン/メタノール/ブタノール=90/7/3に変更しても同様の結果が得られた。
(比較例1−D)
市販のアンチモン含有酸化錫(ATO)分散液(SNS−10M、固形分濃度30質量%、溶媒MEK、石原産業(株)製)を溶媒置換して、固形分濃度30質量%、溶剤組成;メチルイソブチルケトン/MEK=7/3(質量比)のATO分散液を作製した。上記ATO分散液87.6質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)11.4質量部、重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)1.0質量部を添加して、撹拌した。このようにして、帯電防止機能を有するハードコート層用塗料を調整した。
膜厚80μm、幅1340mmのセルローストリアセテートフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)上に、上記ハードコート層用塗料を、ダイ塗工方式で塗布した。100℃で150秒乾燥た後、窒素パージ(酸素濃度0.1%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚2.5μmの帯電防止性を有するハードコート層を作製した。このようにして、比較例1−Dの光学フィルムを作製した。
比較例1−Dで作製した光学フィルムを実施例1−1〜25と同様に評価した結果、接着性、防塵性、耐擦傷性は優れていた。しかし、実施例1−1〜25で作製した光学フィルムと比較して、顕著に着色(紺色)しており、さらにまた、光線透過率が5%以上低かった。
比較例1−Dの帯電防止性を有するハードコート層は、実施例1−1〜25の帯電防止層よりも膜厚が厚く、多量のATOを含有している。比較例1−Dの光学フィルムの着色、光線透過率が低いことの原因は、ハードコート層に含有される多量のATOに起因しており、ハードコート層に導電材を含有することは、好ましくない。
(セルロースアセテートドープ(a)の調製)
攪拌羽根を有するステンレス製溶解タンクに、下記組成物を投入し、加熱しながら攪拌してセルロースアセテートドープ(a)を調製した。

メチレンクロライド 59.2 質量部
メタノール 15.4 質量部
1−ブタノール 0.5 質量部
セルローストリアセテート粉体(置換度2.84) 22.4 質量部
トリフェニルホスフェート 1.67 質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 0.75 質量部
(UV剤液1の調製)
別の溶解タンクに下記組成物を投入し、攪拌溶解してUV剤液1を調製した。

2(2'-ヒト゛ロキシ-3',5'-シ゛-tert-フ゛チルフェニル)ヘ゛ンソ゛トリアソ゛ール 7.65 質量部
2(2'-ヒト゛ロキシ-3',5'-シ゛-tert-アミルフェニル)-5-クロルヘ゛ンソ゛トリアソ゛ール
3.25 質量部
メチレンクロライド 77.0 質量部
アセトン 11.6 質量部
1−ブタノール 0.5 質量部
(セルロースアセテートドープ(b)の調製)
別の溶解タンクに下記組成物を投入し、攪拌溶解してセルロースアセテートドープ(b)を調製した。

セルロースアセテートドープ(a) 98.0 質量部
UV剤液1 2.0 質量部
(微粒子分散液1の調製)
別の溶解タンクに下記組成物を投入し、攪拌溶解して微粒子分散液1を調製した。

微粒子(SiO2 (粒径15nm)) 1.43 質量部
メチレンクロライド 85.2 質量部
アセトン 12.8 質量部
1−ブタノール 0.6 質量部
(セルロースアセテートドープ(c)の調製)
別の溶解タンクに下記組成物を投入し、攪拌溶解してセルロースアセテートドープ(c)を調製した。

セルロースアセテートドープ(a) 93.0 質量部
微粒子分散液1 7.0 質量部
(セルロースアセテートドープ(d)の調製)
別の溶解タンクに下記組成物を投入し、攪拌溶解してセルロースアセテートドープ(d)を調製した。

セルロースアセテートドープ(a) 75.0 質量部
SNS−10M 25.0 質量部
(セルロースアセテートドープ(e)の調製)
別の溶解タンクに下記組成物を投入し、攪拌溶解してセルロースアセテートドープ(e)を調製した。

セルロースアセテートドープ(a) 60.0 質量部
SNS−10M 40.0 質量部
(導電剤分散液SNS−10MCの調製)
前記アンチモン含有酸化錫(ATO)分散液SNS−100M(固形分濃度30質量%)を減圧蒸留して、固形分濃度40質量%のアンチモン含有酸化錫を調製した。これをSNS−10MC(固形分濃度40質量%)と称する。
(セルロースアセテートドープ(f)の調製)
別の溶解タンクに下記組成物を投入し、攪拌溶解してセルロースアセテートドープ(f)を調製した。

セルロースアセテートドープ(a) 50.0 質量部
SNS−10MC 50.0 質量部
(共流延支持体試料201〜204の作製)
共流延用に調整したフィードブロックを装備し、主流延層のほかに片面に副流延層を積層して2層構造のフィルムを成形できるようにした流延ダイを用いた。セルロースアセテートドープ(c)を主流延層とし、セルロースアセテートドープ(d)を副流延層として、下記膜厚になるように押し出し量を調節してバンド流延した。その後100℃の乾燥風で残留溶剤度が10質量%になるまで乾燥し、さらに130℃の乾燥風で10分間乾燥した。
このようにして主流延層膜厚が78μm、副流延層膜厚が2μmで、合計膜厚が80μmの支持体試料201を作製した。
試料201に対して、各ドープの種類、組み合わせを表2のように変更して試料202〜試料204を作製した。試料201〜204の内容を表2に示す。
Figure 0004810155
(共流延支持体試料211〜216の作製)
共流延用に調整したフィードブロックを装備し、主流延層のほかにその両面に副流延層を積層して3層構造のフィルムを成形できるようにした流延ダイを用いた。セルロースアセテートドープ(b)を主流延層とし、セルロースアセテートドープ(d)をバンド側副流延層とし、セルロースアセテートドープ(c)を反対の空気面流延層として下記膜厚になるように押し出し量を調節してバンド流延した。その後100℃の乾燥風で残留溶剤度が10質量%になるまで乾燥し、さらに130℃の乾燥風で10分間乾燥した。このようにして主流延層膜厚が74μm、ドープ(d)の副流延層膜厚が2μm、ドープ(c)の副流延層膜厚が4μmで、合計膜厚80μmの支持体試料211を作製した。
試料211に対して、各ドープの種類、組み合わせを表3のように変更して試料212〜試料216を作製した。試料211〜216の内容を表3に示す。
Figure 0004810155
実施例2で作製した支持体試料201〜204、支持体試料211〜216の導電材を含有する副流延層側の上に、実施例1のハードコート層塗料を実施例1と同様の方法で塗布、硬化して実施例2の光学フィルム試料を作製した。
支持体試料とハードコート層塗料の組み合わせを表4に示す。さらにこれらの光学フィルム試料を実施例1と同じ評価を行なった結果も合わせて表4に示す。
(表4)
Figure 0004810155
表4結果から、導電材を含有する副流延層を有するセルロースアシレート支持体試料(実施例2−1〜2−3、2−4〜2−7、2−8、2−9)は、導電材を含有しない比較例支持体試料(比較例2−A〜2−C)に比較して、表面抵抗値が低く、かつ防塵性に優れていることがわかる。
(ハードコート層用塗料(V)の調製)
実施例1で塗布した前記ハードコート層用塗料(IV)におけるジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタアクリレートヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)の50wt%を、特開2005−76005号、合成例1記載のポリエステルアクリレートデンドリマー(A)に置換えた以外はハードコート層用塗料(IV)と同じにして防眩ハードコート層用塗料(V)を調製した。
(光学フィルムの作製)
実施例1−1で作製した帯電防止層の上に前記防眩ハードコート層用塗料(V)を、実施例1−18と同じ方法で塗布、硬化させて実施例3−1の光学フィルムを作製した。
(光学フィルムの評価)
実施例3−1の光学フィルムを実施例1と同じ項目について評価したところ、接着性は◎、ハードコート層表面の表面抵抗は4.2×109、防塵性は○、接着性は◎であって、性能の優れたものであった。加えて、低カールでクラックが発生しない樹脂組成物を有する光学フィルムが得られた。
実施例1と同様の結果が、セルローストリアセテートフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)の製造工程において、流延から巻き取りまでの間にダイ塗工方式で帯電防止層を作製して、さらにその後、別の塗布機を用いてハードコート層を作製した光学フィルムにおいても得られた。また、実施例1と同様の結果が、セルローストリアセテートフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)の製造工程において、流延から巻き取りまでの間にダイ塗工方式で帯電防止層とハードコート層の両方の層を作製した光学フィルムにおいても得られた。
(二酸化チタン微粒子分散液の調製)
コバルト(Co)を含有する二酸化チタン微粒子(MPT−129C、石原産業(株)製)25.71質量部に、下記分散剤4.11質量部、およびシクロヘキサノン70.18質量部を添加してディスパーで撹拌した。尚、上記二酸化チタン微粒子は、二酸化チタン微粒子の内部にコバルト(Co)を含有し、また、微粒子表面がアルミニウム(Al)含有化合物(酸化物、及び/又は、水酸化物)、ジルコニウム(Zr)含有化合物(酸化物、及び/又は、水酸化物)で被覆されている。
メディア分散機(直径0.1mmのジルコニアビーズ使用)を用いて上記液中の二酸化チタン微粒子を分散した。光散乱法で分散液中の二酸化チタン微粒子の質量平均粒径を評価した結果、68nmであった。このようにして、二酸化チタン微粒子分散液を作製した。
(分散剤1)
Figure 0004810155
(中屈折率層用塗料の調製)
上記の二酸化チタン微粒子分散液6.60質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)4.53質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.24質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX−S、日本化薬(株)製)0.08質量部、およびメチルエチルケトン88.55質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用の塗料を調製した。
(高屈折率層用塗料の調製)
上記の二酸化チタン微粒子分散液31.29質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)2.67質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.22質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX−S、日本化薬(株)製)0.08質量部、およびメチルエチルケトン65.74質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗料を調製した。
(パーフルオロオレフィン共重合体の合成)
Figure 0004810155
ステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40質量部、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7質量部、及び過酸化ジラウロイル0.55質量部を添加し、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)25質量部をオートクレーブ中に添加して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は529.2kPaであった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が313.6kPaに達した時点で加熱をやめて放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。
得られた反応液を大過剰のヘキサンに添加し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後、ポリマー生成物28質量部を得た。
次に該ポリマー生成物の20質量部をN,N−ジメチルアセトアミド100質量部に溶解、氷冷下で、アクリル酸クロライド11.4質量部を滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加えて水洗し、有機層を抽出後、濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることにより上記パーフルオロオレフィン共重合体19質量部を得た。得られたパーフルオロオレフィン共重合体の屈折率は1.421であった。
上記パーフルオロオレフィン共重合体をメチルエチルケトンに溶解し、固形分濃度30質量%の溶液を得た。
(低屈折率層用塗料の調製)
上記パーフルオロオレフィン共重合体の溶液(固形分濃度30質量%)15.0質量部に、アクリロイル基を有するポリシロキサン化合物(X−22−164C,信越化学工業(株)製)0.15質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.23質量部、及び、メチルエチルケトン81.82質量部、シクロヘキサノン2.8質量部を添加して撹拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用の塗料を調製した。
(光学フィルムの作製)
実施例1〜実施例4で作製したハートコート層の上に、上記中屈折率層用塗料を、マイクログラビア塗工方式で塗布した。100℃で60秒乾燥した後、窒素パージ(酸素濃度0.3%以下)しながら、240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度400mW/cm2、照射量400mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中屈折率層(屈折率1.63、膜厚67nm)を作製した。
上記中屈折率層の上に、高屈折率層用塗料を、マイクログラビア塗工方式で塗布した。100℃で60秒乾燥した後、窒素パージ(酸素濃度0.1%以下)しながら、240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度400mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率1.90、膜厚107nm)を作製した。
上記高屈折率層の上に、低屈折率層用塗料を、マイクログラビア塗工方式で塗布した。
120℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.1%以下)しながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、低屈折率層(最外層)(屈折率1.43、膜厚87nm)を作製した。このようにして、反射防止性能を有する実施例4の光学フィルムを作製した。
(光学フィルムの評価)
作製した光学フィルムにおいて、分光光度計(V−550、ARV−474日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域における入射角5°の分光反射率を測定し、450〜650nmの波長範囲における平均反射率を求めたところ、すべての光学フィルムにおいてガラス板の平均反射率約4%、セルローストリアセテートフィルム(TAC−TD80U)の平均反射率約4%、よりも低い反射率を示した。
さらにまた、実施例5の光学フィルムについて、実施例1と全く同様にして評価した結果、本発明試料において表面抵抗が低く、防塵性に優れ、耐擦傷性が好ましい、実施例1〜実施例4と同様の結果が得られた。
(オルガノシラン化合物B溶液の調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、メチルエチルケトン120質量部、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100質量部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(商品名:ケロープEP−12,ホープ製薬(株)製)3質量部を加えて混合したのち、イオン交換水30質量部を加え、60℃で4時間反応させた。室温まで冷却し、オルガノシラン化合物Bの溶液(固形分濃度29質量%)を得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、原料の3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランは殆ど残存していなかった。
(低屈折率層用塗料6Lの調製)
屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6質量%、JSR(株)製)52.5質量部に、シリカ微粒子のMEK分散液(MEK−ST、平均粒径30nm、固形分濃度30質量%、日産化学工業(株)製)4.5質量部、上記オルガノシラン化合物B溶液1.5質量部、メチルエチルケトン38.5質量部、シクロヘキサノン3.0質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用の塗料6Lを調製した。
(光学フィルムの作製)
実施例1〜実施例4で作製したハートコート層の上に、上記低屈折率層用塗料6Lを、マイクログラビア塗工方式で塗布した。
120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で10分乾燥させてから窒素パージ(酸素濃度0.1%以下)しながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、低屈折率層(屈折率1.45、膜厚95nm)を作製した。このようにして反射防止性能を有する実施例6の光学フィルムを作製した。
(光学フィルムの評価)
作製した光学フィルムにおいて、実施例5と全く同様にして、平均反射率を求めたところ、すべての光学フィルムにおいて、ガラス板の平均反射率約4%、セルローストリアセテートフィルム(TAC−TD80U)の平均反射率約4%、よりも低い反射率を示した。
また、実施例6の光学フィルムについて、実施例1と同様にして評価した結果、各評価項目において実施例1〜実施例5と同様の結果が得られた。
前記実施例6における低屈折率層用塗料の素材の代わりに、以下の素材を用いた以外は実施例6と同じにして実施例7の低屈折率層用塗料を作製した。
(低屈折率層用塗料7Lの調製)
特開平11−189621の実施例1に記載の含フッ素熱硬化性ポリマーを80質量部、サイメル303を20質量部(日本サイテックインダストリーズ(株)性)、キャタリスト4050を2.0質量部(日本サイテックインダストリーズ(株)製)を、メチルエチルケトンに溶解し、固形分濃度を6質量%にした。
(光学フィルムの作製)
前記実施例6と同じ方法で光学フィルムの作製を行った。
(光学フィルムの評価)
前記実施例6と全く同様にして、平均反射率を求めたところ、すべての光学フィルムにおいて、ガラス板の平均反射率約4%、セルローストリアセテートフィルム(TAC−TD80U)の平均反射率約4%、よりも低い反射率を示した。
また、実施例7の光学フィルムについて、実施例1と同様にして評価した結果、各評価項目において実施例1〜実施例6と同様の結果が得られた。
(画像表示装置の評価)
実施例1〜実施例7で作製した光学フィルムを、画像表示装置(TN、STN、IPS、VA、又はOCBのモードの、透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置、及び、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT))のディスプレイ面に装着した。
本発明の光学フィルムを装着した画像表示装置は、接着性、防塵性、耐擦傷性に優れていた。特に、実施例5及び実施例6で作製した光学フィルムを装着した画像表示装置は、反射防止性能にも優れ、極めて視認性が良好であった。
また、透過光における光拡散機能を有するハードコート層を有する光学フィルムを装着した画像表示装置は、ハードコート層の中に含まれる0.2μm以上の粒子による透過光の光拡散効果により、特に液晶表示装置の上下左右の視野角が広く、視認性が優れていた。
また、防眩機能を有するハードコート層を有する光学フィルムを装着した画像表示装置は、外光の映り込み防止性(防眩性)が改良され、視認性が優れていた。
(偏光板用保護フィルムの作製)
1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を50℃に保温した鹸化液を調整した。さらに、0.005mol/Lの希硫酸水溶液を調製した。
実施例1〜実施例6で作製した光学フィルムにおいて、本発明の帯電防止層を有する側とは反対側の透明支持体の表面を、上記鹸化液を用いて鹸化処理した。
鹸化処理した透明支持体表面の水酸化ナトリウム水溶液を、水で十分に洗浄した後、上記の希硫酸水溶液で洗浄し、さらに希硫酸水溶液を水で十分に洗浄し、100℃で十分に乾燥させた。
本発明の帯電防止層を有する側とは反対側の、鹸化処理した透明支持体の表面の水に対する接触角を評価したところ、40°以下であった。このようにして、偏光板用保護フィルムを作製した。
(偏光板の作製)
膜厚75μmのポリビニルアルコールフィルム((株)クラレ製)を水1000質量部、ヨウ素7質量部、ヨウ化カリウム105質量部からなる水溶液に5分間浸漬し、ヨウ素を吸着させた。次いで、このフィルムを4質量%ホウ酸水溶液中で、4.4倍に縦方向に1軸延伸をした後、緊張状態のまま乾燥して偏光膜を作製した。
接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に上記偏光板用保護フィルムの鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には上記と同様にして鹸化処理したセルローストリアセテート(TAC)フィルムを同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した上記偏光板を装着したTN,STN,IPS,VA,OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、接着性、防塵性、耐擦傷性に優れていた。特に、実施例5〜実施例7で作製した光学フィルムを有する偏光板は、反射防止性能に優れ、極めて視認性が良好であった。
また、透過光における光拡散機能を有するハードコート層を有する光学フィルムを有する偏光板を装着した画像表示装置は、ハードコート層の中に含まれる0.2μm以上の粒子による透過光の光拡散効果により、特に、液晶表示装置の上下左右の視野角が広く、視認性が優れていた。
また、防眩機能を有するハードコート層を有する光学フィルムを有する偏光板を装着した画像表示装置は、外光の映り込み防止性(防眩性)が改良され、視認性が優れていた。
なお、種々公知化されている偏光膜を用い、上記と同様に作製した偏光板においても同様の結果が得られた。
(偏光板の作製)
光学補償フィルム(ワイドビューフィルムSA 12B、富士写真フイルム(株)製)の光学補償層を有する側とは反対側の表面を実施例9と同様の条件で鹸化処理した。
実施例9で作製した偏光膜に、接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に、実施例6で作製した偏光板用保護フィルムの鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には鹸化処理した光学補償フィルムのトリアセチルセルロース面を同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した上記偏光板を装着したTN,STN,IPS,VA,OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、光学補償フィルムを用いていない偏光板を装着した液晶表示装置よりも明室でのコントラストに優れ、上下左右の視野角が非常に広く、さらに、接着性、防塵性、耐擦傷性に優れていた。特に、実施例4及び実施例5で作製した光学フィルムを有する偏光板は、反射防止性能に優れ、極めて視認性が良好であった。
また、透過光における光拡散機能を有するハードコート層を有する光学フィルムを有する偏光板を装着した画像表示装置は、ハードコート層の中に含まれる0.2μm以上の粒子による透過光の光拡散効果により、特に、液晶表示装置の上下左右の視野角が広がり、左右方向の黄色味が改善されていた。
また、防眩機能を有するハードコート層を有する光学フィルムを有する偏光板を装着した画像表示装置は、外光の映り込み防止性(防眩性)が改良され、視認性が優れていた。
なお、種々公知化されている偏光膜を用い、上記と同様に作製した偏光板においても同様の結果が得られた。
(画像表示装置の評価)
実施例1〜実施例7で作製した光学フィルムを、有機EL表示装置に装着したところ、接着性、防塵性、耐擦傷性に優れていた。特に、実施例5〜実施例7の光学フィルムを装着した画像表示装置は、反射防止性能に優れ、極めて視認性が良好であった。
また、偏光膜の一方の面に実施例6で作製した偏光板用保護フィルム、もう一方の面にλ/4板を有する偏光板を実施例9と同様にして作製した。上記偏光板を有機EL表示装置に装着したところ、偏光板を貼ったガラス表面からの光の反射もカットされ、極めて視認性の高い表示装置が得られた。
本発明の反射防止性能に優れた光学フィルムの2つの態様((a)及び(b))の層構成を模式的に示す概略断面図である。 (a)本発明の防眩性能を有する光学フィルムの一態様の層構成を模式的に示す概略断面図である。(b)本発明の光拡散性能を有する光学フィルムの一態様の層構成を模式的に示す概略断面図である。 (a)光学フィルムを画像表示装置に適用する一態様を模式的に示す概略断面図である。(b)光学フィルムを液晶表示装置に適用する一態様を模式的に示す概略断面図である。 (c)光学フィルムを液晶表示装置に適用する一態様を模式的に示す概略断面図である。(d)光学フィルムを液晶表示装置に適用する一態様を模式的に示す概略断面図である。
符号の説明
1 透明支持体
2 帯電防止層
3 ハードコート層
4 低屈折率層(最外層)
5 中屈折率層
6 高屈折率層
7 防眩層
8 平均粒径が0.2〜10μmの粒子
9 平均粒径が0.2〜10μmの導電性粒子
10 粘着剤層
11 偏光膜の保護フィルム
12 偏光膜の保護フィルム
13 偏光膜
14 光拡散層

Claims (11)

  1. 透明支持体上に、少なくとも導電材とセルロースアシレートを含有する帯電防止皮膜、及び該帯電防止皮膜の上にハードコート皮膜が積層されてなり、
    該帯電防止被膜中、導電材を除いた成分の中でセルロースアシレートの含有量が最も多く、
    該ハードコート皮膜中に固形分換算で、1分子中に6個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールデンドリマー化合物(a)とエチレン性不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応生成物であるエチレン性不飽和基含有ポリエステルデンドリマー(A)を10〜80質量%含むことを特徴とする光学フィルム
  2. 前記帯電防止皮膜がセルロースアシレートを主成分とする支持体の一部として、共流延法によって積層されたことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記ハードコート皮膜が平均粒径0.2μm〜10μmの導電性粒子を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルム。
  4. 前記帯電防止皮膜が、ワイヤーバー、グラビア、ダイ塗工方式のいずれかの塗工方式で積層されたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  5. 前記光学フィルムが防眩フィルム、光拡散フィルム、反射防止フィルムのいずれかであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  6. 前記帯電防止皮膜を有する側の表面の表面抵抗が1×1014Ω/□以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の光学フィルムを作製することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  8. 偏光膜と該偏光膜の両側に配された2枚の保護フィルムとを有する偏光板であって、請求項1〜のいずれか1項に記載の光学フィルムを該保護フィルムの少なくとも一方として用いたことを特徴とする偏光板。
  9. 偏光膜と該偏光膜の両側に配された2枚の保護フィルムとを有する偏光板であって、請求項1〜のいずれか1項に記載の光学フィルムを該保護フィルムの一方に用い、他方の保護フィルムに光学異方性層を有する光学補償フィルムを用いたことを特徴とする請求項に記載の偏光板。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルム、又は、請求項8若しくは9に記載の偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
  11. 画像表示装置が、TN、STN、IPS、VA又はOCBモードの、透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする請求項10に記載の画像表示装置。
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