JP2008090067A - 反射防止フィルム及びディスプレイ用フィルター並びにプラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】耐候(光)性が改善された反射防止フィルムを提供する。
【解決手段】基材フィルム上にハードコート層を介して、低屈折率層、又は高屈折率層と低屈折率層が形成された反射防止フィルム。ハードコート層が紫外線吸収剤を含む。好ましくはハードコート層は更に光安定剤と可視光吸収性化合物を含む。ハードコート層が紫外線吸収剤を含むため、耐候(光)性に優れ、長期使用による紫外線劣化の問題はなく、良好な外観、性能を長期に亘り維持することができる。
【選択図】なし
【解決手段】基材フィルム上にハードコート層を介して、低屈折率層、又は高屈折率層と低屈折率層が形成された反射防止フィルム。ハードコート層が紫外線吸収剤を含む。好ましくはハードコート層は更に光安定剤と可視光吸収性化合物を含む。ハードコート層が紫外線吸収剤を含むため、耐候(光)性に優れ、長期使用による紫外線劣化の問題はなく、良好な外観、性能を長期に亘り維持することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、反射防止フィルム及びディスプレイ用フィルターとプラズマディスプレイパネルに係り、特に、ハードコート層に紫外線吸収剤を含むことにより、耐候(光)性が改善された反射防止フィルムと、この反射防止フィルムを用いたディスプレイ用フィルターと、このディスプレイ用フィルターを備えるプラズマディスプレイパネルに関する。
本発明の反射防止フィルムは、ワープロ、コンピュータ、CRT、プラズマテレビ、FEDパネル、液晶ディスプレイ、有機ELなどの各種ディスプレイ、及び自動車、建築物、電車の窓ガラスや絵画の額ガラス等に好適である。
ワープロ、コンピュータ、CRT、プラズマテレビ、FEDパネル、液晶ディスプレイ、有機ELなどの各種ディスプレイ、及び自動車、建築物、電車の窓ガラスや絵画の額ガラス等には、光の反射を防止して高い光透過性を確保するために反射防止フィルムが適用されている。
この種の用途に用いられる反射防止フィルムとして、透明基材フィルム上に易接着層、ハードコート層及び低屈折率層、或いは易接着層、ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層が、この順で積層されたものが提供されている(特開2005−181545号公報)。
このような反射防止フィルムには、反射防止機能、即ち、反射率(視感反射率)を下げることはもとより、干渉縞をなくすこと、帯電防止性を付与すること、などが要求されている。更に、また、耐候性、特に耐光性に優れることが要求される。
特開2005−181545号公報
本発明は、耐候(光)性に優れた反射防止フィルムを提供することを目的とする。
本発明はまた、このような高耐候(光)性の反射防止フィルムを備えるディスプレイ用フィルターと、このディスプレイ用フィルターを備えるプラズマディスプレイパネルを提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の反射防止フィルムは、基材フィルム上に、ハードコート層を介して該ハードコート層よりも屈折率の低い低屈折率層が形成されてなる反射防止フィルムにおいて、該ハードコート層が紫外線吸収剤を含むことを特徴とするものである。
請求項2の反射防止フィルムは、請求項1において、前記ハードコート層と低屈折率層との間に該ハードコート層よりも屈折率の高い高屈折率層を有することを特徴とするものである。
請求項3の反射防止フィルムは、請求項1又は2において、前記紫外線吸収剤が無機微粒子であることを特徴とするものである。
請求項4の反射防止フィルムは、請求項3において、前記無機微粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄及び硫酸バリウムの少なくとも1種であることを特徴とするものである。
請求項5の反射防止フィルムは、請求項1又は2において、前記紫外線吸収剤が有機系紫外線吸収剤であることを特徴とするものである。
請求項6の反射防止フィルムは、請求項5において、前記有機系紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系化合物であることを特徴とするものである。
請求項7の反射防止フィルムは、請求項1ないし6のいずれか1項において、前記ハードコート層が光安定剤を含むことを特徴とするものである。
請求項8の反射防止フィルムは、請求項7において、前記光安定剤がヒンダードアミン系光安定剤であることを特徴とするものである。
請求項9の反射防止フィルムは、請求項1ないし8のいずれか1項において、前記ハードコート層が紫外線硬化型樹脂組成物により形成されることを特徴とするものである。
請求項10の反射防止フィルムは、請求項9において、前記紫外線硬化型樹脂組成物が、重合開始剤として可視光波長域に吸収を有する化合物と、紫外光波長域に吸収を有する化合物とを含有することを特徴とするものである。
請求項11の反射防止フィルムは、請求項10において、前記可視光波長域に吸収を有する化合物が、波長405nmの吸光係数が1×101ml/gcm以上である化合物であることを特徴とするものである。
請求項12の反射防止フィルムは、請求項10又は11において、前記可視光波長域に吸収を有する化合物がホスフィンオキサイド系化合物であることを特徴とするものである。
本発明(請求項13)のディスプレイ用フィルターは、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の反射防止フィルムを含むことを特徴とするものである。
請求項14のディスプレイ用フィルターは、請求項13において、前記基材フィルムの前記ハードコート層側の面及び/又は前記ハードコート層と反対側の面に導電層を有することを特徴とするものである。
請求項15のディスプレイ用フィルターは、請求項14において、前記導電層が導電性メッシュであることを特徴とするものである。
請求項16のディスプレイ用フィルターは、請求項13ないし15のいずれか1項において、前記基材フィルムの前記ハードコート層と反対側の面に色素含有層を有することを特徴とするものである。
請求項17のディスプレイ用フィルターは、請求項16において、前記色素含有層に含まれる色素が近赤外線吸収色素及び/又は色調補正色素であることを特徴とするものである。
請求項18のディスプレイ用フィルターは、請求項16又は17において、前記基材フィルムの前記ハードコート層と反対側の面に導電層を介して前記色素含有層が設けられていることを特徴とするものである。
請求項19のディスプレイ用フィルターは、請求項13ないし18のいずれか1項において、前記基材フィルムの前記ハードコート層と反対側の面の最表面に粘着剤層が形成されていることを特徴とするものである。
本発明(請求項20)のプラズマディスプレイパネルは、請求項19に記載のディスプレイ用フィルターを前面に設置してなることを特徴とするものである。
本発明の反射防止フィルムは、基材フィルムに設けられたハードコート層が紫外線吸収剤を含むため、耐候(光)性に優れ、長期間の使用による紫外線劣化の問題はなく、良好な外観、性能を長期に亘り維持することができる。従って、このような高耐候(光)性の反射防止フィルムを備える本発明のディスプレイ用フィルター及びプラズマディスプレイパネルによれば、製品の耐久性が著しく改善される。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、本発明の反射防止フィルムのハードコート層について説明する。
本発明に係るハードコート層は、紫外線吸収剤を含む、好ましくは紫外線硬化型樹脂層である。
本発明に係るハードコート層に含有される紫外線吸収剤としては、無機微粒子又は有機系紫外線吸収剤が挙げられる。
無機微粒子としては、平均粒径100nm以下、例えば10〜100nm程度の酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウム微粒子などの1種又は2種以上を用いることができる。無機微粒子はハードコート層の硬度向上にも有効であり、無機微粒子を配合することにより、ハードコート層を鉛筆硬度H以上の高硬度ハードコート層とすることができる。
有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒドロキシベンゾエート系化合物等の1種又は2種以上を用いることができる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3’−5’ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が例示される。
ベンゾフェノン系化合物としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等が例示される。
ヒドロキシベンゾエート系化合物としては、フェニルサルシレート、4−t−ブチルフェニルサルシレート、2,5−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸n−ヘキサデシルエステル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート等が例示される。
これらの中でも、ベンゾトリアゾール系化合物が好適である。
ハードコート層は、特に上述の紫外線吸収剤と必要に応じて用いられる導電性金属酸化物微粒子を含む紫外線硬化型樹脂組成物を、基材フィルムに塗布して、紫外線を照射することにより成膜された層であることが好ましい。
この場合の樹脂成分としては、ハードコート処理に適した低分子量且つ多官能な樹脂であれば、特に限定されるものではなく、例えばエチレン性二重結合を複数有するウレタンオリゴマー、ポリエステルオリゴマー又はエポキシオリゴマー等のオリゴマー、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA)、ペンタエリスリトールテトラメタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPEHA)等の一官能又は多官能オリゴマーが好ましい。
紫外線硬化型樹脂組成物はこれらのオリゴマー、必要により反応性稀釈剤、紫外光波長域に吸収を有する化合物よりなる光重合開始剤から一般に構成される。紫外光波長域に吸収を有する化合物よりなる光重合開始剤の例としては、ベンゾイン、ベンゾフェノン、ベンゾイルメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ジベンジル、5−ニトロアセナフテン、ヘキサクロロシクロペンタジエン、p−ニトロジフェニル、p−ニトロアニリン、2,4,6−トリニトロアニリン、1,2−ベンズアントラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアンスロン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等を挙げることができる。
オリゴマー、反応性稀釈剤及び光重合開始剤は、それぞれ1種用いても良く、2種以上組み合わせて用いてもよい。
反応性稀釈剤の含有量は、樹脂成分100重量部に対して0〜10重量部が一般的であり、0〜5重量部が好ましい。光重合開始剤の含有量は、樹脂成分100重量部に対して5重量部以下、特に3〜4重量部が好ましい。
ハードコート層中の紫外線吸収剤の含有量は、用いる紫外線吸収剤の種類、要求されるハードコート層の耐候(光)性によっても異なるが、通常、無機微粒子であれば、ハードコート層の樹脂成分100重量部に対して20〜100重量部程度、有機系紫外線吸収剤であれば5〜40重量部程度含有させることが好ましい。なお、無機微粒子と有機系紫外線吸収剤とを併用しても良く、この場合には無機微粒子10〜40重量部と有機系紫外線吸収剤3〜20重量部とで、合計で樹脂成分100重量部に対して10〜60重量部程度となるように配合することが好ましい。
いずれの場合も、紫外線吸収剤の配合量が少な過ぎると十分な耐候(光)性を得ることができず、多過ぎるとハードコート層の硬度が低下したり、透明性が損なわれるなど、好ましくない。
ところで、紫外線硬化型樹脂組成物がこのような紫外線吸収剤を含むと、この紫外線吸収剤が紫外線を吸収することにより、ハードコート層形成時の紫外線硬化型樹脂組成物の紫外線硬化を阻害する。紫外線の照射量を多くすることにより、紫外線硬化を促進させることは可能であるが、本発明においては、このような紫外線吸収剤による紫外線硬化阻害を防止するために、紫外線硬化型樹脂組成物中に可視光波長域に吸収を有する化合物、特に波長380〜440nmに吸収を有する化合物を配合しておくことが好ましい。
この、波長400nmに吸収を有する化合物は、好ましくは波長405nmの吸光係数が1×101ml/gcm以上である化合物(以下「可視光吸収性化合物」と称す場合がある)であり、例えばホスフィンオキサイド化合物やアシルホスフィンオキサイド化合物などの1種又は2種以上が挙げられる。なお、この吸光係数は、メタノール又はCH3CN溶媒に溶解させて測定した値である。
ホスフィンオキサイド化合物としては、トリエチルホスフィンオキサイド、トリn−プロピルホスフィンオキサイド、トリn−ブチルホスフィンオキサイド、トリn−ヘキシルホスフィンオキサイド、トリn−オクチルホスフィンオキサイド、トリn−シクロヘキシルホスフィンオキサイド、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド等を用いることができる。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、4−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、4−エチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、4−イソプロピルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−メチルシクロヘキサノイルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等を用いることができる。
このような可視光吸収性化合物の配合量は樹脂成分100重量部に対して0.1〜5重量部、特に0.3〜3重量部とすることが好ましい。この可視光吸収性化合物の配合量が少な過ぎると硬化を円滑に促進させることができず、多過ぎると耐光性に悪影響が出る。
本発明に係るハードコート層には、更に光安定剤を配合しても良く、光安定剤を配合することにより、ハードコート層の耐候(光)性をより一層向上させることができる。
この場合、光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤を好適に用いることができ、ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、チヌビン123、チヌビン292,チヌビン144〔以上いずれもチバ・スペシャリティ・ケミカル社製〕;MARK LA−57,LA−62,LA−67,LA−63,LA−68〔以上いずれもアデカアーガス化学(株)製〕;サノールLS−770,LS−765,LS−292,LS−2626,LS−1114,LS−744〔以上いずれも三共ライフテック(株)製〕などが挙げられる。
光安定剤は、ハードコート層の樹脂成分100重量部に対して0.1〜10重量部用いることが好ましい。
ハードコート層が形成される基材フィルムとしては、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、アクリル、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、セルローストリアセテート(TAC)、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、セロファン等、好ましくはPET、PC、PMMAの透明フィルムが挙げられる。
基材フィルムの厚さは、1μm〜10mm特に10〜1000μmが好適である。
本発明の反射防止フィルムは、このような基材フィルム上にハードコート層を介して反射防止層を形成してなるものである。この反射防止層は、低屈折率層のみからなるものであってもよく、高屈折率層と低屈折率層とを低屈折率層が表面側となるように積層したものであってもよい。
低屈折率層、高屈折率層のマトリックスはいずれもハードコート層のマトリックスと同様のものが好適である。
高屈折率層及びハードコート層のいずれか一方に、ITO,ATO,Sb2O3,SbO2,In2O3,SnO2,ZnO等の導電性金属酸化物微粒子を配合することが好ましく、特にハードコート層の表面抵抗を5×1010Ω/□以下とすることにより反射防止フィルムに帯電防止機能を持たせることが好ましい。
高屈折率層は、ITO(スズインジウム酸化物)又はZnO、AlをドープしたZnO、TiO2、SnO2、ZrO等の高屈折率の金属酸化物微粒子を配合することにより屈折率を1.64以上としたものが好適である。
なお、高屈折率層が導電層である場合、この高屈折率層の屈折率を1.64以上とすることにより反射防止フィルムの表面反射率の最小反射率を1.5%以内にすることができ、1.69以上、好ましくは1.69〜1.82とすることにより反射防止層の表面反射率の最小反射率を1.0%以内にすることができる。
ハードコート層が導電層である場合、該高屈折率層の屈折率を1.70以上とすることにより反射防止層の表面反射率の最小反射率を1.5%以内にすることができ、1.75以上とすることにより反射防止層の表面反射率の最小反射率を1.0%以内にすることができる。
ハードコート層は、可視光透過率が85%以上であることが好ましい。高屈折率層及び低屈折率層の可視光透過率も、いずれも85%以上であることが好ましい。
低屈折率層には、屈折率低下、耐傷性向上、すべり性向上のためにシリカ、フッ素樹脂等の微粒子を10〜40重量%程度配合することが好ましい。
この低屈折率層の屈折率は、1.45〜1.51が好ましい。この低屈折率層の屈折率が1.51超であると、反射防止フィルムの反射防止特性が悪くなる。
ハードコート層の厚みは2〜20μmが好ましく、高屈折率層の厚みは75〜90nmが好ましく、低屈折率層の厚みは85〜110nmであることが好ましい。
基材フィルム上にハードコート層及び低屈折率層、或いはハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層を形成するには、前記の通り、未硬化の樹脂組成物(必要に応じ上記の微粒子を配合したもの)を塗工し、次いで紫外線又は電子線を照射するのが好ましい。この場合、各層を1層ずつ塗工し硬化させてもよく、2以上、例えばすべての層を塗工した後、まとめて硬化させてもよい。
塗工の具体的な方法としては、アクリルモノマーをトルエン等の溶媒で溶液化した塗布液をグラビアコータによりコーティングし、その後乾燥し、次いで紫外線又は電子線照射によりキュアする方法が例示される。このウェットコーティング法であれば、高速で均一に且つ安価に成膜できるという利点がある。このコーティング後に例えば紫外線又は電子線を照射してキュアすることにより密着性の向上、膜の硬度の上昇という効果が奏される。
このような本発明の反射防止フィルムを備える本発明のディスプレイ用フィルターの構成には特に制限はないが、次のような積層構成を採用することができる。
(1)基材フィルム/導電層/ハードコート層/低屈折率層
(2)基材フィルム/導電層/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
(3)色素含有層/基材フィルム/導電層/ハードコート層/低屈折率層
(4)色素含有層/基材フィルム/導電層/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
(5)色素含有層/導電層/基材フィルム/ハードコート層/低屈折率層
(6)色素含有層/導電層/基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
また、上記(1)〜(6)の積層構成において、更に基材フィルムのハードコート層形成面とは反対側の面の最表面に粘着剤層を設けた構成とすることもでき、このような粘着剤層を有するものは、この粘着剤層によりプラズマディスプレイパネルの前面に貼着して使用するディスプレイ用フィルターとして好適である。
(1)基材フィルム/導電層/ハードコート層/低屈折率層
(2)基材フィルム/導電層/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
(3)色素含有層/基材フィルム/導電層/ハードコート層/低屈折率層
(4)色素含有層/基材フィルム/導電層/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
(5)色素含有層/導電層/基材フィルム/ハードコート層/低屈折率層
(6)色素含有層/導電層/基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
また、上記(1)〜(6)の積層構成において、更に基材フィルムのハードコート層形成面とは反対側の面の最表面に粘着剤層を設けた構成とすることもでき、このような粘着剤層を有するものは、この粘着剤層によりプラズマディスプレイパネルの前面に貼着して使用するディスプレイ用フィルターとして好適である。
導電性メッシュの開口率とは、当該導電性メッシュの投影面積における開口部分が占める面積割合を言う。
導電層としては、エッチングメッシュ又は導電印刷メッシュを用いることができる。
エッチングメッシュとしては、金属膜をフォトリソグラフィーの手法で格子状やパンチングメタル状などの任意の形状にエッチング加工したものを用いることができる。この金属膜としては、上記基材フィルム上に、銅、アルミ、ステンレス、クロムなどの金属膜を、蒸着やスパッタリングにより形成したもの、又はこれらの金属の箔を接着剤によって基材フィルムに貼り合わせたものを用いることができる。この接着剤としては、エポキシ系、ウレタン系、EVA系などが好ましい。
これらの金属膜は予め、片面又は両面に黒化処理を施しておくことが好ましい。フォトリソグラフィーの手法を用いることで、導電部分の形状を自由に設計することができ、また、開口率を高くすることができる。
導電印刷メッシュとしては、銀、銅、アルミ、ニッケル等の金属粒子又はカーボン等の非金属導電粒子を、エポキシ系、ウレタン系、EVA系、メラニン系、セルロース系、アクリル系等のバインダーに混合したものを、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷などにより、上記基材フィルム上に格子状等のパターンで印刷したものを用いることができる。
また、導電性メッシュとして、フィルム面に、溶剤に対して可溶な物質によってドットを形成し、フィルム面に溶剤に対して不溶な導電材料よりなる導電材料層を形成し、フィルム面を溶剤と接触させてドット及びドット上の導電材料層を除去することによって得られる導電性メッシュを用いてもよい。
このような導電層をさらに低い抵抗値にして、電磁波シールド効果を高めたい場合には、導電層上にメッキ層を形成してもよい。
メッキ処理に使用される材料としては、銅、ニッケル、クロム、亜鉛、スズ、銀及び金を挙げることができる。これらは単独で使用しても、2種以上の合金として使用しても良い。メッキ処理としては、通常の液相メッキ(電解メッキ、無電解メッキ等)により一般に行われる。
また、防眩性能を付与させてもよい。この防眩化処理を行う場合、導電性メッシュの表面に黒化処理を行っても良い。例えば、金属膜の酸化処理、クロム合金等の黒色メッキを行うことができる。
なお、この導電性メッシュを覆うように透明化処理層を設けてもよい。この透明化処理層は導電性メッシュの凹凸を均してディスプレイ用フィルターの透明性を高める作用を奏する。この透明化処理層には、透明な粘着剤又は接着剤、例えばブチルアクリレート等のアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、SEBS、SBS等の熱可塑性エラストマー樹脂をベースとしたTPE系粘着剤および接着剤等が用いられる。
この透明化処理層は例えば塗工により形成することができる。この透明化処理層の厚さは5〜500μm特に10〜100μm程度が好適である。
色素含有層は、合成樹脂塗工液中に近赤外線の吸収色素及び/又は色調補正色素を含有させたものを塗工して形成することができる。
近赤外線吸収色素としては、800〜1200nmに吸収極大波長をもつものであれば特に制限されないが、フタロシアニン系、金属錯体系、ニッケルジチオレン錯体系、シアニン系、スクアリリウム系、ポリメチン系、アゾメチン系、アゾ系、ポリアゾ系、ジイモニウム系、アミニウム系、アントラキノン系の色素が用いられる。
色調補正色素としては、ネオン発光の吸収機能をもたせて色調の調節を行うものが挙げられ、この場合、ネオン発光の選択吸収色素としてはシアニン系、ポルフィリン化合物、スクアリリウム系、アントラキノン系、フタロシアニン系、ポリメチン系、ポリアゾ系、アズレニウム系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系等が挙げられる。かかる選択吸収色素は、585nm付近のネオン発光の選択吸収性とそれ以外の可視光波長に対しては吸収が小さいことが必要となるため、吸収極大波長が575〜595nmであり、吸収スペクトル半値幅が40nm以下であるものが好適に用いられる。
また、近赤外線吸収色素や色調補正色素を複数種類組み合わせる場合、プロセス上の色素の溶解性に問題がある場合や、混合による色素間の反応や、耐熱性、耐湿性などの低下が認められる場合はすべての近赤外線吸収色素や色調補正色素を同一の層内に含む必要はなく、別の層として形成してもよいことは勿論である。
また、光学特性に大きな影響を与えない範囲であれば、さらに着色用の色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤を加えてもよい。
ディスプレイ用フィルターの光学特性としては近赤外線吸収特性として850〜1000nmの透過率が20%以下さらに好ましくは15%以下にするのがよい。また選択吸収性としては585nmの透過率が50%以下であることが望ましい。特に前者の場合には、周辺機器におけるリモコン等への誤作動が指摘されている波長域の透過度を減少させることがねらいであり、後者のそれは、575〜595nmにピークをもつオレンジ色が色再現性を悪化させる原因となっているが、このオレンジ色の波長を吸収することがねらいで、これによって真赤性を高めて色の再現性を向上させたものである。
この色素含有層の厚さは0.5〜50μm程度が好適である。
粘着剤層は、ディスプレイ用フィルターをプラズマディスプレイパネル等に貼着することができるようにするためのものである。この粘着剤層には、透明な粘着剤又は接着剤、例えばブチルアクリレート等のアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、SEBS、SBS等の熱可塑性エラストマー樹脂をベースとしたTPE系粘着剤および接着剤等が用いられる。
この粘着剤層の厚さは5〜500μm特に10〜100μm程度が好適である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
なお、以下においては、基材フィルムとして厚さ100μmのPETフィルムの一方の面に導電性のメッシュ(銅よりなるメッシュ,線幅20μm、開口率81%)が一体的に設けられたものを用い、この導電性メッシュ面にハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層を順次成膜した。
実施例1
多官能アクリレート(日本化薬製DPHA):80重量部、平均粒径150nmのITO:20重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製「チヌビンPS」2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール):10重量部、メチルエチルケトン:100重量部、トルエン:100重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製「イルガキュア184」1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン):4重量部、可視光吸収性化合物(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド):1重量部を混合してハードコート層用塗布液を調製し、この塗布液を上記基材フィルムに塗布して紫外線を照射することにより、屈折率1.52、厚さ5μmのハードコート層を形成した。
多官能アクリレート(日本化薬製DPHA):80重量部、平均粒径150nmのITO:20重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製「チヌビンPS」2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール):10重量部、メチルエチルケトン:100重量部、トルエン:100重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製「イルガキュア184」1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン):4重量部、可視光吸収性化合物(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド):1重量部を混合してハードコート層用塗布液を調製し、この塗布液を上記基材フィルムに塗布して紫外線を照射することにより、屈折率1.52、厚さ5μmのハードコート層を形成した。
次いで、多官能アクリレート(日本化薬製DPHA):6重量部、ZnO:4重量部、メチルエチルケトン:100重量部、トルエン:100重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製「イルガキュア184」1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン):1重量部を混合して高屈折率層用塗布液を調製し、この塗布液を上記ハードコート層上に塗布し、80℃のオーブン中で5分間乾燥した後、紫外線を照射することにより、屈折率1.70、厚さ90nmの高屈折率層を形成した。
次いで、フッ素化合物を含有している低屈折率層組成物(JSR社製「オプスターJN−7212」):100重量部、メチルエチルケトン:117重量部、メチルイソブチルケトン:117重量部を混合して低屈折率層用塗布液を調製し、この塗布液を上記高屈折率層上に塗布し、80℃のオーブン中で5分間乾燥した後、紫外線を照射することにより、屈折率1.42、厚さ90nmの低屈折率層を形成した。
このようにして製造された反射防止フィルムについて、下記評価を行い、結果を表1に示した。
<鉛筆硬度>
JIS−K5400に従って、反射防止フィルム表面の鉛筆硬度を測定した。
JIS−K5400に従って、反射防止フィルム表面の鉛筆硬度を測定した。
<耐候(光)性の評価>
フュードメーター(スガ試験器製)で200時間又は1000時間紫外線を照射した後、反射防止フィルムの外観、基材フィルムに対するハードコート層の密着性を調べた。なお、密着性は碁盤目剥離試験により調べ、残存するマス目の割合で表した。
フュードメーター(スガ試験器製)で200時間又は1000時間紫外線を照射した後、反射防止フィルムの外観、基材フィルムに対するハードコート層の密着性を調べた。なお、密着性は碁盤目剥離試験により調べ、残存するマス目の割合で表した。
実施例2
実施例1において、ハードコート層用塗布液に更にヒンダードアミン系光安定剤(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製「チヌビン123」)を3重量部配合したこと以外は同様にしてハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層を形成し、同様に評価を行って、結果を表1に示した。
実施例1において、ハードコート層用塗布液に更にヒンダードアミン系光安定剤(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製「チヌビン123」)を3重量部配合したこと以外は同様にしてハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層を形成し、同様に評価を行って、結果を表1に示した。
比較例1
実施例1において、ハードコート層用塗布液に、紫外線吸収剤と可視光吸収性化合物を配合しなかったこと以外は、同様にしてハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層を形成し、同様に評価を行って、結果を表1に示した。
実施例1において、ハードコート層用塗布液に、紫外線吸収剤と可視光吸収性化合物を配合しなかったこと以外は、同様にしてハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層を形成し、同様に評価を行って、結果を表1に示した。
実施例3
実施例1において、ハードコート層用塗布液に可視光吸収性化合物を配合しなかったこと以外は、同様にしてハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層を形成し、同様に評価を行って、結果を表1に示した。
実施例1において、ハードコート層用塗布液に可視光吸収性化合物を配合しなかったこと以外は、同様にしてハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層を形成し、同様に評価を行って、結果を表1に示した。
表1より、ハードコート層に紫外線吸収剤を配合することにより、ハードコート層の耐候(光)性を高めることができることができ、更に光安定剤を配合することにより、耐候(光)性をより高めることができることが分かる。
また、可視光吸収性化合物を配合することにより、紫外線吸収剤による硬化阻害を防止して高硬度のハードコート層を形成することができることが分かる。
Claims (20)
- 基材フィルム上に、ハードコート層を介して該ハードコート層よりも屈折率の低い低屈折率層が形成されてなる反射防止フィルムにおいて、該ハードコート層が紫外線吸収剤を含むことを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項1において、前記ハードコート層と低屈折率層との間に該ハードコート層よりも屈折率の高い高屈折率層を有することを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項1又は2において、前記紫外線吸収剤が無機微粒子であることを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項3において、前記無機微粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄及び硫酸バリウムの少なくとも1種であることを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項1又は2において、前記紫外線吸収剤が有機系紫外線吸収剤であることを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項5において、前記有機系紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系化合物であることを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項1ないし6のいずれか1項において、前記ハードコート層が光安定剤を含むことを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項7において、前記光安定剤がヒンダードアミン系光安定剤であることを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項1ないし8のいずれか1項において、前記ハードコート層が紫外線硬化型樹脂組成物により形成されることを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項9において、前記紫外線硬化型樹脂組成物が、重合開始剤として可視光波長域に吸収を有する化合物と、紫外光波長域に吸収を有する化合物とを含有することを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項10において、前記可視光波長域に吸収を有する化合物が、波長405nmの吸光係数が1×101ml/gcm以上である化合物であることを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項10又は11において、前記可視光波長域に吸収を有する化合物がホスフィンオキサイド系化合物であることを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項1ないし12のいずれか1項に記載の反射防止フィルムを含むことを特徴とするディスプレイ用フィルター。
- 請求項13において、前記基材フィルムの前記ハードコート層側の面及び/又は前記ハードコート層と反対側の面に導電層を有することを特徴とするディスプレイ用フィルター。
- 請求項13において、前記導電層が導電性メッシュであることを特徴とするディスプレイ用フィルター。
- 請求項13ないし15のいずれか1項において、前記基材フィルムの前記ハードコート層と反対側の面に色素含有層を有することを特徴とするディスプレイ用フィルター。
- 請求項16において、前記色素含有層に含まれる色素が近赤外線吸収色素及び/又は色調補正色素であることを特徴とするディスプレイ用フィルター。
- 請求項16又は17において、前記基材フィルムの前記ハードコート層と反対側の面に導電層を介して前記色素含有層が設けられていることを特徴とするディスプレイ用フィルター。
- 請求項13ないし18のいずれか1項において、前記基材フィルムの前記ハードコート層と反対側の面の最表面に粘着剤層が形成されていることを特徴とするディスプレイ用フィルター。
- 請求項19に記載のディスプレイ用フィルターを前面に設置してなることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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