しかし、特許文献1に記載された灯火装置は、導光部材を発光させることで灯火装置の被視認性を高める効果を奏するものの、導光部材によって車体の輪郭を強調することで灯火装置だけでなく車体そのものの被視認性を高めるという機能に関しては検討されていなかった。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、灯火装置内に設けられた導光部材によって車体の被視認性を高めることができる自動二輪車を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、自動二輪車(1)の車体前部に支持されるハウジング(31)と、前記ハウジング(31)に設けられた第1光源(91)の照射光を長尺状に導光させる第1導光部(81)と、前記第1導光部(81)を覆って前記ハウジング(31)へ固定されるアウタレンズ(40)とを有する灯火装置(30)を備えた自動二輪車において、前記アウタレンズ(40)の一部を覆う車体カバー(7)を具備し、前記第1導光部(81)が、前記車体カバー(7)と前記アウタレンズ(40)の第1レンズ面(41)との間に形成される山形断面の第1稜線(51)に沿って配置されている点に第1の特徴がある。
また、前記ハウジング(31)内に配置される第2光源(92)と、前記第2光源(92)の照射光を導光する第2導光部(82)と、前記第2導光部(82)に連なって、前記第2導光部(82)の照射光が導光される第3導光部(83a)とを具備する点に第2の特徴がある。
また、前記第1導光部(81)と前記第2導光部(82)とを連結する導光板(83)を備え、前記第3導光部(83a)は、前記第2導光部(82)から第1導光部(81)に向かって延びるように形成される複数の導光溝である点に第3の特徴がある。
また、前記灯火装置(30)は、左右対称の左側灯体(30L)および右側灯体(30R)からなり、前記第1導光部(81)は、前記第2導光部(82)より車幅方向外側に配置され、前記第3導光部(83a)は、前記第2導光部(82)から車幅方向外側に向かって延びる点に第4の特徴がある。
また、前記アウタレンズ(40)に、前記第1レンズ面(41)に連なる第2レンズ面(42)が形成されており、前記第1導光部(81)の下側部(81d)は、前記第1レンズ面(41)と前記第2レンズ面(42)との間に形成される山形断面の第2稜線(52)に沿って配置され、前記第1稜線(51)と前記第2稜線(52)とが連続的に形成されている点に第5の特徴がある。
また、前記第1光源(91)および前記第2光源(92)は、それぞれポジションライト用光源であり、車体正面視で前記第2レンズ面(42)に対応する位置の前記ハウジング(31)に、ウインカ装置用の第3光源(66)が配設されている点に第6の特徴がある。
さらに、前記第2レンズ面(42)と前記車体カバー(7)との間に山形断面の第3稜線(53)が形成されており、前記第3光源(66)が、車体正面視で、前記第2稜線(52)および前記第3稜線(53)に囲まれた領域に配置されている点に第7の特徴がある。
第1の特徴によれば、前記アウタレンズ(40)の一部を覆う車体カバー(7)を具備し、前記第1導光部(81)が、前記車体カバー(7)と前記アウタレンズ(40)の第1レンズ面(41)との間に形成される山形断面の第1稜線(51)に沿って配置されているので、第1導光部が発光することで、自動二輪車の前方から視認される車体輪郭線としての第1稜線が強調されることとなり、灯火装置そのものの被視認性を高めるだけでなく、車体の被視認性を高めることが可能となる。
第2の特徴によれば、前記ハウジング(31)内に配置される第2光源(92)と、前記第2光源(92)の照射光を導光する第2導光部(82)と、前記第2導光部(82)に連なって、前記第2導光部(82)の照射光が導光される第3導光部(83a)とを具備するので、第1導光部および第3導光部の発光により灯火装置および車体の被視認性をさらに向上させることができる。
第3の特徴によれば、前記第1導光部(81)と前記第2導光部(82)とを連結する導光板(83)を備え、前記第3導光部(83a)は、前記第2導光部(82)から第1導光部(81)に向かって延びるように形成される複数の導光溝であるので、第1〜第3導光部を一体部品として構成することが容易となる。また、長尺状をなす第1導光部とは方向や太さが異なる第3導光部によって、灯火装置および自動二輪車の被視認性を向上させることができる。
第4の特徴によれば、前記灯火装置(30)は、左右対称の左側灯体(30L)および右側灯体(30R)からなり、前記第1導光部(81)は、前記第2導光部(82)より車幅方向外側に配置され、前記第3導光部(83a)は、前記第2導光部(82)から車幅方向外側に向かって延びるので、第3導光部が、車体の内側から外側に向かう光のラインを形成することで、意匠性が向上すると共に、灯火装置の被視認性を高めることが可能となる。
第5の特徴によれば、前記アウタレンズ(40)に、前記第1レンズ面(41)に連なる第2レンズ面(42)が形成されており、前記第1導光部(81)の下側部(81d)は、前記第1レンズ面(41)と前記第2レンズ面(42)との間に形成される山形断面の第2稜線(52)に沿って配置され、前記第1稜線(51)と前記第2稜線(52)とが連続的に形成されているので、アウタレンズに形成される第2稜線に沿って第1導光部を発光させることで、灯火装置そのものの被視認性を高めるだけでなく、車体の被視認性を高めることが可能となる。
第6の特徴によれば、前記第1光源(91)および前記第2光源(92)は、それぞれポジションライト用光源であり、車体正面視で前記第2レンズ面(42)に対応する位置の前記ハウジング(31)に、ウインカ装置用の第3光源(66)が配設されているので、同一のハウジング内にポジションライト用光源に加えてウインカ装置用光源を備えて、ポジションライトおよびウインカ装置を一体化した灯火装置を得ることができる。
第7の特徴によれば、前記第2レンズ面(42)と前記車体カバー(7)との間に山形断面の第3稜線(53)が形成されており、前記第3光源(66)が、車体正面視で、前記第2稜線(52)および前記第3稜線(53)に囲まれた領域に配置されているので、アウタレンズおよび車体カバーで形成される稜線で囲まれた位置に第3光源を配置することで、第3光源の点灯時の被視認性を高めることが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る自動二輪車1の左側面図である。また、図2は自動二輪車1の正面図であり、図3は自動二輪車1のフロントまわりの一部拡大斜視図である。
自動二輪車1は、操向ハンドル5とシート13との間に運転者の足を乗せる低床フロア11が設けられたスクータ型の鞍乗型車両である。前輪WFを回転自在に軸支するフロントフォーク10は、操向ハンドル5によって操舵自在とされている。操向ハンドル3の前後は、ヘッドライト6を支持するヘッドライトカバー4によって覆われている。ヘッドライトカバー4の車幅方向両側にはナックルガード19が取り付けられており、ヘッドライトカバー4の上部にはウインドスクリーン2が配設されている。
ヘッドライトカバー4の下方に配設されるセンターカウル20の両側には、ポジションライトとウインカ装置を一体のハウジングに収めた灯火装置30が配設されている。灯火装置30の車幅方向外側には、左右一対の車体カバーとしてのフロントサイドカバー7が配設されている。フロントサイドカバー7の車体後方側には、乗員の脚部に対向するフロアパネル8が設けられている。
シート13の下方はリヤカウル12で覆われており、低床フロア11の後方の位置には、エンジンと変速機とを一体化したユニットスイング式のパワーユニットPが揺動自在に軸支されている。駆動輪としての後輪WRを回転自在に軸支するパワーユニットPの後端部は、リヤクッション16によって車体に吊り下げられており、パワーユニットPの上部にはエアクリーナボックス14が取り付けられている。リヤカウル12の後端部にはウインカ装置一体式の尾灯装置15が取り付けられており、その下方にはリヤフェンダ17が固定されている。
図2,3に示すように、灯火装置30(図示点描ハッチング部分)は、ヘッドライト5とフロントフェンダ9との間で上下方向に細長い発光面を有する左側灯体30Lおよび右側灯体30R(以下、単に灯体30L,30Rと示すこともある。)とからなる。左右の灯体30L,30Rの間には、車幅方向中央のセンターカウル20と、センターカウル20に隣接して灯体30L,30Rの内部分を覆う左右一対のカバー部材21が配設されている。灯体30L,30Rの外部分は、車幅方向内側に延びるフロントサイドカバー7の縁部7aによって覆われている。
図4は、灯火装置30の正面図である。また、図5は左側灯体30Lの左側面図である。灯火装置30の左右の灯体30L,30Rは、車幅方向内側に延出する連結ステー34に締結部材を貫通させることで略中央の位置で互いに連結される。
灯体30L,30Rは左右対称の構成を有しており、以下では左側灯体30Lに着目して説明を行う。有色不透明の合成樹脂等からなるハウジング31には、ポジションライト用光源91,92およびウインカ用光源66が収納されている。ハウジング31の連結ステー34の上方には内側取り付けステー32が形成されており、車幅方向外側の縁には、上部取り付けステー36、中部取り付けステー33、下部取り付けステー37が形成されている。灯体30Lは上下に長い形状とされており、車幅方向外側の下端部には、さらに下方に延びる延出部35が形成されている。
以下の説明では、ポジションライト用光源91を第1光源、ポジションライト用光源92を第2光源、ウインカ用光源66を第3光源と呼称することもある。
ハウジング31の車体前方側には、ハウジング31に沿った外形を有する透明なアウタレンズ40が取り付けられている。灯体30Lを車体に取り付けた際には、アウタレンズ40の車幅方向内側の内側隠れ部43(斜線ハッチング部分)がカバー部材21に覆われて外観されなくなると共に、車幅方向外側の外側隠れ部44(斜線ハッチング部分)はフロントサイドカバー7に覆われて外観されなくなる。これにより、灯火装置30を車体に組み付けた際には、ポジションライト用光源91,92の配設部分から内側下方に延びる第1レンズ面41と、第1レンズ面41に連続して外側下方に延びる略三角形の第2レンズ面42のみが車体前方に露出することとなる。
このとき、第1レンズ面41の車幅方向外側の端部とフロントサイドカバー7の縁部7aとの間には、山形断面を有する第1稜線51(破線囲み部)が形成される。また、第1レンズ面41と第2レンズ面42との間には、山形断面を有する第2稜線52(破線囲み部)が形成され、さらに、第2レンズ面42の車幅方向外側端部とフロントサイドカバー7の縁部7aとの間には、山形断面を有する第3稜線53(破線囲み部)が形成される。以下の説明では、山形断面を形成する2面の結合部分が、デザインの観点や製造工程の関係で尖っていたり丸められるために稜線をなす部分の太さ(線の幅)が変わりやすいことを考慮して、線部分を含む図示破線で囲む範囲を第1,2,3稜線と示している。
第1稜線51は、フロントサイドカバー7の縁部7aが第1レンズ面41に近接配置されることで形成され、また、第3稜線53は、フロントサイドカバー7の縁部7aが第2レンズ面42に近接配置されることで形成されている。
ポジションライト用光源91の照射光は、後述する導光部材の第1導光部81によって車体下方に導かれる。第1導光部81は、第1稜線51および第2稜線52の内側に沿って配設されている。
図6は、灯火装置30の背面図である。前記と同一符号は同一または同等部分を示す。ハウジング31の背面側の下部には、白熱電球からなるウインカ用光源66のソケット60が取り付けられるリフレクタ収納凸部38が形成されている。ソケット60に連結されるウインカ用配線61は、LED(発光ダイオード)からなるポジションライト用光源91,92に電力を供給するポジションライト用配線62と束ねられてハーネス61を形成する。ハーネス61の端部にはコネクタ64が取り付けられている。なお、ウインカ用光源66は、LEDや他の構造による光源であってもよい。
図7は、右側灯体30Rの正面図である。以下では、右側灯体30Rに着目して構造の説明を行う。ハウジング31とアウタレンズ40との間には、複数の部品が重ねて配置されている。具体的は、第1レンズ面41に対応する位置において、車体前方側から、エクステンション70、導光部材80、目隠し部材90(図10参照)、基板93,94(図11参照)の順で重ねて配設されている。
一方、第2レンズ面42に対応する位置の車幅方向内側には、エクステンション70と一体に形成される意匠部材73が配設されており、第2レンズ面42に対応する位置の車幅方向外側には、ウインカ用光源66を支持するウインカリフレクタ65が配設されている。
灯火装置30において、車体前方から直接発光を視認できる部分は、第1レンズ面41のうちエクステンション70の開口から前方にのぞく導光部材80(斜線ハッチング部分)と、第2レンズ面42のうちウインカリフレクタ65に対応する部分となる。直接の発光部の外側で、フロントサイドカバー7およびカバー部材21に覆われない部分は、漏れ光によってほのかに発光することができる。
本実施形態では、フロントサイドカバー7の車幅方向内側の縁に対し、車体正面視で、エクステンション70の開口の車幅方向外側の縁が沿うように構成されている。また、カバー部材21の車幅方向外側の縁に対し、車体正面視で、エクステンション70の開口の車幅方向内側の縁が沿うように構成されている。
図8は、図7の状態からアウタレンズ40を取り外した状態の右側灯体30Lの正面図である。また、図9は、図8の状態からエクステンション70を取り外した状態の右側灯体30Lの正面図である。エクステンション70は、明度の高い色彩の合成樹脂や反射面加工が施された合成樹脂等で形成されており、導光部材80の上部の一部を覆い隠す上部分74と、導光部材80の車幅方向内側の一部を覆い隠す内部分71と、導光部材80の車幅方向外側の位置でハウジング31を覆い隠す外部分72と、外部分72の下部に連結される意匠部材73とを有する。これにより、導光部材80は、エクステンション70の上部分74および内部分71に覆われない部分のみが前方に露出することとなる。
図9に示すように、導光部材80は、光源91の照射光を下方に導く丸棒状の第1導光部81と、光源92の照射光を下方に導く丸棒状の第2導光部82と、第1導光部81と第2導光部82とを連結する導光板83とを有する。そして、エクステンション70が取り付けられると、エクステンション70の上部分74によって光源91,92および第3導光部53の一部が隠されると共に、エクステンション70の内部分71によって第2導光部材82および導光板53の一部が隠されることとなる。ウインカリフレクタ65の車幅方向内側には、ウインカ用光源66の照射光が車幅方向内側に漏れないようにする遮蔽板67が設けられている。
ウインカ用光源66は、車体正面視で、第2稜線52および第3稜線53に囲まれた領域に配置される。これにより、アウタレンズ40およびフロントサイドカバー7で形成される稜線で囲まれた位置にウインカ用光源66を配置することで、ウインカ装置の点灯時の被視認性を高めることが可能となる。
図10は、図9の状態から導光部材80を取り外した状態の右側灯体30Lの正面図である。また、図11は図10の状態から目隠し部材90を取り外した状態の右側灯体30Rの正面図である。導光部材80を支持する目隠し部材90は、導光部材80より一回り大きな外形を有すると共に、ポジションライト用光源91,92を支持する基板93および制御基板94が外観されないように、有色不透明の合成樹脂等で形成されている。ポジションライト用光源91,92の照射光は、目隠し部材90に形成された開口から車体前方側に照射される。
図12は、導光部材80の正面図である。また、図13は導光部材80の背面図である。導光部材80の外縁部には、導光部材80をハウジング31に取り付けるための取り付けステー84,85,86,87が形成されている。第1導光部81は、ポジションライトの発光時に第1稜線51(図4参照)に沿う上側の直線部81cと、第2稜線51(図4参照)に沿う下側部81dからなる。
導光部材80は、有色透明の合成樹脂等で形成される一体部品であり、ポジションライト用光源91の照射光を図示下方に導く丸棒状の第1導光部81と、ポジションライト用光源92の照射光を図示下方に導く丸棒状の第2導光部82と、第1導光部81と第2導光部82とを連結する導光板83とからなる。導光部材80は、その上部が車体後方側に位置するように後傾した状態で固定されるので、車載状態では、第1導光部81および第2導光部82のいずれも、光源91,92の照射光を車体前方下方に導くこととなる。
ポジションライトの作動時において、入射端面81aから入射される光源91の照射光は第1導光部81の全体を発光させる。第1導光部81の裏面側には、照射光を車体前方側に反射するコーナーキューブリフレクタ等による反射面81bが形成されている。
一方、入射端面82aから入射される光源92の照射光は、第2導光部82を発光させるだけでなく、第2導光部82に連なって導光板83に形成された導光溝としての第3導光部83aを発光させる。第2導光部82の車幅方向内側には、照射光を第3導光部83aに反射する反射面82bが形成されている。
前記したように、灯火装置30を車体に取り付けた際には、エクステンション70およびカバー部材21によって光源91,92の周囲および第2導光部82の周囲が隠されるため、光源91,92を点灯すると、第1導光部81の全体および複数の導光溝83aの発光のみが外観されることとなる。
図14は、図9の14−14線断面図である。アウタレンズ40の外縁に形成される係合突起40cは、パッキン99を介してハウジング31の外周部に設けられた係合溝31cに固定されている。アウタレンズ40の裏面側には、エクステンション70の外部分72および内部分71がそれぞれ近接配置される。LEDからなるポジションランプ用光源91を実装する基板93は、ネジ95によってハウジング31の底部に固定されている。第1導光部81の入射端面81aは、光源91の車体前方側に近接配置されている。同様に、第2導光部82の入射端面82aも光源92の車体前方側に近接配置されている。ハウジング31の車幅方向側寄りに螺合されるネジ96は、目隠し部材90の取り付けステー92と、導光部材80の取り付けステー84とを共締め固定する。
図15は、図4の15−15線断面図である。前記したように、本実施形態に係る灯火装置30のポジションライトは、車体正面視において、第1導光部81の全体および複数の導光溝83aのみが外観されるように構成されている。このとき、第1導光部81の直線部81cは、第1レンズ面41の車幅方向外側端部とフロントサイドカバー7の縁部7aとの間に形成される第1稜線51(図4参照)に沿って発光することとなる。
これにより、車体前方に向かって凸をなす第1稜線51に沿って、長尺形状の第1導光部81が発光することとなり、自動二輪車1の車体前方から視認される車体輪郭線としての第1稜線51が強調されて、灯火装置30そのものの被視認性を高めるだけでなく車体の被視認性を高めることが可能となる。
図16は、図4の16−16線断面図である。第1導光部81の下部で車体中央側に傾斜する下側部分81dは、第1レンズ面41と第2レンズ面42との間に形成される第2稜線52(図4参照)に沿った形状とされている。
これにより、車体前方に向かって凸をなす第2稜線52に沿って、第1導光部82の下部分が発光することとなり、自動二輪車1の前方から視認される車体輪郭線としての第1稜線52が強調されて、灯火装置30そのものの被視認性を高めるだけでなく車体の被視認性を高めることが可能となる。
図17は、図4の17−17線断面図である。さらに、ウインカ用光源66およびウインカリフレクタ65からなるウインカ装置は、車体正面視で、第2稜線53と第3稜線53とに囲まれた第2レンズ面42のうち、第3稜線53を外縁とする車幅方向外側領域を発光させる。これにより、自動二輪車1の前方から視認される車体輪郭線としての第3稜線53が強調されて、灯火装置30そのものの被視認性を高めるだけでなく、車体の被視認性を高めることが可能となる。
なお、灯火装置の構造や形態、車体カバーの形状、ハウジングやアウタレンズの材質や形状、エクステンションの材質や形状、導光部材の材質や形状等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。本願発明に係る灯火装置は、スクータ型車両のほか、操向ハンドルとシートとの間に燃料タンクを有するスポーツタイプの自動二輪車等の種々の車両に適用することが可能である。
図9に示すように、導光部材80は、光源91の照射光を下方に導く丸棒状の第1導光部81と、光源92の照射光を下方に導く丸棒状の第2導光部82と、第1導光部81と第2導光部82とを連結する導光板83とを有する。そして、エクステンション70が取り付けられると、エクステンション70の上部分74によって光源91,92および導光板83の一部が隠されると共に、エクステンション70の内部分71によって第2導光部82および導光板83の一部が隠されることとなる。ウインカリフレクタ65の車幅方向内側には、ウインカ用光源66の照射光が車幅方向内側に漏れないようにする遮蔽板67が設けられている。
図12は、導光部材80の正面図である。また、図13は導光部材80の背面図である。導光部材80の外縁部には、導光部材80をハウジング31に取り付けるための取り付けステー84,85,86,87が形成されている。第1導光部81は、ポジションライトの発光時に第1稜線51(図4参照)に沿う上側の直線部81cと、第2稜線52(図4参照)に沿う下側部81dからなる。
図14は、図9の14−14線断面図である。アウタレンズ40の外縁に形成される係合突起40cは、パッキン99を介してハウジング31の外周部に設けられた係合溝31cに固定されている。アウタレンズ40の裏面側には、エクステンション70の外部分72および内部分71がそれぞれ近接配置される。LEDからなるポジションライト用光源91を実装する基板93は、ネジ95によってハウジング31の底部に固定されている。第1導光部81の入射端面81aは、光源91の車体前方側に近接配置されている。同様に、第2導光部82の入射端面82aも光源92の車体前方側に近接配置されている。ハウジング31の車幅方向側寄りに螺合されるネジ96は、目隠し部材90の取り付けステー97と、導光部材80の取り付けステー84とを共締め固定する。
これにより、車体前方に向かって凸をなす第2稜線52に沿って、第1導光部82の下部分が発光することとなり、自動二輪車1の前方から視認される車体輪郭線としての第2稜線52が強調されて、灯火装置30そのものの被視認性を高めるだけでなく車体の被視認性を高めることが可能となる。