JP2017034117A - ダイシング・ダイボンディング一体型テープ - Google Patents

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Abstract

【課題】 ダイシング工程では、高い粘着性を有し、ピックアップ工程では、低剥離性(低粘着性)を有するダイシング・ダイボンディング一体型テープ、特にピックアップ工程での低粘着性を発現させることができる粘着層を有するダイシング・ダイボンディング一体型テープを提供する。【解決手段】 少なくとも基材層、粘着層、接着層が順次積層された構成からなり、紫外線照射によりピックアップを行うダイシング・ダイボンディング一体型テープにおいて、基材層と粘着層からなる紫外線照射したダイシングテープの粘着層と、接着層との剥離性を評価するパラメータXとして、応力緩和測定データを7要素マクスウェルモデルでフィッティングして得られるピックアップ工程に要する時間相当の緩和要素のうち、弾性率であるパラメータXが40[MPa]以上で、かつ、粘着層の紫外線照射前の表面自由エネルギーが9mJ/m2以上であるダイシング・ダイボンディング一体型テープ。【選択図】 図1

Description

本発明は、ダイシング・ダイボンディング一体型テープに関する。より詳細には、ダイシング工程において高い粘着性を有し、紫外線照射後のピックアップ工程においては低剥離性を有するダイシング・ダイボンディング一体型テープに関する。
ダイシング・ダイボンディング一体型テープは、個片化されたチップ上のワーク(例えば半導体チップ等)と、基板や電極部材、チップ等の被着対象と固着する接着剤を、ダイシング前にワークに貼り付けた状態で、ワークをダイシングするために用いられる。従来の半導体製造工程においては、個片化されたチップを被着対象に接着する際は、ダイボンドテープやダイボンドペーストを基板に塗布又は貼り付けした後に半導体チップを搭載し、硬化させていた。しかしこの方法では、ダイボンド時に個片ごとにダイボンドペーストやダイボンドテープを塗布・貼り付けする工程が必要であり、生産性が劣るという欠点を有していた。
更なる生産性を向上するために、ダイシング前の半導体ウエハにダイボンディングテープ、ダイシングテープを順次ラミネートし、ダイシングする手法が提案され、それによりダイボンディング工程において大幅な生産性向上を達成したが、本手法ではウエハに2度のラミネート工程を必要とする、またダイシングテープとダイボンドテープの組み合わせによっては、ダイボンディング工程においてピックアップ不具合が発生するなどの問題を有していた。
近年更なる生産性や歩留まり向上を目的に、ダイシングテープとダイボンディングテープとを事前に組み合わせたダイシング・ダイボンディング一体型テープが考案され、用いられるようになってきた。このダイシング・ダイボンディング一体型テープを用いると、半導体ウエハへのラミネート工程は1回で済むため、前述手法よりも更に生産性に優れるという特徴を有している。
このような半導体製造工程に使用するダイシングテープは種々提案されている。従来、ダイシングテープはピックアップを容易に行うために、低粘着力の感圧接着剤が使用されていた。しかし、粘着層と接着層が製造から使用までの長い時間に渡って、接触していることにより、個片化した接着層付半導体素子をピックアップ工程で、粘着層と接着層をうまく剥離できないという問題点等があった。
そこで、このような問題を解決するために、紫外線照射などによって粘着層が硬化することで、粘着力を大きく低下させることができるものが開発され、個片化した接着剤付の半導体素子を容易に粘着層から剥離することができるようにしたものが開発されている(特許文献1及び2)。紫外線照射等によって粘着層と接着層の剥離を大きく変化させることができる要因としては、粘着剤自体の機械的特性の変化、表面張力及び相溶性の劇的な変化が知られている(非特許文献1)。さらに、近年の半導体素子の高集積化・薄ウエハ化に伴い、より小さい力でのピックアップ性が求められるようになり、紫外線などによる硬化型ダイシング・ダイボンディング一体型テープにおいても、硬化後の適切な粘着力を詳細に把握する技術が不可欠となっている。
適切な粘着性を有するダイシング・ダイボンディング一体型テープを提供するため、様々な手法で粘着性を制御する技術が発明されている。一般的な粘着剤においては、バルク特性と表面特性双方が粘着及びはく離現象に寄与していることが知られている。バルク特性としては、直接的に粘着力を測定するほか、機械的強度などが挙げられる。粘着力及び機械的強度については、使用状況に適したさまざまな測定方法が考案され、評価されている。特に粘着力は、剥離速度や温度によって大きく変化するため、実際の使用状況に適した粘着力測定が困難な場合もある。この粘着力の剥離速度や温度による変化は、粘着剤の粘弾性特性が大きな因子であるとされているため、粘着材の粘弾性特性を把握することが非常に重要である。粘弾性特性を把握するため、レオメータなどで直接的に粘弾性を評価することもできるが、さまざまなモデル化による評価方法やシミュレーション方法も発明されている。特許文献3および4では、粘弾性の評価のシミュレーション方法やシミュレーション装置が提供している。特許文献5では応力―ひずみ曲線を出力するために粘弾性モデルを使用したプログラムやその装置を提供している。
一方で、表面特性(表面自由エネルギー等)によって粘着性を制御することができるとする技術も発明されている。熱硬化する粘着剤を含む一体型フィルムにおいては、硬化前の接着層の表面自由エネルギーを制御することで、粘着層からの剥離を有利にするだけでなく、被着体への接着性にも優れるダイシング・ダイボンディング一体型テープが知られている(特許文献6)。また、粘着層に接している接着層の剥離面と粘着層に接していない接着層の表面自由エネルギー差を制御することで、接着層と粘着層の剥離モードを凝集破壊に保持できるために、剥離時の半導体素子の損傷を抑制できる効果が記載されているものがある(特許文献7)。
以上より粘着力の制御には適応される状況下での粘弾特性と表面特性の把握が非常に重要であるといえる。
特許第2887274号公報 特許第4002236号公報 特許第05239595号公報 特許第05239593号公報 特開2014−10047号公報 特許第5305501号公報 特許第4865926号公報
古河電工時報 106号、P31−36(2007)
本発明は、ダイシング工程時では高い粘着性を有し、ピックアップ工程では低剥離性を有するダイシング・ダイボンディング一体型テープに関する。特に紫外線照射後のピックアップ工程で低剥離性を発現することができる粘着層を有するダイシング・ダイボンディング一体型テープを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、少なくとも基材層、粘着層、接着層が順次積層された構成からなるダイシング・ダイボンディング一体型テープにおいて、粘着層の中心波長254nmにおいて、露光量が1000mJ/cm以下である紫外線照射後の基材層と粘着層が積層された状態のものの応力緩和測定データを7要素マクスウェルモデル式にフィッティングさせて算出される緩和時間のうち、ピックアップ工程に要する時間に近い緩和時間が有する要素のうち弾性率を表すパラメータXが40[MPa]以上であり、基材層と粘着層からなるダイシングテープの前記記載の紫外線照射前の表面自由エネルギーが9mN/m以上であることを特徴とすることで、上記課題の解を決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、少なくとも基材層、粘着層、接着層が順次積層された構成からなり、紫外線照射によりピックアップを行うダイシング・ダイボンディング一体型テープにおいて、前記基材層と粘着層からなるダイシングテープの粘着層と、前記接着層との剥離性を評価するパラメータXが、弾性要素及び粘性要素を直列に配置した3組と弾性要素1組を並列に組み合わせた7要素マクスウェルモデルの応力とひずみに関する展開式(I)に紫外線照射した基材層と粘着層からなるダイシングテープの応力緩和測定で得られた経過時間と応力のデータを展開式(I)にフィッティングさせたとき、τ1、τ2、τ3、E0、E1、E2、E3が算出される。フィッティングによって得られる変数(τ1、τ2、τ3、E0、E1、E2、E3)は、実測した応力データ値と経過時間及び適当な数値の変数(τ1、τ2、τ3、E0、E1、E2、E3)を展開式(I)に代入して得た応力値との残差平方和が最小になる時とした。フィッティングが良好であるかの判断には、決定係数が0.95〜1.05の範囲にあることとした。
パラメータXは、τ1、τ2、τ3のうちピックアップ工程に要する時間に近い緩和時間τに対応したEであり、パラメータXが下記一般式(II)を満たす。
Figure 2017034117
X≧40[MPa]) ……(II)
(展開式(I)において、σ(t)は、応力緩和時間tのときの応力、εは、応力緩和測定の時(t=0)のひずみ量、Eは、応力緩和測定の時(t=0)の弾性率(MPa)、τiは、i(i=1〜3)における緩和時間(τ1、τ2、τ3)、Eiは、緩和時間τのi(i=1〜3)における弾性率(E1、E2、E3)である。E0、E1、E2、E3、τ1、τ2、τ3を紫外線照射した基材層と粘着層からなるダイシングテープの応力緩和測定で得られた経過時間と応力のデータを展開式(I)にフィッティングして求める。この時、決定係数が、0.95〜1.05の範囲とする。)
さらに、前記の基材層と粘着層からなるダイシングテープの紫外線照射前の粘着層表面の表面自由エネルギーが9mJ/m以上であるダイシング・ダイボンディング一体型テープ。
前記パラメータXの算出には、紫外線照射した前記基材層と粘着層が積層されたものの応力緩和測定が必要となる。パラメータXは、弾性要素及び粘性要素を直列に配置したマクスウェルモデル3個と単独で弾性要素を並列につないだ7要素マクスウェルモデルの応力とひずみを表す展開式と実測した応力緩和測定データのフィッティングから算出される。基材層と粘着層からなるダイシングテープの応力緩和測定で得られた経過時間と応力のデータを展開式(I)にフィッティングさせたとき、τ1、τ2、τ3、E0、E1、E2、E3が算出される。フィッティングによって得られる変数(τ1、τ2、τ3、E0、E1、E2、E3)は、実測した応力データ値と経過時間及び適当な数値の変数(τ1、τ2、τ3、E0、E1、E2、E3)を展開式(I)に代入して得た応力値との残差平方和が最小になる時とした。フィッティングが良好であるかの判断には、決定係数が0.95〜1.05の範囲にあることとした。
モデルは図1に示す。
(1)パラメータXは、図1に示した7要素マクスウェルモデルでの応力とひずみの展開式のフィティングより得られるパラメータであり、フィッティングで得られるものは、緩和時間とその緩和時間に対応した弾性率である。パラメータXは、緩和時間がピックアップ工程にかかる時間に近いときの弾性率である。
(2)前記応力緩和測定に用いられる前記基材層と粘着層が基材層から粘着層に照射される紫外線は、中心波長254nmにおいて、露光量が1000mJ/cm2以下である上記(1)に記載のダイシング・ダイボンディング一体型テープ。
(3)上記(1)の応力とひずみの展開式(I)を応力緩和測定で得られるデータでフィッティングし、τ1、τ2、τ3のうち10秒未満のときのτに対応したE1、E2、E3のいずれかがパラメータXである上記(1)又は(2)に記載のダイシング・ダイボンディング一体型テープ。
(4)紫外線照射前後の粘着層及び接着層の剥離をT字モードで剥離させたときに、粘着層と接着層の剥離が界面剥離モードであり、ピール強度が紫外線照射前は0.4N/25mm以上であり、紫外線照射後は0.1N/25mm以下である上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のダイシング・ダイボンディング一体型テープ。
(5)粘着層が主鎖に対して少なくとも放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基、水酸基をそれぞれ有するアクリル系共重合体(A)、紫外線、電子線、可視光線から選ばれる少なくとも1種を照射することで連鎖重合可能な活性種を発生しうる光開始剤(B)、及び水酸基と反応しうる官能基を1分子中に2つ以上有する架橋剤(C)を含む上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載のダイシング・ダイボンディング一体型テープ。
(6)接着層が、エポキシ基含有アクリル共重合体、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤を含む上記(1)〜(5)いずれか一項に記載のダイシング・ダイボンディング一体型テープ。
本発明によれば、基材に粘着層を積層したダイシングテープを紫外線照射した後に応力緩和測定を実施し、7要素マクスウェルモデル式にフィッティングさせて算出されるパラメータXと、紫外線照射前の粘着層の表面自由エネルギーを制御することで、紫外線照射前には粘着層と接着層の密着性が高く、紫外線照射後に粘着層と接着層の界面での低剥離性を有するダイシング・ダイボンディング一体型テープを提供することができる。
本発明で用いた弾性要素及び粘性要素を直列に配置した3組と弾性要素1組を並列に組み合わせた7要素マクスウェルモデルを説明する図である。 粘弾性2要素モデルと一般化マクスウェルモデルを説明する図である。
以下、発明を詳細に説明する。
本発明は、少なくとも基材層、粘着層、接着層が順次積層された構成からなるダイシング・ダイボンディング一体型テープにおいて、基材層と粘着層からなるダイシングテープの基材層側より紫外線を照射されたものを用いて、応力緩和測定を実施し、7要素マクスウェルモデル式にフィッティングさせて算出されるパラメータXと紫外線照射前の粘着層の表面自由エネルギーを制御することで紫外線照射前には粘着層と接着層の密着性がよく、紫外線照射後は粘着層と接着層の界面で低剥離性を有するダイシング・ダイボンディング一体型テープを提供することができる。
7要素マクスウェルモデル式について詳細に説明する。
粘弾性を特徴づけるものとして緩和時間がある。この緩和時間よりも時間が短い場合には弾性率が支配的に、長い場合には粘性率が支配的になる。一般に粘弾性体は、組み合わせ方はいろいろとあるが、弾性的性質をバネで表し、粘性的性質をダッシュポットで表す。
図2の左に示した粘弾性2要素のマクスウェルモデルで考えると、バネとダッシュポットの伸張ひずみをそれぞれε、εとすると、全伸張ひずみεは式1のようになる。
Figure 2017034117
この時の応力はどちらにも等しく印加されているので、式2のようになる。
Figure 2017034117
式1及び式2から式3が得られる。
Figure 2017034117

t=0のときには、ひずみεは瞬間的に加わるので、ダッシュポットは変形せずにバネのみが変形するので、
σ=E・ε
t>0のときは、ひずみεは保持されるのでdε/dt=0となる。
これを初期条件として解くと、2要素のマクスウェルモデルの応力を表す式として、式4が導出される。また、初期応力をσ0の1/eにまで応力が緩和するときの時間をτとすると、式5となる。
Figure 2017034117
Figure 2017034117

一般に粘弾性体は複雑なため、図2の右に示したようなバネとダッシュポットを無数に組み合わせたものとして表現される(一般化マクスウェルモデル)。
先ほど得られた式4はバネとダッシュポット1組分を表しているのでn個のバネ+ダッシュポットの組み合わせとなる一般化マクスウェルでの応力は、式6となる。
Figure 2017034117
発明者等は、まず初めに応力緩和測定で得たデータを式6にフィッティングさせることを試みた。どのような粘弾性体も多くの項数(バネとダッシュポットの組み合わせ:図2の左)を用いればよいフィッティングを示すが、項数が多いと解析が複雑になり過ぎる上、種々のサンプルとの比較が困難になる。したがって、項数を2〜10(バネとダッシュポットの組み合わせが1〜5組)まで試算し、項数が最も少なく、多くのダイシングテープの品種にフィッティングしやすい項数の検討を重ねた。その結果、項数6(バネとダッシュポットの組み合わせが3組)が最適であることが分かった。しかし、実際の種々の粘弾性体は非常に複雑であるため、一般的には図1のように瞬時の変形分だけはバネのみで表現することが多く、本発明でも瞬間(τ=0)の変形をバネのみで表現することとした。
したがって、1つのバネを式6に追加すると、式7となる。
Figure 2017034117
本発明では図1に示すようなバネのみの要素1つを加え、バネとダッシュポットの組み合わせたもの3つ(項数6)を用いた7要素モデル(i=3)に決定した。
したがって、7要素モデルの応力を表す式は式8となる。
Figure 2017034117
ここで式8のフィッティングには、応力緩和が完了したとき、つまりt=∞の時の応力緩和測定データが必要となる。(Eは応力緩和試験において無限時間後の残存した弾性率を表す。)
そこで式9を用いて、式8を展開し、測定初期の値をフィッティングに使用できるようにさらに工夫した。E0はすべてのダッシュポットが緩和を生じる前に剛体として働く時の弾性率である。
式8に式9を代入し計算すると、最終的に式11を得る。本発明のフィッティングでは式11(展開式(I))を用いた。
Figure 2017034117
Figure 2017034117
Figure 2017034117
解析では応力緩和測定で得たデータを式11(展開式(I))でフィッティングし、各項E0、E1、E2、E3、τ1、τ2、τ3を求めた。フィッティングの計算では、エクセルソルバー(日本マイクロソフト株式会社、オフィス(エクセル)、最適化分析ツール)を用いた。決定係数は、独立変数(説明変数)が従属変数(被説明変数)のどれくらいを説明できるかを表す値である。寄与率と呼ばれることもある。標本値から求めた回帰方程式のあてはまりの良さの尺度として利用される。
前記のように本発明では応力緩和測定で得たデータを展開式(I)でフィッティングし、各項E0、E1、E2、E3、τ1、τ2、τ3を求めた。ε0は、応力緩和測定時の初期ひずみ量である。
各τに対応した弾性率Eのうち、τがピックアップ工程にかかる時間に近い弾性率EをパラメータXとする。ピックアップ工程にかかる時間に近いとは、|τi−(ピックアップ工程にかかる時間)|が最少となる時間である。
パラメータXについて詳細に説明する。
パラメータXが40[MPa]以上の場合には、粘着層と接着層の界面剥離が生じ、ピックアップしやすくなる。一方でパラメータXが40未満の場合には、界面剥離が進展しにくく、ピックアップが困難になる。パラメータXは、応力に対する変形能に反比例していた値とみなせる。応力を弾性率で除した値がひずみになることから、ひずみが小さい場合には応力に対して変形できる量が小さく、ひずみが大きい場合には応力に対して変形できる量が大きくなることを意味する。パラメータXはピックアップ工程にかかる時間相当の弾性率であることから、ピックアップ時のひずみ量が大きくなればピックアップが悪化し、ピックアップ時のひずみ量が小さくなれば、ピックアップは良好になる。ひずみは、その物質の変形能の程度を表しており、変形能以下であれば元に戻り、変形能を超えると永久的な変形になる。このような永久変形に向かう前には、数層のシート状あるいはフィルム状の物質を積層し一体化した材料の場合には、密着力の低い界面では剥離が起こる。本発明のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムにおいては、ひずみ量が大きくなると、粘着層と接着層の界面剥離に進展することになる。よって、パラメータXによって界面剥離の進展しやすさ、つまり、ピックアップのしやすさを判断することができる。
また、本発明で用いた7要素マクスウェルモデルから算出されるパラメータXは、紫外線によって照射されたもので応力緩和測定を行った測定データを用いるものとする。前記応力緩和測定には、基材及び粘着層を積層したダイシングテープを使用し、パラメータXは、緩和時間がピックアップ工程に要する時間と同程度の時間に対応した緩和要素のうち、弾性率であるとする。緩和時間に要する時間とは、ピックアップ工程によってさまざまであるが、ダイシング・ダイボンディング一体型テープに対して垂直方向の力が加えられてから、その力が緩和する、あるいは、チップなどのワークが目的の状態つまりピックアップされた時とする。通常の半導体の製造工程においてはピックアップ工程に要する時間とは、一般に数秒から十数秒程度とし、より好ましくは10秒以下、さらに好ましくは5秒以下とする。この時間は、種々のピックアップ工程の条件に基づき、適切に設定できるものとする。
ピックアップ性向上に関して詳細に説明する。
ピックアップ性には、接触する2つの面自体の粘着力、界面剥離の進展しやすさ、エッジ部分の剥離のしやすさ、ダイシング性の良し悪しが複雑に関与している。本発明では、紫外線照射前後のT字ピール強度から接触する粘着層及び接着層自体の粘着力、パラメータXより界面剥離の進展しやすさを評価した。エッジ部分の剥離のしやすさは、ダイシング性に深く関与しており、接着層と粘着層の密着性が良好でないとダイシング性は悪化する。本発明では、紫外線照射前のT字ピール強度と紫外線照射前の表面自由エネルギーより接触する粘着層及び接着層の密着度の評価とダイシング性自体評価することで、ダイシング性とピックアップ性に寄与するエッジ部分の剥離のしやすさを併せて評価し、本発明に至っている。
接着層の表面自由エネルギーに関して詳細に説明する。
粘着層の紫外線照射前の表面自由エネルギーは、接着層とのぬれ性やなじみに寄与する。この接着層と粘着層の紫外線照射前の表面自由エネルギー差を低減させることによって、紫外線照射前の粘着層と接着層界面の粘着力を一定以上に保持させる、つまり、密着性のよい界面にすることができる。エネルギー差が少ないほうが界面はより安定した状態になる。界面間の粘着力を高くすることに加えて、界面のエネルギーがより安定した状態でダイシングを行うことで、ダイシング時に形成されるエッジ部分の断面への切削屑の付着や断面の変形が少なくなり、ピックアップ性が向上する。
本発明に記載する低粘着あるいは低剥離性とは、基材層から粘着層に照射される紫外線が、中心波長254nmにおいて、露光量が1000mJ/cm以下であるダイシング・ダイボンディング一体型テープにおいて、紫外線照射後に剥離速度300mm/minで粘着層及び接着層をT字モードで界面剥離させた時の粘着力が0.3N/25mm以下であり、より好ましくは0.2N/25mm以下、さらに好ましくは0.1N/25mm以下であることとする。粘着力が0.3N/25mm以下であれば、紫外線照射後のピックアップ工程で問題が生じないレベルである。また、剥離モードは、一般に凝集剥離モード、混合剥離モード、界面剥離モードの3つに大きく分けられる。凝集剥離モードでは糊残り等の不具合が生じる可能性があり、混合剥離モードでは糊残り等の不具合の他、微振動によるチップ破損等の不具合が生じる可能性がある。一方、界面剥離モードではピックアップ時の不具合は発生しにくい。
ダイシング工程時の高い粘着性は、0.4N/25mm以上であると好ましい。
ここで基材層について詳細に説明する。
基材層には、既知のポリマーシート又はテープを用いることができる。本発明のダイシング・ダイボンディング一体型テープにおいては、ダイボンディング工程中のエキスパンド時において、エキスパンド可能であれば特に制限は無いが、好ましい基材を例示すれば、結晶性ポリプロピレン、非晶性ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、低密度直鎖ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂や、これらに可塑剤、シリカ、アンチブロッキング材、スリップ剤、帯電防止剤などを混合した混合物などが挙げられる。
その中でもポリプロピレン、ポリエチレン−ポリプロピレンランダム共重合体、ポリエチレン−ポリプロピレンブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体から選ばれる少なくとも1種が主成分である層が、粘着層と接していることが好ましい。これらの樹脂は、ヤング率や応力緩和性、融点などの特性や、価格面、使用後の廃材リサイクル等の観点からも良好な基材であり、また紫外線による表面改質効果が得られやすいため好ましい。
また基材層は、単層でも構わないが、必要に応じて異なる材質からなる層が積層された多層構造を有しても良い。このような基材の製造法としては、多層押し出し法で異なる層を有する基材層を一度で作っても良いし、インフレーション法や単層押し出し法で作られたテープを、接着剤を用いて張り合わせる、または熱溶着によって張り合わせる等の手法により得ることができる。また基材層には粘着層との密着性を制御するため、必要に応じて、マット処理、コロナ処理などの表面粗化処理を施しても良い。
ここで基材層に照射される紫外線が、波長254nmにおいて、露光量が1000mJ/cm以下であることが好ましい。1000mJ/cm以上では、粘着層への紫外線露光量が多くなる結果、粘着層と基材、あるいは粘着層と接着層が相互作用し、剥離力が増大する場合がある。
ここで基材層に照射される紫外線の光源は特に制限はないが、ランプとしては、低圧水銀ランプ、Deep−紫外線ランプ、エキシマ紫外線ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプから選ばれる少なくとも1種を用いることが可能である。また照射においては、光源から発する熱の影響を少なくするためにコールドミラーなどを併用することも可能である。
次に粘着層について詳細に説明する。
粘着層は、主鎖に対して少なくとも放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基、水酸基をそれぞれ有するアクリル系共重合体と、紫外線、電子線、可視光線から選ばれる少なくとも1種を照射することで連鎖重合可能な活性種を発生しうる光開始剤(B)、及び水酸基と反応しうる官能基を1分子中に2つ以上有する架橋剤(C)を含むことを特徴する。このような粘着剤を用いることで、紫外線、電子線、可視光線から選ばれる少なくとも1種、好ましくは紫外線照射によって硬化し、低粘着が必須となるダイボンディング工程において良好なピックアップ性を得ることができる。
ここで更に粘着層の表面自由エネルギーについて詳細に説明する。
粘着層の紫外線照射前の表面自由エネルギーは、接着層の表面自由エネルギーに近い方が界面の自由エネルギーは小さくなるので、接着層と粘着層はくっつきやすくなる上、界面は安定した状態になる。
接着層の表面自由エネルギーは、15mJ/m以上で、40mJ/m以下、さらに好ましくは20mJ/m以上、30mJ/m以下である。
したがって、接着層とくっつきやすい粘着層の表面自由エネルギーは、9mJ/m以上、さらに好ましくは12mJ/m以上である。接着層の表面自由エネルギーよりも粘着層の表面自由エネルギーが大きい場合にも小さい場合にも、接着層と粘着層の表面自由エネルギーが近いほど、つまり接着層と粘着層の表面自由エネルギーの差が小さいほど、双方の界面がくっつきやすくなるため、粘着層と接着層界面の粘着力が高くなる上、界面が安定する。また、紫外線照射前の粘着層の表面自由エネルギーが接着層の表面自由エネルギーにより近い方が、界面が安定し、ダイシング性が向上する。さらにダイシング時に形成されるエッジ部分についても、界面の安定により断面への切削屑の付着や断面の変形が少なくなり、ピックアップ性の向上につながる。
ここで更にアクリル系共重合体樹脂について詳細に説明する。
粘着層に用いるアクリル系共重合体樹脂は、主鎖に対して少なくとも放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基、水酸基をそれぞれ含有する。末端を含めた側鎖に不飽和結合、水酸基をそれぞれ含有し、かつ樹脂自体が粘着性を有するものであれば制限はない。このような樹脂を用いることで良好なピックアップ性を有する粘着層を得ることができる。具体的に例示するのであれば、ガラス転移温度が−40℃以下、水酸基価が20〜150mgKOH/g、連鎖重合可能な官能基を0.3〜1.5mmol/g含まれ、重量平均分子量が30万以上である樹脂が挙げられる。このような構造を満足するアクリル系共重合体樹脂を用いることで、前述記載の優れた特性を有する粘着層を得ることができる。
このような特徴を有する(メタ)アクリル系共重合体樹脂は、既知の方法で合成することで得ることができるが、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状重合法、析出重合法、気相重合法、プラズマ重合法、超臨界重合法などが用いられる。また重合反応の種類としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、リビングラジカル重合、リビングカチオン重合、リビングアニオン重合、配位重合、イモーダル重合などの他、ATRP(原子移動ラジカル重合 Atom Transfer Radical Polymerization)やRAFT(可逆的付加-開裂連鎖移動重合 Reversible Addition-Fragmentation Chain Transfer Polymerization)といった手法も用いることができる。この中でも、溶液重合法を用いてラジカル重合により合成することは、経済性の良さや、反応率の高さ、重合制御の容易さなどの他、重合で得られた樹脂溶液をそのまま用いて配合できる等の配合の簡便さもあるため好ましい。(繰り返しなので削除)
ここで、溶液重合法を用いてラジカル重合により(メタ)アクリル系共重合体樹脂を得る方法を例に、更に(A)の合成法について詳細に説明する。
(メタ)アクリル系共重合体樹脂は、側鎖に反応性官能基を有する単量体、側鎖に水酸基を有する単量体と反応性官能基を有しない単量体を共重合させ、更に得られた共重合体の側鎖に反応性官能基と反応する基と2重結合を有する化合物を反応させ共重合体主鎖に2重結合を有する側鎖を付与する方法が挙げられる。例えば、側鎖に水酸基を有する単量体を一定割合で共重合させ、側鎖の水酸基にイソシアネート基と2重結合を有する化合物を、水酸基が残る程度に反応させ側鎖に放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基と水酸基をそれぞれ有するアクリル系共重合体樹脂を得ることができる。また、側鎖にエポキシ基、オキセタニル基、カルボキシル基と2重結合を有する化合物(単量体)を共重合成分として共重合体を得て、側鎖のエポキシ基、オキセタニル基、カルボキシル基と反応性を有する基と2重結合を有する化合物((メタ)アクリル酸、エチレン性不飽和基とイソシアネート基を有する化合物、エチレン性不飽和基と水酸基を有する化合物等)を反応させ、側鎖に二重結合を含有した共重合体を得ることができる。これについて、後述する。
(A)を合成する際に用いられるモノマーとしては、一分子中に1個の(メタ)アクリル基を有するものであれば特に制限はないが、具体的に例示するのであれば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)スクシネート等の脂肪族(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロフタレート等の脂環式(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(1−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(2−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;2−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−N−カルバゾール等の複素環式(メタ)アクリレート、これらのカプロラクトン変性体、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、α−ブチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、α−エチル−6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエチレン性不飽和基とエポキシ基を有する化合物;(2−エチル−2−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチル−2−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−メチル−2−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、3−(2−エチル−2−オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(2−メチル−2−オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基とオキセタニル基を有する化合物;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのエチレン性不飽和基とイソシアネート基を有する化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基とヒドロキシル基を有する化合物;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、2−フタロイルエチル(メタ)アクリレート、2−テトラヒドロフタロイルエチル(メタ)アクリレート、2−ヘキサヒドロフタロイルエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸などのエチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する化合物などが挙げられ、これらを適宜組み合わせて目的とする共重合体組成物を得ることができる。
更に必要に応じて、上述モノマーと共重合可能なスチレン、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−2−メチル−2−プロピルマレイミド、N−ペンチルマレイミド、N−2−ペンチルマレイミド、N−3−ペンチルマレイミド、N−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−2−メチル−2−ブチルマレイミド、N−3−メチル−1−ブチルマレイミド、N−3−メチル−2−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−2−ヘキシルマレイミド、N−3−ヘキシルマレイミド、N−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−3−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−4−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−4−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2,2−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−3,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−3,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−2,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−2,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−ヒドロキシメチルマレイミド、N−1−ヒドロキシエチルマレイミド、N−2−ヒドロキシエチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−3―ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−プロピルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−2−メチル−3−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−2−メチル−3−ヒドロキシ−2−プロピルマレイミド、N−2−メチル−2−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−5−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−5−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−3−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−メチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−プロピルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−5−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−6−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−5−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−6−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−1−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−3−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−4−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−5−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−6−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−エチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−エチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−エチル−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−2−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−3−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−4−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−3−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−3−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−4−ブチルマレイミド等のアルキルマレイミド;N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロヘプチルマレイミド、N−シクロオクチルマレイミド、N−2−メチルシクロヘキシルマレイミド、N−2−エチルシクロヘキシルマレイミド、N−2−クロロシクロヘキシルマレイミド等のシクロアルキルマレイミド;N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2−エチルフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド等のアリールマレイミドなどを、適宜用いることができる。
この中でも、C8〜C23の脂肪族エステルである(メタ)アクリルエステルから選ばれる少なくとも1種を用いるのが好ましい。このようなモノマー成分を共重合して得られた(メタ)アクリル系共重合体樹脂はガラス転移温度が低いため、粘着材は優れた粘着特性を示すだけでなく、疎水性相互作用が強いため紫外線又は電子線を照射した後においては、ダイボンディングテープとダイシングテープとの界面における剥離性が優れているため好ましい。
またこのような(メタ)アクリル系共重合体樹脂を得るために必要な重合開始剤としては、30℃以上の加熱によりラジカルを発生する化合物であれば特に制限はないが、例えばメチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、メチルシクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール;p−メンタンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド;α、α´−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド;オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシカーボネート等のパーオキシカーボネート;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステル;2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2´−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
また溶液重合の際に用いられる反応溶媒としては、(A)を溶解しえるものであれば、特に制限はないが、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、p−シメンなどの芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸エステル;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の多価アルコールアルキルエーテルアセテート;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミドなどが挙げられ、更にこれらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。更に超臨界二酸化炭素などを溶媒に用いて重合することもできる。
さらに得られた(メタ)アクリル系共重合体樹脂に、紫外線や電子線、可視光線の照射によって反応しうる官能基を化学的に結合させることによって、感光性を付与することができる。ここでいう、紫外線や電子線、可視光線の照射によって反応しうる官能基とは、具体的に例示するのであれば、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、脂環式エポキシ基、オキセタン基等が挙げられる。
その組成や合成方法に特に制限はないが、例えば上記の(メタ)アクリル系共重合体樹脂を合成する際に、前もって付加反応しうる官能基、例えば水酸基、カルボキシル基、無水マレイル基、グリシジル基、アミノ基などを有するモノマーと共重合することで(メタ)アクリル樹脂に付加反応可能な官能基を導入し、そこに少なくとも1つのエチレン性不飽和基と、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、カルボキシル基などから選ばれる少なくともの1つの官能基を有する化合物とを付加反応させて側鎖にエチレン性不飽和基を導入することで、(メタ)アクリル系共重合体樹脂に感光性を付与することができる。
このような化合物としては特に制限はなく、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、α−ブチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、α−エチル−6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエチレン性不飽和基とエポキシ基を有する化合物;(2−エチル−2−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチル−2−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−メチル−2−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、3−(2−エチル−2−オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(2−メチル−2−オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基とオキセタニル基を有する化合物;メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等のエチレン性不飽和基とイソシアネート基を有する化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基とヒドロキシル基を有する化合物;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、2−フタロイルエチル(メタ)アクリレート、2−テトラヒドロフタロイルエチル(メタ)アクリレート、2−ヘキサヒドロフタロイルエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸等のエチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する化合物などが挙げられる。
これらの中でもコストや反応性の観点から、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、イソシアン酸エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、2−ヘキサヒドロフタロイルエチル(メタ)アクリレート等を用いて、(メタ)アクリル系共重合体樹脂と反応させ、感光性を付与することが好ましい。これらの化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。また必要に応じて、付加反応を促進する触媒を添加したり、反応中の二重結合の開裂を避ける目的で重合禁止剤を添加することもできる。また更に好ましくは、OH基を含有する(メタ)アクリル系共重合体樹脂と2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートから選ばれる少なくとも1種との反応物である。
次に光開始剤(B)について詳細に説明する。
(B)は紫外線、電子線、可視光線から選ばれる少なくとも1種を照射することで連鎖重合可能な活性種を発生すれば特に制限はない。ここで連鎖重合可能な活性種とは、連鎖重合可能な官能基と反応することで重合反応が開始されるものであれば特に制限はない。光開始剤(B)としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾインケタール;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシケトン;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のα−アミノケトン;1−[(4−フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタジオン−2−(ベンゾイル)オキシム等のオキシムエステル;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N´−テトラメチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、N,N´−テトラエチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4´−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル化合物;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9´−アクリジニルヘプタン)等のアクリジン化合物:N−フェニルグリシン、クマリンなどが挙げられる。
また、前記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体において、2つのトリアリールイミダゾール部位のアリール基の置換基は、同一で対称な化合物を与えてもよく、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また。ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン化合物と3級アミンとを組み合わせてもよい。
さらに光カチオン重合開始剤としては、p−メトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のジアリールヨードニウム塩;トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムペンタフルオロヒドロキシアンチモネート等のトリアリールスルホニウム塩;トリフェニルセレノニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルセレノニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルセレノニウムヘキサフルオロアンチモネート等のトリアリールセレノニウム塩;ジメチルフェナシルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジエチルフェナシルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートのジアルキルフェナシルスルホニウム塩;4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−ヒドロキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のジアルキル−4−ヒドロキシ塩;α−ヒドロキシメチルベンゾインスルホン酸エステル、N−ヒドロキシイミドスルホネート、α−スルホニロキシケトン、β−スルホニロキシケトン等のスルホン酸エステルなどが挙げられるが、これらのカチオン重合開始剤は、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。さらに、適切な増感剤と組み合わせて用いることもできる。
その中でもダイボンディングテープに厳しい絶縁性や絶縁信頼性が必要な場合は、光ラジカル開始剤を用いるのが好ましく、その中でも2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾインケタール;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシケトン、ベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル化合物;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9´−アクリジニルヘプタン)等のアクリジン化合物:N−フェニルグリシン、クマリン等は、ダイシング・ダイボンディング一体型テープにおける保存安定性に優れるため好ましく、更に2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ベンゾフェノンは一般の紫外線遮光型蛍光灯の元での取り扱いが可能であり、イエロールーム等の設備が必要でないため更に好ましい。
通常これらの光開始剤(B)の配合量は、目的とする粘着層の厚みや用いる光源によって最適値は異なるが、(A)100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部配合することで、目標とする特性が達成される。光開始剤の量が0.1質量部未満であると、紫外線照射後におけるダイボンディングテープとの剥離力が十分に低下しない場合があり、10質量部を超えるとピックアップ時に不具合が生じる場合がある。
粘着層には、破断伸び率や粘着力及び紫外線照射前の表面自由エネルギーの制御を目的に、更に架橋剤(C)を用いることができる。ここでいう架橋剤とは、(A)に導入された水酸基、グリシジル基、アミノ基等から選ばれる少なくとも1種と、これらの官能基と反応しうる官能基を1分子中に2つ以上有する化合物であり、その構造に制限はない。このような架橋剤で形成される結合としては、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合などが挙げられる。
その中でも(C)に、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有することが好ましい。このような化合物を用いると、(A)に導入された水酸基、グリシジル基、アミノ基などと容易に反応し、強固な架橋構造を形成するため好ましい。
特に、紫外線照射前粘着層の表面自由エネルギーの制御には、架橋剤が有効である。アクリル樹脂由来の水酸基と架橋剤のイソシアネート基のバランスすなわち、架橋剤の種類や添加量によって、紫外線照射前の粘着層の表面自由エネルギーは変化する。架橋剤の添加量、つまり、架橋剤の反応性やイソシアネート含有率が紫外線照射前粘着層の表面自由エネルギーに関与している。アクリル系共重合体樹脂由来の水酸基量に対する架橋剤のイソシアネート基のバランスとしては、5〜40%が好ましく、より好ましくは10〜35%である。40%を超えて大きくなると、ポットライフが短くなり、逆に5%未満では凝集力が不足して糊残りの問題が発生する可能性がある。
ここで1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する架橋剤とは、具体的に例示すれば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4´−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4´−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等のポリイソシアネート化合物が挙げられる。
また更に上述のイソシアネート化合物と、1分子中に2つ以上のOH基を有する多価アルコール類を反応させることで得られるイソシアナート基含有オリゴマーを用いることもできる。そのようなオリゴマーを得る場合、1分子中に2つ以上のOH基を有する多価アルコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
これらの中でも、(C)が、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと、1分子中に3つ以上のOH基を有する多価アルコールの反応物であることが更に望ましい。このようなイソシアネート基含有オリゴマーを用いることで、粘着層が緻密な架橋構造を形成し、ダイボンディング工程後のチップへの粘着層残りなどを無くすことができる。
続いて接着層について詳細に説明する。
接着層が、エポキシ基含有アクリル共重合体、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤を含むダイシング・ダイボンディング一体型テープであることが好ましい。このような組成を有する接着層は、チップ/基板間、チップ/チップ間の接着性に優れ、また電極埋め込み性やワイヤー埋め込み性等も付与可能で、かつ、ダイボンディング工程では低温で接着でき、短時間で優れた硬化が得られる、封止剤でモールド後は優れた信頼性を有する等の特徴があり好ましい。
ここでエポキシ樹脂とは、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のジグリシジルエーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物、水素添加物等の二官能エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。また、多官能エポキシ樹脂や複素環含有エポキシ樹脂等、一般に知られているものを適用することもできる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。さらに、特性を損なわない範囲でエポキシ樹脂以外の成分が不純物として含まれていてもよい。
エポキシ樹脂硬化剤は、従来公知の各種エポキシ樹脂硬化剤もしくはエポキシ樹脂硬化促進剤を配合することができる。例えば、フェノール樹脂、イミダゾール化合物、酸無水物、脂肪族アミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン、第3級アミン、ジシアンジアミド、グアニジン類、又はこれらのエポキシアダクトやマイクロカプセル化したもののほか、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフォニウム、テトラフェニルボレート等の有機ホスフィン系化合物、DBU(ジアザビシクロウンデセン)もしくはその誘導体等、硬化剤もしくは硬化促進剤の如何に拘らず、公知慣用のものを単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができる。エポキシ樹脂の硬化を進行させれば特に限定されないが、具体的には、4,4´−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ジメチル−4,4´−ジアミノビフェニル、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、9,9´−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等を例示でき、単独、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
またエポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、フェノール化合物と2価の連結基であるキシリレン化合物を、無触媒又は酸触媒の存在下に反応させて得ることができるフェノール樹脂のようなものが挙げられる。
フェノール樹脂の製造に用いられるフェノール化合物としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−n−プロピルフェノール、m−n−プロピルフェノール、p−n−プロピルフェノール、o−イソプロピルフェノール、m−イソプロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、o−n−ブチルフェノール、m−n−ブチルフェノール、p−n−ブチルフェノール、o−イソブチルフェノール、m−イソブチルフェノール、p−イソブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、2,4−キシレノール、2,6−キシレノール、3,5−キシレノール、2,4,6−トリメチルフェノール、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、o−アリルフェノール、p−アリルフェノール、o−ベンジルフェノール、p−ベンジルフェノール、o−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、p−ブロモフェノール、o−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、o−フルオロフェノール、m−フルオロフェノール、p−フルオロフェノール等が例示される。これらのフェノール化合物は、単独で用いてもよく、二種類以上を混合して用いてもよい。
フェノール樹脂の製造に用いられる2価の連結基であるキシリレン化合物としては、次に示すキシリレンジハライド、キシリレンジグリコール及びその誘導体が用いることができる。すなわち、α,α′−ジクロロ−p−キシレン、α,α´−ジクロロ−m−キシレン、α,α´−ジクロロ−o−キシレン、α,α´−ジブロモ−p−キシレン、α,α´−ジブロモ−m−キシレン、α,α´−ジブロモ−o−キシレン、α,α´−ジヨード−p−キシレン、α,α´−ジヨード−m−キシレン、α,α´−ジヨード−o−キシレン、α,α´−ジヒドロキシ−p−キシレン、α,α´−ジヒドロキシ−m−キシレン、α,α´−ジヒドロキシ−o−キシレン、α,α´−ジメトキシ−p−キシレン、α,α´−ジメトキシ−m−キシレン、α,α´−ジメトキシ−o−キシレン、α,α´−ジエトキシ−p−キシレン、α,α´−ジエトキシ−m−キシレン、α,α´−ジエトキシ−o−キシレン、α,α´−ジ−n−プロポキシ−p−キシレン、α,α´−ジ−n−プロポキシ−m−キシレン、α,α´−ジ−n−プロポキシ−o−キシレン、α,α´−ジ−イソプロポキシ−p−キシレン、α,α´−ジイソプロポキシ−m−キシレン、α,α´−ジイソプロポキシ−o−キシレン、α,α´−ジ−n−ブトキシ−p−キシレン、α,α´−ジ−n−ブトキシ−m−キシレン、α,α´−ジ−n−ブトキシ−o−キシレン、α,α´−ジイソブトキシ−p−キシレン、α,α´−ジイソブトキシ−m−キシレン、α,α´−ジイソブトキシ−o−キシレン、α,α´−ジ−tert−ブトキシ−p−キシレン、α,α´−ジ−tert−ブトキシ−m−キシレン、α,α´−ジ−tert−ブトキシ−o−キシレンを挙げることができる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記したフェノール化合物とキシリレン化合物を反応させる際には、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸等の鉱酸類;ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機カルボン酸類;トリフロロメタンスルホン酸等の超強酸類;アルカンスルホン酸型イオン交換樹脂のような、強酸性イオン交換樹脂類;パーフルオロアルカンスルホン酸型イオン交換樹脂の様な、超強酸性イオン交換樹脂類(商品名:ナフィオン、炭素−フッ素からなる疎水性テトラフルオロエチレン骨格とスルホン酸基を持つパーフルオロ側鎖から構成されるパーフルオロカーボン材料(tetrafluoroethyleneとperfluoro[2-(fluorosulfonylethoxy)propylvinyl ether]の共重合体)、Nafion、Du Pont社製);天然及び合成ゼオライト類;活性白土(酸性白土)類等の酸性触媒を用い、50〜250℃において実質的に原料であるキシリレン化合物が消失し、且つ反応組成が一定になるまで反応させて得られる。反応時間は原料や反応温度にもよるが、おおむね1〜15時間程度であり、実際には、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)等により反応組成を追跡しながら決定すればよい。
エポキシ基含有アクリル共重合体は、エポキシ基を有するグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートを0.5〜6質量%含む。高い接着力を得るためには、0.5質量%以上が好ましく、6質量%以下であればゲル化を抑制できる。上記エポキシ基含有アクリル共重合体のガラス転移点(Tg)としては、−50℃以上、30℃以下、更には−10℃以上、30℃以下であることが好ましい。
官能基モノマーとして用いるグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートの量は0.5〜6質量%の共重合体比である。つまり、本発明においてエポキシ基含有アクリル共重合体は、原料としてグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートを、得られる共重合体に対し0.5〜6質量%となる量用いて得られた共重合体をいう。その残部はメチルアクリレート、メチルメタクリレートなどの炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、およびスチレンやアクリロニトリルなどの混合物を用いることができる。これらの中でもエチル(メタ)アクリレート及び/又はブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。混合比率は、共重合体のTgを考慮して調整することが好ましい。Tgが−10℃未満であるとBステージ状態での接着剤層又はダイシングダイボンドシートのタック性が大きくなる傾向があり、取り扱い性が悪化することがある。重合方法は特に制限が無く、例えば、パール重合、溶液重合等が挙げられ、これらの方法により共重合体が得られる。このようなエポキシ基含有アクリル共重合体としては、例えば、HTR−860P−3(ナガセケムテックス株式会社製、商品名)が挙げられる。
エポキシ基含有アクリル共重合体の重量平均分子量は10万以上であり、この範囲であると接着性及び耐熱性が高く、30〜300万であることが好ましく、50〜200万であることがより好ましい。300万以下であると、フロー性が低下することにより、半導体素子を貼付ける支持部材に必要に応じて形成された配線回路への充填性が低下する可能性を減らすことができる。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
また接着層成分には、更に必要に応じて、第三級アミン、イミダゾール類、第四級アンモニウム塩類などの硬化促進剤を添加しても良い。このような硬化促進剤としては具体的には、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を併用することもできる。
また更に、接着層成分には無機フィラーを添加することを特徴とする。具体的には水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、結晶質シリカ、非晶質シリカなどが挙げられ、これらは、1種又は2種以上を併用することもできる。
配合量としては、接着層に含まれているエポキシ樹脂100質量部に対して、50質量部以上、300質量部以下の無機フィラーを含むことが好ましい。無機フィラーが50質量部未満の場合には凝集力が低減し、ウエハとの適切な接着力が得られなくなり、無機フィラーが300質量部より大きい場合には分散性が難しくなり量産性が悪くなる恐れがある。
以下、本発明の実施例をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限するものではない。なお、特に記述が無い限り、薬品は全て試薬を使用した。
[ダイシングテープ用アクリル系共重合体の合成]
スリーワンモータ(攪拌機、新東科学株式会社)、撹拌翼、窒素導入管が備え付けられた容量4000mlのオートクレーブに酢酸エチルを1000g、2−エチルヘキシルアクリレートを650g、2−ヒドロキシエチルアクリレートを350g、アゾビスイソブチロニトリルを3.0g配合し、均一になるまで撹拌後、流量100ml/minにて60分間バブリングを実施し、系中の溶存酸素を脱気した。1時間かけて60℃まで昇温し、昇温後4時間重合させた。その後、1時間かけて90℃まで昇温し、更に90℃にて1時間保持後、室温(25℃)に冷却した。
次に酢酸エチルを1000g加えて撹拌し希釈した。これに重合禁止剤としてメトキノンを0.1g、ウレタン化触媒として、ジオクチルスズジラウレートを0.05g添加したのち、2−メタクリロキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製カレンズMOI)を100g加え、70℃で6時間反応させたのち室温に冷却した。その後、酢酸エチルを加え、アクリル樹脂溶液中の不揮発分含有量が35質量%となるよう調整し、放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基、水酸基をそれぞれ有するアクリル系共重合体樹脂溶液を得た。
この樹脂の酸価を、JIS K0070(化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法)に従って、酸価と水酸基価を測定したところ、酸価は検出されなかった。水酸基価を求めたところ、121mgKOH/gであった。また得られたアクリル樹脂を60℃で一晩真空乾燥し、得られた固形分をエレメンタール社製全自動元素分析装置varioELにて元素分析し、窒素含有量から導入された2−メタクリロキシエチルイソシアネートの含有量を算出したところ、0.59mmol/gであった。また東ソー株式会社製SD−8022/DP−8020/RI−8020を使用し、カラムには日立化成株式会社製Gelpack GL−A150−S/GL−A160−Sを用い、溶離液にテトラヒドロフランを用いてGPC測定をした結果、ポリスチレン換算重量平均分子量は42万であった。
[ダイシングテープの作製]
上述記載の方法で得られた連鎖重合可能な二重結合を有するアクリル系共重合体樹脂溶液を固形分として100g(アクリル系共重合体(A))、架橋剤として多官能イソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社(東ソー株式会社)製、コロネートL(トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートの三量体付加物)、固形分75質量%)を固形分として12.0g(架橋剤(C))、光開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティケミカルズ社製(BASF社)、イルガキュア184)を1.0g(光開始剤(B))、更に総固形分含有量が27質量%となるように酢酸エチルを加え、10分間均一に撹拌してダイシングテープ用の粘着層用ワニスを得た。
片面が離型処理された幅350mm、厚み38μmのポリエチレンテレフタレートテープ上に、粘着層用ワニスを、粘着層厚みが10μmとなるよう、塗工し、80℃で5分間乾燥し、ダイシングテープを得た。
[ダイボンディングテープの作製]
エポキシ樹脂としてYDCN−703(東都化成株式会社製商品名(新日鐵化学株式会社)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量210g/eq、分子量1200、軟化点80℃)55質量部、エポキシ樹脂硬化剤のフェノール樹脂としてミレックスXLC−LL(三井化学株式会社製商品名、フェノール・p−キシリレングリコールジメチルエーテル共重合樹脂、水酸基当量175g/eq、吸水率1.8質量%、350℃における加熱重量減少率4%)45質量部、シランカップリング剤としてNUC A−189(日本ユニカー株式会社製商品名(株式会社NUC)、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)1.7質量部とNUCA−1160(日本ユニカー株式会社製商品名、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン)3.2質量部、フィラーとしてアエロジルR972(シリカ表面にジメチルジクロロシランを被覆し、400℃の反応器中で加水分解させた、メチル基などの有機基を表面に有するフィラー、日本アエロジル株式会社製商品名、シリカ、平均粒径0.016μm)32質量部からなる組成物に、シクロヘキサノンを加えて撹拌混合し、更にビーズミルを用いて90分混練した。
これにエポキシ基含有アクリル共重合体としてグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート3質量%を含むアクリルゴムHTR−860P−3(ナガセケムテックス株式会社製商品名、重量平均分子量80万)を280質量部、及び硬化促進剤としてキュアゾール2PZ−CN(四国化成工業株式会社製商品名、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール)0.5質量部を加え、攪拌混合し、真空脱気し、ワニスを得た。
ワニスを厚さ35μmの離型処理したポリエチレンテレフタレートテープ上に塗布し、140℃で5分間加熱乾燥して、膜厚が20μmのBステージ状態の塗膜を形成し、キャリアテープを備えたダイボンディングテープを作製した。
[ダイシング・ダイボンディング一体型テープの作製]
前記の手法により得られたダイボンディングテープを、キャリアテープごと取扱いしやすいサイズにカットした。これにダイシングテープを室温で貼り付け後、4℃の冷蔵庫で1日保管しダイシング・ダイボンディング一体型テープを得た。
紫外線照射
株式会社オーク製作所製無電極紫外線ランプシステムを用いて、上記で作製したダイシング・ダイボンディング一体型テープに200mW/cmモードで所定の照射量になるように種々の照射時間を設定し、実施例1〜4、比較例1〜4のサンプルとした。なお、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムのダイシングテープの基材側から紫外線を照射した。
表面自由エネルギーの測定
接触角計(協和界面化学株式会社製:Drop Master300)を用いて、ダイシングテープの粘着層に対する接触角θを23〜28℃の温度にて実測し、表面自由エネルギー(mJ/m)を算出した。接触角の測定条件としては、プローブの液適量は1.5μlとし、測定時間はプローブ溶液を滴下後5秒とした。測定は各10回ずつ行い、その平均値を求めた。プローブ溶液には、水とグリセリンの2種を用いた。得られた接触角はYoung−Dupreの式(VI)を用いて、単純に連立方程式の解として、サンプルの分散項(分散成分値)及び極性項(極性成分値)、表面自由エネルギー(分散成分値と極性成分値の和)を算出した。(Owens and Wendt法)
Figure 2017034117
なお、分散成分値は、固体表面自由エネルギー分散項γ 、極性成分値は固体表面自由エネルギー極性項γ にあたる。水とグリセリンのそれぞれの表面自由エネルギーγ、表面自由エネルギー分散項γ 、表面自由エネルギー極性項γ は、文献値を用いた。
T字ピール強度の評価(粘着層と接着層界面の粘着力(剥離力)の評価)
T字ピール強度測定用のサンプルは、ダイシング・ダイボンディング一体型テープのうち粘着層側の基材層に支持テープ(両面粘着テープ)を貼り合せ、幅25mm、長さ70−80mmのサイズに切り出したものを用いた。切り出しによる応力が緩和するまで、30分以上室温で保管したものを測定に用いた。
T字ピール強度測定には、オートグラフ(株式会社島津製作所製)を用い、室温25±3℃、湿度55±5%の中で300mm/minの速度で引っ張り、得られたチャートより安定した点の値の平均値を取り、その平均値をT字ピール強度とした。同様の測定を5回行い、その平均値を最終的なサンプルのT字ピール強度として実施例に記載した。なお、T字剥離では粘着層側を固定し、接着層側を一定の剥離測定で剥離できるように固定した。また、T字ピール強度測定を実施している時及び測定後のサンプル観察により、剥離のモードを判定した。
応力緩和測定
応力緩和測定用のサンプルは、ダイシング・ダイボンディング一体型テープのうち基材と粘着層を積層したいわゆるダイシングテープを用い、幅10mm、長さ80から100mmのサイズに切り出したものを用いた。切り出しによる応力が緩和するまで、30分以上室温で保管した後、基材側から紫外線を照射したものを測定に用いた。
応力緩和測定には、オートグラフ(株式会社島津製作所製)を用い、室温25±3℃、湿度55±5%の中でチャック間距離40mm、ひずみ20%になるように100mm/minの速度で引っ張り、その後、チャック間距離を保持したまま、経過時間と共に応力を測定した。同様の測定を2回行い、経過時間における応力の挙動に違いがないことを確認した。いずれかの測定データを用いて式(I)にフィッティングさせ、得られた緩和要素を実施例及び比較例に記載した。また、フィッティングの良し悪しは、フィッティングより得られた測定データの偏差の平方和をフィッティングデータの偏差の平方和で除した決定係数Aが0.9<A<1.1であることがよく、さらに好ましくは、0.95<A<1.05である。
ダイシング性の評価
前述記載のダイシング・ダイボンディング一体型テープを70℃にてミラーウェハ(サイズ8インチ、厚み50μm)にラミネートした。その後、株式会社ディスコ製フルオートダイサーDF6361を用い、チップサイズ10mm角にてダイシングした。その際、カット方法はシングルカットとし、ブレードには、NBC−ZH05−SD4000−N1−70−BBを用い、ブレード回転数50000回転/分(rpm)、カット速度50mm/sec、ブレードハイトを基材切り込み80μmとして実施した。
ダイシング後、チップ上面から10チップを顕微鏡で観察し、以下の基準で判定した。50μm以上のヒゲバリが一切見られず、また50μm以下のバリも見られないものを「良好」、50μm以上のバリは一切みられないが、50μm以下のバリが10チップあたり1本以下みられるものを「良」、50μm以上のバリが10チップあたり1本以上みられるものを「不良」とした。「不良」の中でも条件の容易な変更により実用上問題なく使える可能性が高い場合には「不良」とした。
実用上「良」であれば問題なく、「良好」であればより好ましい。
ピックアップ性の評価
上記のようにダイシング後、ダイシング・ダイボンディング一体型テープの基材層側から粘着層に紫外線を、空冷式高圧水銀灯(200W/cm)を用いて200〜300mJ/cm照射した。その後、ダイボンダー装置(株式会社日立製作所製、商品名DB−800HSD)によるピックアップ試験を行い、ピックアップチップ10個でのピックアップ成功率を求めた。9.2mm×9.2mmの範囲に角4つ、中央1つ、その中央を囲むように円形に配置された8つのピンが配置されたマルチニードルを用い、突き上げスピードが10mm/sでピックアップの試験を行い、以下の評価基準で判定した。
ピックアップ突き上げ時に1個でも半導体ウエハに割れが生じたり、ピックアップできなかったものを「不良」、不良でも容易なピックアップ条件の変更によりピックアップ性が改善される可能性が高い場合には「不良」、125μm以下の突き上げ量で100%ピックアップできたものを「良好」とした。
以上の条件及び評価基準で、実施例1〜4及び比較例1〜4の評価を行った。それらの測定、評価結果をまとめて表1、2に示した。
なお、実施例1の式(I)のフィッティングより求めた、τ1、τ2、τ3、E0、E1、E2、E3は、以下のとおりである。パラメータXは、ピックアップに要する時間に一番近いτ1における弾性率E1となる。
τ1= 1.5 [秒]、τ2= 24.4 、τ3= 426 、
E1= 799 [MPa]、E2= 611 、 E3= 3.2
E0= 826
故に、X=799MPa
Figure 2017034117
Figure 2017034117
実施例1〜4に記載したように、本発明で得られたダイシング・ダイボンディング一体型テープは、X≧40[MPa]でかつ紫外線照射前の粘着層の表面自由エネルギーが9mJ/m以上の時に、ピックアップ性に優れている。実施例1、2及び4は実施例3よりも表面自由エネルギーが大きいため、粘着層と接着層の界面がより安定し、ダイシング性が特に良好である上、ピックアップ性も優れていることを示している。実施例3は、表面自由エネルギーが9mJ/m以上ではあるが、他の実施例と比べると低いため、ダイシング性は良となっている。しかし、パラメータXが40[MPa]よりも大幅に高いため、粘着層と接着層の界面剥離は進展しやすくなるため、ピックアップ性評価では良好になったと考えられる。
一方、比較例1および2では、Xは40[MPa]よりも大きいが、紫外線照射前の表面自由エネルギーが9mJ/m以下であるために、ダイシング性が良であっても、エッジ部分の剥離が進展しにくく、ピックアップ性が不良となっている。比較例3ではXが40[MPa]以下であり、紫外線照射前の表面自由エネルギーが9mJ/m以下であるために、ダイシング性は良であってもエッジ部分が剥離しにくく、界面剥離も進展しにくいため、ピックアップ性も悪化している。比較例4では、紫外線照射前の表面自由エネルギーが9mJ/m以上であるが、Xは40[MPa]よりも小さいために、ダイシング性が良好であっても、界面剥離が進展しにくいため、ピックアップ性が悪化している。
上記に示すようにX値が40[MPa]以上でかつ、紫外線照射前の粘着層の表面自由エネルギーが9mJ/m以上にすることでダイシング性及びピックアップ性を制御できることを示す。これらの条件を満すことで、ダイシング性及び紫外線照射後のピックアップに不具合を生じることなく良好な状態を維持できる。
このようにピックアップ時に低剥離性を有するダイシング・ダイボンディングテープの製造には、紫外線前のダイシングテープの表面自由エネルギーと応力緩和測定データを7要素マクスウェルモデルにフィッティングさせて得るパラメータXで紫外線照射後の粘着力(剥離力)を制御することが可能であり、ダイシングテープの製造設計に有用な技術であるといえる。
本発明のダイシング・ダイボンディングテープはダイシングテープの紫外線照射前の表面自由エネルギーを一定以上にし、応力緩和測定データを7要素マクスウェルモデルでフィッティングすることで得られるパラメータXも一定以上にすることで、粘着層と接着層界面での紫外線照射後の粘着力(剥離力)を制御することができるため、半導体製造プロセスにおいて利用することで、優れた性能を有するダイシングテープを設計することが可能となる。

Claims (6)

  1. 少なくとも基材層、粘着層、接着層が順次積層された構成からなり、紫外線照射によりピックアップを行うダイシング・ダイボンディング一体型テープにおいて、前記基材層と粘着層からなるダイシングテープの粘着層と、前記接着層との剥離性を評価するパラメータXが、弾性要素及び粘性要素を直列に配置した3組と弾性要素1組を並列に組み合わせた7要素マクスウェルモデルの応力とひずみに関する展開式(I)に紫外線照射した基材層と粘着層からなるダイシングテープの応力緩和測定で得られた経過時間と応力のデータを展開式(I)にフィッティングさせたとき、τ1、τ、τのうちピックアップ工程に要する時間に近い緩和時間τに対応したEであり、パラメータXが下記式(II)を満たし、
    Figure 2017034117
    (展開式(I)において、σ(t)は、応力緩和時間tのときの応力、εは、応力緩和測定の時(t=0)のひずみ量、Eは、応力緩和測定の時(t=0)の弾性率(MPa)、τiは、i(i=1〜3)における緩和時間(τ、τ、τ)、Eiは、緩和時間τのi(i=1〜3)における弾性率(E、E、E)である。E0、E1、E2、E3、τ1、τ2、τ3を紫外線照射した基材層と粘着層からなるダイシングテープの応力緩和測定で得られた経過時間と応力のデータを展開式(I)にフィッティングして求める。この時、決定係数が、0.95〜1.05の範囲とする。)
    X≧40[MPa]) ……(II)
    さらに、前記の基材層と粘着層からなるダイシングテープの紫外線照射前の粘着層表面の表面自由エネルギーが9mJ/m以上であることを特徴とするダイシング・ダイボンディング一体型テープ。
  2. 前記応力緩和測定に用いられる前記基材層と粘着層が基材層から粘着層に照射される紫外線は、中心波長254nmにおいて、露光量が1000mJ/cm以下である請求項1に記載のダイシング・ダイボンディング一体型テープ。
  3. 請求項1の応力とひずみの展開式(I)を応力緩和測定で得られるデータでフィッティングし、τ1、τ2、τ3のうち10秒未満のときのτに対応したE1、E2、E3のいずれかがパラメータXである請求項1又は請求項2に記載のダイシング・ダイボンディング一体型テープ。
  4. 紫外線照射前後の粘着層及び接着層の剥離をT字モードで剥離させたときに、粘着層と接着層の剥離が界面剥離モードであり、ピール強度が紫外線照射前は0.4N/25mm以上であり、紫外線照射後は0.1N/25mm以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のダイシング・ダイボンディング一体型テープ。
  5. 粘着層が主鎖に対して少なくとも放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基、水酸基をそれぞれ有するアクリル系共重合体(A)、紫外線、電子線、可視光線から選ばれる少なくとも1種を照射することで連鎖重合可能な活性種を発生しうる光開始剤(B)、及び水酸基と反応しうる官能基を1分子中に2つ以上有する架橋剤(C)を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のダイシング・ダイボンディング一体型テープ。
  6. 接着層が、エポキシ基含有アクリル共重合体、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のダイシング・ダイボンディング一体型テープ。
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