JP6547408B2 - 研削された基材の製造方法、並びにこれに用いられるフィルム状粘着剤及び積層体 - Google Patents

研削された基材の製造方法、並びにこれに用いられるフィルム状粘着剤及び積層体 Download PDF

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Description

本発明は、研削された基材の製造方法、並びにこれに用いられるフィルム状粘着剤及び積層体に関する。より詳細には、本発明は、例えば、支持体上に固定されたシリコンウェハ等の被研削基材を所望の厚みまで容易に研削し、支持体から容易に剥離することを可能にするフィルム状粘着剤、当該フィルム状粘着剤を介して接合した積層体、積層体を用いて薄型化された基材の製造方法に関する。
スマートフォン、タブレットPC等の電子機器の多機能化に伴い、半導体素子を多段に積層し、高容量化したスタックドMCP(Multi Chip Package)が普及しており、半導体素子の実装には、実装工程において有利なフィルム状接着剤がダイボンディング用の接着剤として広く用いられている。しかし、このように多機能化の傾向があるにも関わらず、現行のワイヤボンドを使用した半導体素子の接続方式では、データの処理速度に限界があることから、電子機器の動作が遅くなる傾向にある。また、消費電力を低く抑え、充電せずにより長時間使用したいとのニーズが高まっていることから、省電力化も求められつつある。このような観点から、近年、更なる高速化と省電力化を目的として、ワイヤボンドではなく貫通電極により半導体素子同士を接続する新しい構造の半導体装置も開発されてきている。
このように新しい構造の半導体装置が開発されてきているものの、依然として高容量化が求められており、パッケージ構造に関わらず、半導体素子をより多段に積層できる技術の開発が進められている。しかし、限られたスペースにより多くの半導体素子を積層するためには、半導体素子の安定した薄型化が必要不可欠である。
現在、半導体素子を薄型化する研削工程では、いわゆるBGテープと呼ばれる支持テープを半導体素子に貼り付け、サポートした状態で研削することが主流となっている。しかし、薄型化した半導体素子は表面に施された回路の影響により反り易く、変形し易いテープ素材であるBGテープでは薄型化した半導体素子を充分にサポートできなくなりつつある。
このような背景から、BGテープよりも硬い素材であるシリコンウェハ又はガラスを支持体とする半導体素子の薄型化プロセスが提案されており、半導体素子と支持体であるシリコンウェハ又はガラスとを粘着させる材料が提案されてきている。このような粘着剤では、研削後の半導体素子を損傷させることなく、支持体から剥離できることが重要な特性として要求される。そのような特性を満足するため、剥離方法について鋭意検討がなされている(例えば、特許文献1及び2参照)。例えば、溶剤による粘着剤の溶解、加熱により付着特性を落とすキャリアー層、又はレーザー照射により分解する光熱変換層を利用した方法が挙げられる。
特許第4565804号公報 特許第4936667号公報
しかし、溶剤での粘着剤の溶解には時間がかかるため、生産性が低下し易い。加熱により付着特性を落とす方法では、加熱による半導体素子への影響が懸念されるとともに、耐熱性が不足することから、貫通電極等を形成するプロセス用途では使用が困難である。レーザー照射により粘着剤を分解する方法では、高価なレーザー設備の導入が必要不可欠であり、このようなプロセスの適用には、かなりの投資が必要不可欠となる。
剥離性を高める他の技術として、事前に半導体素子又は支持体表面に離型処理を施す方法が一般的に採用されている。しかし、この場合、離型成分は最終的に洗浄除去されることから、離型成分の塗布及び洗浄除去という作業工程の増加のみならず、製造コスト増加の原因の一つとなっている。
加熱により粘着性を低下する粘着剤に関して、加熱後の粘着剤の剥離性を高めることで、離型成分の塗布が不要となることも期待される。しかし、この場合、加熱後の粘着剤の剥離性を高めると、回路形成工程等において粘着剤が200℃程度の高温にさらされたときに、ボイドが発生する等の問題が生じ易く、十分な耐熱性を得ることが困難であった。例えば半導体素子を研削する場合、研削した半導体素子をすぐに支持体から分離させる場合もあるが、研削の後、半導体素子表面に回路を形成させてから、支持体から分離させる場合もある。この場合、粘着剤は、回路形成工程で200℃程度の高温に耐えるような高い耐熱性を有することが強く求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、シリコンウェハ等の被研削基材を支持体に固定するために用いることのできるフィルム状粘着剤に関して、離型成分の塗布がなくとも容易に剥離が可能であるとともに、200℃程度の高温に耐える十分な耐熱性を有するフィルム状粘着剤を提供することを主な目的とする。
本発明の一側面は、熱硬化性成分を含有するフィルム状粘着剤に関する。当該フィルム状粘着剤が、ガラス板に貼り付けられた状態で、130℃で30分、170℃で30分及び200℃で30分の順の加熱により硬化され、その後1000mJ/cmの光を照射されたときに、当該フィルム状粘着剤のガラス板に対する30°剥離強度が、当該フィルム状粘着剤が硬化された後、光を照射される前において100N/m以上で、当該フィルム状粘着剤が光を照射された後において50N/m以下である。
上記フィルム状粘着剤によれば、離型成分の塗布がなくとも容易に剥離が可能であるとともに、200℃程度の高温に耐える十分な耐熱性を得ることができる。
フィルム状粘着剤は、(a1)エポキシ樹脂又はフェノール樹脂のうち少なくともいずれか一方を含む上記熱硬化性成分と、(a2)150000〜1000000の重量平均分子量及び−50℃〜50℃のガラス転移温度を有し、架橋性官能基を有する高分子量成分と、(a3)(メタ)アクリルモノマーと、(a4)光ラジカル重合開始剤と、(a5)チオール化合物又はチオエーテル化合物のうち少なくともいずれか一方を含む硫黄化合物と、を含有していてもよい。これにより、加熱時には熱硬化性成分及び高分子量成分が熱反応してフィルム状粘着剤のずり粘度が上昇し、高温高圧下においても被研削基材を保持し易くなるとともに、硫黄化合物が(メタ)アクリルモノマーの熱反応を抑制して、被研削基材に対する密着性を保ち易くなる。また、フィルム状粘着剤が光を照射された後は、(メタ)アクリルモノマーが重合してフィルム状粘着剤の剥離性をより容易に向上させることもできる。
フィルム状粘着剤は、(a6)離型剤を更に含有していてもよい。これにより、フィルム状粘着剤の剥離性をより容易に向上させることができる。
130℃で15分及び170℃で15分の順の加熱により当該フィルム状粘着剤が硬化されたときに、硬化された後の当該フィルム状粘着剤の200℃における弾性率は0.1MPa以上であってもよい。これにより、薄型化した被研削基材の反りの発生をより抑制することができる。
当該フィルム状粘着剤のずり粘度を35℃から昇温しながら測定したときに、ずり粘度が20000Pa・s以下となる温度は40℃〜150℃であってもよい。これにより、フィルム状粘着剤を貼り付けた被研削基材と支持体とを真空圧着によって損傷及び空隙を生じさせることなく貼り合わせることがより容易となる。
別の側面において、本発明は、(a)上記フィルム状粘着剤と、(b)支持体と、(c)被研削基材と、を備え、フィルム状粘着剤が被研削基材に積層されており、被研削基材がフィルム状粘着剤を介して支持体に固定されている、積層体を提供する。
支持体はガラス板又はシリコンミラーウェハであってもよい。
被研削基材はシリコンミラーウェハであってもよい。
更に別の側面において、本発明は、上記積層体に備えられた被研削基材を研削する工程と、フィルム状粘着剤が被研削基材上又は支持体上のどちらか一方に残るように、研削された被研削基材を支持体から分離する工程と、被研削基材又は支持体からフィルム状粘着剤を剥離する工程と、を備える、研削された基材の製造方法を提供する。
本発明によれば、シリコンウェハ等の被研削基材を支持体に固定するために用いることのできるフィルム状粘着剤に関して、離型成分の塗布がなくとも容易に剥離が可能であるとともに、200℃程度の高温に耐える十分な耐熱性を有するフィルム状粘着剤を提供することができる。離型成分の塗布を不要とすることができれば、作業工程の短縮と材料費の削減が可能となり、より安価に半導体素子の製造が可能となる。
また、本発明に係るフィルム状接着剤は、液状の粘着剤と比較して、膜厚の制御がより容易であり、個々の被研削基材間での厚みバラツキを軽減することができる点で優れている。また、ラミネート等の簡便な方法により半導体素子又は支持体上に成膜できることから、作業性も良好になると期待できる。一般的な液状の粘着剤は、半導体素子又は支持体にスピンコート等で塗布し、加熱又はUV照射等により成膜して使用されているが、粘着剤の塗布バラツキにより、個々の半導体素子で、研削後の厚みにバラツキが生じ易く、またスピンコートでは塗布時の回転で飛散した材料を廃棄する必要がある等の問題があった。本発明によれば、これらの問題も回避することができる。
さらに、本発明によれば、当該フィルム状粘着剤を介して被研削基材と支持体とが接合した積層体、及びこのような積層体を用いた薄型化された基材の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本明細書に記載される数値範囲の上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。実施例に記載される数値も、数値範囲の上限値又は下限値として用いることができる。
本実施形態に係るフィルム状粘着剤は、熱硬化性成分を含有する。フィルム状粘着剤は、例えば、シリコンウェハ等の被研削基材を支持体に固定するために用いることができる。
本発明者等は、上記課題の解決のため、使用するフィルム状粘着剤の樹脂の選定と物性の調整に鋭意研究を重ねた。そして、本発明者等は、所定の加熱により硬化された後、光を照射されたときに、光を照射される前後でのフィルム状粘着剤のガラス板に対する30°剥離強度を制御することで、研削時に半導体素子等の被研削基材を充分保持しつつも、レーザー照射等の特殊な前処理、及び被研削基材又は搬送用の支持体表面への離型成分の事前塗布なしで、剥離後の被研削基材及び支持体表面に残渣を実質的に発生させることなく、容易に剥離可能なフィルム状粘着剤とすることができることを見出した。
具体的には、フィルム状粘着剤が、ガラス板に貼り付けられた状態で、130℃で30分、170℃で30分及び200℃で30分の順の加熱により硬化され、その後1000mJ/cmの光を照射されたときに、フィルム状粘着剤のガラス板に対する30°剥離強度が、フィルム状粘着剤が硬化された後、光を照射される前において100N/m以上で、フィルム状粘着剤が光を照射された後において50N/m以下であってもよい。硬化された後、光を照射される前の30°剥離強度が100N/m以上であることで、研削工程における被研削基材への良好な密着性を得ることができる。また、光を照射された後の30°剥離強度が50N/m以下であることで、被研削基材及び支持体からの良好な剥離性を得ることができる。同様の観点から、フィルム状粘着剤のガラス板に対する30°剥離強度は、フィルム状粘着剤が硬化された後、光を照射される前において300N/m以上であることが好ましく、フィルム状粘着剤が光を照射された後において30N/m以下であることが好ましい。30°剥離強度の上限は、特に制限されないが、例えば、フィルム状粘着剤が硬化された後、光を照射される前において10000N/mであってもよい。
係る剥離強度を得るため、例えば、主に熱硬化性成分と高分子量成分と(メタ)アクリルモノマーとで構成されるフィルムに、光反応制御成分として光ラジカル重合開始剤及び硫黄化合物を添加し、必要に応じて、離型成分として離型剤を添加し、フィルム状粘着剤とすることができる。
フィルム状粘着剤は、熱硬化性成分を含有し、硬化前の流動性と硬化後の弾性率を制御することで、空隙を発生させることなく、積層体を形成させること、また、研削時のウェハ保持性と200℃での耐熱性を達成できる。
更に、フィルム状粘着剤は、二次酸化防止剤として用いられることの多いチオール化合物又はチオエーテル化合物のうち少なくともいずれか一方を含む硫黄化合物を含有することで、加熱による硬化後の高い剥離強度と光照射後の低い剥離強度とを両立させることができる。
また、フィルム状粘着剤は、離型剤を含有することで、離型成分の事前塗布なしでの剥離をより容易とし、剥離後の残渣発生をより抑制することができる。
離型剤は、シリコーン化合物であることが好ましい。シリコーン化合物は、架橋性官能基を有するシリコーン化合物又は熱硬化性成分であるエポキシ樹脂の反応により形成されるヒドロキシ基と相互作用し得る官能基を有するシリコーン化合物が、フィルム状粘着剤からのシリコーンの溶出を防止し、剥離後の残渣発生の抑制を可能とする観点から好ましい。
以上の観点から、本実施形態に係るフィルム状粘着剤(熱硬化性樹脂組成物)は、例えば、(a1)熱硬化性成分と、(a2)高分子量成分と、(a3)(メタ)アクリルモノマーと(a4)光ラジカル重合開始剤と(a5)硫黄化合物と、必要に応じて(a6)離型剤とを含有する。高分子量成分は、150000〜1000000の重量平均分子量、及び/又は−50℃〜50℃のガラス転移温度を有していてもよい。加熱処理後の適切な剥離強度を得る観点から、(a1)熱硬化性成分100質量部に対して、(a2)高分子量成分の含有量が25〜1200質量部であり、(a3)(メタ)アクリルモノマーの含有量が25〜1400質量部であり、(a4)光ラジカル重合開始剤の含有量が0.05〜10質量部であり、(a5)硫黄化合物の含有量が0.05〜10.0質量部であり、(a6)離型剤の含有量が8〜430質量部であることが好ましい。
本明細書において、ガラス転移温度は、熱示差走査熱量測定(DSC)により測定される値をいう。Tgを測定する際の昇温速度は10℃/分に設定される。DSC測定装置として、例えば、(株)リガク製「Thermo Plus 2」が用いられる。
本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で測定される、標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
半導体素子に代表される被研削基材にダメージを与えることなく、また空隙を生じさせることなく積層体を作製する必要があるが、これは硬化前のフィルム状粘着剤を制御することで達成できることを見出した。より具体的には、フィルム状粘着剤のずり粘度を35℃から昇温しながら測定したときに、ずり粘度が20000Pa・s以下となる温度が40℃〜150℃となるように制御することで、80〜150℃、0.01〜0.2MPa、1〜5分、1〜15mbarといった温和な条件下、フィルム状粘着剤を貼り付けた被研削基材と支持体とを真空圧着することで、ダメージを与えることなく、また空隙を生じさせることなく積層体を作製することができる。
上記ずり粘度は、フィルム状粘着剤から形成されたフィルム状の試験片に関して、粘弾性測定装置を用いて、5%の歪みを与えながら、10℃/分の昇温速度でずり粘度を測定したときの測定値を意味する。粘弾性測定装置として、例えば、ARES(レオメトリック・サイエンティフィック社製)が用いられる。
また、被研削基材を支持体に200℃加熱処理中でも確実に固定・維持することが好ましく、130℃で15分及び170℃で15分の順の加熱によりフィルム状粘着剤が硬化されたときに、硬化された後のフィルム状粘着剤の200℃における弾性率が0.1MPa以上であることが好ましい。高温での弾性率が0.1MPa以上であれば、薄型化した被研削基材の反り及び被研削基材と支持体との線膨張係数の差に起因した高温での反りの発生が抑制される傾向がある。上記弾性率の上限は、特に制限されないが、例えば10MPaである。
以下、各成分について説明する。
<(a1)熱硬化性成分>
熱硬化性成分は、加熱により架橋構造を形成し得る化合物から構成される。熱硬化性成分は、例えば、エポキシ樹脂又はフェノール樹脂のうち少なくともいずれか一方を含む。上述したように40〜150℃のいずれかの温度で、ずり粘度が20000Pa・s以下となるフィルム状粘着剤を得る観点から、熱硬化性成分は、熱硬化性成分100質量部に対し、フェノール樹脂、及び軟化点が110℃以下又は室温(例えば、23℃)で液状であるエポキシ樹脂の少なくとも一方を40質量部以上含むことが好ましい。フェノール樹脂は、軟化点が110℃以下、又は室温で液状であることが好ましい。このような熱硬化性成分を含有することにより、フィルム状粘着剤のずり粘度が過度に上昇することなく、圧着後における空隙の残存をより抑制することができる。
このような特性を満足し得るエポキシ樹脂及びフェノール樹脂は特に制限はない。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂等の二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製のYDCN−700−10)等のノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。フェノール樹脂としては、三井化学株式会社製のミレックスXLCシリーズ及びXLシリーズ(例えば、ミレックスXLC−LL)、エア・ウォーター株式会社製のHEシリーズ(例えば、HE−200C−10)等が挙げられる。
その他のエポキシ樹脂及びフェノール樹脂としては、200℃以下の温度でスムーズな硬化性が得られるものであれば特に制限はないが、新日鉄住金化学株式会社製のYDF2001、日本化薬株式会社製のGPH103等が挙げられる。
<(a2)高分子量成分>
高分子量成分の重量平均分子量は、150000〜1000000が好ましく、500000〜900000がより好ましい。また、高分子量成分のガラス転移温度(Tg)は、−50℃〜50℃が好ましく、−30℃〜30℃がより好ましい。高分子量成分のTgが−50℃以上、又は重量平均分子量が150000以上であれば、ずり粘度の過度な低下を引き起こさず、フィルム状粘着剤の過度なはみ出しを抑制することができ、装置を汚染するおそれが少ない。一方、Tgが50℃以下、又は重量平均分子量が1000000以下であれば、ずり粘度の過度な上昇が起こりにくく、150℃加熱した場合にずり粘度が20000Pa・s以下となるため、結果として圧着後に空隙が残存するおそれが少ない。
高分子量成分が有する架橋性官能基は、架橋性官能基同士の反応、及び/又は、熱硬化性成分との反応により、架橋構造を形成し得る官能基である。高分子量成分は、架橋性官能基を有するモノマー単位を、高分子量成分の質量を基準として1〜10質量%含んでいてもよい。架橋性官能基を有するモノマー単位の比率が1質量%以上であることで、フィルム状粘着剤が熱硬化後に充分な架橋を形成し易くなり、研削工程で半導体素子等の被研削基材を充分に保持し易くなる。更に、研削後の素子表面に回路を形成する場合の200℃加熱時に、フィルム状粘着剤の発泡をより抑制することができる。一方、上記比率が10質量%以下であることで、架橋反応によりフィルム状粘着剤のずり粘度が容易に上昇することがなく、フィルム状粘着剤の製造工程での加熱による過度なずり粘度上昇を制御し易くなる傾向がある。また、フィルム状粘着剤の経時による劣化をより抑制することができる。同様の観点から、架橋性官能基を有するモノマー単位の比率は、高分子量成分の質量を基準として1〜10質量%が好ましく、3〜8質量%がより好ましい。
高分子量成分の含有量は、熱硬化性成分100質量部に対して、25〜1200質量部であることが好ましい。高分子量成分の含有量が熱硬化性成分100質量部に対して25質量部以上であることで、ずり粘度の過度な低下を引き起こし難く、フィルム状粘着剤の過度なはみ出しをより抑制することができ、装置を汚染するおそれが少ない。一方、高分子量成分の含有量が熱硬化性成分100質量部に対して1200質量部以下であることで、ずり粘度の過度な上昇が起こり難く、150℃加熱した場合にずり粘度が20000Pa・s以下となり易いため、結果として圧着後に空隙が残存するおそれが少ない。また、フィルム状粘着剤が加熱による硬化後に充分な架橋を形成することがより容易となり、研削工程で半導体素子等の被研削基材を充分に保持することがより容易となる。更に、研削後の素子表面に回路を形成する場合の200℃加熱時に、フィルム状粘着剤の発泡をより抑制することができる。同様の観点から、高分子量成分の含有量は、熱硬化性成分100質量部に対して、25〜1200質量部であることが好ましく、100〜600質量部であることがより好ましい。
高分子量成分の重量平均分子量、Tg、架橋性官能基を有するモノマー比率及び含有量を上記のようにすることにより、130℃で15分及び170℃で15分の順の加熱によりフィルム状粘着剤が硬化されたときに、硬化された後のフィルム状粘着剤の200℃における弾性率を0.1MPa以上により容易にすることができる。
高分子量成分は、例えば、ポリイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂及びウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体を含む。これらの中でも、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。本明細書において、(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルを主なモノマー単位として含む共重合体を意味する。本明細書における「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又はそれに対応する「メタクリル」を意味する。
高分子成分が有する架橋性官能基は、例えば、エポキシ基、及び、アルコール性又はフェノール性水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基であり得る。例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基を架橋性官能基として有する官能性モノマーを重合して得られる(メタ)アクリル共重合体等の(メタ)アクリル樹脂がより好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂は、例えば、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エポキシ基を有する(メタ)アクリルゴム等が挙げられ、エポキシ基を有する(メタ)アクリルゴムが好ましい。エポキシ基含有(メタ)アクリルゴムは、(メタ)アクリル酸エステルを主成分としたものであり、主として、(メタ)アクリル酸ブチルとアクリロニトリルとの共重合体、(メタ)アクリル酸エチルとアクリロニトリルとの共重合体等からなるエポキシ基を有するゴムであることが好ましい。
<(a3)(メタ)アクリルモノマー>
フィルム状粘着剤は、(メタ)アクリルモノマーを含有していてもよい。(メタ)アクリルモノマーは、単官能のもの、2官能のもの又は3官能以上の多官能のもののいずれも用いることができ、特に制限はなく、通常のものを使用することができる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)スクシネートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヘキサヒドロフタレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(1−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(2−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレート;2−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N−カルバゾールなどの複素環式(メタ)アクリレート、これらのカプロラクトン変性体などが挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化2−メチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレート;エトキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレートなどの複素環式(メタ)アクリレート;これらのカプロラクトン変性体;ネオペンチルグリコール型エポキシ(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノール型エポキシ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;レゾルシノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAF型エポキシ(メタ)アクリレート、フルオレン型エポキシ(メタ)アクリレートなどの芳香族エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとして、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートなどの複素環式(メタ)アクリレート;これらのカプロラクトン変性体;フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートなどの芳香族エポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種類以上組み合わせて用いることができ、更にその他の重合性化合物と組み合わせて用いることもできる。
(メタ)アクリルモノマー含有量は、熱硬化性成分100質量部に対して、25〜1200質量部であることが好ましく、50〜300質量部がより好ましい。(メタ)アクリルモノマーの含有量が上記範囲内であると光照射後の低剥離化を達成することがより容易となる。
<(a4)光ラジカル重合開始剤>
フィルム状粘着剤は、光ラジカル重合開始剤を含有していてもよい。光ラジカル重合開始剤は、紫外線、可視光線などの活性光線の照射によって(メタ)アクリルモノマーの重合を開始させるものであれば特に制限はない。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどのベンゾインケタール;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オンなどのα−ヒドロキシケトン;フェニルグリオキシル酸メチル、フェニルグリオキシル酸エチル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、オキシフェニル酢酸2−(2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ)エチルなどのグリオキシエステル;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリン−4−イルフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イルフェニル)−ブタン−1−オン、1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−(4−モルフォリン)−2−イルプロパン−1−オンなどのα−アミノケトン;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ),2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)などのオキシムエステル;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体などの2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン化合物;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノンなどのキノン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルなどのベンゾインエーテル;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどのベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタールなどのベンジル化合物;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9’−アクリジニルヘプタン)などのアクリジン化合物:N−フェニルグリシン、クマリンなどが挙げられる。光ラジカル重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、光ラジカル重合開始剤は、適切な増感剤と組み合わせて用いることもできる。
光ラジカル重合開始剤の含有量は、熱硬化性成分100質量部に対して、0.05〜10質量部であることが好ましい。光ラジカル重合開始剤の含有量が上記範囲内であることで、充分な光照射で充分な(メタ)アクリルモノマーの反応性を得ることがより容易となる。同様の観点から、光ラジカル重合開始剤の含有量は、熱硬化性成分100質量部に対して、0.05〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
<(a5)硫黄化合物>
フィルム状粘着剤は、チオール化合物又はチオエーテル化合物の少なくともいずれか一方を含む硫黄化合物を含有していてもよい。チオール化合物又はチオーテル化合物は、分子内に少なくとも一つのチオール基(−SH)及び/又はチオエーテル基(−S−)を有する化合物であれば特に制限されず、通常のものを使用することができる。
チオール化合物又はチオエーテル化合物として、例えば、ジヘキシルチオジプロピオネート、ジノニルチオジプロピオネート、ジデシルチオジプロピオネート、ジウンデシルチオジプロピオネート、ジドデシルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ジテトラデシルチオジプロピオネート、ジペンタデシルチオジプロピオネート、ヘキサデシルチオジプロピオネート、ジヘプタデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、ジヘキシルチオジブチレート、ジノニルチオジブチレート、ジデシルチオジブチレート、ジウンデシルチオジブチレート、ジドデシルチオジブチレート、ジトリデシルチオジブチレート、ジテトラデシルチオジブチレート、ジペンタデシルチオジブチレート、ヘキサデシルチオジブチレート及びジヘプタデシルチオジブチレートが挙げられる。
チオール化合物又はチオエーテル化合物の市販品としては、BASF株式会社製のIRGANOX1726及び住友化学株式会社製のSUMILIZER TP−D等が挙げられる。
硫黄化合物の含有量は、熱硬化性成分100質量部に対して、0.05〜10.0質量部であることが好ましく、1.0〜5.0質量部であることがより好ましい。硫黄化合物の含有量が0.05質量部以上であることで、200℃加熱中の(メタ)アクリルモノマーの熱反応をより抑制し、200℃加熱後の光照射で(メタ)アクリルモノマーをより反応させることができる。一方、10.0質量部以上になると、200℃加熱後の光照射での(メタ)アクリルモノマーの反応も抑制する傾向にあるため、硫黄化合物の含有量が10.0質量部以下であることが好ましい。
硫黄化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<(a6)離型剤>
フィルム状粘着剤は、離型剤を更に含有していてもよい。離型剤の5%重量減少温度は、200℃での耐熱性を実現する観点から、200℃以上であってもよい。
離型剤の含有量は、光照射後のフィルム状粘着剤のガラスに対する30°剥離強度を50N/m以下とし、離型成分の事前塗布なしでも容易に被研削基材を支持体から剥離可能にするとともに、剥離後の残渣発生を抑制する観点から、熱硬化性成分100質量部に対して、8〜430質量部であってもよい。8質量部以上であることで、充分な剥離性が得られ、剥離強度が抑制される傾向があり、430質量部以下であることで、(a1)熱硬化性成分及び(a2)高分子量成分に対する相溶性が増加し、フィルムを成型し易くなる傾向がある。同様の観点から、離型剤の含有量は、熱硬化性成分100質量部に対して、8〜430質量部であることが好ましく、20〜200質量部であることがより好ましい。
離型剤は、例えば、シリコーン化合物及びフッ素化合物から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。剥離後に残渣の発生を抑制するという観点から、シリコーン化合物は、架橋性官能基を有するシリコーン化合物、及び、ヒドロキシ基と相互作用し得る官能基を有するシリコーン化合物から選ばれる少なくとも1種を選択することができる。離型剤として用いることができるシリコーン化合物の市販品としては、東レ・ダウコーニング株式会社製のSH3773M及びL−7001、信越化学株式会社製のKF105及びX−22−4741等が挙げられる。
<(a7)硬化促進剤>
フィルム状粘着剤は、熱硬化性成分の硬化反応の触媒として機能する硬化促進剤を更に含有していてもよい。硬化促進剤の反応性が高すぎると、フィルム状粘着剤を製造する加熱乾燥工程で過度な硬化が進行して、硬化前のずり粘度の上昇を引き起こされる可能性があり、積層体作製時に空隙を生じる場合がある。また、経時による劣化が引き起こされ易い傾向がある。一方、硬化促進剤の反応性が低すぎると、フィルム状粘着剤の加熱による硬化が遅延して硬化時間が長くなるだけでなく、加熱硬化後の架橋の程度が不足して、被研削基材を支持体に確実に固定でき難くなる場合がある。これらの観点から、硬化促進剤としては、イミダゾール化合物を選択することができる。イミダゾール化合物としては、例えば、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール及び2−フェニルイミダゾールが挙げられる。
硬化促進剤の含有量は、熱硬化性成分100質量部に対して、0.05〜3.0質量部であることが好ましく、0.1〜1質量部であることがより好ましい。硬化促進剤の含有量が0.05質量部以上であることで、加熱による硬化が充分に進行し、被研削基材を支持体に確実に固定できる傾向がある。更に、0.05質量部以上であることで、硬化に長時間の加熱処理を要せず、フィルム状粘着剤の加熱硬化を短時間で実施できる。一方、硬化促進剤の含有量が3.0質量部以下であることで、フィルム状粘着剤の製造工程中の加熱によりずり粘度が上昇するおそれが少なく、経時による劣化をより抑制することができる。
<(a8)無機フィラー>
フィルム状粘着剤は、無機フィラーを更に含有していてもよい。無機フィラーを含有することにより、フィルム状粘着剤の弾性率を容易に制御することができる。上記無機フィラーの含有量は、熱硬化性成分100質量部に対して、70質量部以下であることが好ましい。無機フィラーの含有量を70質量部以下とすることで、フィルム状粘着剤のずり粘度の過度の上昇を抑制することができる。
無機フィラーは、例えば、酸化チタン、アルミナ及びシリカから選ばれる少なくとも1種の粒子であってもよい。粒径及び形状の選択幅が広いという観点から、アルミナ又はシリカを選択することができる。一般にシリカがより安価である。
無機フィラーの形状としては、真球状、不定形等が挙げられるが、特にこれらに制限されない。無機フィラーの粒径は、通常、フィルム状粘着剤の膜厚よりも小さい。フィルム状粘着剤の成膜性等を考慮すると、無機フィラーの粒径は、5μm以下であってもよい。無機フィラーの粒径の下限は、特に制限されないが、例えば0.01μmであってもよい。無機フィラーの粒径は、粒子の長軸径を意味する。
無機フィラーの市販品としては、アドマテックス株式会社製のSC2050−HLG、SC1030−HLG及びYA050C−HHG、日本アエロジル株式会社製のR972等が挙げられる。
フィルム状粘着剤は、本発明の効果を損なわない範囲内で他の添加剤を更に含有していてもよい。添加剤としては、例えば、フェノチアジン、ヒンダードフェノール系重合禁止剤、ニトロソ系重合禁止剤、芳香族アミン系老化防止剤等の一般的な重合禁止剤、老化防止剤などを挙げることができる。
<フィルム状粘着剤の製造方法>
フィルム状粘着剤は、例えば、上述した各成分を含む組成物を有機溶媒中で混合及び混練して調製したワニスを基材フィルム上に塗布し、塗布されたワニスから有機溶媒を除去する方法により形成することができる。
上記の混合、混練は、通常の撹拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル又はこれら分散機の組み合わせにより、行うことができる。有機溶媒の除去は、有機溶媒が充分に揮散する条件であれば特に制限はないが、例えば、60℃〜200℃で、0.1〜90分間の加熱により行うことができる。
ワニスを作製するための有機溶媒は、各成分を均一に溶解、混練又は分散できるものであれば制限はなく、通常のものを使用することができる。有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン、トルエン及びキシレンが挙げられる。乾燥速度が速く、価格が安い点でメチルエチルケトン、及びシクロヘキサノンから有機溶媒を選択することができる。
基材フィルムとしては、特に制限はなく、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム等)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルナフタレートフィルム及びメチルペンテンフィルムが挙げられる。
フィルム状粘着剤の厚みは、半導体素子表面の凹凸を充分に埋め込むという観点から、半導体素子表面の凹凸と同等以下の厚みが好ましく、5〜130μmが好ましい。
<薄型化した被研削基材の製造方法>
本実施形態に係る薄型化したシリコンミラーウェハ等の被研削基材の製造方法の一例を以下に記載する。(b)支持体上に(a)フィルム状粘着剤を60〜120℃でロールラミネートにより貼り付ける。支持体としては、例えば、ガラス板又はシリコンミラーウェハが用いられる。次に、(c)被研削基材を(a)フィルム状粘着剤上に真空ボンディング装置を用いて、80〜150℃/0.01〜0.2MPa/1〜5min、1〜15mbarの条件で真空圧着し、積層体を得る。得られた積層体における(c)被研削基材の非回路面を所望の厚さに研削した後、(a)フィルム状粘着剤と(b)支持体とを剥離することで(b)支持体を回収する。次に、研削後の(c)被研削基材上に残された(a)フィルム状粘着剤を室温〜80℃加温条件下で剥離除去することで薄型化した(c)被研削基材を得ることができる。
以上、本発明に係る(a)フィルム状粘着剤、その製造方法、及び薄型化した(c)被研削基材の製造方法の好適な実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を行ってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<フィルム状粘着剤の作製>
(実施例1〜10及び比較例1〜3)
表1又は表2に示す品名及び組成比(単位:質量部)の(a1)熱硬化性成分としてのエポキシ樹脂及びフェノール樹脂、(a6)離型剤としてのシリコーン化合物、必要に応じて(a8)無機フィラーからなる組成物及びシクロヘキサノンを、撹拌及び混合した。これに、(a2)高分子量成分としてのアクリルゴム及び(a3)(メタ)アクリルモノマーを加えて撹拌し、更に(a4)光ラジカル重合開始剤、(a5)硫黄化合物及び(a7)硬化促進剤を加えて各成分が均一になるまで撹拌して、フィルム状粘着剤形成用のワニスを得た。
次に、得られたワニスを100メッシュのフィルターでろ過し、真空脱泡した。真空脱泡後のワニスを、基材フィルムとしての、厚さ38μmの離型処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した。塗布したワニスを、90℃で5分、続いて140℃で5分の2段階で加熱乾燥した。こうして、PETフィルム上に形成された、厚さ40μmのフィルム状粘着剤を得た。
表1及び表2中の各材料の詳細を以下に示す。
1.熱硬化性成分
(エポキシ樹脂)
・EXA830−CRP(商品名、DIC株式会社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量:155−163、室温で液状)
・YDCN−700−10(商品名、新日鉄住金化学株式会社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量:210、軟化点:75−85℃)
(フェノール樹脂)
・ミレックスXLC−LL(商品名、三井化学株式会社製、フェノール樹脂、水酸基当量:175、軟化点:77℃)
・GPH103(商品名、日本化薬株式会社製、フェノール樹脂、水酸基当量:230、軟化点:99−106℃)
2.架橋性官能基を有する高分子量成分
・アクリルゴムHTR−860P−3CSP(サンプル名、帝国化学産業株式会社製、エポキシ基を有するアクリルゴム、重量平均分子量:800000、グリシジル基を有するモノマー単位の比率:3質量%、Tg:−7℃)
・HTR−860P−30B−CHN(サンプル名、帝国化学産業株式会社製、エポキシ基を有するアクリルゴム、重量平均分子量:230000、グリシジル基を有するモノマー単位の比率:8質量%、Tg:−7℃)
3.(メタ)アクリルモノマー
・A−DPH(サンプル名、新中村化学工業株式会社製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
・A−9300(サンプル名、新中村化学工業株式会社製、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート)
4.光ラジカル重合開始剤
・Irgacure369(サンプル名、BASF株式会社製、2−ペンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)
5.硫黄化合物
・IRGANOX1726(サンプル名、BASF株式会社製、2,4−ビス(ドデシルチオメチル)−6−メチルフェノール)
・SUMILIZER TP−D(サンプル名、住友化学株式会社製、ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオン酸]2,2−ビス[{3−(ドデシルチオ)−1−オキソプロピルオキシ}メチル]−1,3−プロパンジイル)
6.離型剤
(シリコーン化合物)
・TA31−209E(商品名、日立化成株式会社製、シリコーン変性アミノアルキド系樹脂、5%重量減少温度:233℃)
・SH3773M(商品名、東レ・ダウコーニング株式会社製、ポリエーテル変性シリコーンオイル、5%重量減少温度:215℃)
7.硬化促進剤
・キュアゾール2PZ−CN(商品名、四国化成工業株式会社製、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール)
8.無機フィラー
・R972(商品名、日本アエロジル株式会社製、表面処理:ジメチルシラン処理シリカ、平均粒径:0.016μm)
[UV照射の有無]
実施例1〜10及び比較例1〜3のフィルム状粘着剤に対し、株式会社オーク製作所製UV−330 HQP−2型露光機を用い、1000mJ/cmのUV照射を行った。また、実施例1と同様に作製したフィルム状粘着剤にUV照射を行わなかった場合を参考例1とした。
Figure 0006547408
Figure 0006547408
<各種物性の評価>
得られたフィルム状粘着剤について、ずり粘度、硬化後の200℃における弾性率、ガラスからの30°剥離強度、積層体での空隙の有無、デボンド装置での剥離性及び200℃での耐熱性の評価を行った。
[ずり粘度]
フィルム状粘着剤から基材フィルムを剥離除去した後、4枚のフィルム状粘着剤を80℃でロールラミネートしにより積層することで、厚み160μmの積層体を得た。これを、厚み方向に10mm角に打ち抜くことで、10mm角、厚み160μmの、四角形の主面を有する試験片を得た。動的粘弾性装置ARES(レオメトリック・サイエンティフィック社製)に直径8mmの円形アルミプレート治具を装着し、更にそこにフィルム状粘着剤の試験片をセットした。その後、5%の歪みを与えながら35℃から20℃/分の昇温速度で150℃まで昇温させながらずり粘度を測定し、ずり粘度の値が20000Pa・sとなる温度を記録した。
[硬化後の200℃における弾性率]
フィルム状粘着剤から基材フィルムを剥離除去した後、4mm幅、長さ30mmに切り出し、130℃のオーブンで15分、170℃で15分の順で加熱して試験片を得た。得られた試験片を動的粘弾性装置(製品名:Rheogel−E4000(株)UMB製)にセットし、引張り荷重をかけて、周波数10Hz、昇温速度3℃/分で弾性率を測定し、200℃での測定値を記録した。
[ガラスからの30°剥離強度]
フィルム状粘着剤をガラス(製品名:MICRO SLIDE GLASS、松浪硝子工業株式会社製)表面に80℃でロールラミネートして貼り付けた後、フィルム状粘着剤から基材フィルムを剥離した。次いで、貼り合わせられたフィルム状粘着剤及びガラスをオーブン(製品名:Inert Oven DN4101、ヤマト科学株式会社製)を用いて窒素雰囲気下にて、130℃で30分、170℃で30分及び200℃で30分の順で加熱した。次いで、フィルム状粘着剤に粘着テープ(王子タック株式会社製、PPテープ#400、品番204H)を支持テープとして貼り付けた後、10mm幅に切り出して、剥離強度測定用の試験体を得た。得られた試験体を用いて、剥離角度(折れ曲がったフィルム状粘着剤の内側のなす角度)が30°となるように設定した剥離試験機で300mm/sの速度で剥離試験を実施し、そのときの剥離強度をUV照射前の剥離強度として記録した。その後、ガラス面よりUV照射機(製品名:UV−330 HQP−2型露光機、株式会社オーク製作所製)を用いて、1000mJ/cmのUV照射を行い、上記同様の剥離試験を実施し、そのときの剥離強度をUV照射後の剥離強度として記録した。剥離試験において、各実施例のフィルム状粘着剤を剥離した後のガラス上にフィルム状粘着剤の残渣は残っていなかった。
[積層体での空隙の有無]
支持体としてのシリコンミラーウェハにフィルム状粘着剤を80℃でロールラミネートにより貼り付けることで、フィルム状粘着剤を備える支持体を得た。次いで、フィルム状粘着剤上の基材フィルムを剥離し、そこに被研削基材(シリコンミラーウェハ、厚み770μm)を真空ボンディング装置(SUSS MicroTech製、LF12)で120℃/0.1MPa/5min、5mbarで真空圧着して、積層体を得た。得られた積層体を超音波映像装置SAT(日立建機製、FS200II)にて検査し、空隙の有無を確認した。空隙の有無の評価基準は以下の通りである。
A:ボイドの割合が5%未満。
B:ボイドの割合が5%以上。
[デボンド装置での剥離性]
支持体としてのガラスにフィルム状粘着剤を80℃でロールラミネートにより貼り付けることで、フィルム状粘着剤を備える支持体を得た。次いで、フィルム状粘着剤上の基材フィルムを剥離し、そこに被研削基材(シリコンミラーウェハ、厚み770μm)を真空ボンディング装置(SUSS MicroTech製、LF12)で120℃/0.1MPa/5min、5mbarで真空圧着して、積層体を得た。得られた積層体を窒素雰囲気下にて130℃で30分及び170℃で30分の順で加熱してフィルム状粘着剤を硬化させ、その後、グラインダ(Disco製、DGP8761HC)にて被研削基材を50μmまで研削した。次に、窒素雰囲気下にて200℃で30分加熱した後、ガラス面よりUV照射機を用いて、1000mJ/cmのUV照射をした後、被研削基材上にダイシングテープ(古川電気工業株式会社製、UC−353EP−110)を貼り付け、デボンディング装置(SUSS MicroTech製、DB12T)にてデボンド評価を行った。支持体及び被研削基材の損傷なく両者を分離できたものをAとし、分離できなかった、又は損傷が見られたものはBとした。
[200℃での耐熱性]
厚み625μmのシリコンミラーウェハ(6インチ)をブレードダイシングにより30mm角に小片化した。小片化したシリコンミラーウェハ表面に、フィルム状粘着剤を80℃でロールラミネートした。次に、フィルム状粘着剤上の基材フィルムを剥離除去した後、フィルム状粘着剤上に厚みが0.1〜0.2mmで大きさが約18mm角のスライドガラスを80℃でロールラミネートし、シリコンウェハとスライドガラスとでフィルム状粘着剤が挟まれた積層品を作製した。得られた積層品を窒素雰囲気下にて、130℃で30分、170℃で30分、及び200℃で30分加熱して試験体を得た。
得られた試験体をスライドガラス面から観察し、画像をPhotoshop(登録商標)等のソフトウェアで解析し、フィルム状粘着剤全体の面積に占めるボイドの割合から200℃での耐熱性を評価した。評価基準は以下の通りである。
A:ボイドの割合が5%未満。
B:ボイドの割合が5%以上。
Figure 0006547408
Figure 0006547408
表3及び4に評価結果が示される。これら結果から明らかなように、フィルム状粘着剤のガラスに対する剥離強度が、硬化後に100N/m以上、UV照射後に50N/m以下という両方の要件を満たすことにより、離型成分の塗布がなくとも容易に剥離が可能であるとともに、200℃程度の高温に耐える十分な耐熱性を得ることができる。

Claims (7)

  1. (a1)エポキシ樹脂又はフェノール樹脂のうち少なくともいずれか一方を含む熱硬化性成分と、
    (a2)150000〜1000000の重量平均分子量及び−50℃〜50℃のガラス転移温度を有し、架橋性官能基を有する高分子量成分と、
    (a3)(メタ)アクリルモノマーと、
    (a4)光ラジカル重合開始剤と、
    (a5)チオール化合物又はチオエーテル化合物のうち少なくともいずれか一方を含む硫黄化合物と、
    (a6)離型剤と、
    を含有するフィルム状粘着剤であって、
    前記高分子量成分の含有量が、前記熱硬化性成分100質量部に対して、25〜1200質量部であり、
    前記(メタ)アクリルモノマーの含有量が、前記熱硬化性成分100質量部に対して、25〜1200質量部であり、
    前記硫黄化合物の含有量が、前記熱硬化性成分100質量部に対して、0.05〜10.0質量部であり、
    前記離型剤の含有量が、前記熱硬化性成分100質量部に対して、8〜430質量部であり、
    当該フィルム状粘着剤が、ガラス板に貼り付けられた状態で、130℃で30分、170℃で30分及び200℃で30分の順の加熱により硬化され、その後1000mJ/cmの光を照射されたときに、当該フィルム状粘着剤の前記ガラス板に対する30°剥離強度が、
    当該フィルム状粘着剤が硬化された後、光を照射される前において100N/m以上で、
    当該フィルム状粘着剤が光を照射された後において50N/m以下である、
    フィルム状粘着剤。
  2. 130℃で15分及び170℃で15分の順の加熱により当該フィルム状粘着剤が硬化されたときに、硬化された後の当該フィルム状粘着剤の200℃における弾性率が0.1MPa以上である、請求項1に記載のフィルム状粘着剤。
  3. 当該フィルム状粘着剤のずり粘度を35℃から昇温しながら測定したときに、前記ずり粘度が20000Pa・s以下となる温度が40℃〜150℃である、請求項1又は2に記載のフィルム状粘着剤。
  4. (a)請求項1〜のいずれか一項に記載のフィルム状粘着剤と、(b)支持体と、(c)被研削基材と、を備え、
    前記フィルム状粘着剤が前記被研削基材に積層されており、前記被研削基材が前記フィルム状粘着剤を介して前記支持体に固定されている、積層体。
  5. 前記支持体がガラス板又はシリコンミラーウェハである、請求項に記載の積層体。
  6. 前記被研削基材がシリコンミラーウェハである、請求項又はに記載の積層体。
  7. 請求項のいずれか一項に記載の積層体に備えられた前記被研削基材を研削する工程と、
    前記フィルム状粘着剤が前記被研削基材上又は前記支持体上のどちらか一方に残るように、研削された前記被研削基材を前記支持体から分離する工程と、
    前記被研削基材又は前記支持体から前記フィルム状粘着剤を剥離する工程と、
    を備える、研削された基材の製造方法。
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