JP2017030513A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】排水性能、雪路性能及び氷路性能をバランスよく向上させる。
【解決手段】一対のセンター主溝3Aとセンター横溝4Aとで区分されたセンターブロック5がタイヤ周方向に隔設された空気入りタイヤである。センター横溝4Aは、タイヤ軸方向に対して5°以下の角度α3を有し、かつ、溝幅W3が、センターブロック5のタイヤ周方向の最大長さLaの9〜15%である。センター主溝3Aは、タイヤ周方向に対して5〜20°の角度α1で傾斜する長辺部8と、該長辺部8、8間を継ぐ短辺部9とからなるジグザグ状をなす。センターブロックの周方向縁19は、センターブロックの軸方向縁18からタイヤ周方向にセンターブロックの最大長さLaの45%以内の端部領域17に、ブロック中心側に凹む凹部20を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、排水性能、雪路性能及び氷路性能をバランスよく向上させた空気入りタイヤに関する。
冬用の空気入りタイヤは、雪路及び氷路のみならず、ウェット路等も走行する。従って、このような冬用の空気入りタイヤは、雪路性能や氷路性能だけでなく、排水性能も向上させることが求められている。
例えば、氷路性能を向上するために、パターン剛性や摩擦力を高めることを目的として、トレッド部の接地面積を大きくすることが提案されている。しかしながら、この手法では、主溝や横溝の溝幅が小さくなるため、排水性能や雪路性能が悪化するという問題があった。このように、氷路性能と排水性能及び雪路性能とは、相反関係を有し、これら全ての性能をバランス良く向上するのは困難であった。関連する技術として次のものがある。
特開2008−308010号公報
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、センター横溝の角度及び溝幅とセンター主溝の形状とを規定するとともに、センターブロックの周方向縁の端部領域に凹部を設けることを基本として排水性能、雪路性能及び氷路性能をバランスよく向上させた空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部に、タイヤ赤道のタイヤ軸方向両側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のセンター主溝と、該センター主溝間をタイヤ軸方向にのびる複数本のセンター横溝とが設けられることにより、前記一対のセンター主溝と前記センター横溝とで区分されたセンターブロックがタイヤ周方向に隔設されたセンターブロック列を具えた空気入りタイヤであって、前記センター横溝は、タイヤ軸方向に対して5°以下の角度を有し、かつ、該センター横溝の溝幅が、前記センターブロックのタイヤ周方向の最大長さの9〜15%であり、前記センター主溝は、タイヤ周方向に対して5〜20°の角度で傾斜する長辺部と、該長辺部間を継ぎかつ、前記長辺部よりもタイヤ周方向の長さが小さい短辺部とからなるジグザグ状をなし、前記センターブロックは、タイヤ周方向の両側をタイヤ軸方向にのびる一対の軸方向縁と、タイヤ軸方向の両側をタイヤ周方向にのびる一対の周方向縁とを具え、かつ前記周方向縁は、前記軸方向縁からタイヤ周方向に前記センターブロックのタイヤ周方向の最大長さの45%以内の端部領域に、ブロック中心側に凹む凹部を含むことを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、前記凹部は、タイヤ軸方向にのびかつタイヤ周方向に離間した一対の側辺と、該側辺の端部間を継ぐ底辺とからなる矩形状である請求項1記載の空気入りタイヤである。
また請求項3記載の発明は、前記凹部は、前記長辺部と前記短辺部との交差部に設けられる請求項1又は2記載の空気入りタイヤである。
また請求項4記載の発明は、一方の前記周方向縁には、前記凹部がタイヤ周方向の一方側の前記端部領域に形成され、他方の前記周方向縁には、前記凹部がタイヤ周方向の他方側の前記端部領域に形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項5記載の発明は、前記センターブロックは、一方の前記周方向縁から他方の周方向縁の前記凹部に向かってタイヤ軸方向にのびかつ前記凹部に連なることなく終端するセミオープンタイプのサイピングが設けられる請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項6記載の発明は、前記センターブロックは、前記一対の軸方向縁、及び前記一対の周方向縁それぞれに、互いに平行な部分を含んだ略平行四辺形状である請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
本発明の空気入りタイヤでは、トレッド部に、タイヤ赤道のタイヤ軸方向両側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のセンター主溝と、該センター主溝間をタイヤ周方向に連続してのびる複数本のセンター横溝とが設けられることにより、前記一対のセンター主溝と前記センター横溝とで区分されたセンターブロックがタイヤ周方向に隔設されたセンターブロック列を具える。
センター横溝は、タイヤ軸方向に対して5°以下の角度を有し、かつ、該センター横溝の溝幅が、センターブロックのタイヤ周方向の最大長さの9〜15%である。これにより、センター横溝の排水抵抗と雪柱せん断力とがバランスよく高められる。また、このようなセンター横溝は、タイヤ軸方向のエッジ成分が大きいため、駆動力や制動力及び雪柱せん断力を高める。従って、排水性能、雪路性能及び氷路性能が向上する。
センター主溝は、タイヤ周方向に対して5〜20°の角度で傾斜する長辺部と、該長辺部間を継ぎかつ、長辺部よりもタイヤ周方向の長さが小さい短辺部とからなるジグザグ状をなす。このようなセンター主溝は、タイヤ軸方向のエッジ成分が増加するため、駆動力や制動力が高められる。
センターブロックは、タイヤ周方向の両側をタイヤ軸方向にのびる一対の軸方向縁と、タイヤ軸方向の両側をタイヤ周方向にのびる一対の周方向縁とを具える。周方向縁は、軸方向縁からタイヤ周方向にセンターブロックのタイヤ周方向の最大長さの45%以内の端部領域に、ブロック中心側に凹む凹部を含む。これにより、凹部に雪柱が形成されるため、雪柱せん断力がさらに高められる。また、このような凹部が端部領域に設けられるため、センター横溝の雪柱と凹部の雪柱とが近接し、雪柱せん断力がより高く発揮される。
本発明の一実施形態を示すトレッド部の展開図である。 図1のセンターブロック乃至ショルダーブロックの拡大図である。 図1のセンターブロックの拡大図である。 従来例を示すトレッド部の展開図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態の空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)は、例えば冬用タイヤとして好適に利用できる。トレッド部2には、タイヤ赤道Cのタイヤ軸方向両側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のセンター主溝3Aと、該センター主溝3Aのタイヤ軸方向外側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝3Bとが設けられる。また、本実施形態では、センター主溝3A、3A間を継ぐ複数本のセンター横溝4A、センター主溝3Aとショルダー主溝3Bとの間を継ぐ複数本のミドル横溝4B、及びショルダー主溝3Bと接地端Teとの間を継ぐ複数本のショルダー横溝4Cが設けられる。
これにより、本実施形態のトレッド部2には、センターブロック列5R、ミドルブロック列6R、及び、ショルダーブロック列7Rが配される。センターブロック列5Rには、タイヤ周方向に隔設されたセンターブロック5が設けられている。センターブロック5は、一対のセンター主溝3A、3Aとセンター横溝4Aとで区分されている。ミドルブロック列6Rには、タイヤ周方向に隔設されたミドルブロック6が設けられている。ミドルブロック6は、センター主溝3Aとショルダー主溝3Bとミドル横溝4Bとで区分されている。ショルダーブロック列7Rには、複数個のショルダーブロック7が設けられている。ショルダーブロック7は、ショルダー主溝3Bと接地端Teとショルダー横溝4Cとで区分されている。
本実施形態では、冬用タイヤとして、ランド比が、好ましくは64〜68%に設定される。これにより、氷路性能と雪路性能及び排水性能とがバランスよく高められる。ランド比は、全てのブロック5乃至7の踏面の合計面積Mbと、トレッド部2の全ての溝3A、3B及び4A乃至4Cを埋めて得られるトレッド全表面積Maとの比(Mb/Ma)で表される。
本実施形態のトレッドパターンは、タイヤ赤道C上の任意の点を中心としてバリアブルピッチを除いて実質的な点対称パターンで形成されている。
前記「接地端」Teは、正規リム(図示せず)にリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態のタイヤに、正規荷重を負荷してキャンバー角0°で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置として定められる。そして、この接地端Te、Te間のタイヤ軸方向の距離がトレッド接地幅TWとして定められる。特に断りがない場合、タイヤ各部の寸法等は、この正規状態で測定された値である。
前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めているリムであり、JATMAであれば"標準リム"、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim"となる。また、前記「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば"最高空気圧"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とするが、タイヤが乗用車用である場合には180kPaとする。
また、「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" であるが、タイヤが乗用車用の場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。
本実施形態のセンター主溝3Aは、タイヤ周方向に対して5〜20°の角度α1で傾斜(図1では右上がりに傾斜)する複数の長辺部8と、該長辺部8、8間を継ぎ、かつ、長辺部8よりもタイヤ周方向の長さが小さい短辺部9とからなるジグザグ状にのびる。このようなセンター主溝3Aは、タイヤ軸方向のエッジ成分を含むため、雪柱せん断力、駆動力及び制動力が大きくなる。従って、雪路性能や氷路性能が向上する。長辺部8の角度α1が5°未満になると、タイヤ軸方向のエッジ成分が低下する。長辺部8の角度α1が20°を超えると、センター主溝3Aの排水抵抗が大きくなり、排水性能が悪化する。このため、長辺部8の角度α1は、好ましくは7°以上であり、好ましくは18°以下である。
本実施形態の長辺部8は、センター主溝3Aの溝中心線10が、タイヤ周方向に対して一方側(図1では、右上がり)に傾斜する溝中心線10aで形成される。また、本実施形態の短辺部9は、センター主溝3Aの溝中心線10が、タイヤ周方向に対して他方側(図1では、左上がり)に傾斜する溝中心線10bで形成される。なお、本明細書では、図2に示されるように、溝中心線10は、中間点s1、及び、中間点s2を交互に継いだ直線(以下、ショルダー主溝3Bの溝中心線も同様とする)で形成される。中間点s1は、センター主溝3Aのタイヤ軸方向内側の内側溝縁10xのタイヤ軸方向の最内点a1と、センター主溝3Aのタイヤ軸方向外側の外側溝縁10yのタイヤ軸方向の最内点a2との中間間の位置である。中間点s2は、内側溝縁10xのタイヤ軸方向の最外点a3と、外側溝縁10yのタイヤ軸方向の最外点a4との中間の位置である。また、図2には、長辺部8と短辺部9とを便宜上区分する仮想線8eが示される。
図1に示されるように、本実施形態の複数のショルダー主溝3Bは、ショルダー長辺部11と、ショルダー短辺部12とからなるジグザグ状で形成されている。ショルダー長辺部11は、直線状にのびかつ一方向に傾斜(図1では右上がりに傾斜)している。ショルダー短辺部12は、ショルダー長辺部11、11間を継ぎ、かつ、ショルダー長辺部11よりもタイヤ周方向の長さが小さい。このようなショルダー主溝3Bも、タイヤ軸方向のエッジ成分を多く含むため、雪柱せん断力、駆動力及び制動力が一層大きくなる。ショルダー長辺部11のタイヤ周方向に対する角度α2は、好ましくは5°以上であり、好ましくは20°以下である。
各主溝3A、3Bの溝幅(溝の長手方向と直角な溝幅で、以下、他の溝についても同様とする。)W1、W2及び溝深さ(図示せず)については、慣例に従って種々定めることができる。しかしながら、これらの溝幅又は溝深さが小さくなると、雪路性能や排水性能が悪化するおそれがある。逆に、これらの溝幅又は溝深さが大きくなると、氷路性能が悪化するおそれがある。このため、各主溝3A、3Bの溝幅W1、W2は、例えば、トレッド接地幅TWの2〜9%が望ましい。各主溝3A、3Bの溝深さは、例えば、6〜15mmが望ましい。
各ブロック5乃至7のタイヤ軸方向の剛性をバランスよく確保するため、センター主溝3Aとタイヤ赤道Cとの間のタイヤ軸方向距離L1は、トレッド接地幅TWの3〜15%が望ましい。ショルダー主溝3Bとタイヤ赤道Cとの間のタイヤ軸方向距離L2は、トレッド接地幅TWの23〜33%が望ましい。なお、各主溝3A、3Bの各位置は、それらの溝中心線で特定されるが、本実施形態のように、各主溝3A、3Bがジグザグ状の非直線の場合、溝中心線の振幅の中心線G1、G2が用いられる。
図2は、図1のトレッド部2の左側の拡大図である。図2に示されるように、センター横溝4Aは、タイヤ軸方向に対して5°以下の角度α3を有する。このようなセンター横溝4Aは、タイヤ軸方向のエッジ成分を大きく確保するため、駆動力や制動力及び雪柱せん断力を効果的に高める。従って、雪路性能及び氷路性能が向上する。なお、センター横溝4Aの角度α3が5°を超える場合、上述の作用が効果的に発揮されない。このため、センター横溝4Aの角度α3は、好ましくは3°以下である。
センター横溝4Aの溝幅W3は、センターブロック5のタイヤ周方向の最大長さLa(図1に示す)の9〜15%に規定される。センター横溝4Aの溝幅W3がセンターブロック5の最大長さLaの9%未満の場合、センター横溝4Aの溝容積が小さくなり、雪柱せん断力や排水抵抗が悪化する。逆に、溝幅W3がセンターブロック5の最大長さL3の15%を超える場合、センターブロック列5Rの陸部面積が小さくなり、氷路性能が悪化する。このため、センター横溝4Aの溝幅W3は、好ましくはセンターブロック5の最大長さLaの10%以上、好ましくは14%以下が望ましい。
センター横溝4Aは、一定の溝幅W3で直線状にのびる。このようなセンター横溝4Aは、排水抵抗と雪柱せん断力とをバランスよく高める。
このようなセンター横溝4Aの溝深さ(図示せず)は、好ましくはセンター主溝3Aの溝深さの50%以上、より好ましくは52%以上であり、好ましくは60%以下、より好ましくは58%以下である。センター横溝4Aの溝深さが大きい場合、センターブロック5の剛性が低下し、氷路性能やドライ性能が悪化するおそれがある。センター横溝4Aの溝深さが小さい場合、排水性能が悪化するおそれがある。
ミドル横溝4Bは、長手方向の両側が直線状かつ一定の方向に傾斜(図2では右上がり)する一対のミドル外側部14aと、該一対のミドル外側部14a、14a間を継ぐミドル内側部14bとを含むクランク状をなす。ミドル内側部14bは、ミドル外側部14aよりもタイヤ軸方向に対し大きな角度で傾斜する。このようなミドル横溝4Bは、ミドル内側部14bがタイヤ周方向のエッジ成分を増加させるため、氷路における旋回性能を向上させる。
ミドル横溝4Bのタイヤ軸方向に対する角度α4が大きい場合、ミドルブロック6のタイヤ軸方向の剛性が小さくなるおそれがある。ミドル横溝4Bの角度α4が小さい場合、タイヤ周方向のエッジ成分が小さくなるおそれがある。このため、ミドル横溝4Bの角度α4は、好ましくは7°以上、より好ましくは10°以上であり、好ましくは23°以下、より好ましくは20°以下である。なお、ミドル横溝4Bの角度α4は、ミドル横溝4Bの両側の開口端13のタイヤ周方向の中点間13e、13eを直線で結ぶ仮想中心線14で規定される。また、前記開口端13は、ミドル横溝4Bの両側の溝縁15、15の外端15a、15a間で形成される。
ミドル横溝4Bは、本実施形態では、タイヤ軸方向の中央側から両端側へ向って溝幅が漸増する。このようなミドル横溝4Bは、溝内の雪や水をセンター主溝3A又はショルダー主溝3Bへスムーズに排出できるため、雪路性能や排水性能が向上する。
ミドル横溝4Bの溝幅W4は、好ましくはミドルブロック6のタイヤ周方向の最大長さLbの7.0%以上、より好ましくは7.5%以上であり、また好ましくは14.0%以下、より好ましくは13.5%以下である。ミドル横溝4Bの溝幅W4が大きい場合、ミドルブロック列6Rの陸部面積が小さくなり、氷路性能が悪化する。逆に、ミドル横溝4Bの溝幅W4が小さい場合、ミドル横溝4Bの溝容積が小さくなり、雪柱せん断力や排水抵抗が悪化する。
ショルダー横溝4Cは、本実施形態では、ショルダー主溝3Bから接地端Te側へ一方に傾斜(図2では、左上がりに傾斜)する傾斜部16aと、該傾斜部16aと接地端Teとの間をタイヤ軸方向に沿ってのびる軸方向部16bとを含む。本実施形態の傾斜部16a及び軸方向部16bは、直線状にのびる。これにより、ショルダー横溝4Cの排水抵抗が小さくなる。また、ショルダーブロック7の剛性や雪柱せん断力がバランスよく高まる。
傾斜部16aの角度α5が大きい場合、排水抵抗や雪柱せん断力が悪化するおそれがある。傾斜部16aの角度α5が小さい場合、タイヤ周方向のエッジ成分が小さくなるおそれがある。このため、傾斜部16aの角度α5は、好ましくは10°以上、より好ましくは12°以上であり、好ましくは20°以下、より好ましくは18°以下である。
傾斜部16aの溝幅W5aは、好ましくはショルダーブロック7のタイヤ周方向の最大長さLcの8〜18%である。傾斜部16aの溝幅W5aが大きい場合、ショルダーブロック7の剛性が低下するおそれがある。傾斜部16aの溝幅W5aが小さい場合、排水性能や雪路性能が悪化するおそれがある。
軸方向部16bの溝幅W5bは、好ましくは傾斜部16aの溝幅W5aよりも大である。これにより、傾斜部16aからの水や雪がスムーズに接地端Te側に排出される。軸方向部16bの溝幅W5bは、好ましくは傾斜部16aの溝幅W5aの1.2倍以上、より好ましくは1.3倍以上であり、好ましくは2.4倍以下、より好ましくは2.3倍以下である。
また、ミドル横溝4B及びショルダー横溝4Cの溝深さ(図示せず)は、好ましくは9.0mm以上、より好ましくは9.5mm以上であり、好ましくは14.0mm以下、より好ましくは13.5mm以下である。これにより、雪路性能、氷路性能及びノイズ性能をバランスよく向上する。
図3には、図1のセンターブロック5の拡大図が示される。図3に示されるように、センターブロック5は、路面と接地しかつタイヤ周方向の両側をタイヤ軸方向にのびる一対の軸方向縁18と、路面と接地しかつタイヤ軸方向の両側をタイヤ周方向にのびる一対の周方向縁19とを具える。
周方向縁19は、本実施形態では、センターブロック5のブロック中心側に凹む凹部20と、該凹部20に接続されかつタイヤ周方向に直線状にのびる直線部21とを含む。このような周方向縁19は、凹部20において、雪柱が形成されるため、雪柱せん断力を向上する。また、周方向縁19は、直線部21において、センター主溝3Aの排水抵抗を小さく維持する。なお、本実施形態では、直線部21とは、排水性能を高めるため、タイヤ周方向の長さLeがセンターブロック5の最大長さLa(図1に示す)の0.4倍以上のものに規定される。
凹部20は、本実施形態では、タイヤ軸方向にのびる一対の側辺23と、該側辺23の端部23e、23e間を継ぎ、タイヤ周方向にのびる底辺24とからなる矩形状で形成される。このような凹部20は、強固な雪柱を形成する。
本実施形態の凹部20は、該凹部20に近接する軸方向縁18からタイヤ周方向にセンターブロック5の最大長さLaの45%以内の端部領域17に配される。これにより、センター横溝4Aの雪柱と凹部20の雪柱とが近接し、雪柱せん断力がより高められる。なお、センターブロック5の剛性を高く確保するため、凹部20の全てが端部領域17内に配される必要がある。また、軸方向縁18が傾斜する場合や軸方向縁18がジグザグ状など非直線状である場合は、軸方向縁18の中点からセンターブロックの最大長さLaの40%以内の距離を端部領域17とする。
凹部20が大きい場合、センターブロック5の剛性が小さくなり氷路性能やドライ性能が悪化するおそれがある。凹部20が小さい場合、そこに形成される雪柱が小さくなり、雪路性能が悪化するおそれがある。このため、凹部20のタイヤ周方向の最大長さL3は、好ましくはセンターブロック5の最大長さLaの20%以上、より好ましくは24%以上であり、好ましくは40%以下、より好ましくは36%以下である。同様に、側辺23のタイヤ軸方向の長さL4は、好ましくはセンターブロック5のタイヤ軸方向の最大幅Wa(図2に示す)の5%以上、より好ましくは7%以上であり、好ましくは28%以下、より好ましくは26%以下である。
本実施形態では、一方の周方向縁19a(図3では右側)には、凹部20がタイヤ周方向の一方側の端部領域17a(図3では下側)に形成されている。また、他方の周方向縁19b(図3では左側)には、凹部20がタイヤ周方向の他方側の端部領域17b(図3では上側)に形成されている。これにより、雪柱せん断力がタイヤ周方向でバランス良く高められる。
センターブロック5の剛性と凹部20の雪柱の強度とをバランスよく確保するため、側辺23と底辺24とで形成される角度θ1は、好ましくは90°以上、より好ましくは95°以上であり、好ましくは130°以下、より好ましくは125°以下である。
凹部20の深さ(図示省略)は、センター主溝3Aの溝深さの60%〜80%が好ましい。即ち、凹部20の深さをセンター横溝4Aの溝深さよりも大きくすることで、センターブロック列5Rの剛性を均一化しつつ、より強固な雪柱を形成することができる。このように凹部20は、溝深さの小さい浅底溝として形成されている。
図2に示されるように、凹部20は、長辺部8と短辺部9との交差部Csに設けられる。本実施形態では、凹部20は、短辺部9と連なる位置に設けられている。これにより、凹部20と短辺部9とでタイヤ軸方向に大きな雪柱が形成され、雪路性能がさらに向上する。
図3に示されるように、センターブロック5は、略平行四辺形状である。本実施形態では、一対の軸方向縁18、18及び一対の周方向縁19、19それぞれが互いに平行な部分を含んでいる。このようなセンターブロック5は、タイヤ軸方向の剛性とタイヤ軸方向のエッジ成分とがバランスよく高められ、氷路での旋回性能、駆動力及び制動力が向上する。なお、本実施形態のセンターブロック5は、交点K1、交点K2、交点K3、及び交点K4の4つの交点K1乃至K4で平行四辺形が形成される。交点K1は、一方の直線部21a(図3では右側)をタイヤ周方向の両側に延長させた一方の仮想直線部21cと一方の軸方向縁18a(図3では下側)との交点である。交点K2は、仮想直線部21cと他方の軸方向縁18b(図3では上側)を延長させた仮想軸方向縁18cとの交点である。交点K3は、他方の直線部21b(図3では左側)をタイヤ周方向の両側に延長させた他方の仮想直線部21eと他方の軸方向縁18bとの交点である。交点K4は、他方の仮想直線部21eと一方の軸方向縁18aを延長させた仮想軸方向縁18eとの交点である。
センターブロック5は、一方の周方向縁19aから他方の周方向縁19bの凹部20に向かってタイヤ軸方向にのびかつ凹部20に連なることなく終端するセミオープンタイプのサイピング22aが設けられる。同様に、他方の周方向縁19bから一方の周方向縁19aの凹部20に向かうサイピング22bが設けられる。このようなサイピング22a、22bは、エッジ効果を発揮して、氷路性能を向上する。また、サイピング22a、22bは、センターブロック5のタイヤ周方向の剛性を高く確保する。
本実施形態のサイピング22a、22bは、周方向縁19の直線部21から直線状にのびている。これにより、センターブロック5の剛性がさらに高く維持される。なお、サイピング22a、22bの形状は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、ジグザグ状のものや、波状のものでも良い。
サイピング22a、22bは、本実施形態では、軸方向縁18と平行にのびている。このようなサイピング22a、22bは、駆動力や制動力を大きく確保する。
特に限定されるものではないが、上述の作用をより効果的に発揮させるため、サイピング22a、22bのタイヤ軸方向の長さL5は、好ましくはセンターブロック5のタイヤ軸方向の最大幅Wa(図2に示す)の0.4〜0.7倍である。
センターブロック5の最大幅Wa(図2に示す)は、氷路性能、雪路性能及び排水性能をバランスよく確保するため、好ましくはトレッド接地幅TWの15〜17%である。
図1に示されるように、ミドルブロック6は、本実施形態では、一方のサイピング26aと、他方のサイピング26bとが設けられる。一方のサイピング26aは、一端がショルダー主溝3Bに開口し、他端がミドルブロック6内で終端するセミオープンタイプである。他方のサイピング26bは、一端がセンター主溝3Aに開口し、他端がミドルブロック6内で終端するセミオープンタイプである。
ショルダーブロック7は、本実施形態では、一端が接地端Teに開口し、他端がショルダーブロック7内で終端するセミオープンタイプのショルダーサイピング27aが複数本(本実施形態では4本)設けられる。これにより、旋回時に大きな横力の作用するショルダーブロック7の剛性を確保している。
本実施形態のショルダーブロック7には、ショルダー横溝4C、4C間を継ぎかつタイヤ周方向に沿ってのびる周方向サイピング27bが設けられる。このような周方向サイピング27bは、タイヤ周方向のエッジ成分を増加し、氷路での旋回性能を向上させる。
以上、本発明の空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。
図1の基本パターンを有するサイズ195/80R15の空気入りタイヤが、表1の仕様に基づき試作され、各試供タイヤの雪路性能、排水性能、氷路性能、耐偏摩耗性能及びドライ性能がテストされた。各タイヤの共通仕様は、以下の通りである。
トレッド接地幅TW:162mm
<各主溝>
溝幅W1、W2:5.0〜8.0mm
溝深さ:12.5mm
センター主溝の溝中心線のタイヤ軸方向距離L1とトレッド接地幅TWとの比(L1/TW):0.09
ショルダー主溝の溝中心線のタイヤ軸方向距離L2とトレッド接地幅TWとの比(L2/TW):0.28
センター主溝の長辺部の角度α1:10°
ショルダー主溝のショルダー長辺部の角度α2:10°
<横溝>
センター横溝の角度α3:0°
ミドル横溝の角度α4:15°
ショルダー横溝の傾斜部の角度α5:10°
ミドル横溝の溝幅W4:3.0〜4.0mm
ショルダー横溝の傾斜部の溝幅W5a:5.0mm
ショルダー横溝の軸方向部の溝幅W5b:7.0mm
ミドル横溝及びショルダー横溝の溝深さ:6.5〜7.5mm
<その他>
センターブロックのタイヤ周方向の最大長さLa:35mm
各サイピングの深さ:9.0mm
テスト方法は、次の通りである。
<雪路性能>
各試供タイヤを、下記の条件で、排気量2700ccの4輪駆動車の全輪に装着し、圧雪路のテストコースをドライバー1名乗車で走行させた。そして、このときのハンドル応答性、剛性感及びグリップ等に関する走行特性がドライバーの官能により評価された。結果は、実施例1を100とする評点で表示されている。数値が大きいほど良好である。
リム15×6J
内圧:350kPa(前輪)
内圧:425kPa(後輪)
荷重:4.9kN
<排水性能>
上記テスト車両にて、水深が4〜6mmのウエットアスファルト路面のテストコースを走行し、60km/hでレーンチェンジを繰り返したときの操縦安定性がドライバーの官能により評価された。結果は、実施例1を100とする評点で表示されている。数値が大きいほど良好である。
<氷路性能>
上記テスト車両にて、氷路のテストコースをドライバー1名乗車でテスト走行し、ハンドル応答性、制動性能、駆動性能及びグリップ等に関する特性がドライバーの官能により評価された。結果は、実施例1を100とする評点で表示されている。数値が大きいほど良好である。
<耐偏摩耗性能>
上記テスト車両にて、ドライアスファルト路面のテストコースを平均60km/hの速度で10000Km走行させた後、タイヤ周上9箇所において、センターブロックのタイヤ軸方向にのびる両側の周方向縁の摩耗量の差が測定された。結果は、実施例1の摩耗量の差の平均の逆数を100とする指数で表示されている。数値が大きいほど良好である。
<ドライ性能>
上記テスト車両にて、ドライアスファルト路面のテストコースを走行し、ハンドル応答性、剛性感、グリップ等に関する特性がドライバーの官能により評価された。結果は、実施例1を100とする評点で表示されている。数値が大きいほど良好である。
テストの結果が表1に示される。
Figure 2017030513
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例に比べて雪路性能、排水性能、氷路性能、耐偏摩耗性能及びドライ性能が有意に向上していることが確認できた。
3A センター主溝
4A センター横溝
5 センターブロック
8 長辺部
9 短片部
17 端部領域
18 軸方向縁
19 周方向縁
20 凹部

Claims (6)

  1. トレッド部に、タイヤ赤道のタイヤ軸方向両側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のセンター主溝と、該センター主溝間をタイヤ軸方向にのびる複数本のセンター横溝とが設けられることにより、
    前記一対のセンター主溝と前記センター横溝とで区分されたセンターブロックがタイヤ周方向に隔設されたセンターブロック列を具えた空気入りタイヤであって、
    前記センター横溝は、タイヤ軸方向に対して5°以下の角度を有し、かつ、
    該センター横溝の溝幅が、前記センターブロックのタイヤ周方向の最大長さの9〜15%であり、
    前記センター主溝は、タイヤ周方向に対して5〜20°の角度で傾斜する長辺部と、該長辺部間を継ぎかつ、前記長辺部よりもタイヤ周方向の長さが小さい短辺部とからなるジグザグ状をなし、
    前記センターブロックは、タイヤ周方向の両側をタイヤ軸方向にのびる一対の軸方向縁と、タイヤ軸方向の両側をタイヤ周方向にのびる一対の周方向縁とを具え、かつ
    前記周方向縁は、前記軸方向縁からタイヤ周方向に前記センターブロックのタイヤ周方向の最大長さの45%以内の端部領域に、ブロック中心側に凹む凹部を含むことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記凹部は、タイヤ軸方向にのびかつタイヤ周方向に離間した一対の側辺と、該側辺の端部間を継ぐ底辺とからなる矩形状である請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記凹部は、前記長辺部と前記短辺部との交差部に設けられる請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
  4. 一方の前記周方向縁には、前記凹部がタイヤ周方向の一方側の前記端部領域に形成され、他方の前記周方向縁には、前記凹部がタイヤ周方向の他方側の前記端部領域に形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記センターブロックは、一方の前記周方向縁から他方の周方向縁の前記凹部に向かってタイヤ軸方向にのびかつ前記凹部に連なることなく終端するセミオープンタイプのサイピングが設けられる請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記センターブロックは、前記一対の軸方向縁、及び前記一対の周方向縁それぞれに、互いに平行な部分を含んだ略平行四辺形状である請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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