JP2017030179A - 発泡樹脂成形体用金型 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂ビーズを効率的に成形室内に導入され、樹脂ビーズを充填しにくい難充填部である狭小部等の端縁部まで均一に充填され、部分的な充填過多による材料のロスや、部分的な充填過少による発泡樹脂成形体の強度の不均一や強度不足等の従来技術の課題が解消される発泡樹脂成形体用金型を提供する。【解決手段】コア型1Aとキャビティ型1Bからなり、両型1A、1B間に形成される成型室5内に樹脂ビーズの難充填部を含む発泡樹脂成形体をビーズ法により成形するための発泡樹脂成形体用金型であり、前記金型には樹脂ビーズを導入するための原料充填口3aが少なくとも一つ設けられ、前記難充填部には線状の開口部2aが成形室5側に刻設され、該線状の開口部2aの少なくとも一部が蒸気室6側に連通していることを特徴とする発泡樹脂成形体用金型1である。【選択図】図1

Description

本発明は発泡樹脂成形体用金型に係り、更に詳しくは、熱可塑性樹脂ビーズ(以下、単に樹脂ビーズと記す場合がある)が充填され難い部分(以下、単に難充填部と記す場合がある)、例えば蓋体と容器本体の係合構造部分等を有する複雑な形状の成形体等を成形する金型の成形室内に、樹脂ビーズを効率的かつ均一に充填させることができ、均一な加熱・冷却の促進と成形サイクルの短縮が図られ、製造効率を向上させるばかりでなく、品質が均一で強度に優れた発泡樹脂成形体、特に、均一な発泡倍率の発泡樹脂成形体を製造することができる発泡樹脂成形体用金型に関する。
発泡樹脂からなる発泡樹脂成形体を作製する方法としては、ブタンやペンタンなどの低沸点炭化水素を含浸させ所定の発泡倍率で発泡させてなる樹脂ビーズを、圧縮空気を利用して金型内の成形室に導入してから、蒸気により樹脂を軟化させるとともに低沸点炭化水素等の発泡剤を熱膨張させ、樹脂ビーズ同士を融着させ、冷却、離型させる、所謂ビーズ法が広く用いられている。
従来、このビーズ法により樹脂ビーズが充填されにくい難充填部を有する複雑な形状の成形体、例えば、蓋体と容器本体の係合構造部分等を有する複雑な形状の成形体を製造する場合、コア型とキャビティ型からなる成形室において、係合構造部分等では、微細孔を有するコアベントが配設された狭窄な袋小路が形成される。この狭窄な袋小路内に、基体部に設けた充填口(例えば口径22mmφ×2本)から大量の圧縮空気(例えば5kg/cm2 )で加速・流動化された樹脂ビーズが次々と充填(例えば2〜5秒)されるが排気が伴わず、袋小路内で排気されずに閉じ込められた圧縮空気により樹脂ビーズが浮遊・乱舞し、樹脂ビーズが十分に充填される前に、排気されやすい充填口近傍、基体部や立壁部根元が先に充填されることにより充填口が閉止され、樹脂ビーズがブローバックされて充填は完了する。この結果、袋小路内には樹脂ビーズが十分に充填されていない状態で成形工程に移行するため、樹脂ビーズの不均一充填による成形体の強度の不均一や低下が本質的な課題である。
この課題を解決するため、金型のパーティング面を樹脂ビーズが排出しない程度に型開し、パーティング面から集中的に排気させるクラッキング成形が常態化しているが、クラッキング幅の樹脂ビーズを過剰に充填させるロスと、不均一充填という本質的な課題が新たに発生する。
また、古くからコアベントの排気量を増加させるため、コアベントの設置密度を上げる努力もなされ、最近では、金型強度の限界とされる25mmピッチの金型が標準化されているが、依然として、クラッキング成形に依存しているのが実情である。
例えば、特許文献1では、薄肉部に集中的にコアベントを設置して蒸気孔開口率を大きくすることにより、排気量を向上させる技術が提案されている。
特開2003−62849号公報
上記したように、特許文献1では蒸気孔の設置数を調整することにより薄肉部先端部の蒸気孔開口率を他の部位よりも大きくすることにより、薄肉部に樹脂ビーズを充填する方法が開示されている。
そこで、本発明者らは金型の耐圧強度を無視して薄肉部のコアベントの設置数を増やすことを試みたが、十分な排気量の増大効果は認められなかった。さらに、本発明者らは研究の結果、特に排気性能が高度に求められる薄肉部等のコアベントの現状は、充填エアーの充填方向に交叉して設置せざるを得ない構造であるため、充填エアーがコアベント部で屈折する排出構造であることにより生じる屈折抵抗と、コアベントの微細孔による分流化抵抗と、該微細流による通気抵抗とが複合化されることにより、薄肉部の排気量が極めて低くなり、不均一充填の原因となっていることを知見した。
また、上記したクラッキング成形やコアベントの課題を解決するため、新たに加圧充填法や圧縮充填法が実用化されているが、これらは、高圧で一気に樹脂ビーズを充填するため充填エアー量の増加を来し、排気が伴わないことにより樹脂ビーズが浮遊・乱舞する場合があるため、クラッキング成形と併用されているのが実情である。
本発明の目的は、従来の問題点の一つ以上を改善することであり、袋小路部における排気量を大きくすることにより、蓋体と容器本体の係合構造部分等の難充填部であっても樹脂ビーズが成形室内に効率的かつ均一に充填され、均一加熱・冷却の促進と成形サイクルの短縮により、製造効率を向上させることができるばかりでなく、品質が均一で強度に優れた発泡樹脂成形体を成形できる発泡樹脂成形体用金型を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の発泡成形用金型は下記の特徴を有する。
(1)コア型とキャビティ型からなり、両型間に形成される成型室内に樹脂ビーズを充填しにくい難充填部(以下、難充填部と記す)を含む発泡樹脂成形体をビーズ法により成形するための発泡樹脂成形体用金型であり、
前記金型には樹脂ビーズを導入するための原料充填口が少なくとも一つ設けられ、
前記難充填部には線状の開口部が成形室側に刻設され、該線状の開口部の少なくとも一部が蒸気室側に連通していることを特徴とする発泡樹脂成形体用金型である。
(2)線状の開口部が難充填部に包設されることをことを特徴とする上記(1)に記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(3)成形室表面に現れる線状の開口部が、長さが20mm以上、幅0.5〜1.5mmであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(4)難充填部における開口率は、難充填部以外の部分の開口率の2倍以上であることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(5)線状の開口部は、蒸気室側と連通したスリット状であることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(6)線状の開口部の両側壁が連結部により断続的に連結され、
連結部の成形室側及び/又は蒸気室側が収束する形状からなることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(7)線状の開口部の両側壁が連結部で部分的に連結され、
該線状の開口部の内部であって連結部の少なくとも成形室側には用役拡散通路が設けられていることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(8)連結部は線状の開口部の内部に設けられ、用役拡散通路が該線状の開口部の成形室側と蒸気室側の両方に設けられていることを特徴とする上記(7)に記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(9)連結部は、線状の開口部の内部から蒸気室側に突出して設けられていることを特徴とする上記(7)に記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(10)線状の開口部は成形室側に設けられた有底の溝型であり、蒸気室側には有底の導通穴が穿設され、前記線状の開口部と導通穴が連通していることを特徴とする上記(1)乃至(9)のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(11)難充填部が立設部、狭小部、膨出部、又は周縁部であることを特徴とする上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(12)発泡樹脂成形体が板状体であり、難充填部が周縁部であることを特徴とする上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(13)発泡樹脂成形体が容器であり、難充填部が側壁の先端に立設された蓋体との係合部であることを特徴とする上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(14)発泡樹脂成形体が蓋体であり、難充填部が蓋体の周縁部に立設された容器との係合部であることを特徴とする上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(15)立設部、狭小部、膨出部又は周縁部に凸条部が形成されていることを特徴とする発泡樹脂成形体である。
本発明の発泡樹脂成形体用金型(以下、単に金型と記す場合がある)によれば、難充填部の成形室側に線状の開口部を刻設するとともに、該線状の開口部の少なくとも一部を蒸気室側に連通させることにより、難充填部の通気抵抗を著しく下げることができ、その結果、空気の透過量を増大させ排気量を大きくすることができる。
また、好ましくは、線状の開口部の長さを10mm以上としたり、幅を0.5〜1.5mmとしたり、さらには難充填部の開口率を難充填部以外の部分の開口率の2倍以上とすることにより、通気抵抗を下げて空気の透過量を増大させ排気量を大きくすることができる。
排気量が大きくなることにより、樹脂ビーズの導入のために使用した圧縮空気は金型の難充填部である端縁部から優先的且つスムーズに金型外に排出され、樹脂ビーズが金型の難充填部内に充填される前にブローバックされることが無くなるので、難充填部の端縁部にまで樹脂ビーズが均一に充填される。また、成形室内に乱流が生じないので樹脂ビーズが浮遊・乱舞することなく効率的に充填される。
かくして、基体部から難充填部の端縁部まで樹脂ビーズが均一に充填されるので、部分的な充填過多による材料のロスや、部分的な充填過少による発泡樹脂成形体の強度の不均一や強度不足の問題が解消される。
また、線状の開口部の形状は、スリット状とすることができる。また、開口部の形状を、連結部の成形室側及び/又は蒸気室側が収束する形状にしたり、連結部の成形室側に用役拡散通路を設ければ、圧縮空気はより排出され易くなる。その結果、圧縮空気の排気量は難充填部で最大になるので、樹脂ビーズは難充填部の先端部まで効率的且つ均一に充填される。
更に、発泡樹脂成形体の難充填部に形成される凸条部は、割れや欠けが生じ易い係合部等の狭小部を補強するとともに、従来の亀甲模様に代わって凸条部が形成された新たな意匠を有する発泡樹脂成形体を提供することができる。
図1は本発明の実施態様1の金型(容器)を示す概略断面図である。 図2は図1の金型における成形室を明示した概略断面図である。 図3は図1の金型におけるコア型を示す概略断面図である。 図4は図1の金型におけるキャビティ型を示す概略断面図である。 図5は本発明の実施態様2の金型(蓋体)を示す概略断面図である。 図6は図5の金型における成形室を明示した概略断面図である。 図7は図5の金型におけるコア型を示す概略断面図である。 図8は図5の金型におけるキャビティ型を示す概略断面図である。 図9(a)は図5の金型における要部拡大断面図、(b)はコア型の縁部を成形室側からみた概略図、(c)はコア型の縁部の断面図、(d)はコア型の縁部を蒸気室側からみた概略図である。 図10(a)は図9の金型を用いて作成された蓋体の角部の概略図、(b)は要部断面図である。 図11(a)は蓋体の金型の別例における要部拡大断面図、(b)はコア型の縁部を成形室側からみた概略図、(c)はコア型の縁部の断面図、(d)はコア型の縁部を蒸気室側からみた概略図である。 図12(a)は図11の金型を用いて作成された蓋体の角部の概略図、(b)は要部断面図である。 図13(a)は蓋体の金型の更に別例における要部拡大断面図、(b)はコア型の縁部を成形室側からみた概略図、(c)はコア型の縁部の断面図、(d)はコア型の縁部を蒸気室側からみた概略図である。 図14(a)は図13の金型を用いて作成された蓋体の角部の概略図、(b)は要部断面図である。 図15(a)は蓋体の別例における角部の概略図、(b)は要部断面図である。 図16(a)は蓋体の別例における角部の概略図、(b)は要部断面図である。 図17(a)は蓋体の別例における角部の概略図、(b)は要部断面図である。 図18(a)は蓋体の金型の更に別例における要部拡大断面図、(b)はコア型の縁部を成形室側からみた概略図、(c)はコア型の縁部の断面図、(d)はコア型の縁部を蒸気室側からみた概略図である。 図19(a)〜(c)は蒸気室側と連通する線状の開口部の断面図である。 図20(a)〜(d)は両側壁が連結部により断続的に連結されている線状の開口部の断面図である。 図21(a)〜(c)は両側壁が連結部により部分的に連結されている線状の開口部の断面図である。 図22は本発明の金型により成形される板状の発泡樹脂成形体の一例を示す平面図である。 図23(a)〜(c)は、図22の板状の発泡樹脂成形体の要部断面図である。
本発明の発泡樹脂成形体金型は、コア型とキャビティ型からなり、両型間に形成される成形室内に樹脂ビーズを充填しにくい難充填部を含む発泡樹脂成形体をビーズ法により成形するための発泡樹脂成形体用金型であり、前記金型には樹脂ビーズを導入するための原料充填口が少なくとも一つ設けられ、前記難充填部には線状の開口部が成形室側に刻設され、該線状の開口部の少なくとも一部が蒸気室側に連通していることを特徴とする。
本発明において、“金型”とはコア型、キャビティ型のいずれか一方の他、コア型とキャビティ型の両方を指す場合がある。また“金型の基体部”は、正確には“金型のうち成形体の基体部を形成するための部分”と表現すべきであるが、煩雑さを避けるため、単に“金型の基体部”と称する。また、“金型の基体部”は“基体部の金型”と称する場合もある。難充填部、立設部、狭小部(薄肉部を含む)、膨出部、屈曲部など、本来は成形体の部分を示す名称についても同様とする。
“難充填部”とは、蓋体と容器本体の係合構造部分や基体部から延設される立設部、狭小部、膨出部等のように、樹脂ビーズが充填され難い部分を指す。具体的には、容器の底部から略垂直に起立した側壁や間仕切り、容器の蓋体から略垂直に起立した、容器の側壁との係合部や嵌合部、緩衝材や構造部材等のL字状や凹状等のような任意の角度での突出屈曲部等が含まれる。
また、板状の発泡樹脂成形体の場合は、該板状体の周縁部は内側の基体部と比べて樹脂ビーズが充填され難いので難充填部に含まれる。特に、板状部の厚みが比較的小さく、例えば200mm以下、更には150mm以下、特には100mm以下の場合は、該板状部の端縁から基体部側の、前記厚みの約1倍から約1.5倍までの部分は樹脂ビーズが充填され難いので難充填部に含まれる。
“立設部”とは、発泡樹脂成形体の基体部に対してT字状、L字状、U字状等のように任意の角度で形成された突出部や屈曲部を指す。
“狭小部”とは、発泡樹脂成形体の基体部の肉厚の少なくとも2/3以下の肉厚で形成された部分を指し、薄肉部も同様である。
“膨出部”とは、発泡樹脂成形体の基体部の肉厚の少なくとも1.3倍の肉厚で形成された部分を指す。
“用役”とは、発泡樹脂成形体の製造に用いる蒸気や圧縮空気や水冷、空冷(放冷)、真空吸引、真空排気等の一連の操作や事象を指す。
以下、発泡樹脂成形体が基体部である底部と、該底部の周囲に立設される側壁及び該側壁の端縁部に設けた、難充填部である、蓋体との係合部を有する容器を例に挙げて説明する。
図1乃至図4は本発明の金型の実施態様1を示すもので、コア型1Aとキャビティ型1Bからなり、基体部(底部)3及び該基体部3の周囲に立設される側壁4からなる発泡樹脂成形体(容器)をビーズ法により成形するための金型であり、樹脂ビーズを導入するための原料充填口3aが金型(キャビティ型1B)の基体部3に少なくとも一つ設けられるとともに、コア型1Aとキャビティ型1Bの間に形成される成形室5は、金型の基体部3の原料充填口3a(厳密には、該穴3aに設置された原料充填器の吐出口)から導入された樹脂ビーズが側壁4の端縁部4aに導かれるように構成されており、側壁4の端縁部4a、係合部4bには線状の開口部2aが金型1に刻設されている。また、該線状の開口部2aの少なくとも一部は蒸気室6側に連通している。
尚、図1乃至図4において、端縁部4aには蓋体の係合部と嵌合させるための、薄肉の狭小部である係合部4bが端縁部4aの内側に周設されている。また、これらの難充填部である端縁部4a、係合部4b以外の部分にはコアベントCが配設されており、これにより難充填部以外の部分での用役の排出量が抑制され、難充填部での用役の排出量が大きくなるように考慮されている。尚、必要に応じ、難充填部においても、線状の開口部2aと他のコアベント等とを併用して用役の排出量を調節することも可能である。
本発明は、例えば図3に示されるようなコア型1Aと、例えば図4に示されるようなキャビティ型1Bからなる金型1であって、これらコア型1Aとキャビティ型1Bを図1に示されるように組み合わせることによりコア型1Aとキャビティ型1Bとの間に成形室5が形成されるように構成されている。図2は、形成された成形室5を網掛けで示す。
金型1(キャビティ型1B)には、成形室5内に大量の圧縮空気と共に樹脂ビーズを導入するための原料充填口3aが設けられる。原料充填口3aには、図示しないが、原料充填器の吐出口が接続され、この吐出口から成形室5内に樹脂ビーズが充填される。尚、原料充填口3aの設置場所は特に限定されないが、本例ではキャビティ型1Bの基体部3に設けられている。これは図示した容器のように、基体部(底部)3の周囲に側壁4が立設されている場合は、この側壁4の端縁部4aや薄肉の狭小部である係合部4bの難充填部に効率的に樹脂ビーズを充填するためには好ましい態様である。
尚、側壁4も基体部3から立設されているため基体部3に比べると難充填部であり、必要に応じ、側壁4にも線状の開口部2aを配することも可能である。この場合、側壁4の端縁部4aに向かう程、排気量が大きくなるように線状の開口部2aを配することが好ましい。
また、原料充填口3aは少なくとも一つ設けられる。原料充填口3aが余り多くなると、原料充填器の数も多くなるのでコスト・アップとなるばかりでなく、圧縮空気の供給量が金型からの排気量を超えることがあり、かえって圧縮空気が排出されずに吹き戻され樹脂ビーズの充填性が低下する場合がある。
従って、原料充填口3a(即ち、原料充填器)の数は、成形体の形状、サイズ等の他に、金型の排気量も勘案して決定するのが好ましい。
本発明の金型1には、用役を導入又は排出するための線状の開口部2aが刻設される。線状の開口部2aは直線状でも曲線状でもよい。この線状の開口部2aは、エンドミル等適切な切削工具を用いて金型1に直接刻設することが好ましい。例えば、コアベントの場合は、金型に予め穴を開け、該穴にコアベントを嵌装し鑞付けするが、手間が掛かかるばかりでなく、コアベントと金型との接続部が発生するので通気抵抗が大きくなるとともに金型の強度が低下するのに対し、上記のように、線状の開口部を金型に直後刻設する場合は、このような問題が生じない利点がある。
線状の開口部2aは、コア型1A又はキャビティ型1B又は両金型1A、1Bに設けられる。線状の開口部2aは、端縁部4aや係合部4b等の難充填部に包設されることが好ましい。包設とは、難充填部が方形状の場合は2辺又は3辺を包み込むように設け、円弧状の場合はこれを包み込むように設けることを云う。尚、完全に包み込む場合に限られず、必要に応じ、部分的に包み込む場合であってもよい。このように難充填部を包み込むように包設されることにより、排気量が大きくなり、難充填部への充填ビーズの均一充填が効果的に達成される。
線状の開口部2aの長さは特に限定されないが長いほうが好ましく、具体的には10mm以上、好ましくは20mm以上、さらに好ましくは30mm以上である。上限は特に制限されず、金型の強度を勘案して適宜決定される。
この線状の開口部2aの幅は、圧縮空気を排出する際に、樹脂ビーズが成形室5内から圧縮空気と共に排出されないようにするため、少なくとも成形室5内に充填される樹脂ビーズの直径よりも狭くする必要がある。具体的に言えば、予備発泡させた樹脂ビーズの直径は通常2〜6mm程度なので、このような樹脂ビーズを使用する場合は、線状の開口部2aの幅Wを1.5mm程度より狭くするのが好ましい。
また、線状の開口部2aの幅は、用役を金型内に導入したり、金型内から排出できるようにするため0.2mm以上が好ましいが、よりスムーズに用役を導入又は排出するため、0.5mm以上がより好ましく、0.8mm以上がさらに好ましい。
線状の開口部2aの具体的な形状は特に限定されず、入口から出口まで貫通しているスリット状でもよいし、あるいは、成形室側に有底の溝を設けるとともに、蒸気室側には有底の導通穴を設け、前記有底の溝と導通穴を連通させた構造のものでもよい。これらの詳細については、後記する蓋体の説明の中で詳記する。
端縁部4aや係合部4bの難充填部からの排出量を大きくするという本発明の目的を十分に達成するには、難充填部以外の部分からの排出量を相対的に抑制することが望ましい。例えば、これらの排出量を相対的に抑制する部分で、コアベントやキリ孔等の従来の排気手段を用いれば、上記のごとく、充填エアーがコアベントやキリ孔の部分で屈折する排出構造であることにより生じる屈折抵抗と、コアベントの微細孔による分流化抵抗と、該微細流による通気抵抗とが複合化されることにより通気抵抗が大きくなるため、たとえ開口率が同じであったとしても、難充填部からの排出量が大きくなる。また、難充填部以外の部分に線状の開口部2aを設ける場合でも、難充填部に設ける線状の開口部2aよりも幅を狭く、長さを短くすれば、上記と同様、たとえ開口率が同じであったとしても、通気抵抗が相対的に大きくなるので難充填部からの排出量が大きくなる。
しかし、端縁部4aや係合部4bの難充填部からの排出量をより大きくする観点から、難充填部の端縁部4aや係合部4bにおける開口率は、難充填部以外の部分の開口率の2倍以上、さらには3倍以上、特には5倍以上とするのが好ましい。開口率の上限は、金型の強度等を勘案して決定される。
上記のような金型を用いて作成した成形体(容器X)は、図2に示す成形室5の形通りの形状からなる成形体である。
次に、発泡樹脂成形体が基体部3である中央部と、該中央部の周囲に設けられ難充填部である、容器本体との係合部とからなる蓋体を例に挙げて更に詳細に説明する。
図5乃至図8は本発明の金型の実施態様2を示すもので、コア型1Aとキャビティ型1Bからなり、基体部(中央部)3及び該基体部3の周囲に設けられる難充填部の端縁部4a、係合部4bからなる発泡樹脂成形体(蓋体)をビーズ法により成形するための金型であり、樹脂ビーズを導入するための原料充填口3aが金型(キャビティ型1B)の基体部3に少なくとも一つ設けられるとともに、コア型1Aとキャビティ型1Bの間に形成される成形室5は、金型の基体部3の原料充填口3a(厳密には、該穴3aに設置された原料充填器の吐出口)から導入された樹脂ビーズが難充填部の端縁部4a、係合部4bに導かれるように構成されており、難充填部の端縁部4a、係合部4bには線状の開口部2aが金型1に刻設されている。また、線状の開口部2aの少なくとも一部は、蒸気室6側に連通している。
尚、図5乃至図8において、端縁部4aには容器本体の端縁部4aに立設された係合部4bと係合させるための係合部4bが周設されている。また、難充填部以外の部分にはコアベントCが配設されており、これにより難充填部以外の部分での用役の排出量が抑制され、その結果、難充填部での排出量が大きくなるように考慮されている。
本発明は、例えば図7に示されるようなコア型1Aと、例えば図8に示されるようなキャビティ型1Bからなる金型1であって、これらコア型1Aとキャビティ型1Bを図5に示されるように組み合わせることによりコア型1Aとキャビティ型1Bとの間に成形室5が形成されるように構成されている。図6は、形成された成形室5を網掛けで示す。
金型1(キャビティ型1B)には、成形室5内に大量の圧縮空気と共に樹脂ビーズを導入するための原料充填口3aが設けられる。原料充填口3aには、図示しないが、原料充填器の吐出口が接続され、この吐出口から成形室5内に樹脂ビーズが充填される。尚、原料充填口3aの設置場所は特に限定されないが、本例ではキャビティ型1Bの基体部3の中央部に設けられている。
難充填部の端縁部4a、係合部4bには、線状の開口部2aが金型1に直接刻設されている。線状の開口部2aを金型1に直接刻設することによる利点は、前記したとおりである。また、線状の開口部2aを難充填部を包み込むように包設する利点も前記したとおりである。
線状の開口部2aの具体的な形状は特に限定されず、入口から出口まで貫通しているスリット状でもよいし、あるいは、成形室側に有底の溝を設けるとともに、蒸気室側には有底の導通穴を設け、前記有底の溝と導通穴を連通させた構造のものでもよい。
図9(a)〜(d)は金型の要部拡大断面図で、図9(a)は金型の線状の開口部2aで切断した要部拡大断面図であり、図9(b)に示すように、成形室5側から見れば線状の開口部2aが設けられ、図9(c)に示すように、線状の開口部2aはスリット状となって蒸気室側と連通している。即ち、図9(d)に示すように、この開口部2aは蒸気室6側から見てもスリット状である。
このような金型を用いた場合、図9(a)に示すように、用役は樹脂ビーズRとともに基体部3から難充填部である端縁部4a、係合部4bに導入され、線状の開口部2a入口に樹脂ビーズRを残溜させて端縁部4a、係合部4bを充填し、用役だけが線状の開口部2aに入り、蒸気室6側に排出される。
このような金型1を用いて作成した成形体(蓋体Y)の一部を図10(a)(b)に示す。尚、図10(a)は成形体裏側の形状、構造を示すために成形体が透明であると仮定して記載している。後記する図12(a)、図14(a)、図15(a)、図16(a)、図17(a)においても同様である。
図10(a)は作成された成形体の角部を示す概略図であるが、図10(b)に示されるように、線状の開口部2aに由来する凸条部8が成形体表面に形成される。
図11(a)〜(d)は金型の他の要部拡大断面図で、成形室5側に有底の溝2bを設けるとともに、蒸気室6側には有底の導通穴2cを設け、前記有底の溝2cと導通穴2bを連通させることにより、線状の開口部2aを形成するように変更したものである。
図11(b)に示すように、成形室5側から見れば有底の溝2bが設けられ、また、図11(d)に示すように、蒸気室6側には導通穴2cが設けられている。これら有底の溝2bと導通穴2cは、図11(c)に示すように連通して線状の開口部2aを形成している。
このような金型を用いた場合、図11(a)に示すように、用役は樹脂ビーズRとともに基体部3から難充填部である端縁部4a、係合部4bに導入され、線状の開口部2a(有底の溝2bと導通穴2c)入口に樹脂ビーズRを残溜させて端縁部4a、係合部4bを充填し、用役だけが線状の開口部2aに入り、蒸気室6側に排出される。
このような金型1を用いて作成した成形体(蓋体Y)の一部を図12(a)(b)に示す。図12(a)は作成された成形体の角部を示す説明図であるが、図12(b)に示されるように、線状の開口部2a(有底の溝2b)に由来する凸条部8が成形体表面に形成される。
また、コア型1Aとキャビティ型1Bを合わせてはじめてスリット状になるように、コア型1Aまたはキャビティ型1Bの少なくともいずれか一方に有底の溝を形成してもよい。そのような例を図13(a)〜(d)に示す。
本例では図13(b)〜(d)に示すように、成形室5側から見れば外側(図中右側)が開放された切欠きが設けられており、キャビティ型1Bと組み合わせたときに線状の開口部2aとなるよう構成されている。
このような金型を用いた場合、図13(a)に示すように、用役は樹脂ビーズRとともに基体部3から難充填部である端縁部4a、係合部4bに導入され、線状の開口部2a入口に樹脂ビーズRを残溜させて端縁部4a、係合部4bを充填し、用役だけが線状の開口部2aに入り、蒸気室6側に排出される。
このような金型1を用いて作成した成形体(蓋体Y)の一部を図14(a)(b)に示す。図14(a)は作成された成形体の角部を示す概略図であるが、図14(b)に示されるように、線状の開口部2aに由来する凸条部8が成形体表面に形成される。
図15〜図17は、金型の図示を省略しているが、いずれも成形体の角部を示す概略図である。
図15はコア型の難充填部(端縁部、係合部)の全体に線状の開口部2aが設けられた例で、得られた成形体(蓋体Y)には難充填部のコア型に接する面全体に凸条部8が形成されている。
図16はキャビティ型の難充填部(端縁部、係合部)の全体に線状の開口部2aが設けられた例で、得られた成形体(蓋体Y)には難充填部のキャビティ型に接する面全体に凸条部8が形成されている。
図17はコア型及びキャビティ型の難充填部(端縁部、係合部)の全体に線状の開口部2aが設けられた例で、得られた成形体(蓋体Y)には難充填部のコア型及びキャビティ型に接する面全体に凸条部8が形成されている。
本発明においては、線状の開口部2aをスリット状とするとともに、蒸気室6側からスリットの一部を拡大するような穴を設けることもできる。
このような金型の例を図18(a)〜(d)に示す。本例では、図13に示したものと同様の切欠きの蒸気室6側に導通穴2cを穿設したものであり、図13に示した金型よりも通気性(排出性)が向上している。
本発明の線状の開口部2aを入口から出口まで貫通しているスリット状とする場合、図19(a)に示すように、線状の開口部2aの入口から出口までの全体を同じ大きさで蒸気室6側と連通させてもよいが、必ずしもその必要はなく、例えば図19(b)(c)に示したように、線状の開口部2aの一端側又は両端を有底の溝状とすることもできる。このように、線状の開口部2aの一部を有底の溝状とすれば、排気性を向上させるとともに、金型の強度を保つことができる。
線状の開口部2aがスリット状である場合、スリットの両側壁を断続的(図20参照)又は部分的(図21参照)に連結することにより、この連結部が補強の役割を果たし、難充填部の端縁部4a、係合部4bにおける排気性を確保しつつ、金型1の強度を高めることができる。
連結部2dを形成する方法は特に限定されず、例えば、板状の金型材料に連結部2dを形成するにはエンドミル等適切な切削工具を用いて刻設する方法が挙げられる。
上記連結部2dは、線状の開口部2aの両側の金型を断続的に且つ一体的に連結する他は特に制限されず、連結部2dの形状や配置等については適宜決定することができるが、用役の導入・排出の観点からは、成形室側5及び/又は蒸気室6が収束する形状からなるのが好ましい。
例えば、図20(a)は菱形状、図20(b)は五角形状、図20(c)は六角形状、図20(d)は円形状に形成され、いずれの場合も、用役の導入・排出を妨げる部分(デッド・エリア)が実質的に除去された形状からなるため、用役の導入・排出が効率的に行われる。
また、図21(a)は、連結部2dを蒸気室6側に設けるとともに成形室5側の頂部付近の角部を除去した五角形状とし線状の開口部2aの成形室5側に用役拡散通路2eが形成された例である。また、図21(b)は連結部2dを線状の開口部2aの内部(図では内部の略中央)に設け、連結部2dの成形室5側と蒸気室6側の両方に用役拡散通路2eが形成された六角形状からなる例である。これらの場合は、用役の排出が効率的に行われる。
更に、図21(c)は、連結部2dが線状の開口部2aの内部から蒸気室6側に突出して設けた例である。この場合は、蒸気室6側の表面積が増加し、加熱や冷却効率が高められる。また、肉ぬすみにより連結部2dを蒸気室6側に突出するように設けた場合は、上記加熱や冷却効率の効果に加え、金型の軽量化を図ることもできる。
尚、上記形状、配置の異なる連結部2dは、必要に応じ、組み合わせて用いられる。
上述のように、本発明の金型には成形室5側表面に開口する線状の開口部2aが設けられているため、圧縮空気を用いて樹脂ビーズを成形室5内に導入する際にも、線状の開口部2aから圧縮空気が十分に排出され、クラッキングを行わない場合(ノンクラッキング)であっても、樹脂ビーズが金型内に均一に充填される。従って、樹脂ビーズの不均一充填による材料のロスや発泡樹脂成形体強度の低下は生じない。
また、本発明の金型を用いて成形するに際し、必要に応じて、クラッキングを行うことも可能である。その場合でも、クラッキング幅は狭くてよいので、樹脂ビーズを過剰に充填させるロスや、充填の不均一、発泡樹脂成形体強度の不均一、寸法精度の不均一といった問題は改善される。
本発明は板状の発泡樹脂成形体にも適用される。即ち、板状の発泡樹脂成形体の場合は、その周縁部が中央部と比べて樹脂ビーズが充填され難いので難充填部に含まれる。特に、板状部の厚みが比較的小さく、例えば200mm以下、更には150mm以下、特には100mm以下の場合は、該板状部の端縁から基体部側の、前記厚みの約1倍から約1.5倍までの部分は樹脂ビーズが充填され難いので難充填部である。本発明によれば、たとえ板状の発泡樹脂成形体が図22に示したような入り組んだ複雑な形状であっても、隅々まで樹脂ビーズを充填することができる。
本発明の金型により板状の発泡樹脂成形体を成形する場合、本発明の金型は圧縮空気の排出性に優れ樹脂ビーズの充填性に優れているため、ノンクラッキングでの成形が可能であり、また原料充填器の数を少なくすることができるので、コストダウンが図られる利点がある。特に、末端まで樹脂ビーズを充填し難いサイズの大きい板状の発泡樹脂成形体、好ましくは1辺又は直径が300mm以上、より好ましくは1辺又は直径が500mm以上の板状の発泡樹脂成形体に有用である。
尚、ノンクラッキングで成形する場合、コア型とキャビティ型とにより画成されるコ字状の板状部(周縁部)の少なくとも1辺、好ましくは2辺、更に好ましくは3辺が本発明の線状の開口部を設けた金型であることが望ましい。
即ち、図23に示すように、発泡樹脂成形体の周縁部は、線状の開口部2aを金型に設ける態様により、(a)、(b)、(c)に示すように、該線状の開口部2aに由来する凸条部8が周縁部表面に形成された発泡樹脂成形体とすることができる。
以上のように、本発明の金型により容器及び蓋体を成形した場合、それぞれの係合部に、線状の開口部に由来する凸条部が形成されるが、この凸条部は割れや欠けが生じやすい係合部を補強するとともに、蓋体と容器とを密着させるクッション材の役割を果たし、不用意に蓋体が容器から離脱することが防止される効果がある。また、従来の亀甲模様に代わり凸条部が形成された新たな意匠を有する容器及び蓋体を提供することができる。
本発明において用いられる樹脂ビーズには何ら制限はなく、熱可塑性樹脂、生分解性プラスチック、バイオマスプラスチック等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1、2、比較例1
3種類の金型と2種類の充填条件により、合計6種類の蓋体を作成した。
作成した蓋体の寸法は縦320mm、横580mm、全高35mmであり、成形品の容積は3800mlである。このような金型を(株)積水工機製作所製の成形機ACE30に6個設けて成形を行った。なお、原料の樹脂ビーズとしては発泡ポリスチレンビーズ(予備発泡倍率68倍)である。
実施例1は、図15に示したように、コア型の難充填部(端縁部、係合部)の全体に線状の開口部を設け、該難充填部においては開口率が5%になるように幅0.5mmの線状の開口部が設けられ、それ以外の箇所においては、開口率が3%になるようにコアベントが設けられた金型を用いた。
実施例2は、難充填部において開口率が10%になるように調整されている他は、実施例1と同様に作成された金型を用いた。
比較例1は、難充填部及びそれ以外の箇所においてコアベントを通して排気するように形成された従来金型で、難充填部において開口率が5%、それ以外の箇所において開口率が3%に調整された金型を用いた。
原料の樹脂ビーズの充填は、ノンクラッキング充填と3mmクラッキング充填の2種類である。
ノンクラッキング充填とは、コア型とキャビティ型を隙間無く合わせた状態で原料の樹脂ビーズを投入する方法で、充填後はコア型とキャビティ型を動かさずにそのまま成形する。
3mmクラッキング充填とは、コア型とキャビティ型を垂直方向に3mm開いた状態で原料の樹脂ビーズを投入する方法である。この状態でコア型とキャビティ型の間には0.8mmの隙間が出来ており、ここから圧縮空気が排気される。この方法で樹脂ビーズを充填した場合、充填後に型締めをしてコア型とキャビティ型を隙間無く合わせ、この状態で成形する必要がある。
上記の充填条件で作成した蓋体について、充填された樹脂の均一性を測定した結果を表1に示す。樹脂の均一性については、難充填部とそれ以外の部分について発泡倍率をそれぞれ測定し、発泡倍率の差により下記の基準により評価した。また、難充填部の融着度を下記の基準により目視にて評価した。
(発泡倍率)
×:成形が不可能
△:発泡倍率の差が5以下で2超過
○:発泡倍率の差が2以下で0.5超過
◎:発泡倍率の差が0.5以下
(融着度)
×:成形が不可能
△:やや不良
○:良好
◎:非常に良好
Figure 2017030179
上記表1から、比較例1のコアベントを用いた従来金型の場合は、ノンクラッキング充填では成形不可能で、クラッキング充填では成形体を得られるが、樹脂の均一性及び融着性とも、いずれも十分に満足すべきものとは言い難い。
これに対し、実施例1、2の線状の開口部を用いた本発明の金型の場合は、ノンクラッキング充填、クラッキング充填のいずれにおいても、樹脂の均一性、融着性とも十分に満足すべき良好な発泡成形体が得られる。
以上説明したように、本発明の金型は、線状の開口部を用いた特殊な開口構造により通気抵抗が小さく、難充填部の排気量が大きくなり、その結果、樹脂ビーズの導入のために使用した圧縮空気は端縁部から優先的且つスムーズに金型外に排出される。
その結果、従来は、樹脂ビーズが金型の難充填部内に充填される前にブローバックされることにより難充填部よりも基体部の原料充填口付近から充填されるため、難充填部には均一に充填されないのに対し、本発明の金型では、難充填部の先端部の方から優先的に充填され最後に原料充填口付近が充填されるため、金型の隅々にまで樹脂ビーズが均一に充填される。また、成形室内に乱流が生じないので樹脂ビーズが浮遊・乱舞することなく効率的に充填される。
かくして、基体部から難充填部の端縁部まで樹脂ビーズが均一に充填されるので、部分的な充填過多による材料のロスや、部分的な充填過少による発泡樹脂成形体の強度の不均一や強度不足等の従来技術の課題が一挙に解消される。
1 発泡樹脂成形体用金型
1A コア型
1B キャビティ型
2a 線状の開口部
2b 有底の溝
2c 導通穴
2d 連結部
2e 用役拡散通路
3 基体部
3a 原料充填口
4 側壁
4a 端縁部
4b 係合部
5 成形室
6 蒸気室
8 凸条部
C コアベント
R 樹脂ビーズ
X 容器
Y 蓋体

Claims (15)

  1. コア型とキャビティ型からなり、両型間に形成される成型室内に樹脂ビーズを充填しにくい難充填部(以下、難充填部と記す)を含む発泡樹脂成形体をビーズ法により成形するための発泡樹脂成形体用金型であり、
    前記金型には樹脂ビーズを導入するための原料充填口が少なくとも一つ設けられ、
    前記難充填部には線状の開口部が成形室側に刻設され、該線状の開口部の少なくとも一部が蒸気室側に連通していることを特徴とする発泡樹脂成形体用金型。
  2. 線状の開口部が難充填部に包設されることをことを特徴とする請求項1に記載の発泡樹脂成形体用金型。
  3. 成形室表面に現れる線状の開口部が、長さが10mm以上、幅0.5〜1.5mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡樹脂成形体用金型。
  4. 難充填部における開口率は、難充填部以外の部分の開口率の2倍以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型。
  5. 線状の開口部は、蒸気室側と連通したスリット状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型。
  6. 線状の開口部の両側壁が連結部により断続的に連結され、
    連結部の成形室側及び/又は蒸気室側が収束する形状からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型。
  7. 線状の開口部の両側壁が連結部で部分的に連結され、
    該線状の開口部の内部であって連結部の少なくとも成形室側には用役拡散通路が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型。
  8. 連結部は線状の開口部の内部に設けられ、用役拡散通路が該線状の開口部の成形室側と蒸気室側の両方に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の発泡樹脂成形体用金型。
  9. 連結部は、線状の開口部の内部から蒸気室側に突出して設けられていることを特徴とする請求項7に記載の発泡樹脂成形体用金型。
  10. 線状の開口部は成形室側に設けられた有底の溝型であり、蒸気室側には有底の導通穴が穿設され、前記線状の開口部と導通穴が連通していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型。
  11. 難充填部が立設部、狭小部、膨出部、又は周縁部であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型。
  12. 発泡樹脂成形体が板状体であり、難充填部が周縁部であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型。
  13. 発泡樹脂成形体が容器であり、難充填部が側壁の先端に立設された蓋体との係合部であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型。
  14. 発泡樹脂成形体が蓋体であり、難充填部が蓋体の周縁部に立設された容器との係合部であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型。
  15. 立設部、狭小部、膨出部又は周縁部に凸条部が形成されていることを特徴とする発泡樹脂成形体。
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