JP2017030179A - 発泡樹脂成形体用金型 - Google Patents
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Abstract
Description
また、古くからコアベントの排気量を増加させるため、コアベントの設置密度を上げる努力もなされ、最近では、金型強度の限界とされる25mmピッチの金型が標準化されているが、依然として、クラッキング成形に依存しているのが実情である。
(1)コア型とキャビティ型からなり、両型間に形成される成型室内に樹脂ビーズを充填しにくい難充填部(以下、難充填部と記す)を含む発泡樹脂成形体をビーズ法により成形するための発泡樹脂成形体用金型であり、
前記金型には樹脂ビーズを導入するための原料充填口が少なくとも一つ設けられ、
前記難充填部には線状の開口部が成形室側に刻設され、該線状の開口部の少なくとも一部が蒸気室側に連通していることを特徴とする発泡樹脂成形体用金型である。
(2)線状の開口部が難充填部に包設されることをことを特徴とする上記(1)に記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(3)成形室表面に現れる線状の開口部が、長さが20mm以上、幅0.5〜1.5mmであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(4)難充填部における開口率は、難充填部以外の部分の開口率の2倍以上であることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(5)線状の開口部は、蒸気室側と連通したスリット状であることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(6)線状の開口部の両側壁が連結部により断続的に連結され、
連結部の成形室側及び/又は蒸気室側が収束する形状からなることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(7)線状の開口部の両側壁が連結部で部分的に連結され、
該線状の開口部の内部であって連結部の少なくとも成形室側には用役拡散通路が設けられていることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(8)連結部は線状の開口部の内部に設けられ、用役拡散通路が該線状の開口部の成形室側と蒸気室側の両方に設けられていることを特徴とする上記(7)に記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(9)連結部は、線状の開口部の内部から蒸気室側に突出して設けられていることを特徴とする上記(7)に記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(10)線状の開口部は成形室側に設けられた有底の溝型であり、蒸気室側には有底の導通穴が穿設され、前記線状の開口部と導通穴が連通していることを特徴とする上記(1)乃至(9)のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(11)難充填部が立設部、狭小部、膨出部、又は周縁部であることを特徴とする上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(12)発泡樹脂成形体が板状体であり、難充填部が周縁部であることを特徴とする上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(13)発泡樹脂成形体が容器であり、難充填部が側壁の先端に立設された蓋体との係合部であることを特徴とする上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(14)発泡樹脂成形体が蓋体であり、難充填部が蓋体の周縁部に立設された容器との係合部であることを特徴とする上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型である。
(15)立設部、狭小部、膨出部又は周縁部に凸条部が形成されていることを特徴とする発泡樹脂成形体である。
また、好ましくは、線状の開口部の長さを10mm以上としたり、幅を0.5〜1.5mmとしたり、さらには難充填部の開口率を難充填部以外の部分の開口率の2倍以上とすることにより、通気抵抗を下げて空気の透過量を増大させ排気量を大きくすることができる。
排気量が大きくなることにより、樹脂ビーズの導入のために使用した圧縮空気は金型の難充填部である端縁部から優先的且つスムーズに金型外に排出され、樹脂ビーズが金型の難充填部内に充填される前にブローバックされることが無くなるので、難充填部の端縁部にまで樹脂ビーズが均一に充填される。また、成形室内に乱流が生じないので樹脂ビーズが浮遊・乱舞することなく効率的に充填される。
かくして、基体部から難充填部の端縁部まで樹脂ビーズが均一に充填されるので、部分的な充填過多による材料のロスや、部分的な充填過少による発泡樹脂成形体の強度の不均一や強度不足の問題が解消される。
“難充填部”とは、蓋体と容器本体の係合構造部分や基体部から延設される立設部、狭小部、膨出部等のように、樹脂ビーズが充填され難い部分を指す。具体的には、容器の底部から略垂直に起立した側壁や間仕切り、容器の蓋体から略垂直に起立した、容器の側壁との係合部や嵌合部、緩衝材や構造部材等のL字状や凹状等のような任意の角度での突出屈曲部等が含まれる。
また、板状の発泡樹脂成形体の場合は、該板状体の周縁部は内側の基体部と比べて樹脂ビーズが充填され難いので難充填部に含まれる。特に、板状部の厚みが比較的小さく、例えば200mm以下、更には150mm以下、特には100mm以下の場合は、該板状部の端縁から基体部側の、前記厚みの約1倍から約1.5倍までの部分は樹脂ビーズが充填され難いので難充填部に含まれる。
“立設部”とは、発泡樹脂成形体の基体部に対してT字状、L字状、U字状等のように任意の角度で形成された突出部や屈曲部を指す。
“狭小部”とは、発泡樹脂成形体の基体部の肉厚の少なくとも2/3以下の肉厚で形成された部分を指し、薄肉部も同様である。
“膨出部”とは、発泡樹脂成形体の基体部の肉厚の少なくとも1.3倍の肉厚で形成された部分を指す。
“用役”とは、発泡樹脂成形体の製造に用いる蒸気や圧縮空気や水冷、空冷(放冷)、真空吸引、真空排気等の一連の操作や事象を指す。
図1乃至図4は本発明の金型の実施態様1を示すもので、コア型1Aとキャビティ型1Bからなり、基体部(底部)3及び該基体部3の周囲に立設される側壁4からなる発泡樹脂成形体(容器)をビーズ法により成形するための金型であり、樹脂ビーズを導入するための原料充填口3aが金型(キャビティ型1B)の基体部3に少なくとも一つ設けられるとともに、コア型1Aとキャビティ型1Bの間に形成される成形室5は、金型の基体部3の原料充填口3a(厳密には、該穴3aに設置された原料充填器の吐出口)から導入された樹脂ビーズが側壁4の端縁部4aに導かれるように構成されており、側壁4の端縁部4a、係合部4bには線状の開口部2aが金型1に刻設されている。また、該線状の開口部2aの少なくとも一部は蒸気室6側に連通している。
尚、図1乃至図4において、端縁部4aには蓋体の係合部と嵌合させるための、薄肉の狭小部である係合部4bが端縁部4aの内側に周設されている。また、これらの難充填部である端縁部4a、係合部4b以外の部分にはコアベントCが配設されており、これにより難充填部以外の部分での用役の排出量が抑制され、難充填部での用役の排出量が大きくなるように考慮されている。尚、必要に応じ、難充填部においても、線状の開口部2aと他のコアベント等とを併用して用役の排出量を調節することも可能である。
金型1(キャビティ型1B)には、成形室5内に大量の圧縮空気と共に樹脂ビーズを導入するための原料充填口3aが設けられる。原料充填口3aには、図示しないが、原料充填器の吐出口が接続され、この吐出口から成形室5内に樹脂ビーズが充填される。尚、原料充填口3aの設置場所は特に限定されないが、本例ではキャビティ型1Bの基体部3に設けられている。これは図示した容器のように、基体部(底部)3の周囲に側壁4が立設されている場合は、この側壁4の端縁部4aや薄肉の狭小部である係合部4bの難充填部に効率的に樹脂ビーズを充填するためには好ましい態様である。
尚、側壁4も基体部3から立設されているため基体部3に比べると難充填部であり、必要に応じ、側壁4にも線状の開口部2aを配することも可能である。この場合、側壁4の端縁部4aに向かう程、排気量が大きくなるように線状の開口部2aを配することが好ましい。
また、原料充填口3aは少なくとも一つ設けられる。原料充填口3aが余り多くなると、原料充填器の数も多くなるのでコスト・アップとなるばかりでなく、圧縮空気の供給量が金型からの排気量を超えることがあり、かえって圧縮空気が排出されずに吹き戻され樹脂ビーズの充填性が低下する場合がある。
従って、原料充填口3a(即ち、原料充填器)の数は、成形体の形状、サイズ等の他に、金型の排気量も勘案して決定するのが好ましい。
線状の開口部2aは、コア型1A又はキャビティ型1B又は両金型1A、1Bに設けられる。線状の開口部2aは、端縁部4aや係合部4b等の難充填部に包設されることが好ましい。包設とは、難充填部が方形状の場合は2辺又は3辺を包み込むように設け、円弧状の場合はこれを包み込むように設けることを云う。尚、完全に包み込む場合に限られず、必要に応じ、部分的に包み込む場合であってもよい。このように難充填部を包み込むように包設されることにより、排気量が大きくなり、難充填部への充填ビーズの均一充填が効果的に達成される。
線状の開口部2aの長さは特に限定されないが長いほうが好ましく、具体的には10mm以上、好ましくは20mm以上、さらに好ましくは30mm以上である。上限は特に制限されず、金型の強度を勘案して適宜決定される。
この線状の開口部2aの幅は、圧縮空気を排出する際に、樹脂ビーズが成形室5内から圧縮空気と共に排出されないようにするため、少なくとも成形室5内に充填される樹脂ビーズの直径よりも狭くする必要がある。具体的に言えば、予備発泡させた樹脂ビーズの直径は通常2〜6mm程度なので、このような樹脂ビーズを使用する場合は、線状の開口部2aの幅Wを1.5mm程度より狭くするのが好ましい。
また、線状の開口部2aの幅は、用役を金型内に導入したり、金型内から排出できるようにするため0.2mm以上が好ましいが、よりスムーズに用役を導入又は排出するため、0.5mm以上がより好ましく、0.8mm以上がさらに好ましい。
線状の開口部2aの具体的な形状は特に限定されず、入口から出口まで貫通しているスリット状でもよいし、あるいは、成形室側に有底の溝を設けるとともに、蒸気室側には有底の導通穴を設け、前記有底の溝と導通穴を連通させた構造のものでもよい。これらの詳細については、後記する蓋体の説明の中で詳記する。
しかし、端縁部4aや係合部4bの難充填部からの排出量をより大きくする観点から、難充填部の端縁部4aや係合部4bにおける開口率は、難充填部以外の部分の開口率の2倍以上、さらには3倍以上、特には5倍以上とするのが好ましい。開口率の上限は、金型の強度等を勘案して決定される。
上記のような金型を用いて作成した成形体(容器X)は、図2に示す成形室5の形通りの形状からなる成形体である。
図5乃至図8は本発明の金型の実施態様2を示すもので、コア型1Aとキャビティ型1Bからなり、基体部(中央部)3及び該基体部3の周囲に設けられる難充填部の端縁部4a、係合部4bからなる発泡樹脂成形体(蓋体)をビーズ法により成形するための金型であり、樹脂ビーズを導入するための原料充填口3aが金型(キャビティ型1B)の基体部3に少なくとも一つ設けられるとともに、コア型1Aとキャビティ型1Bの間に形成される成形室5は、金型の基体部3の原料充填口3a(厳密には、該穴3aに設置された原料充填器の吐出口)から導入された樹脂ビーズが難充填部の端縁部4a、係合部4bに導かれるように構成されており、難充填部の端縁部4a、係合部4bには線状の開口部2aが金型1に刻設されている。また、線状の開口部2aの少なくとも一部は、蒸気室6側に連通している。
尚、図5乃至図8において、端縁部4aには容器本体の端縁部4aに立設された係合部4bと係合させるための係合部4bが周設されている。また、難充填部以外の部分にはコアベントCが配設されており、これにより難充填部以外の部分での用役の排出量が抑制され、その結果、難充填部での排出量が大きくなるように考慮されている。
金型1(キャビティ型1B)には、成形室5内に大量の圧縮空気と共に樹脂ビーズを導入するための原料充填口3aが設けられる。原料充填口3aには、図示しないが、原料充填器の吐出口が接続され、この吐出口から成形室5内に樹脂ビーズが充填される。尚、原料充填口3aの設置場所は特に限定されないが、本例ではキャビティ型1Bの基体部3の中央部に設けられている。
線状の開口部2aの具体的な形状は特に限定されず、入口から出口まで貫通しているスリット状でもよいし、あるいは、成形室側に有底の溝を設けるとともに、蒸気室側には有底の導通穴を設け、前記有底の溝と導通穴を連通させた構造のものでもよい。
図9(a)〜(d)は金型の要部拡大断面図で、図9(a)は金型の線状の開口部2aで切断した要部拡大断面図であり、図9(b)に示すように、成形室5側から見れば線状の開口部2aが設けられ、図9(c)に示すように、線状の開口部2aはスリット状となって蒸気室側と連通している。即ち、図9(d)に示すように、この開口部2aは蒸気室6側から見てもスリット状である。
このような金型を用いた場合、図9(a)に示すように、用役は樹脂ビーズRとともに基体部3から難充填部である端縁部4a、係合部4bに導入され、線状の開口部2a入口に樹脂ビーズRを残溜させて端縁部4a、係合部4bを充填し、用役だけが線状の開口部2aに入り、蒸気室6側に排出される。
このような金型1を用いて作成した成形体(蓋体Y)の一部を図10(a)(b)に示す。尚、図10(a)は成形体裏側の形状、構造を示すために成形体が透明であると仮定して記載している。後記する図12(a)、図14(a)、図15(a)、図16(a)、図17(a)においても同様である。
図10(a)は作成された成形体の角部を示す概略図であるが、図10(b)に示されるように、線状の開口部2aに由来する凸条部8が成形体表面に形成される。
図11(b)に示すように、成形室5側から見れば有底の溝2bが設けられ、また、図11(d)に示すように、蒸気室6側には導通穴2cが設けられている。これら有底の溝2bと導通穴2cは、図11(c)に示すように連通して線状の開口部2aを形成している。
このような金型を用いた場合、図11(a)に示すように、用役は樹脂ビーズRとともに基体部3から難充填部である端縁部4a、係合部4bに導入され、線状の開口部2a(有底の溝2bと導通穴2c)入口に樹脂ビーズRを残溜させて端縁部4a、係合部4bを充填し、用役だけが線状の開口部2aに入り、蒸気室6側に排出される。
このような金型1を用いて作成した成形体(蓋体Y)の一部を図12(a)(b)に示す。図12(a)は作成された成形体の角部を示す説明図であるが、図12(b)に示されるように、線状の開口部2a(有底の溝2b)に由来する凸条部8が成形体表面に形成される。
本例では図13(b)〜(d)に示すように、成形室5側から見れば外側(図中右側)が開放された切欠きが設けられており、キャビティ型1Bと組み合わせたときに線状の開口部2aとなるよう構成されている。
このような金型を用いた場合、図13(a)に示すように、用役は樹脂ビーズRとともに基体部3から難充填部である端縁部4a、係合部4bに導入され、線状の開口部2a入口に樹脂ビーズRを残溜させて端縁部4a、係合部4bを充填し、用役だけが線状の開口部2aに入り、蒸気室6側に排出される。
このような金型1を用いて作成した成形体(蓋体Y)の一部を図14(a)(b)に示す。図14(a)は作成された成形体の角部を示す概略図であるが、図14(b)に示されるように、線状の開口部2aに由来する凸条部8が成形体表面に形成される。
図15はコア型の難充填部(端縁部、係合部)の全体に線状の開口部2aが設けられた例で、得られた成形体(蓋体Y)には難充填部のコア型に接する面全体に凸条部8が形成されている。
図16はキャビティ型の難充填部(端縁部、係合部)の全体に線状の開口部2aが設けられた例で、得られた成形体(蓋体Y)には難充填部のキャビティ型に接する面全体に凸条部8が形成されている。
図17はコア型及びキャビティ型の難充填部(端縁部、係合部)の全体に線状の開口部2aが設けられた例で、得られた成形体(蓋体Y)には難充填部のコア型及びキャビティ型に接する面全体に凸条部8が形成されている。
このような金型の例を図18(a)〜(d)に示す。本例では、図13に示したものと同様の切欠きの蒸気室6側に導通穴2cを穿設したものであり、図13に示した金型よりも通気性(排出性)が向上している。
連結部2dを形成する方法は特に限定されず、例えば、板状の金型材料に連結部2dを形成するにはエンドミル等適切な切削工具を用いて刻設する方法が挙げられる。
例えば、図20(a)は菱形状、図20(b)は五角形状、図20(c)は六角形状、図20(d)は円形状に形成され、いずれの場合も、用役の導入・排出を妨げる部分(デッド・エリア)が実質的に除去された形状からなるため、用役の導入・排出が効率的に行われる。
更に、図21(c)は、連結部2dが線状の開口部2aの内部から蒸気室6側に突出して設けた例である。この場合は、蒸気室6側の表面積が増加し、加熱や冷却効率が高められる。また、肉ぬすみにより連結部2dを蒸気室6側に突出するように設けた場合は、上記加熱や冷却効率の効果に加え、金型の軽量化を図ることもできる。
尚、上記形状、配置の異なる連結部2dは、必要に応じ、組み合わせて用いられる。
また、本発明の金型を用いて成形するに際し、必要に応じて、クラッキングを行うことも可能である。その場合でも、クラッキング幅は狭くてよいので、樹脂ビーズを過剰に充填させるロスや、充填の不均一、発泡樹脂成形体強度の不均一、寸法精度の不均一といった問題は改善される。
本発明の金型により板状の発泡樹脂成形体を成形する場合、本発明の金型は圧縮空気の排出性に優れ樹脂ビーズの充填性に優れているため、ノンクラッキングでの成形が可能であり、また原料充填器の数を少なくすることができるので、コストダウンが図られる利点がある。特に、末端まで樹脂ビーズを充填し難いサイズの大きい板状の発泡樹脂成形体、好ましくは1辺又は直径が300mm以上、より好ましくは1辺又は直径が500mm以上の板状の発泡樹脂成形体に有用である。
尚、ノンクラッキングで成形する場合、コア型とキャビティ型とにより画成されるコ字状の板状部(周縁部)の少なくとも1辺、好ましくは2辺、更に好ましくは3辺が本発明の線状の開口部を設けた金型であることが望ましい。
即ち、図23に示すように、発泡樹脂成形体の周縁部は、線状の開口部2aを金型に設ける態様により、(a)、(b)、(c)に示すように、該線状の開口部2aに由来する凸条部8が周縁部表面に形成された発泡樹脂成形体とすることができる。
以上のように、本発明の金型により容器及び蓋体を成形した場合、それぞれの係合部に、線状の開口部に由来する凸条部が形成されるが、この凸条部は割れや欠けが生じやすい係合部を補強するとともに、蓋体と容器とを密着させるクッション材の役割を果たし、不用意に蓋体が容器から離脱することが防止される効果がある。また、従来の亀甲模様に代わり凸条部が形成された新たな意匠を有する容器及び蓋体を提供することができる。
3種類の金型と2種類の充填条件により、合計6種類の蓋体を作成した。
作成した蓋体の寸法は縦320mm、横580mm、全高35mmであり、成形品の容積は3800mlである。このような金型を(株)積水工機製作所製の成形機ACE30に6個設けて成形を行った。なお、原料の樹脂ビーズとしては発泡ポリスチレンビーズ(予備発泡倍率68倍)である。
実施例2は、難充填部において開口率が10%になるように調整されている他は、実施例1と同様に作成された金型を用いた。
比較例1は、難充填部及びそれ以外の箇所においてコアベントを通して排気するように形成された従来金型で、難充填部において開口率が5%、それ以外の箇所において開口率が3%に調整された金型を用いた。
ノンクラッキング充填とは、コア型とキャビティ型を隙間無く合わせた状態で原料の樹脂ビーズを投入する方法で、充填後はコア型とキャビティ型を動かさずにそのまま成形する。
3mmクラッキング充填とは、コア型とキャビティ型を垂直方向に3mm開いた状態で原料の樹脂ビーズを投入する方法である。この状態でコア型とキャビティ型の間には0.8mmの隙間が出来ており、ここから圧縮空気が排気される。この方法で樹脂ビーズを充填した場合、充填後に型締めをしてコア型とキャビティ型を隙間無く合わせ、この状態で成形する必要がある。
(発泡倍率)
×:成形が不可能
△:発泡倍率の差が5以下で2超過
○:発泡倍率の差が2以下で0.5超過
◎:発泡倍率の差が0.5以下
(融着度)
×:成形が不可能
△:やや不良
○:良好
◎:非常に良好
これに対し、実施例1、2の線状の開口部を用いた本発明の金型の場合は、ノンクラッキング充填、クラッキング充填のいずれにおいても、樹脂の均一性、融着性とも十分に満足すべき良好な発泡成形体が得られる。
その結果、従来は、樹脂ビーズが金型の難充填部内に充填される前にブローバックされることにより難充填部よりも基体部の原料充填口付近から充填されるため、難充填部には均一に充填されないのに対し、本発明の金型では、難充填部の先端部の方から優先的に充填され最後に原料充填口付近が充填されるため、金型の隅々にまで樹脂ビーズが均一に充填される。また、成形室内に乱流が生じないので樹脂ビーズが浮遊・乱舞することなく効率的に充填される。
かくして、基体部から難充填部の端縁部まで樹脂ビーズが均一に充填されるので、部分的な充填過多による材料のロスや、部分的な充填過少による発泡樹脂成形体の強度の不均一や強度不足等の従来技術の課題が一挙に解消される。
1A コア型
1B キャビティ型
2a 線状の開口部
2b 有底の溝
2c 導通穴
2d 連結部
2e 用役拡散通路
3 基体部
3a 原料充填口
4 側壁
4a 端縁部
4b 係合部
5 成形室
6 蒸気室
8 凸条部
C コアベント
R 樹脂ビーズ
X 容器
Y 蓋体
Claims (15)
- コア型とキャビティ型からなり、両型間に形成される成型室内に樹脂ビーズを充填しにくい難充填部(以下、難充填部と記す)を含む発泡樹脂成形体をビーズ法により成形するための発泡樹脂成形体用金型であり、
前記金型には樹脂ビーズを導入するための原料充填口が少なくとも一つ設けられ、
前記難充填部には線状の開口部が成形室側に刻設され、該線状の開口部の少なくとも一部が蒸気室側に連通していることを特徴とする発泡樹脂成形体用金型。 - 線状の開口部が難充填部に包設されることをことを特徴とする請求項1に記載の発泡樹脂成形体用金型。
- 成形室表面に現れる線状の開口部が、長さが10mm以上、幅0.5〜1.5mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡樹脂成形体用金型。
- 難充填部における開口率は、難充填部以外の部分の開口率の2倍以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型。
- 線状の開口部は、蒸気室側と連通したスリット状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型。
- 線状の開口部の両側壁が連結部により断続的に連結され、
連結部の成形室側及び/又は蒸気室側が収束する形状からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型。 - 線状の開口部の両側壁が連結部で部分的に連結され、
該線状の開口部の内部であって連結部の少なくとも成形室側には用役拡散通路が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型。 - 連結部は線状の開口部の内部に設けられ、用役拡散通路が該線状の開口部の成形室側と蒸気室側の両方に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の発泡樹脂成形体用金型。
- 連結部は、線状の開口部の内部から蒸気室側に突出して設けられていることを特徴とする請求項7に記載の発泡樹脂成形体用金型。
- 線状の開口部は成形室側に設けられた有底の溝型であり、蒸気室側には有底の導通穴が穿設され、前記線状の開口部と導通穴が連通していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型。
- 難充填部が立設部、狭小部、膨出部、又は周縁部であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型。
- 発泡樹脂成形体が板状体であり、難充填部が周縁部であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型。
- 発泡樹脂成形体が容器であり、難充填部が側壁の先端に立設された蓋体との係合部であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型。
- 発泡樹脂成形体が蓋体であり、難充填部が蓋体の周縁部に立設された容器との係合部であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の発泡樹脂成形体用金型。
- 立設部、狭小部、膨出部又は周縁部に凸条部が形成されていることを特徴とする発泡樹脂成形体。
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