JP3859330B2 - 高密度のスキン層を持つ成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,高密度のスキン層を持つ成形体の製造方法に関し,詳しくは,成形体の表面部の略全面に均一かつ高密度で硬いスキン層を備えた収縮の少ない上記の成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
各々水蒸気室を備えたキャビ型及びコア型からなる発泡成形用金型内に発泡樹脂粒子(以下,発泡粒子という)を充填し加熱融着させて製造される成形体は,独立気泡構造を備えかつ断熱性及び緩衝性に富み,しかも,軽いという特徴を有し,緩衝材,断熱材,断熱容器,機能部材などに使用されている。
しかしながら,成形体の表面には粒子間間隙が僅かに残っているため,容器などの用途において繰り返し使用した場合,粒子間間隙に汚れが入ると共に割れ易く,また,成型品表面部が柔らかいために傷が付き易いと言う問題がある。そのため,従来の製造方法においては,容器内部及び外部をコーティングする方法や樹脂シートと一体成形する方法を採用せざるを得ず,製造の工数増加や成形サイクルの延長に伴って得られる成形体のコストが高いと言う問題がある。
【0003】
これらの問題を解決するために,成形加工時,成形体の表面部に溶融によりスキン層を形成する方法が,例えば,特開昭48−28060号公報,特開昭52−47866号公報等で提案されている。これらの成形方法においては,各々水蒸気室を備えたキャビ型及びコア型からなり,各水蒸気室のキャビティに面する壁面には多数の蒸気孔が形成された発泡成形用金型を使用し,金型内に発泡粒子を充填し,発泡粒子の溶融点未満の水蒸気を水蒸気室に導入して加熱融着させた後,更に,発泡粒子の溶融温度以上の水蒸気を水蒸気室に導入し,成形体表面を溶融硬化させて成形体の表面部にスキン層を形成している。
【0004】
しかしながら,この方法の場合,蒸気孔付近は過剰に溶融され,その結果,蒸気孔付近とそれ以外の箇所のスキン層の厚さなどが異なり,全体として不均一なスキン層が形成される。また,発泡粒子の融着が先に行われるため,各々の個々の発泡粒子が結合して更なる自由発泡が阻害され,空間を充分に埋めることが出来ない。また,成形体は,スキン層の厚さが増加するに伴い,部分的に空隙が発生するという問題があり,空隙の少ない均一なスキン層を持った成形体は得られていなかった。
【0005】
特開平5−124126号公報には,発泡粒子の融点以上に加熱した金型の成形表面に原料粒子を接触溶融させ,その部分に溶融樹脂層を形成した後,この溶融樹脂層を硬化させて連続した表面硬化層を型内発泡成形課程で形成した発泡樹脂成形体が提案されている。
しかしながら,上記の公報に記載の方法は,過大なクラッキング充填によりスキン層を形成する方法であり,従って,複雑な形状の成形体には対応出来ず,箱形状の立ち上がり部などでは充填率が低くなって成形体が収縮するという問題がある。
【0006】
一般に金型に圧縮充填された発泡粒子は,大気圧以上の面圧力(反発力)を有しているが,スキン層の形成に伴って発泡粒子の体積が減少し,面圧力はスキン層の形成に伴って低下する。面圧力が特定値未満にあるときは,水蒸気で加熱融着すると,発泡粒子が過大に発泡し充填前の密度以下となり,発泡力が減少して融着不良や成形体の収縮が発生し,良好な成形体が得られない。一方,面圧力が特定値を越えるときは,発泡粒子を溶融加熱するために導入した水蒸気が発泡粒子の内部まで浸透せず,加熱不足による融着不良となって良好な成形体が得られない。
【0007】
【解決しようとする課題】
本発明は,上記事情に鑑みなされたものであり,複雑な形状であっても成形体の表面部の略全面に均一かつ高密度で硬いスキン層を備え,収縮の少ない外観良好な成形体を得ることが出来る,高密度のスキン層を持つ成形体の製造方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題の解決手段】
即ち,本発明の要旨は,キャビティ内に連通していない蒸気室をそれぞれ備えたキャビ型及びコア型からなる発泡成形用金型の上記キャビティ内に発泡樹脂粒子を充填し加熱融着させる成形体の製造方法に於いて,
上記キャビティ内に発泡樹脂粒子を圧縮充填し,上記の両方の蒸気室ともに水蒸気を導入して発泡樹脂粒子の融点以上に金型を加熱すると共に当該金型と接触している発泡樹脂粒子を溶融させて成形体表面にスキン層を形成し,金型に充填した発泡樹脂粒子の面圧力が0.01〜1.5kg/cm2Gの範囲にあるとき,上記キャビティ内に残存する発泡樹脂粒子間の空気を排出させ,発泡樹脂粒子間に当該発泡樹脂の融点未満の水蒸気を導入して発泡樹脂同士を加熱融着させることを特徴とする高密度のスキン層を持つ成形体の製造方法に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下,本発明を添付図に基づいて詳細に説明する。図1は,本発明の方法に使用する発泡成形用金型(以下,単に金型と略称する)の一例の概略を示す断面図である。本発明においては,各々水蒸気室を備えたキャビ型及びコア型からなる金型を使用する。
【0010】
図1に示す金型は,凹状断面のキャビ型(1)と,凸状断面のコア型(2)からなり,ボックス状断面のキャビティ(3)を有する。そして,キャビ型(1)とコア型(2)は発泡粒子は通過出来ないが気体は通過出来る隙間(20)を持った状態で嵌合している。また,キャビティ(3)には,発泡粒子の圧縮充填タンク(4)から延びる充填ノズル(5)の先端がキャビ型(1)を貫通して連通している。
【0011】
キャビ型(1)は内部に第一蒸気室(1a)と第二蒸気室(1b)とを有している。第二蒸気室(1b)はキャビティ(3)側に位置し,第一蒸気室(1a)は第二蒸気室(1b)の外側に位置する。各蒸気室は相互に連通することなく完全に独立した構造を備えている。そして,第一蒸気室(1a)には,それぞれの開閉弁を有する水蒸気管路(8),冷却水管路(6),真空管路(7)及びドレン管路(19)が連通している。
【0012】
また,第一蒸気室(1a)は,隙間(20)を介してキャビティ(3)に連通する小室(22)と蒸気孔(1c)にて連通している。第二蒸気室(1b)には,それぞれの開閉弁を有する水蒸気管路(10),冷却水管路(9)及びドレン管路(18)が連通している。
【0013】
一方,コア型(2)は内部に第一蒸気室(2a)と第二蒸気室(2b)とを有している。第二蒸気室(2b)はキャビティ(3)側に位置し,第一蒸気室(2a)は第二蒸気室(2b)の外側に位置する。各蒸気室は相互に連通することなく完全に独立した構造を備えている。そして,第一蒸気室(2a)には,それぞれの開閉弁を有する水蒸気管路(13),冷却水管路(11),真空管路(12)及びドレン管路(17)が連通している。また,第一蒸気室(2a)は,隙間(20)を介してキャビティ(3)に連通する小室(21)と蒸気孔(2c)にて連通している。第二蒸気室(2b)には,それぞれの開閉弁を有する水蒸気管路(15),冷却水管路(14)及びドレン管路(16)が連通している。
【0014】
本例においては,先ず,水蒸気管路(10),(15)の弁及びドレン管路(16),(18)の弁を開放し,キャビ型(1),コア型(2)のそれぞれの第二蒸気室(1b),(2b)に高温の蒸気を導入して金型を予熱しながら密閉する。次いで,圧縮充填タンク(4)内に収容された発泡粒子を充填ノズル(5)によりキャビティ(3)に圧縮充填する。この際,充填ノズル(5)より発泡粒子と共にキャビティ(3)に流れこむ圧縮空気は隙間(20)より小室(21)及び(22)と蒸気孔(1c)及び(2c)を経て,両金型の第一蒸気室(1a)及び(2a)を通過し,開放状態にあるドレン弁(19)及び(17)より排出する。なお,発泡粒子の圧縮量は圧縮率から求める。
【0015】
次いで,両金型の第二蒸気室(1b)及び(2b)の金型温度が一定温度以上に到達したとき,ドレン管路(16),(18)の弁を閉じ,更に両金型の第二蒸気室(1b)及び(2b)の金型をキャビティ(3)内の発泡粒子の融点以上まで加熱する。
【0016】
そして,キャビティ(3)内に充填された発泡粒子の面圧力がスキン層形成に伴って一定の値から低下して特定値に到達したとき,両金型の真空管路(7)及び(12)弁を開放し,ドレン管路(17),(19)弁を閉じ,蒸気室(1a),(2a)及びキャビティ(3)内を真空排気した後,真空管路(7)及び(12)弁を閉じ,キャビティ(3)内の発泡粒子の融着に必要な温度の水蒸気を水蒸気管路(8)及び/又は(13)より導入して加熱する。水蒸気は,水蒸気管路(8)及び/又は(13)より第一蒸気室(1a)及び/又は(2a)を通り,蒸気孔(1c)及び/又は(2c)を介して小室(21)及び/又は(22)を通過し,隙間(20)よりキャビティ(3)に流入し,発泡粒子を加熱する。
【0017】
次いで,水蒸気管路(8),(10),(13)及び(15)の弁を閉じ,ドレン管路(16),(17),(18)及び(19)の弁を開放し,冷却水管路(9)及び(14)の弁も開放する。両金型の第二蒸気室(1b)及び(2b)に冷却水を導入して金型を冷却した後,成形体を取り出す。
【0018】
図2に示す金型は,本例に使用する発泡成形用金型の別例の概略を示す断面図である。
図2に示す金型はキャビ型(1)の内部に蒸気室(1b)のみを有している。更に蒸気室(1b)を貫通し,キャビティ(3)内に水蒸気を導入するためのノズル(23)を有している。
【0019】
図2の金型を用いる場合,蒸気室(1b)及び(2b)を加熱した状態で,発泡粒子をキャビティ(3)に圧縮充填し,更に蒸気室(1b)及び(2b)をキャビティ(3)内の発泡粒子の融点以上に加熱しながら,キャビティ(3)内に充填された発泡粒子の所定面圧力に到達した後,真空管路(12)より第一蒸気室(2a)及びキャビティ(3)内を真空排気するまでの工程は前述した図1の金型を用いる成形に準じて行う。続いて,キャビティ(3)内の発泡粒子を融着するのに必要な温度の水蒸気を真空管路(12)を閉じた後に,水蒸気管路(8)よりノズル(23)を介してキャビティ(3)内に導入し,発泡粒子を加熱する。
【0020】
次いで,水蒸気管路(8)の弁を閉じ,ドレン管路(16),(17)及び(18)の弁を開放し,冷却水管路(9)及び(11)の弁も開放する。蒸気室(1b)及び第二蒸気室(2b)に冷却水を導入して金型を冷却した後,成形体を取り出す。
【0021】
次に,本発明において用いる発泡粒子としては,ポリスチレン系発泡粒子,ポリエチレン系発泡粒子,ポリプロピレン系発泡粒子などが挙げられる。ポリスチレン系発泡粒子としては,基材樹脂としてスチレン単量体が50重量%以上含まれる組成で重合されたり,混合されたものであり,例えば,スチレン単独重合体,スチレン−アクリロニトリル共重合体,スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体やこれらのゴム等での変性物である。
【0022】
ポリエチレン系発泡粒子としては,基材樹脂としてエチレン単量体が50重量%以上含まれる組成で重合されたり,混合されたものであり,例えば,高圧法低密度ポリエチレン,中・高密度ポリエチレン,直鎖法低密度ポリエチレン,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−アクリル酸エステル共重合体やこれらの変性物である。ポリプロピレン系発泡粒子としては,基材樹脂としてプロピレン単量体が50重量%以上含まれる組成で重合されたり,混合されたものであり,例えば,プロピレン単独重合体,エチレン−プロピレン共重合体,ブテン−プロピレン共重合体やこれらの変性物である。
【0023】
これらの発泡粒子は,圧縮空気により圧縮充填タンク(4)内で圧縮された後,金型のキャビティ(3)内に均一に圧縮充填される。
金型のキャビティ(3)内に充填された発泡粒子は,加熱されてスキン層を形成するため,金型のキャビティ(3)に接触した一部の発泡粒子が熱収縮し,体積が1/30〜1/50に減少する。その熱収縮により形成された空間を埋めるため,キャビティ(3)内に充填された発泡粒子は膨張する。しかし,充填率が低くしかも反発力が小さい場合は,空間を充分に埋めることが出来ない。その結果,得られた成形体は,収縮して良好な外観を確保出来ない。
【0024】
本発明における発泡粒子加熱の特徴は,スキン層を加熱するための加熱条件として,キャビティ(3)内に充填された発泡粒子の面圧力(反発力)を制御する点にある。即ち,キャビティ(3)内に充填された発泡粒子は,大気圧以上の面圧力を有しているが,スキン層の形成に伴って発泡粒子の体積が減少するため,大気圧以上であった面圧力は,スキン層の形成に伴って低下する。この面圧力を適度な範囲で制御することにより,良好なスキン層を備えた成形体が得られる。
【0025】
本発明において,上記の面圧力は,0.01〜1.5kg/cm2 Gの範囲とされる。面圧力が0.01kg/cm2 G未満の場合は,水蒸気で発泡粒子を加熱融着した際,発泡粒子が過大に発泡するため,融着不良,成形体の収縮,スキン層部とスキン層部位外の剥離現象等が起こり,良好な成形体が得られない。
一方,面圧力が1.5kg/cm2 Gを越える場合,発泡粒子を融着するために導入した水蒸気が発泡粒子の内部にまで浸透しないため,加熱不足による発泡粒子の融着不良が起こり,良好な成形体が得られない。
【0026】
また,本発明の好ましい態様において,発泡粒子の充填の際,目標とする成形体の強度や品質を確保するため,スキン層の厚さ,スキン層の密度,スキン層以外の成形体の密度などを事前に設定しておき,下記の(I)の数式により求めた発泡粒子の圧縮率Cを使用する。因みに,ポリスチレン系発泡粒子のソリッド状態の密度は950〜1000kg/m3 ,ポリプロピレン発泡粒子のソリッド状態の密度は850〜900kg/m3 である。
【0027】
C=(1−ρ1 /((ρ2 ×2t2 +ρ3 ×t3)/t1 ))×100 (I)
C;圧縮率 (%)
ρ1 ;充填前の発泡樹脂粒子密度 (kg/m3 )
ρ2 ;スキン層部の密度 (kg/m3 )
ρ3 ;スキン層部以外の密度 (kg/m3 )
t1 ;成形体肉厚 (mm)
t2 ;スキン層部の厚さ (mm)
t3 ;スキン層部以外の厚さ (mm)
【0028】
本発明において,発泡粒子の圧縮率は3〜70%とするのが好ましい。圧縮率が3%未満では,発泡粒子の充填量が不足し,スキン層が出来にくく,成形体が収縮する。また,圧縮率が70%を越えるとスキン層を厚くすることが可能となるが加熱溶融時間が長くなり,更に,圧縮充填時の圧縮空気の使用量が増加して製造コストが高くなる。
【0029】
本発明においては,スキン層形成後に内部粒子の融着がより良好な成形体を得るため,金型内に残存する発泡粒子間の空気を排出させた後,通常,融点未満,好ましくは融点未満から融点−20℃以上の温度までの水蒸気を発泡粒子間に直接導入し,発泡粒子を加熱融着させる。水蒸気は,成形金型を加熱する熱媒としても作用する。即ち,水蒸気加熱によれば,その大きな熱量を利用し,短時間で均一な温度を効率よく得ることが出来る。
【0030】
実施例
以下,本発明を実施例により更に詳細に説明するが,本発明はその要旨を越えない限り,以下の実施例に限定されるものではない。なお,実施例においては,上記した図1に示す装置を使用し,縦200mm,横400mm,高さ250mm及び肉厚30mmの箱状成形体の金型を使用した。なお,以下の各例において,成形体製造における圧縮率,成形体の融着度および収縮は,次の様にして求めた。
【0031】
<圧縮率>
圧縮率は,(1−発泡粒子密度/成形体密度)×100%で求めた。
<融着度>
融着度は,成形体を破断して発泡粒子の界面以外で割れた面積の破断全体の面積に対する割合で評価した。
<収縮>
収縮は,成形体の寸法が金型に対し5/100以上減少した場合を「有」,5/100未満減少した場合を「無」とした。
<外観>
外観は,成形体のスキン層部が平滑で,スキン層部以外との剥離が無い場合を「良」,スキン層部が平滑でない場合か,スキン層部以外との剥離がある場合を「不良」とした。
【0032】
実施例1
表1に示すごとく,スキン層部の厚さが0.3mm,スキン層密度が850kg/m3 ,スキン層以外の密度が50kg/m3 ,成形体の全体の肉厚が30mmの成形体を製造するため,前記(I)の数式より圧縮率約50%を算出した。密度33kg/m3 のポリプロピレン発泡粒子を,図1に示した圧縮充填タンク(4)に充填し,次いで,水蒸気管路(10),(15)の弁及びドレン管路(16),(18)の弁を開放し,両金型の第二蒸気室(1b),(2b)に175℃の水蒸気を導入して金型を予熱しながら密閉した。
【0033】
キャビティ(3)に圧縮充填タンク(4)から充填ノズル(5)により発泡粒子を圧縮充填した。両金型の第二蒸気室(1b),(2b)の金型温度が100℃以上に到達したとき,ドレン管路(16),(18)の弁を閉じ,両金型の第二蒸気室(1b),(2b)を加熱した。両金型の第二蒸気室(1b),(2b)の金型温度は,170℃まで急速に昇温し安定した。
【0034】
このとき,キャビティ(3)内に充填された発泡粒子の面圧力は,1.6kg/cm2 Gを示した。面圧力は,図3に示すように低下した。面圧力が0.5kg/cm2 Gに到達したとき,真空管路(7),(12)弁を開放し,ドレン管路((17),(19)弁を閉じ,両金型の第一蒸気室(1a),(2a)及びキャビティ(3)内を真空排気した後,真空管路(7),(12)弁を閉じ,発泡粒子の融点未満の水蒸気を水蒸気管路(8),(13)より導入して加熱した。発泡粒子は,水蒸気管路(8)及び(13)より第一蒸気室(1a)及び(2a)を通り,蒸気孔(1c)及び(2c)を経て,小室(21)及び(22)を通過し,隙間(20)を介してキャビティ(3)に流入した水蒸気により加熱された。水蒸気温度は150℃であり,保持時間は15秒であった。
【0035】
次いで,水蒸気管路(8),(13)の弁を閉め,ドレン管路(16),(17),(18)及び(19)の弁も開放した。両金型の第二蒸気室(1b),(2b)に冷却水を導入し,金型を40℃まで冷却した後,成形体を金型から取り出した。取り出した成形体は,その略全面に均一かつ高密度で硬いスキン層を有していた。また,そのスキン層の密度,厚み及び成形体の融着,収縮,外観等は箱状成形体の底部とそれ以外の側面立ち上がり部に関し実質的に同一の性状であった。結果を表1に示す。
【0036】
実施例2
表1に示す条件を採用し,キャビティ(3)内に48kg/m3 のポリプロピレン発泡粒子を圧縮充填し,面圧力が0.4kg/cm2 Gになったとき,真空排気した以外は,実施例1と同一条件で成形を行った。結果を表1に示す。
【0037】
比較例1
発泡粒子の面圧力が0kg/cm2 Gのとき,真空排気した以外は,実施例1と同一条件で成形を行った。結果を表1に示す。
【0038】
比較例2
発泡粒子の面圧力が1.6kg/cm2 Gのとき,真空排気した以外は,実施例1と同一条件で成形を行った。結果を表1に示す。
【0039】
比較例3
金型を30mm開けたクラッキング充填に変更し,箱状の成形体の底部に相当する部分の圧縮率が50%,側面立ち上がり部の平均圧縮率が10.7%となる条件を採用した。その他は,実施例1と同一条件で成形を行った。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
以上説明した本発明の製造方法によれば,成形体の略全面に均一かつ高密度で硬いスキン層を備えた収縮の少ない良好な成形体が得られ,樹脂シートとの同時成形が不要で安価に成形体を製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における成形体を製造する金型の一例を示す断面説明図。
【図2】本発明における成形体を製造する金型の他の一例を示す断面説明図。
【符号の説明】
1...キャビ型,
2...コア型,
1a,2a...第一蒸気室,
1b,2b...第二蒸気室,
1c,2c...蒸気孔,
3...キャビティ,
4...圧縮充填タンク,
5...充填ノズル,
6, 9, 11, 14 ...冷却水管路,
7,12...真空管路,
8,10,13,15...水蒸気管路,
16, 17, 18, 19...ドレン管路,
20...隙間,
21,22...小室,
23...水蒸気ノズル,
Claims (4)
- キャビティ内に連通していない蒸気室をそれぞれ備えたキャビ型及びコア型からなる発泡成形用金型の上記キャビティ内に発泡樹脂粒子を充填し加熱融着させる成形体の製造方法であって,
上記キャビティ内に発泡樹脂粒子を圧縮充填し,上記の両方の蒸気室ともに水蒸気を導入して発泡樹脂粒子の融点以上に金型を加熱すると共に当該金型と接触している発泡樹脂粒子を溶融させて成形体表面にスキン層を形成し,金型に充填した発泡樹脂粒子の面圧力が0.01〜1.5kg/cm2Gの範囲にあるとき,上記キャビティ内に残存する発泡樹脂粒子間の空気を排出させ,発泡樹脂粒子間に当該発泡樹脂の融点未満の水蒸気を導入して発泡樹脂同士を加熱融着させることを特徴とする高密度のスキン層を持つ成形体の製造方法。 - 請求項1に記載の成形体の製造方法において,下記(I)式の数字で示される圧縮率Cが3〜70%の範囲になる様に発泡粒子の充填を行うことを特徴とする高密度のスキン層を持つ成形体の製造方法。
C=(1−ρ1/((ρ2×2t2+ρ3×t3)/t1))×100 (I)
C;圧縮率 (%)
ρ1;充填前の発泡樹脂粒子密度 (kg/m3)
ρ2;スキン層部の密度 (kg/m3)
ρ3;スキン層部以外の密度 (kg/m3)
t1;成形体肉厚 (mm)
t2;スキン層部の厚さ (mm)
t3;スキン層部以外の厚さ (mm) - 請求項1又は2に記載の成形体の製造方法において,発泡樹脂粒子がポリスチレン系樹脂粒子,ポリエチレン系樹脂粒子及びポリプロピレン系樹脂粒子の群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする高密度のスキン層を持つ成形体の製造方法。
- 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の成形体の製造方法において,上記発泡樹脂粒子間に導入される当該発泡樹脂の融点未満の水蒸気を,上記キャビ型と上記コア型との隙間又は上記蒸気室を貫通するノズルより上記キャビティ内に導入することを特徴とする成形体の製造方法。
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