JP2004230590A - 発泡樹脂成形型および成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蒸気スリットが設けられた第1の成形型1と第2の成形型2とを備え、これら第1と第2の成形型を合わせて形成されるキャビティ7に発泡性樹脂粒子を充填し、前記蒸気スリットを介して該発泡性樹脂粒子に蒸気を接触させ、発泡樹脂成形品を作製する発泡樹脂成形型において、前記第1の成形型と第2の成形型のキャビティ面の一部又は全部に、多数の細溝状の蒸気スリット30,31を設けたことを特徴とする発泡樹脂成形型。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の成形型内で発泡性樹脂粒子を蒸気と接触させて発泡樹脂成形品を製造するための発泡樹脂成形型と、その成形型を用いて製造された成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一対の成形型内で発泡性樹脂粒子を蒸気と接触させて発泡樹脂成形品を製造するための発泡樹脂成形型において、成形型に設けられた蒸気スリットとして、成形型に縦横に間隔をおいて多数設けられた蒸気穴(蒸気孔、スリットなどとも称される)を用い、これらの蒸気穴を通してキャビティ内に蒸気を送り込み、発泡性樹脂粒子を蒸気加熱している。この蒸気穴には、キャビティ内に充填する発泡性樹脂粒子が漏れ出すのを防止するために、スリットや多数の小穴を穿設した通気部材を装着している。
このような蒸気穴を有する成形型を用いて製造した発泡樹脂成形品は、その表面に前記蒸気穴の通気部材に対応した形状の凹凸(蒸気穴痕)が形成される。この蒸気穴痕は、発泡樹脂成形品の機械的特性等に影響を及ぼすものではない。これまで、容器や梱包材などの発泡樹脂成形品の表面にこのような蒸気穴痕が存在していても、使用者が蒸気穴痕に注目することはほとんど無かった。
しかし、近年、発泡樹脂成形品は、容器、梱包材などの他、自動車用内装材の一部などの各種工業製品の意匠面にも使用されるなど、その用途が広がっており、内装材などの人の目につく用途に使用する場合、その表面に蒸気穴痕が存在すると、使用者に高級感をアピールし難い問題がある。
【0003】
発泡樹脂成形品の表面の意匠的価値を向上させるための技術として、従来、金型の表面(キャビティ面)に金網又はパンチングメタル等の凹凸形状を転写し、表面の凹凸模様の凸部に蒸気孔を設けることにより、この金型を用いて得られた成形体表面の、予備発泡粒子の亀甲模様および蒸気孔の跡を目立たなくする金型が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、多孔金属板からなる表面層の裏面に複数個の座板を焼結により固着し、これら座板に取付具を設けてなる型内発泡成形用金型表面材が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
登録実用新案第3045015号公報
【特許文献2】
特開平10−15976号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献1に記載された技術では、発泡樹脂成形品の表面に必然的に凹凸形状が形成されてしまい、平坦な表面を有する発泡樹脂成形品には適用し難い問題がある。またこの技術では、蒸気孔を凸部に設けることで、得られる発泡樹脂成形品の表面の凹部に蒸気穴痕が形成されて目立たなくはなるが、得られる発泡樹脂成形品を正面から見た場合、やはり蒸気穴痕が見えることから、発泡樹脂成形品の外観価値の向上効果が十分に得られない問題がある。
また前記特許文献2に記載された技術は、多孔性金属板を取り付けることで、その孔内に予備発泡粒子が入り込んで融着し易く、目詰まりを起こしやすいためにメンテナンスに手間がかかる問題がある。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、蒸気穴痕による外観価値の低下を回避し、高級感のある表面を有する発泡樹脂成形品を成形するための成形型及びそれを用いて成形された発泡樹脂成形品の提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明は、蒸気スリットが設けられた第1の成形型と第2の成形型とを備え、これら第1と第2の成形型を合わせて形成されるキャビティに発泡性樹脂粒子を充填し、前記蒸気スリットを介して該発泡性樹脂粒子に蒸気を接触させ、発泡樹脂成形品を作製する発泡樹脂成形型において、前記第1の成形型と第2の成形型のキャビティ面(キャビティと接する面)の一部又は全部に、多数の細溝状の蒸気スリットを設けたことを特徴とする発泡樹脂成形型を提供する。
本発明の発泡樹脂成形型において、前記細溝状の蒸気スリットが、前記キャビティ面の裏面側からキャビティ面近傍まで設けられた蒸気穴に連通して該キャビティ面に設けられた構成とするのが好ましい。
また前記細溝状の蒸気スリットの幅は0.2〜0.4mmの範囲内であることが好ましい。
さらに前記細溝状の蒸気スリットは、縦横に20〜50mmのピッチで格子状に設けた構成とするのが好ましい。
【0008】
また本発明は、前記第1の成形型と第2の成形型のキャビティ面の一部又は全部に、多数の細溝状の蒸気スリットを設けた前記の発泡樹脂成形型を用い、第1の成形型と第2の成形型を合わせて形成されるキャビティに発泡性樹脂粒子を充填し、前記細溝状の蒸気スリットを介して該発泡性樹脂粒子に蒸気を接触させることによって得られた発泡樹脂成形品を提供する。
本発明の発泡樹脂成形品において、前記蒸気スリット痕の幅は0.2〜0.4mmであることが好ましい。
また前記蒸気スリット痕は、縦横に20〜50mmのピッチで格子状に設けた構成とするのが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明に係る発泡樹脂成形型を備えた成形装置の一例を示すものである。この成形装置Aは、一対の雌成形型1(第1の成形型)と雄成形型2(第2の成形型)からなり、雌成形型1は固定台3に固定されている一方、雄成形型2は移動台4に固定され、雄成形型2は移動台4を移動させることによって雌成形型1に対して接近・離間する方向に移動可能に配置されている。なお、雌雄成形型1,2は、熱伝導率が良好な銅、アルミニウム、銅及びアルミニウムの合金、銅、アルミニウム、マグネシウム及びマンガンの合金(ジュラルミン)から形成されるのが好ましい。
【0010】
雌成形型1には凹部5が形成されている一方、雄成形型2には凸部6が形成されており、雌雄成形型1,2は、これら凹部5と凸部6とを互いに対向させた状態に配設されており、雌成形型1の凹部5内に雄成形型2の凸部6を挿入した状態に雌雄成形型1,2を型閉めすると、雌成形型1の凹部5と雄成形型2の凸部6との対向面間にキャビティ7が形成されるように構成されている。なお、雌雄成形型1,2のいずれかの部位には、キャビティ7内に発泡性樹脂粒子を供給するための発泡性樹脂粒子供給管(図示せず)が一体的に設けられていると共にこの発泡性樹脂粒子供給管にはフィラー弁(図示せず)が介装され、更に、発泡樹脂成形品を雌成形型1から離型させるための押出ピン(図示せず)が一体的に設けられている。
【0011】
雌雄成形型1,2内は全面的に中空構造とされ、この中空部はチャンバー20,21とされている。また雌雄成形型1,2の成形壁部8,9には、雌雄成形型1,2を型閉めして形成されるキャビティ7内とチャンバー20,21内とを連通させる多数の蒸気穴22,23と細溝状の蒸気スリット30,31とが設けられている。
【0012】
図2は、雌雄成形型1,2のキャビティ面側に形成した細溝状の蒸気スリット30の一例を示す図であり、図2(a)はキャビティ面の平面図、(b)は図2(a)中のb−b部断面図である。本例示において細溝状の蒸気スリット30は、キャビティ面の縦横に所定間隔をおいて多数本設けられて格子状となるように形成されている。該蒸気スリット30は、キャビティ面の裏面側からキャビティ面近傍まで設けられた蒸気穴22に連通するようにキャビティ面側に形成されている。
【0013】
チャンバー内に供給された蒸気は、蒸気穴22を通って蒸気スリット30に達し、格子状に形成された蒸気スリット30からキャビティ7内に放出されるようになっている。
この細溝状の蒸気スリット30の幅は0.2〜0.4mm、好ましくは0.2〜0.3mmの範囲内であることが好ましい。蒸気スリット30の幅が前記範囲より小さいと、スリット長さ当たりの蒸気放出量が少なくなり、成形に必要な量の蒸気をキャビティ7内の発泡性樹脂粒子に供給するために、より多数の蒸気スリットを形成しなければならず、成形型の生産コスト上昇を招いてしまう。一方、蒸気スリット30の幅が前記範囲より大きいと、製造される発泡樹脂成形品の表面に形成される蒸気スリット痕34の突条の幅が大きくなって蒸気スリット痕34が目立ってしまい、外観価値が低下するとともに、蒸気スリット30に発泡性樹脂粒子が入り込んで目詰まりを起こす可能性がある。この蒸気スリット痕34の突出高さは、前記スリットの幅、使用する発泡性樹脂粒子の粒径や材質等によって変化するが、通常はスリットの幅が大きくなれば高くなり、スリットの幅が小さければ低く、目立たなくなる。
【0014】
本例示において、細溝状の蒸気スリット30は格子状に形成しており、その縦横の形成ピッチは20〜50mm、好ましくは縦と横で異なるピッチとし、狭い方のピッチを20〜40mm程度、広い方のピッチを30〜50mm程度としてもよい。さらに好ましい縦横の形成ピッチは30〜35mm程度である。蒸気スリット30の形成ピッチが前記範囲より小さいと、多数の蒸気スリットを形成しなければならず、成形型の生産コスト上昇を招いてしまう。一方、このピッチが前記範囲より大きいと、蒸気放出量が不足して成形不良を生じるおそれがある。なお、本例示では蒸気スリット30を格子状に配置しているが、蒸気スリット30の配置形状はこれに限定されることなく、例えば放射状、同心円状、千鳥状、スパイラル状、それらを組み合わせた形状などの各種の配置形状とすることができ、一部に文字、数字、マーク等を入れることもできる。
【0015】
雌雄成形型1,2の凹部5と凸部6に、蒸気穴22,23と蒸気スリット30、31とを形成する方法は、特に限定されることなく、従来公知の切削加工、エッチング処理、放電加工等を用いて形成できる。例えば、通常のパンチング加工によって貫通孔(蒸気穴22,23)を穿設した凹部5と凸部6のキャビティ面に、適当な厚さの金属板33を接合し、この金属板33に切削加工またはエッチング処理を用いて、蒸気穴22,23に連通する細溝状の蒸気スリット30,31を形成する方法を用いてもよい。
【0016】
前記チャンバー20,21には、これらのチャンバー20,21内に蒸気を供給するための蒸気供給管24,25の一端部が連結、連通されている一方、蒸気供給管24,25を通じてチャンバー20,21内に供給した蒸気をチャンバー20,21外に排出するための蒸気排出管26,27の一端部が連結、連通されている。これらの蒸気供給管24,25には蒸気供給弁24a,25aが介装されていると共に、蒸気排出管26,27には蒸気排出弁26a,27aが介装されている。
【0017】
また、チャンバー20,21には、これらのチャンバー20,21内の空気を真空吸引するための吸引管28,29の一端部が連結、連通されており、この吸引管28,29には吸引開閉弁28a,29aが介装されていると共に、この吸引開閉弁28a,29aの他端側には真空ポンプ(図示せず)が配設されている。
【0018】
次に、蒸気成形装置Aを用いて、発泡樹脂成形品を成形する要領について説明する。まず、上述した通り構成された雌雄成形型1,2を型閉めし、雌雄成形型1,2の成形壁部8,9の対向面間にキャビティ7を形成する(型閉め工程)。
【0019】
続いて、雌成形型1のフィラー弁を開放して発泡性樹脂粒子供給管を通じてキャビティ7内に発泡性樹脂粒子を供給、充填する(充填工程)。
【0020】
発泡性樹脂粒子は、発泡剤を含有させた合成樹脂粒子を予備発泡させて得られるものであり、この合成樹脂粒子を構成する合成樹脂としては、従来から発泡樹脂成形品製造のために用いられている樹脂材料の中から適宜選択して用いることができ、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等を挙げることができ、強度と成形性の良さからポリスチレン系樹脂が好ましい。
【0021】
また、前記発泡剤としては、沸点が合成樹脂の軟化点以下であって、常圧でガス状もしくは液状の有機化合物が適しており、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン、ヘキサン、石油エーテル等の炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物、炭酸ガス、窒素等の無機ガス等が用いられる。これらの発泡剤は、一種のみを使用してもよく、また、二種以上を併用してもよい。
発泡剤の含有率としては、合成樹脂粒子重量に対して1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%である。発泡剤の含有量が前記範囲を下回ると、発泡成形品の発泡倍率が不十分で軽量発泡体が得られない。一方、発泡剤の含有量が前記範囲を超えても、発泡倍率の更なる上昇は実質的に見込めず、また発泡が不安定になり好ましくない。
【0022】
充填工程の後、蒸気供給弁24a,25a及び蒸気排出弁26a,27aを開放して蒸気供給管24,25を通じて雌雄成形型1,2のチャンバー20,21内に蒸気を供給、充満させると共に、この蒸気を雌雄成形型1,2の蒸気排出管26,27を通じてチャンバー20,21内に流通させ、チャンバー20,21内を所定時間加熱する(型加熱工程)。その後、雄成形型2の蒸気供給弁25aを閉止すると共に雌成形型1の蒸気排出弁26aを閉止して、雌成形型1の蒸気供給管24を通じて雌成形型1のチャンバー20内に蒸気を供給し、この蒸気を、雌成形型1の蒸気穴22および蒸気スリット30を通じてキャビティ7内に流入させて、発泡性樹脂粒子に接触、通過させ、発泡性樹脂粒子を加熱、発泡させた上で、雄成形型2の蒸気スリット31および蒸気穴23を通じて雄成形型2のチャンバー21内に流入させた後、雄成形型2の蒸気排出管27を通じて外部に排出させる(一方加熱工程)。続いて、雄成形型2の蒸気供給弁25a及び雌成形型1の蒸気排出弁26aを開放する一方、雌成形型1の蒸気供給弁24a及び雄成形型2の蒸気排出弁27aを閉止して、雄成形型2の蒸気供給管25を通じて雄成形型2のチャンバー21内に蒸気を供給し、この蒸気を、雄成形型2の蒸気穴23を通じてキャビティ7内に流入させて発泡性樹脂粒子に接触、通過させ、発泡性樹脂粒子を加熱、発泡させた上で、雌成形型1の蒸気穴22および蒸気スリット30を通じて雌成形型1のチャンバー20内に流入させた後、雌成形型1の蒸気排出管26を通じて外部に排出させる(逆一方加熱工程)。続いて、雌雄成形型1,2の蒸気供給弁24a,25aを共に開放状態とする一方、雌雄成形型1,2の蒸気排出弁26a,27aを共に閉止し、雌雄成形型1,2のチャンバー20,21内に蒸気供給管24,25を通じて蒸気を供給、充満させて、雌雄成形型1,2の成形壁部8,9を加熱してキャビティ7を加熱すると共に、チャンバー20,21内の蒸気を蒸気穴22,23および蒸気スリット30,31を通じてキャビティ7内の発泡性樹脂粒子を加熱、発泡させて発泡樹脂成形品Bを作製する(両面加熱工程)。
【0023】
次に、冷却工程に移り、雌雄成形型1,2の冷却媒体供給管(図示せず)を通じて冷却媒体をチャンバー20,21内に供給、流通させて、キャビティ7内の発泡樹脂成形品を冷却する。なお、冷却媒体としては、特に限定されず、冷却水、冷却エアー等が挙げられる。
【0024】
更に、この冷却媒体による冷却の後、真空ポンプを駆動させ、雌雄成形型1,2のチャンバー20,21内を吸引管28,29を通じて真空吸引して減圧状態とする。
【0025】
チャンバー20,21内とキャビティ7内とは蒸気穴22,23および蒸気スリット30,31を通じて連通した状態となっていることから、真空ポンプによる真空吸引によって、発泡樹脂成形品のあるキャビティ7内も減圧状態となる。
【0026】
一方、発泡性樹脂粒子の加熱、発泡に用いられた蒸気は、冷却による温度低下に伴って凝縮、液化し、この凝縮水はキャビティ7内にある発泡樹脂成形品の表面及び内部に存在している。
【0027】
しかるに、この発泡樹脂成形品の表面及び内部に存在する凝縮水は上述のようにして減圧状態となることによって円滑に気化し、この凝縮水の気化熱によって発泡樹脂成形品が冷却されると共に、この気化した水分は直ちに真空ポンプによって吸引されて吸引管28,29を通じて外部に排出、除去される。
【0028】
このように、キャビティ7内の発泡樹脂成形品を、チャンバー20,21内を真空吸引によって発泡樹脂成形品表面及び内部に存在する凝縮水を減圧気化させ、この凝縮水の気化熱により冷却しており、よって、発泡樹脂成形品は短時間のうちに効果的に冷却される。また、上述の如く、発泡樹脂成形品の表面に付着した凝縮水及び発泡樹脂成形品内部に入り込んだ凝縮水を減圧気化させて強制的に吸引除去しており、含水率の低い発泡樹脂成形品を得ることができる。
【0029】
続いて、雌雄成形型1,2に配設された真空ポンプを停止させると共に吸引開閉弁28a,29aを閉止し、更に、雌雄成形型1,2の蒸気排出弁26a,27aを開放させて、雌雄成形型1,2のチャンバー20,21内の減圧状態を開放してチャンバー20,21内を大気圧とした上で、移動台4を固定台3に対して離間方向に移動させることによって雌雄成形型1,2を型開きし、雌成形型1に設けられた押出ピンを作動させてキャビティ7内の発泡樹脂成形品を離型させて取り出す(型開き工程)。
【0030】
そして、型閉め工程〜型開き工程を一連の成形工程とし、この成形工程を繰り返し行って発泡樹脂成形品を連続的に成形する。
【0031】
図3は、成形装置Aを用い、上述した通りの型閉め工程〜型開き工程までの一連の工程を経て製造された発泡樹脂成形品を例示するものであり、この発泡樹脂成形品Bの表面には、雌雄成形型1,2に設けられた蒸気スリット30,31に対応する位置の表面に格子状の蒸気スリット痕34が形成されている。この蒸気スリット痕34の幅は、蒸気スリット30,31の溝幅と等しくなっており、また格子模様の縦横のピッチも蒸気スリット30,31の縦横の形成ピッチと等しくなっている。
【0032】
この発泡樹脂成形体Bは、その表面に細い突条の蒸気スリット痕34が形成され、従来の発泡樹脂成形体における蒸気穴痕に比べてこの痕が目立たず、より高級な印象を与える意匠面を形成できる。
また、この発泡樹脂成形品Bは、キャビティ面に細溝状の蒸気スリット30,31を有する成形型を用いて成形されるので、雌雄成形型1,2を合わせて形成されるキャビティ7に発泡性樹脂粒子を充填し、蒸気スリット30,31を介して発泡性樹脂粒子に蒸気を接触させる際に、蒸気スリット30,31を通って蒸気が拡散し、キャビティ7内に満遍なく蒸気を行き渡らせることができ、その結果、発泡性樹脂粒子同士の融着状態のバラツキが無くなり、強度の高いものとなる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明に係る発泡樹脂成形型は、キャビティ面に細溝状の蒸気スリット30,31を有するものなので、表面に形成される蒸気スリット痕が目立たず、より高級な印象を与える意匠面を有する発泡樹脂成形品を成形できる。
また、雌雄成形型を合わせて形成されるキャビティに発泡性樹脂粒子を充填し、縦横に延びる細溝状の蒸気スリットを介して発泡性樹脂粒子に蒸気を接触させる際に、蒸気スリットを通って蒸気が拡散し、キャビティ内に満遍なく蒸気を行き渡らせることができるので、発泡性樹脂粒子同士の融着状態のバラツキが無くなり、強度の高い発泡樹脂成形品を製造することができる。
【0034】
また本発明に係る発泡樹脂成形品は、その表面に細い突条の蒸気スリット痕が形成され、従来の発泡樹脂成形品における蒸気穴痕に比べてこの痕が目立たず、より高級な印象を与える意匠面を形成できる。
また、この発泡樹脂成形品は、キャビティ面に細溝状の蒸気スリットを有する成形型を用いて成形されるので、雌雄成形型を合わせて形成されるキャビティに発泡性樹脂粒子を充填し、蒸気スリットを介して発泡性樹脂粒子に蒸気を接触させる際に、蒸気スリットを通って蒸気が拡散し、キャビティ内に満遍なく蒸気を行き渡らせることができ、その結果、発泡性樹脂粒子同士の融着状態のバラツキが無くなり、強度の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る発泡樹脂成形型を備えた成形装置の一例を示す該装置の概略断面図である。
【図2】同じ成形装置のキャビティ面を示し、(a)はキャビティ面の平面図、(b)はそのb−b部断面図である。
【図3】本発明に係る発泡樹脂成形品の一例を示す図であり、(a)は発泡樹脂成形品の斜視図、(b)はその表面の部分拡大図である。
【符号の説明】
1 雌成形型(第1の成形型)
2 雄成形型(第2の成形型)
7 キャビティ
22,23 蒸気穴
30,31 蒸気スリット
33 金属板
34 蒸気スリット痕
A 成形装置
B 発泡樹脂成形品
Claims (7)
- 蒸気スリットが設けられた第1の成形型と第2の成形型とを備え、これら第1と第2の成形型を合わせて形成されるキャビティに発泡性樹脂粒子を充填し、前記蒸気スリットを介して該発泡性樹脂粒子に蒸気を接触させ、発泡樹脂成形品を作製する発泡樹脂成形型において、
前記第1の成形型と第2の成形型のキャビティ面の一部又は全部に、多数の細溝状の蒸気スリットを設けたことを特徴とする発泡樹脂成形型。 - 前記細溝状の蒸気スリットが、前記キャビティ面の裏面側からキャビティ面近傍まで設けられた蒸気穴に連通して該キャビティ面に設けられた請求項1記載の発泡樹脂成形型。
- 前記細溝状の蒸気スリットの幅が0.2〜0.4mmの範囲内である請求項1又は2記載の発泡樹脂成形型。
- 前記細溝状の蒸気スリットが、縦横に20〜50mmのピッチで格子状に設けられた請求項1〜3のいずれかに記載の発泡樹脂成形型。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の発泡樹脂成形型を用い、第1の成形型と第2の成形型を合わせて形成されるキャビティに発泡性樹脂粒子を充填し、前記細溝状の蒸気スリットを介して該発泡性樹脂粒子に蒸気を接触させることによって得られた発泡樹脂成形品。
- 前記蒸気スリット痕の幅が0.2〜0.4mmである請求項5記載の発泡樹脂成形品。
- 前記蒸気スリット痕が、縦横に20〜50mmのピッチで格子状に設けられた請求項5又は6記載の発泡樹脂成形品。
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