JP2631727B2 - ポリオレフイン系樹脂発泡成形体製造用金型 - Google Patents

ポリオレフイン系樹脂発泡成形体製造用金型

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ポリオレフィン系樹脂発泡成形体製造用金
型に関し、更に詳しくは、ポリオレフィン系樹脂発泡ビ
ーズを発泡成形する際に、成形体の突出部における局部
的な融着不良の問題を解消したポリオレフィン系樹脂発
泡成形体製造用の金型に関する。
〔従来の技術〕
ポリエチレン発泡体やポリプロピレン発泡体等のポリ
オレフィン系発泡体は、ポリスチレン発泡体に比し柔軟
性に富み、緩衝効果が大きいため、最近ではコンピュー
ター、ワードプロセッサー、プリンター等の電子機器の
他、カメラ、時計等の精密機器の緩衝材として広く使用
されるようになってきている。
ポリオレフィン系樹脂発泡成形体は、ポリスチレンと
同様の成形方法、即ち、型内に発泡ビーズの充填−加熱
−離型と云う一連の操作によって成形される。しかしな
がら、ポリオレフィン系樹脂の場合はポリスチレンに比
して熱融着性が悪い。従って、単に従来のように均一に
蒸気孔を設けた金型で成形したのでは、第3図に示すよ
うに底面部1に設けた中仕切板等の突出部2を有する発
泡成形体を得ようとすると、突出部の先端部分2aに融着
不良が生じ、突出部2の強度が低下すると云う問題を生
じる。
これを改善するものとして、上記突出部2の先端部分
2a近傍の金型の蒸気透過密度を他の部分の金型の蒸気透
過密度より大きくした第6図に示すような構造の金型に
より成形する方法が提案されている(特開昭63−1529号
公報)。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、上記の金型を用いて成形すると、成形体の
突出部2の先端部分2aの融着は多少改善されるものの、
強度、透水性等は他の部分よりも明らかに劣り、融着改
良が不十分であると云う問題がある。
又、蒸気孔は、第6図や第2図の12で示すようなコア
ベントを配して形成されるが、この蒸気孔の数が増える
ほど金型が高価になると云う問題がある。
本発明は、成形体の突出部の先端部分の融着が著しく
改良され、強度、透水性が格段に向上したポリオレフィ
ン系樹脂発泡成形体を製造することができ、しかも全体
的に蒸気孔を減らして金型製作費が低コストで済む金型
を提供することを解決すべき課題とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者は、上記特開昭63−1529号公報開示の金型に
よる融着改良効果が何故に不十分であるかを鋭意検討し
た。そこで、該公開公報の金型を良く観察すると、第6
図に示すように突出部の上面部に相当する金型部4aに蒸
気孔を設けただけではなく、突出部2の両側面部に相当
する金型部4b、4cにも蒸気孔を設けてある。そのため、
突出部の先端部分には多量の水蒸気が蒸気孔から流入す
ることにはなるが、却って、突出部の側面部の両側から
の水蒸気が互いに干渉し合い水蒸気の流線が乱され、空
気と水蒸気の置換がうまくいっていないのではないかと
推察された。この推察に基づき、前記突出部の上面部に
相当する金型部4aに蒸気孔を設け、両側面の側面部に相
当する金型部4b、4cの蒸気孔を塞いでしまうと、発泡成
形体の突出部の先端部の力学的強度が大きく、透水率が
小さくなることを見いだした。
しかしながら、金型部4b、4cを塞ぐ方法では突出高さ
Hと巾Wとの比がH/W≧10/1でHが80mm以上になると、
突出部の基部2bの力学的強度が低下し、透水率が大きく
なってくることが分かった。
そこで、このように特に突出部の突出高さが高い成形
体の場合には、突出部の上面部に相当する金型部4aに蒸
気孔を設け、更に突出部の基部に近い所定の高さ以下の
ところに蒸気孔を設けると、突出部の先端部及び基部の
両方において力学的強度が大きくなり、透水率が低下す
ることを見いだし、本発明に到達したものである。
即ち、本発明によれば、コア金型とキャビティー金型
とにより形成される型窩内にポリオレフィン系樹脂発泡
ビーズを充填し、中仕切板等の突出部を有し、前記突出
部の突出高さHと巾Wとの比がH/W≧10/1であり、Hが8
0mm以上である発泡成形体を製造する金型において、前
記突出部の上面部に相当する金型部に蒸気孔が設けら
れ、かつ、突出部の側面部に相当する金型部の突出上面
部から80mmよりも低い位置に蒸気孔を設けたことを特徴
とするポリオレフィン系樹脂発泡成形体製造用金型が提
供されるものである。
本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、
ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの共重合体、こ
れらと共重合可能な他のモノマーとの共重合体、これら
の混合物等が含まれる。
〔実施例〕
次に、図面の実施例を示して本発明を具体的に説明す
る。
第1図は本発明の金型の一例を示す断面図である。第
2図は第1図に示す金型の発泡成形体の突出部に該当す
る部分の断面斜視図である。
第1図及び第2図において、成形体突出部2の上面部
に相当する金型部4aには多数の蒸気孔8aが設けられてい
る。又、突出部の基部2bに近い所定の高さ以下の側面に
も多数の蒸気孔8bが設けられている。蒸気孔8bは、第4
図に示すように突出部の上面部2aから80mmよりも低い位
置に設けられている。80mmよりも低い位置に設けること
により、突出部の先端部付近での水蒸気の流れを乱すこ
となく、基部付近の加熱を行うことが可能となる。
本発明において、成形体の突出部の側面に相当する金
型部4b又は4cに蒸気孔を設ける場合には、第4図に示す
ように両側面の片方の金型部4bだけに設ける場合と、両
方の面の金型部4b、4cに設ける場合とがある。両側の面
に設ける場合は、左右で高さを段違いにした方が両側面
からの水蒸気が干渉し合わず好ましい結果が得られる。
上記の成形体突出部2の上面部に相当する金型部4a及
び両側面のうち片側の面の金型部4bに設けられた蒸気孔
の径及び配置ピッチは樹脂の種類や成形体のサイズ等に
依存し、一概には規定できないが、蒸気孔の開孔率が1
〜6%となるように蒸気孔を設ける。蒸気孔開孔率と
は、成形体の突出部2の上面部4a或いは側面部4bの面積
に対する蒸気孔の孔面積比率を云う。具体的には、直径
5〜12mmのコアベント12を7.5〜30mmピッチで配置する
のが好適である。
第1図において、金型はキャビティー金型3とコア金
型4とからなり、両金型より形成される型窩に充填機5
によりポリオレフィン系樹脂発泡ビーズ6が充填され
る。
本発明の金型を用いて発泡成形を行うには、下記の逆
一方加熱と正一方加熱のうち少なくとも一つの加熱の後
に両面加熱が必須となる。加熱を確実ならしめるために
逆一方加熱、正一方加熱の後に両面加熱を行っても良
い。
逆一方加熱においては、第1図で、蒸気がコア蒸気弁
10からコア金型4に供給され、更に蒸気孔8、8a、8bを
通じてキャビティー側ドレイン弁11より排出される。こ
こで、逆一加熱の場合、蒸気孔8aから入った水蒸気は第
4図に示すように蒸気孔8a付近には側面から入ってくる
水蒸気がないためにキャビティー金型の方向に層流に近
い流線を描いて流れる。従って、突出部の先端部分での
空気と水蒸気の置換は理想的な形で行われ、先端部分で
の樹脂ビーズの融着は良好で、力学的強度が大きく、透
水率が小さいものとなる。
ここで、突出部の突出高さが高いために、蒸気孔8aか
ら流れてきた水蒸気は途中の樹脂ビーズに熱量を奪わ
れ、突出部の基部付近に来ると樹脂ビーズを発泡させる
能力が非常に小さくなる。従って、基部付近の樹脂ビー
ズは主に基部付近に設けた蒸気孔8bより流入した水蒸気
により加熱発泡される。ここで、基部付近の水蒸気の流
はある程度乱れるものと考えられるが、これは基部付近
の樹脂ビーズの加熱に最低限必要な水蒸気量に見合うも
のであるために、水蒸気の乱れの程度は小さく、成形体
の基部付近の樹脂ビーズ間の融着は良好で、力学的強度
が大きく、透水率は小さいものとなる。
正一方加熱においては、キャビティー側蒸気弁7から
蒸気が供給され、蒸気孔8aを通じてキャビティー金型3
からコア金型4を通過してコア側ドレイン弁9より排出
される。
正一方加熱の場合、水蒸気は第5図に示すように、蒸
気孔8aと8bとから流出するが、水蒸気は渦を作らず、滞
留部が形成されないでうまく流れるために、樹脂ビーズ
の加熱は均一に行われる。
両面加熱においては、キャビティー側ドレイン弁11及
びコア側ドレイン弁9を閉じた状態でキャビティー金型
3及びコア金型4の両方から同時に加熱される。
両面加熱においては、蒸気が型窩内を流れず、金型の
熱により樹脂を加熱するもので、成形の仕上げ加熱とも
言えるものである。
なお、本発明において突出部を有する成形体とは、中
仕切板に限定されることなく、広く成形体表面に凹凸を
有するものが含まれる。又、通称コア抜きと呼ばれる中
抜きの成形体を製造する場合にも本発明を適用すること
ができる。
以下、実施例、比較例を挙げて、本発明の金型の利点
を明らかにする。
実施例1 第1図及び第2図に示した如き金型を用いて、下記の
条件にて成形体倍率20倍の中仕切箱を成形した。得られ
た中仕切の融着率、引張強度、透水率を第1表に示し
た。
原料:発泡ポリエチレンビーズ(倍率14倍) 成形含浸内圧:1.3Kg/cm2G 成形体形状:縦400mm×横300mm×高さ250mm×肉厚20mm 中仕切板形状:横260mm×高さ230mm×肉厚15mm(H/W=1
5.3/1) 蒸気孔:コアベント10mmφ、スリット0.3mm巾(スリッ
ト5列) 蒸気孔の配置ピッチ:20mm 蒸気孔開口率:上面部4.5%、側面部2.4% 蒸気加熱条件:正一方加熱0.3Kg/cm2G 3秒 逆一方加熱0.5Kg/cm2G 5秒 両面加熱1.2Kg/cm2G 3秒 比較例1 第6図に示した如き金型を用いた他は実施例1と同様
にして成形体を得た。得られた成形体の中仕切の融着
率、引張強度、透水率を第1表に示した。
注: 1)融着率(%):成形体の破断面において、発泡粒が
材料破壊している粒数と界面破壊(剥離)している粒数
との合計数を分母とし、材料破壊している粒数を分子と
して(%)で表したもの。
2)引張強度:試験法JIS K6767 B法で評価した。
3)透水率:試験法NDS Z0503に準じて評価した。
〔試料寸法50mm×50mm×15mm(厚み)〕 〔発明の効果〕 以上の説明で明らかなように本発明によれば、成形体
の突出部の先端周辺部及び基部周辺部の樹脂の融着が著
しく改良され、強度が大きく、透水率の小さいポリオレ
フィン系樹脂発泡成形体を製造することができ、しかも
全体的に蒸気孔を減らして金型製作費が低コストで済む
金型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡成形体製
造用金型の一例を示す断面図、第2図は、第1図の金型
の突出部該当部の断面斜視図、第3図は突出部を有する
成形体の一例を示す断面図、第4図及び第5図は、金型
の突出部該当部の断面図で、第4図は逆一方加熱の際の
水蒸気の流線を示し、第5図は正一方の加熱の際の水蒸
気の流線を示す。第6図は比較例1で用いた金型の突出
部該当部を示す断面斜視図である。 1…‥成形体底面部、2…‥成形体突出部、 3…‥キャビティー金型、4…‥コア金型、 5…‥ビーズ充填機、6…‥発泡ビーズ、 7…‥キャビティー側蒸気弁、 8、8a、8b、8c…‥蒸気孔、 9…‥コア側ドレイン弁、10…‥コア側蒸気弁、 11…‥キャビティー側ドレイン弁、 12…‥コアベント、13…‥キリ孔

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コア金型とキャビティー金型とにより形成
    される型窩内にポリオレフィン系樹脂発泡ビーズを充填
    し、中仕切板等の突出部を有し、前記突出部の突出高さ
    Hと巾Wとの比がH/W≧10/1であり、Hが80mm以上であ
    る発泡成形体を製造する金型において、前記突出部の上
    面部に相当する金型部に蒸気孔が設けられ、かつ、突出
    部の側面部に相当する金型部の突出上面部から80mmより
    も低い位置に蒸気孔を設けたことを特徴とするポリオレ
    フィン系樹脂発泡成形体製造用金型。
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