JP2017030130A - 切断データ作成装置及び切断データ作成プログラム - Google Patents

切断データ作成装置及び切断データ作成プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】切断機構を備えた切断装置により、被切断物から模様を切断するための切断データを作成するものにあって、1枚の被切断物のサイズを超える大形の模様を切断することが可能な切断データを作成する。
【解決手段】切断データ作成装置は、切断の対象となる元模様のサイズを特定するサイズ特定手段と、サイズ特定手段により特定された元模様のサイズが被切断物のサイズよりも大きいか否かを判断するサイズ判断手段と、サイズ判断手段により元模様のサイズが被切断物のサイズよりも大きいと判断されたときに元模様を被切断物のサイズよりも小さい複数の分割模様に分割する分割手段と、各分割模様を切断するための切断データを生成する切断データ生成手段とを備え、切断データ生成手段は、少なくとも一つの分割模様が他の分割模様と共に一つの被切断物に収まると判定された場合に、それら分割模様を一つの被切断物から切断する切断データを生成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、切断機構を備えた切断装置により、被切断物から所定形状の模様を切断するための切断データを作成する切断データ作成装置及び切断データ作成プログラムに関する。
従来、切断データに基づいて、紙、布等のシート状の被切断物を、切断機構により所定形状に切断する切断装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このものでは、被切断物を、専用の四角形のマットに保持させた状態で、切断の作業を行うように構成されている。この場合、マットの上面には左右の縁部を除いて粘着層が設けられており、その粘着層に被切断物が貼り付けられて保持されるものとなっていた。
特開2013−13977号公報
上記した切断装置では、切断データに基づいて切断できる模様のサイズは、専用のマットにより保持可能な被切断物のサイズを超えることはできない。そのため、従来では、マットで保持可能な被切断物のサイズを超える大形の模様については、切断データを作成することができなかった。そこで、大形の模様であっても、切断することを可能とすることが要望されるのである。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、被切断物から所定形状の模様を切断するための切断データであって、1枚の被切断物のサイズを超える大形の模様を切断することが可能な切断データを作成することができる切断データ作成装置及び切断データ作成プログラムを提供するにある。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る切断データ作成装置は、切断機構を備えた切断装置により、被切断物から模様を切断するための切断データを作成するものであって、切断の対象となる元模様のサイズを特定するサイズ特定手段と、前記サイズ特定手段により特定された元模様のサイズが、前記被切断物のサイズよりも大きいか否かを判断するサイズ判断手段と、前記サイズ判断手段により前記元模様のサイズが前記被切断物のサイズよりも大きいと判断されたときに、当該元模様を分割線により前記被切断物のサイズよりも小さい複数の分割模様に分割する分割手段と、前記各分割模様を切断するための切断データを生成する切断データ生成手段とを備えると共に、前記分割手段により分割された複数の分割模様のうち、少なくとも一つの分割模様が他の分割模様と共に、一つの被切断物に収まるか否かを判定する判定手段を備え、前記切断データ生成手段は、前記判定手段により少なくとも一つの分割模様が他の分割模様と共に一つの被切断物に収まると判定された場合に、それら分割模様を一つの被切断物から切断する切断データを生成するところに特徴を有する。
本発明の請求項8に係る切断データ作成プログラムは、上記切断データ作成装置の各種処理手段として、コンピュータを機能させるところに特徴を有する。
本発明の請求項1に係る切断データ作成装置によれば、サイズ特定手段により、元模様のサイズが特定され、サイズ判断手段により、元模様のサイズが被切断物のサイズよりも大きいかどうかが判断される。元模様のサイズが被切断物のサイズよりも大きいと判断された場合には、分割手段により、元模様が被切断物のサイズよりも小さい複数の分割模様に分割される。そして、切断データ生成手段により、各分割模様を切断するための切断データが生成される。従って、切断データ生成手段により生成された、各分割模様を切断するための切断データを用いて切断を行えば、複数の被切断物から、各分割模様を切断することができる。そして、それら分割模様を組合せて接合することにより、元模様に対応した一つの大きな模様の切断物とすることができる。
このとき、分割手段により分割された複数の分割模様のうち、少なくとも一つの分割模様が他の分割模様と共に一つの被切断物に収まるか否かが、判定手段により判定され、少なくとも一つの分割模様が他の分割模様と共に一つの被切断物に収まると判定された場合には、切断データ生成手段により、それら分割模様を一つの被切断物から切断する切断データが生成される。これにより、いわば1枚の被切断物中に複数の分割模様が再配置されることになり、分割模様を切断する際の被切断物の数をより少なくすることが可能となる。この結果、請求項1の発明によれば、被切断物から所定形状の模様を切断するための切断データであって、1枚の被切断物のサイズを超える大形の模様を切断することが可能な切断データを作成することができるという優れた効果を奏する。
また、本発明の請求項8に係る切断データ作成プログラムによれば、当該プログラムをコンピュータに実行させることで、請求項1に記載の発明の効果と同様の優れた効果を奏する。
本発明の第1の実施形態を示すもので、切断データ作成装置としての切断装置の外観を概略的に示す斜視図 切断装置の電気的構成を概略的に示すブロック図 元模様(a)及びそれを分割した様子(b)を示す図 分割模様にマージンを付加した様子を示す図 制御装置が実行するサイズ判断の処理手順を示すフローチャート 制御装置が実行する分割模様の再配置の処理手順を示すフローチャート 分割模様の再配置の処理を説明するための図 制御装置が実行するマージン付加の処理手順を示すフローチャート マージン付加の手法を説明するための図 制御装置が実行するマージン付加のための各分割模様に対する番号付けの処理手順を示すフローチャート 各分割模様に対する番号付けの手法を説明するための図 マージンを付加する分割模様の設定の処理手順を示すフローチャート 制御装置が実行するマージン幅設定の処理手順を示すフローチャート 第2の実施形態を示すもので、模様の分割の処理手順を示すフローチャート 分割模様の再配置の処理を説明するための図 第3の実施形態を示すもので、分割模様に対して縫いしろとしてのマージンを設けた様子を示す図 第4の実施形態を示すもので、切断データ作成装置及び切断装置の外観を示す図 切断データ作成装置及び切断装置の電気的構成を概略的に示すブロック図
(1)第1の実施形態
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について、図1から図13を参照しながら説明する。尚、この第1の実施形態では、切断装置が、切断データ作成装置を兼用している。図1は、本実施形態に係る切断データ作成装置としての切断装置11の外観構成を示している。また、図2は、切断装置11の電気構成を概略的に示している。切断装置11は、紙やシート等の被切断物Wを、切断データに従って切断する装置である。
図1に示すように、切断装置11は、本体カバー12と、本体カバー12内に配設されたプラテン13と、カッタカートリッジ14を有する切断ヘッド15とを備えている。切断装置11は、被切断物としての被切断物Wを保持するための保持部材16を備える。保持部材16は、全体として矩形薄板状をなすベース部と、ベース部の上面に設けられた粘着層とを備えている。粘着層は、ベース部の4辺の周縁部を除いて矩形状に設けられており、被切断物Wを剥離可能に保持する。
ここで、本実施形態における方向について定義する。後述の移送機構による保持部材16の移送方向を、前後方向(Y方向)とする。後述のカッタ移動機構による切断ヘッド15の移動方向を、左右方向(X方向)とする。前後方向と左右方向とに直交する方向を、上下方向(Z方向)とする。切断装置11は、図1に示すように、保持部材16の粘着部の左側後方の角部を原点OとしたX−Y座標系が設定され、X−Y座標系で示される切断データに基づいて切断動作が制御される。保持部材16の粘着層は、X方向及びY方向に延びる辺を有し、保持可能な被切断物Wのサイズは、左右方向の寸法がX1、前後方向の寸法がY1とされている。
本体カバー12は、横長な矩形箱状をなしており、前面部には横長に開口する前面開口部12aが形成されている。保持部材16は、切断装置11内に前面開口部12aから挿入され、プラテン13の上面にセットされる。プラテン13にセットされた保持部材16は前後方向(Y方向)に移送される。
本体カバー12の上面の右側部位には、操作パネル18が設けられている。操作パネル18は、液晶ディスプレイ19と、ユーザが各種の指示や選択又は入力の操作を行うための各種操作スイッチ20とが設けられている。なお、各種操作スイッチ20には、ディスプレイ19の表面に設けられるタッチパネルも含まれるものとする。本体カバー12内には、保持部材16をプラテン13の上面で前後方向(Y方向)に移送する移送機構が設けられる。更に、切断ヘッド15を、左右方向(X方向)に移動させるカッタ移動機構が設けられる。
移送機構を説明する。本体カバー12内には、左右方向に夫々延びるピンチローラ21及び駆動ローラ22が上下に並ぶように設けられている。保持部材16は、その左右の縁部が、ピンチローラ21と、駆動ローラ22との間において夫々挟持されて前後方向に移送される。詳しく図示はしないが、本体カバー12内の右側部には、Y軸モータ23(図2にのみ図示)、及びY軸モータ23の回転を駆動ローラ22に伝達するギヤ機構が設けられている。これにて、移送機構は、Y軸モータ23により駆動ローラ22が回転して、保持部材16を前後方向に移送させる。
次に、カッタ移動機構を説明する。本体カバー12内には、ピンチローラ21の後部上方に位置して、左右方向に延びるガイドレール24が配設されている。切断ヘッド15は、ガイドレール24に、左右方向ヘの移動が可能に支持される。詳しく図示はしないが、本体カバー12内の左側部には、X軸モータ25(図2にのみ図示)、及びX軸モータ25により回転される駆動プーリが設けられている。
一方、図示はしないが、本体カバー12内の右側部には、従動プーリが設けられている。駆動プーリと従動プーリとの間には、無端状のタイミングベルトが左右方向に延びて水平に掛け渡されている。タイミングベルトの途中部が、切断ヘッド15に連結されている。これにて、カッタ移動機構は、X軸モータ25の回転により、タイミングベルトを介して切断ヘッド15を左右方向に移動させる。
切断ヘッド15は、カートリッジホルダ26と、カートリッジホルダ26を上下方向に駆動させる上下駆動機構を備える。カートリッジホルダ26は、カッタカートリッジ14を着脱可能に保持する。図示はしないが、カッタカートリッジ14は、カッタを備える。カッタの下端には、刃部が形成される。カッタカートリッジ14は、ケースの下端部から刃部が僅かに突出する位置にてカッタを保持する。
上下駆動機構は、Z軸モータ27(図2にのみ図示)等を備え、カッタカートリッジ14を、カッタの刃部により被切断物の切断を行う下降位置と、カッタの刃部が被切断物から上方に所定距離だけ離間する上昇位置との間で移動させるように構成されている。カッタカートリッジ14は、通常時即ち切断動作を行なわないときには、上昇位置に位置されており、切断動作時には、上下駆動機構により下降位置に移動される。
以上により切断機構が構成され、切断動作時には、カッタの刃部が、保持部材16に保持されている被切断物としての被切断物Wを厚み方向に貫通する状態になる。その状態で、移送機構により、保持部材16に保持された被切断物Wを前後方向に移動させると共に、カッタ移動機構により、切断ヘッド15つまりカッタを左右方向に移動させることにより、被切断物Wに対する切断動作が行われる。尚、本実施形態の切断装置11は、図2にのみ示すように、保持部材16に保持された原画等の表面の模様を読取るスキャナ部28が設けられている。
図2に示すように、切断装置11は、制御手段として制御回路29を備えている。制御回路29は、コンピュータ(CPU)を主体として構成され、切断装置11の全体の制御を司る。制御回路29には、前記LCD19、各種操作スイッチ20が接続されていると共に、ROM30、RAM31、EEPPOM32が接続されている。また、制御回路29には、X軸モータ25、Y軸モータ23、Z軸モータ27を夫々駆動するための駆動回路33、34、35が接続されている。更に、制御回路29には、例えばUSBメモリ等の外部メモリ36が接続可能とされている。
ROM30には、切断動作を制御するための切断制御プログラムや、切断データを作成及び編集する切断データ作成プログラム、LCD19の表示を制御する表示制御プログラム等の各種制御プログラムが記憶されている。RAM31には、各種処理に必要なデータやプログラムが一時的に記憶される。EEPROM32或いは外部メモリ36には、多数の模様に関しての形状を示す模様データや、当該所定形状の模様を切断するために作成された切断データが保存されている。
また、EEPROM32には、保持部材16で保持可能な、つまり1回の切断動作で切断可能な被切断物Wのサイズのデータ、この場合、左右の寸法がX1、前後の寸法がY1のデータが記憶されている。尚、被切断物Wのサイズは、予め記憶されていても良いが、保持部材16に保持された実際の被切断物Wのサイズを特定し、その被切断物Wのサイズに基づいて後述するサイズ判断の処理を行うようにしても良い。このとき、実際の被切断物Wのサイズを特定する手法としては、例えば、ユーザによる手動入力や、スキャナ部28による保持部材16上の被切断物Wのサイズの計測等を採用することができる。
切断データは、被切断物Wを切断するための切断位置を示すデータであり、切断位置をXY座標系で示す座標値のデータの集合から構成される。制御回路29は、切断制御プログラムの実行により、切断データに従って、駆動回路33、34、35を介してX軸モータ25、Y軸モータ23、Z軸モータ27を夫々制御し、保持部材16に保持された被切断物Wに対する切断動作を自動で実行させる。
さて、本実施形態では、制御回路29は、切断データ作成プログラムの実行により、切断データを作成する切断データ作成装置としての各処理を実行する。尚、切断データ作成プログラムは、ROM30に予め記憶されているものに限らず、例えば光ディスク等の外部の記録媒体に記録されており、当該記録媒体から読み込まれる構成としても良い。更には、ネットワークを介して外部からダウンロードされるものであっても良い。
この切断データの作成は、通常は、例えば、EEPROM32に記憶されている或いはスキャナ部28により読取られた複数の模様の中からユーザが選択した切断の対象となる模様の模様データに基づき、閉じた図形からなる模様を表現する輪郭線を求め、その輪郭線のデータから、輪郭線に沿って切断するための切断データを作成することにより行われる。
このとき、本実施形態では、制御回路29は、切断データを作成するにあたり、対象となる模様(元模様Fという)の模様データから、当該元模様Fのサイズ、即ち、横及び縦の大きさX2及びY2を特定するサイズ特定の処理を実行する。元模様Fのサイズのデータは、切断データ作成時に模様データに基づいて計算しても良いし、模様データと共にEEPROM32等に予め記憶されていても良い。次いで、制御回路29は、特定した元模様Fのサイズが、被切断物Wのサイズ(横及び縦がX1及びY1)よりも大きいか否かを判断するサイズ判断の処理を実行する。元模様Fのサイズが、被切断物Wのサイズよりも小さい場合には、制御回路29は、通常の切断データ作成の処理を実行する。ここでいう通常の切断データ作成の処理とは、後述する分割処理を行うことなく、元模様Fの模様データに基づき、1枚の被切断物Wから元模様Fを切断するための切断データを作成する処理である。
元模様Fのサイズが被切断物Wのサイズよりも大きいと判断した場合には、制御回路29は、元模様Fを分割線Pにより被切断物Wのサイズよりも小さい複数の分割模様Dに分割する分割処理を実行する。この後、制御回路29は、各分割模様Dを夫々切断するための切断データを生成する切断データ作成の処理を実行する。従って、制御回路29が、サイズ特定手段、サイズ判断手段、分割手段、切断データ生成手段として機能する。
ここで、図3は、模様の具体例として、「星」の元模様Fを示している。図3(a)に示すように、この元模様Fの縦横のサイズは、被切断物Wの縦横のサイズの夫々2倍のサイズ内、つまり4枚の被切断物W内に収まるものとなっている。この場合、図3(b)に示すように、被切断物Wを縦横2枚ずつ配置した全体エリアAが設定される。そして、元模様Fを分割するにあたっては、図3(b)に示すように、例えば、元模様Fの縦及び横方向の中心点が、全体エリアAの中心点に一致するように、元模様Fが全体エリアA内に配置される。これにて、元模様Fは、上下方向の中央部を横方向に延びる分割線Pと、左右方向の中央部を縦方向に延びる分割線Pとにより、4分割された分割模様D1〜D4に分割される。
また、本実施形態では、制御回路29は、各分割模様Dに対し、隣り合う他の分割模様Dと部分的に重ね合わされる接合しろとなるマージンMを付加するマージン付加処理を実行するマージン付加手段として機能する。制御回路29は、各分割模様Dの切断データ生成処理を行うに際し、マージン付加処理において付加されたマージンMを含む切断データを生成する。
より具体的には、制御回路29は、分割模様Dにマージン付加処理を実行するにあたり、隣り合う他の分割模様Dにおける、マージンMと重ね合わされる隣接部分の形状を取得する形状取得処理を行う形状取得手段として機能する。そして、制御回路29は、形状取得処理において取得した隣接部分形状の内側に収まる、或いは一致する形状のマージンMを付加する。その際に、制御回路29は、マージンMの、分割模様Dの分割辺からの突出方向の幅寸法Lを、元模様Fの大きさに基づいて決定する処理を行い、マージンサイズ決定手段としても機能する。
また制御回路29は、分割模様Dに対しマージンMを付加する際に、当初において所定形状のマージンMを作成し、そのマージンMが隣接部分形状の内側に収まるか否かを判断する。本実施形態では、「隣接部分形状の内側に収まる」のなかには、隣接部分形状に一致する場合も含まれる。マージンMが隣接部分形状に収まらないと判断された場合に、マージンMを当該隣接部分形状に収まる形状に補正する、具体的にはマージンMのうち隣接部分形状からはみ出す部分を削除する処理を行う。
更に、本実施形態では、制御回路29は、切断データ生成処理において、マージンMが付加された分割模様Dについて、被切断物Wに対し、分割模様DとマージンMとの境界線Bを示す指標を設けるための境界線データを併せて生成する。指標としては、境界線Bに対する点線での切断、つまり間欠的な切り込みを入れたり、ペンによって境界線Bの描画を行ったりすることが考えられ、境界線データに基づいて、被切断物Wに対しそのような指標を設けることが可能となる。
図4は、上記「星」の元模様Fを4つの分割模様D1〜D4に分割し、それら分割模様D1〜D4にマージンMを付加した様子、つまり、4枚の被切断物WからマージンM付きの分割模様D1〜D4を夫々切断する様子を示している。後述するように、分割模様D1に関しては、右辺部つまり分割模様D2との隣接部分、及び、下辺部つまり分割模様D3との隣接部分に、夫々マージンMが付加される。分割模様D2に関しては、下辺部つまり分割模様D4との隣接部分にマージンMが付加される。分割模様D3に関しては、右辺部つまり分割模様D4との隣接部分にマージンMが付加される。分割模様D4については、マージンMは付加されない。
そして、本実施形態では、制御回路29は、元模様Fを複数の分割模様Dに分割する処理において、分割手段により分割された複数の分割模様Dのうち、少なくとも一つの分割模様Dが他の分割模様Dと共に一つの被切断物Wに収まるか否かを判定する判定処理を行う。従って制御回路29は、判定手段としても機能する。そして、制御回路29は、少なくとも一つの分割模様が他の分割模様と共に一つの被切断物に収まると判定した場合に、被切断物Wに対する複数の分割模様Dの再配置を行い、切断データの生成処理において、それら分割模様Dを一つの被切断物Wから切断する切断データを生成する。
尚、上記のように分割模様DにマージンMを付加する場合には、制御回路29の少なくとも一つの分割模様Dが他の分割模様Dと共に一つの被切断物Wに収まるか否かを判定する判定処理において、マージンMの付加処理後の分割模様Dを対象として判断が行われ、マージンMが付加された状態の分割模様Dに関して、被切断物Wに対する再配置が行われる。
次に、上記構成の作用について、図5から図12も参照して述べる。まず、図5のフローチャートは、ユーザの操作スイッチ20の操作によって元模様Fが選択され、切断データの作成処理が指示された場合に、制御回路29が実行するサイズ判断の処理手順を示している。ステップS1では、被切断物Wの1枚のサイズ、この場合、横、縦の寸法が夫々X1、Y1であるというデータが取得される。ステップS2では、選択された元模様Fのサイズ、この場合、横、縦の寸法が夫々X2、Y2であるというデータが取得される。
次のステップS3では、元模様Fの横方向のサイズX2が、被切断物Wの横方向のサイズX1よりも大きいか否か、又は、元模様Fの縦方向のサイズY2が、被切断物Wの縦方向のサイズY1よりも大きいか否かが判断される。元模様Fの横方向或いは縦方向のいずれか一方でも、被切断物Wのサイズよりも大きい場合には(ステップS3にてYes)、ステップS4にて、元模様Fを複数の分割模様Dに分割する分割処理が実行される。この分割処理は、上記したように、例えば元模様Fの縦及び横方向の中心点を、被切断物Wを並べた全体エリアAの中心点に一致するように配置し、被切断物W同士間の境界線を分割線Pとして設定することに基づいて行われる(図3(b)参照)。元模様Fのサイズが、横縦共に、被切断物Wのサイズに収まる場合には(ステップS3にてNo)、この処理を終了し、図示はしないが、通常の切断データ作成の処理が実行される。
ここで、例えば図3に示すように、「星」の元模様Fを4つの分割模様D1〜D4に分割した場合、被切断物Wから各分割模様D1〜D4を切断し、その後それら切断物を接合することが行われる。このとき、被切断物Wが例えば紙の場合には、各切断物に貼り合わせのための接合しろ(糊しろ)を設けることが望ましい。切断物に接合しろを設けることにより、接合作業を容易に行うことが可能となり、利便性が高まる。そこで、本実施形態では、制御回路29は、図4に示すように、各分割模様D1〜D4に対して接合しろとなるマージンMを付加するマージン付加の処理を実行する。以下、制御回路29が実行するマージンMの付加に関連する処理について、「星」の元模様Fを例としながら、図8〜図13を参照して述べる。
図8のフローチャートは、制御回路29が実行するマージンMの付加の処理手順を示している。また、図10のフローチャートは、制御回路29が実行する、マージンMを付加する分割模様Dを決定するための、各分割模様Dに対する番号付けの処理の手順を示しており、図12のフローチャートは、マージンMを付加する分割模様の設定の処理手順を示している。更に、図13のフローチャートは、制御回路29が実行するマージンMの幅寸法Lの設定処理の手順を示している。まず、図8及び図9を参照しながら、マージンMの付加の処理について述べる。
図8において、まずステップS31では、元模様Fの分割辺Iが取得される。この場合、図9(a)に示すように、分割模様J(D1)と分割模様K(D2)との間の分割線が、分割辺Iとされる。ステップS32では、分割辺Iを共有して隣り合う分割模様J、Kのうち、マージンMを付加する片方の分割模様Jの形状が取得される。このとき、隣り合う分割模様J,Kのうち、どちらの分割模様にマージンMを付加するかは、後述する図10、図12のフローチャートに従って、分割模様J,Kに付けられた番号の小さい方に関してマージンMを付加するように設定される。
ステップS33では、分割模様Jの分割辺Iに対し、該分割辺Iの延びる方向に対し垂直方向の幅寸法がLの、台形のマージンMが作成される。分割模様Jの分割辺IにマージンMを付加した様子を図9(b)に示す。本実施形態では、マージンMは端部が例えば45度の傾斜辺となった台形状に設けられる。また、このときのマージンMの幅寸法Lの設定は、後述する図13のフローチャートに従って行われる。次のステップS34では、付加したマージンMが、隣接する分割模様Kの内側領域に収まる(一致する場合を含む)か否かが判断される。マージンMが、隣接する分割模様Kの内側領域に収まる場合には(ステップS34にてYes)、そのままステップS36に進む。
これに対し、付加したマージンMが、隣接する分割模様Kの内側領域に収まらずに、はみ出す場合が考えられる。図9(c)の例では、マージンMの上端部分が、分割模様Kの形状(鋭角的に尖った部分)の外側にはみ出すことになる。このように、マージンMが、隣接する分割模様Kの内側領域に収まらない場合には(ステップS34にてNo)、ステップS35にて、マージンMの形状が、隣接する分割模様Kの内側領域に収まるように、この場合分割模様Kの形状に一致するように補正される。即ち、隣接する分割模様Kからはみ出した部分が削除される。補正後のマージンMの形状を図9(d)に例示する。
この後、ステップS36にて、分割模様JにマージンMが付加され、それらが結合した形状の模様とされる。その様子を図9(e)に例示する。ステップS37では、分割模様JとマージンMとの境界線Bを示す指標を形成するための境界線データが生成される。その様子を図9(f)に例示する。詳しく図示しないが、以上の処理が、全ての分割辺Iに関して実行されることにより、マージン付加の処理が終了する。「星」の形の元模様Fに関しては、図4に示すように、各分割模様D1〜D4にマージンMが付加される。
制御回路29は、マージンMが付加された各分割模様D1〜D4について、切断データを生成する。このとき、境界線データに基づいて、被切断物Wに対し、境界線Bに対する点線での切断、つまり間欠的な切り込みを入れたり、ペンによって境界線Bの描画を行ったりすることが可能となる。このように、制御回路29は、分割模様Dに対し、接合しろとなるマージンMを自動で付加しながら、切断データを作成することができる。
図10のフローチャートは、上記したマージンMを付加する処理(図8)を行うに先立って、隣り合う分割模様J,Kのうち、どちらの分割模様にマージンMを付加するかを設定するために、各分割模様に番号を付与する処理手順を示している。この処理について、図11も参照しながら説明する。まずステップS42にて、変数nに1がセットされる。ステップS43では、上記図3(b)の全体エリアAを構成する各被切断物Wを走査することで、分割模様の探索が行われる。この探索は、左から右に向かっての各被切断物Wにおける分割模様の走査が、上から下に向けて順に実行される。
ステップS44では、全ての分割模様に採番が完了したか否かが判断される。未だ採番が完了していない場合には(ステップS44にてNo)、ステップS45に進み、分割模様が見付かったか否かが判断される。分割模様が見付かった場合には(ステップS45にてYes)、ステップS46にて、見付かった分割模様に対してnが採番される。そして、ステップS47にて、nの値が1だけインクリメントされ、ステップS43に戻って次の分割模様の探索が行われる。ステップS45にて分割模様が見付からなかった場合(ステップS45にてNo)も、ステップS43に戻る。このような分割模様に対する採番が順に実行され、全ての分割模様に採番が完了した場合には(ステップS44にてYes)、処理が終了される。
上記した処理により、例えば図11(a)に示すように、例えば9個の分割模様が、縦横夫々3列に整列配置されている場合、上列の左から順に、1、2、3と採番され、中列の左から順に、4、5、6と採番され、下列の左から順に、7、8、9と採番される。例えば図11(b)に示すように、17個の分割模様が、部分的に飛び出すような不規則な形態に配列されている場合でも、同様にして、上列の左から順に、1、2、3、…と番号が付されていく。
図12のフローチャートは、各分割模様Dに対する採番後に、制御回路29が実行する、マージンMを付加する分割模様を設定する処理手順を示している。本実施形態では、隣り合う分割模様J,Kのうち、上記番号付けの処理により付された番号が小さい方の分割模様に、マージンMを付加するようにしている。即ち、ステップS51では、分割辺Iを共有する2つの分割模様J,Kに対して夫々付された番号Jn、Knが取得される。
次のステップS52では、JnがKnよりも大きいか否かが判断される。JnがKnよりも大きい場合には(ステップS52にてYes)、ステップS53にて、分割模様KがマージンMを付加する対象として設定される。JnがKnよりも大きくない(小さい)場合には(ステップS52にてNo)、ステップS54にて、分割模様JがマージンMを付加する対象として設定され、処理が終了する。図11(a)、(b)には、各分割模様のうちどの部分にマージンMが付されるかが、影を付した如き形態で示されている。
図13のフローチャートは、マージンMの付加の処理(図8)に先立って、制御回路29が実行するマージンMの幅寸法Lの設定処理の手順を示している。ステップS61では、分割前の元模様Fの面積Sf(cm2 )が算出される。ステップS62では、面積S(cm2 )に、係数Cが乗算されることにより、幅寸法L(cm)が算出される。つまり、L=Sf*Cの式で幅寸法Lが求められる。係数Cは、例えば1/1000とされ、例えば1000cm2 の面積の元模様であれば、幅寸法Lは1cmとなる。
ステップS63では、マージンMの幅寸法の最小値Lminと、最大値Lmaxとが設定される。最小値Lminは、例えば3mm〜5mmとされる。最大値Lmaxは、例えば1cm〜2cmとされる。ステップS64では、上記計算された幅寸法Lが最大値Lmaxよりも大きいか否かが判断される。幅寸法Lが最大値Lmaxよりも大きい場合には(ステップS64にてYes)、ステップS65にて、幅寸法Lが最大値Lmaxに設定される。
一方、幅寸法Lが最大値Lmaxよりも大きくない場合には(ステップS64にてNo)、ステップS66にて、上記幅寸法Lが最小値Lminよりも小さいか否かが判断される。幅寸法Lが最小値Lminよりも小さい場合には(ステップS66にてYes)、ステップS67にて、幅寸法LがLminに設定される。それら以外の場合には(ステップS66にてNo)、計算された幅寸法Lがそのまま用いられ、処理が終了する。これにより、元模様Fの面積Sfに対応した適切なマージンMの幅寸法Lを設定することができ、また、幅寸法Lが大きすぎたり、小さすぎたりすることを未然に防止することができる。尚、マージンMの幅寸法Lを固定した値としても良い。
さて、図6のフローチャートは、分割処理で元模様Fが複数の分割模様Dに分割された後に、制御回路29が実行する、分割模様Dの再配置の処理の手順を示している。この処理の詳細について、図7も参照して述べる。ここでは、上記「星」とは別の模様として、図7(a)に示すような、S字カーブ状の流線型の元模様Fや、図7(c)に示すような、細長い帯状の元模様Fを例としてあげながら説明する。即ち、ステップS11では、被切断物Wの1枚の面積Swが取得される。この面積Swは、Sw=X1×Y1で求めることができる。
ステップS12では、元模様Fの面積Sfが取得される。ステップS13では、被切断物Wの使用数を表す変数Hに1がセットされる。ステップS14では、元模様Fの面積Sfが、被切断物Wの1枚の面積Swに、変数Hを乗算した面積以下であるか否か、つまり、H枚の被切断物Wの面積中に、元模様Fの面積Sfが収まるか否かが判断される。元模様Fの面積Sfが、被切断物Wの面積Swに変数Hを乗算した面積よりも大きい場合には(ステップS14にてNo)、ステップS15にて、変数Hの値が1だけインクリメントされ、ステップS14に戻る。
元模様Fの面積Sfが、被切断物Wの面積Swに変数Hを乗算した面積以下であると判断された場合には(ステップS14にてYes)、ステップS16にて、分割処理後の全ての分割模様Dが、H枚の被切断物Wに収まるように、つまり、分割処理後の全ての分割模様Dが互いに重なることなく、H枚の被切断物Wのいずれかに配置されるように、 分割模様Dの再配置の処理が実行される。この処理は、例えば、周知のOpenCVを使用した画像自動配置処理 によって実現される。ステップS17では、分割模様Dの全てがH枚の被切断物Wに収まったかどうかが判断され、H枚の被切断物Wに収まらない場合には(ステップS17にてNo)、ステップS15にて、変数Hの値が1だけインクリメントされ、ステップS14からの処理が繰返される。
一方、分割模様Dの全てがH枚の被切断物Wに収まった場合には(ステップS17にてNo)、ステップS18にて、上記ステップS16の自動配置処理による配置結果を各分割模様Dに適用し、切断データの生成が行われる。図7(a)の元模様Fの例では、2個の分轄模様D1、D2に分割されるのであるが、自動配置処理により、図7(b)に示すように、2個の分割模様D1,D2が1枚の被切断物Wに収まるように再配置される。同様に、図7(c)の元模様Fの例では、3個の分割模様D1,D2,D3に分割されるのであるが、自動配置処理により、図7(d)に示すように、3個の分割模様D1,D2,D3が1枚の被切断物Wに収まるように再配置される。
以上の処理により、制御回路29によって、例えば1枚の被切断物Wから、2個或いは3個の分割模様Dを切断するような切断データが生成される。その切断データを用いて切断を行えば、図7(b)の例では、1枚の被切断物Wから、各分割模様D1、D2を切断した2枚の切断物を得ることができる。図7(d)の例では、1枚の被切断物Wから、各分割模様D1、D2、D3を切断した3枚の切断物を得ることができる。そして、それら分割模様Dの切断物を組合せて接合することにより、元模様Fに対応した一つの大きな模様の切断物を得ることができる。また、図8、図10〜図13に示すように、分割模様DにマージンMを付加する場合には、例えば、マージンMの付加後の各分割模様Dの形状、面積を用いて、ステップS16の自動配置処理を行うようにすれば良い。
本実施形態によれば、次のような作用・効果を得ることができる。即ち、制御回路29は、切断データを作成するにあたり、元模様Fのサイズを特定し、被切断物Wのサイズよりも大きいか否かを判断する。そして、元模様Fのサイズが被切断物Wのサイズよりも大きい場合には、元模様Fを複数の分割模様Dに分割し、各分割模様Dを切断するための切断データを生成する。
従って、複数の被切断物Wから、各分割模様Dを切断することができ、それら分割模様D1〜D4の切断物を組合せて接合することにより、元模様Fに対応した一つの大きな模様の切断物を得ることができる。このように本実施形態によれば、従来とは異なり、1枚の被切断物Wのサイズを超える大形の模様Fを切断することが可能な切断データを作成することができるという優れた効果を奏する。
このとき本実施形態では、制御回路29は、分割処理において分割された複数の分割模様Dのうち、少なくとも一つの分割模様Dが他の分割模様Dと共に一つの被切断物Wに収まるか否かを判定し、少なくとも一つの分割模様Dが他の分割模様Dと共に一つの被切断物Wに収まると判定された場合には、それら分割模様Dを一つの被切断物Wから切断する切断データが生成する。これにより、いわば1枚の被切断物W中に複数の分割模様Dが再配置されることになり、分割模様Dを切断する際の被切断物Wの数をより少なく済ませることが可能となる。ひいては、被切断物Wから分割模様Dを切断する際の無駄を少なくすることができると共に、効率的な切断作業を行うことができる。
また、特に本実施形態では、分割模様Dに対し、接合しろとなるマージンMを自動で付加しながら、切断データを作成するように構成したので、分割模様Dの切断物の接合作業を容易に行うことが可能となり、より効果的となる。マージン付加処理にあたっては、隣り合う他の分割模様Dにおける隣接部分形状の内側に収まる、或いは、一致する形状のマージンMを付加するようにしたので、マージンM部分が、模様からはみ出すことを未然に防止し、見栄えの良い接合を行うことができる。マージンMが付加された分割模様Dについて、境界線データを併せて生成するようにしたので、指標として、境界線Bを描線したり、境界線Bに沿う印を付けたりすることが可能となり、ひいては、接合作業や、接合時の位置合わせ作業を、より一層しやすくすることができる。
(2)第2〜第4の実施形態、その他の実施形態
図14及び図15は、本発明の第2の実施形態を示している。尚、以下に述べる各実施形態においては、上記第1の実施形態と共通する部分については、新たな図示や詳しい説明を省略すると共に符号も共通して使用し、第1の実施形態と異なる点を中心に述べる。この第2の実施形態が上記第1の実施形態と異なるところは、次の点にある。
この第2の実施形態では、制御回路29は、元模様Fの面積Sfと被切断物Wの面積Swとに基づいて、当該元模様Fの切断のために必要な被切断物Wの最小数を求める最小数算出処理を行う最小数算出処理手段としての機能を備えている。そして、制御回路29は、分割処理を行うにあたり、被切断物Wの最小数に収まることが可能な分割模様Dの分割状態を、元模様Fに対する分割線のP位置及び本数を変更しながら探索して分割を行う構成とされている。
図14のフローチャートは、切断データの作成処理において、元模様Fのサイズが被切断物Wのサイズよりも大きいと判断した場合に、制御回路29が実行する、元模様Fの分割処理の手順を示している。ここでは、上記第1の実施形態とは更に別の模様として、図15(a)に示すような、十文字の元模様Fを例としてあげながら説明する。即ち、ステップS71では、被切断物Wの1枚の面積Swが取得される。ステップS72では、元模様Fの面積Sfが取得される。ステップS73では、被切断物Wの使用数を表す変数Hに1がセットされる。ステップS74では、分割線Pの本数を表す変数Nに1がセットされる。
ステップS75では、元模様Fの面積Sfが、被切断物Wの1枚の面積Swに、変数Hを乗算した面積以下であるか否か、つまり、H枚の被切断物Wの面積中に、元模様Fの面積Sfが収まるか否かが判断される。元模様Fの面積Sfが、被切断物Wの面積Swに変数Hを乗算した面積よりも大きい場合には(ステップS75にてNo)、ステップS76にて、変数Hの値が1だけインクリメントされ、ステップS75に戻る。
元模様Fの面積Sfが、被切断物Wの面積Swに変数Hを乗算した面積以下であると判断された場合には(ステップS75にてYes)、ステップS77にて、N本の分割線Pの各々を、回転、平行移動させながら元模様Fを分割する。ステップS78では、分割後の全ての分割模様Dが、H枚の被切断物Wに収まるように、周知のOpenCVを使用した画像自動配置処理による、分割模様Dの再配置 が実行される。ステップS79では、分割模様Dの全てがH枚の被切断物Wに収まったかどうかが判断される。
分割模様Dの全てがH枚の被切断物Wに収まらない場合には(ステップS79にてNo)、ステップS80にて、N分割(N本の分割線P)での全てのパターンを検証したかどうかが判断される。未だ全てのパターンが検証されていない場合には、(ステップS80にてNo)、ステップS77からの処理が繰返される。全てのパターンが検証された場合には、分割線Pの数を表す変数Nが1だけインクリメントされた上で、ステップS77からの処理が繰返される。
このような処理を繰返し、分割模様Dの全てがH枚の被切断物Wに収まった場合には(ステップS79にてYes)、ステップS82にて、上記ステップS78の自動配置処理による配置結果を各分割模様Dに適用し、切断データの生成が行われる。図15(a)の元模様Fの例では、分割線Pが1本(N=1)の場合には、図15(b),(c)に示すように、分割線Pを様々に回転や平行移動させても、1枚の被切断物Wに収まる配置は得られない。これに対し、図15(d)に示すように、斜め45度に配置された直交する2本の分割線Pを用いて元模様Fを4つの分割模様Dに分割することができる。この場合には、図15(e)に示すように、1枚の被切断物Wに対し、それら4個の分割模様Dの全てを収めることができるようになる。
以上の処理により、制御回路29によって、例えば図15(e)の例では、1枚の被切断物Wから、4個の分割模様Dを切断するような切断データが生成される。その切断データを用いて切断を行えば、1枚の被切断物Wから、各分割模様Dを切断した4枚の切断物を得ることができる。それら分割模様Dの切断物を組合せて接合することにより、元模様Fに対応した一つの大きな模様の切断物を得ることができる。従って、この第2の実施形態でも、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができ、更に、全ての分割模様Dを切断するために必要となる被切断物Wの数を最小にすることができ、より一層効果的となる。
次に、図16を参照して、第3の実施形態について説明する。上記第1の実施形態では、分割模様Dのうち、分割辺Iを介して他の分割模様Dと隣り合う部分に,接合しろ(糊しろ)としてのマージンMを付加するようにした。これに対し、この第3の実施形態では、被切断物Wが布である場合に、「星」の元模様Fに関する全ての分割模様D1〜D4において、分割模様D1〜D4の周囲全体に、縫いしろとしてのマージンM´を付加するようにしている。
この場合も、マージンM´の幅寸法Lとしては、元模様Fの面積に応じて設定しても良いし、元模様Fのサイズに関係なく固定された幅寸法としても良い。これにより、布から切断された分割模様D1〜D4に関する切断物を、互いに縫い合わせて接合する作業、或いは、別の大きな布に対して縫い付けて一つの模様とする場合の作業等を容易に行うことが可能となる。
図17及び図18は、本発明の第4の実施形態を示すもので、図17は、本実施形態に係る切断データ作成装置1及び切断装置11の外観構成を、図18は、それらの電気的構成を概略的に示している。本実施形態に係る切断データ作成装置1は、例えばパーソナルコンピュータからなり、通信ケーブル10により切断装置11に接続されている。切断装置11は、紙やシート等の被切断物Wを切断データに従って切断する装置である。
切断データ作成装置1は、切断データ作成プログラムを実行するパーソナルコンピュータから構成されている。図17に示すように、切断データ作成装置1は、コンピュータ本体1aに、表示部(液晶ディスプレイ)2、キーボード3、マウス4を備えて構成されている。コンピュータ本体1aには、図18に示すように、CPUを主体として構成された制御回路5、及び、その制御回路5に接続されたRAM6、ROM7、EEPROM8、通信部9等が設けられている。
表示部2は、ユーザに対するメッセージなど必要な情報を表示する。キーボード3やマウス4は、ユーザにより操作され、その操作信号が制御回路5に入力される。RAM6は、制御回路5が実行しているプログラムに応じて必要な情報を一時的に記憶する。ROM7は、切断データ作成プログラム等を記憶する。EEPROM8は、切断データの作成対象となる複数の異なる模様のデータ(輪郭線データ等)や、作成された切断データ等を記憶している。切断データ作成装置1に、図示しないスキャナを接続して模様のデータを入力することも可能である。
通信部9は、外部の機器との間でデータ等の通信を行うように構成されている。本実施形態では、切断データ作成装置1により作成された切断データが、通信部9により、通信ケーブル10を介して切断装置11の通信部37に送信される。尚、切断データ作成装置1の通信部9と切断装置11の通信部37とは、無線通信によって接続してもよい。また、切断データ作成装置1と切断装置11との間における切断データの受け渡しは、図示しないが、例えばUSBメモリなど着脱可能な外部記憶装置を介して、又はインターネットなどのネットワークを介して行っても良い。
本実施形態では、切断データ作成装置1(制御回路5)は、切断データ作成プログラムの実行により、切断データを作成する切断データ作成装置としての各処理を実行する。この切断データの作成にあたっては、制御回路5は、元模様Fの模様データから、元模様Fのサイズを特定するサイズ特定の処理、特定した元模様のサイズが被切断物Wのサイズよりも大きいか否かを判断するサイズ判断の処理を実行する。元模様Fのサイズが、被切断物Wのサイズよりも小さい場合には、制御回路29は、そのまま通常の切断データ作成の処理、即ち分割処理を行うことなく1枚の被切断物Wから元模様Fを切断するための切断データを作成する処理を実行する。
そして、元模様Fのサイズが被切断物Wのサイズよりも大きいと判断した場合には、制御回路5は、元模様Fを分割線Pにより被切断物Wのサイズよりも小さい複数の分割模様Dに分割する分割処理を実行した後、各分割模様Dを夫々切断するための切断データを生成する切断データ作成の処理を実行する。更に制御回路5は、分割処理において、複数の分割模様Dのうち、少なくとも一つの分割模様Dが他の分割模様Dと共に一つの被切断物Wに収まるか否かを判定する判定処理を行い、少なくとも一つの分割模様が他の分割模様と共に一つの被切断物に収まると判定した場合に、被切断物Wに対する複数の分割模様Dの再配置を行い、切断データの生成処理において、それら分割模様Dを一つの被切断物Wから切断する切断データを生成する。従って、制御回路5は、サイズ特定手段、サイズ判断手段、分割手段、切断データ生成手段として機能し、更に判定手段として機能する。また、制御回路5が、各分割模様Dに対し、マージンMを付加するマージン付加処理を実行するマージン付加手段としても機能する。制御回路5は、付加されたマージンMを含む切断データを生成する。
従って、この第4の実施形態によっても、上記第1の実施形態と同様に、被切断物Wから所定形状の模様を切断するための切断データであって、1枚の被切断物Wのサイズを超える大形の模様を切断することが可能な切断データを作成することができるという優れた効果を得ることができる。また、被切断物Wの数がより少なくなるような分割を行うことができる。更に、マージン付加手段を設けたことにより、分割模様Dに対し、接合しろとなるマージンMを自動で付加しながら、切断データを作成することができる。
上記各実施形態では、分割模様DにマージンMを付加するようにしたが、マージンMの付加は必要に応じて行えば良い。上記各実施形態では、被切断物(保持部材)の大きさを1種類として説明したが、複数種類の被切断物(保持部材)を組合せて分割模様を切断する構成としても良い。また、上記各実施形態では、切断データ作成装置を、切断装置から構成する、或いは汎用のパーソナルコンピュータから構成するようにしたが、切断データの作成の専用の装置として構成してもよい。切断データ作成装置に、原図から図形のデータを読取るようなスキャナを接続する構成としてもよい。その他、切断装置の具体的構成についても、様々な変更が可能である等、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
1 切断データ作成装置
5 制御回路(サイズ特定手段、サイズ判断手段、分割手段、切断データ生成手段、判定手段、マージン付加手段)
11 切断装置(切断データ作成装置)
29 制御回路(サイズ特定手段、サイズ判断手段、分割手段、切断データ生成手段、判定手段、最小数算出手段、マージン付加手段、形状取得手段)
W 被切断物
F 元模様
D、D1〜D4 分割模様
P 分割線
M、M´ マージン
B 境界線

Claims (8)

  1. 切断機構を備えた切断装置により、被切断物から模様を切断するための切断データを作成する切断データ作成装置であって、
    切断の対象となる元模様のサイズを特定するサイズ特定手段と、
    前記サイズ特定手段により特定された元模様のサイズが、前記被切断物のサイズよりも大きいか否かを判断するサイズ判断手段と、
    前記サイズ判断手段により前記元模様のサイズが前記被切断物のサイズよりも大きいと判断されたときに、当該元模様を前記被切断物のサイズよりも小さい複数の分割模様に分割する分割手段と、
    前記各分割模様を切断するための切断データを生成する切断データ生成手段とを備えると共に、
    前記分割手段により分割された複数の分割模様のうち、少なくとも一つの分割模様が他の分割模様と共に、一つの被切断物に収まるか否かを判定する判定手段を備え、
    前記切断データ生成手段は、前記判定手段により少なくとも一つの分割模様が他の分割模様と共に一つの被切断物に収まると判定された場合に、それら分割模様を一つの被切断物から切断する切断データを生成する
    ことを特徴とする切断データ作成装置。
  2. 前記元模様の面積と前記被切断物の面積とに基づいて、当該元模様の切断のために必要な被切断物の最小数を求める最小数算出手段を備え、
    前記分割手段は、前記被切断物の最小数に収まることが可能な前記分割模様の分割状態を、前記元模様を分割する分割線の位置及び本数を変更しながら探索して分割を行うことを特徴とする請求項1記載の切断データ作成装置。
  3. 前記分割模様に対し、隣り合う他の分割模様と部分的に重ね合わされる接合しろとなるマージンを付加するマージン付加手段を備え、
    前記切断データ生成手段は、前記マージン付加手段により付加されたマージンを含む切断データを生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の切断データ作成装置。
  4. 前記隣り合う他の分割模様における前記マージンと重ね合わされる隣接部分の形状を取得する形状取得手段を備え、
    前記マージン付加手段は、前記形状取得手段の取得した隣接部分形状の内側に収まる形状のマージンを付加することを特徴とする請求項3記載の切断データ作成装置。
  5. 前記隣り合う他の分割模様における前記マージンと重ね合わされる隣接部分の形状を取得する形状取得手段を備え、
    前記マージン付加手段は、前記形状取得手段の取得した隣接部分形状に一致する形状のマージンを付加することを特徴とする請求項3又は4に記載の切断データ作成装置。
  6. 前記切断データ生成手段は、前記マージンが付加された分割模様について、前記被切断物に対し、前記分割模様とマージンとの間の境界線を示す指標を設けるための境界線データを併せて生成することを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の切断データ作成装置。
  7. 前記判定手段は、前記マージン付加手段によりマージンが付加された分割模様に関して、少なくとも一つの分割模様が他の分割模様と共に、一つの被切断物に収まるか否かを判定することを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の切断データ作成装置。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の切断データ作成装置の各種処理手段として、コンピュータを機能させるための切断データ作成プログラム。
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