JP6392616B2 - 図形データ生成装置および図形データ生成プログラム - Google Patents
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Description
また、上述した従来のネスティング処理技術は、部品それぞれの図形データが予め用意されていることを前提としている。そのため、この技術を、1つのカット図形を分割して得られる複数の部品を1枚のシート状媒体に配置することに適用することはできなかった。その結果、シート状媒体の余白を有効に利用することができないために、部品の作製コストの上昇を招いていた。特に高価なシート状媒体を切断する場合には、部品の作製コストの上昇は深刻である。
本発明の実施の形態に係る図形データ生成装置1は、図1に示すように、カット図形を予め用意された閉図形に合わせて複数の部品に分割する分割部11と、カット図形のうち予め用意された閉図形からはみ出た部品をその閉図形内の余白内に収まるように配置するネスティング部12と、閉図形内に収められた複数の部品を表す図形データを生成する生成部13とを備えている。
なお、本明細書では、ある部品を閉図形内の余白内に収まるように配置することを「ネスト(nest)」または「ネスティング(nesting)」という。
分割部11は、外部から与えられた図形データによって表されるカット図形を予め用意された閉図形に合わせて複数の部品に分割する機能部である。
ここで「カット図形」は、例えば看板や標識に張り付ける文字や模様を表す所望の形状である。また、分割部11に与えられる図形データは、グラフィックス描画アプリケーションツール等を用いて別途作成された図形データである。このような図形データは、例えば、図形を点の座標と複数の点を結ぶ線(ベクター、ベクトル)等を表す数値データによって表現する「ベクター形式」で記述されているものの他、図形を画素の集合として表現する「ラスタ形式」で記述されているものでもよい。
このように規定された「閉図形」は記憶部16に予め記憶しておけばよい。また、記憶部16に形状や大きさの異なる複数種類の閉図形を予め登録しておき、図形データ生成装置1のユーザがそれらの中から選択するようにしてもよい。
以下、このような閉図形をこの明細書においては「タイル(tile)」といい、カット図形を複数の部品に分割するためにこの閉図形(タイル)をカット図形に重ね合わせることを「タイリング(tiling)」ということがある。
なお、本明細書においては、このようにタイルにあわせてカット図形を複数の部品に分割することを「スライス(slice)」ということがある。
ネスティング部12は、カット図形をスライスして得られた部品のうち、タイルからはみ出した部品をタイルの余白内に収まるように配置する機能部である。
本実施の形態に係る図形データ生成装置1において、ネスティング部12は、タイルの外側にはみ出した部品がタイル内の余白部分に配置できるか否か(ネスティングできるか否か)を判断するテスト部121と、その部品がネスティングできなかった場合には、その部品を断片化する断片化部122とを備えている。
テスト部121によるテスト処理は、次のようなものである。
まず、記憶部16から読みだした部品を二値化した後に所定の方向(本実施の形態においては左から右)に走査してランレングス符号化(Run Length Encoding:RLE)する。このランレングス符号化は、部品を所定方向に走査したときに同じ値の画素がいくつ連続しているかを、その値と個数で表す符号化方法である。同様に、タイル内の余白部分もランレングス符号化する。そして、タイル内を所定の方向、例えば、左上を起点として左から右に、上から下へと移動しながら、部品のランレングス符号化データと余白のランレングス符号化データとを比較することによって、その部品がタイルの余白部分に配置できるか否かを判断する。これは、タイル内で部品を平行移動させながら、その部品を配置できる余白部分を探索する処理に他ならない。
以下、部品をタイル内で平行移動させながらネスティング可能な余白を探索する動作を「スキャン(scan)」ということがある。ランレングス符号化は、このスキャン処理の速度を、画素ごとにスキャンする場合と比較して格段に向上させる。
一般的に、1回の回転操作で部品を回転させる回転角度単位を小さくした方が、様々な回転角度でスキャンを繰り返すことになるので、演算時間が長くなってしまうが、より効果的なネスティングを行うことが可能となる。
なお、部品を回転させる際の回転角度単位は、1回の回転操作で部品を回転させる回転角度(°)で表してもよいが、部品を1周360°回転させるための回転操作数(N:Nは自然数。)で表してもよい。以下に、回転操作数Nと利用可能な回転角度との関係の一例を示す。
1 :0
2 :0、180
4 :0、90、180、270
8 :0、45、90、135、180、225、270、315
… :…
テスト部121によるテスト処理の結果、ある部品がタイル内の余白部分に配置できる(ネスティングできる)と判断された場合は、テスト部121は、その部品のタイル内の位置と回転角度を記憶部16に記憶する。
断片化部122は、部品をさらに複数に分割して、その部品を複数の断片に断片化(fragment)する機能部である。断片化部122は、テスト部121によるテスト処理の結果、利用可能なすべての回転角度において部品をネスティングできなかった場合に、その部品を断片化する。
本実施の形態においては、断片化によって、部品はほぼ等しい面積を持つ2つの新たな部品に分割される。
テスト部121は、断片化部122によって断片化された部品の断片を新たな部品としてテスト処理を実行する。
そこで、本実施の形態に係る図形データ生成装置1においては、部品の面積に閾値Athを設定し、部品の面積が予め設定された閾値Athよりも大きいときにのみ、断片化部122によって部品を断片化するようにして、1つの部品について断片化が深くなりすぎないようにしている。ユーザは、設定部14を介して、部品の面積に関する閾値Athを設定することができる。
生成部13は、ネスティング部12によってタイル内に収められた複数の部品を表す図形データを生成する機能部である。生成部13によって生成された図形データは、例えばカッティングプロッタに与えられ、シート状媒体を切断する際の制御データとして用いることができる。
ラスタ形式で記述された図形データは、ベクター形式で記述された部品をそれらがネスティングされる位置に移動および回転する変換を計算するために用いられる。これらの変換された部品は、生成部13によって生成される。
次に本実施の形態に係る図形データ生成装置の動作について説明する。
図3は、本実施の形態に係る図形データ生成装置1の全体的な処理手順を示すフローチャートである。
まず、図形データ生成装置1のユーザは、設定部14において各種パラメータの値を設定または変更することができる(S10)。ここで設定するパラメータとしては、次のようなものがある:
(a)部品を回転させる回転角度単位、または部品の回転操作数(N:Nは自然数。);
(b)断片化を行うか否かの判断に用いられる部品の面積に関する閾値(Ath);
(c)ネストされる部品同士の最小の隙間。
次に図4および図5を参照して、ネスティング処理とこのネスティング処理に含まれるテスト処理について詳細に説明する。
まず、部品の大きさに応じて、ネスティングの候補となる部品が決まると(図3、S40)、テスト部121によるテスト処理を実行し、その部品をタイルの余白にネスティングできるか否かを判断する(図4、NS01)。
まず、部品の回転操作回数nをリセットしてn=0とする(TS01)。その後、この回転操作回数nの値をインクリメントして(TS02)、候補となる部品およびタイルのランレングス符号化とスキャンを実行して、タイル内を移動しながらのランレングス符号化データを比較してネスティングの可否を判断する(TS03)。もし、その部品をネスティングすることができれば(TS04:Yes)、その部品のタイル内の位置および回転角度を記憶部16に記憶し、タイル内の余白に関するデータを更新する(TS05)。そして、まだスキャンを行っていない利用可能な回転角度があれば(TS06:No)、部品を予め設定された回転角度単位だけ回転させて(TS07)、再度、ランレングス符号化とスキャンを実行する(TS02、TS03)。一方、すでにすべての利用可能な回転角度についてスキャンを行っていれば(TS06:Yes)、図4のNS02の処理に進む。
一方、テスト処理(図4、NS08)の結果、ネスティングに成功しなければ(図4、NS09:No)、閾値Athを下回らない限り(図4、NS05:Yes)、断片化(図4、NS06)とテスト処理(図4、NS08)とを繰り返す。一方、閾値Athを下回ってしまった部品については、その部品のみならず、その部品の親となる断片化前の部品もネスティングの候補から除外する(図4、NS04)。
[ケース1]
図6Aに示すように、カット図形は、分割部11におけるスライス処理の結果、長方形のタイルによってタイル内の部品Aとタイル外の部品B、Cとに分割される(図3、S20)。
次に、タイル外の部品B、Cのうち、より大きい方の部品Bがネスティングの候補として選択され(図3、S40)、ネスティングプロセス(図3、S50)によって、図6Bに示すように、タイルの余白部分にネスティングすることができる。
続いて部品Cについても、タイルの余白部分に配置される。
その結果、1枚のシート状媒体を切断するための図形データとして、図6Bに示すような図形データが、生成部13によって生成される。
この例においては、部品B、Cは、いずれもテスト処理の過程で回転しただけで、断片化の必要はなかった。
上述したケース1が部品の断片化を伴わない例であったのに対し、ケース2は、断片化を伴う例である。
まず、カット図形はタイル1によって部品A、B、Cの三つに分割される(図7A)。
タイルの外側にはみ出した部品B、Cのうち、まず、面積のより大きい部品Cがネスティング処理の対象候補として選択される(図3、S30、S40)。しかしながら、ネスティング処理(図3、S50)においては、テスト処理(図4、NS01)の結果、部品Cは大きすぎて、部品Aとともにタイル1内にネスティングすることはできない(図4、NS02:No)。また、部品Cは最も面積の大きい部品でもあるので(同、NS03:Yes)、断片化も行われず、タイル内にネスティング処理する対象からは除外される(図4、NS04)。
次に、タイル2からはみ出した部品C2についてネスティング処理を実行すると(図3、S50)、部品C2はそのままではタイル2の余白部分にネストすることができない。ここで、タイル2からはみ出した部品は部品C2のみである。さらには、部品C2の面積は閾値Athよりも大きい(図4、NS05:Yes)。したがって、部品C2は、断片化部122によって、図7Eに示すように、部品C2aと部品C2bとに断片化される(図4、NS06)。部品C2aと部品C2bとに、それぞれにテスト処理(同、NS08)を実行すると、図7Fに示すように、両者とも部品C1と共にタイル2内にネスティングすることができる。
以上のように、本実施の形態に係る図形データ作成装置1は、与えられた図形データによって表されるカット図形が1枚のシート状媒体の形状と大きさを表すタイルに収まりきらない場合は、カット図形をそのタイルに合わせて複数の部品に分割し、そのタイルからはみ出した部分の部品をそのタイルの余白部分にネスティングして新たな図形データを生成する。したがって、1つのカット図形を分割して得られる部品をシート状媒体の余白に収めることができる。
さらに、この断片化については、部品の面積が予め設定された閾値Athよりも大きいときにのみその部品を断片化するので、より効果的なネスティングが可能となる。
Claims (5)
- 与えられた図形データによって表されるカット図形を予め用意された閉図形に合わせて複数の部品に分割する分割部と、
前記カット図形のうち前記閉図形からはみ出た部品を前記閉図形内の余白内に収まるように配置する配置部と、
前記閉図形内に収められた複数の部品を表す図形データを生成する生成部と
を備え、
前記配置部は、
前記部品を複数の断片に断片化する断片化部を備え、
前記部品が前記余白内に収まらないときは断片化された前記部品の断片を新たな部品として前記余白内に収めるように配置する
ことを特徴とする図形データ生成装置。 - 請求項1に記載された図形データ生成装置において、
前記配置部は、
前記部品の面積が予め設定された閾値よりも大きいときにのみ、前記断片化部によって前記部品を断片化し、断片化された前記部品の断片を新たな部品として前記余白内に収めるように配置する
ことを特徴とする図形データ生成装置。 - 請求項1に記載された図形データ生成装置において、
前記カット図形が前記閉図形からはみ出た部品を複数含むときは、それらの部品それぞれの面積に応じた順序で前記配置部に前記部品を前記閉図形内の余白内に収まるように配置させる制御部をさらに備える
ことを特徴とする図形データ生成装置。 - 請求項1−3のいずれか1項に記載された図形データ生成装置において、
前記余白内で前記部品を回転させる回転角度単位を外部から設定可能とするための設定部をさらに備え、
前記配置部は、前記部品を前記設定部において設定された所定の回転角度単位で回転させながら前記余白内に収めるように配置すること
を特徴とする図形データ生成装置。 - コンピュータを、請求項1−4のいずれか1項に記載された図形データ生成装置として動作させることを特徴とする図形データ生成プログラム。
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