JP4430172B2 - ネスティング方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ワーク上に複数の製品を板取りの効率を良くするように配置する、ネスティング方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、受注製品をNC加工するための加工データは、自動プログラミング装置で自動で作成していた。このため、CAD図形としてのワーク形状に、製品形状を板取するために、全ての製品形状をオペレータが手動により配置していた。または、プログラムが複数の製品形状を矩形として認識して、ネスティング処理を行って自動でワーク形状に配置していた。
【0003】
すなわち、オペレータが製品形状と、その板取りする個数を入力するとプログラムは、入力された製品形状の外形の大きさの、例えば、大きい順にワーク形状に板取りしていた。
【0004】
そして、ワーク形状に板取りされた製品形状に製品の中が中空になっている板取可能領域があるかどうかを見つけて、この部分に他の製品形状が配置できないかどうかを判断して、配置できる場合はオペレータがオペレーションで他の製品形状を板取可能領域に移動し配置していた。また、製品形状がL字形のような場合、他の製品形状を板取れる場合があるので、他の製品形状をオペレータがオペレーションで移動し配置していた。
【0005】
また、同一製品形状がある場合は、組み合わせによっては、板取りの歩留まりが向上するためにオペレータは、組み合わせをオペレーションにより行い板取り状態を変更したりしていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のネスティング方法では以下のような問題があった。
【0007】
すなわち、オペレータにより入力された製品形状を、入力された数分ワーク形状に板取る際にプログラムは製品形状を矩形として判断する。
【0008】
このため、例えば、製品形状同士の組み合わせにより歩留まり上効率良く配置される製品が配置されない場合、オペレータが表示画面上で製品形状の配置を再度行い時間が掛かるという問題があった。
【0009】
また、入力された製品形状の中に中空の板取可能領域が存在する場合、オペレータは、この板取可能領域の内側にさらに他の製品形状を配置できるかどうかを判断しなれればならず、これには製品形状内の板取可能領域の寸法と、その内部に配置しようとする他の製品の寸法を調べなければならず検討時間が掛かるという問題があった。
【0010】
また、納期の短い製品等は、オペレータが製品形状を上述のように並べ替える時間が取れないために歩留まりの悪い板取りで加工しなければならずワーク材のコストがかかるという問題があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、請求項1に係る発明は、複数の板金製品をNC加工機により製造するためにCAD図形として、前記複数の板金製品の製品形状を所定寸法形状のワーク形状に適正な歩留まりで板取りを行うネスティング方法において、前記製品形状又はCAMデータと、その板取りする個数とを表示画面より入力する情報入力工程と、前記製品形状の各々に対して製品形状中に他の製品形状を板取可能な領域が存在する場合、この板取可能な領域の内側を、板取可能領域として認識する領域認識工程と、複数の製品形状をワーク形状内に、適正な歩留まりで板取りするために同一の製品形状毎に組み合わせる製品形状組み合わせ工程と、単一の製品形状及び、組み合わされた製品形状をワーク形状に板取るネスティング工程と、ワーク形状内の空き領域又は、ワーク形状に板取りされた製品形状の内部に前記板取可能領域が存在する場合、前記空き領域又は、前記板取可能領域に、他の製品形状を歩留まりが適正になるように再配置する再配置工程とを含み、前記領域認識工程は、製品形状の中に板取可能領域が存在する場合、前記製品形状の外形形状と、製品形状の中の板取可能領域とを分割する製品形状分割工程と、前記外形図形の内側と、前記板取可能領域の内側を認識し、前記認識した部分が互いに重なった部分を板取り領域として認識する製品内板取領域認識工程とをさらに含むネスティング方法である。
【0012】
請求項2に係る発明は、複数の板金製品をNC加工機により製造するためにCAD図形として、前記複数の板金製品の製品形状を所定寸法形状のワーク形状に適正な歩留まりで板取りを行うネスティング方法において、前記製品形状又はCAMデータと、その板取りする個数とを表示画面より入力する情報入力工程と、前記製品形状の各々に対して製品形状中に他の製品形状を板取可能な領域が存在する場合、この板取可能な領域の内側を、板取可能領域として認識する領域認識工程と、複数の製品形状をワーク形状内に、適正な歩留まりで板取りするために同一の製品形状毎に組み合わせる製品形状組み合わせ工程と、単一の製品形状及び、組み合わされた製品形状をワーク形状に板取るネスティング工程と、ワーク形状内の空き領域又は、ワーク形状に板取りされた製品形状の内部に前記板取可能領域が存在する場合、前記空き領域又は、前記板取可能領域に、他の製品形状を歩留まりが適正になるように再配置する再配置工程とを含み、前記製品形状の各処理において、この製品形状を、当該製品形状より小さい面積の四角形の集まりとして認識して製品形状をプログラム処理するネスティング方法である。
【0013】
請求項3にかかる発明は、前記製品形状組み合わせ工程は、横方向0度回転又は、縦方向0度回転又は、横方向180度回転又は、縦方向180度回転の少なくとも1つの回転を含む請求項1又は2記載のネスティング方法である。
【0014】
請求項4に係る発明は、複数の板金製品をNC加工機により製造するためにCAD図形として、前記複数の板金製品の製品形状を所定寸法形状のワーク形状に適正な歩留まりで板取りを行うネスティング装置において、前記製品形状又はCAMデータと、その板取りする個数とを表示画面より入力する情報入力手段と、前記製品形状の各々に対して製品形状中に他の製品形状を板取可能な領域が存在する場合、この板取可能な領域の内側を、板取可能領域として認識する領域認識手段と、複数の製品形状をワーク形状内に、適正な歩留まりで板取りするために同一の製品形状毎に組み合わせる製品形状組み合わせ手段と、単一の製品形状及び、組み合わされた製品形状をワーク形状に板取るネスティング手段と、ワーク形状内の空き領域又は、ワーク形状に板取りされた製品形状の内部に前記板取可能領域が存在する場合、前記空き領域又は、前記板取可能領域に、他の製品形状を歩留まりが適正になるように再配置する再配置手段とを備え、前記領域認識手段は、製品形状の中に板取可能領域が存在する場合、前記製品形状の外形形状と、製品形状の中の板取可能領域とを分割する製品形状分割手段と、前記外形図形の内側と、前記板取可能領域の内側を認識し、前記認識した部分が互いに重なった部分を板取り領域として認識する製品内板取領域認識手段とをさらに有するネスティング装置。
【0015】
請求項5に係る発明は、複数の板金製品をNC加工機により製造するためにCAD図形として、前記複数の板金製品の製品形状を所定寸法形状のワーク形状に適正な歩留まりで板取りを行うネスティング装置において、前記製品形状又はCAMデータと、その板取りする個数とを表示画面より入力する情報入力手段と、前記製品形状の各々に対して製品形状中に他の製品形状を板取可能な領域が存在する場合、この板取可能な領域の内側を、板取可能領域として認識する領域認識手段と、複数の製品形状をワーク形状内に、適正な歩留まりで板取りするために同一の製品形状毎に組み合わせる製品形状組み合わせ手段と、単一の製品形状及び、組み合わされた製品形状をワーク形状に板取るネスティング手段と、ワーク形状内の空き領域又は、ワーク形状に板取りされた製品形状の内部に前記板取可能領域が存在する場合、前記空き領域又は、前記板取可能領域に、他の製品形状を歩留まりが適正になるように再配置する再配置手段とを備え、前記製品形状の各処理において、この製品形状を、当該製品形状より小さい面積の四角形の集まりとして認識して製品形状をプログラム処理するネスティング装置である。
【0016】
請求項6に係る発明は、前記製品形状組み合わせ手段は、横方向0度回転又は、縦方向0度回転又は、横方向180度回転又は、縦方向180度回転の少なくとも1つの回転を含む請求項4又は5記載のネスティング装置である。
【0017】
本例に係るCAD/CAMシステム1は、コンピュータよりなるものであって、例えば、図示しないコンピュータ本体とマウス、キーボード等の入出力装置を備えている。
【0018】
そして、CAD/CAMシステム1は、CAD図形等を表示させる表示部3と、図形を作成したりNCデータを作成するCAD/CAM部5と、このCAD/CAM部5により作成したCAD図形及びNCデータ等であるCAD/CAMデータAiを全て格納しているCAD/CAMデータファイル7と、のネスティング処理に必要な情報を表示部3において入力する情報入力部9と、ネスティング処理を総合的に管理するネスティング管理部13と、ネスティング処理中に一時的に保管が必要になるデータを格納する中間データファイル15とを備えている。そして、CAD/CAM部5と、情報入力部9と、ネスティング管理部13とは、リンク制御部11により結合されている。これにより、ネスティング管理部13は、CAD/CAM部5の備えている機能とデータとを共有する事ができる。
【0019】
そして、前記ネスティング管理部13は、製品形状読込部17と、製品形状分割部19と、製品内板取領域認識部21と、製品形状組合せ部23と、ネスティング部25と、再配置処理部27とを備えている。
【0020】
前記製品形状読込部17は、前記情報入力部9で入力したデータに基づき、このデータに対応した製品形状データGiをプログラムが直接作業可能なメモリ内である中間データファイル15に格納する処理を行う。前記製品形状分割部19は、中間データファイル15から製品形状データGiを読み込み、例えば、製品の内部に空洞がある場合、その製品の外形と、空洞の形状を認識するために、この2つの形状を分割する処理を行い分割された製品形状データである分割データSiを中間データファイル15に格納する。
【0021】
前記製品内板取領域認識部21は、中間データファイル15から前記分割データSiを読み込み、前記製品形状分割部19で分割した製品内部の空間部分である板取可能領域の内部を板取領域として認識させたデータである認識製品データPiを中間データファイル15に格納する。
【0022】
前記製品形状組合せ部23は、中間データファイル15から認識製品データPiを読み込み、歩留まりの効率的なネスティングの結果を得るため同じ製品同士をワーク形状に板取る前に組み合わせた結果のデータである組み合わせデータMiを中間データファイルに格納する。前記ネスティング部25は、中間データファイル15より組み合わせデータMiを読み込み、組み合わされた製品及び、単一の製品をネスティングして生成したデータであるネスティングデータNiを中間データファイル15に格納する。再配置処理部27は、中間データファイル15よりネスティングデータNiを読み込み、前記製品内板取領域認識部21で生成した板取可能領域内又は、隙間領域内に他の製品形状を配置したデータである再配置処理データHiを生成して中間データファイル15に格納する。
【0023】
さらに、このCAD/CAMシステム1は、再配置処理部27で生成した再配置処理データHiに基づき製品形状を再配置させた結果の完成データFiを抽出して、完成データファイル31に格納する処理部である完成データ抽出部29と、前記完成データファイル31より完成データFiを抽出して、CAD/CAMデータファイル7に図形/CAMデータとして格納するデータ生成部33を備えている。そして、CAD/CAM部5は、この製品形状がネスティングされ図形/CAM化されたデータに基づきNCデータを生成して、本例では、例えば、通信ケーブル35によりNC加工機37に送信する。なお、データの送信は、紙テープ、フロッピーディスクFD、及び、メモリ等を媒体として送信してもよいことは勿論である。そして、以上により、板金製品を加工することができるようになる。
【0024】
図2〜図6を参照してネスティング処理のフローを説明する。なお、必要に応じて図7〜図10の図面を参照する。
【0025】
図2を参照するに、初めに、ステップS201の入力処理では、入力データを表示部3より入力する。この入力データは、製品の形状データ(加工データまたは製品形状データとして与えられる。媒体は、ネットワーク上の通信ケーブルから紙テープまで考えられるが最終的にはその一部又は全部がプログラム直接読み込めるメモリ上に展開されるものとする。また、矩形ネスティングの場合は、xとyの大きさによって与えられる場合もある)と、その個数を入力する。また、ワーク(母材)サイズを入力するが、ワークサイズはxとyの大きさによって与えられる場合と、形状データとして与えられる場合がある。本例では、例えば、図7(a)に示す外形線a1〜a6により構成される製品形状aiが2個、図7(b)に示す外形線b1〜b6により構成される製品形状biが1個、図7(c)に示す外形線c11〜c14と、板取可能領域HLの内形線c21〜c24とにより構成される製品形状ciが1個、図7(d)に示す外形線d1〜d10により構成される製品形状diが1個、図7(e)に示す外形線e1により構成される製品形状eiが2個と入力されたものとする。また、ワーク形状の大きさは、XY値により入力されたものとする。
【0026】
図2に戻り、ステップS203の読み込み処理では、ステップS201で入力させたデータに基づき製品形状データをプログラム処理での直接アクセスできるメモリであるワーク領域内に読み込む処理を行う。これにより、プログラムは、複数の製品形状を板取り処理する事ができる。そして、ステップS205の判断処理では、入力された製品形状の全てに対してステップS207とステップS209との処理を行ったかどうかの判断を行う。ステップS205の判断処理で全ての製品形状に対してステップS207とステップS209の処理を行っていないと判断したときは、処理をステップS207の認識処理に移す。ステップS205の判断処理で全ての製品形状に対してステップS207とステップS209の処理を行ったと判断したときは、処理をステップS211に移す。
【0027】
次に、ステップS207の認識処理では製品形状の形状をプログラムが認識する処理を行う。ここで、図5を参照して認識処理の方法を詳細に説明する。なお、本例の場合、図8(a)に示すように、外形線SP11〜SP16と板取可能領域の外形線SP21〜SP24とにより構成される製品形状Siを参照する。初めに、ステップS501の描画処理では、図8(b)に示すように製品形状Siを、例えば、この製品形状を覆う矩形SAを、微少な四角形に分割した領域内に配置する。これによりプログラムは、前記製品形状を前記微少な四角形の集まりとしてデータ処理することができるようになる。ステップS503の外形認識処理では製品形状の外形を微少な四角形の集まりとして認識する処理を行う。この結果、図8(c)に示すように微少な四角形の集まりである外形形状OGが得られる。これによりプログラムは、製品形状の外形を四角形の集まりのデータとして処理することができる。すなわち、後に製品形状をワーク形状に配置するときに内部を塗りつぶして配置するが微少な四角形の集まりのデータとして扱えばプログラムが容易に処理できる。
【0028】
そして、ステップS505の分割処理では、矩形領域SA内から前記製品形状の外形形状OGを取り除く処理を行う。その結果、図8(d)に示すように板取可能領域SHのみが矩形SA内に定義されることになる。ステップS507の塗りつぶし処理では、板取可能領域の外側の領域部分OAを塗りつぶす処理を行う。この結果、図8(e)に示すように、外側の領域部分OAと、内側の領域部分IAをプログラムで識別ができるようになる。次に、ステップS509の板取可能領域生成処理では、図8(f)に示すように、塗りつぶされていない部分の外側を追いかけこれを板取可能領域HGとする。
【0029】
上述の処理は、例えば、プログラム内で定義される2次元配列に矩形SAを微少に分割した四角形の位置を格納することにより行うことができる。
【0030】
説明を図2のステップS209の組み合わせ処理に移す。この処理の詳細を図6のフローを参照して説明する。初めに、ステップS601のサイズ算出処理では、入力された製品形状の縦横の大きさを算出する処理を行う。これにより、同一の大きさの製品形状毎にまとめることができプログラム内で同一製品形状かどうかを認識する処理速度が速くなる。例えば、入力された製品形状の外形の大きさ予め全て算出して、現在処理中の製品形状の大きさと比較して同一のときにのみ形状を比較するすればプログラムの処理速度は向上する。ステップS603の組み合わせ処理では、同一形状の製品形状同士を横方向0度回転で組み合わせる。この結果、図9(a)に示すように、製品形状GA1と、製品形状GA2とが横方向に平行に並んだ状態になる。ここで、組み合わせは製品形状同士が重ならず、かつ組み合わされた製品形状を含む矩形が最小面積しか占めないように組み合わせを行う。すなわち、製品形状を組み合わせたことにより、板取り時に他の製品形状を配置することができずに廃棄される無駄な領域が最小となるように組み合わせを行う。
【0031】
ステップS605の組み合わせ処理では、同一形状の製品同士を縦方向0度の回転で組み合わせる。この結果、図9(b)に示すように、製品形状GB1と製品形状GB2とが縦方向に平行に並んだ状態になる。ステップS607の組み合わせ処理では、同一形状の製品形状同士を横方向180度回転で組み合わせる。この結果、図9(c)に示すように、一方の製品形状GC1と、これに組み合わされる他方の製品形状GC2とが180度回転した状態で横方向に平行に並んだ状態になる。そして、ステップS609の組み合わせ処理では同一形状の製品形状同士を縦方向180度回転で組み合わせる。この結果、図9(d)に示すように、製品形状GD1と製品形状GD2とが縦方向に平行に並んだ状態になる。なお、図9(c)に示す製品形状GC1と製品形状GC2との間隔SPCが存在するため最小面積にはならないが、この部分は、例えば、レーザ加工の場合2度加工される場合や、レーザの巾を考慮して適宜の間隔が開けられるように組み合わされる。同様に、図9(d)に示すように製品形状GD1と製品形状GD2との間隔SPDが存在するため最小面積にはならないが、この部分は、前述の如く適宜の間隔が開けられるように組み合わされる。
【0032】
ところで、前記説明においては組み合わせの態様として縦0度、縦180度、横0度、横180度の場合について説明したが、当然のこととして製品形状等に対応して上記回転角以外、例えば90度等、適宜の角度での組み合わせをすることも可能である。
【0033】
説明を図2に戻す。ステップS205の処理で製品形状の全てに対して上述のステップS207とステップS209の処理を行ったと判断したときは処理をステップS211の板取処理に移す。ステップS211の板取処理では、単一の製品形状のサイズ及び、同一の形状同士組み合わされた製品形状のサイズと、要求された枚数に基づきワーク形状の空き領域に製品形状を板取する処理を行う。ここで、組み合わされた製品形状は、この組み合わされた製品形状の単位で配置されることは勿論である。ステップS213の判断処理では、要求された全ての単一の製品形状と、組み合わされた製品形状とをワーク形状に板取したかどうかを判断する。ステップS213の判断処理で、全ての単一の製品形状と、組み合わされた製品形状とを板取したと判断したときは、処理をステップS217の仮想配置処理に移す。ステップS213の判断処理で全ての単一の製品形状と、組み合わされた製品形状とには板取していないと判断したときは処理をステップS215の読み込み処理に移す。そして、ステップS215の読み込み処理では、要求された製品形状及び、組み合わされた製品形状の中で、まだ、ワーク形状に板取していないものを処理対象とするためにプログラムに読み込む処理を行う。そして、処理をステップS211の板取処理に戻し板取を続行する。上述までの処理で図10(a)に示すようにワーク形状に製品形状GA1、GA2、GA3、GA4、GA5、GA6、GA7が配置されたCAD図形データが生成する。
【0034】
次に、ステップS217の仮想配置処理では、製品形状の認識処理で求めた製品形状の外形の輪郭の内側を塗りつぶしたもの(以下仮想製品形状という)をプログラムのメモリに配置する処理を行う。ここで、製品形状を仮想配置する位置は、ステップS211の処理で製品形状を配置した位置と同一であることは勿論である。そして、ステップS219の板取可能領域生成処理では、製品形状の認識処理で求めた形状が板取可能領域である場合、板取可能領域を該当する製品形状中に配置する。これにより、塗りつぶされた中に塗りつぶされたものを配置することによりこの重なった部分を製品形状中の板取可能領域として、他の仮想製品形状を配置することができる領域として認識できる。
【0035】
そして、ステップS221の判断処理では、ステップS211の板取処理で製品形状を配置した数と、現在までに処理した仮想製品形状の数を比較する処理を行う。ステップS221の判断処理でステップS211の処理で配置した製品形状の数より、現在までに処理した仮想製品形状の方が少ないと判断したときは、処理をステップS223の仮想製品形状読み込み処理に移す。ステップS221の判断処理でステップS211の処理で配置した製品形状と、現在までに処理を行った仮想製品形状の数が同一になったときは、処理をステップS225の再配置処理に移す。ステップS223の仮想製品形状読み込み処理では、次の処理の対象となる仮想製品形状をプログラム内に読み込む。そして、処理をステップS217の配置処理に戻し続行する。これらの処理により図10(b)に示すようにプログラムのメモリ内において仮想ワーク形状内に配置された仮想製品形状GB1、GB2、GB3、GB4、GB5、GB6、GB7が生成する。なお、ここで仮想板取可能領域GB7Hは他の仮想製品形状を配置できる領域として認識されている。
【0036】
次に、ステップS225の再配置処理では、対象の仮想製品形状を読み込みワーク形状の空きの領域及び、仮想製品形状中に存在する板取可能領域内の領域に対して、既に配置された仮想製品形状をより歩留まりが効率的になるように再配置することができるかどうかを試み配置する。ステップS227の判断処理では、仮想製品形状を再配置する領域が無いか、又は、同一形状の仮想製品形状が無いかどうかを判断する。ステップS227の判断処理で仮想製品形状を再配置する領域があり、同一形状の仮想製品形状があると判断したときは次の仮想製品形状を処理対象として処理をステップS225の再配置処理に戻す。ステップS227の判断処理で仮想製品形状を再配置して板取る領域が無い、又は、同一の仮想製品形状が無いと判断したときは処理をステップS229の判断処理に移す。ステップS229の判断処理では全ての仮想製品形状に対してステップS225の再配置処理を行ったかどうかを判断する。ステップS229の判断処理で全ての仮想製品形状に対してはステップS225の再配置処理を行っていないと判断したときは、処理をステップS231の読み込み処理に移す。ステップS231の読み込み処理では次の仮想製品形状を板取り再配置する対象として次の仮想製品形状を読み込む。その後、処理をステップS225の再配置処理に戻す。ステップS229の判断処理で全ての仮想製品形状に対してステップS225の再配置処理を行い板取る仮想製品形状が無いと判断したときは処理を終了する。この結果、プログラムのメモリ内で再配置処理が完了して、図10(c)に示すように、仮想ワーク形状内で仮想製品形状GC1と、空きの領域に板取り配置されたGC2Mと、空きの領域に板取り配置されたGC3Mと、GC4と、GC5と、GC6と、GC7が生成される。そして、この配置された仮想製品形状の位置に基づき製品形状を再配置すれば、ワーク形状に適正な板取りされた製品形状を生成することができる。
【0037】
このワーク形状に板取された製品形状の図形に基づきNCデータを生成して実際の製品加工を行うことができる。
【0038】
図11は前述したネスティング装置を制御するための制御プログラムを記憶した記憶媒体の1例としてのCD−ROMを示すものである。
【0039】
上記記憶媒体CDは、コンピュータによりネスティング装置を制御させるための制御プログラムを記憶した記憶媒体であって、当該制御プログラムは、
製品形状又はCAMデータと、その板取りする個数とを表示画面より入力する情報入力プログラムと、前記製品形状の各々に対して製品形状中に他の製品形状を板取可能な領域が存在する場合、この板取可能な領域の内側を、板取可能領域として認識する領域認識プログラムと、複数の製品形状をワーク形状内に、適正な歩留まりで板取りするために同一の製品形状毎に組み合わせる製品形状組み合わせプログラムと、単一の製品形状及び、組み合わされた製品形状をワーク形状に板取るネスティングプログラムと、ワーク形状内の空き領域又は、ワーク形状に板取りされた製品形状の内部に前記板取可能領域が存在する場合、前記空き領域又は、前記板取可能領域に、他の製品形状を歩留まりが適正になるように再配置する再配置プログラムとを記憶しているものである。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、オペレータにより入力された製品形状を同一形状毎に歩留まりが向上するように組み合わせてからワーク形状内に配置するのでオペレータは、前もって板取り、または、再度板取りしなくても良くなりオペレーション工数が低減するという効果がある。
【0041】
また、製品形状を、矩形ではなく細かな点の集まりとして認識し、それをコンピュータ内で処理するためプログラム内で容易に板取可能領域を認識できるようになる。このため、製品形状の中に板取可能領域が存在する場合、プログラムが自動で板取可能領域を認識して、他の製品形状を配置することができるので、オペレータが板取可能領域の内側にさらに他の製品を配置できるかどうかを判断する必要が無くなり、製品形状内の板取可能領域の寸法と、その内部に配置しようとする他の製品の寸法を調べる等の検討時間が削減されるという効果がある。
【0042】
また、プログラムで適正な板取を行うため歩留まりが向上して、ワーク材のコストの低減になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】ネスティング装置の概略の構成を示す概略図である。
【図2】製品形状のネスティングのフローを説明するフローチャート図である。
【図3】図2の続きのフローチャート図である。
【図4】図3の続きのフローチャート図である。
【図5】製品形状を分割するフローを説明するフローチャート図である。
【図6】製品形状を組み合わせるフローを説明するフローチャート図である。
【図7】板取する製品形状と個数を説明する説明図である。
【図8】プログラム処理の内部データを図形化したイメージ図である。
【図9】プログラム処理の内部データを図形化したイメージ図である。
【図10】プログラム処理の内部データを図形化したイメージ図である。
【図11】記憶媒体の説明図である。
【符号の説明】
1 CAD/CAMシステム
3 表示部
5 CAD/CAM部
7 CAD/CAMデータファイル
9 情報入力部
11 リンク制御部
13 ネスティング管理部
15 中間データファイル
17 製品形状読込部
19 製品形状分割部
21 製品内板取領域認識部
23 製品形状組合せ部
25 ネスティング部
27 再配置処理部
29 完成データ抽出部
31 完成データファイル
33 データ生成部
35 通信ケーブル
37 NC加工機

Claims (6)

  1. 複数の板金製品をNC加工機により製造するためにCAD図形として、前記複数の板金製品の製品形状を所定寸法形状のワーク形状に適正な歩留まりで板取りを行うネスティング方法において、
    前記製品形状又はCAMデータと、その板取りする個数とを表示画面より入力する情報入力工程と、
    前記製品形状の各々に対して製品形状中に他の製品形状を板取可能な領域が存在する場合、この板取可能な領域の内側を、板取可能領域として認識する領域認識工程と、
    複数の製品形状をワーク形状内に、適正な歩留まりで板取りするために同一の製品形状毎に組み合わせる製品形状組み合わせ工程と、
    単一の製品形状及び、組み合わされた製品形状をワーク形状に板取るネスティング工程と、
    ワーク形状内の空き領域又は、ワーク形状に板取りされた製品形状の内部に前記板取可能領域が存在する場合、前記空き領域又は、前記板取可能領域に、他の製品形状を歩留まりが適正になるように再配置する再配置工程とを含み、
    前記領域認識工程は、製品形状の中に板取可能領域が存在する場合、前記製品形状の外形形状と、製品形状の中の板取可能領域とを分割する製品形状分割工程と、
    前記外形図形の内側と、前記板取可能領域の内側を認識し、前記認識した部分が互いに重なった部分を板取り領域として認識する製品内板取領域認識工程とをさらに含むことを特徴とするネスティング方法。
  2. 複数の板金製品をNC加工機により製造するためにCAD図形として、前記複数の板金製品の製品形状を所定寸法形状のワーク形状に適正な歩留まりで板取りを行うネスティング方法において、
    前記製品形状又はCAMデータと、その板取りする個数とを表示画面より入力する情報入力工程と、
    前記製品形状の各々に対して製品形状中に他の製品形状を板取可能な領域が存在する場合、この板取可能な領域の内側を、板取可能領域として認識する領域認識工程と、
    複数の製品形状をワーク形状内に、適正な歩留まりで板取りするために同一の製品形状毎に組み合わせる製品形状組み合わせ工程と、
    単一の製品形状及び、組み合わされた製品形状をワーク形状に板取るネスティング工程と、
    ワーク形状内の空き領域又は、ワーク形状に板取りされた製品形状の内部に前記板取可能領域が存在する場合、前記空き領域又は、前記板取可能領域に、他の製品形状を歩留まりが適正になるように再配置する再配置工程とを含み、
    前記製品形状の各処理において、この製品形状を、当該製品形状より小さい面積の四角形の集まりとして認識して製品形状をプログラム処理することを特徴とするネスティング方法。
  3. 前記製品形状組み合わせ工程は、横方向0度回転又は、縦方向0度回転又は、横方向180度回転又は、縦方向180度回転の少なくとも1つの回転を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のネスティング方法。
  4. 複数の板金製品をNC加工機により製造するためにCAD図形として、前記複数の板金製品の製品形状を所定寸法形状のワーク形状に適正な歩留まりで板取りを行うネスティング装置において、
    前記製品形状又はCAMデータと、その板取りする個数とを表示画面より入力する情報入力手段と、
    前記製品形状の各々に対して製品形状中に他の製品形状を板取可能な領域が存在する場合、この板取可能な領域の内側を、板取可能領域として認識する領域認識手段と、
    複数の製品形状をワーク形状内に、適正な歩留まりで板取りするために同一の製品形状毎に組み合わせる製品形状組み合わせ手段と、
    単一の製品形状及び、組み合わされた製品形状をワーク形状に板取るネスティング手段と、
    ワーク形状内の空き領域又は、ワーク形状に板取りされた製品形状の内部に前記板取可能領域が存在する場合、前記空き領域又は、前記板取可能領域に、他の製品形状を歩留まりが適正になるように再配置する再配置手段とを備え、
    前記領域認識手段は、製品形状の中に板取可能領域が存在する場合、前記製品形状の外形形状と、製品形状の中の板取可能領域とを分割する製品形状分割手段と、
    前記外形図形の内側と、前記板取可能領域の内側を認識し、前記認識した部分が互いに重なった部分を板取り領域として認識する製品内板取領域認識手段とをさらに有することを特徴とするネスティング装置。
  5. 複数の板金製品をNC加工機により製造するためにCAD図形として、前記複数の板金製品の製品形状を所定寸法形状のワーク形状に適正な歩留まりで板取りを行うネスティング装置において、
    前記製品形状又はCAMデータと、その板取りする個数とを表示画面より入力する情報入力手段と、
    前記製品形状の各々に対して製品形状中に他の製品形状を板取可能な領域が存在する場合、この板取可能な領域の内側を、板取可能領域として認識する領域認識手段と、
    複数の製品形状をワーク形状内に、適正な歩留まりで板取りするために同一の製品形状毎に組み合わせる製品形状組み合わせ手段と、
    単一の製品形状及び、組み合わされた製品形状をワーク形状に板取るネスティング手段と、
    ワーク形状内の空き領域又は、ワーク形状に板取りされた製品形状の内部に前記板取可能領域が存在する場合、前記空き領域又は、前記板取可能領域に、他の製品形状を歩留まりが適正になるように再配置する再配置手段とを備え、
    前記製品形状の各処理において、この製品形状を、当該製品形状より小さい面積の四角形の集まりとして認識して製品形状をプログラム処理することを特徴とするネスティング装置。
  6. 前記製品形状組み合わせ手段は、横方向0度回転又は、縦方向0度回転又は、横方向180度回転又は、縦方向180度回転の少なくとも1つの回転を含むことを特徴とする請求項4又は5記載のネスティング装置。
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