WO2017090277A1 - 加工データ作成装置及び加工データ作成プログラム - Google Patents
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Abstract
加工装置により被加工物から複数の模様を切断し、それら切断パーツを組合せる場合に、複数の切断パーツを容易に識別可能とする加工データを作成する。加工データ作成装置は、切断対象となる複数の模様を指定する指定手段と、指定手段により指定された各模様に関し、他の模様と識別するための識別情報を取得する取得手段と、指定手段により指定された各模様を反転した反転模様を生成する反転手段と、各反転模様の内側に、取得手段により取得された識別情報を配置する識別情報配置手段と、被加工物から各反転模様を切断するための切断データ、及び、識別情報配置手段により配置された位置に識別情報を描画する描画データを生成する加工データ生成手段とを備える。
Description
本発明は、シート状の被加工物に対する、カッタカートリッジを用いた切断動作、及びペンカートリッジを用いた描画動作が可能な加工装置により、加工動作を実行させるための加工データを作成する加工データ作成装置及び加工データ作成プログラムに関する。
従来、切断データに基づいて、紙等のシート状の被切断物を、切断機構により所定形状に切断するカッティングプロッタと称される切断装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このものでは、専用のマットに被切断物を保持させた状態で、模様形状に対応した切断データに基づいて、カッタを有するキャリッジを左右(X)方向に移動させながら、被切断物を前後(Y)方向に移動させることにより、複数の模様の切断動作を行う。
尚、上記のようなカッティングプロッタにおいて、キャリッジに対し、対象物を切断するためのカッタカートリッジに代えて、ペンが内蔵されたペンカートリッジを装着することにより、被切断物の表面に所望の模様や図柄を描画することができるものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
カッティングプロッタにおいて、被切断物から複数の模様を切断し、その後それら複数の切断パーツを組合せて一つの装飾物を作るといったことが行われる。そのような場合に、良く似た形状の切断パーツが複数個存在していると、いずれの位置に組合せるパーツかの見分けがつかなくなる虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、加工装置により被加工物から複数の模様を切断する場合に、複数の切断パーツを容易に識別可能とする加工データを作成することができる加工データ作成装置及び加工データ作成プログラムを提供するにある。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る加工データ作成装置は、シート状の被加工物に対する、カッタカートリッジを用いた切断動作、及びペンカートリッジを用いた描画動作が可能な加工装置により、加工動作を実行させるための加工データを作成するものであって、切断対象となる複数の模様を指定する指定手段と、前記指定手段により指定された各模様に関し、他の模様と識別するための識別情報を取得する取得手段と、前記指定手段により指定された各模様を反転した反転模様を生成する反転手段と、前記各反転模様の内側に、前記取得手段により取得された識別情報を配置する識別情報配置手段と、前記被加工物から前記各反転模様を切断するための切断データ、及び、前記識別情報配置手段により配置された位置に識別情報を描画する描画データを生成する加工データ生成手段とを備えるところに特徴を有する。
本発明の請求項10に係る加工データ作成プログラムは、上記加工データ作成装置の各種処理手段として、コンピュータを機能させるところに特徴を有する。
本発明の請求項1に係る加工データ作成装置によれば、指定手段により切断の対象となる複数の模様が指定されると、それら各模様に関し、取得手段により、他の模様と識別するための識別情報が取得される。反転手段により、上記各模様を反転した反転模様が生成され、識別情報配置手段により、それら各反転模様の内側に、取得手段により取得された識別情報が配置される。そして、加工データ生成手段により、被加工物から各反転模様を切断するための切断データ、及び、識別情報配置手段により配置された位置に識別情報を描画する描画データが生成される。被加工物に対し、上記切断データを用いて切断動作が行われると共に、描画データを用いて描画動作が行われると、反転模様が切断されると共に、その切断パーツの表面に識別情報が描画される。
ここで、切断データは、被加工物を表向きにして切断動作を行った場合、被加工物の表面側で模様の輪郭を切断するためのデータとなるので、各反転模様を切断するための切断データを用いることにより、模様を表裏反転したつまり裏返した切断パーツが得られる。そのため、被加工物を予め裏返して切断及び描画の加工を行うことにより、表向きにした際に元の模様に対応した切断パーツを得ることができ、その切断パーツの裏面に、識別情報が描画されるようになる。この結果、請求項1の発明によれば、加工装置により被加工物から複数の模様を切断する場合に、複数の切断パーツを容易に識別可能とする加工データを作成することができるという優れた効果を得ることができる。この場合、識別情報が、切断パーツの表面に現れる不都合を未然に防止することができることは勿論である。
また、本発明の請求項10に係る加工データ作成プログラムによれば、当該プログラムをコンピュータに実行させることで、請求項1に記載の発明の効果と同様の優れた効果を奏する。
(1)第1の実施形態
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について、図1から図7を参照しながら説明する。尚、この第1の実施形態では、加工装置として、カッティングプロッタと称される切断装置に本発明を適用し、この切断装置が、加工データ作成装置を兼用している。図1は、本実施形態に係る加工データ作成装置としての切断装置11の外観構成を示している。また、図2は、切断装置11の電気構成を概略的に示している。この切断装置11は、切断部材としてのカッタカートリッジ14の装着状態で、切断データに従って紙等のシート状の被加工物Wを切断する装置である。また、カッタカートリッジ14に代えて、ペン部材としてのペンカートリッジ17を装着することにより、描画データに従って被加工物Wの上面にペンによる描画を行うことができる。
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について、図1から図7を参照しながら説明する。尚、この第1の実施形態では、加工装置として、カッティングプロッタと称される切断装置に本発明を適用し、この切断装置が、加工データ作成装置を兼用している。図1は、本実施形態に係る加工データ作成装置としての切断装置11の外観構成を示している。また、図2は、切断装置11の電気構成を概略的に示している。この切断装置11は、切断部材としてのカッタカートリッジ14の装着状態で、切断データに従って紙等のシート状の被加工物Wを切断する装置である。また、カッタカートリッジ14に代えて、ペン部材としてのペンカートリッジ17を装着することにより、描画データに従って被加工物Wの上面にペンによる描画を行うことができる。
図1に示すように、切断装置11は、本体カバー12と、本体カバー12内に配設されたプラテン13と、カートリッジ14、17が着脱可能つまり交換可能に装着されるキャリッジ15とを備えている。切断装置11は、被加工物Wを保持するための保持部材16を備える。保持部材16は、全体として矩形薄板状をなすベース部と、ベース部の上面に設けられた粘着層とを備えている。粘着層は、ベース部の4辺の周縁部を除いて矩形状に設けられており、被加工物Wを剥離可能に保持する。
本体カバー12は、横長な矩形箱状をなしており、前面部には横長に開口する前面開口部12aが形成されている。保持部材16は、切断装置11内に前面開口部12aから挿入され、プラテン13の上面にセットされる。本体カバー12内には、プラテン13の上面にセットされた保持部材16を、前後方向(Y方向)に移送する移送機構が設けられている。この移送機構は、保持部材16を上下に挟んで移送するためのピンチローラ21及び駆動ローラ22、駆動ローラ22を回転させるY軸モータ23(図2にのみ図示)等から構成される。
更に、本体カバー12内には、キャリッジ15を、左右方向(X方向)に移動させるキャリッジ移動機構が設けられる。このキャリッジ移動機構は、キャリッジ15を移動可能に支持するガイドレール24、X軸モータ25(図2にのみ図示)の駆動力を伝達してキャリッジ15を左右方向に移動させるベルト伝達機構などから構成される。
ここで、本実施形態における方向について定義する。移送機構による保持部材16の移送方向を、前後方向(Y方向)とする。キャリッジ移動機構によるキャリッジ15の移動方向を、左右方向(X方向)とする。前後方向と左右方向とに直交する方向を、上下方向(Z方向)とする。切断装置11は、図1に示すように、保持部材16の粘着部の左側後方の角部を原点oとしたX-Y座標系が設定され、そのXY座標系に基づいて後述する切断データ及び描画データが作成される。保持部材16の粘着層は、X方向及びY方向に延びる辺を有し、保持可能な被加工物Wのサイズは、左右方向の寸法がX1、前後方向の寸法がY1とされており、その矩形領域が加工可能範囲A(図7参照)とされている。
本体カバー12の上面の右側部位には、操作パネル18が設けられている。操作パネル18は、液晶ディスプレイ(LCD)19と、ユーザが各種の指示や選択又は入力の操作を行うための各種操作スイッチ20とが設けられている。なお、各種操作スイッチ20には、LCD19の表面に設けられるタッチパネルも含まれるものとする。
キャリッジ15は、カートリッジホルダ26と、カートリッジホルダ26を上下方向に駆動させる上下駆動機構を備える。カートリッジホルダ26は、カッタカートリッジ14、17を着脱可能に保持する。被加工物Wに対する切断動作を行う場合には、カートリッジホルダ26にカッタカートリッジ14が装着される。詳しく図示はしないが、カッタカートリッジ14は、上下方向に延びる円筒状のケースと、その中心軸に沿って延びるカッタとを備える。カッタは、ケースの下端部から所定寸法だけ下方に突出し、その下端に刃部が形成されている。
また、被加工物Wに対する描画動作を行う場合には、カートリッジホルダ26に、ペンカートリッジ17が装着される。ペンカートリッジ17は、上下方向に延びる円筒状のケースと、そのケースに保持されるペンとを備える。ペンの先端は、ケースの下端部から下方に突出している。上下駆動機構は、Z軸モータ27(図2にのみ図示)等を備え、カートリッジホルダ26を、切断や描画の動作を行う下降位置と、上方に退避して作業を行わない上昇位置との間で移動させる。
このとき、カッタカートリッジ14が装着されている場合には、カートリッジホルダ26の下降位置で、カッタの刃部が、保持部材16に保持されている被加工物Wを厚み方向に貫通する状態になる。また、ペンカートリッジ17が装着されている場合には、カートリッジホルダ26の下降位置では、ペンの先端が被加工物Wの上面に当接して描画が可能とされる。尚、詳しく図示はしないが、カートリッジホルダ26には、カートリッジホルダ26に装着されているカートリッジの種類、即ちカッタカートリッジ14かペンカートリッジ17かを認識するため検知センサ38(図2にのみ図示)が設けられている。これにより、切断又は描画の動作に応じたカートリッジがカートリッジホルダ26に装着されていない場合に、ユーザに交換を促す報知を行うことができる。また、本実施形態の切断装置11は、保持部材16に保持された原画等の表面の模様を読取るスキャナ部28(図2にのみ図示)も設けられている。
図2に示すように、切断装置11は、制御手段として制御回路29を備えている。制御回路29は、コンピュータ(CPU)を主体として構成され、切断装置11の全体の制御を司る。制御回路29には、LCD19、各種操作スイッチ20、スキャナ部28、検知センサ38が接続されていると共に、ROM30、RAM31、EEPPOM32が接続されている。また、制御回路29には、X軸モータ25、Y軸モータ23、Z軸モータ27を夫々駆動するための駆動回路33、34、35が接続されている。更に、制御回路29には、例えばUSBメモリ等の外部メモリ36が接続可能とされている。
ROM30には、切断動作や描画動作を制御するための動作制御プログラムや、加工データ即ち切断データ及び描画データを作成及び編集する加工データ作成プログラム、LCD19の表示を制御する表示制御プログラム等の各種制御プログラムが記憶されている。RAM31には、各種処理に必要なデータやプログラムが一時的に記憶される。EEPROM32或いは外部メモリ36には、多数の模様に関しての形状を示す模様データや、当該所定形状の模様を切断するために作成された切断データ、描画動作を行うための描画データが保存されている。
制御回路29は、動作制御プログラムの実行により、切断データや描画データに基づいて、切断動作や描画動作を実行する。切断データは、被加工物Wに上方からカッタを当てて切断するための切断位置を示すデータであり、切断位置をXY座標系で示す座標値のデータの集合から構成される。制御回路29は、カートリッジホルダ26にカッタカートリッジ14が装着されている状態で、切断データに基づいて、駆動回路33、34、35を介してX軸モータ25、Y軸モータ23、Z軸モータ27を夫々制御する。これにより、保持部材16に保持された被加工物Wを前後方向に移動させると共に、キャリッジ15つまりカートリッジホルダ26に装着されたカッタカートリッジ14を左右方向に移動させることにより、被加工物Wに対する切断動作が行われる。
描画データは、被加工物Wの上面にペンを当てて描画する描画位置を示すデータであり、描画位置をXY座標系で示す座標値のデータの集合から構成される。制御回路29は、カートリッジホルダ26にペンカートリッジ17が装着されている状態で、描画データに基づいて、駆動回路33、34、35を介してX軸モータ25、Y軸モータ23、Z軸モータ27を夫々制御する。これにより、保持部材16に保持された被加工物Wを前後方向に移動させると共に、キャリッジ15つまりカートリッジホルダ26に装着されたペンカートリッジ17を左右方向に移動させることにより、被加工物Wに対する描画動作が行われる。
さて、本実施形態では、制御回路29は、加工データ作成プログラムの実行により、被加工物Wに対する加工データを作成する加工データ作成装置としての各処理を実行する。この場合、加工データとして、切断データ及び描画データの双方を作成する。尚、加工データ作成プログラムは、ROM30に予め記憶されているものに限らず、例えば光ディスク等の外部の記録媒体に記録されており、当該記録媒体から読込まれる構成としても良い。更には、ネットワークを介して外部からダウンロードされるものであっても良い。
切断データの作成は、例えばEEPROM32に記憶されている或いはスキャナ部28により読取られた模様のなかから、切断の対象としたい模様を、ユーザが操作して指定すると、その模様を加工可能範囲A内に配置し、その模様を表現する輪郭線を求め、輪郭線に沿って切断するための切断データを作成することにより行われる。描画データの作成は、予め例えばEEPROM32に記憶されている或いはスキャナ部28により読取られた文字やマーク、線図等(以下文字等という)のなかから、描画の対象となる文字等をユーザが指定すると、その文字等を加工可能範囲A内に配置し、その文字等を構成する線を描画するための描画データを作成することにより行われる。
このとき、本実施形態では、後の作用説明でも述べるように、制御回路29は、被加工物Wから複数の模様Fを切断して複数の切断パーツPを得ると共に、それぞれの模様F(切断パーツP)に識別情報を描画するための加工データを作成する場合には、次の処理を行う。即ち、制御回路29は、まず、ユーザの各種操作スイッチ20の操作により、切断対象となる複数の模様Fの指定を受付ける処理を行う。これと共に、指定された各模様Fに関し、他の模様Fと識別するための識別情報を取得する識別情報取得処理を行う。尚、識別情報については、自動で設定されても良いし、ユーザが各種操作スイッチ20を操作して入力しても良い。
そして、制御回路29は、指定された各模様Fを反転(表裏反転)した反転模様F´を生成する模様反転の処理を行う。この模様反転の処理は、例えば各模様Fの形状データ(輪郭線)を、前後方向の軸を中心の左右に反転(鏡面反転)することにより行われるが、左右方向の軸を中心に前後に反転するようにしても実施できる。本実施形態では、制御回路29は、被加工物Wの大きさに対応した加工可能範囲Aに対し、指定された各模様Fを配置し、配置された模様Fを、加工可能範囲A全体に関して反転するようになっている。尚、模様反転の処理においては、加工可能範囲A内で個々の模様Fを、各模様Fの前後方向の中心軸に関して反転するようにしても良い。
次いで、制御回路29は、各反転模様F´の内側に、取得された識別情報を配置する識別情報配置処理を行う。本実施形態では、模様反転の処理により反転模様F´が生成された後に、各反転模様F´の内側に識別情報の配置の処理が行われる。このとき、識別情報として、各模様Fに対して付された文字情報が取得された場合には、制御回路29は、それら文字情報を、各模様、この場合反転模様F´内に収まるように描画サイズ即ち印字のフォントの大きさを調整する。また、文字情報が反転模様F´内に収まらない場合には、文字情報を、描画可能なマーク、例えば本数によって識別が可能な短い平行線などに変更する。
この後、被加工物Wから各反転模様F´を切断するための切断データ、及び、各反転模様F´の内側の配置された位置に各識別情報を描画する描画データを生成する加工データ生成の処理を行う。従って、各種操作スイッチ20が指定手段として機能し、制御回路29が、取得手段、反転手段、模様配置手段、識別情報配置手段、加工データ生成手段として機能する。尚、制御回路29は、切断データのみを生成する、或いは、描画データのみを生成することができることは勿論である。
また、本実施形態では、制御回路29は、切断装置11において加工動作を実行する際に、被加工物Wを裏向きにセットすることを促すメッセージをLCD19に表示して報知を行うようになっている。従って、制御回路29は、被加工物Wを裏向きにセットすることを促すメッセージを生成する報知情報生成手段としても機能する。
ここで、具体例をあげると、図6に示すように、例えば紙製の「蛙」の装飾物Oを製作するような場合、円形の左右2個の目、大形の円形の顔、横長な長方形状の胴体の、4つの切断パーツP(1)~P(4)を得た上で、それらを一部で重ね合せながら組合せる、この場合貼合わせることが行われる。このとき、図7(a)に示すような、4つの模様F(1)~F(4)を紙からなる被加工物Wから切断することで、切断パーツP(1)~P(4)を得ることができる。
この場合、ユーザは、4つの模様F(1)~F(4)を指定し、各種操作スイッチ20を操作して、LCD19の画面上で、それら模様F(1)~F(4)を少なくとも一部で重なるようにレイアウトの指示を行う。これと共に、ユーザは、各種操作スイッチ20を操作して、各模様F(1)~F(4)に対し、「1」、「2」、「3」、「4」という模様番号を示す文字情報を、夫々識別情報として設定入力する。
本実施形態では、制御回路29は、各模様F(1)~F(4)の重なり順及び重なり位置を認識し、少なくとも一部が重なる2つの模様F間の重なり位置を示す位置情報を識別情報として設定する。ここでは、模様Fの重ね合わされる順に基づき、上になる模様Fに対し、下になる模様Fの重なり位置の輪郭線の情報が、識別情報として設定される。制御回路29は、図7(a)に示すように、加工可能範囲Aに対し、指定された各模様F(1)~F(4)を配置する模様配置処理を行う。これと共に、上記した位置情報としての重なり位置の輪郭線の情報、及び、各模様Fに対して付された「1」、「2」、「3」、「4」の文字情報を識別情報として取得する。
そして、制御回路29は、図7(b)に示すように、加工可能範囲Aに配置された各模様F(1)~F(4)の反転処理を行い、その後に、各反転模様F´(1)~F´(4)に対し、識別情報を配置する。識別情報を配置するにあたっては、上になる模様Fの反転模様F´に対し、下になる模様Fの反転模様F´の重なり位置の輪郭線が、破線で配置される。具体的には、反転模様F´(3)内に模様F(4)の輪郭線が配置され、反転模様F´(1)、F´(2)内に夫々模様F(3)の輪郭線が配置される。
これと共に、各反転模様F´(1)~F´(4)に対し、「1」、「2」、「3」、「4」という模様番号を示す文字情報が、夫々識別情報として配置される。この場合、文字情報は、該当する模様(反転模様F´)の内側に配置されると共に、他の模様Fすなわち反転模様F´と重ならない位置、更に輪郭線とも重ならない位置に配置される。これにて、制御回路29は、被加工物Wから各反転模様F´(1)~F´(4)を切断するための切断データ、及び、各反転模様F´(1)~F´(4)の内側の配置された位置に各識別情報、即ち輪郭線及び文字情報を描画する描画データを作成する。
次に、上記構成の作用について、図3から図7も参照して述べる。図3~図5のフローチャートは、ユーザの各種操作スイッチ20の操作によって加工データの作成処理が指示された場合に、制御回路29が実行する加工データ作成の処理手順を示している。図3は、加工データ作成から加工動作実行までのメインの処理手順を示している。また、図4は、図3のステップS5の切断データ作成の詳細な処理手順、図5は、図3のステップS6の描画データ作成の詳細な処理手順を夫々示している。以下、上記した図6、図7に示す模様F(装飾物O)を具体例として挙げながら説明する。
図3において、まずステップS1では、ユーザの各種操作スイッチ20の操作に基づき、模様Fの選択指定が受付けられる。このとき、ユーザは複数の模様Fを指定することができ、指定された模様Fは、LCD19に表示される。ステップS2では、指定された複数の模様Fのレイアウトの処理が行われる。図6に示す装飾物Oを作成する場合の例では、複数この場合4つの模様F(1)~F(4)が指定され、それら模様F(1)~F(4)が図6のように一部の重なりをもった形態にレイアウトされる。ユーザは、各種操作スイッチ20を操作することで、それら模様F(1)~F(4)のレイアウトを指定できる。
ステップS3では、レイアウトされた各模様Fに重ね合せがあるかどうかが判断される。つまり、レイアウトされた各模様Fのうち、少なくとも一つの模様Fが、他の模様Fと重なってレイアウトされているかが判断される。重ね合せがある場合には(ステップS3にてYes)、ステップS4にて、重なってレイアウトされている各模様Fの重なり順が特定されて、ステップS5に進む。重ね合せがない場合には(ステップS3にてNo)、そのままステップS5に進む。図6の例では、重ね合せがあるので、模様F(4)の上に模様F(3)が重ね合わされ、模様F(3)の上に模様F(1)と模様F(2)とが重ね合わされる、といった重なり順が特定される。
ステップS5では、切断データの作成処理が実行され、ステップS6では、描画データの作成処理が実行される。これらの処理については、後述する。切断データ及び描画データが作成された後、ユーザの各種操作スイッチ20の操作により、被加工物Wに対する描画及び切断の動作、つまり切断パーツPの作成を実行することができる。尚、作成された切断データ及び描画データを、外部メモリ36に記憶しておくことができることは勿論である。
描画及び切断の動作を行わせる場合には、被加工物Wを保持部材16に保持させて、プラテン13上に差し込むようにセットするのであるが、ユーザは、被加工物Wを裏返した(裏面を上に向けた)状態で保持部材16に保持させる。このとき、ステップS7では、被加工物Wを裏向きにセットすることを促すメッセージが、LCD19に表示される。ユーザがスタート操作を行うことにより、ステップS8にて、ペンカートリッジ17の装着状態で、加工物Wの上面に対する描画の処理が行われる。引続き、ステップS9では、カッタカートリッジ14の装着状態で、被加工物Wに対する切断の処理が実行される。
図4のフローチャートは、上記ステップS5の切断データの作成処理の詳細な手順を示している。ステップS11では、ステップS3と同様に、指定された複数の模様Fに関し、重ね合せがありか否かが判断される。重ね合せがある場合には(ステップS11にてYes)、ステップS12にて、加工可能範囲A内に、各模様Fが互いに重ならない位置に配置される。図6の模様F(1)~F(4)の例では、例えば図7(a)に示されるように、重ならない位置に模様F(1)~F(4)が配置される。重ね合せがない場合には(ステップS11にてNo)、加工可能範囲A内にそのまま各模様Fが配置され、ステップS13に進む。
次のステップS13では、加工可能範囲Aに配置された各模様F(1)~F(4)の反転処理が行われる。この場合、配置された各模様Fが、加工可能範囲A全体に関して反転され、図7(b)に示すように、加工可能範囲A内に反転模様F´(1)~F´(4)が配置されることになる。ステップS14では、配置された各反転模様F´(1)~F´(4)を切断するための切断データが作成され、処理が終了する。
次に、図5のフローチャートは、図3のステップS6の描画データの作成処理の詳細な手順を示している。ステップS21では、各模様Fに関する識別情報としての文字情報が取得される。この文字情報については、ユーザが入力しても良いし、予め各模様に文字情報が対応付けてEEPROM32等に記憶されており、その文字情報が設定されるようにしても良い。この場合、次のステップS22の処理はスキップされる。また、各模様が選択された順に数字が自動で設定されるようにしても良い。ステップS22では、各文字情報が各模様Fに対応付けて記憶される。図7(a)の例では、各模様F(1)~F(4)に関し、夫々「1」、「2」、「3」、「4」の文字情報Dが取得され、記憶される。次のステップS23では、各反転模様F´の輪郭が特定される。
ステップS24からステップS34までは、一つずつの模様Fについて順に処理が行われるのであるが、まずステップS24では、一つの模様Fに関して、他の模様Fとの重ね合せがあるかどうかが判断される。重ね合せがある場合には(ステップS24にてYes)、ステップS25にて、当該一の模様Fの下に位置する他の模様Fがあるかどうかが判断される。重ね合せがない場合(ステップS24にてNo)、及び、重ね合せがあっても、下に来る他の模様Fがない場合(ステップS25にてNo)には、そのまま後述のステップS28に進む。
一の模様Fの下に位置する他の模様Fがある場合には(ステップS25にてYes)、ステップS26にて、重なり位置を示す位置情報として、下に位置する模様Fの重なる部分の輪郭形状が取得される。ステップS27では、上に位置する一の模様Fの反転模様F´に対し、下に位置する模様Fの重なる部分の輪郭線が、反転された状態で配置される。この場合、図7(b)に示すように、反転された輪郭線Lは、例えば破線とされる。図7(b)の例では、反転模様F´(3)に、反転模様F´(4)の重なり部分の輪郭線Lが配置され、反転模様F´(2)及び反転模様F´(1)に、反転模様F´(3)の重なり部分の輪郭線Lが夫々配置される。
次のステップS28では、当該一の模様F(反転模様F´)内に、文字情報Dの描画が可能であるか否か、つまり反転模様F´内のスペースに文字情報Dが入りきるか否かが判断される。この場合、反転模様F´内に輪郭線Lが存在する場合には、文字情報Dが輪郭線Lに重ならないように配置可能かどうかが判断される。文字情報Dが入る場合には(ステップS28にてYes)、ステップS29にて、反転模様F´内に対応付けられた文字情報Dが配置される。尚、文字情報Dに関しては、描画されたものをユーザが認識可能であることが重要であり、反転模様F´内から多少はみ出す程度のことや、輪郭線Lに多少重なる程度のことを許容するようにしても良い。
これに対し、反転模様F´内のスペースに文字情報Dが入らない、つまり文字情報Dが大きくはみ出したり輪郭線Lと重なったりする場合には(ステップS28にてNo)、ステップS30にて、文字情報Dのサイズを、模様F(反転模様F´)の大きさに合わせて、配置可能な大きさに縮小する処理が行われる。ステップS31では、縮小された文字情報Dの文字のサイズが、描画不可能となる所定サイズ以下かどうかが判断される。縮小された文字情報Dの文字のサイズが所定サイズよりも大きい、つまり描画可能なサイズである場合には(ステップS31にてNo)、ステップS29に進み、反転模様F´内に縮小された文字情報Dが配置される。
縮小された文字情報Dの文字のサイズが所定サイズ以下の場合には(ステップS31にてYes)、ステップS32にて、文字情報Dが、描画可能な別のマークに変更され、反転模様F´内に配置される。この場合、数字を、短い線の本数(或いは点の数)で表す等、文字情報Dをユーザが識別可能な単純な形状のマークに変換することが可能である。ステップS33では、文字情報Dがマークに変更された旨をユーザに知らせる表示が行われ、ステップS34に進む。
ステップS34では、全ての模様Fに関して処理が終了したどうかが判断される。未処理の模様が残っている場合には(ステップS34にてNo)、ステップS24に進み、次の模様Fに対し同様の処理が実行される。全ての模様Fに対する処理が終了すると(ステップS34にてYes)、ステップS35にて、文字情報D及び輪郭線Lに対する描画データの作成処理が行われ、処理が終了する。図7(b)の例では、反転模様F´(1)の位置に、「1」の文字情報D及び輪郭線Lが配置され、反転模様F´(2)の位置に、「2」の文字情報D及び輪郭線Lが配置される。また、反転模様F´(3)の位置に、「3」の文字情報D及び輪郭線Lが配置され、反転模様F´(4)の位置に、「4」の文字情報Dが配置され、それらを描画する描画データが作成される。
切断装置11においては、上記のように作成された切断データ及び描画データを用いて、裏向きにされた被加工物Wに対する、切断動作及び描画動作が実行される。これにより、被加工物Wから、上面から見て反転された反転模様F´が切断される(切り抜かれる)と共に、その上面に識別情報即ち文字情報D及び輪郭線Lが描画される。ここで、各反転模様F´を切断するための切断データを用いることにより、模様Fを表裏反転したつまり裏返した切断パーツPが得られる。これと共に、それら切断パーツPの裏面に、識別情報(文字情報D及び輪郭線L)が描画されるようになるのである。
従って、図6の例のように、被加工物Wから複数の模様Fを切断して複数の切断パーツPを作成し、その後それら複数の切断パーツPを組合せて一つの装飾物Oを作るといった場合に、ユーザは各切断パーツPの裏面を見れば、その切断パーツPがいずれの位置に組合せるパーツかを容易に理解できる。しかも、各切断パーツPの裏面には、下に来る他の切断パーツPの重なり位置の輪郭線Lが描画されているので、ユーザは、複数の切断パーツPを貼り合わせる際の、位置合せの作業をより簡単かつ確実に行うことができるようになるのである。
このように本実施形態によれば、次のような作用・効果を得ることができる。即ち、制御回路29は、指定された各模様Fを反転した反転模様F´を生成し、それら各反転模様F´の内側に、取得された識別情報を配置する。そして、被加工物Wから各反転模様F´を切断するための切断データ、及び、配置された位置に識別情報を描画する描画データを生成する。この結果、切断装置11により被加工物Wから複数の模様Fを切断し、それら切断パーツPを組合せる場合に、複数の切断パーツPを容易に識別可能とする加工データを作成することができるという優れた効果を得ることができる。この場合、識別情報が、切断パーツPの表面に現れる不都合を未然に防止することができることは勿論である。
ここで、上記した識別情報を描画するための描画データは、加工可能範囲A(全体エリア)に対して、ペン先をどの位置にプロットするかのデータとなる。この場合、模様Fの反転前に識別情報を配置して、模様Fの反転処理と同時に識別情報の位置についても反転することも可能であるが、本実施形態では、制御回路29が、模様Fを反転した反転模様F´を生成した後に、各反転模様F´の内側に識別情報を配置するように構成した。これにより、ユーザにとっては、配置の作業がより判りやすく行われるようになる。識別情報を適切な位置に配置することができることは勿論である。
本実施形態では、制御回路29は、切断装置11において加工動作を実行する際に報知するための、被加工物Wを裏向きにセットすることを促すメッセージを生成し、加工動作を実行する際にメッセージを報知するように構成した。これにより、ユーザに、被加工物Wを裏向きにセットすることを促すことができる。ひいては、正しい加工作業を行うことができる。
また、本実施形態では、制御回路29は、被加工物Wの大きさに対応した加工可能範囲Aに対し、指定された複数の模様Fを配置した上で、加工可能範囲A全体に関して、それら各模様を反転するように構成した。この場合、加工可能範囲Aに配置された複数の模様Fを、個々に反転することも可能であるが、加工可能範囲A全体に関して反転することにより、ユーザにとっては、より判りやすい作業を行うことができる。また、例えば被加工物Wの表面に位置によって変化する彩色(グラデーション)が行われていたような場合に、ユーザが思っていた彩色状態で、切断パーツPを得ることが可能となる。
このとき、特に本実施形態では、制御回路29は、各模様Fに対して付された文字情報Dを識別情報として取得し、それら文字情報Dを、各模様F(反転模様F´)内に収まるように描画サイズを調整するように構成した。これにより、識別情報としての文字情報Dを描画する場合、切断パーツP内に確実に描画することが可能となる。更に、文字情報Dが模様F(反転模様F´)内に収まらない場合には、文字情報Dを描画可能なマークに変更するようにしたので、文字情報Dが収まらないほど模様F(切断パーツP)が小さい場合でも、マークが描画されることによって、識別を可能とすることができる。
特に本実施形態では、制御回路29は、指定された複数の模様Fを、少なくとも一部が重なるようにレイアウトし、加工可能範囲Aに対し、それら各模様Fを配置すると共に、2つの模様F間の重なり位置を示す位置情報を識別情報として取得し、重なる2つの模様Fのうち少なくとも一方に、識別情報としての重なり位置の輪郭線Lを配置するように構成した。これにより、複数の切断パーツPを一部重ねるように組合せる場合の、ユーザの位置合せの作業をより簡単に行うことができるようになる。このとき、複数模様Fの重ね合わされる順に基づき、上になる模様Fに対し、下になる模様Fの重なり位置の輪郭線Lを配置するようにしたので、より一層、作業がしやすくなる。
また本実施形態では、制御回路29は、2つの模様F間の重なり位置を示す位置情報を識別情報として取得して輪郭線Lの描画データを作成することに加え、各模様Fに対して付された文字情報Dを識別情報として取得し、文字情報Dを、他の模様Fや輪郭線Lと重ならない位置に配置するように構成した。これにより、文字情報Dと輪郭線Lとの双方が描画されることにより、より一層、作業がしやすくなる。それに加えて、文字情報Dと輪郭線Lとが重なって判りにくくなることを未然に防止することができる。
(2)第2、第3の実施形態、その他の実施形態
図8及び図9は、本発明の第2の実施形態を示している。この第2の実施形態が上記第1の実施形態と異なるところは、制御回路29が実行する加工データ作成の処理手順(ソフトウエア構成)、つまり加工データ作成プログラムにある。加工データ作成装置としての切断装置11の構成などについては、上記第1の実施形態と共通するので、新たな図示や説明を省略する。
図8及び図9は、本発明の第2の実施形態を示している。この第2の実施形態が上記第1の実施形態と異なるところは、制御回路29が実行する加工データ作成の処理手順(ソフトウエア構成)、つまり加工データ作成プログラムにある。加工データ作成装置としての切断装置11の構成などについては、上記第1の実施形態と共通するので、新たな図示や説明を省略する。
図8は、加工データ作成から加工動作実行までのメインの処理手順を示している。また、図9のフローチャートは、図8のステップS40の切断データ及び描画データ作成の詳細な処理手順を示している。以下、上記第1の実施形態(図3~図5のフローチャート)と異なる点について述べる。即ち、図8においては、ステップS1~S4の処理が上記第1の実施形態と同様に行われた後、上記図3のステップS5、S6に代えて、ステップS40にて、切断データ及び描画データの作成処理が実行される。このステップS40の処理後、やはり上記第1の実施形態と同様に、ステップS7~S9の処理が行われる。
次に、図9を参照して、ステップS40の切断データ及び描画データ作成の詳細な処理について述べる。まずステップS41では、ステップS11と同様に、指定された複数の模様Fに関し、重ね合せがあるか否かが判断される。重ね合せがある場合には(ステップS41にてYes)、ステップS42にて、加工可能範囲A内に、各模様Fが互いに重ならない位置に配置される。重ね合せがない場合には(ステップS41にてNo)、加工可能範囲A内にそのまま各模様Fが配置され、ステップS43に進む。ステップS43では、ステップS21と同様に、各模様Fに関する識別情報としての文字情報が取得され、ステップS44では、各文字情報が各模様Fに対応付けて記憶される。
ステップS45からステップS56までは、一つずつの模様Fについて順に処理が行われるのであるが、まずステップS45では、一つの模様Fに関して、他の模様Fとの重ね合せがあるかどうかが判断される。重ね合せがある場合には(ステップS45にてYes)、ステップS46にて、当該一の模様Fの下に位置する他の模様Fがあるかどうかが判断される。重ね合せがない場合(ステップS45にてNo)、及び、重ね合せがあっても、下に来る他の模様Fがない場合(ステップS46にてNo)には、そのまま後述のステップS49進む。
一の模様Fの下に位置する他の模様Fがある場合には(ステップS46にてYes)、ステップS47にて、重なり位置を示す位置情報として、下に位置する模様Fの重なる部分の輪郭形状が取得される。ステップS48では、上に位置する一の模様Fに対し、下に位置する模様Fの重なる部分の輪郭線Lが、重なり位置に合わせて配置される。次のステップS49では、当該一の模様F内に、対応する文字情報Dが配置される。ステップS50では、当該一の模様F内のスペースに文字情報Dが入りきるか否かが判断される。この場合、模様F内に輪郭線Lが存在する場合には、文字情報Dが輪郭線Lに重ならないように配置可能かどうかが判断される。文字情報Dが入る場合には(ステップS50にてYes)、ステップS51にて、文字情報Dの配置状態がLCD19に表示される。詳しく図示はしないが、この表示では、加工可能範囲A内に、複数の模様Fが配置されると共に、各模様F内に文字情報D及び輪郭線Lが配置の様子が表示される。
これに対し、模様F内のスペースに文字情報Dが入らない場合には(ステップS50にてNo)、ステップS52にて、文字情報Dのサイズが、模様Fの大きさに合わせて、配置可能な大きさに縮小され、ステップS53では、縮小された文字情報Dの文字のサイズが、描画不可能となる所定サイズ以下かどうかが判断される。縮小された文字情報Dの文字のサイズが所定サイズよりも大きい、つまり描画可能なサイズである場合には(ステップS53にてNo)、ステップS51に進み、模様F内に縮小された文字情報Dが表示される。
縮小された文字情報Dの文字のサイズが所定サイズ以下の場合には(ステップS53にてYes)、ステップS54にて、文字情報Dが、描画可能な別のマークに変更され、反転模様F´内に配置される。ステップS55では、文字情報Dがマークに変更された旨をユーザに知らせる表示が行われ、ステップS56に進む。ステップS56では、全ての模様Fに関して処理が終了したどうかが判断される。未処理の模様が残っている場合には(ステップS56にてNo)、ステップS45に進み、次の模様Fに対し同様の処理が実行される。
全ての模様Fに対する処理が終了すると(ステップS56にてYes)、ステップS57にて、文字情報Dの位置、及び輪郭線Lの形状が、加工可能範囲A全体に対して反転される。ステップS58では、反転された文字情報Dの位置及び輪郭線Lに基づいて、描画データが作成される。ステップS59では、模様Fが加工可能範囲A全体に対して反転され、ステップS60では、反転模様F´に対する切断データの作成が行われる。これにて、上記第1の実施形態と同様の描画データ及び切断データが得られる。従って、この第2の実施形態によっても、上記第1の実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
図10及び図11は、本発明の第3の実施形態を示すもので、図10は、本実施形態に係る加工データ作成装置1及び加工装置としての切断装置11の外観構成を、図11は、それらの電気的構成を概略的に示している。本実施形態に係る加工データ作成装置1は、例えばパーソナルコンピュータからなり、通信ケーブル10により切断装置11に接続されている。切断装置11は、カッタカートリッジ14の装着状態で、切断データに従って紙やシート等の被加工物Wを切断する切断動作を行うと共に、ペンカートリッジ17の装着状態で、描画データに従って被加工物Wに対する描画動作を行う装置である。
加工データ作成装置1は、加工データ作成プログラムを実行するパーソナルコンピュータから構成されている。図10に示すように、加工データ作成装置1は、コンピュータ本体1aに、表示部2、キーボード3、マウス4を備えて構成されている。コンピュータ本体1aには、図11に示すように、CPUを主体として構成された制御回路5、及び、その制御回路5に接続されたRAM6、ROM7、EEPROM8、通信部9等が設けられている。
表示部2は、ユーザに対するメッセージなど必要な情報を表示する。キーボード3やマウス4は、ユーザにより操作され、その操作信号が制御回路5に入力される。RAM6は、制御回路5が実行しているプログラムに応じて必要な情報を一時的に記憶する。ROM7は、加工データ作成プログラム等を記憶する。EEPROM8は、切断データの作成対象となる複数の異なる模様のデータ(輪郭線データ等)や、作成された切断データ、描画データ等を記憶している。加工データ作成装置1に、図示しないスキャナを接続して模様のデータを入力することも可能である。
通信部9は、外部の機器との間でデータ等の通信を行うように構成されている。本実施形態では、加工データ作成装置1により作成された加工データ即ち切断データ及び描画データが、通信部9により、通信ケーブル10を介して切断装置11の通信部37に送信される。尚、加工データ作成装置1の通信部9と切断装置11の通信部37とは、無線通信によって接続してもよい。また、加工データ作成装置1と切断装置11との間における加工データの受け渡しは、図示しないが、例えばUSBメモリなど着脱可能な外部記憶装置を介して、又はインターネットなどのネットワークを介して行っても良い。
本実施形態では、加工データ作成装置1(制御回路5)は、加工データ作成プログラムの実行により、加工データを作成する加工データ作成装置としての各処理を実行する。この加工データの作成にあたっては、ユーザがキーボード3又はマウス4を操作して複数の模様Fを指定する。従って、キーボード3又はマウス4が指定手段として機能する。そして、詳しい説明は省略するが、制御回路5は、上記第1の実施形態と同様に、取得手段、反転手段、識別情報配置手段、加工データ生成手段、報知情報生成手段、模様配置手段として機能する。
このような第3の実施形態によっても、上記第1の実施形態と同様に、制御回路5は、指定された各模様Fを反転した反転模様F´を生成し、それら各反転模様F´の内側に、取得された識別情報を配置する。そして、被加工物Wから各反転模様F´を切断するための切断データ、及び、配置された位置に識別情報を描画する描画データを生成する。この結果、本実施形態によれば、切断装置1により被加工物Wから複数の模様Fを切断し、それら切断パーツPを組合せる場合に、複数の切断パーツPを容易に識別可能とする加工データを作成することができる等の優れた効果を得ることができる。
尚、上記した実施形態では、文字情報D(識別情報)として、「1」、「2」といった数字の場合を例示したが、文字情報としては、「A」、「B」、「C」等のアルファベット、「右」、「上」等の漢字などであっても良い。上記実施形態では、識別情報として、文字情報Dと、輪郭線Lとの双方を描画するようにしたが、いずれか一方でも良いことは勿論である。重なり位置を示す位置情報としては、実線の輪郭線Lとしても良く、輪郭線以外でも、相手のパーツの角部を示すL字状の鉤や、相手のパーツの端部を示す点などを描画することも可能である。
更に、切断装置(加工装置)の具体的構成についても、様々な変更が可能である。例えば、上記実施形態では、切断装置11におけるカッタカートリッジ14とペンカートリッジ17との交換をユーザが行う構成としたが、切断部材とペン部材との双方を備え、それらを自動で切替えながら切断動作及び描画動作を行う構成としても良い。また、上記各実施形態では、加工データ作成装置を、切断装置から構成する、或いは汎用のパーソナルコンピュータから構成するようにしたが、加工データの作成の専用の装置として構成してもよい。加工データ作成装置に、原図から図形のデータを読取るようなスキャナを接続する構成としてもよい。その他、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
1:加工データ作成装置、3:キーボード、4:マウス、5:制御回路、11:切断装置、14:カッタカートリッジ、17:ペンカートリッジ、20:各種操作スイッチ、29:制御回路、W:被加工物、F:模様、F´:反転模様、P:切断パーツ、A:加工可能範囲、D:文字情報、L:輪郭線
Claims (10)
- シート状の被加工物に対する、切断部材を用いた切断動作、及びペン部材を用いた描画動作が可能な加工装置により、加工動作を実行させるための加工データを作成する加工データ作成装置であって、
切断対象となる複数の模様を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された各模様に関し、他の模様と識別するための識別情報を取得する取得手段と、
前記指定手段により指定された各模様を反転した反転模様を生成する反転手段と、
前記各反転模様の内側に、前記取得手段により取得された識別情報を配置する識別情報配置手段と、
前記被加工物から前記各反転模様を切断するための切断データ、及び、前記識別情報配置手段により配置された位置に識別情報を描画する描画データを生成する加工データ生成手段と
を備えることを特徴とする加工データ作成装置。 - 前記識別情報配置手段は、前記反転手段により反転模様が生成された後に、前記各反転模様の内側に識別情報を配置することを特徴とする請求項1記載の加工データ作成装置。
- 前記加工装置において加工動作を実行する際に報知するための、前記被加工物を裏向きにセットすることを促すメッセージを生成する報知情報生成手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の加工データ作成装置。
- 前記被加工物の大きさに対応した加工可能範囲に対し、前記指定手段により指定された各模様を配置する模様配置手段を備えると共に、
前記反転手段は、前記模様配置手段により配置された模様を、前記加工可能範囲全体に関して反転することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の加工データ作成装置。 - 前記取得手段は、前記各模様に対して付された文字情報を識別情報として取得し、
前記識別情報配置手段は、前記文字情報を、前記各模様内に収まるように描画サイズを調整することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の加工データ作成装置。 - 前記識別情報配置手段は、前記文字情報が前記模様内に収まらない場合には、前記文字情報を描画可能なマークに変更することを特徴とする請求項5記載の加工データ作成装置。
- 前記指定手段により指定された複数の模様を、少なくとも一部が重なるようにレイアウトするレイアウト手段と、前記被加工物の大きさに対応した加工可能範囲に対し、前記指定手段により指定された各模様を配置する模様配置手段とを備えると共に、
前記取得手段は、少なくとも一部が重なる2つの模様間の重なり位置を示す位置情報を識別情報として取得し、
前記識別情報配置手段は、重なる2つの模様のうち少なくとも一方に、重なり位置の輪郭線の少なくとも一部を配置することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の加工データ作成装置。 - 前記識別情報配置手段は、複数模様の重ね合わされる順に基づき、上になる模様に対し、下になる模様の重なり位置の輪郭線の少なくとも一部を配置することを特徴とする請求項7記載の加工データ作成装置。
- 前記取得手段は、2つの模様間の重なり位置を示す位置情報を識別情報として取得することに加えて、各模様に対して付された文字情報を識別情報として取得し、
前記識別情報配置手段は、前記文字情報を、他の模様と重ならない位置に配置することを特徴とする請求項7又は8記載の加工データ作成装置。 - 請求項1から9のいずれか一項に記載の加工データ作成装置の各種処理手段として、コンピュータを機能させるための加工データ作成プログラム。
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- 2015-11-26 JP JP2015230570A patent/JP2017094465A/ja active Pending
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2016
- 2016-07-29 WO PCT/JP2016/072301 patent/WO2017090277A1/ja active Application Filing
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