JP2013144343A - 切断装置 - Google Patents

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Michihiro Iida
充弘 飯田
Hitoshi Higashikura
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Abstract

【課題】保持部材に保持した少なくとも1つの被切断物に合わせて、模様の配置位置を正確且つ簡単に設定することができる切断装置を提供する。
【解決手段】切断装置では、保持部材において被切断物を保持する保持領域のうち少なくとも一部の部分である部分領域が指定手段により指定される(ステップS4)。また、模様選択手段により選択された模様について、指定手段で指定された部分領域に対応させて被切断物に対する配置位置が配置手段により設定される(ステップS6)。そして、配置手段により設定された配置位置を被切断物における切断位置として、切断手段により模様が切断される(ステップS8)。
【選択図】図12

Description

本発明は、切断刃と被切断物とを相対的に移動させることにより、切断刃により被切断物から所望の模様を切断する切断手段を備えた切断装置に関する。
従来より、例えば紙等のシートを自動的に切断するカッティングプロッタが知られている。前記シートは、表面に粘着層を有する保持部材としての基材に貼り付けられる。そして、カッティングプロッタは、基材の両端部分を駆動機構の駆動ローラ及びピンチローラで上下方向から挟んで第1方向へ移動させると共に、切断刃を有するキャリッジを前記第1方向と直交する第2方向へ移動させて前記シートから所望の模様を切断する。(例えば特許文献1参照)。
特開2005−205541号公報
従来のカッティングプロッタにおいては、基材に対してシートを任意の位置に貼り付けて切断することは考慮されていなかった。また、1つの基材に複数のシートを貼り付け、複数のシートから模様を切断することも考慮されていなかった。この為、ユーザは、基材に貼り付けた単数または複数のシートの夫々の位置に合わせて、模様を切断する位置(配置位置)を夫々設定しなければならず、操作が非常に煩雑であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、保持部材に保持した少なくとも1つの被切断物に合わせて、模様の配置位置を正確且つ簡単に設定することができる切断装置を提供することである。
上記した目的を達成するために、本発明の請求項1の切断装置は、切断刃と被切断物とを相対的に移動させることにより、前記切断刃により前記被切断物から所望の模様を切断する切断手段を備えた切断装置であって、少なくとも1つの前記被切断物を剥離可能に保持した状態で前記切断装置にセットされる保持部材と、前記保持部材において前記被切断物を保持する保持領域のうち少なくとも一部の部分である部分領域を指定する指定手段と、複数の模様の中から所望の模様を選択する模様選択手段と、前記模様選択手段により選択された模様について、前記指定手段で指定された前記部分領域に対応させて前記被切断物に対する配置位置を設定する配置手段とを備え、前記配置手段により設定された配置位置を前記被切断物における切断位置として、前記切断手段により模様を切断することを特徴とする。
上記構成によれば、配置手段によって、指定手段で指定した部分領域に対応させて被切断物に対する模様の配置位置が自動的に設定される。このため、少なくとも1つ、即ち単数または複数の被切断物を保持部材における任意の部分領域に貼り付けた場合でも、当該部分領域を指定手段で指定して、模様の切断位置を被切断物の貼り付け位置に正確に合わせることができる。よって、模様の配置位置の確認や調整といった面倒な作業を行うことなく、所望の模様を簡単に切断することができる。
請求項2の切断装置では、請求項1の発明において、前記部分領域は、前記保持領域を所定の大きさで複数に分割した領域であることを特徴とする。
請求項3の切断装置は、請求項2の発明において、前記保持領域を複数の前記部分領域に分割するパターンが、それぞれ異なる分割パターンとして複数種類が設定されており、前記指定手段は、前記複数種類の分割パターンの中から1つの分割パターンを択一的に選択するパターン選択手段を備えることを特徴とする。
請求項4の切断装置では、請求項3の発明において、前記保持部材は、前記複数種類の分割パターンに対応する指標を備えることを特徴とする。
請求項5の切断装置は、請求項3または4の発明において、前記保持部材は、前記分割パターンに対応する指標がそれぞれ異なる複数種類が用意されていることを特徴とする。
請求項6の切断装置では、請求項4または5の発明において、前記指標は、前記保持部材に設けられた基線であることを特徴とする。
請求項7の切断装置は、請求項1から6の何れかの発明において、前記模様を前記配置手段により設定された配置位置に対応させて表示する表示手段を備えることを特徴とする。
請求項1の切断装置によれば、配置手段によって、指定手段で指定した部分領域に対応させて被切断物に対する模様の配置位置が自動的に設定される。このため、少なくとも1つ、即ち単数または複数の被切断物を保持部材における任意の部分領域に貼り付けた場合でも、当該部分領域を指定手段で指定して、模様の切断位置を被切断物の貼り付け位置に正確に合わせることができる。よって、模様の配置位置の確認や調整といった面倒な作業を行うことなく、所望の模様を簡単に切断することができる。
請求項2の切断装置によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、部分領域は、保持領域を所定の大きさで複数に分割した領域である。このため、模様の形状や大きさに応じて、1つの部分領域、或は複数の部分領域と略同じ大きさの被切断物を用いて切断を行うことで、被切断物の無駄を少なくすることができる。また、複数の部分領域うち何れかの部分領域に被切断物を貼り付けた場合でも、当該部分領域を指定して模様の切断を所期の切断位置で行うことができる。
請求項3の切断装置によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、パターン選択手段によって所望する分割パターンの部分領域を択一的に選択することで、模様の形状や大きさに応じて最適な分割パターンを選択することができる。また、模様の形状や大きさに応じて、複数種類の分割パターンの何れかと略同じパターンの被切断物を用いて切断を行うことで、被切断物の無駄をより少なくすることができる。
請求項4の切断装置によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、保持部材は分割パターンに対応する指標を備える。これによれば、ユーザは、保持部材の指標に合わせて、被切断物を正確に貼り付けることができ、被切断物に対する模様の切断位置のズレを防止することができる。
請求項5の切断装置によれば、請求項3または4に記載の発明の効果に加え、保持部材は、分割パターンに対応する指標がそれぞれ異なる複数種類が用意されているため、ユーザは、複数種類の保持部材の中から、模様の形状や大きさ、或は手持ちの被切断物の形状や大きさに合った指標の保持部材を適宜選んで使用することができる。
請求項6の切断装置によれば、請求項4または5に記載の発明の効果に加え、指標は保持部材に設けられた基線である。このため、ユーザは、分割パターンを基線として視認することができ、被切断物を基線に沿って正確に貼り付けることができる。
請求項7の切断装置によれば、請求項6に記載の発明の効果に加え、ユーザは、模様選択手段により選択した模様を、その配置位置と併せて表示手段で視認することができる。また、表示手段によって、被切断物の貼り付け位置に応じた所期の切断位置であることを切断前に確認することができる。
本発明の第1実施形態における切断装置の内部構造を示す斜視図 切断装置の平面図 カッタホルダの斜視図 カッタを上昇させた状態で示すカッタホルダの断面図 カッタを下降させた切断時の状態で示すカッタホルダ近傍部の側面図 ギヤ部を拡大して示す正面図 切断時におけるカッタ先端の近傍部の拡大図 保持シートの平面図 電気的構成を示すブロック図 (a)は保持領域情報のデータ構造を示す図、(b)は領域データを説明するための図、(c)は模様と部分領域との位置関係を示す図 (a)は模様の切断データの構造を示す図、(b)は模様の切断データを説明するための図 模様の配置位置を設定する処理の流れを示すフローチャート 保持シート選択画面の一例を示す図 模様選択画面の一例を示す図 配置表示画面の一例を示す図
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図15を参照しながら説明する。
図1に示すように、切断装置1は、筐体としての本体カバー2と、本体カバー2内に配設されたプラテン3と、カッタホルダ5とを備えると共に、カッタホルダ5のカッタ4(図4参照)と被切断物6とを相対的に移動させるための第1及び第2移動手段7,8を備えている。本体カバー2は横長な矩形箱状をなしており、前面部には、プラテン3上面部に被切断物6を保持した保持シート10をセットするための横長な開口部2aが形成されている。尚、以下の説明では、切断装置1に対しユーザが位置する側を前方とし、その反対側を後方とする。そして、前後方向をY方向とし、Y方向と直交する左右方向をX方向とする。
本体カバー2の右側には、フルカラー表示が可能な液晶カラーディスプレイ(以下、ディスプレイ9と称す)が設けられると共に、ユーザが各種の指示や選択、入力の操作を行うための複数の操作スイッチ65(図9参照)が設けられている。ディスプレイ9は、種々の模様や、ユーザに対して必要なメッセージ等を表示する表示手段として構成されており、操作スイッチ65の操作により、ディスプレイ9に表示された模様の選択や、各種パラメータの設定や機能の指示等が可能となっている。
前記プラテン3は、前後一対の板材3a,3bからなり、上面部が水平面たるXY平面をなすように構成されている。プラテン3には、被切断物6を保持する保持シート10が載置されるようにセットされ、被切断物6の切断の際、保持シート10をプラテン3で受ける。詳しくは後述するが、保持シート10の上面には、周縁部101〜104を除いた内側の領域に粘着剤が塗布された粘着層10vが形成されており、粘着層10vに被切断物6が貼り付けられて保持される。
前記第1移動手段7は、プラテン3の上面側で保持シート10をY方向(第1方向)へ移動させるものである。即ち、切断装置1における左右の側壁部11a,11bには、プラテン3の板材3a,3bの間に位置させて、駆動ローラ12とピンチローラ13が設けられている。駆動ローラ12とピンチローラ13は、X方向に延びて、側壁部11a,11bに対して回動可能に支持されている。また、駆動ローラ12とピンチローラ13は、前記XY平面に対して平行で、且つ上下方向に並ぶように配置されている。下側が駆動ローラ12で、上側がピンチローラ13である。図2に示すように、右側壁部11bには、駆動ローラ12の右側に位置させて、クランク状の第1取付フレーム14が設けられている。取付フレーム14の外側には、Y軸モータ15が固定されている。
Y軸モータ15は例えばステッピングモータからなり、回転軸15aは第1取付フレーム14を貫通しており、先端部にギヤ部16aを有する。駆動ローラ12の右端部には、ギヤ部16aと噛合するギヤ部16bが固着されており、これらギヤ部16a、16bにより第1減速ギヤ機構16が構成されている。前記ピンチローラ13は、左右の側壁部11a,11bに形成されたガイド溝17b(図1に右側の溝17bのみ図示)により上下方向へ移動可能にガイドされている。左右の側壁部11a,11bには、ガイド溝17bを外側から囲うバネ収容部18a,18bが夫々設けられている。ピンチローラ13は、バネ収容部18a,18bに収容された図示しない圧縮コイルバネにより下方へ付勢されている。詳しい図示は省略するが、ピンチローラ13には、保持シート10の左右両方の縁部101,102に接触して押圧する押圧部13a,13bが設けられている。押圧部13a,13bは、ピンチローラ13の他の部分よりも外径が少し大きく形成されている。同様に、駆動ローラ12にも、押圧部13a,13bに対応する位置に押圧部12a,12bが形成されている。
ここで、駆動ローラ12とピンチローラ13は、前記圧縮コイルバネの付勢力により、保持シート10を上下方向から押圧挟持する(図5参照)。そして、Y軸モータ15を正転駆動、或は逆転駆動させると、その回転運動が第1減速ギヤ機構16を介して駆動ローラ12に伝わることで、保持シート10を被切断物6と共に後方或いは前方へ移動させる。これら駆動ローラ12、ピンチローラ13、Y軸モータ15、第1減速ギヤ機構16、前記圧縮コイルバネ等は、第1移動手段7を構成する。
前記第2移動手段8は、カッタホルダ5を支持するキャリッジ19を、X方向(第2方向)へ移動させるものである。詳細には、図1、図2に示すように、左右の側壁部11a,11b間には、後部側に位置させて、左右方向に延びるガイド軸20とガイドフレーム21が配設されている。ガイド軸20は、駆動ローラ12及びピンチローラ13と平行に配設されている。ガイド軸20は、プラテン3の直ぐ上側で、キャリッジ19下部(後述の貫通孔部22)を貫通している。ガイドフレーム21は、前縁部21aと後縁部21bが下方へ折り返された断面コ字状をなしている。前縁部21aはガイド軸20と平行に配設されている。ガイドフレーム21は、前縁部21aでキャリッジ19上部(後述の被ガイド体23,23)をガイドするようになっており、側壁部11a,11bの上端部で螺子21cにより固定されている。
図2に示すように、切断装置1の後部には、右側壁部11bに第2取付フレーム24が設けられると共に、左側壁部11aに補助フレーム25が設けられている。第2取付フレーム24には、X軸モータ26及び第2減速ギヤ機構27が配設されている。X軸モータ26は、例えばステッピングモータからなり、第2取付フレーム24における前側の取付片24aの前面部に固定されている。X軸モータ26の回転軸26aは取付片24aを貫通しており、先端部に、第2減速ギヤ機構27と噛合するギヤ部26bを有する。第2減速ギヤ機構27にはプーリ28が設けられており、図2において左側の補助フレーム25にプーリ29が回転自在に取付けられている。これらプーリ28とプーリ29との間には、キャリッジ19の後端部(後述の取付部30)に連結された無端状のタイミングベルト31が掛装されている。
ここで、X軸モータ26を正転駆動、或は逆転駆動させると、その回転運動が第2減速ギヤ機構27及びプーリ28を介してタイミングベルト31に伝わることで、キャリッジ19をカッタホルダ5ごと左方或いは右方へ移動させる。こうして、キャリッジ19とカッタホルダ5は、被切断物6の移動方向であるY方向と直交するX方向に移動する。上記のガイド軸20、ガイドフレーム21、X軸モータ26、第2減速ギヤ機構27、プーリ28,29、タイミングベルト31、キャリッジ19等は、第2移動手段8を構成する。
前記カッタホルダ5は、キャリッジ19に対して前面側に配置され、Z方向たる上下方向(第3方向)への移動が可能に支持されている。これらキャリッジ19及びカッタホルダ5の構成について、図3〜図7も参照しながら説明する。
図3、図4に示すように、キャリッジ19は、後面側が開放された略矩形箱状をなす。キャリッジ19の上壁部19aには、平面視にて円弧状をなすリブであって、上方へ突出する前後一対の被ガイド体23,23が一体に設けられている。
被ガイド体23,23は、ガイドフレーム21の前縁部21aを挟むよう対称的に配置されている。キャリッジ19における底壁部19bの下側には、ガイド軸20に挿通される左右一対の貫通孔部22,22が下方へ張出すように形成されている。また、キャリッジ19の底壁部19bには、前記タイミングベルト31に連結される取付部30(図4、図5参照)が後方へ突出するように設けられている。こうして、キャリッジ19は、貫通孔部22,22に挿通されるガイド軸20によって左右方向へ摺動可能に支持されると共に、被ガイド体23,23で挟まれるガイドフレーム21によってガイド軸20の回りに回転しないように支持される。
図3、図4、図5等に示すように、キャリッジ19の前壁部19cには、前方へ延出する上下一対の支持部32a,32bが一体に設けられている。キャリッジ19には、支持部32a,32bを夫々貫通する左右一対の支持軸33a,33bが上下動自在に支持されている。キャリッジ19内には、例えばステッピングモータからなるZ軸モータ34が、後方から収容されるように配置されている。Z軸モータ34の回転軸34aは(図3、図5参照)、キャリッジ19の前壁部19cを貫通しており、先端部にギヤ部35を有する。また、図4に示すように、キャリッジ19には、その前壁部19c中央からやや下寄りの部位を前後に貫通するギヤ軸37が設けられている。ギヤ軸37には、前壁部19cの前側で前記ギヤ部35に噛合するギヤ部38が回転可能に装着されると共に、ギヤ軸37前端部の止め輪(図示略)により抜け止めされている。ギヤ部38とギヤ部35で第3減速機構41を構成する(図3、図5参照)。
ギヤ部38には、図6に示すように、渦巻き溝42が形成されている。渦巻き溝42は、第1端部42aから第2端部42bへ向って右方向に旋回するにつれ中心に近づく渦巻き状をなすカム溝である。渦巻き溝42には、詳しくは後述するが、カッタホルダ5と一体的に上下移動する係合ピン43が係合する(図4参照)。ここで、Z軸モータ34を正転駆動、或は逆転駆動させると、ギヤ部35を介してギヤ部38が回転する。ギヤ部38が回転することにより、渦巻き溝42に係合する係合ピン43が上下方向に摺動する。これに伴い、カッタホルダ5を支持軸33a,33bごと上方或いは下方へ昇降させる。この場合、カッタホルダ5は、係合ピン43が渦巻き溝42の第1端部42aに位置した上昇位置(図4、図6参照)と、係合ピン43が第2端部42bに位置した下降位置(図5、図6参照)との間で移動する。上記の渦巻き溝42を有する第3減速機構41、Z軸モータ34、係合ピン43、支持部32a,32b、支持軸33a,33b等は、カッタホルダ5を上下方向へ移動させる第3移動手段44を構成する。
カッタホルダ5は、前記支持軸33a,33bに設けられるホルダ本体45と、カッタ4(切断刃)を有してホルダ本体45に上下動可能に保持される可動筒部46とを備えると共に、被切断物6を押圧するための押圧装置47を備えている。
即ち、図3、図4、図5等に示すように、ホルダ本体45は、上端部45aと下端部45bが後方へ折り返され全体としてコ字状をなしている。ホルダ本体45の上端部45aと下端部45bは、支持軸33a,33bの上下両端部に夫々固定された止め輪48により、支持軸33a,33bに対し移動不能に固定されている。
図4、図5に示すように、支持軸33bの中間部には、前記係合ピン43が後向きに設けられた連結部材49が固着されている。こうして、ホルダ本体45、支持軸33a,33b、係合ピン43、及び連結部材49は一体的に構成され、カッタホルダ5は、前記第3移動手段44により係合ピン43に連動して上下方向へ移動する。また、支持軸33a,33bには、支持部32a上面とホルダ本体45の上端部45aとの間に、付勢部材たる圧縮コイルバネ50が夫々外装されている。圧縮コイルバネ50の付勢力により、カッタホルダ5全体がキャリッジ19側に対して上方へ弾性付勢されている。
図3に示すように、ホルダ本体45における中間部には、可動筒部46や押圧装置47等を取付けるための取付部材51,52が螺子54a,54bにより夫々固定されている。下側の取付部材52には、可動筒部46を上下動可能に支持する筒状部52a(図4参照)が設けられている。可動筒部46は、筒状部52aの内周面に摺接する径寸法に設定され、上端部には、筒状部52aの上端で支持されるフランジ部46aが径方向外側へ張出すように形成されている。フランジ部46aの上端面にはバネ受け部46bが設けられている。図4に示すように、上側の取付部材51と可動筒部46のバネ受け部46bとの間には、圧縮コイルバネ53が配設されている。圧縮コイルバネ53は、可動筒部46(カッタ4)を下方の被切断物6側に付勢する一方、カッタ4に被切断物6側から上方への力が作用すると、当該付勢力に抗して可動筒部46の上方への移動を許容する。
可動筒部46には、その軸線方向に延びるカッタ4が貫通するように配設されている。詳細には、カッタ4は、可動筒部46よりも長尺な丸棒状のカッタ軸4bと、そのカッタ軸4bの下端部に形成された刃部4aとを一体に有する。図7に示すように、刃部4aは略三角形状をなし、最下端の刃先4cが、カッタ軸4bの中心軸線4zから距離dだけ偏心した位置に形成されている。カッタ4は、可動筒部46内部の上下両端部に配設された軸受55(図4参照)により、上下方向の中心軸線4z(Z軸)を中心に回動自在に保持されている。こうして、カッタ4は、被切断物6の表面たるXY平面に対して直交するZ方向から刃先4cが圧接する。また、カッタ4は、カッタホルダ5が下降位置へ移動された時に、図7に示すように刃先4cが保持シート10上の被切断物6を貫通し、且つプラテン3の板材3b上面に到達しない高さに設定してある。一方、カッタ4は、カッタホルダ5が上昇位置へ移動されることに伴い、刃先4cも上方へ移動して被切断物6から離間する(図4参照)。
前記取付部材52には、筒状部52aの下端部周縁に、3つのガイド孔部52b〜52d(図2〜図5参照)が等間隔で形成されている。そして、筒状部52aの下側には、ガイド孔部52b〜52dに挿通される3つのガイド棒56b〜56dを有する押圧部材56が配置されている。押圧部材56の下面側は、浅底な鉢(ボウル)状(或は緩やかな円形椀状)をなす押圧部本体56aとされており、周縁上部には、等間隔をなす前記ガイド棒56b〜56dが一体に設けられている。押圧部材56は、ガイド孔部52b〜52dにてガイド棒56b〜56dがガイドされることにより、上下方向への移動が可能である。押圧部本体56aの中央部には、上下方向に延びて前記刃部4aを下方へ突出させるための貫通孔56eが形成されている。そして、押圧部本体56aの下端面は、刃部4aの周囲で被切断物6に接触する接触部56fとされている。接触部56fは、円環上をなす水平な平坦面であって、被切断物6に対して面接触する。接触部56fは、例えばテフロン(登録商標)等のフッ素樹脂で構成されることで、比較的摩擦係数が低く、被切断物6に対して滑り易くなっている。
図3、図4、図5等に示すように、押圧部本体56aの周縁上部には、前方へ延出する接続部56gが一体に設けられている。他方、前記取付部材52には、筒状部52aの前側であって接続部56gの上方に位置してソレノイド57用の前側取付部52eが一体に設けられている。ソレノイド57は、押圧部材56を上下動させて被切断物6を押圧するためのアクチュエータであり、押圧部材56並びに後述の制御回路61と共に押圧装置47を構成する。
ソレノイド57は、前側取付部52eに下向きに取付けられており、プランジャ57aの先端部は接続部56g上面に固定されている。カッタホルダ5の下降位置でソレノイド57が駆動されると、プランジャ57aと共に押圧部材56が下方へ移動して被切断物6を所定の押圧力で押圧する(図5参照)。これに対して、ソレノイド57の非駆動時には、プランジャ57aが上方に位置して押圧部材56が被切断物6に対する押圧力を解除する。ソレノイド57の非駆動状態でカッタホルダ5が上昇位置へ移動されると(図4の2点鎖線参照)、押圧部材56が被切断物6から完全に離間する。
上記したカッタ4、第1移動手段7、第2移動手段8、第3移動手段44、制御回路61、押圧装置47等は、切断手段58(図1参照)に相当する。
続いて、保持シート10について、図8(a)(b)も参照しながら説明する。同図は2種類の保持シート10A,10Bを示している。なお、本実施形態では、保持シート10A,10Bの他、図示はしないが複数種類の保持シートが用意されている。全ての保持シートは、後述する指標を除いて同様に構成されているので、説明の便宜上「保持シート10」として総称する。
保持シート10は、例えば、合成樹脂材料からなり、全体として平板矩形状に形成されている。なお、説明を簡単にする為、本実施形態の保持シート10は正方形形状であるとする。保持部材としての保持シート10は、カッタ4との対向面つまり上面に粘着層10vを有する(図7参照)。粘着層10vは、保持シート10における外縁から所定距離内側(図8のW1、W2参照)の領域に形成されており、平面視にて正方形形状をなす。粘着層10vは、透明の粘着材料からなり、各種の被切断物6を剥離可能に保持する保持領域である。粘着層10vの粘着力は、被切断物6を粘着層10vから剥がす際、当該被切断物6が破れることがなく且つ簡単に剥がせるよう比較的小さい値に設定されている。また、被切断物6は、切断装置1にて切断する際、粘着層10vの粘着力と前記押圧装置47の押圧力とによって、保持シート10に対して移動不能に保持される。
保持シート10の周縁部には、粘着層10vの無い領域として左縁部101及び右縁部102と、後縁部103及び前縁部104とが設けられている。左縁部101及び右縁部102は、駆動ローラ12とピンチローラ13の押圧部12a〜13bによって上下両側から挟まれて支持される被支持部である。
そして、保持シート10には、保持領域としての粘着層10vの領域を区画する基線59が設けられている。基線59は、保持領域の外縁に沿って延びる正方形形状の第1基線59aと、保持領域を所定の大きさで分割する第2基線59bとからなる。これら基線59a,59bは、例えば保持シート10の上面に直接、黒色で印刷されており、透明の粘着層10vを透かして視認される。
具体的には、図8(a)の保持シート10Aにおいて、保持領域は、第1基線59aと第2基線59bとにより正方形形状をなす4つの部分領域60に区画されている。即ち、第2基線59bは保持領域の中心部で交差する十字状をなしており、4つの部分領域60は、相互に大きさや形状が同じ第1部分領域601A〜第4部分領域604Aとされている。保持シート10Aの縁部101,103には、第1基線59aの左辺側及び上辺側に位置させて識別マークとしての数字(「0」「1/2」「1」)が印刷表示されている。これらの数字のうち、「0」の数字は、第1基線59a(保持領域)の左後方の頂点を指し示し、当該頂点は後述する保持シート10Aの原点とされている。他の数字は、第1基線59aと第2基線59bとの間隔に合わせて付与されており、保持領域における部分領域601A〜604Aの位置或は大きさの目安となる。こうして、第1基線59a、第2基線59b及び識別マークは、部分領域601A〜604Aの分割パターンに対応する指標に相当する。
図8(b)の保持シート10Bにおいて、保持領域は、第1基線59aと第2基線59bとにより矩形形状をなす6つの部分領域60に区画されている。保持シート10Bの第2基線59も、保持領域を左右方向と前後方向とで等間隔に分割するように形成されており、6つの部分領域60は第1部分領域601B〜第6部分領域606Bとされている。また、保持シート10Bの縁部101,103には、保持シート10Aと同様に、保持シート10Bの原点を示す「0」の数字と、部分領域601B〜606Bの位置或は大きさの目安となる数字(「1/3」「2/3」…)が付記されている。
上記のように、格子状の分割パターンを有する保持シート10A,10Bの他、種々の分割パターンを有する保持シート10がある。詳しい図示は省略するが、1つの保持シート10において、保持領域が分割線たる第2基線59bにより部分領域60相互間で大きさや形状が異なるように設定されたものもある(図13参照)。このように、分割パターンは、部分領域60が矩形形状以外の多角形形状をなすように構成してもよい(図13の右下の分割パターン参照)。また、第2基線59bが第1基線59aに対して傾斜した斜線でもよいし、直線ではなく曲線であってもよい。このように、多様な形状の部分領域60を形成するように構成してもよい。
切断装置1は、その開口部2aからセットされた保持シート10を検出する検出センサ66(図9参照)を備えている。制御回路61は、当該検出センサ66の検出信号に基づいて、セットされた保持シート10の点「0」を原点(X0、Y0)として設定する。こうして、切断装置1の座標系は保持シート10の原点を基準点とし、後述の切断データに基づいて第1移動手段7及び第2移動手段8によりカッタ4と被切断物6とのX−Y座標系における相対移動が行われる。切断装置1の座標系では、保持シート10の左から右に向かう方向がX軸プラス方向であり、保持シート10の後から前に向かう方向(つまり保持シート10が後方へ移動する方向)がY軸プラス方向である。
次に、切断装置1の制御系の構成について図9のブロック図を参照しながら説明する。
切断装置1全体の制御を司る制御回路(制御手段)61は、コンピュータ(CPU)を主体に構成されており、記憶手段としてROM62、RAM63、外部メモリ64が接続されている。ROM62には、切断動作を制御するための切断制御プログラムや、ディスプレイ9の表示を制御する表示制御プログラム、後述する配置設定プログラム等が記憶されている。RAM63には、各種処理に必要なデータやプログラムが一時的に記憶される。
制御回路61には、各種の操作スイッチ65や前記検出センサ66が接続されると共に、ディスプレイ9が接続されている。ディスプレイ9の画面には、後述する模様選択画面(図14参照)、保持シート選択画面(図13参照)、配置表示画面等(図15参照)が表示される。ユーザは、ディスプレイ9の画面を見ながら、各種操作スイッチ65を操作することで所望する模様や、保持シート10の種類を選択するようになっている。これらディスプレイ9及び操作スイッチ65は模様選択手段に相当する。
また、制御回路61には、Y軸モータ15、X軸モータ26、Z軸モータ34、ソレノイド57を夫々駆動する駆動回路67,68,69,70が接続されている。制御回路61は、切断制御プログラムの実行により、Y軸モータ15、X軸モータ26、Z軸モータ34、ソレノイド57を制御し、保持シート10上の被切断物6に対する切断動作を自動で実行させる。
前記外部メモリ64には、前述した複数種類の保持シート10について、それぞれの部分領域60を特定するための保持領域情報が記憶されている。具体的には、保持シート10Aの場合、保持領域情報は第1部分領域601A〜第4部分領域604Aの領域データを含む。図10(a)に示すように、第1部分領域601Aの領域データは、例えば四隅の点の座標値(「Xa0、Ya0」…「XaN、YaN」)のデータ、又は、当該座標点を直線L11〜L14(図10(b)参照)で結んだ仮想線の線分データで構成してもよい。第1部分領域601Aの領域データは、保持シート10Aの原点に対応する点Oを座標原点とし、保持シート10A上の第1部分領域601Aを特定する。
同様に、第2部分領域602A〜第4部分領域604Aについても、線分L21〜L24,L31〜L34,L41〜L44のそれぞれの交点(屈曲点)である領域データ「XbN、YbN」〜「XdN、YdN」により保持シート10A上の位置が特定される。これら部分領域601A〜604Aの領域データは、それぞれ1〜4の領域番号(図10(b)の丸で囲う数字参照)と対応づけられて外部メモリ64に記憶されている。
こうして、保持シート10Aの保持領域情報は、基線59に対応する線分L11〜L44に係る座標値で表わされ、保持シート10Aの原点を基準点とする切断装置1の座標系で規定される。尚、保持シート10Aと異なり、部分領域60を画する線分が曲線を含む保持シート10の場合、その曲線を有限個の直線に置き換えた屈曲点の座標値で領域データを構成してもよい。また、前記保持領域情報は、表示用のデータを含んだものとされる。
前記外部メモリ64には、模様を切断装置1で切断するための切断データが記憶されている。切断データは、図11(a)に示すように基本サイズ情報及び切断ラインデータと、表示用のデータとを含む。基本サイズ情報は、模様の縦横の大きさを表す値で、模様を四角形で囲んだ仮想矩形枠のデータである。例えば、図11(b)に示す「星」の模様Sは、その頂点P〜P10に接して模様Sを囲う矩形枠Fの大きさで表わされる。
前記切断ラインデータは、複数の線分からなる切断ラインの頂点を夫々XY座標によって示した座標値のデータからなり、切断装置1の座標系で規定されている。具体的には、図10(b)に示すように、模様Sの切断ラインは、線分S1〜S10からなり、切断開始点Pと切断終了点P10が一致する閉じた星形をなす。切断ラインデータとしては、切断開始点P、頂点P1、頂点P2、頂点P3、…、切断終了点P10の夫々に対応する第1座標値(X1、Y1)、第2座標値(X2、Y2)、第3座標値(X3、Y3)、…、第11座標値のデータを有する。これら座標値は、例えば図10(b)の矩形枠Fの左上の点Wを座標原点とし、その座標原点が保持シート10の原点Oに対応するものとして、切断ラインデータに基づき切断が行われる。
即ち、切断装置1では、模様Sを切断する場合、第1移動手段7による保持シート10(被切断物6)のY方向への移動と、第2移動手段8によるカッタホルダ5のX方向への移動とにより、模様Sの切断開始点PのXY座標へカッタ4を相対的に移動させる。次いで、第3移動手段44によりカッタ4の刃先4cを被切断物6の切断開始点Pに貫通させて、第1移動手段7及び第2移動手段8により線分S1の終点Pの座標へ向けて相対的に移動させ、線分S1に沿って被切断物6を切断する。続く線分S2は、先の線分S1の終点Pを始点として、線分S1と同様の切断が連続的に実行される。こうして、線分S2〜S10についても、順次連続して切断が行われることで、模様S、即ち「星」の切断ラインが切断ラインデータに基づき切断される。
上記した模様の切断に際して、制御回路61は、配置設定プログラムを実行することにより、ユーザにより指定された保持シート10上の部分領域60を識別するようになっている。そして、制御回路61は、識別した部分領域60に対応させて被切断物6に対する模様の配置位置を自動的に設定する配置手段として構成されている。このため、単数または複数の被切断物6を保持シート10における任意の部分領域60に貼り付けた場合でも、当該部分領域60を指定するだけで、模様の切断位置を所望する被切断物6の貼り付け位置に正確に合わせるようになっている。
次に上記構成の作用について、図12〜図15も参照しながら説明する。図12のフローチャートは、制御回路61が実行する配置設定プログラムの処理の流れを示している。
ユーザは、複数種類の保持シート10の中から、模様の形状や手持ちの被切断物6の形状に合った分割パターンの保持シート10を選ぶ。また、模様の形状や被切断物6の形状だけでなく、模様の大きさや被切断物6の大きさに合った分割パターンの保持シート10を選んでもよい。ここでは、例えば図1に示すように4つの被切断物6A,6B,6C,6Dと同じ大きさの部分領域601A〜604Aを有する保持シート10Aを用いるものとする。被切断物6A〜6Dは、例えば相互に色が異なる紙とするが、柄や材質が異なるものであってもよい。
また、ユーザは、各被切断物6A〜6Dを、部分領域601A〜604Aにそれぞれ貼り付ける。こうして、各被切断物6A〜6Dは、保持領域たる粘着層10vの全領域を覆い且つ相互に重ならないように保持される。
ユーザは、被切断物6A〜6Dを保持した保持シート10を、切断装置1の開口部2aからセットして、操作スイッチ65の操作により「給紙」を指示する。これにより、制御回路61は、第1移動手段7により保持シート10を後方へ送ると共に、検出センサ66による保持シート10Aの検出信号に基づいて、保持シート10の原点Oを設定する初期設定処理を行う(ステップS1)。
一方、ディスプレイ9には、図13に示すように、ユーザが用いる保持シート10の種類を選択するための保持シート選択画面が表示される。同図では、複数種類の保持シート10のうち8つの保持シート10を適当な縮尺の基線59´で例示している。ここで、ユーザは、操作スイッチ65を操作して図13の破線で囲う保持シート10Aの種類を選択する(ステップS2)。
これにより、選択した保持シート10Aの保持領域情報が読み出され(ステップS3)、引続き、その保持領域である部分領域601A〜604Aを表示した部分領域選択画面(図示略)が表示される。部分領域選択画面では、例えば保持シート選択画面と同様に、保持シート10Aを適当な縮尺の基線59´で表示し、併せて図10(b)に示すように部分領域601A〜604Aに対応する1〜4の領域番号を表示してもよい。ユーザは、部分領域選択画面を見ながら操作スイッチ65を操作して、所望する領域番号1〜4の何れか、つまり切断したい被切断物6A〜6Dに対応する部分領域601A〜604Aを指定する(ステップS4)。
次いで、ディスプレイ9には、図14に示すように、模様を選択するための模様選択画面が表示される。ユーザは、操作スイッチ65を操作して所望する模様(例えば「星」の模様S)を選択する(ステップS5)。これにより、選択された模様Sの切断データが外部メモリ64から読み出される。
そして、制御回路61は、選択された模様Sについて、前記ステップS4で指定された部分領域に対応させて被切断物6に対する配置位置を設定する(ステップS6)。例えばステップS4で領域番号3の部分領域603Aがユーザにより指定されていたとする。この場合、制御回路は、部分領域603Aの領域データに基づいて、前記線分L31〜L34の内側の領域に模様Sが位置するように、切断データ(切断ラインデータ)の座標値を変換する。
詳細には、図10(c)に示すように、模様Sの配置位置は、保持シート10Aの原点に対応する点Oを座標原点とし、部分領域603Aの線分L34と矩形枠Fの左辺との間、並びに線分L31と矩形枠Fの後辺との間に夫々5mmの余白Gが形成される座標値に変換される。これにより、模様Sは、切断ラインが被切断物6Cに確実に収まり、且つ被切断物6Cの隅に寄せた配置位置に自動的に設定される。このとき、模様Sの切断データは、当該模様Sの自動配置により設定された座標値がRAM63に記憶される。
また、ディスプレイ9には、図15に示すように、模様Sを設定された配置位置で示す配置表示画面が表示される(ステップS7)。配置表示画面では、保持シート10Aを適当な縮尺で表した基線59´と、基線59´内に配置された模様Sとが表示され、ユーザは模様Sの配置位置を視認することができる。
ここで、ユーザは操作スイッチ65の操作により、切断の開始を指示する。この場合、模様Sの配置位置を被切断物6Bにおける切断位置として(つまり変換後の切断データの座標原点Oが保持シート10の原点Oに対応するものとして)、当該切断データに基づき切断手段58により模様Sを切断する(ステップS8)。
切断装置1で切断を行う場合、ソレノイド57の駆動により被切断物6を接触部56fで押圧すると共に、保持シート10における粘着層10vの粘着力で被切断物6をずれないよう保持することができる。また、このとき、押圧部材56は被切断物6に対して相対移動するが、押圧部材56の接触部56fが低摩擦係数の材料で構成されているため、接触部56fと被切断物6との間で生じる摩擦力を極力低減させることができる。よって、当該摩擦力に起因する被切断物6のずれを防止して被切断物6をより確実に保持することができ、切断データに基づいて、被切断物6をより正確に切断することができる。こうして、被切断物6Cから「星」の模様S全部が切り抜かれる。
前記ステップS4の実行に係る制御回路61、操作スイッチ65及びディスプレイ9は、保持シート10において被切断物6を保持する保持領域のうち少なくとも一部の部分である部分領域60を指定する指定手段に相当する。また、制御回路61、操作スイッチ65及びディスプレイ9は、複数種類の分割パターン(各形状の部分領域60)の中から1つの分割パターンを択一的に選択するパターン選択手段として機能する。
以上のように本実施形態の切断装置1は、模様選択手段により選択された模様について、指定手段で指定された部分領域60に対応させて被切断物6に対する配置位置を設定する配置手段を備え、当該配置手段により設定された配置位置を被切断物6における切断位置として、切断手段58により模様を切断する。
これによれば、配置手段によって、指定手段で指定した部分領域60に対応させて被切断物6に対する模様の配置位置が自動的に設定される。このため、少なくとも1つ、即ち単数または複数の被切断物6を保持シート10における任意の部分領域60に貼り付けた場合でも、当該部分領域60を指定手段で指定して、模様の切断位置を被切断物6の貼り付け位置に正確に合わせることができる。よって、模様の配置位置の確認や調整といった面倒な作業を行うことなく、所望の模様を簡単に切断することができる。
部分領域60は、前記保持領域を所定の大きさで複数に分割した領域である。このため、模様の形状や大きさに応じて、1つの部分領域60、或は複数の部分領域60と略同じ大きさの被切断物6を用いて切断を行うことで、被切断物6の無駄を少なくすることができる。また、複数の部分領域60うち何れかの部分領域60に被切断物6を貼り付けた場合でも、当該部分領域60を指定して模様の切断を所期の切断位置で行うことができる。
前記保持領域を複数の部分領域60に分割するパターンが、それぞれ異なる分割パターンとして複数種類が設定されており、指定手段は、複数種類の分割パターンの中から1つの分割パターンを択一的に選択するパターン選択手段を備える。
これによれば、パターン選択手段によって所望する分割パターンの部分領域60を択一的に選択することで、模様の形状や大きさに応じて最適な分割間ターンを選択することができる。また、模様の形状や大きさに応じて、複数種類の分割パターンの何れかと略同じパターンの被切断物6を用いて切断を行うことで、被切断物6の無駄をより少なくすることができる。
保持シート10は、複数種類の分割パターンに対応する指標を備える。これによれば、ユーザは、保持シート10の指標に合わせて、被切断物6を正確に貼り付けることができ、被切断物6に対する模様の切断位置のズレを防止することができる。
保持シート10は、分割パターンに対応する指標がそれぞれ異なる複数種類が用意されているため、ユーザは、複数種類の保持シート10の中から、模様の形状や大きさ、或は手持ちの被切断物の形状や大きさに合った指標の保持シート10を適宜選んで使用することができる。
前記指標は、保持シート10に設けられた基線59である。これにより、ユーザは、分割パターンを基線59として視認することができ、被切断物6を基線59に沿って正確に貼り付けることができる。
切断装置1は、模様を配置手段により設定された配置位置に対応させて表示する表示手段を備える。これによれば、ユーザは、模様選択手段により選択した模様を、その配置位置と併せて表示手段で視認することができる。また、表示手段によって、被切断物6の貼り付け位置に応じた所期の切断位置であることを切断前に確認することができる。
尚、本発明は上記しかつ図面に示す実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。本発明は、上記したカッティングプロッタとしての切断装置1に限られず、切断機能を備えた各種の装置に適用できるものである。
配置設定プログラムにおいて、部分領域選択画面を表示して部分領域60の選択が行われるステップS4と、模様選択画面を表示して模様の選択が行われるステップS5との順序を逆にしてもよい。このように、模様を選択した後に部分領域60を選択した場合でも、配置手段によって、当該部分領域60に対応させて被切断物6に対する配置位置を設定することができ、上記実施形態と同様の効果を奏する。
模様選択手段は、ディスプレイ9の前面に設けられ、透明電極からなる複数のタッチキーを有するタッチパネル(図示略)とディスプレイ9とで構成してもよい。この場合、タッチキーをユーザの指又はタッチペンで押圧操作することで、模様や保持シート10の選択のみならず、各種パラメータの設定や機能の指示等を行うようにしてもよい。
指標は、上記した基線59や数字で示された識別マークに限定するものではない。例えば、基線59は黒色の実線であったが、黒色に代えて赤色や黄色等の他の色にしてもよいし、実線ではなく破線にする等、線の種類を変更してもよい。また、線の太さについても適宜変更してもよい。また、識別マークについても、数字ではなく文字や記号であってもよい。また、各部分領域60を相互に異なる色で着色する等、分割パターンに対応する指標であればよい。
1 切断装置
4 切断刃(カッタ)
6,6A〜6D 被切断物
9 表示手段(ディスプレイ)、模様選択手段、指定手段
10,10A,10B 保持部材
10v 粘着層
58 切断手段
59 指標(基線)
60,601A〜604A,601B〜606B 部分領域
61 配置手段、指定手段、パターン選択手段
65 模様選択手段、指定手段、パターン選択手段

Claims (7)

  1. 切断刃と被切断物とを相対的に移動させることにより、前記切断刃により前記被切断物から所望の模様を切断する切断手段を備えた切断装置であって、
    少なくとも1つの前記被切断物を剥離可能に保持した状態で前記切断装置にセットされる保持部材と、
    前記保持部材において前記被切断物を保持する保持領域のうち少なくとも一部の部分である部分領域を指定する指定手段と、
    複数の模様の中から所望の模様を選択する模様選択手段と、
    前記模様選択手段により選択された模様について、前記指定手段で指定された前記部分領域に対応させて前記被切断物に対する配置位置を設定する配置手段とを備え、
    前記配置手段により設定された配置位置を前記被切断物における切断位置として、前記切断手段により模様を切断することを特徴とする切断装置。
  2. 前記部分領域は、前記保持領域を所定の大きさで複数に分割した領域であることを特徴とする請求項1記載の切断装置。
  3. 前記保持領域を複数の前記部分領域に分割するパターンが、それぞれ異なる分割パターンとして複数種類が設定されており、
    前記指定手段は、前記複数種類の分割パターンの中から1つの分割パターンを択一的に選択するパターン選択手段を備えることを特徴とする請求項2記載の切断装置。
  4. 前記保持部材は、前記複数種類の分割パターンに対応する指標を備えることを特徴とする請求項3記載の切断装置。
  5. 前記保持部材は、前記分割パターンに対応する指標がそれぞれ異なる複数種類が用意されていることを特徴とする請求項3または4記載の切断装置。
  6. 前記指標は、前記保持部材に設けられた基線であることを特徴とする請求項4または5に記載の切断装置。
  7. 前記模様を前記配置手段により設定された配置位置に対応させて表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の切断装置。
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