JP2017014399A - 耐熱性シリコーンゲル組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
即ち、本発明は、以下のシリコーンゲル組成物及び該組成物を硬化してなるシリコーンゲル硬化物並びに該シリコーンゲル硬化物を用いたパワーモジュールを提供するものである。
〔1〕
(A)1分子中に少なくとも1個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A)成分中のアルケニル基1モルに対し(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が、0.01〜3モルとなる量、
(C)白金系硬化触媒:触媒としての有効量、及び
(D)カーボンブラック及びカーボンナノチューブから選ばれる少なくとも1種のカーボン系フィラー:0.01〜1.0質量部
を含有してなり、硬化してJIS K2220で規定される針入度が10〜200のシリコーンゲル硬化物を与えるものであるシリコーンゲル組成物。
〔2〕
カーボンブラックがDBP吸油量150ml/100g以下のアセチレンブラックであり、カーボンナノチューブが炭素成分含有量99.3質量%以上で、平均繊維外径が10nm以上である〔1〕記載のシリコーンゲル組成物。
〔3〕
更に、(E)下記(a)と(b)を120〜300℃で加熱処理して得られた反応生成物:(A)成分100質量部に対し0.01〜50質量部を含有してなる〔1〕又は〔2〕記載のシリコーンゲル組成物。
(a)25℃における粘度が10〜10,000mPa・sであるオルガノポリシロキサン、
(b)下記式(1)
(R1COO)aM1 (1)
(式中、R1は同一又は異種の1価炭化水素基であり、aは3〜4の整数である。またM1はセリウム又は鉄である。)
で示されるセリウムのカルボン酸塩及び/又は鉄のカルボン酸塩。
〔4〕
硬化して1TΩ・m以上の体積抵抗率(JIS K6271、印加電圧500V)を有するシリコーンゲル硬化物を与えるものである〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載のシリコーンゲル組成物。
〔5〕
〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のシリコーンゲル組成物を硬化してなる、JIS K2220で規定される針入度が10〜200であるシリコーンゲル硬化物。
〔6〕
〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のシリコーンゲル組成物を硬化してなる、1TΩ・m以上の体積抵抗率(JIS K6271、印加電圧500V)を有するシリコーンゲル硬化物。
〔7〕
250℃雰囲気下1,000時間後の針入度減少率が50%以下である〔5〕又は〔6〕記載のシリコーンゲル硬化物。
〔8〕
〔5〕〜〔7〕のいずれかに記載のシリコーンゲル硬化物を用いたことを特徴とするパワーモジュール。
本発明に使用される(A)成分のオルガノポリシロキサンは、シリコーンゲル組成物の主剤(ベースポリマー)であり、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基(以下「ケイ素原子結合アルケニル基」という)を平均して少なくとも1個、好ましくは2個以上(通常、2〜20個、特には2〜10個、更には2〜5個程度)有するオルガノポリシロキサンである。このアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等の、通常、炭素数2〜6個、好ましくは炭素数2〜4個程度の低級アルケニル基等が挙げられる。
本発明に使用される(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A)成分とのヒドロシリル化付加硬化反応において、架橋剤(硬化剤)として作用する成分である。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、平均で、1分子中に少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個、より好ましくは上限が500個、更に好ましくは上限が200個、特に好ましくは上限が100個のケイ素原子に結合した水素原子(以下、「ケイ素原子結合水素原子」(即ち、SiH基)という)を有するものであって、好ましくは分子中に脂肪族不飽和結合を有しないものである。
本発明の(C)成分は、前記(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基と前記(B)成分中のケイ素原子結合水素原子との付加反応を促進させるための触媒として使用されるものである。該(C)成分は白金族金属系触媒(白金又は白金系化合物)であり、公知のものを使用することができる。その具体例としては、白金ブラック、塩化白金酸、塩化白金酸等のアルコール変性物;塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサン又はアセチレンアルコール類等との錯体などの白金族金属触媒が例示される。
本発明における組成物中(D)成分は、電気絶縁性を保持したままシリコーンゲル組成物に耐熱性を付与する、本発明に必須の成分である。
本発明で用いるカーボンブラックとしては、従来公知のケッチェンブラック,アセチレンブラック,ファーネスブラック,ランプブラック,サーマルブラック,チャネルブラック,ロールブラック,ディスクブラック等を挙げることができる。これらのカーボンブラックの中で、アセチレンブラック以外のカーボンブラックは通常、硫黄、アミン等の含有量が多く、これらは硬化阻害の原因となるため適当でない。しかし、アセチレンブラック以外のカーボンブラックであっても、適当な処理を施すことにより硫黄、アミン等の含有量を低減させたものは、有効に使用することができる。
本発明で用いるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブのどちらでもよいが、好ましくは、樹脂との親和性や電気的特性、機械的特性の観点から、多層カーボンナノチューブを用いる。また、本発明のシリコーンゲル組成物に添加する多層カーボンナノチューブは高純度(炭素成分含有率99.3質量%以上)のものが好ましい。カーボンナノチューブの純度が低い場合、製造に使用された触媒成分が残留していたり、未反応の炭化水素源など多くの不純物が含まれており、これらはシリコーンゲル組成物を硬化させる際の触媒毒となるおそれがある。
本発明における組成物中(E)成分は、必要に応じて配合してもよい任意成分であって、シリコーンゲル組成物において耐熱性付与成分としての作用を有する成分であり、(E−a)オルガノポリシロキサンと、(E−b)セリウムのカルボン酸塩及び/又は鉄のカルボン酸塩との反応生成物である。
オルガノポリシロキサンは、従来公知のオルガノポリシロキサンであればよく、上述した(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンでもよく、(A)成分以外のオルガノポリシロキサンでもよい。(A)成分以外のオルガノポリシロキサンの場合は、SiH基を含有しないものが好ましい。これは実質的にジオルガノポリシロキサン単位を主体とする、常温で液体を保つ直鎖状又は分岐状のものとされる。このケイ素原子に結合した有機基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、ビニル基、アリル基などのアルケニル基、フェニル基、トリル基などのアリール基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、あるいはこれらの炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、フルオロプロピル基、シアノメチル基などが挙げられる。このオルガノポリシロキサンは、その分子鎖末端がトリアルキルシロキシ基、水酸基、ビニル基、アルコキシ基などで封鎖されたものを用いることができる。更に、これらの各種オルガノポリシロキサンの混合物であってもよい。
セリウムのカルボン酸塩及び/又は鉄のカルボン酸塩は下記式(1)で示される。
(R1COO)aM1 (1)
(式中、R1は同一又は異種の1価炭化水素基であり、aは3〜4の整数である。またM1は、セリウム又は鉄である。)
主鎖を構成するジオルガノシロキサン単位としてジメチルシロキサン単位99.850モル%とメチルビニルシロキサン単位0.125モル%、分子鎖末端基としてジメチルビニルシロキシ基0.025モル%を含有する平均重合度が約6,000である直鎖状オルガノポリシロキサン(生ゴム)50部、主鎖を構成するジオルガノシロキサン単位としてジメチルシロキサン単位99.860モル%と、分子鎖末端基としてジメチルビニルシロキシ基0.040モル%を含有する平均重合度が約5,000である直鎖状オルガノポリシロキサン(生ゴム)50部、BET比表面積200m2/gのヒュームドシリカ(商品名アエロジル200、日本アエロジル(株)製)25部、分散剤としてジメチルジメトキシシラン4部、ビニルトリメトキシシラン0.15部、メチルトリメトキシシラン0.5部、両末端シラノール基を有し、平均重合度が3.5である直鎖状ジメチルポリシロキサン1部を配合し、ニーダーにて均一に混練りし、180℃にて1時間加熱処理してコンパウンドを調製した。
上記で調製したコンパウンド100部と(D−1)カーボンブラック(東海カーボン株式会社製、トーカブラック#4400F、DBP吸油量;135ml/100g)20部をニーダーにて均一に混練りしてカーボンマスターバッチAを調製した。得られたカーボンマスターバッチA5部と25℃における粘度が約100mPa・sの両末端トリメチルシリル基封鎖ジメチルポリシロキサン100部をプラネタリーミキサーに投入し、常圧下、常温にて攪拌した。次に得られた混合物を3本ロールミルにかけ、2パスさせることによってカーボンブラックを均一分散させたカーボンペーストD−1(カーボンブラック含有量;約0.79質量%)を作成した。
(カーボンペーストD−2の調製)
上記カーボンペーストD−1の調製方法で、カーボンブラックをカーボンナノチューブ(アプライドカーボンナノ社製、A−tubeM85、炭素成分含有量;99.5質量%、平均繊維外径;15nm)に変えた以外はすべて同様の方法でカーボンペーストD−2(カーボンナノチューブ含有量;約0.79質量%)を作成した。
(ペーストD−3の調製)
上記カーボンペーストD−1の調製方法で、カーボンブラックを添加しない以外はすべて同様の方法でペーストD−3(カーボン含有量;0質量%)を作成した。
(A−1)25℃における粘度が約1.0Pa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシリル基封鎖ジメチルポリシロキサン
(B)成分
(B−1)下記式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
(B−2)下記式(3)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
(C)成分
下記式(4)で示されるオルガノポリシロキサンを溶媒とする塩化白金酸−ビニルシロキサン錯体の溶液(白金原子含有量:1質量%)
(D)成分
(D−1)カーボンペーストD−1
(D−2)カーボンペーストD−2
(D−3)ペーストD−3
(E)成分
(E−1)シリコーンオイル1:2−エチルヘキサン酸塩鉄(III)溶液(鉄元素含有量8質量%)1部と25℃での粘度が100mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100部とを230〜240℃の温度で熱処理して得られる反応生成物
その他の成分
(F−1)触媒活性(反応速度)の制御剤:エチニルメチルデシルカルビノールの100%溶液
上記成分(A)〜(E)を表1の様な配合で均一に混合し、シリコーン組成物S1〜S5を調製した。調製したシリコーン組成物S1〜S6を、120℃30分加熱してシリコーンゲル硬化物を得た。得られた硬化物の針入度及び体積抵抗率の結果を表1に示す。なお、針入度はJIS K2220に規定された試験方法にて、また体積抵抗率の測定はJIS K6249に記載される方法で行なった。
上記実施例及び比較例で得られたシリコーンゲル硬化物S1〜S6を用い、250℃×1,000時間の耐熱試験後の針入度とクラックの有無を目視にて評価した。結果を表2に示す。実施例1〜3の組成物は、本発明の要件を満たすものであり、良好なゴム特性を有するシリコーンゲル硬化物が得られ、また250℃の長期耐熱下でも針入度の大きな低下は見られず、クラック等の異常な外観も見られず、安定性が確認された。
Claims (8)
- (A)1分子中に少なくとも1個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A)成分中のアルケニル基1モルに対し(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が、0.01〜3モルとなる量、
(C)白金系硬化触媒:触媒としての有効量、及び
(D)カーボンブラック及びカーボンナノチューブから選ばれる少なくとも1種のカーボン系フィラー:0.01〜1.0質量部
を含有してなり、硬化してJIS K2220で規定される針入度が10〜200のシリコーンゲル硬化物を与えるものであるシリコーンゲル組成物。 - カーボンブラックがDBP吸油量150ml/100g以下のアセチレンブラックであり、カーボンナノチューブが炭素成分含有量99.3質量%以上で、平均繊維外径が10nm以上である請求項1記載のシリコーンゲル組成物。
- 更に、(E)下記(a)と(b)を120〜300℃で加熱処理して得られた反応生成物:(A)成分100質量部に対し0.01〜50質量部を含有してなる請求項1又は2記載のシリコーンゲル組成物。
(a)25℃における粘度が10〜10,000mPa・sであるオルガノポリシロキサン、
(b)下記式(1)
(R1COO)aM1 (1)
(式中、R1は同一又は異種の1価炭化水素基であり、aは3〜4の整数である。またM1はセリウム又は鉄である。)
で示されるセリウムのカルボン酸塩及び/又は鉄のカルボン酸塩。 - 硬化して1TΩ・m以上の体積抵抗率(JIS K6271、印加電圧500V)を有するシリコーンゲル硬化物を与えるものである請求項1、2又は3記載のシリコーンゲル組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のシリコーンゲル組成物を硬化してなる、JIS K2220で規定される針入度が10〜200であるシリコーンゲル硬化物。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のシリコーンゲル組成物を硬化してなる、1TΩ・m以上の体積抵抗率(JIS K6271、印加電圧500V)を有するシリコーンゲル硬化物。
- 250℃雰囲気下1,000時間後の針入度減少率が50%以下である請求項5又は6記載のシリコーンゲル硬化物。
- 請求項5〜7のいずれか1項記載のシリコーンゲル硬化物を用いたことを特徴とするパワーモジュール。
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