JP2017007501A - シェード装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シェードの可視光線の透過率を変更することができ、かつ、前回の展開状態に左右されずに、目的とする透過率の領域を展開させることができるようにすること。
【解決手段】シェード装置20は、第1領域(例えば、高透過率領域52)と、第1領域とは異なる可視光線透過率を示す第2領域(例えば、低透過率領域54)とを含むシェード50と、シェード50を第1領域側の端部から巻取る第1巻取装置30と、シェード50を第2領域側の端部から巻取る第2巻取装置40と、第1巻取装置30と第2巻取装置40とを相対的に移動させる移動手段60と、巻取駆動手段70とを備える。非展開状態から展開するとき、シェード50が第1巻取装置30及び第2巻取装置40の少なくとも一方に巻取られた初期片方巻取状態、又は、第1領域および第2領域の両方が、第1巻取装置若しくは第2巻取装置に巻取られた初期片方巻取状態とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、自動車等の車両に搭載されるシェード装置に関する。
特許文献1に開示の自動車窓用ウインドシェードでは、シェードシートの透光性が、窓の下縁の領域で相対的に良好な透光性が提供されるように、窓の上縁から下縁に向けて変化するように設定されている。
特許文献2は、フィルムスクリーンの下端に網スクリーンを連結することにより形成されたスクリーンと、このスクリーンを自動的に巻上げ可能な自動式巻上ドラムと、網スクリーンの下端が巻着された巻取軸とを備える巻上式戸を開示している。特許文献2では、自動式巻上ドラムにスクリーンが巻取られた状態から、巻取軸と共に網スクリーンを引下げて、巻取軸を下框に固定すると、戸の全面に網スクリーンが広がる状態となる。また、この状態から巻取軸を手動で回転することにより網スクリーンを巻取軸に全部巻取ると、戸の全面にフィルムスクリーンが広がる状態となる。さらに、この状態から、自動式巻上ドラムでスクリーンを巻取って、巻取軸を上昇させると、戸は全開状態となる。
特開2006−36200号公報 実公昭64−2932号公報
しかしながら、特許文献1に開示の技術によると、シェードシートには、異なる透光性の領域が混在しており、それぞれの領域における透光性を変更することはできない。
特許文献2に開示の技術では、網スクリーンを広げると可視光線透過率を低くでき、フィルムスクリーンを広げると可視光線透過率を高くできる。
しかしながら、全開状態から巻取軸を引下げた場合において、戸の全面に、網スクリーン及びフィルムスクリーンのいずれが広がるかは、前回の展開状態等に依存する場合がある。例えば、前回の展開状態が、戸の全面に網スクリーンが展開した状態であったとする。この状態で、戸を全開状態にするためには、網スクリーンを自動式巻上ドラムに巻取りつつ、巻取軸を上昇させることになる。この場合、プラスチックフィルムスクリーン及び網スクリーンの両方が自動式巻上ドラムに巻かれた状態となる。この状態から巻取軸を引下げると、最初に網スクリーンが戸の全面に広がる状態となる。
特許文献2自体は、本発明とは異なる技術分野に属する。仮に、本巻上式戸を、車両に搭載されるシェード装置に適用する場合を想定すると、次の問題が生じ得る。
まず、車両では、運転中においては、視界確保のため、シェードの可視光線の透過率はなるべく高いことが好ましい。しかしながら、特許文献2の技術では、シェードの引出時に、最初に可視光線の透過率が相対的に低い網スクリーンが展開する場合が生じ得、この場合に、運転者の視界が妨げられる事態が不可避的に生じてしまう。
そこで、本発明は、窓を覆うシェードの可視光線の透過率を変更することができ、かつ、前回の展開状態に左右されずに、目的とする透過率の領域を展開させることができるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するため、第1の態様は、車両の窓を車室側から遮蔽するためのシェード装置であって、異なる可視光線透過率を示す第1領域と第2領域とを含み、前記第1領域と前記第2領域とが選択的に前記窓を遮蔽可能なシェードと、前記シェードを、前記第1領域側の端部から巻取る第1巻取装置と、前記シェードを、前記第2領域側の端部から巻取る第2巻取装置と、前記窓に対して前記シェードを展開させるように前記第1巻取装置と前記第2巻取装置とを離間させた展開状態から、前記展開状態のシェードを前記第1巻取装置及び前記第2巻取装置の少なくとも一方に巻取って前記窓を前記車室側に露出させるように前記第1巻取装置と前記第2巻取装置とを接近させた非展開状態に、又は、前記非展開状態から前記展開状態に、変化させるために前記第1巻取装置と前記第2巻取装置とを相対的に移動させる移動手段と、前記第1巻取装置及び前記第2巻取装置の少なくとも一方に巻取動作又は繰出し動作を行わせる巻取駆動手段とを備え、前記非展開状態から展開するとき前記シェードの可視光線透過率が高い方の領域を引出し可能とするように、前記第1領域が前記第1巻取装置に、前記第2領域が前記第2巻取装置に巻取られた初期双方巻取状態、又は、前記第1領域および前記第2領域の両方が、前記第1巻取装置若しくは前記第2巻取装置に巻取られた初期片方巻取状態としたものである。
第2の態様は、第1の態様に係るシェード装置であって、前記巻取駆動手段は、前記初期双方巻取状態又は前記初期片方巻取状態となるように、前記第1巻取装置と前記第2巻取装置とが移動し前記展開状態から前記非展開状態へ変化する間で、前記第1巻取装置及び前記第2巻取装置の少なくとも一方に巻取動作を開始させるものである。
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るシェード装置であって、前記第1巻取装置は、前記シェードのうち前記第1領域側の端部が連結された第1巻取シャフトを含み、前記窓の下側縁に沿って位置するように前記車両に固定され、前記第2巻取装置は、前記シェードのうち前記第2領域側の端部が連結された第2巻取シャフトと、前記第2巻取シャフトを巻取方向に付勢する巻取付勢部とを含み、前記移動手段は、前記第2巻取装置を、前記第1巻取装置に対して接近離間移動させるものであり、前記巻取駆動手段は、前記シェードを巻取る方向及び繰出す方向に、前記第1巻取シャフトを回転駆動する回転駆動部を含むものである。
第1の態様によると、シェードの第1領域と第2領域とによって選択的に窓を遮蔽し窓を覆うシェードの可視光線の透過率を変更することができるシェード装置を非展開状態から展開状態にするとき、シェードは可視光線透過率が高い方の領域が引出されるように、非展開状態から展開するときシェードの可視光線透過率が高い方の領域を引出し可能とするように、第1領域が第1巻取装置に、第2領域が第2巻取装置に巻取られた初期双方巻取状態、又は、第1領域および第2領域の両方が、第1巻取装置若しくは第2巻取装置に巻取られた初期片方巻取状態としたものである。このため、非展開状態から展開するとき前回の展開状態に左右されずに、透過率の高い方の領域を展開させることができ、視認性を妨げない。
第2の態様によると、前記第1巻取装置と前記第2巻取装置とが移動し前記展開状態から前記非展開状態へ変化する間で、第1巻取装置及び第2巻取装置の少なくとも一方に巻取動作を開始させる。そして、非展開状態において初期双方巻取状態又は初期片方巻取状態となる。このため、初期双方巻取状態又は初期片方巻取状態にするまでに掛かる期間が短くなり、効率よく作動できる。
第3の態様によると、車両に固定される第1巻取装置側に巻取駆動手段を設けることができ、これに対して接近及び離間移動する第2巻取装置側については、第2巻取シャフトを巻取方向に付勢する巻取付勢部を組込めばよい。このため、巻取駆動手段による動作を第1巻取装置側のみにできる。
実施形態に係るシェード装置の全体構成を示す概略図である。 シェード装置の第1巻取装置の部分を部分的に分解した斜視図である。 シェード装置の第2巻取装置を部分的に分解した斜視図である。 シェード装置が展開した状態を示す斜視図である。 シェード装置が展開した状態を示す斜視図である。 シェード装置が展開した状態を示す斜視図である。 シェード装置の電気的構成を示すブロック図である。 展開状態から非展開状態への動作を示すフローチャートである。 展開状態から非展開状態への動作を示す説明図である。 展開状態から非展開状態への動作を示す説明図である。 展開状態から非展開状態への動作を示す説明図である。 展開動作を示すフローチャートである。 展開状態から非展開状態への動作を示す説明図である。 展開状態から非展開状態への動作を示す説明図である。 領域の切替え動作を示すフローチャートである。 切替え動作を示す説明図である。 第1変形例に係る展開動作を示すフローチャートである。 駐車中におけるシェード装置の展開動作を示す説明図である。 駐車中におけるシェード装置の展開動作を示す説明図である。 第2変形例に係る所定の初期片側巻取状態を示す説明図である。 第2変形例に係る展開動作を示すフローチャートである。 第2変形例に係る展開動作を示す説明図である。
{実施形態}
以下、実施形態に係るシェード装置20について説明する。
<全体構成について>
図1はシェード装置20の全体構成を示す概略図であり、図2はシェード装置20の第1巻取装置30を部分的に分解した斜視図であり、図3はシェード装置20の第2巻取装置40を部分的に分解した斜視図であり、図4〜図6はシェード装置20が展開した状態を示す斜視図である。図4は第1領域である高透過率領域52が展開した状態を示し、図5は第2領域である低透過率領域54が展開した状態を示し、図6は高透過率領域52から低透過率領域54に切替る途中状態を示している。
このシェード装置20は、車両の窓10を車室側から遮蔽する装置である。本実施形態では、窓10としての車両後方の窓が想定される。窓10は、対向する長辺及び短辺と、長辺及び短辺のそれぞれの端部同士を連結する一対の斜辺とで囲まれる等脚台形状に形成されている。長辺は、下側に配設され、短辺は上側に配設される。
シェード装置20の第1巻取装置30は、窓10の長辺に沿って配設される窓周辺部材14(リアパッケージトレイ等)に組込まれる。当該窓周辺部材14には、スリットが形成され、第1巻取装置30は、当該スリットの内側で前記窓周辺部材14に組込まれる。シェード50は、当該スリットを通じて、窓10の内側を覆うように展開する。
もっとも、シェード装置20は、上記のような自動車の後方窓10に限らず、自動車の横の窓等、その他の窓に対しても適用可能である。これらの場合には、シェード装置は、窓周辺部材としてのトリム、その他の内装部材等の内側に組込むとよい。
このシェード装置20は、シェード50と、第1巻取装置30と、第2巻取装置40と、移動手段60と、巻取駆動手段70とを備える。
シェード50は、第1領域52と、第2領域54とを含む。第1領域52と第2領域54とは、異なる可視光線透過率を示す。第1領域52又は第2領域54をメッシュ素材のスクリーンによって形成した場合、その可視光線透過率は、孔の大きさ、単位面積辺りの孔目数等によって決る開口率(第1領域52又は第2領域54全体の面積に対する開口部の面積割合)によって調整することができる。開口率が大きければ可視光線透過率は高くなり、開口率が小さければ可視光線透過率は低くなる。第1領域52又は第2領域54を半透明なシート、透明なシートに印刷を施したもの等によって形成した場合、色の濃さ、印刷物の濃さ、領域によって可視光線透過率を調整することができる。色の濃さが薄ければ、或は、印刷領域が小さければ、可視光線透過率は高くなり、色の濃さが濃ければ、或は、印刷領域が大きければ、可視光線透過率は低くなる。可視光線透過率は、例えば、JIS R 3106に準じて測定される値を採用することができる。
ここでは、第1領域の52の可視光線透過率は、第2領域54の可視光線透過率よりも高い。このため、第1領域52は視認性に優れ、第2領域54は遮蔽性に優れる。第1領域52を高透過率領域52、第2領域54を低透過率領域54という場合がある。高透過率領域52の可視光線透過率は、70%以上であることが好ましい。
高透過率領域52及び低透過率領域54は、それぞれ窓10を遮蔽可能な形状に形成されている。高透過率領域52又は低透過率領域54が窓10を遮蔽するとは、必ずしも窓10の全体を遮蔽することを意味せず、窓10の大部分を遮蔽できればよい。ここでは、高透過率領域52及び低透過率領域54は、窓10の短辺と長辺とを結ぶ方向においては、窓10を全体的に覆うが、窓10のうち短辺の端部よりも外側の両側領域は覆わない。
より具体的には、高透過率領域52及び低透過率領域54は、方形状に形成されている。高透過率領域52及び低透過率領域54の幅寸法は、窓10の短辺の長さ寸法と同程度に設定されており、長さ寸法は、窓10の短辺と長辺とを結ぶ距離と同程度に設定されている。このため、高透過率領域52及び低透過率領域54は、それぞれ窓10を選択的に遮蔽することができる。
高透過率領域52と低透過率領域54とは別々のシートによって形成され、それらが縫合等によって接合されたものであってもよいし、同一のシートに対して2つの領域で異なる印刷又は孔開け加工等を施すことで、可視光線透過率を変えるようにしたものであってもよい。なお、第1領域の可視光線透過率が、第2領域の可視光線透過率よりも低く設定されていてもよい。
第1巻取装置30は、シェード50を高透過率領域52側の端部から巻取可能に構成されている。
より具体的には、第1巻取装置30は、第1巻取シャフト32と含む。第1巻取シャフト32は、シェード50の幅寸法よりも長い丸筒又は丸棒状に形成されている。第1巻取シャフト32の両端部は、支持フレーム等によって回転可能に支持されている。シェード50のうち高透過率領域52側の端縁部が第1巻取シャフト32に相対回転不能に連結されている。そして、第1巻取シャフト32を回転させることによって、シェード50を高透過率領域52側の端部から巻取ることができる。また、これとは逆方向に第1巻取シャフト32を回転させることによって、シェード50を繰出すことができる。
この第1巻取シャフト32は、第1巻取装置30に設けられたブラケット等によって、窓10の下側縁部(長辺)に沿って位置するように、車両の一部である窓周辺部材14に固定される。
第2巻取装置40は、シェード50を低透過率領域54側の端部から巻取可能に構成されている。
より具体的には、第2巻取装置40は、第2巻取シャフト42と、巻取付勢部としてのコイルバネ44とを含む。
第2巻取シャフト42は、シェード50の幅寸法よりも長い丸筒に形成されている。シェード50のうち低透過率領域54側の端縁部が第2巻取シャフト42に相対回転不能に連結されている。
第2巻取シャフト42は、ケース43内に収容されている。ケース43は、筒状に形成されている。ケース43内には、第2巻取シャフト42にシェード50を巻取ったものを収容可能な空間が形成されている。また、ケース43の外周部の一部に、その延在方向に沿ったスリット44Sが形成されている。そして、第2巻取シャフト42がケース43内に収容された状態で、第2巻取シャフト42の両端部がケース43の両端部で一対の軸受部45を介して回転可能に支持される。この状態で、シェード50は、スリット44Sを通じて外部に引出される。
コイルバネ44は、第2巻取シャフト42を巻取方向に付勢可能に構成されている。ここでは、巻取付勢部44は、コイルバネ44であり、筒状をなす第2巻取シャフト42内に挿入されている。コイルバネ44の一端部は、第2巻取シャフト42内に介在固定部材44aを介して相対回転不能に固定され、他端部は一方の軸受部45に介在固定部材44bを介して相対回転不能に固定されている。そして、軸受部45に対して第2巻取シャフト42が相対回転することで、コイルバネ44が捩れ、コイルバネ44が元に戻ろうとする力によって、第2巻取シャフト42が回転する。この回転しようとする力が、第2巻取シャフト42を巻取方向に付勢する力として作用する。巻取付勢部材としては、コイルバネ44の他、渦巻ばね等を使用することもできる。
この第2巻取装置40では、シェード50は、スリット44Sを通じて引出されており、当該シェード50を引っ張ると、第2巻取シャフト42が回転し、コイルバネ44が捩れる。このため、シェード50が引出された状態では、コイルバネ44が元に戻ろうとする力によって、第2巻取シャフト42に、シェード50を巻取る力が作用している。初期状態において、コイルバネ44を捻っておくことによって、第2巻取シャフト42に、常時、シェード50を巻取る力が作用する。そして、シェード50を引っ張る力を除去すると、コイルバネ44の付勢力によって第2巻取シャフト42がシェード50の巻取方向に回転し、シェード50が第2巻取装置40に巻取られる。
移動手段60は、展開状態と非展開状態との間で、第1巻取装置30と第2巻取装置40とを相対的に移動可能に構成されている。ここで、展開状態とは、窓10に対してシェード50を展開させるように、第1巻取装置30と第2巻取装置40とを離間させた状態である(図1の第2巻取装置40の位置A1参照)。非展開状態とは、第1巻取装置30及び第2巻取装置40の少なくとも一方にシェード50を巻取って、窓10を車室側に露出させるように、第1巻取装置30と第2巻取装置とを接近させた状態である(図1の第1巻取装置30の位置A2参照)。
第1巻取装置30の長さ寸法を窓10の下側縁部(長辺)の長さ寸法に合わせると共に、第2巻取装置40の長さ寸法を窓10の上側縁部(短辺)の長さ寸法にあわせてもよい。この場合、シェード50のうち第1領域52を台形状にするとよい。より具体的には、第1領域52のうち第1巻取装置30側の辺を窓10の下側縁部(長辺)の長さ寸法に合わせると共に、第1領域52のうち第2巻取装置40側の辺(第2領域に繋がる辺)を窓10の上側縁部(短辺)の長さ寸法に合わせた台形状にするとよい。これにより、第1領域52によって窓10をなるべく全体的に覆うことができる。この場合、第2領域については、幅寸法を窓10の上側縁部(短辺)の長さ寸法に合わせた長方形状にするとよい。
ここでは、移動手段60は、第2巻取装置40を、窓10の長辺に沿って配設された第1巻取装置30に対して接近離間移動させるように構成されている。このため、展開状態では、第1巻取装置30が窓10の長辺に沿って配設されると共に、第2巻取装置40が窓10の短辺に沿って配設された状態となり、それらの間にシェード50が展開される。また、非展開状態では、第1巻取装置30及び第2巻取装置40が窓10の長辺に沿って近接して配設され、シェード50が第1巻取装置30及び第2巻取装置40の一方又は両方に巻取られ非展開状態となる。
より具体的には、移動手段60は、移動駆動部62と、一対の展開用リンク機構64とを備える。
移動駆動部62は、モータ等により構成されており、第1巻取装置30の延在方向中間部にブラケット等によって支持されている。移動駆動部62の回転シャフトには、板状部材63が固定されている。板状部材63の回転範囲は、第1巻取装置30に設けられた規制片によって、第1巻取装置30及び第2巻取装置40を、展開状態にする回転角度と非展開状態にする回転角度の間に規制されている。従って、移動駆動部62が展開状態又は非展開状態に対応する角度まで回転すると、移動駆動部62にはロック電流として過電流が流れる。
展開用リンク機構64は、第1リンク65、第2リンク66及び第3リンク67を備える。
第1リンク65の一端部が上記移動駆動部62の板状部材63に連結された状態で、第1リンク65が第1巻取装置30の延在方向に沿って配設されている。なお、左右の第1リンク65の一端部は、回転シャフトの両側で板状部材63に連結されている。このため、移動駆動部62の回転駆動によって、左右の第1リンク65が同期して第1巻取装置30の延在方向外側に移動し、或は、中央側に移動することができる。
第2リンク66の一端部は、第1リンク65の他端部に連結されている。また、第2リンク66のうち第1リンク65に連結された部分よりも中間よりの部分が、第1巻取装置30の端部で支持フレーム等によって回転可能に支持されている。
第3リンク67の一端部は、第2リンク66の他端部に連結されている。第3リンク67の他端部は、第2巻取装置40のケース43の端部に回転可能に連結されている。
そして、移動駆動部62の回転駆動により、第1リンク65が第1巻取装置30の延在方向に沿って往復駆動される。第1リンク65が第1巻取装置30の延在方向中央側に移動すると、第2リンク66の一端部が第1巻取装置30の延在方向中央側に移動し、第2リンク66の他端部が本シェード装置20の幅方向外側に向けて立上がり、第2リンク66が第1巻取装置30に対して直交する姿勢となる。これにより、第3リンク67の一端部も本シェード装置20の幅方向外側に向けて移動し、第3リンク67も第1巻取装置30に対して直交する姿勢となる。第2リンク66と第3リンク67とが直線状に連続する状態となるため、第2リンク66と第3リンク67との長さに応じて、第1巻取装置30と第2巻取装置40とが相対的に離間した状態、つまり、上記展開状態となる(図4〜図6参照)。
逆に、移動駆動部62の回転駆動により、第1リンク65が第1巻取装置30の延在方向外側に移動すると、第2リンク66の一端部が第1巻取装置30の延在方向外側に移動し、第2リンク66の他端部が本シェード装置20の幅方向中央側に向かうように、第2リンク66が第1巻取装置30に対して傾く。これにより、第3リンク67の一端部も本シェード装置20の幅方向中央側に向けて移動し、第3リンク67も第2巻取装置40に対して傾く姿勢となる(図1参照)。第2リンク66及び第3リンク67とがほぼ180度をなすまで曲ると、第1巻取装置30と第2巻取装置40とが接近した状態、つまり、非展開状態となる(図1の位置A2参照)。
巻取駆動手段70は、非展開状態において、シェード50が第1巻取装置30及び第2巻取装置40に対して初期双方巻取状態で巻取られた状態となるように、非展開状態である期間、及び、第1巻取装置30と第2巻取装置40とが接近移動する期間の少なくとも一方で、第1巻取装置30及び第2巻取装置40の少なくとも一方に、それらの巻取シャフトを回転駆動することで、巻取及び繰出し動作を行わせる。
ここでは、巻取駆動手段70は、シェード50を巻取る方向及び繰出す方向に第1巻取シャフト32を回転駆動する。
より具体的には、巻取駆動手段70は、モータ等によって構成された回転駆動部71を備えている。回転駆動部71は、モータ本体71aと、回転シャフト72とを備える。モータ本体71aは、第1巻取装置30の一端部にブラケット等によって固定されている。回転シャフト72は、第1巻取シャフト32に相対回転不能に連結されている。そして、巻取駆動手段70の回転駆動によって、第1巻取シャフト32が双方向に回転駆動される。巻取駆動手段70による第1巻取シャフト32の一方向の回転方向がシェード50を巻取回転方向であり、これとは逆の回転方向がシェード50を繰出す方向の回転方向である。
第1巻取装置30と第2巻取装置40との間には、シェード50が配設される。第1巻取装置30及び第2巻取装置40が展開状態にあるか非展開状態にあるかに関わらず、第2巻取装置40の第2巻取シャフト42は、シェード50を巻取る方向に常時付勢されている。このため、巻取駆動手段70によって第1巻取装置30側でシェード50を巻取ると、第2巻取装置40に巻取られていたシェード50が引出される。また、巻取駆動手段70によって第1巻取装置30側のシェード50を繰出すと、第2巻取装置40側でシェード50が巻取られる。従って、巻取駆動手段70によって第1巻取シャフト32を回転駆動させることによって、第1巻取装置30及び第2巻取装置40の間でのシェード50の低透過率領域54及び高透過率領域52の分布、第1巻取装置30及び第2巻取装置40でのシェード50の巻取収容状態を調整することができる。
なお、ここでは、第1巻取装置30側に巻取駆動手段70を設けているが、必ずしもその必要は無い。第2巻取装置側に巻取駆動手段を設け、第1巻取装置側に第1巻取シャフトを巻取方向に付勢する巻取付勢部を設けてもよい。また、第1巻取装置及び第2巻取装置の双方に巻取駆動手段を設け、これらを同期して回転駆動するようにしてもよい。
なお、上記巻取駆動手段70には、エンコーダ80が組込まれている(図7参照)。エンコーダ80は、第1巻取シャフト32の回転量を検出する回転量検出部であり、その検出結果を出力可能に構成されている。エンコーダ80は、モータ本体71aに一体的に組込まれたものであってもよいし、モータ本体71aとは別体とされ、回転シャフト72又は第1巻取シャフト32の回転量を検出可能に第1巻取装置30に組込まれたものであってもよい。
また、本シェード装置20には、第1巻取装置30と第2巻取装置40とが非展開状態にあるかどうかを検出する非展開センサ82が組込まれている。ここでは、非展開センサ82は、マイクロスイッチ等によって構成されており、移動手段60に取付けられている。そして、第1巻取装置30と第2巻取装置40とが接近状態になると、第2巻取装置40が非展開センサ82の操作部を押し、これにより、非展開センサ82が非展開検知信号を出力する。後述する制御ユニット90は、本非展開センサ82からの出力に基づいて、第1巻取装置30と第2巻取装置40とが非展開状態であるか否かを判別することができる。
<ブロック図>
図7は本シェード装置20の電気的構成を示すブロック図である。図1及び図7に示すように、シェード装置20は、移動駆動部62及び巻取駆動手段70を制御する制御ユニット90を備える。
制御ユニット90は、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータであり、予め格納されたソフトウェアプログラムに従って移動駆動部62及び巻取駆動手段70の動作制御を行う。制御ユニット90は、本シェード装置20を制御する専用のユニットであってもよいし、車両の他の部分の制御を行う車両用の電子制御ユニットの一機能として組込まれていてもよい。
ここでは、上記エンコーダ80及び非展開センサ82の出力が制御ユニット90に入力される。また、電流検知部84の検知結果も制御ユニット90に入力される。電流検知部84は、移動手段60のモータ本体71aの駆動電流を検出し、ロック電流として過電流が流れた場合にその検知結果を出力可能に構成されている。これにより、第1巻取装置30及び第2巻取装置40が展開状態又は非展開状態となり、モータ本体71aの回転駆動が妨げられると、電流検知部84からそれらの各状態の検知信号が出力される。
また、本シェード装置20に対する諸支持を入力するための操作スイッチ86からの操作信号も本制御ユニット90に入力される。操作スイッチ86は、1つ又は複数のプッシュスイッチ、スライドスイッチ等によって構成されている。操作スイッチ86は、運転席の近く等に配設される。本操作スイッチ86を通じて、第1巻取装置30及び第2巻取装置40を展開状態にする旨(展開指示操作)、非展開状態にする旨(非展開指示操作)、高透過率領域52が窓10を遮蔽した状態から低透過率領域54が窓10を遮蔽する状態に切替える旨(透過率変更指示操作)の各指示が受付けられる。
また、本制御ユニット90には、必要に応じて車両が運転中であるか否かを示す信号が入力される。例えば、車両がオートマチックミッション車である場合、シフトポジションがパーキング位置である場合に、P(パーキング)出力が本制御ユニット90に入力される。
本制御ユニット90は、上記各入力に基づいて、移動駆動部62及び巻取駆動手段70を後述するように制御する。なお、制御ユニット90が行う処理の一部或は全部の機能が、専用の論理回路等でハードウエア的に実現されてもよい。
<動作について>
上記シェード装置20の動作を説明する。本実施形態では、非展開状態における初期巻取状態が、高透過率領域52が第1巻取装置30に巻取られると共に低透過率領域54が第2巻取装置40に巻取られた初期双方巻取状態、すなわち、高透過率領域52と低透過率領域54との境界が、第1巻取装置30と第2巻取装置40との間に位置する場合を想定して説明する。
図8は、第1巻取装置30及び第2巻取装置40の非展開動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS1において、制御ユニット90は、非展開指示操作の有無を判断する。操作スイッチ86を通じて非展開指示操作が受付けられ、非展開指示操作有りと判断されると、ステップS2に進む。
ステップS2では、制御ユニット90は、上記所定の初期双方巻取状態とするための巻取駆動手段70の回転方向及び回転量を決定する。
例えば、制御ユニット90は、前回の非展開状態から、第1巻取装置30及び第2巻取装置40が展開動作を行う際に、第1巻取装置30及び第2巻取装置40とが非展開状態にあり、かつ、シェード50を上記所定の初期双方巻取状態にある状態を基準として、回転駆動部71の回転方向の動作指令内容及びエンコーダ80からの出力に基づいて、第1巻取シャフト32の回転方向、及び、回転量を記憶する。これと逆方向に同じ回転量、第1巻取シャフト32を回転させることで、所定の初期双方巻取状態とすることができる。所定の初期双方巻取状態とするための巻取駆動手段70の回転方向及び回転量は、高透過率領域52が展開しているか、又は、低透過率領域54が展開しているかに応じて、事前に設定されていてもよい。
この後、ステップS3〜S5、ステップS6〜S8の処理を行う。
ステップS3では、制御ユニット90は、移動手段60の移動駆動部62に対して接近指示を与える。これにより、移動駆動部62が、第2巻取装置40を第1巻取装置30に接近させるように、移動駆動部62を回転駆動させる。すると、第2巻取装置40が第1巻取装置30に対して接近移動する。
次ステップS4において、制御ユニット90は、電流検知部84からの出力に基づいて、移動駆動部62のロック電流の有無を検知する。移動駆動部62がロックされたと判断されると、次ステップS5に進む。
ステップS5では、制御ユニット90は、移動駆動部62に対して停止指示を与える。これにより、第1巻取装置30と第2巻取装置40とは非展開状態となる。
ステップS6では、制御ユニット90は、ステップS2で特定された内容に基づいて、巻取駆動手段70の回転駆動部71に回転指示を与える。これにより、第1巻取シャフト32がステップS2で特定された巻取方向で回転し始める。
次ステップS7において、エンコーダ80からの出力に基づいて、第1巻取シャフト32がステップS2で特定された回転量回転したか否かが判定される。当該回転量回転したと判定されると、ステップS8に進む。
ステップS8では、制御ユニット90は、回転駆動部71に対して停止指示を与える。
そして、上記ステップS3〜S5、ステップS6〜S8の処理が終了すると、非展開状態とする処理を終了する。この非展開状態では、シェード50は、上記所定の初期双方巻取状態となる。
なお、ここでは、ステップS3〜S5、ステップS6〜S8は、並列的に処理されるが、これには擬似的な並列処理を含む。また、ステップS3〜S5、ステップS6〜S8は、順次(直列)処理で行われてもよい。もっとも、巻取駆動手段70が、初期双方巻取状態となるように、第1巻取装置と第2巻取装置とが接近移動する期間で、巻取駆動手段70の動作を開始することで、第2巻取装置40の小型化を図ることができる。これについては、後で説明する。
図9は第1巻取装置30と第2巻取装置40とが展開状態であり、かつ、高透過率領域52が窓10を覆うように展開している様子を示している。図9〜図11、図13、図14、図16、図18〜図20、図22において、高透過率領域52が点線で示され、低透過率領域54が実線で示されている。
この状態で、操作スイッチ86を通じて非展開指示が受付けられると、第2巻取装置40が第1巻取装置30に対して接近移動する。そして、その接近移動期間において、第1巻取装置30の第1巻取シャフト32がシェード50の高透過率領域52の巻取を開始する。
そして、図10に示すように、第2巻取装置40が第1巻取装置30に対して接近移動し、非展開状態となった状態では、高透過率領域52が第1巻取シャフト32に巻取られ、低透過率領域54が第2巻取シャフト42に巻取られた状態となる。
第2巻取装置40が第1巻取装置30に対して接近移動し、非展開状態となった後で、第1巻取シャフト32と第2巻取シャフト42との間でシェード50の高透過率領域52の巻取を開始してもよい。もっとも、この場合、シェード50の全体が、一旦、第2巻取シャフト42に巻取られる。このため、ケース43内部にシェード50の全体を巻取って収容することが可能な空間を形成する必要があり、ケース43が大型化してしまう。そこで、上記のように、第1巻取装置30と第2巻取装置40との接近移動期間において、第1巻取シャフト32がシェード50の高透過率領域52の巻取を開始することが好ましい。この場合、第1巻取シャフト32は、第2巻取装置40の移動速度と同じ速度で、シェード50を巻取ることが好ましい。これにより、ケース43内の空間を、第2巻取シャフト42に巻取られた低透過率領域54を収容可能な程度の大きさにすることができ、ケース43の小型化を図ることができることができる。
また、図11に示すように、第1巻取装置30と第2巻取装置40とが展開状態であり、かつ、低透過率領域54が窓10を遮蔽するように展開しているとする。
この状態において、操作スイッチ86を通じて非展開指示が受付けられると、第2巻取装置40が第1巻取装置30に対して接近移動する。そして、その接近移動期間において、第1巻取装置30の第1巻取シャフト32がシェード50の繰出しを開始する。これにより、低透過率領域54は、第2巻取装置40によって巻取られる。
そして、第2巻取装置40が第1巻取装置30に対して接近移動し、非展開状態となった状態では、図10に示すように、高透過率領域52が第1巻取シャフト32に巻取られ、低透過率領域54が第2巻取シャフト42に巻取られた状態となる。
このように、展開状態において、高透過率領域52が窓10を遮蔽していても、低透過率領域54が窓10を遮蔽していても、非展開状態になると、高透過率領域52が第1巻取装置30に巻取られ、低透過率領域54が第2巻取装置40に巻取られた状態となる。
図12は、第1巻取装置30及び第2巻取装置40が非展開状態で、かつ、初期双方巻取状態である状態における、展開動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS11において、制御ユニット90は、展開指示操作の有無を判断する。操作スイッチ86を通じて展開指示操作が受付けられ、展開指示操作有りと判断されると、ステップS12〜S14、ステップS15〜S17の処理を行う。
ステップS12では、制御ユニット90は、移動手段60の移動駆動部62に対して離間指示を与える。これにより、移動駆動部62が、第2巻取装置40を第1巻取装置30から遠ざけるように、移動駆動部62を回転駆動させる。すると、第2巻取装置40が第1巻取装置30に対して離間移動する。
次ステップS13において、制御ユニット90は、電流検知部84からの出力に基づいて、移動駆動部62のロック電流の有無を検知する。移動駆動部62がロックされたと判断されると、次ステップS14に進む。
ステップS14では、制御ユニット90は、移動駆動部62に対して停止指示を与える。これにより、第1巻取装置30と第2巻取装置40とは展開状態となる。
ステップS15では、制御ユニット90は、巻取駆動手段70に対して、巻取駆動手段70の回転駆動部71に回転指示を与える。ここでは、回転駆動部71に対してシェード50を繰出す方向に第1巻取シャフト32を回転させるように回転指示を与える。これにより、第1巻取シャフト32が高透過率領域52を繰出すように回転し始める。
次ステップS16において、エンコーダ80からの出力に基づいて、第1巻取シャフト32が高透過率領域52を第1巻取装置30と第2巻取装置40との間に展開させる回転量回転したか否かが判定される。なお、上記初期双方巻取状態を基準とすると、展開状態にある第1巻取装置30と第2巻取装置40との間に高透過率領域52が展開するようになる回転量は、高透過率領域52の長さ寸法、第1巻取シャフト32の太さ等に応じて決る既知の値である。このため、ステップS16において比較の基準となる回転量は、予め設定された値として事前に設定しておくことができる。第1巻取シャフト32が前記回転量回転したと判定されると、ステップS17に進む。
ステップS17では、制御ユニット90は、回転駆動部71に対して停止指示を与える。
そして、上記ステップS12〜S14、ステップS15〜S17の処理が終了すると、展開状態とする処理を終了する。この展開状態では、第1巻取装置30と第2巻取装置40との間に、高透過率領域52が展開し、窓10を車室側から覆う状態となる。
なお、ここでは、ステップS12〜S14、ステップS15〜S17は、並列的に処理されるが、これには擬似的な並列処理を含む。また、ステップS12〜S14、ステップS15〜S17は、順次(直列)処理で行われてもよい。もっとも、第1巻取装置30と第2巻取装置40とが相対的に離間移動する際に、なるべく高透過率領域52が第1巻取装置30と第2巻取装置40との間に広がった状態となるように、第1巻取装置と第2巻取装置とが離間移動する期間で、巻取駆動手段70の動作を開始することが好ましい。また、この場合、第1巻取シャフト32は、第2巻取装置40の移動速度と同じ速度又はこれを越える速度で、シェード50を繰出すことが好ましい。
図13及び図14は、初期双方巻取状態において、第1巻取装置30と第2巻取装置40とが非展開状態から展開状態に展開する動作を示している。
第1巻取装置30と第2巻取装置40とが相対的に離間していくと、第1巻取シャフト32がシェード50の高透過率領域52を繰出す方向に回転駆動される。このため、図16に示すように、第1巻取装置30と第2巻取装置40との間には、高透過率領域52が広がる。
第1巻取装置30と第2巻取装置40とが展開状態になると、図9に示すように、高透過率領域52が窓10を遮蔽する状態となる。
図15は、第1巻取装置30及び第2巻取装置40が展開状態で、かつ、高透過率領域52が窓10を遮蔽した状態において、低透過率領域54が窓10を遮蔽するように切替える動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS21において、制御ユニット90は、低透過率変更指示操作の有無を判断する。操作スイッチ86を通じて低透過率変更指示操作が受付けられ、低透過率変更指示操作有りと判断されると、ステップS22に進む。
ステップS22では、制御ユニット90は、回転駆動部71に回転指示を与える。ここでは、回転駆動部71に対してシェード50を巻取る方向に第1巻取シャフト32を回転させるように回転指示を与える。これにより、第1巻取シャフト32が高透過率領域52を巻取るように回転し始める。これに合わせて、第2巻取装置40から低透過率領域54が引出される。
次ステップS23において、エンコーダ80からの出力に基づいて、第1巻取シャフト32が高透過率領域52を第1巻取装置30側に巻取り、低透過率領域54を第1巻取装置30と第2巻取装置40との間に展開させる回転量回転したか否かが判定される。なお、上記初期双方巻取状態を基準とすると、展開状態にある第1巻取装置30と第2巻取装置40との間に低透過率領域54が展開するようになる回転量は、低透過率領域54の長さ寸法、第1巻取シャフト32の太さ等に応じて決る既知の値である。また、上記したように、初期双方巻取状態を基準とする、現状の第1巻取シャフト32の回転量も既知の値である。このため、ステップS22において比較の基準となる回転量は、予め設定された値とすることができる。第1巻取シャフト32が前記回転量回転したと判定されると、ステップS24に進む。
ステップS24では、制御ユニット90は、回転駆動部71に対して停止指示を与える。これにより、第1巻取装置30と第2巻取装置40との間に、高透過率領域52に代えて低透過率領域54が展開し、窓10を車室側から覆う状態となる。
なお、ステップS21とステップS22との間に、P出力に基づいて、車両が駐車中であるか否かを判定するステップを追加し、駐車中であると判断されたときのみ、ステップS22に進むようにしてもよい。これにより、車両走行中等において、低透過率領域54が窓10を覆った状態となることが抑制される。
また、操作スイッチ86を通じて高透過率変更指示操作が受付けられると、上記とは逆に、第1巻取装置30と第2巻取装置40との間に、低透過率領域54に代えて、高透過率領域52が展開し、窓10を車室側から覆う状態となるようにしてもよい。
図16は、第1巻取装置30及び第2巻取装置40が展開状態で、かつ、窓10を覆う領域が高透過率領域52から低透過率領域54に切替る様子を示す図である。
同図に示すように、低透過率変更指示操作が受付けられると、第1巻取装置30と第2巻取装置40とが展開状態となったままで、第1巻取シャフト32が巻取方向に回転駆動され、高透過率領域52が第1巻取装置30に巻取られる。一方、低透過率領域54が第2巻取装置40から引出され、第1巻取装置30と第2巻取装置40との間に展開する。
<効果等>
以上のように構成されたシェード装置20によると、窓10を高透過率領域52と低透過率領域54とによって選択的に窓を遮蔽することができるため、窓10を覆う可視光線の透過率を変更することができる。例えば、高透過率領域52で窓を覆うことで、運転する際に、視認性に優れた状態で窓10を覆うことができる。また、例えば、駐車時等においては、低透過率領域54で窓10を覆うことで、車室内を外部から見え難いように覆い隠すことができる。
また、非展開状態である期間及び第1巻取装置30と第2巻取装置40とが接近移動する期間の少なくとも一方で、巻取駆動手段70によって、第1巻取装置30と第2巻取装置40の少なくとも一方に巻取又は繰出し動作を行わせる。これにより、展開状態においてシェード50の高透過率領域52が窓10を遮蔽するか低透過率領域54が窓10を遮蔽するかに関係無く、非展開状態において、シェード50が第1巻取装置30と第2巻取装置40に対して初期双方巻取状態で巻取られた状態となる。このため、前回の展開状態に左右されず、目的とする透過率の領域(ここでは、高透過率領域52)を展開させることができる。これにより、例えば、車両の運転中にシェード50を展開した場合において、初期状態から高透過率領域52を展開させることができることになる。
また、車両の窓周辺部材14に固定された第1巻取装置30側に巻取駆動手段70を設け、第2巻取装置40については、第2巻取シャフト42をコイルバネ44によって巻取方向に付勢する構成としている。このため、巻取駆動手段70による動作が第1巻取装置30のみでよく、また、巻取駆動手段70等が組込まれ、重量が大きくなる側を固定することができる。そして、可動する第2巻取装置40については、小型かつ軽量にすることができる。
また、巻取駆動手段70は、第1巻取装置と第2巻取装置40とが接近移動する期間で、第1巻取装置30と第2巻取装置40の少なくとも一方に巻取又は繰出し動作を開始させる。そして、非展開状態において、高透過率領域52が第1巻取装置30に巻取られ、低透過率領域54が第2巻取装置40で巻取られた状態となる。このため、第1巻取装置30又は第2巻取装置40にシェード50の全てが巻取られることが抑制される。これにより、第1巻取装置30と第2巻取装置40の周りに、シェード50の全てを巻取可能な空間を確保する必要がなくなり、第1巻取装置30と第2巻取装置40とをコンパクトにできる。
{変形例}
上記実施形態を前提として各種変形例について説明する。
<第1変形例>
図17は第1変形例に係る展開動作を示すフローチャートである。この第1変形例では、第1巻取装置30と第2巻取装置40とが非展開状態にあり、シェード50は、上記初期双方巻取状態で巻取られているとする。
上記実施形態では、展開動作時に、まず、高透過率領域52が展開する例で説明したが、ここでは、車両が駐車中か否かによって、高透過率領域52と低透過率領域54とを選択的に展開させる例を説明する。
すなわち、第1巻取装置30と第2巻取装置40とが非展開状態にあり、高透過率領域52が第1巻取装置30に巻取られると共に低透過率領域54が第2巻取装置40に巻取られた初期双方巻取状態であるとする。
この状態で、ステップS31において、制御ユニット90は、展開指示操作の有無を判断する。操作スイッチ86を通じて展開指示操作が受付けられ、展開指示操作有りと判断されると、ステップS32に進む。
ステップS32では、制御ユニット90は、P出力の有無を判定する。P出力有り(つまり、駐車中)と判定されると、ステップS33に進む。P出力無し(つまり、運転中等)と判定されると、ステップS36〜S38、ステップS39〜S41の処理を行う。
ステップS33では、制御ユニット90は、移動手段60の移動駆動部62に対して離間指示を与える。これにより、移動駆動部62が、第2巻取装置40を第1巻取装置30から遠ざけるように、移動駆動部62を回転駆動させる。すると、第2巻取装置40が第1巻取装置30に対して離間移動する。
次ステップS34において、制御ユニット90は、電流検知部84からの出力に基づいて、移動駆動部62のロック電流の有無を検知する。移動駆動部62がロックされたと判断されると、次ステップS35に進む。
ステップS35では、制御ユニット90は、移動駆動部62に対して停止指示を与える。これにより、第1巻取装置30と第2巻取装置40とは展開状態となる。
ステップS33〜S35の処理中、巻取駆動手段70は回転を停止したままである。このため、第2巻取装置40からシェード50の低透過率領域54が引出される。従って、展開状態にある第1巻取装置30と第2巻取装置40との間には、低透過率領域54が展開し、当該低透過率領域54が窓10を遮蔽する状態となる。
ステップS36〜S38の処理は、ステップS12〜S14の処理と同じであり、ステップS39〜S41の処理は、ステップS15〜S17の処理と同じである。
このため、これらの処理が終了すると、展開状態で、第1巻取装置30と第2巻取装置40との間に、高透過率領域52が展開し、窓10を車室側から覆う状態となる。
図18及び図19は、駐車中においてシェード装置20が展開する様子を示す図である。
すなわち、図18に示すように、第1巻取装置30と第2巻取装置40とが非展開状態で、かつ、シェード50が初期双方巻取状態で巻取られている。この状態で、展開支持操作が受付けられると、第2巻取装置40が第1巻取装置30から遠ざかる。この際、第1巻取シャフト32の回転は停止した状態である。このため、図19に示すように、コイルバネ44の付勢力に抗して第2巻取シャフト42から低透過率領域54が引出される。そして、第1巻取装置30と第2巻取装置40とが非展開状態になると、それらの間に低透過率領域54が展開する状態となる。
本第1変形例によると、初期双方巻取状態において高透過率領域52が第1巻取装置30に巻取られると共に低透過率領域54が第2巻取装置40に巻取られた状態となっている。このため、第1巻取装置30と第2巻取装置40とを離間移動させて展開状態とする際に、高透過率領域52を第1巻取装置30から引出すことで、当該高透過率領域52が窓10を覆うようにすることができる。また、低透過率領域54を第2巻取装置40から引出すことで、当該低透過率領域54が窓10を覆うようにすることができる。このため、シェード50を展開する初期状態において、視認性を良好にする状態と、遮蔽性を良好にする状態とのいずれの状態にもすることができる。
本第1変形例の効果は、第1巻取装置30と第2巻取装置40とが非展開状態にある状態で、巻取駆動手段70が、初期双方巻取状態となるように、第1巻取装置30及び第2巻取装置40の少なくとも一方に巻取又は繰出し動作を開始させることによっても得られる効果である。
<第2変形例>
上記実施形態及び第1変形例では、初期巻取状態が、高透過率領域52が第1巻取装置30に巻取られると共に低透過率領域54が第2巻取装置40に巻取られた初期双方巻取状態である例で説明したが、初期巻取状態は必ずしもそのような状態である必要は無い。例えば、初期巻取状態は、高透過率領域52と低透過率領域54との両方が第1巻取装置30又は第2巻取装置40に巻取られた初期片方状態であってもよい。
第2変形例は、図20に示すように、初期巻取状態が、高透過率領域52及び低透過率領域54の両方が第2巻取装置40に巻取られた初期片方状態となる。かかる初期片方巻取状態は、図8に示すステップS2において、回転方向及び回転量を特定する際の基準を、上記初期片方巻取状態に変更することで、実現することができる。
図21は、この変形例にける展開動作は図21に示すフローチャートのようになる。
まず、ステップS41において、制御ユニット90は、非展開指示操作の有無を判断する。操作スイッチ86を通じて非展開指示操作が受付けられ、非展開指示操作有りと判断されると、ステップS42に進む。
ステップS42では、制御ユニット90は、移動手段60の移動駆動部62に対して離間指示を与える。これにより、移動駆動部62が、第2巻取装置40を第1巻取装置30から遠ざけるように、移動駆動部62を回転駆動させる。すると、第2巻取装置40が第1巻取装置30に対して離間移動する。すると、第2巻取シャフト42に巻取られたシェード50のうち第1巻取シャフト32側の高透過率領域52が最初に引出される。
次ステップS43において、制御ユニット90は、電流検知部84からの出力に基づいて、移動駆動部62のロック電流の有無を検知する。移動駆動部62がロックされたと判断されると、次ステップS44に進む。
ステップS44では、制御ユニット90は、移動駆動部62に対して停止指示を与える。これにより、第1巻取装置30と第2巻取装置40とは展開状態となる。また、第1巻取装置30と第2巻取装置40との間に、第2巻取装置40から引出された高透過率領域52が展開し、窓10を覆う。
図22は第2巻取装置40が第1巻取装置30から遠ざかる様子を示す図である。同図に示すように、第2巻取装置40が移動する際に、高透過率領域52が第2巻取装置40から引出され、第1巻取装置30と第2巻取装置40との間に広がる。
この変形例によると、第1巻取装置30と第2巻取装置40との間に、まず、高透過率領域52が展開するようにすることができる。このため、シェード50を展開する初期状態において、視認性を良好にすることができる。
また、初期片方巻取状態から展開する場合に、巻取駆動手段70を駆動する必要が無いというメリットもある。
なお、本第2変形例では、高透過率領域52と低透過率領域54との両方が第2巻取装置40に巻取られた初期片方状態である例を主に説明したが、その逆、すなわち、透過率領域と低透過率領域との両方が第1巻取装置に巻取られた初期片方状態としてもよい。この場合、低透過率領域が第1巻取装置側に、高透過率領域が第2巻取装置側に設けられているとよい。この場合、第2巻取装置のケースについては、高透過率領域を収容可能な程度の大きさにすればよいため、当該ケースを小型化できるというメリットがある。
{その他の変形例}
なお、上記実施形態において、駐車時、走行時等において、高透過率領域52が窓10の下側の一部を遮蔽し、低透過率領域54が窓10の上側の一部を遮蔽できるようにしてもよい。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
10 窓
20 シェード装置
30 第1巻取装置
32 第1巻取シャフト
40 第2巻取装置
42 第2巻取シャフト
44 コイルバネ(巻取付勢部材)
50 シェード
52 高透過率領域(第1領域)
54 低透過率領域(第2領域)
60 移動手段
62 移動駆動部
70 巻取駆動手段
71 回転駆動部
80 エンコーダ
86 操作スイッチ
90 制御ユニット

Claims (3)

  1. 車両の窓を車室側から遮蔽するためのシェード装置であって、
    異なる可視光線透過率を示す第1領域と第2領域とを含み、前記第1領域と前記第2領域とが選択的に前記窓を遮蔽可能なシェードと、
    前記シェードを、前記第1領域側の端部から巻取る第1巻取装置と、
    前記シェードを、前記第2領域側の端部から巻取る第2巻取装置と、
    前記窓に対して前記シェードを展開させるように前記第1巻取装置と前記第2巻取装置とを離間させた展開状態から、前記展開状態のシェードを前記第1巻取装置及び前記第2巻取装置の少なくとも一方に巻取って前記窓を前記車室側に露出させるように前記第1巻取装置と前記第2巻取装置とを接近させた非展開状態に、又は、前記非展開状態から前記展開状態に、変化させるために前記第1巻取装置と前記第2巻取装置とを相対的に移動させる移動手段と、
    前記第1巻取装置及び前記第2巻取装置の少なくとも一方に巻取動作又は繰出し動作を行わせる巻取駆動手段と、
    を備え、
    前記非展開状態から展開するとき前記シェードの可視光線透過率が高い方の領域を引出し可能とするように、前記第1領域が前記第1巻取装置に、前記第2領域が前記第2巻取装置に巻取られた初期双方巻取状態、又は、前記第1領域および前記第2領域の両方が、前記第1巻取装置若しくは前記第2巻取装置に巻取られた初期片方巻取状態とした、シェード装置。
  2. 請求項1に記載のシェード装置であって、
    前記巻取駆動手段は、前記初期双方巻取状態又は前記初期片方巻取状態となるように、前記第1巻取装置と前記第2巻取装置とが移動し前記展開状態から前記非展開状態へ変化する間で、前記第1巻取装置及び前記第2巻取装置の少なくとも一方に巻取動作を開始させる、シェード装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のシェード装置であって、
    前記第1巻取装置は、前記シェードのうち前記第1領域側の端部が連結された第1巻取シャフトを含み、前記窓の下側縁に沿って位置するように前記車両に固定され、
    前記第2巻取装置は、前記シェードのうち前記第2領域側の端部が連結された第2巻取シャフトと、前記第2巻取シャフトを巻取方向に付勢する巻取付勢部とを含み、
    前記移動手段は、前記第2巻取装置を、前記第1巻取装置に対して接近離間移動させるものであり、
    前記巻取駆動手段は、前記シェードを巻取る方向及び繰出す方向に、前記第1巻取シャフトを回転駆動する回転駆動部を含む、シェード装置。
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