以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
以下の説明において、前後、上下、左右の各方向は、車両用ミラー装置が車両に搭載された車両搭載状態における方向であって、運転席から車両の進行方向を見た場合における方向を示す。なお、本実施形態では、上下方向は鉛直方向に平行であり、左右方向は水平方向であるとする。また、図面において、上方から視ることを平面視と言いその図を平面図とし、後方から視ることを正面視と言いその図を正面図とする。
図1は、本実施形態に係る車両用ミラー装置100を備える車両Mの一例を示す平面図である。図1に示すように、車両用ミラー装置100は、いわゆるドアミラーであり、車両Mの左右のドアDL、DRであって車両Mの外側に取り付けられる。左右の車両用ミラー装置100は、左右方向について略対称となっている。
図2は、本実施形態に係る車両用ミラー装置100の正面図である。図3は、本実施形態に係る車両用ミラー装置100の側面図である。図2および図3では、ドアミラーとして構成される車両用ミラー装置100について示している。また、図2および図3においては、図1に示す車両Mの左側のドアミラーを示している。
車両用ミラー装置100は、本体部10と、車両接続部20と、駆動部30と、制御部40とを備えている。本体部10は、ミラー部材11と、ケース部材12とを有する。ミラー部材11は、例えばガラスや樹脂等を用いて板状に形成される。ミラー部材11は、車両搭載状態における後側の端面に反射面11aを有する。ケース部材12は、ミラー部材11のうち反射面11aとは反対側の面11bを覆うように設けられる。ケース部材12は、ミラー部材11と一体で設けられる。ケース部材12は、中空状であり、ミラー部材11との間で他の部品等を収容可能な空間を構成する。
本実施形態に係る車両用ミラー装置100において、本体部10は、全体が外部に露出した状態である。つまり、車両用ミラー装置100は、本体部10の上下、左右及び前方を囲うハウジングが設けられない構成である。この構成では、例えば図2に示すように、前方視において本体部10の外形部分の略全面が反射面11aとなっている。このため、本体部10を小型化した場合でも、十分な広さの反射面11aが確保できる。また、ハウジングが設けられないため、本体部10を上下方向及び左右方向に大きく回転させても、運転席から見てハウジングが反射面11aに映り込まない構成となっている。
本体部10は、ミラー部材11とケース部材12とが一体で可動である。この構成では、本体部10の全体が外部に露出した状態で車両接続部20に対して移動することにより、所定の格納状態に格納され、所定の展開状態に展開され、展開状態において所定の回転位置に調整される。つまり、格納及び展開を行う場合も、展開状態において回転位置の調整を行う場合も、本体部10を直接回転させる構成である。
車両接続部20は、本体部10を車両Mに接続する。車両接続部20は、本体部10のケース部材12に接続され、本体部10を支持する。本体部10は、車両接続部20に支持された状態で可動となっている。
駆動部30は、第1回転軸AX1及び第2回転軸AX2を中心として本体部10を回転させる。第1回転軸AX1は、上下方向に沿った軸である。第2回転軸AX2は、左右方向に沿った軸である。駆動部30は、第1回転軸AX1を中心として本体部10を回転させる第1駆動部31と、第2回転軸AX2を中心として本体部10を回転させる第2駆動部32とを有する。第1駆動部31及び第2駆動部32は、例えばモータ等の駆動源と、ギア等の伝達機構とを有する。第1駆動部31及び第2駆動部32は、図1及び図2においてはブロックによって示されているが、例えば本体部10のミラー部材11とケース部材12とで形成される空間内に配置されてもよい。
駆動部30は、本体部10を回転させることで本体部10を所望の回転位置Pに配置させることが可能である。本実施形態において、回転位置Pは、例えば所定の基準位置を設定した場合において、基準位置に対して第1回転軸AX1を中心とした回転方向の回転角度θ1と、第2回転軸AX2を中心とした回転方向の回転角度θ2とで表すことができる。なお、回転位置Pについては、他の方法により表してもよい。
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサと、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリ及びストレージとを含む。
本実施形態において、制御部40は、車両からの信号Sに応じた回転方向及び回転速度で本体部10が回転するように駆動部30を制御する。車両からの信号Sとしては、例えば本体部10を格納する格納信号S1(図4参照)、本体部10を展開する展開信号S2(図5参照)、展開された状態における本体部10の回転位置を調整する調整信号等を含む。
格納信号S1及び展開信号S2は、本体部10を操作する操作信号であり、例えば車両に設けられる格納スイッチ又は展開スイッチを操作することにより車両から出力される。格納信号S1及び展開信号S2は、格納スイッチ及び展開スイッチによって格納動作及び展開動作を行う旨の操作を1回行うことで出力される。
調整信号は、車両搭載状態における左右方向の回転位置を調整する左右調整信号S3(図6参照)と、車両搭載状態における上下方向の回転位置を調整する上下調整信号S4(図7参照)とを含む。左右調整信号S3及び上下調整信号S4は、例えば車両に設けられる回転位置調整スイッチを操作することにより車両から出力される。調整信号S3、S4は、回転方向及び回転量についての情報を含む。回転方向の上方については、左右調整信号S3では第1回転軸AX1を中心とした回転方向(左右のいずれか)であり、上下調整信号S4では第2回転軸AX2を中心とした回転方向(上下のいずれか)である。回転量については、例えば回転位置調整スイッチが操作された時間の長さに基づいて設定される。この場合、回転位置調整スイッチが操作された時間が長いほど回転量が多くなり、回転位置調整スイッチが操作された時間が短いほど回転量が少なくなるように設定することができる。
また、車両からの信号Sは、上記の各操作信号とは異なる信号も含まれる。例えば、車両からの信号Sとしては、方向指示信号S5、シフトレバー信号S6、及び降車信号S7を含む。方向指示信号S5は、車両Mに設けられる不図示の方向指示器が操作される際に出力される信号である。方向指示信号S5は、方向指示器による指示方向(左方向又は右方向)についての情報を含む。
シフトレバー信号S6は、車両Mに設けられる不図示のシフトレバーが操作される際に出力される信号である。シフトレバー信号S6は、シフトレバーの位置を示す情報を含む。シフトレバーは、例えば前進位置、後退位置、駐車位置、ニュートラル位置等の位置に切り替え可能である。
降車信号S7は、車両Mのうち左右方向について運転席の反対側の席に乗車する乗員が降車する場合に出力される信号である。降車信号S7としては、例えば車両Mのエンジンが停止する際に出力されるエンジン停止信号、車両Mのドアのロックが解除される際に出力されるロック解除信号、シートベルトを外した場合に出力されるベルト解除信号、シフトレバーが駐車位置に切り替えられた場合に出力される駐車信号、助手席に乗員が存在することを検出する乗員検出信号等のうち少なくとも1つの信号が含まれる。なお、降車信号S7として、これらの信号のうち2つ以上の信号を組み合わせて用いてもよい。
制御部40は、操作信号(格納信号S1、展開信号S2、調整信号S3、S4)に基づいて、本体部10の回転位置を制御する。制御部40は、車両からの信号Sが格納信号S1又は展開信号S2である場合には、車両からの信号が調整信号S3、S4である場合よりも、本体部10の回転速度を速くする。この制御により、本体部10の格納及び展開をより短時間で行うことができる。また、本体部10の回転位置を調整する場合においては、調整を行う運転者等にとって速すぎない回転速度で調整を行うことができる。
また、制御部40は、車両からの信号Sが格納信号S1又は展開信号S2である場合には、第1回転軸AX1を中心として本体部10が回転するように駆動部30を制御する。以下、この制御を第1格納展開モードと表記する。第1格納展開モードを行うことにより、速やかに本体部10を格納及び展開することができる。
なお、制御部40は、車両からの信号Sが格納信号S1又は展開信号S2である場合には、第1回転軸AX1及び第2回転軸AX2を中心として本体部10が回転するように駆動部30を制御してもよい。以下、この制御を第2格納展開モードと表記する。第2格納展開モードを行うことにより、第2回転軸AX2を中心とした回転方向について本体部10の回転位置を調整することができる。
また、制御部40は、車両からの信号Sが調整信号S3、S4である場合には、調整内容に応じて第1回転軸AX1及び第2回転軸AX2を中心として本体部10が回転するように駆動部30を制御する。この制御により、反射面11aを所望の回転位置に調整することができる。
また、制御部40は、車両からの信号Sが、例えば上記の方向指示信号S5、シフトレバー信号S6、及び降車信号S7である場合、以下に説明するように、車両からの信号Sに応じて所定の回転方向及び所定の回転速度で本体部10が回転するように駆動部30を制御する。制御部40は、所定の回転速度として、本体部10を格納又は展開する場合の回転速度よりも速い回転速度とすることができる。
制御部40は、車両からの信号Sが方向指示信号S5である場合、車両Mの左右のうち方向指示信号S5により示される指示方向に対応する側の本体部10が車両Mの外側に向けて回転するように駆動部30を制御する。つまり、方向指示器の指示方向が左方向である場合、制御部40は、車両Mの左側に配置される車両用ミラー装置100の本体部10が車両Mの外側に向けて回転するように駆動部30を制御する。また、方向指示器の指示方向が右方向である場合、制御部40は、車両Mの右側に配置される車両用ミラー装置100の本体部10が車両Mの外側に向けて回転するように駆動部30を制御する。以下、この制御を指示器回転モードと表記する。
制御部40は、車両からの信号Sがシフトレバー信号S6である場合においてシフトレバー信号S6により示される位置が後退位置である場合には、車両搭載状態における下方に向けて本体部10が回転するように駆動部30を制御する。制御部40は、車両Mの左右の車両用ミラー装置100のうち一方に設けられる本体部10が回転するように駆動部30を制御してもよいし、車両Mの左右の車両用ミラー装置100の両方の本体部10が回転するように駆動部30を制御してもよい。例えば、制御部40は、車両Mの左右のうち運転席とは反対側、つまり助手席側に配置される車両用ミラー装置100の本体部10が下方に向けて回転するように駆動部30を制御してもよい。以下、この制御をシフト回転モードと表記する。
制御部40は、車両からの信号Sが降車信号S7である場合には、車両Mの左右のうち運転席とは反対側、つまり助手席側の本体部10が車両Mの外側に向けて回転するように駆動部30を制御してもよい。つまり、運転席が車両Mの右側に位置する場合、制御部40は、車両Mの左側に配置される車両用ミラー装置100の本体部10が車両Mの外側に向けて回転するように駆動部30を制御する。また、運転席が車両Mの左側に位置する場合、制御部40は、車両Mの右側に配置される車両用ミラー装置100の本体部10が車両Mの外側に向けて回転するように駆動部30を制御する。以下、この制御を停止解除回転モードと表記する。
記憶部50は、本体部10の回転位置を記憶する。記憶部50は、例えば本体部10の格納時の回転位置である格納位置、本体部10の展開時の回転位置である展開位置、指示器回転モードで本体部10を回転させる時の回転位置である指示器操作位置、シフト回転モードで本体部10を回転させる時の回転位置である後退位置、停止解除回転モードで本体部10を回転させる時の回転位置である停止解除位置、等を記憶することができる。
上記した制御部40は、記憶部50に記憶される本体部10の回転位置に基づいて駆動部30を制御する。制御部40は、本体部10を格納する場合には、記憶部50に記憶された格納位置P1に本体部10が配置されるように駆動部30を制御する。また、制御部40は、本体部10を展開する場合には、記憶部50に記憶された展開位置P2に本体部10が配置されるように駆動部30を制御する。
例えば、制御部40により第1格納展開モードが行われる場合、格納位置P1及び展開位置P2は、第1回転軸AX1を中心とした回転角度θ1のみが設定され、第2回転軸AX2を中心とした回転角度θ2については設定されない。また、制御部40により第2格納展開モードが行われる場合、格納位置P1及び展開位置P2としては、第1回転軸AX1を中心とした回転角度θ1と、第2回転軸AX2を中心とした回転角度θ2との両方が設定される。
また、制御部40は、指示器回転モードで本体部10を回転させる場合には、記憶部50に記憶された指示器操作位置P5(図9参照)に本体部10が配置されるように駆動部30を制御する。また、制御部40は、シフト回転モードで本体部10を回転させる場合には、記憶部50に記憶された後退位置P6(図11参照)に本体部10が配置されるように駆動部30を制御する。また、制御部40は、停止解除回転モードで本体部10を回転させる場合には、記憶部50に記憶された停止解除位置P7(図13参照)に本体部10が配置されるように駆動部30を制御する。
上記制御を行う場合、制御部40は、指示器回転モード、シフト回転モード、及び停止解除回転モードのそれぞれを行う直前の本体部10の回転位置を記憶部50に記憶させてもよい。例えば、指示器回転モードにおいて、制御部40は、例えば方向指示器の操作が終了した後、記憶部50に記憶された元の回転位置に本体部10を復帰させることが可能となる。また、例えばシフト回転モードにおいて、制御部40は、シフトレバーが後退位置から他の位置に切り替えられた後、記憶部50に記憶された元の回転位置に本体部10を復帰させることが可能となる。また、例えば停止解除モードにおいて、制御部40は、助手席側のドアが開けられた後等のタイミングで、記憶部50に記憶された元の回転位置に本体部10を復帰させることが可能となる。
次に、上記のように構成された車両用ミラー装置100の動作を説明する。図4から図7は、操作信号に基づく車両用ミラー装置100の動作の一例を示す図である。
図4に示すように、本体部10が展開位置P2に配置された状態で、車両から格納信号S1が送信された場合、制御部40は、本体部10が格納されるように駆動部30を制御する。この場合、制御部40は、例えば記憶部50に記憶される格納位置P1の情報に基づいて駆動部30を制御する。つまり、制御部40は、本体部10が格納位置P1に配置されるように駆動部30を制御する。制御部40は、第1格納展開モードでは、第1回転軸AX1を中心として本体部10が回転するように駆動部30を制御する。制御部40は、第2格納展開モードでは、第1回転軸AX1及び第2回転軸AX2を中心として本体部10が回転するように駆動部30を制御する。第2格納展開モードにおいて、第2回転軸AX2を中心とした回転方向についての展開位置P2と格納位置P1との回転位置の差分が0の場合には、第2回転軸AX2を中心とした回転方向には本体部10を回転させなくてもよい。制御部40は、本体部10を格納する場合、回転速度が第1速度V1となるように駆動部30を制御する。この制御により、本体部10は、展開位置P2から格納位置P1に配置される。
図5に示すように、本体部10が格納位置P1に配置された状態で、車両から展開信号S2が送信された場合、制御部40は、本体部10が展開されるように駆動部30を制御する。この場合、制御部40は、例えば記憶部50に記憶される展開位置P2の情報に基づいて駆動部30を制御する。つまり、制御部40は、本体部10が展開位置P2に配置されるように駆動部30を制御する。制御部40は、第1格納展開モードでは、第1回転軸AX1を中心として本体部10が回転するように駆動部30を制御する。制御部40は、第2格納展開モードでは、第1回転軸AX1及び第2回転軸AX2を中心として本体部10が回転するように駆動部30を制御する。第2格納展開モードにおいて、第2回転軸AX2を中心とした回転方向についての格納位置P1と展開位置P2との回転位置の差分が0の場合には、第2回転軸AX2を中心とした回転方向には本体部10を回転させなくてもよい。制御部40は、本体部10を展開する場合、回転速度が第2速度V2となるように駆動部30を制御する。この制御により、本体部10は、格納位置P1から展開位置P2に配置される。
図6に示すように、本体部10が展開位置P2に配置された状態で、車両から左右調整信号S3が送信された場合、制御部40は、左右調整信号S3に含まれる回転方向及び回転量の情報に基づいて本体部10が回転するように駆動部30を制御する。つまり、制御部40は、第1回転軸AX1を中心とした回転方向(左右方向のいずれか)に所定の回転量だけ本体部10を回転させることで、本体部10の左右方向の回転位置を調整する。制御部40は、本体部10の左右方向の回転位置を調整する場合、回転速度が第3速度V3となるように駆動部30を制御する。この制御により、本体部10は、展開位置P2に対して左右のいずれかに所定の回転量だけ回転した調整位置P3に配置される。
図7に示すように、本体部10が展開位置P2に配置された状態で、車両から上下調整信号S4が送信された場合、制御部40は、上下調整信号S4に含まれる回転方向及び回転量の情報に基づいて本体部10が回転するように駆動部30を制御する。つまり、制御部40は、第2回転軸AX2を中心とした回転方向(上下方向のいずれか)に所定の回転量だけ本体部10を回転させることで、本体部10の上下方向の回転位置を調整する。制御部40は、本体部10の上下方向の回転位置を調整する場合、回転速度が第4速度V4となるように駆動部30を制御する。この制御により、本体部10は、展開位置P2に対して上下のいずれかに所定の回転量だけ回転した調整位置P4に配置される。
図4から図7に示す動作を行う場合、制御部40は、本体部10を格納する場合の第1速度V1及び本体部10を展開する場合の第2速度V2が、本体部10の左右方向の回転位置を調整する場合の第3速度V3及び本体部10の上下方向の回転位置を調整する場合の第4速度V4よりも速くなるように、駆動部30を制御する。本体部10の格納時及び展開時には、本体部10の回転位置調整時に比べて回転量が多くなる。このため、本体部10の格納時及び展開時の第1速度V1及び第2速度V2を回転位置調整時の第3速度V3及び第4速度V4よりも速くすることにより、運転者の待ち時間を短縮することができる。また、本体部10の回転位置を調整する場合においては、調整を行う運転者等にとって速すぎない回転速度で調整を行うことができる。
図8から図13は、操作信号とは異なる信号に基づく車両用ミラー装置100の動作の一例を示す図である。なお、以下の図8から図13の例においては、車両Mを自車車両として説明する。また、図8から図13の例においては、車両M内の右側に運転席が配置される場合を例に挙げて説明する。
図8の左側の図には、本体部10が展開位置P2に配置された状態で車両Mが所定の車線を走行し、自車線の左側の車線のうち車両Mの後方を他車両MAが走行している状況が示されている。また、図8の左側の図には、車両Mの運転者が運転席から助手席側(運転席とは反対側)の車両用ミラー装置100を見た場合の視野ST1が示されている。図8の右側には、車両Mの運転者が運転席から助手席側(運転席とは反対側)の車両用ミラー装置100を見た場合に反射面11aに映る像の一例を示している。
図8に示す例では、運転席から車両用ミラー装置100の反射面11aを見た場合、他車両MAの後部の像が視認される。図9は、図8に示す状態から、車両Mの運転者が左方向を指示方向とするように方向指示器を操作した場合の例を示している。方向指示器が操作されることにより、方向指示信号S5が出力される。制御部40は、左右のうち方向指示信号S5が示す指示方向に対応する側の車両用ミラー装置100の本体部10が外側に向けて回転するように駆動部30を制御する。この場合、制御部40は、左側の車両用ミラー装置100の本体部10が外側に向けて回転するように駆動部30を制御する(指示器回転モード)。指示器回転モードにおいて、制御部40は、回転速度が第5速度V5となるように駆動部30を制御する。この制御により、図9の左側の図に示すように、本体部10は、展開位置P2に対して左側に所定の回転量だけ回転した指示器操作位置P5に配置される。これにより、車両Mの運転者が運転席から助手席側(運転席とは反対側)の車両用ミラー装置100を見た場合の視野ST1aが車両Mの外側にシフトする。このため、図9の左側及び右側の図に示すように、他車両MAについての視認可能な範囲が広がる。つまり、他車両MAの前部側についても視認可能となる。これにより、本体部10が展開位置P2に配置される場合に死角となる前方の範囲が運転席から視認可能となる。
図10の左側の図には、本体部10が展開位置P2に配置された状態で車両Mが所定の後退しようとしている状況が示されている。また、図10の左側の図には、車両Mの後方に2つのコーンC1が配置され、車両Mの左側にコーンC2が配置されている状況が示されている。また、図10の左側の図には、車両Mの運転者が運転席から助手席側の車両用ミラー装置100を見た場合の視野ST2が示されている。図10の右側には、車両Mの運転者が運転席から助手席側(運転席とは反対側)の車両用ミラー装置100を見た場合に反射面11aに映る像の一例を示している。図10に示す例では、運転席から車両用ミラー装置100の反射面11aを見た場合、後方のコーンC1の像が視認される。一方、車両Mの左側のコーンC2については死角となるため視認されない。
図11は、図10に示す状態から、車両Mのシフトレバーが後退位置となるように操作した場合の例を示している。シフトレバーが操作されることにより、シフトレバー信号S6が出力される。制御部40は、下方に向けて本体部10が回転するように駆動部30を制御する。例えば、制御部40は、車両Mの左右のうち運転席とは反対側、つまり助手席側に配置される車両用ミラー装置100の本体部10が下方に向けて回転するように駆動部30を制御する(シフト回転モード)。シフト回転モードにおいて、制御部40は、回転速度が第6速度V6となるように駆動部30を制御する。この制御により、図11の左側の図に示すように、本体部10は、展開位置P2に対して下方に所定の回転量だけ回転した後退位置P6に配置される。これにより、図11の左側の図に示すように、車両Mの運転者が運転席から助手席側(運転席とは反対側)の車両用ミラー装置100を見た場合の視野ST2aが車両Mの下方にシフトする。このため、車両Mの左側のコーンC2についても視認可能となる。このように、本体部10が展開位置P2に配置される場合に死角となる下方の範囲が運転席から視認可能となる。
図12の左側の図には、本体部10が展開位置P2に配置された状態で車両Mが停車している状況が示されている。なお、この段階で、車両Mのエンジンは稼働している状態である。また、図12の左側の図には、車両Mの同乗者が運転席とは反対側の席、つまり助手席から当該助手席側の車両用ミラー装置100を見た場合の視野ST3が示されている。図8の右側には、車両Mの運転者が運転席から助手席側(運転席とは反対側)の車両用ミラー装置100を見た場合に反射面11aに映る像の一例を示している。
図12に示す例では、運転席から車両用ミラー装置100の反射面11aを見た場合、他車両MAの後部の像が視認される。一方、上記のように、視野ST3には、車両Mの左側後方を走行する自転車Bが含まれない。したがって、運転席から車両用ミラー装置100の反射面11aを見た場合には、車両Mの車体に映る自転車Bの像を視認できる可能性はあるが、自転車Bを直接視認することができない。
図13は、図12に示す状態から、車両Mのエンジンを停止した場合の例を示している。エンジンを停止することにより、降車信号S7が出力される。制御部40は、降車信号S7に基づいて、車両Mの左右のうち運転席とは反対側、つまり助手席側の本体部10が車両Mの外側に向けて回転するように駆動部30を制御する(停止解除回転モード)。停止解除回転モードにおいて、制御部40は、回転速度が第7速度V7となるように駆動部30を制御する。この制御により、図13の左側の図に示すように、本体部10は、展開位置P2に対して左側に所定の回転量だけ回転した停止解除位置P7に配置される。これにより、車両Mの同乗者が助手席から助手席側(運転席とは反対側)の車両用ミラー装置100を見た場合の視野ST3aが車両Mの外側にシフトする。このため、助手席側から車両用ミラー装置100を見ることにより、車両Mの側方及び後部を走行する自転車を直接視認できる。
図12及び図13に示す例では、車両Mのエンジンを停止した場合の降車信号S7に基づいて、助手席側の本体部10が車両Mの外側に向けて回転するように制御部40が駆動部30を制御する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、車両Mのエンジンが停止した状態において、制御部40は、エンジン停止信号に加えて、又はエンジン停止信号に代えて、ロック解除信号、ベルト解除信号、駐車信号、乗員検出信号等の少なくとも1つの信号に基づいて、助手席側の本体部10が車両Mの外側に向けて回転するように駆動部30を制御してもよい。
図8から図13に示す動作を行う場合、制御部40は、第5速度V5、第6速度V6、第7速度V7のそれぞれが、本体部10を格納する場合の第1速度V1又は本体部10を展開する場合の第2速度V2よりも速い回転速度で回転するように、駆動部30を制御する。この制御により、方向指示器が操作された場合に、方向指示器の指示方向について車両Mの側方の状況を迅速に確認できる。また、シフトレバーが後退位置に切り替えられた場合に、車両Mの下方の状況を迅速に確認できる。また、車両Mのエンジンを停止した場合、助手席の同乗者が車両用ミラー装置100により車両Mの助手席側の側方の状況を迅速に確認できる。
以上のように、本実施形態に係る車両用ミラー装置100は、ミラー部材11を有する本体部10と、車両搭載状態における上下方向に沿った第1回転軸AX1及び車両搭載状態における左右方向に沿った第2回転軸AX2を中心として本体部10を回転させる駆動部30と、車両からの信号Sであって本体部10を操作する操作信号とは異なる信号に応じて、所定の回転方向及び所定の回転速度で本体部10が回転するように駆動部30を制御する制御部40とを備える。
この構成によれば、本体部10を操作する操作信号とは異なる車両からの信号Sの種類に応じて、所定の回転方向及び所定の回転速度で本体部10を回転させることができる。これにより、車両Mの状況に応じた速度で本体部10を回転させることができる。
本実施形態に係る車両用ミラー装置100において、所定の回転速度は、展開された状態における本体部10の回転位置を調整する場合の回転速度よりも速い回転速度である。これにより、本体部10の回転位置の調整を短時間で行うことができる。
本実施形態に係る車両用ミラー装置100において、本体部10は、車両Mの左右の側部に1つずつ設けられ、車両Mからの信号は、車両Mの方向指示器の指示方向を示す方向指示信号S5を含み、制御部40は、車両Mからの信号が方向指示信号S5である場合、車両Mの左右のうち方向指示信号S5により示される指示方向に対応する側の本体部10が車両Mの外側に向けて回転するように駆動部30を制御する。これにより、方向指示器の指示方向について車両Mの側方の状況を迅速に確認できる。
本実施形態に係る車両用ミラー装置100において、車両Mからの信号は、車両Mのシフトレバーの位置を示すシフトレバー信号S6を含み、制御部40は、車両Mからの信号がシフトレバー信号S6である場合においてシフトレバー信号S6により示される位置が後退位置である場合に、車両M搭載状態における下方に向けて本体部10が回転するように駆動部30を制御する。これにより、シフトレバーが後退位置に切り替えられた場合に、車両Mの下方の状況を迅速に確認できる。
本実施形態に係る車両用ミラー装置100において、本体部10は、車両Mの左右の側部に1つずつ設けられ、車両Mからの信号は、車両Mのうち左右方向について運転席の反対側の席に乗車する乗員が降車する場合の降車信号S7を含み、制御部40は、車両Mからの信号が降車信号S7である場合に、車両Mの左右のうち運転席とは反対側の本体部10が車両Mの外側に向けて回転するように駆動部30を制御する。これにより、車両Mのエンジンを停止した場合、助手席の同乗者が車両用ミラー装置100により車両Mの助手席側の側方の状況を迅速に確認できる。
本実施形態に係る車両用ミラー装置100は、本体部10の回転位置を記憶する記憶部50を更に備え、制御部40は、記憶部50に記憶される本体部10の回転位置に基づいて駆動部30を制御する。この構成により、記憶部50に記憶される回転位置に基づいて本体部10の回転位置の制御を容易に行うことができる。
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、車両用ミラー装置100がドアミラーである場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。車両用ミラー装置100は、例えばフェンダーミラーであってもよい。
また、上記実施形態では、本体部10の全体が外部に露出した構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、本体部10の上下、左右及び前方を囲うハウジングが設けられた車両用ミラー装置において、車両からの信号であって本体部を操作する操作信号とは異なる信号に応じて、所定の回転方向及び所定の回転速度で本体部又はハウジングが回転するように制御部が駆動部を制御する場合についても、上記実施形態の構成と同様の効果を得ることができる。