以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
本実施形態の車両1は、例えば、不図示の内燃機関を駆動源とする自動車、すなわち内燃機関自動車であってもよいし、不図示の電動機を駆動源とする自動車、すなわち電気自動車や燃料電池自動車等であってもよいし、それらの双方を駆動源とするハイブリッド自動車であってもよいし、他の駆動源を備えた自動車であってもよい。また、車両1は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置、例えばシステムや部品等を搭載することができる。また、車両1における車輪3の駆動に関わる装置の方式や、数、レイアウト等は、種々に設定することができる。
図1に例示されるように、車体2は、不図示の乗員が乗車する車室2aを構成している。車室2a内には、乗員としての運転者の座席2bに臨む状態で、操舵部4や、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等が設けられている。操舵部4は、例えば、ダッシュボード24から突出したステアリングホイールであり、加速操作部5は、例えば、運転者の足下に位置されたアクセルペダルであり、制動操作部6は、例えば、運転者の足下に位置されたブレーキペダルであり、変速操作部7は、例えば、センターコンソールから突出したシフトレバーである。なお、操舵部4や、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等は、これらには限定されない。
また、車室2a内には、表示出力部としての表示装置8や、音声出力部としての音声出力装置9が設けられている。表示装置8は、例えば、LCD(liquid crystal display)や、OELD(organic electroluminescent display)等である。音声出力装置9は、例えば、スピーカである。また、表示装置8は、例えば、タッチパネル等、透明な操作入力部10で覆われている。乗員は、操作入力部10を介して表示装置8の表示画面に表示される画像を視認することができる。また、乗員は、表示装置8の表示画面に表示される画像に対応した位置で手指等で操作入力部10を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力を実行することができる。これら表示装置8や、音声出力装置9、操作入力部10等は、例えば、ダッシュボード24の車幅方向すなわち左右方向の中央部に位置されたモニタ装置11に設けられている。モニタ装置11は、スイッチや、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタン等の不図示の操作入力部を有することができる。また、モニタ装置11とは異なる車室2a内の他の位置に不図示の音声出力装置を設けることができるし、モニタ装置11の音声出力装置9と他の音声出力装置から、音声を出力することができる。なお、モニタ装置11は、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオシステムと兼用されうる。
また、車室2a内には、表示装置8とは別の表示装置12が設けられている。図3に例示されるように、表示装置12は、例えば、ダッシュボード24の計器盤部25に設けられ、計器盤部25の略中央で、速度表示部25aと回転数表示部25bとの間に位置されている。表示装置12の画面12aの大きさは、表示装置8の画面8a(図1)の大きさよりも小さい。この表示装置12には、主として車両1の駐車支援に関する情報を示す画像が表示されうる。表示装置12で表示される情報量は、表示装置8で表示される情報量より少なくてもよい。表示装置12は、例えば、LCDや、OELD等である。なお、表示装置8に、表示装置12で表示される情報が表示されてもよい。
また、図1,2に例示されるように、車両1は、例えば、四輪自動車であり、左右二つの前輪3Fと、左右二つの後輪3Rとを有する。これら四つの車輪3は、いずれも転舵可能に構成されうる。図4に例示されるように、車両1は、少なくとも二つの車輪3を操舵する操舵システム13を有している。操舵システム13は、アクチュエータ13aと、トルクセンサ13bとを有する。操舵システム13は、ECU14(electronic control unit)等によって電気的に制御されて、アクチュエータ13aを動作させる。操舵システム13は、例えば、電動パワーステアリングシステムや、SBW(steer by wire)システム等である。操舵システム13は、アクチュエータ13aによって操舵部4にトルク、すなわちアシストトルクを付加して操舵力を補ったり、アクチュエータ13aによって車輪3を転舵したりする。この場合、アクチュエータ13aは、一つの車輪3を転舵してもよいし、複数の車輪3を転舵してもよい。また、トルクセンサ13bは、例えば、運転者が操舵部4に与えるトルクを検出する。
また、図2に例示されるように、車体2には、複数の撮像部15として、例えば四つの撮像部15a〜15dが設けられている。撮像部15は、例えば、CCD(charge coupled device)やCIS(CMOS image sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像部15は、所定のフレームレートで動画データを出力することができる。撮像部15は、それぞれ、広角レンズまたは魚眼レンズを有し、水平方向には例えば140°〜190°の範囲を撮影することができる。また、撮像部15の光軸は斜め下方に向けて設定されている。よって、撮像部15は、車両1が移動可能な路面や車両1が駐車可能な領域を含む車体2の周辺の外部の環境を逐次撮影し、撮像画像データとして出力する。
撮像部15aは、例えば、車体2の後側の端部2eに位置され、リヤトランクのドア2hの下方の壁部に設けられている。撮像部15bは、例えば、車体2の右側の端部2fに位置され、右側のドアミラー2gに設けられている。撮像部15cは、例えば、車体2の前側、すなわち車両前後方向の前方側の端部2cに位置され、フロントバンパー等に設けられている。撮像部15dは、例えば、車体2の左側、すなわち車幅方向の左側の端部2dに位置され、左側の突出部としてのドアミラー2gに設けられている。ECU14は、複数の撮像部15で得られた画像データに基づいて演算処理や画像処理を実行し、より広い視野角の画像を生成したり、車両1を上方から見た仮想的な俯瞰画像を生成したりすることができる。なお、俯瞰画像は、平面画像とも称されうる。
また、ECU14は、撮像部15の画像から、車両1の周辺の路面に示された区画線等を識別し、区画線等に示された駐車区画を検出(抽出)する。
また、図1,2に例示されるように、車体2には、複数の測距部16,17として、例えば四つの測距部16a〜16dと、八つの測距部17a〜17hとが設けられている。測距部16,17は、例えば、超音波を発射してその反射波を捉えるソナーである。ソナーは、ソナーセンサ、あるいは超音波探知器とも称されうる。ECU14は、測距部16,17の検出結果により、車両1の周囲に位置された障害物等の物体の有無や当該物体までの距離を測定することができる。すなわち、測距部16,17は、物体を検出する検出部の一例である。なお、測距部17は、例えば、比較的近距離の物体の検出に用いられ、測距部16は、例えば、測距部17よりも遠い比較的長距離の物体の検出に用いられうる。また、測距部17は、例えば、車両1の前方および後方の物体の検出に用いられ、測距部16は、車両1の側方の物体の検出に用いられうる。
また、図4に例示されるように、駐車支援システム100では、ECU14や、モニタ装置11、操舵システム13、測距部16,17等の他、ブレーキシステム18、舵角センサ19、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等が、電気通信回線としての車内ネットワーク23を介して電気的に接続されている。車内ネットワーク23は、例えば、CAN(controller area network)として構成されている。ECU14は、車内ネットワーク23を通じて制御信号を送ることで、操舵システム13、ブレーキシステム18等を制御することができる。また、ECU14は、車内ネットワーク23を介して、トルクセンサ13b、ブレーキセンサ18b、舵角センサ19、測距部16、測距部17、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等の検出結果や、操作入力部10等の操作信号等を、受け取ることができる。
ECU14は、例えば、CPU14a(central processing unit)や、ROM14b(read only memory)、RAM14c(random access memory)、表示制御部14d、音声制御部14e、SSD14f(solid state drive、フラッシュメモリ)等を有している。CPU14aは、例えば、表示装置8,12で表示される画像に関連した画像処理や、車両1の目標位置の決定、車両1の移動経路の演算、物体との干渉の有無の判断、車両1の自動制御、自動制御の解除等の、各種の演算処理および制御を実行することができる。CPU14aは、ROM14b等の不揮発性の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、当該プログラムにしたがって演算処理を実行することができる。RAM14cは、CPU14aでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。また、表示制御部14dは、ECU14での演算処理のうち、主として、撮像部15で得られた画像データを用いた画像処理や、表示装置8で表示される画像データの合成等を実行する。また、音声制御部14eは、ECU14での演算処理のうち、主として、音声出力装置9で出力される音声データの処理を実行する。また、SSD14fは、書き換え可能な不揮発性の記憶部であって、ECU14の電源がオフされた場合にあってもデータを記憶することができる。なお、CPU14aや、ROM14b、RAM14c等は、同一パッケージ内に集積されうる。また、ECU14は、CPU14aに替えて、DSP(digital signal processor)等の他の論理演算プロセッサや論理回路等が用いられる構成であってもよい。また、SSD14fに替えてHDD(hard disk drive)が設けられてもよいし、SSD14fやHDDは、ECU14とは別に設けられてもよい。ECU14は、駐車支援装置の一例である。
ブレーキシステム18は、例えば、ブレーキのロックを抑制するABS(anti-lock brake system)や、コーナリング時の車両1の横滑りを抑制する横滑り防止装置(ESC:electronic stability control)、ブレーキ力を増強させる(ブレーキアシストを実行する)電動ブレーキシステム、BBW(brake by wire)等である。ブレーキシステム18は、アクチュエータ18aを介して、車輪3ひいては車両1に制動力を与える。また、ブレーキシステム18は、左右の車輪3の回転差などからブレーキのロックや、車輪3の空回り、横滑りの兆候等を検出して、各種制御を実行することができる。ブレーキセンサ18bは、例えば、制動操作部6の可動部の位置を検出するセンサである。ブレーキセンサ18bは、可動部としてのブレーキペダルの位置を検出することができる。ブレーキセンサ18bは、変位センサを含む。
舵角センサ19は、例えば、ステアリングホイール等の操舵部4の操舵量を検出するセンサである。舵角センサ19は、例えば、ホール素子などを用いて構成される。ECU14は、運転者による操舵部4の操舵量や、自動操舵時の各車輪3の操舵量等を、舵角センサ19から取得して各種制御を実行する。なお、舵角センサ19は、操舵部4に含まれる回転部分の回転角度を検出する。舵角センサ19は、角度センサの一例である。
アクセルセンサ20は、例えば、加速操作部5の可動部の位置を検出するセンサである。アクセルセンサ20は、可動部としてのアクセルペダルの位置を検出することができる。アクセルセンサ20は、変位センサを含む。
シフトセンサ21は、例えば、変速操作部7の可動部の位置を検出するセンサである。シフトセンサ21は、可動部としての、レバーや、アーム、ボタン等の位置を検出することができる。シフトセンサ21は、変位センサを含んでもよいし、スイッチとして構成されてもよい。
車輪速センサ22は、車輪3の回転量や単位時間当たりの回転数を検出するセンサである。車輪速センサ22は、検出した回転数を示す車輪速パルス数をセンサ値として出力する。車輪速センサ22は、例えば、ホール素子などを用いて構成されうる。ECU14は、車輪速センサ22から取得したセンサ値に基づいて車両1の移動量などを演算し、各種制御を実行する。なお、車輪速センサ22は、ブレーキシステム18に設けられている場合もある。その場合、ECU14は、車輪速センサ22の検出結果をブレーキシステム18を介して取得する。
なお、上述した各種センサやアクチュエータの構成や、配置、電気的な接続形態等は、一例であって、種々に設定(変更)することができる。
また、図5に示されるように、ECU14は、取得部141や、障害物検出部142、駐車区画検出部143、候補位置設定部144、目標位置決定部145、出力情報制御部146、経路算出部147、誘導制御部148、方向設定部150、ランク部151、記憶部149等を備える。CPU14aは、プログラムにしたがって処理を実行することにより、取得部141や、障害物検出部142、駐車区画検出部143、候補位置設定部144、目標位置決定部145、出力情報制御部146、経路算出部147、誘導制御部148、方向設定部150、ランク部151等として機能する。また、記憶部149には、各部の演算処理で用いられるデータや、演算処理の結果のデータ等が記憶される。なお、上記各部の機能の少なくとも一部は、ハードウエアによって実現されてもよい。
取得部141は、種々のデータや信号等を取得する。取得部141は、例えば、各センサの検出結果や、操作入力、指示入力、画像データ等の、データや信号等を取得する。取得部141は、操作部14gの操作入力による信号を取得することができる。操作部14gは、例えば、押しボタンやスイッチ等である。
障害物検出部142は、車両1の走行に支障を来す障害物を検出する。障害物は、例えば、他の車両や、壁、柱、柵、突起、段差、輪留め、物体等である。障害物検出部142は、種々の手法により、障害物の有無や高さ、大きさ等を検出することができる。障害物検出部142は、例えば、測距部16,17の検出結果に基づいて、障害物を検出することができる。また、測距部16,17は、そのビームの高さに対応した物体を検出でき、当該ビームの高さより低い物体を検出できない。よって、測距部16,17の検出結果と、それぞれのビームの高さとによって、障害物検出部142は、障害物の高さを検出することができる。また、障害物検出部142は、車輪速センサ22や不図示の加速度センサの検出結果と、測距部16,17の検出結果とに基づいて、障害物の有無あるいは高さを検出してもよい。また、障害物検出部142は、例えば、撮像部15が撮像した画像に基づく画像処理によって、障害物の高さを検出してもよい。
駐車区画検出部143は、標示または物として設けられている駐車区画を検出する。駐車区画とは、車両1をその場所に駐車するよう設定された目安あるいは基準となる区画である。また、駐車境界は、駐車区画の境界あるいは外縁であって、例えば、区画線や、枠線、直線、帯、段差、それらのエッジ等である。すなわち、駐車境界は、標示や物体等である。駐車区画検出部143は、例えば、撮像部15が撮像した画像に基づく画像処理によって、駐車区画および駐車境界を検出することができる。駐車区画検出部143は、駐車境界検出部の一例である。
候補位置設定部144は、車両1の移動経路の目標位置すなわち終点位置の候補となる少なくとも一つの候補位置を設定する。候補位置設定部144は、例えば、障害物検出部142による検出結果、および駐車区画検出部143の検出結果のうち少なくとも一方に基づいて、候補位置を設定する。
方向設定部150は、各候補位置での車両1の方向を設定する。方向設定部150は、例えば、障害物検出部142による検出結果、および駐車区画検出部143の検出結果のうち少なくとも一方に基づいて、候補位置での車両1の方向を設定する。方向設定部150は、駐車区画が検出されている場合には、当該駐車区画に基づいて当該方向を設定する。
ランク部151は、各候補位置をランク付けする。ランク部151は、例えば、車両1(自車)の現在の位置および方向と、候補位置およびその方向と、に基づいて、各候補位置をランク付けする。なお、ランク付けとは、順位付けを意味し、各候補位置に、階級を示す数字等が付与されていることは必須ではない。また、ランク部151は、各候補位置に対応した数値を設定し、当該数値の大小によってランクを識別できるようにしてもよい。
目標位置決定部145は、少なくとも一つの候補位置の中から、目標位置を決定する。目標位置決定部145は、例えば、ランク部151によってランク付けされた少なくとも一つの候補位置の中から、ランクの高い候補位置、すなわち上位の候補位置を、目標位置と決定することができる。また、目標位置決定部145は、少なくとも一つの候補位置の中から、乗員の操作入力に対応した、すなわち、乗員によって選択された候補位置を、目標位置と決定することができる。
出力情報制御部146は、例えば、駐車支援の開始や、終了、目標位置の決定、経路算出、誘導制御等の各段階で、表示装置8,12や音声出力装置9が、所期の情報を所期の態様で出力するよう、表示制御部14dや音声制御部14e、ひいては表示装置8,12や音声出力装置9を制御する。
経路算出部147は、例えば、車両1すなわち自車の現在の位置や、決定された目標位置、障害物の検出結果等に基づいて、車両1の現在の位置から目標位置までの移動経路を算出する。
誘導制御部148は、算出された移動経路に沿った車両1の移動が実現されるよう、各部を制御する。誘導制御部148は、例えば、アクセルペダルを操作しなくてもクリープ等によって移動する車両1では、車両1の位置に応じて操舵システム13を制御することにより、車両1を移動経路に沿って移動させることができる。また、誘導制御部148は、操舵システム13のみならず、エンジンやモータ等の駆動機構や、制動機構としてのブレーキシステム18等を制御してもよい。また、誘導制御部148は、例えば、出力情報制御部146や、表示制御部14d、音声制御部14e、ひいては表示装置8,12や音声出力装置9を制御して、車両1の位置に応じた表示出力や音声出力によって、運転者に、移動経路に沿った車両1の移動を案内してもよい。
記憶部149は、ECU14での演算で用いられるあるいはECU14での演算で算出されたデータを記憶する。
また、駐車支援システム100では、図6に例示される手順で処理が実行される。まず、障害物検出部142は、障害物を検出し(S1)、駐車区画検出部143は、駐車区画および駐車境界を検出する(S2)。次に、候補位置設定部144は、S1やS2の検出結果に基づいて、車両1の移動経路の目標位置すなわち終点位置の候補となる少なくとも一つの候補位置を設定する(S3)。次に、ランク部151は、各候補位置をランク付けする(S4)。次に、取得部141は、駐車支援の開始を指示する操作入力を取得する(S5)。すなわち、本実施形態では、例えば、操作指示が入力される前に、S1〜S4は実行されている。次に、目標位置決定部145は、少なくとも一つの候補位置の中から目標位置を決定する(S6)。S6では、目標位置決定部145は、ランクの最も高い候補位置を目標位置に決定することができる。あるいは、目標位置決定部145は、乗員の操作入力に基づいて選択された候補位置を、目標位置に決定してもよい。次に、経路算出部147は、車両1の現在の位置から決定された目標位置までの移動経路を算出する(S7)。次に、誘導制御部148は、算出された移動経路に沿った車両1の移動が実現されるよう、各部を制御する(S8)。なお、目標位置や、移動経路等は、車両1が移動経路を移動している途中で、適宜に修正あるいは更新されうる。
次に、図7,8が参照されながら、本実施形態の候補位置設定部144による候補位置Cの設定方法の一例が説明される。図7は、並列駐車の駐車区画PDの二つの列LR,LLが設けられた駐車場の一例の平面図である。この例では、車両1は、二つの列LR,LLの間の通路PSから、空いている駐車区画PDに進入する。二つの列LR,LLの各駐車区画PDおよびその入口は、通路PSに面している。車両1は、駐車区画PDに、車両1の進行方向Vと交叉する方向を向いた姿勢に、駐車される。駐車支援システム100は、空いている駐車区画PDに設定された目標位置への後退での移動を支援する。目標位置は、少なくとも一つの候補位置の中から決定される。目標位置を決定しやすくするため、候補位置はランク付けされる。なお、駐車区画PDは、標示や物体としての駐車境界Dによって定められている。障害物Bは、例えば駐車区画PD内に駐車されている車両等である。
図7に例示されるように、車両1が通路PSを通過している際に、ECU14は、撮像部15で撮像された画像データや、測距部16,17による検出結果に基づいて、車両1の側方や後方に位置する障害物Bや、駐車境界D等を検出することができる。なお、図7には、撮像部15による撮像範囲および測距部16,17による検出範囲が二点鎖線で例示されているが、これらは一例であって、撮像部15、その撮像範囲、測距部16,17、およびその検出範囲は、図7の例には限定されない。また、図7以降の各図では、車両1には、車両前後方向の前方を示す矢印が付されているが、当該矢印は進行方向とは限らない。また、測距部17は、車両1が旋回したり、後退したりする際に、検出結果を得ることができる。また、車両1は自車とも称されうる。
図8には、進行方向Vに走行する車両1の駐車支援システム100による検出結果が例示されている。スペースSでは、互いに離間した二つの障害物B,Bと、互いに離間した二つの駐車境界D,Dとが検出されている。障害物Bの限界線Lは、障害物Bの外縁部から所定距離d離間した位置に、障害物Bの外縁に略沿って設定される。この場合、候補位置設定部144は、例えば、スペースSで検出された障害物B,Bおよび駐車境界D,Dについて、限界線Lの障害物Bとは反対側の領域A1と、駐車境界Dの外側の領域A2と、が重なる領域A3に、候補位置Cを設定可能か否かを判断する。領域A1内に候補位置Cを設定することで、候補位置Cに位置した車両1と障害物Bとの間に少なくとも所定の距離dすなわち隙間が確保される。また、領域A2内に候補位置Cを設定することで、車両1が駐車境界Dに重なって停車する事態が避けられる。よって、この例によれば、候補位置設定部144は、障害物Bから離間するとともに駐車区画PDに収まる位置に、候補位置Cを設定することができる。
図9には、互いに離間した二つの障害物B,Bおよび互いに離間した二つの駐車境界D,Dが検知された場合の、方向設定部150による候補位置Cの方向Cvの設定例が示されている。方向Cvは、例えば、候補位置Cに位置した車両1の前方である。駐車境界D,Dの延びる方向Dvは、例えば、各駐車境界Dの検出結果に対する最小二乗法等の回帰分析等によって得られる。限界線Lおよび駐車境界Dは、走行する車両1の進行方向Vと交叉する方向に延びている。この場合、方向設定部150は、方向Cvを、例えば、二つの駐車境界D,Dの延びる方向Dv,Dvの間の方向として設定する。例えば、方向Dv,Dvの基準方向に対する角度がα1,α2である場合、方向Cvの基準方向に対する角度βを、β=(α1+α2)/2に設定する。また、方向設定部150は、一つの駐車境界Dが検出されていた場合には、当該一つの駐車境界Dの延びる方向Dvと平行な方向に、方向Cvを設定する。また、駐車境界Dが検出されなかった場合には、方向設定部150は、二つの限界線L,Lの方向Lv,Lvの間の方向か、あるいは一つの限界線Lの方向Lvと平行な方向に、方向Cvを設定する。
図10には、各候補位置Cに対応して設定される複数のランクエリアR1〜R3が例示されている。図10の例では、候補位置Cの前部、すなわち、駐車区画PDの入口に面して、ランクエリアR2が設定されている。ランクエリアR2のランクは「2」に設定される。また、ランクエリアR2よりも車両1の進行方向の前方側にランクエリアR1が設定されている。ランクエリアR1のランクは、ランクエリアR2のランクよりも高い「1」に設定される。また、ランクエリアR1よりも候補位置Cから離間したランクエリアR3が設定されている。ランクエリアR3のランクは、ランクエリアR1およびランクエリアR2のランクよりも低い「3」に設定されている。ランクエリアR1は、第一の領域の一例であり、ランクエリアR2は、第二の領域の一例であり、ランクエリアR3は、第三の領域の一例である。
このような設定により、車両1が候補位置Cの前方の通路PSを進行方向Vに移動するにつれて、候補位置Cのランクが変化する。すなわち、図10の例では、車両1が位置P1に位置している状態では、候補位置CのランクエリアR2の中にある。よって、車両1が位置P1に位置している時点では、候補位置Cのランクは「2」に設定される。車両1が位置P1から前方に進み、車両1が位置P2に位置している状態では、候補位置CのランクエリアR1の中にある。よって、車両1が位置P2に位置している時点では、候補位置Cのランクは「1」に設定される。車両がさらに位置P2から前方に進み、車両1が位置P3に位置している状態では、候補位置CのランクエリアR3の中にある。よって、車両1が位置P3に位置している時点では、候補位置Cのランクは「3」に設定される。すなわち、車両1が候補位置Cの前を進行するにつれて、ランクは「2」、「1」、「3」の順に変化する。すなわち、車両1が候補位置Cに面した領域に位置している状態では、ランクが2番目であり、候補位置Cに面した領域から車両1が進行した領域に位置している状態ではランクが1番目であり、候補位置Cに面した領域から車両1がさらに進行した領域に位置している状態ではランクが3番目である。このような設定により、各候補位置Cには、車両1が候補位置Cの直近に位置した時点よりも当該候補位置Cから適宜に離間した時点で、高いランクが設定される。車両1が候補位置Cの直近から当該候補位置Cへ移動する場合には、前進と後退との切り返しが必要となる場合が増えやすい。また、車両1が候補位置Cから遠すぎると、当該候補位置Cへの移動距離が長くなるため、例えば、手間や時間がかかる場合がある。よって、ランクエリアR1〜R3のこのような設定により、より円滑なあるいはより不都合の少ない候補位置Cが、目標位置として決定されやすくなる。
ランクエリアR1〜R3は、候補位置Cおよびその方向Cvに基づいて設定される。具体的に、図10の例では、候補位置Cの通路PSと面した入口部分Ceの、車両1の進行方向V側の端部Ckから、当該進行方向V側に所定距離δ離れた位置に、基準点Oが設定されている。そして、基準点Oを通り方向Cvと平行な区画線M1が設定され、当該区画線M1よりも進行方向Vの後方側が、ランクエリアR2に設定されている。また、区画線M1よりも進行方向Vの前方側に、基準点Oを中心とした半径rの半円状またはD字状の区画線M2が設定されている。区画線M1および区画線M2よりも進行方向Vの前方側が、ランクエリアR3に設定され、区画線M1と区画線M2とで囲まれた領域が、ランクエリアR1に設定されている。よって、通路PSでは、ランクエリアR1は、ランクエリアR2よりも進行方向Vの前方側に位置され、ランクエリアR3は、ランクエリアR1よりも進行方向Vの前方側に位置されている。また、ランクエリアR3は、ランクエリアR1よりも候補位置Cから離間して設定されている。また、高いランクが設定されるランクエリアR1は、基準点Oからの距離、すなわち候補位置Cの入口部分Ceからの距離が、略所定距離以内の範囲に、設定されている。なお、図10には、候補位置Cの通路PS側への視線、すなわち図10の上方への視線で車両1が左側へ向かう場合が例示されたが、候補位置Cの通路PS側への視線で車両1が右側に向かう場合には、図10とは、鏡像関係となるランクエリアR1〜R3が設定される。すなわち、ランクエリアR1〜R3は、車両1の進行方向Vまたは車両1の方向に応じて設定される。また、ランクエリアR1〜R3の設定は、図10の例には限定されない。ランクエリアR1〜R3に基づくランク付けは、候補位置C、車両1の位置、車両1の方向に基づいたランク付けの一例である。図10に例示されるランクエリアR1〜R3は、一例であって、ランクエリアはこの例には限定されない。また、ランク部151は、ランクエリア毎のランクの値ではなく、候補位置C、車両1の位置、および車両1の方向に基づく条件や数式等による候補位置C毎の値であって、その大小によってランクを判別できる値を、算出してもよい。
図11の例では、車両1が位置Pに位置している時点では、ランクエリアR1〜R3に対する車両1の位置Pにより、車両1に最も近い候補位置Caのランクは「2」、候補位置Caよりも車両1の進行方向Vの後方側に位置した候補位置Cbのランクは「1」、候補位置Cbよりも車両1の進行方向Vの後方側に位置した候補位置Ccのランクは「3」に、それぞれ設定される。
また、図11から、ランクエリアR1〜R3は、候補位置Cの方向Cvに応じた姿勢に設定されることが理解できよう。このような設定により、ランクエリアR1〜R3の設定に、候補位置Cへの車両1の進入しやすさおよび進入しにくさが反映されやすい。ランクエリアR1〜R3に基づくランク付けは、候補位置C、候補位置Cの方向Cv、車両1の位置、車両1の方向に基づいたランク付けの一例である。図11に例示されるランクエリアR1〜R3は、一例であって、ランクエリアはこの例には限定されない。また、ランク部151は、ランクエリア毎のランクの値ではなく、候補位置C、候補位置Cの方向Cv、車両1の位置、および車両1の方向に基づく条件や数式等による候補位置C毎の値であって、その大小によってランクを判別できる値を、算出してもよい。
図12〜14には、車両1の走行中に候補位置設定部144が候補位置Cを設定する処理を行っている各時点で、表示装置12で表示される画像Imの変遷が例示されている。ECU14の、出力情報制御部146および表示制御部14dは、候補位置設定部144の処理状況に応じて、図12〜14に例示されるような画像Imが表示されるよう、表示装置12を制御する。画像Imには、処理状況の概要が示される文字画像Im1や、処理状況のより具体的な内容が示される文字画像Im2、処理状況がデザインや、図、記号等で表されるシンボルIm3等が、含まれている。図12には、候補位置Cが設定される前の状況での画像Imが示されている。図13には、候補位置Cが設定されたものの、当該候補位置Cのランクが「2」である状況、あるいは候補位置Cが一つしか見つかっていない状況での画像Imが示されている。また、図14には、ランクが「1」の候補位置Cが見つかった状況での画像Imが示されている。図14の例の後、運転者の操作入力等に基づいて駐車支援が開始された場合には、目標位置決定部145は、当該ランクが「1」の候補位置Cを、目標位置に決定することができる。また、本実施形態では、上述したランクエリアR1〜R3の設定により、ランクが「2」である候補位置Cのランクは、車両1の進行に伴って「1」に変化する可能性が高い。そこで、ECU14は、図13の画像Imが表示されている状況では、文字画像Im2により車両1の進行を促し、図14に例示されるように文字画像Im2によって車両1の停止を促すことで、候補位置Cへのより円滑なあるいはより不都合の少ない誘導が実現されやすい。
また、図12〜14に例示されるように、シンボルIm3には、車両1の模擬画像Im31や、その周囲を囲う分割された複数の表示区画Im32等が、含まれている。シンボルIm3では、各図の上方が車両1の前方を示している。候補位置Cが設定された図13や図14の画像Imが示されている状況では、例えば、車両1に対して候補位置Cが大凡存在する方向の表示区画Im32が選択的に発光するよう制御される。図13,14では、発光している表示区画Im32がハッチングされている。これにより、運転者等の乗員は、候補位置Cひいては目標位置が車両1に対してお大凡どの方向に設定されているかを知ることができる。なお、画像Imは、図12〜14の例には限定されない。また、図12〜14で表示された画像Imは、表示装置8に表示されてもよい。
また、図15に例示されるように、ランク部151は、車両1の通路PSの左右両側の列LR,LLの各候補位置Cを、ランク付けできる。したがって、上述したランクエリアR1〜R3に基づくランク付けによれば、図15に例示されるように、車両1が位置Pに位置した時点で、列LRの候補位置Craのランクが「2」に設定され、候補位置Crbのランクが「1」に設定され、候補位置Crcのランクが「3」に設定され、列LLの候補位置Claのランクが「2」に設定され、候補位置Clbのランクが「1」に設定され、候補位置Clcのランクが「3」に設定されるような状況が、生じうる。すなわち、複数の候補位置C、この例では候補位置Crbおよび候補位置Clbのランクが、「1」に設定されている。
このような場合も含め、目標位置決定部145は、例えば、運転者等の乗員の操作入力に基づいて少なくとも一つの候補位置Cの中から目標位置を決定することができる。図16,17には、図15の場合に対応して表示装置8に表示された複数の候補位置Cを示す画像ImAが例示されている。画像ImAは、車外の路面を含む画像であり、設定された候補位置Cや、ランクの高い候補位置C、目標位置として決定可能な候補位置C等を提示する画像であり、候補位置Cの選択を促す画像でもある。画像ImAには、候補位置Cに対応した画像Imc,Imsが含まれる。また、画像ImAは、車両1の移動に伴って変化し、候補位置Cに対応した画像Imc,Imsも変化する。ECU14の、出力情報制御部146および表示制御部14dは、図16,17に例示されるような画像ImAが表示されるよう、表示装置8を制御する。出力情報制御部146および表示制御部14dは、出力制御部の一例である。運転者等の乗員は、表示装置8に表示された画像Imc,Imsを含む画像ImAに基づいて所定の操作入力を行う。目標位置決定部145は、当該操作入力に対応した入力信号に基づいて、少なくとも一つの候補位置Cの中から目標位置を決定することができる。画像Imcは、第一の画像の一例であり、画像Imsは、第二の画像の一例である。
図16,17の例では、画像ImAは、例えば、図1,2に例示された撮像部15aによって撮像された車両1の後方の画像に基づいて作成されうる。この場合、画像ImAは、前方に位置する表示装置8を見る運転者の姿勢で車両1の方向と合致するよう、すなわち、画角の左側が車両1の左側、画角の右側が車両1の右側となるように、撮像部15aで撮像された画像から左右反転された画像に基づいて、作成される。
画像ImAには、設定された少なくとも一つの候補位置Cを示す画像Imcが、各候補位置Cに対応した位置および形状で、含まれている。この例では、画像ImAには、右側の列LRに含まれる三つの候補位置Cra〜Crcのそれぞれに対応した画像Imcと、左側の列LLに含まれる三つの候補位置Cla〜Clcのそれぞれに対応した画像Imcとが含まれている。画像Imcは、例えば、平行四辺形や菱形等の枠状に形成されている。この場合、画像Imcの枠は、例えば、候補位置Cの外縁に沿って配置されうる。
そして、画像ImAには、画像Imcとは別に候補位置Cに対応した画像Imsが、当該候補位置Cに対応した位置および形状で、含まれている。図16の例では、画像ImAには、最もランクの高い候補位置Clbに対応した画像Imsが含まれ、図17の例では、最もランクの高い候補位置Crbに対応した画像Imsが含まれている。画像Imsは、画像Imcの枠内を塗り潰すように形成されている。画像Imsは、画像Imcとは区別され、より目立つよう、例えば、画像Imcとは色が異なる、画像Imcよりも輝度が高い、画像Imcよりも表示領域が広い、画像Imc単独の場合よりも画像Imcと画像Imsとで表示領域を広げる、等の特徴が与えられる。
なお、画像Imcおよび画像Imsは、ベースとなる画像に追加された追加画像であったり、部分的に強調された強調画像であったり、ベースとなる画像を透過する透過画像であったりする。また、画像ImAには、例えば、候補位置Cとして設定されなかった駐車区画を示す画像Imd等、撮像部15で撮像された画像も含まれている。
ここで、図15の例では、ランクが「1」の候補位置Crbおよび候補位置Clbが存在するのに対し、図16の例では、これらのうち一方の候補位置Clbのみに対応する画像Imsが表示され、図17の例では、候補位置Crbのみに対応する画像Imsが表示されている。すなわち、図16,17では、例えば、ランクが「1」となった複数の候補位置Cの中から別の条件によって選択された一つに対応して、画像Imsが表示されている。この場合、例えば、ランク部151が、ランクが「1」の候補位置Crb,Clbの中でさらにランク付けを行い、出力情報制御部146および表示制御部14dが、当該ランク付けによってランクが高い候補位置Cに対応した画像Imsが表示されるよう、表示装置8を制御してもよい。あるいは、ランクによらず、出力情報制御部146および表示制御部14dが、初期設定等によっていずれか一方の候補位置Cに対応した画像Imsが表示されるよう、表示装置8を制御してもよい。運転者等の乗員は、画像Imsが表示された候補位置Cを目標位置に指定する所定の操作入力を行うことができる。この場合に、ランクが高い複数の候補位置Cのうち一つの候補位置Cに対応した画像Imsが表示される仕様によれば、例えば、運転者等の乗員は比較的簡単な操作で目標位置を決定しうる。なお、図16,17に示される画像ImAは、車両1の移動に伴って更新される。
取得部141は、操作入力部10や、操作部14g、舵角センサ19等からの入力信号を取得する。出力情報制御部146および表示制御部14dは、当該入力信号に応じて、画像ImAの表示態様を変更することができる。例えば、出力情報制御部146および表示制御部14dは、舵角センサ19の検出結果から得られる操舵部4の回転方向および回転角度に応じて、画像Imsに対応付ける候補位置Cを変更することができる。この場合、出力情報制御部146および表示制御部14dは、例えば、初期設定の状態では、図16のように、ランクが「1」の候補位置Crb,Clbのうち、左側の候補位置Clbのみに対応して画像Imsが表示されるよう、表示装置8を制御する。そして、操舵部4が時計回り方向に所定角度以上回転された場合には、出力情報制御部146および表示制御部14dは、図17のように、当該図17中でも右側に位置される右側の候補位置Crbのみに対応して画像Imsが表示されるよう、表示装置8を制御することができる。また、図17の状態で、操舵部4が反時計回り方向に所定角度以上回転された場合には、出力情報制御部146および表示制御部14dは、図16のように、当該図16中でも左側に位置される左側の候補位置Clbのみに対応して画像Imsが表示されるよう、表示装置8を制御することができる。このような構成により、運転者等の乗員は、操舵部4を動かすことにより、画像ImAにおいて、複数の候補位置Cの中で、画像Imsに対応付ける候補位置Cを、変更することができる。なお、出力情報制御部146および表示制御部14dは、ランクが「2」や「3」の候補位置に対応して画像Imsが表示されるよう、表示装置8を制御してもよい。その場合、出力情報制御部146および表示制御部14dは、操舵部4の回転に応じて、図16,17中で画像Imcが表示されている全ての候補位置Cの間で、画像Imsが移動するよう、表示装置8を制御してもよい。ただし、その場合も、出力情報制御部146および表示制御部14dは、候補位置Cが選択される入力が行われる前は、最もランクの高い候補位置Crb,Clbのうちいずれか一方に対応して画像Imsが表示されるよう、表示装置8を制御してもよい。すなわち、画像Imsは、ランクが高い候補位置Cを提示する画像として機能するとともに、選択可能な候補位置Cを示す所謂カーソルやポインタとしても機能する。
取得部141は、図16,17等の候補位置Cの表示態様に応じた、操作入力部10や、操作部14g、舵角センサ19、シフトセンサ21等からの入力信号を取得することができる。よって、目標位置決定部145は、取得部141で取得された、運転者等の乗員の操作入力に基づく入力信号に基づいて、少なくとも一つの候補位置Cの中から、目標位置を選択するすなわち決定することができる。具体的には、例えば、図16に例示される画像ImAが表示装置8に表示されている状態で、取得部141が所定の入力信号を取得した場合には、目標位置決定部145は、画像Imsに対応する候補位置Clbを目標位置に決定し、図17に例示される画像ImAが表示装置8に表示されている状態で、取得部141が所定の入力信号を取得した場合には、画像Imsに対応する候補位置Crbを目標位置に決定する。また、ランクが「2」あるいは「3」を含めた全ての候補位置Cの中で一つの候補位置Cに対応して画像Imsが表示された状態で、取得部141が所定の入力信号を取得した場合には、目標位置決定部145は、当該画像Imsに対応する候補位置Cを目標位置に決定してもよい。
なお、候補位置Cのランクに応じた出力態様は、図16,17の例には限られず、種々に設定されたり変更されたりしうる。例えば、候補位置Cのランク毎に色や、形、デザイン等が異なる画像が表示されてもよい。また、候補位置Cに対応した画像Imcと、ランクに対応した画像Imsと、選択されている候補位置Cを示す不図示の画像とが、それぞれ別の画像であってもよい。また、操舵部4以外の操作部の操作によって、選択されている候補位置Cが切り替わったり、画像Imsが表示されている候補位置Cが選択されたりしてもよい。また、画像ImAは、他の撮像部15の画像であってもよいし、複数の撮像部15によって撮像された画像の合成であってもよいし、座標変換や画像処理等が施された画像であってもよい。また、出力情報制御部146および表示制御部14dは、候補位置Cのランクに応じた画像を表示するよう、表示装置12を制御してもよい。また、ランク部151は、候補位置Cのうちの所定範囲が、画像ImA中に表示されない場合には、当該候補位置Cには、低いランクを付けるか、ランク外としてもよい。その場合の所定範囲は、例えば、候補位置Cの四隅を含む全域であってもよいし、候補位置Cの前側から半分や、3/4等であってもよい。また、出力情報制御部146および音声制御部14eは、候補位置Cのランクに応じた音声を出力するよう、音声出力装置9を制御してもよい。音声制御部14eは、出力制御部の一例である。
また、目標位置決定部145は、例えば、設定された少なくとも一つの候補位置Cの中から、運転者等の乗員の操作入力によらず、所定の条件に基づいて、目標位置を決定してもよい。なお、目標位置決定部145が目標位置を自動的に決定した場合にあっても、運転者等の乗員の操作入力によって、目標位置は変更可能に構成されうる。また、ランク部151は、最もランクの高い一つの候補位置Cが得られるよう、各候補位置Cを別の条件でランク付けしてもよい。その場合、出力情報制御部146および表示制御部14dは、最もランクの高い候補位置Cがわかる画像ImAが表示されるよう、表示装置8を制御し、当該画像ImAに対応した運転者等の乗員の所定の操作入力によって、目標位置決定部145は、当該最もランクの高い一つの候補位置Cを目標位置に決定する。
以下、ランク部151が最もランクの高い候補位置Cを決める手順が説明される。ランク部151は、まず、上述したランクエリアR1〜R3による手順によって列LR,LL毎に、候補位置Cにランクを付ける。この時点で、最もランクの高い、すなわちランクが「1」の候補位置Cが一つだけであった場合には、目標位置決定部145は、当該最もランクの高い一つの候補位置Cを目標位置に決定することができる。
列LR,LL毎に最もランクの高い候補位置Cがある場合等、最もランクの高い複数の候補位置Cがあった場合には、ランク部151は、以下に示されるような別の条件によって、各候補位置Cにランクを付けることができる。
ランク部151は、ランクエリアR1内での車両1の位置に基づいて、各候補位置Cにランクを付けてもよい。車両1が候補位置Cに近すぎると、候補位置Cへ移動するのに切り返しが必要となる場合が増えやすい。よって、ランク部151は、例えば、車両1の位置が、候補位置Cまたは候補位置Cに対応して設定された基準点Oから所定距離離間した曲線状の区画線M2に近いほど、当該車両1における候補位置Cのランクを高く設定する。図18の例では、車両1が位置P11に位置した場合の候補位置Cのランクは、車両1が位置P12に位置した場合の候補位置Cのランクより高くなる。このような処理により、目標位置決定部145は、より円滑に移動できる可能性がより高い候補位置Cを、優先的に目標位置に決定しうる。なお、区画線M2は、基準線の一例である。また、区画線M2は、この例では円弧状であるが、円弧状でなくてもよい。また、この場合、ランク部151は、換言すれば、ランクエリアR1内で車両1が基準点Oまたは候補位置Cから離れるほど、当該候補位置Cのランクを高く設定している。
また、図19に例示されるように、ランク部151は、区画線M2に沿って所定幅を有した円弧状かつバンド状のランクエリアR11を設定し、車両1が当該ランクエリアR11内に位置する場合の候補位置Cのランクを高く設定してもよい。この場合も、目標位置決定部145は、より円滑に移動できる可能性がより高い候補位置Cを、優先的に目標位置に決定しうる。なお、ランクエリアR11は、候補位置Cまたは候補位置Cに対応して設定された基準点Oから所定距離離間した帯状かつ曲線状の領域の一例である。
また、ランク部151は、車両1の位置と、車両1の最小回転半径と、候補位置Cと、に基づいて、各候補位置Cにランクを付けてもよい。この場合、ランク部151は、図20に例示されるように、例えば、各候補位置CR,CLに対応する最小回転半径の曲率を有した円弧Cvr,Cvlを算出する。この円弧Cvr,Cvlは、車両1の位置Pで車両1の前後方向に沿った接線を有し、当該候補位置CR,CL側に曲がる、すなわち近づく。円弧Cvr,Cvlは、軌跡または経路とも称されうる。候補位置Cが最小回転半径の円弧Cvr,Cvl上かあるいは当該円弧Cvr,Cvlの径方向の外側に位置する場合、車両1の位置Pから候補位置CR,CLへは切り返し無しで移動できる可能性が高い。よって、ランク部151は、最小回転半径の円弧Cvr,Cvl上かあるいは当該円弧Cvr,Cvlのそれぞれの径方向の外側に位置する候補位置Cのランクを、円弧Cvr,Cvlのそれぞれの径方向の内側に位置する候補位置Cランクより高くする。図20の例では、候補位置CRは、円弧Cvr上に位置し、候補位置CLは、円弧Cvlの径方向の内側に位置している。よって、ランク部151は、候補位置CRのランクを、候補位置CLのランクよりも高く設定する。これにより、目標位置決定部145は、より円滑に移動できる可能性がより高い候補位置Cを、優先的に目標位置に決定しうる。
また、ランク部151は、車両1の位置から各候補位置Cへの経路に基づいて、各候補位置Cにランクを付けてもよい。この場合、経路算出部147は、図21に例示されるように、例えば、各候補位置CR,CLについて、車両1の位置Pから各候補位置CR,CLまでの経路RTr,RTlを算出する。そして、ランク部151は、切り返し無しの経路RTrを算出できた候補位置CRのランクを、車両1の性能上切り返し有りでしか経路RTlを算出できなかった候補位置CLのランクよりも高く設定する。これにより、目標位置決定部145は、より円滑に移動できる可能性がより高い候補位置Cを、優先的に目標位置に決定しうる。
なお、ランク部151は、各候補位置Cに、ランクエリアR1〜R3を用いずに設定した上記ランクを、ランクエリアR1〜R3によるランクとは別に付けてもよいし、ランクエリアR1〜R3によるランクも含む複数のランクを反映した新たなランクを付けてもよい。
以上、説明したように、本実施形態では、例えば、ランク部151は、候補位置Cのそれぞれに、候補位置Cと車両1(自車)の位置および方向とに基づいて、ランクを付ける。よって、本実施形態によれば、例えば、当該ランクに基づいて、より円滑なあるいはより不都合の少ない駐車支援が行われうる候補位置Cが、目標位置に決定されうる。
また、本実施形態では、例えば、ランク部151は、候補位置Cおよび当該候補位置Cの方向Cvと車両1(自車)の位置および方向とに基づいて、候補位置Cのそれぞれにランクを付ける。よって、例えば、当該ランクに基づいて、より円滑なあるいはより不都合の少ない駐車支援が行われうる候補位置Cが、目標位置に決定されうる。
また、本実施形態では、例えば、候補位置Cのそれぞれに対応して、複数のランクエリアR1〜R3(領域)が設定されるとともに、当該ランクエリアR1〜R3毎にランクが設定され、ランク部151は、候補位置Cのそれぞれに、車両1(自車)が位置するランクエリアR1〜R3に対応したランクを付ける。よって、例えば、ランク部151は、候補位置Cをより容易にランク付けしやすい。よって、例えば、ランク部151の演算負荷が軽減されやすい。
また、本実施形態では、例えば、ランクエリアR1よりも車両1(自車)の進行方向Vの後方側に位置されるランクエリアR2には、ランクエリアR1よりも低いランクが設定され、ランクエリアR1よりも車両1(自車)の進行方向Vの前方側に位置されるランクエリアR3には、ランクエリアR2よりも低いランクが設定される。よって、例えば、各候補位置Cに、車両1(自車)との位置関係に応じたランクが付けられやすい。よって、例えば、より円滑なあるいはより不都合の少ない駐車支援が行われうる候補位置Cが、目標位置に決定されやすい。
また、本実施形態では、例えば、ランクエリアR1は、候補位置Cおよび当該候補位置Cに対応した基準点Oのうち少なくとも一方から所定距離以内の範囲に設定される。よって、例えば、車両1から遠い候補位置Cのランクが低くなり、目標位置として決定されにくくなる。よって、例えば、より円滑なあるいはより不都合の少ない駐車支援が行われうる候補位置Cが、目標位置に決定されやすい。
また、本実施形態では、例えば、ランクエリアR1は、候補位置Cに面した領域よりも車両1の進行方向前方側に位置している。よって、例えば、車両1の直近の候補位置Cのランクが低くなり、目標位置として決定されにくくなる。よって、例えば、より円滑なあるいはより不都合の少ない駐車支援が行われうる候補位置Cが、目標位置に決定されやすい。
また、本実施形態では、例えば、出力情報制御部146および表示制御部14d(出力制御部)は、少なくとも一つの候補位置Cのランクに応じた画像Imc,Imsが表示されるよう、表示装置8を制御する。取得部141は、選択されたすなわち決定された候補位置Cに対応した運転者等の乗員の操作入力を取得する。よって、例えば、運転者等の乗員は、より容易にあるいはより確実に、より円滑なあるいはより不都合の少ない駐車支援が行われうる候補位置Cを、目標位置に決定しうる。
また、本実施形態では、例えば、出力情報制御部146および表示制御部14d(出力制御部)は、それぞれの候補位置Cに対応した第一の画像Imcと、選択可能な候補位置Cを示す第二の画像Imsとを含む車外の画像ImAを表示するとともに、取得部141が取得した第一の入力信号に応じて複数の候補位置C間で第二の画像Imsが移動するよう、表示装置8または表示装置12を制御し、目標位置決定部145は、取得部141が第二の入力信号を取得した時点で表示されている第二の画像Imsに対応した候補位置Cを、目標位置に決定してもよい。よって、例えば、運転者等の乗員は、より容易に目標位置を選択しうる。
また、本実施形態では、例えば、出力情報制御部146および表示制御部14d(出力制御部)は、第一の入力信号が取得される前は、選択可能な候補位置Cを示す第二の画像Imsが、ランクの高い候補位置Cに対応して表示されるよう、表示装置8または表示装置12を制御してもよい。よって、例えば、運転者等の乗員は、より容易にあるいはより確実に、より円滑なあるいはより不都合の少ない駐車支援が行われうる候補位置Cを、目標位置に決定しうる。
また、本実施形態では、例えば、出力情報制御部146および表示制御部14d(出力制御部)は、第一の入力信号が取得される前に表示された画像Imsに対応する候補位置Cが車両1(自車)の左側および右側のうち一方に位置した状態から他方に位置した状態に切り替わった場合、一時的に、当該他方側でランクが高い候補位置Cに対応して画像Imsを表示するよう、表示装置8を制御する。よって、例えば、画像Imsの表示装置8での表示位置が左右に頻繁に切り替わるのが抑制されうる。
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。また、各構成や形状等のスペック(構造や、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、高さ、数、配置、位置等)は、適宜に変更して実施することができる。例えば、本発明は、縦列駐車など、所謂並列駐車以外の駐車にも適用可能である。また、本発明は、種々の形態の駐車場や駐車スペースでの駐車支援に適用可能である。また、車両の位置および方向ならびに候補位置およびその方向の、検出の仕方や、設定の仕方、それらの基準等は、種々に設定したり変更したりすることができる。また、入力信号は、マイクへの音声入力に基づいてもよい。