以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1に示す駐車支援システム100は、駐車支援ECU1、前部測距センサ2、後部測距センサ3、後方カメラ4、舵角センサ5、車輪速センサ6、表示装置7、及び音声出力装置8を含んでいる。
例えば、駐車支援ECU1と前部測距センサ2、後部測距センサ3、後方カメラ4、舵角センサ5、車輪速センサ6、表示装置7、及び音声出力装置8とは、CAN(controller areanetwork)などの通信プロトコルに準拠した車内LANで各々接続されている構成とすればよい。なお、駐車支援システム100を搭載している車両を以降では自車と呼ぶ。
前部測距センサ2及び後部測距センサ3は、探査波を送信し、障害物で反射されるその探査波の反射波を受信することで障害物までの距離を検知するために用いられるセンサである。前部測距センサ2及び後部測距センサ3は、探査波を送信し、その探査波の反射波を受信するセンサであればよく、音波を用いるものであっても、光波を用いるものであっても、電波を用いるものであってもよい。例えば、前部測距センサ2及び後部測距センサ3としては、超音波センサ、レーザレーダ、ミリ波レーダ等のセンサを用いることができる。なお、本実施形態では、超音波センサを用いる場合を例に挙げて説明を行う。
前部測距センサ2は、指向性の中心線が自車の車軸方向から自車前方に傾くように、例えば自車の前部バンパの左右側面に1つずつ配置される。前部測距センサ2の指向性の中心線は、自車の車軸方向から例えば20°程度まで自車前方に傾いて配置されていてもよい。これにより、前部測距センサ2からは、少し前方寄りの側方に向けて探査波が送信される。以降では、自車左側の前部測距センサ2を前部測距センサ2a、自車右側の前部測距センサ2を前部測距センサ2bとする。
なお、前部測距センサ2は、自車の前部バンパの左右側面に1つずつ配置される構成に限らず、自車の前部バンパの前方に向いた面にも例えば2つずつ配置されるなど、さらに多く配置される構成としてもよい。前部測距センサ2(2a・2b)が請求項の第1測距センサに相当する。
後部測距センサ3は、指向性の中心線が自車の車軸方向から自車後方に傾くように、例えば自車の後部バンパの左右側面に1つずつ配置される。後部測距センサ3の指向性の中心線は、自車の車軸方向から例えば20°程度まで自車後方に傾いて配置されていてもよい。これにより、後部測距センサ3からは、少し後方寄りの側方に向けて探査波が送信される。以降では、自車左側の後部測距センサ3を後部測距センサ3a、自車右側の後部測距センサ3を後部測距センサ3bとする。
なお、後部測距センサ3は、自車の後部バンパの左右側面に1つずつ配置される構成に限らず、自車の後部バンパの後方に向いた面にも、指向性の中心線が自車の前進方向を向くように例えば2つずつ配置されるなど、さらに多く配置される構成としてもよい。また、後部測距センサ3は、自車の後部バンパの左右側面に、指向性の中心線が自車の車軸方向を向くものが配置される構成としてもよい。後部測距センサ3(3a・3b)が請求項の第2測距センサに相当する。
前部測距センサ2及び後部測距センサ3の指向性は、想定されている車速範囲での使用において送受波を良好に行うことができる程度の広さがありさえすれば、より狭い方が好ましい。
ここで、前部測距センサ2を用いた、駐車空間に隣接した駐車車両や壁等の障害物及び駐車空間の検出態様の一例についての説明を行う。ここでは、便宜上、自車の左側に障害物に挟まれた駐車空間が存在する場合を例に挙げて説明を行う。以降では、図2の例をもとに説明を続けるものとする。
図2中のAが自車を示しており、黒塗りの矢印が自車Aの進行方向を示しており、B1が自車Aの前進時の進行方向に対して奥側の障害物、B2が手前側の障害物、B3がB1よりも奥側の壁を示している。また、図2中のCが障害物B1と障害物B2とに挟まれた駐車空間を示している。さらに、D1が前部測距センサ2aの検知範囲を示しており、D2が前部測距センサ2bの検知範囲を示している。また、図中のEで示す点線の矢印が、自車Aの前進時において前部測距センサ2aで検知できる距離の限界を示している。
自車Aは、自車Aの左側に配置された前部測距センサ2aから自車Aの少し前方寄りの左側方に向けて探査波を逐次送信しながら障害物B2、駐車空間C、障害物B1の側方を通過しつつ、障害物B2、障害物B1からの反射波が得られる場合には、これを逐次受信することになる。
そして、障害物B2、障害物B1のいずれからも十分に反射波を得ることができ、障害物B2、障害物B1のいずれも検知できる場合には、自車Aが走行しながら前部測距センサ2aで逐次受信した反射波をもとにして、これら障害物B2、障害物B1に隣接する駐車空間Cを、駐車支援ECU1が検出する。
一方、障害物B2からは十分に反射波を得ることができるが、障害物B1からは十分に反射波を得ることができず、障害物B1が検知できない場合には、これら障害物B2、障害物B1に隣接する駐車空間Cを、駐車支援ECU1は検出しない。
障害物B1から十分に反射波を得ることができない場合の一例としては、以下の場合が挙げられる。具体的には、図2に示すように障害物B1よりも奥側に壁B3が存在することにより、障害物B1よりも手前側から、ステアリングを駐車空間Cとは逆方向側に大きく切る必要があるために、前部測距センサ2aの検知範囲D1に障害物B1が入らない(図2のE参照)場合である。他にも、障害物B1がブロック塀等の比較的厚みの薄い障害物であって、この厚みの薄い部分が前進時の自車Aの方向に向いていることにより、障害物B1から十分に反射波を得ることができない場合がある。
後方カメラ4は、自車Aの例えば後部バンパよりも上方に設置され、自車後方に所定角範囲で広がる領域を撮像するものである。後方カメラ4は、光軸が車体後部の路面を向くように設置される。例えば後方カメラ4としては、CCDカメラを用いる構成とすればよい。後方カメラ4が撮像した自車後方周辺の画像情報は、駐車支援ECU1に供給される。よって、駐車支援ECU1が請求項の後方画像取得手段に相当する。
舵角センサ5は、自車Aのステアリングの操舵角を検出するセンサであり、自車Aが直進状態で走行するときの操舵角を中立位置(0度)とし、その中立位置からの回転角度を操舵角として出力する。なお、この操舵角は、中立位置から右回転する場合には正(+)の符号を付して出力され、中立位置から左回転する場合には負(−)の符号を付して出力される。また、車輪速センサ6は、各転動輪の回転速度から自車Aの速度を検出するセンサである。
表示装置7は、駐車支援ECU1の指示に従ってテキストや画像を表示する。例えば表示装置7は、フルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成することができる。また、表示装置7としては、例えば、車載ナビゲーション装置に設けられたディスプレイを利用する構成としてもよいし、車載ナビゲーション装置のディスプレイとは別に、インストゥルメントパネル等に設けたディスプレイを用いる構成としてもよい。
音声出力装置8は、スピーカ等から構成され、駐車支援ECU1の指示に従って音声を出力する。なお、音声出力装置8としては、例えば、車載ナビゲーション装置に設けられた音声出力装置を利用する構成としてもよい。
駐車支援ECU1は、主にマイクロコンピュータとして構成され、何れも周知のCPU、ROM・RAM・EEPROM等のメモリ、I/O、及びこれらを接続するバスによって構成される。駐車支援ECU1は、前部測距センサ2、後部測距センサ3、後方カメラ4、舵角センサ5、車輪速センサ6から入力された各種情報に基づき、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行する。例えば、駐車支援ECU1は、自車を後退させて駐車空間Cへ並列駐車させるための車両走行の支援(つまり、駐車支援)に関する処理(以下、後退駐車支援関連処理)等の各種の処理を実行する。駐車支援ECU1が請求項の駐車支援装置に相当する。
ここで、図3のフローチャートを用いて、駐車支援ECU1での後退駐車支援関連処理についての説明を行う。本フローは、駐車支援ECU1が所定の開始トリガを検出したときに開始される。開始トリガとしては、例えば図示しない駐車支援開始スイッチをオンにする操作入力などが挙げられる。
まず、ステップS1では、第1駐車空間検出処理を行って、ステップS2に移る。第1駐車空間検出処理では、障害物B2、駐車空間C、障害物B1の横を前進しながら通過する際に、前部測距センサ2aから逐次得られる障害物B1、障害物B2までの距離を逐次(例えば100msecごと)取得する。よって、このステップS1の処理が請求項の第1センサ情報取得手段に相当する。
そして、取得した障害物までの距離を時系列に記憶した距離データ系列(点列)から、障害物B1、障害物B2の輪郭形状を特定して駐車空間Cを検出する。よって、このステップS1の処理が請求項の第1駐車空間検出手段に相当する。ここで、距離データ系列から特定される障害物B1、障害物B2の輪郭形状は、自車Aの通過した経路側に向いた面の、地上面を基準とした平面座標系における輪郭形状である。
一例としては、特開2008−21039号公報に開示されているのと同様の公知の方法によって、距離データ系列(点列)を楕円もしくは放物線により近似した上で障害物B1、障害物B2の輪郭形状を特定する。
第1駐車空間検出処理では、障害物B2、障害物B1のいずれからも十分に反射波を得ることができ、障害物B2、障害物B1のいずれの輪郭形状も特定できる場合には、特定した輪郭形状から、障害物B1と障害物B2とに挟まれる駐車空間Cが検出できる。一方、障害物B1から十分に反射波を得ることができず、障害物B1の輪郭形状が特定できない場合には、障害物B1と障害物B2とに挟まれる駐車空間Cを検出できない。
他にも、障害物B1や障害物B2の輪郭形状の一部が特定できたものの、障害物B1と障害物B2との特定できた輪郭形状部分同士の距離が閾値以上離れていた場合にも、駐車空間Cを検出できない構成としてもよい。
ステップS2では、駐車空間Cを検出できた場合(ステップS2でYES)には、ステップS3に移る。一方、駐車空間Cを検出できなかった場合(ステップS2でNO)には、ステップS4に移る。
ステップS3では、第1支援関連処理を行って、ステップS14に移る。ここで、図4のフローチャートを用いて、第1支援関連処理の概略について説明を行う。
まず、ステップS31では、目標初期駐車位置算出処理を行って、ステップS32に移る。目標初期駐車位置算出処理では、第1駐車空間検出処理で検出できた駐車空間Cに自車Aを駐車する際の目標駐車位置を設定する。よって、このステップS31の処理が請求項の第1目標駐車位置決定手段に相当する。
目標駐車位置は、目標とする駐車位置(以下、目標位置)及び目標とする駐車角度(以下、目標角度)のうちの少なくとも目標位置であるものとする。例えば、目標位置については、障害物B1と障害物B2との中間に自車Aが位置するように設定し、目標角度については、例えば自車Aの前進時に通過した経路のうちの駐車空間Cを通過した際の経路に直行する方向に平行になるように設定する。
ステップS32では、第1駐車経路算出処理を行って、ステップS33に移る。第1駐車経路算出処理では、自車Aの現在位置に基づいて後退開始位置を設定し、目標駐車位置に駐車するための駐車経路を決定する。駐車経路の決定方法については、特開2003−34206号公報や特開2009−83806号公報に開示されているように公知であるので、詳細については省略する。
ステップS33では、第1駐車支援処理を開始して、ステップS14に移る。第1駐車支援処理では、第1駐車経路算出処理で算出された駐車経路に沿って自車Aが走行するように操舵支援や自動操舵を行う。よって、このステップS33の処理が請求項の第1支援手段に相当する。
ここで、操舵支援としては、例えば後方カメラ4で撮像した自車Aの後方画像に、自車Aが後退する際に通ると予想される予想走行軌跡を重畳させて表示装置7に表示させたりする。予想走行軌跡については、舵角センサ5から得られる操舵角や車輪速センサ6から得られる車速に基づいて、公知の方法によって算出する構成とすればよい。また、ステアリングの操舵タイミングや操舵量の案内音声を音声出力装置8から出力する構成としてもよい。
図3に戻って、ステップS2で駐車空間Cを検出できなかった場合のステップS4では、自車Aが後退を開始したことを検知した場合(ステップS4でYES)には、ステップS5に移る。一方、自車Aが後退を開始したことを検知していない場合(ステップS4でNO)には、ステップS4のフローを繰り返す。自車Aが後退を開始したことは、シフト位置が後退位置となったことを示す信号が図示しないシフトポジションセンサから得られたことをもとに駐車支援ECU1が検知する構成とすればよい。
駐車支援ECU1は、自車Aが後退を開始したことを検知した場合には、後方カメラ4で撮像した自車Aの後方画像を取得して、この後方画像を表示装置7に表示させる制御を開始するとともに、後部測距センサ3での障害物の検知を開始させるものとする。
ステップS5では、進行方向設定処理を行って、ステップS6に移る。進行方向設定処理では、自車Aの運転者のステアリング操作によって指定された操舵角を検出する。よって、このステップS5の処理が請求項の指定操舵角検出手段に相当する。
進行方向設定処理の一例について、以下で述べる。まず、駐車支援ECU1は、後方カメラ4で撮像した自車Aの後方画像を取得し、この後方画像に、自車Aが後退する際に通ると予想される予想走行軌跡を重畳させて表示装置7に表示させる(図5参照)。なお、図5中のFが予想走行軌跡を示している。よって、駐車支援ECU1が請求項の表示制御手段に相当する。
続いて、自車Aの運転者がステアリング操作を行って予想走行軌跡を駐車したい方向に向け、進行方向を設定する。そして、進行方向を設定した時点のステアリングの操舵角を、自車Aの運転者のステアリング操作によって指定された操舵角として検出する。
進行方向の設定は、自車Aの運転者がステアリング操作を行って予想走行軌跡を駐車したい方向に向け、ステアリングの操舵角が所定時間以上変化しなくなった場合に自動で行われる構成とすればよい。これによれば、自車Aの運転者がステアリング操作を行って予想走行軌跡を駐車したい方向に向けて所定時間固定するだけで、自動で設定が行われるので、上記設定にステアリング操作以外のユーザ操作を必要とせず、利便性が向上する。
ここで言うところの所定時間は、任意に設定可能な値であって、例えば数秒とすればよい。また、操舵角は舵角センサ5から駐車支援ECU1が取得する構成とすればよい。また、進行方向の設定は、自車Aの運転者がステアリング操作を行って予想走行軌跡を駐車したい方向に向け、図示しない操作スイッチの操作入力を行った場合に、この操作入力の検知をトリガとして駐車支援ECU1が行う構成としてもよい。
ステップS6では、第2走行支援関連処理を行って、ステップS7に移る。ここで、図6のフローチャートを用いて、第2支援関連処理の概略について説明を行う。
まず、ステップS61では、第2駐車支援処理を開始し、ステップS62に移る。第2駐車支援処理では、進行方向設定処理で検出された操舵角に従った方向へ自車Aが走行するように車両走行の支援を行う。よって、このステップS61の処理が請求項の第2支援手段に相当する。
本実施形態では、進行方向設定処理で検出された操舵角に従った方向へ自車Aを自動で走行させる支援を行う場合を例に挙げて以降の説明を行う。例えば、第2駐車支援処理では、進行方向設定処理で検出された操舵角を保持して自車Aを自動で後退させる支援を行う構成とすればよい。
他にも、進行方向設定処理で検出された操舵角を保持して自車Aを後退させた場合の予想走行軌跡に沿った方向に仮の目標駐車位置(以下、仮目標駐車位置)を決定し、決定した仮目標駐車位置に駐車するように自車Aの自動操舵を行って走行させる支援を行う構成としてもよい。よって、このステップS61の処理が請求項の第1仮目標駐車位置決定手段にも相当する。
なお、仮目標駐車位置を決定した場合には、自車Aの現在位置から仮目標駐車位置に駐車するための駐車経路を決定し、決定した駐車経路に沿って自車Aが走行するように自動操舵を行う構成とすればよい。
本実施形態では、操舵角を保持して自車Aを自動で後退させる支援を行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、操舵角を保持せずに支援を行う構成としてもよい。
ステップS62では、第2駐車支援処理中に自車Aのステアリング操作が行われたか否かを判定する。第2駐車支援処理中に自車Aのステアリング操作が行われたか否かは、ステアリング操作トルクを検出する図示しないステアリングトルクセンサの信号をもとに判定する構成とすればよい。
そして、第2駐車支援処理中に自車Aのステアリング操作が行われたと判定した場合には、第2駐車支援処理を中断し(ステップS62でYES)、ステップS63に移る。よって、このステップS62の処理が請求項の支援中断手段に相当する。一方、第2駐車支援処理中に自車Aのステアリング操作が行われたと判定していない場合には、第2駐車支援処理を継続し(ステップS62でNO)、ステップS7に移る。
ステップS63では、進行方向再設定処理を行って、ステップS64に移る。進行方向再設定処理では、自車Aの運転者のステアリング操作によって新たに指定された操舵角を検出する。進行方向再設定処理は、前述の進行方向設定処理と同様にして行う構成とすればよい。
ステップS64では、支援再開処理を行って、ステップS7に移る。支援再開処理では、進行方向再設定処理で検出された操舵角に従った方向へ自車Aが走行するようにして、第2駐車支援処理を再開する。よって、このステップS64の処理が請求項の支援再開手段に相当する。
例えば傾斜地等では、進行方向設定処理時にドライバが表示装置7で確認した後方画像中の方向と、実際に自車Aが進んだ方向に差異が出てくる。これに対して、上記の構成によれば、ドライバが第2駐車支援処理において自動で後退する方向の修正をすることができ、上述の差異を抑えることが可能になる。
本実施形態では、進行方向再設定処理で検出された操舵角に従った方向へ自車Aを自動で後退させる支援を行う場合を例に挙げて以降の説明を行う。例えば、支援再開処理では、進行方向再設定処理で検出された操舵角を保持して自車Aを自動で後退させる支援を行う構成とすればよい。
他にも、進行方向再設定処理で検出された操舵角を保持して自車Aを後退させた場合の予想走行軌跡に沿った方向に仮目標駐車位置を決定し、決定した仮目標駐車位置に駐車するように自車Aの自動操舵を行って走行させる支援を行う構成としてもよい。よって、このステップS64の処理が請求項の第2仮目標駐車位置決定手段に相当する。
なお、仮目標駐車位置を決定した場合には、自車Aの現在位置から仮目標駐車位置に駐車するための駐車経路を決定し、決定した駐車経路に沿って自車Aが走行するように自動操舵を行う構成とすればよい。
さらに、支援再開処理では、運転者がステアリングから手を離したか否かを判断し、運転者がステアリングから手を離したと判断したことをトリガとして、第2駐車支援処理を再開する構成としてもよい。よって、このステップS64が請求項の操作終了判断手段にも相当する。
運転者がステアリングから手を離すとセルフステアにより操舵角が変化し、ステアリングについている操作トルクがゼロになる。よって、ステアリングから手を離したか否かの判断は、図示しない前述のステアリングトルクセンサから得られる操作トルクの変化をもとに判断する構成とすればよい。以上の構成によれば、運転者がステアリングから手を離すだけで支援再開をするので、操作スイッチの操作入力によって支援再開する構成に比べ、利便性が向上する。
なお、進行方向再設定処理で操舵角が検出されたことをトリガとして、第2駐車支援処理を再開する構成としてもよい。この構成によれば、自車Aの運転者がステアリング操作を行って予想走行軌跡を駐車したい方向に向けて所定時間固定するだけで、支援再開をするので、操作スイッチの操作入力によって支援再開する構成に比べ、利便性が向上する。
図3に戻って、ステップS7では、第2駐車空間検出処理を行って、ステップS8に移る。第2駐車空間検出処理では、後退時に後部測距センサ3a・3bから逐次得られる自車Aの左右に位置することになる障害物B1、障害物B2までの距離を逐次(例えば100msecごと)取得する。よって、このステップS7の処理が請求項の第2センサ情報取得手段に相当する。
そして、取得した障害物までの距離を時系列に記憶した距離データ系列(点列)から、障害物B1、障害物B2の輪郭形状を前述したのと同様にして特定し、駐車空間Cを検出する。よって、このステップS7の処理が請求項の第2駐車空間検出手段に相当する。
ここで、距離データ系列から特定される障害物B1、障害物B2の輪郭形状は、自車Aの通過した経路側に向いた面、及び駐車空間Cに隣接する面の、地上面を基準とした平面座標系における輪郭形状(図7のG2参照)である。図7では、後部測距センサ3a・3b以外にも、指向性の中心軸が側方と後方とを向いた後部測距センサ3も用いる場合の例を示している。G2は、障害物B2の距離データ系列から特定される輪郭形状である。
なお、本実施形態では、後部測距センサ3として超音波センサを用いる場合を例に挙げて説明を行っているが、後部測距センサ3は自車Aの後部の側方の所定範囲を撮像するカメラであってもよい。また、後部測距センサ3がカメラの場合は、このカメラの撮像画像をもとに公知の画像認識技術によって、駐車支援ECU1が障害物を検知したり、駐車枠を検知したりして駐車空間Cを検出する構成としてもよい。自車Aに対する障害物や駐車枠の位置は、カメラの撮像方向や設置位置と、撮像画像内での障害物や駐車枠の位置とから公知の方法によって算出する構成とすればよい。
第2駐車空間検出処理では、障害物B2、障害物B1のいずれからも十分に反射波を得ることができ、障害物B2、障害物B1のいずれの輪郭形状も特定できる場合には、特定した輪郭形状から、障害物B1と障害物B2とに挟まれる駐車空間Cが検出できる。自車Aの後退時に後部測距センサ3で障害物B1、B2を検出する場合には、障害物B1、B2に接近しながら検知を行うことになるので、第1駐車空間検出処理よりも障害物B1、B2を検知しやすく、駐車空間Cの検出が成功しやすい。
また、第2駐車空間検出処理では、障害物B1及び障害物B2の一方から十分に反射波を得ることができず、一方の輪郭形状が特定できない場合には、障害物B1と障害物B2とに挟まれる駐車空間Cを検出できない。なお、障害物が自車の左右方向に拡がる壁である場合にも、駐車空間Cを検出できない。さらに、障害物B1や障害物B2の輪郭形状の一部が特定できたものの、障害物B1と障害物B2との特定できた輪郭形状部分同士の距離が閾値以上離れており、複数の駐車空間の候補が存在する場合には、駐車空間Cを検出できないものとする構成としてもよい。
ステップS8では、駐車空間Cを検出できた場合(ステップS8でYES)には、ステップS9に移る。一方、駐車空間Cを検出できなかった場合(ステップS8でNO)には、ステップS10に移る。
ステップS8では、第3支援関連処理を行って、ステップS14に移る。ここで、図8のフローチャートを用いて、第3支援関連処理の概略について説明を行う。
まず、ステップS81では、目標駐車位置算出処理を行って、ステップS82に移る。目標駐車位置算出処理では、第2駐車空間検出処理で検出できた駐車空間Cに自車Aを駐車する際の目標駐車位置を設定する。よって、このステップS81の処理が請求項の第2目標駐車位置決定手段に相当する。
例えば、ここでの目標駐車位置(図9のH参照)のうちの目標位置については、一例として障害物B1と障害物B2との中間に自車Aが位置するように設定し、目標角度については、一例として障害物B1と障害物B2との輪郭形状(図9のG1、G2参照)のうちの駐車空間Cに接する面の傾きの平均値と同じになるように設定する構成とすればよい(図9参照)。
ステップS82では、第2駐車経路算出処理を行って、ステップS83に移る。第2駐車経路算出処理では、ステップS81で算出した目標駐車位置に駐車するための駐車経路を決定する。駐車経路の決定方法については、前述の第1駐車経路算出処理と同様である。
ステップS83では、第3駐車支援処理を開始して、ステップS14に移る。第3駐車支援処理では、第2駐車経路算出処理で算出された駐車経路に沿って自車Aが走行するように、前述したのと同様の操舵支援や自動操舵を行う。よって、このステップS83の処理が請求項の第3支援手段に相当する。
なお、第1駐車支援処理を開始した場合にも、自車Aの後退開始後に後部測距センサ3から逐次得られる障害物B1、障害物B2までの距離を逐次(例えば100msecごと)取得して、第2駐車空間検出処理と同様にして駐車空間Cを検出し直す構成としてもよい。これは、自車Aの後退時に後部測距センサ3の検知結果をもとに行う駐車空間Cの検出の方が、精度が高いためである。
また、駐車空間Cを検出し直した後は、第3支援関連処理と同様の処理を行うことで、目標駐車位置及び駐車経路を補正し、補正した駐車経路に沿って自車Aが走行するように操舵支援や自動操舵を行う構成とすればよい。
図3に戻って、ステップS8で駐車空間Cを検出できなかった場合のステップS10では、後部測距センサ3a・3bの検知結果をもとに、自車Aが障害物B1若しくは障害物B2から所定距離の位置まで接近したか否か(つまり、障害物まで所定距離内か否か)を判定する。ここで言うところの所定距離とは、自車Aが障害物に接近可能な最小距離よりも多少余裕のある距離であって、公知の駐車支援システムにおいて連続音が発せられる程度の距離である。
そして、障害物まで所定距離内と判定した場合(ステップS10でYES)には、ステップS11に移る。一方、障害物まで所定距離内でないと判定した場合(ステップS10でNO)には、ステップS6に戻り、第2駐車支援処理を継続してフローを繰り返す。
ステップS11では、駐車空間の候補があるか否かを判定する。一例としては、前述の第2駐車空間検出処理において、複数の駐車空間の候補が存在するために駐車空間Cを検出できなかった場合には、候補があると判定する。
他にも、第2駐車空間検出処理において、障害物B1及び障害物B2の一方の輪郭形状しか特定できなかったが、第1駐車空間検出処理で特定できた障害物の輪郭形状も利用することで駐車空間Cが検出できる場合には、候補があると判定する。
具体例としては、第2駐車空間検出処理において障害物B1の輪郭形状しか特定できなかったが、第1駐車空間検出処理で障害物B2の輪郭形状を特定できていた場合には、障害物B1と障害物B2とに挟まれた駐車空間Cを検出することが可能になる。
一方、前述の第2駐車空間検出処理において、上述のいずれにも該当せず、障害物に挟まれる駐車空間を検出できなかった場合には、候補がないと判定する。一例としては、第2駐車空間検出処理において、障害物B1及び障害物B2の一方の輪郭形状しか特定できず、第1駐車空間検出処理で特定できた障害物の輪郭形状を利用しても駐車空間Cが検出できない場合には、候補がないと判定する。
具体例としては、第2駐車空間検出処理において障害物B1の輪郭形状(図10(a)のG1参照)しか特定できず、第1駐車空間検出処理でも障害物B1の輪郭形状しか特定できていなかった場合(図10(a)参照)には、障害物B1と障害物B2とに挟まれた駐車空間Cを検出することができない。
他にも、障害物が自車の左右方向に拡がる壁(図10(b)のK参照)である場合にも、駐車空間Cを検出できない(図10(b)参照)。
そして、ステップS11では、候補があると判定した場合(ステップS11でYES)には、ステップS12に移る。一方、候補がないと判定した場合(ステップS11でNO)には、ステップS13に移る。
ステップS12では、第4支援関連処理を行って、ステップS14に移る。ここで、図11のフローチャートを用いて、第4支援関連処理の概略について説明を行う。
まず、ステップS121では、目標駐車位置算出処理を行って、ステップS122に移る。目標駐車位置算出処理では、駐車空間の候補に自車Aを駐車する際の目標駐車位置を設定する。
例えば、第2駐車空間検出処理で特定できた障害物の輪郭形状に加え、第1駐車空間検出処理で特定できた障害物の輪郭形状を利用することで駐車空間Cが検出できた場合には、これら輪郭形状(図12のG1、G2参照)のうちの、自車Aの前進時の経路に向いた面を結んだ線分(図12中のI参照)を基準として目標駐車位置を設定する構成とすればよい。
一例としては、上記線分のうちの左右の端部からそれぞれ所定距離の点を、目標駐車位置の上記経路側の2つの角とすればよい。そして、上記線分上の上記角とした点から経路側とは逆方向(以下、奥行き側)に所定距離だけ垂線を下ろした2つの端点を、目標駐車位置の奥行き側の2つの角とすればよい。
また、複数の駐車空間の候補が存在する場合には、駐車支援ECU1が自動的に複数の候補から最適な候補を選択し、選択した候補に目標駐車位置を設定する構成としてもよいし、図示しない操作スイッチ等によって運転者に選択された候補に目標駐車位置を設定する構成としてもよい。駐車支援ECU1が自動的に複数の候補から最適な候補を選択する例としては、運転席側により大きいスペースが位置するように候補を選択するなどの例が挙げられる。
ステップS122では、第3駐車経路算出処理を行って、ステップS123に移る。第3駐車経路算出処理では、ステップS121で設定した目標駐車位置に駐車するための駐車経路を決定する。駐車経路の決定方法については、前述の第1駐車経路算出処理と同様である。
ステップS123では、第4駐車支援処理を開始して、ステップS14に移る。第4駐車支援処理では、第3駐車経路算出処理で算出された駐車経路に沿って自車Aが走行するように、前述したのと同様の操舵支援や自動操舵を行う。
図3に戻って、ステップS11で候補がないと判定した場合のステップS13では、第2駐車支援処理を終了(つまり、支援キャンセル)して、フローを終了する。支援キャンセルした場合には、自車Aが再度前進を開始し、前部測距センサ2で新たな障害物の検知を行って本フローを繰り返す構成とすればよい。
そして、ステップS14では、自車Aが駐車を完了したことを検知した場合(ステップS14でYES)には、フローを終了する。自車Aが駐車を完了したことは、例えばシフト位置が駐車位置となったことを示す信号が図示しないシフトポジションセンサから得られたことをもとに駐車支援ECU1が検知する構成とすればよい。一方、自車Aが駐車を完了したことを検知していない場合(ステップS14でNO)には、それまでの駐車支援を継続し、ステップS14のフローを繰り返す。
以上の構成によれば、後退前の前進中に、前部測距センサ2の検知結果から経路の側方の駐車空間を検出できなかった場合であっても、後退時に運転者のステアリング操作によって指定された操舵角に従った方向への車両走行を支援するので、運転者がおおよそ所望する方向への車両走行を支援することが可能になる。
また、そのおおよそ所望する方向への後退時に得られる後部測距センサ3の検知結果から、経路の側方の駐車空間を検出し、検出した駐車空間に車両を駐車させる際の目標駐車位置を決定して、当該目標駐車位置に並列駐車させる車両走行を支援するので、運転者が所望する駐車位置への駐車支援を行うことが可能になる。
ここで、本発明における作用効果について、具体的に図13を用いて説明を行う。図13のB1はL字型のコーナーに存在する柱等の障害物であり、B2、B4〜B6は駐車車両等の障害物とする。なお、これらの障害物は、B4、B5、B5とB1とに挟まれた駐車空間、L字型のコーナー部分のB1、B1とB2とに挟まれた駐車空間、B2、B6の順にL字状に位置しているものとする。
ここでは、自車AがL字状に位置するB4からB6までの障害物の側方をカーブして通過する場合に、L字型のコーナー部分のB1が前部測距センサ2aの検知範囲D1に含まれず、検知されないものとする。また、L字型のコーナー部分から遠いB4、B6の自車Aの経路側の面は検知範囲D1に含まれ、輪郭形状が十分に特定できるものの、L字型のコーナー部分に近いB5、B2の自車Aの経路側の面は検知範囲D1に一部が含まれず、輪郭形状が十分に特定できないものとする。
図13の例では、B1が全く検知できず、B5、B2の一部も検知できないため、B5とB1とに挟まれた駐車空間、及びB1とB2とに挟まれた駐車空間は検出できず、第1駐車支援処理は行われない。なお、自車Aの操舵角が所定値以上となった場合に第1駐車空間検出処理を行わない構成とした場合にも、図13の例では操舵角が所定値以上となり、第1駐車空間検出処理及び第1駐車支援処理は行われないものとする。
本実施形態の構成によれば、後退時に運転者がステアリング操作によって駐車方向を指定してやれば、その方向への自動での後退が第2駐車支援処理によって支援される。ここでは、B1とB2との間の駐車空間に自車Aの予想走行軌跡Fを向けて、運転者がステアリング操作による駐車方向を指定したものとする。
この場合には、後退時に、自車AがB1及びB2に逐次接近していくので、B1やB2を後部測距センサ3で検知することができ、第2駐車空間検出処理でB1の輪郭形状G1、B2の輪郭形状G2を特定することが可能になる。そして、この特定した輪郭形状G1、輪郭形状G2から、B1とB2との間の駐車空間における目標駐車位置Hを算出することが可能になる。
目標駐車位置Hを算出できた後は、この目標駐車位置Hに駐車するための駐車経路を算出し、この駐車経路に沿って自車Aが走行するように操舵支援や自動操舵を行う第3駐車支援処理が行われるので、この支援に従って目標駐車位置Hに駐車できる。
従って、本実施形態の駐車支援ECU1によれば、自車を後退させて障害物に隣接する駐車空間に並列駐車させる際に、後退前の前進中に前部測距センサ2によって当該駐車空間を検知できない場合でも、運転者が所望する駐車位置への駐車支援を行うことが可能になる。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。