JP2017005115A - コイルモジュールおよびその製造方法 - Google Patents

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佳宏 古川
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Abstract

【課題】通信特性および磁気シールド性が良好なコイルモジュールおよびその製造方法を提供すること。【解決手段】コイルモジュール1は、13.56MHzまたは6.78MHzの周波数帯を用いる無線通信または無線電力伝送用のコイルモジュール1であって、ベース基板5、および、ベース基板5に設けられるコイルパターン6を備えるコイル基板2と、コイル基板2の上側に設けられる接着層3と、接着層3の上側に設けられ、軟磁性粒子および樹脂を含有する磁性組成物から形成される磁性層4とを備え、ベース基板5は、熱伝導性粒子および樹脂を含有する基板組成物から形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、コイルモジュール、および、コイルモジュールの製造方法に関する。
ペン型の位置指示器を位置検出平面上で移動させて位置を検出する位置検出装置は、デジタイザと呼ばれ、コンピュータの入力装置として普及している。この位置検出装置は、位置検出平面板と、その下に配置され、ループコイルが基板の表面に形成された回路基板とを備えている。そして、位置指示器とループコイルとによって発生する周波数帯が500kHz付近の電磁誘導を利用することにより、位置指示器の位置を検出する。
位置検出装置には、電磁誘導の際に発生する磁束を制御および収束させることにより、電磁誘導を効率化するとともに、外部に発散する磁束を低減するために、回路基板の上に、磁性層を配置する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1には、回路基板と、表層と、軟磁性粒子を含有する磁性層とを順に備える磁性フィルム積層回路基板が開示されている。
特開2014−189015号公報
ところで、近年、非接触型ICカードなどに代表されるNFC(Near Field Communication、近距離無線通信)が実用化され、幅広く普及している。NFCは、位置指示器よりも高周波領域の周波数帯を利用している。また、近年、実用化されてきている無線電力伝送(非接触電力伝送)も高周波数帯を利用した方式が検討されている。これらの無線通信や無線電力伝送に使用されるコイルモジュールは、13.56MHzまたは6.78MHzの共振周波数において最大の特性が得られるように設計されている。
これらのコイルモジュールでは、急速充電などを目的として、コイルに大電流が印加される場合がある。このような大電流印加時ではコイルが発熱する。そのため、コイルのインダクタンスが変化して、コイルの共振周波数のずれが生じ、通信特性が低下してしまうおそれが生じる。
また、ループコイルに収束させる磁束も大きくなるため、その磁束がループコイル以外に漏れやすくなる。磁束が漏れると、その周囲にある金属部材(金属筐体やバッテリーなど)と干渉し、悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、より一層の磁気シールド性が求められている。
本発明の目的は、13.56MHzまたは6.78MHzの周波数帯を用いる無線通信または無線電力伝送において、通信特性および磁気シールド性が良好なコイルモジュールおよびその製造方法を提供することにある。
本発明は、
[1]13.56MHzまたは6.78MHzの周波数帯を用いる無線通信または無線電力伝送用のコイルモジュールであって、基板、および、前記基板の厚み方向一方側に設けられるコイルパターンを備えるコイル基板と、前記コイル基板の厚み方向一方側に設けられる接着層と、 前記接着層の厚み方向一方側に設けられ、軟磁性粒子および樹脂を含有する磁性組成物から形成される磁性層とを備え、前記基板は、熱伝導性粒子および樹脂を含有する基板組成物から形成されているコイルモジュール、
[2]前記接着層が、軟磁性粒子および接着樹脂を含有する接着組成物から形成されている[1]に記載のコイルモジュール、
[3]前記接着組成物が、熱伝導性粒子をさらに含有する[2]に記載のコイルモジュール、
[4]13.56MHzまたは6.78MHzの周波数帯を用いる無線通信または無線電力伝送用のコイルモジュールを製造する方法であって、軟磁性粒子および樹脂を含有する磁性組成物から形成される磁性層を用意する工程、前記磁性層に半硬化接着層を設けることにより、半硬化接着層積層体を得る工程、熱伝導性粒子および樹脂を含有する基板組成物から形成される基板と、コイルパターンとを備えるコイル基板を用意する工程、ならびに、前記半硬化接着層積層体を、前記コイル基板に対して、前記半硬化接着層と前記コイルパターンとが接触するように、熱プレスすることにより、完全硬化された接着層を備えるコイルモジュールを得る工程を備えるコイルモジュールの製造方法
である。
本発明のコイルモジュールの製造方法から得られる本発明のコイルモジュールによれば、通信特性および磁気シールド性が良好であり、薄型化が可能となる。
図1は、本発明のコイルモジュールの第1実施形態の断面図を示す。 図2A−Gは、図1のコイルモジュールを製造する工程図であって、図2Aは、半硬化磁性層を用意する工程、図2Bは、半硬化磁性層を複数積層する工程、図2Cは、磁性層を得る工程、図2Dは、磁性層の上に半硬化接着層を設ける工程図2Eは、半硬化接着層積層体およびコイル基板を配置する工程、図2Fは、半硬化接着層積層体をコイル基板に熱プレスする工程、図2Gは、コイルモジュールを得る工程を示す。 図3A−図3Eは、図1のコイルモジュールのコイル基板を用意する工程図であって、図3Aは、金属下地を配置する工程、図3Bは、ベース基板を形成する工程、図3Cは、支持基板を剥離する工程、図3Dは、パターン部を形成する工程、図3Eは、不要な金属下地を除去する工程を示す。 図4は、本発明のコイルモジュールの第2実施形態の断面図を示す。 図5は、コイルモジュールの磁気シールド性を測定する際の模式図を示す。
図1において、紙面上下方向は、上下方向(厚み方向、第1方向)であって、紙面上側が、上側(厚み方向一方側、第1方向一方側)、紙面下側が、下側(厚み方向他方側、第1方向他方側)である。図1以外の図面についても、図1の方向を基準とする。
(第1実施形態)
1.コイルモジュール
本発明の第1実施形態のコイルモジュール1は、図1に示すように、コイル基板2と、接着層3と、磁性層4とを厚み方向に順に備える。コイルモジュール1は、好ましくは、コイル基板2と、接着層3と、磁性層4とからなる。コイルモジュール1は、例えば、送受電モジュール間で信号や電力を無線により伝送する無線通信や無線電力伝送に用いられる受電用コイルモジュールなどの一部品であり、部品単独で流通し、産業上利用可能なデバイスである。
コイル基板2は、13.56MHzまたは6.78MHzの周波数帯を利用する無線通信または無線電力伝送に用いられる回路基板であり、基板の一例としてのベース基板5と、コイルパターン6とを備える。
ベース基板5は、コイルモジュール1の外形をなし、シート形状(フィルム形状を含む)を有している。
ベース基板5は、熱伝導性粒子9および樹脂を含有する基板組成物から形成されている。
熱伝導性粒子を形成する材料としては、例えば、窒化物、炭化物、酸化物、水酸化物、金属、炭素系材料などの熱伝導材料が挙げられる。
窒化物としては、例えば、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化クロム、窒化タングステン、窒化マグネシウム、窒化モリブデン、窒化リチウムなどが挙げられる。好ましくは、窒化ホウ素が挙げられる。
炭化物としては、例えば、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化アルミニウム、炭化チタン、炭化タングステンなどが挙げられる。
酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化セリウムなどが挙げられる。さらに、酸化物として、金属イオンがドーピングされている、例えば、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズなどが挙げられる。好ましくは、酸化アルミニウムが挙げられる。
水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などが挙げられる。
金属としては、例えば、銅、金、ニッケル、錫、鉄、または、それらの合金が挙げられる。
炭素系材料としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、ナノホーン、カーボンマイクロコイル、ナノコイルなどが挙げられる。
これら熱伝導性粒子は、単独で使用または2種以上を併用することができる。
これら熱伝導性粒子のうち、好ましくは、窒化物、酸化物、より好ましくは、窒化物、さらに好ましくは、窒化ホウ素が挙げられる。
熱伝導性粒子の形状は、例えば、バルク状、扁平状、針形状などが挙げられる。バルク状には、例えば、球形状、直方体形状、破砕状、丸味状、凝集体またはそれらの異形形状が含まれる。
熱伝導性粒子の平均粒子径(最大長さの平均値)は、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、150μm以下である。平均粒子径は、レーザー回折・散乱法における粒度分布測定法によって測定された粒度分布に基づいて、体積基準の平均粒子径、より具体的には、D50値(累積50%メジアン径)として求められる。
基板組成物における熱伝導性粒子の質量割合は、固形分換算で、例えば、15質量%以上、好ましくは、20質量%以上、より好ましくは、25質量%以上、さらに好ましくは、50質量%を超過し、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、80質量%以下、より好ましくは、75質量%以下である。また、基板組成物における熱伝導性粒子の体積割合は、固形分換算で、例えば、10体積%以上、好ましくは、20体積%以上、より好ましくは、40体積%以上であり、また、例えば、70体積%以下、好ましくは、60体積%以下、より好ましくは、55体積%以下である。熱伝導性粒子の含有割合を上記範囲内とすることにより、放熱性を向上させることにより、コイル発熱時の温度変化を抑制して、通信特性の低下を抑制することができる。
本発明において、熱伝導性粒子、軟磁性粒子などの各成分の体積割合は、各成分の質量をその成分の比重で除した理論体積を元に算出される。各成分の比重(真比重)は、カタログ値または公知の測定方法(例えば、アルキメデス法)によって得られる。
基板組成物に含有される樹脂(以下、基板樹脂)としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ビニルエステル樹脂、シアノエステル樹脂、マレイミド樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂は、耐熱性などの観点から、好ましくは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂が挙げられ、より好ましくは、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂の併用が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などの2官能エポキシ樹脂、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などの3官能以上の多官能エポキシ樹脂などが挙げられる。これらエポキシ樹脂は、単独で使用または2種以上を併用することができる。
好ましくは、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、下記構造式(1))、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、下記構造式(2))が挙げられ、より好ましくは、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂およびビスフェノールA型エポキシ樹脂の併用が挙げられる。これらのエポキシ樹脂を使用することにより、成膜性、柔軟性などに優れる。
なお、式(1)および式(2)のnは、それぞれ独立にモノマーの重合度を示す。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、230g/eq.以下、好ましくは、210g/eq.以下であり、また、例えば、10g/eq.以上、好ましくは、50g/eq.以上である。
エポキシ樹脂の粘度(150℃)は、例えば、1.0Pa・s以下、好ましくは、0.5Pa・s以下であり、また、0.01Pa・s以上である。粘度は、ICI粘度計により測定される。
フェノール樹脂は、エポキシ樹脂の硬化剤となる熱硬化性樹脂であって、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、フェノールビフェニレン樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、レゾール樹脂などの3官能以上の多官能フェノール樹脂が挙げられる。これらフェノール樹脂は、単独で使用または2種以上を併用することができる。
好ましくは、フェノールビフェニレン樹脂が挙げられ、具体的には、下記構造式(3)で表される化合物などが挙げられる。
なお、nは、それぞれ独立にモノマーの重合度を示す。
フェノール樹脂の水酸基当量は、例えば、230g/eq.以下、好ましくは、210g/eq.以下であり、また、例えば、10g/eq.以上、好ましくは、50g/eq.以上である。
フェノール樹脂の粘度(150℃)は、例えば、1.0Pa・s以下、好ましくは、0.5Pa・s以下であり、また、0.01Pa・s以上である。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などが挙げられる。好ましくは、アクリル樹脂が挙げられる。
アクリル樹脂としては、例えば、直鎖もしくは分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種または2種以上をモノマー成分とし、そのモノマー成分を重合することにより得られるアクリル系重合体などが挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を表す。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基、ドデシル基などの炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとその他のモノマーとの共重合体であってもよい。
その他のモノマーとしては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基含有モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などカルボキシル基含有モノマー、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルまたは(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなど燐酸基含有モノマー、例えば、スチレンモノマー、例えば、アクリロニトリルなどが挙げられる。これらモノマーは、単独で使用または2種以上を併用することができる。これらの中でも、好ましくは、アクリロニトリルが挙げられる。
また、アクリル樹脂は、好ましくは、カルボキシ基およびヒドロキシル基の少なくとも1つの基を有する。より好ましくは、カルボキシ基およびヒドロキシル基を有する。
アクリル樹脂の重量平均分子量は、例えば、1×10以上、好ましくは、3×10以上であり、また、例えば、1×10以下である。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトフラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値に基づいて測定される。
これら基板樹脂は、単独で使用でき、2種類以上併用することができる。
基板組成物における基板樹脂の含有割合は、固形分換算で、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、より好ましくは、25質量%以上であり、また、例えば、85質量%以下、好ましくは、80質量%以下、より好ましくは、75質量%以下、さらに好ましくは、50質量%未満である。基板樹脂の含有割合を上記範囲内とすることにより、成膜性、柔軟性を良好にすることができる。
基板樹脂は、好ましくは、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂を併用する。より好ましくは、熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂を含有し、熱可塑性樹脂として、アクリル樹脂を含有する。これにより、成膜性、柔軟性などに優れる。
この場合、基板樹脂におけるエポキシ樹脂の含有割合は、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上、より好ましくは、25質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、35質量%以下である。基板樹脂におけるフェノール樹脂の含有割合は、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上、より好ましくは、25質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、35質量%以下である。基板樹脂におけるアクリル樹脂の含有割合は、例えば、25質量%以上、好ましくは、30質量%以上、より好ましくは、35質量%以上であり、また、例えば、80質量%以下、好ましくは、70質量%以下、より好ましくは、50質量%未満である。
基板組成物は、好ましくは、熱硬化触媒をさらに含有する。
熱硬化触媒としては、加熱により基板樹脂の硬化を促進する触媒であって、例えば、イミダゾール系化合物、トリフェニルフォスフィン系化合物、トリフェニルボラン系化合物、アミノ基含有化合物、酸無水物系化合物などが挙げられる。好ましくは、イミダゾール系化合物が挙げられる。
イミダゾール系化合物としては、例えば、2−フェニルイミダゾール(商品名;2PZ)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(商品名;2E4MZ)、2−メチルイミダゾール(商品名;2MZ)、2−ウンデシルイミダゾール(商品名;C11Z)、2−フェニル−1H−イミダゾール4,5−ジメタノール(商品名;2PHZ−PW)、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル(1)’)エチル−s−トリアジン・イソシアヌール酸付加物(商品名;2MAOK−PW)などが挙げられる(上記商品名は、いずれも四国化成社製)。
これら熱硬化触媒は、単独で使用または2種以上を併用することができる。
熱硬化触媒の含有割合は、基板樹脂100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.3質量部以上であり、また、例えば、5質量部以下、好ましくは、3質量部以下である。熱硬化触媒の含有割合を上記範囲内とすることにより、基板組成物を低温度かつ短時間で加熱硬化することができる。
基板組成物は、さらに必要に応じて、その他の添加剤を含有することもできる。添加剤としては、例えば、架橋剤、無機充填材などの市販または公知のものが挙げられる。
ベース基板5の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、8μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、80μm以下である。
コイルパターン6は、ベース基板5の上側(厚み方向一方側)に設けられている。具体的には、コイルパターン6は、コイルパターン6の下面がベース基板5の上面と接触するように、ベース基板5の上面に配置されている。
配線7を構成する材料としては、例えば、銅、ニッケル、スズ、アルミニウム、鉄、クロム、チタン、金、銀、白金、ニオブ、および、それらを含む合金などの金属、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、ポリオキサジアゾールなどの導電性ポリマーなどが挙げられる。これら材料は、単独で使用または2種以上を併用することができる。好ましくは、金属、より好ましくは、銅、銀、さらに好ましくは、銅が挙げられる。
配線7の幅は、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、2000μm以下、好ましくは、1800μm以下である。
配線7の隙間(ピッチ間、図2Eで示すXの長さ)は、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、3mm以下、好ましくは、2mm以下である。
配線7の厚み(高さ、図2Eで示すYの長さ)は、例えば、5μm以上、好ましくは、8μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、80μm以下である。
接着層3は、コイル基板2の上側に設けられている。具体的には、接着層3は、コイルパターン6の上面および側面を被覆するように、ベース基板5の上面に配置されている。
接着層3は、熱伝導性粒子9および軟磁性粒子10および接着樹脂を含有する接着組成物からシート形状に形成されている。
熱伝導性粒子としては、基板組成物において例示した熱伝導性粒子が挙げられ、好ましくは、水和金属化合物、金属窒化物、より好ましくは、金属窒化物、さらに好ましくは、窒化ホウ素が挙げられる。
接着組成物における熱伝導性粒子の質量割合は、固形分換算で、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上、より好ましくは、20質量%以上であり、また、例えば、80質量%以下、好ましくは、70質量%以下、より好ましくは、60質量%以下である。また、接着組成物における熱伝導性粒子の体積割合は、固形分換算で、例えば、5体積%以上、好ましくは、10体積%以上、より好ましくは、20体積%以上であり、例えば、60体積%以下、好ましくは、50体積%以下、より好ましくは、40体積%以下である。これにより、コイルパターン6に発生する電流による発熱を拡散でき、コイルパターン6に貯蓄される熱負荷やそれによる破損を低減することができる。これらにより、コイルモジュールにおいて熱による通信特性の劣化を抑制できる。
軟磁性粒子を構成する軟磁性材料としては、例えば、磁性ステンレス(Fe−Cr−Al−Si合金)、Fe−Si−A1合金、Fe−Ni合金、ケイ素銅(Fe−Cu−Si合金)、Fe−Si合金、Fe−Si―B(−Cu−Nb)合金、Fe−Si−Cr−Ni合金、Fe−Si−Cr合金、Fe−Si−Al−Ni−Cr合金、フェライトなどが挙げられる。これら軟磁性粒子は、単独で使用または2種以上を併用することができる。
これらの中でも、磁気特性の点から、好ましくは、Fe−Si−Al合金が挙げられる。
軟磁性粒子は、扁平状(板形状)を有している、すなわち、厚みが薄くて面が広い形状に形成されている。軟磁性粒子の扁平率(扁平度)は、例えば、8以上、好ましくは、15以上であり、また、例えば、500以下、好ましくは、450以下である。扁平率は、例えば、軟磁性粒子の平均粒子径を軟磁性粒子の平均厚さで除したアスペクト比として算出される。
軟磁性粒子の平均粒子径(最大長さの平均値)は、例えば、3.5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、150μm以下である。平均厚みは、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.2μm以上であり、また、例えば、3.0μm以下、好ましくは、2.5μm以下である。軟磁性粒子の扁平率、平均粒子径、平均厚みなどを調整することにより、軟磁性粒子による反磁界の影響を小さくでき、その結果、軟磁性粒子の透磁率を増加させることができる。なお、軟磁性粒子の大きさを均一にするために、必要に応じて、ふるいなどを使用して分級された軟磁性粒子を用いてもよい。
接着組成物における軟磁性粒子の質量割合は、固形分換算で、例えば、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上、より好ましくは、20質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、80質量%以下、より好ましくは、70質量%以下である。また、接着組成物における軟磁性粒子の体積割合は、固形分換算で、例えば、5体積%以上、好ましくは、8体積%以上、より好ましくは、10体積%以上であり、例えば、60体積%以下、好ましくは、50体積%以下、より好ましくは、40体積%以下である。これにより、接着層3の磁気特性を向上させることができる。
接着組成物において、熱伝導性粒子および軟磁性粒子の合計質量割合は、固形分換算で、例えば、20質量%以上、好ましくは、30質量%以上、より好ましくは、40質量%以上であり、また、例えば、95質量%以下、好ましくは、85質量%以下、より好ましくは、80質量%以下である。また、熱伝導性粒子および軟磁性粒子の合計体積割合は、固形分換算で、例えば、10体積%以上、好ましくは、20体積%以上、より好ましくは、30体積%以上であり、例えば、70体積%以下、好ましくは、60体積%以下、より好ましくは、50体積%以下である。これにより、接着性および磁気シールド性をより一層向上させることができる。
熱伝導性粒子100質量部に対する軟磁性粒子の質量割合は、例えば、10質量部以上、好ましくは、50質量部以上であり、また、例えば、4000質量部以下、好ましくは、3500質量部以下、より好ましくは、1000質量部以下である。また、熱伝導性粒子100体積部に対する軟磁性粒子の体積割合は、例えば、5体積部以上、好ましくは、10体積部以上であり、また、例えば、1400体積部以下、好ましくは、1200体積部以下、より好ましくは、1000体積部以下である。軟磁性粒子の含有割合を上記範囲内とすることにより、接着層3の放熱性および磁気特性をバランスよく向上させて、その結果、コイルモジュール1の通信特性の劣化を抑制できる。
接着樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、基板樹脂において例示した熱硬化性樹脂が挙げられ、好ましくは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、基板樹脂において例示した熱可塑性樹脂が挙げられ、好ましくは、アクリル樹脂が挙げられる。
接着組成物における接着樹脂の含有割合は、固形分換算で、例えば、5質量%以上、好ましくは、15質量%以上、より好ましくは、20質量%以上であり、また、例えば、80質量%以下、好ましくは、70質量%以下、より好ましくは、60質量%以下、より好ましくは、50質量%未満である。接着樹脂の含有割合を上記範囲内とすることにより、接着性をより一層良好にすることができる。
接着組成物は、好ましくは、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂を併用する。より好ましくは、熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂を含有し、熱可塑性樹脂として、アクリル樹脂を含有する。これにより、後述する半硬化接着層3aを複数積層して熱プレスする際に、半硬化接着層3a同士の界面の隙間や半硬化接着層3aとコイル基板2との隙間を埋めて、磁性層4とコイル基板2とをより確実かつ強固に接着することができる。
この場合、接着樹脂におけるエポキシ樹脂の含有割合は、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上、より好ましくは、25質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、35質量%以下である。接着樹脂におけるフェノール樹脂の含有割合は、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上、より好ましくは、25質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、35質量%以下である。接着樹脂におけるアクリル樹脂の含有割合は、例えば、25質量%以上である。好ましくは、30質量%以上、より好ましくは、35質量%以上であり、また、例えば、80質量%以下、好ましくは、70質量%以下、より好ましくは、50質量%未満である。
接着組成物は、好ましくは、熱硬化触媒をさらに含有する。
熱硬化触媒としては、基板組成物において例示した熱硬化触媒が挙げられ、好ましくは、イミダゾール系化合物が挙げられる。
熱硬化触媒の含有割合は、接着樹脂100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.3質量部以上であり、また、例えば、5質量部以下、好ましくは、3質量部以下である。熱硬化触媒の含有割合を上記範囲内とすることにより、接着組成物を低温度かつ短時間で加熱硬化して、接着することができる。
接着組成物は、さらに必要に応じて、その他の添加剤を含有することもできる。添加剤としては、例えば、架橋剤、無機充填材などの市販または公知のものが挙げられる。
接着層3において、コイルパターン6の上面(厚み方向一方側の表面)から接着層3の上面までの間隔(図1で示すZの長さ)は、例えば、100μm以下、好ましくは、80μm以下であり、また、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上である。
また、接着層3の最大厚み(すなわち、ベース基板5の上面から接着層3の上面までの間隔)は、例えば、200μm以下、好ましくは、150μm以下であり、また、例えば、6μm以上、好ましくは、9μm以上である。
磁性層4は、接着層3の上側に設けられている。具体的には、磁性層4は、磁性層4の下面が接着層3の上面と接触するように、接着層3の上面に配置されている。
磁性層4は、軟磁性粒子10および樹脂を含有する磁性組成物からシート形状に形成されている。
軟磁性粒子10としては、接着組成物において例示した軟磁性粒子10が挙げられ、磁気特性の点から、好ましくは、Fe−Si−Al合金が挙げられる。
磁性組成物における軟磁性粒子の質量割合は、固形分換算で、例えば、80質量%以上、好ましくは、83質量%以上、より好ましくは、85質量%以上であり、また、例えば、98質量%以下、好ましくは、95質量%以下、より好ましくは、92質量%以下である。また、磁性組成物における軟磁性粒子の体積割合は、固形分換算で、例えば、40体積%以上、好ましくは、45体積%以上、より好ましくは、50体積%以上、さらに好ましくは、60体積%以上であり、例えば、90体積%以下、好ましくは、80体積%以下、より好ましくは、70体積%以下である。軟磁性粒子の含有割合を上記下限以上とすることにより、磁性層4の磁気特性が優れる。一方、上記上限以下とすることにより、磁性組成物の成膜性が優れる。
磁性組成物に含有される樹脂(以下、磁性層用樹脂)としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、基板樹脂において例示した熱硬化性樹脂が挙げられ、好ましくは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、基板樹脂において例示した熱可塑性樹脂が挙げられ、好ましくは、アクリル樹脂が挙げられる。
磁性層用樹脂は、好ましくは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂を含有する。
磁性層用樹脂において、エポキシ樹脂は、好ましくは、3つ以上の官能基(例えば、グリシジル基)を有するエポキシ樹脂(例えば、上記の多官能エポキシ樹脂)のみからなる。換言すると、磁性層用樹脂におけるエポキシ樹脂は、2つの官能基を有するエポキシ樹脂(例えば、上記の2官能エポキシ樹脂)を実質的に含有しない。
「2官能のエポキシ樹脂を実質的に含有しない」とは、全エポキシ樹脂における2つの官能基を有するエポキシ樹脂の含有割合が、例えば、1.0重量%以下、好ましくは、0.5質量%以下、より好ましくは、0質量%であることを意味する。
このようなエポキシ樹脂としては、基板樹脂で例示した多官能エポキシ樹脂が挙げられ、好ましくは、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。
フェノール樹脂は、好ましくは、分子中に3つ以上の官能基(例えば、水酸基)を有するフェノール樹脂(多官能フェノール樹脂)のみからなる。換言すると、磁性層用樹脂におけるフェノール樹脂は、2つの官能基を有するフェノール樹脂を実質的に含有しない。
「2官能のフェノール樹脂を実質的に含有しない」とは、全フェノール樹脂における2つの官能基を有するフェノール樹脂の含有割合が、例えば、1.0重量%以下、好ましくは、0.5質量%以下、より好ましくは、0質量%であることを意味する。
このようなフェノール樹脂としては、接着樹脂で例示した多官能フェノール樹脂が挙げられ、好ましくは、フェノールビフェニレン樹脂が挙げられる。
特に好ましくは、磁性層用樹脂は、熱硬化性樹脂として多官能エポキシ樹脂および多官能フェノール樹脂のみからなる。すなわち、2官能エポキシ樹脂や2官能フェノール樹脂を含有しない。これにより、磁性層4において、均一かつ強固な硬化樹脂が形成されるため、磁性層4に軟磁性粒子を高い割合で含有させつつ、軟磁性粒子同士の反発や樹脂弾性によって生じる磁性層4の空隙の発生(スプリングバック)を抑制できる。その結果、磁性層4の磁気特性をより一層良好にすることができる。
磁性組成物における磁性層用樹脂の含有割合は、固形分換算で、例えば、2質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、8質量%以上であり、また、例えば、20質量%以下、好ましくは、17質量%以下、より好ましくは、15質量%以下である。磁性層用樹脂の含有割合を上記範囲内とすることにより、磁性層4の成膜性、磁気特性に優れる。
また、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂(すなわち、熱硬化性樹脂)の合計含有量は、磁性組成物から軟磁性粒子を除いた軟磁性粒子除外成分100質量部に対して、例えば、20質量部以上、好ましくは、30質量部以上、より好ましくは、50質量部を超過し、また、例えば、99質量部以下、好ましくは、90質量部以下、より好ましくは、80質量部以下、さらに好ましくは、60質量部以下である。エポキシ樹脂およびフェノール樹脂の合計含有量が上記範囲とすることにより、磁性層4に軟磁性粒子を高い割合で含有させつつ、スプリングバックを抑制でき、その結果、磁性層4の磁気特性をより一層良好にすることができる。
なお、軟磁性粒子除外成分は、より具体的には、磁性層用樹脂、熱硬化触媒および必要に応じて添加される添加剤(後述)からなる成分(固形分)であって、軟磁性粒子および溶媒は含まれない。
磁性層用樹脂におけるエポキシ樹脂の含有割合は、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上、より好ましくは、25質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、35質量%以下である。磁性層用樹脂におけるフェノール樹脂の含有割合は、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上、より好ましくは、25質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、35質量%以下である。磁性層用樹脂におけるアクリル樹脂の含有割合は、例えば、25質量%以上、好ましくは、30質量%以上、より好ましくは、35質量%以上であり、また、例えば、80質量%以下、好ましくは、70質量%以下、より好ましくは、50質量%未満である。アクリル樹脂の含有割合が上記範囲内である場合、磁性層4のスプリングバックを抑制することができる。また、磁性組成物の粘度を良好にして、成膜性を向上させることができる。さらに、成膜後の樹脂内部における軟磁性粒子の配向性を向上させることができる。その結果、磁気特性をより一層良好にすることができる。
磁性組成物は、好ましくは、熱硬化触媒をさらに含有する。
熱硬化触媒としては、基板組成物で例示した熱硬化触媒を例示することができる。好ましくは、イミダゾール系化合物が挙げられる。
熱硬化触媒の含有割合は、磁性層用樹脂100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.3質量部以上であり、また、例えば、5質量部以下、好ましくは、3質量部以下である。熱硬化触媒の含有割合を上記範囲内とすることにより、磁性組成物を低温度かつ短時間で加熱硬化することができる。
磁性組成物は、好ましくは、分散剤をさらに含有する。磁性組成物が分散剤を含有することにより、軟磁性粒子を磁性層4中に均一に分散させることができる。
分散剤としては、分散性、磁気特性の観点から、好ましくは、ポリエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
ポリエーテルリン酸エステルとして、具体的には、楠本化成社のHIPLAADシリーズ(「ED−152」、「ED−153」、「ED−154」、「ED−118」、「ED−174」、「ED−251」)などが挙げられる。
ポリエーテルリン酸エステルの酸価は、例えば、10以上、好ましくは、15以上であり、また、例えば、200以下、好ましくは、150以下である。酸価は、中和滴定法などによって測定される。
分散剤の含有割合は、磁性層用樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上、好ましくは、0.3質量部以上である。また、5質量部以下、好ましくは、3質量部以下である。
磁性組成物は、好ましくは、レオロジーコントロール剤をさらに含有する。磁性組成物がレオロジーコントロール剤を含有することにより、軟磁性粒子を磁性層4中に均一に分散させることができる。
レオロジーコントロール剤は、せん断力(せん断速度)が低い場合には高粘度を示し、せん断力(せん断速度)が高い場合には低粘度を示すチキソトロピック性を磁性組成物に付与する化合物である。
レオロジーコントロール剤としては、例えば、有機系レオロジーコントロール剤および無機系レオロジーコントロール剤が挙げられる。好ましくは、有機系レオロジーコントロール剤が挙げられる。
有機系レオロジーコントロール剤としては、例えば、変性ウレア、ウレア変性ポリアマイド、脂肪酸アマイド、ポリウレタン、高分子ウレア誘導体などが挙げられる。好ましくは、変性ウレア、ウレア変性ポリアマイド、脂肪酸アマイドが挙げられ、より好ましくは、ウレア変性ポリアマイドが挙げられる。
無機系レオロジーコントロール剤としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、スメクタイトなどが挙げられる。
レオロジーコントロール剤としては、具体的には、例えば、ビックケミー社の「BYK−410」、「BYK−430」、「BYK−431」、例えば、楠本化成社の「ディスパロンPFA−131」、例えば、日本アエロジル社の「アエロジル VP NK200」、「アエロジル R976S」、「アエロジル COK84」などが挙げられる。
これらレオロジーコントロール剤は、単独で使用または2種以上を併用することができる。
レオロジーコントロール剤の含有割合は、磁性層用樹脂100質量部に対して、固形分割合で、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
磁性組成物は、さらに必要に応じて、その他の添加剤を含有することもできる。添加剤としては、例えば、架橋剤、無機充填材などの市販または公知のものが挙げられる。
磁性層4の平均厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、250μm以下である。
2.コイルモジュールの製造方法
図2A〜図2Gおよび図3A〜3Eを参照して、コイルモジュール1の製造方法を説明する。
コイルモジュール1の製造方法は、例えば、磁性層4を用意する磁性層用意工程、磁性層4に半硬化接着層3aを設けることにより、半硬化接着層積層体8を得る積層体形成工程、コイル基板2を用意するコイル基板用意工程、および、半硬化接着層積層体8をコイル基板2に対して熱プレスする熱プレス工程を備える。以下、これらの工程を説明する。
(磁性層用意工程)
磁性層用意工程では、磁性層4を用意する。
磁性層用意工程は、例えば、磁性組成物を溶媒に溶解または分散させることにより、磁性組成物溶液を調製する工程、磁性組成物溶液を剥離基材11の表面に塗布し、乾燥させることにより、半硬化状態の磁性層(半硬化磁性層4a)を得る工程、および、半硬化磁性層4aを複数枚積層し、熱プレスする工程を備える。
まず、磁性組成物を溶媒に溶解または分散させる。これにより、磁性組成物溶液が調製される。
磁性組成物は、磁性層4において上記した成分を上記割合で混合することにより調製される。
溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)などケトン類、例えば、酢酸エチルなどのエステル類、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類などの有機溶媒などが挙げられる。また、溶媒として、例えば、水、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコールなどの水系溶媒も挙げられる。
磁性組成物溶液における固形分量は、例えば、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、70質量%以下である。
次いで、図2Aに示すように、磁性組成物溶液を、剥離基材11(セパレータ、コア材など)の表面に塗布し、乾燥させる。
塗布方法としては、例えば、ドクターブレード塗工、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工などが挙げられる。
乾燥条件としては、乾燥温度は、例えば、50℃以上150℃以下(好ましくは、60℃以上120℃以下)であり、乾燥時間は、例えば、1分以上5分以下である。
セパレータとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、紙などが挙げられる。これらは、その表面に、例えば、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤、シリコーン系剥離剤などにより離型処理されている。
コア材としては、例えば、プラスチックフィルム(例えば、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルムなど)、金属フィルム(例えば、アルミウム箔など)、例えば、ガラス繊維やプラスチック製不織繊維などで強化された樹脂基板、シリコーン基板、ガラス基板などが挙げられる。
剥離基材11の平均厚みは、例えば、1μm以上500μm以下である。
これにより、半硬化状態(Bステージ)である半硬化磁性層4aが得られる。
半硬化状態(Bステージ)とは、例えば、室温(25℃)において、溶剤に可溶な未硬化状態(Aステージ)と、完全硬化した硬化状態(Cステージ)の間の状態であって、硬化およびゲル化がわずかに進行し、溶剤に膨潤するが完全に溶解せず、加熱によって軟化するが溶融しない状態をいう。
半硬化磁性層4aの平均厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、250μm以下である。
次いで、図2Bに示すように、半硬化磁性層4aを複数枚用意し、複数枚の半硬化磁性層4aを厚み方向に熱プレスする。
熱プレスは、公知のプレス機を用いて実施することができ、例えば、平行平板プレス機などが挙げられる。複数枚の半硬化磁性層4aを熱プレスすることにより、磁性層4内に軟磁性粒子を高割合で充填させ、かつ、扁平状の軟磁性粒子を面方向に配向させることができる。このため、磁気特性をより一層良好にすることができる。
半硬化磁性層4aの積層枚数は、図2Bでは2層としているが、図2Bに限定されず、例えば、2層以上であり、また、例えば、20層以下、好ましくは、10層以下である。これにより、所望の厚みの磁性層4に調整することができる。
加熱温度は、例えば、130℃以上、好ましくは、150℃以上であり、また、例えば、250℃以下、好ましくは、200℃以下である。
熱プレス時間は、例えば、1分以上、好ましくは、2分以上であり、また、例えば、24時間以下、好ましくは、2時間以下である。
圧力は、例えば、1MPa以上、好ましくは、3MPa以上であり、また、例えば、200MPa以下、好ましくは、100MPa以下である。
これにより、図2Cに示すように、半硬化磁性層4aが加熱硬化され、完全硬化状態(Cステージ)の磁性層4が得られる。なお、複数の半硬化磁性層4aは、加熱により一体化して、一つの磁性層4を形成し、複数の半硬化磁性層4aの界面は磁性層4において実質的に観察されない。
磁性層4の複素透磁率の実部μ´は、例えば、50以上、好ましくは、60以上であり、また、例えば、250以下である。本発明において、複素透磁率の実部μ´は、インピーダンスアナライザー(Agilent社製、「4294A」)を用いて、1ターン法(周波数13.56MHz)によって測定される。
磁性層4は、好ましくは、図1に示すように、磁性層4に含有される扁平状の軟磁性粒子10が、磁性層4の2次元の面内方向に配列されている。すなわち、扁平状の軟磁性粒子10の長手方向(厚み方向と直交する方向)が磁性層4の面方向に沿うように配向している。これにより、磁性層4は、軟磁性粒子が高割合で充填され、磁気特性に優れる。また、磁性層4の薄膜化が図られている。
(積層体形成工程)
積層体形成工程では、図2Dに示すように、磁性層4に半硬化接着層3aを設ける。
積層体形成工程は、例えば、熱硬化性接着組成物を溶媒に溶解または分散させることにより、熱硬化性接着組成物溶液を調製する工程、熱硬化性接着組成物溶液を剥離基材の表面に塗布し、乾燥させることにより、半硬化状態の接着層(半硬化接着層3a)を得る工程、および、半硬化接着層3aを磁性層4の上面に複数枚積層し、プレスする工程を備える。
まず、熱硬化性接着組成物を溶媒に溶解または分散させる。これにより、熱硬化性接着組成物溶液が調製される。
熱硬化性接着組成物は、接着層3において上記した成分を上記割合で混合することにより調製され、好ましくは、少なくとも熱伝導性粒子、軟磁性粒子および熱硬化性樹脂を混合することにより調製される。すなわち、好ましくは、熱硬化性接着組成物は、熱伝導性粒子、軟磁性粒子および熱硬化性樹脂を含有し、より好ましくは、熱硬化性接着組成物は、熱伝導性粒子、軟磁性粒子、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂を含有し、さらに好ましくは、熱伝導性粒子、軟磁性粒子、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂を含有する。
溶媒としては、磁性組成物溶液で例示した溶媒を例示できる。
熱硬化性接着組成物溶液における固形分量は、例えば、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、70質量%以下である。
次いで、熱硬化性接着組成物溶液を、剥離基材(セパレータ、コア材など)の表面に塗布し、乾燥させる。
塗布方法および剥離基材としては、磁性層用意工程で例示した塗布方法および剥離基材が挙げられる。
乾燥条件としては、乾燥温度は、例えば、50℃以上150℃以下(好ましくは、60℃以上120℃以下)であり、乾燥時間は、例えば、1分以上5分以下である。
これにより、半硬化状態(Bステージ)である半硬化接着層3aが得られる。
半硬化接着層3aの平均厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、250μm以下である。
次いで、半硬化接着層3aを磁性層4の上面に複数枚用意し、複数枚の半硬化接着層3aを厚み方向にプレスする。
半硬化接着層3aの積層枚数は、図2Dでは2層としているが、図2Dに限定されず、例えば、2層以上であり、また、例えば、20層以下、好ましくは、5層以下である。これにより、所望の厚みの接着層3に調整することができる。
圧力は、例えば、0.01MPa以上、好ましくは、0.1MPa以上であり、また、例えば、50MPa以下、好ましくは、10MPa以下、より好ましくは、3MPa以下である。
プレスの際、必要に応じて、加熱してもよい。
加熱する場合、その加熱温度は、半硬化接着層3aが完全硬化しない温度の範囲内であり、例えば、半硬化性接着組成物溶液の乾燥温度と同一の範囲とすればよい。
これにより、図2Dに示すように、半硬化接着層3aが、磁性層4の上面に設けられた半硬化接着層積層体8が得られる。
(コイル基板用意工程)
コイル基板用意工程は、コイル基板2を用意する。
コイル基板用意工程は、例えば、図3A〜3Eが示すように、金属下地13を配置する金属下地配置工程、ベース基板5を形成するベース基板形成工程、支持基板12を剥離する剥離工程、および、コイルパターン6を形成するコイル形成工程を備える。
金属下地配置工程では、図3Aに示すように、支持基板12を用意し、続いて、金属下地13を支持基板12の下面に配置する。
支持基板12は、図3Bに示すように、金属下地13をベース基板5に配置するまで、金属下地13を支持する。支持基板12は、ベース基板5と同一形状の板状に形成されている。支持基板12を形成する支持材料としては、例えば、ステンレス、アルミニウムなどの金属材料、例えば、ポリプロピレンなどの樹脂材料などが挙げられる。好ましくは、金属材料、より好ましくは、ステンレスが挙げられる。
支持基板12の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、75μm以下である。
金属下地13を支持基板12の下面に配置する方法としては、例えば、めっき、スパッタリングなどが挙げられる。好ましくは、めっき、より好ましくは、電解めっきが挙げられる。
金属下地13を構成する材料としては、コイルパターン6を形成する金属と同一の材料である。
金属下地13の厚みは、例えば、10nm以上、好ましくは、100nm以上であり、また、例えば、1000nm未満、好ましくは、800nm以下である。
次いで、ベース基板形成工程では、図3Bに示すように、ベース基板5を金属下地13の下面に配置する。
ベース基板5を金属下地13の下面に配置する方法は、例えば、基板組成物を溶媒に溶解または分散させることにより、基板組成物溶液を調製する工程、磁性組成物溶液を剥離基材11の表面に塗布し、乾燥させることにより、半硬化状態の基板層(半硬化基板層)を得る工程、半硬化基板層を金属下地13に配置する工程、および半硬化基板層を熱プレスする工程を備える。
まず、基板組成物を溶媒に溶解または分散させる。これにより、基板組成物溶液が調製される。
基板組成物は、ベース基板5において上記した成分を上記割合で混合することにより調製され、好ましくは、少なくとも熱伝導性粒子および熱硬化性樹脂を混合することにより調製される。すなわち、好ましくは、基板組成物は、熱伝導性粒子および熱硬化性樹脂を含有し、より好ましくは、熱伝導性粒子、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂を含有し、さらに好ましくは、熱伝導性粒子、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂を含有する。
溶媒としては、磁性組成物溶液で例示した溶媒を例示できる。
基板成物溶液における固形分量は、例えば、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、70質量%以下である。
続いて、基板組成物溶液を、剥離基材(セパレータ、コア材など)の表面に塗布し、乾燥させる。
塗布方法および剥離基材としては、磁性層用意工程で例示した塗布方法および剥離基材が挙げられる。
乾燥条件としては、乾燥温度は、例えば、50℃以上150℃以下(好ましくは、60℃以上120℃以下)であり、乾燥時間は、例えば、1分以上5分以下である。
これにより、半硬化状態(Bステージ)である半硬化基板層が得られる。
半硬化基板層の平均厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、250μm以下である。
続いて、半硬化基板層を金属下地13に配置する。具体的には、半硬化基板層を剥離基材から金属下地13の下面に転写して、剥離基材を金属下地13から剥離する。
続いて、半硬化基板層を熱プレスする。
熱プレスは、公知のプレス機を用いて実施することができ、例えば、平行平板プレス機などが挙げられる。
加熱温度は、例えば、130℃以上、好ましくは、150℃以上であり、また、例えば、250℃以下、好ましくは、200℃以下である。
熱プレス時間は、例えば、1分以上、好ましくは、2分以上であり、また、例えば、24時間以下、好ましくは、2時間以下である。
圧力は、例えば、0.01MPa以上、好ましくは、0.1MPa以上であり、また、例えば、100MPa以下、好ましくは、50MPa以下である。
これにより、図3Bに示すように、半硬化基板層が加熱硬化され、完全硬化状態(Cステージ)のベース基板5が得られる。
次いで、剥離工程では、図3Bの仮想線および図3Cに示すように、支持基板12を剥離する。
これによって、図3Cに示すように、ベース基板5と、ベース基板5の上面に配置される金属下地13とを備える下地基板を得る。
次いで、コイル形成工程では、図3Dに示すように、コイルパターン6を形成する。
具体的には、金属下地13の上面にパターン部14を配置し、パターン部14から露出する金属下地13を除去する。
パターン部14を金属下地13の上面に配置するには、例えば、めっき、印刷などが用いられる。めっきでは、例えば、電解めっき、無電解めっきが用いられ、好ましくは、めっき時間の短縮化の観点から、電解めっきが用いられる。印刷では、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサ印刷(塗布)が用いられ、好ましくは、高精度の印刷を達成する観点から、スクリーン印刷などが用いられる。
パターン部14を形成する材料が金属である場合には、好ましくは、めっき、より好ましくは、電解めっきが用いられる。
めっきによりパターン部14を形成するには、例えば、まず、金属下地13の上面に、コイルパターン6と逆パターンに形成されためっきレジスト(図示せず)を配置する。その後、めっきレジストが配置された金属下地13およびベース基板5を、めっき液に浸漬しながら、金属下地13から給電することにより、めっきレジストから露出する金属下地13の上面に、パターン部14を形成する。その後、めっきレジストを除去する。
印刷によりパターン部14を配置するには、金属下地13の上面にスクリーンを配置した後に、パターン部14を形成する材料のペーストを、金属下地13の上面に直接塗布する。その後、必要により、ペーストを乾燥させる。
これにより、パターン部14を金属下地13の上面に配置する。
続いて、図3Eに示すように、パターン部14から露出する金属下地13を除去する。
パターン部14から露出する金属下地13は、金属下地13の不要部分であって、これを除去することにより、金属下地13とパターン部14とからなるコイルパターン6が形成される。
パターン部14から露出する金属下地13を除去するには、例えば、ソフトエッチングが用いられる。ソフトエッチングでは、パターン部14が配置されたベース基板5を、例えば、過硫酸カリウムや過硫酸ナトリウムなどのエッチング液に浸漬する。浸漬時間は、金属下地13の厚みに応じて適宜設定され、例えば、1分間以上、好ましくは、2分間以上であり、また、例えば、20分間以下、好ましくは、8分間以下である。
これによって、パターン部14から露出する金属下地13が除去される。その結果、ベース基板5と、ベース基板5の上面に配置され、所定のパターンに形成されたコイルパターン6とを備えるコイル基板2を得る。
ベース基板5の熱伝導率は、例えば、1.0W/mK以上、好ましくは、2.0W/mK以上であり、また、例えば、100W/mK以下である。これにより、コイル基板2に貯蓄される熱を速やかに外部に拡散して、通信特性の低下を抑制することができる。熱伝導率の測定方法は、実施例にて詳述する。
なお、コイル基板用意工程では、ベース基板5に金属下地13を形成して、金属下地13とパターン部14とからなるコイルパターン6を形成しているが、ベース基板5に金属下地13を設けずに、パターン部14を直接形成して、パターン部14からなるコイルパターン6を形成してもよい。
また、金属下地配置工程として、ベース基板5に金属下地13が予め積層された積層板(下地付積層板)を用いることもできる。
また、ベース基板形成工程として、剥離基材11を用いることなく、基板組成物溶液を、金属下地13の下面に直接塗布および乾燥することもできる。このとき、剥離工程は必要としない。
また、コイル形成工程として、アディティブ法によって、コイルパターン6を形成しているが、サブトラクティブ法などによって、コイルパターン6を形成することもできる。
(熱プレス工程)
熱プレス工程は、半硬化接着層積層体8をコイル基板2に対して熱プレスする。
まず、図2Eに示すように、半硬化接着層積層体8を、コイル基板2の上方に、半硬化接着層3aとコイルパターン6とが向かい合うように、間隔を設けて配置する。
次いで、図2Fに示すように、半硬化接着層積層体8を加熱しながら下方に向かって押圧(プレス)する。
熱プレスは、公知のプレス機を用いて実施することができ、例えば、平行平板プレス機などが挙げられる。
加熱温度は、例えば、130℃以上、好ましくは、150℃以上であり、また、例えば、250℃以下、好ましくは、200℃以下である。
熱プレス時間は、例えば、1分以上、好ましくは、2分以上であり、また、例えば、24時間以下、好ましくは、2時間以下である。
圧力は、例えば、0.01MPa以上、好ましくは、0.1MPa以上であり、また、例えば、50MPa以下、好ましくは、10MPa以下、より好ましくは、3MPa以下である。
これにより、コイルパターン6が半硬化接着層3aに埋没されると同時に、半硬化接着層3aが完全硬化状態(Cステージ)の接着層3となり、接着層3がコイル基板2と磁性層4とを接着する。すなわち、コイルパターン6の表面(上面および側面)と、コイルパターン6から露出されるベース基板5の上面とが、完全硬化状態の接着層3に被覆される。このとき、複数の半硬化接着層3aは、熱プレスにより一体化して、一つの接着層3を形成し、複数の半硬化接着層3aの界面は、接着層3において実質的に観察されない。
その結果、図2Gに示すように、コイル基板2と、コイル基板2の上面に設けられ、完全硬化状態の接着層3と、接着層3の上面に設けられ、完全硬化状態の磁性層4とを備えるコイルモジュール1が得られる。
接着層3の複素透磁率の実部μ´は、例えば、5以上、好ましくは、10以上であり、また、例えば、200以下である。
接着層3の熱伝導率は、例えば、1.0W/mK以上、好ましくは、2.0W/mK以上であり、また、例えば、100W/mK以下である。これにより、コイル基板2に貯蓄される熱を速やかに拡散して、通信特性の低下を抑制できる。接着層3の熱伝導率の測定方法は、実施例にて詳述する。
接着層3は、好ましくは、図1に示すように、接着層3に含有される扁平状の軟磁性粒子10が、接着層3の2次元の面内方向に配列されている。すなわち、扁平状軟磁性粒子の長手方向(厚み方向と直交する方向)が接着層3の面方向に沿うように配向している。これにより、接着層3は、より優れた磁束の収束が可能となる。
なお、上記の製造方法では、半硬化磁性層4aおよび半硬化接着層3aを複数枚積層させて熱プレスしたが、例えば、半硬化磁性層4aおよび半硬化接着層3aのそれぞれ1枚(単層)に対して熱プレスを実施することもできる。また、半硬化基板層を1層に対して熱プレスしたが、例えば、半硬化基板層を複数枚積層させて熱プレスすることもできる。
また、図1の実施形態では、ベース基板5の上面にのみコイルパターン6が形成されているが、例えば、ベース基板5の上面および下面にコイルパターン6を形成させることもできる。
そして、コイルモジュール1によれば、コイル基板2は、熱伝導性粒子9および樹脂を含有する基板組成物から形成されている。このため、大電流印加時にコイルパターン6に発生する熱を効率よくコイルパターン6の周辺に拡散できるため、熱によるコイルパターン6の膨張を抑制して、コイルパターン6のインダクタンスの変化を抑制できる。その結果、コイルパターン6の共振周波数のずれが抑制されるため、13.56MHzまたは6.78MHzの高い共振周波数において通信特性の低下を抑制することができる。
また、コイルモジュール1は、軟磁性粒子10を含有する磁性層4を備えているため、通信時または電力伝送時に発生する磁束を磁性層4によって収束させることができる。さらに、コイル基板2と磁性層4との間に軟磁性粒子10を含有する接着層3を備えるため、接着層3においても磁束を収束させることができる。これらによって、良好な磁気シールド性を発現する。特に、接着層3は、熱伝導性粒子9と軟磁性粒子10とを含有するため、熱伝導性粒子9が軟磁性粒子10同士の接触を防止し、これにより軟磁性粒子10の接触による渦電流を防止し、磁束収束の低下を抑制することができる。その結果、磁気シールド性をより確実に向上させることができる。
また、磁性層4に加えて接着層3によっても磁束を収束させることができるため、磁性層4の厚みを薄膜化することができ、コイルモジュール6の薄型化が可能となる。
また、コイルモジュール1では、磁性層4が軟磁性粒子10および樹脂を含有するため、可撓性を備え、ハンドリング性に優れる。また、フェライトシートなどの金属成分のみからなるシートは脆いため保護支持層が必要であるが、コイルモジュール1は、磁性層4が可撓性を備えるため、保護支持層を不要となる。よって、さらなる薄型化が可能となる。
さらに、磁性層4では、高い含有割合で含有される軟磁性粒子10が、図1に示すように、面方向に配向している。このため、磁性層4は、優れた磁気特性を発揮することができ、通信特性の低下を抑制することができる。
このコイルモジュール1は、13.56MHzまたは6.78MHzの周波数帯を用いる無線通信または無線電力伝送用のコイルモジュールに用いることができ、好ましくは、NFC(近距離無線通信)の受信用コイルモジュールとして好適に用いることができる。このようなコイルモジュールを備える製品としては、具体的には、無線通信用途として、例えば、非接触型ICカード、スマートフォンなどが挙げられ、無線電力伝送用途として、例えば、コードレス電話、電気シェーバー、電動歯ブラシなどが挙げられる。
(第2実施形態)
第2実施形態のコイルモジュール1について、図4を参照して説明する。第2実施形態において、上記した第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
本発明の第2実施形態のコイルモジュール1は、図4に示すように、コイル基板2と、接着層3Aと、磁性層4とを順に備える。
接着層3Aは、軟磁性粒子10および接着樹脂を含有する接着組成物からシート形状に形成されている。すなわち、熱伝導性粒子9を含有せず、軟磁性粒子10および接着樹脂を含有する接着組成物から形成されている。
第2実施形態において、軟磁性粒子は、第1実施形態の軟磁性粒子と同一であり、接着組成物における軟磁性粒子の含有割合も、第1実施形態と同様である。
第2実施形態において、接着樹脂は、第1実施形態の接着樹脂と同一であり、接着組成物における接着樹脂の含有割合は、固形分換算で、例えば、9質量%以上、好ましくは、15質量%以上、より好ましくは、25質量%以上、さらに好ましくは、45質量%以上であり、また、例えば、95質量%以下、好ましくは、85質量%以下、より好ましくは、70質量%以下である。接着樹脂の含有割合を上記範囲内とすることにより、接着性をより一層良好にすることができる。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
好ましくは、磁気シール性などがより一層良好になる観点から、第1実施形態が挙げられる。
(その他の実施形態)
図1において、接着層3は、熱伝導性粒子9および軟磁性粒子10および接着樹脂を含有する接着組成物から形成されているが、例えば、図示しないが、接着層3は、熱伝導性粒子9および軟磁性粒子10を含有せず、接着樹脂を含有する接着組成物から形成することもできる。
この実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
好ましくは、磁気シールド性などがより一層良好になる観点から、第1実施形態が挙げられる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
実施例1
(磁性層の用意)
磁性組成物において、軟磁性粒子の体積割合が60.0体積%となるように、固形分換算で、Fe-Si-Al系合金(軟磁性粒子)90.3質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂2.5質量部、フェノールビフェニレン樹脂2.6質量部、アクリル樹脂4.2質量部、熱硬化触媒0.1質量部、分散剤0.1質量部、および、レオロジーコントロール剤0.2質量部を混合することにより、磁性組成物を得た。
この磁性組成物をメチルエチルケトンに溶解させることにより、固形分濃度41質量%の磁性組成物溶液を調製した。
この磁性組成物溶液を、セパレータ(シリコーン離型処理したPETフィルム)上に塗布し、その後、110℃で2分間乾燥させた。これにより、半硬化磁性層(平均厚み20μm)を形成した。
この半硬化磁性層を2層積層し、175℃、30分、20MPaの条件で熱プレスにて加熱硬化した。これにより、完全硬化状態(Cステージ)の磁性層(平均厚み40μm)を得た。
(積層体の形成)
接着組成物において、軟磁性粒子の体積割合が10.0体積%となるように、固形分換算で、Fe-Si-Al系合金(軟磁性粒子)40.9質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂11.1質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂4.1質量部、フェノールビフェニレン樹脂16.6質量部、アクリル樹脂26.7質量部、および、熱硬化触媒0.6質量部を混合することにより、接着組成物を得た。
この接着組成物をメチルエチルケトンに溶解させることにより、固形分濃度40質量%の接着組成物溶液を調製した。
この接着組成物溶液を、セパレータ(シリコーン離型処理したPETフィルム)上に塗布し、その後、110℃で2分間乾燥させた。これにより、半硬化接着層(平均厚み20μm)を製造した。
この半硬化接着層を2層用意し、2層の半硬化接着層を磁性層の上面に積層して、100℃、1分、0.5MPaの条件でプレスした。これにより、磁性層の上面に半硬化接着層(平均厚み40μm)が設けられた半硬化接着層積層体を得た。
(コイル基板の用意)
ステンレス箔からなる厚み50μmの支持基板の下面に、電解銅めっきにより、銅からなる厚み500nmの金属下地を形成した。
別途、基板組成物を調製した。熱伝導性粒子の体積割合が40.0体積%となるように、固形分換算で、酸化アルミニウム(熱伝導性粒子)70.8質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂5.4質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂2.0質量部、フェノールビフェニレン樹脂8.2質量部、アクリル樹脂13.3質量部、および熱硬化触媒0.3質量部を混合することにより、基板組成物を調製した。
次いで、基板組成物をメチルエチルケトンに溶解させることにより、固形分濃度45質量%の基板組成物溶液を調製した。
この基板組成物溶液を、セパレータ(シリコーン離型処理したPETフィルム)上に塗布し、その後、110℃で2分間乾燥させた。これにより、半硬化基板層(平均厚み20μm)を製造した。
次いで、半硬化基板層をセパレータから金属下地に転写した後、真空下、175℃、30分、1MPaで熱プレスにより加熱硬化した。これにより、完全硬化状態(Cステージのベース基板(平均厚み20μm)を得た。
次いで、ステンレス箔を、金属下地から引き剥がした。
次いで、金属下地の表面に、アディティブ法によって、銅からなり、配線の幅500μm、配線の高さ35μm、隙間の間隔(ピッチ間)500μmのループコイル状のパターン部を形成した。具体的には、まず、ドライフィルムレジストを金属下地の上面全面に積層し、次いで、ループコイル状パターンに対応するパターンで露光し、その後、未露光部分を現像により除去して、ループコイル状パターンに対応する開口部を有するめっきレジストを形成した。その後、めっきレジストの開口部から露出する金属下地の上面に、電解銅めっきにより、パターン部を形成した。その後、ドライフィルムレジストを除去した。
その後、配線回路から露出する金属下地(不要な金属下地)を、ソフトエッチングにより、除去した。ソフトエッチングでは、ベース基板、金属下地および金属配線部からなる積層板を、90℃の過硫酸ナトリウム水溶液に2分間浸漬した。
これによって、ベース基板と、コイルパターン(金属配線部とその下面に配置される金属下地)とを備えるコイル基板を得た。
(コイルモジュールの製造)
半硬化接着層積層体を、半硬化接着層とコイルパターンとが接触するように、このコイル基板に積層して、175℃、30分、0.5MPaの条件で熱プレスした。これにより、コイルパターンを半硬化接着層で埋没させるとともに、半硬化接着層を完全硬化して、コイル基板、接着層および磁性層を順に備えるコイルモジュールを製造した(図1参照)。
コイルモジュールにおいて、接着層の最大厚さXは35μm、コイルパターン上面から接着層3上面までの間隔Zは20μmであった。
実施例2
接着組成物において、表1の処方および配合割合に変更した。さらに、接着層の最大厚さXおよび間隔Zを実施例1と同様の距離とするために、積層体の形成時におけるプレス圧力およびコイルモジュールの製造時におけるプレス圧力をともに、0.5MPaから1MPaに変更した。これらの変更以外は、実施例1と同様にして、実施例2のコイルモジュールを製造した(図4参照)。
実施例3
接着組成物および基板組成物において、表1の処方および配合割合に変更した。さらに、接着層の最大厚さXおよび間隔Zを実施例1と同様の距離とするために、積層体の形成時におけるプレス圧力およびコイルモジュールの製造時におけるプレス圧力をともに、0.5MPaから1MPaに変更した。これらの変更以外は、実施例1と同様にして、実施例3のコイルモジュールを製造した(図4参照)。
実施例4
接着組成物および基板組成物において、表1の処方および配合割合に変更した。さらに、接着層の最大厚さXおよび間隔Zを実施例1と同様の距離とするために、積層体の形成時におけるプレス圧力を、0.5MPaから2MPaに変更し、コイルモジュールの製造時におけるプレス圧力を、0.5MPaから1MPaに変更した。これらの変更以外は、実施例1と同様にして、実施例4のコイルモジュールを製造した(図4参照)。
比較例1
接着組成物および基板組成物において、表1の処方および配合割合に変更した。さらに、接着層の最大厚さXおよび間隔Zを実施例1と同様の距離とするために、積層体の形成時におけるプレス圧力およびコイルモジュールの製造時におけるプレス圧力をともに、0.5MPaから0.1MPaに変更した。これらの変更以外は、実施例1と同様にして、比較例1のコイルモジュールを製造した。
比較例2
接着組成物および基板組成物において、表1の処方および配合割合に変更した。さらに、接着層の最大厚さXおよび間隔Zを実施例1と同様の距離とするために、積層体の形成時におけるプレス圧力およびコイルモジュールの製造時におけるプレス圧力をともに、0.5MPaから5MPaに変更した。これらの変更以外は、実施例1と同様にして、比較例2のコイルモジュールを製造した。
(磁気特性)
各実施例および各比較例のコイルモジュールにおける接着層について、複素透磁率の実部μ´を、インピーダンスアナライザー(Agilent社製、「4294A」)を用いて、1ターン法(周波数13.56MHz)によって測定した。この結果を表1に示す。
また、磁性層についても同様に測定したところ、磁性層の複素透磁率の実部μ´は、全て、100であった。
(磁気シールド性)
各実施例および各比較例のコイルモジュール1を載置台15の上面に配置し、載置台15の上面から高さ5mmの位置で磁界プローブ16をコイルモジュール1を横切るように水平方向に移動させた(図5参照)。なお、磁界プローブとして、NECエンジニアリング社製の「MP−10L」を用い、コイルへの印加電流は、40mA、13.56MHzとした。このときの磁界強度を磁界プローブによって測定した。
また、基準となるコイルモジュールとして、接着層および磁性層を備えていないコイル基板を用い、この基準となるコイルモジュールについても、上記と同様にして、磁界強度を測定した。
各実施例および各比較例のコイルモジュールについて、基準となるコイルモジュールの磁界強度よりも、2dBuA/m以上の磁界強度が低下した場合を◎と評価し、1dBuA/m以上2dBuA/m未満の磁界強度が低下した場合を○と評価し、1dBuA/m未満の磁界強度が低下した場合を×と評価した。結果を表1に示す。
(コイル基板、接着層の熱伝導率)
コイル基板、接着層のそれぞれについて、面方向の熱伝導率を下記の式から求めた。結果を表1に示す。
(熱伝導率)=(熱拡散係数)×(比熱)×(比重)
なお、熱拡散係数は、キセノンフラッシュ法熱測定装置(ネッチジャパン社製、LFA447 nanoflash)を用いて測定した。比熱は、DSC(TA instrument製、Q−2000)を用いてJIS−7123の規格に準拠した測定方法によって求めた。比重は、電子比重計(アルファミラージュ製、「MDS−300」)を用いて測定した。
(放熱性)
各実施例および各比較例のコイルモジュールのコイルパターンに通電させて、サーモグラフィにより、ループコイルの部分における発熱量を測定した。
また、サンプルとして、磁性層および接着層を積層していないコイル基板を用意し、サンプルにも同様に通電させて、発熱量を測定した。
サンプルの発熱量に対して、各実施例および各比較例のコイルモジュールの発熱量が8%以上低下した場合を○と評価し、発熱量が5%以上8%未満低下した場合を△と評価し、発熱量が5%未満低下した場合を×と評価した。結果を表1に示す。
(通信特性)
以下のようにして、各実施例および各比較例のコイルモジュールの通信特性を評価した。
すなわち、放熱性評価と同様に、各実施例および各比較例のコイルモジュールのコイルパターンに通電させて、温度変化に伴うインダクタンスの変化を観察した。
比較例2の場合のインダクタンス変化と比較して、インダクタンス変化が小さい場合を○と評価し、インダクタンス変化が大きい場合を×と評価した。結果を表1に示す。
表における各成分中の数値は、固形分を示す。また、断りがない限り、表における各成分中の数値は、質量部を示す。各実施例および表中の各成分については、以下にその詳細を記載する。
・Fe−Si−Al系合金、軟磁性粒子、扁平状、山陽特殊製鋼社製
・酸化アルミニウム:Al、熱伝導性粒子、球状、平均粒子径3μm、アドマテックス社製
・窒化ホウ素:BN、熱伝導性粒子、扁平状、平均粒子径46μm、電気化学工業社製
・溶融シリカ:球状、平均粒子径5μm、電気化学工業社製
・クレゾールノボラック型エポキシ樹脂:上記構造式(1)のエポキシ樹脂、エポキシ当量199g/eq.、ICI粘度(150℃)0.4Pa・s、商品名「KI−3000−4」、東都化成社製
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂:上記構造式(2)のエポキシ樹脂、エポキシ当量180g/eq.、ICI粘度(150℃)0.05Pa・s、商品名「エピコートYL980」、三菱化学社製
・フェノールビフェニレン樹脂:上記構造式(3)のフェノール樹脂、水酸基当量203g/eq.、ICI粘度(150℃)0.05Pa・s、商品名「MEH−7851SS」、明和化成社製
・アクリル樹脂:カルボキシ基およびヒドロキシ基変性のアクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体、重量平均分子量900,000、商品名「テイサンレジン SG−70L」(樹脂含有割合12.5質量%)、ナガセケムテックス社製
・熱硬化触媒:2−フェニル−1H−イミダゾール4,5−ジメタノール、商品名「キュアゾール2PHZ−PW」、四国化成社製
・分散剤:ポリエーテルリン酸エステル、酸価17、商品名「HIPLAAD ED152」、楠本化成社製
・レオロジーコントロール剤:ウレア変性中極性ポリアマイド、商品名「BYK430」(固形分30質量%)、ビックケミージャパン社製
1 コイルモジュール
2 コイル基板
3 接着層
3a 半硬化接着層
4 磁性層
5 ベース樹脂
6 コイルパターン
8 半硬化接着層積層体
9 熱伝導性粒子
10 軟磁性粒子

Claims (4)

  1. 13.56MHzまたは6.78MHzの周波数帯を用いる無線通信または無線電力伝送用のコイルモジュールであって、
    基板、および、前記基板の厚み方向一方側に設けられるコイルパターンを備えるコイル基板と、
    前記コイル基板の厚み方向一方側に設けられる接着層と、
    前記接着層の厚み方向一方側に設けられ、軟磁性粒子および樹脂を含有する磁性組成物から形成される磁性層と
    を備え、
    前記基板は、熱伝導性粒子および樹脂を含有する基板組成物から形成されていることを特徴とする、コイルモジュール。
  2. 前記接着層が、軟磁性粒子および接着樹脂を含有する接着組成物から形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のコイルモジュール。
  3. 前記接着組成物が、熱伝導性粒子をさらに含有することを特徴とする、請求項2に記載のコイルモジュール。
  4. 13.56MHzまたは6.78MHzの周波数帯を用いる無線通信または無線電力伝送用のコイルモジュールを製造する方法であって、
    軟磁性粒子および樹脂を含有する磁性組成物から形成される磁性層を用意する工程、
    前記磁性層に半硬化接着層を設けることにより、半硬化接着層積層体を得る工程、
    熱伝導性粒子および樹脂を含有する基板組成物から形成される基板と、コイルパターンとを備えるコイル基板を用意する工程、ならびに、
    前記半硬化接着層積層体を、前記コイル基板に対して、前記半硬化接着層と前記コイルパターンとが接触するように、熱プレスすることにより、完全硬化された接着層を備えるコイルモジュールを得る工程
    を備えることを特徴とする、コイルモジュールの製造方法。
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