JP6526471B2 - 軟磁性フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、軟磁性フィルムに関する。
ペン型の位置指示器を位置検出平面上で移動させて位置を検出する位置検出装置は、デジタイザと呼ばれ、コンピュータの入力装置として普及している。この位置検出装置は、位置検出平面板と、その下に配置され、ループコイルが基板の表面に形成された回路基板(センサ基板)とを備えている。そして、位置指示器とループコイルとによって発生する電磁誘導を利用することにより、位置指示器の位置を検出する。
位置検出装置には、電磁誘導の際に発生する磁束を制御して通信を効率化するために、センサ基板の位置検出平面とは反対側の面に、軟磁性物質を含有する軟磁性フィルムを配置する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1には、軟磁性粉末と、アクリルゴム、フェノール樹脂、エポキシ樹脂およびメラミンなどからなるバインダ樹脂と、ホスフィン酸金属塩とを含有する軟磁性フィルムが開示されている。この軟磁性フィルムは、ホスフィン酸金属塩やメラミンが多くの割合で含有することによって、電子機器の信頼性に影響を与えず、回路基板に難燃性を付与している。
特開2012−212790号公報
しかるに、軟磁性フィルムでは、透磁率などの磁気特性の向上のため、軟磁性粒子を高い割合で含有させることが検討されている。
しかし、軟磁性粒子を高い割合で軟磁性フィルムに含有させると、軟磁性粒子同士の距離が接近するため、軟磁性粒子同士が反発する現象(スプリングバック)が生じる。その結果、軟磁性フィルムに、空隙(ボイド)や亀裂が生じる。
ところで、軟磁性フィルムは、回路基板に実装された後に、リフロー処理などの高温処理がなされる。しかし、軟磁性フィルムに空隙が多く存在すると、リフロー工程によって、軟磁性フィルム内の空隙が膨張する。その結果、軟磁性フィルムの剥離や外観不良が生じる不具合を生じる。
したがって、例えば、特許文献1では、磁性粉末は、磁性フィルム全体の45体積%程度しか含有されていない(特許文献1の[0067]段落参照。)。
本発明の目的は、軟磁性粒子が高い割合で含有され、耐リフロー性に優れた軟磁性フィルムを提供することにある。
本発明の軟磁性フィルムは、軟磁性樹脂組成物から形成される軟磁性フィルムであって、前記軟磁性樹脂組成物が、扁平状の軟磁性粒子および樹脂成分を含有し、前記軟磁性樹脂組成物に対する前記軟磁性粒子の体積割合が、固形分換算で、65体積%以上であり、前記軟磁性フィルムの空隙率が、2.5体積%以下であることを特徴としている。
また、本発明の軟磁性フィルムでは、多官能モノマー型エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂を含有し、前記樹脂成分に対する前記アクリル樹脂の体積割合が、10体積%以下であることが好適である。
また、本発明の軟磁性フィルムでは、前記アクリル樹脂のガラス転移温度が、0℃以上であることが好適である。
また、本発明の軟磁性フィルムでは、前記軟磁性樹脂組成物から前記軟磁性粒子を除外した軟磁性粒子除外成分の動的粘弾性測定における昇温速度10℃/分、周波数1Hzでの160℃の引張貯蔵弾性率E´が、5.5×10Pa以上であることが好適である。
本発明の軟磁性フィルムによれば、高い割合で軟磁性粒子が含有されており、耐リフロー性に優れる。
図1は、本発明の軟磁性フィルムの一実施形態を備える軟磁性積層回路基板の断面図を示す。
本発明の軟磁性フィルムは、例えば、軟磁性粒子および樹脂成分を含有する軟磁性樹脂組成物からフィルム状(シート状)に形成される。
軟磁性粒子を構成する軟磁性材料としては、例えば、磁性ステンレス(Fe−Cr−Al−Si合金)、センダスト(Fe−Si−A1合金)、パーマロイ(Fe−Ni合金)、ケイ素銅(Fe−Cu−Si合金)、Fe−Si合金、Fe−Si―B(−Cu−Nb)合金、Fe−Si−Cr−Ni合金、Fe−Si−Cr合金、Fe−Si−Al−Ni−Cr合金、フェライトなどが挙げられる。これらの中でも、磁気特性の点から、好ましくは、センダスト(Fe−Si−Al合金)が挙げられる。
軟磁性粒子は、扁平状(板状)に形成されている、すなわち、厚みが薄くて面が広い形状に形成されている。軟磁性粒子の扁平率(扁平度)は、例えば、8以上、好ましくは、15以上であり、また、例えば、80以下、好ましくは、65以下である。扁平率は、例えば、軟磁性粒子の平均粒子径(平均長さ)を軟磁性粒子の平均厚さで除したアスペクト比として算出される。
軟磁性粒子の平均粒子径(平均長さ)は、例えば、3.5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、80μm以下である。平均厚みは、例えば、0.3μm以上、好ましくは、0.5μm以上であり、また、例えば、3μm以下、好ましくは、2.5μm以下である。軟磁性粒子の扁平率、平均粒子径、平均厚みなどを調整することにより、軟磁性粒子による反磁界の影響を小さくでき、その結果、軟磁性粒子の透磁率を増加させることができる。なお、軟磁性粒子の大きさを均一にするために、必要に応じて、ふるいなどを使用して分級された軟磁性粒子を用いてもよい。
軟磁性粒子の比重は、例えば、5.0以上8.0以下である。
軟磁性樹脂組成物における軟磁性粒子の体積割合は、固形分換算で、例えば、65体積%以上、好ましくは、70体積%以上であり、例えば、95体積%以下、好ましくは、90体積%以下である。また、質量割合は、固形分換算で、例えば、85質量%を超過し、好ましくは、88質量%以上、より好ましくは、90質量%以上であり、また、例えば、98質量%以下、好ましくは、95質量%以下である。軟磁性粒子の含有割合を上記下限以上とすることにより、軟磁性フィルムの磁気特性が優れる。一方、上記上限以下とすることにより、軟磁性樹脂組成物の成膜性が優れる。
なお、軟磁性粒子などの各成分の体積割合は、各成分の質量をその成分の比重で除した理論体積を元に算出される。各成分の比重は、カタログ値または公知の測定方法(例えば、後述する比重測定法)によって得られる。
樹脂成分は、好ましくは、熱硬化性樹脂およびアクリル樹脂を含有する。より好ましくは、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂からなる熱硬化性樹脂と、アクリル樹脂とを含有する。
エポキシ樹脂としては、好ましくは、繰り返し単位として2つ以上の官能基(グリシジル基など)を有する多官能モノマーから構成されるエポキシ樹脂(多官能モノマー型エポキシ樹脂)などが挙げられる。
多官能モノマー型エポキシとしては、好ましくは、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂などが挙げられる。好ましくは、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂が挙げられる。具体的には、下記一般式(1)で表されるトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
Figure 0006526471
なお、nは、モノマーの重合度を示す。
熱硬化性樹脂として多官能モノマー型エポキシ樹脂を含有することにより、溶融温度を低くでき、かつ、後述するフェノール樹脂と密に架橋硬化できる。そのため、軟磁性粒子を高い含有割合(例えば、65体積%以上)で含有する軟磁性樹脂組成物を圧縮し、高充填率の軟磁性フィルムを作製する際に、軟磁性粒子同士の反発力による樹脂組成物内の亀裂ひいては空隙の発生(スプリングバック)を抑制することができ、より確実に低い空隙率の軟磁性フィルムを作製することができる。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、10g/eq.以上、好ましくは、100g/eq.以上であり、また、例えば、500g/eq.以下、好ましくは、180g/eq.以下である。
エポキシ樹脂の粘度(150℃)は、例えば、1.0Pa・s以下、好ましくは、0.2Pa・s以下であり、また、0.01Pa・s以上である。粘度は、ICI粘度計により測定される。
エポキシ樹脂の比重は、例えば、1.0以上1.5以下である。
フェノール樹脂は、エポキシ樹脂の硬化剤となる熱硬化性樹脂であって、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、フェノールビフェニレン樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、レゾール樹脂が挙げられる。これらは単独使用また2種以上を併用することができる。
これらのフェノール樹脂のうち、好ましくは、フェノールノボラック樹脂が挙げられる。繰り返し単位に官能基を複数有する多官能モノマー型エポキシ樹脂に対して、架橋点距離を短くすることができるフェノールノボラック樹脂を使用することにより、多官能モノマー型エポキシ樹脂とフェノールノボラック樹脂とが互に密に多く架橋することができ、より高強度の硬化樹脂を得ることができる。このため、軟磁性粒子のスプリングバックを確実に抑制し、特に低い空隙率の軟磁性フィルムを得ることができる。
フェノール樹脂の水酸基当量は、例えば、10g/eq.以上、好ましくは、80g/eq.以上であり、また、例えば、500g/eq.以下、好ましくは、150g/eq.以下である。
フェノール樹脂の粘度(150℃)は、例えば、0.10Pa・s以下、好ましくは、0.04Pa・s以下であり、また、0.01Pa・s以上である。
フェノール樹脂の比重は、例えば、1.0以上1.5以下である。
アクリル樹脂としては、例えば、直鎖もしくは分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種または2種以上をモノマー成分とし、そのモノマー成分を重合することにより得られるアクリル系重合体などが挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を表す。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基、ドデシル基などの炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとその他のモノマーとの共重合体であってもよい。
その他のモノマーとしては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基含有モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などカルボキシル基含有モノマー、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルまたは(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなど燐酸基含有モノマー、例えば、スチレンモノマー、例えば、アクリロニトリルなどが挙げられる。これらは単独使用または2種以上を併用することができる。これらの中でも、好ましくは、アクリロニトリルが挙げられる。
また、アクリル樹脂は、好ましくは、エポキシ基を有する。アクリル樹脂がエポキシ基を有する場合、エポキシ価は、例えば、10eq./g以上、好ましくは、100eq./g以上であり、また、例えば、800eq./g以下、好ましくは、500eq./g以下である。
アクリル樹脂の重量平均分子量は、例えば、1×10以上、好ましくは、3×10以上であり、また、例えば、1×10以下である。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトフラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値により測定される。
アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、−20℃以上、好ましくは、0℃以上、より好ましくは、10℃以上、さらに好ましくは、12℃以上である。また、例えば、50℃以下、好ましくは、30℃以下である。アクリル樹脂のTgを上記下限以上とすることにより、樹脂成分の強度を向上させ、スプリングバックを抑制し、空隙率を低くすることができる。また、軟磁性フィルムの取扱い、半硬化状態における軟磁性熱硬化性フィルムの接着性が優れる。なお、ガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置(DMA、周波数1Hz、引張モード、昇温速度10℃/min)を用いて測定される損失正接(tanδ)の極大値により得られる。
アクリル樹脂の比重は、例えば、0.6以上1.0以下である。
樹脂成分は、熱硬化性樹脂およびアクリル樹脂以外のその他の樹脂を含有することもできる。
このような樹脂としては、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂(6−ナイロン、6,6−ナイロンなど)、フェノキシ樹脂、飽和ポリエステル樹脂(PET、PBTなど)、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。これらは単独使用または2種以上を併用することができる。
軟磁性樹脂組成物における樹脂成分の体積割合は、固形分換算で、例えば、5体積%以上、好ましくは、10体積%以上であり、また、例えば、35体積%以下、好ましくは、30体積%以下である。軟磁性樹脂組成物における樹脂成分の質量割合は、固形分換算で、例えば、2質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、また、例えば、15質量%未満、好ましくは、12質量%以下、より好ましくは、10質量%以下である。樹脂成分の含有割合が上記範囲内であることにより、軟磁性フィルムの成膜性、磁気特性に優れる。
樹脂成分における熱硬化性樹脂(好ましくは、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂からなる熱硬化性樹脂)の体積割合は、例えば、85体積%以上、好ましくは、90体積%以上、より好ましくは、95体積%以上であり、また、例えば、99体積%以下、好ましくは、97体積%以下である。
樹脂成分におけるエポキシ樹脂の体積割合は、例えば、10体積%以上、好ましくは、30体積%以上、より好ましくは、50体積%を超過し、また、例えば、90体積%以下、好ましくは、80体積%以下、より好ましくは、70体積%以下である。樹脂成分におけるエポキシ樹脂の質量割合は、例えば、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上、より好ましくは、50質量%を超過し、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、80質量%以下、より好ましくは、70質量%以下である。
樹脂成分におけるフェノール樹脂の体積割合は、例えば、10体積%以上、好ましくは、20体積%以上、より好ましくは、30体積%を超過し、また、例えば、90体積%以下、好ましくは、70体積%以下、より好ましくは、50体積%未満である。樹脂成分におけるフェノール樹脂の質量割合は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、より好ましくは、30質量%を超過し、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、70質量%以下、より好ましくは、50質量%未満である。
また、エポキシ樹脂100体積部に対するフェノール樹脂の含有割合は、例えば、10体積部以上、好ましくは、50体積部以上であり、また、例えば、200体積部以下、好ましくは、100体積部未満である。
樹脂成分におけるアクリル樹脂の体積割合は、例えば、1体積%以上、好ましくは、3体積%以上であり、また、例えば、25体積%以下、好ましくは、15体積%以下、より好ましくは、10体積%以下、さらに好ましくは、5体積%以下である。樹脂成分におけるアクリル樹脂の質量割合は、例えば、1質量%以上、好ましくは、3質量%以上であり、また、例えば、25質量%以下、好ましくは、15質量%以下、より好ましくは、10質量%以下、さらに好ましくは、5質量%以下である。アクリル樹脂の含有割合が上記範囲内である場合、軟磁性フィルムの空隙率をより低くすることができる。
軟磁性樹脂組成物は、好ましくは、熱硬化触媒を含有する。
熱硬化触媒としては、加熱により樹脂成分の硬化を促進する触媒であれば限定的でなく、例えば、イミダゾール系化合物、トリフェニルフォスフィン系化合物、トリフェニルボラン系化合物、アミノ基含有化合物などが挙げられる。好ましくは、イミダゾール系化合物が挙げられる。
イミダゾール系化合物としては、例えば、2−フェニルイミダゾール(商品名;2PZ)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(商品名;2E4MZ)、2−メチルイミダゾール(商品名;2MZ)、2−ウンデシルイミダゾール(商品名;C11Z)、2−フェニル−1H−イミダゾール4,5−ジメタノール(商品名;2PHZ−PW)、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル(1)’)エチル−s−トリアジン・イソシアヌール酸付加物(商品名;2MAOK−PW)などが挙げられる(上記商品名は、いずれも四国化成社製)。これらは単独使用または2種以上を併用することができる。
熱硬化触媒の比重は、例えば、0.9以上1.5以下である。
熱硬化触媒の含有割合は、樹脂成分100体積部に対して、例えば、0.1体積部以上、好ましくは、0.3体積部以上であり、また、例えば、5体積部以下、好ましくは、3体積部以下である。熱硬化触媒の質量割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.3質量部以上であり、また、例えば、5質量部以下、好ましくは、3質量部以下である。熱硬化触媒の含有割合を上記範囲内とすることにより、軟磁性樹脂組成物を低温度かつ短時間で加熱硬化することができ、また、耐リフロー性に優れる。
軟磁性樹脂組成物は、レオロジーコントロール剤を含有することもできる。軟磁性樹脂組成物がレオロジーコントロール剤を含有することにより、軟磁性粒子を軟磁性フィルム中により均一に分散させることができる。
レオロジーコントロール剤は、せん断力(せん断速度)が低い場合には高粘度を示し、せん断力(せん断速度)が高い場合には低粘度を示すチキソトロピック性を軟磁性樹脂組成物に付与する化合物である。
レオロジーコントロール剤としては、例えば、有機系レオロジーコントロール剤および無機系レオロジーコントロール剤が挙げられる。好ましくは、有機系レオロジーコントロール剤が挙げられる。
有機系レオロジーコントロール剤としては、例えば、変性ウレア、ウレア変性ポリアマイド、脂肪酸アマイド、ポリウレタン、高分子ウレア誘導体などが挙げられる。好ましくは、変性ウレア、ウレア変性ポリアマイド、脂肪酸アマイドが挙げられ、より好ましくは、ウレア変性ポリアマイドが挙げられる。
無機系レオロジーコントロール剤としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、スメクタイトなどが挙げられる。
レオロジーコントロール剤としては、具体的には、例えば、ビックケミー社の「BYK−410」、「BYK−430」、「BYK−431」、例えば、楠本化成社の「ディスパロンPFA−131」、例えば、日本アエロジル社の「アエロジル VP NK200」、「アエロジル R976S」、「アエロジル COK84」などが挙げられる。
これらは単独使用または2種以上を併用することができる。
レオロジーコントロール剤の比重は、例えば、0.6以上1.0以下である。
レオロジーコントロール剤の体積割合は、樹脂成分100体積部に対して、例えば、0.1体積部以上、好ましくは、1体積部以上であり、また、例えば、10体積部以下、好ましくは、5体積部以下である。レオロジーコントロール剤の質量割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、1質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
軟磁性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、その他の添加剤を含有することもできる。添加剤としては、例えば、分散剤、架橋剤、無機充填材などの市販または公知のものが挙げられる。
軟磁性樹脂組成物から軟磁性粒子を除外した軟磁性粒子除外成分の動的粘弾性測定における昇温速度10℃/分、周波数1Hzでの160℃の引張貯蔵弾性率E´は、例えば、5.5×10Pa以上、好ましくは、8.0×10Pa以上であり、また、例えば、3.0×10Pa以下、好ましくは、1.0×10Pa以下である。軟磁性粒子除外成分の引張貯蔵弾性率E´が上記範囲内である場合、軟磁性フィルムの空隙率をより低くすることができる。引張貯蔵弾性率E´は、実施例にて詳述する。
軟磁性樹脂組成物は、上記成分を上記含有割合で混合することにより調製される。
軟磁性フィルムは、例えば、軟磁性樹脂組成物を溶媒に溶解または分散させることにより、軟磁性樹脂組成物溶液を調製する調製工程、離型基材の表面に塗布し、乾燥させることにより、半硬化状態の軟磁性熱硬化性フィルムを得る乾燥工程、および、軟磁性熱硬化性フィルムを複数枚積層し、熱プレスする熱プレス工程により、製造することができる。
まず、軟磁性樹脂組成物を溶媒に溶解または分散させる(調製工程)。これにより、軟磁性樹脂組成物溶液を調製する。
溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)などケトン類、例えば、酢酸エチルなどのエステル類、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類などの有機溶媒などが挙げられる。また、溶媒として、例えば、水、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコールなどの水系溶媒も挙げられる。
軟磁性樹脂組成物溶液における固形分量は、例えば、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、70質量%以下である。
次いで、軟磁性樹脂組成物溶液を、離型基材(セパレータ、コア材など)の表面に塗布し、乾燥させる(乾燥工程)。
塗布方法としては特に限定されず、例えば、ドクターブレード法、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工などが挙げられる。
乾燥条件としては、乾燥温度は、例えば、70℃以上160℃以下であり、乾燥時間は、例えば、1分以上5分以下である。
セパレータとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、紙などが挙げられる。これらは、その表面に、例えば、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤、シリコーン系剥離剤などにより離型処理されている。
コア材としては、例えば、プラスチックフィルム(例えば、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルムなど)、金属フィルム(例えば、アルミウム箔など)、例えば、ガラス繊維やプラスチック製不織繊維などで強化された樹脂基板、シリコーン基板、ガラス基板などが挙げられる。
セパレータまたはコア材の平均厚みは、例えば、1μm以上500μm以下である。
これにより、半硬化状態(Bステージ状態)の軟磁性熱硬化性フィルムを得る。
軟磁性熱硬化性フィルムの平均厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、250μm以下である。
次いで、得られた軟磁性熱硬化性フィルムを複数枚用意し、複数枚の軟磁性熱硬化性フィルムを熱プレスにより、厚み方向に熱プレスする(熱プレス工程)。これにより、半硬化状態の軟磁性熱硬化性フィルムが加熱硬化される。また、軟磁性フィルム内に軟磁性粒子を高割合で充填させ、磁気特性を向上させることができる。
熱プレスは、公知のプレス機を用いて実施することができ、例えば、平行平板プレス機などが挙げられる。
軟磁性熱硬化性フィルムの積層枚数は、例えば、2層以上であり、また、例えば、20層以下、好ましくは、5層以下である。これにより、所望の厚みの軟磁性フィルムに調整することができる。
加熱温度は、例えば、80℃以上、好ましくは、100℃以上であり、また、例えば、200℃以下、好ましくは、180℃以下である。
加熱時間は、例えば、0.1時間以上、好ましくは、0.2時間以上であり、また、例えば、24時間以下、好ましくは、2時間以下である。
圧力は、例えば、10MPa以上、好ましくは、20MPa以上であり、また、例えば、500MPa以下、好ましくは、200MPa以下である。
これにより、軟磁性熱硬化性フィルムが加熱硬化され、硬化状態(Cステージ状態)の軟磁性フィルムが得られる。
この軟磁性フィルムの平均厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、250μm以下である。
軟磁性フィルムの空隙率は、2.5体積%未満である。好ましくは、2.0体積%未満、より好ましくは、1.0体積%未満である。これにより、軟磁性フィルムの耐リフロー性が優れる。
空隙率は、下記式により測定される。
空隙率(%)={1−(比重(S.G.))/(理論比重)}×100
比重(S.G.)は、電子分析天秤(島津製作所社製、「AEL−200」)を用いて、比重測定法により、空気中での軟磁性フィルムの重さW1(g)および水中での軟磁性フィルムW2の重さ(g)を測定して、下記式により算出される。
比重(S.G.)=W1/(W1−W2)
理論比重は、例えば、軟磁性フィルムを形成する軟磁性樹脂組成物に含まれる固形分成分(軟磁性粒子、樹脂成分、必要に応じて添加される熱硬化触媒、レオロジーコントロール剤およびその他の添加剤など)について、各固形分成分の比重のそれぞれを各固形分成分の配合割合(重量)のそれぞれで乗じ、それらを足し合わせることにより得られる。なお、各固形分成分の比重(例えば、軟磁性粒子)は、カタログ値などを参照することができる。
また、軟磁性樹脂組成物の各固形分成分のうち、軟磁性粒子および樹脂成分が主成分を占める場合は、軟磁性フィルムの理論比重は、軟磁性粒子および樹脂成分のみからなる軟磁性フィルムにおける理論比重を代用することもできる。
軟磁性フィルムの理論比重は、例えば、2.0以上、好ましくは、2.2以上であり、また、例えば、8.0以下、好ましくは、6.0以下である。
軟磁性フィルムの比透磁率μ´は、例えば、150以上、好ましくは、180以上であり、また、例えば、500以下である。比透磁率μ´は、インピーダンスアナライザー(Agilent社製、「4294A」)を用いて、1ターン法(周波数1MHz)によって測定される。
軟磁性フィルムは、好ましくは、軟磁性フィルムに含有される扁平状軟磁性粒子が、軟磁性フィルムの2次元の面内方向に配列されている。すなわち、扁平状軟磁性粒子の長手方向(厚み方向と直交する方向)が軟磁性フィルムの面方向に沿うように配向している。これにより、軟磁性フィルムは、軟磁性粒子が高割合で充填され、磁気特性に優れる。また、軟磁性フィルムの薄膜化が図られている。
この軟磁性フィルムは、例えば、軟磁性フィルムの単層のみからなる単層構造、コア材の片面または両面に軟磁性フィルムが積層された多層構造、軟磁性フィルムの片面または両面にセパレータが積層された多層構造などの形態とすることができる。
また、上記の実施形態では、軟磁性熱硬化性フィルムを複数枚積層させて熱プレスしたが、例えば、軟磁性熱硬化性フィルム1枚(単層)に対して熱プレスを実施してもよい。
そして、軟磁性フィルムによれば、扁平状の軟磁性粒子および樹脂成分を含有し、軟磁性樹脂組成物に対する軟磁性粒子の体積割合が、固形分換算で、65体積%以上である軟磁性樹脂組成物から形成され、軟磁性フィルムの空隙率が、2.5体積%以下であるため、軟磁性フィルムにおいて、軟磁性粒子が高充填率(高密度)で含まれている。また、軟磁性フィルムの空隙率が、2.5体積%以下であるため、耐リフロー性に優れ、リフロー工程後によって発生ないし膨張する空隙を抑制することができる。
よって、軟磁性フィルムは、リフロー工程後においても、軟磁性フィルムの剥離や外観不良を抑制できる。また、良好な磁気特性を発揮することができる。
この軟磁性フィルムは、例えば、アンテナ、コイル、またはこれらが表面に形成された回路基板に積層するための軟磁性フィルムとして好適に用いることができる。
具体的には、この軟磁性フィルムは、例えば、図1に示すように、回路基板2と、回路基板2の下面(一方面)に配置される接着剤層3と、接着剤層3の下面に配置される軟磁性フィルム4とを備える軟磁性フィルム積層基板1として用いることができる。
回路基板2は、例えば、電磁誘導方式で使用される回路基板2などであり、基板5の上面(一方面)に、ループコイルなどの配線パターン6が形成されている。配線パターン6は、セミアディティブ法またはサブトラクティブ法などによって形成される。
基板5を構成する絶縁材料としては、例えば、ガラスエポキシ基板、ガラス基板、PET基板、テフロン基板、セラミックス基板、ポリイミド基板などが挙げられる。
接着剤層3は、回路基板2の接着剤として通常使用される公知のものが用いられ、例えば、エポキシ系接着剤、ポリイミド系接着剤、アクリル系接着剤などの接着剤を塗布および乾燥することにより形成される。接着剤層3の厚みは、例えば、10〜100μmである。
軟磁性フィルム4は、上述の軟磁性フィルムであって、扁平状の軟磁性粒子7が軟磁性樹脂組成物(具体的には、樹脂成分が硬化した硬化樹脂8)中に分散されている。好ましくは、軟磁性粒子7は、その長手方向(厚み方向と直交する方向)が軟磁性フィルム4の面方向に沿うように配向している。
このような軟磁性フィルム積層基板1は、例えば、スマートフォン、パソコン、位置検出装置などの用途に用いることができる。
なお、図1の実施形態では、回路基板2と軟磁性フィルム4との間に接着剤層3が設けられているが、例えば、図示しないが、回路基板2に軟磁性フィルム4を直接接触するように設けることもできる。
軟磁性フィルム4を回路基板2に直接積層させるためには、半硬化状態の軟磁性熱硬化性フィルムを回路基板2に直接貼着させた後、軟磁性熱硬化性フィルムを加熱硬化する。
この軟磁性フィルム積層基板1によれば、軟磁性フィルム4を備えているため、リフロー後の軟磁性フィルム4内の空隙を抑制でき、軟磁性フィルム4の剥離や外観不良を抑制することができる。ひいては、磁気特性の低下を抑制することができる。
リフロー工程における温度は、例えば、200℃以上、好ましくは、250℃以上であり、また、例えば、500℃以下、好ましくは、300℃以下である。
リフロー保存時間は、例えば、1秒以上、好ましくは、5秒以上であり、また、例えば、10分以下、好ましくは、5分以下である。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
実施例1
軟磁性樹脂組成物に対し軟磁性粒子の体積割合が固形分換算で70.0体積%となるように、Fe−Si−Al合金500質量部(70.0体積%、以下の体積%は固形分を示す。)、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂(EPPN−501HY)21.9質量部(17.0体積%)、フェノールノボラック樹脂(LVR8210DL)13.5質量部(10.4体積%)、アクリル酸エステル系共重合体溶液(SG−P3)8.6質量部(1.4体積%)、イミダゾール系化合物(熱硬化触媒、2PHZ−PW)0.36質量部(0.2体積%)、および、ウレア変性ポリアマイド溶液(レオロジーコントロール剤、BYK430)3.0質量部(1.0体積%)を混合することにより、軟磁性樹脂組成物を得た。
この軟磁性樹脂組成物をメチルエチルケトンに溶解させることにより、固形分濃度40質量%の軟磁性樹脂組成物溶液を調製した。
この軟磁性樹脂組成物溶液を、セパレータ(シリコーン離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム)上に塗布し、その後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、半硬化状態の軟磁性熱硬化性フィルム(平均厚み50μm)を製造した。
次いで、この軟磁性熱硬化性フィルムを、3層積層し、160℃、30分、160MPaの条件で熱プレスにて加熱硬化させることにより、完全硬化状態の軟磁性フィルム(平均厚み150μm)を作製した。
実施例2
表1に記載の材料および配合割合で、軟磁性樹脂組成物を得た。軟磁性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の軟磁性フィルム(平均厚み150μm)を製造した。
比較例1〜4
表1に記載の材料および配合割合で、軟磁性樹脂組成物を得た。この軟磁性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例の軟磁性フィルムを製造した。
(引張貯蔵弾性率E´160
各実施例および各比較例において、軟磁性樹脂組成物を除いた軟磁性除外成分(エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、熱硬化性触媒、および、レオロジーコントロール剤)を混合し、軟磁性除外組成物を得た。各実施例および各比較例の軟磁性フィルムの製造と同様にして、この軟磁性除外組成物をメチルエチルケトンに溶解させて軟磁性除外組成物溶液を調製し、セパレータ上に塗布および乾燥させ、半硬化状態のフィルムを製造した後、加熱硬化させることにより、軟磁性除外成分からなるフィルム(完全硬化状態)を作製した。
このフィルムについて、下記の条件に基づいて、動的粘弾性測定を実施し、160℃における引張貯蔵弾性率E´160を求めた。
動的粘弾性測定装置(MDA):商品名「RSAIII」、レオメトリックサイエンティフィック社製
モード:引張モード
昇温速度:10℃/分
周波数:1Hz
サンプル厚み:40〜130μm
チャック間距離:20mm
ひずみ:0.1%
測定温度範囲:0℃〜200℃
この結果を表1に示す。
(空隙率)
各実施例および各比較例の軟磁性フィルムの比重(S.G.)を、電子分析天秤(島津製作所社製、「AEL−200」)を用いて、比重測定法により、空気中の軟磁性フィルムでの重さW1(g)と、水中での軟磁性フィルムW2の重さ(g)とをそれぞれ測定し、下記式により算出した。
比重(S.G.)=W1/(W1−W2)
次いで、軟磁性フィルムの空隙率を、下記式に従い測定した。
空隙率(%)={1−(比重(S.G.))/(理論比重)}×100
この結果を表1に示す。
(耐リフロー性)
各実施例および各比較例の軟磁性フィルムを回路基板の一方面に、アクリル系接着剤を介して積層し、軟磁性フィルム積層基板を作製した(図1参照)。この軟磁性フィルム積層基板を、IRリフロー炉内部に260℃10秒間の条件にて通過させることにより、リフロー工程を実施した。
このリフロー工程後の軟磁性フィルム積層回路基板を目視した。軟磁性フィルムの外観に変化が確認されなかった場合を○、軟磁性フィルムに膨れや剥離などの外観不良が確認された場合を×と評価した。
この結果を表1に示す。
Figure 0006526471
表における各成分中の数値は、固形分を示す。各実施例および表中の各成分の略称について、以下にその詳細を記載する。
・Fe−Si−Al合金:商品名「FME3DH」、軟磁性粒子、扁平状、平均粒子径43μm、平均厚み1μm、比重6.8、山陽特殊製鋼社製
・トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂:商品名「EPPN−501HY」、上記一般式(1)のエポキシ樹脂、エポキシ当量169g/eq.、ICI粘度(150℃)0.1Pa・s、比重1.25、日本化薬社製
・クレゾールノボラック型樹脂:商品名「KI−3000−4」、エポキシ当量199g/eq.、ICI粘度(150℃)0.4Pa・s、比重1.21、東都化成社製
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂:商品名「エピコートYL980」、エポキシ当量180g/eq.、ICI粘度(150℃)0.05Pa・s、比重1.15、三菱化学社製
・フェノールノボラック樹脂:商品名「レヂトップLVR8210DL」、水酸基当量104g/eq.、ICI粘度(150℃)0.03Pa・s、比重1.2、群栄化学工業社製
・フェノールビフェニレン樹脂:商品名「MEH−7851SS」、水酸基当量203g/eq.、ICI粘度(150℃)0.05Pa・s、比重1.18、明和化成社製
・SG-P3:アクリル酸エステル系共重合体溶液、商品名「テイサンレジン SG−P3」、エポキシ基含有のアクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体、比重0.85、重量平均分子量850,000、エポキシ価210eq./g、ガラス転移温度12℃、ゴム含有割合15質量%、溶媒:メチルエチルケトン、ナガセケムテックス社製
・SG−70L:アクリル酸エステル系共重合体溶液、商品名「テイサンレジン SG−70L」、カルボキシ基およびヒドロキシ基含有のアクリル酸エチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体、比重1.00、重量平均分子量900,000、ガラス転移温度−13℃、ゴム含有割合12.5質量%、溶媒:メチルエチルケトンおよびトルエンの混合液、ナガセケムテックス社製
・2PHZ−PW:熱硬化触媒、2−フェニル−1H−イミダゾール4,5−ジメタノール、比重1.33、商品名「キュアゾール2PHZ−PW」、四国化成社製
・BYK430:商品名、レオロジーコントロール剤、ウレア変性中極性ポリアマイド、比重0.86、固形分30質量%、イソブチルアルコールおよびソルベントナフサの混合液、ビックケミージャパン社製
4 軟磁性フィルム
7 軟磁性粒子

Claims (3)

  1. 軟磁性樹脂組成物から形成される軟磁性フィルムであって、
    前記軟磁性樹脂組成物が、扁平状の軟磁性粒子および樹脂成分を含有し、
    前記樹脂成分が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂を含有し、
    前記エポキシ樹脂が、多官能モノマー型エポキシ樹脂を含み、
    前記フェノール樹脂が、フェノールノボラック樹脂を含み、
    前記アクリル樹脂が、エポキシ基を有し、
    前記アクリル樹脂のガラス転移温度が、0℃以上であり、
    前記軟磁性樹脂組成物に対する前記軟磁性粒子の体積割合が、固形分換算で、65体積%以上であり、
    前記軟磁性フィルムの空隙率が、2.5体積%以下であることを特徴とする、軟磁性フィルム。
  2. 記樹脂成分に対する前記アクリル樹脂の体積割合が、10体積%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の軟磁性フィルム。
  3. 前記軟磁性樹脂組成物から前記軟磁性粒子を除外した軟磁性粒子除外成分の動的粘弾性測定における昇温速度10℃/分、周波数1Hzでの160℃の引張貯蔵弾性率E´が、5.5×10Pa以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の軟磁性フィルム。
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