JP2016218437A - エレクトロクロミック素子の駆動方法及びエレクトロクロミック素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エレクトロクロミック素子100を、表示基板10と、表示電極11と、エレクトロクロミック層12と、対向基板14と、対向電極13と、電解質15と、スペーサ16と、駆動手段17とを備えて構成する。駆動手段17により表示電極11と対向電極13との間に、所定電圧を印加して発色駆動を行った後、表示電極11及び対向電極13間における開放電圧を測定し、開放電圧が安定する所定期間経過後の開放電圧又は開放電圧の時間変化の絶対値が閾値以下となる開放電圧を近似式を用いて計算する。計算した計算電圧を表示電極11及び対向電極13に印加する。
【選択図】図2
Description
(1)V = A*Ln(t) + B
に基づいて、開放電圧が安定する所定期間経過後の開放電圧又は開放電圧の時間変化の絶対値が閾値以下となる開放電圧を計算し、前記第1の電極及び前記第2の電極との間に、前記式(1)に基づいて計算した計算電圧を印加することを特徴とする。
<エレクトロクロミック素子の構成>
以下、本発明に係る第1の実施形態のエレクトロクロミック素子について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1の実施形態のエレクトロクロミック素子100の構成を模式的に示した断面図である。
表示基板10と対向基板14は、スペーサ16を介して貼り合わされ、セル構造を呈している。表示基板10は、表示電極11とエレクトロクロミック層12とを支持し、対向基板14は、対向電極13を支持している。
表示電極11は、対向電極13に対する電位を制御し、エレクトロクロミック層12を発色させるための電極である。対向電極13は、該対向電極13に対する表示電極11の電位を制御し、エレクトロクロミック層12を発色させるための電極である。
エレクトロクロミック層12は、エレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を含んだ層である。エレクトロクロミック層12は、エレクトロクロミック化合物を担持する金属酸化物を含む構成とすることもできる。エレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物は、酸化反応または還元反応により色の変化(発色)を起こすものである。金属酸化物は、エレクトロクロミック化合物を担持するとともに、発消色を高速で行うためのものである。
示す。
電解質15は、表示電極11と対向電極13との間でイオンとして電荷を移動させ、エレクトロクロミック層12の発色を起こすためのものである。この電解質15はポリマーに担持することも可能であり、ポリマーをパターニングすることで、容易に発消色領域(すなわち画素)を形成することが可能である。
駆動手段17は、導線18により表示電極11と対向電極13とにそれぞれ接続され、表示電極11と対向電極13との間に印加する電荷量を制御することによりエレクトロクロミック層12を酸化還元反応させて発消色させる機能を有する。つまり、駆動手段17は、対向電極13に対する表示電極11の電位を制御することで、表示電極11に設けられたエレクトロクロミック層12を発消色させることができる。
本実施形態に係るエレクトロクロミック素子100の駆動方法(駆動制御)を、図2のフローチャートに基づいて説明する。まず、発消処理の前の初期状態は消色状態とする(ステップS1)。次に、駆動手段17により、表示電極11と対向電極13との間に、所定電圧を印加して発色駆動を行い(ステップS2)、エレクトロクロミック素子100を発色させることで発色状態とする(ステップS3)。その後、エレクトロクロミック素子100の開放電圧を測定する(ステップS4)。測定しながら、定数A,Bの値を関係式(1)に基づいて次々計算し、定数A,Bの時間変化が安定した際の定数A,Bを採用して電圧計算に用いる関係式(1)とし、開放電圧が安定する所定期間経過後の開放電圧又は開放電圧の時間変化の絶対値が閾値以下となる開放電圧を計算する(ステップS5)。計算した電圧を駆動手段17により、表示電極11と対向電極13との間に印加する(ステップ6)。その後、所定電圧を印加して消色駆動を行い(ステップS7)、消色状態とする(ステップS8)。
<エレクトロクロミック素子の構成>
次に、第2の実施形態のエレクトロクロミック素子について、図面を参照しながら説明する。図6は、本実施形態のエレクトロクロミック素子200の構成を模式的に示した断面図である。第2の実施形態のエレクトロクロミック素子200は、複数の表示電極11,21,31及びエレクトロクロミック層12,22,32を設けたこと以外は、第1の実施形態のエレクトロクロミック素子100と同一の基本構成を備えている。そのため、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略することがある。
本実施形態に係るエレクトロクロミック素子200の駆動方法(駆動制御)は、図2〜図5を用いた第1の実施形態のエレクトロクロミック素子100と同様の駆動方法(駆動制御)を用いることができる。このとき、各表示電極11,21,31と対向電極13との間に電圧を印加してエレクトロクロミック層12,22,32を発色駆動させ、開放電圧を各々測定しながら、各々のA,Bの値を関係式(1)に基づいて次々計算し、A,Bの時間変化が安定した際のA,Bを採用して電圧計算に用いる関係式(1)とし、開放電圧が安定する所定期間経過後の開放電圧又は開放電圧の時間変化の絶対値が閾値以下となる開放電圧を計算する。計算した各々の電圧を個別に印加して保持駆動を行う。このように、第2の実施形態でも保持駆動の際に、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。個別印加の都合上、12,22,32の何れかのエレクトロクロミック層のみであれば図3の継続印加が可能だが、各エレクトロクロミック層12,22,32に順次印加する場合は、パルス印加としたり、第1の実施形態のような図3の継続印加をエレクトロクロミック層12,22,32毎に切り替えたりするなどの工夫が必要となる。
以下、本発明のエレクトロクロミック素子及びその駆動方法の実施例を説明する。
まず、消色状態において駆動手段17により、エレクトロクロミック素子100の表示電極11と対向電極13との間に、発色条件として−1.8Vの電圧を1.0secの間印加して発色駆動を行い、透過率30%までサンプル(エレクトロクロミック層12)を発色させた。その後、エレクトロクロミック素子100の開放電圧を300sec間に渡り測定した。発色駆動終了後から、下記表1の関係式(近似式)算出範囲までの時間の開放電圧と時間に基づいて、開放電圧Vと時間tの関係式(1)の定数A及びBを求めた。その後、消色駆動を行った。
実施例2では、エレクトロクロミック素子100の表示電極11と対向電極13との間に、発色条件として−1.8Vの電圧を3.0secの間印加して発色駆動を行い、透過率10%までエレクトロクロミック層12を発色させた。その後、実施例1と同様にエレクトロクロミック素子100の開放電圧を300sec間に渡り測定した。発色駆動終了後から、下記表2の関係式(近似式)算出範囲までの時間の開放電圧と時間に基づいて、開放電圧Vと時間tの関係式(1)の定数A及びBを求めた。関係式(1)を決めるための定数A,Bの変化は実施例1より大きく、10.00sec辺りで安定が見られた。その後、消色駆動を行った。
実施例3では、エレクトロクロミック素子100の表示電極11と対向電極13との間に、発色条件として−2.0Vの電圧を3.0secの間印加して発色駆動を行い、透過率2%までエレクトロクロミック層12を発色させた。その後、実施例1と同様にエレクトロクロミック素子100の開放電圧を300sec間に渡り測定した。下記表3の関係式(近似式)算出範囲までの時間の開放電圧と時間に基づいて、開放電圧Vと時間tの関係式(1)の定数A及びBを求めた。関係式(1)を決めるための定数A,Bの変化は実施例2よりさらに大きかったが、10.00sec辺りでは安定し始めたと思われる。その後消色駆動を行った。
まず、消色状態において駆動手段17により、エレクトロクロミック素子100の表示電極11と対向電極13との間に、発色条件として−1.8Vの電圧を1.0secの間印加して発色駆動を行い、透過率30%までサンプル(エレクトロクロミック層12)を発色させた。その後、エレクトロクロミック素子100の開放電圧を300sec間に渡り、一定間隔(本実施例では10msec(0.01sec)間隔)で測定し、開放電圧の時間変化を計算した。その後、消色駆動を行った。なお、開放電圧の測定間隔が10msec(0.01sec)間隔)に限定されることはなく、測定時間が長くなることが予めわかっている場合には、測定間隔を100msec(0.1sec)、1,000msec(1.0sec)等とすることもできる。
実施例5では、エレクトロクロミック素子100の表示電極11と対向電極13との間に、発色条件として−1.8Vの電圧を3.0secの間印加して発色駆動を行い、透過率10%までエレクトロクロミック層12を発色させた。その後、実施例4と同様にエレクトロクロミック素子100の開放電圧を300sec間に渡り測定し、開放電圧の時間変化を計算した。その後、消色駆動を行った。
実施例6では、エレクトロクロミック素子100の表示電極11と対向電極13との間に、発色条件として−2.0Vの電圧を3.0secの間印加して発色駆動を行い、透過率2%までエレクトロクロミック層12を発色させた。その後、実施例1と同様にエレクトロクロミック素子100の開放電圧を300sec間に渡り測定し、開放電圧の時間変化を計算した。その後消色駆動を行った。
まず、消色状態において駆動手段17により、エレクトロクロミック素子100の表示電極11と対向電極13との間に、発色条件として−1.8Vの電圧を1.0secの間印加して発色駆動を行い、透過率30%までサンプル(エレクトロクロミック層12)を発色させた。その後、エレクトロクロミック素子100の開放電圧を300sec間(1sec、10sec、100sec、200sec、300sec)に渡り測定した。その後、消色駆動を行った。
実施例8では、エレクトロクロミック素子100の表示電極11と対向電極13との間に、発色条件として−1.8Vの電圧を3.0secの間印加して発色駆動を行い、透過率10%までエレクトロクロミック層12を発色させた。その後、実施例7と同様にエレクトロクロミック素子100の開放電圧を300sec間に渡り測定した。その後、消色駆動を行った。
実施例9では、エレクトロクロミック素子100の表示電極11と対向電極13との間に、発色条件として−2.0Vの電圧を3.0secの間印加して発色駆動を行い、透過率2%までエレクトロクロミック層12を発色させた。その後、実施例7と同様にエレクトロクロミック素子100の開放電圧を300sec間に渡り測定した。その後消色駆動を行った。
実施例10として、エレクトロクロミック素子100に開放電圧をパルス状に印加する駆動方法を説明する。この実施例10では、表示電極11と対向電極13との間に、発色条件として−1.8Vの電圧を1.0secの間印加して発色駆動を行った後、−1.53Vでの電圧印加と開放(OC)をduty比1.53%で繰り返した。その結果、継続印加した場合と同様に600sec後の透過率が目標値±30%(透過率27〜33%)を満たし、保持駆動中の消費電力は低下した。
実施例11として、実施例10と異なる条件で試験を行った。発色は−1.8V,3.0sec印加して10%とした。発色駆動の後、−1.66Vでの電圧印加と開放(OC)をduty比5.00%で繰り返した。その結果、継続印加した場合と同様に300sec後の透過率が目標値±10%(透過率9.0〜11.0%)を満たし、保持駆動中の消費電力は低下した。
実施例12として、エレクトロクロミック素子100に計算電圧を印加する駆動方法を説明する。この実施例10では、表示電極11と対向電極13との間に、発色条件として−1.8Vの電圧を1.0secの間印加して発色駆動を行った後、関係式(1)に基づいた計算電圧−1.53Vの絶対値と電極間の開放電圧の絶対値を比較し、計算電圧が大きく、かつその差が、0.03V以上となる場合に、−1.53V,1.0secの印加を実施した。その結果、3600sec後の透過率が目標値±10%(透過率27〜33%)を満たした。
実施例13として、実施例12と異なる条件で試験を行った。発色は−1.8V,3.0sec印加して10%とした。発色駆動の後、−1.66Vの絶対値と電極間の開放電圧の絶対値を比較し、計算電圧が大きく、かつその差が、0.02V以上となる場合に、−1.66V,1.0secの印加を実施した。その結果、3600sec後の透過率が目標値±10%(透過率9〜11%)を満たした。
実施例14として、光学特性や電気特性が異なるサンプルを用意し同様に開放電圧から係数A,Bを計算し、安定したところでの係数A,Bを用いた近似式を使うことで保持駆動を行った。ここで、用意したサンプルは前述のエレクトロクロミック素子100より低い印加条件で高い発色を示す。具体的には、エレクトロクロミック素子100の場合、30%の発色は、−1.8V,1.0sec印加で得ることができるが、実施例14で用いるサンプルは、−1.3V,1.0secで30%の発色を得られる。また、エレクトロクロミック素子100と色味も異なるため、透過率30%としている代表波長や平均波長の計算は異なる。このサンプルを用いて、エレクトロクロミック素子100で行ったのと同様に、発色させた後、開放状態の電圧モニタと関係式(1)を用いて、定数A,Bを算出し、定数A,Bが安定した定数A,Bに対し、時間や傾きから印加電圧を決めた結果、−1.17Vと算出された。この電圧を継続印加したところ、300sec後の透過率が目標値±10%(透過率27〜33%)を満たした。
実施例15として、実施例14と同条件で作製したサンプルを用い、−1.3V,1.0secの発色駆動の後、−1.17Vでの電圧印加と開放(OC)をduty比5.00%で繰り返した。その結果、継続印加した場合と同様に300sec後の透過率が目標値±10%(透過率27.0〜33.0%)を満たし、保持駆動中の消費電力は低下した。
実施例16として、実施例14と同条件で作製したサンプルを用い、−1.3V,1.0secの発色駆動の後、−1.17Vの絶対値と電極間の開放電圧の絶対値を比較し、計算電圧が大きく、かつその差が、0.02V以上となる場合に、−1.17V,1.0secの印加を実施。その結果、3600sec後の透過率が目標値±10%(透過率27〜33%)を満たした。
12,22,32 エレクトロクロミック層
13 対向電極 14 対向基板 15 電解質 17 駆動手段
100,200 エレクトロクロミック素子
Claims (5)
- 第1の電極と、該第1の電極に対して間隔をおいて対向する第2の電極と、該2つの電極の間に設けられる電解質と、少なくともエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を含み、前記2つの電極のうち少なくとも一方の電極表面に形成されるエレクトロクロミック層とを備えるエレクトロクロミック素子を駆動させるエレクトロクロミック素子の駆動方法であって、
前記第1の電極及び前記第2の電極との間に電圧を印加し、前記エレクトロクロミック層を発色させた後、前記第1の電極及び前記第2の電極間における開放電圧を測定し、前記発色のための電圧の印加からの経過時間をtとし、前記経過時間tで測定された前記開放電圧をVとし、定数をA及びBとしたとき、次式(1)
(1)V = A*Ln(t) + B
に基づいて、開放電圧が安定する所定期間経過後の開放電圧又は開放電圧の時間変化の絶対値が閾値以下となる開放電圧を計算し、前記第1の電極及び前記第2の電極との間に、前記式(1)に基づいて計算した計算電圧を印加することを特徴とするエレクトロクロミック素子の駆動方法。 - 前記計算電圧を、発色状態が得られた後、所定期間に渡って印加し続けることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子の駆動方法。
- 前記計算電圧を、パルス状に印加することを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子の駆動方法。
- 前記計算電圧と前記開放電圧の比較により、前記計算電圧での発色タイミングを決めることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子の駆動方法。
- 第1の電極と、該第1の電極に対して間隔をおいて対向する第2の電極と、該2つの電極の間に設けられる電解質と、少なくともエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を含み、前記2つの電極のうち少なくとも一方の電極表面に形成されるエレクトロクロミック層とを備えるエレクトロクロミック素子を駆動させるエレクトロクロミック素子であって、
前記第1の電極及び前記第2の電極との間に電圧を印加し、前記エレクトロクロミック層を発色させた後、前記第1の電極及び前記第2の電極間における開放電圧を測定し、前記発色のための電圧の印加からの経過時間をtとし、前記経過時間tで測定された前記開放電圧をVとし、定数をA及びBとしたとき、次式(1)
(1)V = A*Ln(t) + B
に基づいて、開放電圧が安定する所定期間経過後の開放電圧又は開放電圧の時間変化の絶対値が閾値以下となる開放電圧を計算し、前記第1の電極及び前記第2の電極との間に、前記式(1)に基づいて計算した計算電圧を印加する駆動手段を設けたことを特徴とするエレクトロクロミック素子。
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