JP2012155017A - エレクトロクロミック表示装置の駆動方法および表示装置 - Google Patents

エレクトロクロミック表示装置の駆動方法および表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】エレクトロクロミック層を発色または消色する動作時間を短縮し、画像認識性の高い表示を素早く行うことができる駆動方法を提供する。
【解決手段】表示基板と、表示電極と、対向基板と、対向電極と、前記表示電極の対向電極側の面に接して設けられたエレクトロクロミック層とを備え、前記エレクトロクロミック層(13a、13b、13c)が設けられた表示電極が複数(11a、11b、11c)、前記表示基板(11)と前記対向電極(12a)との間に設けられると共に、前記複数の表示電極と前記対向電極とに挟まれるように電解質層(16)が設けられたエレクトロクロミック表示装置の少なくとも発色または消色のいずれかの駆動において、複数の表示電極と対向電極との間に同時に電圧印加し、それぞれの表示電極に接して設けられたエレクトロクロミック層を同時に発色または消色する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電圧印加によりエレクトロクロミック層の発色または消色が可能なエレクトロクロミック表示装置の駆動方法および表示装置に関する。
近年、紙に替わる電子媒体として、電子ペーパーの開発が盛んに行われている。電子ペーパーは、表示装置が紙のように用いられるところに特徴があるため、CRTや液晶ディスプレイといった従来の表示装置とは異なった特性が要求される。例えば、反射型表示装置であり、かつ、高い白反射率・高いコントラスト比を有すること、高精細な表示ができること、表示にメモリ効果があること、低電圧でも駆動できること、薄くて軽いこと、安価であること、などの特性が要求される。このうち特に、表示の品質に関わる特性として、紙と同等な白反射率・コントラスト比についての要求度が高い。
これまで、電子ペーパー用途の表示装置として、例えば、反射型液晶を用いる方式、電気泳動を用いる方式、トナー泳動を用いる方式、などが提案されている。しかしながら、前記いずれの方式も白反射率・コントラスト比を確保しながら多色表示を行うことは大変困難である。一般に多色表示を行うためには、カラーフィルタを設けるが、カラーフィルタを設けると、カラーフィルタ自身が光を吸収し、反射率が低下する。さらに、カラーフィルタは、一画素をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)に3分割するため、表示装置の反射率が低下し、それに伴ってコントラスト比が低下する。白反射率・コントラスト比が大幅に低下した場合は、視認性が非常に悪くなり、電子ペーパーとして用いることが困難である。
一方、上記のようなカラーフィルタを設けず、反射型の表示装置を実現するための有望な技術として、エレクトロクロミック現象を用いる方式がある。
電圧を印加することで、可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムという。このエレクトロクロミズム現象を引き起こすエレクトロクロミック化合物の発色/消色(以下、発消色)を利用した表示装置が、エレクトロクロミック表示装置である。このエレクトロクロミック表示装置については、反射型の表示装置であること、メモリー効果があること、低電圧で駆動できることから、電子ペーパー用途の表示装置技術の有力な候補として、材料開発からデバイス設計に至るまで、幅広く研究開発が行われている。
ただし、エレクトロクロミック表示装置には、酸化還元反応を利用して発消色を行う原理ゆえに、発消色の応答速度が遅いという欠点がある。例えば、特許文献1では、エレクトロクロミック化合物を電極近傍に固定させることによって発消色の応答速度の改善を図った例が記載されている。特許文献1の記載によれば、従来数10秒程度だった発消色に要する時間は、無色から青色への発色時間、青色から無色への消色時間は、ともに1秒程度まで向上している。
また、エレクトロクロミックは電気化学現象であるため、電解質層の性能(イオン伝導度など)が応答速度や発色のメモリー効果に影響する。電解質層は電解質を溶媒に溶かした液体状である場合は速い応答性を得やすいが、素子強度・信頼性の点で固体化、ゲル化による改良が検討されている。
すなわち、従来から、電気化学素子としての電池やエレクトロクロミック表示用装置においては、電解液を使用しているため、電解液の漏れ、溶媒の揮発による電池内の乾燥があるばかりでなく、電池容器内では、電解液の偏りにより、隔膜が部分的に乾燥状態になり、このことが内部インピーダンスの上昇あるいは内部短絡の原因になっていた。特に、エレクトロクロミック装置は、表示用途に用いる関係上、少なくとも一方向は、ガラスやプラスチック等の透明材料で封止する必要があるため、電解質を完全に密閉してしまうことは困難であり、電解液の漏れや揮発がより大きな問題となる。
上述したような欠点を解決するための方法として、高分子固体電解質を用いることが提案されている。その具体例として、オキシエチレン鎖やオキシプロピレン鎖を含有するマトリックスポリマーと無機塩との固溶体が挙げられるが、これらは完全固体であり、加工性に優れるものの、その電導度は通常の非水電解液にくらべて3桁ほど低いという実用上の課題を有している。
また、高分子固体電解質の電導度を向上させるために、高分子に有機電解液を溶解させて半固形状のものにする方法(例えば、下記特許文献2参照)や、電解質を加えた液状モノマーを重合反応させて電解質を含む架橋重合体とする方法が提案されている。
さらに、表示装置としてマトリックス状の任意の画素電極を発消色させる構成では、電荷が電解質層内で拡散しやすいという問題がある。特に電解質層が液体である場合は拡散しやすい。特許文献3では、電解液層を表示画素に対応した部分にのみ形成することで拡散を防ぎ、選択した画素のみを表示することが提案されている。
また、エレクトロクロミック表示装置は、エレクトロクロミック化合物の構造によって様々な色を発色できるため、多色表示装置として期待されている。
例えば、特許文献4では、一対の透明電極の間にエレクトロクロミック層及び電解質を挟持した構造単位を複数積層してなる多色表示装置の例が記載されている。しかし、特許文献4の構成は複数の構成単位を積層するため、従来の白黒表示(単一構成)に対してコストアップとなってしまうという問題がある。
一方、本発明者らは、表示基板と対向電極との間に複数の表示電極を互いに隔離して設け、表示電極の各々に対応してエレクトロクロミック層を形成した構成により、YMCカラーの積層多色表示を可能とするエレクトロクロミック表示装置を提案している(特許文献5参照。)。
本発明者らが前述の特許文献5(特開2010‐033016号公報)で提案したエレクトロクロミック表示装置では、表示基板と対向電極との間に複数の表示電極を互いに隔離して設け、複数の表示電極の各々に対応して(表示電極の対向電極側の面に接して)エレクトロクロミック層を形成する(エレクトロクロミック層が設けられた表示電極が多層構造を有する:積層構成)。
この積層構成の表示電極から選択した任意の表示電極に対応したエレクトロクロミック層を独立に発色駆動または消色駆動(発消色駆動)させるが、そのためには複数の隔離された各表示電極間の電気抵抗が、各表示電極面内の電気抵抗よりも大きくなるように構成される。この理由は、各表示電極間の電気抵抗が各表示電極面内の電気抵抗よりも小さいと、選択していない表示電極にも電流が印加されるため、発消色の独立駆動ができないためである。また、特許文献5では電極間の絶縁性を確保するとともに電解層の浸透性を得る方法として、エレクトロクロミック層と表示電極の間に浸透性絶縁層を形成することを提案している。
特許文献5の場合、発色または消色(発消色)は次のように行われる。まず、任意のエレクトロミック層(a)を表示電極の電圧印加により充電発色させた後、(a)に対応する表示電極を開回路構成にして画素の発色状態を維持し、続いて次のエレクトロミック層(b)を表示電極の電圧印加により充電発色させた後、(b)に対応する表示電極を開回路構成にして画素の発色状態を維持し、続いて最後のエレクトロミック層(c)を表示電極の電圧印加により充電発色させた後、(c)に対応する表示電極を開回路構成にすることで減法混色に基づくフルカラーの画像表示を行う。しかし、例えば、テキストなど色彩の不要な情報の表示においても複数(例えば、3層)のエレクトロミック層を順に発色状態にする必要があるため、表示に時間がかかっていた。また、消色状態(表示状態から非表示状態へ)とする場合も同様に3層のエレクトロミック層を順に消色状態にするために時間がかかっていた。
以下、本発明において、「発色または消色」を「発消色」と略称することがある。
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、複数の表示電極と対向電極との間に電圧を印加してエレクトロクロミック層を発色または消色する表示装置の、少なくとも発色または消色のいずれかの駆動において、エレクトロクロミック層を発色または消色する動作時間を短縮し、画像認識性の高い表示を素早く行うことができる駆動方法を提供する。また、発色パターンの維持(メモリー性の持続)も良好であり、アクティブ駆動が可能なエレクトロクロミック表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下の〔1〕〜〔6〕に記載する発明によって上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。以下、本発明について具体的に説明する。
〔1〕:上記課題は、表示基板と、表示電極と、対向基板と、対向電極と、
前記表示電極の対向電極側の面に接して設けられたエレクトロクロミック層とを備え、
前記エレクトロクロミック層が設けられた表示電極が複数から成り、互いに隔離して配置された多層構造を有し、前記表示基板と前記対向電極との間に設けられると共に、
前記複数の表示電極と前記対向電極とに挟まれるように電解質層が設けられ、
前記複数の表示電極と対向電極間の電圧印加により前記エレクトロクロミック層の発色または消色を行うエレクトロクロミック表示装置の駆動方法であって、
少なくとも発色または消色のいずれかの駆動において、前記複数の表示電極と対向電極との間に同時に電圧印加し、それぞれの表示電極に接して設けられたエレクトロクロミック層を同時に発色または消色することを特徴とするエレクトロクロミック表示装置の駆動方法により解決される。
〔2〕:上記〔1〕に記載のエレクトロクロミック表示装置の駆動方法において、前記エレクトロクロミック表示装置が、前記複数の表示電極と前記対向電極との間に同時に電圧印加することで表示電極と対向電極で形成される画素ごとのそれぞれの表示電極に対応する複数のエレクトロクロミック層を同時に発色または消色する手段を具備することを特徴とする。
〔3〕:上記〔2〕に記載のエレクトロクロミック表示装置の駆動方法において、前記画素ごとのそれぞれの表示電極に対応する複数のエレクトロクロミック層を同時に発色または消色する手段が、複数の表示電極スイッチ機能と表示電極間電圧サプライ機能を有することを特徴とする。
〔4〕:上記〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置の駆動方法において、前記複数の表示電極と対向電極間の電圧印加により前記エレクトロクロミック層の発色または消色を行う際に電荷量を制御することを特徴とする。
〔5〕:上記〔1〕乃至〔4〕のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置の駆動方法において、前記対向電極がアクティブマトリックスの画素電極であることを特徴とする。
〔6〕:上記課題は、〔1〕乃至〔5〕のいずれかに記載の駆動方法により制御されることを特徴とするエレクトロクロミック表示装置により解決される。
表示基板と、表示電極と、対向基板と、対向電極と、前記表示電極の対向電極側の面に接して設けられたエレクトロクロミック層とを備え、前記エレクトロクロミック層が設けられた表示電極が複数から成り、互いに隔離して配置された多層構造を有し、前記表示基板と前記対向電極との間に設けられると共に、前記複数の表示電極と前記対向電極とに挟まれるように電解質層が設けられたエレクトロクロミック表示装置の、少なくとも発色または消色のいずれかの駆動において、前記複数の表示電極と対向電極との間に同時に電圧印加してそれぞれの表示電極に接して設けられたエレクトロクロミック層を同時に発色または消色する本発明の駆動方法により、動作時間を短縮し、画像認識性の高い表示を素早く行うことができる。また、発色パターンを維持(メモリー性を持続)も良好であり、アクティブ駆動が可能なエレクトロクロミック表示装置を提供することができる。
本発明のエレクトロクロミック表示装置の駆動方法を説明するための該表示装置表示部の一例を示す概略断面図である。 本発明における発色駆動において保護層の効果を説明するための表示装置表示部の断面模式図〔(a)、(b)〕である。 本発明において3原色(イエロー、マゼンタ、シアン)を表示装置表示部にカラー表示させる場合を例として説明するための断面模式図である。 本発明におけるエレクトロクロミック表示装置をアクティブ表示可能とする駆動制御の一例を示す概略ブロック図である。 実施例1、2および比較例1、2で作製した表示装置表示部の電極構成を示す概略平面図である。 実施例3、4および比較例3、4で作製した表示装置表示部の電極構成を示す概略平面図である。
前述のように本発明におけるエレクトロクロミック表示装置の駆動方法は、表示基板と、表示電極と、対向基板と、対向電極と、前記表示電極の対向電極側の面に接して設けられたエレクトロクロミック層とを備え、
前記エレクトロクロミック層が設けられた表示電極が複数から成り、互いに隔離して配置された多層構造を有し、前記表示基板と前記対向電極との間に設けられると共に、
前記複数の表示電極と前記対向電極とに挟まれるように電解質層が設けられ、
前記複数の表示電極と対向電極間の電圧印加により前記エレクトロクロミック層の発色または消色を行うエレクトロクロミック表示装置の駆動方法であって、
少なくとも発色または消色のいずれかの駆動において、前記複数の表示電極と対向電極との間に同時に電圧印加し、それぞれの表示電極に接して設けられたエレクトロクロミック層を同時に発色または消色することを特徴とするものである。
すなわち、少なくとも発色または消色のいずれかの駆動において、複数の表示電極と対向電極との間に同時に電圧印加することでそれぞれの表示電極に対応する複数のエレクトロクロミック層を同時に発消色することが可能であることを見出した。
エレクトロクロミック層を複数層発色させる場合、その発色に必要な動作時間を短縮することが可能であり、短時間で混色発色状態とすることができる。また逆に、複数層同時消色させる場合も同様に動作時間を短縮することが可能である。つまり、積層した複数のエレクトロクロミック層を同時に発消色させるとともに発消色動作の動作時間を短縮させることができる。
前記エレクトロクロミック表示装置が、前記複数の表示電極と前記対向電極との間に同時に電圧印加することで表示電極と対向電極で形成される画素ごとのそれぞれの表示電極に対応する複数のエレクトロクロミック層を同時に発色または消色する手段を具備することが好ましい。
表示電極と対向電極で形成される画素ごとに、複数の表示電極と対向電極との間に同時に電圧印加することでそれぞれの表示電極に対応する複数のエレクトロクロミック層を同時に発消色し、これによって各画素を任意の混色発消色状態にすることが可能である。
ここで、前記画素ごとのそれぞれの表示電極に対応する複数のエレクトロクロミック層を同時に発色または消色する手段が、複数の表示電極スイッチ機能と表示電極間電圧サプライ機能を有することが好適である。 また、前記複数の表示電極と対向電極間の電圧印加により前記エレクトロクロミック層の発色または消色を行う際に電荷量を制御することが好ましい。
すなわち、画素に印加する電荷量をエレクトロクロミック層の充電量や他の表示電極との電位差により可変制御することで、各画素を任意の発消色状態にすることが容易となる。さらに、形成する画像の発色濃度により画素の印加電荷量を制御し、電荷量の印加時間に従い表示電極の選択時間を調整することが好ましい。画像ごとに表示電極の選択時間を調整することで、発色濃度の低い画像は表示電極選択時間が短く設定でき、画像表示のスピードアップが可能となる。
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
図1の概略断面図に、本発明のエレクトロクロミック表示装置の駆動方法を説明するための該表示装置表示部の一例を示す。
表示装置表示部10は、表示電極11aが形成されている表示基板11と、所定の間隔を隔てて対向して設けられている対向電極12aが形成されている対向基板12と、各表示電極11a、11b、11c(略、11)に接して設けられたエレクトロクロミック層13a、13b、13c(略、13)と、表示電極間の絶縁性を得るためエレクトロクロミック層に接して形成された絶縁層14a、14b(略、14)と、表示電極に接して設けられた保護層15a、15bからなり、白色反射層17と電解質層16を挟んで対向電極と密着形成される。電解質層16はイオン移動性を示す層であり、一般に電解質と溶媒が含有される。また、電解質層には白色反射機能を付与させるために白色粒子18を含有させてもよい。その場合は白色反射層17を省略することもできる。
なお、表示基板11と対向基板12は、接着剤を含有させた電解質層、またはスペーサ19を介して貼り合わされる。
本発明の表示装置表示部10は選択した表示電極と対極電極12の間に電圧を印加し、選択した表示電極に接するエレクトロクロミック13が、表示電極からの電荷の授受により酸化還元反応することにより発消色する。また、エレクトロクロミック層の対向電極側に白色反射機能を有するので、表示基板11側から視認できる反射型の表示素子となる。
さらに、一の表示電極と他の表示電極との間の電気抵抗を、一の表示電極の電気抵抗より大きく設定することにより、積層カラー表示が可能である。
電気抵抗は、エレクトロクロミック層13の膜厚などにも依存し、絶縁層14無しでも十分な電気抵抗が得られる場合は絶縁層14を省略することもできる。
各エレクトロクロミック層13のエレクトロクロミック化合物をY、M、Cなどの異なる発色カラーとすることで、Y、M、C単色表示およびR、G、B、K(黒)の混色表示が実現できる。
以下構成材料について説明する。
表示電極11a、11b、11cを構成する材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、光の透過性を確保する必要があるため、透明且つ導電性に優れた透明導電性材料が用いられる。これにより、発色させる色の視認性をより高めることができる。
透明導電性材料としては、スズをドープした酸化インジウム(略称:ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(略称:FTO)、アンチモンをドープした酸化スズ(略称:ATO)等の無機材料を用いることができるが、特に、真空成膜により形成されたインジウム酸化物(以下、In酸化物という)、スズ酸化物(以下、Sn酸化物という)または亜鉛酸化物(以下、Zn酸化物という)の何れか1つを含む無機材料であることが好ましい。In酸化物、Sn酸化物およびZn酸化物は、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であると共に、良好な透明性と電気伝導度が得られる材料である。また、特に好ましい材料は、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnOである。
表示基板11を構成する材料としては、ガラス、プラスチック等が挙げられる。表示基板11として、プラスチックフィルムを用いると、軽量でフレキシブルな表示装置を作製することができる。
電解質層16としては、支持塩を溶媒に溶解させた層が用いられる。このため、イオン伝導度が高い。
電解質層16の材料としては、支持塩として、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的には、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BF、過塩素酸テトラブチルアンモニウムなどを用いることができる。
また、上記溶媒として、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ―ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、が用いられる。その他、支持塩を溶媒に溶解させた液体状の電解質に特に限定されるものではないため、イオン液体、ゲル状の電解質や、ポリマー電解質等の固体電解質も用いられる。
電解層はゲル状、あるいは固体状に形成することが、素子強度向上、信頼性向上、発色拡散の防止の観点から好ましい。
固体化手法としては、電解質と溶媒をポリマー樹脂中に保持することがよい。高いイオン伝導度と固体強度が得られるためである。さらに、ポリマー樹脂は光硬化可能な樹脂がよい。熱重合や、溶剤を蒸発させることにより薄膜化する方法に比べて、低温で短時間で素子を製造できるためである。樹脂としては、特に限定されないが、ウレタン、エチレングリコール、ポリプレングリコール、ビニルアルコール、アクリル、エポキシなどを挙げることができる。
また、電解質層中に白色顔料粒子18を分散させることで、白色反射層の機能を持たせることもできる。白色の顔料粒子18としては、特に限定されないが、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化セシウム、酸化イットリウム等の金属酸化物が挙げられる。光硬化樹脂により電解質層を硬化する場合は白色顔料を増量すると光を遮蔽するために硬化不良となりやすい。電解質層の厚さにも依存するが、好ましい含有量は10〜50wt%である。
また、電解質層の膜厚は0.1〜200μmの範囲が好ましく、より好ましくは1〜50μmである。電解質層が200μmよりも厚いと電荷が拡散しやすく、一方、0.1μmよりも薄いと電解質の保持が困難になるためである。
エレクトロクロミック層13a、13b、13cには、表示電極(11a、11b、11c)と対向電極(12a)との間の電圧印加に基づく、酸化還元反応により色の変化を起こす材料が用いられる。このような材料として、ポリマー系、色素系、金属錯体、金属酸化物等の公知のエレクトロクロミック化合物が用いられる。具体的には、ポリマー系あるいは色素系のエレクトロクロミック化合物として、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系、等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物が用いられる。
上記中、特に好ましくは、下記一般式(1)で表されるジピリジン系化合物を含むことがよい。これらのジピリジン系化合物は発消色電位が低いため、複数の表示電極を有するエレクトロクロミック表示装置を構成した場合においても、還元電位により良好な発色の色値を示す。
[式中、R1、R2は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭素数1から8のアルキル基、又はアリール基を表し、R1又はR2の少なくとも一方は、COOH、PO(OH)、Si(OC2k+1から選ばれる置換基を有する。Xは1価のアニオンを表す。n、m、lはそれぞれ独立に0または1を表す。A、B、Cはそれぞれ独立に置換基を有してもよい炭素数2から20のアリール基、または複素環基を表す。]
これらの化合物は電極に接して形成されるが、特に好ましくは、ナノ構造半導体材料にエレクトロクロミック化合物が吸着または結合して電極に接していることがよい。この形態では、エレクトロクロミック化合物が移動しないよう固定されると共に、エレクトロクロミック化合物の酸化還元に伴う電子の授受が妨げられないように電気的な接続が確保されていればよく、エレクトロクロミック化合物とナノ構造半導体材料とは混合されて単一層となっていてもよい。
ナノ構造半導体材料の材料としては、特に限定されるものではないが、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アルミニウム(以下アルミナ)、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ケイ素(以下シリカ)、酸化イットリウム、酸素ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケート等を主成分とする金属酸化物が用いられる。また、これらの金属酸化物は、単独で用いられてもよく、2種以上が混合されて用いられてもよい。
電気伝導性等の電気的特性や光学的性質等の物理的特性を鑑みるに、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステン、から選ばれる一種、もしくはそれらの混合物が用いられたとき、発消色の応答速度に優れた多色表示が可能である。
また、ナノ構造半導体材料の形状は、特に限定されるものではないが、エレクトロクロミック化合物を効率よく担持するために、単位体積当たりの表面積(以下比表面積)が大きい形状が用いられる。大きな比表面積を有することにより効率的にエレクトロクロミック化合物が担持され、発消色の表示コントラスト比に優れた表示が可能である。
エレクトロクロミック層の好ましい膜厚範囲は0.2〜5.0μmである。0.2μmよりも膜厚が薄い場合、発色濃度を得にくくなる。また、5.0μmよりも膜厚が厚い場合、製造コストが増大すると共に、着色によって視認性が低下しやすい。
図1の積層構成では、第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、第3の表示電極11cとの間の電極間抵抗は、対向電極12aに対する一方の表示電極の電位を、対向電極12aに対する他方の表示電極の電位と独立に制御することができる程度に大きな抵抗でなくてはならないが、少なくとも第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、第3の表示電極11cの何れかの表示電極のシート抵抗よりも大きくなるように形成されなくてはならない。
第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、第3の表示電極11cとの間の電極間抵抗が、第1の表示電極11a、および第2の表示電極11bの何れかの表示電極のシート抵抗よりも小さい場合、第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、第3の表示電極11cの何れかの表示電極に電圧印加をすると、同程度の電圧が他方の表示電極にも印加されてしまい、各表示電極に対応するエレクトロクロミック層を独立に消色することができない。各表示電極の間の電極間抵抗は、夫々の表示電極におけるシート抵抗の500倍以上あることが好ましい。
前述のように、抵抗値を確保するためには、互いに隔離された複数の表示電極の隣接する各電極間に絶縁層を形成することが好ましい。
絶縁層14の材料としては、多孔質であればよく特に限定されるものではないが、絶縁性、耐久性及び成膜性に優れた有機材料および無機材料を用いることができる。
多孔質膜の形成方法としては、燒結法(高分子微粒子や無機粒子をバインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶剤に可溶な有機物または無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物または無機物類を溶解させ細孔を得る)、高分子重合体等を加熱や脱気する等して発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法等の公知の形成方法を用いることができる。
絶縁層14の材料(多孔質膜)の具体例としては、無機ナノ構造粒子(SiO粒子、Al粒子など)とポリマー結着剤からなるポリマー混合粒子膜、多孔性有機膜(ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂)、多孔質膜上に形成した無機絶縁材料膜などが挙げられる。この無機膜としては、少なくともZnSを含む材料が好ましい。ZnSは、スパッタ法によって、エレクトロクロミック層などにダメージを与えることなく高速に成膜できるという特徴を有する。更に、ZnSを主な成分として含む材料として、ZnO−SiO、ZnS−SiC、ZnS−Si、ZnS−Ge等を用いることができる。
ここで、ZnSの含有率は、絶縁層14を形成した際の結晶性を良好に保つために、約50〜90mol%とすることが好ましい。従って、特に好ましい材料は、ZnS−SiO(8/2)、ZnS−SiO(7/3)、ZnS、ZnS−ZnO−In−Ga(60/23/10/7)である。
このような絶縁層14の材料を用いることにより、薄膜で良好な絶縁効果が得られ、多層化による膜強度低下(すなわち膜のはがれ)を防止することができる。
前述のようにZnS等をスパッタで形成する場合、予め下引き層として多孔性粒子膜を形成することによって、ZnS等の多孔質膜を形成することができる。この場合、前述のナノ構造半導体材料を粒子状膜として使用することもできるが、別途シリカ、アルミナ等を含む多孔質粒子膜を形成し、2層構成の絶縁層とすることが絶縁性の点から好ましい。
このような手法を用いて絶縁層14を多孔質膜にすることにより、電解質層16が絶縁層14さらには表示電極11に浸透することが可能となるため、酸化還元反応に伴う電解質層中のイオン電荷の移動が容易となり、発消色の応答速度に優れた多色表示が可能である。なお、絶縁層14の膜厚は20〜1000nmの範囲にある。20nmよりも膜厚が薄い場合、絶縁性を得にくくなる。また、1000nmよりも膜厚が厚い場合、製造コストが増大すると共に、着色によって視認性が低下しやすい。
対向基板12の材料としては、特に限定されるものではなく、表示基板11と同様の材料を用いることができる。また、対向電極12aの材料としては、導電性を有する材料であれば、特に限定されるものではない。対向基板12として、ガラス基板、プラスチックフィルムが用いられる場合、対向電極12aの材料として、ITO、FTO、酸化亜鉛等の透明導電膜、あるいは亜鉛、白金等の導電性金属膜、さらにはカーボンなどが用いられる。これらの透明導電膜又は導電性金属からなる対向電極12aは、対向基板12に真空製膜または湿式コーティングにより形成される。一方、対向電極12aとして、亜鉛等の金属板が用いられる場合、対向基板12が対向電極12aを兼ねる。
さらに、エレクトロクロミック層13a、13b、13cの起こす酸化還元反応の逆反応を起こす材料を対向電極に形成することで、安定した発消色が可能である。すなわち、エレクトロクロミック層が酸化により発色する場合は還元反応を起こし、エレクトロクロミック層が還元により発色する場合は酸化反応を起こす材料を対向電極12aとして、または対向電極表面に形成して用いると、エレクトロクロミック層13a、13b、13cにおける発消色の反応がより安定となる。
白色反射層17は表示基板側11から入射する光を散乱反射する。白色反射層17の材料としては、金属、半金属に加えて、酸化物、チッカ物、硫化物などの真空製膜可能な無機化合物膜、または酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化セシウム、酸化イットリウム等の金属酸化物粒子からなる白色顔料粒子膜が挙げられる。
無機化合物膜に浸透性を持たせるには絶縁層と同様の形態として形成する必要があり、効果的な散乱を得るためには下地層の粒子径が散乱効率の高い100〜400nmであることが好ましい。また、金属酸化物粒子膜は溶液に分散したペーストとして塗布製膜することにより容易に形成することができる。特に好ましい材料は酸化チタン粒子である。
なお、白色反射層17の膜厚は0.1〜50μmの範囲にあり、更に好ましくは0.5〜5μmである。0.1μmよりも膜厚が薄い場合、白色反射効果を得にくくなり、一方、50μmよりも膜厚が厚い場合、浸透性と膜強度を両立することが困難となるためである。ただし、酸化チタン粒子含有層を用いても最大反射率が得られる膜厚まで厚膜化すると膜強度が不足しやすい。そこで、膜強度が得られる白色反射層と電解質層16に白色顔料粒子18を混合した白色電解質層との2層構成で白色反射層を形成することが好ましい。
保護層15は、少なくとも1つの表示電極とエレクトロクロミック層の間に形成されることが好ましい。エレクトロクロミック層が、ナノ構造半導体材料にエレクトロクロミック化合物が吸着または結合している形態では、表示電極表面またはナノ構造半導体表面に保護層15を形成することが可能であるが、電極表面に形成することが好ましい。
電気絶縁性の材料からなる保護層15を形成することにより、先行して発色させたエレクトロクロミック層の発色が、後に発色させるエレクトロクロミック層の発色駆動に影響することを低減することができる。
図2(a)、(b)は、本発明における発色駆動において保護層の効果を説明するための表示装置表示部の断面模式図を示す。
1層目のエレクトロクロミック層13aのA領域に対応する対極電極画素−1と1層目の表示電極11a間に電圧を印加し、1層目のエレクトロクロミック層13aのA領域を発色させた後、2層目のエレクトロクロミック層13bのB領域に対応する対極電極画素−2と2層目の表示電極11b間に電圧を印加し、2層目のエレクトロクロミック層13bのB領域を発色させる場合、例えば、図2(b)に示すように、保護層15が設けられていないか[図2(b)に記載の保護層15が無い構成]、あるいは保護層15の機能(電気絶縁性)が十分でないと、1層目のエレクトロクロミック層13aのA領域の発色が保持されず、2層目のエレクトロクロミック層13bのA領域が発色しやすい。
この問題は2層目のエレクトロクロミック層13bのB領域に対応する対極電極画素−2と2層目の表示電極11b間に電圧印加した際に、表示電極13aと13b間の絶縁性が保持できず、1層目のエレクトロクロミック層13aのA領域の発色電荷により2層目のエレクトロクロミック層13bのA領域が発色することが要因と考えられる。
これに対して、電気絶縁機性の十分な材料(電気絶縁性材料)からなる保護層15を表示電極に形成することで、例えば、図2(a)に示すように、所定領域での発色が保持(維持)され、上記問題が解消できる。すなわち、保護層15の形成が表示電極13aと13bの絶縁性保持に有効と考えられる。なお、図2(a)、(b)において、符号12aは対極画素電極−1を、12aは対極画素電極−2を示す。
保護層15の材料は電気絶縁性材料からなり、有機材料または無機材料が使用できるが、絶縁効率の点で金属酸化物を主成分とする無機材料が好ましい。なお、電気絶縁性材料とは、導電性よりも誘電性が優位な物質であり、広いバンドギャップを有し、直流電圧に対しては電気を通しにくい特性の材料である。
具体的には、有機材料として、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂などのポリマー材料が、無機材料として、SiO、HfO、Ta、Al、ZrO、Si、ZnSやその混合物など広く知られた材料を用いることができる。特に好ましい材料は、Al酸化物またはSi酸化物を含有する材料である。Al酸化物またはSi酸化物は絶縁性が良く、薄膜化が可能であり、選択したエレクトロクロミック層を独立に発消色させる効果が高い。
保護層15の膜厚は1nm〜500nmの範囲にあり、表示電極膜厚よりも薄いことが好ましい。500nmよりも保護層の膜厚が厚い場合は、表示電極からエレクトロミック層への電荷の授受が低下することで発消色が困難になるとともに、電解層の浸透性が低下するためである。また、1nmよりも薄いと保護層の効果を得にくい。絶縁性酸化物材料の場合、特に好ましい膜厚は2nm〜20nmである。
また保護層15を形成することで、エレクトロクロミック層との接触(吸着または結合)が低下するなどの理由で発消色特性が低下する場合は、保護層15の表面にさらに表面層を形成することが好ましい。この表面層材料としてはITOなど表示電極と同様の透明導電性材料などを用いることができる。保護層は真空製膜、塗布コート製膜、インクジェット製膜、印刷製膜など公知のプロセスで容易に形成可能であるが、好ましくは真空製膜法により金属酸化膜を形成することがよい。特に表示電極と保護層を連続して真空製膜することで、高い生産性が得られる。
次に本発明の駆動の形態について説明する。
図3の断面模式図に基づいて、本発明において3原色(イエロー、マゼンタ、シアン)を表示装置表示部にカラー表示させる場合を例として説明する。
すなわち、図3は本発明における表示装置の発消色駆動の一例を示すものであり、3原色であるイエロー、マゼンタ、シアンを発色するエレクトロクロミック層を形成した表示電極を積層形成し、対極電極を画素として構成した例である。3原色を減法混色表示させることでカラー表示が可能である。
[1]表示装置の発消色駆動としては発色濃度の安定性を高めるために、まず消色後に各エレクトロクロミック層を発色させることが好ましい(図3a)。消色動作は各エレクトロクロミック層を形成した表示電極と対向電極の間に正電位の電圧を印加する。複数の表示電極は1電極ずつ消色電位を印加することもできるが、図3aのように全数の表示電極と対向電極間に同時に消色電位を印加する方が、処理スピードが速く好ましい。
[2]次に、画像信号に対応してイエロー発色するエレクトロクロミック層(13a)を形成した表示電極(11a)と対極画素電極との間に負電位の電圧を印加し、イエロー画素部を発色させる。このとき、他の表示電極と対向電極の間は開回路構成とする(図3b)。
[3]次に、画像信号に対応してマゼンタ発色するエレクトロクロミック層(13b)を形成した表示電極(11b)と対極画素電極との間に負電位の電圧を印加し、マゼンタ画素部を発色させる。このとき、他の表示電極と対向電極の間は開回路構成とする(図3c)。
[4]次に、画像信号に対応してシアン発色するエレクトロクロミック層(13c)を形成した表示電極(11c)と対極画素電極との間に負電位の電圧を印加し、シアン画素部を発色させる。このとき、他の表示電極と対向電極の間は開回路構成とする(図3d)。
[5]次に、表示電極間に保持電圧を印加する(図3e)。この保持電圧を印加することで、各層の発色状態を安定化することができる。
保持電圧は各表示電極の充放電状態に依存する。好ましい電圧は発色電圧の2%〜30%程度である。
例示では1層ずつ発色させる駆動動作について説明したが、表示電極の接続により、2層同時、さらに3層同時発色も可能である。
各エレクトロクロミック層の発色順序は表示電極間の絶縁性が保持されていれば発消色には影響しないが、前述のように1番目に発色させたエレクトロクロミック層の発色部(Y)により、2番目のエレクトロクロミック層の発色駆動が影響される場合は、前記対極電極から遠い表示電極(表示電極13a)から発消色駆動させることが好ましい。電圧印加する表示電極と対極電極間の外側に位置する表示電極は電圧印加の影響を受けにくく、選択したエレクトロクロミック層のみを独立に発消色することが容易となる。なお、図3中、符号16は電解質層、17は白色反射層、22aは対向電極(対極画素電極〔略、対極電極〕)を示す。
画素の発色充電状態のばらつきから消色状態は過消色(過放電)状態となりやすく、発色状態が不安定になったり、素子が破壊される不具合が発生しやすい。そこで、表示電極と対向電極で形成される画素ごとに印加する電荷量を可変制御することが好ましい。
前述のように、画素に印加する電荷量をエレクトロクロミック層の充電量や他の表示電極との電位差により可変制御することで、各画素を任意の発消色状態にすることが容易となる。充電量は電圧値や抵抗値からモニタすることが可能である。さらには、形成する画像の発色濃度により画素の印加電荷量を制御し、電荷量の印加時間に従い表示電極の選択時間を調整することが好ましい。画像ごとに表示電極の選択時間を調整することにより、発色濃度の低い画像では表示電極選択時間を短く設定することができるため、画像表示に要する時間を短縮でき、スピードアップを図ることができる。
図3では還元状態で発色するエレクトロクロミック層を用いた例示を記載しているが、酸化発色の場合は電圧極性を反転させるだけで同様に動作できる。
さらに、本発明の駆動方法におけるエレクトロクロミック表示装置は対向電極をアクティブマトリックスの画素電極として形成することで、アクティブ表示が可能である。
図4は、本発明におけるエレクトロクロミック表示装置をアクティブ表示可能とする駆動制御の一例を示す概略ブロック図である。
アクティブマトリックスの画素電極とすることにより、面内のクロストークを抑制した画像表示を行うことができる。
本発明の駆動方法により制御されるエレクトロクロミック表示装置とすれば、画像認識性が高く、表示速度が早く、発色パターンの維持(メモリー性の持続)も良好であり、アクティブ駆動が可能なエレクトロクロミック表示装置を提供することができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
[発消色駆動実施例1]および[発消色駆動実施例2]、[発消色駆動比較例1]および[発消色駆動比較例2]に供するため、下記2層構成の表示装置を作製した。
[2層構成の表示装置の作成]
<表示電極/保護層/エレクトロクロミック層/絶縁層/白色反射層の形成:2層構成>
表示基板(11)として、縦横40mm×40mm、厚さ0.7mmのガラス基板を準備し、このガラス基板上に、ITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように製膜することによって、1層目の表示電極(11a)を形成した。さらに、ITO膜の表面にAl膜をスパッタ法により約3nmの厚さになるように製膜し、保護層(15a)を形成した。次に、酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210 昭和タイタニウム社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、約1.0μmの酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。続いて、エレクトロクロミック化合物として、下記構造式(2)で表される化合物の1.0wt%2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液をスピンコート法により塗布し、120℃で10分間アニール処理を行うことにより、酸化チタン粒子膜に吸着させて、1層目のエレクトロクロミック層(13a)を形成した。
さらに、この上にSiO粒子のMEK分散ペースト(MEK−ST:日産化学社製、平均粒子径:約10nm)に結着ポリマーとしてウレタン樹脂を添加した塗布液をスピンコート法により塗布し、120℃で5分間アニール処理して約500nmのSiO粒子層を形成し、さらにその上にスパッタ法にてZnS・SiO(8/2)を約30nmの厚さで形成することにより1層目の浸透性絶縁層14aを形成した。
次いで、浸透性絶縁層(14a)の上に、下記構造式(3)で表される化合物の1.0wt%2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液をスピンコート法により塗布して2層目のエレクトロクロミック層(13b)を形成したこと以外は1層目と同様にして、2層目の表示電極(11b)、2層目の保護層(15b)、2層目のエレクトロクロミック層(13b)を形成した。
次に、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液に結着ポリマーおよび電解質として、ポリエチレングリコール(分子量200)/ウレタンペースト(DIC社製:HW140SF)/過塩素酸テトラブチルアンモニウムのジメトキシスルホキシド20wt%溶液を5wt%、3wt%、17wt%溶解した溶液を準備し、この溶液に酸化チタン粒子(商品名:CR50;石原産業株式会社製、平均粒子径:約250nm)を30wt%分散したペーストをエレクトロクロミック層表面にスピンコート法により塗布し、120℃で5分間アニール処理を行うことにより、約1μmの白色反射層(17)を形成した。
<対極電極/電解層の形成>
対向基板(12)として、縦横32mm×40mm、厚さ0.7mmのガラス基板を準備し、ガラス基板上に対向電極(12a)として、4mmライン/1mmスペース(6ライン)*35mm幅の矩形ITOパターン膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように成膜した。
次に、電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウム、溶媒としてジメチルスルホキシドおよびポリエチレングリコール(分子量:200)、さらにUV硬化接着剤(商品名:PTC10、十条ケミカル社製)を1.2対5.4対6対16で混合した溶液に白色酸化チタン粒子(商品名:CR50、石原産業株式会社製、平均粒子径:約250nm)を20wt%添加した分散液ペーストを用意し、前述の白色反射層表面に滴下塗布した後、対向電極面と重ね、対向基板側からUV光照射硬化して貼り合わせることで、図1に示す形態において2層構成とした表示装置表示部(10)を作成した。なお、電解質層の厚さはビーズスペーサを電解層に0.2wt%混合することにより10μmに設定した。以下、「表示装置表示部」を「表示装置」と略称する。
なお、各表示電極11a、11bおよび対向電極12a(対極画素電極−1、対極画素電極−2)は図5の概略平面図に示すレイアウトで形成し、他の層は各表示電極の駆動接続部を除く全面に形成した。形成した表示電極および対向電極のシート抵抗は150Ω /cm以上であり、表示電極11a、11b間の抵抗を駆動接続部で測定したところ、1MΩ以上であった。
なお、図5において、符号11は表示基板、11aは1層目の表示電極、11bは2層目の表示電極、12は対極基板、12aは対向電極、12a 対極画素電極−1、12a 対極画素電極−2、13a、20aは1層目の表示電極11aの駆動接続部、20bは2層目の表示電極11bの駆動接続部を示す。
〈画像保持特性および白反射率〉
表示装置(10)の表示電極(11a)の駆動接続部に負極を、対向電極(12a)の対極画素電極−1に正極を接続し、4.5Vの電圧を1秒間印加したところ、エレクトロクロミック層(13a)が画素電極−1のITOパターン形状に従い青色に発色した。
次に、−4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、完全に消色し、白色に戻った。また、4.5Vの電圧を1秒間印加した後、電圧を印加せずに5分放置しても、発色パターン状態が保持されたことから、画像保持特性に優れることが確認された。なお表示電極(11b)と対向電極(12a)間は開回路構成とした。
この表示装置(10)の消色状態の白反射率を分光測色計LCD−5000(大塚電子社製)を用いて、表示基板側から測定したところ、約55%であった。
[発消色駆動実施例1]
表示装置(10)の表示電極(11a)および表示電極(11b)の駆動接続部に負極を、対向電極(12a)の対極画素電極−1に正極を接続し、4.5Vの電圧を1秒間印加したところ、エレクトロクロミック層(13a)および(13b)が画素電極−1のITOパターン形状に従い発色し、青色とマゼンタの混色を表示することができた。
発色後、表示電極(11a)および表示電極(11b)の駆動接続部に正極を、対向電極(12a)の対極画素電極−1に負極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、画素電極−1のITOパターン形状に従い発色していた青色とマゼンタを同時に消色することができた。
[発消色駆動実施例2]
表示装置(10)の表示電極(11a)および表示電極(11b)の駆動接続部に正極を、対向電極(12a)の全てに負極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加して、初期化を実施した。
次に、表示装置(10)の表示電極(11a)の駆動接続部に負極を、対向電極(12a)の対極画素電極−1に正極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、エレクトロクロミック層(13a)が画素電極−1のITOパターン形状に従い青色に発色した。なお、表示電極(11b)と対向電極(12a)間は開回路構成とした。
次に、表示装置(10)の表示電極(11b)の駆動接続部に負極を、対向電極(12a)の対極画素電極−2に正極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、エレクトロクロミック層(13b)が画素電極−2のITOパターン形状に従いマゼンタ色に発色し、青とマゼンタのラインを表示することができた。なお、表示電極(11a)と対向電極(12a)間は開回路構成とした。
発色後、表示電極(11a)および表示電極(11b)の駆動接続部に正極を、対向電極(12a)の対極画素電極−1および対極画素電極−2に負極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、画素電極−1のITOパターン形状に従い発色していた青色と画素電極−2のITOパターン形状に従い発色していたマゼンタ色のラインを同時に消色することができた。
[発消色駆動比較例1]
表示装置(10)の表示電極(11a)の駆動接続部に負極を、対向電極(12a)の対極画素電極−1に正極を接続し、4.5Vの電圧を1秒間印加したところ、エレクトロクロミック層(13a)が画素電極−1のITOパターン形状に従い青色に発色した。なお、表示電極(11b)と対向電極(12a)間は開回路構成とした。
次に、表示装置(10)の表示電極(11b)の駆動接続部に負極を、対向電極(12a)の対極画素電極−1に正極を接続し、4.5Vの電圧を1秒間印加したところ、エレクトロクロミック層(13b)が画素電極−1のITOパターン形状に従いマゼンタ色に発色し、青とマゼンタの混色を表示することができた。なお、表示電極(11a)と対向電極(12a)間は開回路構成とした。混色表示状態とするのに合計2秒以上かかった。
[発消色駆動比較例2]
表示装置(10)の表示電極(11a)および表示電極(11b)の駆動接続部に正極を、対向電極(12a)の全てに負極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加して、初期化を実施した。
次に、表示装置(10)の表示電極(11a)の駆動接続部に負極を、対向電極(12a)の対極画素電極−1に正極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、エレクトロクロミック層(13a)が画素電極−1のITOパターン形状に従い青色に発色した。なお、表示電極(11b)と対向電極(12a)間は開回路構成とした。
次に、表示装置(10)の表示電極(11b)の駆動接続部に負極を、対向電極(12a)の対極画素電極−2に正極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、エレクトロクロミック層(13b)が画素電極−2のITOパターン形状に従いマゼンタ色に発色し、青とマゼンタのラインを表示することができた。なお、表示電極(11a)と対向電極(12a)間は開回路構成とした。
発色後、表示電極(11a)の駆動接続部に正極を、対向電極(12a)の対極画素電極−1に負極を接続し、2秒間印加したところ、画素電極−1のITOパターン形状に従い発色していた青色のラインを消色することができた。続けて、表示電極(11b)の駆動接続部に正極を、対向電極(12a)の対極画素電極−2に負極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、画素電極−2のITOパターン形状に従い発色していたマゼンタ色のラインを消色することができた。素子全体を消色状態とするのに合計4秒以上かかった。
[発消色駆動実施例3]および[発消色駆動実施例4]、[発消色駆動比較例3]および[発消色駆動比較例4]に供するため、下記3層構成の表示装置を作製した。
[3層構成の表示装置の作成]
<表示電極/保護層/エレクトロクロミック層/絶縁層/白色反射層の形成:3層構成>
表示基板(11)として、縦横40mm×40mm、厚さ0.7mmのガラス基板を準備し、このガラス基板上に、ITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように製膜することによって、1層目の表示電極(11a)を形成した。さらに、ITO膜の表面にAl膜をスパッタ法により約3nmの厚さになるように製膜し、保護層(15a)を形成した。次に、酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210 昭和タイタニウム社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、約1.0μmの酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。続いて、エレクトロクロミック化合物として、4,4'-(1-phenyl-1H-pyrrole-2,5-diyl)bis(1-(4-(phosphonomethyl)benzyl)pyridinium) bromideを用い、この化合物の1.0wt%2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液をスピンコート法により塗布し、120℃で10分間アニール処理を行うことにより、化合物を酸化チタン粒子膜に吸着させて、1層目のエレクトロクロミック層(13a)を形成した。
さらに、この上にSiO粒子のMEK分散ペースト(MEK−ST:日産化学社製、平均粒子径:約10nm)に結着ポリマーとしてウレタン樹脂を添加した塗布液をスピンコート法により塗布し、120℃で5分間アニール処理して約500nmのSiO粒子層を形成し、さらにその上にスパッタ法にてZnS・SiO(8/2)を約30nmの厚さで形成することにより1層目の浸透性絶縁層14aを形成した。
次いで、浸透性絶縁層(14a)の上に、4,4'-(4,4'-(1,3,4-oxadiazole-2,5-diyl)bis(4,1-phenylene))bis(1-(8-phosphonooctyl)pyridinium) bromideを用い、この化合物を含有する溶液をスピンコート法により塗布して2層目のエレクトロクロミック層(13b)を形成したこと以外は1層目と同様にして、2層目の表示電極(11b)、2層目の保護層(15b)、2層目のエレクトロクロミック層(13b)、2層目の浸透性絶縁層(14b)を形成した。
次いで、浸透性絶縁層(14b)の上に、前記構造式(2)で表される化合物の1.0wt%2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液をスピンコート法により塗布して3層目のエレクトロクロミック層(13c)を形成したこと以外は1層目と同様にして、3層目の表示電極(11c)、3層目の保護層(15c)、3層目のエレクトロクロミック層(13c)を形成した。
次に、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液に結着ポリマーおよび電解質として、ポリエチレングリコール(分子量200)/ウレタンペースト(DIC社製:HW140SF)/過塩素酸テトラブチルアンモニウムのジメトキシスルホキシド20wt%溶液を5wt%、3wt%、17wt%溶解した溶液を準備し、この溶液に酸化チタン粒子(商品名:CR50;石原産業株式会社製、平均粒子径:約250nm)を30wt%分散したペーストをエレクトロクロミック層表面にスピンコート法により塗布し、120℃で5分間アニール処理を行うことにより、約1μmの白色反射層(17)を形成した。
<対極電極/電解層の形成>
対向基板(12)として、縦横32mm×40mm、厚さ0.7mmのガラス基板を準備し、ガラス基板上に対向電極(12a)として、4mmライン/1mmスペース(6ライン)*35mm幅の矩形ITOパターン膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように成膜した。
次に、電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウム、溶媒としてジメチルスルホキシドおよびポリエチレングリコール(分子量:200)、さらにUV硬化接着剤(商品名:PTC10、十条ケミカル社製)を1.2対5.4対6対16で混合した溶液に白色酸化チタン粒子(商品名:CR50、石原産業株式会社製、平均粒子径:約250nm)を20wt%添加した分散液ペーストを用意し、前述の白色反射層表面に滴下塗布した後、対向電極面と重ね、対向基板側からUV光照射硬化して貼り合わせることで、図1に示す形態の表示装置表示部(10)を作成した。なお、電解質層の厚さはビーズスペーサを電解層に0.2wt%混合することにより10μmに設定した。
なお、各表示電極、すなわち1層目の表示電極11a、2層目の表示電極11b、3層目の表示電極11cおよび対向電極12a[対極画素電極−1(12a)、対極画素電極−2(12a)、対極画素電極−3(12a)]は図6の概略平面図に示すレイアウトで形成し、他の層は各表示電極の駆動接続部を除く全面に形成した。
図6において、符号11は表示基板、12は対極基板、12aは対向電極、30aは1層目の表示電極11aの駆動接続部、30bは2層目の表示電極11bの駆動接続部、30cは3層目の表示電極11cの駆動接続部を示す。
[発消色駆動実験例3]
表示装置(10)の表示電極(11a)および表示電極(11b)および表示電極(11c)の駆動接続部に負極を、対向電極(12a)の対極画素電極−1に正極を接続し、4.5Vの電圧を1秒間印加したところ、エレクトロクロミック層(13a)および(13b)および(13c)が画素電極−1のITOパターン形状に従い発色し、マゼンタ色と黄色と青色との混色を表示することができた。
発色後、表示電極(11a)および表示電極(11b)および表示電極(11c)の駆動接続部に正極を、対向電極(12a)の対極画素電極−1に負極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、画素電極−1のITOパターン形状に従い発色していたマゼンタ色と黄色と青色を同時に消色することができた。
[発消色駆動実験例4]
表示装置(10)の表示電極(11a)および表示電極(11b)および表示電極(11c)の駆動接続部に正極を、対向電極(12a)の全てに負極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加して、初期化を実施した。
次に、表示装置(10)の表示電極(11a)の駆動接続部に負極を、対向電極(12a)の対極画素電極−1に正極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、エレクトロクロミック層(13a)が画素電極−1のITOパターン形状に従いマゼンタ色に発色した。なお、表示電極(11b)および表示電極(11c)と対向電極(12a)間は開回路構成とした。
次に、表示装置(10)の表示電極(11b)の駆動接続部に負極を、対向電極(12a)の対極画素電極−2に正極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、エレクトロクロミック層(13b)が画素電極−2のITOパターン形状に従いマゼンタ色に発色し、青とマゼンタのラインを表示することができた。なお、表示電極(11a)および表示電極(11c)と対向電極(12a)間は開回路構成とした。
次に、表示装置(10)の表示電極(11c)の駆動接続部に負極を、対向電極(12a)の対極画素電極−3に正極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、エレクトロクロミック層(13c)が画素電極−3のITOパターン形状に従いマゼンタ色に発色し、青とマゼンタのラインを表示することができた。なお、表示電極(11a)および表示電極(11b)と対向電極(12a)間は開回路構成とした。
発色後、表示電極(11a)および表示電極(11b)の駆動接続部に正極を、対向電極(12a)の対極画素電極−1および対極画素電極−2に負極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、画素電極−1のITOパターン形状に従い発色していたマゼンタ色と画素電極−2のITOパターン形状に従い発色していた黄色と画素電極−3のITOパターン形状に従い発色していた青色のラインを同時に消色することができた。
[発消色駆動比較例3]
表示装置(10)の表示電極(11a)の駆動接続部に負極を、対向電極(12a)の対極画素電極−1に正極を接続し、4.5Vの電圧を1秒間印加したところ、エレクトロクロミック層(13a)が画素電極−1のITOパターン形状に従いマゼンタ色に発色した。なお、表示電極(11b)および表示電極(11c)と対向電極(12a)間は開回路構成とした。
次に、表示装置(10)の表示電極(11b)の駆動接続部に負極を、対向電極(12a)の対極画素電極−1に正極を接続し、4.5Vの電圧を1秒間印加したところ、エレクトロクロミック層(13b)が画素電極−1のITOパターン形状に従い黄色に発色した。なお、表示電極(11a)および表示電極(11c)と対向電極(12a)間は開回路構成とした。
次に、表示装置(10)の表示電極(11c)の駆動接続部に負極を、対向電極(12a)の対極画素電極−1に正極を接続し、4.5Vの電圧を1秒間印加したところ、エレクトロクロミック層(13c)が画素電極−1のITOパターン形状に従い青色に発色し、マゼンタと黄色と青色の混色を表示することができた。なお、表示電極(11a)および表示電極(11b)と対向電極(12a)間は開回路構成とした。混色表示状態とするのに合計3秒以上かかった。
[発消色駆動比較例4]
表示装置(10)の表示電極(11a)および表示電極(11b)および表示電極(11c)の駆動接続部に正極を、対向電極(12a)の全てに負極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加して、初期化を実施した。
次に、表示装置(10)の表示電極(11a)の駆動接続部に負極を、対向電極(12a)の対極画素電極−1に正極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、エレクトロクロミック層(13a)が画素電極−1のITOパターン形状に従いマゼンタ色に発色した。なお、表示電極(11b)および表示電極(11c)と対向電極(12a)間は開回路構成とした。
次に、表示装置(10)の表示電極(11b)の駆動接続部に負極を、対向電極(12a)の対極画素電極−2に正極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、エレクトロクロミック層(13b)が画素電極−2のITOパターン形状に従い黄色に発色した。なお、表示電極(11a)および表示電極(11c)と対向電極(12a)間は開回路構成とした。
次に、表示装置(10)の表示電極(11c)の駆動接続部に負極を、対向電極(12c)の対極画素電極−3に正極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、エレクトロクロミック層(13c)が画素電極−2のITOパターン形状に従い青色に発色し、マゼンタ色と黄色と青色のラインを表示することができた。なお、表示電極(11a)および表示電極(11b)と対向電極(12a)間は開回路構成とした。
発色後、表示電極(11a)の駆動接続部に正極を、対向電極(12a)の対極画素電極−1に負極を接続し、2秒間印加したところ、画素電極−1のITOパターン形状に従い発色していたマゼンタ色のラインを消色することができた。続けて、表示電極(11b)の駆動接続部に正極を、対向電極(12a)の対極画素電極−2に負極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、画素電極−2のITOパターン形状に従い発色していた黄色のラインを消色することができた。続けて、表示電極(11c)の駆動接続部に正極を、対向電極(12a)の対極画素電極−3に負極を接続し、4.5Vの電圧を2秒間印加したところ、画素電極−2のITOパターン形状に従い発色していた青色のラインを消色することができた。素子全体を消色状態とするのに合計6秒以上かかった。
以上の結果から、本発明のエレクトロクロミック表示装置の駆動方法によれば、エレクトロクロミック層の発色または消色動作時間を短縮して画像認識性の高い表示を素早く行うことができ、発色パターンの維持(メモリー性の持続)も良好である。このため、例えば、書き換えが可能なペーパーライクな装置技術として有用であり、表示品質、表示動作時の消費電力等の点でも優れた画像表示装置を提供することができる。
(図1、2の符号)
10 表示装置表示部
11 表示基板
11a、11b、11c 表示電極
12 対向基板
12a 対向電極
12a 対極画素電極−1
12a 対極画素電極−2
13a、13b、13c エレクトロクロミック層
14a、14b 絶縁層
15a、15b、15c 保護層
16 電解質層
17 白色反射層
18 白色粒子
19 スペーサー
(図3の符号)
11a、11b、11c 表示電極
13a、13b、13c エレクトロクロミック層
16 電解質層
17 白色反射層
22a 対向電極(対極画素電極)
(図5の符号)
11 表示基板
11a 1層目の表示電極
11b 2層目の表示電極
12 対極基板
12a 対向電極
12a 対極画素電極−1
12a 対極画素電極−2
20a 1層目の表示電極11aの駆動接続部
20b 2層目の表示電極11bの駆動接続部
(図6の符号)
11 表示基板
11a 1層目の表示電極
11b 2層目の表示電極
11c 3層目の表示電極
12 対極基板
12a 対向電極
12a 対極画素電極−1
12a 対極画素電極−2
12a 対極画素電極−3
30a 1層目の表示電極11aの駆動接続部
30b 2層目の表示電極11bの駆動接続部
30c 3層目の表示電極11cの駆動接続部
特表2001−510590号公報(特許第3955641号公報) 特開昭63‐94501号公報 特開2008‐304906号公報 特開2003−270671号公報 特開2010‐033016号公報

Claims (6)

  1. 表示基板と、表示電極と、対向基板と、対向電極と、
    前記表示電極の対向電極側の面に接して設けられたエレクトロクロミック層とを備え、
    前記エレクトロクロミック層が設けられた表示電極が複数から成り、互いに隔離して配置された多層構造を有し、前記表示基板と前記対向電極との間に設けられると共に、
    前記複数の表示電極と前記対向電極とに挟まれるように電解質層が設けられ、
    前記複数の表示電極と対向電極間の電圧印加により前記エレクトロクロミック層の発色または消色を行うエレクトロクロミック表示装置の駆動方法であって、
    少なくとも発色または消色のいずれかの駆動において、前記複数の表示電極と対向電極との間に同時に電圧印加し、それぞれの表示電極に接して設けられたエレクトロクロミック層を同時に発色または消色することを特徴とするエレクトロクロミック表示装置の駆動方法。
  2. 前記エレクトロクロミック表示装置が、前記複数の表示電極と前記対向電極との間に同時に電圧印加することで表示電極と対向電極で形成される画素ごとのそれぞれの表示電極に対応する複数のエレクトロクロミック層を同時に発色または消色する手段を具備することを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック表示装置の駆動方法。
  3. 前記画素ごとのそれぞれの表示電極に対応する複数のエレクトロクロミック層を同時に発色または消色する手段が、複数の表示電極スイッチ機能と表示電極間電圧サプライ機能を有することを特徴とする請求項2に記載のエレクトロクロミック表示装置の駆動方法。
  4. 前記複数の表示電極と対向電極間の電圧印加により前記エレクトロクロミック層の発色または消色を行う際に電荷量を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置の駆動方法。
  5. 前記対向電極がアクティブマトリックスの画素電極であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示装置の駆動方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の駆動方法により制御されることを特徴とするエレクトロクロミック表示装置。
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