JP5648805B2 - エレクトロクロミック表示素子 - Google Patents
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Description
エレクトロクロミック化合物の中には、外部からの電圧印加により独自の色調を帯びた後、印加を停止してもその発色状態を比較的安定に維持できる、所謂メモリー性を有した化合物がいくつか報告されており、その性質を利用した表示媒体への応用研究が古くから盛んに行われている。
例えば、図1の概略断面図に示すように、従来の単色表示型のエレクトロクロミック表示素子(10)は、表示電極側の支持基板(11)、その上に設けられた表示電極〔透明電極a〕(12)と多孔質電極(13)とが形成された電極構造体、および前記電極構造体の多孔質電極(13)上に担持されたエレクトロクロミック化合物(14)を含むエレクトロクロミック層(15)と、前記電極構造体に対向するよう配置された対向電極側の支持基板(16)と、その上に設けられた対向電極〔電極b〕(17)と、前記表示電極〔透明電極a〕(12)および対向電極〔電極b〕(17)に挟持されて配置される電解質層(18)とを基本とする構成から成り立っている。符号19aは表示電極側の電極端子、19bは対向電極側の電極端子、50は封止剤を示す。また、図1の構成における表示電極(12)およびエレクトロクロミック層(15)を複数の構成とし、各表示電極とエレクトロクロミック層をそれぞれ互いに隔離して多層に配置すれば多色表示型のエレクトロクロミック表示素子とすることができる。
これに対して有機材料からなるエレクトロクロミック化合物は、耐環境性や繰り返し耐久性の面において課題を残すものの、無機材料に比べて分子設計による構造最適化が比較的可能なため多様な色調を得ることができ、また加工性や量産性に優れることからも盛んに研究が行われている。具体的な例としては、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物や、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物を挙げることができる。上記の中でも、特にビオロゲン系化合物またはテレフタル酸系化合物を含むと、これらの材料は発消色電位が低く、複数の表示電極構成においても良好な色値を示すとされている。
従来、このようなイオン吸着の安定化を保つ手段として、電極表面に表面積の大きな多孔質電極を設けイオン吸着量を増大させる方法が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。しかしながら多孔質電極の形成は電極自体の密度を減少させてしまうため、電荷の静電容量としては減少する傾向となり、結果として電極近傍のイオンの移動が容易となるため大きな改善効果を期待することは難しい。
前記対向電極は、その表面が凹凸形状を有し、かつ平均粒径15nm以上25nm以下の微粒子および該微粒子の凝集体により形成されるとともに、研磨処理した前記支持基板に前記導電材料をスパッタリングすることにより形成されることを特徴とするエレクトロクロミック表示素子により解決される。
前記対向電極は、その表面が凹凸形状を有し、かつ平均粒径15nm以上25nm以下の微粒子および該微粒子の凝集体により形成されるとともに、研磨処理した前記支持基板に前記導電材料をスパッタリングすることにより形成されることを特徴とするエレクトロクロミック表示素子により解決される。
〈支持基板〉
表示電極が形成される透明支持基板および対向電極が形成される支持基板としては、耐熱性に優れ、且つ平面性の高い材料が好適である。表示電極が形成される透明支持基板としてガラスやプラスチック(透明性樹脂等)などの材料を適用することができ、対向電極が形成される支持基板にも同様の材料を用いることができる。これらの支持基板用材料としては、例えば、透明性樹脂としてポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等を例示することができるが必ずしもこれらに限定されるものではない。プラスチックフィルムを用いると、軽量でフレキシブルな表示装置を作製することができる。
表示電極は、前記透明支持基板上に透明導電材料を用いて形成された透明導電膜(あるいは、透明導電層)である。
透明導電材料からなる表示電極を形成する導電材料は、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、本発明の反射型表示素子においては、光の透過性を確保するために透明な材料から選択されることが好ましい。具体的には、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化マグネシウム、またガリウムをドープした酸化亜鉛(略称、GZO化)、酸化インジウム、またスズをドープした酸化インジウム(略称、ITO)、酸化亜鉛、またフッ素をドープした酸化スズ(略称、FTO)、またアンチモンをドープした酸化スズ(略称、ATO)等を例示することができる。これらの酸化物を用いると、良好な透明性と電気伝導度が得られるとともに、蒸着やイオンプレーティング、スパッタリング法等によって容易に成膜することが可能である。
エレクトロクロミック層の形成に用いられるエレクトロクロミック化合物(エレクトロクロミック化合物)としては、表示電極と対向電極との間の電圧印加に基づく、酸化・還元反応により色の変化を起こす材料が用いられ、このような材料として、ポリマー系、色素系、金属錯体、金属酸化物等のエレクトロクロミック化合物を用いることが可能である。
無機エレクトロクロミック化合物の例としては、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化イリジウム、酸化チタンなどが挙げられる。
また、有機エレクトロクロミック化合物(色素系のエレクトロクロミック化合物あるいはポリマー系)の例としては、ビオロゲン系、希土類フタロシアニン系、スチリル系、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、スチリル系、スピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系、等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物や、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性高分子化合物などが挙げられる。更にこれらをポリメチルメタアクリレートなどのアクリル樹脂や、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール等のマトリクス材料と混合させた混合物も適用可能である。つまり、無機エレクトロクロミック化合物や、有機エレクトロクロミック化合物のいずれも用いることが可能である。
半導体性微粒子としてはナノ構造半導体材料などが用いられ、特に限定されるものではないが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ケイ素(シリカ)、酸化イットリウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケート等を主成分とする金属酸化物などが挙げられる。また、これらの金属酸化物は、単独で用いられてもよく、2種以上が混合され用いられてもよい。電気伝導性等の電気的特性や光学的性質等の物理的特性を鑑みるに、ナノ構造半導体材料の材料として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステンから選ばれる一種、もしくはそれらの混合物が用いられたとき、発色または消色の応答速度に優れた多色表示が可能である。また、ナノ構造半導体材料の形状は、特に限定されるものではないが、エレクトロクロミック化合物を効率よく担持するために、単位体積当たりの表面積(以下比表面積)が大きい形状が好ましく用いられる。大きな比表面積を有することにより効率的にエレクトロクロミック化合物が担持される。
微粒子に担持されてなるエレクトロクロミック層の好ましい膜厚は、限定されるものではないが、0.2〜5.0μmである。0.2μmよりも膜厚が薄い場合、発色濃度を得にくくなる。また、5.0μmよりも膜厚が厚い場合、製造コストが増大すると共に、着色によって視認性が低下しやすい。
電解質層を構成する材料としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。
具体的には、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3COO、KCl、NaClO3、NaCl、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(ClO4)2、Mg(BF4)などを用いることができ、また、イオン性液体等も好適に用いることができる。
なお、電極界面における静電容量としては、イオン半径が小さいものほど概ね大きくなることが確認されており、また溶媒はメモリー特性を考慮すると粘度の高いものを選択することが好ましい。更に、電解質としては、溶媒中での解離度が高く、解離したイオンが分解などの副反応を受けにくいことも要求されるが、これらは素子の用途によって適宜選択することが望ましい。
具体的には、白色顔料粒子を電解質中に分散させたり、あるいは、白色顔料粒子を分散した樹脂を対向電極上に塗布する(白色反射層を設ける)こと等によって実施することが可能である。白色の粒子としては、白色顔料粒子、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、シリカ、酸化セシウム、酸化イットリウム等を用いることができる。
次に、対向電極の構成について説明する。
前述のように、本発明における対向電極は、その表面が平均粒径15nm以上25nm以下の微粒子および該微粒子の凝集体組織構造により形成された凹凸形状を有することを特徴としている。ここで電極そのものは異なる導電材料を二種以上積層した構成であっても構わない。
なお、電極が異なる導電材料を二種以上積層した構成である場合は、その最表面が平均粒径15nm以上25nm以下の微粒子および該微粒子の凝集体組織構造により形成された凹凸形状を有することが好ましい。
一方、本発明のように対向電極表面上に平均粒径15nm以上25nm以下の微粒子および該微粒子の凝集体組織構造により形成された凹凸形状を有すれば、表面積の拡大が図れ、しかも対向電極の密度を減少させることがないため、最も効率的にメモリ特性を改善することができる。
図2は、本発明に係る単色表示型のエレクトロクロミック表示素子を説明するための構成例を示す概略断面図である。
図2において、単色表示型のエレクトロクロミック表示素子(20)は、表示電極〔透明電極a〕(22)が形成されている透明支持基板(21)と、表示電極(22)に対して、所定の間隔を隔てて対向して設けられている対向電極〔電極b〕(27)が形成されている支持基板(26)と、表示電極(22)に接して設けられたエレクトロクロミック層(25)と、表示電極(22)と対向電極(27)とに挟まれるように設けられた電解質層(28)とを有し封止剤(60)により密着形成されている。封止剤(60)は、スペーサとしての役割も担う。なお、エレクトロクロミック層(25)は、多孔質電極(23)にエレクトロクロミック化合物(24)を担持させたものである。また、対向電極(27)は、その表面が平均粒径15nm以上25nm以下の微粒子および該微粒子の凝集体組織構造により形成された凹凸形状を成す。符号29aは表示電極側の電極端子、29bは対向電極側の電極端子を示す。
図3は、本発明に係る多色表示型のエレクトロクロミック表示素子を説明するための構成例を示す概略断面図である。
即ち、多色表示型のエレクトロクロミック素子(30)は、第1の表示電極(32a)が形成されている表示電極側の支持基板(31)と、所定の間隔を隔てて対向して設けられている対向電極(37)が形成されている対向電極側の支持基板(36)と、第1の表示電極(32a)、第2の表示電極(32b)および第3の表示電極(32c)の各表示電極に接して設けられた、第1のエレクトロクロミック層(35a)、第2のエレクトロクロミック層(35b)および第3のエレクトロクロミック層(35c)と、表示電極間の絶縁性を確保するためにエレクトロクロミック層に接して形成された、絶縁層(41a、41bとからなり、白色微粒子(42)と電解質層(38)を挟んで対向電極とスペーサである封止剤(43)により密着形成されている。なお、各エレクトロクロミック層(35a、35b、35c)は、多孔質電極[第1の多孔質電極(33a)、第2の多孔質電極(33b)、第3の多孔質電極(33c)]にエレクトロクロミック化合物[第1のエレクトロクロミック化合物(34a)、第2のエレクトロクロミック化合物(34b)、第3のエレクトロクロミック化合物(34c)]を担持させたものである。符号39aは第1の表示電極側の電極端子、39bは第2の表示電極側の電極端子、39cは第3の表示電極側の電極端子、39dは対向電極側の電極端子を示す。
前記各エレクトロクロミック層に、減法混色の三原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)を発色するエレクトロクロミック化合物を用い、各表示電極に印加する電圧を制御することで多色表示(カラー表示を行うこと)が可能となる。この場合、全てのエレクトロクロミック層を発色させC、M、Yを混色させると黒色が表示され、白色においては、例えば、上記のように電解質層に白色微粒子(白色顔料粒子等)を分散させるなどして予め背景色を白色に構成しておき、全てのエレクトロクロミック層を消色させることで、背景色である白色が表示される。
先ず、下記処方および条件で、透明支持基板上に透明導電材料からなる表示電極と、酸化チタンからなる多孔質層を形成して表示電極構造体を作製した。
〔表示電極構造体の作製〕
透明支持基板として40mm×40mm×1.1mm(板厚)のガラス基板を用意し、このガラス基板上に、インジウムをドープした酸化スズ膜(ITO膜)をスパッタリング法により形成した。次に、形成したITO膜の表面をUVオゾン法により表面処理を施して後、酸化チタン(テイカ製チタニアゾル TKS−203 TiO2−19.9wt%)1000nmをスピンコートした。スピンコートの後、120℃ホットプレート上で数秒間予備乾燥させ、次いで電気炉で550℃、1.5時間かけて酸化チタンを焼結することで、最終的に酸化チタンの多孔質電極が形成された表示電極構造体(ITO表示電極)を得た。
下記構造式(1)で示される有機エレクトロクロミック化合物を、濃度が5mMとなるよう水に溶解して有機エレクトロクロミック化合物含有溶液を調整した。得られた有機エレクトロクロミック化合物含有溶液中に前記表示電極構造体(ITO表示電極)を80℃の高温槽内で1時間浸漬させ、下記構造式(1)で示される有機エレクトロクロミック化合物を表示電極上の多孔質電極に吸着させた。有機エレクトロクロミック化合物が多孔質電極に吸着後、水およびイソプロパノールで洗浄処理を行い、乾燥を行った。
支持基板として40mm×40mm×1.1mm(板厚)のガラス基板を用意し、このガラス基板表面を研磨処理することで所定の凹凸形状を形成させた後、インジウムをドープした酸化スズ膜(ITO膜)をスパッタ法により形成することで対向電極とした。
作製した対向電極の表面をAFM観察した結果(対向電極表面のAFM観察写真およびAFMより得られた誤差信号から解析により求めた断面プロファイル)を図4に示す。図4に示すように、対向電極表面は平均粒径18nmの微粒子および該微粒子の凝集体組織構造により形成された凹凸形状を有することが観察された。
AFMによる表面形状の観察には、走査型電子顕微鏡JSM−7400F(日本電子製)および走査型プローブ顕微鏡SPI3800N(セイコーインスツルメンツ製)を用いた。下記表1に実施例1で作製した対向電極表面の平均粒径とAFM観察結果の対応図番号をまとめて示す。
電解質層に用いる電解質として、過塩素酸テトラブチルアンモニウム(和光製)を支持電解質とし、これをポリエチレングリコール(ポリエチレングリコール200:東京化成製)に溶解させた溶液を用いた。ポリエチレングリコール溶液(電解液)中における過塩素酸テトラブチルアンモニウムの濃度は0.2mMに調整した。
上記のようにして作製した表示電極と対向電極とを、均一な電極間隔を保つために12μm径のファイバーシリカを含有したエポキシ系UV硬化型接着剤(長瀬ケムテックス社製)で貼り合わせて図2に示した構成と同様の単色表示型エレクトロクロミック表示素子(表示素子1)を作製した。UV硬化型接着剤の硬化処理は、出力50mW/cm2(測定波長360nm)のUV光を3分間照射することで行った。また、電解液の注入は、表示電極と対向電極の両電極を貼り合せる際に行った。
作製した表示素子1の特性評価を下記条件にて実施した。
即ち、表示素子1(略、素子)に5mAの電流を4秒間流し、有機エレクトロクロミック化合物を十分に発色させた後、素子を閉回路とし、発色状態が持続する時間を比較することで行った。
〈測定装置〉
電流の制御:ポテンショメータとしてBAS社製ALS電気化学アナライザー(モデル660C)を用いた。
吸光度の測定:Ocean Optics社製ファイバマルチチャネル分光器を用いた。
上記評価結果から、表面に微細な凹凸形状を有す表示素子1により、良好なメモリー特性が得られた。
対向電極の支持基板表面を研磨処理することで、実施例1よりも粒子形状の大きな凹凸形状を形成させるように変更した以外は、実施例1と同様にしてエレクトロクロミック表示素子(表示素子2)を作製した。
作製した対向電極の表面をAFM観察した結果(対向電極表面のAFM観察写真およびAFMより得られた誤差信号から解析により求めた断面プロファイル)を図5に示す。図5に示すように、対向電極表面は平均粒径19nmの微粒子および該微粒子の凝集体組織構造により形成された凹凸形状を有することが観察された。下記表1に実施例2で作製した対向電極表面の平均粒径とAFM観察結果の対応図番号をまとめて示す。
作製した表示素子2のメモリー特性を実施例1と同様にして評価した。
測定の結果、吸光度減衰率が−50%以上となるまでの時間は1時間以上も続くことが確認された。図10に吸光度測定により得られた吸光度減衰率を示す。
上記評価結果から、表面に実施例1よりも微細な凹凸形状を有す表示素子2により、メモリー特性の更なる良好な結果を得ることができた。
対向電極の支持基板表面を研磨処理することで、実施例2よりも更に粒子形状の大きな凹凸形状を形成させるように変更した以外は、実施例2と同様にしてエレクトロクロミック表示素子(表示素子3)を作製した。
作製した対向電極の表面をAFM観察した結果(対向電極表面のAFM観察写真およびAFMより得られた誤差信号から解析により求めた断面プロファイル)を図6に示す。図6に示すように、対向電極表面は平均粒径23nmの微粒子および該微粒子の凝集体組織構造により形成された凹凸形状を有することが観察されたが、実施例1および実施例2と比較すると、粒子形状が大きくなることで表面の凹凸形状が不明瞭となる傾向があることも観察された。下記表1に実施例3で作製した対向電極表面の平均粒径とAFM観察結果の対応図番号をまとめて示す。
作製した表示素子3のメモリー特性を実施例1と同様にして評価した。
測定の結果、吸光度減衰率が−50%以上となるまでの時間は10分以上続くことが確認された。
複数の透明導電材料と複数の表示電極の各表面にエレクトロクロミック層を有するエレクトロクロミック表示素子を下記により作製した(図3と同様の構成)。
なお、本発明の対向電極によるメモリー特性の評価に供するエレクトロクロミック表示素子として、異なる有機エレクトロクロミック化合物を用いて多色表示とするまでもなく、原理的な構成モデルとして同じであることから、各エレクトロクロミック層の形成には前記構造式(1)で示される有機エレクトロクロミック化合物を共通して用いた。
実施例1と同様のITO膜(第1の表示電極)上に、前記構造式(1)で示される有機エレクトロクロミック化合物を5wt%含有する2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液と、酸化チタンナノ粒子分散液(SP210:昭和タイタニウム社製)とを2.4/4の比率(重量比)で混合したエレクトロクロミック層用塗布液をスピンコート法により塗布し、120℃で10分間アニール処理を行うことにより、第1のエレクトロクロミック層を形成した。
次に、形成した第1のエレクトロクロミック層上に、ポリ−N−ビニルアミドの0.1wt%エタノール溶液、ポリビニルアルコールの0.5wt%水溶液をスピンコート法により塗布することで保護層を形成し、更にZnS−SiO2(組成比、8:2)をスパッタ法により20nmの膜厚になるよう成膜することで無機絶縁層を形成した。
次いで、無機絶縁層上に、スパッタリング法により、厚さが100nmのITO膜を形成して、第2の表示電極を作製した。
第2の表示電極上に、前記エレクトロクロミック層用塗布液をスピンコート法により塗布し、120℃で10分間アニール処理を行うことにより、第2のエレクトロクロミック層を形成した。
次に、第2のエレクトロクロミック層上に、ポリ−N−ビニルアミドの0.1wt%エタノール溶液、ポリビニルアルコールの0.5wt%水溶液をスピンコート法により塗布して、保護層を形成し、更にZnS−SiO2(組成比、8:2)をスパッタ法により20nmの膜厚になるよう成膜して無機絶縁層を形成した。形成された無機絶縁層上に、スパッタリング法により、厚さが100nmのITO膜を形成して、第3の表示電極を作製した。
次に、第3の表示電極上に、前記エレクトロクロミック層用塗布液をスピンコート法により塗布し、120℃で10分間アニール処理を行うことにより、第3のエレクトロクロミック層を形成した。
上記のようにして作製した表示電極構造体と実施例3と同じ構成の対向電極(図7に対向電極表面のAFM観察写真およびAFMより得られた誤差信号から解析により求めた断面プロファイルを示す。)とを、均一な電極間隔を保つために12μm径のファイバーシリカを含有したエポキシ系UV硬化型接着剤(長瀬ケムテックス社製)で貼り合わせて図3に示した構成と同様のエレクトロクロミック表示素子(表示素子4)を作製した。なお、電解液には、過塩素酸クロライドを炭酸プロピレン0.1Mに溶解させた溶液に一次粒径300nmの酸化チタン粒子(石原産業株式会社製)を35wt%分散させたものを用い、表示電極と対向電極の両電極を貼り合せる際に注入し、セル内に封入した。UV硬化型接着剤の硬化処理は、出力50mW/cm2(測定波長360nm)のUV光を3分間照射することで行った。下記表1に実施例4で作製した対向電極表面の平均粒径とAFM観察結果の対応図番号をまとめて示す。
作製した表示素子4のメモリー特性を実施例3と同様にして評価した。
測定の結果、吸光度減衰率が−50%以上となるまでの時間は10分以上続くことが確認された。上記評価結果から、表面に微細な凹凸形状を有す対向電極を有す表示素子4により、良好なメモリー特性を得られることがわかった。
実施例1において、対向電極の構成を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして対向電極を作製し、これを用いてエレクトロクロミック表示素子(比較表示素子1)を作製した。
〔対向電極の作製〕
支持基板として40mm×40mm×1.1mm(板厚)のガラス基板を用意し、このガラス基板表面を研磨処理することで所定の凹凸形状を形成させた後、インジウムをドープした酸化スズ膜(ITO膜)をスパッタ法により形成することで対向電極とした。
作製した対向電極の表面をAFM観察した結果(対向電極表面のAFM観察写真およびAFMより得られた誤差信号から解析により求めた断面プロファイル)を図8に示す。図8に示すように、対向電極表面は平均粒径12nmの微粒子および該微粒子の凝集体組織構造により形成された凹凸形状を有することが観察された。下記表1に比較例1で作製した対向電極表面の平均粒径とAFM観察結果の対応図番号をまとめて示す。
作製した比較表示素子1のメモリー特性を実施例1と同様にして評価した。
測定の結果、吸光度減衰率が−50%以上となるまでの時間が数分以下となってしまった。図10に吸光度測定により得られた吸光度減衰率を示す。
即ち、上記評価結果から、平均粒径が12nmと非常に小さくなると表面に微細な凹凸形状が形成されなくなり、そのような対向電極を用いた比較表示素子1は、良好なメモリー特性を実現することができない。
実施例1において、対向電極の構成を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして対向電極を作製し、これを用いてエレクトロクロミック表示素子(比較表示素子2)を作製した。
〔対向電極の作製〕
支持基板として40mm×40mm×1.1mm(板厚)のガラス基板を用意し、このガラス基板表面を研磨処理することで所定の凹凸形状を形成させた後、インジウムをドープした酸化スズ膜(ITO膜)をスパッタ法により形成することで対向電極とした。
作製した対向電極の表面をAFM観察した結果(対向電極表面のAFM観察写真およびAFMより得られた誤差信号から解析により求めた断面プロファイル)を図9に示す。図9に示すように、対向電極表面は平均粒径31nmの微粒子および該微粒子の凝集体組織構造により形成された凹凸形状を有することが観察された。下記表1に比較例2で作製した対向電極表面の平均粒径とAFM観察結果の対応図番号をまとめて示す。
作製した比較表示素子2のメモリー特性を実施例1と同様にして評価した。
測定の結果、吸光度減衰率が−50%以上となるまでの時間が数分以下となってしまった。
即ち、上記評価結果から、平均粒径が31nmと大きくなると表面に微細な凹凸形状が形成されなくなり、そのような対向電極を用いた比較表示素子2は、良好なメモリー特性を実現することができない。
10 エレクトロクロミック表示素子
11 表示電極側の支持基板
12 表示電極〔透明電極a〕
13 多孔質電極
14 エレクトロクロミック化合物
15 エレクトロクロミック層
16 対向電極側の支持基板
17 対向電極〔電極b〕
18 電解質層
19a 表示電極側の電極端子
19b 対向電極側の電極端子
50 封止剤
(図2の符号)
20 単色表示型のエレクトロクロミック表示素子
21 透明支持基板
22 表示電極〔透明電極a〕
23 多孔質電極
24 エレクトロクロミック化合物
25 エレクトロクロミック層
26 支持基板
27 対向電極〔電極b〕
28 電解質層
29a 表示電極側の電極端子
29b 対向電極側の電極端子
60 封止剤
(図3の符号)
30 多色表示型のエレクトロクロミック素子
31 表示電極側の支持基板
32a 第1の表示電極
32b 第2の表示電極
32c 第3の表示電極
33a 第1の多孔質電極
33b 第2の多孔質電極
33c 第3の多孔質電極
34a 第1のエレクトロクロミック化合物
34b 第2のエレクトロクロミック化合物
34c 第3のエレクトロクロミック化合物
35a 第1のエレクトロクロミック層
35b 第2のエレクトロクロミック層
35c 第3のエレクトロクロミック層
36 対向電極側の支持基板
37 対向電極
38 電解質層
39a 第1の表示電極側の電極端子
39b 第2の表示電極側の電極端子
39c 第3の表示電極側の電極端子
39d 対向電極側の電極端子
41a、41b 絶縁層
42 白色微粒子
43 封止剤
Claims (2)
- 透明支持基板と、前記透明支持基板上に形成された透明導電材料からなる表示電極と、前記透明支持基板と対向して配置された支持基板と、前記支持基板上に形成された導電材料からなる対向電極と、前記表示電極の対向電極側面に接して設けられたエレクトロクロミック層と、前記表示電極と対向電極との間に収容された電解質層とを備えたエレクトロクロミック表示素子であって、
前記対向電極は、その表面が凹凸形状を有し、かつ平均粒径15nm以上25nm以下の微粒子および該微粒子の凝集体により形成されるとともに、研磨処理した前記支持基板に前記導電材料をスパッタリングすることにより形成されることを特徴とするエレクトロクロミック表示素子。 - 透明支持基板と、前記透明支持基板上に形成され互いに隔離して多層に配置された複数の透明導電材料からなる表示電極と、前記透明支持基板と対向して配置された支持基板と、前記支持基板上に形成された導電材料からなる対向電極と、前記複数の表示電極の各対向電極側面に接して設けられたエレクトロクロミック層と、前記複数の表示電極と対向電極との間に収容された電解質層とを備えたエレクトロクロミック表示素子であって、
前記対向電極は、その表面が凹凸形状を有し、かつ平均粒径15nm以上25nm以下の微粒子および該微粒子の凝集体により形成されるとともに、研磨処理した前記支持基板に前記導電材料をスパッタリングすることにより形成されることを特徴とするエレクトロクロミック表示素子。
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