JP2010230758A - 調光フィルム、合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents
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Abstract
【課題】電圧を印加してから光の透過率の変化が完了するまでの時間が極めて短い調光フィルムを提供する。
【解決手段】電解質、溶媒、及び、バインダー樹脂を含有し、更に、錫ドープ酸化インジウム微粒子又はガリウムドープ酸化亜鉛微粒子のいずれか一方の遮熱性物質を含有する電解質層と、電解質層の少なくとも片面に形成されたエレクトロクロミック層は、芳香族側鎖を有するポリアセチレンであるエレクトロクロミック化合物と、金属粒子又はドープされた導電性高分子の導電性物質とを含有する調光フィルム、及び、調光フィルムからなる合わせガラス用中間膜が、一対の導電膜が形成されているガラス板の間に挟み込まれている合わせガラス。
【選択図】なし
【解決手段】電解質、溶媒、及び、バインダー樹脂を含有し、更に、錫ドープ酸化インジウム微粒子又はガリウムドープ酸化亜鉛微粒子のいずれか一方の遮熱性物質を含有する電解質層と、電解質層の少なくとも片面に形成されたエレクトロクロミック層は、芳香族側鎖を有するポリアセチレンであるエレクトロクロミック化合物と、金属粒子又はドープされた導電性高分子の導電性物質とを含有する調光フィルム、及び、調光フィルムからなる合わせガラス用中間膜が、一対の導電膜が形成されているガラス板の間に挟み込まれている合わせガラス。
【選択図】なし
Description
本発明は、電圧を印加してから光の透過率の変化が完了するまでの時間が極めて短い調光フィルムに関する。また、該調光フィルムからなる合わせガラス用中間膜、該合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスに関する。
電圧を印加することにより光の透過率が変化する調光体は、広く用いられている。
近年、自動車等の車内の温度を制御するために、調光体を合わせガラス用中間膜として用いた合わせガラスが提案されている。このような合わせガラス用中間膜を用いることにより、合わせガラスの光線透過率を制御することができると考えられている。
近年、自動車等の車内の温度を制御するために、調光体を合わせガラス用中間膜として用いた合わせガラスが提案されている。このような合わせガラス用中間膜を用いることにより、合わせガラスの光線透過率を制御することができると考えられている。
上記調光体は、液晶材料を用いた調光体と、エレクトロクロミック化合物を用いた調光体とに大別される。エレクトロクロミック化合物を用いた調光体は、液晶材料を用いた調光体に比べて光散乱が少なく、偏光が少ないという特徴がある。
エレクトロクロミック化合物を用いた調光体として、対向する一対の電極基板の間に、エレクトロクロミック層と電解質層とが挟み込まれている調光体が提案されている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、無機酸化物を含有するエレクトロクロミック層、イオン伝導層、無機酸化物を含有するエレクトロクロミック層の3層が順次積層された積層体が、2枚の導電性基板間に挟み込まれている調光体が開示されている。また、特許文献3及び特許文献4には、対向する一対の電極基板の間に、有機エレクトロクロミック材料を含有するエレクトロクロミック層と電解質層とが挟み込まれている調光体が開示されている。しかしながら、従来の調光体は、応答性が劣るため、電圧を印加しても光の透過率の変化が完了するまでに時間を要するという問題点があった。
本発明は、電圧を印加してから光の透過率の変化が完了するまでの時間が極めて短い調光フィルムを提供することを目的とする。また、該調光フィルムからなる合わせガラス用中間膜、該合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスを提供することを目的とする。
本発明は、電解質層と、前記電解質層の少なくとも片面に形成されたエレクトロクロミック層とを有する調光フィルムであって、前記エレクトロクロミック層は、エレクトロクロミック化合物と導電性物質とを含有する調光フィルムである。
以下に本発明を詳述する。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、エレクトロクロミック層と電解質層との積層体からなる調光フィルムのエレクトロクロミック層に、導電性物質を添加することにより、著しく応答性が高く、電圧を印加してから光の透過率の変化が完了するまでの時間が極めて短い調光フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。エレクトロクロミック層に含まれる導電性物質が電極として作用しているため、エレクトロクロミック層の応答性が向上したのではないかと考えられる。
本発明の調光フィルムは、エレクトロクロミック層と電解質層との積層体である。
上記エレクトロクロミック層は、エレクトロクロミック化合物と導電性物質とを含有する。
上記エレクトロクロミック化合物は、エレクトロクロミック性を有する化合物であれば特に限定されず、無機化合物であってもよく、有機化合物であってもよい。なお、エレクトロクロミック性を有するとは、電圧を印加することにより光の透過率が変化する性質を有することを意味する。
上記エレクトロクロミック層は、エレクトロクロミック化合物と導電性物質とを含有する。
上記エレクトロクロミック化合物は、エレクトロクロミック性を有する化合物であれば特に限定されず、無機化合物であってもよく、有機化合物であってもよい。なお、エレクトロクロミック性を有するとは、電圧を印加することにより光の透過率が変化する性質を有することを意味する。
上記エレクトロクロミック性を有する無機化合物は、例えば、Mo2O3、Ir2O3、NiO、V2O5、WO3等が挙げられる。
上記エレクトロクロミック性を有する有機化合物は、例えば、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェン、金属フタロシアニン、ビオロゲン、ビオロゲン塩、フェロセン、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル等が挙げられる。なかでも、ポリアセチレンが好ましく、芳香族側鎖を有するポリアセチレンがより好ましい。
上記エレクトロクロミック性を有する有機化合物は、例えば、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェン、金属フタロシアニン、ビオロゲン、ビオロゲン塩、フェロセン、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル等が挙げられる。なかでも、ポリアセチレンが好ましく、芳香族側鎖を有するポリアセチレンがより好ましい。
上記芳香族側鎖を有するポリアセチレンは、エレクトロクロミック性を有し、かつ、エレクトロクロミック層の形成が容易である。従って、芳香族側鎖を有するポリアセチレンを用いれば、優れた調光性能を有するエレクトロクロミック層を容易に形成できる。また、芳香族側鎖を有するポリアセチレンは、構造が変化することにより、吸収特性の変化を示す。その結果、吸収スペクトルが近赤外線の波長領域に及ぶため、エレクトロクロミック層は広い波長領域について優れた調光性能を有する。
上記芳香族側鎖を有するポリアセチレンは特に限定されないが、例えば、一置換又は二置換の芳香族を側鎖に有するポリアセチレン等が好適である。
上記芳香族側鎖を構成する置換基は特に限定されないが、例えば、フェニル、p−フルオロフェニル、p−クロロフェニル、p−ブロモフェニル、p−ヨードフェニル、p−ヘキシルフェニル、p−オクチルフェニル、p−シアノフェニル、p−アセトキシフェニル、p−アセトフェニル、ビフェニル、o−(ジメチルフェニルシリル)フェニル、p−(ジメチルフェニルシリル)フェニル、o−(ジフェニルメチルシリル)、p−(ジフェニルメチルシリル)フェニル、o−(トリフェニルシリル)フェニル、p−(トリフェニルシリル)フェニル、o−(トリルジメチルシリル)フェニル、p−(トリルジメチルシリル)フェニル、o−(ベンジルジメチルシリル)フェニル、p−(ベンジルジメチルシリル)フェニル、o−(フェネチルジメチルシリル)フェニル、p−(フェネチルジメチルシリル)フェニル等のフェニル基や、ビフェニル基や、1−ナフチル、2−ナフチル、1−(4−フルオロ)ナフチル、1−(4−クロロ)ナフチル、1−(4−ブロモ)ナフチル、1−(4−ヘキシル)ナフチル、1−(4−オクチル)ナフチル等のナフチル基や、ナフタレン基や、1−アントラセン、1−(4−クロロ)アントラセン、1−(4−オクチル)アントラセン等のアントラセン基や、1−フェナントレン等のフェナントレン基や、1−フルオレン等のフルオレン基や、1−ペリレン等のペリレン基等が挙げられる。
上記エレクトロクロミック層中における上記エレクトロクロミック化合物の濃度は特に限定されないが、好ましい下限は1重量%、好ましい上限は95重量%である。上記エレクトロクロミック化合物の濃度が1重量%未満であると、電圧を印加することにより光の透過率が変化しないことがあり、95重量%を超えると、ガラス板等に対する密着性に劣り合わせガラス用中間膜等の用途に適さなくなることがある。上記エレクトロクロミック化合物の濃度のより好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は90重量%である。
上記導電性物質は、例えば、金属粒子、ドープされた導電性高分子等が挙げられる。
上記金属粒子を構成する金属は、ニッケル、金、銀、銅、白金、パラジウム、アルミニウム、ロジウム、インジウム、イリジウム、スズ、コバルト、亜鉛、これらの合金等が挙げられる。上記金属粒子は、樹脂や無機化合物からなるコアの表面に、上記金属からなる金属層が形成された金属表面粒子であってもよい。
上記ドープされた導電性高分子は、例えば、ポリアセチレン類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリピロール類、これらの混合物等が挙げられる。
上記金属粒子を構成する金属は、ニッケル、金、銀、銅、白金、パラジウム、アルミニウム、ロジウム、インジウム、イリジウム、スズ、コバルト、亜鉛、これらの合金等が挙げられる。上記金属粒子は、樹脂や無機化合物からなるコアの表面に、上記金属からなる金属層が形成された金属表面粒子であってもよい。
上記ドープされた導電性高分子は、例えば、ポリアセチレン類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリピロール類、これらの混合物等が挙げられる。
上記導電性物質として粒子状の導電性物質を用いる場合には、その粒子径は1μm以下であることが好ましい。上記粒子状の導電性物質の粒子径が1μmを超えると、得られるエレクトロクロミック層の表面が必要以上に荒れてしまうことがある。
上記エレクトロクロミック層中における上記導電性物質の濃度は特に限定されないが、好ましい下限は1重量%、好ましい上限は20重量%である。上記導電性物質の濃度が1重量%未満であると、応答性向上効果が得られないことがあり、20重量%を超えると、ヘイズが高くなることがある。上記導電性物質の濃度のより好ましい下限は3重量%、より好ましい上限は10重量%である。
上記エレクトロクロミック層は、更にバインダー樹脂を含有することが好ましい。上記エレクトロクロミック化合物がバインダー樹脂を含有することにより、本発明の調光フィルムを合わせガラス用中間膜として用いたときに、ガラス板や導電膜に対する高い密着性を発揮することができる。また、適度な柔軟性が付与されることから、曲面を有する合わせガラス等に適用しても、調光フィルムが破損することがない。
上記エレクトロクロミック層に用いられるバインダー樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリ三フッ化エチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。なかでも、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、ポリビニルアセタールがより好ましい。特に、透明性が高いエレクトロクロミック層が得られることから、上記バインダー樹脂は、ポリビニルブチラールであることが好ましい。
上記エレクトロクロミック層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.05μm、好ましい上限は2μmである。上記エレクトロクロミック層の厚さが0.05μm未満であると、上記エレクトロクロミック層に電圧を印加しても充分に光の透過率が変化しないことがあり、2μmを超えると、調光フィルムの透明性が低下して、合わせガラス用中間膜等の用途に適さなくなることがある。上記エレクトロクロミック層の厚さのより好ましい下限は0.1μm、より好ましい上限は1μmである。
上記電解質層は、イオンを伝導することにより上記エレクトロクロミック層に電圧を印加する。その結果、上記エレクトロクロミック層の光の透過率が変化する。
上記電解質層は特に限定されないが、例えば、電解質、溶媒、及び、バインダー樹脂を含有する電解質層が好適である。
上記電解質層は特に限定されないが、例えば、電解質、溶媒、及び、バインダー樹脂を含有する電解質層が好適である。
上記電解質は特に限定されず、過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウム、リンフッ化リチウム等の無機酸アニオンリチウム塩や、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム等の有機酸アニオンリチウム塩が挙げられる。
また、上記電解質は、アンモニウムカチオンと、アニオンとの塩であってもよい。上記アンモニウムカチオンは特に限定されず、テトラエチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、メチルプロピルピロリジニウム、メチルブチルピロリジニウム、メチルプロピルピペリジニウム、メチルブチルピペリジニウムなどのアルキルアンモニウムカチオンや、エチルメチルイミダゾリウム、ジメチルエチルイミダゾリウム、メチルピリジニウム、エチルピリジニウム、プロピルピリジニウム、ブチルピリジニウム等が挙げられる。
上記アニオンは特に限定されず、過塩素酸アニオン、ホウフッ化アニオン、リンフッ化アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドアニオン等が挙げられる。
また、上記電解質は、アンモニウムカチオンと、アニオンとの塩であってもよい。上記アンモニウムカチオンは特に限定されず、テトラエチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、メチルプロピルピロリジニウム、メチルブチルピロリジニウム、メチルプロピルピペリジニウム、メチルブチルピペリジニウムなどのアルキルアンモニウムカチオンや、エチルメチルイミダゾリウム、ジメチルエチルイミダゾリウム、メチルピリジニウム、エチルピリジニウム、プロピルピリジニウム、ブチルピリジニウム等が挙げられる。
上記アニオンは特に限定されず、過塩素酸アニオン、ホウフッ化アニオン、リンフッ化アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドアニオン等が挙げられる。
上記電解質層中における上記電解質の濃度は特に限定されないが、好ましい下限は0.5重量%、好ましい上限は30重量%である。上記電解質の濃度が0.5重量%未満であると、イオン伝導性が低くなるため、電圧を印加しても上記エレクトロクロミック層の光の透過率が変化しないことがある。上記電解質の濃度が30重量%を超えると、エレクトロクロミック層の応答性が低くなることがある。上記電解質の濃度のより好ましい下限は1重量%、より好ましい上限は25重量%である。
上記電解質層に用いられる溶媒は特に限定されず、例えば、アセトニトリル、ニトロメタン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン等のエステル類や、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の置換テトラヒドロフラン類や、1,3−ジオキソラン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン、t−ブチルエーテル、イソブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン等のエーテル類や、エチレングリコール、ポリエチレングリコールスルホラン、3−メチルスルホラン、蟻酸メチル、酢酸メチル、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒が挙げられる。
また、上記電解質層に用いられる溶媒として、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、ジヘキシルアジペート(DHA)等の液状可塑剤が挙げられる。上記液状可塑剤を上記溶媒として用いることにより、上記電解質層に柔軟性を付与することができる。
上記電解質層中における上記溶媒の濃度は特に限定されないが、好ましい下限は5重量%、好ましい上限は55重量%である。上記溶媒の濃度が5重量%未満であると、イオン伝導性が低くなるため、電圧を印加しても上記エレクトロクロミック層の光の透過率が変化しないことがある。上記溶媒の濃度が55重量%を超えると、上記電解質層が膜形状を維持できないことがある。上記溶媒の濃度のより好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は50重量%である。
上記電解質層に用いられるバインダー樹脂は特に限定されず、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリ三フッ化エチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。なかでも、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、ポリビニルアセタールがより好ましい。特に、透明性が高い電解質層が得られることから、上記バインダー樹脂は、ポリビニルブチラールであることが好ましい。
上記電解質層中における上記バインダー樹脂の濃度は特に限定されないが、好ましい下限は15重量%、好ましい上限は94.4重量%である。上記バインダー樹脂の濃度が15重量%未満であると、上記電解質層が膜形状を維持できないことがある。上記バインダー樹脂の濃度が94.4重量%を超えると、イオン伝導性が低くなるため、電圧を印加しても上記エレクトロクロミック層の光の透過率が変化しないことがある。
上記電解質層は、遮熱性物質を更に含有することが好ましい。上記電解質層が遮熱性物質を含有することにより、本発明の調光フィルムを合わせガラス用中間膜として用いたときに、高い遮熱性能を発揮することができる。
上記遮熱性物質は、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)微粒子、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)微粒子、アンチモンドープ酸化錫(ATO)微粒子、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)微粒子、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)微粒子、錫ドープ酸化亜鉛微粒子、珪素ドープ酸化亜鉛微粒子、6ホウ化ランタン微粒子及び6ホウ化セリウム微粒子からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。なかでも、特に遮熱性能が高いことから、錫ドープ酸化インジウム(ITO)微粒子又はガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)微粒子のうちいずれか一方であることがより好適である。
上記電解質層中における上記遮熱性物質の濃度は特に限定されないが、好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は5重量%である。上記遮熱性物質の濃度が0.1重量%未満であると、充分な遮熱性能が発揮できないことがあり、5重量%を超えると、イオン伝導性が低くなるため、電圧を印加しても上記エレクトロクロミック層の光の透過率が変化しないことがある。
上記電解質層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.1mm、好ましい上限は3.0mmである。上記電解質層の厚さが0.1mm未満であると、上記エレクトロクロミック層に電圧を印加しても光の透過率が変化しないことがあり、3.0mmを超えると、上記エレクトロクロミック層に電圧を印加した場合、光の透過率の変化速度が低下することがある。上記電解質層の厚さのより好ましい下限は0.3mm、より好ましい上限は1.0mmである。
上記電解質層を形成する方法は特に限定されず、例えば、上記溶媒に上記電解質を溶解した溶液を調製し、得られた溶液を上記バインダー樹脂と混合した後、該混合物を熱プレス等の方法により電解質層を形成する方法等が挙げられる。
本発明の調光フィルムを製造する方法は特に限定されず、例えば、上記エレクトロクロミック化合物とバインダー樹脂とを適当な溶媒に溶解させた溶液を、上記電解質層上に、コーター等を用いて塗工し、乾燥させる方法や、上記エレクトロクロミック化合物を適当な溶媒に溶解させた溶液とバインダー樹脂との混合物を、押出機を用いてエレクトロクロミック層に形成し、上記電解質層上に積層する方法等が挙げられる。
本発明の調光フィルムの用途は特に限定はされず、可視光領域の光の吸収を調整することにより有色の各種フィルタ等の光学部品や、車両用窓材、建築用窓材、眼鏡用材料として用いることができる。また、近赤外線や赤外線領域の透過率を低減させることにより、各種表示パネルの近赤外線吸収フィルタや各種スクリーン、車両用窓材、建築用窓材等に用いることができる。なかでも、調光機能を有する合わせガラス用中間膜として特に好適である。
本発明の調光フィルムからなる合わせガラス用中間膜もまた、本発明の1つである。
本発明の調光フィルムからなる合わせガラス用中間膜もまた、本発明の1つである。
本発明の合わせガラス用中間膜が、一対の導電膜が形成されているガラス板の間に挟み込まれている合わせガラスもまた、本発明の1つである。
本発明の合わせガラスに用いられるガラス板は導電膜が少なくとも片面に形成されていれば特に限定されず、透明導電膜が少なくとも片面に形成されていることが好ましい。上記透明導電膜として、スズドープ酸化インジウム(ITO)膜等が挙げられる。
なお、上記エレクトロクロミック層に含まれる導電性物質は、上記導電膜と接触していることが好ましい。上記導電性物質と上記導電膜とが接触していることにより、上記導電性物質が電極の一部として作用すると考えられるため、電圧を印加してから光の透過率の変化が完了するまでの時間が極めて短い調光フィルムを得ることができる。
本発明の合わせガラスに用いられるガラス板は導電膜が少なくとも片面に形成されていれば特に限定されず、透明導電膜が少なくとも片面に形成されていることが好ましい。上記透明導電膜として、スズドープ酸化インジウム(ITO)膜等が挙げられる。
なお、上記エレクトロクロミック層に含まれる導電性物質は、上記導電膜と接触していることが好ましい。上記導電性物質と上記導電膜とが接触していることにより、上記導電性物質が電極の一部として作用すると考えられるため、電圧を印加してから光の透過率の変化が完了するまでの時間が極めて短い調光フィルムを得ることができる。
上記ガラス板は、一般に使用されている透明板ガラスを使用することができる。例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入りガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、グリーンガラス等の無機ガラスが挙げられる。また、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート等の有機プラスチックス板を用いることもできる。
本発明の合わせガラスは、本発明の合わせガラス用中間膜が、一対の導電膜が形成されているガラス板の間に挟み込まれており、かつ、本発明の合わせガラス用中間膜と、上記導電膜とが接するように配置されていることが好ましい。
本発明によれば、電圧を印加してから光の透過率の変化が完了するまでの時間が極めて短い調光フィルムを提供することができる。また、該調光フィルムからなる合わせガラス用中間膜、該合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスを提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
(1)電解質層の調製
プロピレンカーボネート4gに過塩素酸リチウム0.3gを溶解した電解質溶液を調製した。得られた電解質溶液の全量を、ポリビニルブチラール樹脂10gに添加して混合した後、得られた混合物を熱プレスにて120℃、100kg/cm2の条件で10分間加圧し、厚み0.8mmの電解質層を得た。
(1)電解質層の調製
プロピレンカーボネート4gに過塩素酸リチウム0.3gを溶解した電解質溶液を調製した。得られた電解質溶液の全量を、ポリビニルブチラール樹脂10gに添加して混合した後、得られた混合物を熱プレスにて120℃、100kg/cm2の条件で10分間加圧し、厚み0.8mmの電解質層を得た。
(2)ポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)の調製
窒素雰囲気下−50℃で9−エチニルフェナントレン3gを溶解させたテトラヒドロフラン溶液30mLにノルマルブチルリチウムの1.6mol/Lヘキサン溶液を添加した。次いで、−90℃に冷却後、カリウムターシャリーブトキシド1.8gを溶解させたテトラヒドロフラン溶液15mLを添加し、−80℃で1時間撹拌し、5℃まで昇温した。次いで、−70℃で1−ヨードオクタデカン5.6gを滴下し、−30℃で12時間撹拌した。0℃で水100mLを滴下し、ヘキサンを加え、生成した化合物を抽出した。このヘキサン層を蒸留水300mLで3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで1時間乾燥させ、濾過後、溶媒を留去した。カラム精製後溶媒を留去し、ヘキサンを展開溶媒としてカラム精製することにより3.5gの9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレンを得た。
得られた9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレンについて1H−NMR(270MHz、CDCl3)により分析を行ったところ、δ8.7(2H)、8.5(1H)、8.1(1H)、7.7(4H)、3.7(1H)、3.5(2H)、1.7(2H)、1.6(30H)、1.0(3H)のピークが認められた。
窒素雰囲気下−50℃で9−エチニルフェナントレン3gを溶解させたテトラヒドロフラン溶液30mLにノルマルブチルリチウムの1.6mol/Lヘキサン溶液を添加した。次いで、−90℃に冷却後、カリウムターシャリーブトキシド1.8gを溶解させたテトラヒドロフラン溶液15mLを添加し、−80℃で1時間撹拌し、5℃まで昇温した。次いで、−70℃で1−ヨードオクタデカン5.6gを滴下し、−30℃で12時間撹拌した。0℃で水100mLを滴下し、ヘキサンを加え、生成した化合物を抽出した。このヘキサン層を蒸留水300mLで3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで1時間乾燥させ、濾過後、溶媒を留去した。カラム精製後溶媒を留去し、ヘキサンを展開溶媒としてカラム精製することにより3.5gの9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレンを得た。
得られた9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレンについて1H−NMR(270MHz、CDCl3)により分析を行ったところ、δ8.7(2H)、8.5(1H)、8.1(1H)、7.7(4H)、3.7(1H)、3.5(2H)、1.7(2H)、1.6(30H)、1.0(3H)のピークが認められた。
得られた9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン0.35gをWCl6触媒を用いて重合させ、ポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)0.27gを得た。
(3)調光フィルムの製造
得られたポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)7mgとポリビニルブチラール樹脂3mgとをトルエン0.6mLに溶解し、この溶液に体積平均粒子径が200nmのニッケル微粒子を10mg懸濁させた懸濁液を調製した。
得られた懸濁液を上記電解質層上に乾燥後の厚さが0.5μmとなるようにコントロールコーターで塗布した後、乾燥してエレクトロクロミック層を形成し、調光フィルムを得た。
得られたポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)7mgとポリビニルブチラール樹脂3mgとをトルエン0.6mLに溶解し、この溶液に体積平均粒子径が200nmのニッケル微粒子を10mg懸濁させた懸濁液を調製した。
得られた懸濁液を上記電解質層上に乾燥後の厚さが0.5μmとなるようにコントロールコーターで塗布した後、乾燥してエレクトロクロミック層を形成し、調光フィルムを得た。
(実施例2)
電解質層の調製において、電解質溶液に30mgのITO粒子(体積平均粒子径20nm)を加えた以外は実施例1と同様にして、調光フィルムを得た。
電解質層の調製において、電解質溶液に30mgのITO粒子(体積平均粒子径20nm)を加えた以外は実施例1と同様にして、調光フィルムを得た。
(比較例1)
エレクトロクロミック層の形成において、ニッケル微粒子を配合しなかった以外は実施例1と同様にして、調光フィルムを得た。
エレクトロクロミック層の形成において、ニッケル微粒子を配合しなかった以外は実施例1と同様にして、調光フィルムを得た。
(評価)
85℃に加熱した調光フィルムを、2枚のITO電極が形成されたガラス(縦5×横5cm、10Ω/□)の間に挟み込むことにより合わせガラスを作製した。
得られた合わせガラス(着色状態)に+2Vの電圧を印加し、透過率が完全に変化した状態(完全変化時)の640nmの透過率Tを測定した。その後、合わせガラスに−2Vの電圧を印加し、初期の着色状態に変化させた。更に、合わせガラスに+2Vの電圧を印加し、合わせガラスに+2Vの電圧を印加してから、合わせガラスの640nmの透過率T1が完全変化時の透過率Tの80%になるまでの時間(秒)を測定した。透過率の測定は島津製作所社製分光光度計「UV−3101PC」を用いた。
結果を表1に示した。
85℃に加熱した調光フィルムを、2枚のITO電極が形成されたガラス(縦5×横5cm、10Ω/□)の間に挟み込むことにより合わせガラスを作製した。
得られた合わせガラス(着色状態)に+2Vの電圧を印加し、透過率が完全に変化した状態(完全変化時)の640nmの透過率Tを測定した。その後、合わせガラスに−2Vの電圧を印加し、初期の着色状態に変化させた。更に、合わせガラスに+2Vの電圧を印加し、合わせガラスに+2Vの電圧を印加してから、合わせガラスの640nmの透過率T1が完全変化時の透過率Tの80%になるまでの時間(秒)を測定した。透過率の測定は島津製作所社製分光光度計「UV−3101PC」を用いた。
結果を表1に示した。
本発明によれば、電圧を印加してから光の透過率の変化が完了するまでの時間が極めて短い調光フィルムを提供することができる。また、該調光フィルムからなる合わせガラス用中間膜、該合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスを提供することができる。
Claims (9)
- 電解質層と、前記電解質層の少なくとも片面に形成されたエレクトロクロミック層とを有する調光フィルムであって、前記エレクトロクロミック層は、エレクトロクロミック化合物と導電性物質とを含有することを特徴とする調光フィルム。
- 導電性物質は、金属粒子であることを特徴とする請求項1記載の調光フィルム。
- 導電性物質は、ドープされた導電性高分子であることを特徴とする請求項1記載の調光フィルム。
- エレクトロクロミック化合物は、芳香族側鎖を有するポリアセチレンであることを特徴とする請求項1又は2記載の調光フィルム。
- 電解質層は、電解質、溶媒、及び、バインダー樹脂を含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の調光フィルム。
- 電解質層は、遮熱性物質を更に含有することを特徴とする請求項5記載の調光フィルム。
- 遮熱性物質は、錫ドープ酸化インジウム微粒子又はガリウムドープ酸化亜鉛微粒子のうち、いずれか一方であることを特徴とする請求項6記載の調光フィルム。
- 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の調光フィルムからなることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
- 請求項8記載の合わせガラス用中間膜が、一対の導電膜が形成されているガラス板の間に挟み込まれていることを特徴とする合わせガラス。
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JP2009075618A JP2010230758A (ja) | 2009-03-26 | 2009-03-26 | 調光フィルム、合わせガラス用中間膜及び合わせガラス |
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-
2009
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