JP2013213856A - 調光体の製造方法 - Google Patents

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Atsushi Wada
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Abstract

【課題】光の透過率のバラツキが小さく、電圧を印加して光の透過率を変化させたときにでも変化ムラが発生しにくい調光体を製造する方法を提供する。
【解決手段】電解質層とエレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層とが、少なくとも一方がプラスチックフィルム基板からなる、透明導電膜が形成された一対の基板間に挟持された調光体を製造する方法であって、前記プラスチックフィルム基板の透明導電膜が形成された面上に、エレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層を形成する工程と、前記エレクトロクロミック層が形成された基板の該エレクトロクロミック層側の面に電解質層と他方の基板とを積層する工程とを有する調光体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、光の透過率のバラツキが小さく、電圧を印加して光の透過率を変化させたときにでも変化ムラが発生しにくい調光体を製造する方法に関する。
電圧を印加することにより光の透過率が変化する調光体は、広く用いられている。
上記調光体は、液晶材料を用いた調光体と、エレクトロクロミック化合物を用いた調光体とに大別される。エレクトロクロミック化合物を用いた調光体は、液晶材料を用いた調光体に比べて光散乱が少なく、偏光が少ないという特徴がある。
エレクトロクロミック化合物を用いた調光体として、対向する一対の電極基板の間に、エレクトロクロミック層と電解質層とからなる調光シートが挟み込まれている調光体が提案されている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、無機酸化物を含有するエレクトロクロミック層、イオン伝導層、無機酸化物を含有するエレクトロクロミック層の3層が順次積層された積層体が、2枚の導電性基板間に挟み込まれている調光体が開示されている。また、特許文献3には、対向する一対の電極基板の間に、ポリアセチレン系樹脂からなる有機エレクトロクロミック層と電解質層とが挟み込まれている調光体が開示されている。
しかしながら、従来の調光体では、面内において光の透過率にバラツキがあったり、特に電圧を印加して光の透過率を変化させたときの変化にムラが生じてしまったりすることがあるという問題があった。
特開2004−062030号公報 特開2005−062772号公報 特開2011−70100号公報
本発明は、光の透過率のバラツキが小さく、電圧を印加して光の透過率を変化させたときにでも変化ムラが発生しにくい調光体を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、電解質層とエレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層とが、少なくとも一方がプラスチックフィルム基板からなる、透明導電膜が形成された一対の基板間に挟持された調光体を製造する方法であって、前記プラスチックフィルム基板の透明導電膜が形成された面上に、エレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層を形成する工程と、前記エレクトロクロミック層が形成された基板の該エレクトロクロミック層側の面に電解質層と他方の基板とを積層する工程とを有する調光体の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本願の発明者らは、光の透過率のバラツキや、特に調光体に電圧を印加して光の透過率を変化させたときに変化ムラが発生する原因を検討した。その結果、従来の調光体ではエレクトロクロミック層の厚さ等にバラツキがあったことが原因であることを見出した。更に、検討の結果、調光体の製造方法を工夫することで、変化ムラの発生を効果的に抑制できることを見出した。
即ち、従来の調光体の製造方法では、電解質層を形成した後、該電解質層上にエレクトロクロミック層を形成して調光シートを形成し、得られた調光シードを2枚の導電性基板間に挟持する方法が行われていた。しかしながら、エレクトロクロミック層は、数百nmから数μm程度と非常に薄い。このように薄いエレクトロクロミック層を、ゲル等の固体高分子電解質膜や溶液からなる電解質層上へ形成させると、電解質層の厚み誤差の影響を大きく受けてしまう。これによりエレクトロクロミック層の厚さ等にバラツキが発生し、これが光の透過率のバラツキや変化ムラを引き起こしていたものと思われた。
本発明の調光体の製造方法では、一方の基板の透明導電膜が形成された面上にエレクトロクロミック層を形成した後、該エレクトロクロミック層上に電解質層と他方の基板とを積層する。このような方法によれば、厚み誤差の少ない、硬い基板の透明導電膜上に形成されることから、極めて均質にエレクトロクロミック層を形成することが可能となる。
本発明は、電解質層とエレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層とが、少なくとも一方がプラスチックフィルム基板からなる、透明導電膜が形成された一対の基板間に挟持された調光体を製造する方法である。
本発明の調光体の製造方法は、プラスチックフィルム基板の透明導電膜が形成された面上に、エレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層を形成する工程を有する。
上記プラスチックフィルム基板は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート又はポリエーテルサルホンからなる基板が挙げられる。
上記透明導電膜は、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等からなる透明導電膜が挙げられる。
上記エレクトロクロミック化合物は、エレクトロクロミック性を有する化合物であれば無機化合物であってもよく、有機化合物であってもよく、混合原子価錯体であってもよい。なお、エレクトロクロミック性を有するとは、電圧を印加することにより光の透過率が変化する性質を有することを意味する。
上記エレクトロクロミック性を有する無機化合物は、例えば、Mo、Ir、NiO、V、WO等が挙げられる。
上記エレクトロクロミック性を有する有機化合物は、例えば、ポリピロール化合物、ポリチオフェン化合物、ポリパラフェニレンビニレン化合物、ポリアニリン化合物、ポリアセチレン化合物、ポリエチレンジオキシチオフェン化合物、金属フタロシアニン化合物、ビオロゲン化合物、ビオロゲン塩化合物、フェロセン化合物、テレフタル酸ジメチル化合物、テレフタル酸ジエチル化合物等が挙げられる。なかでも、ポリアセチレン化合物が好ましく、芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物がより好ましい。
上記エレクトロクロミック性を有する混合原子価錯体は、例えばプルシアンブルー型錯体(KFe[Fe(CN)]等)が挙げられる。
上記芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物は、エレクトロクロミック性と導電性とを有し、かつ、エレクトロクロミック層の形成が容易である。従って、芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物を用いれば、優れた調光性能を有するエレクトロクロミック層を容易に形成できる。また、芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物は、構造が変化することにより、吸収特性の変化を示す。その結果、吸収スペクトルが近赤外線の波長領域に及ぶため、エレクトロクロミック層は広い波長領域について優れた調光性能を有する。
上記芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物としては、例えば、一置換又は二置換の芳香族を側鎖に有するポリアセチレン化合物等が好適である。
上記芳香族側鎖を構成する置換基としては、例えば、フェニル、p−フルオロフェニル、p−クロロフェニル、p−ブロモフェニル、p−ヨードフェニル、p−ヘキシルフェニル、p−オクチルフェニル、p−シアノフェニル、p−アセトキシフェニル、p−アセトフェニル、ビフェニル、o−(ジメチルフェニルシリル)フェニル、p−(ジメチルフェニルシリル)フェニル、o−(ジフェニルメチルシリル)、p−(ジフェニルメチルシリル)フェニル、o−(トリフェニルシリル)フェニル、p−(トリフェニルシリル)フェニル、o−(トリルジメチルシリル)フェニル、p−(トリルジメチルシリル)フェニル、o−(ベンジルジメチルシリル)フェニル、p−(ベンジルジメチルシリル)フェニル、o−(フェネチルジメチルシリル)フェニル、p−(フェネチルジメチルシリル)フェニル等のフェニル基や、ビフェニル基や、1−ナフチル、2−ナフチル、1−(4−フルオロ)ナフチル、1−(4−クロロ)ナフチル、1−(4−ブロモ)ナフチル、1−(4−ヘキシル)ナフチル、1−(4−オクチル)ナフチル等のナフチル基や、ナフタレン基や、1−アントラセン、1−(4−クロロ)アントラセン、1−(4−オクチル)アントラセン等のアントラセン基や、1−フェナントレン等のフェナントレン基や、1−フルオレン等のフルオレン基や、1−ペリレン等のペリレン基等が挙げられる。
上記エレクトロクロミック層は、熱線吸収剤や接着力調整剤を含有してもよい。上記熱線吸収剤は、後述する電解質層に含有される熱線吸収剤と同様の熱線吸収剤を用いることができる。上記接着力調整剤は、後述する電解質層に含有される接着力調整剤と同様の接着力調整剤を用いることができる。
上記基板の透明導電膜が形成された面上に、エレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層を形成する方法としては、例えば、上記エレクトロクロミック化合物を有機溶剤に溶解させた溶液を調製し、得られた溶液を上記基板の透明導電膜が形成された面上に塗布し、有機溶剤を揮発させる方法が挙げられる。
上記エレクトロクロミック層の厚さは、好ましい下限が0.05μm、好ましい上限が2μmである。上記エレクトロクロミック層の厚さが0.05μm未満であると、上記エレクトロクロミック層に電圧を印加しても充分に光の透過率が変化しないことがあり、2μmを超えると、調光シート又は合わせガラス用中間膜の透明性が低下することがある。上記エレクトロクロミック層の厚さのより好ましい下限は0.1μm、より好ましい上限は1μmである。
本発明の調光体の製造方法は、上記工程で得られたエレクトロクロミック層が形成された基板の該エレクトロクロミック層側の面に電解質層と他方の基板とを積層する工程を有する。
上記電解質層は、イオンを伝導することにより上記エレクトロクロミック層に電圧を印加し、エレクトロクロミック層を透過する光の波長を変化させる役割を有する。
上記電解質層は、バインダー樹脂と支持電解質とを含有する。
上記バインダー樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリ三フッ化エチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。なかでも、ビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、ビニルアセタール樹脂がより好ましい。
上記ビニルアセタール樹脂は、透明性が高い電解質層が得られることから、炭素数が4又は5のアルデヒドによりポリビニルアルコール樹脂をアセタール化して得られたビニルアセタール樹脂が好適である。
上記ポリビニルアルコール樹脂の平均重合度の好ましい下限は500、好ましい上限は5000である。上記ポリビニルアルコール樹脂の重合度が500未満であると、上記電解質層の形状を維持できないことがあり、5000を超えると、イオン伝導性が低くなって、電圧を印加してもエレクトロクロミック層の光の透過率が変化しないことがある。
上記ビニルアセタール樹脂は、アセチル基量が15mol%以下であることが好ましい。上記ビニルアセタール樹脂のアセチル基量が15mol%を超えると、疎水性が低くなりすぎ、電解質層の白化の原因となることがある。
上記ビニルアセタール樹脂は、水酸基量が30mol%以下であることが好ましい。上記ビニルアセタール樹脂の水酸基量が30mol%を超えると、上記可塑剤との相溶性が低下し、電解質層の透明性が低下することがある。
なお、上記アセチル基量及び上記水酸基量は、JIS K 6728に準じて、滴定法により求めることができる。
上記支持電解質としては、過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウム、リンフッ化リチウム等の無機酸アニオンリチウム塩や、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム等の有機酸アニオンリチウム塩が挙げられる。
上記支持電解質は、アンモニウムカチオンと、アニオンとの塩であってもよい。
上記アンモニウムカチオンとしては、例えば、テトラエチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、メチルプロピルピロリジニウム、メチルブチルピロリジニウム、メチルプロピルピペリジニウム、メチルブチルピペリジニウム等のアルキルアンモニウムカチオンや、エチルメチルイミダゾリウム、ジメチルエチルイミダゾリウム、メチルピリジニウム、エチルピリジニウム、プロピルピリジニウム、ブチルピリジニウム等が挙げられる。
上記アニオンとしては、過塩素酸アニオン、ホウフッ化物アニオン、リンフッ化物アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドアニオン等が挙げられる。
上記電解質層中における上記支持電解質の配合量は、上記バインダー樹脂100重量部に対する好ましい下限が3重量部、好ましい上限が60重量部である。上記支持電解質の配合量が3重量部未満であると、イオン伝導性が低くなって、電圧を印加してもエレクトロクロミック層の光の透過率が変化しないことがあり、60重量部を超えると、エレクトロクロミック層の応答性が低くなることがある。上記支持電解質の配合量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は50重量部である。
上記電解質層は、可塑剤を含有してもよい。上記電解質層が可塑剤を含有することにより、柔軟性が付与される。
上記可塑剤としては、例えば、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、ジヘキシルアジペート(DHA)等が挙げられる。
上記電解質層中における上記可塑剤の配合量は、上記バインダー樹脂100重量部に対する好ましい下限が30重量部、好ましい上限が150重量部である。上記可塑剤の配合量が30重量部未満であると、イオン伝導性が低くなって、電圧を印加してもエレクトロクロミック層の光の透過率が変化しないことがあり、150重量部を超えると、電解質層が形状を維持できないことがある。上記可塑剤の配合量のより好ましい下限は50重量部、より好ましい上限は100重量部である。
上記電解質層は溶媒を含有してもよい。
上記溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ニトロメタン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン等のエステル類や、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の置換テトラヒドロフラン類や、1,3−ジオキソラン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン、t−ブチルエーテル、イソブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン等のエーテル類や、エチレングリコール、ポリエチレングリコールスルホラン、3−メチルスルホラン、蟻酸メチル、酢酸メチル、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒が挙げられる。
上記電解質層は熱線吸収剤を含有してもよい。
上記熱線吸収剤としては、錫ドープ酸化インジウム粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子、亜鉛以外の元素がドープされた酸化亜鉛粒子、六ホウ化ランタン粒子、アンチモン酸亜鉛粒子、及び、フタロシアニン構造を有する赤外線吸収剤からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。
上記電解質層は接着力調整剤を含有してもよい。
上記接着力調整剤は、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。なかでも、炭素数2〜16のカルボン酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が好適であり、具体的には例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、2−エチルブタン酸マグネシウム、2−エチルブタン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。これらの接着力調整剤は単独で用いられてもよく、併用されてもよい。電解質層にバインダー樹脂としてビニルアセタール樹脂を含有する場合、電解質層は接着力調整剤を含有することが好ましい。
上記電解質層は、エレクトロクロミック層と接する側とは反対側の面に混合原子価錯体を含有する対極層を有してもよい。電解質層の一方の面にエレクトロクロミック層が、他方の面に対極層があることにより、著しく応答性が高く、電圧を印加してから透過する光の波長の変化が完了するまでの時間が極めて短い調光体が得られる。これは、電解質層の一方の面側のエレクトロクロミック層と他方の面側の対極層との酸化還元反応が対になるため、透過する光の波長の変化に必要な酸化還元電位を低下させることができるためであると考えられる。
上記混合原子価錯体は、金属元素とシアノ基とを有する化合物であることが好ましく、鉄等の金属元素とシアノ基とを有する化合物であることがより好ましい。
上記混合原子価錯体として、例えば、ハロゲン化フタロシアニンやプルシアンブルー型錯体(KFe[Fe(CN)]等)が挙げられる。なかでも、ハロゲン化フタロシアニンを用いた場合には、電圧を印加してから透過する光の波長の変化が完了するまでの時間が極めて短いだけでなく、耐光性に優れる調光体が得られる。
上記ハロゲン化フタロシアニンとしては、中心金属として金属原子を含有することが好ましい。上記ハロゲン化フタロシアニンが中心金属として金属原子を含有することにより、電圧を印加してから透過する光の波長の変化が完了するまでの時間が極めて短く、耐光性に優れる調光体が得られる。
上記金属原子は、例えば、銅、コバルト、ニッケル、鉄、ベリリウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、白金、パラジウム、鉛、ビスマス、ケイ素等や、酸素や塩素等の軸配位子を持つバナジウムやチタン等が挙げられる。なかでも、電圧を印加してから透過する光の波長の変化が完了するまでの時間がより短く、より耐光性に優れる調光体が得られることから、銅を中心金属とすることが好ましい。
上記ハロゲン化フタロシアニンは、フッ素化フタロシアニン、塩素化フタロシアニン又は臭素化フタロシアニンであることが好ましく、銅を含有するフッ素化フタロシアニン、銅を含有する塩素化フタロシアニン又は銅を含有する臭素化フタロシアニンであることがより好ましい。
上記プルシアンブルー型錯体は、鉄原子の一部が鉄原子以外の原子に置換されていてもよい。
上記対極層はバインダー樹脂を含有してもよい。上記バインダー樹脂は上記電解質層に含まれるバインダー樹脂と同様のバインダー樹脂を用いることができる。
上記対極層の厚さは、好ましい下限が0.05μm、好ましい上限が2μmである。上記対極層の厚さが0.05μm以上であると、電圧を印加してから透過する光の波長の変化が完了するまでの時間がより一層短くなり、2μm以下であると、調光体の透明性が高くなる。上記対極層の厚さのより好ましい下限は0.1μm、より好ましい上限は1μmである。
上記電解質層を形成する方法としては、例えば、上記可塑剤に上記支持電解質を溶解した溶液を調製し、得られた溶液を上記バインダー樹脂と混合した後、該混合物を熱プレス等の方法により圧延して電解質層を形成する方法や、該混合物を押出機により押出成形し電解質層を形成する方法等が挙げられる。
上記混合原子価錯体を水や有機溶剤に分散させる方法としては、例えば、サンドミル、ビーズミル、ミキサー、超音波による分散等の公知の方法で上記混合原子価錯体を粒子化して分散液を調製する方法等が挙げられる。
上記電解質層の厚さは、好ましい下限が0.1mm、好ましい上限が3.0mmである。上記電解質層の厚さが0.1mm未満であると、上記エレクトロクロミック層に電圧を印加しても光の透過率が変化しないことがあり、3.0mmを超えると、上記エレクトロクロミック層に電圧を印加した場合、光の透過率の変化速度が低下することがある。上記電解質層の厚さのより好ましい下限は0.3mm、より好ましい上限は1.0mmである。
このようにして得られた電解質層を、上記エレクトロクロミック層が形成された基板の該エレクトロクロミック層側の面に電解質層を重ね、更に、他方の基板を、該基板上の透明電極層が電解質層側に接するように積層することにより調光体を得ることができる。
上記他方の基板は、上記プラスチックフィルム基板でもよく、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入りガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、グリーンガラス等の無機ガラスからなる基板であってもよい。
本発明によれば、光の透過率のバラツキが小さく、電圧を印加して光の透過率を変化させたときにでも変化ムラが発生しにくい調光体を製造する方法を提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
(1)エレクトロクロミック層の形成
窒素雰囲気下−50℃で9−エチニルフェナントレン3gを溶解させたテトラヒドロフラン溶液30mLにノルマルブチルリチウムの30重量%ヘキサン溶液13.4gを添加した。次いで、−90℃に冷却後、カリウムターシャリーブトキシド1.8gを溶解させたテトラヒドロフラン溶液15mLを添加し、−80℃で1時間撹拌し、5℃まで昇温した。次いで、−70℃で1−ヨードオクタデカン5.6gを滴下し、−30℃で12時間撹拌した。0℃で水100mLを滴下し、ヘキサン300mLを加え、生成した化合物を抽出した。このヘキサン層を蒸留水300mLで3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで1時間乾燥させ、濾過後、溶媒を留去した。カラム精製後溶媒を留去し、ヘキサンを展開溶媒としてカラム精製することにより3.5gの9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレンを得た。
得られた9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン3.5gをトルエン10.5g中でWCl触媒0.2gを用いて重合させ、ポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)2.7gを得た。
得られたポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)により測定した。Waters社製の液体クロマトグラフ装置(Waters2695,RI Waters2410,UV Waters2996)を用い、カラムはShodex社製LF−804を使用した。0.2重量%となるようにクロロホルムに溶解したポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)を100μL注入し、カラム温度40℃で移動相をクロロホルムとして測定を行った。ポリスチレン換算分子量は、数平均分子量14万7千、重量平均分子量31万5千であった。
得られたポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)1重量部を20重量部のトルエンに溶解して溶液を調製した。この溶液をITO導電膜が形成されたポリエチレンテレフタレートからなる基板(表面抵抗100Ω/□)に、トルエンが揮発した後の厚さが1.5μmになるようにダイコーター(伊藤忠マシンテクノス社製)を用いて塗布し、乾燥して、エレクトロクロミック層が形成された基板を得た。
(2)電解質層の調製
溶媒としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート2.38重量部に、支持電解質としてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)0.67重量部を溶解して電解質溶液を調製した。得られた電解質溶液の全量と、バインダー樹脂として、平均重合度が2300であるポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドによりアセタール化して得られたポリビニルブチラール樹脂(アセチル基量13mol%、水酸基量22mol%)5.00重量部とを混合して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ400μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cmの条件で5分間加圧し、厚さ400μmの電解質層を得た。
(3)調光体の製造
得られたエレクトロクロミック層が形成された基板のエレクトロクロミック層側の面に、電解質層とITO導電膜が形成されたガラス基板とを積層して、調光体を得た。
(比較例1)
実施例1と同様の方法により調製したポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)1重量部を20重量部のトルエンに溶解して溶液を調製した。この溶液を実施例1と同様の方法により調製した電解質層の一方の面上に、トルエンが揮発した後の厚さが1.5μmになるようにダイコーター(伊藤忠マシンテクノス社製)を用いて塗布し、乾燥して、エレクトロクロミック層が形成された電解質層を得た。得られたエレクトロクロミック層が形成された電解質層を、ITO導電膜が形成されたポリエチレンテレフタレートからなる基板とITO導電膜が形成されたガラス基板との間に挟持して、調光体を得た。
(評価)
実施例及び比較例で得られた調光体について、以下の評価を行った。
結果を表1に示した。
(1)可視光線透過率のバラツキの評価
得られた調光体について、JIS R 3106に従い、分光光度計(日本分光社製、U4300)を用いて、任意の4点における可視光線透過率を測定した。
得られた可視光線透過率の平均値及び標準偏差σから変動係数Cvを求めた。得られた変動係数Cvが40%未満の場合を「○」、40%以上の場合を「×」として、可視光線透過率のバラツキを評価した。
(2)変化ムラの評価
完全に着色した状態の調光体に+2Vの電圧を印加し、電圧を印加してからの消色変化、及び、完全に消色した状態の調光体に−2Vの電圧を印加し、電圧を印加してからの着色変化にムラがあるかを目視にて評価した。変化ムラが認められない場合や変化ムラが認められた場合でも左右対称のムラであった場合を「○」、左右非対称のムラが認められた場合を「×」と評価した。
Figure 2013213856
本発明によれば、光の透過率のバラツキが小さく、電圧を印加して光の透過率を変化させたときにでも変化ムラが発生しにくい調光体を製造する方法を提供することができる。

Claims (2)

  1. 電解質層とエレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層とが、少なくとも一方がプラスチックフィルム基板からなる、透明導電膜が形成された一対の基板間に挟持された調光体を製造する方法であって、
    前記プラスチックフィルム基板の透明導電膜が形成された面上に、エレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層を形成する工程と、
    前記エレクトロクロミック層が形成された基板の該エレクトロクロミック層側の面に電解質層と他方の基板とを積層する工程とを有する
    ことを特徴とする調光体の製造方法。
  2. プラスチックフィルム基板は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート又はポリエーテルサルホンからなることを特徴とする請求項1記載の調光体の製造方法。
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