JP2011257492A - 調光シート、調光体、合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents

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大輔 中島
Atsushi Wada
敦 和田
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Abstract

【課題】電圧の印加により光透過率が変化し、着色時の刺激純度が低い調光シート及び該調光シートを備える調光体を提供する。また、該調光シートを用いた合わせガラス用中間膜及び該合わせガラス用中間膜を備える合わせガラスを提供する。
【解決手段】エレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層と、支持電解質塩とエレクトロクロミック層の色調を補正する色調補正剤とを含有する色調補正電解質層とが積層されていることを特徴とする調光シート。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電圧の印加により光透過率が変化し、着色時の刺激純度が低い調光シート及び該調光シートを備える調光体に関する。また、該調光シートを用いた合わせガラス用中間膜及び該合わせガラス用中間膜を備える合わせガラスに関する。
電圧を印加することにより光の透過率が変化する調光体は、広く用いられている。この調光体を建築物等や、電光板等の表示装置に応用することを目的とする検討が重ねられてきた。近年、自動車等の車内の温度を制御するために、調光体を合わせガラス用中間膜として用いた合わせガラスが提案されている。このような合わせガラス用中間膜を用いることにより、合わせガラスの光線透過率を制御することができると考えられている。
上記調光体は、液晶材料を用いた調光体と、エレクトロクロミック化合物を用いた調光体とに大別される。なかでも、エレクトロクロミック化合物を用いた調光体は、液晶材料を用いた調光体に比べて光散乱が少なく、偏光の影響を受けない等の優れた性質を有している。
エレクトロクロミック化合物として、無機エレクトロクロミック化合物と、有機エレクトロクロミック化合物とが知られている。また、有機エレクトロクロミック化合物として、低分子量の有機エレクトロクロミック化合物と、エレクトロクロミック性を示す高分子化合物とが検討されている。
エレクトロクロミック化合物を用いた調光体として、対向する一対の電極基板の間に、エレクトロクロミック層と電解質層とが挟み込まれている調光体が提案されている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、無機酸化物を含有するエレクトロクロミック層、イオン伝導層、無機酸化物を含有するエレクトロクロミック層の3層が順次積層された積層体が、2枚の導電性基板間に挟み込まれている調光体が開示されている。また、特許文献3及び特許文献4には、対向する一対の電極基板の間に、有機エレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層と電解質層とが挟み込まれている調光体が開示されている。
しかしながら、従来の調光体では、電圧の印加により光透過率を変化させたときに刺激純度の高い着色をする、即ち、観察者に不快感を与えやすい着色をするという問題があった。
特開2004−062030号公報 特開2005−062772号公報 特表2002−526801号公報 特表2004−531770号公報
本発明は、電圧の印加により光透過率が変化し、着色時の刺激純度が低い調光シート及び該調光シートを備える調光体を提供することを目的とする。また、該調光シートを用いた合わせガラス用中間膜及び該合わせガラス用中間膜を備える合わせガラスを提供することを目的とする。
本発明1は、エレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層と、支持電解質塩とエレクトロクロミック層の色調を補正する色調補正剤とを含有する色調補正電解質層とが積層されている調光シートである。
本発明2は、エレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層と、支持電解質塩を含有する電解質層と、前記エレクトロクロミック層の色調を補正する色調補正剤を含有する色調補正層とが順次積層されている調光シートである。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、エレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層と支持電解質塩を含有する電解質層とが積層された調光シートにおいて、エレクトロクロミック層の色調を補正する色調補正剤を含有する層を積層することにより、着色時の刺激純度が低い調光シートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明1の調光シートは、エレクトロクロミック層と色調補正電解質層とが積層されている。
上記エレクトロクロミック層は、エレクトロクロミック化合物を含有する。上記エレクトロクロミック層は、酸化により可視光線透過率が増加する性質を有する。上記エレクトロクロミック層はアノードエレクトロクロミック層として作用する。なお、エレクトロクロミック性を有するとは、電圧を印加することにより光の透過率が変化する性質を有することを意味する。
上記エレクトロクロミック化合物は導電性高分子であることが好ましい。
上記導電性高分子は、例えば、ポリピロール化合物、ポリアセチレン化合物、ポリチオフェン化合物、ポリパラフェニレンビニレン化合物、ポリアニリン化合物、ポリアセチレン化合物、ポリエチレンジオキシチオフェン化合物等が挙げられる。なかでも、ポリアセチレン化合物が好ましく、芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物がより好ましい。
上記芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物は、エレクトロクロミック性と導電性とを有し、かつ、エレクトロクロミック層の形成が容易である。従って、芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物を用いれば、優れた調光性能を有するエレクトロクロミック層を容易に形成できる。また、芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物は、構造が変化することにより、吸収特性の変化を示す。その結果、吸収スペクトルが近赤外線の波長領域に及ぶため、エレクトロクロミック層は広い波長領域について優れた調光性能を有する。
上記芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物は特に限定されないが、例えば、一置換又は二置換の芳香族を側鎖に有するポリアセチレン化合物等が好適である。
上記芳香族側鎖を構成する置換基は特に限定されないが、例えば、フェニル、p−フルオロフェニル、p−クロロフェニル、p−ブロモフェニル、p−ヨードフェニル、p−ヘキシルフェニル、p−オクチルフェニル、p−シアノフェニル、p−アセトキシフェニル、p−アセトフェニル、ビフェニル、o−(ジメチルフェニルシリル)フェニル、p−(ジメチルフェニルシリル)フェニル、o−(ジフェニルメチルシリル)、p−(ジフェニルメチルシリル)フェニル、o−(トリフェニルシリル)フェニル、p−(トリフェニルシリル)フェニル、o−(トリルジメチルシリル)フェニル、p−(トリルジメチルシリル)フェニル、o−(ベンジルジメチルシリル)フェニル、p−(ベンジルジメチルシリル)フェニル、o−(フェネチルジメチルシリル)フェニル、p−(フェネチルジメチルシリル)フェニル等のフェニル基や、ビフェニル基や、1−ナフチル、2−ナフチル、1−(4−フルオロ)ナフチル、1−(4−クロロ)ナフチル、1−(4−ブロモ)ナフチル、1−(4−ヘキシル)ナフチル、1−(4−オクチル)ナフチル等のナフチル基や、ナフタレン基や、1−アントラセン、1−(4−クロロ)アントラセン、1−(4−オクチル)アントラセン等のアントラセン基や、1−フェナントレン等のフェナントレン基や、1−フルオレン等のフルオレン基や、1−ペリレン等のペリレン基等が挙げられる。
上記エレクトロクロミック層は、熱線吸収剤や接着力調整剤を含有してもよい。上記熱線吸収剤は、上記電解質層に含有される熱線吸収剤と同様の熱線吸収剤を用いることができる。上記接着力調整剤は、上記電解質層に含有される接着力調整剤と同様の接着力調整剤を用いることができる。
上記エレクトロクロミック層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.05μm、好ましい上限は2μmである。上記エレクトロクロミック層の厚さが0.05μm未満であると、上記エレクトロクロミック層に電圧を印加しても充分に光の透過率が変化しないことがあり、2μmを超えると、調光体の透明性が低下することがある。上記エレクトロクロミック層の厚さのより好ましい下限は0.1μm、より好ましい上限は1μmである。
上記エレクトロクロミック層はバインダー樹脂を含有してもよい。上記バインダー樹脂は後述する色調補正電解質層に含まれるバインダー樹脂と同様のバインダー樹脂を用いることができる。
上記エレクトロクロミック層を形成する方法として、上記導電性高分子を有機溶剤に溶解させた溶液を調製し、得られた溶液を上記電解質層の一方の面に塗布し、有機溶剤を揮発させる方法等が挙げられる。
上記色調補正電解質層は、イオンを伝導することにより上記エレクトロクロミック層に電圧を印加しエレクトロクロミック層の光の透過率を変化させる役割と、エレクトロクロミック層の着色時の刺激純度を低下させる役割とを有する。
上記色調補正電解質層は、支持電解質塩と上記エレクトロクロミック層の色調を補正する色調補正剤とを含有する。上記色調補正電解質層は、更に、バインダー樹脂及び溶媒を含有することが好ましい。
上記支持電解質塩は特に限定されず、例えば、過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウム、リンフッ化リチウム等の無機酸アニオンリチウム塩や、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム等の有機酸アニオンリチウム塩が挙げられる。
上記支持電解質塩は、アンモニウムカチオンと、アニオンとの塩であってもよい。
上記アンモニウムカチオンは特に限定されず、例えば、テトラエチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、メチルプロピルピロリジニウム、メチルブチルピロリジニウム、メチルプロピルピペリジニウム、メチルブチルピペリジニウム等のアルキルアンモニウムカチオンや、エチルメチルイミダゾリウム、ジメチルエチルイミダゾリウム、メチルピリジニウム、エチルピリジニウム、プロピルピリジニウム、ブチルピリジニウム等が挙げられる。
上記アニオンは特に限定されず、例えば、過塩素酸アニオン、ホウフッ化アニオン、リンフッ化アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドアニオン等が挙げられる。
上記電解質層中における上記支持電解質塩の配合量は特に限定されないが、上記バインダー樹脂100重量部に対する好ましい下限は3重量部、好ましい上限は60重量部である。上記支持電解質塩の配合量が3重量部未満であると、イオン伝導性が低くなって、電圧を印加してもエレクトロクロミック層の光の透過率が変化しないことがある。上記支持電解質塩の配合量が60重量部を超えると、エレクトロクロミック層の応答性が低くなることがある。上記支持電解質塩の配合量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は50重量部である。
上記色調補正剤は特に限定されず、例えば、銅フタロシアニン、コバルトフタロシアニン等のフタロシアニン類、アゾ系色素、ブリリアントブルー等のタール色素等の有機着色剤や、酸化金属等の無機着色剤等や、これらの混合物等が挙げられる。
上記色調補正剤は色調補正電解質層中に均一に存在することが好ましいことから、上記溶媒に溶解又は分散することがより好ましい。
上記色調補正電解質層中における上記色調補正剤の配合量は特に限定されないが、上記バインダー樹脂100重量部に対する好ましい下限は0.001重量部、好ましい上限は10重量部である。上記色調補正剤の配合量が0.001重量部未満であると、調光シートの着色時の刺激純度を調整することができないことがある。上記色調補正剤の配合量が10重量部を超えると、エレクトロクロミック層の応答性が低くなったり、色調補正剤の色味が強すぎてエレクトロクロミック層の消色の効果が小さく感じられたりすることがある。上記色調補正剤の配合量のより好ましい下限は0.01重量部、より好ましい上限は1重量部である。
上記バインダー樹脂は特に限定されず、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリ三フッ化エチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。なかでも、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、ポリビニルアセタール樹脂がより好ましい。透明性が高い色調補正電解質層が得られることから、ポリビニルアルコールをアセタール化して得られたポリビニルアセタール樹脂が更に好適である。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂はポリビニルブチラール樹脂であることが好適である。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、アセチル基量が15mol%以下であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量が15mol%を超えると、色調補正電解質層が白化することがある。
上記ポリビニルアセタール樹脂は水酸基量が30mol%以下であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量が30mol%を超えると、上記溶媒との相溶性が低下し、色調補正電解質層の透明性が低下することがある。
なお、上記アセチル基量及び上記水酸基量はJIS K 6728に準拠して、滴定法により求めることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することで得られる。上記アルデヒドは炭素数4又は5のアルデヒドであることが好ましい。上記ポリビニルアルコールの平均重合度の好ましい下限は500、好ましい上限は5000である。上記ポリビニルアルコールの平均重合度が500未満であると、上記電解質層の形状を維持できないことがある。上記ポリビニルアルコールの平均重合度が5000を超えると、イオン伝導性が低くなって、電圧を印加してもエレクトロクロミック層の光の透過率が変化しないことがある。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、GPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算により求めた上記ポリビニルアルコールの重量平均分子量をポリビニルアルコール1セグメント当りの分子量で除して求められる。GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF−804(昭和電工社製)等が挙げられる。
上記溶媒は特に限定されず、例えば、アセトニトリル、ニトロメタン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン等のエステル化合物や、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の置換テトラヒドロフラン化合物や、1,3−ジオキソラン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン、t−ブチルエーテル、イソブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン等のエーテル化合物や、エチレングリコール、ポリエチレングリコールスルホラン、3−メチルスルホラン、蟻酸メチル、酢酸メチル、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒が挙げられる。
また、上記溶媒として、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート等のジエステル化合物を使用してもよい。
上記色調補正電解質層中における溶媒の配合量は特に限定されないが、上記バインダー樹脂100重量部に対する好ましい下限は30重量部、好ましい上限は150重量部である。上記溶媒の配合量が30重量部未満であると、イオン伝導性が低くなって、電圧を印加してもエレクトロクロミック層の光の透過率が変化しないことがある。上記溶媒の配合量が150重量部を超えると、色調補正電解質層が形状を維持できないことがある。上記溶媒の配合量のより好ましい下限は50重量部、より好ましい上限は100重量部である。
上記色調補正電解質層は熱線吸収剤を含有してもよい。
上記熱線吸収剤は、赤外線を遮蔽する性能を有すれば特に限定されないが、錫ドープ酸化インジウム粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子、亜鉛以外の元素がドープされた酸化亜鉛粒子、六ホウ化ランタン粒子、アンチモン酸亜鉛粒子、及び、フタロシアニン構造を有する赤外線吸収剤からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。
上記色調補正電解質層は接着力調整剤を含有してもよい。
上記接着力調整剤は、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。なかでも、炭素数2〜16のカルボン酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が好適であり、具体的には例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、2−エチルブタン酸マグネシウム、2−エチルブタン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。これらの接着力調整剤は単独で用いられてもよく、併用されてもよい。電解質層にバインダー樹脂としてポリビニルアセタール樹脂を含有する場合、電解質層は接着力調整剤を含有することが好ましい。
上記色調補正電解質層は単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。上記色調補正電解質層が多層構造であるとは、上記色調補正電解質層が2層以上積層された構造であることを意味する。
上記色調補正電解質層が多層構造である場合、上記色調補正電解質層は、上記支持電解質塩と、上記バインダー樹脂としてポリビニルアセタール樹脂と、上記溶媒としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、ジヘキシルアジペート(DHA)等の液状可塑剤とを含有することが好ましい。
例えば、上記液状可塑剤の含有量の異なる色調補正電解質層を積層したり、上記バインダー樹脂として水酸基量の異なるポリビニルアセタール樹脂を含有する色調補正電解質層を積層したりすることにより、得られる合わせガラスの遮音性等を向上させることができる。
上記色調補正電解質層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.1mm、好ましい上限は3.0mmである。上記色調補正電解質層の厚さが0.1mm未満であると、上記エレクトロクロミック層に電圧を印加しても光の透過率が変化しないことがあり、3.0mmを超えると、上記エレクトロクロミック層に電圧を印加した場合、光の透過率の変化速度が低下することがある。上記色調補正電解質層の厚さのより好ましい下限は0.3mm、より好ましい上限は1.0mmである。
上記色調補正電解質層を形成する方法は特に限定されず、例えば、上記溶媒に上記支持電解質塩及び色調補正剤を溶解した溶液を調製し、得られた溶液を上記バインダー樹脂と混合した混合物を熱プレス等の方法により色調補正電解質層を形成する方法や、該混合物を押出機により押出成形し色調補正電解質層を形成する方法等が挙げられる。
本発明1の調光シートは、上記エレクトロクロミック層の色調補正電解質層側とは反対側の面上に、熱可塑性樹脂を含有する接着層が部分的に形成されていることが好ましい。
上記エレクトロクロミック層は、導電膜に対する密着性が低いことから、本発明の調光シートを導電膜が形成されている一対のガラス板の間に挟持して調光体や合わせガラスとしたときに、使用中にガラス板と調光シートとが剥離してしまう危険性がある。エレクトロクロミック層の表面に接着層を設けることにより、エレクトロクロミック層と導電膜との密着性を向上させることは可能である。しかしながら、エレクトロクロミック層の表面に接着層を設けると、エレクトロクロミック性が低下し、電圧を印加しても光の透過率を変化させることができなくなるという問題があった。
これに対して、エレクトロクロミック層の表面に、エレクトロクロミック層の面積に対する接着層の面積が一定の範囲になるように部分的に接着層を設け、かつ、該接着層の最大厚さを一定の範囲にすることにより、エレクトロクロミック性に影響することなく導電膜に対する密着性を向上できる。
上記接着層は、熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物(以下、「接着層用樹脂組成物」ともいう。)を用いて形成されることが好ましい。
上記接着層に含有される熱可塑性樹脂は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリ三フッ化エチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。なかでも、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、ポリビニルアセタール樹脂がより好ましい。透明性が高い接着層が得られることから、炭素数が4又は5のアルデヒドによりポリビニルアルコールをアセタール化して得られたポリビニルアセタール樹脂が更に好適である。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂はポリビニルブチラール樹脂であることが好適である。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、アセチル基量が15mol%以下であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量が15mol%を超えると、合わせガラス用中間膜が白化することがある
上記ポリビニルアセタール樹脂は水酸基量が30mol%以下であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量が30mol%を超えると、上記溶媒との相溶性が低下し、接着層の透明性が低下することがある。
なお、上記アセチル基量及び上記水酸基量はJIS K 6728に準拠して、滴定法により求めることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することで得られる。上記アルデヒドは炭素数4又は5のアルデヒドであることが好ましい。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度の好ましい下限は500、好ましい上限は5000である。上記ポリビニルアルコールの平均重合度が500未満であると、上記接着層の形状を維持できないことがあり、5000を超えると、イオン伝導性が低くなって、電圧を印加してもエレクトロクロミック層の光の透過率が変化しないことがある。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、GPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算により求めた上記ポリビニルアルコールの重量平均分子量をポリビニルアルコール1セグメント当りの分子量で除して求められる。
上記接着層は、更に、可塑剤を含有することが好ましい。可塑剤を含有することにより、上記接着層が柔軟になり、上記エレクトロクロミック層の導電膜に対する密着性をより向上させることができる。
上記可塑剤は特に限定されず、例えば、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、ジヘキシルアジペート(DHA)等が挙げられる。
上記接着層中における上記可塑剤の配合量は特に限定されないが、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する好ましい下限は30重量部、好ましい上限は150重量部である。上記可塑剤の配合量が30重量部未満であると、充分な密着性向上効果が得られないことがあり、150重量部を超えると、可塑剤がブリードアウトし、合わせガラス用中間膜の透明性や接着性が低下することがある。上記可塑剤の配合量のより好ましい下限は50重量部、より好ましい上限は100重量部である。
上記接着層は、導電性物質を含有することが望ましい。導電性物質を含有することにより、上記接着層に導電性が付与され、上記接着層によって合わせガラスのエレクトロクロミック性が低下するのを防止することができる。
上記導電性物質は特に限定されず、銀、金、銅、鉄、クロム、ニッケル、アルミニウム等の金属や、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛等の金属酸化物や、カーボンナノチューブ、グラフェン等の炭素導電物質、ドープされたポリチオフェン類、ポリアニリン類等の導電性高分子が挙げられる。
上記導電性物質の形状は特に限定されず、粒子形状、繊維形状等が挙げられる。
上記接着層は、熱線吸収剤や接着力調整剤を含有してもよい。上記熱線吸収剤は、上記エレクトロクロミック層に含有される熱線吸収剤と同様の熱線吸収剤を用いることができる。上記接着力調整剤は、上記エレクトロクロミック層に含有される接着力調整剤と同様の接着力調整剤を用いることができる。
上記接着層は、上記エレクトロクロミック層上に部分的に形成されていることが好ましい。上記接着層を上記エレクトロクロミック層の全面に形成すると、導電膜に対する密着性は向上するものの、エレクトロクロミック性が著しく低下してしまう。上記接着層を部分的に形成することにより、エレクトロクロミック性を損なうことなく、導電膜に対する密着性を向上させることができる。
上記部分的に形成された接着層の形状は特に限定されず、網目状、線状又は斑点状等が挙げられる。
上記エレクトロクロミック層の面積に対する上記接着層の面積の下限は10%、上限は90%である。上記接着層の面積が10%未満であると、充分な密着性の向上効果が得られないことがある。上記接着層の面積が90%を超えると、エレクトロクロミック性が低下して、電圧を印加しても光の透過率がほとんど変化しなくなることがある。上記接着層の面積の好ましい下限は20%、好ましい上限は80%であり、より好ましい下限は30%、より好ましい上限は70%である。
なお、エレクトロクロミック層の面積に対する接着層の面積X(%)は、以下の式で表される。
X(%)=(Amm)/(10mm)×100
接着層を形成した後のエレクトロクロミック層を光学顕微鏡で観察し、接着層が形成された任意の10箇所(1mm/1箇所)における、接着層の存在する合計面積A(mm)を測定し、接着層の面積X(%)を算出する。
上記接着層の最大厚みの上限は50μmである。上記接着層の最大厚みが50μmを超えると、エレクトロクロミック性が低下して、電圧を印加しても光の透過率がほとんど変化しない部分が生じることがある。上記接着層の最大厚みの好ましい上限は20μmである。
なお、上記接着層の最大厚みとは、接着層を形成した後に接着層を3D測定レーザー顕微鏡(OLYMPUS社製「LEXT OLS4000」)により測定した時の接着層の厚みの最大値を意味する。
上記接着層を形成する方法は特に限定されず、例えば、適当な有機溶剤に溶解した上記熱可塑性樹脂をスクリーン印刷によりエレクトロクロミック層上に塗布した後、乾燥する方法や、適当な有機溶剤に溶解した上記熱可塑性樹脂をスプレー照射機によりアノードエレクトロクロミック層上に塗布した後、乾燥する方法等が挙げられる。
本発明1の調光シートは、上記色調補正電解質層のエレクトロクロミック層側とは反対側の面上に、混合原子価錯体を含有するカソードエレクトロクロミック層が積層されていることが好ましい。
上記カソードエレクトロクロミック層は、混合原子価錯体を含有する。上記カソードエレクトロクロミック層は、還元により可視光線透過率が向上する性質を有する。
上記混合原子価錯体として、例えば、プルシアンブルー型錯体(KFe[Fe(CN)])等が挙げられる。上記カソードエレクトロクロミック層に上記混合原子価錯体を含有させることにより、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間が極めて短い調光体を得ることができる。
上記カソードエレクトロクロミック層は、熱線吸収剤や接着力調整剤を含有してもよい。上記熱線吸収剤は、上記電解質層に含有される熱線吸収剤と同様の熱線吸収剤を用いることができる。上記接着力調整剤は、上記電解質層に含有される接着力調整剤と同様の接着力調整剤を用いることができる。
上記カソードエレクトロクロミック層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.05μm、好ましい上限は2μmである。上記カソードエレクトロクロミック層の厚さが0.05μm未満であると、上記カソードエレクトロクロミック層に電圧を印加しても充分に光の透過率が変化しないことがあり、2μmを超えると、調光体の透明性が低下することがある。上記カソードエレクトロクロミック層の厚さのより好ましい下限は0.1μm、より好ましい上限は1μmである。
上記カソードエレクトロクロミック層は上記バインダー樹脂を含有してもよい。上記バインダー樹脂は上記電解質層に含まれるバインダー樹脂と同様のバインダー樹脂を用いることができる。
上記カソードエレクトロクロミック層を形成する方法として、上記混合原子価錯体を水や有機溶剤に分散させた溶液を調製し、得られた溶液を上記電解質層に塗布する方法や、透明板の導電膜上に電着法により上記混合原子価錯体を析出させる方法等が挙げられる。例えば、上記電解質層の一方の面に、上記導電性高分子を有機溶剤に溶解させた溶液を塗布し、有機溶剤を揮発させ、エレクトロクロミック層を形成する工程と、上記電解質層の他方の面に、上記混合原子価錯体を有機溶媒に分散させた溶液を塗布し、有機溶剤を揮発させ、カソードエレクトロクロミック層を形成する工程とを行なうことが好ましい。また、共押出法により、上記エレクトロクロミック層と、上記電解質層と、上記カソードエレクトロクロミック層とが積層された調光シートを製造してもよい。
なお、エレクトロクロミック層と色調補正電解質層とが積層されている調光シートと、透明板の導電膜上に形成されたカソードエレクトロクロミック層とを、色調補正電解質層とカソードエレクトロクロミック層とが接するように、積層してもよい。
本発明1の調光シートは、少なくとも一方の表面にエンボスが形成されていることが好ましい。上記エンボスの粗さは特に限定されないが、JIS B 0601で定義される十点平均粗さの好ましい下限が20μm、好ましい上限が50μmである。
本発明2の調光シートは、エレクトロクロミック層と、電解質層と、色調補正層とが順次積層されている。本発明1においては、色調補正剤を電解質層に加えて色調補正電解質層としているのに対して、本発明2においては、色調補正剤を電解質層に加えずに、別に色調補正剤を含有する色調補正層を積層している。
本発明2の調光シートにおけるエレクトロクロミック層は、上記本発明1の調光シートにおけるエレクトロクロミック層と同様のものを用いることができる。
本発明2の調光シートにおける電解質層は、上記本発明1の調光シートにおける色調補正電解質層において上記色調補正剤を配合しなかったものを用いることができる。
上記色調補正層を形成する方法は特に限定されず、例えば、上記色調補正剤を有機溶剤に溶解させた溶液を調整し、得られた溶液を上記電解質層に塗布する方法等が挙げられる。上記有機溶媒は特に限定されず、例えば、エタノール、2−プロパノール等のアルコールが挙げられる。
上記色調補正層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.001μm、好ましい上限は0.1μmである。
本発明2の調光シートは、本発明1の調光シートと同様に、エレクトロクロミック層の電解質層側とは反対側の面上に、熱可塑性樹脂を含有する接着層が部分的に形成されていることが好ましく、電解質層のエレクトロクロミック層側とは反対側の面上に、混合原子価錯体を含有するカソードエレクトロクロミック層が積層されていることが好ましく、少なくとも一方の表面にエンボスが形成されていることが好ましい。
本発明の調光シートが、導電膜が形成されている一対のガラス板の間に、それぞれの導電膜と接するように挟み込まれている調光体もまた、本発明の1つである。
本発明の調光シートは、合わせガラス用中間膜として使用することができる。上記調光シートを用いる合わせガラス用中間膜もまた、本発明の1つである。
本発明の合わせガラス用中間膜は、本発明の調光シートの構成以外に、必要に応じて、紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層や、熱線吸収剤を含有する赤外線吸収層等を有してもよい。
本発明の合わせガラス用中間膜が、導電膜が形成されている一対のガラス板の間に、それぞれの導電膜と接するように挟み込まれている合わせガラスもまた、本発明の1つである。
上記ガラス板は、一般に使用されている透明板ガラスを使用することができる。例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入りガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、グリーンガラス等の無機ガラスが挙げられる。また、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート等の有機プラスチックス板を用いることもできる。
上記ガラス板として、2種類以上のガラス板を用いてもよい。例えば、透明フロート板ガラスと、グリーンガラスのような着色されたガラス板とで、本発明の調光シート又は合わせガラス用中間膜を挟持した調光体又は合わせガラスが挙げられる。また、上記ガラス板として、2種以上の厚さの異なるガラス板を用いてもよい。
上記導電膜は、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等を含む透明導電膜が好ましい。
本発明の調光体又は合わせガラスの面密度は特に限定されないが、12kg/m以下であることが好ましい。
本発明の合わせガラスは、自動車用ガラスとして使用する場合は、サイドガラス、リアガラス、ルーフガラスとして用いることができる。
本発明によれば、電圧の印加により光透過率が変化し、着色時の刺激純度が低い調光シート及び該調光シートを備える調光体を提供することができる。また、該調光シートを用いた合わせガラス用中間膜及び該合わせガラス用中間膜を備える合わせガラスを提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
(1)色調補正電解質層の調製
炭酸プロピレン7gにリチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド0.3gを溶解した電解質溶液を調製した。次にエタノール2gにブリリアントブルーFCF(関東化学社製)0.01gを溶解した色調補正剤溶液を調製した。得られた色調補正剤溶液1mgを上記電解質溶液の全量に加え、平均重合度が2300であるポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドによりアセタール化して得られたポリビニルブチラール樹脂(アセチル基量13mol%、水酸基量22mol%)10gとを混合した後、得られた混合物を熱プレスにて150℃、100kg/cmの条件で10分間加圧し、厚み0.8mmの色調補正電解質層を得た。
(2)ポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)の合成
窒素雰囲気下−50℃で9−エチニルフェナントレン3gを溶解させたテトラヒドロフラン溶液30mLにノルマルブチルリチウムの1.6mol/Lヘキサン溶液を添加した。次いで、−90℃に冷却後、カリウムターシャリーブトキシド1.8gを溶解させたテトラヒドロフラン溶液15mLを添加し、−80℃で1時間撹拌し、5℃まで昇温した。次いで、−70℃で1−ヨードオクタデカン5.6gを滴下し、−30℃で12時間撹拌した。0℃で水100mLを滴下し、ヘキサンを加え、生成した化合物を抽出した。このヘキサン層を蒸留水300mLで3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで1時間乾燥させ、濾過後、溶媒を留去した。カラム精製後溶媒を留去し、ヘキサンを展開溶媒としてカラム生成することにより3.5gの9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレンを得た。
得られた9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレンについてH−NMR(270MHz、CDCl)により分析を行ったところ、δ8.7(2H)、8.5(1H)、8.1(1H)、7.7(4H)、3.7(1H)、3.5(2H)、1.7(2H)、1.6(30H)、1.0(3H)のピークが認められた。
得られた9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン0.35gをWCl触媒を用いて重合させ、ポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)0.27gを得た。
(3)調光シートの製造
得られたポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)7mgをトルエン0.6mLに溶解し、溶液を得た。得られた溶液を上記色調補正電解質層上に、乾燥後の厚さが0.3μmとなるようにスピンコーターで塗布した後、乾燥してエレクトロクロミック層を形成して、調光シートを得た。
(4)調光体の製造
得られた調光シートを、表面にFTO層を設けた2枚のガラス(表面抵抗10Ω/□)で、それぞれのFTO層が調光シートに接するように挟み、真空ラミネーター(90℃、予熱2分、加圧20分)で圧着し、調光体を得た。
(実施例2)
(1)電解質層の調製
トリエチレングリコール2−エチルヘキサノエート7gにリチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド0.3gを溶解した電解質溶液を調製した。得られた電解質溶液の全量と、平均重合度が2300であるポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドによりアセタール化して得られたポリビニルブチラール樹脂(アセチル基量13mol%、水酸基量22mol%)10gとを混合した後、得られた混合物を熱プレスにて150℃、100kg/cmの条件で10分間加圧し、厚み0.8mmの電解質層を得た。
(2)調光シートの製造
実施例1で得られたポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)7mgをトルエン0.6mLに溶解し、溶液を得た。得られた溶液を上記電解質層上に乾燥後の厚さが0.3μmとなるようにスピンコーターで塗布した後、乾燥してエレクトロクロミック層を形成した。
得られたフィルムの電解質層面上に、ブリリアントブルーFCF(関東化学社製)0.01gをエタノール5gに溶解させたエタノール溶液を、乾燥後の厚さが0.1μmになるようスピンコートし、色調補正層を形成して、調光シートを得た。
(3)調光体の製造
得られた調光シートを、表面にFTO層を設けた2枚のガラス(表面抵抗10Ω/□)で、それぞれのFTO層が調光シートに接するように挟み、真空ラミネーター(90℃、予熱2分、加圧20分)で圧着し、調光体を得た。
(比較例1)
色調補正層を形成しなかったこと以外は実施例2と同様の方法により、調光シート及び調光体を製造した。
(評価)
実施例及び比較例で得られた調光体に電圧を2V印加し、それぞれを消色した。
消色した調光体を10人が観察し、不快な色と思うかどうか判定したところ、比較例の調光体では9人が不快と感じたのに対して、実施例の調光体では不快と感じたのは2人だけであった。
本発明によれば、電圧の印加により光透過率が変化し、着色時の刺激純度が低い調光シート及び該調光シートを備える調光体を提供することができる。また、該調光シートを用いた合わせガラス用中間膜及び該合わせガラス用中間膜を備える合わせガラスを提供することができる。

Claims (9)

  1. エレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層と、支持電解質塩とエレクトロクロミック層の色調を補正する色調補正剤とを含有する色調補正電解質層とが積層されていることを特徴とする調光シート。
  2. エレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層と、支持電解質塩を含有する電解質層と、前記エレクトロクロミック層の色調を補正する色調補正剤を含有する色調補正層とが順次積層されていることを特徴とする調光シート。
  3. エレクトロクロミック化合物は、芳香族を側鎖に有するポリアセチレン化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の調光シート。
  4. エレクトロクロミック層の色調補正電解質層側又は電解質層側とは反対側の面上に、熱可塑性樹脂を含有する接着層が部分的に形成されており、前記エレクトロクロミック層の面積に対する前記接着層の面積が10〜90%であり、かつ、前記接着層の最大厚みが50μm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の調光シート。
  5. 色調補正電解質層又は電解質層のエレクトロクロミック層側とは反対側の面上に、混合原子価錯体を含有するカソードエレクトロクロミック層が積層されていることを特徴とする請求項1又は2記載の調光シート。
  6. 混合原子価錯体は、プルシアンブルー型錯体であることを特徴とする請求項5記載の調光シート。
  7. 請求項1、2、3、4、5又は6記載の調光シートが、導電膜が形成されている一対のガラス板の間に、それぞれの導電膜と接するように挟み込まれていることを特徴とする調光体。
  8. 請求項1、2、3、4、5又は6記載の調光シートを用いることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
  9. 請求項8記載の合わせガラス用中間膜が、導電膜が形成されている一対のガラス板の間に、それぞれの導電膜と接するように挟み込まれていることを特徴とする合わせガラス。
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