JP2011178655A - 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents
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Abstract
【課題】電圧を印加することにより光の透過率が変化し、かつ、高い安全性を有する合わせガラスを製造できる合わせガラス用中間膜、及び、該合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスを提供する。
【解決手段】少なくとも、電解質層、エレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層、導電膜層、及び、熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂層がこの順に積層している合わせガラス用中間膜。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも、電解質層、エレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層、導電膜層、及び、熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂層がこの順に積層している合わせガラス用中間膜。
【選択図】 なし
Description
本発明は、電圧を印加することにより光の透過率が変化し、かつ、高い安全性を有する合わせガラスを製造できる合わせガラス用中間膜、及び、該合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスに関する。
電圧を印加することにより光の透過率が変化する調光体は、広く用いられている。
上記調光体は、液晶材料を用いた調光体と、エレクトロクロミック化合物を用いた調光体とに大別される。エレクトロクロミック化合物を用いた調光体は、液晶材料を用いた調光体に比べて光散乱が少なく、偏光が少ないという特徴がある。
上記調光体は、液晶材料を用いた調光体と、エレクトロクロミック化合物を用いた調光体とに大別される。エレクトロクロミック化合物を用いた調光体は、液晶材料を用いた調光体に比べて光散乱が少なく、偏光が少ないという特徴がある。
エレクトロクロミック化合物を用いた調光体として、対向する一対の電極基板の間に、エレクトロクロミック層と電解質層とが挟み込まれている調光体が提案されている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、無機酸化物を含有するエレクトロクロミック層、イオン伝導層、無機酸化物を含有するエレクトロクロミック層の3層が順次積層された積層体が、2枚の導電性基板間に挟み込まれている調光体が開示されている。また、特許文献3及び特許文献4には、対向する一対の電極基板の間に、有機エレクトロクロミック材料を含有するエレクトロクロミック層と電解質層とが挟み込まれている調光体が開示されている。
近年、調光体を合わせガラス用中間膜として用いた合わせガラスを自動車用窓ガラスや建築用窓ガラスに用いることが提案されている。このような合わせガラス用中間膜を用いれば、合わせガラスの光線透過率を制御して、車内や室内の温度を調整することができると考えられる。
自動車用、建築用途にかかわらず合わせガラスには、高い安全性が求められる。とりわけ合わせガラスを自動車用フロントガラスに用いる場合には、高い耐貫通性が求められる。合わせガラスが高い耐貫通性を発揮するためには、ガラス板と合わせガラス用中間膜とが適度に密着することが求められる。しかしながら、従来の調光体を合わせガラス用中間膜として用いた場合、ガラス板に対する密着性が低く、高い耐貫通性を発揮できないばかりか、使用中にガラス板と合わせガラス用中間膜とが剥離してしまう危険性があった。
本発明は、上記現状に鑑み、電圧を印加することにより光の透過率が変化し、かつ、高い安全性を有する合わせガラスを製造できる合わせガラス用中間膜、及び、該合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスを提供することを目的とする。
本発明は、少なくとも、電解質層、エレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層、導電膜層、及び、熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂層がこの順に積層している合わせガラス用中間膜である。
以下に本発明を詳述する。
以下に本発明を詳述する。
本発明の合わせガラス用中間膜は、少なくとも、電解質層、エレクトロクロミック層、導電膜層、及び、熱可塑性樹脂層がこの順に積層している。
上記電解質層は、イオンを伝導することにより上記エレクトロクロミック層に電圧を印加し、エレクトロクロミック層の光の透過率を変化させる役割を有する。
上記電解質層は、イオンを伝導することにより上記エレクトロクロミック層に電圧を印加し、エレクトロクロミック層の光の透過率を変化させる役割を有する。
上記電解質層は、支持電解質塩とバインダー樹脂とを含有することが好ましい。例えば、上記電解質層は、バインダー樹脂と支持電解質塩とを含有する樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。
上記電解質層は、更に、下記式(1)で表される化合物又は下記式(2)で表される化合物を含有することが好ましい。上記電解質層に上記特定の構造を有する化合物を添加することにより、更に応答性が高く、電圧を印加してから光の透過率の変化が完了するまでの時間が極めて短い合わせガラスが得られる。
式(1)中、n=2〜4の整数を表し、R1は水素原子、炭素数1〜7の有機基を有するアシル基又は炭素数1〜8の有機基を表し、R2はエチレン基又はプロピレン基を表し、R3は水素原子、炭素数1〜7の有機基を有するアシル基又は炭素数1〜8の有機基を表し、少なくともR1又はR3の何れかはアシル基を有する。
式(2)中、R4は炭素数2〜8であり、酸素原子を有する有機基を表し、R5は炭素数2〜8のアルキレン基又は炭素数6〜12のアリーレン基を表し、R6は炭素数2〜8であり、酸素原子を有する有機基を表す。R4及びR6は同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記式(1)で表される化合物又は上記式(2)で表される化合物は、単独で用いてもよく、併用してもよい。なかでも、耐久性が向上し、かつ、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラスが得られることから、上記式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。
上記式(1)中、R1は水素原子、炭素数1〜7の有機基を有するアシル基又は炭素数1〜8の有機基を表す。なかでも、上記バインダー樹脂との相溶性がより向上することから、R1は炭素数1〜7の有機基を有するアシル基又は炭素数1〜8の有機基であることが好ましく、炭素数1〜7の有機基を有するアシル基であることがより好ましく、炭素数1〜7のアルキル基を有するアシル基であることが更に好ましい。
上記式(1)中のR1を表す炭素数1〜7の有機基を有するアシル基における、有機基の炭素数の好ましい下限は2、好ましい上限は6である。上記炭素数が2以上であると、電解質層の耐久性が向上し、6以下であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラスが得られる。上記炭素数のより好ましい下限は3、より好ましい上限は5であり、更に好ましい上限は4である。
上記炭素数1〜7の有機基は、直鎖構造を有する有機基、又は、分岐構造を有する有機基であってもよく、直鎖構造を有するアルキル基、又は、分岐構造を有するアルキル基であることが好ましい。上記分岐構造を有する有機基又は分岐構造を有するアルキル基において、有機基又はアルキル基の分岐鎖の炭素数は3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1以下であることが更に好ましい。
電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間が更に一層短い合わせガラスが得られることから、上記炭素数1〜7の有機基が直鎖構造を有する場合は、上記炭素数1〜7の有機基を有するアシル基は、炭素数1〜7であり、かつ、直鎖構造を有する有機基を有するアシル基、又は、炭素数1〜7であり、かつ、直鎖構造を有するアルキル基を有するアシル基であることが好ましい。
電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間が更に一層短い合わせガラスが得られることから、上記炭素数1〜7の有機基が分岐構造を有する場合は、上記炭素数1〜7の有機基を有するアシル基は、炭素数1〜7であり、かつ、分岐構造を有する有機基を有するアシル基、又は、炭素数1〜7であり、かつ、分岐構造を有するアルキル基を有するアシル基であることが好ましく、炭素数1〜7であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が3以下であるアルキル基を有するアシル基であることがより好ましく、炭素数1〜7であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が2以下であるアルキル基を有するアシル基であることが更に好ましく、炭素数1〜7であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が1以下であるアルキル基を有するアシル基であることが特に好ましい。
なお、上記炭素数1〜7の有機基を有するアシル基とは、該有機基の炭素数が1〜7であることを意味し、上記炭素数1〜7のアルキル基を有するアシル基とは、該アルキル基の炭素数が1〜7であることを意味する。
なお、上記炭素数1〜7の有機基を有するアシル基とは、該有機基の炭素数が1〜7であることを意味し、上記炭素数1〜7のアルキル基を有するアシル基とは、該アルキル基の炭素数が1〜7であることを意味する。
上記式(1)中のR1が炭素数1〜8の有機基である場合、上記バインダー樹脂との相溶性がより向上することから、上記炭素数1〜8の有機基は炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましい。
上記式(1)中のR1を表す炭素数1〜8の有機基における炭素数の好ましい下限は2、好ましい上限は7である。上記炭素数が2以上であると、電解質層の耐久性が向上し、7以下であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラスが得られる。上記炭素数のより好ましい下限は3、より好ましい上限は6であり、更に好ましい下限は4、更に好ましい上限は5である。
上記式(1)中のR1を表す炭素数1〜8の有機基における炭素数の好ましい下限は2、好ましい上限は7である。上記炭素数が2以上であると、電解質層の耐久性が向上し、7以下であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラスが得られる。上記炭素数のより好ましい下限は3、より好ましい上限は6であり、更に好ましい下限は4、更に好ましい上限は5である。
上記炭素数1〜8の有機基は、直鎖構造を有する有機基、又は、分岐構造を有する有機基であってもよく、直鎖構造を有するアルキル基、又は、分岐構造を有するアルキル基であることが好ましい。上記分岐構造を有する有機基又は分岐構造を有するアルキル基において、有機基又はアルキル基の分岐鎖の炭素数は3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1以下であることが更に好ましい。
電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間が更に一層短い合わせガラスが得られることから、上記炭素数1〜8の有機基が直鎖構造を有する場合は、上記炭素数1〜8の有機基は、炭素数1〜8であり、かつ、直鎖構造を有するアルキル基であることが好ましい。
電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間が更に一層短い合わせガラスが得られることから、上記炭素数1〜8の有機基が分岐構造を有する場合は、上記炭素数1〜8の有機基は、炭素数1〜8であり、かつ、分岐構造を有するアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜8であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が3以下であるアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜8であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が2以下であるアルキル基であることが更に好ましく、炭素数1〜8であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が1以下であるアルキル基であることが特に好ましい。
上記式(1)中、R2はエチレン基又はプロピレン基を表す。上記プロピレン基はn−プロピレン基であってもよく、イソプロピレン基であってもよい。電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラスが得られることから、R2はエチレン基であることが好ましい。
上記式(1)中、R3は水素原子、炭素数1〜7の有機基を有するアシル基又は炭素数1〜8の有機基を表す。なかでも、上記バインダー樹脂との相溶性がより向上することから、R3は炭素数1〜7の有機基を有するアシル基又は炭素数1〜8の有機基であることが好ましく、炭素数1〜7の有機基を有するアシル基であることがより好ましく、炭素数1〜7のアルキル基を有するアシル基であることが更に好ましい。
上記式(1)中のR3を表す炭素数1〜7の有機基を有するアシル基における、有機基の炭素数の好ましい下限は2、好ましい上限は6である。上記炭素数が2以上であると、電解質層の耐久性が向上し、6以下であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラスが得られる。上記炭素数のより好ましい下限は3、より好ましい上限は5であり、更に好ましい上限は4である。
上記炭素数1〜7の有機基は、直鎖構造を有する有機基、又は、分岐構造を有する有機基であってもよく、直鎖構造を有するアルキル基、又は、分岐構造を有するアルキル基であることが好ましい。上記分岐構造を有する有機基又は分岐構造を有するアルキル基において、有機基又はアルキル基の分岐鎖の炭素数は3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1以下であることが更に好ましい。
電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間が更に一層短い合わせガラスが得られることから、上記炭素数1〜7の有機基が直鎖構造を有する場合は、上記炭素数1〜7の有機基を有するアシル基は、炭素数1〜7であり、かつ、直鎖構造を有する有機基を有するアシル基、又は、炭素数1〜7であり、かつ、直鎖構造を有するアルキル基を有するアシル基であることが好ましい。
電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間が更に一層短い合わせガラスが得られることから、上記炭素数1〜7の有機基が分岐構造を有する場合は、上記炭素数1〜7の有機基を有するアシル基は、炭素数1〜7であり、かつ、分岐構造を有する有機基を有するアシル基、又は、炭素数1〜7であり、かつ、分岐構造を有するアルキル基を有するアシル基であることが好ましく、炭素数1〜7であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が3以下であるアルキル基を有するアシル基であることがより好ましく、炭素数1〜7であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が2以下であるアルキル基を有するアシル基であることが更に好ましく、炭素数1〜7であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が1以下であるアルキル基を有するアシル基であることが特に好ましい。
なお、上記炭素数1〜7の有機基を有するアシル基とは、該有機基の炭素数が1〜7であることを意味し、上記炭素数1〜7のアルキル基を有するアシル基とは、該アルキル基の炭素数が1〜7であることを意味する。
なお、上記炭素数1〜7の有機基を有するアシル基とは、該有機基の炭素数が1〜7であることを意味し、上記炭素数1〜7のアルキル基を有するアシル基とは、該アルキル基の炭素数が1〜7であることを意味する。
上記式(1)において、少なくともR1又はR3の何れかはアシル基を有する。これにより、上記バインダー樹脂との高い相溶性が得られる。なかでも、R1は炭素数1〜7のアルキル基を有するアシル基を表し、R2はエチレン基又はプロピレン基を表し、R3は炭素数1〜7のアルキル基を有するアシル基を表すことがより好ましい。
上記式(1)で表される化合物の具体例を下記式(1−1)〜(1−28)に示す。
上記式(2)中、R4は炭素数2〜8であり、酸素原子を有する有機基を表す。
上記式(2)中のR4を表す炭素数2〜8であり、酸素原子を有する有機基の炭素数の好ましい下限は3、好ましい上限は7である。上記炭素数が3以上であると、電解質層の耐久性が向上し、7以下であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラスが得られる。上記炭素数のより好ましい下限は4、より好ましい上限は6である。
上記式(2)中のR4を表す炭素数2〜8であり、酸素原子を有する有機基の炭素数の好ましい下限は3、好ましい上限は7である。上記炭素数が3以上であると、電解質層の耐久性が向上し、7以下であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラスが得られる。上記炭素数のより好ましい下限は4、より好ましい上限は6である。
上記式(2)中、R5は炭素数2〜8のアルキレン基又は炭素数6〜12のアリーレン基を表す。なかでも、上記バインダー樹脂との相溶性が更に向上することから、R5は炭素数2〜8のアルキレン基であることが好ましい。
上記式(2)中のR5を表す炭素数2〜8のアルキレン基の炭素数の好ましい下限は3、好ましい上限は7である。上記炭素数が3〜7であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラスが得られる。上記炭素数のより好ましい下限は4、より好ましい上限は6である。
上記式(2)中のR5を表す炭素数6〜12のアリーレン基の炭素数の好ましい上限は10である。上記炭素数が10以下であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラスが得られる。上記炭素数のより好ましい上限は8である。
上記式(2)中、R6は炭素数2〜8であり、酸素原子を有する有機基を表す。
上記式(2)中のR6を表す炭素数2〜8であり、酸素原子を有する有機基の炭素数の好ましい下限は3、好ましい上限は7である。上記炭素数が3以上であると、電解質層の耐久性が向上し、7以下であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラスが得られる。上記炭素数のより好ましい下限は4、より好ましい上限は6である。
上記式(2)中のR6を表す炭素数2〜8であり、酸素原子を有する有機基の炭素数の好ましい下限は3、好ましい上限は7である。上記炭素数が3以上であると、電解質層の耐久性が向上し、7以下であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラスが得られる。上記炭素数のより好ましい下限は4、より好ましい上限は6である。
上記式(2)で表される化合物の具体例を下記式(2−1)に示す。
上記電解質層中における上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物の配合量は特に限定されないが、上記バインダー樹脂100重量部に対する好ましい下限は15重量部、好ましい上限は200重量部である。上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物の配合量が15重量部以上であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより一層短くなる。上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物の配合量が200重量部以下であると、合わせガラスの耐貫通性が高くなる。上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物の配合量のより好ましい下限は30重量部、更に好ましい下限は40重量部、特に好ましい下限は60重量部であり、より好ましい上限は150重量部、更に好ましい上限は120重量部、特に好ましい上限は100重量部である。
上記支持電解質塩は特に限定されず、リチウム塩、カリウム塩又はナトリウム塩等のアルカリ金属塩であることが好ましい。上記アルカリ金属塩は、無機酸とアルカリ金属の塩又は有機酸とアルカリ金属の塩であることが好ましい。例えば、上記無機酸とアルカリ金属の塩として、無機酸アニオンリチウム塩、無機酸アニオンカリウム塩、又は、無機酸アニオンナトリウム塩等が挙げられ、上記有機酸とアルカリ金属の塩として、有機酸アニオンリチウム塩、有機酸アニオンカリウム塩、又は、有機酸アニオンナトリウム塩等が挙げられる。
なかでも、上記支持電解質塩はリチウム塩であることが好ましく、過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウム、リンフッ化リチウム等の無機酸アニオンリチウム塩、又は、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム等の有機酸アニオンリチウム塩であることがより好ましい。
なかでも、上記支持電解質塩はリチウム塩であることが好ましく、過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウム、リンフッ化リチウム等の無機酸アニオンリチウム塩、又は、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム等の有機酸アニオンリチウム塩であることがより好ましい。
上記支持電解質塩は、アンモニウムカチオンと、アニオンとの塩であってもよい。
上記アンモニウムカチオンは特に限定されず、例えば、テトラエチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、メチルプロピルピロリジニウム、メチルブチルピロリジニウム、メチルプロピルピペリジニウム、メチルブチルピペリジニウム等のアルキルアンモニウムカチオンや、エチルメチルイミダゾリウム、ジメチルエチルイミダゾリウム、メチルピリジニウム、エチルピリジニウム、プロピルピリジニウム、ブチルピリジニウム等が挙げられる。
上記アニオンは特に限定されず、過塩素酸アニオン、ホウフッ化アニオン、リンフッ化アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドアニオン等が挙げられる。
上記アンモニウムカチオンは特に限定されず、例えば、テトラエチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、メチルプロピルピロリジニウム、メチルブチルピロリジニウム、メチルプロピルピペリジニウム、メチルブチルピペリジニウム等のアルキルアンモニウムカチオンや、エチルメチルイミダゾリウム、ジメチルエチルイミダゾリウム、メチルピリジニウム、エチルピリジニウム、プロピルピリジニウム、ブチルピリジニウム等が挙げられる。
上記アニオンは特に限定されず、過塩素酸アニオン、ホウフッ化アニオン、リンフッ化アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドアニオン等が挙げられる。
上記電解質層中における上記支持電解質塩の配合量は特に限定されないが、上記バインダー樹脂100重量部に対する好ましい下限は3重量部、好ましい上限は60重量部である。上記支持電解質塩の配合量が3〜60重量部であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより一層短くなる。上記支持電解質塩の配合量のより好ましい下限は10重量部、更に好ましい下限は20重量部であり、より好ましい上限は50重量部、更に好ましい上限は40重量部である。
上記電解質層は溶媒を含有することが好ましい。上記溶媒は特に限定されず、例えば、アセトニトリル、ニトロメタン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン等のエステル化合物や、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の置換テトラヒドロフラン化合物や、1,3−ジオキソラン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン、t−ブチルエーテル、イソブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン等のエーテル化合物や、エチレングリコール、ポリエチレングリコールスルホラン、3−メチルスルホラン、蟻酸メチル、酢酸メチル、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒が挙げられる。
また、上記溶媒として、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート等のジエステル化合物を使用してもよい。
また、上記溶媒として、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート等のジエステル化合物を使用してもよい。
上記電解質層中における溶媒の配合量は特に限定されないが、上記バインダー樹脂100重量部に対する好ましい下限は30重量部、好ましい上限は150重量部である。上記溶媒の配合量が30重量部以上であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより一層短くなる。上記溶媒の配合量が150重量部以下であると、合わせガラスの耐貫通性が高くなる。上記溶媒の配合量のより好ましい下限は50重量部、より好ましい上限は100重量部である。
上記バインダー樹脂は特に限定されないが、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
上記バインダー樹脂は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリ三フッ化エチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。なかでも、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、ポリビニルアセタール樹脂がより好ましい。透明性が高い電解質層が得られることから、ポリビニルアルコールをアセタール化して得られたポリビニルアセタール樹脂が更に好適である。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂はポリビニルブチラール樹脂であることが好適である。
上記バインダー樹脂は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリ三フッ化エチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。なかでも、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、ポリビニルアセタール樹脂がより好ましい。透明性が高い電解質層が得られることから、ポリビニルアルコールをアセタール化して得られたポリビニルアセタール樹脂が更に好適である。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂はポリビニルブチラール樹脂であることが好適である。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、アセチル基量が15mol%以下であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量が15mol%を超えると、電解質層が白化することがある。
上記ポリビニルアセタール樹脂は水酸基量が30mol%以下であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量が30mol%を超えると、上記溶媒との相溶性が低下し、電解質層の透明性が低下することがある。
なお、上記アセチル基量及び上記水酸基量はJIS K 6728に準拠して、滴定法により求めることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は水酸基量が30mol%以下であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量が30mol%を超えると、上記溶媒との相溶性が低下し、電解質層の透明性が低下することがある。
なお、上記アセチル基量及び上記水酸基量はJIS K 6728に準拠して、滴定法により求めることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することで得られる。上記アルデヒドは炭素数4又は5のアルデヒドであることが好ましい。上記ポリビニルアルコールの平均重合度の好ましい下限は500、好ましい上限は5000である。上記ポリビニルアルコールの平均重合度が500以上であると、合わせガラスの耐貫通性が高くなる。上記ポリビニルアルコールの平均重合度が5000以下であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより一層短くなる。上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、GPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算により求めた上記ポリビニルアルコールの重量平均分子量をポリビニルアルコール1セグメント当りの分子量で除して求められる。GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF−804(昭和電工社製)等が挙げられる。
上記電解質層が、上記溶媒、上記式(1)で表される化合物又は上記式(2)で表される化合物を含有する場合には、上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物が上記電解質層から析出することを防止できることから、上記ポリビニルアセタール樹脂は、アセチル基量が5モル%以上であるポリビニルアセタール樹脂(以下、「ポリビニルアセタール樹脂A」ともいう。)、アセタール化度が70〜85モル%であるポリビニルアセタール樹脂(以下、「ポリビニルアセタール樹脂B」ともいう。)、又は、炭素数が6以上のアルデヒドを用いてポリビニルアルコールをアセタール化することにより得られるポリビニルアセタール樹脂(以下、「ポリビニルアセタール樹脂C」ともいう。)であることが好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂Aのアセチル基量の好ましい下限は6モル%、好ましい上限は30モル%である。上記アセチル基量が6モル%以上であると、上記溶媒、上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物が上記電解質層から析出することをより一層防止することができる。上記アセチル基量が30モル%以下であると、上記ポリビニルアセタール樹脂Aの製造効率を高めることができる。上記アセチル基量のより好ましい下限は8モル%、より好ましい上限は28モル%であり、更に好ましい下限は10モル%、更に好ましい上限は25モル%であり、特に好ましい下限は12モル%、特に好ましい上限は23モル%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂Aは、アセタール化度の好ましい下限が50モル%、好ましい上限が80モル%である。上記アセタール化度が50モル%以上であると、上記溶媒、上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物が上記電解質層から析出することを更に一層防止することができる。上記アセタール化度が80モル%以下であると、上記ポリビニルアセタール樹脂Aの製造効率を高めることができる。上記アセタール化度のより好ましい下限は55モル%、より好ましい上限は78モル%であり、更に好ましい下限は60モル%、更に好ましい上限は76モル%であり、特に好ましい下限は65モル%、特に好ましい上限は74モル%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂Aは、ポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂Aは、ポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂Bのアセタール化度の好ましい下限は71モル%、好ましい上限は84モル%である。上記アセタール化度が71モル%以上であると、上記溶媒、上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物が上記電解質層から析出することを更に一層防止することができる。上記アセタール化度が84モル%以下であると、上記ポリビニルアセタール樹脂Bの製造効率を高めることができる。上記アセタール化度のより好ましい下限は72モル%、より好ましい上限は83モル%であり、更に好ましい下限は73モル%、更に好ましい上限は82モル%であり、特に好ましい下限は74モル%、特に好ましい上限は81モル%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂Bは、アセチル基量の好ましい下限が0.1モル%、好ましい上限が20モル%である。上記アセチル基量が0.1モル%以上であると、上記溶媒、上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物が上記電解質層から析出することを更に一層防止することができる。上記アセチル基量が20モル%以下であると、上記ポリビニルアセタール樹脂Bの製造効率を高めることができる。上記アセチル基量のより好ましい下限は0.5モル%、より好ましい上限は15モル%であり、更に好ましい下限は0.8モル%、更に好ましい上限は8モル%であり、特に好ましい下限は1モル%、特に好ましい上限は7モル%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂Bは、ポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂Bは、ポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂A及びポリビニルアセタール樹脂Bは、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することで得られる。上記アルデヒドは炭素数1〜10のアルデヒドであることが好ましく、炭素数4又は5のアルデヒドであることがより好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂Cは、炭素数が6以上のアルデヒドを用いてポリビニルアルコールをアセタール化することにより得られる。上記炭素数が6以上のアルデヒドは特に限定されないが、例えば、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、又は、n−デシルアルデヒド等が挙げられる。
上記ポリビニルアセタール樹脂Cは、アセタール化度の好ましい下限が50モル%、好ましい上限が80モル%である。上記アセタール化度が50モル%以上であると、上記溶媒、上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物が上記電解質層から析出することを更に一層防止することができる。上記アセタール化度が80モル%以下であると、上記ポリビニルアセタール樹脂Cの製造効率を高めることができる。上記アセタール化度のより好ましい下限は55モル%、より好ましい上限が78モル%であり、更に好ましい下限は60モル%、更に好ましい上限は76モル%であり、特に好ましい下限は65モル%、特に好ましい上限は74モル%である。
なお、上記ポリビニルアセタール樹脂A、ポリビニルアセタール樹脂B及びポリビニルアセタール樹脂Cの上記アセタール化度、上記アセチル基量及び上記水酸基量はJIS K 6728に準拠して、滴定法により求めることができる。
なお、上記ポリビニルアセタール樹脂A、ポリビニルアセタール樹脂B及びポリビニルアセタール樹脂Cの上記アセタール化度、上記アセチル基量及び上記水酸基量はJIS K 6728に準拠して、滴定法により求めることができる。
上記電解質層は熱線吸収剤を含有してもよい。
上記熱線吸収剤は、赤外線を遮蔽する性能を有すれば特に限定されないが、錫ドープ酸化インジウム粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子、亜鉛以外の元素がドープされた酸化亜鉛粒子、六ホウ化ランタン粒子、アンチモン酸亜鉛粒子、及び、フタロシアニン構造を有する赤外線吸収剤からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。
上記熱線吸収剤は、赤外線を遮蔽する性能を有すれば特に限定されないが、錫ドープ酸化インジウム粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子、亜鉛以外の元素がドープされた酸化亜鉛粒子、六ホウ化ランタン粒子、アンチモン酸亜鉛粒子、及び、フタロシアニン構造を有する赤外線吸収剤からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。
上記電解質層は接着力調整剤を含有してもよい。
上記接着力調整剤は、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、マグネシウム塩等が挙げられる。なかでも、炭素数2〜16のカルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びマグネシウム塩が好適であり、具体的には例えば、ビス(酢酸)マグネシウム、酢酸カリウム、ビス(プロピオン酸)マグネシウム、プロピオン酸カリウム、ビス(2−エチルブタン酸)マグネシウム、2−エチルブタン酸カリウム、ビス(2−エチルヘキサン酸)マグネシウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。これらの接着力調整剤は単独で用いられてもよく、併用されてもよい。上記電解質層にバインダー樹脂としてポリビニルアセタール樹脂を含有する場合、上記電解質層は接着力調整剤を含有することが好ましい。
上記接着力調整剤は、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、マグネシウム塩等が挙げられる。なかでも、炭素数2〜16のカルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びマグネシウム塩が好適であり、具体的には例えば、ビス(酢酸)マグネシウム、酢酸カリウム、ビス(プロピオン酸)マグネシウム、プロピオン酸カリウム、ビス(2−エチルブタン酸)マグネシウム、2−エチルブタン酸カリウム、ビス(2−エチルヘキサン酸)マグネシウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。これらの接着力調整剤は単独で用いられてもよく、併用されてもよい。上記電解質層にバインダー樹脂としてポリビニルアセタール樹脂を含有する場合、上記電解質層は接着力調整剤を含有することが好ましい。
上記電解質層は単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。上記電解質層が多層構造であるとは、上記電解質層が2層以上積層された構造であることを意味する。
上記電解質層が多層構造である場合、上記電解質層は、上記支持電解質塩と、上記式(1)で表される化合物又は上記式(2)で表される化合物と、上記バインダー樹脂として、熱可塑性樹脂とを含有することが好ましい。上記式(1)で表される化合物又は上記式(2)で表される化合物としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、ジヘキシルアジペート(DHA)等の液状可塑剤が挙げられる。
例えば、上記液状可塑剤の含有量の異なる電解質層を積層したり、上記バインダー樹脂として水酸基量の異なるポリビニルアセタール樹脂を含有する電解質層を積層したりすることにより、得られる合わせガラスの遮音性等を向上させることができる。
上記電解質層が多層構造である場合、上記電解質層は、上記支持電解質塩と、上記式(1)で表される化合物又は上記式(2)で表される化合物と、上記バインダー樹脂として、熱可塑性樹脂とを含有することが好ましい。上記式(1)で表される化合物又は上記式(2)で表される化合物としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、ジヘキシルアジペート(DHA)等の液状可塑剤が挙げられる。
例えば、上記液状可塑剤の含有量の異なる電解質層を積層したり、上記バインダー樹脂として水酸基量の異なるポリビニルアセタール樹脂を含有する電解質層を積層したりすることにより、得られる合わせガラスの遮音性等を向上させることができる。
上記電解質層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.01mm、好ましい上限は3.0mmである。上記電解質層の厚さが0.01〜3.0mmであると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより一層短くなる。上記電解質層の厚さのより好ましい下限は0.1mm、より好ましい上限は2.0mm、更に好ましい下限は0.3mm、更に好ましい上限は1.0mmである。
上記電解質層を形成する方法は特に限定されず、例えば、上記溶媒、上記式(1)で表される化合物(1)又は上記式(2)で表される化合物(2)に上記支持電解質塩を溶解した溶液を調製し、得られた溶液を上記バインダー樹脂と混合した混合物を熱プレス等の方法により電解質層を形成する方法や、該混合物を押出機により押出成形し電解質層を形成する方法等が挙げられる。
上記エレクトロクロミック層に含有されるエレクトロクロミック化合物は、エレクトロクロミック性を有する化合物であれば特に限定されず、無機化合物であってもよく、有機化合物であってもよい。なお、エレクトロクロミック性を有するとは、電圧を印加することにより光の透過率が変化する性質を有することを意味する。
上記エレクトロクロミック性を有する無機化合物は、例えば、Mo2O3、Ir2O3、NiO、V2O5、WO3、TiO2等の金属酸化物や、プルシアンブルー等の混合原子価錯体が挙げられる。
上記エレクトロクロミック性を有する有機化合物は、例えば、ポリピロール化合物、ポリアセチレン化合物、ポリチオフェン化合物、ポリパラフェニレンビニレン化合物、ポリアニリン化合物、ポリエチレンジオキシチオフェン化合物、金属フタロシアニン化合物、ビオロゲン化合物、ビオロゲン塩化合物、フェロセン化合物、テレフタル酸ジメチル化合物等が挙げられる。なかでも、ポリアセチレン化合物が好ましく、芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物がより好ましい。
上記エレクトロクロミック性を有する有機化合物は、例えば、ポリピロール化合物、ポリアセチレン化合物、ポリチオフェン化合物、ポリパラフェニレンビニレン化合物、ポリアニリン化合物、ポリエチレンジオキシチオフェン化合物、金属フタロシアニン化合物、ビオロゲン化合物、ビオロゲン塩化合物、フェロセン化合物、テレフタル酸ジメチル化合物等が挙げられる。なかでも、ポリアセチレン化合物が好ましく、芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物がより好ましい。
上記芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物は、エレクトロクロミック性と導電性とを有し、かつ、エレクトロクロミック層の形成が容易である。従って、芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物を用いれば、優れた調光性能を有するエレクトロクロミック層を容易に形成できる。また、芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物は、構造が変化することにより、吸収特性の変化を示す。その結果、吸収スペクトルが近赤外線の波長領域に及ぶため、エレクトロクロミック層は広い波長領域について優れた調光性能を有する。
上記芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物は特に限定されないが、例えば、一置換又は二置換の芳香族を側鎖に有するポリアセチレン化合物等が好適である。
上記芳香族側鎖を構成する置換基は特に限定されないが、例えば、フェニル、p−フルオロフェニル、p−クロロフェニル、p−ブロモフェニル、p−ヨードフェニル、p−ヘキシルフェニル、p−オクチルフェニル、p−シアノフェニル、p−アセトキシフェニル、p−アセトフェニル、o−(ジメチルフェニルシリル)フェニル、p−(ジメチルフェニルシリル)フェニル、o−(ジフェニルメチルシリル)、p−(ジフェニルメチルシリル)フェニル、o−(トリフェニルシリル)フェニル、p−(トリフェニルシリル)フェニル、o−(トリルジメチルシリル)フェニル、p−(トリルジメチルシリル)フェニル、o−(ベンジルジメチルシリル)フェニル、p−(ベンジルジメチルシリル)フェニル、o−(フェネチルジメチルシリル)フェニル、p−(フェネチルジメチルシリル)フェニル等のフェニル基や、ビフェニル基や、1−ナフチル、2−ナフチル、1−(4−フルオロ)ナフチル、1−(4−クロロ)ナフチル、1−(4−ブロモ)ナフチル、1−(4−ヘキシル)ナフチル、1−(4−オクチル)ナフチル等のナフチル基や、ナフタレン基や、1−アントラセン、1−(4−クロロ)アントラセン、1−(4−オクチル)アントラセン等のアントラセン基や、1−フェナントレン等のフェナントレン基や、1−フルオレン等のフルオレン基や、1−ペリレン等のペリレン基等が挙げられる。
上記芳香族側鎖を構成する置換基は特に限定されないが、例えば、フェニル、p−フルオロフェニル、p−クロロフェニル、p−ブロモフェニル、p−ヨードフェニル、p−ヘキシルフェニル、p−オクチルフェニル、p−シアノフェニル、p−アセトキシフェニル、p−アセトフェニル、o−(ジメチルフェニルシリル)フェニル、p−(ジメチルフェニルシリル)フェニル、o−(ジフェニルメチルシリル)、p−(ジフェニルメチルシリル)フェニル、o−(トリフェニルシリル)フェニル、p−(トリフェニルシリル)フェニル、o−(トリルジメチルシリル)フェニル、p−(トリルジメチルシリル)フェニル、o−(ベンジルジメチルシリル)フェニル、p−(ベンジルジメチルシリル)フェニル、o−(フェネチルジメチルシリル)フェニル、p−(フェネチルジメチルシリル)フェニル等のフェニル基や、ビフェニル基や、1−ナフチル、2−ナフチル、1−(4−フルオロ)ナフチル、1−(4−クロロ)ナフチル、1−(4−ブロモ)ナフチル、1−(4−ヘキシル)ナフチル、1−(4−オクチル)ナフチル等のナフチル基や、ナフタレン基や、1−アントラセン、1−(4−クロロ)アントラセン、1−(4−オクチル)アントラセン等のアントラセン基や、1−フェナントレン等のフェナントレン基や、1−フルオレン等のフルオレン基や、1−ペリレン等のペリレン基等が挙げられる。
上記エレクトロクロミック層は、熱線吸収剤や接着力調整剤を含有してもよい。上記熱線吸収剤は、上記電解質層に含有される熱線吸収剤と同様の熱線吸収剤を用いることができる。上記接着力調整剤は、上記電解質層に含有される接着力調整剤と同様の接着力調整剤を用いることができる。
上記エレクトロクロミック層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.05μm、好ましい上限は2μmである。上記エレクトロクロミック層の厚さが0.05μm未満であると、上記エレクトロクロミック層に電圧を印加しても充分に光の透過率が変化しないことがあり、2μmを超えると、合わせガラス用中間膜の透明性が低下することがある。上記エレクトロクロミック層の厚さのより好ましい下限は0.1μm、より好ましい上限は1μmである。
上記エレクトロクロミック層を形成する方法は特に限定されず、例えば上記エレクトロクロミック化合物が芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物である場合、該芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物を適当な有機溶媒に溶解した溶液を上記電解質層上にバーコーター等を用いて塗工した後、乾燥する方法や、上記芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物を押出機により押出成形しエレクトロクロミック層を形成する方法等が挙げられる。
上記導電膜層は、上記エレクトロクロミック層に電圧を印加するための一方の電極の役割を果たすものである。
上記導電膜層は、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等の金属酸化物や、銀、金、銅、クロム、ニッケル、アルミニウム等の金属や、カーボンナノチューブ、グラフェン等の炭素導電物質を含む導電膜層や、ポリスチレンスルホン酸でドープされたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT/PSS)などのドープされた導電性高分子を含む導電膜層であることが好ましい。上記導電膜層は、上記金属酸化物や上記金属を蒸着したり、それらの粒子又は繊維を塗布したりすることで形成される。また、上記導電膜層は、上記炭素導電物質の粒子や繊維、ドープされた導電性高分子を塗布することにより、形成されてもよい。
上記導電膜層は、熱可塑性樹脂層上に形成されてもよく、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の透明基板上に形成されてもよい。上記透明基板として、例えば、フロート板ガラス、型板ガラス、網入りガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、グリーンガラス等の無機ガラスや、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート等の有機プラスチックス板等が挙げられる。なかでも、可撓性に優れることから、上記透明基板として、有機プラスチックス板を用いることが好ましい。なお、上記透明基板上に上記導電膜層が形成されている場合、上記導電膜層と上記エレクトロクロミック層とが接するように積層されていることが好ましい。
なお、上記導電膜層は可視光線を透過することが好ましく、透明導電膜層であることがより好ましい。
上記導電膜層は、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等の金属酸化物や、銀、金、銅、クロム、ニッケル、アルミニウム等の金属や、カーボンナノチューブ、グラフェン等の炭素導電物質を含む導電膜層や、ポリスチレンスルホン酸でドープされたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT/PSS)などのドープされた導電性高分子を含む導電膜層であることが好ましい。上記導電膜層は、上記金属酸化物や上記金属を蒸着したり、それらの粒子又は繊維を塗布したりすることで形成される。また、上記導電膜層は、上記炭素導電物質の粒子や繊維、ドープされた導電性高分子を塗布することにより、形成されてもよい。
上記導電膜層は、熱可塑性樹脂層上に形成されてもよく、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の透明基板上に形成されてもよい。上記透明基板として、例えば、フロート板ガラス、型板ガラス、網入りガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、グリーンガラス等の無機ガラスや、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート等の有機プラスチックス板等が挙げられる。なかでも、可撓性に優れることから、上記透明基板として、有機プラスチックス板を用いることが好ましい。なお、上記透明基板上に上記導電膜層が形成されている場合、上記導電膜層と上記エレクトロクロミック層とが接するように積層されていることが好ましい。
なお、上記導電膜層は可視光線を透過することが好ましく、透明導電膜層であることがより好ましい。
上記導電膜層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は10nm、好ましい上限は1μmである。上記導電膜層の厚さが10nm未満であると、上記エレクトロクロミック層に電圧を印加しても充分に光の透過率が変化しないことがあり、1μmを超えると、合わせガラス用中間膜の透明性が低下することがある。
上記導電膜層を形成する方法は特に限定されず、例えば、マグネトロンスパッタリング法や真空蒸着法による蒸着法、スピンコーターやバーコーターやダイコーターによる塗工法等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂層は、エレクトロクロミック性を阻害することなく、本発明の合わせガラス用中間膜に高い耐貫通性を付与する役割を有する。
上記熱可塑性樹脂層に含有される熱可塑性樹脂は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリ三フッ化エチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。なかでも、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、ポリビニルアセタール樹脂がより好ましい。透明性が高い熱可塑性樹脂層が得られることから、炭素数が4又は5のアルデヒドによりポリビニルアルコールをアセタール化して得られたポリビニルアセタール樹脂が更に好適である。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂はポリビニルブチラール樹脂であることが好適である。
上記熱可塑性樹脂層に含有される熱可塑性樹脂は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリ三フッ化エチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。なかでも、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、ポリビニルアセタール樹脂がより好ましい。透明性が高い熱可塑性樹脂層が得られることから、炭素数が4又は5のアルデヒドによりポリビニルアルコールをアセタール化して得られたポリビニルアセタール樹脂が更に好適である。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂はポリビニルブチラール樹脂であることが好適である。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、アセチル基量が15mol%以下であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量が15mol%を超えると、合わせガラス用中間膜が白化することがある。上記合わせガラスの安全性をより一層高めることができることから、上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量のより好ましい上限は10mol%、更に好ましい上限は8mol%、特に好ましい上限は3mol%、最も好ましい上限は1.5mol%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂は水酸基量が35mol%以下であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量が35mol%以下であると、上記溶媒との相溶性が高くなり、熱可塑性樹脂層の透明性が高くなる。上記合わせガラスの安全性をより一層高めることができることから、上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量の好ましい下限は25mol%、より好ましい下限は27mol%、更に好ましい下限は29mol%、好ましい上限は34mol%、より好ましい上限は33mol%、更に好ましい上限は32mol%、特に好ましい上限は31.5mol%である。
合わせガラスの安全性をより一層高めることができることから、上記熱可塑性樹脂層に含まれるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、上記電解質層に含まれるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量よりも多いことが好ましく、2mol%以上多いことがより好ましく、5mol%以上多いことが更に好ましく、7mol%以上多いことが特に好ましい。
なお、上記アセチル基量及び上記水酸基量はJIS K 6728に準拠して、滴定法により求めることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は水酸基量が35mol%以下であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量が35mol%以下であると、上記溶媒との相溶性が高くなり、熱可塑性樹脂層の透明性が高くなる。上記合わせガラスの安全性をより一層高めることができることから、上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量の好ましい下限は25mol%、より好ましい下限は27mol%、更に好ましい下限は29mol%、好ましい上限は34mol%、より好ましい上限は33mol%、更に好ましい上限は32mol%、特に好ましい上限は31.5mol%である。
合わせガラスの安全性をより一層高めることができることから、上記熱可塑性樹脂層に含まれるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、上記電解質層に含まれるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量よりも多いことが好ましく、2mol%以上多いことがより好ましく、5mol%以上多いことが更に好ましく、7mol%以上多いことが特に好ましい。
なお、上記アセチル基量及び上記水酸基量はJIS K 6728に準拠して、滴定法により求めることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することで得られる。上記アルデヒドは炭素数4又は5のアルデヒドであることが好ましい。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度の好ましい下限は500、好ましい上限は5000である。上記ポリビニルアルコールの平均重合度が500未満であると、上記熱可塑性樹脂層の形状を維持できないことがあり、5000を超えると、イオン伝導性が低くなって、電圧を印加してもエレクトロクロミック層の光の透過率が変化しないことがある。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、GPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算により求めた上記ポリビニルアルコールの重量平均分子量をポリビニルアルコール1セグメント当りの分子量で除して求められる。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度の好ましい下限は500、好ましい上限は5000である。上記ポリビニルアルコールの平均重合度が500未満であると、上記熱可塑性樹脂層の形状を維持できないことがあり、5000を超えると、イオン伝導性が低くなって、電圧を印加してもエレクトロクロミック層の光の透過率が変化しないことがある。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、GPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算により求めた上記ポリビニルアルコールの重量平均分子量をポリビニルアルコール1セグメント当りの分子量で除して求められる。
上記熱可塑性樹脂層は、更に、可塑剤を含有することが好ましい。可塑剤を含有することにより、上記熱可塑性樹脂層が柔軟になり、より高い耐貫通性を発揮することができる。
上記可塑剤は特に限定されず、例えば、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、ジヘキシルアジペート(DHA)等が挙げられる。また、上記熱可塑性樹脂層は、可塑剤として、上記式(1)で表される化合物又は上記式(2)で表される化合物を含有してもよい。なかでも、上記熱可塑性樹脂層は、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを含有することが好ましい。
上記可塑剤は特に限定されず、例えば、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、ジヘキシルアジペート(DHA)等が挙げられる。また、上記熱可塑性樹脂層は、可塑剤として、上記式(1)で表される化合物又は上記式(2)で表される化合物を含有してもよい。なかでも、上記熱可塑性樹脂層は、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを含有することが好ましい。
上記熱可塑性樹脂層中における上記可塑剤の配合量は特に限定されないが、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する好ましい下限は30重量部、好ましい上限は150重量部である。上記可塑剤の配合量が30重量部未満であると、充分な耐貫通性向上効果が得られないことがあり、150重量部を超えると、可塑剤がブリードアウトし、合わせガラス用中間膜の透明性や接着性が低下することがある。上記可塑剤の配合量のより好ましい下限は32重量部、より好ましい上限は100重量部であり、更に好ましい下限は34重量部、更に好ましい上限は70重量部であり、特に好ましい下限は36重量部、特に好ましい上限は50重量部である。
上記熱可塑性樹脂層は、熱線吸収剤や接着力調整剤を含有してもよい。上記熱線吸収剤は、上記エレクトロクロミック層に含有される熱線吸収剤と同様の熱線吸収剤を用いることができる。上記接着力調整剤は、上記エレクトロクロミック層に含有される接着力調整剤と同様の接着力調整剤を用いることができる。
上記熱可塑性樹脂層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は100μm、好ましい上限は10mmである。上記熱可塑性樹脂層の厚さが100μm未満であると、充分な耐貫通性向上効果が得られないことがあり、10mmを超えると、合わせガラス用中間膜の透明性が低下することがある。上記熱可塑性樹脂層の厚さのより好ましい下限は200μm、より好ましい上限は5mmであり、更に好ましい下限は300μm、更に好ましい上限は2mmである。
上記熱可塑性樹脂層を形成する方法は特に限定されず、例えば、適当な有機溶剤に溶解した上記熱可塑性樹脂を上記導電膜層上に塗工した後、乾燥する方法や、押出成形法等により調製した熱可塑性樹脂層を上記導電膜層上にラミネートする方法等が挙げられる。
本発明の合わせガラス用中間膜は、上記電解質層、エレクトロクロミック層、導電膜層、熱可塑性樹脂層以外に、必要に応じて、紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層や、熱線吸収剤を含有する赤外線吸収層等を有してもよい。
また、上記エレクトロクロミック層と導電膜層との間に接着層を有してもよい。上記接着層を有することにより、エレクトロクロミック層と導電膜層との間でのデラミネーションの発生を防止することができる。
上記接着層は、上記熱可塑性樹脂層を構成する組成物と同様の組成物を用いることができる。ただし、上記接着層は、エレクトロクロミック層のエレクトロクロミック性を阻害する可能性がある。従って、上記接着層は、上記エレクトロクロミック層の面積に対する接着層の面積が10〜90%であり、かつ、接着層の最大厚みが50μm以下であるように、部分的にエレクトロクロミック層上に形成することが好ましい。このように部分的に接着層を形成することにより、エレクトロクロミック性を阻害することなく上記エレクトロクロミック層と導電膜層との接着性を向上させることができる。
上記接着層は、上記熱可塑性樹脂層を構成する組成物と同様の組成物を用いることができる。ただし、上記接着層は、エレクトロクロミック層のエレクトロクロミック性を阻害する可能性がある。従って、上記接着層は、上記エレクトロクロミック層の面積に対する接着層の面積が10〜90%であり、かつ、接着層の最大厚みが50μm以下であるように、部分的にエレクトロクロミック層上に形成することが好ましい。このように部分的に接着層を形成することにより、エレクトロクロミック性を阻害することなく上記エレクトロクロミック層と導電膜層との接着性を向上させることができる。
本発明の合わせガラス用中間膜が、ガラス板と導電膜が形成されているガラス板との間に、上記電解質層側が上記導電膜が形成されているガラス板の導電膜と接するように挟み込まれている合わせガラスもまた、本発明の1つである。
上記ガラス板は、一般に使用されている透明板ガラスを使用することができる。例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入りガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、グリーンガラス等の無機ガラスが挙げられる。また、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート等の有機プラスチックス板を用いることもできる。
上記ガラス板として、2種類以上のガラス板を用いてもよい。例えば、透明フロート板ガラスと、グリーンガラスのような着色されたガラス板とで、本発明の合わせガラス用中間膜を挟持した合わせガラスが挙げられる。また、上記ガラス板として、2種以上の厚さの異なるガラス板を用いてもよい。
上記ガラス板として、2種類以上のガラス板を用いてもよい。例えば、透明フロート板ガラスと、グリーンガラスのような着色されたガラス板とで、本発明の合わせガラス用中間膜を挟持した合わせガラスが挙げられる。また、上記ガラス板として、2種以上の厚さの異なるガラス板を用いてもよい。
上記ガラス板のうち一方は、少なくとも一方の面に導電膜が形成されている。本発明の合わせガラスにおいては、本発明の合わせガラス用中間膜の上記電解質層側が上記導電膜が形成されているガラス板の導電膜が形成された面に接するようにする。
上記導電膜は、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等を含む透明導電膜が好ましい。
上記導電膜は、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等を含む透明導電膜が好ましい。
本発明の合わせガラスの面密度は特に限定されないが、12kg/m2以下であることが好ましい。
本発明の合わせガラスは、自動車用ガラスとして使用する場合は、サイドガラス、リアガラス、ルーフガラスとして用いることができる。
本発明の合わせガラスは、自動車用ガラスとして使用する場合は、サイドガラス、リアガラス、ルーフガラスとして用いることができる。
本発明によれば、電圧を印加することにより光の透過率が変化し、かつ、高い安全性を有する合わせガラスを製造できる合わせガラス用中間膜、及び、該合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスを提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
(1)電解質層の調製
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)2.38gにビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)0.67gを溶解して電解質溶液を調製した。得られた電解質溶液の全量と、平均重合度が2300のポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでアセタール化して得られたポリビニルブチラール樹脂(アセチル基量13mol%、水酸基量22mol%)5.00gとを混合して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ400μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cm2の条件で5分間加圧し、厚さ400μmの電解質層を得た。
(1)電解質層の調製
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)2.38gにビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)0.67gを溶解して電解質溶液を調製した。得られた電解質溶液の全量と、平均重合度が2300のポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでアセタール化して得られたポリビニルブチラール樹脂(アセチル基量13mol%、水酸基量22mol%)5.00gとを混合して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ400μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cm2の条件で5分間加圧し、厚さ400μmの電解質層を得た。
(2)エレクトロクロミック層の調製
ポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)0.03915gを1.305gのトルエンに溶解して溶液を調製した。この溶液を、得られた電解質層上に、トルエンが揮発した後の厚さが0.3μmになるようにバーコーターを用いて塗布し、乾燥してエレクトロクロミック層を形成した。
ポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)0.03915gを1.305gのトルエンに溶解して溶液を調製した。この溶液を、得られた電解質層上に、トルエンが揮発した後の厚さが0.3μmになるようにバーコーターを用いて塗布し、乾燥してエレクトロクロミック層を形成した。
(3)熱可塑性樹脂層の調製
ポリビニルブチラール樹脂(アセチル基量0.8mol%、水酸基量30mol%)100重量部とトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)40重量部との混合物を厚さ800μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cm2の条件で5分間加圧し、厚さ800μmの熱可塑性樹脂層を得た。
ポリビニルブチラール樹脂(アセチル基量0.8mol%、水酸基量30mol%)100重量部とトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)40重量部との混合物を厚さ800μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cm2の条件で5分間加圧し、厚さ800μmの熱可塑性樹脂層を得た。
(4)合わせガラス用中間膜の作製
上記エレクトロクロミック層と、ITO透明導電膜層が表面に形成されたPETフィルム(表面抵抗300Ω/□、PET厚み50μm)とを、エレクトロクロミック層とITO透明導電膜層とが接するように積層した。次いで、エレクトロクロミック層が接していないPETフィルム側に、熱可塑性樹脂層を積層し、合わせガラス用中間膜を作製した。
得られた合わせガラス用中間膜は、電解質層と、エレクトロクロミック層と、PETフィルムと、熱可塑性樹脂層とがこの順に積層され、エレクトロクロミック層とITO透明導電膜層とが接している。
上記エレクトロクロミック層と、ITO透明導電膜層が表面に形成されたPETフィルム(表面抵抗300Ω/□、PET厚み50μm)とを、エレクトロクロミック層とITO透明導電膜層とが接するように積層した。次いで、エレクトロクロミック層が接していないPETフィルム側に、熱可塑性樹脂層を積層し、合わせガラス用中間膜を作製した。
得られた合わせガラス用中間膜は、電解質層と、エレクトロクロミック層と、PETフィルムと、熱可塑性樹脂層とがこの順に積層され、エレクトロクロミック層とITO透明導電膜層とが接している。
(5)合わせガラスの作製
電解質層と一枚のITO透明導電ガラス(表面抵抗100Ω/□、縦30cm×横30cm×厚さ2.5mm)とが接し、熱可塑性樹脂層と一枚のフロートガラス(縦30cm×横30cm×厚さ2.5mm)とが接するように、ITO透明導電ガラスと合わせガラス用中間膜(縦30cm×横30cm)とフロートガラスとを積層し、積層体を得た。
得られた積層体を、130℃の真空ラミネーターで圧着して合わせガラスを作製した。なお、ITO透明導電ガラスに形成されているITO透明導電膜と電解質層とが接するように積層した。
電解質層と一枚のITO透明導電ガラス(表面抵抗100Ω/□、縦30cm×横30cm×厚さ2.5mm)とが接し、熱可塑性樹脂層と一枚のフロートガラス(縦30cm×横30cm×厚さ2.5mm)とが接するように、ITO透明導電ガラスと合わせガラス用中間膜(縦30cm×横30cm)とフロートガラスとを積層し、積層体を得た。
得られた積層体を、130℃の真空ラミネーターで圧着して合わせガラスを作製した。なお、ITO透明導電ガラスに形成されているITO透明導電膜と電解質層とが接するように積層した。
(実施例2)
ITO透明導電膜層が表面に形成されたPETフィルムを、ITO透明導電膜層が表面に形成されたITO透明導電ガラス(表面抵抗120Ω/□、ガラス厚み0.7mm)とした以外は実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
ITO透明導電膜層が表面に形成されたPETフィルムを、ITO透明導電膜層が表面に形成されたITO透明導電ガラス(表面抵抗120Ω/□、ガラス厚み0.7mm)とした以外は実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
(実施例3)
熱可塑性樹脂層の厚みを1.6mmにした以外は実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
熱可塑性樹脂層の厚みを1.6mmにした以外は実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
(実施例4)
熱可塑性樹脂層の調整において、ポリビニルブチラール樹脂とトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエートとの混合物を、ポリメタクリル酸メチルとした以外は実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
熱可塑性樹脂層の調整において、ポリビニルブチラール樹脂とトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエートとの混合物を、ポリメタクリル酸メチルとした以外は実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
(比較例1)
熱可塑性樹脂層とフロートガラスとを積層しない以外は実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
熱可塑性樹脂層とフロートガラスとを積層しない以外は実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
(比較例2)
ITO透明導電膜層が表面に形成されたPETフィルムを積層しない以外は実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
ITO透明導電膜層が表面に形成されたPETフィルムを積層しない以外は実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
(評価)
実施例1〜4及び比較例1、2で得られた合わせガラスについて、以下の方法で評価を行った。結果を表1に示した。
実施例1〜4及び比較例1、2で得られた合わせガラスについて、以下の方法で評価を行った。結果を表1に示した。
(1)エレクトロクロミック性の評価
得られた合わせガラスの電極に+2Vの直流電圧を印加した後、−2Vの直流電圧を印加し、透過率の変化を目視にて観察した。透過率の変化が認められた場合を「○」、変化が認められなかった場合を「×]と評価した。
得られた合わせガラスの電極に+2Vの直流電圧を印加した後、−2Vの直流電圧を印加し、透過率の変化を目視にて観察した。透過率の変化が認められた場合を「○」、変化が認められなかった場合を「×]と評価した。
(2)耐貫通性評価
得られた合わせガラス(縦300mm×横300mm)を、その表面温度が23℃となるように調整した。次いで、JIS R 3212に準拠して、4mの高さから、合わせガラスに対して、質量2260g、直径82mmの剛球を、合わせガラスの中心部分に落下させた。同様の評価を6枚の合わせガラスについて行い、6枚の合わせガラス全てについて、剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった場合を合格とした。剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった合わせガラスが3枚以下であった場合は不合格とした。剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった合わせガラスが4枚の場合には、新しく6枚の合わせガラスについて再度の耐貫通性評価を行った。剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった合わせガラスが5枚の場合には、新しく1枚の合わせガラスを追加試験し、剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった場合を合格とした。
同様の耐貫通性評価を、落下高さを5mに変えて行った。合格した場合を「○」、不合格の場合を「×」と評価した。
なお、実施例1〜4及び比較例2ではフロートガラス側に剛球を落下させ、比較例1ではITO透明導電膜層が表面に形成されたPETフィルム側に剛球を落下させることにより、耐貫通性評価を行なった。
得られた合わせガラス(縦300mm×横300mm)を、その表面温度が23℃となるように調整した。次いで、JIS R 3212に準拠して、4mの高さから、合わせガラスに対して、質量2260g、直径82mmの剛球を、合わせガラスの中心部分に落下させた。同様の評価を6枚の合わせガラスについて行い、6枚の合わせガラス全てについて、剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった場合を合格とした。剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった合わせガラスが3枚以下であった場合は不合格とした。剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった合わせガラスが4枚の場合には、新しく6枚の合わせガラスについて再度の耐貫通性評価を行った。剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった合わせガラスが5枚の場合には、新しく1枚の合わせガラスを追加試験し、剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった場合を合格とした。
同様の耐貫通性評価を、落下高さを5mに変えて行った。合格した場合を「○」、不合格の場合を「×」と評価した。
なお、実施例1〜4及び比較例2ではフロートガラス側に剛球を落下させ、比較例1ではITO透明導電膜層が表面に形成されたPETフィルム側に剛球を落下させることにより、耐貫通性評価を行なった。
(実施例5)
(1)電解質層の調製
上記式(1)で表される化合物としてトリエチレングリコールジアセタート(上記式(1−1)で表される化合物)6.5重量部に、支持電解質塩としてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)3重量部を溶解して電解質溶液を調製した。得られた電解質溶液の全量と、熱可塑性樹脂として、アセチル基量13mol%、水酸基量22mol%のポリビニルブチラール樹脂(平均重合度が2300のポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでブチラール化することにより得られたポリビニルブチラール樹脂)10重量部とを混合して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ400μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cm2の条件で5分間加圧し、厚さ400μmの電解質層を得た。
(1)電解質層の調製
上記式(1)で表される化合物としてトリエチレングリコールジアセタート(上記式(1−1)で表される化合物)6.5重量部に、支持電解質塩としてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)3重量部を溶解して電解質溶液を調製した。得られた電解質溶液の全量と、熱可塑性樹脂として、アセチル基量13mol%、水酸基量22mol%のポリビニルブチラール樹脂(平均重合度が2300のポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでブチラール化することにより得られたポリビニルブチラール樹脂)10重量部とを混合して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ400μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cm2の条件で5分間加圧し、厚さ400μmの電解質層を得た。
(2)エレクトロクロミック化合物の調製
窒素雰囲気下−50℃で9−エチニルフェナントレン3重量部を溶解させたテトラヒドロフラン溶液26.7重量部に30重量%のノルマルブチルリチウムのヘキサン溶液13.4重量部を添加した。次いで、−90℃に冷却後、カリウムターシャリーブトキシド1.8重量部を溶解させたテトラヒドロフラン溶液13.3重量部を添加し、−80℃で1時間撹拌し、5℃まで昇温した。次いで、−70℃で1−ヨードオクタデカン5.6重量部を滴下し、−30℃で12時間撹拌した。0℃で水100重量部を滴下し、ヘキサン300重量部を加え、生成した化合物を抽出した。このヘキサン層を蒸留水300重量部で3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで1時間乾燥させ、濾過後、溶媒を留去した。カラム精製後溶媒を留去し、ヘキサンを展開溶媒としてカラム精製することにより9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレンを得た。
得られた9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレンについて1H−NMR(270MHz、CDCl3)により分析を行ったところ、δ8.7(2H)、8.5(1H)、8.1(1H)、7.7(4H)、3.7(1H)、3.5(2H)、1.7(2H)、1.6(30H)、1.0(3H)のピークが認められた。
窒素雰囲気下−50℃で9−エチニルフェナントレン3重量部を溶解させたテトラヒドロフラン溶液26.7重量部に30重量%のノルマルブチルリチウムのヘキサン溶液13.4重量部を添加した。次いで、−90℃に冷却後、カリウムターシャリーブトキシド1.8重量部を溶解させたテトラヒドロフラン溶液13.3重量部を添加し、−80℃で1時間撹拌し、5℃まで昇温した。次いで、−70℃で1−ヨードオクタデカン5.6重量部を滴下し、−30℃で12時間撹拌した。0℃で水100重量部を滴下し、ヘキサン300重量部を加え、生成した化合物を抽出した。このヘキサン層を蒸留水300重量部で3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで1時間乾燥させ、濾過後、溶媒を留去した。カラム精製後溶媒を留去し、ヘキサンを展開溶媒としてカラム精製することにより9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレンを得た。
得られた9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレンについて1H−NMR(270MHz、CDCl3)により分析を行ったところ、δ8.7(2H)、8.5(1H)、8.1(1H)、7.7(4H)、3.7(1H)、3.5(2H)、1.7(2H)、1.6(30H)、1.0(3H)のピークが認められた。
得られた9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン3.5重量部を、WCl6触媒0.17重量部を用いて重合させ、ポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)を得た。
得られたポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)により測定した。Waters社製の液体クロマトグラフ装置(Waters2695、RI Waters2410、UV Waters2996)を用い、カラムはShodex社製LF−804を使用した。0.2重量%となるようにクロロホルムに溶解したポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)を100μL注入し、カラム温度40℃で移動相をクロロホルムとして測定を行った。ポリスチレン換算分子量は、数平均分子量14万7千、重量平均分子量31万5千であった。
得られたポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)により測定した。Waters社製の液体クロマトグラフ装置(Waters2695、RI Waters2410、UV Waters2996)を用い、カラムはShodex社製LF−804を使用した。0.2重量%となるようにクロロホルムに溶解したポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)を100μL注入し、カラム温度40℃で移動相をクロロホルムとして測定を行った。ポリスチレン換算分子量は、数平均分子量14万7千、重量平均分子量31万5千であった。
(3)エレクトロクロミック層の調製
得られたポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)0.039重量部を1.3重量部のトルエンに溶解して溶液を調製した。この溶液を、得られた電解質層上に、トルエンが揮発した後の厚さが0.3μmになるようにバーコーターを用いて塗布し、乾燥して厚さ0.3μmのエレクトロクロミック層を形成した。
得られたポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)0.039重量部を1.3重量部のトルエンに溶解して溶液を調製した。この溶液を、得られた電解質層上に、トルエンが揮発した後の厚さが0.3μmになるようにバーコーターを用いて塗布し、乾燥して厚さ0.3μmのエレクトロクロミック層を形成した。
(4)熱可塑性樹脂層の調製
ポリビニルブチラール樹脂(アセチル基量0.8mol%、水酸基量30mol%)100重量部とトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)40重量部との混合物を厚さ800μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cm2の条件で5分間加圧し、厚さ800μmの熱可塑性樹脂層を得た。
ポリビニルブチラール樹脂(アセチル基量0.8mol%、水酸基量30mol%)100重量部とトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)40重量部との混合物を厚さ800μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cm2の条件で5分間加圧し、厚さ800μmの熱可塑性樹脂層を得た。
(5)合わせガラス用中間膜の作製
上記エレクトロクロミック層と、ITO透明導電膜層が表面に形成されたPETフィルム(表面抵抗300Ω/□、PET厚み50μm)とを、エレクトロクロミック層とITO透明導電膜層とが接するように積層した。次いで、エレクトロクロミック層が接していないPETフィルム側に、熱可塑性樹脂層を積層し、合わせガラス用中間膜を作製した。
得られた合わせガラス用中間膜は、電解質層と、エレクトロクロミック層と、PETフィルムと、熱可塑性樹脂層とがこの順に積層され、エレクトロクロミック層とITO透明導電膜層とが接している。
上記エレクトロクロミック層と、ITO透明導電膜層が表面に形成されたPETフィルム(表面抵抗300Ω/□、PET厚み50μm)とを、エレクトロクロミック層とITO透明導電膜層とが接するように積層した。次いで、エレクトロクロミック層が接していないPETフィルム側に、熱可塑性樹脂層を積層し、合わせガラス用中間膜を作製した。
得られた合わせガラス用中間膜は、電解質層と、エレクトロクロミック層と、PETフィルムと、熱可塑性樹脂層とがこの順に積層され、エレクトロクロミック層とITO透明導電膜層とが接している。
(6)合わせガラスの作製
電解質層と一枚のITO透明導電ガラス(表面抵抗100Ω/□、縦30cm×横30cm×厚さ2.5mm)とが接し、熱可塑性樹脂層と一枚のフロートガラス(縦30cm×横30cm×厚さ2.5mm)とが接するように、ITO透明導電ガラスと合わせガラス用中間膜(縦30cm×横30cm)とフロートガラスとを積層し、積層体を得た。
得られた積層体を、130℃の真空ラミネーターで圧着して合わせガラスを作製した。なお、ITO透明導電ガラスに形成されているITO透明導電膜と電解質層とが接するように積層した。
電解質層と一枚のITO透明導電ガラス(表面抵抗100Ω/□、縦30cm×横30cm×厚さ2.5mm)とが接し、熱可塑性樹脂層と一枚のフロートガラス(縦30cm×横30cm×厚さ2.5mm)とが接するように、ITO透明導電ガラスと合わせガラス用中間膜(縦30cm×横30cm)とフロートガラスとを積層し、積層体を得た。
得られた積層体を、130℃の真空ラミネーターで圧着して合わせガラスを作製した。なお、ITO透明導電ガラスに形成されているITO透明導電膜と電解質層とが接するように積層した。
(実施例6〜33)
トリエチレングリコールジアセタートの代わりに表2に示した化合物を用いて電解質層を調製した以外は実施例5と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
トリエチレングリコールジアセタートの代わりに表2に示した化合物を用いて電解質層を調製した以外は実施例5と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
(実施例34)
上記式(1)で表される化合物としてトリエチレングリコールジブチラート(上記式(1−3)で表される化合物)6.5重量部に、支持電解質塩としてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)3重量部を溶解して電解質溶液を調製した。得られた電解質溶液の全量と、熱可塑性樹脂として、アセチル基量18mol%、水酸基量15mol%のポリビニルブチラール樹脂(平均重合度が2300のポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでブチラール化することにより得られたポリビニルブチラール樹脂)10重量部とを混合して樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ400μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cm2の条件で5分間加圧し、厚さ400μmの電解質層を得た。
得られた電解質層を用いた以外は実施例5と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
上記式(1)で表される化合物としてトリエチレングリコールジブチラート(上記式(1−3)で表される化合物)6.5重量部に、支持電解質塩としてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)3重量部を溶解して電解質溶液を調製した。得られた電解質溶液の全量と、熱可塑性樹脂として、アセチル基量18mol%、水酸基量15mol%のポリビニルブチラール樹脂(平均重合度が2300のポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでブチラール化することにより得られたポリビニルブチラール樹脂)10重量部とを混合して樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ400μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cm2の条件で5分間加圧し、厚さ400μmの電解質層を得た。
得られた電解質層を用いた以外は実施例5と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
(実施例35)
熱可塑性樹脂として、アセチル基量6mol%、水酸基量18mol%のポリビニルブチラール樹脂(平均重合度が2300のポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでブチラール化することにより得られたポリビニルブチラール樹脂)を用いて電解質層を調製した以外は実施例34と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
熱可塑性樹脂として、アセチル基量6mol%、水酸基量18mol%のポリビニルブチラール樹脂(平均重合度が2300のポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでブチラール化することにより得られたポリビニルブチラール樹脂)を用いて電解質層を調製した以外は実施例34と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
(実施例36)
熱可塑性樹脂として、アセチル基量18mol%、水酸基量11mol%のポリビニルヘキシラール樹脂(平均重合度が2300のポリビニルアルコールをn−ヘキシルアルデヒドでアセタール化することにより得られたポリビニルヘキシラール樹脂)を用いて電解質層を調製した以外は実施例34と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
熱可塑性樹脂として、アセチル基量18mol%、水酸基量11mol%のポリビニルヘキシラール樹脂(平均重合度が2300のポリビニルアルコールをn−ヘキシルアルデヒドでアセタール化することにより得られたポリビニルヘキシラール樹脂)を用いて電解質層を調製した以外は実施例34と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
(実施例37)
熱可塑性樹脂として、アセチル基量22mol%、水酸基量22mol%のポリビニルブチラール樹脂(平均重合度が2300のポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでブチラール化することにより得られたポリビニルブチラール樹脂)を用いて電解質層を調製した以外は実施例34と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
熱可塑性樹脂として、アセチル基量22mol%、水酸基量22mol%のポリビニルブチラール樹脂(平均重合度が2300のポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでブチラール化することにより得られたポリビニルブチラール樹脂)を用いて電解質層を調製した以外は実施例34と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
(実施例38)
上記式(1)で表される化合物としてトリエチレングリコールジブチラート(上記式(1−3)で表される化合物)の配合量を12重量部に変更した以外は実施例7と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
上記式(1)で表される化合物としてトリエチレングリコールジブチラート(上記式(1−3)で表される化合物)の配合量を12重量部に変更した以外は実施例7と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
(実施例39)
上記式(1)で表される化合物としてトリエチレングリコールジブチラート(上記式(1−3)で表される化合物)の配合量を5重量部に変更した以外は実施例7と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
上記式(1)で表される化合物としてトリエチレングリコールジブチラート(上記式(1−3)で表される化合物)の配合量を5重量部に変更した以外は実施例7と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
(評価)
実施例5〜39にて得られた合わせガラスについて、以下の評価を行った。
結果を表2に示した。
実施例5〜39にて得られた合わせガラスについて、以下の評価を行った。
結果を表2に示した。
(1)応答性評価
完全に着色した状態の合わせガラスの波長640nmの光の透過率をTC、完全に消色した状態の合わせガラスの波長640nmの光の透過率をTBとする。
完全に着色した状態の合わせガラスに+2Vの電圧を印加し、電圧を印加してから合わせガラスの波長640nmの光の透過率がTCからT1=TC+(TB−TC)×0.8まで変化するのに要した時間を測定し、これを消色時間t1とした。
完全に消色した状態の合わせガラスに−2Vの電圧を印加し、電圧を印加してから合わせガラスの波長640nmの光の透過率がTBからT2=TB−(TB−TC)×0.8まで変化するのに要した時間を測定し、これを着色時間t2とした。
なお、透過率の測定には、日本分光社製の分光光度計「V−670」を用いた。
完全に着色した状態の合わせガラスの波長640nmの光の透過率をTC、完全に消色した状態の合わせガラスの波長640nmの光の透過率をTBとする。
完全に着色した状態の合わせガラスに+2Vの電圧を印加し、電圧を印加してから合わせガラスの波長640nmの光の透過率がTCからT1=TC+(TB−TC)×0.8まで変化するのに要した時間を測定し、これを消色時間t1とした。
完全に消色した状態の合わせガラスに−2Vの電圧を印加し、電圧を印加してから合わせガラスの波長640nmの光の透過率がTBからT2=TB−(TB−TC)×0.8まで変化するのに要した時間を測定し、これを着色時間t2とした。
なお、透過率の測定には、日本分光社製の分光光度計「V−670」を用いた。
(2)繰返し耐久性
完全に着色した状態の合わせガラスに、上記応答性評価により得られた消色時間t1だけ+2Vの電圧を印加して消色させた。次いで、消色させた合わせガラスに上記応答性評価より得られた着色時間t2だけ−2Vの電圧を印加して着色させた。この消色から着色までを一周期として、5000周期消色と着色とを繰り返した。
5000周期消色と着色とを繰り返した後に、完全に着色した状態の合わせガラスに+2Vの電圧を印加し、電圧を印加してから合わせガラスの波長640nmの光の透過率がTCからT1=TC+(TB−TC)×0.8まで変化するのに要した時間を測定し、これを消色時間t3とした。
繰返し耐久性について、t3≦2×t1の場合を「○」と、2×t1<t3≦5×t1の場合を「△」と、t3>5×t1の場合「×」と評価した。
完全に着色した状態の合わせガラスに、上記応答性評価により得られた消色時間t1だけ+2Vの電圧を印加して消色させた。次いで、消色させた合わせガラスに上記応答性評価より得られた着色時間t2だけ−2Vの電圧を印加して着色させた。この消色から着色までを一周期として、5000周期消色と着色とを繰り返した。
5000周期消色と着色とを繰り返した後に、完全に着色した状態の合わせガラスに+2Vの電圧を印加し、電圧を印加してから合わせガラスの波長640nmの光の透過率がTCからT1=TC+(TB−TC)×0.8まで変化するのに要した時間を測定し、これを消色時間t3とした。
繰返し耐久性について、t3≦2×t1の場合を「○」と、2×t1<t3≦5×t1の場合を「△」と、t3>5×t1の場合「×」と評価した。
(2)耐貫通性評価
得られた合わせガラス(縦300mm×横300mm)を、その表面温度が23℃となるように調整した。次いで、JIS R 3212に準拠して、4mの高さから、合わせガラスに対して、質量2260g、直径82mmの剛球を、合わせガラスの中心部分に落下させた。同様の評価を6枚の合わせガラスについて行い、6枚の合わせガラス全てについて、剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった場合を合格とした。剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった合わせガラスが3枚以下であった場合は不合格とした。剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった合わせガラスが4枚の場合には、新しく6枚の合わせガラスについて再度の耐貫通性評価を行った。剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった合わせガラスが5枚の場合には、新しく1枚の合わせガラスを追加試験し、剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった場合を合格とした。
同様の耐貫通性評価を、落下高さを5mに変えて行った。合格した場合を「○」、不合格の場合を「×」と評価した。
なお、実施例5〜39ではフロートガラス側に剛球を落下させることにより、耐貫通性評価を行なった。
得られた合わせガラス(縦300mm×横300mm)を、その表面温度が23℃となるように調整した。次いで、JIS R 3212に準拠して、4mの高さから、合わせガラスに対して、質量2260g、直径82mmの剛球を、合わせガラスの中心部分に落下させた。同様の評価を6枚の合わせガラスについて行い、6枚の合わせガラス全てについて、剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった場合を合格とした。剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった合わせガラスが3枚以下であった場合は不合格とした。剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった合わせガラスが4枚の場合には、新しく6枚の合わせガラスについて再度の耐貫通性評価を行った。剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった合わせガラスが5枚の場合には、新しく1枚の合わせガラスを追加試験し、剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった場合を合格とした。
同様の耐貫通性評価を、落下高さを5mに変えて行った。合格した場合を「○」、不合格の場合を「×」と評価した。
なお、実施例5〜39ではフロートガラス側に剛球を落下させることにより、耐貫通性評価を行なった。
本発明によれば、電圧を印加することにより光の透過率が変化し、かつ、高い安全性を有する合わせガラスを製造できる合わせガラス用中間膜、及び、該合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスを提供することができる。
Claims (10)
- 少なくとも、電解質層、エレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層、導電膜層、及び、熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂層がこの順に積層していることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
- 熱可塑性樹脂層に含有される熱可塑性樹脂は、炭素数が4又は5のアルデヒドによりポリビニルアルコールをアセタール化して得られた、アセチル基量が15mol%以下、水酸基量が35mol%以下であるポリビニルアセタール樹脂であることを特徴とする請求項1記載の合わせガラス用中間膜。
- 熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂100重量部に対して可塑剤30〜150重量部を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の合わせガラス用中間膜。
- 電解質層は、支持電解質塩、バインダー樹脂、並びに、下記式(1)で表される化合物又は下記式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の合わせガラス用中間膜。
- 式(1)中、R1は炭素数1〜6のアルキル基を有するアシル基を表し、R2はエチレン基又はプロピレン基を表し、R3は炭素数1〜6のアルキル基を有するアシル基を表すことを特徴とする請求項4記載の合わせガラス用中間膜。
- バインダー樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることを特徴とする請求項4又は5記載の合わせガラス用中間膜。
- ポリビニルアセタール樹脂は、アセチル基量が15モル%以下であり、かつ、水酸基量が30モル%以下であることを特徴とする請求項6記載の合わせガラス用中間膜。
- ポリビニルアセタール樹脂は、アセチル基量が5モル%以上であることを特徴とする請求項6記載の合わせガラス用中間膜。
- ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化度が70〜85モル%であることを特徴とする請求項6記載の合わせガラス用中間膜。
- 請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の合わせガラス用中間膜が、ガラス板と導電膜が形成されているガラス板との間に、前記電解質層側が前記導電膜が形成されているガラス板の導電膜と接するように挟み込まれていることを特徴とする合わせガラス。
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