JP2013250528A - 調光体、調光シート、電解質膜、合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents

調光体、調光シート、電解質膜、合わせガラス用中間膜及び合わせガラス Download PDF

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Abstract

【課題】着色時における光の透過率と消色時における光の透過率との差が大きい調光体を提供する。
【解決手段】対向する一対の透明導電層間に電解質層とエレクトロクロミック層とを有する調光体であって、前記電解質層は、支持電解質、バインダー樹脂及び光エネルギー変換材料を含有する調光体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、着色時における光の透過率と消色時における光の透過率との差が大きい調光体に関する。
電圧を印加することにより光の透過率が変化する調光体は、広く用いられている。
上記調光体は、液晶材料を用いた調光体と、エレクトロクロミック化合物を用いた調光体とに大別される。エレクトロクロミック化合物を用いた調光体は、液晶材料を用いた調光体に比べて光散乱が少なく、偏光が少ないという特徴がある。
エレクトロクロミック化合物を用いた調光体として、対向する一対の電極基板の間に、エレクトロクロミック層と電解質層とからなる調光シートが挟み込まれている調光体が提案されている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、無機酸化物を含有するエレクトロクロミック層、イオン伝導層、無機酸化物を含有するエレクトロクロミック層の3層が順次積層された積層体が、2枚の導電性基板間に挟み込まれている調光体が開示されている。また、特許文献3及び特許文献4には、対向する一対の電極基板の間に、ポリアセチレン系樹脂からなる有機エレクトロクロミック層と電解質層とが挟み込まれている調光体が開示されている。
調光体に求められる基本性能としては、光の透過率の変化が大きいこと、即ち、着色時における光の透過率と消色時における光の透過率との差(コントラスト)が大きいことが挙げられる。しかしながら、従来の調光体では、期待するほどには光の透過率の変化が大きくなく、用途展開の妨げとなっていた。
光の透過率の変化を向上させる試みとして、調光体の厚みを厚くする試みも行われたが、調光体の厚みを厚くして着色時の光の透過率を低下させると、それ以上に消色時の光の透過率が低下してしまい、かえって光の透過率の変化が小さくなってしまった。
特開2004−062030号公報 特開2005−062772号公報 特表2002−526801号公報 特表2004−531770号公報
本発明は、着色時における光の透過率と消色時における光の透過率との差が大きい調光体を提供することを目的とする。
本発明は、対向する一対の透明導電層間に電解質層とエレクトロクロミック層とを有する調光体であって、前記電解質層は、支持電解質、バインダー樹脂及び光エネルギー変換材料を含有する調光体である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、鋭意検討の結果、調光体を構成する電解質層中に光エネルギー変換材料を含有させることにより、着色時における光の透過率と消色時における光の透過率との差を大きくできることを見出し、本発明を完成した。
これは、光エネルギー変換材料によって、例えば、紫外領域の光(エネルギー)を可視領域の光に変換させることができ、この変換された光をエレクトロクロミック層が更に変化させることができるためと考えられる。
なお、本明細書において光エネルギー変換材料とは、特定の波長領域の入射光を他の波長領域の光に変換できる材料を意味する。
本発明の調光体は、対向する一対の透明導電層間に、電解質層とエレクトロクロミック層とを有する。
上記電解質層は、イオンを伝導することにより上記エレクトロクロミック層に電圧を印加し、エレクトロクロミック層の光の透過率を変化させる役割を有する。上記電解質層に光エネルギー変換材料を配合することにより、光エネルギー変換材料によって、例えば、紫外領域の光(エネルギー)を可視領域の光に変換させることができ、この変換された光をエレクトロクロミック層が更に変化させることができる。このため、光の透過率の変化を大きくすること、即ち、着色時における光の透過率と消色時における光の透過率との差を大きくすることができる。
上記光エネルギー変換材料としては、例えば、特定波長の光を吸収した後に該光とは異なる波長の光を蛍光発光により発する有機化合物又は無機化合物が挙げられる。
上記特定波長の光を吸収した後に該光とは異なる波長の光を蛍光発光により発する有機化合物又は無機化合物としては、例えば、ナフタルイミド骨格を有する有機化合物や、アミノクマリン等のクマリン骨格を有する有機化合物や、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミン123等のローダミン染料や、Eu等の希土類イオンを有する無機化合物又は錯体等が挙げられる。これらの有機化合物又は無機化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記電解質層中における上記光エネルギー変換材料の配合量は、上記バインダー樹脂100重量部に対する好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が5重量部である。上記光エネルギー変換材料の配合量がこの範囲内であると、着色時における光の透過率と消色時における光の透過率との差を大きくすることができる。上記光エネルギー変換材料の配合量のより好ましい下限は0.05重量部、更に好ましい下限は0.1重量部であり、より好ましい上限は3重量部、更に好ましい上限は1重量部である。
上記電解質層は、上記光エネルギー変換材料のほかに、支持電解質とバインダー樹脂とを含有する。
上記支持電解質としては、リチウム塩、カリウム塩又はナトリウム塩等のアルカリ金属塩であることが好ましい。上記アルカリ金属塩は、無機酸とアルカリ金属の塩又は有機酸とアルカリ金属の塩であることが好ましい。例えば、上記無機酸とアルカリ金属の塩として、無機酸アニオンリチウム塩、無機酸アニオンカリウム塩、又は、無機酸アニオンナトリウム塩等が挙げられ、上記有機酸とアルカリ金属の塩として、有機酸アニオンリチウム塩、有機酸アニオンカリウム塩、又は、有機酸アニオンナトリウム塩等が挙げられる。なかでも、上記支持電解質はリチウム塩であることが好ましく、過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウム、リンフッ化リチウム等の無機酸アニオンリチウム塩、又は、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム等の有機酸アニオンリチウム塩であることがより好ましい。
上記支持電解質は、アンモニウムカチオンと、アニオンとの塩であってもよい。
上記アンモニウムカチオンとしては、例えば、テトラエチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、メチルプロピルピロリジニウム、メチルブチルピロリジニウム、メチルプロピルピペリジニウム、メチルブチルピペリジニウム等のアルキルアンモニウムカチオンや、エチルメチルイミダゾリウム、ジメチルエチルイミダゾリウム、メチルピリジニウム、エチルピリジニウム、プロピルピリジニウム、ブチルピリジニウム等が挙げられる。
上記アニオンとしては、過塩素酸アニオン、ホウフッ化アニオン、リンフッ化アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドアニオン等が挙げられる。
上記電解質層中における上記支持電解質の配合量は、上記バインダー樹脂100重量部に対する好ましい下限が3重量部、好ましい上限が60重量部である。上記支持電解質の配合量が3〜60重量部であると、電圧を印加してから光の透過率の変化が完了するまでの時間がより一層短くなる。上記支持電解質の配合量のより好ましい下限は10重量部、更に好ましい下限は20重量部であり、より好ましい上限は50重量部、更に好ましい上限は40重量部である。
上記バインダー樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
上記バインダー樹脂は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリ三フッ化エチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。なかでも、ビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、ビニルアセタール樹脂がより好ましい。透明性が高い電解質層が得られることから、ポリビニルアルコールをアセタール化して得られたビニルアセタール樹脂が更に好適である。特に、上記ビニルアセタール樹脂はビニルブチラール樹脂であることが好適である。
上記ビニルアセタール樹脂は、アセチル基量が15mol%以下であることが好ましい。上記ビニルアセタール樹脂のアセチル基量が15mol%を超えると、電解質層が白化することがある。
上記ビニルアセタール樹脂は水酸基量が30mol%以下であることが好ましい。上記ビニルアセタール樹脂の水酸基量が30mol%を超えると、溶媒との相溶性が低下し、電解質層の透明性が低下することがある。
なお、上記アセチル基量及び上記水酸基量はJIS K 6728に準拠して、滴定法により求めることができる。
上記ビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することで得られる。上記アルデヒドは炭素数4又は5のアルデヒドであることが好ましい。上記ポリビニルアルコールの平均重合度の好ましい下限は500、好ましい上限は5000である。上記ポリビニルアルコールの平均重合度が500以上であると、調光体の耐貫通性が高くなる。上記ポリビニルアルコールの平均重合度が5000以下であると、電圧を印加してから光の透過率の変化が完了するまでの時間がより一層短くなる。
上記電解質層は、溶媒を含有することが好ましい。
上記溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ニトロメタン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン等のエステル化合物や、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の置換テトラヒドロフラン化合物や、1,3−ジオキソラン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン、t−ブチルエーテル、イソブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン等のエーテル化合物や、エチレングリコール、ポリエチレングリコールスルホラン、3−メチルスルホラン、蟻酸メチル、酢酸メチル、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒が挙げられる。
また、上記溶媒として、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート等のジエステル化合物を使用してもよい。
上記電解質層中における溶媒の配合量は、上記バインダー樹脂100重量部に対する好ましい下限が30重量部、好ましい上限が150重量部である。上記溶媒の配合量が30重量部以上であると、電圧を印加してから光の透過率の変化が完了するまでの時間がより一層短くなる。上記溶媒の配合量が150重量部以下であると、調光体の耐貫通性が高くなる。上記溶媒の配合量のより好ましい下限は50重量部、より好ましい上限は100重量部である。
上記電解質層は、更に熱線吸収剤を含有してもよい。
上記熱線吸収剤は、赤外線を遮蔽する性能を有すればよく、錫ドープ酸化インジウム粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子、亜鉛以外の元素がドープされた酸化亜鉛粒子、六ホウ化ランタン粒子、アンチモン酸亜鉛粒子及びフタロシアニン構造を有する赤外線吸収剤からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。
上記電解質層は、更に接着力調整剤を含有してもよい。
上記接着力調整剤としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、マグネシウム塩等が挙げられる。なかでも、炭素数2〜16のカルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びマグネシウム塩が好適であり、具体的には例えば、ビス(酢酸)マグネシウム、酢酸カリウム、ビス(プロピオン酸)マグネシウム、プロピオン酸カリウム、ビス(2−エチルブタン酸)マグネシウム、2−エチルブタン酸カリウム、ビス(2−エチルヘキサン酸)マグネシウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。これらの接着力調整剤は単独で用いられてもよく、併用されてもよい。上記電解質層にバインダー樹脂としてビニルアセタール樹脂を含有する場合、上記電解質層は接着力調整剤を含有することが好ましい。
上記電解質層は単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。上記電解質層が多層構造であるとは、上記電解質層が2層以上積層された構造であることを意味する。
上記電解質層の厚さは、好ましい下限が0.01mm、好ましい上限が3.0mmである。上記電解質層の厚さが0.01〜3.0mmであると、電圧を印加してから光の透過率の変化が完了するまでの時間がより一層短くなる。上記電解質層の厚さのより好ましい下限は0.1mm、より好ましい上限は2.0mm、更に好ましい下限は0.3mm、更に好ましい上限は1.0mmである。
上記エレクトロクロミック層は、電圧を印加することにより光の透過率を変化させるエレクトロクロミック性を発揮する役割を有する。本発明の調光体は、上記エレクトロクロミック層を1層のみ有してもよく、2層以上を有してもよい。
上記エレクトロクロミック層に含有されるエレクトロクロミック化合物は、エレクトロクロミック性を有する化合物であれば、無機化合物であってもよく、有機化合物であってもよく、混合原子価錯体であってもよい。
上記エレクトロクロミック性を有する無機化合物としては、例えば、Mo、Ir、NiO、V、WO等が挙げられる。
上記エレクトロクロミック性を有する有機化合物としては、例えば、ポリピロール化合物、ポリチオフェン化合物、ポリパラフェニレンビニレン化合物、ポリアニリン化合物、ポリアセチレン化合物、ポリエチレンジオキシチオフェン化合物、金属フタロシアニン化合物、ビオロゲン化合物、ビオロゲン塩化合物、フェロセン化合物、テレフタル酸ジメチル化合物、テレフタル酸ジエチル化合物等が挙げられる。なかでも、ポリアセチレン化合物が好ましく、芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物がより好ましい。
上記エレクトロクロミック性を有する混合原子価錯体としては、例えば、プルシアンブルー型錯体(KFe[Fe(CN)]等)が挙げられる。
上記芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物は、エレクトロクロミック性と導電性とを有し、かつ、エレクトロクロミック層の形成が容易である。従って、芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物を用いれば、優れた調光性能を有するエレクトロクロミック層を容易に形成できる。また、芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物は、構造が変化することにより、吸収特性の変化を示す。その結果、吸収スペクトルが近赤外線の波長領域に及ぶため、エレクトロクロミック層は広い波長領域について優れた調光性能を有する。
上記芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物としては、例えば、一置換又は二置換の芳香環を側鎖に有するポリアセチレン化合物等が好適である。
上記芳香族側鎖を構成する置換基としては、例えば、フェニル、p−フルオロフェニル、p−クロロフェニル、p−ブロモフェニル、p−ヨードフェニル、p−ヘキシルフェニル、p−オクチルフェニル、p−シアノフェニル、p−アセトキシフェニル、p−アセトフェニル、ビフェニル、o−(ジメチルフェニルシリル)フェニル、p−(ジメチルフェニルシリル)フェニル、o−(ジフェニルメチルシリル)、p−(ジフェニルメチルシリル)フェニル、o−(トリフェニルシリル)フェニル、p−(トリフェニルシリル)フェニル、o−(トリルジメチルシリル)フェニル、p−(トリルジメチルシリル)フェニル、o−(ベンジルジメチルシリル)フェニル、p−(ベンジルジメチルシリル)フェニル、o−(フェネチルジメチルシリル)フェニル、p−(フェネチルジメチルシリル)フェニル等のフェニル基や、ビフェニル基や、1−ナフチル、2−ナフチル、1−(4−フルオロ)ナフチル、1−(4−クロロ)ナフチル、1−(4−ブロモ)ナフチル、1−(4−ヘキシル)ナフチル、1−(4−オクチル)ナフチル等のナフチル基や、ナフタレン基や、1−アントラセン、1−(4−クロロ)アントラセン、1−(4−オクチル)アントラセン等のアントラセン基や、1−フェナントレン等のフェナントレン基や、1−フルオレン等のフルオレン基や、1−ペリレン等のペリレン基等が挙げられる。
上記エレクトロクロミック層は、熱線吸収剤や接着力調整剤を含有してもよい。上記熱線吸収剤は、上記電解質層に含有される熱線吸収剤と同様の熱線吸収剤を用いることができる。上記接着力調整剤は、上記電解質層に含有される接着力調整剤と同様の接着力調整剤を用いることができる。
上記エレクトロクロミック層の厚さは、好ましい下限が0.05μm、好ましい上限が2μmである。上記エレクトロクロミック層の厚さが0.05μm未満であると、上記エレクトロクロミック層に電圧を印加しても充分に光の透過率が変化しないことがあり、2μmを超えると、調光体の透明性が低下することがある。上記エレクトロクロミック層の厚さのより好ましい下限は0.1μm、より好ましい上限は1μmである。
上記エレクトロクロミック層を形成する方法としては、上記エレクトロクロミック化合物を有機溶剤に溶解させた溶液を調製し、得られた溶液を上記電解質層の一方の面に塗布し、有機溶剤を揮発させる方法等が挙げられる。
本発明の調光体は、上記電解質層のエレクトロクロミック層が積層された側とは反対側の面に、混合原子価錯体を含有する対極層を有することが好ましい。エレクトロクロミック層と電解質層との積層体において、電解質層の一方の面にエレクトロクロミック層を積層し、他方の面に対極層を積層することにより、著しく応答性が高く、電圧を印加してから光の透過率の変化が完了するまでの時間が極めて短い調光体が得られる。これは、電解質層の一方の面に形成されたエレクトロクロミック層と他方の面に形成された対極層との酸化還元反応が対になるため、光の透過率の変化に必要な酸化還元電位を低下させることができるためであると考えられる。
上記混合原子価錯体は、金属元素とシアノ基とを有する化合物であることが好ましく、鉄等の金属元素とシアノ基とを有する化合物であることがより好ましい。
上記混合原子価錯体として、例えば、ハロゲン化フタロシアニンやプルシアンブルー型錯体(KFe[Fe(CN)]等)が挙げられる。なかでも、ハロゲン化フタロシアニンを用いた場合には、電圧を印加してから光の透過率の変化が完了するまでの時間が極めて短いだけでなく、耐光性に優れる調光体が得られる。
上記ハロゲン化フタロシアニンとしては、中心金属として金属原子を含有することが好ましい。上記ハロゲン化フタロシアニンが中心金属として金属原子を含有することにより、電圧を印加してから光の透過率の変化が完了するまでの時間が極めて短く、耐光性に優れる調光体が得られる。
上記金属原子としては、例えば、銅、コバルト、ニッケル、鉄、ベリリウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、白金、パラジウム、鉛、ビスマス、ケイ素等や、酸素や塩素等の軸配位子を持つバナジウムやチタン等が挙げられる。なかでも、電圧を印加してから光の透過率の変化が完了するまでの時間がより短く、より耐光性に優れる調光体が得られることから、銅を中心金属とすることが好ましい。
上記ハロゲン化フタロシアニンは、フッ素化フタロシアニン、塩素化フタロシアニン又は臭素化フタロシアニンであることが好ましく、銅を含有するフッ素化フタロシアニン、銅を含有する塩素化フタロシアニン又は銅を含有する臭素化フタロシアニンであることがより好ましい。
上記プルシアンブルー型錯体(KFe[Fe(CN)]等)は、鉄原子の一部が鉄原子以外の原子に置換されていてもよい。
上記対極層はバインダー樹脂を含有してもよい。上記バインダー樹脂は上記電解質層に含まれるバインダー樹脂と同様のものを用いることができる。
上記対極層の厚さは、好ましい下限が0.05μm、好ましい上限が2μmである。上記対極層の厚さが0.05μm以上であると、電圧を印加してから光の透過率の変化が完了するまでの時間がより一層短くなり、2μm以下であると、調光体の透明性が高くなる。上記対極層の厚さのより好ましい下限は0.1μm、より好ましい上限は1μmである。
上記対極層を形成する方法として、上記混合原子価錯体を水や有機溶剤に分散させた分散液を調製し、得られた分散液を上記電解質層に塗布する方法や、透明導電膜上に電着法により上記混合原子価錯体を析出させる方法等が挙げられる。
上記混合原子価錯体を水や有機溶剤に分散させる方法としては、例えば、サンドミル、ビーズミル、ミキサー、超音波による分散等の公知の方法で上記混合原子価錯体を粒子化して分散液を調製する方法等が挙げられる。
本発明の調光体においては、上記エレクトロクロミック層及び/又は対極層の上記透明導電層に接する側の面上に、部分的に熱可塑性樹脂を含有する接着層が形成されていてもよい。上記接着層を部分的に形成することにより、エレクトロクロミック性を損なうことなく、透明導電層に対する密着性を向上させることができる。
上記部分的に形成された接着層の形状としては、網目状、線状又は斑点状等が挙げられる。
上記接着層に含有される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリ三フッ化エチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。なかでも、ビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、ビニルアセタール樹脂がより好ましい。
上記接着層は、更に、可塑剤を含有することが好ましい。可塑剤を含有することにより、上記接着層が柔軟になり、上記エレクトロクロミック層の透明導電層に対する密着性をより向上させることができる。
上記接着層は、更に、支持電解質を含有することが好ましい。支持電解質を含有することにより、上記接着層にイオン伝導性が付与され、上記接着層によって調光体のエレクトロクロミック性が低下するのを防止することができる。
上記可塑剤、支持電解質は、上記電解質層に用いるのと同様の可塑剤、支持電解質を用いることができる。
上記エレクトロクロミック層及び/又は対極層の面積に対する上記接着層の面積の好ましい下限は10%、好ましい上限は90%である。上記接着層の面積が10%未満であると、充分な密着性の向上効果が得られないことがあり、90%を超えると、エレクトロクロミック性が低下して、電圧を印加しても光の透過率がほとんど変化しなくなることがある。上記接着層の面積のより好ましい下限は20%、より好ましい上限は80%であり、更に好ましい下限は30%、更に好ましい上限は70%である。
上記接着層の最大厚みの好ましい上限は50μmである。上記接着層の最大厚みが50μmを超えると、エレクトロクロミック性が低下して、電圧を印加しても光の透過率がほとんど変化しない箇所が生じることがある。上記接着層の最大厚みのより好ましい上限は20μmである。
上記接着層を形成する方法としては、例えば、適当な有機溶剤に溶解した上記熱可塑性樹脂をスクリーン印刷によりエレクトロクロミック層上又は対極層上に塗布した後、乾燥する方法や、適当な有機溶剤に溶解した上記熱可塑性樹脂をスプレーによりエレクトロクロミック層上又は対極層上に塗布した後、乾燥する方法等が挙げられる。
本発明の調光体は、上記電解質層、エレクトロクロミック層、対極層、接着層以外にも、必要に応じて、紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層や、熱線吸収剤を含有する赤外線吸収層等を有してもよい。
本発明の調光体は、上記電解質層とエレクトロクロミック層とが、対向する一対の透明導電層間に挟持された構造を有する。
上記透明導電層は、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等を含むことが好ましい。
上記透明導電層は、例えば、透明板の少なくとも一方の面に形成された態様で用いられる。
上記透明板は、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入りガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、グリーンガラス等の無機ガラスや、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート等の有機プラスチックス板等が挙げられる。上記透明板は、2種類以上を併用してもよい。
電解質層とエレクトロクロミック層とを有する調光シートであって、電解質層は、支持電解質、バインダー樹脂及び光エネルギー変換材料を含有する調光シートもまた、本発明の1つである。
支持電解質、バインダー樹脂及び光エネルギー変換材料を含有する電解質膜もまた、本発明の1つである。
本発明の調光シートは、合わせガラス用中間膜として使用することができる。上記合わせガラス用中間膜もまた、本発明の1つである。
本発明の合わせガラス用中間膜が、導電膜が形成されている、一対のガラス板の間に、それぞれの導電膜と接するように挟み込まれている合わせガラスもまた、本発明の1つである。
本発明によれば、着色時における光の透過率と消色時における光の透過率との差が大きい調光体を提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
(1)電解質層の調製
溶媒としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート47.6重量部に、支持電解質としてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)13.4重量部、光エネルギー変換材料としてナフタルイミド骨格を有する有機化合物(BASF社製、Violet 570)0.1重量部を溶解して電解質溶液を調製した。得られた電解質溶液の全量と、バインダー樹脂として、平均重合度が2300であるポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドによりアセタール化して得られたビニルブチラール樹脂(アセチル基量13mol%、水酸基量22mol%)100重量部とを混合して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ400μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、9.8MPaの条件で5分間加圧し、厚さ400μmの電解質層を得た。
(2)エレクトロクロミック層の形成
ポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)2.9重量部を100重量部のトルエンに溶解して溶液を調製した。この溶液を、得られた電解質層上に、トルエンが揮発した後の厚さが0.3μmになるようにバーコーターを用いて塗布し、乾燥して、エレクトロクロミック層/電解質層の積層体(調光シート)を得た。
(3)対極層の形成
塩素化フタロシアニン銅(大日精化社製「PG−7」)1重量部をエタノール100重量部中に添加した溶液に直径3mmのステンレス球800重量部を加え、ペイントシェーカー(セイワ技研社製)にて1時間震盪することで塩素化フタロシアニン銅の塗布用分散液を得た。ITOガラス(表面抵抗10Ω/□、縦5cm×横5cm)上に、塗布用分散液0.5mLを、スピンコーター(800rpm、20秒)を用いて塗布して、透明導電膜と接するように積層された対極層を得た。
(4)調光体の製造
85℃に加熱したエレクトロクロミック層/電解質層の積層体(縦5cm×横5cm)を、1枚のITO電極が形成されたガラス板(縦5cm×横5cm、表面抵抗10Ω/□)と、ITO電極表面に対極層を有するITOガラスとの間に、電解質層と対極層とが接するように挟み込むことにより、調光体を作製した。
得られた調光体は、ガラス板/ITO電極/エレクトロクロミック層/電解質層/対極層(塩素化フタロシアニン銅層)/ITO電極/ガラス板の積層構造を有する。(なお、「/」は積層界面を示す。)
(実施例2)
光エネルギー変換材料の配合量を0.05重量部とした以外は実施例1と同様にして、調光体を製造した。
(実施例3)
光エネルギー変換材料の配合量を0.2重量部とした以外は実施例1と同様にして、調光体を製造した。
(比較例1)
電解質層に光エネルギー変換材料を配合しなかった以外は実施例1と同様にして、調光体を製造した。
(評価)
得られた調光体の着色時及び消色時における可視光線透過率TvをJIS R 3106に準拠した方法により算出し、着色時の可視光線透過率Tvと消色時の可視光線透過率Tvとの差(ΔTv)を求めた。結果を表1に示す。
なお、透過率の測定は、キセノンランプを光源として集光した光を、光ファイバーを介して積分球の上面に配置した調光体に照射し、積分球からの透過光を瞬間マルチ測光システムMCPD3700(大塚電子社製)を用いて測定することにより行った。
また、エレクトロクロミック層が形成されている側の基板電極が低電位となるよう調光体に2Vの直流電圧を印加し完全に着色させた状態を着色時、逆方向に2Vの直流電圧を印加し完全に消色させた状態を消色時とした。
Figure 2013250528
本発明によれば、着色時における光の透過率と消色時における光の透過率との差が大きい調光体を提供することができる。

Claims (7)

  1. 対向する一対の透明導電層間に電解質層とエレクトロクロミック層とを有する調光体であって、前記電解質層は、支持電解質、バインダー樹脂及び光エネルギー変換材料を含有することを特徴とする調光体。
  2. 光エネルギー変換材料は、特定波長の光を吸収した後に該光とは異なる波長の光を蛍光発光により発する有機化合物又は無機化合物であることを特徴とする請求項1記載の調光体。
  3. 光エネルギー変換材料は、ナフタルイミド骨格を有する有機化合物、クマリン骨格を有する有機化合物、ローダミン染料、希土類イオンを有する無機化合物及び希土類イオンを有する錯体からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の調光体。
  4. 電解質層とエレクトロクロミック層とを有する調光シートであって、前記電解質層は、支持電解質、バインダー樹脂及び光エネルギー変換材料を含有することを特徴とする調光シート。
  5. 支持電解質、バインダー樹脂及び光エネルギー変換材料を含有することを特徴とする電解質膜。
  6. 請求項4記載の調光シートを用いることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
  7. 請求項6記載の合わせガラス用中間膜が、導電膜が形成されている、一対のガラス板の間に挟み込まれていることを特徴とする合わせガラス。
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