JP2017090677A - ゲル電解質、及びエレクトロクロミック素子 - Google Patents
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Abstract
Description
前記エレクトロクロミック材料を用いたエレクトロクロミック素子において、透明な表示デバイスを得る場合や、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の3層の発色層を積層させた構成のデバイスを構築する場合には、無色透明の状態を有する材料により構成されていることが重要である。
前記電解質としては、イオン液体を用いたゲル電解質が知られている。前記イオン液体は、高いイオン伝導度、低い蒸気圧、高い耐熱性、高い耐電圧性、低い粘度等の特徴を有し、エレクトロデバイス用の電解質材料として好適に用いられている。
しかし、前記イオン液体は、その特徴的な溶解性のためイオン液体濃度の高いゲルを作製する際に、相分離が起きて透明性が損なわれたり、前記イオン液体がブリードアウトして液ダレが生じたり、ゲル化剤を用いても硬化せずにゲルを形成できないなどの問題がある。
本発明のゲル電解質は、従来の感光色素ゲル電解質に用いられる平均分子量の小さい通常の溶媒は、蒸気圧が高く揮発性が高いため、低い蒸気圧を有するというイオン液体の利点が失われ、製造プロセス中のハンドリングが難しくなることがあり、また、耐熱性及び耐電圧性においても溶媒の影響が大きくなり、イオン液体の利点が失われるという知見に基づくものである。
本発明のゲル電解質は、イオン液体と、下記一般式(1)で表されるモノマーと、下記一般式(2)で表されるモノマーと、を含む組成物の硬化物を含有する。
前記一般式(1)で表されるモノマーとしては、下記一般式(1)で表されれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記一般式(2)で表されるモノマーとしては、下記一般式(2)で表されれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−前記一般式(1)中のR及び前記一般式(2)中のRが、メタクリル基である場合−
前記一般式(1)中のR及び前記一般式(2)中のRが、メタクリル基である場合、前記一般式(1)で表されるモノマーの含有量A(質量%)と、前記一般式(2)で表されるモノマーの含有量B(質量%)との質量比(A/B)としては、18/82以上53/47以下が好ましく、20/80以上30/70以下がより好ましい。前記質量比(A/B)が、18/82以上53/47以下であると、ゲル電解質中のイオン液体の含有量が80質量%であっても相分離せず、かつ透明性を損なうことがなく、また、液ダレや硬化不良も起こさなく、透明で高イオン伝導度のゲル電解質を得ることができる。
前記一般式(1)中のR及び前記一般式(2)中のRが、アクリル基である場合、前記一般式(1)で表されるモノマーの含有量A(質量%)と、前記一般式(2)で表されるモノマーの含有量B(質量%)との質量比(A/B)としては、26/74以上92/8以下が好ましく、28/72以上63/37以下がより好ましい。前記質量比(A/B)が26/74以上92/8以下であると、ゲル電解質中のイオン液体の含有量が80質量%であっても、また、前記質量比(A/B)が28/72以上63/37以下であると、ゲル電解質中のイオン液体の含有量が90質量%であっても、相分離せず、かつ透明性を損なうことがなく、また、液ダレや硬化不良も起こさなく、透明で高イオン伝導度のゲル電解質を得ることができる。
前記イオン液体は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、使用温度付近で液体状態であるものが挙げられる。なお、前記イオン液体とは、塩が溶解し、常温で液体状態を示す液体を意味する。
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラジカル重合開始剤などが挙げられる。
前記ラジカル重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のゲル電解質としては、まず組成物溶液を作製し、作製した組成物溶液を型やフィルムに挟んで重合させるキャスト重合法等を用いた重合反応により製造することができる。
前記組成物溶液は、前記イオン液体、前記一般式(1)で表されるモノマー、及び前記一般式(2)で表されるモノマーを所望の比率で混合し、必要に応じて、前記重合開始剤、及びその他の成分を混合することができる。
前記型としては、ガラス、樹脂製等の容器、離型剤付のフィルムなどが挙げられる。電気化学デバイスの空セルを型として組成物溶液を充填して、デバイス中で直接重合させることもできる。
本発明のエレクトロクロミック素子は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間にゲル電解質とを有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくともいずれかは透明であり、第1の電極表面にエレクトロクロミック化合物を含むエレクトロクロミック層を有する。
前記ゲル電解質としては、本発明のゲル電解質を用いる。
図1に示すように、第1の電極3と、第2の電極2と、前記第1の電極3と前記第2の電極2との間にゲル電解質6とを有し、前記第1の電極3及び前記第2の電極2は、支持体1により挟持され、前記第1の電極3表面には、エレクトロクロミック層5を有し、前記第2の電極2表面にエレクトロクロミック層7を有していてもよく、前記エレクトロクロミック層5、7中にエレクトロクロミック化合物4を有することが好ましい。
前記エレクトロクロミック層は、エレクトロクロミック化合物を含み、エレクトロクロミズムを示す機能層である。前記エレクトロクロミック層は、エレクトロクロミック化合物と導電性又は半導体性ナノ構造体とが結合されて層が構成されている形態や、エレクトロクロミック化合物がラジカル重合性化合物であり、その重合膜から層が構成されている形態などが挙げられる。これらの中でも、エレクトロクロミック層が、ラジカル重合性のエレクトロクロミック化合物と、前記一般式(1)で表されるモノマー及び前記一般式(2)で表されるモノマーの少なくともいずれかと、からなる共重合体を含むことが好ましい。エレクトロクロミック層が、前記エレクトロクロミック化合物と前記モノマーとからなる共重合体を含むことで、本発明のゲル電解質を用いた場合に、発色応答性を向上できる。
前記エレクトロクロミック化合物は、酸化反応又は還元反応により色の変化を起こす材料であり、例えば、ラジカル重合性化合物、ポリマー系化合物などが挙げられる。これらの中でも、ラジカル重合性化合物が好ましく、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物がより好ましい。
前記エレクトロクロミック化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知のエレクトロクロミック化合物を選択することができ、例えば、色素系化合物、金属錯体系化合物、金属酸化物系化合物などが挙げられる。
前記色素系化合物としては、例えば、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物;ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物などが挙げられる。
前記金属錯体系化合物、及び前記金属酸化物系化合物としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化イリジウム、酸化ニッケル、プルシアンブルー等の無機系エレクトロクロミック化合物などが挙げられる。
これらの中でも、色素系化合物が好ましく、色素系化合物のラジカル重合性化合物がより好ましい。
前記ラジカル重合性化合物におけるラジカル重合性官能基としては、例えば、ビニル基、メタクリル基、アクリル基、スチリル基、アリル基などが挙げられる。
前記導電性乃至半導体性ナノ構造体とは、ナノ粒子又はナノポーラス構造体等のナノスケールの凹凸を有するナノ構造体を意味する。
前記エレクトロクロミック化合物が、結合又は吸着構造として、ホスホン酸基、リン酸基又はカルボキシル基を有するとき、前記エレクトロクロミック化合物は、容易に前記ナノ構造体と複合化し、発色画像保持性に優れたエレクトロクロミック組成物となり、前記エレクトロクロミック組成物からエレクトロクロミック層を形成することができる。
前記金属酸化物の比表面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100m2/g以上が好ましい。
前記第1の電極、及び第2の電極としては、前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくともいずれかが透明であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の導電体を選択することができる。
前記第1の電極及び第2の電極の材料としてITOを用いた場合、前記第1の電極及び前記第2の電極の平均厚みとしては、50nm以上500nm以下が好ましい。
前記第1の電極及び前記第2の電極の作製方法の具体例としては、塗布形成できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法などが挙げられる。
前記ゲル電解質としては、本発明のゲル電解質を用いる。
前記ゲル電解質からなる電解質層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100nm以上1,000μm以下が好ましい。
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、支持体、封止材、絶縁性多孔質層、劣化防止層、保護層などが挙げられる。
前記支持体としては、各層を支持できる透明材料であれば、周知の有機材料や無機材料をそのまま用いることができる。
前記封止材は、貼り合せたエレクトロクロミック素子の側面を封止し、前記ゲル電解質の漏洩を防ぎ、大気中の水分や酸素などエレクトロクロミック素子が安定的に動作するために不要なものの侵入を防ぐなどの機能を有する。
前記封止材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紫外線硬化型、熱硬化型の樹脂などが挙げられ、具体的には、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。
前記絶縁性多孔質層は、前記第1の電極と前記第2の電極とが電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質を保持する機能を有する。
前記絶縁性多孔質層の材料としては、多孔質であれば特に制限はなく、絶縁性、及び耐久性が高く成膜性に優れた有機材料や無機材料、及びそれらの複合体を用いることが好ましい。
前記保護層は、外的応力や洗浄工程の薬品からエレクトロクロミック素子を守ることや、ゲル電解質の漏洩を防ぐこと、大気中の水分や酸素などエレクトロクロミック素子が安定的に動作するために不要なものの侵入を防ぐことなどの機能を有する。
前記保護層の材料としては、例えば、紫外線硬化型や熱硬化型の樹脂などが挙げられ、具体的には、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。
本発明のゲル電解質は、エレクトロクロミック素子に限られず、リチウム電池、太陽電池、燃料電池、イオン伝導型アクチュエータなどの種々の電気化学デバイスに好適に使用できる。
本発明のエレクトロクロミック素子は、透明性が高く発色応答性に優れているので、例えば、エレクトロクロミックディスプレイ、株価の表示板等の大型表示板、防眩ミラー、調光ガラス等の調光素子、タッチパネル式キースイッチ等の低電圧駆動素子、光スイッチ、光メモリー、電子ペーパー、電子アルバムなどに好適に使用することができる。
<ゲル電解質の作製例>
まず、下記一般式(1)で表されるモノマーとしてメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(商品名:ブレンマーPME−400、日油株式会社製、n=9)に対して、質量比(モノマー/重合開始剤)が95/5となるように重合開始剤としてirgacure184(BASF社製)を溶解し、モノマー溶液A1を得た。続いて、下記一般式(2)で表されるモノマーとしてポリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:ブレンマーPDE−400、日油株式会社製、n=9)に対して、質量比(モノマー/重合開始剤)が95/5となるように重合開始剤としてirgacure184(BASF社製)を溶解し、モノマー溶液B1を得た。
次に、得られたモノマー溶液A1とB1とを1/9で混合し、そこにイオン液体の塩としてエチルメチルイミダゾリウムビスフルオロスルホンイミド(EMIMFSI、関東化学株式会社製)を混合溶解して組成物溶液を作製した。なお、一般式(1)で表されるモノマーの含有量A(質量%)と、一般式(2)で表されるモノマーの含有量B(質量%)との質量比(A/B)は、10/90である。
次に、得られた組成物溶液50μLをガラス板上に滴下し、N2フロー下(100mL/min)で5分間静置した後、N2フロー下のままUV(波長250nm)照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により10mWで60秒間照射し電解質を得た。
次に、前記電解質を用いて、「イオン液体濃度」を評価した。具体的には、電解質の作製において、電解質がゲル化した場合は、モノマー溶液に対するイオン液体の含有量を増やして再度電解質を作製し、下記判定基準に従い、ゲル化の有無を確認した。これを電解質がゲル化しなくなるまで繰り返し、電解質がゲル化できる最大の「イオン液体濃度」を評価した。モノマーの組成比と、電解質がゲル化できる最大のイオン液体濃度を下記表1に示した。
[判定基準]
ゲル化している:電解質が硬化して流動性が無く、液ダレもなく透明である
ゲル化していない:電解質が白濁している、液ダレしている、又は硬化しておらず流動性がある
実施例1において、下記表1の質量比(A/B)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜27、及び比較例1の電解質を得た。得られた電解質について、実施例1と同様にして、「イオン液体濃度」を評価した。結果を下記表1に示した。
実施例1において、一般式(1)で表されるモノマーとしてメトキシポリエチレングリコールメタクリレート、及び一般式(2)で表されるモノマーとしてポリエチレングリコールジメタクリレートを、前記一般式(1)で表されるモノマーとしてメトキシポリエチレングリコールアクリレート(日油株式会社製、商品名:ブレンマーAME−400、一般式(1)中のnは9)、及び一般式(2)で表されるモノマーとしてポリエチレングリコールジアクリレート(日油株式会社製、商品名:ブレンマーADE−400A、一般式(2)中のnは9)に変更した以外は、実施例1と同様にして、電解質を得た。得られた電解質について、実施例1と同様にして、「イオン液体濃度」を評価した。結果を下記表2に示した。
実施例28において、下記表2の質量比(A/B)に変更した以外は、実施例28と同様にして、実施例29〜59、及び比較例2〜3の電解質を得た。得られた電解質について、実施例28と同様にして、「イオン液体濃度」を評価した。結果を下記表2に示した。
実施例1において、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、及び前記一般式(1)で表されるモノマーの含有量A(質量%)と前記一般式(2)で表されるモノマーの含有量B(質量%)との質量比(A/B)を、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(日油株式会社製、商品名:ブレンマーAME−400、一般式(1)中のnは9)、質量比(A/B)が30/70に変更した以外は、実施例1と同様にして、「イオン液体濃度」を評価した。結果を下記表3に示した。
実施例60において、下記表3の質量比(A/B)に変更した以外は、実施例60と同様にして、実施例61〜62の電解質を得た。得られた電解質について、実施例60と同様にして、「イオン液体濃度」を評価した。結果を下記表3に示した。
実施例1において、ポリエチレングリコールジメタクリレート、及び前記一般式(1)で表されるモノマーの含有量A(質量%)と前記一般式(2)で表されるモノマーの含有量B(質量%)との質量比(A/B)を、ポリエチレングリコールジアクリレート(ADE−400A、商品名:ブレンマーADE−400A)、質量比(A/B)が30/70に変更した以外は、実施例1と同様にして、「イオン液体濃度」を評価した。結果を下記表4に示した。
実施例63において、下記表4の質量比(A/B)に変更した以外は、実施例63と同様にして、実施例64〜65の電解質を得た。得られた電解質について、実施例63と同様にして、「イオン液体濃度」を評価した。結果を下記表4に示した。
実施例1において、下記表5のイオン液体の塩、及び質量比(A/B)が30/70に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例66の電解質を得た。得られた電解質について、実施例1と同様にして、「イオン液体濃度」を評価した。結果を下記表5に示した。
実施例66において、下記表5のイオン液体の塩、及び質量比(A/B)に変更した以外は、実施例66と同様にして、実施例67〜80、及び比較例4〜8の電解質を得た。得られた電解質について、実施例66と同様にして、「イオン液体濃度」を評価した。結果を下記表5に示した。
・EMIMTCB:エチルメチルイミダゾリウムテトラシアノボレート、メルク社製
・EMIMTFSI:エチルメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、関東化学株式会社製
・EMIMFAP:エチルメチルイミダゾリウムトリペンタフルホロエチルトリフロオロホスフェート、メルク社製
・ABIMBF4:アリルブチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、関東化学株式会社製
・P13FSI:メチルプロピルピロリジニウムビスフルオロスルホンイミド、関東化学株式会社製
実施例66において、前記一般式(1)で表されるモノマーとしてメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(商品名:ブレンマーPME−400、日油株式会社製、n=9)、前記一般式(2)で表されるモノマーとしてポリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:ブレンマーPDE−400、日油株式会社製、n=9)を、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(商品名:ブレンマーAME−400、日油株式会社、n=9)、及びポリエチレングリコールジアクリレート(商品名:ブレンマーADE−400A、日油株式会社製、n=9)に変更した以外は、実施例66と同様にして、実施例81の電解質を得た。得られた電解質について、実施例66と同様にして、「イオン液体濃度」を評価した。結果を下記表6に示した。
実施例81において、下記表6のイオン液体の塩、及び質量比(A/B)に変更した以外は、実施例81と同様にして、実施例82〜100、及び比較例9〜13の電解質を得た。得られた実施例82〜100、及び比較例9〜13の電解質について、実施例81と同様にして、「イオン液体濃度」を評価した。結果を表6に示した。
・EMIMTCB:エチルメチルイミダゾリウムテトラシアノボレート、メルク社製
・EMIMTFSI:エチルメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、関東化学株式会社製
・EMIMFAP:エチルメチルイミダゾリウムトリペンタフルホロエチルトリフロオロホスフェート、メルク社製
・ABIMBF4:アリルブチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、関東化学株式会社製
・P13FSI:メチルプロピルピロリジニウムビスフルオロスルホンイミド、関東化学株式会社製
前記一般式(1)で表されるモノマーとしてメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(商品名:ブレンマーPME−400、日油株式会社製、n=9)と前記一般式(2)で表されるモノマーとしてポリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:ブレンマーPDE−400、日油株式会社製、n=9)とを質量比が50/50で混合し、そこにイオン液体の塩としてエチルメチルイミダゾリウムビスフルオロスルホンイミド(EMIMFSI、関東化学株式会社製)を、イオン液体濃度が83質量%となるように混合溶解して電解質Aを作製した。
同様に、前記電解質A、及び前記電解質Bをガラス基板(40mm×40mm)上に1滴滴下し、その質量を測定した後に60℃のホットプレート上で24時間放置した。放置後のサンプルの質量を測定した結果、どちらも質量変化は無かった。
よって、作製した電解質は、イオン液体と同等の低揮発性を備えていることが分かる。
前記電解質A、及び前記電解質Bについて、液粘度を測定した。測定は、TV型粘度計(東機産業株式会社製、TV−22)を用いて、23℃、回転速度10rpmで測定を行った。なお、イオン液体であるエチルメチルイミダゾリウムビスフルオロスルホンイミド(EMIMFSI、関東化学株式会社製)の粘度は、20mPa・sであった。結果を表7に示す。
<エレクトロクロミック素子の作製例1>
<<第1の電極の表面へのエレクトロクロミック層の形成>>
第1の電極としてのITOガラス基板(40mm×40mm、平均厚み:0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上に、前記一般式(2)で表されるモノマーとして、ポリエチレングリコールジアクリレート(商品名:PEG−400DA、日本化薬株式会社製)と、irgacure184(BASF社製)と、下記構造式(2)で表される化合物(例示化合物2)と2−ブタノンを質量比(57/3/140/800)で混合した溶液をスピンコート法により塗布し、窒素雰囲気下でUV硬化させて第1の電極上に構造式で表される化合物(例示化合物2)を含む平均厚みが1.1μmのエレクトロクロミック層を形成した。
構造式(2)で表される化合物(例示化合物(2))
第2の電極としてのITOガラス基板(40mm×40mm、平均厚み:0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上に、酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210、昭和タイタニウム株式会社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子膜を形成した。この酸化チタン粒子膜に下記構造式(3)で表される化合物の2質量%2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液を塗布液としてスピンコート法により塗布し、120℃で10分間アニール処理を行うことによって第2の電極上に酸化チタン粒子表面に構造式(3)で表される化合物を吸着させた平均厚みが1.0μmのエレクトロクロミック層を形成した。
構造式(3)
それぞれ前記エレクトロクロミック層を形成した前記第1の電極及び前記第2の電極を、50μmのフィルムを挟んで貼り合せ、端部2辺をUV接着剤フォトレックE(低透湿タイプ、積水化学工業株式会社製)で封止した後、フィルムを抜き取って空セルを作製した。
前記一般式(1)で表されるモノマーとしてメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(商品名:ブレンマーPME−400、日油株式会社製、n=9)と下記一般式(2)で表されるモノマーとしてポリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:ブレンマーPDE−400、日油株式会社製、n=9)に対して、それぞれ質量比(各モノマー/重合開始剤)で95/5となるように重合開始剤としてirgacure184(BASF社製)を溶解し、モノマー溶液を得た。質量比(A/B)は、10/90とした。次に、イオン液体としてエチルメチルイミダゾリウムビスフルオロスルホンイミド(EMIMFSI、関東化学株式会社製)の含有量が50質量%になるように組成物溶液を作製した。この組成物溶液を空セルの中に気泡が入らないよう慎重に浸透させた。その後UV照射装置により10mWで60秒間照射して、電解質を硬化させた。その後セルの残りの端部2辺を封止してエレクトロクロミック素子1を作製した。
実施例101において、下記表8に示す組成、及び含有量に変更した以外は、実施例101と同様にして、実施例102〜117、及び比較例14〜15のエレクトロクロミック素子を作製した。作製したエレクトロクロミック素子を用いて、実施例101と同様にして、インピーダンスの測定を行った。結果を下記表8に示す。
・PME−400:メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、日油株式会社製、商品名:ブレンマーPME−400、一般式(1)中のnは9
・AME−400:メトキシポリエチレングリコールアクリレート、日油株式会社製、商品名:ブレンマーAME−400、一般式(1)中のnは9
・PDE−400:ポリエチレングリコールジメタクリレート、日油株式会社製、商品名:ブレンマーPDE−400、一般式(2)中のnは9
・ADE−400A:ポリエチレングリコールジアクリレート、日油株式会社製、商品名:ブレンマーADE−400A、一般式(2)中のnは9
・EMIMTFSI:エチルメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、関東化学株式会社製)
<エレクトロクロミック素子の作製>
実施例101において、第1の電極上のエレクトロクロミック層として、使用するエレクトロクロミック化合物と、前記一般式(1)で表されるモノマー、及び前記一般式(1)で表されるモノマーを、表9に示すエレクトロクロミック化合物と、前記一般式(1)で表されるモノマー、及び前記一般式(2)で表されるモノマー、質量比(A/B)、並びにイオン液体濃度に変更した以外は、実施例101と同様にして、実施例118〜146、及び比較例16〜17のエレクトロクロミック素子を作製した。
作製した実施例118〜146、及び比較例16〜17のエレクトロクロミック素子を用いて、第1の電極に対して、第2の電極に−2Vの電圧を1秒間印加してエレクトロクロミック素子を発色させた。その際の表示領域の中心の透過率をマルチチャンネル分光器(装置名:USB4000、Ocean Optics社製)で測定し、可視領域(波長380nm以上780nm以下)の各波長の透過率の平均値を計測した。透過率が低いほど発色応答性に優れる。
・PME−400:メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、日油株式会社製、商品名:ブレンマーPME−400、一般式(1)中のnは9
・AME−400:メトキシポリエチレングリコールアクリレート、日油株式会社製、商品名:ブレンマーAME−400、一般式(1)中のnは9
・PDE−400:ポリエチレングリコールジメタクリレート、日油株式会社製、商品名:ブレンマーPDE−400、一般式(2)中のnは9
・ADE−400A:ポリエチレングリコールジアクリレート、日油株式会社製、商品名:ブレンマーADE−400A、一般式(2)中のnは9
・EMIMFSI:エチルメチルイミダゾリウムビスフルオロスルホンイミド、関東化学株式会社製
・EMIMTCB:エチルメチルイミダゾリウムテトラシアノボレート、メルク社製
・EMIMTFSI:エチルメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、関東化学株式会社製
・EMIMFAP:エチルメチルイミダゾリウムトリペンタフルホロエチルトリフロオロホスフェート、メルク社製
・ABIMBF4:アリルブチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、関東化学株式会社製
・P13FSI:メチルプロピルピロリジニウムビスフルオロスルホンイミド、関東化学株式会社製
・例示化合物(1):
<1> イオン液体と、
下記一般式(1)で表されるモノマーと、
下記一般式(2)で表されるモノマーと、を含む組成物の硬化物を含有することを特徴とするゲル電解質である。
<2> 前記一般式(1)中のR及び前記一般式(2)中のRが、メタクリル基であり、
前記一般式(1)で表されるモノマーの含有量A(質量%)と、前記一般式(2)で表されるモノマーの含有量B(質量%)との質量比(A/B)が、18/82以上53/47以下である前記<1>に記載のゲル電解質である。
<3> 前記質量比(A/B)が、20/80以上30/70以下である前記<2>に記載のゲル電解質である。
<4> 前記一般式(1)中のR及び前記一般式(2)中のRが、アクリル基であり、
前記一般式(1)で表されるモノマーの含有量A(質量%)と、前記一般式(2)で表されるモノマーの含有量B(質量%)との質量比(A/B)が、26/74以上92/8以下である前記<1>に記載のゲル電解質である。
<5> 前記質量比(A/B)が、28/72以上63/37以下である前記<4>に記載のゲル電解質である。
<6> イオン液体の含有量が、80質量%以上である前記<1>から<5>のいずれかに記載のゲル電解質である。
<7> イオン液体の含有量が、90質量%以上である前記<6>に記載のゲル電解質である。
<8> 重合開始剤をさらに含有する前記<1>から<7>のいずれかに記載のゲル電解質である。
<9> 前記一般式(1)で表されるモノマーが、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、及びメトキシポリエチレングリコールアクリレートのいずれかである前記<1>に記載のゲル電解質である。
<10> 前記一般式(2)で表されるモノマーが、ポリエチレングリコールジメタクリレート、及びポリエチレングリコールジアクリレートのいずれかである前記<1>に記載のゲル電解質である。
<11> 前記イオン液体の塩が、エチルメチルイミダゾリウムテトラシアノボレート、エチルメチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、エチルメチルイミダゾリウムトリペンタフルホロエチルトリフロオロホスフェート、及びメチルプロピルピロリジニウムビスフルオロスルホンイミドから選択される少なくとも1種である前記<1>から<10>のいずれかに記載のゲル電解質である。
<12> 前記重合開始剤が、ラジカル重合開始剤である前記<7>から<11>のいずれかに記載のゲル電解質である。
<13> 前記ラジカル重合開始剤が、光重合開始剤である前記<12>に記載のゲル電解質である。
<14> 前記光重合開始剤が、ケタール系光重合開始剤である前記<13>に記載のゲル電解質である。
<15> ケタール系光重合開始剤が、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである前記<14>に記載のゲル電解質である。
<16> 重合開始剤の含有量が、全モノマー成分100質量部に対して、0.001質量部以上5質量部以下である前記<7>から<15>のいずれかに記載のゲル電解質である。
<17> 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極の間にゲル電解質とを有し、
前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくともいずれかが透明であり、
前記第1の電極表面に、エレクトロクロミック化合物を含むエレクトロクロミック層を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記ゲル電解質が、前記<1>から<16>のいずれかに記載のゲル電解質であることを特徴とするエレクトロクロミック素子である。
<18> 前記エレクトロクロミック化合物が、ラジカル重合性化合物であり、
前記エレクトロクロミック層が、前記エレクトロクロミック化合物と、前記一般式(1)で表されるモノマー及び前記一般式(2)で表されるモノマーの少なくともいずれかと、からなる共重合体を含む前記<17>に記載のエレクトロクロミック素子である。
<19> 前記エレクトロクロミック層の平均厚みが、0.2μm以上5.0μm以下である前記<17>から<18>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<20> 前記ラジカル重合性化合物が、下記構造式で表される化合物である前記<17>から<19>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
2:第1の電極
3:第2の電極
4:エレクトロクロミック化合物
5、7:エレクトロクロミック層
6:ゲル電解質
Claims (7)
- イオン液体と、
下記一般式(1)で表されるモノマーと、
下記一般式(2)で表されるモノマーと、を含む組成物の硬化物を含有することを特徴とするゲル電解質。
- 前記一般式(1)中のR及び前記一般式(2)中のRが、メタクリル基であり、
前記一般式(1)で表されるモノマーの含有量A(質量%)と、前記一般式(2)で表されるモノマーの含有量B(質量%)との質量比(A/B)が、18/82以上53/47以下である請求項1に記載のゲル電解質。 - 前記一般式(1)中のR及び前記一般式(2)中のRが、アクリル基であり、
前記一般式(1)で表されるモノマーの含有量A(質量%)と、前記一般式(2)で表されるモノマーの含有量B(質量%)との質量比(A/B)が、26/74以上92/8以下である請求項1に記載のゲル電解質。 - 前記質量比(A/B)が、28/72以上63/37以下である請求項3に記載のゲル電解質。
- 前記イオン液体の含有量が、80質量%以上である請求項1から4のいずれかに記載のゲル電解質。
- 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極の間にゲル電解質とを有し、
前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくともいずれかが透明であり、
前記第1の電極表面に、エレクトロクロミック化合物を含むエレクトロクロミック層を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記ゲル電解質が、請求項1から5のいずれかに記載のゲル電解質であることを特徴とするエレクトロクロミック素子。 - 前記エレクトロクロミック化合物が、ラジカル重合性化合物であり、
前記エレクトロクロミック層が、前記エレクトロクロミック化合物と、前記一般式(1)で表されるモノマー及び前記一般式(2)で表されるモノマーの少なくともいずれかと、からなる共重合体を含む請求項6に記載のエレクトロクロミック素子。
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