JP2002203604A - ポリマー電池及びその製造方法 - Google Patents

ポリマー電池及びその製造方法

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JP2002203604A
JP2002203604A JP2001177857A JP2001177857A JP2002203604A JP 2002203604 A JP2002203604 A JP 2002203604A JP 2001177857 A JP2001177857 A JP 2001177857A JP 2001177857 A JP2001177857 A JP 2001177857A JP 2002203604 A JP2002203604 A JP 2002203604A
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polymer
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battery
compound
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English (en)
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Takaya Satou
貴哉 佐藤
Kimiyo Hata
紀美代 畑
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Nisshinbo Holdings Inc
Original Assignee
Nisshinbo Industries Inc
Nisshin Spinning Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 正極と負極とこれら正負極間に介在させ
たフッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから構
成された電池構造体からなり、この電池構造体に下記
(A)〜(C)成分を含む電解質組成物を注入し、含浸
させると共に、上記(C)成分を反応させて三次元網目
構造を形成してなることを特徴とするポリマー電池。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物 【効果】 安全性が高く、ヒートサイクル耐性が高く、
高温保持でも劣化しにくく、特にリチウム二次電池及び
リチウムイオン二次電池などとして好適なものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い安全性を有す
るポリマー電池及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
電子機器の発達に伴って、小型・軽量、かつエネルギー
密度が高く、繰り返しの充電回数が多い二次電池の開発
が望まれている。この種の電池として水溶液電解液では
なく非水電解液を使用するリチウム二次電池及びリチウ
ムイオン二次電池が注目されている。
【0003】また、リチウム及びリチウム合金を負極と
して用いる溶液型のリチウム二次電池の場合、充放電の
繰り返しに伴って負極上に糸状のリチウム結晶体(デン
ドライト)が生じ短絡等を起こすことから、デンドライ
トの析出を抑制し、しかもセパレータとしての特性を有
する固体状のポリマー電解質の開発が望まれている。
【0004】この場合、リチウム二次電池のデンドライ
トの問題を解消すべく開発されたリチウムイオン二次電
池においては、電極の短絡防止に用いられているセパレ
ータ自身の電解液の保持力が十分ではなく電解液の液漏
れを起こし易いことから、外装として金属缶の使用が不
可欠となっている。このため、電池の製造コストが高く
なると共に、電池の軽量化も十分に達成できない状況に
ある。このような背景から、リチウムイオン二次電池に
おいても電解液の液漏れをなくし、電池の軽量化を目指
す観点から、セパレータとしての機能も有する安全性の
高いポリマー電解質の開発が望まれている。
【0005】かかる観点から、フッ素ポリマー材料を用
いたポリマー電解質の開発が盛んに行われている。
【0006】このようなフッ素系のポリマーとしては、
例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニ
リデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビ
ニリデン−塩化3フッ化エチレン(CTFE)共重合体
〔P(VDF−CTFE)〕、フッ化ビニリデン−ヘキ
サフルオロプロピレンフッ素ゴム、フッ化ビニリデン−
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンフ
ッ素ゴム、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン
−パーフルオロアルキルビニルエーテルフッ素ゴム等の
フッ素系高分子等を用いた物理架橋型のゲルなどが挙げ
られる。
【0007】これらのフッ素系ポリマーは、電池に用い
られる液体の電解液やイオンに対して化学的安定性に富
むことが知られている。例えば米国特許第5,296,
318号公報及び同5,418,091号公報では、フ
ッ化ビニリデン(VDF)と6フッ化プロピレン(HF
P)の共重合体〔P(VDF−HFP)〕に、リチウム
塩が溶解した溶液が含まれているゲル電解質と、これを
用いたリチウム・インターカレーション電池が開示され
ている。この電池は、従来のゲル電解質を用いた電池に
比べて、イオン伝導度、放電特性に優れており、特にレ
ート特性が優れている。つまり、放電電流を大きくして
も放電容量があまり低下しないものである。
【0008】しかしながら、このような〔P(VDF−
HFP)〕共重合体等のPVDF系コポリマーを用いた
ゲル電解質は優れた特性を有するものの、以下のような
問題がある。
【0009】PVDF系コポリマーは、コポリマー化し
て結晶化度が低下しているため、電解液により膨潤しや
すく、高特性が得られる反面、例えば同じPVDF系ホ
モポリマーと比べて変形しやすく、強度も弱くなってい
る。これは、材料の本質的な性質に起因すると考えられ
る。その結果、実用上使用可能な膜厚としては60μm
以上必要となる。
【0010】そのため、従来の溶液系のリチウムイオン
電池において使用されているセパレータが通常25μm
であることに比べて、膜厚の点で不利であり、薄膜化と
いう点において、固体電解質を用いた電池としての特徴
を活かすまでには至っていない。
【0011】また、上記のようなPVDF系コポリマー
は、共重合体として重合することにより、著しく結晶化
が阻害された構造を有しているため、融点が低くなると
いう欠点がある。例えばPVDFホモポリマーの融点1
70℃に対してP(VDF−HFP)コポリマーの融点
は140℃である。
【0012】更に、電解液を多量に含んだゲル状態にお
いて、ゲル膜の変形温度は上記のポリマーのみの融点よ
りも一段と低下する。事実上、ゲル状態では、PVDF
ホモポリマーでは130℃、P(VDF−HFP)コポ
リマーでは90℃程度の温度で熱変形が生じてしまう。
【0013】このようにゲル状態での熱変形温度が低い
ということは、高温では室温時と比べて強度が弱く、や
わらかいため、正極と負極とが短絡しやすくなるという
問題がある。例えば、集電体としてエキスパンドメタル
を用いる場合、このエキスパンドメタルに電極部が食い
込むため、それに対応してPVDF系コポリマー電解質
部分も局所的に薄くなる部分が生じ、正極と負極とが短
絡しやすくなって電池作製上の大きな障害となる。
【0014】一方、フッ素系ポリマー電解質をリチウム
イオン二次電池や電気二重層キャパシタ等の電気化学デ
バイスに使用した場合、電解質(セパレータ)と電極及
び集電体等との密着性に問題を生じることが多く、この
ため電池の保存特性が劣化する。電池を室温乃至は高温
(40℃、60℃、80℃、100℃)で保存した場
合、容量劣化が起き、さらには内部ショートが発生する
ことも多々ある。また、融点の低下によって、高温での
使用が制限されたり、上記のように高温保存特性が悪く
なるという問題がある。
【0015】もともと、フッ素系ポリマーは、表面エネ
ルギーが低く、このため種々の物質と接着し難い性質を
有しており、正極と負極との間に電解質膜としてフッ素
系のポリマー電解質を配置した場合、正極と負極との間
の十分な密着性が得られないという問題がある。
【0016】この点について、特開平11−31253
5号公報には、「重量平均分子量550000以上のフ
ッ素系ポリマーは、正極や負極の活物質層に対して優れ
た密着性を発揮する。したがって、高分子固体電解質や
ゲル状電解質と電極活物質層間を十分な密着強度をもっ
て接合することが可能であり、電極内の内部抵抗が減少
され、良好な充放電サイクル特性が実現される。」と記
載されているが、用いる電解液の種類により、フッ素系
ポリマーの膨潤度は異なることから、全ての電解液で十
分な密着強度が得られるというわけではない。
【0017】また、ゲルの熱変形温度については、分子
量の影響を受けにくいため、分子量の十分大きいフッ素
系ポリマーを用いたとしても高温域での接着性は不十分
であり、かつフッ素系ポリマーは熱膨張係数が大きいポ
リマーであるため、高温⇔室温を繰返すヒートサイクル
により、正負極と電解質とが剥がれ易くなるという問題
がある。
【0018】更に、ポリマー電池は、高い安全性を有す
ることが必要とされる。従来、リチウム二次電池等の電
解質としては、低分子のエチレンカーボネート或はプロ
ピレンカーボネート又は炭酸ジエチル等の炭酸エステル
などの非水溶媒に電解質としてLiPF6等のリチウム
系電解質塩を溶解させたものが、比較的導電率も高く、
電位的にも安定であることから広く用いられている。
【0019】ところが、このような非水系電解質を用い
たリチウム二次電池は高性能であるものの、可燃性にお
いて問題が生じる場合がある。例えば、電流の短絡時に
急激に大電流が電池内に流れて発熱し、これにより有機
溶媒を含む電解液が気化又は分解を起こし、これによる
ガス発生のために、電池の破損、破裂又は発火が生じる
可能性があった。また、過度に充電した場合にも内部発
熱により発火する場合がある。更に、充電された電池に
釘等が刺さることにより短絡が生じて発火する危険性が
ある。
【0020】このような状況下において、ポリマー電解
質には「電池の発火防止」の機能をも有していなくては
ならない。即ち、液体の電解質の蒸発を抑え、電池内部
が高温になっても電解液が気化しにくい状態を作りだす
ことで安全性を高めること、電解液とポリマーの混合系
(=ゲル)において電解液の気化を抑制することができ
る成分(ポリマー)を選択することが必要とされてい
る。
【0021】しかしながら、上記のフッ素系ポリマーは
電解液との親和性が低く、このフッ素系ポリマーと電解
液とを複合してゲル化しても電解液の蒸発速度は何ら変
化せず、安全性を高めることはできない。
【0022】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、安全性が高く、ヒートサイクル耐性が高く、高温保
持でも劣化しにくく、特にリチウム二次電池及びリチウ
ムイオン二次電池などとして好適なポリマー電池及びこ
のポリマー電池の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0023】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明は、上記目的を達成するため、下記のポリマー電池
及びその製造方法を提供する。 請求項1:正極と負極とこれら正負極間に介在させたフ
ッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから構成さ
れた電池構造体からなり、この電池構造体に下記(A)
〜(C)成分を含む電解質組成物を注入し、含浸させる
と共に、上記(C)成分を反応させて三次元網目構造を
形成してなることを特徴とするポリマー電池。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物 請求項2:上記(A)〜(C)成分を含む電解質組成物
の交流インピーダンス法によるイオン導電率が1×10
-4S/cm以上である請求項1記載のポリマー電池。 請求項3:正極と負極とこれら正負極間に介在させたフ
ッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから構成さ
れた電池構造体からなり、この電池構造体に下記(A)
〜(D)成分を含む電解質組成物を注入し、含浸させる
と共に、上記(C)成分の化合物が架橋することによっ
て得られるポリマーの三次元網目構造に、上記(D)成
分のポリマーの分子鎖が相互に絡みついた半相互侵入高
分子網目構造を形成してなることを特徴とするポリマー
電池。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物 (D)ヒドロキシアルキル多糖類誘導体 請求項4:上記(A)〜(D)成分を含み、(C)成分
と(D)成分とが半相互侵入高分子網目構造を形成して
なる電解質組成物のイオン導電率C1(S/cm)と、
半相互侵入高分子網目構造を形成しない(A)〜(C)
成分からなる電解質組成物又は(A),(B),(D)
成分からなる電解質組成物のイオン導電率C2(S/c
m)との比率〔(C1/C2)×100〕が80〜100
%である請求項3記載のポリマー電池。 請求項5:正極と負極とこれら正負極間に介在させたフ
ッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから構成さ
れた電池構造体からなり、この電池構造体に下記(A)
〜(C),(E)成分を含む電解質組成物を注入し、含
浸させると共に、上記(C)成分の化合物が架橋するこ
とによって得られるポリマーの三次元網目構造に、上記
(E)成分のポリマーの分子鎖が相互に絡みついた半相
互侵入高分子網目構造を形成してなることを特徴とする
ポリマー電池。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物 (E)ポリビニルアルコール誘導体 請求項6:上記(A)〜(C),(E)成分を含み、
(C)成分と(E)成分とが半相互侵入高分子網目構造
を形成してなる電解質組成物のイオン導電率C1(S/
cm)と、半相互侵入高分子網目構造を形成しない
(A)〜(C)成分からなる電解質組成物又は(A),
(B),(E)成分からなる電解質組成物のイオン導電
率C2(S/cm)との比率〔(C1/C2)×100〕
が80〜100%である請求項5記載のポリマー電池。 請求項7:正極と負極とこれら正負極間に介在させたフ
ッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから構成さ
れた電池構造体からなり、この電池構造体に下記(A)
〜(C),(F)成分を含む電解質組成物を注入し、含
浸させると共に、上記(C)成分の化合物が架橋するこ
とによって得られるポリマーの三次元網目構造に、上記
(F)成分のポリマーの分子鎖が相互に絡みついた半相
互侵入高分子網目構造を形成してなることを特徴とする
ポリマー電池。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物 (F)ポリグリシドール誘導体 請求項8:上記(A)〜(C),(F)成分を含み、
(C)成分と(F)成分とが半相互侵入高分子網目構造
を形成してなる電解質組成物のイオン導電率C1(S/
cm)と、半相互侵入高分子網目構造を形成しない
(A)〜(C)成分からなる電解質組成物又は(A),
(B),(F)成分からなる電解質組成物のイオン導電
率C2(S/cm)との比率〔(C1/C2)×100〕
が80〜100%である請求項7記載のポリマー電池。 請求項9:上記(C)成分の架橋可能な官能基を有する
化合物が、反応性の二重結合を1分子中に2個以上有す
る化合物であり、この化合物を電解質組成物全体の1質
量%以上含有する請求項1乃至8のいずれか1項記載の
ポリマー電池。 請求項10:正極と負極とこれら正負極間に介在させた
フッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから構成
される電池構造体に下記(A)〜(C)成分を含む電解
質組成物を注入し、含浸させた後、上記(C)成分を反
応させて三次元網目構造を形成させることを特徴とする
ポリマー電池の製造方法。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物 請求項11:正極と負極とこれら正負極間に介在させた
フッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから構成
された電池構造体からなり、この電池構造体に下記
(A)〜(D)成分を含む電解質組成物を注入し、含浸
させた後、上記(C)成分の化合物が架橋することによ
って得られるポリマーの三次元網目構造に、上記(D)
成分のポリマーの分子鎖が相互に絡みついた半相互侵入
高分子網目構造を形成させることを特徴とするポリマー
電池の製造方法。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物 (D)ヒドロキシアルキル多糖類誘導体 請求項12:正極と負極とこれら正負極間に介在させた
フッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから構成
された電池構造体からなり、この電池構造体に下記
(A)〜(C),(E)成分を含む電解質組成物を注入
し、含浸させた後、上記(C)成分の化合物が架橋する
ことによって得られるポリマーの三次元網目構造に、上
記(E)成分のポリマーの分子鎖が相互に絡みついた半
相互侵入高分子網目構造を形成させることを特徴とする
ポリマー電池の製造方法。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物 (E)ポリビニルアルコール誘導体 請求項13:正極と負極とこれら正負極間に介在させた
フッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから構成
された電池構造体からなり、この電池構造体に下記
(A)〜(C),(F)成分を含む電解質組成物を注入
し、含浸させた後、上記(C)成分の化合物が架橋する
ことによって得られるポリマーの三次元網目構造に、上
記(F)成分のポリマーの分子鎖が相互に絡みついた半
相互侵入高分子網目構造を形成させることを特徴とする
ポリマー電池の製造方法。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物 (F)ポリグリシドール誘導体
【0024】本発明によれば、従来のフッ素系ポリマー
を電解質材料として用いたポリマー電池における種々の
問題点を解決し得、フッ素系ポリマーの有する優れた特
性を効果的に引出すことができるものである。
【0025】即ち、正極と負極とこれら正負極間に介在
させたフッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとか
ら構成された電池構造体からなり、(i)この電池構造
体に(A)イオン導電性塩、(B)イオン導電性塩を溶
解可能な溶媒、(C)分子中に反応性二重結合を2つ以
上有する化合物を含む電解質組成物を注入し、含浸させ
ると共に、上記(C)成分を反応させて三次元網目構造
を形成すること、(ii)上記電池構造体に、上記
(A)〜(C)成分と、(D)成分のヒドロキシアルキ
ル多糖類誘導体、(E)成分のポリビニルアルコール誘
導体、又は(F)成分のポリグリシドール誘導体を含む
電解質組成物を注入し、含浸させると共に、上記(C)
成分の分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物
が架橋することによって得られるポリマーの三次元網目
構造に、上記(D),(E)又は(F)成分のポリマー
の分子鎖が相互に絡みついた半相互侵入高分子網目〔s
emi−Interpenetrating Poly
mer Network(semi−IPN)〕構造を
形成すること、これら(i),(ii)の構成を備える
ことにより、密着性が向上し、高温⇔室温を繰返すヒー
トサイクルにより、正負極と電解質(セパレータ)とが
剥がれにくくなり、内部抵抗が上昇することを防止で
き、図9に示したように従来のフッ素系ポリマー電解質
に比べて蒸発速度が遅く極めて気化しにくく、電解液の
蒸発を抑えることができ、内部熱により発火することの
ない高い安全性を有し、しかもヒートサイクル耐性が高
く、高温に保持した状態でも優れた性能を維持し得、特
にリチウム二次電池及びリチウムイオン二次電池などと
して好適なものであることを知見し、本発明をなすに至
った。
【0026】以下、本発明について更に詳しく説明す
る。 〈本発明の第1発明〉本発明の第1発明に係るポリマー
電池は、正極と負極とこれら正負極間に介在させたフッ
素系ポリマーを主成分とするセパレータとから構成され
た電池構造体からなり、この電池構造体に下記(A)〜
(C)成分を含む電解質組成物を注入し、含浸させると
共に、(C)成分の分子中に反応性二重結合を2つ以上
有する化合物を反応させて三次元網目構造を形成してな
ることを特徴とするものである。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物
【0027】ここで、本発明の電池構造体は、正極と負
極とこれら正負極間にセパレータを介在させてなるもの
である。
【0028】上記正極としては、特に制限されないが、
正極集電体上にバインダー樹脂と正極活物質と導電材と
を含む正極ドープ液を塗布したものが好適である。
【0029】正極集電体としては、ステンレス鋼、アル
ミニウム、チタン、タンタル、ニッケル等を用いること
ができる。これらの中でも、アルミニウムが性能と価格
の両面から好ましい。この集電体は、箔状、エキスパン
ドメタル状、板状、発泡状、ウール状、ネット状等の三
次元構造などの種々の形態のものを採用することができ
る。
【0030】上記バインダー樹脂としては、例えばポリ
フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−ヘ
キサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−
塩化3フッ化エチレン(CTFE)共重合体〔P(VD
F−CTFE)〕、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロ
プロピレンフッ素ゴム、フッ化ビニリデン−テトラフル
オロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンフッ素ゴム、
フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−パーフル
オロアルキルビニルエーテルフッ素ゴム等フッ素系ポリ
マー;ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレン、ポリ
スチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴ
ム、スチレン/ブタジエンゴム、プロピレン/ブタジエ
ンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチル
セルロース、各種ラテックスなどが挙げられ、これらの
1種を単独で又は2種以上を組み合せて用いることがで
きる。これらの中でも、本発明においては、セパレータ
と電極との密着性を更に向上させるため、セパレータと
共通する組成のフッ素系ポリマーを用いることが好まし
い。
【0031】上記正極活物質としては、電極の用途、電
池の種類などに応じて適宜選定されるが、例えばリチウ
ム二次電池の正極とする場合には、CuO、Cu2O、
Ag2O、CuS、CuSO2等のI族金属化合物、Ti
S、SiO2、SnO等のIV族金属化合物、V25
613、VOx、Nb25、Bi23、Sb23等のV
族金属化合物、CrO3、Cr23、MoO3、Mo
2、WO3、SeO2等のVI族金属化合物、MnO2
Mn24等のVII族金属化合物、Fe23、FeO、
Fe34、Ni23、NiO、CoO2等のVIII族
金属化合物、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフ
ェニレン、ポリアセチレン、ポリアセン系材料等の導電
性高分子化合物などが挙げられる。
【0032】また、リチウムイオン二次電池の場合に
は、正極活物質として、リチウムイオンを吸着離脱可能
なカルコゲン化合物又はリチウムイオン含有カルコゲン
化合物などが用いられる。
【0033】このようなリチウムイオンを吸着離脱可能
なカルコゲン化合物としては、例えばFeS2、Ti
2、MoS2、V25、V613、MnO2等が挙げられ
る。
【0034】上記リチウムイオン含有カルコゲン化合物
としては、例えばLiCoO2、LiMnO2、LiMn
24、LiMo24、LiV38、LiNiO2、Lix
Niy1-y2(但し、Mは、Co、Mn、Ti、C
r,V、Al、Sn、Pb、Znから選ばれる少なくと
も1種以上の金属元素を表し、0.05≦x≦1.1
0、0.5≦y≦1.0)などが挙げられる。
【0035】上記導電材としてはカーボンブラック、ケ
ッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンウイ
スカー、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、酸化チタン、
酸化ルテニウム、アルミニウム、ニッケル等の金属ファ
イバなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以
上を組み合せて用いることができる。また必要に応じて
分散媒を添加することができる。この分散媒としては、
例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスル
ホアミド等の極性溶媒が挙げられる。
【0036】本発明の正極は、上記バインダー樹脂と正
極活物質と導電材と溶媒とを常用量配合し、混合してな
る正極ドープ液を正極集電体上に塗布することにより製
造することができる。
【0037】なお、正極を薄膜化する方法としては、特
に制限されないが、例えばアプリケータロール等のロー
ラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブ
レード法、スピンコーティング、バーコーター、デップ
コーティングなどの手段を用いてアルミニウム箔等の正
極集電体上に均一な厚みに形成することが望ましい。
【0038】本発明の負極としては、特に制限されない
が、負極集電体上にバインダー樹脂と負極活物質とを含
む負極ドープ液を塗布してなるものが好適である。な
お、バインダー樹脂としては、正極と同じものを用いる
ことができる。
【0039】負極集電体としては、銅、ステンレス鋼、
チタン、ニッケルなどが挙げられ、これらの中でも、銅
が性能と価格の両面から好ましい。この集電体は、箔
状、エキスパンドメタル状、板状、発泡状、ウール状、
ネット状等の三次元構造などの種々の形態のものを採用
することができる。
【0040】上記負極活物質としては、電極の用途、電
池の種類などに応じて適宜選定され、例えばリチウム二
次電池の負極として用いる場合には、アルカリ金属、ア
ルカリ合金、炭素材料、上記正極活物質と同じ材料等を
用いることができる。
【0041】この場合、アルカリ金属としては、Li、
Na、K等が挙げられ、アルカリ金属合金としては、例
えば金属Li、Li−Al、Li−Mg、Li−Al−
Ni、Na、Na−Hg、Na−Zn等が挙げられる。
【0042】また、炭素材料としては、グラファイト、
カーボンブラック、コークス、ガラス状炭素、炭素繊
維、又はこれらの焼結体等が挙げられる。
【0043】リチウムイオン二次電池の場合には、リチ
ウムイオンを可逆的に吸蔵、放出し得る材料を使用する
ことができる。リチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出し
得る材料としては、難黒鉛化炭素系材料や黒鉛系材料等
の炭素材料を使用することができる。より具体的には、
熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニートル
コークス、石油コークス)、黒鉛類、ガラス状炭素類、
有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂
等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、
活性炭等の炭素材料を使用することができる。このほ
か、リチウムイオンをドープ、脱ドープできる材料とし
ては、ポリアセチレン、ポリピロール等の高分子やSn
2等の酸化物を使用することもできる。
【0044】本発明の負極は、上記バインダー樹脂と負
極活物質と導電材と溶媒とを常用量配合し、混合してな
る負極ドープ液を負極集電体上に塗布することにより製
造することができる。
【0045】なお、負極を薄膜化する方法としては、特
に制限されないが、例えばアプリケータロール等のロー
ラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブ
レード法、スピンコーティング、バーコーター、デップ
コーティング等の手段を用いて均一な厚みにすることが
できる。
【0046】上記セパレータとしては、フッ素系ポリマ
ーを主成分とするものを用いる。このようなフッ素系ポ
リマーとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVD
F)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン
(HFP)共重合体〔P(VDF−HFP)〕、フッ化
ビニリデン−塩化3フッ化エチレン(CTFE)共重合
体〔P(VDF−CTFE)〕、フッ化ビニリデン−ヘ
キサフルオロプロピレンフッ素ゴム〔P(VDF−HF
P)〕、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−
ヘキサフルオロプロピレンフッ素ゴム〔P(VDF−T
FE−HFP)〕、フッ化ビニリデン−テトラフルオロ
エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルフッ素
ゴム等が挙げられる。フッ化ビニリデン系ポリマーとし
ては、フッ化ビニリデンが50質量%以上、特に70質
量%以上(上限値は97質量%程度である)であるもの
が好ましい。これらの中でも、ポリフッ化ビニリデン
(PVDF)、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロ
ピレンとの共重合体〔P(VDF−HFP)〕、フッ化
ビニリデンと塩化3フッ化エチレンとの共重合体〔P
(VDF−CTFE)〕が好ましい。共重合体とするこ
とにより、結晶性が低くなって電解液を含浸しやすくな
り、また、電解液を保持しやすくなるので好ましい。本
発明では、膨潤性の高い高分子を用いても、PVDF等
の膨潤性の低い高分子を用いてもよい。
【0047】この場合、フッ素系ポリマーの重量平均分
子量は、500,000以上、好ましくは500,00
0〜2,000,000、より好ましくは500,00
0〜1,500,000である。重量平均分子量が小さ
すぎると物理的強度が著しく低下し、孔があいたり、破
れたりしてセパレータ機能を発揮し得なくなる場合があ
る。
【0048】本発明のセパレータの主成分であるフッ素
系ポリマーには、フィラーを添加することもできる。こ
のようなフィラーとしてはフッ素系ポリマーと共にマト
リックスを形成し、高分子との界面に電解液を含浸し得
る微細孔を形成するものであれば特に限定されるもので
はなく、無機、有機、粒子形状、粒子径、密度、表面状
態等の物性は特に問わない。このようなフィラーとして
は、例えば無機質粉末として、酸化ケイ素、酸化チタ
ン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫
酸カルシウム、酸化錫、酸化クロム、酸化鉄、酸化マグ
ネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等の酸
化物、炭酸塩、硫酸塩の他、炭化ケイ素、炭化カルシウ
ム等の炭化物、窒化ケイ素、窒化チタン等の窒化物が挙
げられ、有機質粉末としてはフッ素系ポリマーのマトリ
ックスと相溶しない各種ポリマー粒子が挙げられる。
【0049】上記フィラーの粒径は、特に制限されるも
のではないが、好ましくは10μm以下、より好ましく
は0.005〜1μm、特に0.01〜0.8μmであ
ることが好ましい。また、フッ素系ポリマーに対する添
加量は、用いるフッ素系ポリマーや添加するフィラーの
種類によって異なるがフッ素系ポリマー100質量部に
対して5〜100質量部、特に30〜100質量部であ
ることが好ましい。
【0050】本発明のセパレータの製造方法としては、
フッ素系ポリマーと溶媒、必要に応じてフィラーを溶解
し、分散させてスラリーを作製する。溶媒としてはフッ
素系ポリマーが溶解可能な各種溶媒から適宜選択すれば
よく、工業的には高沸点で安全性の高いものが好まし
い。このような溶媒としては、例えばN、N−ジメチル
ホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、N−
メチル−2−ピロリドン、アセトン、メチルエチルケト
ン(MEK)、メチルイソブチルケトンなどを用いるこ
とが好ましい。溶媒に対するフッ素系ポリマーの濃度は
好ましくは5〜25質量%である。
【0051】また、本発明ではフッ素系ポリマーにフィ
ラーを添加しないで、例えばジメチルアジペート、ジイ
ソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジ−2−エ
チルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ
ブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシ
ルアゼレート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケー
ト、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、メチル,アセ
チルリシノレート、ジメチルフタレート、ジエチルフタ
レート、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、
ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチル
フタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジル
フタレート、ジイソノニルフタレート、エチルフタリル
エチルグリコレートなどの可塑剤を添加し、フィルム状
に形成した後、可塑剤を抽出する方法を採用することも
できる。これらのなかでも、その後の抽出作業のやり易
さの点からジブチルフタレート、ジオクチルフタレート
が特に好ましい。この場合、可塑剤の添加量はフッ素系
ポリマー100質量部に対して10〜200質量部程度
である。
【0052】本発明の電池構造体は、上記のようにして
得られる正極と負極との間にセパレータを介在させるこ
とにより組み立てられる。この場合、得られたフィルム
状に形成したセパレータを正極と負極との間に挟んで圧
力をかけて一体化する方法、また正極上及び負極上にス
ラリー状のセパレータをコーティングして加熱硬化した
後、正極と負極とを重ね合せる方法などにより製造する
ことができる。
【0053】次に、本発明のポリマー電池は、上記のよ
うにして組立てられる電池構造体に、(A)成分のイオ
ン導電性塩と(B)成分のイオン導電性塩を溶解可能な
溶媒と(C)成分の分子中に反応性二重結合を2つ以上
有する化合物とを含む電解質組成物を注入し、含浸させ
ると共に、上記(C)成分を反応させて三次元網目構造
を形成することにより製造することができる。
【0054】上記(A)成分のイオン導電性塩として
は、通常の電気化学素子用に用いられているものであれ
ば特に制限なく使用することができ、例えばLiClO
4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiSb
6、LiCF3SO3、LiCF3COO、NaCl
4、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(Cl
42、Mg(BF42、(C494NBF4、(C2
54NBF4、CH3(C253NBF4、(C49
4NClO4、LiN(CF3SO22、(C254NP
6等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上
を組み合わせて用いることができる。
【0055】この(A)成分のイオン導電性塩の配合量
は、使用するイオン導電性塩の種類などにより異なり、
一概には規定できないが、通常、電解質組成物全体に対
して0.1〜3mol/L、好ましくは0.5〜2mo
l/Lである。イオン導電性塩の配合量が少なすぎると
イオン導電体の濃度が希薄となり、導電性が実用上低す
ぎる結果となる場合がある。一方、多すぎると塩類の析
出が生じる場合がある。
【0056】上記(B)成分のイオン導電性塩を溶解可
能な溶媒としては、例えばジブチルエーテル、1,2−
ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、
メチルジグライム、メチルトリグライム、メチルテトラ
グライム、エチルグライム、エチルジグライム、ブチル
ジグライム等、グリコールエーテル類(エチルセルソル
ブ、エチルカルビトール、ブチルセルソルブ、ブチルカ
ルビトール等)などの鎖状エーテル類、テトラヒドロフ
ラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキ
ソラン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキサン等の複
素環式エーテル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラク
トン、δ−バレロラクトン、3−メチル−1,3−オキ
サゾリジン−2−オン、3−エチル−1,3−オキサゾ
リジン−2−オン等のブチロラクトン類、その他電気化
学素子に一般に使用される溶剤である水、アルコール溶
剤(メタノール、エタノール、ブタノール、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、グリセリン等)、ポリオ
キシアルキレンポリオール(ポリエチレンオキシド、ポ
リプロピレンオキシド、ポリオキシエチレン・オキシプ
ロピレングリコール、並びにこれらの2種以上の併
用)、アミド溶剤(N−メチルホルムアミド、N,N−
ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−
メチルピロリジノン等)、カーボネート溶剤(ジエチル
カーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカ
ーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボ
ネート、スチレンカーボネート等)、イミダゾリジノン
溶剤(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)な
どが挙げられ、これらの溶媒の中から1種を単独で又は
2種以上を混合して用いることができる。
【0057】この(B)成分のイオン導電性塩を溶解可
能な溶媒の配合量は、電解質組成物100質量部に対し
て30〜100質量部、好ましくは70〜100質量部
である。
【0058】上記(C)成分の分子中に反応性二重結合
を2つ以上有する化合物は、これを反応させることによ
り、三次元網目構造を形成し得、接着性の向上、電解質
の蒸発防止、安全性、高温保持特性の向上等に寄与する
ものである。
【0059】上記反応性二重結合を有する化合物として
は、ジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、メタクリル
酸アリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタ
クリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエ
チレングリコール、ジメタクリル酸ポリエチレングリコ
ール(重量平均分子量200〜1000)、ジメタクリ
ル酸1,3−ブチレングリコール、ジメタクリル酸1,
6−ヘキサンジオール、ジメタクリル酸ネオペンチルグ
リコール、ジメタクリル酸ポリプロピレングリコール
(重量平均分子量400)、2−ヒドロキシ−1,3−
ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス−[4−(メ
タクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−
ビス−[4−(メタクリロキシエトキシ・ジエトキシ)
フェニル]プロパン、2,2−ビス−[4−(メタクリ
ロキシエトキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、
ジアクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸ジエチ
レングリコール、ジアクリル酸トリエチレングリコー
ル、ジアクリル酸ポリエチレングリコール(重量平均分
子量200〜1000)、ジアクリル酸1,3−ブチレ
ングリコール、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオー
ル、ジアクリル酸ネオペンチルグリコール、ジアクリル
酸ポリプロピレングリコール(重量平均分子量40
0)、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパ
ン、2,2−ビス−[4−(アクリロキシエトキシ)フ
ェニル]プロパン、2,2−ビス−[4−(アクリロキ
シエトキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2
−ビス−[4−(アクリロキシエトキシ・ポリエトキ
シ)フェニル]プロパン、トリメチロールプロパントリ
アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テト
ラメチロールメタンテトラアクリレート、水溶性ウレタ
ンジアクリレート、水溶性ウレタンジメタクリレート、
トリシクロデカンジメタノールアクリレート、水素添加
ジシクロペンタジエンジアクリレート、ポリエステルジ
アクリレート、ポリエステルジメタクリレート等の分子
中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物が挙げられ
る。
【0060】また必要に応じて、例えばグリシジルメタ
クリレート、グリシジルアクリレート、メタクリル酸テ
トラヒドロフルフリル、メタクリル酸メトキシジエチレ
ングリコール、メタクリル酸メトキシトリエチレングリ
コール、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール
(平均分子量200〜1200)等のアクリル酸又はメ
タクリル酸エステル、メタクリロイルイソシアネート、
2−ヒドロキシメチルメタクリル酸、N,N−ジメチル
アミノエチルメタクリル酸等の分子中にアクリル酸基又
はメタクリル酸基を1つ有する化合物を添加することが
できる。更に、N−メチロールアクリルアミド、メチレ
ンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等
のアクリルアミド化合物、ビニルオキサゾリン類、炭酸
ビニレン等のビニル化合物など、又はその他の反応性の
二重結合を有する化合物を添加することもできる。
【0061】この場合にも、三次元網目構造を形成する
ためには、分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化
合物を必ず添加する必要がある。即ち、メタクリル酸メ
チルのような反応性二重結合を1つしか持たない化合物
だけでは三次元網目構造を形成することはできないの
で、一部に少なくとも反応性二重結合を2つ以上有する
化合物を必ず添加する必要がある。
【0062】上記反応性二重結合を含有する化合物の中
でも特に好ましい反応性モノマーとしては、下記一般式
(1)で示されるポリオキシアルキレン成分を含有する
ジエステル化合物が挙げられ、これと下記一般式(2)
で示されるポリオキシアルキレン成分を含有するモノエ
ステル化合物とトリエステル化合物とを組み合わせて用
いることが推奨される。
【0063】
【化1】
【0064】(但し、式中、R1、R2、R3は水素原
子、又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プ
ロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル
基、t−ブチル基等の炭素数1〜6、特に1〜4のアル
キル基を示し、X≧1かつY≧0の条件を満足するもの
か、又はX≧0かつY≧1の条件を満足するものであ
り、X+Yは100以下、特に1〜30であることが好
ましい。特にR1、R2、R3はメチル基、エチル基、n
−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブ
チル基、s−ブチル基、t−ブチル基が好ましい。)
【0065】
【化2】
【0066】(但し、式中、R4、R5、R6は水素原
子、又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プ
ロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル
基、t−ブチル基等の炭素数1〜6、特に1〜4のアル
キル基を示し、A≧1かつB≧0の条件を満足するもの
か、又はA≧0かつB≧1の条件を満足するものであ
り、A+Bは100以下、特に1〜30であることが好
ましい。特にR4、R5、R6はメチル基、エチル基、n
−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブ
チル基、s−ブチル基、t−ブチル基が好ましい。)
【0067】上記式(1)において、例えば、X=9、
Y=0、R1=R3=CH3が好ましく用いられる。一
方、上記式(2)において、例えば、A=2または9、
B=0、R4=R6=CH3が好ましく用いられる。
【0068】また、トリエステル化合物としては、トリ
メチロールプロパントリメタクリレートが好適である。
【0069】上記ポリオキシアルキレン成分を含有する
ジエステル化合物とポリオキシアルキレン成分を含有す
るモノエステル化合物、トリエステル化合物は、電解質
組成物中で加熱又は電子線、マイクロ波、高周波などを
照射することによって、或いは混合物を加熱することに
より三次元網目構造を形成することができる。
【0070】この場合、一般にはポリオキシアルキレン
成分を含有するジエステル化合物やトリエステル化合物
は、これのみを反応させて三次元網目構造を形成するこ
とができるが、上述したように、この多官能性モノマー
であるジエステル化合物やトリエステル化合物に、更に
一官能性モノマーであるポリオキシアルキレン成分を含
有するモノエステル化合物を添加することが好ましい。
これは、このモノエステル化合物の添加によって三次元
網目上にポリオキシアルキレン分岐鎖を導入することが
できるためである。
【0071】ここで、ポリオキシアルキレン成分を含有
するジエステル化合物およびモノエステル化合物と、ト
リエステル化合物との組成比は、ポリオキシアルキレン
成分の長さによって適宜設定されるものであり、特に限
定されるものではないが、モル比で、 〔ジエステル化合物/モノエステル化合物〕=0.1〜
2、特に0.3〜1.5 〔ジエステル化合物/トリエステル化合物〕=2〜1
5、特に3〜10 の範囲内がゲル強度向上という点から見て好ましい。
【0072】上記(C)成分の分子中に反応性二重結合
を2つ以上有する化合物の配合量は、電解質組成物全体
に対して1質量%以上、好ましくは5〜40質量%であ
る。分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物が
少なすぎると膜強度が上がらなくなる場合がある。一
方、多すぎると電解質組成物中のイオン導電性金属塩溶
解能力が低下し、塩が析出したり、強度が低下し、脆く
なるなどの不都合が生じる場合がある。
【0073】得られる(A)〜(C)成分を含む電解質
組成物を200μmのギャップを有する銅板2枚の間に
挟み込んで、交流インピーダンス法(25℃)でイオン
導電率を測定したところ、1×10-4S/cm以上、好
ましくは1×10-4〜7×10-3S/cmであり、十分
なイオン導電性を有するものである。
【0074】次に、本発明のポリマー電池の製造方法
は、正極と負極とこれら正負極間に介在させたフッ素系
ポリマーを主成分とするセパレータとから構成される電
池構造体に上記(A)〜(C)成分を含む電解質組成物
を注入し、含浸させた後、加熱、又は電子線、マイクロ
波、高周波などを照射することによって、(C)成分の
分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物を反応
(又は重合)させて、三次元網目構造を形成するもので
ある。
【0075】この場合、重合反応は、主としてラジカル
反応により三次元網目構造を形成することができる。重
合反応を行う時、電子線を用いる場合は重合開始剤(触
媒)を添加する必要はないが、その他の場合は、通常、
重合開始剤を添加する。
【0076】重合開始剤(触媒)としては、特に制限さ
れず、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、2
−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒド
ロキシ−2−メチルイソプロピオフェノン、1−ヒドロ
キシシクロヘキシルケトン、ベンゾインエーテル、2,
2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタ
ールなどの光重合開始剤を用いることができる。
【0077】また、熱重合開始剤としては、クメンヒド
ロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジク
ミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド等の高
温開始剤、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫
酸塩、アゾビスイソブチロニトリル等の通常の開始剤、
過酸化水素・第1鉄塩、過硫酸塩・酸性亜硫酸ナトリウ
ム、クメンヒドロペルオキシド・第1鉄塩、過酸化ベン
ゾイル・ジメチルアニリン等の低温開始剤(レドックス
開始剤)、過酸化物・有機金属アルキル、トリエチルホ
ウ素、ジエチル亜鉛、酸素・有機金属アルキルなどが使
用可能である。
【0078】これらの重合開始剤は1種を単独で又は2
種以上を混合して用いることができる。このラジカル反
応の触媒の添加量は、上記(C)成分の架橋可能な官能
基を有する化合物100質量部に対して0.1〜1質量
部、好ましくは0.1〜0.5質量部の範囲である。触
媒の添加量が0.1質量部未満では重合速度が著しく低
下する場合がある。一方、1質量部を超えても反応性に
影響はなく、試薬の無駄となるだけである。
【0079】また、電子線を使用するときは、室温下で
150〜300kVの加速電圧を用いる。加熱重合の場
合は50〜120℃で0.5〜6時間の加熱で反応させ
る。
【0080】なお、重合反応は装置の簡易性、ランニン
グコストから考えて加熱重合が好ましい。
【0081】本発明のポリマー電池は、電池構造体を積
層(図4)、折畳(図5)、又は捲回(図6)させてア
ルミニウムラミネート袋や金属ケースに入れるか、又は
コイン型(図7)に形成し、これを電池缶又はラミネー
トパック等の電池容器に収容し、電池構造体の正負極、
セパレータが十分に含浸できる量の電解質組成物を充填
し、電池缶であれば封缶、ラミネートパックであればヒ
ートシールすることにより、ポリマー電池に組み立てら
れる。なお、図7中、1はケース、2,5は電極、3は
ガスケット、4はセパレータ、6は上蓋をそれぞれ示
す。
【0082】得られる本発明の第1発明に係るポリマー
電池は、安全性が高く、ヒートサイクル耐性が高く、高
温保持でも劣化しにくく、特にリチウム二次電池及びリ
チウムイオン二次電池などとして好適なものである。
【0083】〈本発明の第2発明〉本発明の第2発明に
係るポリマー電池は、正極と負極とこれら正負極間に介
在させたフッ素系ポリマーを主成分とするセパレータと
から構成された電池構造体からなり、この電池構造体に
下記(A)〜(D)成分を含む電解質組成物を注入し、
含浸させると共に、上記(C)成分の化合物が架橋する
ことによって得られるポリマーの三次元網目構造に、上
記(D)成分のポリマーの分子鎖が相互に絡みついた半
相互侵入高分子網目構造を形成してなることを特徴とす
る。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物 (D)ヒドロキシアルキル多糖類誘導体
【0084】ここで、電池構造体、(A)〜(C)成分
については本発明の第1発明と同じものを用いることが
できる。
【0085】上記(D)成分のヒドロキシアルキル多糖
類誘導体は、(C)成分の分子中に反応性二重結合を2
つ以上有する化合物が反応して形成される三次元網目構
造に、(D)成分のヒドロキシアルキル多糖類誘導体の
高度に分岐した分子鎖が絡みついた強固な半相互侵入高
分子網目〔semi−Interpenetratin
g Polymer Network(semi−IP
N)〕構造を形成することにより、異種高分子鎖間の相
溶性が向上し、相関結合力が増大し、接着性が向上し、
電解液の蒸発速度が低下し、形状保持能力が向上するも
のである。
【0086】このような(D)成分のヒドロキシアルキ
ル多糖類誘導体としては、セルロース、デンプンなど
の天然に産出される多糖類にエチレンオキシドを反応さ
せることによって得られるヒドロキシエチル多糖類、
プロピレンオキシドを反応させることによって得られる
ヒドロキシプロピル多糖類、グリシドール又は3−ク
ロロ−1,2−プロパンジオールを反応させることによ
って得られるジヒドロキシプロピル多糖類などが挙げら
れ、これらヒドロキシアルキル多糖類の水酸基の一部又
は全てがエステル結合あるいはエーテル結合を介した置
換基で封鎖されたものである。
【0087】上記多糖類としては、例えばセルロース、
デンプン、アミロース、アミロペクチン、プルラン、カ
ードラン、マンナン、グルコマンナン、アラビナン、キ
チン、キトサン、アルギン酸、カラゲナン、デキストラ
ンなどが挙げられ、用いる多糖類の分子量、分岐構造の
有無、多糖類の構成糖の種類、配列などの制約はない
が、入手のし易さなどの点から特にセルロースとデンプ
ンが好ましい。
【0088】また、ジヒドロキシプロピルセルロースの
合成方法は、米国特許第4096326号公報に記載さ
れている。また、その他のジヒドロキシプロピル多糖類
の合成は公知の方法により合成可能である〔佐藤ら、M
akromol.Chem.,193,647(199
2),又はMacromolecules 24,46
91(1991)〕。
【0089】本発明で使用できるヒドロキシアルキル多
糖類はモル置換度が2以上のものである。モル置換度が
2より小さい場合、イオン導電性金属塩類を溶解する能
力が低すぎて使用することができない。モル置換度の上
限は30、好ましくは20である。モル置換度が30よ
り高いヒドロキシアルキル多糖類を工業的に合成するこ
とは、工業的製造コストや合成操作の煩雑さから考えて
困難な場合がある。また無理をして製造し、モル置換度
を30より増大させたとしても、モル置換度の増大によ
る導電性の増加はそれほど期待できないと考えられる。
【0090】本発明においては、(D)成分として上記
ヒドロキシアルキル多糖類の分子鎖の末端OH基の10
%以上がハロゲン原子、非置換又は置換一価炭化水素
基、R 7CO−基(R7は非置換又は置換一価炭化水素
基)、R7 3Si−基(R7は上記と同じ)、アミノ基、
アルキルアミノ基、H(OR8m−基(R8は炭素数2
〜4のアルキレン基、mは1〜100の整数)及びリン
原子を含む基から選ばれる1種又は2種以上の一価の基
によって封鎖されたヒドロキシアルキル多糖類誘導体を
用いる。
【0091】この場合、上記基によるヒドロキシアルキ
ル多糖類のOH基の封鎖には、極性基を導入すること
によりヒドロキシアルキル多糖類の誘電率を上げる目的
と、ヒドロキシアルキル多糖類に疎水性、難燃性など
の優れた特性を付与する目的とがある。
【0092】上記ヒドロキシアルキル多糖類の誘電率
を上げるためには、ヒドロキシアルキル多糖類と水酸基
反応性の化合物とを反応させることにより、ヒドロキシ
アルキル多糖類の分子鎖末端(水酸基)を高極性の置換
基で封鎖する。
【0093】このような高極性の置換基としては、特に
制限されるものではないが、イオン性の置換基より中性
の置換基の方が好ましい。例えば、非置換又は置換一価
炭化水素基、R7CO−基(R7は非置換又は置換一価炭
化水素基)、H(OR8m−基(R8は炭素数2〜4の
アルキレン基、mは1〜100の整数)などが挙げられ
る。また、必要に応じてアミノ基、アルキルアミノ基な
どで封鎖することもできる。
【0094】一方、ヒドロキシアルキル多糖類に疎水
性、難燃性を付与する場合には、ヒドロキシアルキル多
糖類の分子鎖末端(水酸基)をハロゲン原子、R7 3Si
−基(R7は上記と同じ)、リン原子を含む基などで封
鎖する。
【0095】ここで、上記置換基について具体的に説明
すると、ハロゲン原子としてはフッ素、臭素、塩素等が
挙げられる。置換又は非置換の一価炭化水素基としては
炭素数1〜10、特に1〜8の置換又は非置換の一価炭
化水素基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロ
ピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t
ert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキ
シル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デ
シル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリ
ル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、
フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリ
ル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、
ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等の
アルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部
をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基、水
酸基、H(OR8m−基(R8は炭素数2〜4のアルキ
レン基、mは1〜100の整数)、アミノ基、アミノア
ルキル基、ホスホノ基などで置換したもの、例えばシア
ノエチル基、シアノベンジル基、その他のアルキル基に
シアノ基が結合した置換基、クロロメチル基、クロロプ
ロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基等が
挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合
わせて用いることができる。
【0096】R7CO−基としては、例えば、R7が炭素
数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の上記と同様の非
置換又は置換一価炭化水素基であるものが挙げられ、好
ましくはR7はアルキル基又はフェニル基であり、アシ
ル基、ベンゾイル基、シアノベンゾイル基などが好まし
い。
【0097】H(OR8m−基としては、R8は炭素数
2〜4のアルキレン基(エチレン基、プロピレン基、ブ
チレン基)を示し、mは1〜100、好ましくは2〜7
0の整数である。なお、エチレンオキシ基、プロピレン
オキシ基、ブチレンオキシ基は2種以上が混在していて
もよい。
【0098】R7 3Si−基としては、R7が炭素数1〜
10、好ましくは炭素数1〜8の上記と同様の非置換又
は置換一価炭化水素基であるものが挙げられ、好ましく
はR 7はアルキル基であり、トリアルキルシリル基、中
でもトリメチルシリル基が好ましい。
【0099】また、上記置換基は、アミノ基、アルキル
アミノ基、リン原子を含有する基などであってもよい。
【0100】ここで、上記置換基による末端封鎖率は1
0%以上、好ましくは50%以上、更に好ましくは90
%以上であり、実質的に総ての末端を上記置換基にて封
鎖する(封鎖率約100%)こともできる。
【0101】なお、ヒドロキシアルキル多糖類の総ての
末端をハロゲン原子、R7 3Si−基、リン原子を含有す
る基で封鎖するとヒドロキシアルキル多糖類自体のイオ
ン導電性塩溶解能力が低下する場合があるので、溶解性
の程度を考慮しつつ、適当量の置換基を導入する必要が
ある。具体的には全末端(水酸基)に対して10〜95
%、好ましくは50〜95%、更に好ましくは50〜9
0%である。
【0102】本発明においては、これら置換基の中で
も、特にシアノ基置換一価炭化水素基又はシアノ基置換
一価炭化水素基とR7 3Si−基とを併用することが好ま
しく、具体的にはシアノエチル基、シアノベンジル基、
シアノベンゾイル基、その他のアルキル基にシアノ基が
結合した置換基、又はこれらシアノ基置換一価炭化水素
基とトリメチルシリル基などを組み合わせたものが挙げ
られる。
【0103】なお、シアノエチル基等のシアノ基置換一
価炭化水素基とトリメチルシリル基等のR7 3Si−基と
を組み合わせた場合、両者の割合はシアノ基置換一価炭
化水素基を分子鎖の全末端(水酸基)の70〜97%、
好ましくは90〜97%、R 7 3Si−基を全末端の30
〜3%、好ましくは10〜3%である。このようにシア
ノ基置換一価炭化水素基とR7 3Si−基とを組み合わせ
て導入したヒドロキシアルキル多糖類は優れた導電性と
疎水性を併せ持つものである。
【0104】このような置換基でヒドロキシアルキル多
糖類を封鎖(導入)する方法としては、シアノエチル基
を導入する場合には、例えば、ヒドロキシプロピルセル
ロースをジオキサンとアクリロニトリルとに混合し、こ
の混合溶液に水酸化ナトリウム溶液を添加して、攪拌し
ながら反応させることにより、側鎖の一部又は全部にシ
アノエチル基を導入したシアノエチル化ヒドロキシプロ
ピルセルロースを得ることができる。
【0105】アセチル基を導入する場合には、例えば、
ヒドロキシプロピルセルロースを酢酸と塩化メチレンに
混合し、この混合溶液に過塩素酸水溶液と無水酢酸を加
え、室温で攪拌させ、反応液を冷水に注下して、析出し
た沈殿を採取し、得られた沈殿をアセトンに溶解して、
再び水に投入する。炭酸水素ナトリウムを加えて中和し
た後、濾過した。沈殿を集めて水と共に透析チューブに
入れ、イオン交換水で透析し、沈殿を集めて水洗し、減
圧乾燥することによりアセチル化ヒドロキシプロピルセ
ルロースを得ることができる。
【0106】シアノベンゾイル基を導入する場合には、
例えば、ヒドロキシプロピルセルロースをジオキサンと
混合し、ピリジンを添加し、続いて、シアノベンゾイル
クロライドをジオキサンに溶解させた溶液を滴下する。
その後、溶液を所定の温度で反応させ、反応物をメタノ
ール:水=3:4の溶液に注下し、析出した沈殿を採取
した。沈殿をN,N−ジメチルスルホキシドに溶解し
て、透析チューブに入れ、透析し、沈殿を集めて、水洗
し、減圧乾燥することによりシアノベンゾイル化ヒドロ
キシプロピルセルロースを得ることができる。
【0107】トリメチルシリル基を導入する場合には、
例えば、ヒドロキシプロピルセルロースをジメチルアセ
トアミドに溶解し、この溶液にビス(トリメチルシリ
ル)アセトアミドを加えて、室温で攪拌反応させ、反応
液を氷水で冷却し、冷却したメタノール:水=4:1溶
液に注下する。析出した沈殿物を濾別して、濾過物をア
セトアミドに溶解し、濾紙で濾過した後、溶液を減圧乾
燥することによりトリメチルシリル化ヒドロキシプロピ
ルセルロースを得ることができる。
【0108】なお、その他の置換基も末端OH基に各種
基を導入する公知の手法を用いて封鎖を行うことができ
る。
【0109】上記(D)成分のヒドロキシアルキル多糖
類誘導体の配合量は、電解質組成物全体に対して0.5
〜30質量%、好ましくは1〜20質量%である。多す
ぎると電解液組成物の粘度が上昇しすぎて、フッ素系ポ
リマーのセパレータにしみ込みにくくなる場合があり、
一方、少なすぎると密着性、接着性、及び強度が低下
し、安全性、高温保持特性が低下する場合がある。
【0110】得られる(A)〜(D)成分を含み、
(C)成分と(D)成分とがsemi−IPN構造を形
成してなる電解質組成物を200μmのギャップを有す
る銅板2枚の間に挟み込んで、交流インピーダンス法
(25℃)でイオン導電率を測定したところ、1×10
-4〜7×10-3S/cmであり、十分なイオン導電性を
有するものである。
【0111】本発明においては、上記(A)〜(D)成
分を含み、(C)成分と(D)成分とが半相互侵入高分
子網目(semi−IPN)構造を形成してなる電解質
組成物のイオン導電率C1(S/cm)と、半相互侵入
高分子網目構造を形成しない(A)〜(C)成分からな
る電解質組成物又は(A),(B),(D)成分からな
る電解質組成物のイオン導電率C2(S/cm)との比
率〔(C1/C2)×100〕が80〜100%、好まし
くは90〜100%である。
【0112】これは、(A)〜(D)成分を含み、
(C)成分と(D)成分とがsemi−IPN構造を形
成させることにより、強度、伸び、接着力などの物理的
性質が(A)〜(C)成分からなる電解質組成物又は
(A),(B),(D)成分からなる電解質組成物より
も大きく向上し、望ましいが、マトリックス内のイオン
の移動はsemi−IPN構造の形成により低下し、イ
オン導電性が低下する場合がある。従って比率〔(C1
/C2)×100〕が可及的に高くなる組合わせが好ま
しく、比率〔(C1/C2)×100〕が上記範囲となる
ように各成分を選定することが好ましい。
【0113】なお、(A)〜(D)成分を含み、(C)
成分と(D)成分とがsemi−IPN構造を形成して
なる電解質組成物のイオン導電率C1が、semi−I
PN構造を形成しない(A)〜(C)成分からなる電解
質組成物又は(A),(B),(D)成分からなる電解
質組成物のイオン導電率C2に比べて小さくなる場合で
あってもその程度は僅かであり、ポリマー電池の電解質
組成物として十分なイオン導電性を有するものである。
【0114】次に、本発明の第2発明のポリマー電池の
製造方法は、正極と負極とこれら正負極間に介在させた
フッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから構成
される電池構造体に上記(A)〜(D)成分を含む電解
質組成物を注入し、含浸させた後、加熱、又は電子線、
マイクロ波、高周波などを照射することによって、得ら
れる(C)成分のポリマーの三次元網目構造に、上記
(D)成分のヒドロキシアルキル多糖類誘導体の分子鎖
が相互に絡みついた半相互侵入高分子網目構造を形成す
るものである。なお、重合方法は上記第1発明と同様で
ある。
【0115】この場合、電池構造体を積層(図4)、折
畳(図5)、又は捲回(図6)させてアルミニウムラミ
ネート袋や金属ケースに入れるか、又はコイン型(図
7)に形成し、これを電池缶又はラミネートパック等の
電池容器に収容し、電池構造体の正負極、セパレータが
十分に含浸できる量の電解質組成物を充填し、電池缶で
あれば封缶、ラミネートパックであればヒートシールす
ることにより、ポリマー電池に組み立てられる。なお、
図7中、1はケース、2,5は電極、3はガスケット、
4はセパレータ、6は上蓋をそれぞれ示す。
【0116】得られる本発明の第2発明に係るポリマー
電池は、安全性が高く、ヒートサイクル耐性が高く、高
温保持でも劣化しにくく、特にリチウム二次電池及びリ
チウムイオン二次電池などとして好適なものである。
【0117】〈本発明の第3発明〉本発明の第3発明に
係るポリマー電池は、正極と負極とこれら正負極間に介
在させたフッ素系ポリマーを主成分とするセパレータと
から構成された電池構造体からなり、この電池構造体に
下記(A)〜(C),(E)成分を含む電解質組成物を
注入し、含浸させると共に、上記(C)成分の化合物が
架橋することによって得られるポリマーの三次元網目構
造に、上記(E)成分のポリマーの分子鎖が相互に絡み
ついた半相互侵入高分子網目構造を形成してなることを
特徴とする。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物 (E)ポリビニルアルコール誘導体
【0118】ここで、電池構造体、(A)〜(C)成分
については本発明の第1発明と同じものを用いることが
できる。
【0119】上記(E)成分のポリビニルアルコール誘
導体は、(C)成分の分子中に反応性二重結合を2つ以
上有する化合物が反応して形成される三次元網目構造
に、(E)成分のポリビニルアルコール誘導体の高度に
分岐した分子鎖が絡みついた強固な半相互侵入高分子網
目(semi−Interpenetrating P
olymer Network(semi−IPN))
構造を形成することにより、異種高分子鎖間の相溶性が
向上し、相関結合力が増大し、接着性が向上し、電解液
の蒸発速度が低下し、形状保持能力が向上するものであ
る。
【0120】上記(E)成分のポリビニルアルコール誘
導体を構成するポリビニルアルコール単位を有する高分
子化合物は、分子中にポリビニルアルコール単位を有す
る平均重合度20以上、好ましくは30以上、更に好ま
しくは50以上の高分子化合物において、上記ポリビニ
ルアルコール単位中の水酸基の一部又は全部がオキシア
ルキレン含有基によって置換されたものである。なお、
上記平均重合度の上限は2000以下、特に200以下
であることが好ましい。また、ここでの平均重合度は数
平均重合度である。重合度があまりに高い高分子化合物
は、粘度が高くなりすぎ、取り扱いが難しくなるので、
好ましい重合度の範囲は20〜500量体である。
【0121】ここで、上記ポリビニルアルコール単位
は、本発明のポリビニルアルコール誘導体の主鎖を構成
し、下記一般式(3)で示されるものである。
【0122】
【化3】
【0123】上記式(3)において、nは20以上、好
ましくは30以上、更に好ましくは50以上であり、ま
た、その上限は2000以下、特に200以下であるこ
とが好ましい。
【0124】上記ポリビニルアルコール単位を有する高
分子化合物は、上記平均重合度範囲を満たし、かつ分子
中のポリビニルアルコール単位の分率が98モル%以上
のホモポリマーが好適であるが、特に制限されず、上記
平均重合度範囲を満たし、かつポリビニルアルコール分
率が好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モ
ル%以上のポリビニルアルコール単位を有する高分子化
合物、例えば、ポリビニルアルコールの水酸基の一部が
ホルマール化されたポリビニルホルマール、ポリビニル
アルコールの水酸基の一部がアルキル化された変性ポリ
ビニルアルコール、ポリ(エチレンビニルアルコー
ル)、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、その他の変性ポリビ
ニルアルコールなどを用いることができる。
【0125】この高分子化合物は、上記ポリビニルアル
コール単位中の水酸基の一部又は全部が平均モル置換度
0.3以上のオキシアルキレン含有基(なお、このオキ
シアルキレン基は、その水素原子の一部が水酸基によっ
て置換されていてもよい)で置換されているものであ
り、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モ
ル%以上置換されていることが好ましい。
【0126】なお、平均のモル置換度(MS)は、仕込
み質量と反応生成物の質量を正確に測定することで算出
できる。例えば、PVA10gをエチレンオキシドと反
応させ、得られたPVA誘導体の量が15gであった場
合を考える。PVAの単位は−(CH2CH(OH))
−であるから、単位分子量は44である。一方、反応生
成物であるPVA誘導体は、−(CH2CH(OH))
−の−OH基が−O−(CH2CH2O)n−H基になっ
たものであるから、その単位分子量は44+44nであ
る。従って、反応に伴う質量増加分は44nに相当する
ので、下記の通りとなる。
【0127】
【数1】
【0128】それ故、上記の例ではMS=0.5と計算
できる。なお、この値はあくまで平均のモル置換度を表
しているにすぎない。即ち、未反応のPVA単位の量や
反応によって導入されたオキシエチレン基の長さは特定
できない。
【0129】
【化4】
【0130】ここで、上記ポリビニルアルコール単位を
有する高分子化合物にオキシアルキレン含有基を導入す
る方法としては、ポリビニルアルコール単位を有する
高分子化合物にエチレンオキシド等のオキシラン化合物
を反応させる方法、又は、ポリビニルアルコール単位
を有する高分子化合物に水酸基との反応性を有する置換
基を末端に有するポリオキシアルキレン化合物を反応さ
せる方法が挙げられる。
【0131】上記の方法では、オキシラン化合物とし
てエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びグリシ
ドールから選ばれる1種を単独で又は2種以上を組み合
わせて用いることができる。
【0132】この場合、エチレンオキシドを反応させれ
ば、下記式で示されるようにオキシエチレン鎖が導入さ
れる。
【化5】 〔但し、a=1〜10、特に1〜5が好ましい。〕
【0133】また、プロピレンオキシドを反応させれ
ば、通常、下記式で示されるようにオキシプロピレン鎖
が導入される。
【化6】 〔但し、b=1〜10、特に1〜5が好ましい。〕
【0134】更に、グリシドールを反応させれば、下記
式で示されるように2つの分岐鎖,が導入される。
【0135】PVAの水酸基とグリシドールの反応は、
aアタックとbアタックの2種が考えられる。1つのグ
リシドールが反応すると、新しく2つの水酸基が生じ、
その水酸基が再びグリシドールと反応する。その結果、
PVA単位の水酸基上に下記,の2つの分岐鎖が導
入される。
【0136】
【化7】
【0137】なお、x+yの値は1〜10が好ましく、
より好ましくは1〜5である。xとyの量比は特に規定
されないが、一般にはx:y=0.4:0.6〜0.
6:0.4の範囲に入る場合が多い。
【0138】ポリビニルアルコール単位を有する高分子
化合物と上記のオキシラン化合物との反応は、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、種々のアミン化合物などの
塩基性触媒を用いて行うことができる。
【0139】具体的には、ポリビニルアルコールとグリ
シドールとの反応を例にとって説明すると、反応容器内
に溶媒とポリビニルアルコールを仕込む。この場合、必
ずしもポリビニルアルコールが溶媒に溶解する必要はな
く、均一に溶けていても、或いはポリビニルアルコール
が溶媒に懸濁状態であっても構わない。この溶液に所定
量の塩基性触媒、例えば水酸化ナトリウムの水溶液を添
加して暫く撹拌した後、溶媒で希釈したグリシドールを
添加する。所定温度で所定時間反応させた後、ポリビニ
ルアルコールを取り出す。ポリビニルアルコールが溶解
していない場合は、グラスフィルターなどを用いて濾別
する。また、溶解している場合は、アルコールなどを注
下して沈殿させ、その沈殿をグラスフィルターなどを用
いて濾別する。精製は、水に溶解して中和し、イオン交
換樹脂を通すか、透析を行い、凍結乾燥してジヒドロキ
シプロピル化ポリビニルアルコールを得ることができ
る。
【0140】なお、ポリビニルアルコールとオキシラン
化合物との反応比は、モル比で好ましくは1:10、よ
り好ましくは1:20である。
【0141】また、の水酸基との反応性を有する置換
基を末端に有するポリオキシアルキレン化合物は、下記
一般式(4)で示されるものを用いることができる。
【0142】
【化8】
【0143】式(4)中、Aは水酸基との反応性を有す
る一価置換基であり、例えばイソシアネート基、エポキ
シ基、カルボン酸基、カルボン酸塩化物基、エステル
基、アミド基、フッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、
ケイ素を含有する反応性置換基、及びその他の水酸基と
反応可能な一価置換基が挙げられ、これらの中でも反応
性の点からイソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸
塩化物基が好ましい。
【0144】なお、カルボン酸基は酸無水物であっても
よい。また、エステル基としては、メチルエステル基、
エチルエステル基が好ましい。ケイ素を含有する反応性
置換基としては、末端にSiH基、SiOH基等を有す
るものが挙げられる。
【0145】更に、上記イソシアネート基、エポキシ基
等の水酸基との反応性基は、直接R 9Oのオキシアルキ
レン基に結合していてもよく、酸素原子、硫黄原子、カ
ルボニル基、カルボニルオキシ基、NH基、N(C
3)基、N(C25)基等の窒素含有基、SO2基等が
介在してもよい、好ましくは炭素数1〜10、特に1〜
6のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基など
を介してR9Oのオキシアルキレン基に結合してもよ
い。
【0146】例えば、このような置換基Aを持つポリオ
キシアルキレン基として、ポリオキシアルキレン基の末
端水酸基にポリイソシアネート化合物を反応させた物質
も使用できる。この場合、イソシアネート基を有する化
合物としては、例えばトリレンジイソシアネート、キシ
リレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネー
ト、ジフェニルメタンジイソシアネート、ビフェニレン
ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネー
ト、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソ
シアネート、イソホロンジイソシアネートなどの分子中
に2個以上のイソシアネート基を有する化合物が使用で
きる。例えば、下記反応で得られるような化合物が使用
できる。
【0147】
【化9】
【0148】R9Oは炭素数2〜5のオキシアルキレン
基、例えば−CH2CH2O−、−CH2CH2CH2
−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH(CH2
3)O−、−CH2CH2CH2CH2O−などが挙げら
れる。mはオキシアルキレン基の付加モル数を示し、こ
の付加モル数(m)は好ましくは1〜100、より好ま
しくは1〜50である。
【0149】この場合、上記式(R9O)mで示されるポ
リオキシアルキレン鎖としては、特にポリエチレングリ
コール鎖、ポリプロピレングリコール鎖、又はポリエチ
レンオキシド(EO)/ポリプロピレンオキシド(P
O)共重合体鎖が好ましい。これらポリオキシアルキレ
ン鎖の重量平均分子量は好ましくは100〜3000、
より好ましくは室温で液体状態になる分子領域である重
量平均分子量200〜1000の範囲のものが好まし
い。
【0150】R10は片末端封鎖基であり、水素原子又は
炭素数1〜10の非置換又は置換の一価炭化水素基、又
はR11CO−基(R11は炭素数1〜10の非置換又は置
換一価炭化水素基)を示す。
【0151】上記炭素数1〜10の非置換又は置換の一
価炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、
tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘ
キシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、
デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシ
リル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル
基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、
アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル
基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基
等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は
全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ
基、水酸基、H(OR8z−基(R8は炭素数2〜4の
アルキレン基、zは1〜100の整数)、アミノ基、ア
ミノアルキル基、ホスホノ基などで置換したもの、例え
ば、シアノエチル基、シアノベンジル基、その他のアル
キル基にシアノ基が結合した置換基、クロロメチル基、
クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピ
ル基等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上
を組み合わせて用いることができる。なお、一価炭化水
素基としては、炭素数1〜8のものが好ましい。
【0152】R11CO−基としては、例えばR11は炭素
数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基が挙げら
れ、好ましくはR11はシアノ基で置換されていてもよい
アルキル基又はフェニル基であり、アシル基、ベンゾイ
ル基、シアノベンゾイル基などが好ましい。
【0153】上記ポリビニルアルコール単位を有する高
分子化合物と上記水酸基との反応性を有する置換基を末
端に有するポリオキシアルキレン化合物との反応は、上
記オキシラン化合物の場合と同様に行うことができる。
【0154】なお、ポリビニルアルコールと水酸基との
反応性を有する置換基を末端に有するポリオキシアルキ
レン化合物との反応比は、モル比で好ましくは1:1〜
1:20、より好ましくは1:1〜1:10である。
【0155】本発明のポリビニルアルコール単位にオキ
シアルキレン含有基を導入した高分子化合物の構造は、
13C−NMRにより確認することができる。例えば、ポ
リビニルアルコールにグリシドールを反応させてなるジ
ヒドロキシプロピル化ポリビニルアルコールを13C−N
MR(Varian VXR 300 NMR spe
ctrometerを用い、溶媒D2OでDEPT測
定)で測定した場合、図1に示すように、PVA由来の
ピークとグリシドール由来のジヒドロキシプロピル基の
ピークが認められる。
【0156】この場合、本発明のオキシアルキレン鎖を
持つポリビニルアルコール単位を有する高分子化合物
が、どれだけのオキシアルキレン基を有しているかとい
う分析は、NMRや元素分析など種々の方法で測定可能
であるが、仕込みポリマーと反応により生成したポリマ
ーの質量増加から求める方法が簡便である。例えば、収
量から求める方法は、ポリビニルアルコール単位を有す
る高分子化合物の仕込み量と反応により得られたオキシ
アルキレン基を持つポリビニルアルコール単位を有する
高分子化合物の質量を正確に測定し、その差から導入さ
れたオキシアルキレン鎖の量(平均モル置換度)を上述
したようにして求めることができる。
【0157】この平均モル置換度(MS)は、ビニルア
ルコール単位当たり何モルのオキシアルキレン基が導入
されているかを示す指標であり、本発明の高分子化合物
において、平均モル置換度は0.3以上であることが必
要であり、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.
7以上、更に好ましくは1.0以上であることが好まし
い。この場合、平均モル置換度の上限値は特に制限され
ないが、高くても20以下であることが好ましい。平均
モル置換度が小さすぎるとイオン導電性塩が溶解せず、
イオンの移動度も低く、イオン導電性が低い値となって
しまうおそれがあり、一方、ある程度以上高くなればイ
オン導電性塩の溶解性や移動度は変わらなくなるので、
大きすぎても無駄になる。
【0158】本発明のオキシアルキレン鎖を持つポリビ
ニルアルコール単位を有する高分子化合物は、その平均
重合度の大小により、室温(20℃)で粘度の高い水飴
状液体からゴム状の固体状態まで見かけ形状が変化し、
平均重合度の大きなものほど、室温(20℃)で流動性
の低い、いわば固体(軟性ペースト固体)と呼べるもの
となる。
【0159】また、本発明の高分子化合物は、平均重合
度の大小に拘わらず、直鎖状ポリマーではなく、高度に
分岐した分子鎖の絡み合いによるアモルファス(無定
形)ポリマーである。
【0160】次に、本発明のポリビニルアルコール誘導
体は、その分子中の水酸基(ポリビニルアルコール単位
由来の残存水酸基、及び導入されたオキシアルキレン含
有基由来の水酸基の合計)の一部又は全部、好ましくは
10モル%以上をハロゲン原子、炭素数1〜10の非置
換又は置換一価炭化水素基、R7CO−基(R7は炭素数
1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基)、R7 3Si
−基(R7は上記と同じ)、アミノ基、アルキルアミノ
基及びリン原子を有する基から選ばれる1種又は2種以
上の一価の置換基により封鎖されたものである。
【0161】この場合、上記置換基によるオキシアルキ
レン鎖を持つポリビニルアルコール単位を有する高分子
化合物の水酸基の封鎖には、高濃度にイオン導電性塩
を含むポリマーにおいて、低誘電率の高分子マトリック
ス中では解離したカチオンと対アニオンの再結合が生じ
やすく、導電性の低下が生じるが、高分子マトリックス
の極性を上げるとイオンの会合が起こりにくくなるの
で、オキシアルキレン鎖を持つポリビニルアルコール単
位を有する高分子化合物の水酸基に極性基を導入するこ
とにより、マトリックス高分子の誘電率を上げる目的
と、高分子電解質用ポリマーに疎水性、難燃性などの
優れた特性を付与する目的とがある。
【0162】上記高分子化合物の誘電率を上げるため
には、オキシアルキレン鎖を持つポリビニルアルコール
単位を有する高分子化合物と水酸基反応性の化合物とを
反応させることにより、この高分子化合物の水酸基を高
極性の置換基で封鎖する。
【0163】このような高極性の置換基としては、特に
制限されるものではないが、イオン性の置換基より中性
の置換基の方が好ましく、例えば、炭素数1〜10の非
置換又は置換一価炭化水素基、R7CO−基(R7は上記
と同じ)などが挙げられる。また、必要によってはアミ
ノ基、アルキルアミノ基などで封鎖することもできる。
【0164】一方、高分子化合物に疎水性、難燃性を
付与する場合には、上記高分子化合物の水酸基をハロゲ
ン原子、R7 3Si−基(R7は上記と同じ)、リン原子
を有する基などで封鎖する。
【0165】ここで、上記置換基について具体的に説明
すると、ハロゲン原子としてはフッ素、臭素、塩素等が
挙げられ、炭素数1〜10(好ましくは1〜8)の非置
換又は置換の一価炭化水素基としては上記と同様のもの
を例示することができる。また、R7としてはR10と同
様のものが挙げられる。
【0166】R7 3Si−基としては、R7が炭素数1〜
10(好ましくは1〜6)の上記と同様の非置換又は置
換一価炭化水素基であるものが挙げられ、好ましくはR
7はアルキル基であり、トリアルキルシリル基、中でも
トリメチルシリル基が好ましい。
【0167】また、上記置換基は、アミノ基、アルキル
アミノ基、リン原子を有する基などであってもよい。
【0168】ここで、上記置換基による末端封鎖率は1
0モル%以上であることが好ましく、より好ましくは5
0モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、
実質的に総ての末端を上記置換基にて封鎖する(封鎖率
約100モル%)こともできる。
【0169】なお、ポリマー分子鎖の総ての末端水酸基
をハロゲン原子、R7 3Si−基、リン原子を有する基で
封鎖すると、ポリマー自体のイオン導電性塩溶解能力が
低下する場合があるので、溶解性の程度を考慮しつつ、
適当量の置換基を導入する必要がある。具体的には全末
端(水酸基)に対して10〜95モル%、好ましくは5
0〜95モル%、更に好ましくは50〜90モル%であ
る。
【0170】本発明においては、上記置換基の中でも、
特にシアノ基置換一価炭化水素基が好ましく、具体的に
はシアノエチル基、シアノベンジル基、シアノベンゾイ
ル基、その他のアルキル基にシアノ基が結合した置換基
などが挙げられる。
【0171】なお、シアノエチル基等のシアノ基置換一
価炭化水素基とトリメチルシリル基等のR7 3Si−基と
を組み合わせることも好適であり、この場合、両者の割
合はシアノ基置換一価炭化水素基を分子鎖の全末端(水
酸基)の70〜97モル%、好ましくは90〜97モル
%、R7 3Si−基を全末端(水酸基)の30〜3モル
%、好ましくは10〜3モル%である。このようにシア
ノ基置換一価炭化水素基とR7 3Si−基とを組み合わせ
て導入したポリマー誘導体は、優れた導電性と疎水性を
併せ持つものである。
【0172】このような置換基でオキシアルキレン鎖を
持つポリビニルアルコール単位を有する高分子化合物の
分子鎖を封鎖(導入)する方法としては、シアノエチル
基を導入する場合には、例えば、オキシアルキレン鎖を
持つポリビニルアルコール単位を有する高分子化合物を
ジオキサンとアクリロニトリルとに混合し、この混合溶
液に水酸化ナトリウム溶液を添加して、撹拌しながら反
応させることにより、側鎖の一部又は全部にシアノエチ
ル基を導入したシアノエチル化ポリマー誘導体を得るこ
とができる。
【0173】アセチル基を導入する場合には、例えば、
オキシアルキレン鎖を持つポリビニルアルコール単位を
有する高分子化合物を酢酸と塩化メチレンに混合し、こ
の混合溶液に過塩素酸水溶液と無水酢酸を加え、室温で
撹拌させ、反応液を冷水に注下して析出した沈殿を採取
し、得られた沈殿をアセトンに溶解して再び水に投入す
る。炭酸水素ナトリウムを加えて中和した後、濾過す
る。沈殿を集めて水と共に透析チューブに入れ、イオン
交換水で透析し、沈殿を集めて水洗し、減圧乾燥するこ
とによりアセチル化ポリマー誘導体を得ることができ
る。
【0174】シアノベンゾイル基を導入する場合には、
例えば、オキシアルキレン鎖を持つポリビニルアルコー
ル単位を有する高分子化合物をジオキサンと混合し、ピ
リジンを添加し、続いてシアノベンゾイルクロライドを
ジオキサンに溶解させた溶液を滴下する。その後、溶液
を所定の温度で反応させ、反応物をメタノール:水=
3:4の溶液に注下し、析出した沈殿を採取する。沈殿
をN,N−ジメチルスルホキシドに溶解して、透析チュ
ーブに入れ、透析し、沈殿を集めて水洗し、減圧乾燥す
ることによりシアノベンゾイル化ポリマー誘導体を得る
ことができる。
【0175】トリメチルシリル基を導入する場合には、
例えば、オキシアルキレン鎖を持つポリビニルアルコー
ル単位を有する高分子化合物をジメチルアセトアミドに
溶解し、この溶液にビス(トリメチルシリル)アセトア
ミドを加えて、室温で撹拌反応させ、反応液を氷水で冷
却し、冷却したメタノール:水=4:1溶液に注下す
る。析出した沈殿物を濾別して、濾過物をアセトアミド
に溶解し、濾紙で濾過した後、溶液を減圧乾燥すること
によりトリメチルシリル化ポリマー誘導体を得ることが
できる。
【0176】なお、その他の置換基も末端OH基に各種
基を導入する公知の手法を用いて封鎖を行うことができ
る。
【0177】上記(E)成分のポリビニルアルコール誘
導体の配合量は、電解質組成物全体に対して0.5〜3
0質量%、好ましくは1〜20質量%である。多すぎる
と電解液組成物の粘度が上昇しすぎて、フッ素系ポリマ
ーのセパレータにしみ込みにくくなる場合があり、一
方、少なすぎると密着性、接着性、及び強度が低下し、
安全性、高温保持特性が低下する場合がある。
【0178】得られる(A)〜(C),(E)成分を含
み、(C)成分と(E)成分とがsemi−IPN構造
を形成してなる電解質組成物を200μmのギャップを
有する銅板2枚の間に挟み込んで、交流インピーダンス
法(25℃)でイオン導電率を測定したところ、1×1
-4〜7×10-3S/cmであり、十分なイオン導電性
を有するものである。
【0179】本発明において、上記(A)〜(C),
(E)成分を含み、(C)成分と(E)成分とが半相互
侵入高分子網目構造を形成してなる電解質組成物のイオ
ン導電率C1(S/cm)と、半相互侵入高分子網目構
造を形成しない(A)〜(C)成分からなる電解質組成
物又は(A),(B),(E)成分からなる電解質組成
物のイオン導電率C2(S/cm)との比率〔(C1/C
2)×100〕が80〜100%、好ましくは90〜1
00%である。
【0180】これは、(A)〜(C),(E)成分を含
み、(C)成分と(E)成分とがsemi−IPN構造
を形成させることにより、強度、伸び、接着力などの物
理的性質が(A)〜(C)成分からなる電解質組成物又
は(A),(B),(E)成分からなる電解質組成物よ
りも大きく向上し、望ましいが、マトリックス内のイオ
ンの移動はsemi−IPN構造の形成により低下し、
イオン導電性が低下する場合がある。従って比率〔(C
1/C2)×100〕が可及的に高くなる組合わせが好ま
しく、比率〔(C1/C2)×100〕が上記範囲となる
ように各成分を選定することが好ましい。
【0181】なお、(A)〜(C),(E)成分を含
み、(C)成分と(E)成分とがsemi−IPN構造
を形成してなる電解質組成物のイオン導電率C1が、s
emi−IPN構造を形成しない(A)〜(C)成分か
らなる電解質組成物又は(A),(B),(E)成分か
らなる電解質組成物のイオン導電率C2に比べて小さく
なる場合であってもその程度は僅かであり、ポリマー電
池の電解質組成物として十分なイオン導電性を有するも
のである。
【0182】本発明の電解質組成物は、JIS K68
54(1994)に準拠した接着剤の剥離接着強さ試験
方法の規格に基づく方法で測定した場合の接着強度が好
ましくは0.1kN/m以上、より好ましくは0.2k
N/m以上、更に好ましくは0.4kN/m以上の高い
接着力を示すものである。
【0183】次に、本発明の第3発明のポリマー電池の
製造方法は、正極と負極とこれら正負極間に介在させた
フッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから構成
される電池構造体に上記(A)〜(C),(E)成分を
含む電解質組成物を注入し、含浸させた後、加熱、又は
電子線、マイクロ波、高周波などを照射することによっ
て、得られる(C)成分のポリマーの三次元網目構造
に、上記(E)成分のポリビニルアルコール誘導体の分
子鎖が相互に絡みついた半相互侵入高分子網目構造を形
成するものである。なお、重合方法は上記第1発明と同
様である。
【0184】この場合、電池構造体を積層(図4)、折
畳(図5)、又は捲回(図6)させてアルミニウムラミ
ネート袋や金属ケースに入れるか、又はコイン型(図
7)に形成し、これを電池缶又はラミネートパック等の
電池容器に収容し、電池構造体の正負極、セパレータが
十分に含浸できる量の電解質組成物を充填し、電池缶で
あれば封缶、ラミネートパックであればヒートシールす
ることにより、ポリマー電池に組み立てられる。なお、
図7中、1はケース、2,5は電極、3はガスケット、
4はセパレータ、6は上蓋をそれぞれ示す。
【0185】得られる本発明の第3発明に係るポリマー
電池は、安全性が高く、ヒートサイクル耐性が高く、高
温保持でも劣化しにくく、特にリチウム二次電池及びリ
チウムイオン二次電池などとして好適なものである。
【0186】〈本発明の第4発明〉本発明の第4発明に
係るポリマー電池は、正極と負極とこれら正負極間に介
在させたフッ素系ポリマーを主成分とするセパレータと
から構成された電池構造体からなり、この電池構造体に
下記(A)〜(C),(F)成分を含む電解質組成物を
注入し、含浸させると共に、上記(C)成分の化合物が
架橋することによって得られるポリマーの三次元網目構
造に、上記(F)成分のポリマーの分子鎖が相互に絡み
ついた半相互侵入高分子網目構造を形成してなることを
特徴とする。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物 (F)ポリグリシドール誘導体
【0187】ここで、電池構造体、(A)〜(C)成分
については本発明の第1発明と同じものを用いることが
できる。
【0188】上記(F)成分のポリグリシドール誘導体
は、(C)成分の分子中に反応性二重結合を2つ以上有
する化合物が反応して形成される三次元網目構造に、
(F)成分のポリグリシドール誘導体の高度に分岐した
分子鎖が絡みついた強固な半相互侵入高分子網目(se
mi−Interpenetrating Polym
er Network(semi−IPN))構造を形
成することにより、異種高分子鎖間の相溶性が向上し、
相関結合力が増大し、接着性が向上し、電解液の蒸発速
度が低下し、形状保持能力が向上するものである。
【0189】上記(F)成分のポリグリシドール誘導体
は、下記式(5)で示される単位(以下、A単位とい
う)と、下記式(6)で示される単位(以下、B単位と
いう)とを有し、分子鎖の各末端が分子鎖の末端が所定
の置換基により封鎖されたものである。
【化10】
【0190】ここで、上記ポリグリシドールは、グリシ
ドール又は3−クロロ−1,2−プロパンジオールを重
合させることにより得ることができるが、一般的には、
グリシドールを原料として用いて重合を行うことが推奨
される。
【0191】上記重合反応としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、種々のアミン化合物などの塩基性
触媒を用いて行う方法と、ルイス酸触媒を用いて行う
方法とが知られている(Andrzej Dworak
et al.,Macromol.Chem.Phy
s.196,1963−1970(1995)、R.T
oker.,Macromolecules 27,3
20−322(1994)参照)。
【0192】塩基性触媒を用いて重合する方法は、開
始点となるアルコール性化合物(活性水素化合物)を添
加して行うことが多く、高分子量のポリマーは得られに
くいものである。その反応機序は下記に示すとおりであ
る。
【0193】
【化11】
【0194】具体的な重合方法は、フラスコ内にグリシ
ドールを所定量仕込み、溶媒として塩化メチレンを添加
し、所定温度にセットし、触媒として水酸化カリウムを
所定量添加し、攪拌しながら反応させる。この際、必要
に応じて、活性水素化合物を配合する。反応終了後、メ
タノールを加えて反応を停止し、メタノールと塩化メチ
レンを減圧下で蒸留除去する。得られたポリマーを水に
溶解し、イオン交換樹脂を用いて中和し、イオン交換樹
脂を濾別し、水を減圧下で蒸留し、乾燥することによ
り、ポリグリシドールを得ることができる。
【0195】この場合、活性水素化合物としては、エタ
ノール、メタノール、イソプロピルアルコール、ベンジ
ルアルコール等のアルコール類、グリセリン、ペンタエ
リスリトール、ソルビトール、ジエチレングリコール、
エチレングリコール、トリオース、テトラオース、ペン
タオース、ヘキソース等のポリオール類、ポリビニルア
ルコール、ポリエチレンビニルアルコール等の水酸基を
有する高分子化合物などを用いることができる。
【0196】この活性水素化合物の添加量は、モル比
で、(添加した活性水素化合物の活性水素基のモル数)
/(グリシドールの仕込みモル数)=0.0001〜
1、より好ましくは0.001〜1、更に好ましくは
0.005〜0.5、最も好ましくは0.01〜0.1
の範囲である。
【0197】一方、ルイス酸触媒を用いて重合する方
法は、水のない系で重合反応を行うものであり、その反
応機序は下記に示すとおりである。
【化12】
【0198】
【化13】
【0199】具体的な重合方法としては、フラスコ内に
グリシドールを所定量仕込み、必要に応じて溶媒として
塩化メチレンを用い、所定の反応温度下、触媒(反応開
始剤)を所定量添加して、窒素ガス気流下、攪拌しなが
ら反応させる。反応終了後メタノールを添加し、反応を
停止させて、メタノールと塩化メチレンを減圧下で蒸留
除去する。得られたポリマーを水に溶解し、炭酸水素ナ
トリウムで中和した後、溶液をイオン交換樹脂を充填し
たカラムを通過させて、カラム通過後の溶液を濾別し、
濾液を減圧下で蒸留し、乾燥することにより、ポリグリ
シドールを得ることができる。
【0200】この場合、触媒(反応開始剤)としてはト
リフルオロボレート・ジエチルエーテレート(BF3
OEt2)、SnCl4、HPF6・OEt2などを用いる
ことができる(Etはエチル基を示す)。
【0201】このようにして得られるポリグリシドール
13C−NMRで測定(Varian VXR 300
NMR spectrometerを用い、溶媒D2
OでDEPT測定)した場合、図2に示したように、A
単位とB単位の2つの単位に由来するカーボンを示すピ
ークが現れ、ポリグリシドールがA,B2つの単位から
なることが確認できる。
【0202】また、上記ポリグリシドールは、分子中に
A,B二つの単位を両者合わせて2個以上、好ましくは
6個以上、より好ましくは10個以上存在することが好
ましい。この場合、上限は特に制限されないが、10,
000個以下であることが好ましい。ポリグリシドール
に液体としての流動性が要求される場合にはA,B単位
の合計が少ない方が好ましく、一方、高い粘性が要求さ
れる場合にはA,B単位の合計が多い方が好ましい。
【0203】これらA,B単位の出現には規則性はな
く、ランダムであり、例えば−A−A−A−、−A−A
−B−、−A−B−A−、−B−A−A−、−A−B−
B−、−B−A−B−、−B−B−A−、−B−B−B
−などの如何なる組み合わせも可能である。
【0204】ポリグリシドールとしては、ゲル濾過クロ
マトグラフィー(GPC)を用いたポリエチレングリコ
ール換算の重量平均分子量(Mw)が好ましくは200
〜730,000、より好ましくは200〜100,0
00、更に好ましくは600〜20,000である。こ
の場合、重量平均分子量が2000程度までのポリグリ
シドールは、室温で流動する高粘度液体であるが、重量
平均分子量が3000を超えるポリグリシドールは室温
で軟性ペースト状の固体である。また、平均分子量比
(Mw/Mn)が1.1〜20、より好ましくは1.1
〜10であることが好ましい。
【0205】上記ポリグリシドールは、その分子量の大
小により室温(20℃)で粘度の高い水飴状液体からゴ
ム状の固体状態まで見かけ形状が変化し、分子量の大き
なものほど、室温(20℃)で流動性の低い、いわば固
体(軟性ペースト固体)と呼べるものとなる。
【0206】また、ポリグリシドールは分子量の大小に
拘わらず、直鎖状ポリマーではなく、高度に分岐した分
子鎖の絡み合いによるアモルファス(無定形)ポリマー
である。これは、広角エックス線回折の結果から結晶の
存在を示唆するピークは見られないことから認められ
る。
【0207】また、分子中のA単位とB単位の比率は、
図3に示したように、ポリグリシドールの水酸基にトリ
メチルシリル基を導入したトリメチルシリル化ポリグリ
シドールの29Si−NMRを測定することにより求める
ことができる。この場合、A単位とB単位との比率は、
モル比でA:B=1/9〜9/1、好ましくは3/7〜
7/3である。
【0208】このポリグリシドールは、無色透明であ
り、毒性もないため、各種活物質の結着バインダー物質
(例えばエレクトロルミネッセンスのバインダー等)等
の電気化学材料、増粘剤、アルキレングリコールの代替
物などとして幅広い用途に用いることができるものであ
る。
【0209】本発明においては、(F)成分として上記
ポリグリシドールの分子鎖の末端OH基の10%以上が
ハロゲン原子、非置換又は置換一価炭化水素基、R7
O−基(R7は非置換又は置換一価炭化水素基)、R7 3
Si−基(R7は上記と同じ)、アミノ基、アルキルア
ミノ基、及びリン原子を含む基から選ばれる1種又は2
種以上の一価の基によって封鎖されたポリグリシドール
誘導体を用いる。
【0210】この場合、上記基によるポリグリシドール
分子鎖末端の封鎖には、高濃度にイオン導電性塩を含
むポリマーにおいて、低誘電率の高分子マトリックス中
では解離した金属カチオンと対アニオンの再結合が生じ
易く、導電性の低下が生じるが、高分子マトリックスの
極性を上げるとイオンの会合が起こりにくくなるので、
ポリグリシドールの側鎖(水酸基)に極性基を導入する
ことによりマトリックス高分子の誘電率を上げる目的
と、高分子化合物に疎水性、難燃性などの優れた特性
を付与する目的とがある。
【0211】上記高分子化合物の誘電率を上げるため
には、ポリグリシドールと水酸基反応性の化合物とを反
応させることにより、ポリグリシドールの分子鎖末端
(水酸基)を高極性の置換基で封鎖する。
【0212】このような高極性の置換基としては、特に
制限されるものではないが、イオン性の置換基より中性
の置換基の方が好ましい。例えば、非置換又は置換一価
炭化水素基、R7CO−基(R7は非置換又は置換一価炭
化水素基)、また、必要に応じてアミノ基、アルキルア
ミノ基などで封鎖することもできる。
【0213】一方、高分子化合物に疎水性、難燃性を
付与する場合には、ポリグリシドールの分子鎖末端(水
酸基)をハロゲン原子、R7 3Si−基(R7は上記と同
じ)、リン原子を含む基などで封鎖する。
【0214】ここで、上記置換基について具体的に説明
すると、ハロゲン原子としてはフッ素、臭素、塩素等が
挙げられる。置換又は非置換の一価炭化水素基としては
炭素数1〜10、特に1〜8の置換又は非置換の一価炭
化水素基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロ
ピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t
ert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキ
シル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デ
シル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリ
ル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、
フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリ
ル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、
ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等の
アルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部
をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基、水
酸基、アミノ基、アミノアルキル基、ホスホノ基などで
置換したもの、例えばシアノエチル基、シアノベンジル
基、その他のアルキル基にシアノ基が結合した置換基、
クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、
トリフロロプロピル基等が挙げられ、これらの1種を単
独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0215】R7CO−基としては、例えば、R7が炭素
数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の上記と同様の非
置換又は置換一価炭化水素基であるものが挙げられ、好
ましくはR7はアルキル基又はフェニル基であり、アシ
ル基、ベンゾイル基、シアノベンゾイル基などが好まし
い。
【0216】R7 3Si−基としては、R7が炭素数1〜
10、好ましくは炭素数1〜8の上記と同様の非置換又
は置換一価炭化水素基であるものが挙げられ、好ましく
はR 7はアルキル基であり、トリアルキルシリル基、中
でもトリメチルシリル基が好ましい。
【0217】また、上記置換基は、アミノ基、アルキル
アミノ基、リン原子を含有する基などであってもよい。
【0218】ここで、上記置換基による末端封鎖率は1
0%以上、好ましくは50%以上、更に好ましくは90
%以上であり、実質的に総ての末端を上記置換基にて封
鎖する(封鎖率約100%)こともできる。
【0219】なお、ポリマー分子鎖の総ての末端をハロ
ゲン原子、R7 3Si−基、リン原子を含有する基で封鎖
するとポリマー自体のイオン導電性塩溶解能力が低下す
る場合があるので、溶解性の程度を考慮しつつ、適当量
の置換基を導入する必要がある。具体的には全末端(水
酸基)に対して10〜95%、好ましくは50〜95
%、更に好ましくは50〜90%である。
【0220】本発明においては、これら置換基の中で
も、特にシアノ基置換一価炭化水素基又はシアノ基置換
一価炭化水素基とR7 3Si−基とを併用することが好ま
しく、具体的にはシアノエチル基、シアノベンジル基、
シアノベンゾイル基、その他のアルキル基にシアノ基が
結合した置換基、又はこれらシアノ基置換一価炭化水素
基とトリメチルシリル基などを組み合わせたものが挙げ
られる。
【0221】なお、シアノエチル基等のシアノ基置換一
価炭化水素基とトリメチルシリル基等のR7 3Si−基と
を組み合わせた場合、両者の割合はシアノ基置換一価炭
化水素基を分子鎖の全末端(水酸基)の70〜97%、
好ましくは90〜97%、R 7 3Si−基を全末端の30
〜3%、好ましくは10〜3%である。このようにシア
ノ基置換一価炭化水素基とR7 3Si−基とを組み合わせ
て導入したポリマーは優れた導電性と疎水性を併せ持つ
ものである。
【0222】このような置換基でポリグリシドール分子
鎖を封鎖(導入)する方法としては、シアノエチル基を
導入する場合には、例えば、ポリグリシドールをジオキ
サンとアクリロニトリルとに混合し、この混合溶液に水
酸化ナトリウム溶液を添加して、攪拌しながら反応させ
ることにより、側鎖の一部又は全部にシアノエチル基を
導入したシアノエチル化ポリグリシドールを得ることが
できる。
【0223】アセチル基を導入する場合には、例えば、
ポリグリシドールを酢酸と塩化メチレンに混合し、この
混合溶液に過塩素酸水溶液と無水酢酸を加え、室温で攪
拌させ、反応液を冷水に注下して、析出した沈殿を採取
し、得られた沈殿をアセトンに溶解して、再び水に投入
する。炭酸水素ナトリウムを加えて中和した後、濾過し
た。沈殿を集めて水と共に透析チューブに入れ、イオン
交換水で透析し、沈殿を集めて水洗し、減圧乾燥するこ
とによりアセチル化ポリグリシドールを得ることができ
る。
【0224】シアノベンゾイル基を導入する場合には、
例えば、ポリグリシドールをジオキサンと混合し、ピリ
ジンを添加し、続いて、シアノベンゾイルクロライドを
ジオキサンに溶解させた溶液を滴下する。その後、溶液
を所定の温度で反応させ、反応物をメタノール:水=
3:4の溶液に注下し、析出した沈殿を採取した。沈殿
をN,N−ジメチルスルホキシドに溶解して、透析チュ
ーブに入れ、透析し、沈殿を集めて、水洗し、減圧乾燥
することによりシアノベンゾイル化ポリグリシドールを
得ることができる。
【0225】トリメチルシリル基を導入する場合には、
例えば、ポリグリシドールをジメチルアセトアミドに溶
解し、この溶液にビス(トリメチルシリル)アセトアミ
ドを加えて、室温で攪拌反応させ、反応液を氷水で冷却
し、冷却したメタノール:水=4:1溶液に注下する。
析出した沈殿物を濾別して、濾過物をアセトアミドに溶
解し、濾紙で濾過した後、溶液を減圧乾燥することによ
りトリメチルシリル化ポリグリシドールを得ることがで
きる。
【0226】なお、その他の置換基も末端OH基に各種
基を導入する公知の手法を用いて封鎖を行うことができ
る。
【0227】上記(F)成分のポリグリシドール誘導体
の配合量は、電解質組成物全体に対して0.5〜30質
量%、好ましくは1〜20質量%である。多すぎると電
解液組成物の粘度が上昇しすぎて、フッ素系ポリマーの
セパレータにしみ込みにくくなる場合があり、一方、少
なすぎると密着性、接着性、及び強度が低下し、安全
性、高温保持特性が低下する場合がある。
【0228】得られる(A)〜(C),(F)成分を含
み、(C)成分と(F)成分とがsemi−IPN構造
を形成してなる電解質組成物を200μmのギャップを
有する銅板2枚の間に挟み込んで、交流インピーダンス
法(25℃)でイオン導電率を測定したところ、1×1
-4〜7×10-3S/cmであり、十分なイオン導電性
を有するものである。
【0229】本発明において、上記(A)〜(C),
(F)成分を含み、(C)成分と(F)成分とが半相互
侵入高分子網目構造を形成してなる電解質組成物のイオ
ン導電率C1(S/cm)と、半相互侵入高分子網目構
造を形成しない(A)〜(C)成分からなる電解質組成
物又は(A),(B),(F)成分からなる電解質組成
物のイオン導電率C2(S/cm)との比率〔(C1/C
2)×100〕が80〜100%、好ましくは90〜1
00%である。
【0230】これは、(A)〜(C),(F)成分を含
み、(C)成分と(F)成分とがsemi−IPN構造
を形成させることにより、強度、伸び、接着力などの物
理的性質が(A)〜(C)成分からなる電解質組成物又
は(A),(B),(F)成分からなる電解質組成物よ
りも大きく向上し、望ましいが、マトリックス内のイオ
ンの移動はsemi−IPN構造の形成により低下し、
イオン導電性が低下する場合がある。従って比率〔(C
1/C2)×100〕が可及的に高くなる組合わせが好ま
しく、比率〔(C1/C2)×100〕が上記範囲となる
ように各成分を選定することが好ましい。
【0231】なお、(A)〜(C),(F)成分を含
み、(C)成分と(F)成分とがsemi−IPN構造
を形成してなる電解質組成物のイオン導電率C1が、s
emi−IPN構造を形成しない(A)〜(C)成分か
らなる電解質組成物又は(A),(B),(F)成分か
らなる電解質組成物のイオン導電率C2に比べて小さく
なる場合であってもその程度は僅かであり、ポリマー電
池の電解質組成物として十分なイオン導電性を有するも
のである。
【0232】次に、本発明の第4発明のポリマー電池の
製造方法は、正極と負極とこれら正負極間に介在させた
フッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから構成
される電池構造体に上記(A)〜(C),(F)成分を
含む電解質組成物を注入し、含浸させた後、加熱、又は
電子線、マイクロ波、高周波などを照射することによっ
て、得られる(C)成分のポリマーの三次元網目構造
に、上記(F)成分のポリグリシドール誘導体の分子鎖
が相互に絡みついた半相互侵入高分子網目構造を形成す
るものである。なお、重合方法は上記第1発明と同様で
ある。
【0233】この場合、電池構造体を積層(図4)、折
畳(図5)、又は捲回(図6)させてアルミニウムラミ
ネート袋や金属ケースに入れるか、又はコイン型(図
7)に形成し、これを電池缶又はラミネートパック等の
電池容器に収容し、電池構造体の正負極、セパレータが
十分に含浸できる量の電解質組成物を充填し、電池缶で
あれば封缶、ラミネートパックであればヒートシールす
ることにより、ポリマー電池に組み立てられる。なお、
図7中、1はケース、2,5は電極、3はガスケット、
4はセパレータ、6は上蓋をそれぞれ示す。
【0234】得られる本発明の第4発明に係るポリマー
電池は、安全性が高く、ヒートサイクル耐性が高く、高
温保持でも劣化しにくく、特にリチウム二次電池及びリ
チウムイオン二次電池などとして好適なものである。
【0235】本発明の第1〜第4発明のポリマー電池
は、以上説明した通りの構成を有するものであるが、こ
れら各電池は70℃で1週間加熱放置し、加熱前と加熱
後との下記式で示される電池の内部抵抗の上昇率が50
%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは1〜2
9%である。内部抵抗の上昇率が大きすぎると負荷特性
が悪くなり、電池容量が低下し、電池として有効に機能
しなくなる場合がある。
【0236】
【数2】
【0237】また、本発明ポリマー電池は、下記条件の
500サイクル充放電試験の放電出力維持率が60%以
上、好ましくは75%以上、より好ましくは75〜10
0%である。放電出力維持率が小さすぎると繰り返し充
放電ができなくなり、二次電池としての機能が失われて
しまう場合がある。
【0238】〈500サイクル充放電試験〉理論容量の
2時間率放電(0.5C)において500回の充放電サ
イクル試験を行った。具体的には、各電池について、2
3℃で定電流定電圧充電を上限4.2Vまで行った。次
に、(0.5C)の定電流放電を終止電圧3.2V間で
行った。このようにして放電容量を決定し、最初を10
0%として500サイクル後の放電出力維持率で評価し
た。
【0239】なお、ポリマー電池の形状としては、フィ
ルム状(ペーパー型)のものが好適であるが、これに限
られるものではなく、ボタン型、コイン型、角型、積層
型、或いはスパイラル構造を有する筒型など種々の形状
のものを用いることができる。
【0240】本発明のポリマー電池は、ビデオカメラ、
ノート型パソコンや携帯端末等の主電源、メモリのバッ
クアップ電源用途をはじめとして、パソコン等の瞬時停
電対策用電源、電気自動車又はハイブリッド自動車への
応用、太陽電池と併用したソーラー発電エネルギー貯蔵
システム、電池と組み合せたロードレベリング電源等の
様々な用途に好適に用いることができるものである。
【0241】
【実施例】以下、合成例、製造例、実施例及び比較例を
示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施
例に制限されるものではない。
【0242】〔合成例1〕 ポリビニルアルコール誘導
体の合成 撹拌羽根を装着した反応容器にポリビニルアルコール
(平均重合度500,ビニルアルコール分率=98%以
上)10質量部とアセトン70質量部を仕込み、撹拌下
で水酸化ナトリウム1.81質量部を水2.5質量部に
溶解した水溶液を徐々に加え、室温で1時間撹拌した。
この溶液にグリシドール67質量部をアセトン100質
量部に溶かした溶液を3時間かけて徐々に添加し、50
℃で8時間撹拌、反応させた。反応終了後、撹拌を止め
るとポリマーが沈降してくるので、その沈降物を集めて
水400質量部に溶解し、酢酸で中和した後、透析精製
し、溶液を凍結乾燥してジヒドロキシプロピル化ポリビ
ニルアルコールを得た。収量は22.50質量部であっ
た。
【0243】反応生成物の分子構造を図示すると、下記
のように表せる。
【化14】
【0244】ここで、DHPは、グリシドールが付加す
ることによって生じたジヒドロキシプロピル基であり、
その構造を図示すれば、下記のいずれかの結合で連なっ
たオリゴマー鎖である。
【化15】
【0245】仕込みのPVA質量と得られる生成物の質
量からモル置換度を算出すると、下記の通りである。
【数3】 従って、収量から計算した平均のモル置換度(MS)は
0.74である。一方、図1に13C−NMRスペクトル
(Varian VXR 300 NMR spect
rometerを用い、溶媒D2OでDEPT測定)を
示す。
【0246】未反応のPVA由来の−C*2−C(O
H)H−ユニットのC*カーボンシグナル強度(A)
と、その他のカーボンシグナル強度(C)の比較から求
めた平均モル置換度(MS)は0.95であった。
【0247】更に、(A)と(C)のシグナル強度を比
較することにより、未反応の−(CH2−C(OH)
H)−ユニット分率を求めると、未反応分率は0.57
であった。
【0248】従って、上記式において、a=0.57、
b=0.43である。即ち、DHP鎖の平均長さ(L)
は、L=MS/b=2.21となる。
【0249】得られたPVAポリマー3質量部をジオキ
サン20質量部とアクリロニトリル14質量部に混合し
た。この混合溶液に水酸化ナトリウム0.16質量部を
1質量部の水に溶解した水酸化ナトリウム水溶液を加え
て、25℃で10時間撹拌した。次に、イオン交換樹脂
(商品名;アンバーライト IRC−76,オルガノ株
式会社製)を用いて中和した。イオン交換樹脂を濾別し
た後、溶液に50質量部のアセトンを加えて不溶部を濾
別した。アセトン溶液を透析膜チューブに入れ、流水で
透析した。透析膜チューブ内に沈殿するポリマーを集め
て、再びアセトンに溶解して濾過し、アセトンを蒸発さ
せてシアノエチル化された合成例1のPVAポリマー誘
導体を得た。得られたポリマー誘導体は、赤外吸収スペ
クトルにおける水酸基の吸収は確認できず、水酸基が完
全にシアノエチル基で封鎖されている(封鎖率100
%)ことが確認できた。
【0250】〔合成例2〕 セルロース誘導体の合成 8gのヒドロキシプロピルセルロース〔モル置換度(M
S)=4.65、日本曹達(株)製〕を400mLのア
クリロニトリルに懸濁させ、4質量%の水酸化ナトリウ
ム水溶液1mLを加えて30℃で4時間攪拌した。
【0251】上記の反応混合液を酢酸を用いて中和した
後、大量のメタノールに注加することでシアノエチル化
ヒドロキシプロピルセルロースを得た。
【0252】不純物を取り除くためにシアノエチル化ヒ
ドロキシプロピルセルロースをアセトンに溶解し、透析
膜チューブに充填し、イオン交換水を用いて透析精製を
行った。透析中に析出するシアノエチル化ヒドロキシプ
ロピルセルロースを採取し、乾燥した。
【0253】得られたシアノエチル化ヒドロキシプロピ
ルセルロースを元素分析に供したところN%が7.3質
量%であることが判明した。この値からヒドロキシプロ
ピルセルロース中の水酸基のシアノエチル基によるキャ
ップ率は94%であることがわかった。
【0254】〔合成例3〕 ポリグリシドール誘導体の
合成 フラスコ内にグリシドール濃度が4.2mol/Lとな
るように塩化メチレンを溶媒として仕込み、反応温度を
−10℃にセットした。
【0255】触媒(反応開始剤)としてトリフルオロボ
レート・ジエチルエーテレート(BF3・OEt2)を
1.2×10-2mol/Lになるように添加して、窒素
ガス気流下、3時間攪拌しながら反応させた。反応終了
後、メタノールを添加して反応を停止させた。その後、
メタノールと塩化メチレンを減圧下で蒸留除去した。
【0256】得られた粗製ポリマーを水に溶解して炭酸
水素ナトリウムで中和した後、溶液をイオン交換樹脂
(商品名:アンバーライト IRC−76;オルガノ株
式会社製)を充填したカラムを通過させた。カラム通過
後の溶液を5Cの濾紙で濾別し、濾液を減圧下で蒸留
し、乾燥した。
【0257】得られた精製ポリグリシドールを0.1M
食塩水を移動相とするゲル濾過クロマトグラフィー(G
PC)で分析し、ポリエチレングリコール換算の重量平
均分子量を測定したところ6250であった。また、広
角エックス線回折により結晶性を評価したところ非晶質
であり、室温での状態は軟質ペースト固体であった。
【0258】得られたポリグリシドール3質量部をジオ
キサン20質量部とアクリロニトリル14質量部に混合
した。この混合溶液に水酸化ナトリウム0.16質量部
を1質量部の水に溶解した水酸化ナトリウム溶液を添加
して、25℃で10時間攪拌した。反応終了後、混合液
に20質量部の水を加え、次いでイオン交換樹脂(商品
名:アンバーライト IRC−76;オルガノ株式会社
製)を用いて中和した。イオン交換樹脂を濾別した後、
溶液に50質量部のアセトンを加え、不溶部分を濾別し
た。濾過した溶液を減圧濃縮し、粗製シアノエチル化ポ
リグリシドールを得た。この粗製シアノエチル化ポリグ
リシドールをアセトンに溶解し、5Aの濾紙で濾過した
後、水に沈殿させて析出した成分を集めた。このアセト
ン溶解、水に沈殿という操作を2回繰り返した後、50
℃で減圧乾燥して精製シアノエチル化ポリグリシドール
を得た。
【0259】得られた精製シアノエチル化ポリグリシド
ールの赤外吸収スペクトルを測定したところ、水酸基の
吸収は観察されず、総ての水酸基がシアノエチル基で置
換されていることがわかった。また、広角エックス線回
折により結晶性を評価したところ、室温で非晶質であっ
た。更に、室温での状態は軟性ペースト固体であった。
【0260】〔製造例1〕 電池構造体Aの製造 負極の作製 粉砕した黒鉛粉末90質量部と、結着剤としてフッ化ビ
ニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−コポリマー10
質量部とを混合して負極合剤を調製し、さらにこれをN
−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリー状とし
た。
【0261】このスラリーを負極集電体である厚さ10
μmの帯状銅箔の片面に均一に塗布し、乾燥後、ロール
プレス機で圧縮成形し、負極を作製した。
【0262】正極の作製 正極活物質(LiCoO2)を得るために、炭酸リチウ
ムと炭酸コバルトを0.5モル対1モルの比率で混合
し、空気中900℃で5時間焼成した。次に、得られた
LiCoO291質量部と、導電材として黒鉛6質量部
と、結着剤としてフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプ
ロピレン−コポリマー10質量部とを混合して正極合剤
を調製した。この正極合剤をN−メチル−2−ピロリド
ンに分散させてスラリー状とした。得られたスラリーを
正極集電体である厚さ20μmの帯状アルミニウム箔の
片面に均一に塗布し、乾燥後、ロールプレス機で圧縮成
形し、正極を作製した。
【0263】セパレータの作製 ポリフッ化ビニリデン(PVDF;重量平均分子量53
万、アルドリッチ社製)75質量部と、SiO2粉末
(商品名:アエロジル200、日本アエロジル社製)2
5質量部と、溶媒としてN,N’−ジメチルホルムアミ
ド(DMF)1000質量部とを混合してPVDF溶液
を合成した。
【0264】この溶液を上記作製した正極及び負極上に
厚さ50μmになるようにコーティングした後、100
℃で5時間加熱し、溶媒を蒸発させてセパレータがコー
ティングされた正負極を得た。
【0265】次に、図8に示したように、PVDF層1
1が互いに合わさるように正極9と負極10とを重ね合
わせて、170℃に加熱し圧力をかけて接着し、電池構
造体Aを作製した。なお、図8中7は正極集電体、8は
負極集電体である。
【0266】得られた電池構造体Aの両集電体側に電流
取り出し用の金属タブ12,12を取り付けてアルミニ
ウムラミネート外装袋に挿入した。
【0267】〔製造例2〕 電池構造体Bの製造 セパレータに用いるPVDFとして重量平均分子量が1
20万のものを用いた以外は製造例1と同様にして電池
構造体Bを作製した。
【0268】得られた電池構造体Bの両集電体側に電流
取り出し用の金属タブを取り付けてアルミニウムラミネ
ート外装袋に挿入した。
【0269】〔製造例3〕 電池構造体Cの製造 製造例1のPVDF溶液をテフロン(登録商標)コーテ
ィングしたガラス板上に厚さ60μmになるようにキャ
スティングした。その後、100℃で8時間加熱し、D
MFを蒸発させた。
【0270】次に、ガラス板からPVDFフィルムを剥
がしてポリマーフィルムを得た。このフィルムを製造例
1と同じ正負極間に挟み、170℃に加熱し、圧力をか
けてPVDFフィルムと正負極とを接着した。
【0271】得られた電池構造体Cの両集電体側に電流
取り出し用の金属タブを取り付けてアルミニウムラミネ
ート外装袋に挿入した。
【0272】〔製造例4〕 電池構造体Dの製造 フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体
(重量平均分子量(Mw)=70万)10質量部と、炭
酸ジエチル60質量部と、ジブチルフタレート30質量
部とを混合し、この混合溶液を製造例1と同じ正負極表
面にドクターナイフで厚さ50μmになるようにコーテ
ィングした。その後、100℃で8時間加熱し、炭酸ジ
エチルを蒸発させてセパレータがコーティングされた正
負極を得た。
【0273】次に、P(VDF−HFP)層が互いに合
わさるように正極と負極とを重ね合わせて、圧力をかけ
て接着し、これをジエチルエーテルに浸漬してジブチル
フタレートを抽出した。抽出後、室温で乾燥し、更に、
150℃に加熱し、圧力をかけて、電池構造体Dを得
た。
【0274】得られた電池構造体Dの両集電体側に電流
取り出し用の金属タブを取り付けてアルミニウムラミネ
ート外装袋に挿入した。
【0275】〔製造例5〕 電解質組成物Aの作成 エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとを、
質量比でエチレンカーボネート:ジエチレンカーボネー
ト=1:1となるように混合した溶液にLiClO4
1mol/Lとなるように溶解した。
【0276】この混合溶液120質量部に対してポリエ
チレングリコールジメタクリレート(オキシエチレンユ
ニット数=9)20質量部とメトキシポリエチレングリ
コールモノメタクリレート(オキシエチレンユニット数
=9)10質量部、開始剤としてアゾビスイソブチロニ
トリル(AIBN)0.15質量部を添加、混合して電
解質組成物Aを作成した。
【0277】得られた電解質組成物Aを200μmのギ
ャップを有する銅板2枚の間に挟み込んで、交流インピ
ーダンス法(25℃)でイオン導電率測定を行ったとこ
ろ、5.0×10-3S/cmであった。
【0278】〔製造例6〕 電解質組成物Bの作成 エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとを、
質量比でエチレンカーボネート:ジエチレンカーボネー
ト=1:1となるように混合した溶液にLiClO4
1mol/Lとなるように溶解した。
【0279】この混合溶液120質量部に対してポリエ
チレングリコールジメタクリレート(オキシエチレンユ
ニット数=9)20質量部とメトキシポリエチレングリ
コールモノメタクリレート(オキシエチレンユニット数
=9)10質量部と、合成例1のPVA誘導体ポリマー
5質量部と、AIBN0.15質量部とを添加、混合し
て電解質組成物Bを作成した。
【0280】得られた電解質組成物Bを200μmのギ
ャップを有する銅板2枚の間に挟み込んで、交流インピ
ーダンス法(25℃)でイオン導電率を測定したとこ
ろ、4.3×10-3S/cmであった。
【0281】〔製造例7〕 電解質組成物Cの作成 エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとを、
質量比でエチレンカーボネート:ジエチレンカーボネー
ト=1:1となるように混合した溶液にLiClO4
1mol/Lとなるように溶解した。
【0282】この混合溶液120質量部に対してポリエ
チレングリコールジメタクリレート(オキシエチレンユ
ニット数=9)20質量部とメトキシポリエチレングリ
コールモノメタクリレート(オキシエチレンユニット数
=9)10質量部と、合成例2のセルロース誘導体5質
量部と、AIBN0.15質量部とを添加、混合して電
解質組成物Cを作成した。
【0283】得られた電解質組成物Cを200μmのギ
ャップを有する銅板2枚の間に挟み込んで、交流インピ
ーダンス法(25℃)でイオン導電率を測定したとこ
ろ、4.8×10-3S/cmであった。
【0284】〔製造例8〕 電解質組成物Dの作成 エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとを、
質量比でエチレンカーボネート:ジエチレンカーボネー
ト=1:1となるように混合した溶液にLiClO4
1mol/Lとなるように溶解した。
【0285】この混合溶液120質量部に対してポリエ
チレングリコールジメタクリレート(オキシエチレンユ
ニット数=9)20質量部とメトキシポリエチレングリ
コールモノメタクリレート(オキシエチレンユニット数
=9)10質量部と、合成例3のポリグリシドール誘導
体5質量部と、AIBN0.15質量部とを添加、混合
して電解質組成物Dを作成した。
【0286】得られた電解質組成物Dを200μmのギ
ャップを有する銅板2枚の間に挟み込んで、交流インピ
ーダンス法(25℃)でイオン導電率を測定したとこ
ろ、4.5×10-3S/cmであった。
【0287】
【表1】 *比率:電解質組成物Aのイオン導電率に対する電解質
組成物B〜Dのイオン導電率の百分率
【0288】表1の結果から、semi−IPN構造を
形成する製造例6〜8の電解質組成物B〜Dは、sem
i−IPN構造を形成しない製造例5の電解質組成物A
に比べてイオン導電率が低いものであることが認められ
る。
【0289】〔実施例1〜11〕電池構造体A〜Dと電
解質組成物A〜Dとを表2に示した組合せで組み立てて
ポリマー電池を製造した。具体的には、アルミニウムラ
ミネート外装袋に入れた電池構造体A〜Dについて、こ
のラミネート外装袋内部を減圧し、ラミネート材と電池
構造体とを密着させた後、ニードルで通した穴から電解
質組成物A〜Dを表2の組み合わせで注入し、含浸した
後、封をして80℃で1時間硬化させて実施例1〜11
のポリマー電池を作成した。
【0290】〔比較例1〜4〕表2に示した組み合わせ
で、電解質組成物の代わりにエチレンカーボネートとジ
エチレンカーボネートとを、質量比でエチレンカーボネ
ート:ジエチレンカーボネート=1:1となるように混
合した溶液にLiClO4が1mol/Lとなるように
溶解した電解液を用い、この電解液をアルミニウムラミ
ネート外装袋に入れた電池構造体に注入し、封をして比
較例1〜4の電池を作成した。
【0291】得られた各電池について、下記方法により
500サイクル充放電試験及び高温保持試験を行った。
結果を表2に示す。
【0292】〈500サイクル充放電試験〉理論容量の
2時間率放電(0.5C)において500回の充放電サ
イクル試験を行った。具体的には、各電池について、2
3℃で定電流定電圧充電を上限4.2Vまで行った。次
に、(0.5C)の定電流放電を終止電圧3.2V間で
行った。このようにして放電容量を決定し、最初を10
0%として500サイクル後の放電出力維持率で評価し
た。
【0293】〈高温保持試験〉得られた各電池を70℃
で1週間加熱放置し、加熱前と加熱後との電池の内部抵
抗の上昇率を下記式から求めて評価した。
【数4】
【0294】
【表2】
【0295】〈電解液の蒸発速度評価〉次に、電解液の
蒸発速度を下記試料を用いて下記方法で評価した。
【0296】〔本発明試料1〕ポリフッ化ビニリデン
(PVDF;重量平均分子量53万、アルドリッチ社
製)75質量部と、SiO2粉末(商品名:アエロジル
200、日本アエロジル社製)25質量部と、溶媒とし
てN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)1000
質量部とを混合してPVDF溶液を合成した。
【0297】このPVDF溶液をガラス板上にドクター
ナイフアプリケーターを用いてコーティングし、100
℃で5時間加熱し、溶媒を蒸発させてセパレータフィル
ムを作製し、表面積が4cm2となるように切り出し、
これをセパレータとした。
【0298】次に、ポリエチレングリコールジメタクリ
レート(オキシエチレンユニット数=9)20質量部
と、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレー
ト(オキシエチレンユニット数=9)10質量部とを加
え、これらの全量に対してアゾビスイソブチロニトリル
(AIBN)を0.15質量部加え、溶解した。この混
合溶液に1MのLiClO4のエチレンカーボネートと
ジエチルカーボネート(質量比1:1)溶液を、混合溶
液:1MのLiClO4のエチレンカーボネートとジエ
チルカーボネート=1:1(質量比)の割合で添加し、
これを電解液とした。この電解液に上記作製したセパレ
ータを十分に浸し、表面積4cm2(約1g)の本発明
試料1を作製した。
【0299】〔本発明試料2〕混合溶液:1MのLiC
lO4のエチレンカーボネートとジエチルカーボネート
(質量比1:1)=3:7(質量比)の割合で添加した
以外は、本発明試料1と同様にして、表面積が4cm2
(約1g)なるように切り出したものを本発明試料2と
した。
【0300】〔比較試料1〕電解液として1MのLiC
4のエチレンカーボネートとジエチレンカーボネート
(質量比1:1)を用いた以外は、本発明試料1と同様
にして、表面積が4cm2(約1g)なるように切り出
したものを比較試料1とした。
【0301】〔比較試料2〕1MのLiClO4のエチ
レンカーボネートとジエチルカーボネート(質量比1:
1)溶液を表面積が4cm2となる大きさの容器に約1
g入れたものを比較試料2とした。
【0302】各試料について、下記放置条件で1000
時間放置後のフィルム質量から電解液の蒸発率を下記式
により求めた。結果を表3に示す。また、図9に本発明
試料1、比較試料1,2の質量の経時変化を示す。
【0303】〈放置条件〉25℃、水分率約2.55p
pmのドライ空気、空気循環量0.22m3/分
【数5】
【0304】
【表3】
【0305】表3及び図9の結果から、比較試料1(従
来のフッ素系ポリマー電解液)は、比較試料2(電解
液)よりも気化し易く、いずれも本発明試料1,2に比
べて蒸発率が高いことが認められる。
【0306】
【発明の効果】本発明によれば、安全性が高く、ヒート
サイクル耐性が高く、高温保持でも劣化しにくく、特に
リチウム二次電池及びリチウムイオン二次電池などとし
て好適なポリマー電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ジヒドロキシプロピル化ポリビニルアルコール
13C−NMRスペクトルである。
【図2】ポリグリシドールの13C−NMRスペクトルで
ある。
【図3】ポリグリシドールをトリメチルシリル化したト
リメチルシリル化ポリグリシドールの29Si−NMRス
ペクトルである。
【図4】積層型のポリマー電池の斜視図である。
【図5】折り畳み型のポリマー電池の斜視図である。
【図6】捲回型のポリマー電池の斜視図である。
【図7】コイン型のポリマー電池の断面図である。
【図8】実施例に係るポリマー電池の概略断面図であ
る。
【図9】電解液の蒸発(質量変化)を示したグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 PA53 PA67 PA90 PC02 4J026 AA01 AA30 AB19 AC23 BA07 BA28 BA50 DB02 DB09 DB13 DB36 FA09 GA08 5H021 BB01 BB12 BB15 CC00 EE05 EE10 EE15 EE17 EE21 EE22 EE23 EE27 EE31 EE39 HH00 HH01 5H029 AJ04 AJ11 AJ12 AK02 AK03 AK05 AK16 AL02 AL03 AL04 AL06 AL12 AL16 AM00 AM02 AM03 AM04 AM05 AM07 AM16 BJ02 BJ03 BJ04 BJ12 BJ14 BJ15 CJ11 CJ13 CJ23 DJ04 DJ11 EJ12 EJ14 HJ01 HJ20

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極と負極とこれら正負極間に介在させ
    たフッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから構
    成された電池構造体からなり、この電池構造体に下記
    (A)〜(C)成分を含む電解質組成物を注入し、含浸
    させると共に、上記(C)成分を反応させて三次元網目
    構造を形成してなることを特徴とするポリマー電池。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物
  2. 【請求項2】 上記(A)〜(C)成分を含む電解質組
    成物の交流インピーダンス法によるイオン導電率が1×
    10-4S/cm以上である請求項1記載のポリマー電
    池。
  3. 【請求項3】 正極と負極とこれら正負極間に介在させ
    たフッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから構
    成された電池構造体からなり、この電池構造体に下記
    (A)〜(D)成分を含む電解質組成物を注入し、含浸
    させると共に、上記(C)成分の化合物が架橋すること
    によって得られるポリマーの三次元網目構造に、上記
    (D)成分のポリマーの分子鎖が相互に絡みついた半相
    互侵入高分子網目構造を形成してなることを特徴とする
    ポリマー電池。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物 (D)ヒドロキシアルキル多糖類誘導体
  4. 【請求項4】 上記(A)〜(D)成分を含み、(C)
    成分と(D)成分とが半相互侵入高分子網目構造を形成
    してなる電解質組成物のイオン導電率C1(S/cm)
    と、半相互侵入高分子網目構造を形成しない(A)〜
    (C)成分からなる電解質組成物又は(A),(B),
    (D)成分からなる電解質組成物のイオン導電率C
    2(S/cm)との比率〔(C1/C2)×100〕が8
    0〜100%である請求項3記載のポリマー電池。
  5. 【請求項5】 正極と負極とこれら正負極間に介在させ
    たフッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから構
    成された電池構造体からなり、この電池構造体に下記
    (A)〜(C),(E)成分を含む電解質組成物を注入
    し、含浸させると共に、上記(C)成分の化合物が架橋
    することによって得られるポリマーの三次元網目構造
    に、上記(E)成分のポリマーの分子鎖が相互に絡みつ
    いた半相互侵入高分子網目構造を形成してなることを特
    徴とするポリマー電池。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物 (E)ポリビニルアルコール誘導体
  6. 【請求項6】 上記(A)〜(C),(E)成分を含
    み、(C)成分と(E)成分とが半相互侵入高分子網目
    構造を形成してなる電解質組成物のイオン導電率C
    1(S/cm)と、半相互侵入高分子網目構造を形成し
    ない(A)〜(C)成分からなる電解質組成物又は
    (A),(B),(E)成分からなる電解質組成物のイ
    オン導電率C2(S/cm)との比率〔(C1/C2)×
    100〕が80〜100%である請求項5記載のポリマ
    ー電池。
  7. 【請求項7】 正極と負極とこれら正負極間に介在させ
    たフッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから構
    成された電池構造体からなり、この電池構造体に下記
    (A)〜(C),(F)成分を含む電解質組成物を注入
    し、含浸させると共に、上記(C)成分の化合物が架橋
    することによって得られるポリマーの三次元網目構造
    に、上記(F)成分のポリマーの分子鎖が相互に絡みつ
    いた半相互侵入高分子網目構造を形成してなることを特
    徴とするポリマー電池。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物 (F)ポリグリシドール誘導体
  8. 【請求項8】 上記(A)〜(C),(F)成分を含
    み、(C)成分と(F)成分とが半相互侵入高分子網目
    構造を形成してなる電解質組成物のイオン導電率C
    1(S/cm)と、半相互侵入高分子網目構造を形成し
    ない(A)〜(C)成分からなる電解質組成物又は
    (A),(B),(F)成分からなる電解質組成物のイ
    オン導電率C2(S/cm)との比率〔(C1/C2)×
    100〕が80〜100%である請求項7記載のポリマ
    ー電池。
  9. 【請求項9】 上記(C)成分が、反応性の二重結合を
    1分子中に2個以上有する化合物であり、この化合物を
    電解質組成物全体の1質量%以上含有する請求項1乃至
    8のいずれか1項記載のポリマー電池。
  10. 【請求項10】 正極と負極とこれら正負極間に介在さ
    せたフッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから
    構成される電池構造体に下記(A)〜(C)成分を含む
    電解質組成物を注入し、含浸させた後、上記(C)成分
    を反応させて三次元網目構造を形成させることを特徴と
    するポリマー電池の製造方法。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物
  11. 【請求項11】 正極と負極とこれら正負極間に介在さ
    せたフッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから
    構成された電池構造体からなり、この電池構造体に下記
    (A)〜(D)成分を含む電解質組成物を注入し、含浸
    させた後、上記(C)成分の化合物が架橋することによ
    って得られるポリマーの三次元網目構造に、上記(D)
    成分のポリマーの分子鎖が相互に絡みついた半相互侵入
    高分子網目構造を形成させることを特徴とするポリマー
    電池の製造方法。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物 (D)ヒドロキシアルキル多糖類誘導体
  12. 【請求項12】 正極と負極とこれら正負極間に介在さ
    せたフッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから
    構成された電池構造体からなり、この電池構造体に下記
    (A)〜(C),(E)成分を含む電解質組成物を注入
    し、含浸させた後、上記(C)成分の化合物が架橋する
    ことによって得られるポリマーの三次元網目構造に、上
    記(E)成分のポリマーの分子鎖が相互に絡みついた半
    相互侵入高分子網目構造を形成させることを特徴とする
    ポリマー電池の製造方法。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物 (E)ポリビニルアルコール誘導体
  13. 【請求項13】 正極と負極とこれら正負極間に介在さ
    せたフッ素系ポリマーを主成分とするセパレータとから
    構成された電池構造体からなり、この電池構造体に下記
    (A)〜(C),(F)成分を含む電解質組成物を注入
    し、含浸させた後、上記(C)成分の化合物が架橋する
    ことによって得られるポリマーの三次元網目構造に、上
    記(F)成分のポリマーの分子鎖が相互に絡みついた半
    相互侵入高分子網目構造を形成させることを特徴とする
    ポリマー電池の製造方法。 (A)イオン導電性塩 (B)イオン導電性塩を溶解可能な溶媒 (C)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物 (F)ポリグリシドール誘導体
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