JP2013134858A - 非水系二次電池用セパレータおよび非水系二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】不織布基材と、この基材の少なくとも表面に形成され、かつポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備えた非水系二次電池用セパレータであって、前記セパレータは、空孔率が50〜80%であり、前記接着性多孔質層は、平均孔径が1〜100nmであることを特徴とする非水系二次電池用セパレータ。
【選択図】なし
Description
別の提案として、網目状支持体を内包し、電解液に膨潤し該電解液を保持する有機高分子からなる多孔膜からなるセパレータを用いる技術が知られている(特許文献2及び3参照)。
このような背景から、本発明は従来のものに比べて電極との接着性に優れ、電極と接着した後にも十分なイオン透過性を確保でき、さらに、熱プレスにも十分に耐え得る力学的物性と均一な多孔質構造を有する接着性多孔質層を備えた非水系二次電池用セパレータを提供することを目的とする。
1. 不織布基材と、この基材の少なくとも表面に形成され、かつポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備えた非水系二次電池用セパレータであって、前記セパレータは、空孔率が50〜80%であり、前記接着性多孔質層は、平均孔径が1〜100nmであることを特徴とする非水系二次電池用セパレータ。
2. 前記接着性多孔質層の重量が3〜10g/m2であることを特徴とする上記1に記載の非水系二次電池用セパレータ。
3. 前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂はフッ化ビニリデンが98mol%以上含まれていることを特徴とする上記1または2に記載の非水系二次電池用セパレータ。
4. 上記1〜3のいずれかに記載のセパレータを用いた非水系二次電池。
本発明において、不織布基材を構成する材料はポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート等のポリエステル系材料、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系材料、ポリフェニレンスルフィド、芳香族ポリアミド等の耐熱性樹脂、あるいはこれらの混合物を使用することができる。特に、不織布としてはポリエステル系材料を主成分としたものが好ましい。ここで主成分とは、不織布基材においてポリエステル系材料が50重量%以上を占めることを意味し、残部としてポリオレフィン系材料等を混合して含ませることができる。中でも、ポリエチレンテレフタラート、またはポリエチレンテレフタラートとポリオレフィン系材料の混合が好適である。
本発明の非水系二次電池用セパレータにはポリフッ化ビニリデン系樹脂を適用する。ポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、フッ化ビニリデンの単独重合体(すなわちポリフッ化ビニリデン)、フッ化ビニリデンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体、あるいはこれらの混合物が用いられる。フッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーは、テトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、トリフロロエチレン、トリクロロエチレン、フッ化ビニル等の一種類又は二種類以上を用いることができる。
このようなポリフッ化ビニリデン系樹脂は乳化重合または懸濁重合により得ることが可能である。
本発明において、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層の多孔構造は重要な技術要素であり、その平均孔径は1〜100nmである。ここで、接着性多孔質層とは、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含んで構成されており、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっている層を意味する。このような接着性多孔質層は、不織布の少なくとも表面に形成されている、すなわち、接着性多孔質層は不織布の片面または両面に形成されているか、あるいは、さらに不織布の内部にも含まれて全体として不織布を内包した状態で形成されていてもよい。また、平均孔径は、多孔質層の表面を走査型電子顕微鏡により、倍率30000倍で撮影して得た写真から無作為に開孔20箇所を選んで直径を測定し、直径の平均値を求めて平均孔径とした。孔の形状は円形に限らず、楕円形や異形になることもありうる。この場合の孔の直径とは、該楕円形の長軸方向の長さと短軸方向の長さの平均をその孔径として算出する。また、孔の形状が円形でも楕円形でもないときには円または楕円に近似して直径を算出する。
本発明の非水系二次電池用セパレータは、上述したように、不織布基材と、この基材の少なくとも表面に形成され、かつポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備えている。ここで、接着性多孔質層は、電解液を含んだ状態で熱プレスによって電極と接着する接着層であるため、セパレータの最外層として存在する必要がある。当然、正極および負極の両方とセパレータを接着させた方がサイクル寿命の観点から好ましいので、不織布基材の両面に接着性多孔質層を形成した方が好ましく、さらに不織布基材を接着性多孔質層中に完全に内包させた方が好ましい。
該ポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量は3.0〜10.0g/m2の範囲が好適である。3.0g/m2より少ないと電極との接着性が十分でなくなることがある。また、10.0g/m2より多いとイオンの透過性を阻害し電池の負荷特性が低下する傾向にあるので好ましくない。
上述した本発明の非水系二次電池用セパレータは、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層を形成し、さらにこれと不織布基材を複合化する必要があるが、例えば、これは以下のような方法によって達成される。
具体的に、まずポリフッ化ビニリデン系樹脂を溶媒に溶解して、塗工液を作製する。この塗工液を不織布基材上へ塗工し、適切な凝固液に浸漬する。これにより、相分離現象を誘発しながら、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を固化させる。この工程でポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる層は多孔構造となっている。その後、水洗することで凝固液を除去し、乾燥することで接着性多孔質層を不織布基材上に一体的に形成することができる。
凝固液としては、水、水と前記良溶媒の混合溶媒、あるいは、水と前記良溶媒と前記相分離剤の混合溶媒を用いることができる。特に水と良溶媒と相分離剤の混合溶媒が好ましく、その場合、良溶媒と相分離剤の混合比はポリフッ化ビニリデン系樹脂の溶解に用いた混合溶媒の混合比に合わせた方が生産性の観点から好適である。水の濃度は、良好な多孔構造を形成し、生産性を向上させる観点から、40〜90重量%であることが好ましい。
本発明の非水系二次電池は、上述した本発明のセパレータを用いたことを特徴とする。
本発明において、非水系二次電池は、正極および負極の間にセパレータが配置され、これらの電池素子が電解液と共に外装内に封入された構成となっている。非水系二次電池としてはリチウムイオン二次電池が好適である。
(ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層の平均孔径)
多孔質層の表面を走査型電子顕微鏡(キーエンス株式会社:商品名「VE8800」)により、倍率30000倍で撮影して得た写真から、無作為に開孔20箇所を選んで直径を測定し、すべての直径の平均値を求めて平均孔径とした。
接触式の厚み計(LITEMATIC ミツトヨ社製)を用いて測定した。測定端子は直径5mmの円柱状のものを用い、測定中には7gの荷重が印加されるように調整して行った。
サンプルを10cm×10cmに切り出し、その重量を測定した。重量を面積で割ることで目付を求めた。
セパレータの目付から基材の目付を差し引くことでポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量を求めた。
非水系二次電池用セパレータ及び基材の空孔率は、下記式1から求めた。
ε={1−Ws/(ds・t)}×100… (式1)
ここで、ε:空孔率(%)、Ws:目付(g/m2)、ds:真密度(g/cm3)、t:膜厚(μm)である。
具体的に、例えばPET不織布基材とポリフッ化ビニリデン系樹脂のみからなる多孔質層とを積層させた複合セパレータについては、当該複合セパレータの空孔率ε(%)は以下の式2から算出した。
ε={1−(Wa/1.38+Wb/1.78)/t}×100 … (式2)
ここで、WaはPET不織布基材の目付(g/m2)、Wbはポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量(g/m2)、tは膜厚(μm)である。ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層の空孔率を算出する場合は、Wa=0(g/m2)であり、tはポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層の厚み、すなわちセパレータの膜厚から基材の膜厚を引いた値とすればよい。
JIS P8117に従い、ガーレ式デンソメータ(G−B2C 東洋精機社製)にて測定した。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂としてクレハ化学社製のKFポリマー #9300(フッ化ビニリデン/ヘキサフロロプロピレン=98.9/1.1mol% 重量平均分子量100万)を用いた。該ポリフッ化ビニリデン系樹脂を5重量%でジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=7/3重量比である混合溶媒に溶解し塗工液を作製した。これを繊度0.2dtexの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維に繊度0.06dtexバインダー用PET短繊維をブレンドし、湿式抄造法により製膜、カレンダーロール掛けした不織布状シート(平均膜厚16μm、目付7g/m2)の両面に等量塗工し、水/ジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=57/30/13重量比の凝固液(40℃)に浸漬することで固化させた。これを水洗、乾燥することで本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。このセパレータは、ポリエステルからなる不織布基材が、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層中に内包された構造となっていた。このセパレータについて、セパレータの膜厚、PVdF系樹脂中のVDFの含有量、セパレータの空孔率、接着性多孔質層の平均孔径と重量、セパレータのガーレ値の測定結果を表1に示す。なお、以下の実施例および比較例のセパレータについても同様に表1にまとめて示す。
実施例1と同様の塗工液、および不織布基材を用い、同様の方法で、表1に示すように塗工量のみ変化させて本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。
共重合組成がフッ化ビニリデン/ヘキサフロロプロピレン/クロロトリフロロエチレン=92.2/4.4/3.4重量比となるポリフッ化ビニリデン系樹脂を乳化重合にて作製した。このポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は41万であった。該ポリフッ化ビニリデンを12重量%でジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=70/30重量比である混合溶媒に溶解し塗工液を作製した。これを繊度0.2dtexの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維に繊度0.06dtexバインダー用PET短繊維をブレンドし、湿式抄造法により製膜、カレンダーロール掛けした不織布状シート(平均膜厚16μm、目付7g/m2)の両面に等量塗工し、水/ジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=57/30/13重量比の凝固液(40℃)に浸漬することで固化させた。これを水洗、乾燥することで、ポリエステルからなる不織布基材が、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層中に内包された構造となった非水系二次電池用セパレータを得た。
凝固液の温度を0℃とした以外は実施例1と同様の方法にて非水系二次電池用セパレータを得た。
共重合組成がフッ化ビニリデン/ヘキサフロロプロピレン/クロロトリフロロエチレン=92.2/4.4/3.4重量比となるポリフッ化ビニリデン系樹脂を乳化重合にて作製した。このポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は41万であった。該ポリフッ化ビニリデンを18重量%でジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=70/30重量比である混合溶媒に溶解し塗工液を作製した。これを繊度0.2dtexの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維に繊度0.06dtexバインダー用PET短繊維をブレンドし、湿式抄造法により製膜、カレンダーロール掛けした不織布状シート(平均膜厚16μm、目付7g/m2)の両面に等量塗工し、水/ジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=57/30/13重量比の凝固液(40℃)に浸漬することで固化させた。これを水洗、乾燥することで、ポリエステルからなる不織布基材が、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層中に内包された構造となった非水系二次電池用セパレータを得た。
(負極の作製)
負極活物質である人造黒鉛300g、バインダーであるスチレン−ブタジエン共重合体の変性体を40重量%含む水溶性分散液7.5g、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース3g、適量の水を双腕式混合機にて攪拌し、負極用スラリーを作製した。この負極用スラリーを負極集電体である厚さ10μmの銅箔に塗布し、得られた塗膜を乾燥し、プレスして負極活物質層を有する負極を作製した。
正極活物質であるコバルト酸リチウム粉末を89.5g、導電助剤のアセチレンブラック4.5g、バインダーであるポリフッ化ビニリデンを6重量%となるようにNMPに溶解した溶液をポリフッ化ビニリデンの重量が6重量%となるように双腕式混合機にて攪拌し、正極用スラリーを作製した。この正極用スラリーを正極集電体である厚さ20μmのアルミ箔に塗布し、得られた塗膜を乾燥し、プレスして正極活物質層を有する正極を作製した。
前記の正極と負極にリードタブを溶接し、セパレータを介してこれら正負極を接合させ、電解液をしみ込ませてアルミパック中に真空シーラーを用いて封入した。ここで電解液は1M LiPF6 エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(3/7重量比)を用いた。これを熱プレス機により電極1cm2当たり20kgの荷重をかけ、90℃、2分の熱プレスを行うことで試験電池を作製した。
負荷特性試験は前記作製した非水系二次電池を用いて実施した。電池の負荷特性は25℃にて0.2Cの放電容量を基準にした2Cの相対放電容量を測定し、これを指標とした。この試験を実施例1〜3、比較例1〜3のセパレータを用いた電池について実施した。その結果を表2に示す。
充放電サイクル試験は前記作製した非水系二次電池を用いて実施した。充電条件は1C、4.2Vの定電流定電圧充電、放電条件は1C、2.75Vカットオフの定電流放電としサイクル特性試験を実施した。ここでサイクル特性の指標は100サイクル後の容量維持率とした。この試験を実施例1〜3、比較例1〜3のセパレータを用いた電池について実施した。その結果を表2に示す。
充放電サイクル試験後の電池を解体しセパレータと電極の接着性を確認した。接着性は接着力と均一性の観点から確認し、その結果を表2に示す。なお、接着力に関しては、正極側について、実施例1のセパレータを用いた場合の剥離強度を100としたときの相対値で表2に示す。均一性に関しては、接着性多孔質層がほぼ全て電極表面に付着していたものを均一性が良好(〇)と判断し、接着性多孔質層の大部分が電極表面に付着しているが一部破損しているものは均一性が中程度(△)と判断し、接着性多孔質層の大部分が電極表面に付着しておらず著しく破損していたものは均一性が不良(×)と判断した。
比較例1では接着性が好ましくないが、これは接着性多孔質層の平均孔径が大きく空孔率が高いため、電極との接着工程である熱プレス時に接着性多孔質層が力学的に耐えることができず、電極とセパレータの間に保持されず外部にはみ出してしまったことによる。それに対し、実施例1〜3ではそのようなことがなかった。このような観点から本発明非水系二次電池用セパレータの平均孔径、空孔率は好適であることが分かる。
実施例1と比較例1のセパレータについて、各種電解液を用いて、上記と同様にして電極との接着性テストを実施した。なお、電解液Aとして1M LiPF6 エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(3/7重量比)を用い、電解液Bとして1M LiPF6 エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(3/2/5重量比)を用い、電解液Cとして1M LiPF6 エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート(1/1重量比)を用いた。結果を表3に示す。なお、表3には、実施例1のセパレータの正極、負極おのおので得られた剥離強度を100としたときの剥離強度の相対値で、正極と負極の剥離強度の平均値が70以上のものについては〇と記載し、50以上70未満のものについては△と記載し、50未満のものについては×と記載した。
Claims (4)
- 不織布基材と、この基材の少なくとも表面に形成され、かつポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備えた非水系二次電池用セパレータであって、
前記セパレータは、空孔率が50〜80%であり、
前記接着性多孔質層は、平均孔径が1〜100nmであることを特徴とする非水系二次電池用セパレータ。 - 前記接着性多孔質層の重量が3〜10g/m2であることを特徴とする請求項1に記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂はフッ化ビニリデンが98mol%以上含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のセパレータを用いた非水系二次電池。
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