JP5299242B2 - リチウムポリマー二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムポリマー二次電池に関し、更に詳しくは、周囲温度下で可逆的に作動するイオン伝導性化合物を用い、特にイオン伝導性化合物と、黒鉛粒子の表面に非晶質炭素を付着させた炭素材料を活物質とする負極とを用いたリチウムポリマー二次電池に関するものである。
現在市販されているリチウム一次電池やリチウム二次電池などの非水電解液電池の電解質として、一般的に有機溶媒に電解質塩を溶解した有機電解液が用いられているが、この有機電解液は、部品外部への液漏れ、電極物質の溶出、揮発などが発生しやすいため、長期信頼性などの問題や、封口工程での電解液の飛散などが問題となっていた。
また、近年になって、負極に金属リチウムやその合金を利用するかわりに、リチウムイオンの吸蔵−放出過程を利用した炭素材料や導電性高分子などのマトリックス材料が開発された。これにより、金属リチウムやその合金を利用した場合に起こったデンドライトの生成が原理上起こらなくなり、電池内部の短絡という問題が激減するに至った。特に、炭素材料は他の材料よりもリチウムの吸蔵―放出電位がリチウムの折出―溶解電位に近いことが知られている。中でも黒鉛材料は、理論的に炭素原子6個に対してリチウム原子1個の割合でその結晶格子中にリチウムを取り込むことができることから、単位重量および単位体積あたり高い容量を有する炭素材料である。さらに、リチウムの挿入−脱離の電位が平坦であり、化学的に安定であり電池のサイクル安定性にも大きく寄与するものである。
例えば、黒鉛系炭素材料を負極活物質に用いるもの(非特許文献1ならびに特許文献1〜3参照)、また、表面処理した黒鉛系炭素材料を負極活物質に用いるもの(特許文献4〜6参照)などがある。
上記のように黒鉛系炭素材料は、エチレンカーボネート(EC)を主体とする有機電解液においてほぼ理論容量に近い放電容量が得られる。また、その充放電の電位がリチウムの溶解―折出の電位よりわずかに高く、かつ非常に平坦であるため、黒鉛系炭素材料を負極活物質に用いて電池を作製した場合に、高容量で、かつ電池電圧の平坦性が高い二次電池が実現できる。
このように黒鉛系炭素材料は、電池の高容量化を達成できるが、その結晶性が高いため有機電解液の分解を引き起こすという問題点も残されている。例えば、有機電解液用溶媒であるプロピレンカーボネート(PC)はその電位窓の広さ、凝固点の低さ(−70℃)または化学的安定性の高さから、リチウム電池用の電解液の溶媒として広く用いられている。
しかしながら、黒鉛系炭素材料を負極活物質に用いた場合、PCの分解反応が顕著に起こり、10%のPCが電解液に存在するだけで黒鉛系炭素材料からなる負極は充放電ができないということが報告されている(非特許文献2参照)。
また、近年、低温でのイオン伝導度を改善するために種々の低粘度溶媒とECとを混合した有機電解液に関しての報告がなされてきている。しかしながら、その揮発性の問題、漏液性の問題などを残している。
そのため、これら耐漏液性、高い安全性、長期保存性を向上させることを目的として、高いイオン伝導性を有するイオン伝導性ポリマーが報告され、上記の問題を解決する手段の1つとして、さまざまな研究が進められている。現在検討されているイオン伝導性ポリマーの1つとして、エチレンオキシドを基本単位とするホモポリマーまたはコポリマーの直鎖状高分子、網状架橋高分子または櫛型高分子などが提案され、ほぼ実用化されつつある(特許文献7〜9参照)。これらの特徴として挙げられるのが、ポリエーテル構造を有する高分子材料中に電解質塩を溶解したイオン伝導性ポリマーを用いている。これらの提案のイオン伝導性ポリマーは、電気自動車用電源となる大型リチウム二次電池用の電解質として研究・開発がなされているが、上述のイオン伝導性ポリマーは、室温以下でのイオン伝導度が低いため、特に携帯電子機器の駆動用電源やメモリーバックアップ電源向けの電池に要求される小型・軽量かつ高エネルギー密度化の実現が難しい。
一方、上述のイオン伝導性ポリマーよりもさらにイオン伝導性の向上を図る方法として、イオン伝導性ポリマーに有機溶媒(特に好ましくはECあるいはPCなどの高誘電率有機溶媒)を添加して、固体状態を保持する方法も提案されている(特許文献10〜12参照)。
特開平4−115457号公報 特開平4−115458号公報 特開平4−237971号公報 特開平4−368778号公報 特開平5−28996号公報 特開平5−114421号公報 米国特許第4,303,748号(1981) 米国特許第4,589,197号(1986) 米国特許第4,547,440号(1985) 特開昭59−149601号公報 特開昭58−75779号公報 米国特許第4,792,504号
J.Electrochm.Soc.,Vol.137,2009(1990) J.Electrochm.Soc.,Vol.142,1746(1995)
しかしながら、これら提案された方法を用いた場合、イオン伝導度は確実に向上するが、そのフィルム強度は著しく低下する。すなわち、上述の方法を用いた場合においても、実際にイオン伝導性ポリマー薄膜を電極間に積層して、電池やエレクトロクロミック素子などを組み立てたときに、電解質層が圧縮変形により破損し、微短絡を生じる可能性があった。
また、二次電池では充電や放電時での電極活物質の体積膨張・収縮に対して、電解質層も圧縮・緩和という力を受ける。したがってイオン伝導性ポリマーの性能向上には、イオン伝導性の向上と同時に機械的特性の向上についての考慮も必要である。
以上の問題を鑑みて鋭意検討した結果、本発明の発明者らは、負極活物質に、表面に非晶質炭素を付着させた黒鉛粒子を用いることにより、イオン伝導体に含まれるイオン伝導性化合物の分解を抑え、さらに充放電サイクルに伴う電解質層の機械的強度の低下も改善し、イオン伝導性化合物を用いた電池の性能を向上できることを見出したものである。
すなわち、本発明は、表面に非晶質炭素を付着させた黒鉛粒子を含む負極と電解質層と正極とを備え、
前記電解質層が、前記負極と前記正極の内部にイオン伝導性化合物の前駆体を予め構成させたもののいずれか一方と、繊維状の有機化合物内部にイオン伝導性化合物の前駆体を予め構成させたものとを一緒に架橋させて構成されており、
前記繊維状の有機化合物の面積が、前記負極及び正極の面積より大きく、
前記繊維状の有機化合物が、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維及びポリエステル繊維から選択されるポリマー繊維であり、
前記イオン伝導性化合物と前記ポリマー繊維が、91:9〜85:15の範囲の重量比率で含まれる
ことを特徴とするリチウムポリマー二次電池を提供する。
本発明によれば、電極と電解質層との界面の密着性を向上させ、電池の内部抵抗を低減することができるので、サイクル特性、高電流放電特性、急速充電特性等に優れたリチウムポリマー二次電池を実現することが可能となる。さらに、電極と電解質層の一体成型が可能となるので、生産性の向上も可能となる。
また、繊維状の有機化合物が、1〜500sec/cm3の透気度を有する不織布である場合、本発明によるリチウムポリマー二次電池は、更に優れたサイクル特性、高電流放電特性、急速充電特性等を実現できる。
本発明に係るリチウムポリマー二次電池の基本的な構成を示す概略構成説明図である。 本発明に係るリチウムポリマー二次電池の実施例1の要部拡大図を含む概略構成説明断面図である。 本発明の実施例1と比較例1のリチウムポリマー二次電池について充放電サイクル特性を示すグラフ図である。 本発明の実施例2と比較例2の各々10個のリチウムポリマー二次電池について放電容量の放電電流依存性(平均値)を示すグラフ図である。 本発明の実施例3と比較例5の各々10個のリチウムポリマー二次電池について放電容量の放電電流依存性(平均値)を示すグラフ図である。
本発明は、表面に非晶質炭素を付着させた黒鉛粒子を含む負極と電解質層と正極とを備え、前記電解質層が、前記負極と前記正極の内部にイオン伝導性化合物の前駆体を予め構成させたもののいずれか一方と、繊維状の有機化合物内部にイオン伝導性化合物の前駆体を予め構成させたものとを一緒に架橋させて構成されており、前記繊維状の有機化合物の面積が、前記負極及び正極の面積より大きいことを特徴とするリチウムポリマー二次電池を提供するものである。
すなわち、
1)負極活物質が表面に非晶質炭素を付着した黒鉛粒子であるため、イオン伝導性化合物の分解を防ぐことができる。すなわち、エチレンガス、炭酸ガスなどの分解生成ガス発生に伴う電池の内圧上昇による、電池の破裂および外部への液漏れを防止でき、長期信頼性および安全性が高いこと。
2)高性能、高エネルギー密度を有すること。特に本発明では、イオン伝導性化合物のイオン伝導性、機械的特性の向上を図ることにより、イオン伝導性化合物の膜厚を薄くでき、それによって電池内部抵抗の低減および電極活物質の充填率の向上が可能となり上記目的を達成することができる。
3)非常に高い作業性を有すること。特に本発明では、予めイオン伝導性化合物の前駆体を前記負極と正極の中に含ませた後、紫外線照射あるいは熱によって電解質層のイオン伝導性化合物の前駆体と共に架橋する方法を活用することにより上記目的を達成するものとする。
本発明においては、負極活物質が、表面に非晶質炭素を付着した黒鉛粒子であるため、イオン伝導性化合物を含む電解質層の分解を防ぐことが可能であり、それによって漏液がなくなり、ひいては長期信頼性が向上する。
表面に非晶質炭素が付着した黒鉛粒子は、芯材となる粒子状炭素材料(以下「芯材炭素材料」乃至「芯材となる炭素材料」あるいは単に「芯材」ということもある)を被覆形成用炭素材料用原料(例えば、タール、ピッチなどの石炭系重質油あるいは石油系重質油;以下単に「重質油など」ともいう)に浸漬させた後、これを重質油などから分離するに際し、特定の手段を採用する場合には、芯材表面がピッチで均一に覆われている炭素材料を製造し得ることができ、これを焼成することで得ることができる。そして、この様にして得られた二層構造の炭素材料粒子は、球状乃至楕円体状あるいはそれに近似する形状をしており、炭素結晶のエッジ部分が丸くなった様な形状をしていることが判明した。さらに、BET法による測定の結果、処理前の芯材炭素材料に比べて、粒子の比表面積の値が小さくなっており、BET法による比表面積に関与する細孔が、何らかの様式で塞がれていることも明らかとなった。
この炭素材料においては、BET法により測定される比表面積に関与する細孔が、重質油などに由来する炭素の付着あるいは被覆により塞がれており、比表面積が5m2/g以下(好ましくは1〜5m2/g程度)である。比表面積が5m2/gより大きくなると、電解質との接触面積が広くなりイオン伝導性化合物との副反応が起こり易くなるので好ましくない。
本発明においては、芯材となる炭素材料として、X線広角回折法による(002)面の平均面間隔(d002)が0.335〜0.340nm、(002)面方向の結晶子厚み(Lc)が10nm以上(より好ましくは、40nm以上)、(110)面方向の結晶子厚み(La)が10nm以上(より好ましくは、50nm以上)である結晶性の高い黒鉛材料を使用する。(d002)が0.340nmより大きく、(Lc)および(La)が10nm以下であると炭素材料の結晶性が低く、放電容量が低くなるので好ましくない。
本発明による炭素材料においては、上記の芯材の結晶化度に比べ、芯材表面に付着しあるいは芯材表面を被覆している炭素材料(以下、被覆形成用炭素材料ともいう)の結晶化度が低いことが特徴である。
また、本発明による炭素材料の真比重の値は、1.50〜2.26g/cm3の範囲である。真比重が1.50g/cm3より低いと電池内の負極活物質充填率が低く、電池のエネルギー密度が低いので好ましくない。また真比重が2.26g/cm3より高いと黒鉛単結晶となり、電池材料としての成形性に乏しい。
電解質層は、イオン伝導性化合物と、ポリマー繊維とに、任意にLi塩を含んでなり、特にイオン伝導性化合物が、以下の一般式で示されるイオン伝導性化合物の前駆体の少なくとも1種を架橋した架橋体からなることが好ましい。
(R1は水素原子あるいはメチル基、A1、A2、A3は、エチレンオキシド単位(EO)を少なくとも3個以上有し、任意にプロピレンオキシド単位(PO)を含んでいる2価の残基であり、POとEOの数はPO/EO=0〜5の範囲内であり、かつEO+PO≧35であることを示す。)
(R2、R3は水素原子あるいはメチル基、A4は、エチレンオキシド単位(EO)を少なくとも3個以上有し、任意にプロピレンオキシド単位(PO)を含んでいる2価の残基であり、POとEOの数はPO/EO=0〜5の範囲内であり、かつEO+PO≧35である。)
(R4、R5は水素原子あるいはメチル基、A5は、エチレンオキシド単位(EO)を少なくとも3個以上有し、任意にプロピレンオキシド単位(PO)を含んでいる2価の残基であり、POとEOとの数はPO/EO=0〜5の範囲内であり、かつEO+PO≧35である。)
また、架橋反応の反応率が高いことから以下のイオン伝導性化合物の前駆体であるアクリレートが好ましい。これは、メタクリレートのメチル基が立体障害となるため、アクリレートの方が架橋反応の反応性が高いと考えられるためである。なお、以下の式中、炭素数1以上の低級アルキル基としては、メチル、エチル、プロピルなどが挙げられる。
(R1′は水素原子あるいは炭素数1以上の低級アルキル基、A1、A2、A3は、3個以上のエチレンオキシド単位(EO)、もしくは前記エチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位(PO)含有の2価の残基であり、POとEOの数はPO/EO=0〜5の範囲内であり、かつEO+PO≧10である。)
(R2′、R3′は水素原子あるいは炭素数1以上の低級アルキル基、A4は、3個以上のエチレンオキシド単位(EO)、もしくは前記エチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位(PO)含有の2価の残基であり、POとEOの数はPO/EO=0〜5の範囲内であり、かつEO+PO≧10である。)
(R4′、R5′は水素原子あるいは炭素数1以上の低級アルキル基、A5は、3個以上のエチレンオキシド単位(EO)、もしくは前記エチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位(PO)含有の2価の残基であり、POとEOの数はPO/EO=0〜5の範囲内であり、かつEO+PO≧3である。)
Li塩は、LiBF4、LiPF6あるいはLiN(CF3SO22の少なくとも1種が好ましいがこれに限定されるものではない。
またイオン伝導性化合物に、有機溶媒とLi塩を含有させてゲルとして用いることができる。上記有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなどの環状炭酸エステル;γ−ブチロラクトンなどの環状エステル;プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの鎖状エステル;ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状炭酸エステル;テトラヒドロフランまたはその誘導体、1,3−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、メチルジグライムなどのエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;スルホランまたはその誘導体などの単独またはそれら2種以上の混合物などが挙げられる。しかしこれらに限定されるものではない。また、その配合割合および配合方法は限定されるものではない。
特に、エチレンカーボネート(EC)からなる溶媒にプロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(GBL)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)あるいはジエチルカーボネート(DEC)から選ばれる1種以上の溶媒を混合した混合有機溶媒にLi塩を溶解した有機電解液を含むゲルであることが、黒鉛系の炭素材料を活物質とする負極での溶媒の分解が少ないことから好ましい。
ここで、イオン伝導性化合物と有機電解液との重量比が、30:70〜2:98の範囲であることが好ましい。イオン伝導性化合物の重量比が30よりも高いとイオン伝導度が十分でなく、また、イオン伝導性化合物の重量比が2よりも低いと機械的強度が十分に得られない。
また、その有機電解液中のEC成分が2〜55重量%であり、かつLi塩が3〜35重量%であることが、イオン伝導度が十分満足いくものとなるので好ましい。さらには、EC成分が2〜35重量%であることが低温におけるイオン伝導度の低下を少なくする。
電解質層のポリマー繊維(繊維状の有機化合物)は、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維あるいはポリエステル繊維の少なくとも1種であれば、有機溶媒に対する安定性が高くなる。また、これらポリマー繊維は1〜500sec/cm3の透気度を有する不織布である。透気度が1sec/cm3より低いとイオン伝導度が十分に得られず、500sec/cm3よりも高いと機械的強度が十分でなく、電池の短絡を引き起こしやすいので好ましくない。ここで、透気度は、JIS L1096 6.27.1に記載されているフラジール試験方法を基に、不織布面積1cm2当たりに気圧124.5Paの空気を当てた時に単位時間に透過する空気の体積を意味する。
さらに、電解質層を構成するイオン伝導性化合物とポリマー繊維の重量比率が91:9〜50:50の範囲が適当である。イオン伝導性化合物の重量比率が91よりも高いと機械的強度が十分に得られず、50よりも低いとイオン伝導度が十分に得られないので好ましくない。
また、電解質層は、予めイオン伝導性化合物の前駆体を負極と正極の内部に構成させたもののどちらか一方と、予め繊維状の有機化合物内部にイオン伝導性化合物の前駆体を構成させたものとを一緒に架橋させて構成することができる。このことにより、電極と電解質層との界面の密着性を向上させることができ、電池のサイクル特性、高電流放電特性などを向上させることが可能となる。
架橋方法としては、紫外線、電子線、可視光などの光エネルギーを用いる方法、加熱による方法を用いることができる。必要であれば重合開始剤を用いることも重要である。特に紫外線あるいは加熱による架橋方法においては、数%以下の重合開始剤を加えることが好ましい。重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(DMPA)、ベンゾイルパーオキシド(BPO)などの市販品を用いることができる。また、紫外線の波長は250〜360nmが適当である。
正極活物質は、リチウムを含有するカルコゲン化物が最初の充電で必要な炭素負極へのリチウム挿入反応のリチウム源を予め有していることから好ましい。特に、リチウムを含有する金属酸化物がその充放電電位が高いため、高エネルギー密度の電池を構成することが可能である。例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn24あるいはLiCoxNi(1-X)2(0<X<1)が挙げられるがこれに限定されるものではない。
また、上記正極層、負極層を作製する時、均一な混合分散系塗布液(ペースト)を得る目的や、正極合材、負極合材の各種特性(放電特性ならびに充放電サイクル特性など)を向上させる目的のために、適宜結着材や導電材を加えることができる。
結着材を用いる場合には、熱可塑性樹脂およびゴム弾性を有するポリマーを溶媒に溶解させた結着材溶液に、電極活物質や、場合によっては上記イオン伝導性化合物などを分散させたものを塗布液として用いる方法が挙げられる。
上記結着材の一例を示すと以下のようなものが挙げられる。すなわち、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、クロロプレン、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、スチレンおよびその誘導体、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、ジエン類(例えば、シクロペンタジエン、1,3ーシクロヘキサジエン、ブタジエンなど)などの重合体および上記化合物の共重合体などが挙げられる。具体例としては、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエン ターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴムなどである。
導電材は、各電極の電池反応を阻害せず、化学反応を起こさない電子伝導性材料が望ましい。一般的には、人造黒鉛、天然黒鉛(鱗片状黒鉛や鱗状黒鉛など)、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉末、導電性金属酸化物などの導電材料を、正極合材および負極合材内に混合して、電子伝導性の向上を図ることができる。
結着材の添加量については特に限定されないが、電極中の結着材の量が1〜25重量%の範囲が好ましい。導電材の添加量については、これも特に限定はされないが、電極中の導電材の量が2〜15重量%の範囲が好ましい。
本発明の正極合材および負極合材を、正極集電体上および負極集電体上に形成する方法については、例えば、アプリケータロールなどのロールコーティング、ドクターブレード法、スピンコーティング、バーコーダーなどの手段を用いて均一な厚みに塗布することが望ましいが、これらに限定されるものではない。なお、これらの手段を用いた場合、電解質層およびカレントコレクターと接触する電極活物質の実表面積を増加させることが可能である。このことにより、用途に応じた厚みおよび形状に配置することができる。
なお、本発明のイオン伝導性化合物前駆体を正負極電極層中と電解質層中とに同時に存在させる方法、あるいは、正極層、負極層および電解質層に各々イオン伝導性化合物の前駆体を存在させる方法、このどちらの方法を経た後電池を作製してもよい。特に、本発明により前者の方が正極層/電解質層/負極層の2つの界面のうち、どちらか一方をなくすことが可能となり電池のイオン伝導性を高くすることが可能となる。さらに前者では、一方の電極合材中とポリマー繊維中とのイオン伝導性化合物の前駆体を同時に架橋することが可能なため、製造プロセスを簡略化することができる。
正極集電板としては、アルミニウム、ステンレス、チタン、銅などの材料が、また、負極集電板としては、ステンレス、鉄、ニッケル、銅などの材料が好ましいが、これらに特に限定するものではない。また、その形態は箔、メッシュ、エキスパンドメタル、ラス体、多孔体あるいは樹脂フィルムに電子伝導材をコートしたものなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
上記電池の形状は、円筒型、コイン型、フィルム型、カード型などがあるがこれらに限定されるものではない。また、外装材としては金属、樹脂などが挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下のすべての実施例および比較例で使用するイオン伝導性化合物の前駆体を紫外線により架橋する際、前駆体の0.1重量%の開始剤DMPAを使用した。
また、本発明で作製した電池の概略構成説明図を図1および図2にそれぞれ示す。
まず、図1および2において、リチウムポリマー二次電池8は、正極5と、電解質層6と、負極7と、これらの外装材4とから主としてなる。なお、1は負極7の端子、2は正極5の端子、3は外装材4のシール部である。
(実施例1)
X線広角回折法による(d002)=0.336nm、(Lc)=100nm、(La)=97nmでBET法による比表面積が2m2/gである表面非晶質炭素材料の粉末に、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を9重量%混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加えて混合溶解して得たペーストを厚さ20μmの圧延銅箔にコーティングし、乾燥およびプレス後、負極を得た。この電極面積は9cm2、厚さ85μmであった。
平均粒径7μmのLiCoO2粉末に、結着材としてPVDFを7重量%と、導電材として平均粒径2μmのアセチレンブラック5重量%とを混合し、NMPを加えて混合溶解して得たペーストを厚さ20μmの圧延アルミ箔にコーティングし、乾燥およびプレス後、正極を得た。この電極面積は9cm2、厚さ80μmであった。
電解質層中に構成させるポリマー繊維は、ポリエステル製の不織布で、透気度380sec/cm3、面積10cm2、厚さ20μmであった。
これら負極、正極およびポリマー繊維を、イオン伝導性化合物の前駆体である平均分子量7500〜9000の次の化合物K1:
(A1、A2、A3はエチレンオキシド単位(EO)を少なくとも3個以上有し、任意にプロピレンオキシド単位(PO)を含んでいる2価の残基であり、POとEOの数はPO/EO=0.25である。)
と、平均分子量3500〜4500の次の化合物K2
(A4は、エチレンオキシド単位(EO)を少なくとも3個以上有し、任意にプロピレンオキシド単位(PO)を含んでいる2価の残基であり、POとEOの数はPO/EO=0.25である。)
と、平均分子量400〜550の次の化合物K3
(A5は、エチレンオキシド単位(EO)を少なくとも3個以上有し、任意にプロピレンオキシド単位(PO)を含んでいる2価の残基であり、POとEOの数はPO/EO=0.25である。)
との等重量比混合物溶液に、LiBF4を4.5重量%になるように溶解したものに浸漬し、前駆体を細孔内部まで浸透させるため減圧下で15分間置いた。
イオン伝導性化合物の前駆体と複合化した負極上に、イオン伝導性化合物の前駆体と複合化したポリマー繊維を積層させ、その上から30mW/cm2の強度で波長350nmの紫外線を3分間照射した。この時のイオン伝導性化合物とポリマー繊維との重量比は90:10であった。
イオン伝導性化合物の前駆体と複合化した正極は、そのままその上から30mW/cm2の強度で波長350nmの紫外線を3分間照射した。
得られた負極とポリマー繊維とイオン伝導性化合物との複合体と、正極とイオン伝導性化合物との複合体とをはり合わせ、イオン伝導性化合物を用いた電池を作製した。これら正極層/電解質層/負極層の総厚は190μmであった。
(比較例1)
X線広角回折法による(d002)=0.337nm、(Lc)=100nm、(La)=100nmでBET法による比表面積が10m2/gである人造黒鉛粉末に、結着材のPVDFを9重量%混合し、NMPを加えて混合溶解して得たペーストを厚さ20μmの圧延銅箔にコーティングし、乾燥およびプレス後、負極を得た。電極面積は9cm2、厚さ83μmであった。
正極は実施例1で用いたものと同じものを使用した。
電解質層および電池の作製方法についても実施例1と同様に行なった。得られた正極層/電解質層/負極層総厚は188μmであった。
実施例1および比較例1の電池を定電流2.3mAで電池電圧4.1Vになるまで充電し、4.1Vに到達後、定電圧で前充電時間12時間充電した。放電は定電流2.3mAで電池電圧2.75Vになるまで放電した。この充放電条件でサイクル特性を評価した。その結果を図3に示す。
この結果および図3より、表面非晶質炭素材料を負極に用いた電池の方が電解質層中のイオン伝導性化合物の分解を抑え、負極/電解質層界面の破壊が抑えられることによりサイクル特性に優れた電池を作製できることが判明した。
(実施例2)
X線広角回折法による(d002)=0.337nm、(Lc)=100nm、(La)=95nmでBET法による比表面積が5m2/gである表面非晶質炭素材料の粉末に、結着材としてPVDFを7重量%混合し、NMPを加えて混合溶解して得たペーストを厚さ18μmの電解銅箔にコーティングし、乾燥およびプレス後、負極を得た。電極面積は9cm2、厚さ80μmであった。
平均粒径5μmのLiCoO2粉末に、結着材としてPVDFを4重量%と、導電材として平均粒径2μmのアセチレンブラック9重量%とを混合し、NMPを加えて混合溶解して得たペーストを厚さ20μmの圧延アルミ箔にコーティングし、乾燥およびプレス後、正極を得た。電極面積は9cm2、厚さ85μmであった。
電解質層中に構成させるポリマー繊維は、ポリプロピレン(PP)製の不織布で、透気度250sec/cm3、面積10cm2、厚さ20μmであった。
まず、LiPF6をECとEMCの混合溶媒(EC含有率35重量%)に13重量%になるように溶解した電解液を調製し、その電解液と、イオン伝導性化合物の前駆体である平均分子量7500〜9000の次の化合物K4
(A1、A2、A3はエチレンオキシド単位(EO)を少なくとも3個以上有し、任意にプロピレンオキシド単位(PO)を含んでいる2価の残基であり、POとEOの数はPO/EO=0.25である。)
を重量比で90:10になるように調製した。その後、減圧下で5分間上記負極、正極およびポリマー繊維を置き、電解液と前駆体の前記化合物K4との混合溶液を注液し、さらに15分間置いた。
イオン伝導性化合物の前駆体と上記電解液とを複合化した負極上に、イオン伝導性化合物の前駆体と電解液とを複合化したポリマー繊維を積層させ、その上から40mW/cm2の強度で波長350nmの紫外線を3分間照射した。この時のイオン伝導性化合物とポリマー繊維との重量比は85:15であった。
イオン伝導性化合物の前駆体と上記電解液とを複合化した正極は、そのままその上から40mW/cm2の強度で波長350nmの紫外線を3分間照射した。
このようにして得られた負極とポリマー繊維とイオン伝導性ゲルとの複合体と、正極とイオン伝導性ゲルとの複合体とをはり合わせ、イオン伝導性化合物を用いた電池を作製した。これら正極層/電解質層/負極層の総厚は190μmであった。
(比較例2)
負極、電解質層中に構成させるポリマー繊維および正極は、実施例2で用いたものと同じものを使用した。
ただし、各々負極、電解質層、正極を個別に実施例2の化合物K4の前駆体と同様のものを前駆体とするイオン伝導性ゲルと複合化させ、その複合体を各々はり合わせ、イオン伝導性化合物を用いた電池を作製した。これら正極層/電解質層/負極層の総厚は195μmであった。
(比較例3)
負極および正極は、実施例2で用いたものと同じものを使用した。
ただし、電解質層中に構成させるポリマー繊維は用いず、負極および正極を個別に実施例2の化合物K4の前駆体と同様のものを前駆体とするイオン伝導性ゲルと複合化させ、そのイオン伝導性ゲルと複合化した負極と正極をはり合わせ、イオン伝導性化合物を用いた電池を作製した。これら正極層/電解質層/負極層の総厚は170μmであった。
実施例2、比較例2および比較例3の電池を定電流2.3mAで電池電圧4.1Vになるまで充電し、4.1Vに到達後、定電圧で前充電時間12時間充電した。放電は各定電流2.3mA、5mA、10mA、20mAで電池電圧2.75Vになるまで放電した。この条件での充放電試験の結果を図4に示す。
この試験の結果、まず初回の充電中に比較例3の電池は10個中7個短絡したことがわかる。これに対し実施例2および比較例2の電池はすべて短絡しなかった。さらに各放電電流値に対する放電容量は、図4からもわかるように実施例2の電池の方が高い電流値で高い放電容量を示した。したがって、ポリマー繊維を含む電解質層と負極電極層とを同時に架橋したものと正極電極層とを貼り合わせた電池の方が、接触界面が少ない上、イオン伝導性化合物層の厚みも薄くきたために放電負荷特性を向上できることが判明した。また、電解質層中にポリマー繊維を複合化させなかった場合、イオン伝導性化合物層の厚みは薄くできるものの、機械的強度が低くなり、電池の短絡を引き起こし易いことがわかった。
(実施例3)(参考例)
X線広角回折法による(d002)=0.339nm、(Lc)=60nm、(La)=40nmでBET法による比表面積が5m2/gである表面非晶質炭素材料の粉末に、結着材としてPVDFを7重量%混合し、NMPを加えて混合溶解して得たペーストを厚さ18μmの電解銅箔にコーティングし、乾燥およびプレス後、負極を得た。この電極面積は9cm2、厚さ85μmであった。
平均粒径7μmのLiCoO2粉末に、結着材としてPVDFを4重量%と、導電材として平均粒径2μmのアセチレンブラック9重量%とを混合し、NMPを加えて混合溶解して得たペーストを厚さ20μmの圧延アルミ箔にコーティングし、乾燥およびプレス後、正極を得た。この電極面積は9cm2、厚さ80μmであった。
電解質層中に構成させるポリマー繊維は、ポリエステル製の不織布で、透気度490sec/cm3、面積10cm2、厚さ25μmのものを用いた。
まず、LiN(CF3SO22をECとDMCの混合溶媒(EC含有率20重量%)に15重量%になるように溶解した電解液を調整し、その電解液と、イオン伝導性化合物の前駆体である平均分子量7500〜9000の実施例2の化合物K4の前駆体と同様のものが重量比で95:5になるように調整した。その後、減圧下で2分間上記負極、正極およびポリマー繊維を置き、上記混合溶液を注液させ15分間置いた。
イオン伝導性化合物の前駆体と上記電解液とを複合化した負極上に、イオン伝導性化合物の前駆体と電解液とを複合化したポリマー繊維を載せ、その上から40mW/cm2の強度で波長360nmの紫外線を2分間照射した。この時のイオン伝導性化合物とポリマー繊維との重量比は50:50であった。
イオン伝導性化合物の前駆体と上記電解液とを複合化した正極は、そのままその上から40mW/cm2の強度で波長350nmの紫外線を2分間照射した。
得られた負極とポリマー繊維とイオン伝導性ゲルとの複合体と、正極とイオン伝導性ゲルとの複合体とをはり合わせ、イオン伝導性化合物を用いた電池を作製した。これら正極層/電解質層/負極層の総厚は195μmであった。
(比較例4)
電解質層中のポリエステル製不織布の透気度が510sec/cm3であり、イオン伝導性化合物とポリマー繊維との重量比が97:3であること以外は、実施例3と同様にして電池を作製した。
(比較例5)
電解質層中のポリマー繊維がPP製の不織布で、透気度0.5sec/cm3、面積10cm2、厚さ20μmであり、イオン伝導性化合物とポリマー繊維との重量比が40:60であること以外は、実施例3と同様にして電池を作製した。
まず、実施例3、比較例4および5の電池を定電流2.1mAで電池電圧4.1Vになるまで充電し、4.1Vに到達後、定電圧で前充電時間12時間充電した。放電は各定電流2.1mA、5mA、10mA、20mAで電池電圧2.75Vになるまで放電した。この条件での充放電試験の結果を図5に示す。
この試験では、まず初回の充電中に比較例4の電池は10個中5個短絡した。実施例3および比較例5の電池はすべて短絡しなかった。各放電電流値に対する放電容量は、図5からもわかるように実施例3の電池の方が高い電流値で高い放電容量を示した。したがって、電解質層中のポリマー繊維の透気度が500sec/cm3を超えると電解質層の機械的強度が低下し、短絡を引き起こし易く、透気度が1sec/cm3より低くなるとポリマー繊維の空隙が少なくなり、電解質層の抵抗が高くなり、その結果、電池の放電負荷特性が低下することが判明した。
(実施例4)
X線広角回折法による(d002)=0.338nm、(Lc)=100nm、(La)=100nmでBET法による比表面積が3m2/gである表面非晶質炭素材料の粉末に、結着材としてPVDFを7重量%混合し、NMPを加えて混合溶解して得たペーストを厚さ18μmの電解銅箔にコーティングし、乾燥およびプレス後、負極を得た。この電極面積は9cm2、厚さ83μmであった。
平均粒径10μmのLiCoO2粉末に、結着材としてPVDFを3重量%と、導電材として平均粒径2μmのアセチレンブラック6重量%とを混合し、NMPを加えて混合溶解して得たペーストを厚さ20μmの圧延アルミ箔にコーティングし、乾燥およびプレス後、正極を得た。この電極面積は9cm2、厚さ80μmであった。
電解質層中に構成させるポリマー繊維は、PP製の不織布で、透気度350sec/cm3、面積10cm2、厚さ20μmのものを用いた。
まず、LiBF4をECとEMCの混合溶媒(EC含有率55重量%)に12重量%になるように溶解した電解液を調整し、その電解液と、イオン伝導性化合物の前駆体である平均分子量7500〜9000の実施例2の化合物K4の前駆体と同様のものが重量比で95:5になるように調整した。その後、減圧下で2分間上記負極、正極およびポリマー繊維を置き、上記混合溶液を注液させ15分間置いた。
イオン伝導性化合物の前駆体と上記電解液とを複合化した負極上に、イオン伝導性化合物の前駆体と電解液とを複合化したポリマー繊維を載せ、その上から40mW/cm2の強度で波長360nmの紫外線を2分間照射した。この時のイオン伝導性化合物とポリマー繊維との重量比は75:25であった。
イオン伝導性化合物の前駆体と上記電解液とを複合化した正極は、そのままその上から40mW/cm2の強度で波長355nmの紫外線を2分間照射した。
得られた負極とポリマー繊維とイオン伝導性ゲルとの複合体と、正極とイオン伝導性ゲルとの複合体とをはり合わせ、イオン伝導性化合物を用いた電池を作製した。これら正極層/電解質層/負極層の総厚は185μmであった。
(実施例5)
電解液を、LiBF4をECとGBLの混合溶媒(EC含有率35重量%)に14重量%になるように溶解したものであること以外は、実施例4と同様のセルを作製した。
(実施例6)
電解液を、LiBF4をECとDECの混合溶媒(EC含有率30重量%)に13重量%になるように溶解したものであること以外は、実施例4と同様のセルを作製した。
(実施例7)
電解液を、LiPF6をECとPCとEMCの混合溶媒(重量比EC:PC:DEC=3:30:67)に12重量%になるように溶解したものであること以外は、実施例4と同様のセルを作製した。
(比較例6)
電解液を、LiPF6をECとDMCの混合溶媒(EC含有率60重量%)に12重量%になるように溶解したものであること以外は、実施例4と同様のセルを作製した。
これら実施例4〜7と比較例6の電池を定電流2.0mAで電池電圧4.1Vになるまで充電し、4.1Vに到達後、定電圧で前充電時間12時間充電した。放電は定電流2.0mAで電池電圧2.75Vになるまで放電した。ただし初回の放電は25℃の温度下で行ない、2回目の放電は−20℃の温度下で行なった。初回の放電容量に対する2回目の放電容量の比を各々次のごとく表にまとめた。
表2に示されるように、ECの含有率が55重量%を超えると−20℃という低温環境下では、更に次の表に示されるように、電池はほとんど放電しないことがわかった。また、表面非晶質炭素材料を用いることにより、PCの分解もほとんど起こらないことが判明した。したがって、本発明で用いた表面非晶質炭素材料はイオン伝導性化合物の分解が少なく、信頼性、安全性に優れた電池用負極材料であることが判明した。
(実施例8)
a)X線広角回折法による(d002)=0.336nm、(Lc)=100nm、(La)=97nmでBET法による比表面積が2m2/gである黒鉛粒子の表面に非晶質炭素を付着させた炭素材料の粉末100重量部に、結着材のPVDFを9重量部混合し、NMPを加えて混合溶解して得たペーストを厚さ20μmの圧延銅箔にコーティングし、乾燥およびプレス後、負極を得た。電極面積は9cm2、厚さ85μmであった。
EC、PC、GBL、EMCの混合溶媒(EC:PC:GBL:EMC=30:20:20:30(体積%))にLiBF4を1.0mol/lになるように溶解した電解液を準備し、その電解液と、イオン伝導性高分子の前駆体である以下の化合物K5と、K6とが重量比で90:5:5になるように混合し、DMPA1000ppmを添加して重合液を調整した。
5は、平均分子量7500〜9000で、下記化学式
(A1、A2、A3はEOを少なくとも3個以上有し、任意にPOを含んでいる2価の残基であり、POとEOの数はPO/EO=0.25である。)で表される。
6は、平均分子量2500〜3500で、下記化合物式
(A5は、EOを少なくとも3個以上有し、任意にPOを含んでいる2価の残基であり、POとEOの数はPO/EO=0.25である。)で表される。
次に上記負極を減圧下で5分間静置し、上記混合溶液を負極上より注液、キャストした後、さらに15分間静置した。
b)電解質層を構成する繊維状有機化合物として、通気度380sec/cm3、面積10cm2、厚さ20μmのポリエステル製の不織布を用いた。
EC、PC、GBL、EMCの混合溶媒(EC:PC:GBL:EMC=30:20:20:30(体積%))にLiBF4を1.0mol/lになるように溶解した電解液を準備し、その電解液と、イオン伝導性高分子の前駆体である化合物K5と、K6とが重量比で90:5:5になるように混合し、DMPA1000ppmを添加して重合液を調整した。
その後、負極上に、イオン伝導性高分子の前駆体と複合化した繊維状有機化合物を載せ、その上から30mW/cm2の強度で波長365nmの紫外線を3分間照射した。このときのイオン伝導性高分子と繊維状有機化合物との重量比は90:10であった。
紫外線を所定時間照射することにより、負極、繊維状有機化合物と一体化したゲル状のイオン伝導性高分子を形成した。これによって得られたイオン伝導性高分子層の厚みは、20μmであった。
c)平均粒径7μmのLiCoO2粉末100重量部に、結着剤のPVDFを7重量部と、導電材としてアセチレンブラック5重量部とを混合し、NMPを加えて混合溶解して得たペーストを厚さ20μmの圧延アルミ箔にコーティングし、乾燥およびプレス後、正極を得た。電極面積は9cm2、厚さは80μmであった。
EC、PC、γBL、EMCの混合溶媒(EC:PC:γBL:EMC=30:20:20:30(体積%))にLiBF4を1.0mol/lになるように溶解した電解液を準備し、その電解液と、イオン伝導性高分子の前駆体である化合物K5と、K6とが重量比で90:5:5になるように混合し、DMPA1000ppmを添加して重合液を調整した。
次に、上記正極を減圧下で5分間静置し、上記混合溶液を正極上より注液、キャストした後、更に15分間静置した。
その後、正極は、なにも載せないでその上から30mW/cm2の強度で波長365nmの紫外線を3分間照射することにより、正極と一体化したゲル状のイオン伝導性高分子を形成した。これによって得られたイオン電導性高分子層の厚みは、10μmであった。
d)b)で得られた(イオン伝導性高分子+繊維状有機化合物)層/負極/負極集電体と、a)で得られた正極集電体/正極/イオン伝導性高分子層をはり合わせることにより、実施例8の電極を作製した。これら正極層/電解質層/負極層の総厚は190μmであった。
(実施例9)
実施例8中の化合物K6を以下の化合物K7に替えること以外は、実施例8と同様の方法にて、実施例9の電池を作製した。これら正極層/電解質層/負極層の総厚は190μmであった。
7は、平均分子量200〜300で、下記化合物式
(A6は、EOを少なくとも3個以上有し、任意にPOを含んでいる2価の残基であり、POとEOの数はPO/EO=0.25である。)で表される。
(実施例10)
実施例8中の化合物K6を以下の化合物K8に替えること以外は、実施例8と同様の方法にて、実施例10の電池を作製した。これら正極層/電解質層/負極層の総厚は190μmであった。
8は、平均分子量3500〜4500で、下記化合物式
(A4は、EOを少なくとも3個以上有し、任意にPOを含んでいる2価の残基であり、POとEOの数はPO/EO=0.25である。)で表される。
(実施例11)
実施例8中のEC、PC、GBL、EMCの混合溶媒(EC:PC:GBL:EMC=30:20:20:30(体積%))を、EC、PC、EMCの混合溶媒(EC:PC:EMC=35:35:30(体積%))に替えること以外は、実施例8と同様の方法にて、実施例11の電池を作製した。これら正極層/電解質層/負極層の総厚は190μmであった。
(比較例7)
実施例8中の負極活物質を、X線広角回折法による(d002)=0.337nm、(Lc)=100nm、(La)=100nmで、BET法による比表面積が10m2/gの物性をもつ人造黒鉛を用いること以外は、実施例8と同様の方法にて、比較例7の電池を作製した。これら正極層/電解質層/負極層の総厚は190μmであった。
以下の表4に実施例2、8〜11と比較例7の電池に関する各構成をまとめた。
これら実施例2、8〜11と比較例7の電池について、定電流2.3mAで電池電圧4.1Vになるまで充電し、4.1Vに到達後、定電圧で全充電時間12時間充電した。放電は定電流2.3および10mAで電池電圧2.75Vになるまで放電した。この条件で放電したときの放電容量および1サイクル目の充放電効率を表5に示す。
表5の結果からも分かるように、実施例2の電池と比較して、実施例8〜11の電池の放電容量は、高負荷時において同等以上の結果であった。また、1サイクル目の充放電効率に関しても同等の結果を示している。
すなわち、イオン伝導性高分子の前駆体がメタクリレートからなるものよりもアクリレートから構成されている方が、より好ましいことが判明した。
一方で、比較例7の電池の放電容量および充放電効率は、各々の実施例の電池よりも極めて低いものとなった。これは、本発明の黒鉛粒子の表面に非晶質炭素を付着させた炭素材料を用いることによって、PCを含むイオン伝導性高分子が本電池系に十分使用可能であるという結果を示している。
すなわち、本発明の炭素材料とイオン伝導性高分子との組み合わせの電池は、従来の黒鉛系炭素材料での報告にあるような、10%のPCが電解液に存在するだけでPCの分解反応が顕著に起こり、充放電が不可能になるという問題点を改善していることが判明した。
1 負極端子
2 正極端子
3 外装材シール部
4 外装材
5 正極
6 電解質層
7 負極
8 リチウムポリマー二次電池

Claims (2)

  1. 表面に非晶質炭素を付着させた黒鉛粒子を含む負極と電解質層と正極とを備え、
    前記電解質層が、前記負極と前記正極の内部にイオン伝導性化合物の前駆体を予め構成させたもののいずれか一方と、繊維状の有機化合物内部にイオン伝導性化合物の前駆体を予め構成させたものとを一緒に架橋させて構成されており、
    前記繊維状の有機化合物の面積が、前記負極及び正極の面積より大きく、
    前記繊維状の有機化合物が、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維及びポリエステル繊維から選択されるポリマー繊維であり、
    前記イオン伝導性化合物と前記ポリマー繊維が、91:9〜85:15の範囲の重量比率で含まれる
    ことを特徴とするリチウムポリマー二次電池。
  2. 前記繊維状の有機化合物が、1〜500sec/cm3の透気度を有する不織布である請求項1に記載のリチウムポリマー二次電池。
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