JP2008010316A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】負極活物質、導電材及びバインダーを含む第1混合体を負極集電体に担持させた負極と、正極活物質、導電材及びバインダーを含む第2混合体を正極集電体に担持させた正極と、非水電解液と、セパレータとを備えた5Ah以上の電池容量を有するリチウムイオン二次電池であって、前記正極及び負極が、50mAh/cm3以上500mAh/cm3以下の電気容量を有し、前記第2混合体が、0.1Ωcm以上1Ωcm以下の電気抵抗率を有し、前記負極活物質が、表面非晶質黒鉛であり、前記正極及び負極集電体が、金属多孔体であり、前記非水電解液が、少なくともエチレンカーボネートを20体積%以上50体積%以下含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池により上記課題を解決する。
【選択図】図4
Description
しかしながら、大型電池は小型電池よりも容量が大きく電極の面積が大きいため、この方法で大型電池を製造しようとすると、電極を捲回又は積層する際、小型電池の場合と比較して、製造工程が煩雑化し、製造効率が大きく低下するという問題点がある。
なお、本明細書に記載の「電気容量」とは、正極及び負極のそれぞれの電極において、単位容積(1cm3)当りの電極の電気容量を意味する。よって、電気容量の単位は、「mAh/cm3」とする。
また、特開2001−40548号公報(特許文献2)には、二次電池の高容量化を図る方法が開示されている。具体的には、セルロース質繊維を800℃以上で炭酸マグネシウムを含む炭酸カルシウムと共に焼結して炭素繊維を得る。この炭素繊維を電気二重層キャパシタ用電極の原料として使用することで、二次電池の高容量化が図れるとされている。
前記正極及び負極が、50mAh/cm3以上500mAh/cm3以下の電気容量を有し、
前記第2混合体が、0.1Ωcm以上1Ωcm以下の電気抵抗率を有し、
前記負極活物質が、表面非晶質黒鉛であり、
前記正極及び負極集電体が、金属多孔体であり、
前記非水電解液が、少なくともエチレンカーボネートを20体積%以上50体積%以下含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池が提供される。
また、本発明によれば、電池サイズが小さく製造が容易な大容量リチウムイオン二次電池を提供できる。
前記正極及び負極が、50mAh/cm3以上500mAh/cm3以下の電気容量を有し、
前記第2混合体が、0.1Ωcm以上1Ωcm以下の電気抵抗率を有し、
前記負極活物質が、表面非晶質黒鉛であり、
前記正極及び負極集電体が、金属多孔体であり、
前記非水電解液が、少なくともエチレンカーボネートを20体積%以上50体積%以下含むことを特徴としている。
なお、下記において、電極とは正極及び負極の両方を意味する。また、単に活物質と記載した場合、正極活物質及び負極活物質の両方を意味する。更に、単に集電体と記載した場合、正極集電体及び負極集電体の両方を意味する。
よって、電極の電気容量としては50mAh/cm3以上500mAh/cm3以下であることが好ましい。より好ましい電気容量は、100mAh/cm3以上250mAh/cm3以下である。
負極を構成する負極活物質は表面非晶質黒鉛であり、負極集電体は複数の空孔を備える金属多孔体である。負極集電体は、負極活物質、バインダー及び導電材を含む第1混合体を担持している。
また、結晶子厚み(Lc)は、10nm以下のときは結晶性が悪いことがあり、電池容量を低下させるため実用的でない場合がある。結晶子厚み(Lc)の下限は40nmであることが好ましく、さらに結晶子厚み(La)の下限は50nmであることが好ましい。
炭化温度範囲は600〜2000℃で行なわれ、900〜1300℃が好ましい。
なお、本発明における非晶質炭素とは、黒鉛粒子に比べて結晶子の六角網面が不規則に積層し、かつ粉末X線回折による平均面間隔が、黒鉛粒子に比べて大きいものをいう。
0.001μmより薄いと、黒鉛粒子の電解液を分解する部分が失活しないことがあるため好ましくない。
また、1μmより厚いと、黒鉛粒子の比率が低下し、負極としての容量が低下することがあるため好ましくない。より好ましい厚さは、0.05μm以上1μm以下である。
粒径が80μmより大きい場合、電解液との接触面積が小さくなるため、粒子内のリチウムの拡散や、反応サイトの減少等の問題が発生することがある。その結果、大型リチウムイオン二次電池として必要とされる電流での充放電に問題が生じることがあるため好ましくない。より好ましい粒径は、0.1μm以上20μm以下である。
また、比表面積が5m2/gより大きい場合、電解液との接触面積が大きくなるため、必要以上の電解液の分解が生じ、その結果、充放電効率の低下やサイクル特性の低下を招くため好ましくない。より好ましい比表面積は、1m2/g以上5m2/g以下である。
ここで、負極活物質の負極に占める重量は、0.2g/cm3以上1.8g/cm3以下であることが好ましい。0.2g/cm3より少ない場合、電池の容量が低くなるので好ましくなく、また、1.8g/cm3より多い場合、電極内の細孔容積が減り、電解液の染み込みが悪くなるので好ましくない。より好ましい負極活物質の重量は、0.3g/cm3以上0.8g/cm3以下である。
従来の低容量のリチウムイオン二次電池用電極に比べ、大容量の電極は数倍の厚さを有することが好ましい。このような厚い電極を作製する場合、厚さ方向の電子伝導性を維持するために、集電体が適切な厚みを有する三次元構造をとっていることが望まれる。
したがって、本発明では、負極集電体に、金属多孔体が使用される。金属多孔体として好ましくは、スポンジ状の金属構造体、金属繊維による不織布、金属粉末を焼結したもの、金属箔をハニカム構造に成形したもの等が挙げられる。
空隙率が75%未満であると、表面非晶質黒鉛、導電材及びバインダー等を十分に充填できない。そのため、電池のエネルギー密度が低下し、また、十分な電解質量を保持できる空隙を確保することが困難となって所望の電極性能が得られない場合がある。
また、金属多孔体の空隙率は高いほど好ましいが、空隙率が98%以上であると、物理的な強度が足らなくなり、電極形状の維持や熱の拡散の確保が困難になる場合がある。
したがって、金属多孔体の空隙率は75%以上98%以下が好ましい。
また、圧縮後の空隙率が60%未満であると、負極に含まれる電解質の体積が小さくなるため、電解質上での分極成分が大きくなってリチウムイオン二次電池の分極が大きくなり、リチウムイオン二次電池の負荷特性が悪くなることあるので好ましくない。一方、圧縮後の空隙率が90%より大きいと電池のエネルギー密度が低下するので好ましくない。
よって、圧縮後の空隙率は60%以上90%以下であることが好ましい。
金属多孔体としては、工業的にも流通し、かつ触媒作用を兼ね備えた発泡ニッケルが特に好適に用いられる。
正極を構成する正極活物質は、特に限定されないが、遷移金属酸化物あるいはリチウム遷移金属酸化物の粉末であることが好ましい。正極集電体は複数の空孔を備える金属多孔体である。正極集電体は、正極活物質、バインダー及び導電材を含む第1混合体を担持している。第2混合体には、必要に応じて、固体電解質が混合されていてもよい。
また、Cu2V2O7、MoS3、V6O13、TiS3、NbSe3、V2S5、Cr0.5V0.5S2、MoS2、TiS2、Cu3Mo6S7.9、Cu4Mo6S8、Cr3O8等は安定性が高いことから好ましい。
また、リチウム遷移金属酸化物としては、例えばLixCoO2:0<x<1、LixNiO2:0<x<1、Lix(Ni1-yCoy)O2:0<x<1,0<y<1、LixMn2O4:0<x<1、LixFePO4:0<x<1等が挙げられる。
ここで、正極活物質の正極に占める重量は、0.4g/cm3以上5.0g/cm3以下であることが好ましい。0.4g/cm3より少ない場合、電池のエネルギー密度が低くなるので好ましくなく、5.0g/cm3より多い場合、電極内への電解液の染み込みが悪くなるので好ましくない。より好ましい正極活物質の重量は、0.8g/cm3以上2.1g/cm3以下である。
正極集電体には金属多孔体が使用される。正極集電体に板状の金属箔を用いると、集電体表面と活物質との距離が大きくなる部分が生じるために好ましくない。金属多孔体としては、三次元的な構造をもつもの、例えば、金属メッシュ、金属不織布、発泡状の金属、ハニカム状の金属が好ましい。
また、正極活物質と正極集電体の平均距離が長くならないように、三次元構造の金属多孔体である集電体中の孔の大きさは3mm以下であることが好ましい。空孔のサイズの下限は、0.001mmであることが好ましい。
また、金属多孔体の空隙率は80%以上98%以下とすることが好ましい。空隙率が80%未満であると、正極活物質の充填量が低下し、空隙率が98%以上であると、物理的な強度が足らなくなり、形状の維持が困難になるため好ましくない。より好ましい空隙率は90%以上95%以下である。
また、圧縮後の空隙率が40%以上であることが好ましい。空隙率が40%未満であると電極に含まれる電解質の体積が小さくなるため、電解質上での分極成分が大きくなってリチウムイオン二次電池の分極が大きくなり、リチウムイオン二次電池の負荷特性が悪くなる場合があるので好ましくない。一方、圧縮後の空隙率が80%より大きいと電池のエネルギー密度が低下するので好ましくない。よって、圧縮後の空隙率は40%以上80%以下であることが好ましい。
導電材は、特に限定されず、公知の導電材をいずれも使用できる。また、正極と負極の導電材は、同一でも異なっていてもよい。
導電材としては、例えば、カーボンブラック(アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等)などの炭素類や、グラファイト粉末、気相成長炭素繊維(VGCF)、金属粉末等が挙げられる。
導電材の配合量は、活物質100重量部に対して、10重量部以上50重量部以下とすることが好ましい。
導電材が10重量部より少ないと電極の抵抗率が1Ωcmを超える場合があり、50重量部より多いと電極の抵抗率が0.1Ωcmより低くなる場合があるので好ましくない。また、電極は、集電体に、活物質と導電材とバインダーとからなる混合体を塗り込むことによって構成されている。このため、導電材が50重量部より多いと、電極内で活物質の占める割合が減少して容量が小さくなる場合があるので好ましくない。
バインダーは、特に限定されず、公知のバインダーをいずれも使用できる。また、正極と負極のバインダーは、同一でも異なっていてもよい。
バインダーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系ポリマー、合成ゴム類、樹脂の焼成体などが挙げられる。
したがって、バインダーの配合量は、活物質100重量部に対して、1重量部以上30重量部以下とすることが好ましい。1重量部より少ないと結着能力が小さくなってしまい、電極が構成し難くなるので好ましくない。バインダーが30重量部より多いと電極の抵抗率が1Ωcmを超えることがあり、かつ電極内における活物質の占める量が減少して容量が小さくなることがあるので好ましくない。
例えば、電極は、活物質、導電材及びバインダー等からなる混合体をN−メチル−2−ピロリドンのような溶剤に溶かしスラリーとし、スラリーを集電体に塗布し、次いで溶剤を乾燥させることにより形成するか、又は、混合体を集電体上に載せ、混合体を熱溶融することにより、これを集電体の空隙部に充填することで形成できる。
なお、電極の作製時に、混合体の集電体への結着性を上げるために、バインダーの融点程度の温度で乾燥及び熱溶融することが好ましい。
負極及び正極間には、両極が電気的に接触しないようにセパレータが配置される。セパレータとしては、特に限定されず、公知のセパレータをいずれも使用できる。例えば、多孔質体、不織布等のセパレータが挙げられる。
セパレータに用いられる材質としては、電解質中に含まれる有機溶媒に対して溶けたり膨潤したりしないものが適している。例えば、ポリエステル系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、エーテル系ポリマー、又はガラスのような無機材料が挙げられる。
なかでも、有機溶媒に対して溶けたり膨潤したりしないポリマーの不織布にシリカを担持させたものが、セパレータの細孔内あるいは繊維間への電解液の行き渡りがよく、保液性も高いので、特に好ましい。
非水電解液は、溶媒としてエチレンカーボネート(以下、ECと略する)を20体積%以上50体積%以下含む。ECは、負極活物質としての表面非晶質黒鉛の表面に、充放電反応とともに起こる溶媒の分解反応を抑制する保護皮膜を形成する材料となる。ECの配合割合が20体積%より少ない場合、保護皮膜が十分に形成されないので好ましくなく、50体積%より多い場合、電解液の低温での粘性が高くなり電池の低温特性が低下するので好ましくない。より好ましいECの配合割合は、25〜40体積%である。
したがって、ECと共にGBLを非水電解液に使用した場合、高温で保存した場合や過充電した場合の発熱量が少なく、更にガスの発生量も少なくすることができる。そのため、ECとGBLとの混合溶媒は、従来の小型リチウムイオン二次電池に比べて、非常に高い安全性を要求される大型リチウムイオン二次電池の非水電解液用溶媒として好適である。
電解質塩の濃度は0.5mol/L以上2.5mol/L以下が好ましく、より好ましくは1.0mol/L以上2.2mol/L以下である。
電解質塩の濃度が、0.5mol/L未満とすると、非水電解液中において電荷を運ぶキャリア濃度が低くなり、非水電解液の抵抗が高くなることがあるので好ましくない。また、電解質塩の濃度が、2.5mol/Lより高くなると、塩自体の解離度が低くなり、非水電解液中のキャリア濃度が上がらない場合があるので好ましくない。
モノマーとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等が挙げられる。これらモノマーは、1種又は2種類以上を組み合わせて使用しても構わない。
また、有機溶媒に対するモノマーの量は、少なすぎると固体化が難しく、多すぎるとリチウムイオンの伝導性が阻害されるので、有機溶媒とモノマーの合計量に対する体積百分率で2%以上50%以下が好ましい。
したがって、非水電解液の溶媒の水分は極力少なくすることが好ましい。そのため、非水電解液の溶媒としては、モレキュラーシーブや、アルカリ金属、アルカリ土類金属、水素化カルシウム等のアルカリ金属の水素化物又は活性アルミニウム等を用いて脱水処理した溶媒を使用することが好ましい。
溶媒中の水分濃度(重量濃度)は、1000ppm以下が好ましく、更に100ppm以下が好ましい。なお、1ppmは0.0001重量%を意味する。
本発明のリチウムイオン二次電池の一例の模式図を図1に示す。リチウムイオン二次電池1は、上述した方法により作製された正極2と負極3の間にセパレータ4を挟んで積層し、外装材(電池容器)5の内部に挿入した後に、非水電解液を含浸させて容器を封止することで製造できる。
水分除去の方法としては加熱や減圧乾燥等の方法があるが、これ以外の方法でも構わない。また、外装材5の材質は限定されるものではなく、金属やアルミラミネート樹脂等を用いることができる。
また、図3のように、1枚の負極3の両側双方にセパレータ4を介して2枚の正極2が配置されているものとしても構わない。
電池に用いる活物質の単位重量あたりの容量は、通常「mAh/g」という単位で表記される。これは活物質1g当たりにどれだけの容量を持っているかを示したものである。
即ち、例えば正極において単位面積当りの電気容量が10mAh以上の容量の電極を構成するには、10mAhを単位重量当たりのmAh/gで除することにより、必要な活物質の重量を算出することができる。
上述した構成は、本発明を例示するためのリチウムイオン二次電池の構成であり、本発明を限定するものではない。
なお、結晶子の大きさ(Lc、La)を測定する方法は、X線広角回折法による公知の方法、例えば特開昭61−111907号公報又は「炭素材料実験技術1」 炭素材料学会編(科学技術社)第55〜63頁に記載された方法によって行うことができる。また、結晶子の大きさを求める形状因子Kは0.9を用いた。
粒径はレーザー回折式粒度分布計を用いて測定を行い、粒度分布におけるピーク値の粒径を使用した。
以下の手順に従って本実施例のリチウムイオン二次電池を作製した。
(負極の作製)
表面非晶質黒鉛粉末(球状、粒径11μm、d002は0.336nm、Lcは100nm、Laは100nm、R値は0.40、比表面積2m2/g)(大阪ガスケミカル社製PCG(K10−D20−811DR))20gと導電材のVGCF(繊維状粉末、粒径5μm)(昭和電工社製、VGCF高嵩品)5gとバインダーのポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業社製、KFポリマーL#9130)2gを乳鉢で混合し、N−メチル−2−ピロリドン40mLを添加してペーストを得た。このペーストを発泡状ニッケル板(32×32mm、厚さ1mm、空隙率90%、最大孔径0.5mm)(住友電工社製、セルメット#7)に塗り込み、60℃空気中で仮乾燥し、減圧下150℃で5時間乾燥して、ニッケル製のリード線をスポット溶接で取り付けてリチウムイオン二次電池用炭素負極を得た。炭素の単位重量当りの充放電容量を300mAh/gとすると、この負極の充放電容量は220mAhであった。また、電気容量は215mAh/cm3であった。
上記表面非晶質黒鉛粉末のアルゴンレーザーラマンによる1580cm-1に対する1360cm-1のピークの強度比は0.4で、非晶質炭素/(黒鉛粒子+非晶質炭素)が、重量比で15%であった。
まず、正極活物質としてオリビン型LiFePO4(Phostech Lithium社製、PHOS−DEV−21−B)を用い、正極活物質と導電材のアセチレンブラックとバインダーのポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業社製、KFポリマー#1300)とを混合した。また、正極の導電材(以下、正極導電材)の重量部値は10、正極のバインダーの重量部値は4である。この正極活物質と正極導電材とバインダーとを混合した混合物をN−メチル−2−ピロリドン溶剤に溶かしスラリー状にし、これを発泡状のアルミ製正極集電体(Materials and Aerospace社製、アルミフォームERG:空隙率91%)に注入を行い、溶媒を除去するために60℃にて仮乾燥した後に、1000kg/cm2の圧力でプレスを行い、厚さ3mmとした。このように作製した1枚の正極を、30mm×30mmの大きさに切断した。その後、減圧下150℃で5時間乾燥して、アルミ製のリード線を超音波溶接で取り付けてリチウムイオン二次電池用正極を得た。正極活物質の単位重量当りの充放電容量を120mAh/gとすると、この電極の充放電容量は200mAhであった。また、電気容量は74mAh/cm3であった。更に、正極活物質、導電材及びバインダーからなる第2混合体の電気抵抗率は、0.2Ωcmであった。
この1枚の正極と1枚の負極とが電気的に接触しないようにポリエチレン製多孔質膜にシリカを担持したものからなるセパレータ(厚さ40μm;日本無機社製)を挟み、長方形の2枚のアルミラミネート樹脂を用いて3辺をシールして袋状の外装材(電池容器)としたものに挿入した。また、アルミラミネート樹脂でシールをしなかった残りの1辺を開口部とした。その後、この正極及び負極とセパレータが挿入されたアルミラミネート樹脂からなる外装材を減圧チャンバーに挿入し、減圧下100℃で乾燥を行った。なお、乾燥時間は12時間とした。乾燥が終了した後、ドライボックス内にて電解液を電極に十分に浸みわたる量を注入し、外装材の開口部をシールすることにより、本実施例のリチウムイオン二次電池を作製した。なお電解液としては、1M−LiPF6/EC+GBL(体積比1:2)を使用した。このように作製したリチウムイオン二次電池を以下の方法により試験した。
試験条件は、定電流50mAで電池電圧が3.9Vになるまで充電し、その後、定電圧3.9Vで3時間充電した。放電は定電流50mAで電池電圧2.3Vまで放電した。その時の電気容量を測定し、500回充放電を繰り返して容量の推移を測定した。その結果を図4に示した。また、電池の形状に膨れ等発生していないか調べた結果を表1に示した。
(電極の空隙率及び抵抗率の測定)
上記のように作製した正極の空隙率は45%、正極の抵抗率は1.0Ωcmであり、負極の空隙率は65%、負極の抵抗率は0.5Ωcmであった。なお、正極及び負極の空隙率は、電極の体積とそれぞれの部材の理論密度とから、計算した。また、抵抗率は上述の正極あるいは負極のペーストを集電体に注入せずに、1cm×1cm×0.5cmの大きさになるように成型乾燥した後に、直流4端子法によって抵抗率を求めた。
以下の手順に従って本実施例のリチウムイオン二次電池を作製した。
(負極の作製)
表面非晶質黒鉛粉末(粒状、粒径14μm、d002は0.337nm、Lcは100nm、Laは100nm、R値は0.43、比表面積4m2/g)(大阪ガスケミカル社製PCG(K10−D16−863))20gとポリアクリロニトリル系炭素繊維(繊維状粉末、粒径8μm)(東レ社製、トレカ)5gとポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業社製、KFポリマーL#9130)2gを乳鉢で混合し、N−メチル−2−ピロリドン溶剤40mLを添加してペーストを得た。このペーストを発泡状ニッケル板(30×30mm、厚さ0.5mm、空隙率92%、最大孔径0.3mm)(住友電工社製、セルメット#8)に塗り込み、60℃空気中で仮乾燥し、減圧下150℃で5時間焼結した後、ニッケル製のリード線をスポット溶接で取り付けてリチウムイオン二次電池用炭素電極を2枚得た。炭素の単位重量当りの充放電容量を300mAh/gとすると、この電極1枚当りの充放電容量は105mAhであった。また、電気容量は23mAh/cm3であった。
まず、正極活物質としてオリビン型LiFePO4(Phostech Lithium社製、PHOS−DEV−21−B)を用い、正極活物質と導電材のVGCF(繊維状粉末、粒径5μm)(昭和電工社製、VGCF高嵩品)とバインダーのポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業社製、KFポリマー#1300)とを混合した。また、正極の導電材(以下、正極導電材)の重量部値は8、正極のバインダーの重量部値は5である。この正極活物質と正極導電材とバインダーとを混合した混合物をN−メチル−2−ピロリドン溶剤に溶かしスラリー状にし、これをラス状のアルミ製正極集電体(日金加工社製、精密Alラス:厚さ1mm)に塗り込み、溶媒を除去するために60℃にて仮乾燥した後に、1000kg/cm2の圧力でプレスを行い、厚さ3mmとした。このように作製した1枚の正極を、30mm×30mmの大きさに切断した。その後、減圧下150℃で5時間乾燥して、アルミ製のリード線を超音波溶接で取り付けてリチウムイオン二次電池用正極を得た。正極活物質の単位重量当りの充放電容量を120mAh/gとすると、この電極の充放電容量は200mAhであった。また、電気容量は74mAh/cm3であった。更に、正極活物質、導電材及びバインダーからなる第2混合体の電気抵抗率は、0.2Ωcmであった。
この1枚の正極を2枚の負極で挟むようにし、正負極が電気的に接触しないようにポリエステル製不織布にシリカを担持したものからなるセパレータ(厚さ40μm)を電極間に挟み、長方形の2枚のアルミラミネート樹脂を用いて3辺をシールして袋状の外装材(電池容器)としたものに挿入した。また、アルミラミネート樹脂でシールをしなかった残りの1辺を開口部とした。その後、この正極及び負極とセパレータが挿入されたアルミラミネート樹脂からなる外装材を減圧チャンバーに挿入し、減圧下100℃で乾燥を行った。なお、乾燥時間は12時間とした。乾燥が終了した後、ドライボックス内にて電解液を電極に十分に浸みわたる量を注入し、外装材の開口部をシールすることにより、本実施例のリチウムイオン二次電池を作製した。なお電解液としては、1M−LiBF4/EC+GBL(体積比2:3)を使用した。
このように作製したリチウムイオン二次電池を実施例1と同様の方法により試験した。
(電極の空隙率及び抵抗率の測定)
上記のように作製した電極の空隙率と抵抗率は、正極の空隙率は42%、正極の抵抗率は0.8Ωcmであり、負極の空隙率は70%、負極の抵抗率は0.4Ωcmであった。なお、正極及び負極の空隙率は、電極の体積とそれぞれの部材の理論密度とから、計算した。また、抵抗率は上述の正極あるいは負極のペーストを集電体に注入せずに、1cm×1cm×0.5cmの大きさになるように成型乾燥した後に、直流4端子法によって抵抗率を求めた。
以下の手順に従って本実施例のリチウムイオン二次電池を作製した。
(負極の作製)
表面非晶質黒鉛粉末(粒状、粒径12μm、d002は0.336nm、Lcは100nm、Laは100nm、R値は0.41、比表面積2m2/g)(大阪ガスケミカル社製PCG(K10−D16−811DR))20gとピッチ系炭素繊維(繊維状粉末、粒径20μm)(新日鐵社製、#1)5gとスチレンブタジエンゴム(日本ゼオン社製、BM−400B)0.5gと増粘材1.5g(CMC−NH4)(第一工業製薬社製、セロゲンNB−P LotNo.75W801)を乳鉢で混合し、イオン交換水40mLを添加してペーストを得た。このペーストを発泡状ニッケル板(30×30mm、厚さ1mm、空隙率91%、最大孔径0.7mm)(三菱マテリアル社製、発泡ニッケル)に塗り込み、60℃空気中で仮乾燥し、減圧下150℃で5時間焼結した後、ニッケル製のリード線をスポット溶接で取り付けてリチウムイオン二次電池用炭素電極を得た。炭素の単位重量当りの充放電容量を300mAh/gとすると、この電極の充放電容量は220mAhであった。また、電気容量は244mAh/cm3であった。
まず、正極活物質としてオリビン型LiFePO4(Phostech Lithium社製、PHOS−DEV−21−B)を用い、正極活物質と導電材のVGCF(繊維状粉末、粒径5μm)(昭和電工社製、VGCF高嵩品)とバインダーのポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業社製、KFポリマー#1300)とを混合した。また、正極の導電材(以下、正極導電材)の重量部値は5、正極のバインダーの重量部値は3である。この正極活物質と正極導電材とバインダーとを混合した混合物をN−メチル−2−ピロリドン溶剤に溶かしスラリー状にし、これをハニカム状のアルミ製正極集電体(昭和飛行機工業社製、アルミニウムハニカム:六角形)に塗り込み、溶媒を除去するために60℃にて仮乾燥した後に、1000kg/cm2の圧力でプレスを行い、厚さ1.5mmとした。このように作製した正極を、30mm×30mmの大きさに切断した。その後、減圧下150℃で5時間乾燥して、アルミ製のリード線を超音波溶接で取り付けてリチウムイオン二次電池用正極を2枚得た。正極活物質の単位重量当りの充放電容量を120mAh/gとすると、この電極1枚当りの充放電容量は100mAhであった。また、電気容量は74mAh/cm3であった。更に、正極活物質、導電材及びバインダーからなる第2混合体の電気抵抗率は、0.2Ωcmであった。
この1枚の負極を2枚の正極で挟むようにし、正負極が電気的に接触しないようにポリエチレン製不織布にシリカを担持したものからなるセパレータ(厚さ30μm)を電極間に挟み、長方形の2枚のアルミラミネート樹脂を用いて3辺をシールして袋状の外装材(電池容器)としたものに挿入した。また、アルミラミネート樹脂でシールをしなかった残りの1辺を開口部とした。その後、この正極及び負極とセパレータが挿入されたアルミラミネート樹脂からなる外装材を減圧チャンバーに挿入し、減圧下100℃で乾燥を行った。なお、乾燥時間は12時間とした。乾燥が終了した後、ドライボックス内にて電解液を電極に十分に浸みわたる量を注入し、外装材の開口部をシールすることにより、本実施例のリチウムイオン二次電池を作製した。なお電解液としては、1M−LiPF6/EC+GBL(体積比1:1)を使用した。
このように作製したリチウムイオン二次電池を実施例1と同様の方法により試験した。(電極の空隙率及び抵抗率の測定)
上記のように作製した電極の空隙率と抵抗率は、正極の空隙率は41%、正極の抵抗率は0.9Ωcmであり、負極の空隙率は75%、負極の抵抗率は0.5Ωcmであった。なお、正極及び負極の空隙率は、電極の体積とそれぞれの部材の理論密度とから、計算した。また、抵抗率は上述の正極あるいは負極のペーストを集電体に注入せずに、1cm×1cm×0.5cmの大きさになるように成型乾燥した後に、直流4端子法によって抵抗率を求めた。
実施例1の負極活物質が人造黒鉛粉末(フレーク状、粒径18μm、d002は0.337nm、Lcは80nm、Laは80nm、R値は0、比表面積12m2/g)であることと、電解液が1M−LiPF6/EC+GBL(体積比3:2)であること以外は、実施例1と同様の操作を繰り返してリチウムイオン二次電池を作製した。また、負極の電気容量は215mAh/cm3であった。
上記のようにして得られた電極の空隙率と抵抗率は、正極の空隙率は45%、正極の抵抗率は1.0Ωcmであり、負極の空隙率は55%、負極の抵抗率は0.5Ωcmであった。なお、抵抗率測定は実施例1と同様の操作を繰り返して行った。
(負極の作製)
表面非晶質黒鉛粉末(粒状、粒径14μm、d002は0.337nm、Lcは100nm、Laは100nm、R値は0.43、比表面積4m2/g)(大阪ガスケミカル社製PCG(K10−D16−863))20gとポリアクリロニトリル系炭素繊維(繊維状粉末、粒径8μm)(東レ社製、トレカ)5gとポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業社製、KFポリマーL#9130)2gを乳鉢で混合し、N−メチル−2−ピロリドン溶剤40mLを添加してペーストを得た。このペーストをニッケル板(30×30mm、厚さ0.05mm)(ニラコ社製、NI−313263)上片面に厚さ0.5mmになるように塗布し、60℃空気中で仮乾燥し、減圧下150℃で5時間乾燥した後、ニッケル製のリード線をスポット溶接で取り付けてリチウムイオン二次電池用炭素電極を2枚得た。炭素の単位重量当りの充放電容量を300mAh/gとすると、この電極1枚当りの充放電容量は105mAhであった。
その他の構成は実施例2と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
また、電池の試験、及び電極の空隙率及び抵抗率の測定は実施例2と同様の操作を繰り返して行った。
また、各リチウムイオン二次電池の充放電のサイクル数の変化における各電池容量の変化を図4に示す。
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 外装材
6 端子
Claims (11)
- 負極活物質、導電材及びバインダーを含む第1混合体を負極集電体に担持させた負極と、正極活物質、導電材及びバインダーを含む第2混合体を正極集電体に担持させた正極と、非水電解液と、セパレータとを備えた5Ah以上の電池容量を有するリチウムイオン二次電池であって、
前記正極及び負極が、50mAh/cm3以上500mAh/cm3以下の電気容量を有し、
前記第2混合体が、0.1Ωcm以上1Ωcm以下の電気抵抗率を有し、
前記負極活物質が、表面非晶質黒鉛であり、
前記正極及び負極集電体が、金属多孔体であり、
前記非水電解液が、少なくともエチレンカーボネートを20体積%以上50体積%以下含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 前記負極集電体としての金属多孔体が、75%以上98%以下の空隙率を有することを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記負極集電体としての金属多孔体が、鉄、ステンレススチール、ニッケル、銅及びこれらの合金からなる群から選択される材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記負極集電体としての金属多孔体が、発泡ニッケルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記正極活物質が、オリビン型LiFePO4であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記第1及び第2混合体中の導電材が、高黒鉛化炭素繊維であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記セパレータが、樹脂の不織布にシリカを担持したものであり、20〜80μmの厚さを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記表面非晶質黒鉛が、黒鉛粒子の表面を非晶質炭素で被覆した粒子からなり、0.4以上のアルゴンレーザーラマンによる1580cm-1に対する1360cm-1のピークの強度比と、かつ、20%以下の重量比としての非晶質炭素/(黒鉛粒子+非晶質炭素)を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記表面非晶質黒鉛が、80μm以下の粒径、5m2/g以下の比表面積を有することを特徴とする請求項8に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記負極集電体としての金属多孔体が、圧縮されてなり、60〜90%の空隙率を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記非水電解液がγ−ブチロラクトンを更に含み、前記エチレンカーボネートとγ−ブチロラクトンの体積比が20:80〜50:50であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載のリチウムイオン二次電池。
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