JP2014021398A - エレクトロクロミック表示装置及びその駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】応答速度に優れたパッシブマトリックス駆動のエレクトロクロミック表示装置及びその駆動方法を提供する。
【解決手段】エレクトロクロミック表示装置10は、表示基板11と、対向基板12と、複数の導体パターン列から構成され、各々がエレクトロクロミック層を有し、表示基板と対向基板との間に互いに離間して配置された複数の表示電極11a、11b、11c、と、複数の導体パターン列から構成され、対向基板上に複数の表示電極に対向して設けられた対向電極12aと、隣接する表示電極及び対向電極に隣接する表示電極と対向電極とに挟持された電解質層とを有し、隣接する表示電極において、各々の導体パターン列は平面視において互いに直交するように配置され、対向電極に隣接する表示電極と対向電極において、各々の導体パターン列は互いに直交するように配置されている。
【選択図】図1
【解決手段】エレクトロクロミック表示装置10は、表示基板11と、対向基板12と、複数の導体パターン列から構成され、各々がエレクトロクロミック層を有し、表示基板と対向基板との間に互いに離間して配置された複数の表示電極11a、11b、11c、と、複数の導体パターン列から構成され、対向基板上に複数の表示電極に対向して設けられた対向電極12aと、隣接する表示電極及び対向電極に隣接する表示電極と対向電極とに挟持された電解質層とを有し、隣接する表示電極において、各々の導体パターン列は平面視において互いに直交するように配置され、対向電極に隣接する表示電極と対向電極において、各々の導体パターン列は互いに直交するように配置されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、エレクトロクロミック表示装置及びその製造方法に関する。
近年、紙に替わる電子媒体として、電子ペーパーの開発が盛んに行われている。電子ペーパーは、表示装置が紙のように用いられるところに特徴があるため、CRTや液晶ディスプレイといった従来の表示装置とは異なった特性が要求される。例えば、反射型表示装置であり、かつ、高い白反射率・高いコントラスト比を有すること、高精細な表示ができること、表示にメモリ効果があること、低電圧でも駆動できること、薄くて軽いこと、安価であること等の特性が要求される。このうち特に、表示の品質に関わる特性として、紙と同等な白反射率・コントラスト比についての要求度が高い。
これまで、電子ペーパー用途の表示装置として、例えば反射型液晶を用いる方式、電気泳動を用いる方式、トナー泳動を用いる方式等が提案されている。しかしながら、上記の何れの方式も白反射率・コントラスト比を確保しながら多色表示を行うことは大変困難である。一般に多色表示を行うためには、カラーフィルタを設けるが、カラーフィルタを設けると、カラーフィルタ自身が光を吸収し、反射率が低下する。更に、カラーフィルタは、一画素をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)に3分割するため、表示装置の反射率が低下し、それに伴ってコントラスト比が低下する。白反射率・コントラスト比が大幅に低下した場合は、視認性が非常に悪くなり、電子ペーパーとして用いることが困難である。
一方、上記のようなカラーフィルタを設けずに反射型の表示装置を実現するための有望な技術として、エレクトロクロミック現象を用いる方式がある。電圧を印加することで、可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムという。エレクトロクロミズム現象を引き起こすエレクトロクロミック化合物の発色/消色(以下、発消色)を利用した表示装置が、エレクトロクロミック表示装置である。エレクトロクロミック表示装置については、反射型の表示装置であること、メモリ効果があること、低電圧で駆動できることから、電子ペーパー用途の表示装置技術の有力な候補として、材料開発からデバイス設計に至るまで、幅広く研究開発が行われている。
但し、エレクトロクロミック表示装置には、酸化還元反応を利用して発消色を行う原理ゆえに、発消色の応答速度が遅いという欠点があり、例えば、発消色に要する時間は数10秒程度である。この欠点に対して、例えば、エレクトロクロミック化合物を電極近傍に固定させることによって発消色の応答速度の改善を図る技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、無色から青色への発色時間、青色から無色への消色時間は、共に1秒程度まで向上している。但し、これで十分というわけではなく、エレクトロクロミック表示装置の研究開発に際しては、さらなる発消色の応答速度の向上が必要である。一方、エレクトロクロミック表示装置は、エレクトロクロミック化合物の構造によって様々な色を発色できるため、多色表示装置として期待されている。
ところで、上記のエレクトロクロミック表示装置では、例えば、アクティブマトリックス駆動やパッシブマトリックス駆動を用いて発消色させることができる。複雑な駆動回路構造が必要なアクティブマトリックス駆動は、パッシブマトリックス駆動よりも一般的にコスト面で不利である。一方、パッシブマトリックス駆動の場合は、アクティブマトリックス駆動に比べてコスト面では有利であるが、応答速度が遅くなりがちである。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、応答速度に優れたパッシブマトリックス駆動のエレクトロクロミック表示装置及びその駆動方法を提供することを課題とする。
本エレクトロクロミック表示装置は、表示基板と、前記表示基板と対向配置された対向基板と、複数の導体パターンが所定の間隔を空けて並設された導体パターン列から構成され、各々がエレクトロクロミック層を有し、前記表示基板と前記対向基板との間に互いに離間して配置された複数の表示電極と、複数の導体パターンが所定の間隔を空けて並設された導体パターン列から構成され、前記対向基板上に前記複数の表示電極に対向して設けられた対向電極と、隣接する前記表示電極、及び前記対向電極に隣接する前記表示電極と前記対向電極とに挟持された電解質層と、を有し、前記隣接する前記表示電極において、各々の前記導体パターン列は平面視において互いに直交するように配置され、前記対向電極に隣接する前記表示電極と前記対向電極において、各々の前記導体パターン列は互いに直交するように配置されていることを要件とする。
開示の技術によれば、応答速度に優れたパッシブマトリックス駆動のエレクトロクロミック表示装置及びその駆動方法を提供できる。
以下、図面を参照して、実施の形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
図1は、本実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置を例示する断面図である。図1を参照するに、エレクトロクロミック表示装置10は、表示基板11と、第1の表示電極11aと、第2の表示電極11bと、第3の表示電極11cと、対向基板12と、対向電極12aと、第1のエレクトロクロミック層13aと、第2のエレクトロクロミック層13bと、第3のエレクトロクロミック層13cと、電解質層14と、スペーサ16とを有する。
なお、第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、第3の表示電極11c、及び対向電極12aを特に区別する必要がない場合には、単に『電極』と称する場合がある。又、第1のエレクトロクロミック層13a、第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3のエレクトロクロミック層13cを特に区別する必要がない場合には、単に『エレクトロクロミック層』と称する場合がある。
表示基板11は、透明な材料からなる基板である。表示基板11には第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、及び第3の表示電極11cが互いに離間して形成されている。対向基板12は、表示基板11と対向する位置に設けられ、対向基板12には、第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、及び第3の表示電極11cに対して所定の間隔を隔てて対向して設けられている対向電極12aが形成されている。表示基板11と対向基板12とは、スペーサ16を介して貼り合わされている。
第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、及び第3の表示電極11cは、各々がエレクトロクロミック層を有し、表示基板11と対向基板12との間に互いに離間して配置されている。第1の表示電極11aは、第1のエレクトロクロミック層13aを発色させるための電極である。第2の表示電極11bは、第2のエレクトロクロミック層13bを発色させるための電極である。第3の表示電極11cは、第3のエレクトロクロミック層13cを発色させるための電極である。
第1のエレクトロクロミック層13a、第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3のエレクトロクロミック層13cは、それぞれ第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、及び第3の表示電極11cに接して設けられている。第1のエレクトロクロミック層13a、第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3のエレクトロクロミック層13cは、それぞれ酸化還元反応によって発消色する部分であるエレクトロクロミック化合物と、このエレクトロクロミック化合物を担持すると共に発消色を高速で行うための金属酸化物とを有し、理想的な状態である金属酸化物にエレクトロクロミック化合物の単分子が吸着した状態となっている。金属酸化物を有することにより、第1の表示電極11a等から金属酸化物を通して電子(又は正孔)をエレクトロクロミック化合物に伝えることができ、より効率的に発消色させることができる。
但し、第1のエレクトロクロミック層13a、第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3のエレクトロクロミック層13cは、それぞれエレクトロクロミック化合物が移動しないよう固定されると共に、エレクトロクロミック化合物の酸化還元に伴う電子の授受が妨げられないように電気的な接続が確保されていれば、エレクトロクロミック化合物と金属酸化物とが混合されて単一層となっていても良い。なお、第1のエレクトロクロミック層13a、第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3のエレクトロクロミック層13cは、それぞれ異なる色を発色する。各エレクトロクロミック層は、例えば、酸化金属からなる多孔質電極(例えばTiO2)を形成した後に、エレクトロクロミック材料を塗布及びリンスすることにより形成できる。
電解質層14は、第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、及び第3の表示電極11cのそれぞれと対向電極12aとに挟まれるように設けられており、電解質と溶媒を含有している。第1のエレクトロクロミック層13a、第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3のエレクトロクロミック層13cは、それぞれ第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、及び第3の表示電極11cからの電荷の授受により酸化還元反応することにより発消色する。又、第1のエレクトロクロミック層13a、第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3のエレクトロクロミック層13cの対向電極12a側の各構成要素の何れかに、図示しない白色反射機能を持たせることで、反射型の表示素子とすることができる。
第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、及び第3の表示電極11cのそれぞれの間の電気抵抗は、第1のエレクトロクロミック層13a、第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3のエレクトロクロミック層13cの膜厚等に依存する。第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、及び第3の表示電極11cのそれぞれの間で絶縁が得られない場合は、第1のエレクトロクロミック層13aと第2の表示電極11bとの間、及び第2のエレクトロクロミック層13bと第3の表示電極11cとの間の何れか一方又は双方に絶縁層を形成することが好ましい。
更に、第1のエレクトロクロミック層13a、第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3のエレクトロクロミック層13cのそれぞれの、表示基板11と反対側の面に接して、有機高分子材料からなる保護層を形成することができる。これにより、第1のエレクトロクロミック層13a、第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3のエレクトロクロミック層13cのそれぞれの、隣接層との密着性、溶剤に対する耐溶解性、第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、及び第3の表示電極11cとの間の絶縁性を向上させ、エレクトロクロミック表示装置10の耐久性を向上させることができる。
ここで、図1に示したエレクトロクロミック表示装置10の電極配置について説明する。図2は、本実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の電極配置を例示する斜視図である。なお、図2では、エレクトロクロミック表示装置10の第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、第3の表示電極11c、及び対向電極12aの電極配置のみを模式的に示しており、エレクトロクロミック表示装置10の他の構成要素は図示が省略されている。
図2を参照するに、第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、第3の表示電極11c、及び対向電極12aは、各々複数の導体パターン(本実施の形態では3本)が所定の間隔を空けて並設された導体パターン列から構成されている。又、隣接する電極において、各々の導体パターン列は平面視において互いに直交するように配置されている。つまり、上下に隣接する第1の表示電極11aと第2の表示電極11bの各々の導体パターン列は、平面視において互いに直交するように配置されている。又、上下に隣接する第2の表示電極11bと第3の表示電極11cの各々の導体パターン列は、平面視において互いに直交するように配置されている。又、上下に隣接する第3の表示電極11cと対向電極12aの各々の導体パターン列は、平面視において互いに直交するように配置されている。
各導体パターン列を構成する各導体パターンは、例えば、短冊状に形成され互いに略平行に配置されている。各導体パターン列を構成する各導体パターンの幅は、例えば、数100μm〜数mm程度とすることができる。各導体パターン列を構成する各導体パターンの間隔は、例えば、数100μm〜数mm程度とすることができる。
なお、本願において、『直交』は、平面視において対象物同士が完全に直角(90度)に交わる場合に限らず、所定の効果(応答速度の向上や電極取り出し部の形成容易性等)を実質的に損なわない範囲で90度からずれている場合も含むものとする。
このように、各電極を複数の導体パターンが所定の間隔を空けて並設された導体パターン列から構成し、上下に隣接する電極において各々の導体パターン列を平面視で互いに直交するように配置する。これにより、以下に詳説するように、各々のエレクトロクロミック層を駆動する際に、隣接する電極のうち何れか一方を作用極、他方を対向極(走査電極)としてパッシブマトリックス駆動することが可能となる。
次に、図1に示したエレクトロクロミック表示装置10の駆動方法について説明する。エレクトロクロミック表示装置10の駆動方法の説明に先立って、比較例について説明する。比較例に係るエレクトロクロミック表示装置では、第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、及び第3の表示電極11cの各々の導体パターン列が平面視において互いに平行に配置されている。又、対向電極12aのみが、第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、及び第3の表示電極11cの各々の導体パターン列に対して平面視において直交するように配置されている。
図3は、比較例に係るエレクトロクロミック表示装置の駆動方法を例示する斜視図であり、対向電極12aのみを走査電極として用いる場合のパッシブマトリックス駆動の例を示している。なお、図3(a)は第1のエレクトロクロミック層13a(図示せず)を発色させる場合、図3(b)は第2のエレクトロクロミック層13b(図示せず)を発色させる場合、図3(c)は第3のエレクトロクロミック層13c(図示せず)を発色させる場合を示している。又、図3(a)〜図3(c)各々において、矢印は走査電極である対向電極12aの走査方向を示しており、括弧は作用極と対向極(走査電極である対向電極12a)の対を示している。
図3に示す積層型のエレクトロクロミック表示装置10xは、パッシブマトリックス駆動で容易に動作可能である。しかしながら、例えば、第1のエレクトロクロミック層13a(図示せず)を駆動する場合、第1の表示電極11aと走査電極である対向電極12aとの間に第2のエレクトロクロミック層13b(図示せず)及び第3のエレクトロクロミック層13c(図示せず)が存在している。そのため、応答速度が遅くなったり、駆動電圧が高くなったりする場合がある。又、第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、及び第3の表示電極11cの各々の導体パターン列が平面視において互いに平行に配置されているため、画素サイズが小さくなると電極取り出し部の形成が困難になりやすいという問題がある。
一方、本実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10では、第2の表示電極11bに対する第1の表示電極11aの電位、第3の表示電極11cに対する第2の表示電極11bの電位、及び対向電極12aに対する第3の表示電極11cの電位を独立して制御できる。その結果、第1の表示電極11aに接して設けられた第1のエレクトロクロミック層13a、第2の表示電極11bに接して設けられた第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3の表示電極11cに接して設けられた第3のエレクトロクロミック層13cを独立して発消色させることができる。
すなわち、図4に示すように、隣接する電極を用いて駆動することが可能である。図4は、本実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の駆動方法を例示する斜視図であり、隣接する電極のうち何れか一方を作用極、他方を対向極(走査電極)としてパッシブマトリックス駆動する例を示している。なお、図4(a)は第1のエレクトロクロミック層13a(図示せず)を発色させる場合、図4(b)は第2のエレクトロクロミック層13b(図示せず)を発色させる場合、図4(c)は第3のエレクトロクロミック層13c(図示せず)を発色させる場合を示している。又、図4(a)〜図4(c)各々において、矢印は走査電極となる電極の走査方向を示しており、括弧は作用極(隣接する電極の一方)と対向極(走査電極である隣接する電極の他方)の対を示している。
図4に示す積層型のエレクトロクロミック表示装置10は、パッシブマトリックス駆動で容易に動作可能である。図4(a)に示すように、第1のエレクトロクロミック層13a(図示せず)を発色させる場合には、第1の表示電極11aを作用極とし第2の表示電極11bを対向極(走査電極)として第1のエレクトロクロミック層13a(図示せず)を駆動する。
又、図4(b)に示すように、第2のエレクトロクロミック層13b(図示せず)を発色させる場合には、第2の表示電極11bを作用極とし第3の表示電極11cを対向極(走査電極)として第2のエレクトロクロミック層13b(図示せず)を駆動する。
又、図4(c)に示すように、第3のエレクトロクロミック層13c(図示せず)を発色させる場合には、第3の表示電極11cを作用極とし対向電極12aを対向極(走査電極)として第3のエレクトロクロミック層13c(図示せず)を駆動する。
上記のような駆動方法とすることにより、各エレクトロクロミック層の駆動において、作用極及び対向極となる電極間に余分なエレクトロクロミック層(駆動対象ではないエレクトロクロミック層)が含まれなくなる。その結果、図3の比較例の場合と比べて、応答速度に優れたパッシブマトリックス駆動が可能となる。又、電極取り出し方向にも余裕が持てるため、電極取り出し部の形成が容易となる。
図5は、本実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の表示例を示す図である。図5(a)は第1のエレクトロクロミック層13aにマゼンタの色を書き込んだ様子を模式的に示しており、図5(b)はその時の表示状態を模式的に示している。なお、図5(a)において、『M』の部分がマゼンタの色を書き込んだマトリックスである。
同様に、図5(c)は第2のエレクトロクロミック層13bにイエローの色を書き込んだ様子を模式的に示しており、図5(d)はその時の表示状態を模式的に示している。なお、図5(c)において、『Y』の部分がイエローの色を書き込んだマトリックスである。このように、第1のエレクトロクロミック層13aにマゼンタの色を書き込み、第2のエレクトロクロミック層13bにイエローの色を書き込むことにより、平面視において互いに重複する『M』及び『Y』が書き込まれたマトリックスは赤色に表示される(図5(d)の『R』の部分)。
同様に、図5(e)は第3のエレクトロクロミック層13cにシアンの色を書き込んだ様子を模式的に示しており、図5(f)はその時の表示状態を模式的に示している。なお、図5(f)において、『C』の部分がシアンの色を書き込んだマトリックスである。このように、第1のエレクトロクロミック層13aにマゼンタの色を書き込み、第2のエレクトロクロミック層13bにイエローの色を書き込み、第3のエレクトロクロミック層13cにシアンの色を書き込むことにより、平面視において重複する『M』及び『Y』が書き込まれたマトリックスは赤色に表示される(図5(f)の『R』の部分)。
又、平面視において重複する『M』及び『C』が書き込まれたマトリックスは青色に表示される(図5(f)の『B』の部分)される。又、平面視において重複する『Y』及び『C』が書き込まれたマトリックスは緑色に表示される(図5(f)の『G』の部分)。又、平面視において重複する『M』、『Y』、及び『C』が書き込まれたマトリックスは黒色に表示される(図5(f)の『K』の部分)。
このように、エレクトロクロミック表示装置10では、第1のエレクトロクロミック層13a、第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3のエレクトロクロミック層13cは、表示基板11側に積層して設けられている。そのため、第1のエレクトロクロミック層13a、第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3のエレクトロクロミック層13cの発消色のパターンにより、第1のエレクトロクロミック層13aのみの発色、第2のエレクトロクロミック層13bのみの発色、第3のエレクトロクロミック層13cのみの発色、第1のエレクトロクロミック層13aと第2のエレクトロクロミック層13bの2層による発色、第1のエレクトロクロミック層13aと第3のエレクトロクロミック層13cの2層による発色、第2のエレクトロクロミック層13bと第3のエレクトロクロミック層13cの2層による発色、及び第1のエレクトロクロミック層13aと第2のエレクトロクロミック層13bと第3のエレクトロクロミック層13cの3層による発色に変化させることができ、多色表示が可能である。
又、第1のエレクトロクロミック層13a、第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3のエレクトロクロミック層13cとして、マゼンタ、イエロー、シアンに発色するエレクトロクロミック層を用い、第1の表示電極11aと第2の表示電極11bとの間の電位、第2の表示電極11bと第3の表示電極11cとの電位、及び第3の表示電極11cと対向電極12aとの電位を独立に制御することにより、エレクトロクロミック表示装置10は、フルカラー表示が可能である。
続けて、エレクトロクロミック表示装置10を構成する各要素の材料等について詳細に説明する。
表示基板11は、例えばガラス基板やプラスチック基板等の透明な材料からなる基板である。プラスチック基板としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン等や、ポリエステルであるポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等を用いることができる。なお、表示基板11としてプラスチックフィルムを用いると、軽量でフレキシブルなエレクトロクロミック表示装置を作製することができる。
第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、及び第3の表示電極11cを構成する材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、光の透過性を確保する必要があるため、透明かつ導電性に優れた透明導電性材料が用いられる。これにより、発色させる色の視認性をより高めることができる。
透明導電性材料としては、スズをドープした酸化インジウム(以下ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(以下FTO)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下ATO)等の無機材料を用いることができるが、特に、真空成膜により形成されたインジウム酸化物(以下、In酸化物という)、スズ酸化物(以下、Sn酸化物という)又は亜鉛酸化物(以下、Zn酸化物という)の何れか1つを含む無機材料であることが好ましい。In酸化物、Sn酸化物及びZn酸化物は、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であると共に、良好な透明性と電気伝導度が得られる材料である。又、特に好ましい材料は、InSnO、GaZnO、SnO、In2O3、ZnOである。
対向基板12の材料としては、特に限定されるものではなく、対向電極12aの材料としては、導電性を有する材料であれば、特に限定されるものではない。対向基板12として、ガラス基板、プラスチックフィルムが用いられる場合、対向電極12aの材料として、ITO、FTO、酸化亜鉛等の透明導電膜、或いは亜鉛、白金等の導電性金属膜、更にはカーボン等が用いられる。これらの透明導電膜又は導電性金属からなる対向電極12aは、対向基板12にコーティングされ用いられる。一方、対向電極12aとして、亜鉛等の金属板が用いられる場合、対向基板12が対向電極12aを兼ねる。
更に、対向電極12aの材料が、第1のエレクトロクロミック層13a、第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3のエレクトロクロミック層13cの起こす酸化還元反応と逆の逆反応を起こす材料である場合、安定した発消色が可能である。すなわち、第1のエレクトロクロミック層13a、第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3のエレクトロクロミック層13cが酸化により発色する場合は還元反応を起こし、第1のエレクトロクロミック層13a、第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3のエレクトロクロミック層13cが還元により発色する場合は酸化反応を起こす材料を対向電極12aとして用いると、第1のエレクトロクロミック層13a、第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3のエレクトロクロミック層13cにおける発消色の反応は、より安定となる。
第1のエレクトロクロミック層13a、第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3のエレクトロクロミック層13cには、酸化還元により色の変化を起こす材料が用いられる。このような材料として、ポリマー系、色素系、金属錯体、金属酸化物等の公知のエレクトロクロミック化合物が用いられる。
具体的に、ポリマー系、色素系のエレクトロクロミック化合物として、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系、等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物が用いられる。
上記中、特に、好ましくは、式[化1](一般式)で表されるジピリジン系化合物を含むことが良い。これらの材料は発消色電位が低いため、複数の表示電極を有するエレクトロクロミック表示装置を構成した場合においても、還元電位により良好な発色の色値を示す。
これらの化合物は電極に接して形成されるが、特に好ましくは、ナノ構造半導体材料にエレクトロクロミック化合物が吸着又は結合して電極に接していることが良い。エレクトロクロミック化合物は、エレクトロクロミック化合物が移動しないよう固定されると共に、エレクトロクロミック化合物の酸化還元に伴う電子の授受が妨げられなければように電気的な接続が確保されていればよく、エレクトロクロミック化合物とナノ構造半導体材料とは混合されて単一層となっていても良い。
ナノ構造半導体材料の材料としては、特に限定されるものではないが、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アルミニウム(以下アルミナ)、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ケイ素(以下シリカ)、酸化イットリウム、酸素ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケート等を主成分とする金属酸化物が用いられる。
又、これらの金属酸化物は、単独で用いられてもよく、2種以上が混合され用いられてもよい。電気伝導性等の電気的特性や光学的性質等の物理的特性を鑑みるに、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステン、から選ばれる一種、若しくはそれらの混合物が用いられたとき、発消色の応答速度に優れた多色表示が可能である。又、ナノ構造半導体材料の形状は、特に限定されるものではないが、エレクトロクロミック化合物を効率よく担持するために、単位体積当たりの表面積(以下比表面積)が大きい形状が用いられる。大きな比表面積を有することにより効率的にエレクトロクロミック化合物が担持され、発消色の表示コントラスト比に優れた表示が可能である。
第1のエレクトロクロミック層13a、第2のエレクトロクロミック層13b、及び第3のエレクトロクロミック層13cのそれぞれの好ましい膜厚範囲は、0.2〜5.0μmである。この範囲よりも膜厚が薄い場合、発色濃度を得にくくなる。又、この範囲よりも膜厚が厚い場合、製造コストが増大すると共に、着色によって視認性が低下しやすい。
第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、第3の表示電極11c、及び対向電極12aのそれぞれの間の電極間抵抗は、それぞれの表示電極の電位を、隣接する表示電極或いは対向電極の電位と独立に制御することができる程度に大きな抵抗でなくてはならないが、少なくとも第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、第3の表示電極11c、及び対向電極12aの何れかの各電極のシート抵抗よりも大きくなるように形成されなくてはならない。
第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、第3の表示電極11c、及び対向電極12aのそれぞれの間の電極間抵抗が、第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、第3の表示電極11c、及び対向電極12aの何れかの表示電極のシート抵抗よりも小さい場合、第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、第3の表示電極11c、及び対向電極12aの何れかの電極間に電圧印加をすると、同程度の電圧が他方の表示電極にも印加されてしまい、各表示電極に対応するエレクトロクロミック層を独立に発消色することができない。
第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、第3の表示電極11c、及び対向電極12aのそれぞれの間の電極間抵抗は、第1の表示電極11a、第2の表示電極11b、第3の表示電極11c、及び対向電極12aのそれぞれのシート抵抗の500倍以上あることが好ましい。抵抗値を確保するためには絶縁層を形成することが好ましい。
絶縁層の材料としては、多孔質であれば特に好ましいが、これに限定されるものではなく、絶縁性、耐久性及び成膜性に優れた材料を用いることができ、特に、少なくともZnSを含む材料を用いることができる。ZnSは、スパッタ法によって、エレクトロクロミック層にダメージを与えることなく高速に成膜できるという特徴を有する。更に、ZnSを主な成分として含む材料として、ZnO−SiO2、ZnS−SiC、ZnS−Si、ZnS−Ge等を用いることができる。
ここで、ZnSの含有率は、絶縁層を形成した際の結晶性を良好に保つために、約50〜90mol%とすることが好ましい。従って、特に好ましい材料は、ZnS−SiO2(8/2)、ZnS−SiO2(7/3)、ZnS、ZnS−ZnO−In2O3−Ga2O3(60/23/10/7)である。このような絶縁層の材料を用いることにより、薄膜で良好な絶縁効果が得られ、多層化による膜強度低下(すなわち膜のはがれ)を防止することができる。
一方、絶縁層を多孔質膜にすることは、絶縁層を粒子膜として形成することによって行うことができる。特にZnS等をスパッタで形成する場合、予め下引き層として粒子膜を形成することによって、ZnS等の多孔質膜を形成することができる。この場合、ナノ構造半導体材料を粒子膜として形成することもできるが、絶縁層の一部としてシリカ、アルミナ等を含む多孔質粒子膜を形成することもできる。このような手法を用いて絶縁層を多孔質膜にすることにより、電解質層14が絶縁層に浸透することが可能となるため、酸化還元反応に伴う電解質層中のイオンとしての電荷の移動が容易となり、発消色の応答速度に優れた多色表示が可能である。更に、絶縁層は薄膜ポリマー層と積層することもできる。又、絶縁層は薄膜ポリマー層と混合することもできる。
なお、絶縁層の膜厚は20〜500nmとすることができ、更に好ましくは20〜150nmの範囲とすることができる。この範囲よりも膜厚が薄い場合、絶縁性を得にくくなる。又、この範囲よりも膜厚が厚い場合、製造コストが増大すると共に、着色によって視認性が低下する。
電解質層14としては、支持塩を溶媒に溶解させた層が用いられる。このため、イオン伝導度が高い。電解質層14の材料としては、支持塩として、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的に、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3COO、KCl、NaClO3、NaCl、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(ClO4)2、Mg(BF4)2、過塩素酸テトラブチルアンモニウム等を用いることができる。
又、溶媒として、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ―ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1、2−ジメトキシエタン、1、2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、が用いられる。その他、支持塩を溶媒に溶解させた液体状の電解質に特に限定されるものではないため、ゲル状の電解質や、ポリマー電解質等の固体電解質も用いられる。
電解質層14はゲル状、固体状に形成することが、素子強度向上、信頼性向上、発色拡散の防止から好ましい。固体化手法としては、電解質と溶媒をポリマー樹脂中に保持することが良い。高いイオン伝導度と固体強度が得られるためである。更に、ポリマー樹脂は光硬化可能な樹脂が良い。熱重合や、溶剤を蒸発させることにより薄膜化する方法に比べて、低温かつ短時間で素子を製造できるためである。
樹脂としては、特に限定されないが、ウレタン、エチレングリコール、プレングリコール、ビニルアルコール、アクリル、エポキシなどのポリマーを挙げることができる。又、電解質層14中に白色顔料粒子を分散させることで、白色反射層の機能を持たせることもできる。白色の顔料粒子としては、特に限定されないが、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化セシウム、酸化イットリウム等の金属酸化物が挙げられる。光硬化樹脂により電解質層14を硬化する場合は白色顔料を増量すると光を遮蔽するため硬化不良となりやすい。電解質層14の厚さにも依存するが、好ましい含有量は10〜50wt%である。又、電解質層14の膜厚は0.1〜200μmの範囲とすることができる。好ましくは1〜50μmである。電解質層14がこれよりも厚いと電荷が拡散しやすい、又、これよりも薄いと電解質の保持が困難になるためである。
このように、本実施の形態によれば、積層型のエレクトロクロミック表示装置において、各電極は複数の導体パターン(本実施の形態では3本)が所定の間隔を空けて並設された導体パターン列から構成されており、かつ、隣接する電極において各々の導体パターン列は平面視において互いに直交するように配置されている。そして、本実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置において、隣接する電極の一方を作用極とし、他方を対向極(走査電極)として作用極と対向極との間に配置される(挟持される)エレクトロクロミック層をパッシブマトリックス駆動する。
これにより、各エレクトロクロミック層の駆動において、作用極及び対向極となる電極間に余分なエレクトロクロミック層(駆動対象ではないエレクトロクロミック層)が含まれなくなる。その結果、応答速度に優れたパッシブマトリックス駆動が可能となる。又、電極取り出し方向にも余裕が持てるため、電極取り出し部の形成が容易となる。
[実施例]
(表示電極及びエレクトロクロミック層の形成)
まず、40mm×40mmのガラス基板(表示基板)を準備した。そして、準備したガラス基板上に2mm×36mmの3本の開口部を有する櫛形のメタルマスクを用いてITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように成膜し、3本の導体パターンが所定の間隔を空けて並設された導体パターン列から構成された第1の表示電極を形成した。この第1の表示電極の電極端部間のシート抵抗を測定したところ、約200Ωであった。
(表示電極及びエレクトロクロミック層の形成)
まず、40mm×40mmのガラス基板(表示基板)を準備した。そして、準備したガラス基板上に2mm×36mmの3本の開口部を有する櫛形のメタルマスクを用いてITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように成膜し、3本の導体パターンが所定の間隔を空けて並設された導体パターン列から構成された第1の表示電極を形成した。この第1の表示電極の電極端部間のシート抵抗を測定したところ、約200Ωであった。
次に、第1の表示電極が形成されたガラス基板上に、酸化チタンナノ粒子分散液としてSP210(商品名:昭和タイタニウム社製)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子膜を形成した。引続いて、4,4'-(1-phenyl-1H-pyrrole-2,5-diyl)bis(1-(4-(phosphonomethyl)benzyl)pyridinium)bromideで表されるビオロゲン化合物の1wt%2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液を塗布液としてスピンコートした。そして、120℃で10分間アニール処理を行い、更に2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールにてリンスし、120℃で5分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子とエレクトロクロミック化合物からなる第1のエレクトロクロミック層を形成した。
更に、第1のエレクトロクロミック層上にSiO2粒子のMEK分散ペースト(MEK−ST:日産化学社製、平均粒子径:約10nm)に結着ポリマーとしてウレタン樹脂を添加した塗布液をスピンコート法により塗布した。そして、120℃で5分間アニール処理して約500nmのSiO2粒子層を形成し、更にSiO2粒子層上にスパッタ法にてZnS・SiO2(8/2)を約30nmの厚さで形成することによって、2層構成からなる浸透性絶縁層を形成した。
次に、第1の表示電極と平面視において直交するように2mm×36mmの3本の開口部を有する櫛形のメタルマスクを用いてITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように成膜し、3本の導体パターンが所定の間隔を空けて並設された導体パターン列から構成された第2の表示電極を形成した。この第2の表示電極の電極端部間のシート抵抗を測定したところ、約200Ωであった。
次に、このように形成された第2の表示電極上に、酸化チタンナノ粒子分散液としてSP210(商品名:昭和タイタニウム社製)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子膜を形成した。引続いて、4,4'-(4,4'-(1,3,4-oxadiazole-2,5-diyl)bis(4,1-phenylene))bis(1-(8-phosphonooctyl)pyridinium) bromideで表されるビオロゲン化合物の1wt%2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液を塗布液としてスピンコートした。そして、120℃で10分間アニール処理を行い、更に2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールにてリンスし、120℃で5分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子とエレクトロクロミック化合物からなる第2のエレクトロクロミック層を形成した。
更に、第2のエレクトロクロミック層上にSiO2粒子のMEK分散ペースト(MEK−ST:日産化学社製、平均粒子径:約10nm)に結着ポリマーとしてウレタン樹脂を添加した塗布液をスピンコート法により塗布した。そして、120℃で5分間アニール処理して約500nmのSiO2粒子層を形成し、更にSiO2粒子層上にスパッタ法にてZnS・SiO2(8/2)を約30nmの厚さで形成することによって、2層構成からなる浸透性絶縁層を形成した。
更に、第2の表示電極と平面視において直交するように(第1の表示電極と平行になるように)2mm×36mmの3本の開口部を有する櫛形のメタルマスクを用いてITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように成膜し、3本の導体パターンが所定の間隔を空けて並設された導体パターン列から構成された第3の表示電極を形成した。この第3の表示電極の電極端部間のシート抵抗を測定したところ、約200Ωであった。
次に、このように形成された第3の表示電極上に、酸化チタンナノ粒子分散液としてSP210(商品名:昭和タイタニウム社製)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子膜を形成した。引続いて、4,4'-(isoxazole-3,5-diyl)bis(1-(2-phosphonoethyl)pyridinium) bromideで表されるビオロゲン化合物の1wt%2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液を塗布液としてスピンコートした。そして、120℃で10分間アニール処理を行い、更に2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールにてリンスし、120℃で5分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子とエレクトロクロミック化合物からなる第3のエレクトロクロミック層を形成した。
次に、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液に結着ポリマーとして、ウレタンペースト(DIC社製:HW140SF)を3wt%溶解した溶液を準備した。そして、この溶液に酸化チタン粒子(商品名:CR50;石原産業株式会社製、平均粒子径:約250nm)を20wt%分散したペーストを第3のエレクトロクロミック層表面にスピンコート法により塗布し、120℃で5分間アニール処理を行うことにより、約1μmの白色反射層を形成した。
(対向電極の形成)
第1〜第3の表示電極等を形成したガラス基板とは別に、32mm×40mmのガラス基板(対向基板)を準備した。そして、準備したガラス基板上に、第3の表示電極と平面視において直交するように(第2の表示電極と平行になるように)2mm×36mmの3本の開口部を有する櫛形のメタルマスクを用いてITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように成膜し、3本の導体パターンが所定の間隔を空けて並設された導体パターン列から構成された対向電極を形成した。この対向電極の電極端部間のシート抵抗を測定したところ、約200Ωであった。
第1〜第3の表示電極等を形成したガラス基板とは別に、32mm×40mmのガラス基板(対向基板)を準備した。そして、準備したガラス基板上に、第3の表示電極と平面視において直交するように(第2の表示電極と平行になるように)2mm×36mmの3本の開口部を有する櫛形のメタルマスクを用いてITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように成膜し、3本の導体パターンが所定の間隔を空けて並設された導体パターン列から構成された対向電極を形成した。この対向電極の電極端部間のシート抵抗を測定したところ、約200Ωであった。
(エレクトロクロミック表示装置の作製)
次に、過塩素酸テトラブチルアンモニウムをジメチルスルホキシドに0.1Mで溶解して調製した電解質溶液を滴下し、第1〜第3の表示電極及び第1〜第3のエレクトロクロミック層を形成した表示基板と、対向電極を形成した対向基板とを貼り合わせることでエレクトロクロミック表示装置を作製した。
次に、過塩素酸テトラブチルアンモニウムをジメチルスルホキシドに0.1Mで溶解して調製した電解質溶液を滴下し、第1〜第3の表示電極及び第1〜第3のエレクトロクロミック層を形成した表示基板と、対向電極を形成した対向基板とを貼り合わせることでエレクトロクロミック表示装置を作製した。
本実施例で作製したエレクトロクロミック表示装置は、表示基板、第1の表示電極、第1のエレクトロクロミック層、第2の表示電極、第2のエレクトロクロミック層、第3の表示電極、第3のエレクトロクロミック層が積層された構造を有する。図6に、本実施例で作製したエレクトロクロミック表示装置の電極配置を模式的に示す。
図6(a)〜図6(d)は、各電極の配置を別々に示した平面図である。図6(a)に示す、導体パターン11a1、11a2、及び11a3を有する導体パターン列11aが第1の表示電極である。図6(b)に示す、導体パターン11b1、11b2、及び11b3を有する導体パターン列11bが第2の表示電極である。図6(c)に示す、導体パターン11c1、11c2、及び11c3を有する導体パターン列11cが第3の表示電極である。図6(d)に示す、導体パターン12a1、12a2、及び12a3を有する導体パターン列12aが対向電極である。
図6(a)〜図6(d)に示すように、本実施例で作製したエレクトロクロミック表示装置において、各電極は3本の導体パターンが所定の間隔を空けて並設された導体パターン列から構成されており、かつ、隣接する電極において各々の導体パターン列は平面視において互いに直交するように配置されている。
図6(e)は、第1の表示電極(図中の11a)、第2の表示電極(図中の11b)、第3の表示電極(図中の11c)、及び対向電極(図中の12a)の全てが形成された状態を平面視した図である。図6(e)において、第1の表示電極(図中の11a)、第2の表示電極(図中の11b)、第3の表示電極(図中の11c)、及び対向電極(図中の12a)の全てが平面視において重複している領域が表示領域となる。
又、第1の表示電極(図中の11a)、第2の表示電極(図中の11b)、第3の表示電極(図中の11c)、及び対向電極(図中の12a)の各々の電極取り出し部(表示回路等と電気的に接続される部分)は、平面視において互いに重複しないように表示領域の外側に配置されている。本実施例において、表示領域は平面視において矩形状であり、各々の電極取り出し部は、平面視において矩形状の表示領域の各縁辺の外側に配置されている。なお、21aが第1の表示電極(図中の11a)の取り出し部、21bが第2の表示電極(図中の11b)の取り出し部、21cが第3の表示電極(図中の11c)の取り出し部、22aが対向電極(図中の12a)の取り出し部である。
このように、本実施例で作製したエレクトロクロミック表示装置では、隣接する電極同士が互いに平面視において直交するように配置されているため、対向電極を除く隣接する電極同士が互いに平面視において平行に配置されている場合と比べて、電極取り出し部の形成が容易である。
(発消色試験)
本実施例で作製したエレクトロクロミック表示装置に電圧を印加し、発色の評価を実施した。印加電圧は3.0Vとし、印加時間は2秒とした。なお、隣接する電極の一方は負極に接続され、他方は正極に接続された。
本実施例で作製したエレクトロクロミック表示装置に電圧を印加し、発色の評価を実施した。印加電圧は3.0Vとし、印加時間は2秒とした。なお、隣接する電極の一方は負極に接続され、他方は正極に接続された。
まず、第2の表示電極を走査電極として用い第2の表示電極の導体パターン11b1を正極に接続し、第1の表示電極の導体パターン11a2を負極に接続したところ導体パターン11b1と導体パターン11a2の交点部分でマゼンタに発色した。同様に第2の表示電極を走査電極とし、導体パターン11b2と導体パターン11a1、導体パターン11b2と導体パターン11a3、導体パターン11b3と導体パターン11a2の各々の交点部分をマゼンタに発色させた。
次に、第3の表示電極を走査電極として用い第3の表示電極の導体パターン11c3を正極に接続し、第2の表示電極の導体パターン11b1を負極に接続したところ、導体パターン11c3と11b1の交点部分でイエローに発色した。同様に第3の表示電極を走査電極とし、導体パターン11c2と導体パターン11b2、導体パターン11c2と導体パターン11b3、導体パターン11c1と導体パターン11b2の各々の交点部分をイエローに発色させた。既にマゼンタが発色していた導体パターン11c2と導体パターン11b3及び導体パターン11c1と導体パターン11b2の各々の交点部分はマゼンタとイエローの混色により赤色を呈した。
次に、対向電極を走査電極として用い対向電極の導体パターン12a1を正極に接続し、第3の表示電極の導体パターン11c1を負極に接続したところ、導体パターン12a1と導体パターン11c1の交点部分でシアンに発色した。同様に対向電極を走査電極とし、導体パターン12a2と導体パターン11c2、導体パターン12a2と導体パターン11c3、導体パターン12a3と導体パターン11c2の各々の交点部分をシアンに発色させた。
既にイエローが発色していた導体パターン12a2と導体パターン11c2の交点部分はシアンとイエローとの混色により緑色を、既にマゼンタが発色していた導体パターン12a2と導体パターン11c3の交点部分はシアンとマゼンタとの混色により青色を呈した。又、既にイエロー及びマゼンタが発色していた導体パターン12a3と導体パターン11c2の交点部分はシアンとイエロー及びマゼンタとの混色により黒色を呈した。又、独立して一旦発色された発色を安定に保持することができた。
以上、好ましい実施の形態及び実施例について詳説したが、上述した実施の形態及び実施例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上記実施の形態及び実施例では、電気化学機能層であるエレクトロクロミック層を3層有するエレクトロクロミック表示装置を例示したが、これには限定されず、エレクトロクロミック層は、発現したい機能の数により層数を変えることができる。つまり、エレクトロクロミック層は、1層又は2層、或いは4層以上とすることができる。
又、上記実施の形態及び実施例では、各電極を3本の平行な導体パターンから構成する例を示したが、各電極を4本以上の平行な導体パターンから構成できることは言うまでもない。
10 エレクトロクロミック表示装置
11 表示基板
11a 第1の表示電極
11b 第2の表示電極
11c 第3の表示電極
11a1、11a2、11a3、11b1、11b2、11b3、11c1、11c2、11c3、12a1、12a2、12a3 導体パターン
12 対向基板
12a 対向電極
13a 第1のエレクトロクロミック層
13b 第2のエレクトロクロミック層
13c 第3のエレクトロクロミック層
14 電解質層
16 スペーサ
21a、21b、21c、22a 取り出し部
11 表示基板
11a 第1の表示電極
11b 第2の表示電極
11c 第3の表示電極
11a1、11a2、11a3、11b1、11b2、11b3、11c1、11c2、11c3、12a1、12a2、12a3 導体パターン
12 対向基板
12a 対向電極
13a 第1のエレクトロクロミック層
13b 第2のエレクトロクロミック層
13c 第3のエレクトロクロミック層
14 電解質層
16 スペーサ
21a、21b、21c、22a 取り出し部
Claims (5)
- 表示基板と、
前記表示基板と対向配置された対向基板と、
複数の導体パターンが所定の間隔を空けて並設された導体パターン列から構成され、各々がエレクトロクロミック層を有し、前記表示基板と前記対向基板との間に互いに離間して配置された複数の表示電極と、
複数の導体パターンが所定の間隔を空けて並設された導体パターン列から構成され、前記対向基板上に前記複数の表示電極に対向して設けられた対向電極と、
隣接する前記表示電極、及び前記対向電極に隣接する前記表示電極と前記対向電極とに挟持された電解質層と、を有し、
前記隣接する前記表示電極において、各々の前記導体パターン列は平面視において互いに直交するように配置され、
前記対向電極に隣接する前記表示電極と前記対向電極において、各々の前記導体パターン列は互いに直交するように配置されているエレクトロクロミック表示装置。 - 隣接する前記表示電極に挟持された前記エレクトロクロミック層を駆動する場合には、隣接する前記表示電極のうち前記対向電極と反対側を作用極、前記対向電極側を対向極として駆動し、
前記対向電極に隣接する前記表示電極と前記対向電極とに挟持された前記エレクトロクロミック層を駆動する場合には、前記対向電極に隣接する前記表示電極を作用極、前記対向電極を対向極として駆動する請求項1記載のエレクトロクロミック表示装置。 - 前記複数の表示電極及び前記対向電極の平面視において重複する領域は表示領域であり、
前記複数の表示電極及び前記対向電極の各々の電極取り出し部は、平面視において互いに重複しないように前記表示領域の外側に配置されている請求項1又は2記載のエレクトロクロミック表示装置。 - 前記表示領域は平面視において矩形状であり、
前記各々の電極取り出し部は、平面視において矩形状の前記表示領域の各縁辺の外側に配置されている請求項3記載のエレクトロクロミック表示装置。 - 表示基板と、
前記表示基板と対向配置された対向基板と、
複数の導体パターンが所定の間隔を空けて並設された導体パターン列から構成され、各々がエレクトロクロミック層を有し、前記表示基板と前記対向基板との間に互いに離間して配置された複数の表示電極と、
複数の導体パターンが所定の間隔を空けて並設された導体パターン列から構成され、前記対向基板上に前記複数の表示電極に対向して設けられた対向電極と、
隣接する前記表示電極、及び前記対向電極に隣接する前記表示電極と前記対向電極とに挟持された電解質層と、を有し、
前記隣接する前記表示電極において、各々の前記導体パターン列は平面視において互いに直交するように配置され、
前記対向電極に隣接する前記表示電極と前記対向電極において、各々の前記導体パターン列は互いに直交するように配置されているエレクトロクロミック表示装置の駆動方法であって、
隣接する前記表示電極に挟持された前記エレクトロクロミック層を駆動する場合には、隣接する前記表示電極のうち前記対向電極と反対側を作用極、前記対向電極側を対向極として駆動し、
前記対向電極に隣接する前記表示電極と前記対向電極とに挟持された前記エレクトロクロミック層を駆動する場合には、前記対向電極に隣接する前記表示電極を作用極、前記対向電極を対向極として駆動するエレクトロクロミック表示装置の駆動方法。
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JP2012162025A JP2014021398A (ja) | 2012-07-20 | 2012-07-20 | エレクトロクロミック表示装置及びその駆動方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021040011A1 (ja) | 2019-08-30 | 2021-03-04 | 国立大学法人筑波大学 | 高温耐性、高収量性および単為結果性を示す果実類植物 |
US11269229B2 (en) | 2017-02-23 | 2022-03-08 | Ricoh Company, Ltd. | Electrochromic display device and production method of electrochromic display device |
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2012
- 2012-07-20 JP JP2012162025A patent/JP2014021398A/ja active Pending
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WO2021040011A1 (ja) | 2019-08-30 | 2021-03-04 | 国立大学法人筑波大学 | 高温耐性、高収量性および単為結果性を示す果実類植物 |
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