JP6478042B2 - エレクトロクロミック素子の駆動方法 - Google Patents

エレクトロクロミック素子の駆動方法 Download PDF

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本発明は、エレクトロクロミック素子の駆動方法に関する。
電圧を印加することで、可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムという。エレクトロクロミズムは、一般に対向する2つの電極間に形成され、イオン伝導可能な電解質層が電極間に満たされた構成で酸化還元反応する。対向する2つの電極のうち、一方の電極の近傍で還元反応が生じるときには、他方の電極の近傍では、逆反応である酸化反応が生じる。エレクトロクロミック素子はこのエレクトロクロミズムを利用しており、エレクトロクロミズムの特徴に由来する応用が実現できるとして、今日まで多くの研究がなされている。
このようなエレクトロクロミック素子において、透明な表示デバイスを得ようとする場合、無色透明の状態を有する材料により構成されることが必要である。このような材料としては、中性状態が透明状態であり、還元状態で発色するエレクトロクロミック現象を示すビオロゲン化合物などが挙げられる。前記ビオロゲン化合物との組み合わせにおいては、酸化チタンが好適に用いられる。これらの中でも、積層構成において、エレクトロクロミック化合物の担持粒子として、酸化チタン粒子を用いることで、高い光学的濃度や高コントラスト比を維持できることが知られている。
さらに高い光学的濃度や高コントラスト比を得るために、両電極表面に酸化性又は還元性エレクトロクロミック材料を有するエレクトロクロミック素子とすることも可能である。
しかし、両極での酸化還元反応速度が異なるため、発色駆動、消色駆動をするにつれて両極で電荷の不均衡が生じ、結果として消色駆動を行ってもわずかに発色している状態(消色残り)が生じやすい。
一方、エレクトロクロミックデバイス(エレクトロクロミック素子)を発色状態から消色状態へ反応させる駆動方法は、これまでも様々な検討がなされている。
特許文献1〜3では、定電流を一定時間出力する消色パルスを間欠的に繰り返し印加する方法について提案されている。
しかし、エレクトロクロミックを高速で発色又は消色させる場合、定電流を印加する駆動方法だと、エレクトロクロミックデバイスの抵抗が変化するため印加する電圧も変化する。この変化した電圧が高電圧化するとエレクトロクロミックデバイスが劣化してしまう。また、電圧に制限を設けると電流が流れにくくなるため、エレクトロクロミックの発色又は消色の応答性が著しく低下してしまうという課題がある。
特許文献4から6では、発色電圧より大きい逆極性の消色電圧を短時間印加することで発色と消色させる駆動方法が提案されている。
しかし、発色電圧よりも大きい逆極性の消色電圧を印加すると消色残りが解消されるが、エレクトロクロミック素子の劣化が加速されてしまう。
特許文献7では、発色駆動時に酸化還元反応が起こる電位の絶対値に適当な値を加えた値の電位と上記絶対値から適当な値を減じた値の電位の間で電位を交互に変化させた波形を印加し、消色駆動時に、自然電位を印加する駆動方法が提案されている。
しかし、両電極表面に酸化性又は還元性エレクトロクロミック材料を有するエレクトロクロミック素子の電荷の不均衡による消色残りなど、自然電位で消すことができない消色残りに対しては効果がない。
特許文献8では、エレクトロクロミック表示体の表示に際し、kHzからMHzオーダーの対称性高周波電圧(正弦波、方形波、三角波)をその波高値、周波数、パルス数を制御して、電流方向限定素子を介して前記エレクトロクロミック表示体に印加して階調を調整する方法が提案されている。
しかし、一般的なエレクトロクロミック素子の応答速度からすると周波数が高すぎることに加え、電流方向の制御方法に関連する具体的な記述がなく、また、仮に可能であっても非常に高感度な電流検知を行う必要があるためコストが非常に高くなってしまうという大きな課題が残されている。
特許文献9では、所定の発色状態を出す前の初期化駆動処理における初期化パルスとして、消色方向のレベルを持つ複数のパルスを印加し、かつ、該複数のパルスのボトムレベルの内の少なくとも1つは0V以下とする駆動方法が提案されている。
しかし、両電極表面に酸化性又は還元性エレクトロクロミック材料を有するエレクトロクロミック素子の電荷の不均衡による消色残りという課題に対する駆動方法としては、0V以下(発色とは逆極性の電圧印加)で駆動させることが不可欠であるため、さらに劣化させずに消色残りをなくすことができる駆動方法が求められる。
このように、前述のような両電極表面に酸化性又は還元性エレクトロクロミック材料を有するエレクトロクロミック素子を劣化させずに消色残りをなくす駆動方法が提供されていないのが現状である。
本発明は従来における前記諸問題点を鑑みてなされたものであり、両電極表面に酸化性又は還元性エレクトロクロミック材料を有するエレクトロクロミック素子を劣化させずに消色残りを抑制することができるエレクトロクロミック素子の駆動方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、第1の電極と、該第1の電極に対して間隔をおいて対向する第2の電極と、該2つの電極の間に設けられる電解質と、少なくとも酸化性のエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を含み、前記2つの電極のうち一方の電極表面に形成される第1のエレクトロクロミック層と、少なくとも還元性のエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を含み、前記2つの電極のうち他方の電極表面に形成される第2のエレクトロクロミック層と、を備えるエレクトロクロミック素子を駆動させるエレクトロクロミック素子の駆動方法であって、
(1)前記2つの電極間の電圧V0を測定する工程、
(2)前記2つの電極間に、前記第1のエレクトロクロミック層及び第2のエレクトロクロミック層のうち少なくとも一方におけるエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物が色変化を起こすために必要な閾値電圧V1以上の電圧V2を印加する工程、
(3)前記2つの電極間に、前記V0を印加する工程、
(4)前記V2と逆極性であり且つ前記V2よりも絶対値が小さい電圧V3と、前記V1と同極性であり且つ前記V1よりも低い電圧V4とを交互に印加する工程、
(5)(4)工程における前記V3とV4の印加数が所定の回数に到達した後、前記V0を印加する工程、
を少なくとも有し、(1)工程から(5)工程までをこの順番で行うことを特徴とする。
本発明によれば、両電極表面に酸化性又は還元性エレクトロクロミック材料を有するエレクトロクロミック素子を劣化させずに消色残りを抑制することができるエレクトロクロミック素子の駆動方法を提供することができる。
エレクトロクロミック素子の一例を示す概略図である。 エレクトロクロミック素子の他の例を示す概略図である。 エレクトロクロミック素子の他の例を示す概略図である。 実施例1における駆動波形の概略図である。 実施例2における駆動波形の概略図である。 実施例3における駆動波形の概略図である。 比較例1における駆動波形の概略図である。 比較例2における駆動波形の概略図である。
以下、本発明に係るエレクトロクロミック素子の駆動方法について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
(エレクトロクロミック素子の各構成)
本発明の駆動方法により駆動されるエレクトロクロミック素子は、第1の電極11と、第1の電極11に対して間隔をおいて対向する第2の電極13と、該2つの電極の間に設けられる電解質15と、第1のエレクトロクロミック層21と、第2のエレクトロクロミック層22とを備える。
第1のエレクトロクロミック層21は、少なくとも酸化性のエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を含み、前記2つの電極のうち一方の電極表面に形成される。また、第2のエレクトロクロミック層22は、少なくとも還元性のエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を含み、前記2つの電極のうち他方の電極表面に形成される。また、さらに必要に応じてその他の部材を有する。
図1は本実施形態におけるエレクトロクロミック素子の構成を模式的に示す断面図である。図1では、第1の支持体10と、第1の支持体10に形成された第1の電極11と、第1の電極11に接して設けられた第1のエレクトロクロミック層21と、もう一方の支持体である第2の支持体14と、第2の支持体14に形成された第2の電極13と、第2の電極13に接して設けられた第2のエレクトロクロミック層22と、第1の電極11と第2の電極13に挟持されてなる電解質15が図示されている。
このうち、第1の支持体10と第1の電極11、及び、第2の支持体14と第2の電極13の組み合わせのうち、少なくとも一方は透明である。ここで両方透明にすることで、透過型エレクトロクロミック素子とすることも可能であり、本発明の駆動方法は支持体や電極に制限されない。
本発明のエレクトロクロミック素子の駆動方法を適用し得るエレクトロクロミック素子の各構成について以下説明する。
<支持体>
前記第1の支持体10、第2の支持体14としては、各層を支持できる材料であれば、周知の有機材料や無機材料をそのまま用いることができる。例えば、透明性を必要とする支持体の場合、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、フロートガラス、ソーダ石灰ガラス等のガラス支持体を用いることができる。また、支持体として、ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂支持体を用いてもよい。
また、前記支持体の表面に、水蒸気バリア性、ガスバリア性、紫外線耐性、視認性を高めるために透明絶縁層、UVカット層、反射防止層等がコーティングされていてもよい。前記支持体の形状は、長方形であっても丸型であってもよく、特に限定されない。
透明性を必要としない前記支持体としては特に制限はなく、前記透明性を有した材料に加え、一般的なエンジニアリングプラスチックなどを用いることもできる。
<電極層>
第1の電極11及び第2の電極13としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することが可能であるが、2つの電極のうち少なくとも1つは透明電極であることが好ましく、第1の電極11及び第2の電極13が共に透明電極であってもよい。第1の電極11、第2の電極13の材料としては、導電性を有する材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、透明性を必要とする電極の材料としては、光の透過性を確保する必要があるため、透明且つ導電性に優れた透明導電性材料が用いられる。これにより、エレクトロクロミック層が発色する色の視認性をより高めることができる。
透明導電性材料としては、スズをドープした酸化インジウム(以下ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(以下FTO)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下ATO)等の無機材料を用いることができるが、特に、真空成膜により形成されたインジウム酸化物(以下、In酸化物という)、スズ酸化物(以下、Sn酸化物という)又は亜鉛酸化物(以下、Zn酸化物という)のいずれか1つを含む無機材料であることが好ましい。In酸化物、Sn酸化物及びZn酸化物は、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であると共に、良好な透明性と電気伝導度が得られる材料である。また、特に好ましい材料は、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnOである。
真空製膜を用いた場合、膜厚は20nm〜500nmが導電性と透明性を両立するためには好ましく、50nm〜200nmがより好ましい。
また、透明性を有する銀、金、銅、カーボンナノチューブ、金属酸化物などのネットワーク電極又はこれらの複合層も有用である。前記ネットワーク電極とは、カーボンナノチューブや他の高導電性の非透過性材料等を微細なネットワーク状に形成して透過率を持たせた電極である。さらに、電極層をネットワーク電極と前記導電性酸化物の積層構成もよい。積層構成にすることにより、エレクトロクロミック層をムラなく発消色させることができる。
透明性を必要としない電極の材料としては金属材料を含むことができる。例えば、Pt、Ag、Cu、Au、Cr、ロジウム又はこれらの合金、あるいはこれらの積層構成などが挙げられる。作製方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などが挙げられる。
<エレクトロクロミック層>
エレクトロクロミック層には酸化反応又は還元反応により色の変化を起こす材料が用いられる。このような材料として、ポリマー系、色素系、金属錯体、金属酸化物等の公知のエレクトロクロミック化合物が用いられる。
具体的には、ポリマー系、色素系のエレクトロクロミック化合物として、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系、等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物が用いられる。
上記中、特に、好ましくは、下記一般式(1)で表されるジピリジン系化合物を含むことが良い。これらの材料は発消色電位が低いため、複数の表示電極を有するエレクトロクロミック素子を構成した場合においても、還元電位により良好な発色の色値を示す。
式中、R1、R2は、それぞれ独立に置換基を有しても良い炭素数1から30のアルキル基又はアリール基を表す。Xは1価のアニオンを表す。n、m、lはそれぞれ独立に0又は1を表す。また、A、B、Cはそれぞれ独立に置換基を有しても良い炭素数2から20のアリール基又は複素環基を表す。
また、金属錯体系及び金属酸化物系のエレクトロクロミック化合物としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化イリジウム、酸化ニッケル、プルシアンブルー等の無機系エレクトロクロミック化合物を用いることができる。
エレクトロクロミック層の好ましい膜厚範囲は0.2〜5.0μmである。この範囲よりも膜厚が薄い場合、発色濃度を得にくくなる。またこの範囲よりも膜厚が厚い場合、製造コストが増大すると共に、着色によって視認性が低下しやすい。
電気化学デバイスであるエレクトロクロミック素子は一方の電極上で酸化反応(電荷を授ける反応)が起こるともう一方の電極上では還元反応(電荷を受け取る反応)が起こる。従って、一方の電極上に酸化型エレクトロクロミック化合物又は酸化型エレクトロクロミック組成物、すなわち定常状態から酸化状態にすると発色する材料を含むエレクトロクロミック層を形成し、もう一方の電極上に還元型エレクトロクロミック化合物又は還元型エレクトロクロミック組成物、すなわち定常状態から還元状態にすると発色する材料を含むエレクトロクロミック層を形成すると、以下の利点を得ることができる。
(a)エレクトロクロミック化合物は他の物質より酸化還元電位が低いので、発色電圧を小さくできる。
(b)エレクトロクロミック化合物は他の物質より電荷の授受が起こりやすいので、発色に必要な電荷量を小さくできる。
(c)電極上で不可逆な負荷反応が起こりにくくなるので、エレクトロクロミック素子の劣化を少なくできる。
(d)エレクトロクロミック化合物は他の物質より発色状態が安定のため、メモリ時間を長くできる。
(e)両電極上のエレクトロクロミック材料が共に発色するので、濃度の高い色を発色することができる。
上記(e)の発色に関しては、酸化型エレクトロクロミック化合物が発色する色と還元型エレクトロクロミック化合物が発色する色の混色となる。例えば黒色を表示したい場合は、単独で黒色発色するエレクトロクロミック材料はあまりないので複数の材料の混色を使うことは有用である。酸化型エレクトロクロミック化合物が発色する色と還元型エレクトロクロミック化合物が発色する色が補色の関係で合わせて黒色になれば透明と濃黒色を高いコントラストで切り替えできる調光デバイスになる。
酸化型エレクトロクロミック化合物としては、例えばスチリル系、トリフェニルアミン系、フェノチアジン系、酸化イリジウム、プルシアンブルー等が挙げられる。
還元型エレクトロクロミック化合物としては、例えばジピリジル系、アントラキノン系、テレフタル酸系、酸化タングステン、酸化チタン等が挙げられる。
<電解質>
電解質15としては、一般的に支持塩を溶媒に溶解させた電解液が用いられる。このため、イオン伝導度が高いことが好ましい。
支持塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的には、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BF、過塩素酸テトラブチルアンモニウムなどを用いることができる。
また、溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類等が用いられる。
また、電解質として、不揮発性材料であるイオン液体を用いることもできる。イオン液体としては、特に制限はなく、一般的に研究・報告されている物質ならばどのようなものでも構わない。イオン液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造がある。
イオン液体の分子構造は、カチオン成分とアニオン成分とからなり、カチオン成分としては、例えば、N、N−ジメチルイミダゾール塩、N、N−メチルエチルイミダゾール塩、N、N−メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体;N、N−ジメチルピリジニウム塩、N、N−メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体等の芳香族系の塩;トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム等の脂肪族4級アンモニウム系化合物などが挙げられる。
また、アニオン成分としては、大気中の安定性の面でフッ素を含んだ化合物が好ましく、例えば、BF 、CFSO 、PF 、(CFSO、B(CN) などが挙げられる。これらのカチオン成分とアニオン成分の組み合わせにより処方したイオン液体を用いることができる。
また、電解質として電解液やイオン液体等のイオン性物質を樹脂などで硬化させたものを用いることができる。本電解質はデバイスからの液洩れを防ぐことができるため安全性が高い。
硬化樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等の光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂などの一般的な材料を挙げることができるが、電解質との相溶性が高い材料が好ましい。このような構造としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のエチレングリコールの誘導体が好ましい。
また、前記硬化樹脂としては、光硬化可能な樹脂を用いることが好ましい。熱重合や、溶剤を蒸発させることにより薄膜化する方法に比べて、低温かつ短時間で素子を製造できるためである。
特に好ましい組み合わせは、オキシエチレン鎖やオキシプロピレン鎖を含有するマトリックスポリマーとイオン液体との固溶体で構成されている電解質層である。この構成を用いることにより、硬度と高いイオン伝導度を両立しやすい。
<反射層>
エレクトロクロミック素子は反射層を入れることで反射型表示素子になる。これらは電子ペーパーとも呼ばれる。CRT、液晶ディスプレイ、有機ELといった従来の表示装置とは異なり、発光光源がないので非常に省エネな表示ができる。エレクトロクロミックデバイスは透明性、コントラスト比、カラー化対応が優れており、有望な反射型表示素子である。
反射層26としては、光を反射する材料、構成であれば特に限定されないが、特に光を散乱反射する白色反射層を用いると紙に近い白色を背景にできるため、視認性のよい表示ができる。白色反射層の材料としては、金属、半金属に加えて、酸化物、窒化物、硫化物などの真空製膜可能な無機化合物膜又は酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化セシウム、酸化イットリウム等の金属酸化物粒子からなる白色顔料粒子膜が挙げられる。また、金属酸化物粒子膜は溶液に分散したペーストとして塗布製膜することにより容易に形成することができる。特に好ましい材料は酸化チタン粒子である。
なお、白色反射層の膜厚は0.1〜50μmであることが好ましく、更に好ましくは0.5〜20μmである。この範囲よりも膜厚が薄い場合、白色反射効果を得にくくなる。またこの範囲よりも膜厚が厚い場合、膜強度を維持することが困難となる。
<その他の部材>
その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、絶縁性多孔質層、劣化防止層、保護層、などが挙げられる。
−絶縁性多孔質層−
前記絶縁性多孔質層は、前記2つの電極とが電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質を保持する機能を有する。前記絶縁性多孔質層の材料としては、多孔質であれば特に制限はなく、絶縁性及び耐久性が高く成膜性に優れた有機材料や無機材料、及びそれらの複合体を用いることが好ましい。
前記絶縁性多孔質層の形成方法としては、例えば、焼結法(高分子微粒子や無機粒子を、バインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)、発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法などが挙げられる。
−劣化防止層−
前記劣化防止層の役割は、エレクトロクロミック層と逆の化学反応をし、電荷のバランスをとって2つの電極が不可逆的な酸化還元反応により腐食や劣化することを抑制することである。なお、逆反応とは、劣化防止層が酸化還元する場合に加え、キャパシタとして作用することも含む。
前記劣化防止層の材料としては、2つの電極の不可逆的な酸化還元反応による腐食を防止する役割を担う材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、酸化アンチモン錫や酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、又はそれらを複数含む導電性又は半導体性金属酸化物を用いることができる。
前記劣化防止層は、電解質の注入を阻害しない程度の多孔質薄膜から構成することができる。例えば、酸化アンチモン錫や酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫等の導電性又は半導体性金属酸化物微粒子を、例えば、アクリル系、アルキド系、イソシアネート系、ウレタン系、エポキシ系、フェノール系等のバインダにより第2の電極に固定化することで、電解質の浸透性と、劣化防止層としての機能を満たす、好適な多孔質薄膜を得ることができる。
−保護層−
前記保護層の役割は、外的応力や洗浄工程の薬品から素子を守ることや、電解質の漏洩を防ぐこと、大気中の水分や酸素などエレクトロクロミック素子が安定的に動作するために不要なものの侵入を防ぐこと等である。
前記保護層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上200μm以下が好ましい。
前記保護層の材料としては、例えば、紫外線硬化型や熱硬化型の樹脂を用いることができ、具体的には、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系樹脂などが挙げられる。
(エレクトロクロミック素子におけるその他の実施形態)
次に、本発明の駆動方法により駆動されるエレクトロクロミック素子のその他の実施形態について説明する。
上述したようにエレクトロクロミック素子の一例として図1に示されるものが挙げられる。図1では、第1の支持体10と、第1の支持体10に形成された第1の電極11と、第1の電極11に接して設けられた第1のエレクトロクロミック層21と、もう一方の支持体である第2の支持体14と、第2の支持体14に形成された第2の電極13と、第2の電極13に接して設けられた第2のエレクトロクロミック層22と、第1の電極11と第2の電極13に挟持されてなる電解質15が図示されている。
なお、第1の支持体10と第1の電極11、及び、第2の支持体14と第2の電極13の組み合わせのうち、少なくとも一方は透明である。ここで、両方を透明にすることで、透過型エレクトロクロミック素子とすることも可能であり、本発明の駆動方法は支持体や電極に制限されるものではない。
次に、本発明のエレクトロクロミック素子の駆動方法を適用し得るエレクトロクロミック素子の別の実施形態について説明する。本実施形態では、エレクトロクロミック組成物は、吸着構造を有する有機エレクトロクロミック化合物と、導電性又は半導体性微粒子とを少なくとも含むことを特徴とする。
図2は、本実施形態に係るエレクトロクロミック素子の構成を模式的に示す断面図である。図2では、第1の支持体10と、第1の支持体10に形成された第1の電極11と、第1の電極11に接して設けられたエレクトロクロミック層(符号24)と、もう一方の支持体である第2の支持体14と、第2の支持体14に形成された第2の電極13と、第2の電極13に接して設けられた第2のエレクトロクロミック層22と、第1の電極11と第2の電極13に挟持されてなる電解質15とが図示されている。
図2に示す例では、第1のエレクトロクロミック層がエレクトロクロミック層24として図示されており、導電性又は半導体性微粒子からなるエレクトロクロミック組成物として構成することができる。
本実施形態では、エレクトロクロミック層は吸着構造を有する有機エレクトロクロミック化合物と導電性又は半導体性微粒子からなるエレクトロクロミック組成物を含む。具体的には、粒径5nm〜50nm程度の微粒子の表面に有機エレクトロクロミック化合物を吸着させた組成物構造であることが好ましい。この組成物は、電極から微粒子を通って有機エレクトロクロミック化合物へ電荷が移動することによって発色する(逆移動で消色する)。そのため、効率よく発色、消色反応を行うことができ、低消費電力化することができる。
有機エレクトロクロミック化合物に付与する吸着構造としては、水酸基に対して直接的又は間接的に結合可能な官能基を有していることが好ましく、その構造は限定されるものではない。好ましい例としては、ホスホン酸基、リン酸基、カルボキシル基、トリクロロシリル基、トリアルコキシシリル基、モノクロロシリル基、モノアルコキシシリル基等が挙げられる。
トリアルコキシシリル基としては、トリエトキシシリル基、トリメトキシシリル基等が好ましい。その中でも、導電性又は半導体性微粒子への結合力が高いトリアルコキシシリル基、ホスホン酸基が特に好ましい。
導電性又は半導体性微粒子としては、透明性や導電性の面から金属酸化物粒子が好ましい。このような金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アルミニウム(略、アルミナ)、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ケイ素(略、シリカ)、酸化イットリウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケート等を主成分とする金属酸化物が用いられる。
また、これらの金属酸化物は、単独で用いられてもよく、2種以上が混合され用いられてもよい。電気伝導性等の電気的特性や光学的性質等の物理的特性を鑑みるに、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステン、から選ばれる一種、もしくはそれらの混合物が用いられたとき、発消色の応答速度に優れる。
導電性又は半導体性微粒子の粒径は平均一次粒子径が30nm以下であることが好ましい。粒子径が小さいほど金属酸化物に対する光の透過率が向上し、単位体積当たりの表面積(以下、「比表面積」という。)が大きい形状が用いられる。大きな比表面積を有することで、より効率的にエレクトロクロミック化合物が担持され、発消色のコントラスト比に優れる。導電性又は半導体性微粒子の比表面積は、特に限定されるものではないが、例えば、100m/g以上とすることができる。
次に、本発明のエレクトロクロミック素子の駆動方法を適用し得るエレクトロクロミック素子の別の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の電極11及び第2の電極13で挟まれる領域とは反対側の領域における前記第1の電極側又は第2の電極側の一方に、反射層26が設けられていることを特徴とする。
図3は、本実施形態に係るエレクトロクロミック素子の構成を模式的に示す断面図である。図3では、第1の支持体10と、第1の支持体10に形成された第1の電極11と、第1の電極11に接して設けられた第1のエレクトロクロミック層21と、もう一方の支持体である第2の支持体14と、第2の支持体14に形成された第2の電極13と、第2の電極13に接して設けられた第2のエレクトロクロミック層22と、第1の電極11と第2の電極13に挟持されてなる電解質15とが図示されている。
図3の構成では、反射層26が第2の支持体14の下面に設けられている。また、第1の支持体10、第1の電極11、第2の支持体14、第2の電極13は共に透明である。
上述したように、エレクトロクロミック素子は反射層を入れることで反射型表示素子になり、省エネな表示ができ、透明性、コントラスト比、カラー化対応が優れているため、有望な反射型表示素子である。
反射層26としては、光を反射する材料、構成であれば特に限定されないが、特に光を散乱反射する白色反射層を用いることが好ましい。白色反射層については上述のようにすることができる。
(駆動方法の実施形態)
本実施形態に係る駆動方法は、
(1)前記2つの電極間の電圧V0を測定する工程、
(2)前記2つの電極間に、前記第1のエレクトロクロミック層及び第2のエレクトロクロミック層のうち少なくとも一方におけるエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物が色変化を起こすために必要な閾値電圧V1以上の電圧V2を印加する工程、
(3)前記2つの電極間に、前記V0を印加する工程、
(4)前記V2と逆極性であり且つ前記V2よりも絶対値が小さい電圧V3と、前記V1と同極性であり且つ前記V1よりも低い電圧V4とを交互に印加する工程、
(5)(4)工程における前記V3とV4の印加数が所定の回数に到達した後、前記V0を印加する工程、
を少なくとも有し、(1)工程から(5)工程までをこの順番で行うことを特徴とする。
図4に、本実施形態に係る駆動方法における駆動波形の一例を示す。本実施形態において、エレクトロクロミック素子は、ポテンショスタットを用いて、両電極間に電圧波形を印加することで発色駆動及び消色駆動を行う。
(1)工程では、エレクトロクロミック素子における2つの電極間の電圧V0を測定することで、発色駆動前の電圧を記憶する。
(2)工程では、2つの電極間に、第1のエレクトロクロミック層21及び第2のエレクトロクロミック層22のうち少なくとも一方におけるエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物が色変化を起こすために必要な閾値電圧V1以上の電圧V2を印加する。電圧V2を印加することで、エレクトロミック素子を着色状態とする。
(3)工程では、2つの電極間に、前記V0を印加する。電圧V0を印加することで、エレクトロクロミック素子を透明状態へとすることができる。ここで電荷の不均衡が生じていると、発色前と同等の透明状態へとすることができず、消色残りが発生する。
(4)工程では、前記V2と逆極性であり且つ前記V2よりも絶対値が小さい電圧V3と、前記V1と同極性であり且つ前記V1よりも低い電圧V4とを交互に印加する。
図4に示される例では、(4)工程としてV3とV4が交互にN回繰り返し印加されていることが図示されている。(4)工程のように、V3とV4を交互に一定回数印加することで、電圧V0では消せなかった消色残りを消すことが可能となるだけなく、発色とは逆極性V3を印加させ続けることで生じるエレクトロクロミック素子の劣化を抑制も可能となる。さらに、印加電圧の極性を変化させているため、金属電極を使用した場合の電極表面でのイオンマイグレーションなどの析出物を防止することもできる。
V2よりもV3の絶対値が大きい場合やV1よりもV4が大きい場合、エレクトロクロミック素子の劣化や消色残りを抑制することができない。なお、エレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物が色変化を起こすために必要な閾値電圧V1は、エレクトロクロミック化合物の構造、エレクトロクロミック組成物の構成、又はエレクトロクロミック素子の構成により異なるものであるため、適宜変更されるものである。また、閾値電圧V1は、第1のエレクトロクロミック層21及び第2のエレクトロクロミック層22のうち少なくとも一方において色変化を起こすものであり、両方が色変化を起こすものであってもよい。
印加電圧のパターンは、特に制限はなく、変更が可能である。例えば、方形波、一定の電圧挿引速度(Vs)の三角波、V3とV4の中間値電圧を中心とする正弦波などを用いることが可能である。方形波の例としては上述の図4に示されており、三角波の例としては図5に、正弦波の例としては図6に示す。
印加回数(繰り返し周期数N)については、あらかじめエレクトロクロミック素子の着色状態に応じて最適化された繰り返し周期数に関するテーブルが駆動回路に備わっていると、消色時間の長時間化が防げるため好ましい。印加回数はエレクトロクロミック素子によって変更されるため、好適な範囲を説明するのは難しいが、例えば5〜100周期が好ましく、さらに好適には5〜50周期印加する場合である。このような範囲の場合、素子の劣化の抑制と消色残りに対してより効果が得られる。
(5)工程では、(4)工程における前記V3とV4の印加数が所定の回数に到達した後、前記V0を印加する。電圧V0を印加することで、(4)工程で生じた僅少な電荷の不均衡を解消することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、図2に示す構成のエレクトロクロミック素子を以下のようにして作製し、以下説明する評価を行った。
<第1の電極及びエレクトロクロミック層の作製>
40mm×40mmのガラス基板上にスパッタ法により約100nmのITO膜を30mm×30mmの領域及び引き出し部分に形成し、第1の電極11を作製した。この第1の電極11面内の抵抗は約20Ωであった。この上に酸化チタンナノ粒子分散液(SP210、昭和タイタニウム社製)をスピンコートし、120℃、15minのアニール処理により、酸化チタン粒子膜を形成した。さらにこの上に赤紫色に発色するエレクトロクロミック化合物である4,4'-(1-phenyl-1H-pyrrole-2,5-diyl)bis(1-(4-(phosphonomethyl)benzyl)pyridinium) bromideの5wt% 2.2.3.3.テトラフロロプロパノール溶液をスピンコートし、120℃、15minのアニール処理により、酸化チタン粒子とエレクトロクロミック化合物からなるエレクトロクロミック層24(第1のエレクトロクロミック層)を形成した。
<第2の電極及び第2のエレクトロクロミック層の作製>
40mm×40mmのガラス基板上にスパッタ法によ約100nmのITO膜を30mm×30mmの領域及び引き出し部分に形成し、第2の電極13を作製した。この第2の電極13面内の抵抗は約20Ωであった。この上にPoly(ethylene glycol)diacrylateと、光重合開始剤(IRG184、BASF社製)と、下記構造式(A)で表される化合物と2-butanoneを質量比(20:1:20:400)で混合した溶液を塗布し、窒素雰囲気下でUV硬化させ、第2のエレクトロクロミック層22を形成した。
<エレクトロクロミック素子の作製>
電解質15としてイオン液体である1-ethyl-3-methylimidazolium bis(trifluoromethanesulfonyl)imideを用いた。電解質中に粒径10μmのビーズスペーサーを0.2wt%入れて、第1の電極11及びエレクトロクロミック層24(第1のエレクトロクロミック層)が形成されたガラス基板の上に適量滴下し、第2の電極13及び第2のエレクトロクロミック層22が形成されたガラス基板を貼り合わせてエレクトロクロミック素子を作製した。
<評価>
−消え残り評価−
図2に示す構成のエレクトロクロミック素子をポテンショスタット(東洋テクニカ社製、ModuLab)に繋ぎ、図4に示す電圧波形を表1に従って印加した。Ocean Optics社製USB4000にて透過率を測定し、波長400nm〜800nmにおける透過率の平均値[%]を算出した。初期状態の透過率[%]と、消色駆動後の透過率[%]との差分を「消え残り」[%]と定義した。消え残り評価基準を以下に記す。
◎:消え残りが1%未満
○:消え残りが1%以上5%未満
×:消え残りが5%以上
−耐久性評価−
図2に示す構成のエレクトロクロミック素子をポテンショスタット(東洋テクニカ社製、ModuLab)に繋ぎ、図4に示す電圧波形を表1に従って印加する工程を1000回繰り返した。着色時にエレクトロクロミック素子に投入された電荷量の1回目と1000回目の比(1000回目の投入電荷量/1回目の投入電荷量)を算出し、投入電荷量保持率と定義した。耐久性評価基準を以下に記す。
◎:投入電荷量保持率が95%以上
○:投入電荷量保持率が90%以上95%未満
×:投入電荷量保持率が90%未満
得られた評価結果を表1に示す。表1の結果から、図4の電圧パターンを印加することにより、エレクトロクロミック素子の耐久性を劣化させずに消色残りをなくしていることが確認できる。
(実施例2)
図5に示す電圧印加パターンを表2に従って印加した以外は実施例1と同様である。
得られた評価結果を表2に示す。表2の結果から、図5の電圧パターンを印加することにより、エレクトロクロミック素子の耐久性を劣化させずに消色残りをなくしていることが確認できる。
(実施例3)
図6に示す電圧印加パターンを表3に従って印加した以外は実施例1と同様である。
得られた評価結果を表3に示す。表3の結果から、図6の電圧パターンを印加することにより、エレクトロクロミック素子の耐久性を劣化させずに消色残りをなくしていることが確認できる。
(実施例4)
図3に示す構成のエレクトロクロミック素子を以下のようにして作製し、実施例1と同様の評価を行った。
Polyurethaneと平均粒子径250nmの白色酸化チタン粒子(CR50、石原産業社製)と2.2.3.3.テトラフロロプロパノール溶液を2:20:78の比率で混合した溶液を調製した。この溶液を実施例1における第1のエレクトロクロミック層21の表面上に膜厚20μmになるようにスピンコートし、白色反射層(反射層26)を形成した。それ以外は実施例1と同様にしたエレクトロクロミック表示素子を作製した。
図4に示す電圧印加パターンを表4に従って印加し、消え残りを下記で評価した以外は実施例1と同様に評価した。
−消え残り評価−
図3に示す構成のエレクトロクロミック素子をポテンショスタット(東洋テクニカ社製、ModuLab)に繋ぎ、図4に示す電圧波形を表4に従って印加するのと同時に、USB4000(Ocean Optics社製)にて反射率を測定し、波長400nm〜800nmにおける反射率の平均値[%]を算出した。初期状態の反射率[%]と、消色駆動後の反射率[%]との差分を「消え残り」[%]と定義した。消え残り評価基準を以下に記す。
◎:消え残りが1%未満
○:消え残りが1%以上5%未満
×:消え残りが5%以上
得られた評価結果を表4に示す。表4の結果から、実施例1と同様に駆動したところ同様の効果が得られた。
(比較例1)
図7に示す電圧印加パターンを表5に従って印加した以外は実施例1と同様である。
得られた評価結果を表5に示す。表5の結果から、V0のみの印加では消色時間(T3−T2)を伸ばしても消色残りがなくなっていないことが確認できる。
(比較例2)
図8に示す電圧印加パターンを表6に従って印加した以外は実施例1と同様である。
得られた評価結果を表6に示す。表6の結果から、V3を発色と逆極性として印加し続ける駆動をすると耐久性が低下してしまうことが確認できる。
(比較例3)
図4に示す電圧印加パターンを表7に従って印加した以外は実施例1と同様である。
得られた評価結果を表7に示す。表7の結果から、V3の絶対値がV2の絶対値より大きいと耐久性が低下してしまうこと、V4がV1より高電圧だと消色残りがなくならないこと、Nが少なすぎても消色残りが残ってしまうことが確認できる。
(比較例4)
図5に示す電圧印加パターンを表8に従って印加した以外は実施例1と同様である。
得られた評価結果を表8に示す。表8の結果から、V3の絶対値がV2の絶対値より大きいと耐久性が低下してしまうこと、V4がV1より高電圧だと消色残りがなくならないこと、Nが少なすぎても消色残りが残ってしまうことが確認できる。
(比較例5)
図6に示す電圧印加パターンを表9に従って印加した以外は実施例1と同様である。
得られた評価結果を表9に示す。表9の結果から、V3の絶対値がV2の絶対値より大きいと耐久性が低下してしまうこと、V4がV1より高電圧だと消色残りがなくならないこと、Nが少なすぎても消色残りが残ってしまうことが確認できる。
10 第1の支持体
11 第1の電極
12 エレクトロクロミック層
13 第2の電極
14 第2の支持体
15 電解質
21 第1のエレクトロクロミック層
22 第2のエレクトロクロミック層
24 導電性又は半導体性微粒子と有機エレクトロクロミック化合物
26 反射層
特開昭61−261788号公報 特開昭61−261789号公報 特開昭61−261790号公報 特許第4622941号公報 特許第4622942号公報 特許第4622943号公報 特公平05−023409号公報 特開2008−039873号公報 特開2013−140326号公報

Claims (4)

  1. 第1の電極と、該第1の電極に対して間隔をおいて対向する第2の電極と、該2つの電極の間に設けられる電解質と、少なくとも酸化性のエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を含み、前記2つの電極のうち一方の電極表面に形成される第1のエレクトロクロミック層と、少なくとも還元性のエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を含み、前記2つの電極のうち他方の電極表面に形成される第2のエレクトロクロミック層と、を備えるエレクトロクロミック素子を駆動させるエレクトロクロミック素子の駆動方法であって、
    (1)前記2つの電極間の電圧V0を測定する工程、
    (2)前記2つの電極間に、前記第1のエレクトロクロミック層及び第2のエレクトロクロミック層のうち少なくとも一方におけるエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物が色変化を起こすために必要な閾値電圧V1以上の電圧V2を印加する工程、
    (3)前記2つの電極間に、前記V0を印加する工程、
    (4)前記V2と逆極性であり且つ前記V2よりも絶対値が小さい電圧V3と、前記V1と同極性であり且つ前記V1よりも低い電圧V4とを交互に印加する工程、
    (5)(4)工程における前記V3とV4の印加数が所定の回数に到達した後、前記V0を印加する工程、
    を少なくとも有し、(1)工程から(5)工程までをこの順番で行うことを特徴とするエレクトロクロミック素子の駆動方法。
  2. 前記(4)工程における前記電圧V3及びV4の印加パターンが、方形波、三角波又は正弦波であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子の駆動方法。
  3. 前記エレクトロクロミック組成物は、吸着構造を有する有機エレクトロクロミック化合物と、導電性又は半導体性微粒子とを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック素子の駆動方法。
  4. 前記第1の電極及び第2の電極で挟まれる領域とは反対側の領域における前記第1の電極側又は第2の電極側の一方に、反射層が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子の駆動方法。
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