JP6478042B2 - エレクトロクロミック素子の駆動方法 - Google Patents
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しかし、両極での酸化還元反応速度が異なるため、発色駆動、消色駆動をするにつれて両極で電荷の不均衡が生じ、結果として消色駆動を行ってもわずかに発色している状態(消色残り)が生じやすい。
特許文献1〜3では、定電流を一定時間出力する消色パルスを間欠的に繰り返し印加する方法について提案されている。
しかし、エレクトロクロミックを高速で発色又は消色させる場合、定電流を印加する駆動方法だと、エレクトロクロミックデバイスの抵抗が変化するため印加する電圧も変化する。この変化した電圧が高電圧化するとエレクトロクロミックデバイスが劣化してしまう。また、電圧に制限を設けると電流が流れにくくなるため、エレクトロクロミックの発色又は消色の応答性が著しく低下してしまうという課題がある。
しかし、発色電圧よりも大きい逆極性の消色電圧を印加すると消色残りが解消されるが、エレクトロクロミック素子の劣化が加速されてしまう。
しかし、両電極表面に酸化性又は還元性エレクトロクロミック材料を有するエレクトロクロミック素子の電荷の不均衡による消色残りなど、自然電位で消すことができない消色残りに対しては効果がない。
しかし、一般的なエレクトロクロミック素子の応答速度からすると周波数が高すぎることに加え、電流方向の制御方法に関連する具体的な記述がなく、また、仮に可能であっても非常に高感度な電流検知を行う必要があるためコストが非常に高くなってしまうという大きな課題が残されている。
しかし、両電極表面に酸化性又は還元性エレクトロクロミック材料を有するエレクトロクロミック素子の電荷の不均衡による消色残りという課題に対する駆動方法としては、0V以下(発色とは逆極性の電圧印加)で駆動させることが不可欠であるため、さらに劣化させずに消色残りをなくすことができる駆動方法が求められる。
(1)前記2つの電極間の電圧V0を測定する工程、
(2)前記2つの電極間に、前記第1のエレクトロクロミック層及び第2のエレクトロクロミック層のうち少なくとも一方におけるエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物が色変化を起こすために必要な閾値電圧V1以上の電圧V2を印加する工程、
(3)前記2つの電極間に、前記V0を印加する工程、
(4)前記V2と逆極性であり且つ前記V2よりも絶対値が小さい電圧V3と、前記V1と同極性であり且つ前記V1よりも低い電圧V4とを交互に印加する工程、
(5)(4)工程における前記V3とV4の印加数が所定の回数に到達した後、前記V0を印加する工程、
を少なくとも有し、(1)工程から(5)工程までをこの順番で行うことを特徴とする。
本発明の駆動方法により駆動されるエレクトロクロミック素子は、第1の電極11と、第1の電極11に対して間隔をおいて対向する第2の電極13と、該2つの電極の間に設けられる電解質15と、第1のエレクトロクロミック層21と、第2のエレクトロクロミック層22とを備える。
第1のエレクトロクロミック層21は、少なくとも酸化性のエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を含み、前記2つの電極のうち一方の電極表面に形成される。また、第2のエレクトロクロミック層22は、少なくとも還元性のエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を含み、前記2つの電極のうち他方の電極表面に形成される。また、さらに必要に応じてその他の部材を有する。
前記第1の支持体10、第2の支持体14としては、各層を支持できる材料であれば、周知の有機材料や無機材料をそのまま用いることができる。例えば、透明性を必要とする支持体の場合、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、フロートガラス、ソーダ石灰ガラス等のガラス支持体を用いることができる。また、支持体として、ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂支持体を用いてもよい。
透明性を必要としない前記支持体としては特に制限はなく、前記透明性を有した材料に加え、一般的なエンジニアリングプラスチックなどを用いることもできる。
第1の電極11及び第2の電極13としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することが可能であるが、2つの電極のうち少なくとも1つは透明電極であることが好ましく、第1の電極11及び第2の電極13が共に透明電極であってもよい。第1の電極11、第2の電極13の材料としては、導電性を有する材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、透明性を必要とする電極の材料としては、光の透過性を確保する必要があるため、透明且つ導電性に優れた透明導電性材料が用いられる。これにより、エレクトロクロミック層が発色する色の視認性をより高めることができる。
また、透明性を有する銀、金、銅、カーボンナノチューブ、金属酸化物などのネットワーク電極又はこれらの複合層も有用である。前記ネットワーク電極とは、カーボンナノチューブや他の高導電性の非透過性材料等を微細なネットワーク状に形成して透過率を持たせた電極である。さらに、電極層をネットワーク電極と前記導電性酸化物の積層構成もよい。積層構成にすることにより、エレクトロクロミック層をムラなく発消色させることができる。
エレクトロクロミック層には酸化反応又は還元反応により色の変化を起こす材料が用いられる。このような材料として、ポリマー系、色素系、金属錯体、金属酸化物等の公知のエレクトロクロミック化合物が用いられる。
具体的には、ポリマー系、色素系のエレクトロクロミック化合物として、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系、等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物が用いられる。
(b)エレクトロクロミック化合物は他の物質より電荷の授受が起こりやすいので、発色に必要な電荷量を小さくできる。
(c)電極上で不可逆な負荷反応が起こりにくくなるので、エレクトロクロミック素子の劣化を少なくできる。
(d)エレクトロクロミック化合物は他の物質より発色状態が安定のため、メモリ時間を長くできる。
(e)両電極上のエレクトロクロミック材料が共に発色するので、濃度の高い色を発色することができる。
還元型エレクトロクロミック化合物としては、例えばジピリジル系、アントラキノン系、テレフタル酸系、酸化タングステン、酸化チタン等が挙げられる。
電解質15としては、一般的に支持塩を溶媒に溶解させた電解液が用いられる。このため、イオン伝導度が高いことが好ましい。
支持塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的には、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3COO、KCl、NaClO3、NaCl、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(ClO4)2、Mg(BF4)2、過塩素酸テトラブチルアンモニウムなどを用いることができる。
硬化樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等の光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂などの一般的な材料を挙げることができるが、電解質との相溶性が高い材料が好ましい。このような構造としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のエチレングリコールの誘導体が好ましい。
特に好ましい組み合わせは、オキシエチレン鎖やオキシプロピレン鎖を含有するマトリックスポリマーとイオン液体との固溶体で構成されている電解質層である。この構成を用いることにより、硬度と高いイオン伝導度を両立しやすい。
エレクトロクロミック素子は反射層を入れることで反射型表示素子になる。これらは電子ペーパーとも呼ばれる。CRT、液晶ディスプレイ、有機ELといった従来の表示装置とは異なり、発光光源がないので非常に省エネな表示ができる。エレクトロクロミックデバイスは透明性、コントラスト比、カラー化対応が優れており、有望な反射型表示素子である。
その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、絶縁性多孔質層、劣化防止層、保護層、などが挙げられる。
前記絶縁性多孔質層は、前記2つの電極とが電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質を保持する機能を有する。前記絶縁性多孔質層の材料としては、多孔質であれば特に制限はなく、絶縁性及び耐久性が高く成膜性に優れた有機材料や無機材料、及びそれらの複合体を用いることが好ましい。
前記劣化防止層の役割は、エレクトロクロミック層と逆の化学反応をし、電荷のバランスをとって2つの電極が不可逆的な酸化還元反応により腐食や劣化することを抑制することである。なお、逆反応とは、劣化防止層が酸化還元する場合に加え、キャパシタとして作用することも含む。
前記保護層の役割は、外的応力や洗浄工程の薬品から素子を守ることや、電解質の漏洩を防ぐこと、大気中の水分や酸素などエレクトロクロミック素子が安定的に動作するために不要なものの侵入を防ぐこと等である。
前記保護層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上200μm以下が好ましい。
前記保護層の材料としては、例えば、紫外線硬化型や熱硬化型の樹脂を用いることができ、具体的には、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系樹脂などが挙げられる。
次に、本発明の駆動方法により駆動されるエレクトロクロミック素子のその他の実施形態について説明する。
上述したようにエレクトロクロミック素子の一例として図1に示されるものが挙げられる。図1では、第1の支持体10と、第1の支持体10に形成された第1の電極11と、第1の電極11に接して設けられた第1のエレクトロクロミック層21と、もう一方の支持体である第2の支持体14と、第2の支持体14に形成された第2の電極13と、第2の電極13に接して設けられた第2のエレクトロクロミック層22と、第1の電極11と第2の電極13に挟持されてなる電解質15が図示されている。
図2に示す例では、第1のエレクトロクロミック層がエレクトロクロミック層24として図示されており、導電性又は半導体性微粒子からなるエレクトロクロミック組成物として構成することができる。
トリアルコキシシリル基としては、トリエトキシシリル基、トリメトキシシリル基等が好ましい。その中でも、導電性又は半導体性微粒子への結合力が高いトリアルコキシシリル基、ホスホン酸基が特に好ましい。
上述したように、エレクトロクロミック素子は反射層を入れることで反射型表示素子になり、省エネな表示ができ、透明性、コントラスト比、カラー化対応が優れているため、有望な反射型表示素子である。
本実施形態に係る駆動方法は、
(1)前記2つの電極間の電圧V0を測定する工程、
(2)前記2つの電極間に、前記第1のエレクトロクロミック層及び第2のエレクトロクロミック層のうち少なくとも一方におけるエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物が色変化を起こすために必要な閾値電圧V1以上の電圧V2を印加する工程、
(3)前記2つの電極間に、前記V0を印加する工程、
(4)前記V2と逆極性であり且つ前記V2よりも絶対値が小さい電圧V3と、前記V1と同極性であり且つ前記V1よりも低い電圧V4とを交互に印加する工程、
(5)(4)工程における前記V3とV4の印加数が所定の回数に到達した後、前記V0を印加する工程、
を少なくとも有し、(1)工程から(5)工程までをこの順番で行うことを特徴とする。
(2)工程では、2つの電極間に、第1のエレクトロクロミック層21及び第2のエレクトロクロミック層22のうち少なくとも一方におけるエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物が色変化を起こすために必要な閾値電圧V1以上の電圧V2を印加する。電圧V2を印加することで、エレクトロミック素子を着色状態とする。
(3)工程では、2つの電極間に、前記V0を印加する。電圧V0を印加することで、エレクトロクロミック素子を透明状態へとすることができる。ここで電荷の不均衡が生じていると、発色前と同等の透明状態へとすることができず、消色残りが発生する。
(4)工程では、前記V2と逆極性であり且つ前記V2よりも絶対値が小さい電圧V3と、前記V1と同極性であり且つ前記V1よりも低い電圧V4とを交互に印加する。
本実施例では、図2に示す構成のエレクトロクロミック素子を以下のようにして作製し、以下説明する評価を行った。
40mm×40mmのガラス基板上にスパッタ法により約100nmのITO膜を30mm×30mmの領域及び引き出し部分に形成し、第1の電極11を作製した。この第1の電極11面内の抵抗は約20Ωであった。この上に酸化チタンナノ粒子分散液(SP210、昭和タイタニウム社製)をスピンコートし、120℃、15minのアニール処理により、酸化チタン粒子膜を形成した。さらにこの上に赤紫色に発色するエレクトロクロミック化合物である4,4'-(1-phenyl-1H-pyrrole-2,5-diyl)bis(1-(4-(phosphonomethyl)benzyl)pyridinium) bromideの5wt% 2.2.3.3.テトラフロロプロパノール溶液をスピンコートし、120℃、15minのアニール処理により、酸化チタン粒子とエレクトロクロミック化合物からなるエレクトロクロミック層24(第1のエレクトロクロミック層)を形成した。
40mm×40mmのガラス基板上にスパッタ法によ約100nmのITO膜を30mm×30mmの領域及び引き出し部分に形成し、第2の電極13を作製した。この第2の電極13面内の抵抗は約20Ωであった。この上にPoly(ethylene glycol)diacrylateと、光重合開始剤(IRG184、BASF社製)と、下記構造式(A)で表される化合物と2-butanoneを質量比(20:1:20:400)で混合した溶液を塗布し、窒素雰囲気下でUV硬化させ、第2のエレクトロクロミック層22を形成した。
電解質15としてイオン液体である1-ethyl-3-methylimidazolium bis(trifluoromethanesulfonyl)imideを用いた。電解質中に粒径10μmのビーズスペーサーを0.2wt%入れて、第1の電極11及びエレクトロクロミック層24(第1のエレクトロクロミック層)が形成されたガラス基板の上に適量滴下し、第2の電極13及び第2のエレクトロクロミック層22が形成されたガラス基板を貼り合わせてエレクトロクロミック素子を作製した。
−消え残り評価−
図2に示す構成のエレクトロクロミック素子をポテンショスタット(東洋テクニカ社製、ModuLab)に繋ぎ、図4に示す電圧波形を表1に従って印加した。Ocean Optics社製USB4000にて透過率を測定し、波長400nm〜800nmにおける透過率の平均値[%]を算出した。初期状態の透過率[%]と、消色駆動後の透過率[%]との差分を「消え残り」[%]と定義した。消え残り評価基準を以下に記す。
◎:消え残りが1%未満
○:消え残りが1%以上5%未満
×:消え残りが5%以上
図2に示す構成のエレクトロクロミック素子をポテンショスタット(東洋テクニカ社製、ModuLab)に繋ぎ、図4に示す電圧波形を表1に従って印加する工程を1000回繰り返した。着色時にエレクトロクロミック素子に投入された電荷量の1回目と1000回目の比(1000回目の投入電荷量/1回目の投入電荷量)を算出し、投入電荷量保持率と定義した。耐久性評価基準を以下に記す。
◎:投入電荷量保持率が95%以上
○:投入電荷量保持率が90%以上95%未満
×:投入電荷量保持率が90%未満
図5に示す電圧印加パターンを表2に従って印加した以外は実施例1と同様である。
得られた評価結果を表2に示す。表2の結果から、図5の電圧パターンを印加することにより、エレクトロクロミック素子の耐久性を劣化させずに消色残りをなくしていることが確認できる。
図6に示す電圧印加パターンを表3に従って印加した以外は実施例1と同様である。
得られた評価結果を表3に示す。表3の結果から、図6の電圧パターンを印加することにより、エレクトロクロミック素子の耐久性を劣化させずに消色残りをなくしていることが確認できる。
図3に示す構成のエレクトロクロミック素子を以下のようにして作製し、実施例1と同様の評価を行った。
Polyurethaneと平均粒子径250nmの白色酸化チタン粒子(CR50、石原産業社製)と2.2.3.3.テトラフロロプロパノール溶液を2:20:78の比率で混合した溶液を調製した。この溶液を実施例1における第1のエレクトロクロミック層21の表面上に膜厚20μmになるようにスピンコートし、白色反射層(反射層26)を形成した。それ以外は実施例1と同様にしたエレクトロクロミック表示素子を作製した。
図4に示す電圧印加パターンを表4に従って印加し、消え残りを下記で評価した以外は実施例1と同様に評価した。
図3に示す構成のエレクトロクロミック素子をポテンショスタット(東洋テクニカ社製、ModuLab)に繋ぎ、図4に示す電圧波形を表4に従って印加するのと同時に、USB4000(Ocean Optics社製)にて反射率を測定し、波長400nm〜800nmにおける反射率の平均値[%]を算出した。初期状態の反射率[%]と、消色駆動後の反射率[%]との差分を「消え残り」[%]と定義した。消え残り評価基準を以下に記す。
◎:消え残りが1%未満
○:消え残りが1%以上5%未満
×:消え残りが5%以上
図7に示す電圧印加パターンを表5に従って印加した以外は実施例1と同様である。
得られた評価結果を表5に示す。表5の結果から、V0のみの印加では消色時間(T3−T2)を伸ばしても消色残りがなくなっていないことが確認できる。
図8に示す電圧印加パターンを表6に従って印加した以外は実施例1と同様である。
得られた評価結果を表6に示す。表6の結果から、V3を発色と逆極性として印加し続ける駆動をすると耐久性が低下してしまうことが確認できる。
図4に示す電圧印加パターンを表7に従って印加した以外は実施例1と同様である。
得られた評価結果を表7に示す。表7の結果から、V3の絶対値がV2の絶対値より大きいと耐久性が低下してしまうこと、V4がV1より高電圧だと消色残りがなくならないこと、Nが少なすぎても消色残りが残ってしまうことが確認できる。
図5に示す電圧印加パターンを表8に従って印加した以外は実施例1と同様である。
得られた評価結果を表8に示す。表8の結果から、V3の絶対値がV2の絶対値より大きいと耐久性が低下してしまうこと、V4がV1より高電圧だと消色残りがなくならないこと、Nが少なすぎても消色残りが残ってしまうことが確認できる。
図6に示す電圧印加パターンを表9に従って印加した以外は実施例1と同様である。
得られた評価結果を表9に示す。表9の結果から、V3の絶対値がV2の絶対値より大きいと耐久性が低下してしまうこと、V4がV1より高電圧だと消色残りがなくならないこと、Nが少なすぎても消色残りが残ってしまうことが確認できる。
11 第1の電極
12 エレクトロクロミック層
13 第2の電極
14 第2の支持体
15 電解質
21 第1のエレクトロクロミック層
22 第2のエレクトロクロミック層
24 導電性又は半導体性微粒子と有機エレクトロクロミック化合物
26 反射層
Claims (4)
- 第1の電極と、該第1の電極に対して間隔をおいて対向する第2の電極と、該2つの電極の間に設けられる電解質と、少なくとも酸化性のエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を含み、前記2つの電極のうち一方の電極表面に形成される第1のエレクトロクロミック層と、少なくとも還元性のエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を含み、前記2つの電極のうち他方の電極表面に形成される第2のエレクトロクロミック層と、を備えるエレクトロクロミック素子を駆動させるエレクトロクロミック素子の駆動方法であって、
(1)前記2つの電極間の電圧V0を測定する工程、
(2)前記2つの電極間に、前記第1のエレクトロクロミック層及び第2のエレクトロクロミック層のうち少なくとも一方におけるエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物が色変化を起こすために必要な閾値電圧V1以上の電圧V2を印加する工程、
(3)前記2つの電極間に、前記V0を印加する工程、
(4)前記V2と逆極性であり且つ前記V2よりも絶対値が小さい電圧V3と、前記V1と同極性であり且つ前記V1よりも低い電圧V4とを交互に印加する工程、
(5)(4)工程における前記V3とV4の印加数が所定の回数に到達した後、前記V0を印加する工程、
を少なくとも有し、(1)工程から(5)工程までをこの順番で行うことを特徴とするエレクトロクロミック素子の駆動方法。 - 前記(4)工程における前記電圧V3及びV4の印加パターンが、方形波、三角波又は正弦波であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子の駆動方法。
- 前記エレクトロクロミック組成物は、吸着構造を有する有機エレクトロクロミック化合物と、導電性又は半導体性微粒子とを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック素子の駆動方法。
- 前記第1の電極及び第2の電極で挟まれる領域とは反対側の領域における前記第1の電極側又は第2の電極側の一方に、反射層が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子の駆動方法。
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