JP2012002835A - エレクトロクロミック表示デバイス及び多色表示デバイス - Google Patents

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徹也 樋口
Masao Suzuki
雅雄 鈴木
Mu Ong
武 翁
Toshimi Fukuoka
敏美 福岡
Takeshi Shimomura
威 下村
Naofumi Nagai
直文 永井
Fujio Mizukami
富士夫 水上
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Abstract

【課題】透過型の表示に適した高い表示品質及び高い動作性能を有するエレクトロクロミック表示デバイス及び多色表示デバイスを提供する。
【解決手段】第1基板10の上面に設けられた第1電極20と、第2基板30の下面に設けられた第2電極40と、第1基板10と第2基板30との間に設けられたエレクトロクロミック組成物層50と、を備え、第1電極20と第2電極40との間の通電によって表示を実施するとともに、当該表示のための通電とは逆方向の通電によって当該表示の消去を実施するエレクトロクロミック表示デバイス1において、第1電極20とエレクトロクロミック組成物層50との間には、消去のための通電時にロイコ染料52aを吸着する吸着層60が備えられ、吸着層60は、平均幅が1〜100nm、平均長さが5〜5000nmであり、アスペクト比が1〜200であるアルミナ微粒子の集積体からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、エレクトロクロミック表示デバイス及び多色表示デバイスに関する。
電子情報ネットワークの普及に伴い、従来の印刷技術による書籍に代わり、電子書籍の形での出版、すなわち電子出版が盛んに行われるようになってきた。こうしたネットワークで配信される電子情報を表示する装置として、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイやバックライト型液晶ディスプレイが一般的に用いられている。しかしながら、これらのディスプレイを用いた表示は、紙に印刷した慣用の表示に比べ、読む場所が制限され、取り扱いの面においても重量、大きさ、形状、携帯性の点で劣る。また、これらのディスプレイは消費電力が大きいため、電池による駆動であれば表示時間にも制限が生じてしまう。さらに、これらのディスプレイは、何れも発光型のディスプレイであり、長時間凝視すると高度の疲労を招くことがあるという問題もある。
したがって、上記のような問題を解決できる表示デバイス、さらには、書き換え可能な表示デバイスが望まれている。このような表示デバイスとして、ペーパーライクディスプレイ或いは電子ペーパーと称するものが提案されている。具体的には、例えば、反射型液晶方式の表示デバイス、電気泳動方式の表示デバイス、二色性の粒子を電場で回転させる方式の表示デバイス、エレクトロクロミック方式の表示デバイス(例えば、特許文献1及び2参照)等がこれまでに提案されている。
ところで、エレクトロクロミック方式の表示デバイス(エレクトロクロミック表示デバイス)は、カラーフィルタ等の着色のための部材を使用しない点等で注目されている。このようなエレクトロクロミック表示デバイスにおいては、表示材料として、例えば、電極の表面で発色するロイコ染料等の染料前駆体を必須成分とするエレクトロクロミック組成物が用いられている。ロイコ染料は、低パワーで高い発色性を有し、また、各種の色選択性に優れるため、エレクトロクロミック材料として優れた材料である。さらに、ロイコ染料は、感熱記録等の記録材料として汎用であるため、比較的低コストで容易に入手・調達でき、コストの観点からも、エレクトロクロミック材料として優れた材料である。
しかしながら、エレクトロクロミック表示デバイスは、メモリー機能が乏しいことから、例えば、(1)通電により表示→(2)表示のための通電量よりも小さな通電量を連続通電することにより表示を維持→(3)通電の遮断により表示を消去、というプロセスを経て、表示のオン・オフ動作を実施するように構成されている。(1)及び(2)の工程においては、通電量によって所望の表示を定量的に制御するようになっている。その一方で、(3)の工程においては、自然放置によって表示を消去するようになっており、表示発色の状態によって消去時間のばらつきや消去動作のばらつきが生じ、大部分が消去されても低濃度の画像が残存し、完全な消去には時間がかかるという問題がある。
この問題を解決する手法としては、例えば、表示のための通電とは逆方向に通電をすることによって消去を実施する手法が考えられる。具体的には、例えば、(1)通電により表示→(2)表示のための通電量よりも小さな通電量を連続通電することにより表示を維持→(3)通電の遮断→(4)表示のための通電とは逆方向への通電により表示を消去、というプロセスが考えられる。
しかしながら、この手法を採用する場合、消去のための通電の通電量を厳密に制御しないと、染料が表示電極と反対側の電極に移動して発色表示を形成してしまい、結果として表示が消去されないことがあるという問題がある。
この問題を解決する手法としては、例えば、消去のための通電時に染料を吸着する吸着剤(酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウム)を、下方電極(第1電極)と上方電極(第2電極)との間のエレクトロクロミック組成物層に分散させたり、或いは、下方電極(第1電極)とエレクトロクロミック組成物層との間に塗布したりする手法が考えられる(例えば、特許文献3参照)。この手法によれば、消去のための通電時に、染料が吸着剤に吸着されるため、染料が表示電極(第2電極)と反対側の電極(第1電極)に移動して発色表示を形成してしまうことを防止することができる。したがって、表示のための通電とは逆方向に通電することによって表示を消去する際、通電量を厳密に制御しなくても、確実に表示を消去することができる。
特開2007−314721号公報 特開2009−128818号公報 特開2009−098632号公報
しかしながら、特許文献3記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいては、吸着剤(酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウム)の粒径がμmオーダであり、吸着剤の粒子サイズが大きいため、吸着剤による光の散乱の影響で、エレクトロクロミック表示デバイスの表示領域が白濁する。したがって、特許文献3記載のエレクトロクロミック表示デバイスは、反射型の表示には適しているが、透過型の表示を行うためには表示領域が透明である必要があるため、透過型の表示に適しているとは言い難い。
本発明の課題は、表示のための通電とは逆方向に通電することによって表示を消去する際に通電量を厳密に制御しなくても確実に表示を消去することができ、かつ、透過型の表示に適した高い表示品質及び高い動作性能を有するエレクトロクロミック表示デバイス及び多色表示デバイスを提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
透明な材料により形成された第1基板と、前記第1基板の上面に設けられ、透明な電極材料により形成された第1電極と、前記第1基板の上方に当該第1基板に対向して設けられ、透明な材料により形成された第2基板と、前記第2基板の下面に設けられ、透明な電極材料により形成された第2電極と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられたエレクトロクロミック組成物層と、を備え、前記第1電極と前記第2電極との間の通電によって表示を実施するとともに、前記第1電極と前記第2電極との間の当該表示のための通電とは逆方向の通電によって当該表示の消去を実施するエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記エレクトロクロミック組成物層は、電子供与性染料前駆体を含むエレクトロクロミック組成物を備え、
前記第1電極と前記エレクトロクロミック組成物層との間には、前記消去のための通電時に前記電子供与性染料前駆体を吸着する吸着層が備えられ、
前記吸着層は、平均幅が1〜100nm、平均長さが5〜5000nmであり、アスペクト比が1〜200であるアルミナ微粒子の集積体からなることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記エレクトロクロミック組成物は、支持電解質と、極性溶剤と、を含み、
前記電子供与性染料前駆体は、ロイコ染料であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記第1電極は、互いに並行して延びる複数の透明電極であり、
前記第2電極は、前記第1電極と直交する方向に互いに並行して延びる複数の透明電極であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、
多色表示デバイスにおいて、
請求項1〜3の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスを、複数重ねることにより形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、消去のための通電時に、電子供与性染料前駆体が吸着層に吸着されるため、電子供与性染料前駆体が表示電極とは反対側の電極に移動して発色表示を形成してしまうことを防止できる。したがって、表示のための通電とは逆方向に通電することによって表示を消去する際、通電量を厳密に制御しなくても、確実に表示を消去することができる。
また、吸着層は、平均幅が1〜100nm、平均長さが5〜5000nmであるアルミナ微粒子の集積体からなっているため、粒径がμmオーダの吸着剤(酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウム)含む吸着層を採用した場合と比較して、吸着層に含まれる吸着剤(アルミナ微粒子)の粒子サイズが小さい。したがって、光の散乱を抑えることができ、吸着層の透明性が向上するため、透過型の表示に適したものとなる。
さらに、吸着層を形成するアルミナ微粒子は、アスペクト比が1〜200であるため、アスペクト比が200よりも大きい吸着剤を含む吸着層を採用した場合と比較して、エレクトロクロミック組成物が吸着層にしみ込み易い。したがって、しみ込んだエレクトロクロミック組成物により吸着層の通電性が向上するため、高い表示品質及び高い動作性能を有したものとなる。
本発明のエレクトロクロミック表示デバイスの一例を模式的に示す平面図(a)及び断面図(b)である。 本発明のエレクトロクロミック表示デバイスの他の一例を模式的に示す平面図(a)及び断面図(b)である。 本発明の多色表示デバイスの一例を模式的に示す断面図である。 実施例1の表示デバイスを作成する際に使用したアルミナゾルの透過型電子顕微鏡写真を示す図である。 比較例2の表示デバイスを作成する際に使用したアルミナゾルの透過型電子顕微鏡写真を示す図である。 実施例1における反射率による評価についての結果を示す図である。
以下、図を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
<エレクトロクロミック表示デバイスの構成>
本発明のエレクトロクロミック表示デバイス1は、例えば、図1に示すように、第1基板10と、第1基板10の上面に設けられた第1電極20…と、第1基板10の上方に第1基板10に対向して設けられた第2基板30と、第2基板30の下面に設けられた第2電極40…と、第1基板10と第2基板30との間に設けられたエレクトロクロミック組成物層50と、第1電極20…とエレクトロクロミック組成物層50との間に設けられた吸着層60と、を備えて構成される。
エレクトロクロミック表示デバイス1は、第1電極20…と第2電極40…との間の通電によって表示を実施するとともに、第1電極20…と第2電極40…との間の当該表示のための通電とは逆方向の通電によって、或いは、当該表示のための通電を遮断することによって、当該表示の消去を実施するパッシブマトリクス駆動の表示デバイスである。
第1電極20…は、互いに並行して延びる複数の透明電極である。第2電極40…は、第1電極20…と直交する方向に互いに並行して延びる複数の透明電極によりなる透明表示電極である。そして、第1電極20…と第2電極40…とが立体交差する領域に画素70…が形成されている。
第1基板10は、例えば、平面状に形成された透明基板であり、エレクトロクロミック表示デバイス1の基体としての機能を有する。
第1基板10の材質は、電気的に絶縁性の透明基板であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ガラスやプラスチックを用いることができる。ガラスとしては、例えば、ソーダライム系ガラス、低アルカリ・ホウケイ酸ガラス、無アルカリ・ホウケイ酸ガラス、無アルカリ・アミノケイ酸ガラス、石英ガラス等が挙げられる。また、プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素ポリマー類、ポリエーテル類、ポリスチレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン類、ポリイミド類等が挙げられる。
第1電極20…は、例えば、幅を有するライン状に形成された透明電極であり、互いに平行な等間隔の縞状に設けられている。
第1電極20…は、吸着層60に接するように、かつ、第2電極40…に対向してエレクトロクロミック組成物層50及び吸着層60を挟むように、第1基板10の上面に設けられている。
第1電極20…は、第2電極40…と対になり、エレクトロクロミック組成物層50に通電する機能を有する。
第1電極20…は、第2電極40…と立体交差、すなわち、間隔を有して交差し、その交点の領域に画素70を形成している。
第1電極20の材質は、透明電極を構成可能な材質であれば、特に限定されるものではない。透明電極を構成可能な材質としては、例えば、ITO膜やSnO又はInOをコーティングした薄膜などが挙げられる。また、ITO膜やSnO又はInOをコーティングした薄膜などにSnやSbなどをドーピングしたものであっても良く、MgO、ZnO、FTOなどであっても良い。さらに、第1電極20は、例えば、その材質が金や白金などであっても薄膜であれば、その機能を果たすことができる。
なお、第1電極20は、例えば、図2に示すエレクトロクロミック表示デバイス1Aの第1電極20Aのように、ライン状に形成された金属電極部21Aと、金属電極部21Aを覆う幅を有するライン状に形成された透明電極部22Aと、により構成されていても良い。この場合、第1電極の抵抗を低減することができ、通電時における、縞状に形成した幅を有する第1電極20Aの長手方向への電圧降下を防ぐことができるため、均一な表示を得ることができる。
金属電極部21A…の材質は、特に限定されるものではなく、金属電極を構成する材料を用いることができる。金属電極を構成する材質としては、例えば、金、白金、銀、クロム、アルミニウム、コバルト、パラジウム、銅、ニッケル、それらの合金等が挙げられる。
透明電極部22A…の材質は、特に限定されるものではなく、透明電極を構成する材質を用いることができる。透明電極を構成可能な材質としては、例えば、ITO膜やSnO又はInOをコーティングした薄膜などが挙げられる。また、ITO膜やSnO又はInOをコーティングした薄膜などにSnやSbなどをドーピングしたものであっても良く、MgO、ZnO、FTOなどであっても良い。さらに、透明電極部22Aは、例えば、その材質が金や白金などであっても薄膜であれば、その機能を果たすことができる。
第2基板30は、例えば、平面状に形成された透明基板であり、第2電極40…の支持体としての機能を有する。
第2基板30の材質は、電気的に絶縁性の透明基板であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ガラスやプラスチックを用いることができる。ガラスとしては、例えば、ソーダライム系ガラス、低アルカリ・ホウケイ酸ガラス、無アルカリ・ホウケイ酸ガラス、無アルカリ・アミノケイ酸ガラス、石英ガラス等が挙げられる。また、プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素ポリマー類、ポリエーテル類、ポリスチレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン類、ポリイミド類等が挙げられる。
第2電極40…は、例えば、幅を有するライン状に形成された透明電極であり、互いに平行な等間隔の縞状に設けられている。
第2電極40…は、エレクトロクロミック組成物層50に接するように、且つ、第1電極20…に対向してエレクトロクロミック組成物層50及び吸着層60を挟むように、第2基板30の下面に設けられている。
第2電極40…は、第1電極20…と対になり、エレクトロクロミック組成物層50に通電する機能を有する。
第2電極40…は、第1電極20…と立体交差、すなわち、間隔を有して交差し、その交点の領域に画素70を形成している。
第2電極40の材質は、透明電極を構成可能な材質であれば、特に限定されるものではない。透明電極を構成可能な材質としては、例えば、ITO膜やSnO又はInOをコーティングした薄膜などが挙げられる。また、ITO膜やSnO又はInOをコーティングした薄膜などにSnやSbなどをドーピングしたものであっても良く、MgO、ZnO、FTOなどであっても良い。さらに、第2電極40は、例えば、その材質が金や白金などであっても薄膜であれば、その機能を果たすことができる。
なお、第2電極40は、前述した第1電極20Aのように、ライン状に形成された金属電極部と、金属電極部を覆う幅を有するライン状に形成された透明電極部と、により構成されていても良い。
エレクトロクロミック組成物層50は、例えば、スペーサ51と、スペーサ51に保持されたエレクトロクロミック組成物52と、等を備えて構成される。
エレクトロクロミック組成物層50の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは10〜500μm、より好ましくは30〜200μmに設定することによって、エレクトロクロミック組成物52の表示機能を効果的に発現させることができる。
スペーサ51は、第1基板10と第2基板30との間に、一定の体積で、エレクトロクロミック組成物52を保持する役割を有する。すなわち、スペーサ51は、エレクトロクロミック組成物52を含むことによって、エレクトロクロミック組成物52を第1基板10と第2基板30との間で支えるとともに、スペーサ51の厚みによって、エレクトロクロミック組成物52の量を均一に制御する役割を有する。
スペーサ51としては、上述した役割を果たすものであれば任意であり、例えば、多孔性の板状体やシート状体、粒状体(多孔性であっても非多孔性であっても良い)等が挙げられる。
スペーサ51が多孔性の板状体やシート状体である場合、例えば、スペーサ51の細孔内にエレクトロクロミック組成物52を導入することによって、エレクトロクロミック組成物層50を形成する。この場合、吸着層60(吸着層60及び第1電極20…が設置された第1基板10)と第2電極40…(第2電極40…が設置された第2基板30)とでスペーサ51を挟んだ後に、当該スペーサ51の細孔内にエレクトロクロミック組成物52を導入してエレクトロクロミック組成物層50を形成しても良いし、スペーサ51の細孔内にエレクトロクロミック組成物52を導入してエレクトロクロミック組成物層50を形成した後に、当該エレクトロクロミック組成物層50を、吸着層60と第2電極40…とで挟んでも良い。
ここで、多孔性の板状体やシート状体としては、エレクトロクロミック表示デバイス1の表示性能向上等の観点から、第1基板10及び第2基板30に対して略垂直方向に貫通する細孔を有するものが好ましく、具体的には、例えば、陽極酸化アルミナやメッシュ(ネット)状シート材などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、スペーサ51が粒状体である場合、例えば、吸着層60と第2電極40…とでスペーサ51を挟んだ後に、当該スペーサ51同士の間にエレクトロクロミック組成物52を導入してエレクトロクロミック組成物層50を形成しても良いし、スペーサ51とエレクトロクロミック組成物52とを混ぜ合わせて、スペーサ51同士の間にエレクトロクロミック組成物52を導入したものを、吸着層60と第2電極40…とで挟むことによって、エレクトロクロミック組成物層50を形成しても良い。
エレクトロクロミック組成物52は、支持電解質と、極性溶剤と、電子供与性染料前駆体であるロイコ染料52aと、を含んでいる。
また、本実施形態では、エレクトロクロミック組成物52には、エレクトロクロミック表示デバイス1の表示品質の劣化を抑制するための表示品質劣化抑制剤、エレクトロクロミック組成物52の物性(例えば、増粘など)を調整するためのポリマー化合物が添加されている。
エレクトロクロミック組成物52は、エレクトロクロミック表示デバイス1の表示にかかる発色及び消色の機能を有する。
具体的には、エレクトロクロミック組成物52は、第1電極20…と第2電極40…との間の通電によって発色し、発色(表示)のための通電とは逆方向の通電によって、或いは、表示のための通電を遮断することによって消色する。
エレクトロクロミック組成物52は、流動性があれば良く、例えば、低粘度の液体状であっても良いし、高粘度のペースト状であっても良いし、流動性の小さいゲル状であっても良い。
エレクトロクロミック組成物52の構成成分である支持電解質は、エレクトロクロミック組成物52内を電流が流れ易くするための機能を有する。支持電解質は、一般に溶融塩と称する化合物を含む。支持電解質は、各化合物を単独で用いても良いし、複数を混合して用いても良い。
支持電解質は、エレクトロクロミック組成物52全体の重量に対して、0.01〜2重量%となるように添加することが好ましく、前記機能の十分な発現のためには、0.1〜2重量%となるように添加することがより好ましい。
具体的には、支持電解質は、前記機能を有する化合物であれば、特に限定されるものではなく、例えば、一般式が下記の式(1)で表される化合物及び/又は下記の式(2)で表される化合物が挙げられる。
(式中Mは、Li、Na、K、Rb、Cs又はNHを表す。式中Xは、ClO、BF、CFSO又はPFを表す。)
(式中Rは、アルキル基又はアリール基を表す。式中Rは、アルキル基を表す。式中Nは、窒素原子を表す。式中Xは、Cl、Br、I、ClO、BF、CFSO又はPFを表す。式中nは、0、1又は2を表し、式中mは、4−nを表す。)
以下に、一般式が上記の式(1)で表される化合物と、上記の式(2)で表される化合物と、の例を示すが、これらは例示であり、支持電解質を限定するものではない。
一般式が上記の式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、NaClO、LiClO、KClO、RbClO、CsClO、NHClO、LiBF、LiPF等が挙げられる。
また、一般式が上記の式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、(CHNClO、(CNClO、(n−CNClO、(CHNBF、(CNBF、(n−CNBF、(CHNCl、(CNCl、(CHNBr、(CNBr、(n−CNBr、(n−CNI、C(CHNClO、C(CNClO、C17(CHNClO、(CNPF、(n−CNPF、(CHNCFSO、(CNCFSO等が挙げられる。
エレクトロクロミック組成物52の構成成分である極性溶剤は、支持電解質を用い通電性を示す有機溶媒の少なくとも1種であり、ロイコ染料52aの消色を電圧及び/又は電流の遮断により促進する機能を有する。また、極性溶剤は、エレクトロクロミック組成物52にポリマー化合物を添加する場合に、そのポリマー化合物の溶剤としての機能も果たす。極性溶剤は、各種を単独で用いても良いし、適宜2種類以上を組み合わせて用いても良い。
以下に、好適な極性溶剤の例を示すが、これらは例示であり、極性溶剤を限定するものではない。
極性溶剤の具体例としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート(炭酸プロピレン)、ジメチルスルフォキシド、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等が挙げられる。例示した極性溶剤は、何れもエレクトロクロミック組成物52の構成成分として用いる極性溶剤として好ましいものであるが、特に好ましいものとしてはN,N−ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート(炭酸プロピレン)、ジメチルスルフォキシドが挙げられる。
エレクトロクロミック組成物52の構成成分であるロイコ染料52aは、無色又は淡色の電子供与性染料前駆体であり、フェノール性化合物などの顕色剤、酸性物質、電子受容性物質によって発色する化合物である。
ロイコ染料52aとしては、例えば、部分骨格にラクトン、ラクタム、スルトン、スピロピラン、エステル又はアミド構造を有する実用上無色となりうる化合物等が挙げられる。具体的には、例えば、トリアリルメタン化合物、ビスフェニルメタン化合物、キサンテン化合物、フルオラン化合物、チアジン化合物、スピロピラン化合物等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
ロイコ染料52aは、前記化合物の中から適宜選択することによって、各種カラーの発色を行うことができる。したがって、ロイコ染料52aを用いたエレクトロクロミック表示デバイス1の表示色は、ロイコ染料52aによって適宜選択することができる。具体的には、例えば、ブラックに発色するロイコ染料52aを用いる場合は、白黒及びグレー表示が可能となる。
ロイコ染料52aの配合量は、ロイコ染料52aの溶解度に依存するため、一概に表すことは難しいが、ロイコ染料52aは、発色のために充分な量が配合されている必要がある。溶解度が小さいロイコ染料52aの場合は、必要な量が含まれるように、例えば、各画素70に対応するエレクトロクロミック組成物層50(スペーサ51)の体積を大きくする等して、ロイコ染料52aの配合量を調節すると良い。
例えば、下記の式(13)、式(14)又は式(16)で表される化合物であれば、その配合量は、エレクトロクロミック組成物52全体に対して3〜40重量%とすることができる。
以下に、ロイコ染料52aの例を、その発色によって分類して示すが、これらは例示であり、ロイコ染料52aを限定するものではない。
下記の式(3)及び式(4)は、イエローに発色するロイコ染料52aである。
下記の式(5)〜式(7)は、マゼンダに発色するロイコ染料52aである。
下記の式(8)〜式(11)は、シアンに発色するロイコ染料52aである。
下記の式(12)及び式(13)は、レッドに発色するロイコ染料52aである。
下記の式(14)は、ブルーに発色するロイコ染料52aである。
下記の式(15)及び式(16)は、ブラックに発色するロイコ染料52aである。
エレクトロクロミック組成物52に添加される表示品質劣化抑制剤は、ロイコ染料52aの発色、消色の繰り返し動作に伴うエレクトロクロミック表示デバイス1の表示品質の劣化を抑制して、エレクトロクロミック表示デバイス1の動作性能を高める機能を有する化合物である。
具体的には、表示品質劣化抑制剤は、例えば、第1の表示品質劣化抑制化合物(下記の一般式(17)で表される化合物(ハイドロキノン誘導体)及び/又は下記の一般式(18)で表される化合物(カテコール誘導体))と、第2の表示品質劣化抑制化合物(下記の一般式(34)で表される化合物(フェロセン誘導体))と、第3の表示品質劣化抑制化合物(下記の一般式(44)で表される化合物(β−ジケトン誘導体)及び/又は下記の一般式(45)で表される化合物(α−ジケトン誘導体))と、の混合物である。
ハイドロキノン誘導体は、下記の一般式(17)で表される化合物であり、カテコール誘導体は、下記の一般式(18)で表される化合物である。エレクトロクロミック組成物52には、ハイドロキノン誘導体及びカテコール誘導体のうちの何れか1つが含まれていれば良い。すなわち、エレクトロクロミック組成物52には、ハイドロキノン誘導体のみ含まれていても良いし、カテコール誘導体のみ含まれていても良いし、ハイドロキノン誘導体とカテコール誘導体との両方が含まれていても良い。
(式中R1、R2、R3、R4は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、ホルミル基、カルボキシル基又はアルコキシカルボニル基を表す。ただし、式中R1、R2、R3、R4の全てが水素原子であることはない。或いは、式中R1とR2及び/又は式中R3とR4は、互いに縮合して5員又は6員の縮合環を形成していても良い。)
(式中R5、R6、R7、R8は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、水酸基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、ホルミル基、カルボキシル基又はアルコキシカルボニル基を表す。ただし、式中R5、R6、R7、R8の全てが水素原子であることはない。或いは、式中R5とR6、式中R6とR7及び/又は式中R7とR8は、互いに縮合して5員又は6員の縮合環を形成していても良い。)
下記の式(19)〜式(26)に、ハイドロキノン誘導体の例を示すが、これらは例示であり、この化合物を限定するものではない。
下記の式(27)〜式(33)に、カテコール誘導体の例を示すが、これらは例示であり、この化合物を限定するものではない。
フェロセン誘導体は、下記の一般式(34)で表される化合物である。
(式中R9、R10は、水素原子、臭素原子、直鎖又は分岐したアルキル基、メチロール基、1又は2−エチロール基、フェニル基、シクロペンテニル基、ジフェニルフォスフィノ基、アミノ基、アルキル置換アミノ基を表す。式中Feは、鉄原子を表す。)
下記の式(35)〜式(43)に、フェロセン誘導体の例を示すが、これらは例示であり、この化合物を限定するものではない。
β−ジケトン誘導体は、下記の一般式(44)で表される化合物であり、α−ジケトン誘導体は、下記の一般式(45)で表される化合物である。エレクトロクロミック組成物52には、β−ジケトン誘導体及びα−ジケトン誘導体のうちの何れか1つが含まれていればよい。すなわち、エレクトロクロミック組成物52には、β−ジケトン誘導体のみ含まれていても良いし、α−ジケトン誘導体のみ含まれていても良いし、β−ジケトン誘導体とα−ジケトン誘導体との両方が含まれていても良い。
(式中R11、R14は、アルキル基、トリフルオロメチル基、置換又は無置換のフェニル基を表し、式中R12、R13は、水素原子、アルキル基、アセチル基、置換又は無置換のフェニル基を表す。或いは、式中R11とR12又はR13、式中R14とR12又はR13、式中R11とR14は、置換又は無置換の脂環の5員又は6員の環を形成していても良い。ただし、分子内に2つ以上の環を形成することはない。)
(式中R15、R16は、アルキル基、トリフルオロメチル基、置換又は無置換のフェニル基を表す。)
下記の式(46)〜式(62)に、β−ジケトン誘導体の例を示すが、これらは例示であり、この化合物を限定するものではない。
下記の式(63)〜式(69)に、α−ジケトン誘導体の例を示すが、これらは例示であり、この化合物を限定するものではない。
エレクトロクロミック組成物52には、ロイコ染料52aの発色、消色の繰り返し動作に伴うエレクトロクロミック表示デバイス1の表示品質の劣化を抑制する機能を有する化合物として、さらに一般式が上記の式(70)で表される化合物を添加しても良い。
(式中のMは、窒素原子を除く周期律表15族原子を表す。式中のR19、R20及びR21は、置換又は無置換のアリール基を表し、式中のR19、R20及びR21はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。)
下記の式(71)〜式(77)に、一般式が上記の式(70)で表される化合物の例を示すが、これらは例示であり、この化合物を限定するものではない。
表示品質劣化抑制剤(一般式が上記の式(70)で表される化合物も含む)の添加量は、ロイコ染料52aの含有量に対して、1〜70重量%となるように添加することが好ましく、前記機能の十分な発現のためには、5〜50重量%となるように添加することがより好ましい。
エレクトロクロミック組成物52に添加されるポリマー化合物は、エレクトロクロミック組成物52の粘度を高め、その取り扱いを容易にする機能を有する。ポリマー化合物は各種を単独で用いても良いし、適宜2種類以上を組み合わせて用いても良い。
ポリマー化合物は、エレクトロクロミック組成物52の粘度を高めるために用いるが、この場合のエレクトロクロミック組成物52の性状は、低粘度の液体状、高粘度のペースト状、流動性の小さいゲル状、とすることができる。
ポリマー化合物の好ましい配合量は、エレクトロクロミック組成物52全体の重量に対して、0.1〜80重量%とすることが好ましい。
以下に、好適なポリマー化合物の例を示すが、これらは例示であり、ポリマー化合物を限定するものではない。
ポリマー化合物の具体例としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンオキサイドなどのポリアルキレンオキサイド、又は、ポリアルキレンイミン、ポリアルキレンスルフィドの繰返し単位を有する高分子、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリビニルブチラールのごときポリビニルホルマール等が挙げられる。特に好ましいものとしては、ポリビニルブチラール、ポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
以上に説明したエレクトロクロミック組成物52は、一例であり、その他にも電気化学的な発色が可能な組成物であれば、これをスペーサ51に含ませたものをエレクトロクロミック組成物層50として用いることが可能である。
吸着層60は、アルミナ微粒子により構成され、消去のための通電時にロイコ染料52aを吸着する役割を有する。
具体的には、吸着層60は、アルミナ微粒子(アルミナ水和物粒子及び/又はアルミナ粒子)がランダムに集積された集積体からなるアルミナ薄膜である。このアルミナ薄膜は、例えば、アルミナ水和物粒子が分散したアルミナゾルを支持体(例えば、第1電極20…)上に塗布して、溶媒を除去し、必要に応じて加熱、焼成をすることにより得ることができる。
吸着層60を構成するアルミナ水和物粒子は、無定形、ベーマイト又は擬ベーマイトであり、好適にはベーマイト又は擬ベーマイトである。ベーマイトは、組成式Al・nHO(n=1〜1.5)で表されるアルミナ水和物の結晶である。また、擬ベーマイトは、ベーマイトのコロイド状凝集体を指している。
吸着層60を構成するアルミナ粒子の結晶系は、無定形、ベーマイト、γ、θ、αであり、好適にはベーマイト、γ、θ、αである。
吸着層60を形成する際に使用するアルミナゾルは、例えば、以下の製法により作製することができる。当該作製法における原料や条件については、特に限定されるものではないが、例えば、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ等のアルミニウム塩や、アルミニウムアルコキサイドなど、好適にはアルミニウムアルコキサイドを原料とし、水溶液中で加水分解することにより生成したアルミニウム水酸化物を、酸、アルカリ条件下、必要に応じて加熱条件下で、脱水重縮合することによりアルミナ微粒子(アルミナ水和物粒子及び/又はアルミナ粒子)を合成することによって作製することができる。
アルミナゾル中のアルミナ水和物粒子の濃度は、0.1〜20質量%が好ましい。特に好ましくは、0.5〜10質量%である。0.1質量%未満での場合は、十分な厚みの吸着層60が得られないため好ましくなく、20質量%より大きい場合は、分散液の粘度が高くなり、吸着層60の厚みの制御が困難になり好ましくない。
アルミナ微粒子の分散媒としては、水、アルコール、エーテル、ケトン、炭化水素等が挙げられる。
高い透明性を有し、かつ、高い表示品質及び高い動作性能を有するエレクトロクロミック表示デバイス1を得るためには、アルミナ微粒子としては、平均幅が1〜100nm、平均長さが5〜5000nmであり、アスペクト比(平均長さ/平均幅)が1〜200である柱状のアルミナ微粒子が好ましい。平均幅が1nm未満の場合は、吸着層60の強度が低下するために好ましくなく、100nmより大きい場合は、吸着層60の透明性が低下するために好ましくない。平均長さが5nm未満の場合は、吸着層60の強度が低下するため好ましくなく、5000nmより大きい場合は、多大な製造時間を有するとともに、表示した画像のコントラストや表示応答性が低下し好ましくない。また、アスペクト比が200より大きい場合は、吸着層60が緻密になりすぎて、吸着層60にエレクトロクロミック組成物52がしみ込みにくくなり、発色表示の濃度が低下するため好ましくない。
薄膜作成方法としては、バーコーター法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法等が挙げられる。
また、分散媒を除去する方法としては、蒸発法が好ましい。10〜100℃の恒温室内で10分〜5時間程度乾燥することによってアルミナ薄膜が得られる。
吸着層60を形成する際に使用するアルミナゾルが酸性である場合、分散液のpHを中性やアルカリ性にしてもアルミナ薄膜を得ることができる。この場合、pH調整試薬として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、尿素等の有機アミン類を使用することができる。
吸着層60を形成する際に使用するアルミナゾルは、市販のものであっても良い。市販のアルミナゾルは、例えば、日産化学株式会社や川研ファインケミカル株式会社などにより製造されたものが入手可能であるが、高い透明性を有し、かつ、高い表示品質及び高い動作性能を有するエレクトロクロミック表示デバイス1を得るためには、川研ファインケミカル社製のアルミナゾルA2を好ましく用いることができる。
ここで、上記アルミナゾルに水溶性バインダーを添加したものを使用して形成されたアルミナ薄膜を吸着層60として用いることもできる。上記アルミナゾルに水溶性バインダーを添加することによって、より可撓性に優れた柔軟な吸着層60を得ることができる。
水溶性バインダーとして用いられる水溶性ポリマーは、特に限定はされず、デンプン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)などのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリエチレンオキシド(PEO)等を用いることができる。中でもポリビニルアルコールを好ましく用いることができる。
水溶性バインダーの添加量は、限定されるものではないが、アルミナ固形分に対して重量%で、0.1〜10%が好ましく、1〜10%がより好ましい。水溶性バインダーの添加量が少なすぎると、吸着層60の可撓性が不十分で、折り曲げられた際等に剥がれ易い等の物理的損傷を受け易く、エレクトロクロミック表示デバイス1を電子ペーパー等に適用した場合に、フレキシブル性が低下してしまう。一方、水溶性バインダーの添加量が多すぎると、吸着層60の吸着効果を阻害してしまい、また、吸着層60の電気抵抗を高める原因となって、通電量の低下等のエレクトロクロミック表示デバイス1の発色表示動作及び消去動作に不都合な影響を与えてしまう。
<エレクトロクロミック表示デバイスの製造方法>
エレクトロクロミック表示デバイス1の製造方法は、以下の[1]〜[4]の工程を含む。
[1]第1の蒸着工程
第1の蒸着工程は、第1基板10の片方の面に第1電極20…を設ける工程である。第1電極20…は、公知の蒸着法、メッキ法、スパッタ法などによって成膜され、次いで、フォトリソグラフィー法によってパターニングされ、次いで、エッチング法によって縞状に形成される。
[2]第2の蒸着工程
第2の蒸着工程は、第2基板30の片方の面に第2電極40…を設ける工程である。第2電極40…は、公知の蒸着法、メッキ法、スパッタ法などによって成膜され、次いで、フォトリソグラフィー法によってパターニングされ、次いで、エッチング法によって縞状に形成される。
[3]吸着層設置工程
吸着層設置工程は、第1基板10の片方の面に形成された第1電極20…上に、吸着層60を設置する工程である。
具体的には、例えば、アルミナゾル、或いは、アルミナゾルに少量の水溶性バインダーをブレンドしたものを、第1電極20…上に、マイヤーバー、アプリケーター、スピナー等の手段によって塗布し、溶媒を除去して、必要に応じて加熱、焼成をすることにより、吸着層60を形成する。
[4]貼りあわせ工程
貼りあわせ工程は、第1基板10の片面に形成された第1電極20…上に形成された吸着層60と、第2基板30の片面に形成された第2電極40…と、を内側にして第1基板10と第2基板30とを貼りあわせ、所定の添加物(表示品質劣化抑制剤やポリマー化合物など)が添加されたエレクトロクロミック組成物52を封入する工程である。
具体的には、例えば、スペーサ51に所定の添加物が添加されたエレクトロクロミック組成物52を染み込ませてエレクトロクロミック組成物層50を形成させ、このエレクトロクロミック組成物層50の両面に、一方の基板(例えば、吸着層60及び第1電極20…が形成された第1基板10)と、他方の基板(例えば、第2電極40…が形成された第2基板30)と、を貼りあわせる。
或いは、例えば、一方の基板に設置されたスペーサ51に所定の添加物が添加されたエレクトロクロミック組成物52を浸み込ませてエレクトロクロミック組成物層50を形成させ、このエレクトロクロミック組成物層50に他方の基板を貼りあわせる。
或いは、例えば、一方の基板と、他方の基板と、をスペーサ51が設置された状態で貼りあわせ、スペーサ51が設置された2枚の基板間の空隙に、所定の添加物が添加されたエレクトロクロミック組成物52を、ピペット等を用いて注入する。
或いは、例えば、一方の基板と、他方の基板と、をスペーサ51が設置された状態で貼りあわせ、スペーサ51が設置された2枚の基板間の空隙に、ガラスキャピラリ等を別途予め形成しておき、所定の添加物が添加されたエレクトロクロミック組成物52を、そのガラスキャピラリ等を用いてスペーサ51内へと吸引することによって封入する。
なお、上記のエレクトロクロミック表示デバイス1の製造方法は、一例であって、これらに限定されるものではない。
<エレクトロクロミック表示デバイスの駆動方法>
エレクトロクロミック表示デバイス1は、例えば、パッシブマトリックス駆動によって、以下のように駆動される。
エレクトロクロミック表示デバイス1の各画素70は、吸着層60を介し、第1電極20…と第2電極40…とにより挟まれたエレクトロクロミック組成物層50によって構成される。
エレクトロクロミック表示デバイス1の発色は、第1電極20…と第2電極40…との間に通電することによってエレクトロクロミック組成物52に通電すると、エレクトロクロミック組成物層50と第2電極40との間(第2電極40の表面)にてエレクトロクロミック組成物52が電気化学的な変化を起こすことによって行われる。また、エレクトロクロミック表示デバイス1の消色は、表示のための通電とは逆方向の通電によって、或いは、表示のための通電を遮断して放置することによって行われるが、表示のための通電とは逆方向の通電の方が、速やかに消去動作を実施することができる。
エレクトロクロミック表示デバイス1の発色濃度は、通電する電気量によって任意に調節することができる。さらに、通電は、電流の連続的な供給によっても、電流の間歇的な供給によっても可能である。電流の間歇的な供給とは、例えば、パルスによる駆動を指す。
一方、エレクトロクロミック表示デバイス1の発色は、通電の遮断によって消色するが、電子ペーパー等に適用する場合には、発色を維持する必要がある。エレクトロクロミック表示デバイス1の発色の維持は、例えば、表示のために印加した電流よりも小さい電流の供給によって行うことができる。連続的な電流の供給であれば、発色の維持は、電圧又は電流を発色時の半分以下にして行うことができる。また、間歇的な電流の供給、すなわちパルス駆動であれば、発色の維持は、例えば、通電期間を発色時よりも短くしたり、パルスの強度、幅、又は間隔を発色時よりも小さくしたりして行うことができる。
ここで、吸着層60等の、消去のための通電時にロイコ染料52aを吸着する構成を有していない従来の表示デバイスでは、消去のための通電の通電量を厳密に制御する必要があった。これは、消去のための通電によって、ロイコ染料52aがエレクトロクロミック組成物層50と第1電極20との間(第1電極20の表面)へと移動して発色してしまい、結果として表示が消去されないことがあるからである。
これに対して、本実施形態のエレクトロクロミック表示デバイス1においては、従来の表示デバイスのように消去のための通電の通電量を厳密に制御しなくても、消去のための通電時には、ロイコ染料52aは吸着層60に吸着されるため、ロイコ染料52aが第1電極20の表面へと移動して発色してしまうことを防止することができる。
具体的には、ロイコ染料52aは溶液中で分極している。吸着層60は、比表面積が大きく吸着能力が高いという特徴を有するとともに、表面が分極している。発色表示のための通電においては、第2電極40は正帯電することから、電子供与性であるロイコ染料52aは、電子を第2電極40に供与して発色し、表示を行う。一方、消去のための通電では、表示と反対方向に通電を行うため、第2電極40は負帯電する。ロイコ染料52aは、その負帯電した第2電極40から電子を受容して消色し、発色は消去される。そして、無色となったロイコ染料52aは、第1電極20の方向へ移動するが、高い吸着能力を有するとともに表面が分極した吸着層60の存在によって、第1電極20へは到達せずに、吸着層60へと移動して、捕捉吸着される。これにより、本発明のエレクトロクロミック表示デバイス1においては、消去のための通電時に、ロイコ染料52aが、第1電極20の表面に移動して発色することを防止することができる。
<多色表示デバイスの構成>
本発明の多色表示デバイス100は、複数のエレクトロクロミック表示デバイス1を、重ねることにより形成されている。
具体的には、多少表示デバイス100は、例えば、図3に示すように、イエローに発色するロイコ染料52aを用いたエレクトロクロミック表示デバイス1Yと、マゼンタに発色するロイコ染料52aを用いたエレクトロクロミック表示デバイス1Mと、シアンに発色するロイコ染料52aを用いたエレクトロクロミック表示デバイス1Cと、を重ねることにより形成された、フルカラー表示が可能な表示デバイスである。
なお、多色表示デバイス100が備える各エレクトロクロミック表示デバイス1を重ねる順番は、図3に示すような順番、すなわち、下からイエローに発色するエレクトロクロミック表示デバイス1Y、マゼンタに発色するエレクトロクロミック表示デバイス1M、シアンに発色するエレクトロクロミック表示デバイス1Cの順に限ることはなく、任意である。
また、多色表示デバイス100が備える各エレクトロクロミック表示デバイス1が発する色は、イエロー、マゼンタ、シアンの3種類に限ることはなく、2種類以上であれば任意である。
また、多色表示デバイス100が備えるエレクトロクロミック表示デバイス1の個数は、3個に限ることはなく、複数であれば任意である。
<実施例>
以下に、具体的な実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(エレクトロクロミック表示デバイスの作製)
第1基板10として、0.7mm厚の矩形状の無アルカリガラス基板を用い、その一方の面(上面)に、ITO膜をスパッタ形成した。スパッタ形成されたITO膜は、膜厚200nm、表面抵抗10Ω/□であった。スパッタ形成されたITO膜を、フォトリソグラフィー法を用いて、ストライプ幅0.42mm、ピッチ0.45mmとして、ストライプ状にパターン形成することにより、第1電極20…を形成した。
第2基板30として、0.7mm厚の矩形状の無アルカリガラス基板を用い、その一方の面(下面)に、ITO膜をスパッタ形成した。スパッタ形成されたITO膜は、膜厚200nm、表面抵抗10Ω/□であった。スパッタ形成されたITO膜を、フォトリソグラフィー法を用いて、ストライプ幅0.42mm、ピッチ0.45mmとして、ストライプ状にパターン形成することにより、第2電極40…を形成した。
次いで、第1電極20…の表面に、下記のアルミナゾル液Aを、200μmのアプリケーターを用いて塗布し、150℃のオーブンにて1時間乾燥させることにより、吸着層60を形成した。
次いで、吸着層60と第2電極40…との間にスペーサ51(粒状体(積水化学製ミクロパールGS−260(粒径60μm)))を挟み、第1電極20…が第2電極40…に対して直交し、かつ、その直交部が画素70…となるように調整して、吸着層60及び第1電極20…が形成された第1基板10と、第2電極40…が形成された第2基板30と、を重ね合わせた。そして、4つの側面(厚さ方向に平行する面)のうちの3つを接着剤(例えば、熱硬化性のエポキシ)で接着封止した。
次いで、接着剤未接着部分から、所定の添加物(表示品質劣化抑制剤やポリマー化合物など)が添加されたエレクトロクロミック組成物52(以下「エレクトロクロミック組成物A」と呼ぶ)を、ピペットを用いて注入した。そして、4つの側面(厚さ方向に平行する面)のうちの接着剤未接着部分を接着剤で接着封止し、エレクトロクロミック表示デバイス1(以下「表示デバイスA」と呼ぶ)を作製した。
アルミナゾル液Aの組成は、
アルミナゾルA2(川研ファインケミカル製) 18g
ポリビニルアルコール(関東化学製試薬特級#2000) 0.1g
水 20gである。
ここで、図4にアルミナゾルA2の透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscopy、TEM)写真を示す。アルミナゾルA2には、平均幅が10nmであり、平均長さが50nmであるアスペクト比が5の柱状のアルミナ微粒子が含まれている。
エレクトロクロミック組成物Aの組成は、
ロイコ染料(上記の式(5)) 150mg、
ハイドロキノン誘導体(上記の式(21);2,6−ジメチルハイドロキノン) 50mg、
フェロセン誘導体(上記の式(35);フェロセン) 1.3mg、
β−ジケトン誘導体(上記の式(54);ベンゾイルアセトン) 60mg、
支持電解質(一般式が上記の式(2)で表される化合物(テトラnブチルアンモニウムテトラフルオロボレート(n−CNBF)) 100mg、
極性溶剤(炭酸プロピレン) 0.5g、
極性溶剤(ジメチルスルフォキシド) 0.5g、
ポリマー化合物(ポリビニルブチラール;積水化学製エスレックBH3) 25mgである。
また、比較例1として、アルミナゾル液Aに代えて、下記のアルミナ分散液Bを用いて吸着層を形成した点のみが表示デバイスAとは異なるエレクトロクロミック表示デバイス(以下「表示デバイスB」と呼ぶ)を作製した。
アルミナ分散液Bの組成は、
酸化アルミニウムKC501(住友化学製) 2g
ポリビニルアルコール(関東化学製試薬特級#2000) 0.1g
水 20gである。
ここで、酸化アルミニウムKC501は、中心粒径が1μm、比表面積が200m/gの吸着精製用粉末の活性アルミナである。
また、比較例2として、アルミナゾル液Aに代えて、下記のアルミナゾル液Cを用いて吸着層を形成した点のみが表示デバイスAとは異なるエレクトロクロミック表示デバイス(以下「表示デバイスC」と呼ぶ)を作製した。
アルミナゾル液Cの組成は、
試作アルミナゾルA3(仮称) (川研ファインケミカル製) 18g
ポリビニルアルコール(関東化学製試薬特級#2000) 0.1g
水 20gである。
ここで、図5に試作アルミナゾルA3の透過型電子顕微鏡写真を示す。試作アルミナゾルA3には、平均幅が5nmであり、平均長さが2000nmであるアスペクト比が400の繊維状のアルミナ微粒子が含まれている。
また、比較例3として、吸着層を備えていない点のみが表示デバイスAとは異なるエレクトロクロミック表示デバイス(以下「表示デバイスD」と呼ぶ)を作製した。
(表示動作)
表示デバイスA〜Dの、ライン電極(第1電極20)60ライン及びデータ電極(第2電極40)60ラインの部分にパターン作製回路を接続した。
次いで、パッシブマトリクス駆動法を用いて、表示のための通電を行った。具体的には、選択された画素70(選択画素)を形成する第1電極20を負電極、選択画素を形成する第2電極40を正電極として、1ライン当たり1m秒の速度で、電極間に5.0Vの電圧を印加することにより、表示パターンを形成した。
(保持動作)
次いで、選択画素を形成する第1電極20を負電極、選択画素を形成する第2電極40を正電極として、1ライン当たり1m秒の速度で、電極間に2.5Vの電圧を印加することにより、表示パターンを60秒間保持した。
(消去動作)
次いで、表示と反対方向に通電(消去のための通電)を行った。具体的には、選択画素を形成する第1電極20を正電極、選択画素を形成する第2電極40を負電極として、1ライン当たり1m秒の速度で、電極間に7.0Vの電圧を印加し、1秒間通電することにより、表示パターンを消去した。
(視覚による評価)
表示デバイスA(実施例1)と表示デバイスB(比較例1)とにおいては、上記表示動作及び保持動作によって、解像度の高い表示パターンを表示して保持することができた。また、上記消去動作によって、当該表示パターンを完全に消去することができた。また、表示デバイスA(実施例1)は、極めて高い透明度を有するデバイスであることが分かった。
表示デバイスC(比較例2)は、表示デバイスAと同等の高い透明度を有するデバイスであったが、上記表示動作において、表示デバイスA(実施例1)や表示デバイスB(比較例1)のような、実用上十分な濃度の発色表示を形成することができなかった。
これは、アルミナゾル液Cに含まれるアルミナ微粒子が繊維状でアスペクト比が400と200よりも大きく、アルミナゾル液Cで吸着層を形成する際に当該アルミナ微粒子が密集して集積してしまい、緻密な吸着層が形成されたため、表示液(エレクトロクロミック組成物52)の吸着層への浸透が阻害されてしまって、エレクトロクロミック組成物50と対向電極(第1電極20)との間に絶縁層が形成されたようになり、通電阻害を起こしたためと考えられる。
表示デバイスD(比較例3)においては、上記表示動作及び保持動作によって、解像度の高い表示パターンを表示して保持することはできたが、上記消去動作によって、当該表示パターンを完全に消去することはできなかった。さらに、上記消去動作を3秒間延長したところ、逆に発色表示の濃度が増加し、ロイコ染料が第1電極20側で発色したことが確認された。
以上の結果から、表示デバイスA(実施例1)や表示デバイスB(比較例1)のような吸着層を備えるエレクトロクロミック表示デバイスにおいては、迅速に表示を消去できるとともに、通電量を厳密に制御しなくても確実に表示を消去できることが分かった。
また、表示デバイスC(比較例2)の吸着層、すなわちアスペクト比が200よりも高いアルミナ微粒子が集積されてなる吸着層よりも、表示デバイスA(実施例1)の吸着層、すなわちアスペクト比が200以下の5であるアルミナ微粒子が集積されてなる吸着層の方が、密度が疎であり、表示液(エレクトロクロミック組成物52)が吸着層へ浸透しやすいため、浸透したエレクトロクロミック組成物52により吸着層の通電性が向上し、高い表示品質及び高い動作性能を有することが分かった。
(反射率による評価)
次に、表示デバイスA(実施例1)の表示面、すなわち第2基板30における第2電極40…側とは反対側の面を上にして、反射率が0.3%の黒色紙の上に載置し、当該表示面側から分光濃度計(エックスライト530(エックスライト社製))を用いて分光反射率を測定した。その結果を図6に示す。
また、比較のために、表示デバイスB(比較例1)及び表示デバイスD(比較例3)についても、表示デバイスAと同様の方法で、反射率を求めた。その結果も図6に示す。
図6に示すように、表示デバイスA(実施例1)においては、吸着層を備えていない表示デバイスD(比較例3)と同様、波長400〜700nmの範囲で、反射率が約0.3%であり、下に敷いた黒色紙の反射率のみが反映されていることが分かった。これにより、表示デバイスAは、透過型の表示に適する程度の十分な透明性を有することが分かった。
一方、表示デバイスB(比較例1)においては、波長400〜700nmの範囲で、反射率が3%以上であり、下に敷いた黒色紙の反射率以外の反射率も反映されていることが分かった。これにより、表示デバイスBは、透過型の表示に適する程度の十分な透明性を有さないことが分かった。
ここで、表示デバイスAの吸着層を、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、当該吸着層は、平均幅が10nmであり平均長さが50nmであるアルミナ微粒子がランダムに集積されて形成されていることが分かった。
一方、表示デバイスBの吸着層を、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、当該吸着層は、粒径が約1μmであるアルミナ微粒子がランダムに集積されて形成されていることが分かった。
以上の結果から、表示デバイスB(比較例1)の吸着層、すなわち、粒径が約1μmであるアルミナ微粒子がランダムに集積されてなる吸着層よりも、表示デバイスA(実施例1)の吸着層、すなわち平均幅が1〜100nmであり平均長さが5〜5000nmであるアルミナ微粒子がランダムに集積されてなる吸着層の方が、粒子サイズが小さく、光が散乱しにくいため、高い透明性を有することが分かった。
以上説明した本発明のエレクトロクロミック表示デバイス1(或いは、エレクトロクロミック表示デバイス1A)によれば、透明な材料により形成された第1基板10と、第1基板10の上面に設けられ、透明な電極材料により形成された第1電極20…(或いは、第1電極20A…)と、第1基板10の上方に当該第1基板10に対向して設けられ、透明な材料により形成された第2基板30と、第2基板30の下面に設けられ、透明な電極材料により形成された第2電極40…と、第1基板10と第2基板30との間に設けられたエレクトロクロミック組成物層50と、を備え、第1電極20…と第2電極40…との間の通電によって表示を実施するとともに、第1電極20…と第2電極40…との間の当該表示のための通電とは逆方向の通電によって当該表示の消去を実施する表示デバイスであり、エレクトロクロミック組成物層50は、電子供与性染料前駆体(ロイコ染料52a)を含むエレクトロクロミック組成物52を備え、第1電極20…とエレクトロクロミック組成物層50との間には、消去のための通電時に電子供与性染料前駆体(ロイコ染料52a)を吸着する吸着層60が備えられ、吸着層60は、平均幅が1〜100nm、平均長さが5〜5000nmであり、アスペクト比が1〜200であるアルミナ微粒子の集積体からなっている。
すなわち、消去のための通電時に、ロイコ染料52aが吸着層60に吸着されるため、ロイコ染料52aが表示電極(第2電極40)とは反対側の電極(第1電極20)に移動して発色表示を形成してしまうことを防止できる。したがって、表示のための通電とは逆方向に通電することによって表示を消去する際、通電量を厳密に制御しなくても、確実に表示を消去することができる。
また、吸着層60は、平均幅が1〜100nm、平均長さが5〜5000nmであるアルミナ微粒子の集積体からなっているため、粒径がμmオーダの吸着剤(酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウム)含む吸着層を採用した場合と比較して、吸着層に含まれる吸着剤(アルミナ微粒子)の粒子サイズが小さい。したがって、光の散乱を抑えることができ、吸着層の透明性が向上するため、透過型の表示に適したものとなる。
さらに、吸着層60を形成するアルミナ微粒子は、アスペクト比が1〜200であるため、アスペクト比が200よりも大きい吸着剤を含む吸着層を採用した場合と比較して、エレクトロクロミック組成物52が吸着層にしみ込み易い。したがって、しみ込んだエレクトロクロミック組成物52により吸着層の通電性が向上するため、高い表示品質及び高い動作性能を有したものとなる。
また、本発明のエレクトロクロミック表示デバイス1(或いは、エレクトロクロミック表示デバイス1A)によれば、エレクトロクロミック組成物52は、支持電解質と、極性溶剤と、を含んでいる。
したがって、支持電解質によって、エレクトロクロミック組成物52内を電流が流れ易くすることができるとともに、極性溶剤によって、ロイコ染料52aの消色を電圧及び/又は電流の遮断でも行えるように促進することができる。
また、本発明のエレクトロクロミック表示デバイス1(或いは、エレクトロクロミック表示デバイス1A)によれば、電子供与性染料前駆体は、ロイコ染料52aである。
ロイコ染料52aは、低パワーで高い発色性を有し、各種の色選択性に優れ、比較的低コストで容易に入手・調達できるため、エレクトロクロミック材料として優れており、好適である。
また、本発明のエレクトロクロミック表示デバイス1(或いは、エレクトロクロミック表示デバイス1A)によれば、第1電極20は、互いに並行して延びる複数の透明電極であり、第2電極40は、第1電極20と直交する方向に互いに並行して延びる複数の透明電極である。
したがって、構造がシンプルなものとなって好適である。
また、以上説明した本発明の多色表示デバイス100によれば、エレクトロクロミック表示デバイス1(或いは、エレクトロクロミック表示デバイス1A)を、複数重ねることにより形成されている。
したがって、透過型の表示に適したエレクトロクロミック表示デバイス1により形成されているため、鮮やかなカラー表示が可能となる。
なお、本発明は、上記した実施の形態のものに限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1,1A エレクトロクロミック表示デバイス
10 第1基板
20,20A 第1電極
30 第2基板
40 第2電極
50 エレクトロクロミック組成物層
52 エレクトロクロミック組成物
52a ロイコ染料(電子供与性染料前駆体)
60 吸着層
100 多色表示デバイス

Claims (4)

  1. 透明な材料により形成された第1基板と、前記第1基板の上面に設けられ、透明な電極材料により形成された第1電極と、前記第1基板の上方に当該第1基板に対向して設けられ、透明な材料により形成された第2基板と、前記第2基板の下面に設けられ、透明な電極材料により形成された第2電極と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられたエレクトロクロミック組成物層と、を備え、前記第1電極と前記第2電極との間の通電によって表示を実施するとともに、前記第1電極と前記第2電極との間の当該表示のための通電とは逆方向の通電によって当該表示の消去を実施するエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
    前記エレクトロクロミック組成物層は、電子供与性染料前駆体を含むエレクトロクロミック組成物を備え、
    前記第1電極と前記エレクトロクロミック組成物層との間には、前記消去のための通電時に前記電子供与性染料前駆体を吸着する吸着層が備えられ、
    前記吸着層は、平均幅が1〜100nm、平均長さが5〜5000nmであり、アスペクト比が1〜200であるアルミナ微粒子の集積体からなることを特徴とするエレクトロクロミック表示デバイス。
  2. 請求項1に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
    前記エレクトロクロミック組成物は、支持電解質と、極性溶剤と、を含み、
    前記電子供与性染料前駆体は、ロイコ染料であることを特徴とするエレクトロクロミック表示デバイス。
  3. 請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
    前記第1電極は、互いに並行して延びる複数の透明電極であり、
    前記第2電極は、前記第1電極と直交する方向に互いに並行して延びる複数の透明電極であることを特徴とするエレクトロクロミック表示デバイス。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスを、複数重ねることにより形成されていることを特徴とする多色表示デバイス。
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