JP2012002835A - エレクトロクロミック表示デバイス及び多色表示デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1基板10の上面に設けられた第1電極20と、第2基板30の下面に設けられた第2電極40と、第1基板10と第2基板30との間に設けられたエレクトロクロミック組成物層50と、を備え、第1電極20と第2電極40との間の通電によって表示を実施するとともに、当該表示のための通電とは逆方向の通電によって当該表示の消去を実施するエレクトロクロミック表示デバイス1において、第1電極20とエレクトロクロミック組成物層50との間には、消去のための通電時にロイコ染料52aを吸着する吸着層60が備えられ、吸着層60は、平均幅が1〜100nm、平均長さが5〜5000nmであり、アスペクト比が1〜200であるアルミナ微粒子の集積体からなる。
【選択図】図1
Description
この問題を解決する手法としては、例えば、表示のための通電とは逆方向に通電をすることによって消去を実施する手法が考えられる。具体的には、例えば、(1)通電により表示→(2)表示のための通電量よりも小さな通電量を連続通電することにより表示を維持→(3)通電の遮断→(4)表示のための通電とは逆方向への通電により表示を消去、というプロセスが考えられる。
この問題を解決する手法としては、例えば、消去のための通電時に染料を吸着する吸着剤(酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウム)を、下方電極(第1電極)と上方電極(第2電極)との間のエレクトロクロミック組成物層に分散させたり、或いは、下方電極(第1電極)とエレクトロクロミック組成物層との間に塗布したりする手法が考えられる(例えば、特許文献3参照)。この手法によれば、消去のための通電時に、染料が吸着剤に吸着されるため、染料が表示電極(第2電極)と反対側の電極(第1電極)に移動して発色表示を形成してしまうことを防止することができる。したがって、表示のための通電とは逆方向に通電することによって表示を消去する際、通電量を厳密に制御しなくても、確実に表示を消去することができる。
透明な材料により形成された第1基板と、前記第1基板の上面に設けられ、透明な電極材料により形成された第1電極と、前記第1基板の上方に当該第1基板に対向して設けられ、透明な材料により形成された第2基板と、前記第2基板の下面に設けられ、透明な電極材料により形成された第2電極と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられたエレクトロクロミック組成物層と、を備え、前記第1電極と前記第2電極との間の通電によって表示を実施するとともに、前記第1電極と前記第2電極との間の当該表示のための通電とは逆方向の通電によって当該表示の消去を実施するエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記エレクトロクロミック組成物層は、電子供与性染料前駆体を含むエレクトロクロミック組成物を備え、
前記第1電極と前記エレクトロクロミック組成物層との間には、前記消去のための通電時に前記電子供与性染料前駆体を吸着する吸着層が備えられ、
前記吸着層は、平均幅が1〜100nm、平均長さが5〜5000nmであり、アスペクト比が1〜200であるアルミナ微粒子の集積体からなることを特徴とする。
請求項1に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記エレクトロクロミック組成物は、支持電解質と、極性溶剤と、を含み、
前記電子供与性染料前駆体は、ロイコ染料であることを特徴とする。
請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記第1電極は、互いに並行して延びる複数の透明電極であり、
前記第2電極は、前記第1電極と直交する方向に互いに並行して延びる複数の透明電極であることを特徴とする。
多色表示デバイスにおいて、
請求項1〜3の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスを、複数重ねることにより形成されていることを特徴とする。
また、吸着層は、平均幅が1〜100nm、平均長さが5〜5000nmであるアルミナ微粒子の集積体からなっているため、粒径がμmオーダの吸着剤(酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウム)含む吸着層を採用した場合と比較して、吸着層に含まれる吸着剤(アルミナ微粒子)の粒子サイズが小さい。したがって、光の散乱を抑えることができ、吸着層の透明性が向上するため、透過型の表示に適したものとなる。
さらに、吸着層を形成するアルミナ微粒子は、アスペクト比が1〜200であるため、アスペクト比が200よりも大きい吸着剤を含む吸着層を採用した場合と比較して、エレクトロクロミック組成物が吸着層にしみ込み易い。したがって、しみ込んだエレクトロクロミック組成物により吸着層の通電性が向上するため、高い表示品質及び高い動作性能を有したものとなる。
本発明のエレクトロクロミック表示デバイス1は、例えば、図1に示すように、第1基板10と、第1基板10の上面に設けられた第1電極20…と、第1基板10の上方に第1基板10に対向して設けられた第2基板30と、第2基板30の下面に設けられた第2電極40…と、第1基板10と第2基板30との間に設けられたエレクトロクロミック組成物層50と、第1電極20…とエレクトロクロミック組成物層50との間に設けられた吸着層60と、を備えて構成される。
第1電極20…は、互いに並行して延びる複数の透明電極である。第2電極40…は、第1電極20…と直交する方向に互いに並行して延びる複数の透明電極によりなる透明表示電極である。そして、第1電極20…と第2電極40…とが立体交差する領域に画素70…が形成されている。
第1電極20…は、吸着層60に接するように、かつ、第2電極40…に対向してエレクトロクロミック組成物層50及び吸着層60を挟むように、第1基板10の上面に設けられている。
第1電極20…は、第2電極40…と対になり、エレクトロクロミック組成物層50に通電する機能を有する。
第1電極20…は、第2電極40…と立体交差、すなわち、間隔を有して交差し、その交点の領域に画素70を形成している。
透明電極部22A…の材質は、特に限定されるものではなく、透明電極を構成する材質を用いることができる。透明電極を構成可能な材質としては、例えば、ITO膜やSnO2又はInO2をコーティングした薄膜などが挙げられる。また、ITO膜やSnO2又はInO2をコーティングした薄膜などにSnやSbなどをドーピングしたものであっても良く、MgO、ZnO、FTOなどであっても良い。さらに、透明電極部22Aは、例えば、その材質が金や白金などであっても薄膜であれば、その機能を果たすことができる。
第2電極40…は、エレクトロクロミック組成物層50に接するように、且つ、第1電極20…に対向してエレクトロクロミック組成物層50及び吸着層60を挟むように、第2基板30の下面に設けられている。
第2電極40…は、第1電極20…と対になり、エレクトロクロミック組成物層50に通電する機能を有する。
第2電極40…は、第1電極20…と立体交差、すなわち、間隔を有して交差し、その交点の領域に画素70を形成している。
エレクトロクロミック組成物層50の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは10〜500μm、より好ましくは30〜200μmに設定することによって、エレクトロクロミック組成物52の表示機能を効果的に発現させることができる。
ここで、多孔性の板状体やシート状体としては、エレクトロクロミック表示デバイス1の表示性能向上等の観点から、第1基板10及び第2基板30に対して略垂直方向に貫通する細孔を有するものが好ましく、具体的には、例えば、陽極酸化アルミナやメッシュ(ネット)状シート材などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、本実施形態では、エレクトロクロミック組成物52には、エレクトロクロミック表示デバイス1の表示品質の劣化を抑制するための表示品質劣化抑制剤、エレクトロクロミック組成物52の物性(例えば、増粘など)を調整するためのポリマー化合物が添加されている。
具体的には、エレクトロクロミック組成物52は、第1電極20…と第2電極40…との間の通電によって発色し、発色(表示)のための通電とは逆方向の通電によって、或いは、表示のための通電を遮断することによって消色する。
エレクトロクロミック組成物52は、流動性があれば良く、例えば、低粘度の液体状であっても良いし、高粘度のペースト状であっても良いし、流動性の小さいゲル状であっても良い。
支持電解質は、エレクトロクロミック組成物52全体の重量に対して、0.01〜2重量%となるように添加することが好ましく、前記機能の十分な発現のためには、0.1〜2重量%となるように添加することがより好ましい。
一般式が上記の式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、NaClO4、LiClO4、KClO4、RbClO4、CsClO4、NH4ClO4、LiBF4、LiPF6等が挙げられる。
また、一般式が上記の式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、(CH3)4NClO4、(C2H5)4NClO4、(n−C4H9)4NClO4、(CH3)4NBF4、(C2H5)4NBF4、(n−C4H9)4NBF4、(CH3)4NCl、(C2H5)4NCl、(CH3)4NBr、(C2H5)4NBr、(n−C4H9)4NBr、(n−C4H9)4NI、C6H5(CH3)3NClO4、C6H5(C2H5)3NClO4、C8H17(CH3)3NClO4、(C2H5)4NPF6、(n−C4H9)4NPF6、(CH3)4NCF3SO3、(C2H5)4NCF3SO3等が挙げられる。
極性溶剤の具体例としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート(炭酸プロピレン)、ジメチルスルフォキシド、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等が挙げられる。例示した極性溶剤は、何れもエレクトロクロミック組成物52の構成成分として用いる極性溶剤として好ましいものであるが、特に好ましいものとしてはN,N−ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート(炭酸プロピレン)、ジメチルスルフォキシドが挙げられる。
ロイコ染料52aとしては、例えば、部分骨格にラクトン、ラクタム、スルトン、スピロピラン、エステル又はアミド構造を有する実用上無色となりうる化合物等が挙げられる。具体的には、例えば、トリアリルメタン化合物、ビスフェニルメタン化合物、キサンテン化合物、フルオラン化合物、チアジン化合物、スピロピラン化合物等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
例えば、下記の式(13)、式(14)又は式(16)で表される化合物であれば、その配合量は、エレクトロクロミック組成物52全体に対して3〜40重量%とすることができる。
具体的には、表示品質劣化抑制剤は、例えば、第1の表示品質劣化抑制化合物(下記の一般式(17)で表される化合物(ハイドロキノン誘導体)及び/又は下記の一般式(18)で表される化合物(カテコール誘導体))と、第2の表示品質劣化抑制化合物(下記の一般式(34)で表される化合物(フェロセン誘導体))と、第3の表示品質劣化抑制化合物(下記の一般式(44)で表される化合物(β−ジケトン誘導体)及び/又は下記の一般式(45)で表される化合物(α−ジケトン誘導体))と、の混合物である。
ポリマー化合物は、エレクトロクロミック組成物52の粘度を高めるために用いるが、この場合のエレクトロクロミック組成物52の性状は、低粘度の液体状、高粘度のペースト状、流動性の小さいゲル状、とすることができる。
ポリマー化合物の好ましい配合量は、エレクトロクロミック組成物52全体の重量に対して、0.1〜80重量%とすることが好ましい。
ポリマー化合物の具体例としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンオキサイドなどのポリアルキレンオキサイド、又は、ポリアルキレンイミン、ポリアルキレンスルフィドの繰返し単位を有する高分子、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリビニルブチラールのごときポリビニルホルマール等が挙げられる。特に好ましいものとしては、ポリビニルブチラール、ポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
具体的には、吸着層60は、アルミナ微粒子(アルミナ水和物粒子及び/又はアルミナ粒子)がランダムに集積された集積体からなるアルミナ薄膜である。このアルミナ薄膜は、例えば、アルミナ水和物粒子が分散したアルミナゾルを支持体(例えば、第1電極20…)上に塗布して、溶媒を除去し、必要に応じて加熱、焼成をすることにより得ることができる。
吸着層60を構成するアルミナ粒子の結晶系は、無定形、ベーマイト、γ、θ、αであり、好適にはベーマイト、γ、θ、αである。
アルミナゾル中のアルミナ水和物粒子の濃度は、0.1〜20質量%が好ましい。特に好ましくは、0.5〜10質量%である。0.1質量%未満での場合は、十分な厚みの吸着層60が得られないため好ましくなく、20質量%より大きい場合は、分散液の粘度が高くなり、吸着層60の厚みの制御が困難になり好ましくない。
アルミナ微粒子の分散媒としては、水、アルコール、エーテル、ケトン、炭化水素等が挙げられる。
また、分散媒を除去する方法としては、蒸発法が好ましい。10〜100℃の恒温室内で10分〜5時間程度乾燥することによってアルミナ薄膜が得られる。
水溶性バインダーとして用いられる水溶性ポリマーは、特に限定はされず、デンプン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)などのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリエチレンオキシド(PEO)等を用いることができる。中でもポリビニルアルコールを好ましく用いることができる。
水溶性バインダーの添加量は、限定されるものではないが、アルミナ固形分に対して重量%で、0.1〜10%が好ましく、1〜10%がより好ましい。水溶性バインダーの添加量が少なすぎると、吸着層60の可撓性が不十分で、折り曲げられた際等に剥がれ易い等の物理的損傷を受け易く、エレクトロクロミック表示デバイス1を電子ペーパー等に適用した場合に、フレキシブル性が低下してしまう。一方、水溶性バインダーの添加量が多すぎると、吸着層60の吸着効果を阻害してしまい、また、吸着層60の電気抵抗を高める原因となって、通電量の低下等のエレクトロクロミック表示デバイス1の発色表示動作及び消去動作に不都合な影響を与えてしまう。
エレクトロクロミック表示デバイス1の製造方法は、以下の[1]〜[4]の工程を含む。
第1の蒸着工程は、第1基板10の片方の面に第1電極20…を設ける工程である。第1電極20…は、公知の蒸着法、メッキ法、スパッタ法などによって成膜され、次いで、フォトリソグラフィー法によってパターニングされ、次いで、エッチング法によって縞状に形成される。
第2の蒸着工程は、第2基板30の片方の面に第2電極40…を設ける工程である。第2電極40…は、公知の蒸着法、メッキ法、スパッタ法などによって成膜され、次いで、フォトリソグラフィー法によってパターニングされ、次いで、エッチング法によって縞状に形成される。
吸着層設置工程は、第1基板10の片方の面に形成された第1電極20…上に、吸着層60を設置する工程である。
具体的には、例えば、アルミナゾル、或いは、アルミナゾルに少量の水溶性バインダーをブレンドしたものを、第1電極20…上に、マイヤーバー、アプリケーター、スピナー等の手段によって塗布し、溶媒を除去して、必要に応じて加熱、焼成をすることにより、吸着層60を形成する。
貼りあわせ工程は、第1基板10の片面に形成された第1電極20…上に形成された吸着層60と、第2基板30の片面に形成された第2電極40…と、を内側にして第1基板10と第2基板30とを貼りあわせ、所定の添加物(表示品質劣化抑制剤やポリマー化合物など)が添加されたエレクトロクロミック組成物52を封入する工程である。
具体的には、例えば、スペーサ51に所定の添加物が添加されたエレクトロクロミック組成物52を染み込ませてエレクトロクロミック組成物層50を形成させ、このエレクトロクロミック組成物層50の両面に、一方の基板(例えば、吸着層60及び第1電極20…が形成された第1基板10)と、他方の基板(例えば、第2電極40…が形成された第2基板30)と、を貼りあわせる。
或いは、例えば、一方の基板に設置されたスペーサ51に所定の添加物が添加されたエレクトロクロミック組成物52を浸み込ませてエレクトロクロミック組成物層50を形成させ、このエレクトロクロミック組成物層50に他方の基板を貼りあわせる。
或いは、例えば、一方の基板と、他方の基板と、をスペーサ51が設置された状態で貼りあわせ、スペーサ51が設置された2枚の基板間の空隙に、所定の添加物が添加されたエレクトロクロミック組成物52を、ピペット等を用いて注入する。
或いは、例えば、一方の基板と、他方の基板と、をスペーサ51が設置された状態で貼りあわせ、スペーサ51が設置された2枚の基板間の空隙に、ガラスキャピラリ等を別途予め形成しておき、所定の添加物が添加されたエレクトロクロミック組成物52を、そのガラスキャピラリ等を用いてスペーサ51内へと吸引することによって封入する。
エレクトロクロミック表示デバイス1は、例えば、パッシブマトリックス駆動によって、以下のように駆動される。
エレクトロクロミック表示デバイス1の発色は、第1電極20…と第2電極40…との間に通電することによってエレクトロクロミック組成物52に通電すると、エレクトロクロミック組成物層50と第2電極40との間(第2電極40の表面)にてエレクトロクロミック組成物52が電気化学的な変化を起こすことによって行われる。また、エレクトロクロミック表示デバイス1の消色は、表示のための通電とは逆方向の通電によって、或いは、表示のための通電を遮断して放置することによって行われるが、表示のための通電とは逆方向の通電の方が、速やかに消去動作を実施することができる。
一方、エレクトロクロミック表示デバイス1の発色は、通電の遮断によって消色するが、電子ペーパー等に適用する場合には、発色を維持する必要がある。エレクトロクロミック表示デバイス1の発色の維持は、例えば、表示のために印加した電流よりも小さい電流の供給によって行うことができる。連続的な電流の供給であれば、発色の維持は、電圧又は電流を発色時の半分以下にして行うことができる。また、間歇的な電流の供給、すなわちパルス駆動であれば、発色の維持は、例えば、通電期間を発色時よりも短くしたり、パルスの強度、幅、又は間隔を発色時よりも小さくしたりして行うことができる。
具体的には、ロイコ染料52aは溶液中で分極している。吸着層60は、比表面積が大きく吸着能力が高いという特徴を有するとともに、表面が分極している。発色表示のための通電においては、第2電極40は正帯電することから、電子供与性であるロイコ染料52aは、電子を第2電極40に供与して発色し、表示を行う。一方、消去のための通電では、表示と反対方向に通電を行うため、第2電極40は負帯電する。ロイコ染料52aは、その負帯電した第2電極40から電子を受容して消色し、発色は消去される。そして、無色となったロイコ染料52aは、第1電極20の方向へ移動するが、高い吸着能力を有するとともに表面が分極した吸着層60の存在によって、第1電極20へは到達せずに、吸着層60へと移動して、捕捉吸着される。これにより、本発明のエレクトロクロミック表示デバイス1においては、消去のための通電時に、ロイコ染料52aが、第1電極20の表面に移動して発色することを防止することができる。
本発明の多色表示デバイス100は、複数のエレクトロクロミック表示デバイス1を、重ねることにより形成されている。
具体的には、多少表示デバイス100は、例えば、図3に示すように、イエローに発色するロイコ染料52aを用いたエレクトロクロミック表示デバイス1Yと、マゼンタに発色するロイコ染料52aを用いたエレクトロクロミック表示デバイス1Mと、シアンに発色するロイコ染料52aを用いたエレクトロクロミック表示デバイス1Cと、を重ねることにより形成された、フルカラー表示が可能な表示デバイスである。
また、多色表示デバイス100が備える各エレクトロクロミック表示デバイス1が発する色は、イエロー、マゼンタ、シアンの3種類に限ることはなく、2種類以上であれば任意である。
また、多色表示デバイス100が備えるエレクトロクロミック表示デバイス1の個数は、3個に限ることはなく、複数であれば任意である。
以下に、具体的な実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
第1基板10として、0.7mm厚の矩形状の無アルカリガラス基板を用い、その一方の面(上面)に、ITO膜をスパッタ形成した。スパッタ形成されたITO膜は、膜厚200nm、表面抵抗10Ω/□であった。スパッタ形成されたITO膜を、フォトリソグラフィー法を用いて、ストライプ幅0.42mm、ピッチ0.45mmとして、ストライプ状にパターン形成することにより、第1電極20…を形成した。
アルミナゾルA2(川研ファインケミカル製) 18g
ポリビニルアルコール(関東化学製試薬特級#2000) 0.1g
水 20gである。
ここで、図4にアルミナゾルA2の透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscopy、TEM)写真を示す。アルミナゾルA2には、平均幅が10nmであり、平均長さが50nmであるアスペクト比が5の柱状のアルミナ微粒子が含まれている。
ロイコ染料(上記の式(5)) 150mg、
ハイドロキノン誘導体(上記の式(21);2,6−ジメチルハイドロキノン) 50mg、
フェロセン誘導体(上記の式(35);フェロセン) 1.3mg、
β−ジケトン誘導体(上記の式(54);ベンゾイルアセトン) 60mg、
支持電解質(一般式が上記の式(2)で表される化合物(テトラnブチルアンモニウムテトラフルオロボレート(n−C4H9)4NBF4)) 100mg、
極性溶剤(炭酸プロピレン) 0.5g、
極性溶剤(ジメチルスルフォキシド) 0.5g、
ポリマー化合物(ポリビニルブチラール;積水化学製エスレックBH3) 25mgである。
酸化アルミニウムKC501(住友化学製) 2g
ポリビニルアルコール(関東化学製試薬特級#2000) 0.1g
水 20gである。
ここで、酸化アルミニウムKC501は、中心粒径が1μm、比表面積が200m2/gの吸着精製用粉末の活性アルミナである。
試作アルミナゾルA3(仮称) (川研ファインケミカル製) 18g
ポリビニルアルコール(関東化学製試薬特級#2000) 0.1g
水 20gである。
ここで、図5に試作アルミナゾルA3の透過型電子顕微鏡写真を示す。試作アルミナゾルA3には、平均幅が5nmであり、平均長さが2000nmであるアスペクト比が400の繊維状のアルミナ微粒子が含まれている。
表示デバイスA〜Dの、ライン電極(第1電極20)60ライン及びデータ電極(第2電極40)60ラインの部分にパターン作製回路を接続した。
次いで、パッシブマトリクス駆動法を用いて、表示のための通電を行った。具体的には、選択された画素70(選択画素)を形成する第1電極20を負電極、選択画素を形成する第2電極40を正電極として、1ライン当たり1m秒の速度で、電極間に5.0Vの電圧を印加することにより、表示パターンを形成した。
次いで、選択画素を形成する第1電極20を負電極、選択画素を形成する第2電極40を正電極として、1ライン当たり1m秒の速度で、電極間に2.5Vの電圧を印加することにより、表示パターンを60秒間保持した。
次いで、表示と反対方向に通電(消去のための通電)を行った。具体的には、選択画素を形成する第1電極20を正電極、選択画素を形成する第2電極40を負電極として、1ライン当たり1m秒の速度で、電極間に7.0Vの電圧を印加し、1秒間通電することにより、表示パターンを消去した。
表示デバイスA(実施例1)と表示デバイスB(比較例1)とにおいては、上記表示動作及び保持動作によって、解像度の高い表示パターンを表示して保持することができた。また、上記消去動作によって、当該表示パターンを完全に消去することができた。また、表示デバイスA(実施例1)は、極めて高い透明度を有するデバイスであることが分かった。
これは、アルミナゾル液Cに含まれるアルミナ微粒子が繊維状でアスペクト比が400と200よりも大きく、アルミナゾル液Cで吸着層を形成する際に当該アルミナ微粒子が密集して集積してしまい、緻密な吸着層が形成されたため、表示液(エレクトロクロミック組成物52)の吸着層への浸透が阻害されてしまって、エレクトロクロミック組成物50と対向電極(第1電極20)との間に絶縁層が形成されたようになり、通電阻害を起こしたためと考えられる。
また、表示デバイスC(比較例2)の吸着層、すなわちアスペクト比が200よりも高いアルミナ微粒子が集積されてなる吸着層よりも、表示デバイスA(実施例1)の吸着層、すなわちアスペクト比が200以下の5であるアルミナ微粒子が集積されてなる吸着層の方が、密度が疎であり、表示液(エレクトロクロミック組成物52)が吸着層へ浸透しやすいため、浸透したエレクトロクロミック組成物52により吸着層の通電性が向上し、高い表示品質及び高い動作性能を有することが分かった。
次に、表示デバイスA(実施例1)の表示面、すなわち第2基板30における第2電極40…側とは反対側の面を上にして、反射率が0.3%の黒色紙の上に載置し、当該表示面側から分光濃度計(エックスライト530(エックスライト社製))を用いて分光反射率を測定した。その結果を図6に示す。
また、比較のために、表示デバイスB(比較例1)及び表示デバイスD(比較例3)についても、表示デバイスAと同様の方法で、反射率を求めた。その結果も図6に示す。
一方、表示デバイスB(比較例1)においては、波長400〜700nmの範囲で、反射率が3%以上であり、下に敷いた黒色紙の反射率以外の反射率も反映されていることが分かった。これにより、表示デバイスBは、透過型の表示に適する程度の十分な透明性を有さないことが分かった。
一方、表示デバイスBの吸着層を、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、当該吸着層は、粒径が約1μmであるアルミナ微粒子がランダムに集積されて形成されていることが分かった。
また、吸着層60は、平均幅が1〜100nm、平均長さが5〜5000nmであるアルミナ微粒子の集積体からなっているため、粒径がμmオーダの吸着剤(酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウム)含む吸着層を採用した場合と比較して、吸着層に含まれる吸着剤(アルミナ微粒子)の粒子サイズが小さい。したがって、光の散乱を抑えることができ、吸着層の透明性が向上するため、透過型の表示に適したものとなる。
さらに、吸着層60を形成するアルミナ微粒子は、アスペクト比が1〜200であるため、アスペクト比が200よりも大きい吸着剤を含む吸着層を採用した場合と比較して、エレクトロクロミック組成物52が吸着層にしみ込み易い。したがって、しみ込んだエレクトロクロミック組成物52により吸着層の通電性が向上するため、高い表示品質及び高い動作性能を有したものとなる。
したがって、支持電解質によって、エレクトロクロミック組成物52内を電流が流れ易くすることができるとともに、極性溶剤によって、ロイコ染料52aの消色を電圧及び/又は電流の遮断でも行えるように促進することができる。
ロイコ染料52aは、低パワーで高い発色性を有し、各種の色選択性に優れ、比較的低コストで容易に入手・調達できるため、エレクトロクロミック材料として優れており、好適である。
したがって、構造がシンプルなものとなって好適である。
したがって、透過型の表示に適したエレクトロクロミック表示デバイス1により形成されているため、鮮やかなカラー表示が可能となる。
10 第1基板
20,20A 第1電極
30 第2基板
40 第2電極
50 エレクトロクロミック組成物層
52 エレクトロクロミック組成物
52a ロイコ染料(電子供与性染料前駆体)
60 吸着層
100 多色表示デバイス
Claims (4)
- 透明な材料により形成された第1基板と、前記第1基板の上面に設けられ、透明な電極材料により形成された第1電極と、前記第1基板の上方に当該第1基板に対向して設けられ、透明な材料により形成された第2基板と、前記第2基板の下面に設けられ、透明な電極材料により形成された第2電極と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられたエレクトロクロミック組成物層と、を備え、前記第1電極と前記第2電極との間の通電によって表示を実施するとともに、前記第1電極と前記第2電極との間の当該表示のための通電とは逆方向の通電によって当該表示の消去を実施するエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記エレクトロクロミック組成物層は、電子供与性染料前駆体を含むエレクトロクロミック組成物を備え、
前記第1電極と前記エレクトロクロミック組成物層との間には、前記消去のための通電時に前記電子供与性染料前駆体を吸着する吸着層が備えられ、
前記吸着層は、平均幅が1〜100nm、平均長さが5〜5000nmであり、アスペクト比が1〜200であるアルミナ微粒子の集積体からなることを特徴とするエレクトロクロミック表示デバイス。 - 請求項1に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記エレクトロクロミック組成物は、支持電解質と、極性溶剤と、を含み、
前記電子供与性染料前駆体は、ロイコ染料であることを特徴とするエレクトロクロミック表示デバイス。 - 請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記第1電極は、互いに並行して延びる複数の透明電極であり、
前記第2電極は、前記第1電極と直交する方向に互いに並行して延びる複数の透明電極であることを特徴とするエレクトロクロミック表示デバイス。 - 請求項1〜3の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスを、複数重ねることにより形成されていることを特徴とする多色表示デバイス。
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