JP2016212416A - 感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents

感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】長期間使用した場合であっても環境変動が小さく安定した電気特性を得ることができ、画像形成時の地汚れを抑制することができる感光体の提供。
【解決手段】導電性支持体上に少なくとも下引き層、感光層を順次有する感光体であって、前記下引き層が酸化亜鉛粒子を含有し、且つ前記下引き層を膜厚20μmとしたときの波長500nm以上800nm以下の光における透過率がいずれの波長でも50%以上であり、前記波長範囲において最も低い透過率の値が85%以下であり、更に23℃で55%RHの環境において、5V/μmの電界を印加したときの下引き層の体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上5.0×10Ω・cm以下である感光体。
【選択図】なし

Description

本発明は、感光体、前記感光体を用いた画像形成装置、及びプロセスカートリッジに関する。
画像形成装置を用いた画像形成方法において、画像は、感光体に帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程などの工程を施すことにより形成される。近年では、可とう性、熱安定性、成膜性などにおける利点から、感光体として有機材料を用いた有機感光体が広く使用されている。
近年の画像形成装置におけるフルカラー化や高速化、高精細化の急速な進行に伴い、感光体に対して更なる耐久化及び高安定化が求められている中で、保護層などの表面層が改良されたことによって感光体の耐摩耗性は飛躍的に向上した。これに対し、感光層や中間層、下引き層といった感光体内部を構成する各層への電気的、化学的耐久性、使用環境の変動に対する電気的特性の安定性が求められるようになっている。
感光体を構成する有機材料は帯電と除電を繰り返すような現在の電子写真プロセスでの静電負荷によって徐々に変質する。これにより感光体の電気特性は劣化し、長期使用における電気的安定性が維持できなくなる。特に帯電性の低下は、出力画像の画質への影響が大きく、画像濃度の低下、地汚れ(以下、地肌汚れ、かぶり、黒ポチと称することもある)、連続出力時の画像の均質性など重大な問題を引き起こすことが知られている。これらに大きく起因すると考えられるのが感光体の下引き層であり、下引き層の改良が今後の感光体の耐久化及び高安定化には必要である。
一般的に有機感光体はアルミニウム等からなる導電性支持体と、該支持体上に形成された下引き層と、更に下引き層上に積層された感光層とで構成される。前記下引き層は、主に結着樹脂と金属酸化物粒子などの導電性粒子を含有した導電層であり、支持体表面の隠蔽による「耐リーク機能」と、支持体から感光層への「電荷注入阻止機能」と、感光層で発生した電荷の支持体への「電荷輸送機能」との3つの目的で設けられており、これらの機能を向上させることが求められている。
従来の下引き層としては、酸化チタン粒子を用いた下引き層が提案されている(特許文献1参照)。
また、下引き層の上に中間層を用いることで耐リーク機能を付与する方法が提案されている(特許文献2参照)。
また、酸化チタン粒子、反応性有機ケイ素化合物で疎水化処理された酸化亜鉛粒子を用いた膜厚10μm以下の下引き層が提案されている(特許文献3参照)。
一方、酸化スズ粒子や酸化亜鉛粒子を用いた下引き層が提案されている(特許文献4参照)。
サリチル酸やチオール基を有する化合物を含有する下引き層が提案されている(特許文献5参照)。
これに対して、シランカップリング剤(アミノシラン)で表面処理された導電性金属酸化物粒子(酸化亜鉛粒子)を用いる下引き層で、下引き層の膜厚を20μmとしたときに、前記下引き層の波長950nmの光に対する透過率が85%以上であり、前記下引き層の体積抵抗率が1×1010Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下である下引き層が提案されている(特許文献6参照)。
したがって、先行技術文献では、いずれも、下引き層に必要とされる耐リーク機能と電荷注入阻止機能及び電荷輸送機能の全ての機能を満足し得る下引き層を有し、長期間使用した場合であっても安定した電気特性を得ることができ、画像形成時の残像や地汚れを抑制することができる感光体は提供されていないのが現状である。
本発明は、長期間使用した場合であっても環境変動が小さく安定した電気特性を得ることができ、画像形成時の地汚れを抑制することができる感光体を提供することを目的とする。
本発明は、下記の通りの感光体に係るものである。
導電性支持体上に少なくとも下引き層、感光層を順次有する感光体であって、
前記下引き層が酸化亜鉛粒子を含有し、
且つ前記下引き層を膜厚20μmとしたときの波長500nm以上800nm以下の光における透過率がいずれの波長でも50%以上であり、
前記波長範囲において最も低い透過率の値が85%以下であり、
更に23℃で55%RHの環境において、5V/μmの電界を印加したときの下引き層の体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上5.0×10Ω・cm以下である感光体。
本発明によると、長期間使用や使用環境が変動した場合であっても安定した電気特性を得ることができ、画像形成時の地汚れを抑制することが可能な感光体を提供することができる。
本発明の感光体の層構成の一例を示す概略図である。 本発明の感光体の層構成の一例を示す概略図である。 本発明の感光体の層構成の一例を示す概略図である。 本発明の感光体の層構成の一例を示す概略図である。 本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。 本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。 実施例で電荷発生物質として用いたチタニルフタロシアニンのX線回折スペクトルを示す図である。
(感光体)
本発明の感光体は、導電性支持体と、前記導電性支持体上に、下引き層と感光層とをこの順に少なくとも有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
本発明の感光体は、前記下引き層に本発明で規定する材料を有するものであり、前記導電性支持体、前記感光層、及び前記その他の層については、従来と同様のものを適用することができる。
<下引き層>
一般的に前記下引き層は、金属酸化物粒子と結着樹脂とからなり、更に、必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記感光体の下引き層としては、導電性支持体を均質な膜で完全に隠蔽されていること(耐リーク機能)と、導電性支持体から感光層への不要な電荷(感光体の帯電極性と逆極性の電荷)の注入を抑制する機能(電荷注入阻止機能)と、感光層で形成された電荷のうち感光体の帯電極性と同極性の電荷を輸送する機能(電荷輸送機能)とを兼ね備え、長期にわたって安定な感光体を得るためにはこれらの特性が繰り返しの静電負荷によっても変化しないことが重要となる。
これに対して、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、これらの特性は、下引き層が酸化亜鉛粒子を含有し、且つ前記下引き層を膜厚20μmとしたときの波長500nm以上800nm以下の光における透過率がいずれの波長でも50%以上であり、前記波長範囲において最も低い透過率の値が85%以下であり、更に23℃で55%RHの環境において、5V/μmの電界を印加したときの下引き層の体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上5.0×10Ω・cm以下であることで満足できることを知見した。
本発明によって、下引き層に必要な機能が全て満足される理由は明らかではないが、以下のことが考えられる。
酸化亜鉛粒子は優れた電気特性を有しており、23℃で55%RHの環境において、下引き層に5V/μmの電界を印加したときの下引き層の体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上5.0×10Ω・cmとすることで、下引き層は優れた電荷注入阻止機能及び電荷輸送機能を得ることができ、長期使用時および環境変動に対しても安定した電気特性を保持することができると考えられる。
そして、下引き層に酸化亜鉛粒子を用いる場合、酸化亜鉛粒子が均一に分散された分散膜であることが重要であり、下引き層は膜厚20μmとしたときの波長500nm以上800nm以下の光における透過率がいずれの波長でも50%以上であり、前記波長範囲において最も低い透過率の値が85%以下であることで酸化亜鉛の均一な分散性を保持できると考えられる。前記下引き層中で光の透過の阻害となるような光の散乱を引き起こす酸化亜鉛粒子の凝集体が存在すると、この凝集体が局所的なリーク点となり、地汚れなどの異常画像の原因となるだけでなく、凝集体で電荷トラップが発生し残留電位が上昇するなどの原因となる。
しかしながら、酸化亜鉛粒子は分散時にかかる力によって微細な摩耗やひび割れなどによって劣化が生じやすい。その結果、酸化亜鉛粒子の電気特性は悪化し、下引き層が高抵抗化するため優れた電気特性を維持できなくなると考えられる。
そこで、本発明の好ましい実施形態では、酸化亜鉛粒子がアルキルアルコキシシランで表面処理された酸化亜鉛粒子であり、前記アルキルアルコキシシランにおけるSiに結合したアルキル基の炭素数が4つ以下である酸化亜鉛粒子を用いる。
酸化亜鉛粒子をアルキル基の炭素数が4つ以下であるアルキル基を有するアルキルアルコキシシランで表面処理することにより酸化亜鉛粒子の分散時の劣化を防ぐとともに、非常に均一な分散状態を形成することができると考えられる。
アルキル基の炭素数が4つ以下であるアルキル基を有するアルキルアルコキシシランは酸化亜鉛粒子との結合力が強いため、分散時の酸化亜鉛粒子の劣化を防ぎ、酸化亜鉛粒子は有機溶媒や結着樹脂との親和性が向上し、酸化亜鉛粒子間の凝集力を小さくできると考えられる。その結果、下引き層は酸化亜鉛粒子が均一に分散され、下引き層において優れた電気特性と耐リーク機能を維持することができると考えられる。
また、本発明の他の好ましい実施形態では下引き層にサリチル酸誘導体またはチオール化合物を含有させる。
チオール基を有する化合物、もしくはサリチル酸誘導体を含有することで酸化亜鉛粒子の前記の均一な分散状態と、前記の体積抵抗率とを両立できていると考えられる。
<<酸化亜鉛粒子>>
前記酸化亜鉛粒子としては、特に制限はなく、本発明の目的を達成することができるものを選択することができる。また異なる特性の2種以上を併用してもよい。
<<酸化亜鉛粒子作製方法>>
本発明に用いられる酸化亜鉛粒子の作製方法については公知の方法が用いられるが中でも湿式法と称される方法が好ましい。湿式法には大きく二つの方法がある。一つは、硫酸亜鉛または塩化亜鉛等の亜鉛化合物(典型的には亜鉛塩)の水溶液をソーダ灰溶液で中和し、生成する炭酸亜鉛を水洗乾燥後、か焼して製造する方法である。もう一つは、水酸化亜鉛粒子を生成させ、水洗乾燥後、か焼して製造する方法である。これら湿式法で作製された酸化亜鉛粒子の場合、原材料の選定、製造条件により意図的に特定元素の量を変えて含有させることが可能となり本件発明に用いる酸化亜鉛粒子を容易に得ることができる。
以下に湿式法の詳細を述べる。
湿式法は具体的には、亜鉛含有水溶液とアルカリ性水溶液とから沈殿物を生成させ、これを熟成かつ洗浄し、当該沈殿物をアルコールで湿潤させて乾燥を開始し酸化亜鉛粒子前駆体を得た後、当該酸化亜鉛粒子前駆体を焼成して酸化亜鉛粒子とするものである。ここで、亜鉛含有水溶液を調製するための亜鉛化合物は特に限定されるものでなく、例えば硝酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛等が挙げられるが、本件発明で用いられる酸化亜鉛においては硫酸由来の硫黄が含有されるようにするため硫酸亜鉛が好ましい。
一方、アルカリ性水溶液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素アンモニウム、アンモニア等の水溶液が挙げられるが、本発明に用いられる酸化亜鉛を得る方法としては水酸化ナトリウム、炭酸水素アンモニウム及び水酸化カルシウム混合系が特に好ましい。
当該アルカリ性水溶液中における水酸化ナトリウムの濃度は、亜鉛化合物が水酸化物となるのに必要な化学当量の1.0以上1.5倍以下の過剰量とするのが好ましい。
化学当量以上のアルカリとすれば、投入した亜鉛化合物が反応できるため、1.5倍過剰量以下であれば、残留アルカリの除去の洗浄時間が短時間で済むためである。
次に、沈殿物の生成、熟成について説明する。
沈殿物の生成は、連続的に攪拌されているアルカリ性水溶液へ、亜鉛化合物の水溶液を滴下することで行なう。アルカリ性水溶液へ、亜鉛化合物の水溶液を滴下することにより、瞬時に過飽和度に到達して沈殿が生成することから、均一な粒径の炭酸亜鉛および水酸化炭酸亜鉛の微粒子の沈殿物が得られる。
亜鉛化合物の水溶液へ、アルカリ性溶液を滴下しても、亜鉛化合物の溶液とアルカリ性溶液とを並行滴下しても、上述のような粒子サイズが揃った炭酸亜鉛および水酸化炭酸亜鉛の微粒子の沈殿物を得ることは困難である。沈殿物の生成時におけるアルカリ性水溶液温度は特に限定されないが、50℃以下、好ましくは室温である。アルカリ性水溶液の温度の下限は定められないが、低過ぎると新たに加温装置等が必要になってくることからそのような装置を要しない温度とすることが好ましい。アルカリ性水溶液への亜鉛化合物水溶液の滴下時間は、生産性の観点から30分間未満、好ましくは20分間以下、更に好ましくは10分間以下とする。滴下完了後、系内の均一化を図るために、継続的に攪拌して熟成を行なう。熟成の温度は沈殿生成時の温度と同温とする。また、継続的に撹拌する時間は特に限定されないが、生産性の観点から30分間以下、好ましくは15分間以下である。
上記熟成後に得られた沈澱物は、デカンテーションによって洗浄するが、洗浄液の導電率を調整することで微粒子中に残留する硫酸イオンの量を調整することが可能となり、最終的に得られる酸化亜鉛中のナトリウム、カルシウム、硫黄の含有量を制御できる。次に、洗浄した沈殿物をアルコール溶液で湿潤処理して湿潤処理物とし、その後、当該湿潤処理物を乾燥することによって酸化亜鉛粒子前駆体を得る。当該湿潤処理を行なうことで、乾燥後の酸化亜鉛粒子前駆体の凝集を回避できる。当該アルコール溶液のアルコール濃度は、50質量%以上であることが好ましい。アルコール濃度が50質量%以上であれば、酸化亜鉛粒子が強凝集体となることを回避でき、優れた分散性を発揮するからである。
湿潤処理で用いられるアルコール溶液について説明する。
当該アルコール溶液に用いられるアルコールは特に限定されないが、水に溶解し、沸点100℃以下のアルコールが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブチルアルコールが挙げられる。
湿潤処理について説明する。
当該湿潤処理は、濾過洗浄された沈殿物をアルコール溶液中へ投入して攪拌すればよく、このときの時間や攪拌速度は処理量に応じて適宜選択すればよい。当該沈殿物をアルコール溶液中に投入する際のアルコール溶液量は、当該沈殿物が容易に攪拌できて流動性を確保できる液量があれば良い。攪拌時間や攪拌速度は、上述した濾過洗浄時に一部凝集した部分を含む沈殿物が、アルコール溶液中において、当該凝集部分が解消するまで均一に混合されることを条件に適宜選択される。
また、湿潤処理の際、温度は通常室温下で行なえば良いが、必要に応じて、アルコールが蒸発して失われない程度に加温しながら行なうことも可能である。好ましくは、アルコールの沸点以下の温度で加熱することで、湿潤処理中におけるアルコールの消失を回避でき、湿潤処理の効果がなくなることを回避できる。湿潤処理中にアルコールの存在が保たれることで、湿潤処理の効果が得られ、乾燥後には沈殿物が強凝集体とならないので好ましい。
当該湿潤処理物の乾燥方法について説明する。
乾燥温度や時間の乾燥条件は、特に限定されるものではなく、湿潤処理物がアルコールに湿潤した状態で加熱乾燥を開始すればよい。当該湿潤処理後であれば、加熱乾燥を行なっても、沈殿物が強凝集体となることはないので、湿潤処理物の処理量や処理装置等により乾燥条件を適宜選択すれば良い。
当該乾燥処理により、湿潤処理を受けた酸化亜鉛粒子前駆体を得ることができるが、当該前駆体は焼成されることによって酸化亜鉛粒子となる。乾燥処理された酸化亜鉛前駆体の焼成は、大気中、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス中、上記不活性ガスと水素等の還元性ガスとの混合ガス中、のいずれかの雰囲気下で行なう。このときの処理温度は、所望とする紫外線吸収(遮蔽)特性の観点から下限は400℃前後が好ましい。このときの処理時間は、酸化亜鉛前駆体の処理量や焼成温度に応じて適宜選択する。
−酸化亜鉛粒子平均粒子径−
前記酸化亜鉛粒子の粒子径(体積平均粒子径)としては、目的に応じて適宜選択することができるが、平均粒径が20nm以上200nm以下であることが好ましく、50nm以上150nm以下がより好ましい。前記平均粒径が、20nm未満であると、良好な分散状態の下引き層を製膜することが難しくなることがあり、200nmを超えると、下引き層の優れた電気特性を維持することが難しくなることがある。
前記酸化亜鉛粒子の平均一次粒径は、下引き層中に観察される粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)にて任意に100個観察し、その投影面積を求め、得られた面積の円相当径を計算して体積平均粒子径を求め、その平均値を平均粒子径として求めることができる。
−下引き層の酸化亜鉛占有体積率−
前記酸化亜鉛粒子の下引き層における占有体積率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40%以上55%以下が好ましく、45%以上53%以下がより好ましい。前記占有体積率が、40%以上であることにより下引き層の体積抵抗率が高くなりすぎることがなく、良好な電気特性を維持できる。また、前記占有体積率が、55%以下であることにより膜の透過率が高く分散が良好となり十分な耐地汚れ性を得ることができる。
酸化亜鉛の占有体積としては酸化亜鉛の仕込み量および比重、樹脂成分の仕込み量および比重、そのほかに添加したものの仕込み量とその比重から算出することができる。
<<表面処理剤>>
前記酸化亜鉛粒子を表面処理するための表面処理剤としては、アルキル基の炭素数が4つ以下であるアルキル基を有するアルキルアルコキシシランであることが必要である。これにより、分散時の酸化亜鉛粒子の劣化を防ぐとともに、下引き層は非常に均質な分散状態を形成することができると考えられる。例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
酸化亜鉛粒子を表面処理するための表面処理剤がアルキル基の炭素数が5つ以上のアルキル基であるアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの場合、表面処理剤間の凝集力が強くなるため分散しにくくなる。さらにアルキル鎖長が長いために表面処理剤同士の立体障害が生じ、酸化亜鉛粒子表面に対する処理量が不十分になる。その結果、分散性と電気特性との両立ができない。
また、その他の表面処理剤をアルキル基の炭素数が4つ以下であるアルキル基を有するアルキルアルコキシシランと併用してもよい。その他の表面処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記酸化亜鉛粒子を前記表面処理剤で処理する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乾式法、湿式法などが挙げられる。
−乾式法−
前記乾式法としては、例えば、前記酸化亜鉛粒子をせん断力の大きなミキサー等で攪拌しながら、前記表面処理剤を直接的に滴下、又は有機溶媒に溶解させた前記表面処理剤を滴下し、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって均一に処理する方法が挙げられる。前記表面処理剤を滴下、噴霧する際には前記有機溶剤の沸点以下の温度で行われることが好ましい。前記有機溶剤の沸点より高い温度で噴霧すると、均一に攪拌される前に前記有機溶剤が蒸発し、前記表面処理剤が局所的に固まってしまい、均一な処理ができにくいことがある。前記表面処理剤を滴下、噴霧した後、更に100℃以上で焼き付けを行うことができる。前記焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−湿式法−
前記湿式法としては、例えば、前記酸化亜鉛粒子を、攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミル等を用いて溶剤中に分散し、前記表面処理剤を添加し、攪拌あるいは分散したのち、溶剤除去することで均一に処理される。前記溶剤除去の方法としては、例えば、ろ過あるいは蒸留が挙げられる。溶剤除去後、更に100℃以上で焼き付けを行うことができる。前記焼き付けは、所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記湿式法においては、前記表面処理剤を添加する前に前記酸化亜鉛粒子の含有水分を除去することもできる。前記含有水分を除去する方法としては、例えば、表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法などが挙げられる。
酸化亜鉛粒子の表面が式1で示される表面処理剤により被覆されていることは、例えば、光電子分光法(ESCA)、オージェ電子分光法、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)などの表面分析法を用いることによって確認することが出来る。
<<チオール基を有する化合物>>
チオール基を有する化合物としては例えば、エタンチオール、1−プロパンチオール、2−プロパンチオール、2−メルカプトエタノール、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、2−メチル−1−プロパンチオール、2−メチル−2−プロパンチオール、1,2−エタンジチオール、シクロペンタンチオール、3−メチル−1−ブタンチオール、2−メチル−1−ブタンチオール、3−メチル−2−ブタンチオール、1−ペンタンチオール、1,3−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1−ヘキサンチオール、1−ヘプタンチオール、1,5−ペンタンジチオール、2−エチル−1−ヘキサンチオール、tert−オクタンチオール、1,6−ヘキサンジチオール、2−プロペン−1−チオール、チオ酢酸、2−アミノエタンチオール、メルカプト酢酸、2−(メチルチオ)エタノール、3−メルカプト−1−プロパノール、チオ乳酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸メチル、3−メルカプト−2−ブタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、3−メルカプト−2−ペンタノン、2−メルカプト−3−ペンタノン、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、3−メルカプト−1−ヘキサノール6−メルカプト−1−ヘキサノール、ベンゼンチオール、2−ピリジンチオール、4−ピリジンチオール、2−ピリミジンチオール、p−キシレンチオール、m−キシレン−4−チオール、2−エチルベンゼンチオール、(4−メチルフェニル)メタンチオール、2−メトキシベンゼンチオール、1,2−ベンゼンジチオール、トルエン−3,4−ジチオール、3−(トリメトキシシリル)プロパンチオール、3−(トリエトキシシリル)プロパンチオール、3−(ジメトキシメチルシリル)−1−プロパンチオール
ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリメチロールプロパン トリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタン トリス(3−メルカプトブチレート)などが挙げられる。
<<サリチル酸誘導体>>
サリチル酸誘導体としては例えばサリチル酸、アセチルサリチル酸、5−アセチルサリチル酸、3−アミノサリチル酸、5−アセチルサリチルアミド、5−アミノサリチル酸、4−アジドサリチル酸、サリチル酸ベンジル、サリチル酸4−tert−ブチルフェニル、サリチル酸ブチル、サリチル酸2−カルボキシフェニル、3,5−ジニトロサリチル酸、ジチオサリチル酸、アセチルサリチル酸エチル、サリチル酸2−エチルヘキシル、6−メチルサリチル酸エチル、サリチル酸エチル、5−ホルミルサリチル酸、4−(2−ヒドロキシエトキシ)サリチル酸、サリチル酸2−ヒドロキシエチル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸イソブチル、サリチル酸イソプロピル、3−メトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、6−メトキシサリチル酸、アセチルサリチル酸メチル、5−アセチルサリチル酸メチル、5−アリル−3−メトキシサリチル酸メチル、5−ホルミルサリチル酸メチル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)サリチル酸メチル、3−メトキシサリチル酸メチル、4−メトキシサリチル酸メチル、5−メトキシサリチル酸メチル、4−メチルサリチル酸メチル、5−メチルサリチル酸メチル、サリチル酸メチル、3−メチルサリチル酸、4−メチルサリチル酸、5−メチルサリチル酸、チオサリチル酸メチル、サリチル酸4−ニトロフェニル、5−ニトロサリチル酸、4−ニトロサリチル酸、3−ニトロサリチル酸、サリチル酸4−オクチルフェニル、サリチル酸フェニル、3−アセトキシ−2−ナフトアニリド、6−アセトキシ−2−ナフトエ酸、3−アミノ−2−ナフトエ酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−エトキシ−1−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−(2−ヒドロキシ−4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−3−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド、2−メトキシ−1−ナフトエ酸、3−メトキシ−2−ナフトエ酸、6−メトキシ−2−ナフトエ酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸メチル、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル、3−メトキシ−2−ナフトエ酸メチル、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルなどが挙げられる。
これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
<チオール基を有する化合物、サリチル酸誘導体の含有量>
チオール基を有する化合物、サリチル酸誘導体の含有量としては処理前の酸化亜鉛粒子に対して0.3質量%〜6質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上4.0質量%がより好ましく、1質量%〜3質量%であることが更に好ましい。チオール基を有する化合物、サリチル酸誘導体の含有量が処理前の酸化亜鉛粒子に対して0.3質量%以上であることによりチオール基を有する化合物、サリチル酸誘導体の与える機能を十分に発揮することができ、良好な特性を得ることができる。また、チオール基を有する化合物、サリチル酸誘導体の含有量が処理前の酸化亜鉛粒子に対して6質量%以下であることにより酸化亜鉛粒子の分散の阻害を引き起こすことがなく、十分な特性を得ることができる。
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<<結着樹脂>>
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記結着樹脂としては、後述する感光層を下引き層上に塗布することを考慮して、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い結着樹脂が好ましい。前記耐溶剤性の高い結着樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂;共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂;ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。
<<その他の成分>>
前記下引き層には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のためにその他の成分を含有させてもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子輸送性物質;多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料;シランカップリング剤;ジルコニウムキレート化合物;チタニウムキレート化合物;アルミニウムキレート化合物;フルオレノン化合物;チタニウムアルコキシド化合物;有機チタニウム化合物、並びに後述の酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、及びレベリング剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記酸化亜鉛粒子の下引き層塗工液中における分散方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボールミル、サンドミル、振動ミル、3本ロールミル、アトライター、圧力式ホモジナイザー、超音波分散等を用いる分散方法などが挙げられる。
前記塗工法としては、特に制限はなく、塗工液の粘性、所望とする下引き層の膜厚などによって適宜選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法などが挙げられる。
前記下引き層用塗工液を用いて塗工した後に、必要に応じてオーブン等で加熱乾燥させてもよい。下引き層の乾燥温度としては、特に制限はなく、下引き層用塗工液に含有される溶剤の種類等に応じて適宜選択することができるが、80℃以上200℃以下が好ましく、100℃以上150℃以下がより好ましい。
<<下引き層の平均厚み>>
前記下引き層の平均厚みとしては、特に制限はなく、製造したい感光体の電気特性や寿命によって適宜選択することができるが、7μm以上30μm以下であることが好ましく、さらに10μm以上25μm以下であることがより好ましい。
前記厚みが7μm以上であることにより、感光体表面の帯電極性と逆極性の電荷が導電性支持体から感光層中に流れ込むことによって、帯電性不良に起因する地汚れ状の画像欠陥が生じるというようなことがない。一方、前記厚みが30μm以下であることにより、残留電位の上昇などの光減衰機能が低下したり、繰り返し安定性が低下したりするなどの欠陥が生じるようなことがない。下引き層の厚みの測定方法としては例えば渦電流式膜厚計、触針式膜厚計、走査型電子線顕微鏡、透過型電子線顕微鏡などを使用することができる。下引き層の平均厚みの算出方法としては任意の5点の厚みを平均することで算出する。
<<下引き層の透過率>>
下引き層の透過率の測定方法としては公知の測定方法であれば特に制限はなく例えば紫外・可視光分光などを用いることができる。
下引き層の透過率は波長500nm以上800nm以下の光に対する透過率が膜厚を20μm相当に換算した際、50%以上、好ましくは60%以上とし、前記波長範囲において最も低い透過率の値を85%以下とする。波長500nm以上800nm以下の光に対する透過率は60%以上であり、前記波長範囲において最も低い透過率の値を85%以下とすることがより好ましい。
透過率が50%未満である場合、局所地汚れが発生しやすい傾向が見られる。
これは下引き層膜中の酸化亜鉛粒子の分散状態が不十分であり、凝集体などが存在しリークポイントを形成しているためと予想される。
そのような凝集体による散乱により結果として透過率が低下しているものと考えられる。
また、前記の波長域において最も低い透過率の値が85%を超えると、酸化亜鉛粒子が微細な摩耗やひび割れなどによって劣化が生じやすく、その結果、酸化亜鉛粒子の電気特性は悪化し、下引き層が高抵抗化するため優れた電気特性を維持できなくなる。
<<下引き層の体積抵抗率>>
下引き層の体積抵抗率の測定方法としては、例えば導電体支持体上の下引き層の上部に金電極を作り、サンドイッチ構造を形成し、測定することができる。測定環境は温度23℃、相対湿度55%RHとする。下引き層の体積抵抗率は下引き層に5V/μmの電界を印加したときの電圧と電流から算出する。
前記方法により求められる温度23℃、相対湿度55%RHにおける体積抵抗率は1.0×10Ω・cm以上5.0×10Ω・cmであることが好ましく、3.0×10Ω・cm以上3.0×10Ω・cmであることがより好ましい。
体積抵抗率は1.0×10Ω・cm未満であると、地汚れが発生しやすい傾向にあり、5.0×10Ω・cmを超えると、連続通紙時に画像濃度ムラが発生しやすい傾向にある。
<<下引き層の体積抵抗率の環境変動>>
温度10℃、相対湿度15%RHにおいて前記方法にて測定した下引き層の体積抵抗率Aと温度30℃、相対湿度90%RHにおいて測定した下引き層の体積抵抗率Bについて下記関係式(1)を満足することが好ましい。下記関係式(2)を満足することがより好ましい。
0.2<A/B<5 ・・・(1)
0.5<A/B<3 ・・・(2)
A/Bが0.2以下である場合、もしくは5以上である場合、環境が変動した際に画像ムラが発生しやすい傾向がある。
<感光層>
前記感光層としては、積層型感光層であってもよく、単層型感光層であってもよい。
<<単層型感光層>>
前記単層型感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能とを同時に有する層である。前記単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、及び結着樹脂を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−電荷発生物質−
前記電荷発生物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する積層型感光層で用いられるものと同様の物質などが挙げられる。前記電荷発生物質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対し、5質量部〜40質量部が好ましい。
−電荷輸送物質−
前記電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する積層型感光層で用いられるものと同様の物質などが挙げられる。前記電荷輸送物質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対して、190質量部以下が好ましく、50質量部〜150質量部がより好ましい。
−結着樹脂−
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する積層型感光層で用いられるものと同様の結着樹脂などが挙げられる。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する積層型感光層で用いられるものと同様の低分子電荷輸送物質、同様の溶媒、並びに後述の酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、レベリング剤などが挙げられる。
−単層型感光層の形成方法−
前記単層型感光層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂、その他の成分等を分散機を用いて適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等)に溶解乃至分散して得られた塗工液を、塗布乃至乾燥することにより形成する方法などが挙げられる。
前記塗工液を塗工する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、リングコートなどが挙げられる。また、必要に応じて、可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
前記単層型感光層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜25μmが好ましい。
<<積層型感光層>>
前記積層型感光層は、電荷発生機能及び電荷輸送機能をそれぞれ独立した層が担うため、少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層とを有する。なお、前記電荷発生層、及び前記電荷輸送層は、従来公知のものを使用することができる。
前記積層型感光層において、前記電荷発生層と前記電荷輸送層との積層順としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、多くの電荷発生材料は化学的安定性に乏しく、電子写真作像プロセスにおける帯電器周辺での放電生成物のような酸性ガスにさらされると電荷発生効率の低下などを引き起こす。このため、前記電荷発生層の上に前記電荷輸送層を積層することが好ましい。
−電荷発生層−
前記電荷発生層は、電荷発生物質を含み、結着樹脂を含むことが好ましく、更に必要に応じて後述の酸化防止剤等のその他の成分を含む。
−−電荷発生物質−−
前記電荷発生物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機系材料、有機系材料などが挙げられる。
−−−無機系材料−−−
前記無機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶セレン、アモルファス−セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、アモルファス−シリコン(例えば、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子等でターミネートしたもの;ホウ素原子、リン原子等を含有したものなどが好適)などが挙げられる。
−−−有機系材料−−−
前記有機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−結着樹脂−−
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記結着樹脂としては、上述の結着樹脂の他に、電荷輸送機能を有する電荷輸送性高分子材料を含んでもよく、例えば、アリールアミン骨格、ベンジジン骨格、ヒドラゾン骨格、カルバゾール骨格、スチルベン骨格、ピラゾリン骨格等を有する、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料、ポリシラン骨格を有する高分子材料などを用いることができる。
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低分子電荷輸送物質、溶媒、並びに後述の酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、及びレベリング剤などが挙げられる。
前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、添加する層の総質量に対して、0.01質量%〜10質量%が好ましい。
−−−低分子電荷輸送物質−−−
前記低分子電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子輸送物質、正孔輸送物質などが挙げられる。
前記電子輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用
してもよい。 前記正孔輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−−溶媒−−−
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−電荷発生層の形成方法−−
前記電荷発生層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記電荷発生物質及び前記結着樹脂を前記溶媒等の前記その他の成分に溶解乃至分散して得られた塗工液を、前記導電性支持体上に塗布して乾燥することにより形成する方法などが挙げられる。なお、前記塗工液は、キャスティング法などにより塗布することができる。
前記電荷発生層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm〜5μmが好ましく、0.05μm〜2μmがより好ましい。
−電荷輸送層−
前記電荷輸送層は、帯電電荷を保持させ、かつ、露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ、電荷移動性がよいことが要求される。
前記電荷輸送層は、電荷輸送物質を含み、結着樹脂を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含む。
−−電荷輸送物質−−
前記電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子輸送物質、正孔輸送物質、高分子電荷輸送物質などが挙げられる。
前記電荷輸送物質の電荷輸送層全量における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20質量%〜90質量%が好ましく、30質量%〜70質量%がより好ましい。前記含有量が、20質量%未満であると、電荷輸送層の電荷輸送性が小さくなることにより所望の光減衰特性が得られないことがあり、90質量%を超えると、画像形成工程から感光体が受ける各種ハザードによって必要以上に摩耗することがある。一方、前記電荷輸送物質の電荷輸送層における含有量が、前記より好ましい範囲内であると、所望の光減衰性が得られるとともに、使用によっても摩耗量が少ない電子
写真感光体を得ることができる点で有利である。
−−−電子輸送物質−−−
前記電子輸送物質(電子受容性物質)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−−−正孔輸送物質−−−
前記正孔輸送物質(電子供与性物質)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−−−高分子電荷輸送物質−−−
前記高分子電荷輸送物質は、後述する結着樹脂の機能と電荷輸送物質の機能を併せ持つ材料である。
前記高分子電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルバゾール環を有する重合体、ヒドラゾン構造を有する重合体、ポリシリレン重合体、トリアリールアミン構造を有する重合体(例えば、特許第3852812号公報、特許第3990499号公報等に記載のトリアリールアミン構造を有する重合体等)、電子供与性基を有する重合体、その他の重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよく、摩耗耐久性や製膜性の点で、後述する結着樹脂と併用してもよい。
前記高分子電荷輸送物質の電荷輸送層全質量における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記高分子電荷輸送物質と後述する結着樹脂とを併用する場合、40質量%〜90質量%が好ましく、50質量%〜80質量%がより好ましい。
−−結着樹脂−−
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、前記電荷輸送層は、架橋性の結着樹脂と架橋性の電荷輸送物質との共重合体を含むこともできる。
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶媒、並びに後述の酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、及びレベリング剤などが挙げられる。
前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、添加する層の総質量に対して、0.01質量%〜10質量%が好ましい。
−−−溶媒−−−
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、前記電荷輸送物質及び前記結着樹脂を良好に溶解する溶媒が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
−−電荷輸送層の形成方法−−
前記電荷輸送層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記電荷輸送物質及び前記結着樹脂を前記溶媒等の前記その他の成分に溶解乃至分散して得られた塗工液を、前記電荷発生層上に塗布して加熱乃至乾燥することにより形成する方法などが挙げられる。
前記電荷輸送層形成の際に用いる前記塗工液の塗工方法としては、特に制限はなく、塗工液の粘性、所望とする電荷輸送層の厚み等の目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法などが挙げられる。
前記電荷輸送層は、電子写真特性や膜粘性の観点から、何らかの手段を用いて加熱を行い、前記溶媒を前記電荷輸送層中から取り除く必要がある。前記加熱する方法としては、例えば、空気、窒素等の気体、蒸気、各種熱媒体、赤外線、電磁波等の熱エネルギーを塗工面側又は導電性支持体側から加熱する方法などが挙げられる。
前記加熱する際の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100℃〜170℃が好ましい。前記温度が100℃未満であると、膜中の有機溶媒を十分取り除くことができず、電子写真特性の低下や摩耗耐久性低下が生じることがある。一方、前記温度が170℃を超えると、表面にゆず肌状の欠陥や亀裂の発生、隣接層との界面で剥離の発生などが生じるだけでなく、感光層中の揮発性成分が外部に霧散した場合、所望の電気特性が得られなくなることがある。
前記電荷輸送層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、解像度乃至応答性の点から、50μm以下が好ましく、45μm以下がより好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)により異なるが、5μm以上が好ましい。
<その他の層>
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保護層、中間層、第2の下引き層などが挙げられる。
<<保護層>>
前記保護層(以下、表面層と称することもある)は、前記感光体の耐久性向上や他の機能の向上を目的として、前記感光層の上に設けることができる。前記保護層は、少なくとも結着樹脂、及びフィラーを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−結着樹脂−
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、ポリブチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。これらの中でも、前記フィラーの分散性、残留電位、塗膜欠陥の点から、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂が好ましい。
−フィラー−
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属酸化物微粒子などが挙げられる。
前記金属酸化物微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズを含有した酸化インジウム、アンチモンやタンタルを含有した酸化スズ及びアンチモンを含有した酸化ジルコニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
前記保護層の形成方法としては、特に制限はなく、前述の感光層の如く適当な溶剤及び塗工法を用いて形成することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビートコート法、ノズルコート法、スピナーコート法、リングコート法などが挙げられる。
前記保護層の形成方法に用いる溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが挙げられる。
前記溶剤としては、結着樹脂やフィラーの分散時には粘度が高く、塗工時には揮発性が高い溶剤が好ましい。これらの条件を満たす溶剤がない場合には、各々の物性を有する溶剤を2種以上混合させて使用することが可能であり、前記フィラーの分散性や残留電位に対して大きな効果を有する場合がある。
前記保護層に前記電荷輸送層について挙げた電荷輸送物質を添加することは、残留電位の低減及び画質向上に対して有効かつ有用である。
前記保護層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、耐摩耗性の点で、1μm〜5μmが好ましい。
<<中間層>>
前記中間層は、前記電荷輸送層と前記表面層との間に、前記表面層への電荷輸送層成分の混入を抑える又は両層間の接着性を改善することを目的として設けることができる。 前記中間層は、結着樹脂を含み、更に必要に応じて後述の酸化防止剤等のその他の成分を含む。前記中間層としては、表面層用塗工液に対し不溶性又は難溶性であるものが好ましい。
前記中間層に含まれる結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
前記中間層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記感光層と同様の適当な溶媒及び塗工法を用いて形成する方法などが挙げられる。
前記中間層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05μm〜2μmが好ましい。
<<第2の下引き層>>
前記感光体においては、導電性支持体と下引き層の間、もしくは下引き層と感光層の間に第2の下引き層を設けることも可能である。前記第2の下引き層は結着樹脂を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
前記第2の下引き層の形成方法としては、特に制限はなく、適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。
前記第2の下引き層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05μm〜2μmが好ましい
本発明の感光体においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、前記電荷発生層、前記電荷輸送層、前記下引き層、前記保護層、前記第2の下引き層等の各層にその他の成分として、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤及びレベリング剤を添加することができる。
前記酸化防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノ−ル系化合物、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般樹脂の可塑剤などが挙げられる。
前記滑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭化水素系化合物、脂肪酸系化合物、脂肪酸アミド系化合物、エステル系化合物、アルコール系化合物、金属石けん、天然ワックス、その他の滑剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
前記紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サルシレート系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、クエンチャー(金属錯塩系紫外線吸収剤)、HALS(ヒンダードアミン系光安定剤)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
前記レベリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類;側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー乃至オリゴマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<導電性支持体>
前記導電性支持体としては、体積抵抗率が1×1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、特公昭52−36016号公報に開示されたエンドレスベルト(エンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルト等)を用いてもよい。
前記導電性支持体の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、金属(アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等)又は金属酸化物(酸化スズ、酸化インジウム等)を蒸着又はスパッタリングして、支持体(フィルム状、円筒状等のプラスチック、紙等)を被覆することにより形成する方法を挙げることができる。また、金属(アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等)の板を押出し、引抜き等を行い、表面処理(素管化後、切削、超仕上げ、研摩等)を施して形成する方法を挙げることができる。
前記導電性支持体は、前記支持体上に導電性層を設けてもよい。
前記導電性層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、導電性粉体及び結着樹脂を、必要に応じて溶媒に分散乃至溶解して得られた塗工液を前記導電性支持体上に塗布することにより形成する方法が挙げられる。また、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)等の素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブを用いて形成する方法が挙げられる。
前記導電性粉体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素微粒子;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉;導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体などが挙げられる。
前記導電性層に用いる結着樹脂として、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが挙げられ、具体的には、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
前記導電性層に用いる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどが挙げられる。
[感光体の実施形態]
以下では、本発明の感光体の実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
第1の実施形態に係る感光体の層構成について、図1を用いて説明する。図1は、単層型感光層を有する構成であり、導電性支持体31上に、下引き層32及び単層型感光層33を順次積層した感光体の層構成を示した図である。
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る感光体の層構成について、図2を用いて説明する。図2は、積層型感光層を有する構成であり、導電性支持体31上に、下引き層32、電荷発生層35、及び電荷輸送層37を順次積層した感光体の層構成を示した図である。なお、電荷発生層35及び電荷輸送層37が感光層に該当する。
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係る感光体の層構成について、図3を用いて説明する。図3は、単層型感光層を有する構成であり、導電性支持体31上に、下引き層32、感光層33、及び保護層39を順次積層した感光体の層構成を示した図である。
<第4の実施形態>
第4の実施形態に係る感光体の層構成について、図4を用いて説明する。図4は、積層型感光層を有する構成であり、導電性支持体31上に、下引き層32、電荷発生層35、電荷輸送層37、及び保護層39を順次積層した感光体の層構成を示した図である。なお、電荷発生層35及び電荷輸送層37が感光層に該当する。
(画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、感光体と、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて、その他の手段を有してなる。前記画像形成装置において使用する感光体としては上述の本発明の感光体を用いる。なお、前記帯電手段と、前記露光手段とを合わせて静電潜像形成手段と称することもある。
[画像形成装置の実施形態]
以下では、本発明の画像形成装置の実施形態についてその一例をあげて説明する。
図5は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図であり、感光体1の周りに、帯電手段3、露光手段5、現像手段6、転写手段10などが配置される。まず、帯電手段3により、感光体1が平均的に帯電される。帯電手段3としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラー帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
次に、露光手段5により、均一に帯電された感光体1上に静電潜像が形成される。この光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
次に、現像手段6により、感光体1上に形成された静電潜像が可視化される。この現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法などが挙げられる。感光体1に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
次に、転写手段10により、感光体1上で可視化されたトナー像が記録媒体9上に転写される。また、転写をより良好に行うために転写前チャージャ7を用いてもよい。転写手段10としては、転写チャージャ、バイアスローラー等を用いる静電転写方式;粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式;磁気転写方式などが利用可能である。
更に必要に応じて、記録媒体9を感光体1より分離する手段として分離チャージャ11、分離爪12を用いてもよい。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。分離チャージャ11としては、前記帯電手段が利用可能である。また、転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするために、ファーブラシ14、クリーニングブレード15等のクリーニング手段が用いられ、クリーニングをより効率的に行うためにクリーニング前チャージャ13を用いてもよい。その他のクリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単独又は複数の方式を一緒に用いてもよい。また、感光体1上の潜像が取り除くために除電手段2を用いてもよい。除電手段2としては、除電ランプ、除電チャージャなどが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、感光体と、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段、帯電された前記感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、及び前記可視像を記録媒体に転写する転写手段の少なくともいずれかの手段を有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
本発明のプロセスカートリッジにおいて使用する感光体は、上述した本発明の感光体である。
前記プロセスカートリッジは、例えば、図6に示すように、感光体101を内蔵し、他に帯電手段102、現像手段104、転写手段106、クリーニング手段107、除電手段の少なくとも一つを具備し、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。図6のプロセスカートリッジによる画像形成工程について示すと、感光体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段103による露光により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段104でトナー現像され、該トナー現像は転写手段106により、記録媒体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の感光体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、更に除電手段により除電されて、再び以上の操作を繰り返すものである。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、実施例中において使用する「部」は、全て質量部を表す。
(1)まず、以下では酸化亜鉛粒子として、アルキル基の炭素数が4つ以下であるアルキル基を有するアルキルアルコキシシランで表面処理された酸化亜鉛粒子を用いた実施例について説明する。
[下引き層用塗布液の調製]
(調製例1−1)
<表面処理酸化亜鉛1−1の作製>
前述の湿式法で作製した平均一次粒径50nmの酸化亜鉛粒子を用い、その表面処理を以下の方法で行った。
下記材料を混合して2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間)焼き付けを行い、表面処理酸化亜鉛粒子1−1を得た。
酸化亜鉛粒子: 200部
表面処理剤:メチルトリメトキシシラン 6部
(Z−6366 東レ・ダウコーニング社製)
溶媒:トルエン 1000部
<下引き層用塗布液1−1の調製>
下記材料を混合し、φ0.5のジルコニアビーズと振動ミルを用いて1500rpmにて24時間攪拌し、下引き層用塗布液1−1を調製した。
表面処理酸化亜鉛粒子1−1 100部
バインダ樹脂:
・ブロック化イソシアネート 13部
(スミジュール3175(固形分濃度75%)、住友バイエルンウレタン社製)
・ブチラール樹脂を2−ブタノンで溶解させた20質量%の溶解液 50部
(ブチラール樹脂:BM−1、積水化学社製)
溶媒:2−ブタノン 120部
(調製例1−2〜調製例1−16)
<表面処理酸化亜鉛1−2〜1−16の作製>
上記調製例1−1の表面処理酸化亜鉛1−1の作製において表面処理剤及びその使用量を表1に記載の通りとしたこと以外は表面処理酸化亜鉛1−1の作製と同様にして、表面処理酸化亜鉛1−2〜1−16を作製した。
<下引き層用塗布液1−2〜1−16の作製>
上記調製例1−1の下引き層用塗布液1−1の調製において、表面処理酸化亜鉛1−1に代えて、表1−1に示す表面処理酸化亜鉛を用い、また、バインダ樹脂の各成分の配合量を表1−1に記載の通りとしたこと以外は下引き層用塗布液1−1の調製と同様にして、下引き層用塗布液1−2〜1−16を作製した。
表1−1に各下引き層用塗布液中の表面処理酸化亜鉛の種類、表面処理剤の種類、バインダ樹脂中の各成分の配合割合を示す。
Figure 2016212416
[電荷発生用塗布液の調製]
以下に示す方法により、電荷発生層用塗布液Bを調製した。
下記材料を混合し、直径1mmのガラスビーズとビーズミルを用いて8時間攪拌し、電荷発生層用塗布液Bを調製した。
・電荷発生物質:チタニルフタロシアニン 8部
・バインダ樹脂:ポリビニルブチラール 5部
(エスレックBX−1、積水化学工業社製)
・溶媒:2−ブタノン 400部
図7に、前記チタニルフタロシアニンの粉末X線回折スペクトルを示す。
[電荷輸送層用塗布液Cの調製]
以下に示す方法により、電荷輸送層用塗布液を調製した。
下記材料を混合し、材料が全て溶解するまで攪拌することで電荷輸送層用塗布液Cを調製した。
・電荷輸送物質:下記構造式(1)に示す電荷輸送物質 7部
・バインダ樹脂:ポリカーボネート(TS−2050、帝人化成社製) 10部
・レベリング剤:シリコーンオイル(KF−50、信越化学工業社製)0.0005部
・溶媒:テトラヒドロフラン 100部
Figure 2016212416
(実施例1−1)
アルミニウムシリンダー(直径100mm、長さ380mm)上に、前記下引き層用塗布液1−1を浸漬塗工法により塗布した後、170℃で30分間の乾燥を行い、平均厚みが7μmの下引き層を積層した。次に、前記電荷発生層用塗布液を浸漬塗工法により塗布した後、90℃で30分間の乾燥を行い、平均厚みが0.2μmの電荷発生層を積層した。更に、前記電荷輸送層用塗布液を浸漬塗工法により塗布した後、150℃で30分間の乾燥を行い、平均厚みが25μmの電荷輸送層を積層した。以上により、実施例1−1の感光体1−1を作製した。
(実施例1−2〜実施例1−13)
実施例1−1において、下引き層用塗布液1−1を下引き層用塗布液1−2〜1−13に代えたこと以外は実施例1−1と同様にして実施例1−2〜実施例1−13の感光体1−2〜1−13を作製した。
(比較例1−1〜比較例1−3)
実施例1−1において、下引き層用塗布液1−1を下引き層用塗布液1−14〜1−16に代えたこと以外は実施例1−1と同様にして比較例1−1〜比較例1−3の感光体1−14〜1−16を作製した。
表1−2に各実施例及び各比較例で使用した下引き層用塗布液の種類及び下引き層の膜厚を示す。
Figure 2016212416
下引き層の膜厚、下引き層の透過率、体積抵抗率、体積抵抗率の変動率及び下引き層の酸化亜鉛粒子の占有体積率の評価結果を下記表1−3に示す。
下引き層の膜厚、下引き層の透過率体積抵抗率、下引き層の酸化亜鉛粒子の占有体積率は以下のようにして測定した。
<下引き層の膜厚測定>
下引き層の膜厚はフィッシャー社製の渦電流膜厚計(フィッシャースコープMMS)を用いて測定した。下引き層の平均厚みの算出方法としては任意の5点の厚みを平均することで算出した。
<下引き層の透過率>
各実施例、比較例で用いた塗工液を用いて乾燥温度、時間は各実施例、比較例と同様にガラス板の上に膜厚が20μmとなるように下引き層を製膜した。
製膜した下引き層の波長500nm以上800nm以下における透過率を紫外可視近赤外分光光度計UV−3600(株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
前記波長域における透過率のうち最低の値を表1−3に示す。
<下引き層の体積抵抗率>
各実施例において形成した下引き層に真空蒸着によりφ6.5mm、厚み50nmの金電極を形成した。
温度23℃、相対湿度55%において形成した金電極と導電性支持体とを2410型高電圧ソースメータ(KEITHLEY社製)に接続し、下引き層に対して5V/μmの割合で電界を印加したときの電圧と電流の関係から体積抵抗率を求めた。各実施例、比較例で用いた下引き層の体積抵抗率の値を表1−3に示す。
<体積抵抗率の変動>
温度10℃、相対湿度15%RHにおける下引き層の体積抵抗率Aと温度30℃、相対湿度90%RHにおける下引き層の体積抵抗率Bを前述の体積抵抗率測定方法により測定した。これらの値から算出されるA/Bの値を表1−3に示す。
<下引き層の酸化亜鉛粒子の占有体積率の計算>
下引き層の酸化亜鉛粒子の占有体積率は、下引き層用塗工液Aを調製する際の固形分材料の重量比(表面処理剤および硬化性樹脂については反応によって重量が減少することを考慮る必要がある。)および各材料の比重から求めることができる。各実施例および比較例の酸化亜鉛粒子の占有体積率の計算結果を表1−3に示す。
Figure 2016212416
<感光体特性>
実施例及び比較例で得た感光体について残留電位、残留電位の環境変動、画像を評価した。
評価結果を表1−4に示す。
評価は以下のようにして行った。
<<評価装置>>
株式会社リコー製デジタル複写機(RICOH ProC900)の改造機を用い、帯電部材としてスコロトロン方式の帯電部材(放電ワイヤーは直径50μmの金メッキを施したタングステン−モリブデン合金)を用い、画像露光光源として780nmのLD光(ポリゴンミラーによる画像書き込み、解像度1,200dpi)を用い、現像は黒色トナーを用いた2成分現像を行い、転写部材として転写ベルトを用い、除電は除電ランプを用いた。
<<感光体劣化方法>>
10℃で15%RHの低温低湿環境下(LL)、23℃で55%RHの常温常湿環境下(MM)および27℃で80%RHの高温高湿環境下(HH)でそれぞれブラック単色のテストチャート(画像面積率5%)を5万枚連続出力した。
<<電気特性評価(残留電位)>>
感光体劣化前後で、感光体の表面電位測定を行った。電位測定は、評価装置の現像ユニットに改造を施し、電位センサーを取り付け、このユニットを評価装置にセットして以下の方法で行った。
ワイヤーへの印加電圧を−1,800μA、グリッド電圧を−800Vとし、A3サイズの紙を縦方向で全ベタ画像を100枚印刷した時の1枚目および100枚目の露光部電位(VL)を測定した。測定には表面電位計(MODEL344表面電位計 トレックジャパン(株)製)を用い、表面電位計の数値はオシロスコープで毎秒100シグナル以上の条件で記録し、下記基準で評価した。
[残留電位]
◎:MMにおける感光体劣化前後の1枚目と100枚目の露光部電位差(ΔVL)が10V未満
○:MMにおける感光体劣化前後の1枚目と100枚目の露光部電位差(ΔVL)が10V以上30V未満
×:MMにおける感光体劣化前後の1枚目と100枚目の露光部電位差(ΔVL)が30V未満
[環境変動]
◎:感光体劣化前後の100枚目のLLとHHの露光部電位差(ΔVL)が20V未満
○:感光体劣化前後の100枚目のLLとHHの露光部電位差(ΔVL)が20V以上、60V未満
×:感光体劣化前後の100枚目のLLとHHの露光部電位差(ΔVL)が60V以上
<<画像評価>>
感光体劣化前後で画像を出力し地汚れ評価および濃度ムラ評価を行った。
地汚れは、グロスコート紙を用いて全面白地画像を5枚連続出力し、地汚れの有無の評価を行った。
濃度ムラは、ハーフトーン画像を10枚連続出力し、目視により濃度ムラの程度を評価した。
Figure 2016212416
(2)次に下引き層がサリチル酸誘導体またはチオール化合物を含有する場合の実施例について説明する。
[酸化亜鉛粒子の調製]
酸化亜鉛としては前述の湿式法で作製した平均一次粒径50nmの酸化亜鉛粒子を用いた。
また、酸化亜鉛は表面処理しないもの(酸化亜鉛Aという)又は表面処理したもの(酸化亜鉛Bという)を用いた。
表面処理した酸化亜鉛Bは以下のようにして作製した。
<表面処理された酸化亜鉛粒子の作製>
酸化亜鉛粒子100部をトルエン500部に加えて撹拌混合し、シランカップリング剤( KB M603、信越化学社製)1.25部を添加して2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
[下引き層用塗布液の調製]
(調製例2−1)
<下引き層用塗布液2−1の調製>
下記材料を混合し、直径3mmのジルコニアビーズとボールミルを用いて72時間攪拌し、実施例1下引き層用塗布液を調製した。
・結着樹脂:ブチラール樹脂 11.4部
(BM−1、積水化学株式会社製)
・結着樹脂:ブロックイソシアネート 15.2部
(スミジュールBL3175、住化バイエルウレタン社製)
・酸化亜鉛A 80部
・チオール基を有する化合物:ペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトブチレート) (カレンズMTPE1、昭和電工株式会社製) 1.2部
・溶媒:2−ブタノン 115部
(調製例2−2〜調製例2−12)
<下引き層用塗布液2−1〜2−12の作製>
上記調製例2−1の下引き層用塗布液2−1の調製において、表面処理酸化亜鉛1−1に代えて、表2−1に示す表面処理酸化亜鉛を用い、また、バインダ樹脂の各成分の配合量を表2−1に記載の通りとしたこと以外は下引き層用塗布液2−1の調製と同様にして、下引き層用塗布液2−2〜2−12を作製した。
表2−1に各下引き層用塗布液中の表面処理酸化亜鉛の種類、表面処理剤の種類、バインダ樹脂中の各成分の配合割合を示す。
Figure 2016212416
[電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液]
電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液としては実施例1−1で用いたのと同じものを用いた。
(実施例2−1)
アルミニウムシリンダー(直径100mm、長さ380mm)上に、前記下引き層用塗布液2−1を浸漬塗工法により塗布した後、170℃で30分間の乾燥を行い、平均厚みが15μmの下引き層を積層した。次に、前記電荷発生層用塗布液を浸漬塗工法により塗布した後、90℃で30分間の乾燥を行い、平均厚みが0.2μmの電荷発生層を積層した。更に、前記電荷輸送層用塗布液を浸漬塗工法により塗布した後、130℃で30分間の乾燥を行い、平均厚みが25μmの電荷輸送層を積層した。以上により、実施例2−1の感光体2−1を作製した。
(実施例2−2〜実施例2−7)
実施例2−1において、下引き層用塗布液2−1を下引き層用塗布液2−2〜下引き層用塗布液2−7に代えたこと以外は実施例2−1と同様にして実施例2−2〜実施例2−7の感光体2−2〜感光体2−7を作製製した。
(比較例2−1〜比較例2−5)
実施例2−1において、下引き層用塗布液2−1を下引き層用塗布液2−8〜下引き層用塗布2−12に代えたこと以外は実施例1−1と同様にして比較例2−1〜比較例2−5の感光体2−8〜感光体2−12を作製した。
表2−2に各実施例及び各比較例で使用した下引き層用塗布液の種類及び下引き層の膜厚を示す。
Figure 2016212416
下引き層の膜厚、下引き層の透過率体積抵抗率、体積抵抗率の変動率及び下引き層の酸化亜鉛粒子の占有体積率を実施例1−1において行ったと同様の評価手法を用いて評価した。
評価結果を表2−3に示す。
Figure 2016212416
<感光体特性>
実施例2−1〜2−7及び比較例2−1〜2−5で得た感光体について残留電位、残留電位の環境変動、画像を評価した。
評価結果を表2−4に示す。
評価は以下のようにして行った。
<<評価装置>>
株式会社リコー製デジタル複写機(RICOH ProC900)の改造機を用い、帯電部材としてスコロトロン方式の帯電部材(放電ワイヤーは直径50μmの金メッキを施したタングステン−モリブデン合金)を用い、画像露光光源として780nmのLD光(ポリゴンミラーによる画像書き込み、解像度1,200dpi)を用い、現像は黒色トナーを用いた2成分現像を行い、転写部材として転写ベルトを用い、除電は除電ランプを用いた。
<<感光体劣化方法>>
温度23℃相対湿度55%RHの環境下でブラック単色のテストチャート(画像面積率5%)を2万枚連続出力した。
[画像評価]
感光体劣化前後で温度23℃相対湿度55%RH、温度10℃相対湿度15%RH、温度27℃相対湿度80%RHの環境下で画像を出力し、地汚れ評価および濃度ムラ評価を行った。
地汚れ評価に関しては、グロスコート紙を用いて全面白地画像を5枚連続出力し、地汚れの有無の評価を行った。
濃度ムラについては、ハーフトーン画像を100枚連続出力した1枚目と100枚目の画像濃度のムラを目視により評価した。
地汚れおよび濃度ムラ評価の結果を表2−4に示す。
[評価基準]
地汚れ:出力したグロスコート紙のうち任意の8mm×11mmの視野10箇所において目視で確認できる地汚れの数をカウントし、その平均を算出した。
◎:10個以下
○:20個以下
△:50個以下
×:50個を超える
濃度ムラ:100枚連続出力した1枚目と100枚目の画像濃度のムラを目視により評価した。
◎:画像濃度ムラは見られない
○:非常に軽微な画像濃度ムラが見られる
△:軽微な画像濃度ムラが見られる
×:明らかな画像濃度ムラが見られる
Figure 2016212416
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>導電性支持体上に少なくとも下引き層、感光層を順次有する感光体であって、
前記下引き層が酸化亜鉛粒子を含有し、
且つ前記下引き層を膜厚20μmとしたときの波長500nm以上800nm以下の光における透過率がいずれの波長でも50%以上であり、
前記波長範囲において最も低い透過率の値が85%以下であり、
更に23℃で55%RHの環境において、5V/μmの電界を印加したときの下引き層の体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上5.0×10Ω・cm以下である感光体。
<2>前記酸化亜鉛粒子がアルキルアルコキシシランで表面処理された酸化亜鉛粒子であり、前記アルキルアルコキシシランにおけるSiに結合したアルキル基の炭素数が4つ以下であることを特徴とする上記<1>に記載の感光体。
<3>前記酸化亜鉛粒子を表面処理するために用いる表面処理剤の処理量が、処理前の酸化亜鉛粒子に対して1.5質量%以上4.0質量%であることを特徴とする上記<2>に記載の感光体。
<4>前記下引き層がサリチル酸誘導体またはチオール化合物を含有することを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の感光体。
<5>前記下引き層の平均膜厚が7μm以上30μm以下であることを特徴とする上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の感光体。
<6>前記下引き層が下記関係式(1)を満足することを特徴とする上記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の感光体
0.2<A/B<5 (1)
A:温度10℃、相対湿度15%RHにおいて、5V/μmの電界を印加したときの下引き層の体積抵抗率
B:温度30℃、相対湿度90%RHにおいて、5V/μmの電界を印加したときの下引き層の体積抵抗率
<7>前記下引き層における酸化亜鉛粒子の占有体積率が下引き層全体の45%以上53%以下あることを特徴とする上記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の感光体。
<8>感光体と、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
前記感光体が、上記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の感光体であることを特徴とする画像形成装置。
<9>感光体と、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段、帯電された前記感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、及び前記可視像を記録媒体に転写する転写手段から選択される少なくともいずれかの手段とを有するプロセスカートリッジであって、
前記感光体が、上記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
1 電子写真感光体
2 除電手段
3 帯電手段
5 露光手段
6 現像手段
7 転写前チャージャ
9 記録媒体
10 転写手段
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
31 支持体
32 下引き層
33 単層型感光層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 保護層
101 電子写真感光体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 記録媒体
106 転写手段
107 クリーニング手段
特開2003−98705号公報 特開2007−047467号公報 特開2008−299020号公報 特開2003−084472号公報 特開2008−96527号公報 特開2007−322996号公報

Claims (9)

  1. 導電性支持体上に少なくとも下引き層、感光層を順次有する感光体であって、
    前記下引き層が酸化亜鉛粒子を含有し、
    且つ前記下引き層を膜厚20μmとしたときの波長500nm以上800nm以下の光における透過率がいずれの波長でも50%以上であり、
    前記波長範囲において最も低い透過率の値が85%以下であり、
    更に23℃で55%RHの環境において、5V/μmの電界を印加したときの下引き層の体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上5.0×10Ω・cm以下である感光体。
  2. 前記酸化亜鉛粒子がアルキルアルコキシシランで表面処理された酸化亜鉛粒子であり、前記アルキルアルコキシシランにおけるSiに結合したアルキル基の炭素数が4つ以下であることを特徴とする請求項1に記載の感光体。
  3. 前記酸化亜鉛粒子を表面処理するために用いる表面処理剤の処理量が、処理前の酸化亜鉛粒子に対して1.5質量%以上4.0質量%であることを特徴とする請求項2に記載の感光体。
  4. 前記下引き層がサリチル酸誘導体またはチオール化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光体。
  5. 前記下引き層の平均膜厚が7μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光体。
  6. 前記下引き層が下記関係式(1)を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光体
    0.2<A/B<5 (1)
    A:温度10℃、相対湿度15%RHにおいて、5V/μmの電界を印加したときの下引き層の体積抵抗率
    B:温度30℃、相対湿度90%RHにおいて、5V/μmの電界を印加したときの下引き層の体積抵抗率
  7. 前記下引き層における酸化亜鉛粒子の占有体積率が下引き層全体の45%以上53%以下あることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光体。
  8. 感光体と、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
    前記感光体が、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  9. 感光体と、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段、帯電された前記感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、及び前記可視像を記録媒体に転写する転写手段から選択される少なくともいずれかの手段とを有するプロセスカートリッジであって、
    前記感光体が、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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