JP2016211017A - Fe基合金組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価で製造性も良く、しかも保磁力が低く軟磁気特性に優れた軟磁性粉末を製造することが可能なFe基合金組成物を提供する。
【解決手段】Fe基合金組成物を原子%でB:3.0〜6.0%,Si:≦8.0%,P:4.0〜8.0%,Cu:0.3〜1.0%,C:8.0〜12.0%,Cr:1.0〜4.0%,残部Fe及び不可避的不純物の組成からなるものとする。
【選択図】 なし

Description

この発明は軟磁性材料として用いられるFe基合金組成物に関する。
日本の磁性材料生産量は2000kt/年で、そのうち軟磁性材料は97%を占めており、市場規模が非常に大きい。
軟磁性材料に求められる特性としては低損失化(低コアロス、低保磁力)が挙げられる。
例えば、磁芯材料として用いられている珪素鋼(Fe‐6.5Siの場合)は、高い飽和磁束密度(Bs=1.6(T))を有するものの、保磁力(Hc=119(A/m)(1.50(Oe)))が高く、軟磁気特性の点で不十分である。
また、一般的な結晶性の軟磁性材料の場合、飽和磁束密度と保磁力とはトレードオフの関係にあり、高い飽和磁束密度を保持しつつ保磁力を更に低くするといったことは難しい。
こうした中で、従来の結晶性の軟磁性材料に代わる、保磁力が低くしかも飽和磁束密度の高い材料としてFe基非晶質軟磁性合金が存在する。
このFe基非晶質軟磁性合金の粉末を製造する方法としては、たとえば下記特許文献1に示すように、溶湯を高速回転するロール表面に落下させるロール急冷法にてアモルファス化(非晶質化)した帯状の急冷材を作成し、それを粉砕する技術が知られている。
また、下記特許文献2には、溶湯にガスを噴射して溶滴としそれを旋回冷却液に供給するガスアトマイズ法を用いた装置が記載されている。
しかしながら特許文献1に示すような、ロール急冷法にて帯状の急冷材を作成しそれを粉砕する場合には、急冷と粉砕の2工程について設備が必要となり、製造性に劣るという問題があった。
一方、特許文献2に示すような、アトマイズ法を用いる場合は、非晶質軟磁性粉末を溶湯から直接得ることができる利点がある。
一般にアトマイズ法は上記ロール急冷法に比べて冷却能力が劣るため、アモルファス状態が得られ難いが、水アトマイズ法によれば粉末の粒径を10μm程度に小さくすることができ且つガスアトマイズ法に比べて冷却能力も優れるためアモルファス化率を高くすることが期待できる。
しかしながらこの水アトマイズ法を用いた場合は、粉化の際に溶湯が直接水と接触するため得られた粉末に錆びが発生し、保磁力が悪化してしまう問題があった。
このような耐食性(錆び)の問題は、仮に粉化の手段として水を用いない方法を採ったとしても、製品状態となった後にその使用環境下においてその条件によっては錆びが発生し保磁力が悪化してしまうおそれがある。
尚、本発明に対する先行技術として、下記特許文献3には「非晶質軟磁性金属粉末および圧粉磁芯」についての発明が示され、そこにおいて「Fe−aCr−bSi−cB−dC−eNb系の合金粉末から成り、その合金粉末の各元素の比率を原子%表示で示すa、b、c、d、eの値が、0.5≦a≦5.0、23≦(b+c+d)≦30、−4≦(b−c)≦3、2≦d≦12、1≦e≦4」とした点が開示されている。
しかしながらこの特許文献3に記載のものは、Cu及びPが非添加であり、本発明とは合金成分が異なる別異のものである。
また高価なBが7〜14%(実施例)と多く用いられているため全体としてのコストが高くなっている。
また下記特許文献4には「Fe基合金組成物」についての発明が示され、そこにおいて軟磁性材料として用いるFe基合金組成物の組成を「原子%でB:3.0〜6.0%,Si:≦8.0%,P:4.0〜8.0%,Cu:0.3〜1.0%,C:5.0超〜12.0%,残部Fe及び不可避的不純物」とした点が開示されている。
しかしながらこの特許文献4に開示のものは、耐食性を向上させることで保磁力を低下させるといった着眼はなされておらず、またCr非添加であり本発明とは異なる。
特開2006−021248号公報 特開平11−080812号公報 特許第5315636号公報 特開2014−5492号公報
本発明は以上のような事情を背景とし、安価で製造性も良く、しかも保磁力が低く軟磁気特性に優れた軟磁性粉末を製造することが可能なFe基合金組成物を提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1は、原子%でB:3.0〜6.0%,Si:≦8.0%,P:4.0〜8.0%,Cu:0.3〜1.0%,C:8.0〜12.0%,Cr:1.0〜4.0%,残部Fe及び不可避的不純物の組成からなることを特徴とする。
請求項2のものは、請求項1において、下記式(1)に示すアモルファス化率Xが99%以上であることを特徴とする。
Figure 2016211017
本発明は、比較的遅い冷却速度であってもアモルファス化が容易なFe−Si−B−P−Cu−C系合金をベースに、耐食性を向上させるCrを含有させるようになしたものである。但しCrの添加は合金のアモルファス形成を阻害するため保磁力の悪化に繋がる。
そこで本発明者らは、Cr量と非晶質化された合金における保磁力との関係を追求したところ、保磁力はCrの添加により一旦低下し、その後Cr量が4%を越えると再び高くなる傾向を示すことが認められ、Cr量が1.0〜4.0原子%の範囲内ならば保磁力を低く抑えることができるとの知見を得た。本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。
即ち本発明は、Cr量を高耐食性と低保磁力とが得られる範囲である1.0〜4.0原子%に最適化したもので、軟磁性粉末の製造条件や、その後の使用環境の如何に拘らず、錆びの発生を良好に防止し得て、長期に亘り保磁力を低く維持することができる軟磁性合金を実現可能としたものである。
本発明のFe基合金組成物は所定組成となるように原料を秤量し、溶解した合金溶湯を急冷することでアモルファス化する。
溶湯を急冷する方法としては単ロール急冷法,双ロール急冷法等のロール急冷法やガスアトマイズ法,水アトマイズ法,遠心力アトマイズ法等のアトマイズ法を用いることが可能であるが、本発明のFe基合金組成物は溶湯から直接粉末を得ることができ製造性に優れたアトマイズ法に用いる材料として好適である。
特に水アトマイズ法によれば粉末の粒径を10μm程度にまで小さくでき且つ冷却能力にも優れるためアモルファス化率を高く維持することができる。
尚水アトマイズ法は、粉化の際に溶湯が直接水と接触するため粉末に錆びが発生し、保磁力を悪化させてしまう問題を有するが、本発明のFe基合金組成物は耐食性に優れており、水アトマイズ法を用いて粉化させた場合であっても錆びの発生を抑え保磁力を低く維持することが可能である。
従って本発明のFe基合金組成物によれば水アトマイズ法を用いて製造性高く、保磁力が低い、即ち軟磁気特性に優れた非晶質軟磁性粉末を製造することが可能である。
合金溶湯をアモルファス化させるに際しては、アモルファス形成元素であるSi、B、Cの含有量が重要である。
本発明者らは高価なBの含有量をできるだけ少なくすべく、安価なCの含有量を多くすることの可能性を追求したところ、従来よりもCを多く含有させること、具体的には8.0〜12.0原子%の範囲内とした場合においても、他の成分とのバランスを適正にすることでアモルファス化できることを知得した。
本発明では含有元素として高価なBを少なくし安価なCを8.0〜12.0原子%と多くすることでコストを安価とすることができる。
本発明においては、請求項1のFe基合金組成物をアモルファス状態とするに際し、その全体を実質的にアモルファス化したもの、即ち式(1)に示すアモルファス化率Xが99%以上であるFe基合金組成物も含まれる(請求項2)。
このようにアモルファス化率が高い軟磁性合金は、磁壁の移動を妨げる結晶粒界が存在しないため保磁力を効果的に低下させることができる。
次に本発明の各合金成分の添加及び添加量限定理由を以下に詳述する。
Fe
Feは磁性を担う主元素で、高い飽和磁束密度を確保する上では多い方が望ましい。但しFe量が多くなると合金溶湯の冷却時に結晶化し易くなってしまう。
本発明では、アモルファス形成のための他元素を除いた残量がFe含有量となる。但し高い飽和磁束密度を確保する上でFeの含有量は74.0〜75.0原子%が望ましい。
B:3.0〜6.0原子%
Bはアモルファス形成元素で、他のアモルファス形成元素Si,Cとの相互作用でそれらと協働してアモルファス形成に寄与する。
またそれらの相互作用でアモルファス形成に寄与することから、各アモルファス形成元素の添加量に応じて特性が大きく左右される。但しBの含有量が3.0%未満であるとアモルファス形成能が著しく低下するため、本発明ではBを3.0%以上含有させる。
本発明では、Bの含有量の上限を6.0%とする。その理由は以下の通りである。
本発明は、高価なBの含有量を可及的に少なくすることを一つの目的としている。Cの多量含有によって可能なBの少量化を追求した結果、B含有量を3.0〜6.0%に低減できることを確認した。
本発明では、そのためにCを8.0%以上含有させるようにしている。その条件の下でSi,B,Cの比率の最適化を求めたところ、B含有量が3.0〜6.0%でもアモルファス化率をほぼ100%まで高めることが可能であることを確認した。
そうした中でBの含有量を6.0%を超えて多量に含有しても特性が向上しないばかりか、コストアップを招いてしまう。
加えてBの含有量が6.0%を超えて多くなると、磁壁の移動を妨げるFeBやFeBといった磁気的にハードな化合物相が析出し易くなり軟磁気特性が劣化する。本発明においてBの望ましい含有量は5.0%未満である。
Si:≦8.0原子%
Siもまたアモルファス形成元素で、B,Cとの相互作用でそれらと協働してアモルファス形成に寄与する。またそれぞれの含有量に応じて特性を大きく変化させる。
本発明ではB,Cの含有量に応じてSiの含有量を少なくすることができる。但しSiは2.0%以上添加することでアモルファス形成能が改善されるため、2.0%以上含有させることが望ましい。
一方8%よりも多く含有させると飽和磁束密度とアモルファス形成能が低下し、軟磁気特性が劣化するため、上限を8.0%とする。
P:4.0〜8.0原子%
Pはアモルファス形成元素である。但し他のアモルファス形成元素との相互作用はあまり無く、P単独の添加量増量でアモルファス形成能を高めることができる。
本発明において、Pの下限を4.0%としている理由は、4.0%未満であるとアモルファス形成能が著しく低下することによる。
一方Pの上限を8.0%としているのは、8.0%を超えて多量に含有させると飽和磁束密度が低下し、軟磁気特性が劣化することによる。
Cu:0.3〜1.0原子%
CuはPとともに結合してナノヘテロ構造のクラスターを形成してアモルファス中に微細に分散し析出する。このCuのクラスターは、bcc−Fe結晶が突然生じて一気に粗大化してしまうのを良好に防止できる。
但しCuの含有量が0.3%未満であるとbcc−Fe相の析出を抑制する効果が著しく低下してしまう。
一方Cuの上限を1.0%としているのは、1.0%を超えて多量に含有させると、保磁力が増加してしまうからである。その理由は、過剰なCuが他の元素と結合してCu化合物を形成すると考えられるからである。
C:8.0〜12.0原子%
Cはアモルファス形成元素であり、Si,B等他のアモルファス形成元素との相互作用でそれらと協働してアモルファス形成に寄与する。またそれぞれの添加量に応じて特性が大きく変化する。
本発明において、Cを8.0%を超える量で含有させる理由は、アモルファス形成能を維持しつつ高価なBの添加量を効果的に減量するためには、Cを8.0%超含有させる必要があるからであり、またその上限を12.0%としているのは、それ以上Cを多く含有させるとアモルファス相からの結晶化温度が300℃を下回るようになるからである。
本発明の非晶質軟磁性合金の粉末を用いて製造されたコア(磁芯)等の製品は高温環境下で使用されるため、結晶化温度の低下はこのような製品状態の非晶質軟磁性合金を結晶化させ軟磁気特性を劣化させる原因となる。
Cr:1.0〜4.0原子%
Crは耐食性を向上させる元素である。Crを1.0%以上含有させることで軟磁性粉末の製造時やその後の製品使用時における錆びの発生を有効に防止し得て、保磁力を低く維持することができる。
一方4.0%を超えて多量に含有されると、アモルファス形成能が阻害されアモルファス化率が低下し保磁力が悪化する。
尚、より低い保磁力を得る上でCrの範囲は1.8〜2.7%とすることが望ましく、更に望ましい範囲は2.0〜2.5%である。
以上のような本発明によれば、安価で製造性も良く、しかも保磁力が低く軟磁気特性に優れた軟磁性粉末を製造することが可能なFe基合金組成物を提供することができる。
本発明の一実施例のリング状コアを示した図である。 図1のリング状コアの製造工程を説明する工程図である。
次に本発明の実施例を以下に説明する。
本例では図1に示すリング状コア(圧粉磁芯)10(外径20mmφ×内径12mmφ×厚み6mmt)を製造した。
上記コア10は、たとえば図2に示す工程にしたがって製造される。
図2において、溶解工程P1では、たとえば電気溶解炉を用いて、表1から表3で示された各実施例又は比較例の化学成分となるように調合され且つ溶解された溶湯が生成される。
次の金属粉末生成工程P2では、水アトマイズ装置を用いて、上記溶湯が所定の容器内において水を用いて噴霧され、その溶湯が急速冷却されるとともに粉末化される。
その後、篩等によって粒径45μm以下の所定の粒度に分級される。これにより、圧粉磁芯用の非晶質軟磁性粉末が得られる。
但し比較例1については単ロール急冷法によって急冷し、アモルファス状態の薄帯を生成し、更にこれを粉砕処理して粉末化させている。
単ロール急冷法では、溶湯をノズルから噴出させて高速回転するCu製のロール表面に接触凝固させ、アモルファス化させる。
凝固した合金からはリボン状のアモルファス合金薄帯が得られる。
このようなロール急冷法を用いた場合は、その後の粉砕処理も含めて水に接触することなく非晶質軟磁性粉末を製造することができる。
<アモルファス化率の評価>
このようにして得られたアモルファス状態の粉末に対し、XRDによりX線結晶構造解析を実施し、相の同定を行った。
具体的には、結晶化したFe又は化合物のピーク(Ic:結晶性散乱積分強度,Ia:非晶性散乱積分強度)を読み取り、そのピーク強度から結晶化率を割り出し、先述の式(1)よりアモルファス化率を算出した。
<保磁力Hcの測定>
同じくアモルファス状態の粉末に対し、Hcメーターを使用し保磁力Hcの測定を行った(東北特殊鋼(株)社製の型式:K−HC1000を使用)。尚、本実施例においては、従来より磁芯材料として用いられている珪素鋼の保磁力が1.5(Oe)であることから、保磁力の目標値を1.5(Oe)以下と設定した。
次いで、バインダー混合工程P3では、絶縁材料および結合剤として機能する電気的な絶縁バインダーを上記非晶質軟磁性粉末に対して0.5〜3wt%程度の混合率となるように定量し、混合させることにより、非晶質軟磁性粉末の表面に電気絶縁性バインダーがコーティングされる。上記電気絶縁性バインダーとしては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、水ガラス等を用いることができる。
また、必要に応じて、潤滑剤混合工程P4において、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤が上記非晶質軟磁性粉末に対して0.1〜0.5wt%程度となるように混合される。
続くプレス成形工程P5では、上記バインダー混合工程P3において絶縁性バインダーが被覆された軟磁性粉末が所定の成形金型内に充填され、且つ油圧プレスによって1〜2GPa程度の成形圧力で加圧されることにより非晶質軟磁性粉末の圧粉体が成形される。
熱処理工程P6は、上記プレス成形工程P5により成形された成形体の成形歪みを除去すると共に絶縁バインダーを硬化させるために、上記成形体を不活性雰囲気たとえばアルゴンガス雰囲気内において200℃乃至結晶化温度、たとえば460℃程度の温度で1時間程度の熱処理を施す。
以上の工程を経ることによりリング状コア10が製造される。
<耐食性試験>
耐食性試験は恒温恒湿試験によって行なった。上記工程により製造されたリング状コア10を温度85℃、相対湿度85%RHの恒温恒湿槽内に500時間保持した。そして保持後のコア表面について目視にて発錆の有無を確認した。評価は発錆が観察されなかったものを「○」、発錆が観察されたものを「×」とした。
表1では、Crを適量含有した本発明の基本的な組成である実施例1とCrを含有しない比較例1、比較例2について、アモルファス化率、保磁力Hc、耐食性を評価した結果が示されている。
比較例1はロール急冷法によりアモルファス化したものであり、アモルファス化率は99%以上、Hcも目標の1.5以下であり良好な結果であった。ただしCrが無添加であるため耐食性は×であり、粉末製造時において保磁力に問題ない場合でも、使用中の実製品に錆が生じ保磁力が悪化することが懸念される。
また比較例1はBの含有量が本発明の上限値よりも高い7.3%で、多量のBを含有することによりコストが高く、この点においても本発明の目的を達していないものである。
比較例2は水アトマイズ法により粉末を製造したものである。ロール急冷法に比べて急冷能力に劣る水アトマイズ法であっても比較例2の成分によればアモルファス化率は99.0%と高い。しかしながら、Crを含有しないため耐食性の評価が×であった。
また粉末状態において保磁力Hcが1.83%と高い(悪い)。水アトマイズ法を用いたため粉末製造時に水と接触したことにより粉末に錆が生じ保磁力が悪化したものと考えられる。
これに対しCrを適量含有した実施例1は、水アトマイズ法により粉末を製造したにも拘らずアモルファス化率、Hc、耐食性とも良好な結果であった。
Figure 2016211017
表2では、非晶質軟磁性粉末を構成するSi、B、P、Cu、Cの含有量を一定に維持してCrの割合を0%から4.1%まで変化させたときの、アモルファス化率、保磁力Hc、耐食性を示している。
本表において、Cr無添加の比較例2は耐食性が×で、且つ粉末状態でのHcも高く目標値1.5を満足していない。
比較例3以降、Crの添加量を増加させていくとアモルファス化率に大きな変化はないが、粉末状態の保磁力は徐々に低下していく傾向が認められる。即ちCrの添加は保磁力低減にも有効である。
実施例2〜6については、Hcが1.5以下であり目標を満足している。
一方、Cr量が4%を超える比較例4ではアモルファス化率が低下するとともにHcも高く目標値を満足していない。
この表2の結果からも分かるようにCrの含有量を1.0〜4.0%とすることで、アモルファス化率、保磁力、耐食性の何れも良好な結果を得ることができる。
Figure 2016211017
表3では、非晶質軟磁性粉末を構成する元素のうちFe、P、Cu、Crの含有量を一定に維持した上で、C量を増加させる一方Si、Bの含有量を減少させた場合の、アモルファス化率、保磁力Hc、耐食性を示している。
Cを8.0%以上含有させた実施例7〜実施例12では、アモルファス化率、保磁力Hc、耐食性とも良好な結果である。
この結果から明らかなようにCを8.0%以上含有させることでアモルファス形成能を維持しつつ高価なBの添加量を効果的に減量することができる。
尚、比較例5は、C量を本発明の上限値12.0%を超えて多量に含有させる一方、B量を下限値3.0%よりも少なくした例である。この例ではアモルファス化率が96.2%に低下し、Hcが目標値よりも高くなっている。アモルファス形成元素であるCを多量に含有させた場合でも、B量は少なくとも3.0%は必要であると推定される。
Figure 2016211017
上述のように、本実施例の非晶質軟磁性粉末は、水アトマイズ装置を用いても十分にアモルファス化された粉末が得られ、また粉末状態での保磁力も1.5Oe以下に低く抑えられている。このように本実施例の非晶質軟磁性粉末は、水アトマイズ装置を用いて製造することができ、ロール急冷法を用いた製造方法に比べて製造性を著しく向上させることが可能であり、設備費用が低減され、製造コストが低くなる。
また本実施例の非晶質軟磁性粉末を用いた圧粉磁心は、良好な耐食性を備えており、使用環境下で錆びが生じるのを有効に防止できるので、長期にわたって保磁力を低く維持することができ、低いコアロスの特性が得られる。
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示である。
上記実施例では、水アトマイズ法を用いてアモルファス合金粉末を製造したが、本発明の組成を有するFe基合金組成物は様々な方法で製造することができる。
例えばスパッタリング法,真空蒸着法等の気相急冷法にて製造することもできる。
また単ロール急冷法,双ロール急冷法等のロール急冷法や、ガスアトマイズ法,遠心力アトマイズ法等の水アトマイズ法以外のアトマイズ法を用いることが可能である。
更に本発明のFe基合金組成物はアモルファス合金、即ちアモルファス相を主相としたFe基合金組成物を窒素,Ar等の不活性ガス中若しくは真空中で加熱処理することで、アモルファス母相中にナノサイズの粒径のbcc−Fe結晶を析出させFe基ナノ結晶合金を得ることも可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
10 圧粉磁芯

Claims (2)

  1. 原子%で
    B:3.0〜6.0%
    Si:≦8.0%
    P:4.0〜8.0%
    Cu:0.3〜1.0%
    C:8.0〜12.0%
    Cr:1.0〜4.0%
    残部Fe及び不可避的不純物の組成からなるFe基合金組成物。
  2. 下記式(1)に示すアモルファス化率Xが99%以上である請求項1に記載のFe基合金組成物。
    Figure 2016211017
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