JP6756179B2 - Fe基合金組成物 - Google Patents

Fe基合金組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP6756179B2
JP6756179B2 JP2016146296A JP2016146296A JP6756179B2 JP 6756179 B2 JP6756179 B2 JP 6756179B2 JP 2016146296 A JP2016146296 A JP 2016146296A JP 2016146296 A JP2016146296 A JP 2016146296A JP 6756179 B2 JP6756179 B2 JP 6756179B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amorphous
coercive force
soft magnetic
powder
atomic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016146296A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018016829A (ja
Inventor
誉将 佐藤
誉将 佐藤
美紀子 筒井
美紀子 筒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daido Steel Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daido Steel Co Ltd filed Critical Daido Steel Co Ltd
Priority to JP2016146296A priority Critical patent/JP6756179B2/ja
Publication of JP2018016829A publication Critical patent/JP2018016829A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6756179B2 publication Critical patent/JP6756179B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

この発明は軟磁性材料として用いられるFe基合金組成物に関する。
日本の磁性材料生産量は2000kt/年で、そのうち軟磁性材料は97%を占めており、市場規模が非常に大きい。軟磁性材料に求められる特性としては低い損失化(低コアロス、低保磁力)と高い磁気飽和密度が挙げられる。このような軟磁性材料を適用する用途として、リアクトル、トランスなどの変圧製品・部品がある。例えば、磁芯材料として用いられている珪素鋼(Fe−6.5Siの場合)は、高い飽和磁束密度(Bs=1.6(T))を有するものの、保磁力(Hc=119(A/m)(1.50(Oe)))が高く、軟磁気特性の点で不十分である。また、一般的な結晶性の軟磁性材料の場合、飽和磁束密度と保磁力とはトレードオフの関係にあり、高い飽和磁束密度を保持しつつ保磁力を更に低くするといったことは難しい。
こうした中で、従来の結晶性の軟磁性材料に代わる、保磁力が低くしかも飽和磁束密度の高い材料としてFe基非晶質軟磁性合金が存在する。このFe基非晶質軟磁性合金の粉末を製造する方法としては、たとえば下記特許文献1に示すように、溶湯を高速回転するロール表面に落下させるロール急冷法にてアモルファ
ス化(非晶質化)した帯状の急冷材を作成し、それを粉砕する技術が知られている。また、下記特許文献2には、溶湯にガスを噴射して溶滴としそれを旋回冷却液に供給するガスアトマイズ法を用いた装置が記載されている。
しかしながら特許文献1に示すような、ロール急冷法にて帯状の急冷材を作成しそれを粉砕する場合には、急冷と粉砕の2工程について設備が必要となり、製造性に劣るという問題があった。
一方、特許文献2に示すような、アトマイズ法を用いる場合は、非晶質軟磁性粉末を溶湯から直接得ることができる利点がある。一般にアトマイズ法は上記ロール急冷法に比べて冷却能力が劣るため、アモルファス状態が得られ難いが、水アトマイズ法によれば粉末の粒径を10μm程度に小さくすることができ且つガスアトマイズ法に比べて冷却能力も優れるためアモルファス化率を高くすることが期待できる。しかしながらこの水アトマイズ法を用いた場合は、粉化の際に溶湯が直接水と接触するため得られた粉末に錆びが発生し、保磁力が悪化してしまう問題があった。
このような耐食性(錆び)の問題は、仮に粉化の手段として水を用いない方法を採ったとしても、製品状態となった後にその使用環境下においてその条件によっては錆びが発生し保磁力が悪化してしまうおそれがある。
なお、本発明に対する先行技術として、下記特許文献3には「非晶質軟磁性金属粉末および圧粉磁芯」についての発明が示され、そこにおいて「Fe−aCr−bSi−cB−dC−eNb系の合金粉末から成り、その合金粉末の各元素の比率を原子%表示で示すa、b、c、d、eの値が、0.5≦a≦5.0、23≦(b+c+d)≦30、−4≦(b−c)≦3、2≦d≦12、1≦e≦4」とした点が開示されている。しかしながらこの特許文献3に記載のものは、Cu及びPが非添加であり、本発明とは合金成分が異なる別異のものである。
また、下記特許文献4には「Fe基合金組成物」についての発明が示され、そこにおいて軟磁性材料として用いるFe基合金組成物の組成を「原子%でB:3.0〜6.0%,Si:≦8.0%,P:4.0〜8.0%,Cu:0.3〜1.0%,C:5.0超〜12.0%,残部Fe及び不可避的不純物」とした点が開示されている。しかしながらこの特許文献4に開示のものは、耐食性を向上させ、かつ保磁力を低下させるといった着眼はなされておらず、またCr非添加であり本発明とは異なる。
さらに、下記特許文献5には「Fe基合金組成物」についての発明が示され、そこにおいて軟磁性材料として用いるFe基合金組成物の組成を「6原子%以上10原子%以下のP、6原子%以上8原子%以下のC、2原子%以上6原子%以下のB、0.4原子%以上1原子%以下のCu、1原子%以上3原子%以下のSi、および0原子%超2原子%以下のCr、ならびに残部Feおよび不可避的不純物」とした点が開示されている。しかしながらこの特許文献5に開示のものは、耐食性を維持しつつ、保磁力が低くかつ飽和磁束密度を高くとの着眼はなされておらず、また、Crの添加量が重複しないものであり本発明とは異なる。
特開2006−021248号公報 特開平11−080812号公報 特許第5315636号公報 特開2014−5492号公報 特開2016−23340号公報
本発明は以上のような事情を背景とし、安価で製造性も良く、耐食性を維持しつつ、保磁力が低くかつ飽和磁束密度の高い軟磁性粉末を製造することが可能なFe基合金組成物を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、鋭意検討した結果この課題を解決できることを見い出した。その具体的手段は以下の通りである。まず、第1の発明は、原子%で、
B:1.0〜13%、
Si:≦8.0%、
P:4.0〜8.0%、
Cu:0.3〜1.0%、
C:<8.0%、
Cr:2.0超〜4.5%、
残部Fe及び不可避的不純物の組成からなるFe基合金組成物であることを特徴とする。
次に、第2の発明は、上記した第1の発明に係るFe基合金組成物であって、下記式(1)に示すアモルファス化率Xが95.0%以上であることを特徴とする。
Figure 0006756179
本発明は、比較的遅い冷却速度であってもアモルファス化が容易なFe−Si−B−P−Cu−C系合金をベースに、耐食性を向上させるCrを含有させるようになしたものである。ただし、Crの添加は合金のアモルファス形成を阻害するため保磁力の悪化に繋がる。そこで本発明者らは、Cr量と非晶質化された合金における保磁力との関係を追求したところ、保磁力はCrの添加により一旦低下し、その後Cr量が4.5%を越えると再び高くなる傾向を示すことが認められ、Cr量が2.0超〜4.5原子%の範囲内ならば保磁力を低く抑えることができるとの知見を得た。本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。即ち本発明は、Cr量を高耐食性と低保磁力とが得られる範囲である2.0超〜4.5原子%に最適化したもので、軟磁性粉末の製造条件や、その後の使用環境の如何に拘らず、錆びの発生を良好に防止し得て、長期に亘り保磁力を低く維持することができる軟磁性合金を実現可能としたものである。
本発明のFe基合金組成物は所定組成となるように原料を秤量し、溶解した合金溶湯を急冷することでアモルファス化する。溶湯を急冷する方法としては単ロール急冷法、双ロール急冷法等のロール急冷法やガスアトマイズ法、水アトマイズ法、遠心力アトマイズ法等のアトマイズ法を用いることが可能であるが、本発明のFe基合金組成物は溶湯から直接粉末を得ることができ製造性に優れたアトマイズ法に用いる材料として好適である。特に、水アトマイズ法によれば粉末の粒径を10μm程度にまで小さくでき且つ冷却能力にも優れるためアモルファス化率を高く維持することができる。なお、水アトマイズ法は、粉化の際に溶湯が直接水と接触するため粉末に錆びが発生し、保磁力を悪化させてしまう問題を有するが、本発明のFe基合金組成物は耐食性に優れており、水アトマイズ法を用いて粉化させた場合であっても錆びの発生を抑え保磁力を低く維持することが可能である。従って、本発明のFe基合金組成物によれば水アトマイズ法を用いて製造性高く、保磁力が低い、即ち軟磁気特性に優れた非晶質軟磁性粉末を製造することが可能である。
合金溶湯をアモルファス化させるに際しては、アモルファス形成元素であるSi、B、Cの含有量が重要である。本発明者らは、Bの含有量、Cの含有量のバランスを追求したところ、Cの含有量を8.0原子%未満とした場合においても、他の成分とのバランスを適正にすることでアモルファス化でき、かつ保磁力が低くかつ飽和磁束密度の高い軟磁性粉末を製造できることを知得した。
本発明においては、Fe基合金組成物をアモルファス状態とするに際し、その全体を実質的にアモルファス化したもの、即ち式(1)に示すアモルファス化率Xが95.0%以上であるFe基合金組成物も含まれる。このようにアモルファス化率が高い軟磁性合金は、磁壁の移動を妨げる結晶粒界が存在しないため保磁力を効果的に低下させることができる。このような観点から、アモルファス化率は、98.0%以上であることがより好ましい。
次に本発明の各合金成分の添加及び添加量限定理由を以下に詳述する。
Fe
Feは磁性を担う主元素で、高い飽和磁束密度を確保する上では多い方が望ましい。但しFe量が多くなると合金溶湯の冷却時に結晶化し易くなってしまう。 本発明では、アモルファス形成のための他元素を除いた残量がFe含有量となる。ただし、高い飽和磁束密度を確保する上でFeの含有量は74.0〜75.0原子%が望ましい。
B:1.0〜13.0原子%
Bはアモルファス形成元素で、他のアモルファス形成元素Si、Cとの相互作用でそれらと協働してアモルファス形成に寄与する。また、それらの相互作用でアモルファス形成に寄与することから、各アモルファス形成元素の添加量に応じて特性が大きく左右される。ただし、Bの含有量が1.0%未満であるとアモルファス形成能が著しく低下するため、本発明ではBを1.0%以上含有させる。一方、本発明では、Bは、高価な原料であるため、Bの含有量の上限を13.0%とする。
また、Bの含有量に関し、13.0%を超えて多量に含有しても磁壁の移動を妨げるFe3BやFe2Bといった磁気的にハードな化合物相が析出し易くなり軟磁気特性が劣化する。このような観点から、本発明においてBの望ましい含有量は8.0%以下である。さらに好ましくは、6.0%以下である。
Si:≦8.0原子%
Siもまたアモルファス形成元素で、B、Cとの相互作用でそれらと協働してアモルファス形成に寄与する。またそれぞれの含有量に応じて特性を大きく変化させる。本発明ではB、Cの含有量に応じてSiの含有量を少なくすることができる。一方、8%よりも多く含有させると飽和磁束密度とアモルファス形成能が低下し、軟磁気特性が劣化するため、上限を8.0%とする。
P:4.0〜8.0原子%
Pはアモルファス形成元素である。但し他のアモルファス形成元素との相互作用はあまり無く、P単独の添加量増量でアモルファス形成能を高めることができる。本発明において、Pの下限を4.0%としている理由は、4.0%未満であるとアモルファス形成能が著しく低下することによる。一方Pの上限を8.0%としているのは、8.0%を超えて多量に含有させると飽和磁束密度が低下し、軟磁気特性が劣化することによる。
Cu:0.3〜1.0原子%
Cuは、Pとともに結合してナノヘテロ構造のクラスターを形成してアモルファス中に微細に分散し析出する。このCuのクラスターは、bcc−Fe結晶が突然生じて一気に粗大化してしまうのを良好に防止できる。但しCuの含有量が0.3%未満であるとbcc−Fe相の析出を抑制する効果が著しく低下してしまう。一方、Cuの上限を1.0%としているのは、1.0%を超えて多量に含有させると、保磁力が増加してしまうからである。その理由は、過剰なCuが他の元素と結合してCu化合物を形成すると考えられるからである。
C:<8.0原子%
Cはアモルファス形成元素であり、特に、アモルファス形成元素であるSi、Bとの相互作用でそれらと協働してアモルファス形成に寄与する。また、それぞれの添加量に応じて特性が大きく変化する。本発明において、Cに関し、8.0%未満としたのは、Siの含有量、Bの含有量のバランスを追求し、非晶質軟磁性合金の粉末を用いて製造されたコア(磁芯)等の製品特性を考慮した結果である。
Cr:2.0超〜4.5原子%
Crは耐食性を向上させる元素である。Cr:2.0原子%を超えて含有させることで軟磁性粉末の製造時やその後の製品使用時における錆びの発生を有効に防止し得て、保磁力を低く維持することができる。一方、4.5%を超えて多量に含有されると、アモルファス形成能が阻害されアモルファス化率が低下し保磁力が悪化する。なお、より低い保磁力を得る上でCrの範囲は2.2〜2.7%とすることが望ましく、更に望ましい範囲は2.3〜2.5%である。
以上のような本発明によれば、安価で製造性も良く、耐食性を維持しつつ、保磁力が低くかつ飽和磁束密度の高い軟磁性粉末を製造することが可能なFe基合金組成物を提供することができる。
本発明の一実施例のリング状コアを示した図である。 図1のリング状コアの製造工程を説明する工程図である。
次に本発明の実施例を以下に説明する。
本例では図1に示すリング状コア(圧粉磁芯)10(外径19mmφ×内径13mmφ×厚み5mmt)を製造した。上記コア10は、たとえば図2に示す工程にしたがって製造される。図2において、溶解工程P1では、たとえば電気溶解炉を用いて、表1から表4で示された各実施例又は比較例の化学成分となるように調合され且つ溶解された溶湯が生成される。次の金属粉末生成工程P2では、水アトマイズ装置を用いて、上記溶湯が所定の容器内において水を用いて噴霧され、その溶湯が急速冷却されるとともに粉末化される。その後、篩等によって粒径45μm以下の所定の粒度に分級される。これにより、圧粉磁芯用の非晶質軟磁性粉末が得られる。
<アモルファス化率の評価>
このようにして得られたアモルファス状態の粉末に対し、XRDによりX線結晶構造解析を実施し、相の同定を行った。具体的には、結晶化したFe又は化合物のピーク(Ic:結晶性散乱積分強度,Ia:非晶性散乱積分強度)を読み取り、そのピーク強度から結晶化率を割り出し、先述の式(1)よりアモルファス化率を算出した。
<保磁力Hcの測定>
同じくアモルファス状態の粉末に対し、Hcメーターを使用し保磁力Hcの測定を行った(東北特殊鋼(株)社製の型式:K−HC1000を使用)。なお、本実施例においては、圧粉磁心の製品特性を考慮し、保磁力の目標値を0.60(Oe)以下と設定した。
次いで、バインダー混合工程P3では、絶縁材料および結合剤として機能する電気的な絶縁バインダーを上記非晶質軟磁性粉末に対して0.5〜5wt%程度の混合率となるように定量し、混合させることにより、非晶質軟磁性粉末の表面に電気絶縁性バインダーがコーティングされる。上記電気絶縁性バインダーとしては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、水ガラス等を用いることができる。また、必要に応じて、潤滑剤混合工程P4において、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤が上記非晶質軟磁性粉末に対して0.1〜0.5wt%程度となるように混合される。
続くプレス成形工程P5では、上記バインダー混合工程P3において絶縁性バインダーが被覆された軟磁性粉末が所定の成形金型内に充填され、且つ油圧プレスによって1MPa未満の成形圧力で加圧されることにより非晶質軟磁性粉末の圧粉体が成形される。熱処理工程P6は、上記プレス成形工程P5により成形された成形体の成形歪みを除去すると共に絶縁バインダーを硬化させるために、上記成形体を不活性雰囲気たとえばアルゴンガス雰囲気内において200℃乃至結晶化温度、たとえば150〜200℃程度の温度で1時間程度の熱処理を施す。以上の工程を経ることによりリング状コア10が製造される。
<飽和磁束密度Bsの測定>
同じくアモルファス状態の粉末に対し、試料振動型磁力計(Vibrating Sample Magnetometer)にて、均一磁場中においた粉末を一定の周波数・振幅で振動させて測定することにより求めた。なお、本実施例においては、圧粉磁心の製品特性を考慮し、飽和磁束密度の目標値を1.50(T)以上と設定した。
<耐食性試験>
耐食性試験は、製造されたリング状コア10に対して、JISC60068−2−1(塩溶液濃度:質量比5%、試験槽温度:35℃、試験時間:96時間)に基づき実施した。そして保持後のコア表面について目視にて発錆の有無を確認した。評価は発錆が観察されなかったものを「○」、発錆が観察されたものを「×」とした。
表1では、Crを適量含有した本発明の基本的な組成である実施例1、Crを含有しない比較例1、Cが8.0%以上である比較例2について、アモルファス化率、保磁力Hc、飽和磁束密度、耐食性を評価した結果が示されている。比較例1は、アモルファス化率は99%以上、保磁力Hcも目標の0.60以下であり良好な結果であった。ただし、Crが無添加であるため耐食性は×であり、粉末製造時において保磁力に問題ない場合でも、使用中の実製品に錆が生じ保磁力が悪化することが懸念される。また、比較例2は、Cの含有量が本発明の上限値よりも高かったため、飽和磁束密度の目標値を達成することができなかった。
Figure 0006756179
表2では、非晶質軟磁性粉末を構成するP、Cu、Cr、Cの含有量を一定に維持してBの割合を変化させたときのアモルファス化率、保磁力Hc、飽和磁束密度Bs、耐食性の結果を示している。本表において、比較例3、4は、Bの含有量が本発明の上限値よりも高かったため、飽和磁束密度の目標値を達成することができなかった。
Figure 0006756179
表3では、非晶質軟磁性粉末を構成する元素のうちSi、B、P、Cuの含有量を一定に維持した上で、Crを変化させた場合のアモルファス化率、保磁力Hc、飽和磁束密度Bs、耐食性を示している。本表において、比較例5は、Crの含有量が本発明の下限値よりも低かったため、耐食性の目標を達成することができなかった。また、比較例6は、Crの含有量が本発明の上限値よりも高かったため、飽和磁束密度Bsの目標値を達成することができなかった。
Figure 0006756179
表4では、非晶質軟磁性粉末を構成する元素のうちFe、P、Cu、Crの含有量を一定に維持した上で、Si、B、Cを変化させた場合のアモルファス化率、保磁力Hc、飽和磁束密度Bs、耐食性を示している。本表において、比較例7は、Bの含有量が本発明の下限値よりも低かったため、アモルファス化率の目標値を達成することができなかった。また、比較例8は、Siの含有量が本発明の上限値よりも高かったため、アモルファス化率の目標値を達成することができず、保磁力が測定不可となった。
Figure 0006756179
上述のように、本実施例の非晶質軟磁性粉末は、水アトマイズ装置を用いても十分にアモルファス化された粉末が得られ、また粉末状態での保磁力も0.60Oe以下に低く抑えられ、かつ飽和磁束密度1.50T以上の特性を確保している。このように本実施例の非晶質軟磁性粉末は、水アトマイズ装置を用いて製造することができ、ロール急冷法を用いた製造方法に比べて製造性を著しく向上させることが可能であり、設備費用が低減され、製造コストが低くなる。また、本実施例の非晶質軟磁性粉末を用いた圧粉磁心は、良好な耐食性を備えており、使用環境下で錆びが生じるのを有効に防止できるので、長期にわたって保磁力を低く維持することができ、低いコアロス特性が得られる。特に、高周波での使用における熱の発生を防止できる。さらに、高い飽和磁束密度を実現したため、磁化応答性も良好である。
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示である。上記実施例では、水アトマイズ法を用いてアモルファス合金粉末を製造したが、本発明の組成を有するFe基合金組成物は様々な方法で製造することができる。例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等の気相急冷法にて製造することもできる。また、単ロール急冷法、双ロール急冷法等のロール急冷法や、ガスアトマイズ法、遠心力
アトマイズ法等の水アトマイズ法以外のアトマイズ法を用いることが可能である。 更に本発明のFe基合金組成物はアモルファス合金、即ちアモルファス相を主相としたFe基合金組成物を窒素、Ar等の不活性ガス中若しくは真空中で加熱処理することで、アモルファス母相中にナノサイズの粒径のbcc−Fe結晶を析出させFe基ナノ結晶合金を得ることも可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
10 圧粉磁芯

Claims (2)

  1. 原子%で
    B:1.0〜13%、
    Si:1.1〜8.0%、
    P:4.0〜8.0%、
    Cu:0.3〜1.0%、
    C:1.1〜8.0%未満
    Cr:2.0超〜4.5%、
    残部Fe及び不可避的不純物の組成からなるFe基合金組成物。
  2. 下記式(1)に示すアモルファス化率Xが95.0%以上である請求項1に記載のFe基合金組成物。
    Figure 0006756179
JP2016146296A 2016-07-26 2016-07-26 Fe基合金組成物 Active JP6756179B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016146296A JP6756179B2 (ja) 2016-07-26 2016-07-26 Fe基合金組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016146296A JP6756179B2 (ja) 2016-07-26 2016-07-26 Fe基合金組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018016829A JP2018016829A (ja) 2018-02-01
JP6756179B2 true JP6756179B2 (ja) 2020-09-16

Family

ID=61075684

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016146296A Active JP6756179B2 (ja) 2016-07-26 2016-07-26 Fe基合金組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6756179B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3831975B1 (en) * 2018-07-31 2022-07-06 JFE Steel Corporation Soft magnetic powder
CN111009370B (zh) * 2019-12-26 2021-07-16 东睦新材料集团股份有限公司 一种金属磁粉芯的制备方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101516936B1 (ko) * 2008-08-22 2015-05-04 아키히로 마키노 합금 조성물, Fe계 나노 결정 합금 및 그 제조 방법, 및 자성 부품
CN102471856B (zh) * 2009-08-24 2015-04-01 Nec东金株式会社 合金组成物、铁基纳米结晶合金及其制造方法
JP6427677B2 (ja) * 2015-07-31 2018-11-21 株式会社村田製作所 軟磁性材料およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018016829A (ja) 2018-02-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6472939B2 (ja) 軟磁性粉末、Fe基ナノ結晶合金粉末、磁性部品及び圧粉磁芯
US10847291B2 (en) Soft magnetic powder, dust core, magnetic compound and method of manufacturing dust core
JP5912349B2 (ja) 軟磁性合金粉末、ナノ結晶軟磁性合金粉末、その製造方法、および圧粉磁心
JP2611994B2 (ja) Fe基合金粉末およびその製造方法
JP6088192B2 (ja) 圧粉磁芯の製造方法
JP6669304B2 (ja) 結晶質Fe基合金粉末及びその製造方法
JP6842824B2 (ja) 金属軟磁性合金と磁心の製造方法
JP6558887B2 (ja) 軟磁性合金および磁性部品
JP6471603B2 (ja) Fe基非晶質合金組成物
JP2009120927A (ja) 軟磁性非晶質合金
JP6554278B2 (ja) 軟磁性合金および磁性部品
US11276516B2 (en) Magnetic powder for high-frequency applications and magnetic resin composition containing same
JP6756179B2 (ja) Fe基合金組成物
TWI778112B (zh) 鐵基合金、結晶鐵基合金粉化粉末及磁芯
US10950374B2 (en) Fe-based alloy composition, soft magnetic material, magnetic members, electric/electronic component, and device
TWI512120B (zh) A magneto-magnetic alloy for magnetic recording, a sputtering target material, and a magnetic recording medium
WO2014027601A1 (ja) 磁気記録用軟磁性合金及びスパッタリングターゲット材並びに磁気記録媒体
JP2007092096A (ja) 非晶質磁性合金
JP2020158831A (ja) 軟磁性合金および磁性部品
JP5946922B2 (ja) 磁性記録媒体用スパッタリングターゲット
Jung et al. Influence of Al on glass forming ability and nanocrystallization behavior of cast-iron based bulk amorphous alloy
JP6506659B2 (ja) 磁気記録用非晶質合金およびスパッタリングターゲット材並びに磁気記録媒体
JP2023079830A (ja) 軟磁性金属粉末、磁気コア、磁性部品および電子機器
JP2021086941A (ja) Fe基軟磁性合金、薄帯、粉末、磁心、及びコイル部品
JP2020186422A (ja) Fe基ナノ結晶合金およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190523

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200123

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200228

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200403

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200616

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200728

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200810

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6756179

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150