JP5650169B2 - 垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層用合金ターゲット材 - Google Patents

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Description

本発明は、垂直磁気記録媒体における軟磁性層膜として用いる(Co,Fe)(Zr,Hf,Nb,Ta,B)合金ターゲット材に関するものである。
近年、磁気記録技術の進歩は著しく、ドライブの大容量化のために、磁気記録媒体の高記録密度化が進められている。しかしながら、現在広く世の中で使用されている面内磁気記録方式の磁気記録媒体では、高記録密度化を実現しようとすると、記録ビットが微細化し、記録ビットで記録できないほどの高保磁力が要求される。そこで、これらの問題を解決し、記録密度を向上させる手段として垂直磁気記録方式が検討されている。
垂直磁気記録方式とは、垂直磁気記録媒体の磁性膜中の媒体面に対して、磁化容易軸が垂直方向に配向するように形成したものであり、高記録密度に適した方法である。そして、垂直磁気記録方式においては、記録感度を高めた磁気記録膜層と軟磁性膜層とを有する2層記録媒体が開発されている。この磁気記録膜層には一般的にCoCrPt−SiO2系合金が用いられている。
一方、軟磁性膜層には、例えば特開2005−320627号公報(特許文献1)に開示されているように、CoZrNb/Taなどが提案されている。この垂直磁気記録媒体の軟磁性膜層には高い飽和磁束密度、高い非晶質性が求められている。しかしながら、特許文献1におけるCoZrNb/Ta合金は垂直磁気記録媒体の軟磁性膜層に要求される飽和磁束密度と比較すると低いレベルとなってしまう課題がある。
さらに、飽和磁束密度の高い合金を軟磁性膜層として使用する場合、これを成膜するためのターゲット材も高飽和磁束密度となってしまい、マグネトロンスパッタ時の成膜速度を左右するPTF値が低くなってしまう課題もある。ここで、非晶質性とは、合金を急冷凝固あるいはスパッタ成膜した時に非晶質になる容易さを言う。
特開2005−320627号公報
上述したような問題を解決するために、発明者らは鋭意検討した結果、高い飽和磁束密度と高い非晶質性を有する軟磁性層膜用の合金として、Zr、Hf、Nb、TaおよびBの1種または2種以上を含有し、残部CoおよびFe、ならびに不可避的不純物よりなり、0.20≦Fe/(Fe+Co)≦0.50(at.%比)、および5at%≦(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2≦10at%を満足することよりなる合金が優れていることを見出した。
さらに、上記合金のターゲット材を作製する場合に、Fe/(Fe+Co):1.00〜0.90(at.%比)と(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2:3〜12at%よりなる粉末とFe/(Fe+Co):0.00〜0.10(at.%比)、(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2:3〜12at%よりなる粉末を混合し、800〜1250℃、100〜1000MPaで固化成形することにより、PTF値および相対密度の高いターゲット材が得られることを見出し発明に至ったものである。
その発明の要旨とするところは、
(1)Zr、Hf、Nb、TaおよびBの1種または2種以上を含有し、残部CoおよびFe、ならびに不可避的不純物よりなり、下記式1および式2を満足し、相対密度99%以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層用合金ターゲット材にある。
0.20≦Fe/(Fe+Co)≦0.50(at.%比) … (1)
5at%≦(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2≦10at% … (2)
ただし、B:7%以下とする。
(2)Fe/(Fe+Co):1.00〜0.90(at.%比)、(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2:3〜12at%よりなる粉末と、Fe/(Fe+Co):0.00〜0.10(at.%比)、(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2:3〜12at%よりなる粉末を混合し、800〜1250℃、100〜1000MPaで固化成形することを特徴とする前記(1)に記載の垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層用合金ターゲット材。
(3)前記(2)における原料粉末において、Fe/(Fe+Co):1.00〜0.90(at%比)、(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2:3〜12at%よりなる粉末もしくは両方の粉末に、Al+Crを5at%以下含有させ、ターゲット材トータルとして5at%以下含有させたことを特徴とする垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層用合金ターゲット材。
(4)混合粉末によるターゲット材と単一粉末によるターゲット材とのPTF値の差を5〜15とすることを特徴とする前記(2)または(3)に記載の垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層用合金ターゲット材である。
以上述べたように、飽和磁束密度、非晶質性および耐候性に優れた垂直磁気記録媒体用軟磁性合金においてマグネトロンスパッタ時に効率良く使用できる高PTF値ターゲット材を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
先ず、本発明に係る垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層用合金ターゲット材の組成としての限定理由について述べる。
Fe/(Fe+Co):0.20〜0.50(at.%比)
Fe/(Fe+Co)は、飽和磁束密度、非晶質性および耐候性に大きく影響するパラメータであり、0.20から0.50の範囲においては、Feの割合を高くするにしたがって飽和磁束密度は向上する。しかし、0.50を超えると飽和磁束密度の向上が飽和し、耐食性の大幅な劣化が見られる。また、Fe/(Fe+Co)が0.20未満では充分な飽和磁束密度が得られないことから、その範囲を0.20〜0.50とした。
(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2:5〜10at%
Zr,Hf,Nb,Ta,BはFe,Coに対して、いずれも共晶系の状態図を持ち、アモルファス相を形成させる元素である。また、共晶組成におけるこれらの元素の濃度はBを除いて、8〜13at%程度であり、Bのみ20at%弱である。したがって、Zr,Hf,Nb,TaとB/2の合計量で扱うことができる。(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2が5%未満では共晶質性が充分でなく、10%を超えると共晶質性が飽和し、飽和磁束密度が低下してしまう。また、Bが7%を超えると耐食性が劣化する。したがって、その範囲を5〜10%、Bは7%以下とする。
次に、ターゲット材の原料粉末組成、固化成形条件について述べる。
「Fe/(Fe+Co):1.00〜0.90(at.%比)、(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2:3〜12at%よりなる粉末」と「Fe/(Fe+Co):0.00〜0.10(at.%比)、(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2:3〜12at%よりなる粉末」を混合する。請求項1に記載の合金は、高い飽和磁束密度と高い共晶質性および耐候性を有する優れた合金である。
しかし、高い飽和磁束密度を有していることから、これをターゲット材としてマグネトロンスパッタにて成膜すると、PTF値が低くなるため、成膜速度が低くなってしまう。この点を改良するため、請求項1に記載のターゲット材を、単一組成の粉末を固化成形するのではなく、飽和磁束密度の比較的低い2種類の粉末を所定の割合で混合し、固化成形することにより、均一組成では高い飽和磁束密度を有する合金でありながら、ターゲット材としては比較的低い飽和磁束密度を有する材料を得ることができる。
このとき、ターゲット材トータルの組成を2種類の組成の原料粉末に分ける際、一方の原料粉末のFe/(Fe+Co):1.00〜0.90とし、他方の原料粉末のFe/(Fe+Co):0.00〜0.10とすることで、両粉末の飽和磁束密度を低くすることができる。また、Zr,Hf,Nb,Ta,BはFe,Coとのスパッタ率に差があるため、両粉末の添加量に大きな差がある場合、スパッタが進むに連れ、ターゲット材表面に凹凸が発生し、パーティクルなどの不具合を発生する。特に、一方の粉末の(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2が3%未満、あるいは12%を超えるような場合、パーティクルの数が多くなる。
さらに、Fe/(Fe+Co):0.20〜0.50の本合金ターゲット材を単一粉末を原料とし成形すると、成形後の機械加工時に割れや欠けが発生しやすい。この理由については詳細は定かでないが、Co−Feの2系状態図において、Fe/(Fe+Co)=0.5付近に現れる脆性な規則相(α´相)が、本合金の母相にも生成するためではないかと思われる。この点からも、原料粉末のFe/(Fe+Co)を、1.00〜0.90と0.00〜0.10の2種類の粉末に分けることが有効である。
またさらに、本合金ターゲット材を作製する際、単一粉末から作製する場合と比較し、原料粉末をFe/(Fe+Co)が1.00〜0.90と0.00〜0.10の2種類の粉末に分けることにより、同条件で成形した場合、相対密度が高くなることも見出した。この理由についての詳細は定かでないが、単一粉末を原料とした場合と比較し、2種類の粉末を混合し原料粉末とした場合、2種類の粉末の接触点においてFeリッチな領域〔Fe/(Fe+Co):1.00〜0.90の粉末〕とCoリッチな領域〔Fe/(Fe+Co):0.00〜0.10の粉末〕が発生し、その部分において、CoとFeの濃度勾配が大きくなってしまうため、この濃度勾配を薄めるために、Co原子とFe原子の相互拡散が激しく起こる結果、より焼結が進み、相対密度が高くなるのではないかと考えられる。
800〜1250℃、100〜1000MPaで固化成形
固化成形条件について、800℃未満、もしくは100MPa未満で固化成形すると、相対密度が低くなってしまう。また、1250℃を超えると一部溶融し、凝固ポアが発生してしまう。さらに、1000MPaを超える固化成形は工業的に困難である。したがって、その範囲を800〜1250℃、100〜1000MPaとした
Al+Crを5at%以下
請求項2の製法によると、Feリッチな原料粉末(低耐食性)とCoリッチな原料粉末(高耐食性)を混合し固化成形するため、両粉末間で一種の局部電池が成立し、ターゲット材としては比較的発銹しやすい材料となってしまう。そこで、少なくともFeリッチ原料粉末もしくは両粉末にAl,Crを添加することにより、ターゲット材として発銹しにくい材料とすることができる。しかし、Al+Crが5at%を超えると効果が飽和する。また、ターゲット材トータルとして5at%を超えると、このターゲットをスパッタ成膜した薄膜の飽和磁束密度を低下させてしまう。したがって、5at%以下とした。
通常、垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層は、その成分と同じ成分のスパッタリングターゲット材をスパッタし、ガラス基板などの上に成膜し得られる。ここで、スパッタにより成膜された薄膜は急冷されている。これに対し、本発明では、以下に述べる実施例または比較例の供試材として、単ロール式の液体急冷装置にて作製した急冷薄帯を用いている。これは実際にスパッタにより急冷され成膜された薄膜の成分による諸特性への影響を簡易的に液体急冷薄帯により評価したものである。
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
表1の成分に秤量した原料30gを径10×40mm程度の水冷銅ハースにて減圧Ar中でアーク溶解し、急冷薄帯の溶解母材とした。急冷薄帯の作製条件は単ロール方式で、径15mmの石英管中にこの溶解母材にセットし、出湯ノズル径を1mmとし、雰囲気圧61kPa、噴霧差圧69kPa、銅ロール(径300mm)の回転数3000rpm、銅ロールと出湯ノズルのギャップ0.3mmにて出湯した。出湯温度は各溶解母材の溶融直後とした。このようにして作製した急冷薄帯を供試材とし、以下の項目を評価した。
急冷薄帯の飽和磁束密度の評価として、VSM装置(振動試料型磁力計)にて、印加磁場1200kA/mで測定、供試材の重量は15mg程度とする。また、急冷薄帯の非晶質性の評価は以下の通り。通常、非晶質材料のX線回折パターンを測定すると、回折ピークが見られず、非晶質特有のハローパターンとなる。また、完全な非晶質でない場合は、回折ピークは見られるものの、結晶材料と比較してピーク高さが低くなり、半値幅(回折ピークの1/2高さの幅)の大きいブロードなピークとなる。この半値幅は、材料の非晶質性と相関があり、非晶質性が高いほど回折ピークは、よりブロードとなり半値幅が大きくなる特徴がある。
そこで、次の方法にて非晶質性を評価した。
ガラスペレットに両面テープで供試材を貼り付け、X線回折装置にて回折パターンを得た。このとき、測定面は急冷薄帯の銅ロール接触面となるように供試材をガラスペレットに貼り付けた。X線源はCu−kα線で、スキャンスピード4°/minで測定した。この回折パターンのメインピークの1/2高さの幅を画像解析し、半値幅を求め、非晶質性の評価とした。
Figure 0005650169
表1に示すNo.1〜11は本発明例であり、No.12〜15は比較例である。
表1は急冷薄帯の場合で、比較例No.12はFe/(Fe+Co)の値が0.15と低いために、飽和磁束密度が低い。比較例No.13は(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2の値が4と低いために半値幅が小さい。比較例No.14は(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2の値が高いために飽和磁束密度が低い。比較例No.15はAl,Crの添加量が高いために飽和磁束密度が低い。このように、本発明における合金は急冷された状態において、飽和磁束密度、非晶質性、耐食性に優れている。
次に、表2に原料として使用する合金粉末をガスアトマイズ法にて作製し、飽和磁束密度を測定することで、飽和磁束密度の低い原料粉末組成を検討した。それらの原料粉末を固化成形し機械加工にて作製したターゲット材のPTF値を測定し、PTF値に及ぼす原料粉末組成の影響を検討した結果を表3に示す。また、同時に固化成形条件とターゲット材の相対密度、ターゲット材の耐食性を評価した。
Figure 0005650169
以下、原料粉末およびターゲット材の作製条件について述べる。
(1)原料粉末作製:ガスアトマイズ法
ガス種:Ar、ノズル径:径6mm、ガス圧:5MPa
(2)分級:−500μm
(3)真空封入
封入缶材質:SC、缶の内寸法:径200mm×100mmL、到達真空度:0.1Pa以下
(4)成形工法
(イ)HIP(熱間静水圧プレス)
加熱温度:1000〜1300℃、圧力:80〜150MPa、保持時間:5hr
(ロ)アップセット
加熱温度:750〜1000℃、圧力:450〜1000MPa
(5)機械加工
ワイヤカット・旋盤加工・平面研磨により最終形状:径180mm×7mmtに加工
・原料粉末の飽和磁束密度評価
VSM装置(振動試料型磁力計)にて、印加磁場:1200kA/mで測定、供試材の重量は200mg程度。
・ターゲット材のPTF値評価
ASTM F1761−00にしたがって、PTF値を測定した。比較として、同組成のターゲット材を単一成分粉末から、同条件で固化成形したものを作製し、PTF値を測定した。その際に、[混合粉末によるターゲット材のPTF(単位:%)−単一粉末によるターゲット材のPTF(単位:%)]を評価した。
・ターゲット材の相対密度評価
密度の測定方法は体積重量法(加工したターゲット材の寸法、重量を測定し、重量/体積にて算出)で、また、相対密度(計算密度に対する実測密度の割合)を算出し、99%以上:○、98%以上、99%未満:△、98%未満:×にて評価した。
・ターゲット材の耐食性評価
ターゲット材を用いた塩水噴霧試験としては、JIS Z 2371に基づき、NaCl:5質量%溶液を24時間噴霧した後のターゲット材外観を目視により発銹の有無を確認した。その評価基準として下記で評価した。
○:発銹なし、△:ターゲット材の一部に発銹、×:ターゲット材の全面に発銹
Figure 0005650169
表3にPTF値に及ぼす原料粉末組成の影響を検討した結果と同時に固化成形条件とターゲット材の相対密度、ターゲット材の耐食性を評価した。
上記の他、Co(0)−Fe(残部)−2Zr粉末とCo(残部)−Fe(0)−10Zr粉末をトータル成分Co(残部)−47Fe−6Zrに混合し、1000℃、500MPaでアップセット成形したターゲット材(相対密度99.7%)をスパッタしたが(Ar圧0.5Pa、DC電力500W)、ターゲット表面に凹凸が多く発生し、単一粉末から同条件で成形したターゲット材のパーティクル数の2.5倍の数となった。ここで、パーティクルとは、スパッタした薄膜上に発生する突起物であり、不良品となる。
また、Co(0)−Fe(残部)−3Zr−2Nb粉末とCo(残部)−Fe(0)−6Zr−7Nb粉末をトータル成分Co(残部)−45.5Fe−4.5Zr−4.5Nbに混合し、1000℃、500MPaでアップセット成形したターゲット材(相対密度99.5%)をスパッタしたが(Ar圧0.5Pa、DC電力500W)、ターゲット表面に凹凸が多く発生し、単一粉末から同条件で成形したターゲット材のパーティクル数の2.3倍の数となった。これは、いずれのターゲット材においても、両粉末におけるZrやNb量に大きな差異があるためであると推測される。(Co,Feに対し、Zr,Hf,Nb,Ta,Bのスパッタ率は低いことが知られており、このスパッタ率の差異により、表面の凹凸が成長し、これがパーティクルの原因となったものと推測される)。
表3のように、粉末1〜8を使用したターゲット材(ターゲット材A〜E,H,I)は粉末9、10を使用したターゲット材(ターゲット材F,G)と比較し、PTFの差が大きく、PTFが大幅に改善する効果が見られた。さらに、表3について、Al,Crを含まない、Fe/(Fe+Co):1.00〜0.90(at.%比)、(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2:3〜12at%よりなる粉末(粉末1、4)を使用したターゲット材(ターゲット材A,D,H,I)は塩水噴霧試験にて一部発錆が見られたが、Al,Crを含む、Fe/(Fe+Co):1.00〜0.90(at.%比)、(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2:3〜12at%よりなる粉末(粉末2、3、9)を使用したターゲット材(ターゲット材B,C,E〜G)は塩水噴霧試験での発錆が見られず、ターゲット材の耐食性改善効果が見られた。
この他、粉末3と粉末7のAlを3at%に増量させた粉末を、Co(残部)−34.4Fe−4Zr−4Hf−3Al−3Crに混合し、1250℃、100MPaでHIPしたターゲット材を作製したが、ターゲット材Cと同様に塩水噴霧試験で発錆はないことから、原料粉末中のAl+Crが5at%を超えるとターゲット材の耐食性改善の効果が飽和していることを確認した。上記の他、ターゲット材A、ターゲット材Cの混合粉末を用いて、1300℃、100MPaにてHIP成形したところ、成形体内部に溶融凝固ポアが多く見られた。
この他、ターゲット材B,Cの組成について、同条件で成形した単一粉末を原料とした場合の成形体には、一部割れや欠けが見られたが、混合粉末を用いた場合には、割れや欠けは全く見られなかった。このことから、原料粉末を請求項2、3のように2種類に分けることにより機械加工時の割れや欠けを抑制する効果が確認できた。
この他、ターゲット材A,Bの相対密度はいずれも99%以上であった。さらに、原料粉末を請求項2、3のように2種類に分けることにより、同条件の成形にもかかわらず、より相対密度が高くなることが確認できた。


特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊

Claims (4)

  1. Zr、Hf、Nb、TaおよびBの1種または2種以上を含有し、残部CoおよびFe、ならびに不可避的不純物よりなり、下記式1および式2を満足し、相対密度99%以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層用合金ターゲット材。
    0.20≦Fe/(Fe+Co)≦0.50(at.%比) … (1)
    5at%≦(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2≦10at% … (2)
    ただし、B:7%以下とする。
  2. Fe/(Fe+Co):1.00〜0.90(at.%比)、(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2:3〜12at%よりなる粉末と、Fe/(Fe+Co):0.00〜0.10(at.%比)、(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2:3〜12at%よりなる粉末を混合し、800〜1250℃、100〜1000MPaで固化成形することを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層用合金ターゲット材。
  3. 請求項2における原料粉末において、Fe/(Fe+Co):1.00〜0.90(at%比)、(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2:3〜12at%よりなる粉末もしくは両方の粉末に、Al+Crを5at%以下含有させ、ターゲット材トータルとして5at%以下含有させたことを特徴とする垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層用合金ターゲット材。
  4. 混合粉末によるターゲット材と単一粉末によるターゲット材とのPTF値の差を5〜15とすることを特徴とする請求項2または3に記載の垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層用合金ターゲット材。
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