JP2013011018A - 垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層用合金ターゲット材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 飽和磁束密度、非晶質性および耐候性に優れた垂直磁気記録媒体用軟磁性合金において、マグネトロンスパッタ時に効率良く使用できるターゲット材を提供する。
【解決手段】 Zr、Hf、Nb、TaおよびBの2種以上を含有し、残部CoおよびFe、ならびに不可避的不純物よりなり、下記式1および式2を満足し、相対密度99%以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層用合金ターゲット材。
0.60≦Fe/(Fe+Co)≦0.65(at.%比) … (1)
5at%≦(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2≦10at% … (2)
ただし、B:7%以下とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 Zr、Hf、Nb、TaおよびBの2種以上を含有し、残部CoおよびFe、ならびに不可避的不純物よりなり、下記式1および式2を満足し、相対密度99%以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層用合金ターゲット材。
0.60≦Fe/(Fe+Co)≦0.65(at.%比) … (1)
5at%≦(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2≦10at% … (2)
ただし、B:7%以下とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、垂直磁気記録媒体における軟磁性層膜として用いる(Co,Fe)(Zr,Hf,Nb,Ta,B)合金ターゲット材に関するものである。
近年、磁気記録技術の進歩は著しく、ドライブの大容量化のために、磁気記録媒体の高記録密度化が進められている。しかしながら、現在広く世の中で使用されている面内磁気記録方式の磁気記録媒体では、高記録密度化を実現しようとすると、記録ビットが微細化し、記録ビットで記録できないほどの高保磁力が要求される。そこで、これらの問題を解決し、記録密度を向上させる手段として垂直磁気記録方式が検討されている。
垂直磁気記録方式とは、垂直磁気記録媒体の磁性膜中の媒体面に対して、磁化容易軸が垂直方向に配向するように形成したものであり、高記録密度に適した方法である。そして、垂直磁気記録方式においては、記録感度を高めた磁気記録膜層と軟磁性膜層とを有する2層記録媒体が開発されている。この磁気記録膜層には一般的にCoCrPt−SiO2系合金が用いられている。
一方、軟磁性膜層には、例えば特開2005−320627号公報(特許文献1)に開示されているように、CoZrNb/Taなどが提案されている。この垂直磁気記録媒体の軟磁性膜層には高い飽和磁束密度、高い非晶質性が求められている。しかしながら、特許文献1におけるCoZrNb/Ta合金は垂直磁気記録媒体の軟磁性膜層に要求される飽和磁束密度と比較すると低いレベルとなってしまう課題がある。
さらに、飽和磁束密度の高い合金を軟磁性膜層として使用する場合、これを成膜するためのターゲット材も高飽和磁束密度となってしまい、マグネトロンスパッタ時の成膜速度を左右するPTF値が低くなってしまう課題もある。ここで、非晶質性とは、合金を急冷凝固あるいはスパッタ成膜した時に非晶質になる容易さを言う。
特開2005−320627号公報
上述したような問題を解決するために、発明者らは鋭意検討した結果、高い飽和磁束密度と高い非晶質性を有する軟磁性層膜用の合金として、Zr、Hf、Nb、TaおよびBの2種以上を含有し、残部CoおよびFe、ならびに不可避的不純物よりなり、0.60≦Fe/(Fe+Co)≦0.65(at.%比)、および5at%≦(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2≦10at%を満足することよりなる合金が優れていることを見出した。
その発明の要旨とするところは、
(1)Zr、Hf、Nb、TaおよびBの2種以上を含有し、残部CoおよびFe、ならびに不可避的不純物よりなり、下記式1および式2を満足し、相対密度99%以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層用合金ターゲット材にある。
0.60≦Fe/(Fe+Co)≦0.65(at.%比) … (1)
5at%≦(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2≦10at% … (2)
ただし、B:7%以下とする。
(1)Zr、Hf、Nb、TaおよびBの2種以上を含有し、残部CoおよびFe、ならびに不可避的不純物よりなり、下記式1および式2を満足し、相対密度99%以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層用合金ターゲット材にある。
0.60≦Fe/(Fe+Co)≦0.65(at.%比) … (1)
5at%≦(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2≦10at% … (2)
ただし、B:7%以下とする。
以上述べたように、飽和磁束密度、非晶質性および耐候性に優れた垂直磁気記録媒体用軟磁性合金においてマグネトロンスパッタ時に効率良く使用できるターゲット材を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
先ず、本発明に係る垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層用合金ターゲット材の組成としての限定理由について述べる。
Fe/(Fe+Co):0.60〜0.65(at.%比)
Fe/(Fe+Co)は、飽和磁束密度、非晶質性および耐候性に大きく影響するパラメータであり、0.60から0.65の範囲においては、Feの割合を高くするにしたがって飽和磁束密度は向上する。しかし、0.65を超えると飽和磁束密度の向上が飽和し、耐食性の大幅な劣化が見られる。また、Fe/(Fe+Co)が0.60未満では充分な飽和磁束密度が得られないことから、その範囲を0.60〜0.65とした。
先ず、本発明に係る垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層用合金ターゲット材の組成としての限定理由について述べる。
Fe/(Fe+Co):0.60〜0.65(at.%比)
Fe/(Fe+Co)は、飽和磁束密度、非晶質性および耐候性に大きく影響するパラメータであり、0.60から0.65の範囲においては、Feの割合を高くするにしたがって飽和磁束密度は向上する。しかし、0.65を超えると飽和磁束密度の向上が飽和し、耐食性の大幅な劣化が見られる。また、Fe/(Fe+Co)が0.60未満では充分な飽和磁束密度が得られないことから、その範囲を0.60〜0.65とした。
(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2:5〜10at%
Zr,Hf,Nb,Ta,BはFe,Coに対して、いずれも共晶系の状態図を持ち、アモルファス相を形成させる元素である。また、共晶組成におけるこれらの元素の濃度はBを除いて、8〜13at%程度であり、Bのみ20at%弱である。したがって、Zr,Hf,Nb,TaとB/2の合計量で扱うことができる。(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2が5%未満では共晶質性が充分でなく、10%を超えると共晶質性が飽和し、飽和磁束密度が低下してしまう。また、Bが7%を超えると耐食性が劣化する。したがって、その範囲を5〜10%、Bは7%以下とする。
Zr,Hf,Nb,Ta,BはFe,Coに対して、いずれも共晶系の状態図を持ち、アモルファス相を形成させる元素である。また、共晶組成におけるこれらの元素の濃度はBを除いて、8〜13at%程度であり、Bのみ20at%弱である。したがって、Zr,Hf,Nb,TaとB/2の合計量で扱うことができる。(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2が5%未満では共晶質性が充分でなく、10%を超えると共晶質性が飽和し、飽和磁束密度が低下してしまう。また、Bが7%を超えると耐食性が劣化する。したがって、その範囲を5〜10%、Bは7%以下とする。
次に、ターゲット材の固化成形条件について述べる。
固化成形条件について、800〜1250℃、100〜1000MPaで固化成形する。800℃未満、もしくは100MPa未満で固化成形すると、相対密度が低くなってしまう。また、1250℃を超えると一部溶融し、凝固ポアが発生してしまう。さらに、1000MPaを超える固化成形は工業的に困難である。したがって、その範囲を800〜1250℃、100〜1000MPaとした。しかも、保持時間を2〜6時間とすることにより、相対密度を99%以上とすることができる。
固化成形条件について、800〜1250℃、100〜1000MPaで固化成形する。800℃未満、もしくは100MPa未満で固化成形すると、相対密度が低くなってしまう。また、1250℃を超えると一部溶融し、凝固ポアが発生してしまう。さらに、1000MPaを超える固化成形は工業的に困難である。したがって、その範囲を800〜1250℃、100〜1000MPaとした。しかも、保持時間を2〜6時間とすることにより、相対密度を99%以上とすることができる。
通常、垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層は、その成分と同じ成分のスパッタリングターゲット材をスパッタし、ガラス基板などの上に成膜し得られる。ここで、スパッタにより成膜された薄膜は急冷されている。これに対し、本発明では、以下に述べる実施例または比較例の供試材として、単ロール式の液体急冷装置にて作製した急冷薄帯を用いている。これは実際にスパッタにより急冷され成膜された薄膜の成分による諸特性への影響を簡易的に液体急冷薄帯により評価したものである。
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
表1の成分に秤量した原料30gを径10×40mm程度の水冷銅ハースにて減圧Ar中でアーク溶解し、急冷薄帯の溶解母材とした。急冷薄帯の作製条件は単ロール方式で、径15mmの石英管中にこの溶解母材にセットし、出湯ノズル径を1mmとし、雰囲気圧61kPa、噴霧差圧69kPa、銅ロール(径300mm)の回転数3000rpm、銅ロールと出湯ノズルのギャップ0.3mmにて出湯した。出湯温度は各溶解母材の溶融直後とした。このようにして作製した急冷薄帯を供試材とし、以下の項目を評価した。
表1の成分に秤量した原料30gを径10×40mm程度の水冷銅ハースにて減圧Ar中でアーク溶解し、急冷薄帯の溶解母材とした。急冷薄帯の作製条件は単ロール方式で、径15mmの石英管中にこの溶解母材にセットし、出湯ノズル径を1mmとし、雰囲気圧61kPa、噴霧差圧69kPa、銅ロール(径300mm)の回転数3000rpm、銅ロールと出湯ノズルのギャップ0.3mmにて出湯した。出湯温度は各溶解母材の溶融直後とした。このようにして作製した急冷薄帯を供試材とし、以下の項目を評価した。
急冷薄帯の飽和磁束密度の評価として、VSM装置(振動試料型磁力計)にて、印加磁場1200kA/mで測定、供試材の重量は15mg程度とする。また、急冷薄帯の非晶質性の評価は以下の通り。通常、非晶質材料のX線回折パターンを測定すると、回折ピークが見られず、非晶質特有のハローパターンとなる。また、完全な非晶質でない場合は、回折ピークは見られるものの、結晶材料と比較してピーク高さが低くなり、半値幅(回折ピークの1/2高さの幅)の大きいブロードなピークとなる。この半値幅は、材料の非晶質性と相関があり、非晶質性が高いほど回折ピークは、よりブロードとなり半値幅が大きくなる特徴がある。
そこで、次の方法にて非晶質性を評価した。
ガラスペレットに両面テープで供試材を貼り付け、X線回折装置にて回折パターンを得た。このとき、測定面は急冷薄帯の銅ロール接触面となるように供試材をガラスペレットに貼り付けた。X線源はCu−kα線で、スキャンスピード4°/minで測定した。この回折パターンのメインピークの1/2高さの幅を画像解析し、半値幅を求め、非晶質性の評価とした。
ガラスペレットに両面テープで供試材を貼り付け、X線回折装置にて回折パターンを得た。このとき、測定面は急冷薄帯の銅ロール接触面となるように供試材をガラスペレットに貼り付けた。X線源はCu−kα線で、スキャンスピード4°/minで測定した。この回折パターンのメインピークの1/2高さの幅を画像解析し、半値幅を求め、非晶質性の評価とした。
Fe/(Fe+Co)=0.65(実施例No.2)および0.70(比較例No.4)については、ガラスペレットに急冷薄帯を両面テープで貼り付けた試料にて、別途、塩水噴霧試験(5%NaCl−35℃−16h)を実施したところ、0.65(実施例No.2)の急冷薄帯は一部発銹に留まったが、0.70(比較例No.4)の急冷薄帯は全面発銹しており、Fe/(Fe+Co)が0.65超では飽和磁束密度アップの効果が見られず、耐食性の劣化が見られた。さらに、Fe/(Fe+Co)=0.65の組成をB=8%とした組成(比較例No.8)の急冷薄帯を作製し、上記と同様に塩水噴霧試験を実施したところ、急冷薄帯は全面発銹した。
表1は急冷薄帯の場合で、比較例No.3はFe/(Fe+Co)の値が0.15と低いために、飽和磁束密度が低い。比較例No.4はFe/(Fe+Co)の値が0.70と高いために、上述したように耐食性が劣る。比較例No.5は(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2の値が4と低いために半値幅が小さい。比較例No.6は(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2の値が高いために飽和磁束密度が低い。比較例No.7はAl,Crの添加量が高いために飽和磁束密度が低い。比較例No.8はBが高いために、上述したように耐食性に劣る。このように、本発明における合金は急冷された状態において、飽和磁束密度、非晶質性、耐食性に優れている。
以下、原料粉末およびターゲット材の作製条件について述べる。
(1)原料粉末作製:ガスアトマイズ法
ガス種:Ar、ノズル径:径6mm、ガス圧:5MPa
(2)分級:−500μm
(3)真空封入
封入缶材質:SC、缶の内寸法:径200mm×100mmL、到達真空度:0.1Pa以下
(1)原料粉末作製:ガスアトマイズ法
ガス種:Ar、ノズル径:径6mm、ガス圧:5MPa
(2)分級:−500μm
(3)真空封入
封入缶材質:SC、缶の内寸法:径200mm×100mmL、到達真空度:0.1Pa以下
(4)成形工法
(イ)HIP(熱間静水圧プレス)
加熱温度:1000〜1300℃、圧力:80〜150MPa、保持時間:5hr
(ロ)アップセット
加熱温度:750〜1000℃、圧力:450〜1000MPa
(5)機械加工
ワイヤカット・旋盤加工・平面研磨により最終形状:径180mm×7mmtに加工
(イ)HIP(熱間静水圧プレス)
加熱温度:1000〜1300℃、圧力:80〜150MPa、保持時間:5hr
(ロ)アップセット
加熱温度:750〜1000℃、圧力:450〜1000MPa
(5)機械加工
ワイヤカット・旋盤加工・平面研磨により最終形状:径180mm×7mmtに加工
・原料粉末の飽和磁束密度評価
VSM装置(振動試料型磁力計)にて、印加磁場:1200kA/mで測定、供試材の重量は200mg程度。
VSM装置(振動試料型磁力計)にて、印加磁場:1200kA/mで測定、供試材の重量は200mg程度。
・ターゲット材の相対密度評価
密度の測定方法は体積重量法(加工したターゲット材の寸法、重量を測定し、重量/体積にて算出)で、また、相対密度(計算密度に対する実測密度の割合)を算出し、99%以上のものを得た。
密度の測定方法は体積重量法(加工したターゲット材の寸法、重量を測定し、重量/体積にて算出)で、また、相対密度(計算密度に対する実測密度の割合)を算出し、99%以上のものを得た。
以上のように、いずれのターゲット材も相対密度が99%以上であって、かつ飽和磁束密度、非晶質性および耐候性に優れた垂直磁気記録媒体用軟磁性合金でのターゲット材を提供することができた。
特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊
特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊
Claims (1)
- Zr、Hf、Nb、TaおよびBの2種以上を含有し、残部CoおよびFe、ならびに不可避的不純物よりなり、下記式1および式2を満足し、相対密度99%以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層用合金ターゲット材。
0.60≦Fe/(Fe+Co)≦0.65(at.%比) … (1)
5at%≦(Zr+Hf+Nb+Ta)+B/2≦10at% … (2)
ただし、B:7%以下とする。
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---|---|---|---|---|
JP2004346423A (ja) * | 2003-04-30 | 2004-12-09 | Hitachi Metals Ltd | Fe−Co−B系合金ターゲット材、その製造方法、軟磁性膜および磁気記録媒体ならびにTMR素子 |
JP2006265653A (ja) * | 2005-03-24 | 2006-10-05 | Hitachi Metals Ltd | Fe−Co基合金ターゲット材およびその製造方法 |
JP2009068100A (ja) * | 2007-09-18 | 2009-04-02 | Sanyo Special Steel Co Ltd | 垂直磁気記録媒体における軟磁性膜層用合金およびターゲット材 |
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