JP2020135907A - 垂直磁気記録媒体の軟磁性層形成用スパッタリングターゲット、並びに、垂直磁気記録媒体及びその軟磁性層 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐割れ性を有し且つ室温から高温までのBsの低下幅が抑えられた垂直磁気記録媒体の軟磁性層及び軟磁性層形成用スパッタリングターゲットを提供する。【解決手段】軟磁性層は、Ti,Zr,Hf,Y,Nb,Ta,Cr,Mo,W及びBからなる第1の群より選択される元素を1種又は2種以上含有し、原子番号が57〜71のランタノイドに属する元素を1種又は2種以上含有し、Ru,Ni,Cu,Ge,Sn及びGaからなる第2の群より選択される元素を1種又は2種以上含有し、残部がCo及び/又はFe並びに不可避的不純物からなり、(1)TM1<25at.%、(2)1at.%≦TLA≦13at.%、(3)1at.%≦TM2≦13at.%、を満たす。但し、TM1は第1の群の元素の含有量(Bの含有量のみ1/2倍)の合計、TLAはランタノイドに属する元素の含有量の合計、TM2は第2の群の元素の含有量の合計。【選択図】なし
Description
本発明は、垂直磁気記録媒体の軟磁性層形成用スパッタリングターゲット、並びに、垂直磁気記録媒体及びその軟磁性層に関する。
従来、ハードディスクドライブの磁気記録の高密度化を実現する技術として、垂直磁気記録方式が採用されている。垂直磁気記録方式で情報を記憶する垂直磁気記録媒体は、一般に、ガラスなどの非磁性基板上に、軟磁性裏打ち層(以下、単に「軟磁性層」と称する)、非磁性中間層、記録信号を保持する磁気記録層、及び、カーボン保護層が順次積層された多層構造を有する。
軟磁性層の材料には、一般に、高い飽和磁束密度(以下、Bsと記す)と非晶質性とを有するCo−Fe系合金が用いられる。垂直磁気記録媒体の用途や使用環境によっては、軟磁性層が、高耐食性、高硬度などの様々な付加的特性を有することがある。例えば、特許文献1の軟磁性層は、Feの添加によりBsが高められ、Bの添加により硬度が高められている。また、特許文献2の軟磁性層は、Y,Ta,Nb,Tiの添加により耐候性が改善されている。
近年では、垂直磁気記録媒体へ従来よりも低い磁束での書き込みが可能となったことから、軟磁性層の高Bsの重要性が薄れている。そのため、軟磁性層の材料として比較的低Bsの非晶質合金が検討されている。低Bsの非晶質合金からなる軟磁性層を有する垂直磁気記録媒体では、軟磁性膜中の記録磁化が周囲に与える磁気的な影響が抑えられる。これにより、記録情報一つあたりの表面積が低減可能であり、垂直磁気記録媒体の記録密度の向上に寄与することができる。
しかし、上記のような低Bsの非晶質合金からなる軟磁性層を有する垂直磁気記録媒体では、ハードディスクドライブが曝される高温(例えば、70〜150℃程度)環境下でのBsの低下が著しく、軟磁性層が裏打ち層としての機能を十分に果たせない。このような課題に対し、特許文献3において、本願の発明者らは、ランタノイドに属する元素が添加された軟磁性層用合金は、室温で同等のBsを有する合金と比較して室温から150℃までのBsの低下幅が著しく小さくなることを見出し、垂直磁気記録媒体における軟磁性層用(Co,Fe)−ランタノイド系合金を提案した。
ところが、特許文献3の軟磁性層用(Co,Fe)−ランタノイド系合金は、主成分であるCo,Feとランタノイドとが容易に金属間化合物を生成することから、この合金と同じ組成を有するスパッタリングターゲットが脆くなるおそれがあり、耐割れ性の観点から改善の余地が残されている。
そこで本発明では、耐割れ性を有し、且つ、室温からそれより高温までのBsの低下幅が抑えられた垂直磁気記録媒体の軟磁性層形成用スパッタリングターゲット、軟磁性層、及び、この軟磁性層を有する垂直磁気記録媒体を提供する。
本発明の一態様に係る垂直磁気記録媒体の軟磁性層形成用スパッタリングターゲットは、
Ti,Zr,Hf,Y,Nb,Ta,Cr,Mo,W及びBからなる第1の群より選択される元素を1種または2種以上含有し、原子番号が57〜71のランタノイドに属する元素を1種または2種以上含有し、Ru,Ni,Cu,Ge,Sn及びGaからなる第2の群より選択される元素を1種または2種以上含有し、残部がCo及び/又はFe並びに不可避的不純物からなり、下記の式(1)〜(3)を全て満たすことを特徴とする。
(1)TM1<25at.%
(2)1at.%≦TLA≦13at.%
(3)1at.%≦TM2≦13at.%
但し、TM1はTi+Zr+Hf+Y+V+Nb+Ta+Cr+Mo+W+B/2の含有量の合計[at.%]、TLAは原子番号57〜71のランタノイドに属する元素の含有量の合計[at.%]、TM2はRu+Ni+Cu+Ge+Sn+Gaの含有量の合計[at.%]。
Ti,Zr,Hf,Y,Nb,Ta,Cr,Mo,W及びBからなる第1の群より選択される元素を1種または2種以上含有し、原子番号が57〜71のランタノイドに属する元素を1種または2種以上含有し、Ru,Ni,Cu,Ge,Sn及びGaからなる第2の群より選択される元素を1種または2種以上含有し、残部がCo及び/又はFe並びに不可避的不純物からなり、下記の式(1)〜(3)を全て満たすことを特徴とする。
(1)TM1<25at.%
(2)1at.%≦TLA≦13at.%
(3)1at.%≦TM2≦13at.%
但し、TM1はTi+Zr+Hf+Y+V+Nb+Ta+Cr+Mo+W+B/2の含有量の合計[at.%]、TLAは原子番号57〜71のランタノイドに属する元素の含有量の合計[at.%]、TM2はRu+Ni+Cu+Ge+Sn+Gaの含有量の合計[at.%]。
また、本発明の一態様に係る垂直磁気記録媒体の軟磁性層は、
Ti,Zr,Hf,Y,Nb,Ta,Cr,Mo,W及びBからなる第1の群より選択される元素を1種または2種以上含有し、原子番号が57〜71のランタノイドに属する元素を1種または2種以上含有し、Ru,Ni,Cu,Ge,Sn及びGaからなる第2の群より選択される元素を1種または2種以上含有し、残部がCo及び/又はFe及び不可避的不純物からなり、下記の式(1)〜(3)を全て満たすことを特徴とする。
(1)TM1<25at.%
(2)1at.%≦TLA≦13at.%
(3)1at.%≦TM2≦13at.%
但し、TM1はTi+Zr+Hf+Y+V+Nb+Ta+Cr+Mo+W+B/2の含有量の合計[at.%]、TLAは原子番号57〜71のランタノイドに属する元素の含有量の合計[at.%]、TM2はRu+Ni+Cu+Ge+Sn+Gaの含有量の合計[at.%]。
Ti,Zr,Hf,Y,Nb,Ta,Cr,Mo,W及びBからなる第1の群より選択される元素を1種または2種以上含有し、原子番号が57〜71のランタノイドに属する元素を1種または2種以上含有し、Ru,Ni,Cu,Ge,Sn及びGaからなる第2の群より選択される元素を1種または2種以上含有し、残部がCo及び/又はFe及び不可避的不純物からなり、下記の式(1)〜(3)を全て満たすことを特徴とする。
(1)TM1<25at.%
(2)1at.%≦TLA≦13at.%
(3)1at.%≦TM2≦13at.%
但し、TM1はTi+Zr+Hf+Y+V+Nb+Ta+Cr+Mo+W+B/2の含有量の合計[at.%]、TLAは原子番号57〜71のランタノイドに属する元素の含有量の合計[at.%]、TM2はRu+Ni+Cu+Ge+Sn+Gaの含有量の合計[at.%]。
また、本発明の一態様に係る垂直磁気記録媒体は、上記の軟磁性層を有することを特徴とする。
本発明によれば、耐割れ性を有し、且つ、室温からそれより高温までのBsの低下幅が抑えられた垂直磁気記録媒体の軟磁性層形成用スパッタリングターゲット、軟磁性層、及び、この軟磁性層を有する垂直磁気記録媒体を提供することができる。
本発明に係る垂直磁気記録媒体の軟磁性層は、軟磁性層形成用Co−Fe系合金(以下、単に「Co−Fe系合金」と称する)からなる。このCo−Fe系合金は、
Ti,Zr,Hf,Y,Nb,Ta,Cr,Mo,W及びBからなる第1の群(以下、「M1群」と称する)より選択される元素を1種または2種以上含有し、
原子番号が57〜71のランタノイドに属する元素を1種または2種以上含有し、
Ru,Ni,Cu,Ge,Sn及びGaからなる第2の群(以下、「M2群」と称する)より選択される元素を1種または2種以上含有し、
残部がCo及び/又はFe、並びに不可避的不純物からなる。
そして、上記Co−Fe系合金は、下記の式(1)〜(3)を全て満たす。
(1)TM1<25at.%
(2)1at.%≦TLA≦13at.%
(3)1at.%≦TM2≦13at.%
但し、上記の式(1)〜(3)において、TM1はTi+Zr+Hf+Y+V+Nb+Ta+Cr+Mo+W+B/2の含有量の合計[at.%]、TLAは原子番号57〜71のランタノイドに属する元素の含有量の合計[at.%]、TM2はRu+Ni+Cu+Ge+Sn+Gaの含有量の合計[at.%]である。
Ti,Zr,Hf,Y,Nb,Ta,Cr,Mo,W及びBからなる第1の群(以下、「M1群」と称する)より選択される元素を1種または2種以上含有し、
原子番号が57〜71のランタノイドに属する元素を1種または2種以上含有し、
Ru,Ni,Cu,Ge,Sn及びGaからなる第2の群(以下、「M2群」と称する)より選択される元素を1種または2種以上含有し、
残部がCo及び/又はFe、並びに不可避的不純物からなる。
そして、上記Co−Fe系合金は、下記の式(1)〜(3)を全て満たす。
(1)TM1<25at.%
(2)1at.%≦TLA≦13at.%
(3)1at.%≦TM2≦13at.%
但し、上記の式(1)〜(3)において、TM1はTi+Zr+Hf+Y+V+Nb+Ta+Cr+Mo+W+B/2の含有量の合計[at.%]、TLAは原子番号57〜71のランタノイドに属する元素の含有量の合計[at.%]、TM2はRu+Ni+Cu+Ge+Sn+Gaの含有量の合計[at.%]である。
本発明に係る垂直磁気記録媒体は、上記Co−Fe系合金からなる軟磁性層を有する。また、本発明に係る垂直磁気記録媒体の軟磁性層形成用スパッタリングターゲットは、上記Co−Fe系合金からなる。
Co−Fe系合金において、Feの含有量[at.%]とFeとCoを合計した含有量[at.%]との比をRとする。式で示せば、R=Fe[at.%]/(Co[at.%]+Fe[at.%])である。垂直磁気記録媒体の軟磁性層形成用材料として、Rが0以上0.90以下のものが一般的に使用されており、Rが0.30以上0.65以下のものがより広く一般的に使用されている。Rがこの範囲にあるCo−Fe合金は、飽和磁化が大きく、垂直磁気記録媒体の軟磁性層形成用材料として好適である。但し、本発明に係る垂直磁気記録媒体の軟磁性層においては、Rの値は特に限定されない。
M1群、即ち、Ti,Zr,Hf,Y,Nb,Ta,Cr,Mo,W及びBからなる群に属する元素は、Co−Fe系合金において、室温での飽和磁束密度(以下、Bsと記す)を低下させるとともに、非晶質促進効果を有する。なお、「室温」とは、外部系から加熱も冷却もしていない状態のことを示し、概ね1〜30℃の範囲の温度と規定される。Co−Fe系合金のM1群の元素の含有量の合計をTM1[at.%]とする。式で示せば、TM1=Ti+Zr+Hf+Y+V+Nb+Ta+Cr+Mo+W+B/2である。なお、TM1中のBの含有量のみ1/2倍してからTM1に加えられる。ここでB/2としたのは、Bは他の元素に比べ効果が半分しかないためである。TM1が25at.%を超えると、室温におけるBsが過度に低く、Co−Fe系合金からなる薄膜が垂直磁気記録媒体の軟磁性層に要求される特性を満たさない。このような観点から、TM1は0at.%より大きく25at.%未満、好ましくは23at.%以下、更に好ましくは20at.%以下である。
原子番号が57〜71のランタノイドに属する元素とは、La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luを指す。Co−Fe系合金において、ランタノイドに属する元素は、室温でのBsを低下させ、室温より高温でのBsの低下を抑制するための必須元素であるとともに、非晶質促進効果も有する。
ランタノイドに属する元素を含むCo−Fe系合金は、ランタノイドに属する元素を含まない室温で同等のBsを有する合金と比較して、室温からそれより高温までのBsの低下幅が著しく小さいことが、発明者らによって確認されている。Bsの温度特性には交換積分(Je)が影響すると考えられており、結晶質金属の場合、原理は不明ながら3d電子軌道と原子間距離によりJeは変化する可能性が示唆されている(いわゆるベーテ・スレーター曲線)。ここで、ランタノイドに属する元素は、結晶における原子半径が1.73〜1.99×10-10と、他の元素に対し著しく大きい。そのため、ランタノイドに属する元素を添加した非晶質合金は平均の原子間距離が広がると考えられ、これにより結晶質合金における原子間距離増加によるJe増大と同じような効果が現れ、Bsの高温特性が改善されると推察される。
Co−Fe系合金のランタノイドに属する元素の含有量の合計をTLA[at.%]とする。TLAが1at.%未満であれば、室温よりも高い温度(例えば、70〜150℃程度)でのBsの抑制効果が不十分である。TLAが13at.%を超えれば、CoFe相が失われて室温におけるBsが過度に低くなり、Co−Fe系合金からなる薄膜が垂直磁気記録媒体の軟磁性層に要求される特性を満たさない。このような観点から、TLAは、1at%以上13at.%以下、好ましくは2at%以上12at.%以下、更に好ましくは3at%以上8at.%以下である。
M2群、即ち、Ru,Ni,Cu,Ge,Sn及びGaからなる群に属する元素は、Co,Feに対し優先的にランタノイドと化合物を生成する。これにより、Co−Fe系合金において、Co,Feとランタノイドとの金属間化合物の生成が抑制される。その結果、Co−Fe系合金からなるスパッタリングターゲットの靭性の低下が抑制され、当該スパッタリングターゲットに耐割れ性が付与される。Co−Fe系合金のM2群の元素の含有量の合計をTM2[at.%]とする。式で示せば、TM2=Ru+Ni+Cu+Ge+Sn+Gaである。Co−Fe系合金のM2群の元素の含有量は、ランタノイドに属する元素の含有量と対応させることがよい。このような観点から、TM2は、1at%以上13at.%以下、好ましくは2at%以上12at.%以下、更に好ましくは3at%以上8at.%以下である。
垂直磁気記録媒体における軟磁性層は、上述したCo−Fe系合金を、例えば、基板上に物理蒸着法によって成膜することによって形成できる。物理蒸着法の中でも、特に、上述したCo−Fe系合金と同一組成のスパッタリングターゲットを使用してスパッタリング成膜することが望ましい。
また、上記のスパッタリングターゲットの製造方法としては、溶解鋳造法や粉末焼結法が適用可能である。溶解鋳造法では、上述したCo−Fe系合金の組成の鋳造インゴット、又は、鋳造インゴットに塑性加工や加圧加工を加えたバルク体として、スパッタリングターゲットを製造する。また、粉末焼結法では、上述したCo−Fe系合金の組成の合金粉末をガスアトマイズ法で製造した原料粉末、又は、複数の合金粉末や純金属粉末を上述したCo−Fe系合金の組成となるように混合した原料粉末を、焼結することでスパッタリングターゲットを製造する。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされる。但し、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
〔試験A〕
本発明に係る垂直磁気記録媒体の軟磁性層の、室温(30℃)におけるBsと、室温よりも高温(150℃)におけるBs低下幅とを評価するために、以下の試験Aを行った。
本発明に係る垂直磁気記録媒体の軟磁性層の、室温(30℃)におけるBsと、室温よりも高温(150℃)におけるBs低下幅とを評価するために、以下の試験Aを行った。
前述の通り、垂直磁気記録媒体の軟磁性層を形成する軟磁性膜は、その成分と同じ組成のスパッタリングターゲットを使用して基板上にスパッタリング成膜することが望ましい。試験Aでは、基板上にスパッタリング成膜されたのち急冷された軟磁性膜の成分による諸特性への影響を簡易的に評価するために、単ロール式の液体急冷装置にて作製した急冷薄帯を試料とした。
急冷薄帯は、以下の条件で作製した。所定の成分に秤量した原料30gを直径が10mmで深さが40mm程度の水冷銅鋳型にて減圧Ar中でアーク溶解し、急冷薄帯の溶解母材とした。この溶解母材を単ロール式の液体急冷装置の石英管に充填し、出湯ノズルから銅ロールへ出湯し、急冷薄帯を作製した。単ロール式の液体急冷装置は、石英管の直径が15mm、出湯ノズルの直径が1mm、雰囲気圧が61kPa、噴霧差圧が69kPa、銅ロール(直径300mm)の回転数が3000rpm、及び、銅ロールと出湯ノズルのギャップが0.3mmの条件に設定された。出湯温度は特に限定せず、出湯するタイミングは各溶解母材が完全に溶け落ちた直後とした。このようにして作製した急冷薄帯を試料とし、室温でのBsと、室温から高温までのBs低下幅を評価した。
試験Aでは、VSM装置(振動試料型磁力計)を用いて、印加磁場を1200kA/mとして、急冷薄帯の30℃(室温)及び150℃(高温)のBsを測定した。この測定結果を用いて、急冷薄帯の室温でのBsと、急冷薄帯の室温から高温までのBs低下幅とを評価した。急冷薄帯の室温でのBsは、0.5[T]以上を良とした。また、室温から高温までのBsの低下幅は、30℃でのBsに対する150℃でのBsの百分率(以下、「Bs比」と称する)により評価した。つまり、Bs比=(150℃でのBs)/(30℃でのBs)×100%とした。このBs比が100に近いほど、30℃から150℃におけるBsの低下幅が小さいことを示す。
表1及び表2は、試験Aで得られた、様々な元素を添加した急冷薄帯の諸特性を示す。表1のNo.1〜12は本発明の実施例であり、表2のNo.13〜17は比較例である。表2中の下線部は本発明範囲外を示す。
表1に示すように、No.1〜12の実施例の急冷薄帯では、室温でのBsは0.5[T]以上であり、良好な結果が得られた。一方、表2に示すように、No.14,16,17の比較例の急冷薄帯では、室温でのBsは0.5[T]未満となり、室温でのBsが不十分であった。その原因として、No.14の比較例では、ランタノイドに属する元素の含有量が過剰であり、No.16の比較例では、M2群に属する元素の含有量が過剰であり、No.17の比較例では、M1群に属する元素の含有量が過剰であったことが推定される。
表1に示すように、No.1〜12の実施例の急冷薄帯では、Bs比は90以上であり、室温から高温までのBsの低下幅は十分に小さかった。一方、表2に示すように、No.13の比較例の急冷薄帯では、Bs比は90未満であり、室温から高温までのBsの低下幅は実施例と比較して大きく、高温特性が不十分であった。その原因として、No.13の比較例では、ランタノイドに属する元素の含有量が過少であったことが推定される。
〔試験B〕
本発明に係るスパッタリングターゲットの機械加工性を評価するために、以下の試験Bを行った。
本発明に係るスパッタリングターゲットの機械加工性を評価するために、以下の試験Bを行った。
試験Bの試料であるスパッタリングターゲットは、次のように作製した。所定の成分に秤量した5kgの母材を耐火物坩堝中で、減圧したAr雰囲気の下で誘導溶解した後、凝固させた。坩堝のサイズは、直径120mm、高さ150mmであった。このインゴットの下部から、旋盤加工、ワイヤーカット加工、平面研磨加工にて、直径95mm、厚さ2mmのスパッタリングターゲットを作製した。
試験Bでは、上記の機械加工時における、欠けや割れの発生によりスパッタリングターゲットの機械加工性を評価した。試験Bの結果を、表1及び表2に併せて示す。なお、試験Bの試料の組成は、前述の試験AのNo.1〜12の実施例、及び、No.13〜16は比較例と同じである。
表1に示すように、No.1〜12の実施例のスパッタリングターゲットは、機械加工時に割れが発生せず、良好な耐割れ性を有していた。一方、表2に示すように、No.15,16の比較例のスパッタリングターゲットでは、機械加工における割れが発生し、耐割れ性が不十分であった。この原因として、No.15の比較例では、M2群に属する元素の含有量が過少であり、No.16の比較例では、M2群に属する元素の含有量が過剰であったことが推定される。
以上の試験A及び試験Bの結果から、本発明に係る垂直磁気記録媒体の軟磁性層、及び、本発明に係る垂直磁気記録媒体の軟磁性層形成用スパッタリングターゲットは、耐割れ性を有し、且つ、室温からそれよりも高温(150℃)までのBsの低下幅が抑えられていることが明らかとなった。
Claims (3)
- Ti,Zr,Hf,Y,Nb,Ta,Cr,Mo,W及びBからなる第1の群より選択される元素を1種または2種以上含有し、原子番号が57〜71のランタノイドに属する元素を1種または2種以上含有し、Ru,Ni,Cu,Ge,Sn及びGaからなる第2の群より選択される元素を1種または2種以上含有し、残部がCo及び/又はFeならびに不可避的不純物からなり、下記の式(1)〜(3)を全て満たすことを特徴とする、
垂直磁気記録媒体の軟磁性層形成用スパッタリングターゲット。
(1)TM1<25at.%
(2)1at.%≦TLA≦13at.%
(3)1at.%≦TM2≦13at.%
但し、TM1はTi+Zr+Hf+Y+V+Nb+Ta+Cr+Mo+W+B/2の含有量の合計[at.%]、TLAは原子番号57〜71のランタノイドに属する元素の含有量の合計[at.%]、TM2はRu+Ni+Cu+Ge+Sn+Gaの含有量の合計[at.%]。 - Ti,Zr,Hf,Y,Nb,Ta,Cr,Mo,W及びBからなる第1の群より選択される元素を1種または2種以上含有し、原子番号が57〜71のランタノイドに属する元素を1種または2種以上含有し、Ru,Ni,Cu,Ge,Sn及びGaからなる第2の群より選択される元素を1種または2種以上含有し、残部がCo及び/又はFeならびに不可避的不純物からなり、下記の式(1)〜(3)を全て満たすことを特徴とする、
垂直磁気記録媒体の軟磁性層。
(1)TM1<25at.%
(2)1at.%≦TLA≦13at.%
(3)1at.%≦TM2≦13at.%
但し、TM1はTi+Zr+Hf+Y+V+Nb+Ta+Cr+Mo+W+B/2の含有量の合計[at.%]、TLAは原子番号57〜71のランタノイドに属する元素の含有量の合計[at.%]、TM2はRu+Ni+Cu+Ge+Sn+Gaの含有量の合計[at.%]。 - 請求項2に記載の軟磁性層を有することを特徴とする、垂直磁気記録媒体。
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