JP2016094651A - 軟磁性合金および磁性部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】Pを含まない場合にあってもアモルファスマトリックス中に均質なサイズのα-Fe結晶粒子が析出した組織となる、軟磁性合金を提供する。
【解決手段】非晶質組織を有する、組成式:Fe100-a-b-c-dSiabcCudの合金において、at%で、1%≦a≦3%、9%≦b≦14%、1%≦c≦4%、0.3%≦d≦1.5%および80%≦100-a-b-c-d≦86%とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、モーターの磁芯やノイズ対策部品などの磁性部品に供する軟磁性合金およびこの軟磁性合金からなる磁性部品に関する。
磁気特性に優れた軟磁性材料として非晶質相を有する合金、中でもFe基ナノ結晶合金が知られている。このFe基ナノ結晶合金は、正の磁歪を示すアモルファスマトリックス中に、負の磁歪を示す、5〜30nm径のα-Fe結晶がランダムに析出した組織からなる。そのため、磁気的異方性がなく、且つ磁歪も小さくなることから軟磁気特性に優れている。
従前のナノ結晶合金は、低損失なトランスやチョークコイル、あるいは磁気シールドといった磁性部品が主であったため、使用形態としては薄帯状が殆どであった。これは、ナノ結晶合金がアモルファス合金を経て作製されることから、アモルファス合金の代表的な製造方法である単ロール法や双ロール法で得られる形態が薄帯であることも一因にある。
一方で、近年では粉末形態のナノ結晶合金のニーズが高まっている。例えば、自動車の電動化も相まって、低損失なモーターの開発が進められている中、磁心である軟磁性材料の低損失化も求められており、磁気損失の低いナノ結晶合金の適用が期待されている。現状、モーター磁心は珪素鋼板の積層体が使用されているが、近年は形状自由度の高い圧粉磁心の適用も増えつつある。
ここで、代表的なFe基ナノ結晶合金としては、特許文献1に開示された、Fe-Si-B-Nb-Cuの合金が知られている。このFe基ナノ結晶合金は、磁性を担うFe濃度が少ない上に、Feの磁気モーメントを大きく低下させる遷移元素であるNbが含まれていることから、飽和磁束密度が低いところに改善の余地があった。
そのため、Fe濃度が高く且つFeの磁気モーメントを大きく低下させる遷移元素を含まない、Fe基ナノ結晶として、Fe-Si-B-Cu(特許文献2参照)やFe-Si-B-P-Cu(特許文献3参照)の合金が開示されている。
特開平1−156451号公報 特開2007-107095号公報 特開2010-70852号公報
一般的に、Fe濃度が高くなるほど、また、アモルファス化を促進させる半金属元素の添加種類が少なくなるほど急冷アモルファス合金を得ることが難しくなる。また、薄帯を製造する単ロール法や双ロール法に比べて、粉末を製造するアトマイズ法は液体急冷速度が小さいためにアモルファス化が難しくなる。従って、上記した特許文献2に記載された、Fe-Si-B-Cu合金は、Fe濃度が80at%を超えかつ半金属元素種が少ないため、特にアモルファス粉末の製造が困難である。さらに、軟磁気特性に優れたナノ結晶合金を得るには、均質なサイズのナノ結晶粒子を析出させる必要があるが、上記のFe-Si-B-Cu合金では、均質なサイズのナノ結晶粒子を得ることまでは保証されていない。
一方、上記した特許文献3に記載されたFe-Si-B-P-Cuは、3種類の半金属元素が添加されているため、Fe濃度が80at%を超えてもアモルファス粉末の製造が可能である。しかしながら、この合金にはPが含まれている点、改善に余地があった。すなわち、Pは溶解時に原料に起因する残物が溶解炉壁に付着し、炉材を損傷することが問題になっている。
上述のとおり、軟磁性合金、特にFe基ナノ結晶合金において、Pを含まない材料系が望まれていることから、本発明の目的は、Pを含まない場合にあってもアモルファスマトリックス中に均質なサイズのα-Fe結晶粒子が析出した組織となる、軟磁性合金を提供することにある。
本発明者が鋭意研究を行なった結果、Fe濃度が80at%を超えてもアモルファス粉末の製造が可能であり、且つ、Pを含まない合金組成として、Fe-Si-B-CuにCを添加することによって、析出するα-Fe結晶粒が均質なサイズのナノ結晶合金が得られることを新規に見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.非晶質組織を有する、組成式:Fe100-a-b-c-dSiabcCudの合金であって、
該組成式において、at%で、
1%≦a≦3%、
9%≦b≦14%、
1%≦c≦4%、
0.3%≦d≦1.5%および
80%≦100-a-b-c-d≦86%
であることを特徴とする軟磁性合金。
2.前記1に記載の軟磁性合金において、Feの3at%以下を、Al,Ti,V,Cr,Mn,Zn,Zr,Nb,Mo,Ag,In,Sn,Sb,Hf,Ta,WおよびBiから選ばれる少なくとも1種以上の元素に置換してなる軟磁性合金。
3.前記1または2に記載の軟磁性合金において、Feの5at%以下を、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素に置換してなる軟磁性合金。
4.前記1から3のいずれかに記載の軟磁性合金において、前記非晶質組織は、非晶質のマトリックスに平均粒径が5〜30nmのα-Fe結晶粒が析出したものである軟磁性合金。
5.前記4に記載の軟磁性合金において、前記非晶質組織中α-Fe結晶粒の比が50体積%以上である軟磁性合金。
6.前記1から5のいずれかに記載の軟磁性合金において、薄帯または粉末の形状を有する軟磁性合金。
7.前記1から6のいずれかに記載の軟磁性合金からなる磁性部品。
本発明によれば、Pを含まない成分系にあってもアモルファスマトリックス中にα-Fe結晶が析出した組織を有する、軟磁気特性と量産性に優れた軟磁性合金およびそれを用いた磁性部品を提供することができる。
アモルファス急冷薄帯のDSCプロファイルを示す図である。
本発明の軟磁性合金は、非晶質組織を有する、組成式:Fe100-a-b-c-dSiabcCudの合金組成物であり、該組成式において、at%で、1%≦a≦3%、9%≦b≦14%、1%≦c≦4%、0.3%≦d≦1.5%および80%≦100-a-b-c-d≦86%であることを特徴とする。以下に、各成分の限定理由を詳しく説明する。
Feは、磁性を担う主元素である。高い飽和磁束密度を得るためには、Fe濃度を80at%以上とする必要がある。また、α-Feのナノ結晶化を促進させる観点からも、Fe濃度は80at%以上とする。一方、Fe濃度が高くなりすぎると、液体急冷時におけるアモルファス相の形成が困難になる。そのため、現状の製造可能なFe濃度の上限は86at%である。
Siは、アモルファス相の形成を担う元素である。適切なSi濃度は1〜7at%である。また、Siは、アモルファス相における化合物生成開始温度を高くすることによって、α-Fe析出温度との差である後述のΔTを大きくし、ナノ結晶の析出を安定化するのにも寄与する。そのためには、Si濃度を上記した範囲とする。
Bは、アモルファス相の形成を担う元素である。本発明では、CおよびSiと組合わせて用いることによって、アモルファス形成能を高めることができる。そのための適切なB濃度は9〜14at%であり、この範囲を超えるとアモルファス形成能が低下する。好ましくは、10at%以上13at%以下である。
Cは、アモルファス相の形成およびナノ結晶の均質化の促進を担う元素である。本発明では、SiおよびBと組合わせて用いることによってアモルファス形成能を高め、さらにCuと組合わせて用いることによってナノ結晶の均質化を促進する。適切なC濃度は1〜3at%であり、この範囲を外れるとアモルファス形成能の促進およびナノ結晶の均質化が不十分になる。好ましくは、2at%以上3at%以下である。
Cuは、α-Feのナノ結晶化に寄与する元素である。適切なCu濃度は0.3〜1.5at%であり、0.3at%未満ではα-Feのナノ結晶化が困難になる。一方、Cuが1.5at%よりも多くなると、アモルファス形成能の低下やナノ結晶化を阻害するばかりか、合金の脆化も進み、塑性加工性を低下させてしまう。好ましくは、0.6at%以上1.2at%以下である。
上記のとおり、本発明は、Fe,Si,B,CおよびCuを組み合わせて、遷移元素を用いることなしに、軟磁気特性に優れた高濃度Feのナノ結晶合金を得ることができる。但し、適用する状況に応じて、これら以外の元素も適宜含むことができる。
すなわち、Feをその5at%を上限として、CoおよびNiから選ばれた少なくとも1種で置換することが可能である。更には、FeをCoおよびNiの少なくとも1種で置換する、或いは置換しないに関わらず、Feの3at%以下をAl,Ti,V,Cr,Mn,Zn,Zr,Nb,Mo,Ag,In,Sn,Sb,Hf,Ta,WおよびBiから選ばれた少なくとも1種の元素で置換することもできる。
ここで、上記の成分を添加する場合に、本発明では、高い磁束密度を得るために、CoおよびNiの少なくとも1種または、Al,Ti,V,Cr,Mn,Zn,Zr,Nb,Mo,Ag,In,Sn,Sb,Hf,Ta,WおよびBiから選ばれた少なくとも1種の元素の添加総量に上限を設けているが、高い飽和磁束密度を要求しない場合は上記よりも添加量を増やすことができる。
さらに、非晶質組織として、非晶質のマトリックスに平均粒径が5〜30nmのα-Fe結晶粒が析出したものであることが好ましい。なぜなら、平均粒径が5nm未満α-Fe結晶粒が混在すると、互いの結晶粒に作用する交換相互作用が弱まるため、軟磁気特性の向上が期待できない。一方、平均粒径が30nm超のα-Fe結晶粒が混在すると、結晶粒の不均質さによる磁気的な異方性が高まり、軟磁気特性が低下する。
ここで、α-Fe結晶粒の平均粒径は、X線回折によってb.c.c.構造であるα-Feの最強ピークの半価幅から、シェーラー式によって算出することができ、具体的には、粒径分布のあるサンプルのX線回折ピークを用いて算出したものを平均粒径とする。
さらに、前記α-Fe結晶粒は50体積%以上であることが好ましい。なぜなら、α-Fe結晶粒の析出度が50体積%未満と低いと、α-Fe結晶粒相互の間隔が狭くならないため、α-Fe結晶粒に作用する磁気の交換相互作用が弱まる。また、正の磁歪を有する非晶質相に、負の磁歪を有するα-Feの析出による磁歪の低減効果が期待できないため、軟磁気特性の向上が期待できない。一方、上限は、90体積%とすることが好ましい。α-Fe結晶粒の析出度が低いと、非晶質相の体積率が少なくなって、磁気的な等方性の効果が小さくなるため、軟磁気特性が低下する。加えて、ナノ結晶体の脆化が進むために加工性が低下し、ナノ結晶体を用いた磁性部品の適用範囲も狭くなる。
本発明おける軟磁性合金は、アモルファス合金として代表的である薄帯形状のみならず、粉末形状など様々な形態に適用可能である。薄帯形状の合金は単ロール法や双ロール法のような、従来のアモルファス合金を作製する装置と同様のものが使用できる。また、粉末形状の合金はアトマイズ法によって作製してもよいし、薄帯を粉砕することで作製してもよい。
次に、上記の成分組成に加えてナノ結晶化するための製造条件について述べる。
ナノ結晶合金は、はじめにアモルファスベースの前駆体を作製した後に、熱処理によって5〜30nmのサイズからなるα-Fe結晶粒を全体で50体積%以上析出させることが好ましい。したがって、初めにアモルファス状の合金物を作製する。その後、酸化を防止するために、不活性雰囲気下にて熱処理を行うことによってナノ結晶体を得る。この際の熱処理条件を以下に説明する。
本発明のアモルファス状の合金を非酸化雰囲気で加熱すると、初めに過飽和なFeがb.c.c構造であるα-Fe粒子として析出する。この際、加熱を適切に行うことによって、5〜30nmの均質なサイズからなるα-Fe粒子が析出することになる。この析出温度をTX1とする。更に加熱を続けると、残存成分からなる化合物(Fe3B)が生成される。この化合物生成温度をTX2とする。ナノ結晶体は、アモルファスベースの前駆体をTX1とTX2との間の温度に加熱することにより、作製することが可能になる。ここで、TX1およびTX2は、アモルファスベースの前駆体について、示差走査熱量分析(DSC)装置を用いて熱分析を行うことによって測定可能である。
ここに、ナノ結晶体となる条件は、DSC測定にて、TX1の発熱ピークの大きさがTX2のそれよりも大きく、且つTX1とTX2の差ΔTが100℃以上であることが目安となる。すなわち、このナノ結晶体となる条件を満たせば、b.c.c構造であるα-Fe粒子が主体のナノ結晶粒子を全体で50体積%以上にて均質に析出させることができる。
この目安に従うことによって、DSC測定結果をもって作製したアモルファスベースの前駆体がナノ結晶体に変質するかどうかの判断ができる。換言すると、上記の目安を満足するように、合金組成の制御を行う。
尚、ナノ結晶体に変質させるための熱処理において、昇温速度は100℃/min以上であることが好ましい。なぜなら、この昇温速度よりも遅い昇温速度であると、ナノ結晶粒子のサイズが不揃いになり、軟磁気特性を劣化させてしまう。昇温速度の上限は、特に限定する必要はないが、加熱むらの防止や装置負荷の観点から、1000℃/minとすることが好ましい。
また、昇温の到達温度範囲は、上記したTX1とTX2との間の温度域にあることが、上記したナノ結晶体とするために必要である。その際の保持時間は、ナノ結晶化のために5〜60minとすることが好ましい。
ここに、上述した特許文献2に記載の合金(Fe81.65Si214C1Cu1.35)と、本発明に従う合金(Fe81.7Si312C13Cu0.3)とについて、上記したDSC装置を用いて熱分析(条件:Ar雰囲気、昇温速度40℃/min)を行った。その結果を、アモルファス急冷薄帯のDSCプロファイルとして図1に示す。
同図に示すように、Fe81.65Si214C1Cu1.35では、α-Feの結晶化に由来するTX1はブロードであり、そのピーク強度は、α-Feの結晶化以後に残存した相の結晶化に由来するTX2の発熱ピークよりも小さい。そのため、ΔTの存在も不明瞭である。TX1のピークがブロードで小さいということは、ナノ結晶化のための核生成が広範囲の温度に渡っており、核生成後に進むα-Fe粒子の析出サイズも不均一になる要因になっている。
一方、Fe81.7Si312C13Cu0.3においては、TX1は鋭く、そのピーク強度もTX2ピークよりも大きく、均質なα-Feの結晶組織となっている。
このようにして得られた本実施の形態によるFe基ナノ結晶合金は優れた軟磁気特性を示し、モーター磁心やノイズ抑制シートなどの磁性部品に適用することができる。
以下に具体的な実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(比較例1〜4、発明例1〜14)
表1に示す組成に従って、Ar雰囲気下の高周波誘導溶解によって母合金を作製した。この母合金を用いて、単ロール法による液体急冷(冷却速度:106℃/s)を行い、幅4〜5mm、厚さ18〜22μmの種々の薄帯を作製した。各急冷薄帯の結晶状態は粉末X線回折にて確認した。また、各急冷薄帯のDSC分析を行い、ナノ結晶体が得られるための条件(TX1の発熱ピークの大きさがTX2のそれよりも大きく、且つTX1とTX2との差ΔTが100℃以上)の見極め、それに基づいて加熱温度を決定した。これらの測定並びに評価を行った後、各急冷薄帯で巻磁心を作製し、それをAr雰囲気下にて上記の条件に従う温度域に加熱(昇温速度200℃/min)してナノ結晶体に変質させた。
得られたナノ結晶体のナノ結晶粒子サイズを、X線回折(XRD)の結果に基づいてシェラーの式に従って算出した。この結晶粒子サイズは、サンプルの平均的な粒径である。また、磁気特性について、振動試料型磁力計にて800kA/mにおける飽和磁束密度を、直流BHトレーサーにて保磁力を、インピーダンスアナライザにて1kHzにおける初透磁率を、それぞれ測定した。
比較例1および2は、アモルファス粉末となったが、比較例1はDSC測定におけるTX1がブロードであり、そのピーク強度はTX2よりも小さく、ΔTの存在も不明瞭であった。比較例2はPを含む組成であるため、溶解炉壁にPの原料に起因する残物が溶解炉壁に付着していた。
比較例3は、Fe濃度が80at%を下回る例であり、アモルファス化が達成できてはいても、熱処理によってナノ結晶体に変質できていない。次に、比較例4はCu濃度が1.5 at%を上回る例であり、急冷薄帯はアモルファス化が達成できていない。また、Fe濃度が86at%を超える比較例5では、(均質な)アモルファス急冷薄帯を得ることができていない。
発明例1〜14は、ナノ結晶体であることがわかる。このナノ結晶体は、XRD測定から、約20nmのα-Fe粒子が均質に析出しているナノ結晶体であることが確認された。また、磁気特性についても、比較例1および2と同等、あるいはそれ以上の優れた軟磁気特性を示している。なお、発明例9〜14はFeの一部を上記で指定している元素で適量置換した急冷薄帯であり、何れもナノ結晶化が達成されている。
Figure 2016094651
(比較例6〜7、発明例15〜18)
水アトマイズ法によって、表2に示す成分組成に従う合金粉末(平均粒径:11〜15μm)を作製した。次いで、各急冷粉末の結晶状態を、粉末X線回折にて確認した。また、各急冷粉末のDSC分析を行い、ナノ結晶体が得られるための条件(TX1の発熱ピークの大きさがTX2のそれよりも大きく、且つTX1とTX2との差ΔTが100℃以上)の見極め、それに基づいて加熱温度を決定し、実際にナノ結晶粉末を作製した。これらの測定並びに評価を行った後、各粉末とエポキシ樹脂(4.4質量%)を混合した後、分級によって500μm以下の造粒粉末を得た。次いで、外径13mmおよび内径8mmの金型を用いて面圧7200kgf/cm2の条件下で造粒粉末を成形し、高さ5mmのトロイダル成形体を作製した。各成形体には、Ar雰囲気下で150℃×2時間の硬化処理を行った後、Ar雰囲気中でナノ結晶化のための熱処理を、表2に示す条件にて施した。この熱処理後の粉末の飽和磁束密度および保磁力を振動試料型磁力計にて800kA/mの磁場にて測定した。また、熱処理した成形体の鉄損を交流BHアナライザーにて300kHz−50mTの励磁条件で測定した。これらの評価、測定結果を、表2に併記する。
比較例6はアモルファス粉末が得られなかった。比較例7ではアモルファス粉末が得られたが、Pを含む組成であるため、溶解炉壁にPの原料に起因する残物が溶解炉壁に付着していた。アモルファス粉末が得られた発明例15〜18は、何れもナノ結晶化が達成され、約20nmのα-Fe粒子が均質に析出していることが、XRD測定から確認できた。また、発明例15〜18のナノ結晶粉末の磁気特性は、比較例7と同等の優れた軟磁気特性を示すとともに、エポキシ樹脂との複合成形体の鉄損も比較例7と同等の値を示した。
Figure 2016094651

Claims (7)

  1. 非晶質組織を有する、組成式:Fe100-a-b-c-dSiabcCudの合金であって、
    該組成式において、at%で、
    1%≦a≦3%、
    9%≦b≦14%、
    1%≦c≦4%、
    0.3%≦d≦1.5%および
    80%≦100-a-b-c-d≦86%
    であることを特徴とする軟磁性合金。
  2. 請求項1に記載の軟磁性合金において、Feの3at%以下を、Al,Ti,V,Cr,Mn,Zn,Zr,Nb,Mo,Ag,In,Sn,Sb,Hf,Ta,WおよびBiから選ばれる少なくとも1種以上の元素に置換してなる軟磁性合金。
  3. 請求項1または2に記載の軟磁性合金において、Feの5at%以下を、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素に置換してなる軟磁性合金。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の軟磁性合金において、前記非晶質組織は、非晶質のマトリックスに平均粒径が5〜30nmのα-Fe結晶粒が析出したものである軟磁性合金。
  5. 請求項4に記載の軟磁性合金において、前記非晶質組織中α-Fe結晶粒の比が50体積%以上である軟磁性合金。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の軟磁性合金において、薄帯または粉末の形状を有する軟磁性合金。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の軟磁性合金からなる磁性部品。
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