JP2016210971A - 樹脂組成物、樹脂シート、樹脂硬化物および樹脂基板 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂シート、樹脂硬化物および樹脂基板 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた熱的特性を得ることが可能な樹脂組成物を提供する。【解決手段】樹脂組成物は、エポキシ化合物と、トリフェニルベンゼン化合物とを含む。このトリフェニルベンゼン化合物は、骨格として1,3,5−トリフェニルベンゼンを含むと共にその骨格の特定の位置に反応基が導入された化合物である。

Description

本発明は、エポキシ化合物を含む樹脂組成物、ならびにその樹脂組成物を用いた樹脂シート、樹脂硬化物および樹脂基板に関する。
自動車などの高温環境用途に、各種の電子部品が広く用いられる傾向にある。このため、電子部品に用いられる樹脂基板の熱的特性に関して、研究および開発が盛んに行われている。
樹脂基板の製造工程では、樹脂組成物をシート状に成形したのち、そのシート状の樹脂組成物(樹脂シート)を硬化反応させる。これにより、樹脂組成物の硬化反応物(樹脂硬化物)を含む樹脂基板が製造される。
この樹脂組成物の組成などに関しては、既にさまざまな提案がなされている。具体的には、優れた熱伝導性を得るために、メソゲン基を有するエポキシ樹脂がモノマーとして用いられている(例えば、特許文献1参照。)。また、高熱伝導性と有機溶剤への溶解性とを両立させるために、エポキシ樹脂として、特定のエポキシ化合物と特定のフェノール化合物との反応物が用いられている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平11−323162号公報 特開2004−002573号公報
樹脂組成物および樹脂基板(樹脂硬化物)のそれぞれの熱的特性を検討する場合には、樹脂基板の熱伝導特性などを考慮するだけでなく、樹脂組成物を用いて樹脂基板を製造するために成形性を考慮することも重要である。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、優れた熱的特性を得ることが可能な樹脂組成物、樹脂シート、樹脂硬化物および樹脂基板を提供することにある。
本発明の樹脂組成物は、エポキシ化合物と、下記の式(1)で表されるトリフェニルベンゼン化合物とを含むものである。
Figure 2016210971
(R1〜R15のそれぞれは、水素基(−H)および反応基のうちのいずれかであり、その反応基は、水酸基(−OH)およびアミノ基(−NH2 )のうちのいずれかである。ただし、R1〜R15のうちの少なくとも1つは、反応基であると共に、R3、R8およびR13のうちの少なくとも1つは、水素基である。)
本発明の樹脂シートは、上記した本発明の樹脂組成物を含むものである。
本発明の樹脂硬化物は、上記した本発明の樹脂組成物の硬化反応物を含むものである。
本発明の樹脂基板は、上記した本発明の樹脂シートの硬化反応物を含むものである。
本発明の樹脂組成物によれば、エポキシ樹脂と共に式(1)に示したトリフェニルベンゼン化合物を含んでいるので、優れた熱的特性を得ることができる。また、本発明の樹脂シート、樹脂硬化物および樹脂基板においても、同様の効果を得ることができる。
本発明の樹脂組成物を用いた樹脂シートの構成を表す断面図である。 本発明の樹脂組成物を用いた樹脂シートの他の構成を表す断面図である。 本発明の樹脂組成物を用いた樹脂シートのさらに他の構成を表す断面図である。 本発明の樹脂硬化物を用いた樹脂基板の構成を表す断面図である。 本発明の樹脂硬化物を用いた樹脂基板の他の構成を表す断面図である。 本発明の樹脂硬化物を用いた樹脂基板のさらに他の構成を表す断面図である。 本発明の樹脂硬化物を用いた樹脂基板のさらに他の構成を表す断面図である。 図7に示した樹脂基板の製造方法を説明するための断面図である。 樹脂組成物の粘度と加熱温度との関係を表す図である。
以下、本発明の一実施形態に関して、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。

1.樹脂組成物
1−1.構成
1−2.製造方法
1−3.作用および効果
2.樹脂シート
2−1.構成
2−2.製造方法
2−3.作用および効果
3.樹脂硬化物
3−1.構成
3−2.製造方法
3−3.作用および効果
4.樹脂基板
4−1.構成
4−2.製造方法
4−3.作用および効果
以下で説明する本発明の一実施形態は、その本発明を説明するための例示である。このため、本発明は、ここで説明する一実施形態だけに限定されない。本発明の一実施形態は、その本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の実施形態に変更可能である。
<1.樹脂組成物>
まず、本発明の一実施形態の樹脂組成物に関して説明する。
樹脂組成物は、後述する樹脂シート、樹脂硬化物および樹脂基板などを製造するために用いられる。ただし、樹脂組成物の用途は、他の用途でもよい。
<1−1.構成>
この樹脂組成物は、エポキシ化合物と、下記の式(1)で表されるトリフェニルベンゼン化合物とを含んでいる。
Figure 2016210971
(R1〜R15のそれぞれは、水素基および反応基のうちのいずれかであり、その反応基は、水酸基およびアミノ基のうちのいずれかである。ただし、R1〜R15のうちの少なくとも1つは、反応基であると共に、R3、R8およびR13のうちの少なくとも1つは、水素基である。)
ここで説明する樹脂組成物は、上記したように、樹脂シートなどの中間生成物を製造すると共に、樹脂基板などの最終生成物(樹脂硬化物)を製造するために用いられる。この「中間生成物」とは、後述するように、樹脂組成物の硬化反応(架橋反応)が実質的に完了していない状態の物質を意味している。また、「最終生成物」とは、後述するように、樹脂組成物の硬化反応が実質的に完了した状態の物質を意味している。
熱硬化性樹脂であるエポキシ化合物は、いわゆる主剤である。一方、エポキシ化合物と一緒に用いられると共に反応基を含むトリフェニルベンゼン化合物は、いわゆる硬化剤である。この硬化剤は、反応基を用いてエポキシ化合物の架橋反応を進行させるために用いられる。
樹脂組成物がエポキシ化合物と共にトリフェニルベンゼン化合物を含んでいるのは、樹脂組成物の成形性を確保しつつ、樹脂硬化物などにおいて高い熱伝導性および高い耐熱性が得られるからである。このような利点が得られる詳細な理由に関しては、後述する。
この樹脂組成物は、粉体状および塊状などの固体状でもよいし、液体状でもよいし、双方が混在する状態でもよい。この樹脂組成物の状態は、用途などに応じて適宜決定される。
なお、エポキシ化合物とトリフェニルベンゼン化合物との混合比は、特に限定されない。ただし、エポキシ基を含むエポキシ化合物と反応基を含むトリフェニルベンゼン化合物とが架橋反応する場合には、一般的に、1つのエポキシ基と反応基中の1つの活性水素とが反応する。よって、エポキシ化合物とトリフェニルベンゼン化合物との反応効率を高くするためには、エポキシ化合物に含まれているエポキシ基の総数とトリフェニルベンゼン化合物に含まれている活性水素の総数とが1:1となるように、混合比を設定することが好ましい。
[エポキシ化合物]
主剤であるエポキシ化合物は、1つの分子の中に1つ以上のエポキシ基(−C3 5 O)を含む化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上である。中でも、エポキシ化合物は、1つの分子の中に2つ以上のエポキシ基を含んでいることが好ましい。エポキシ化合物とトリフェニルベンゼン化合物とが反応しやすくなるからである。
エポキシ化合物の種類は、特に限定されないが、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、環状脂肪族型エポキシ化合物および長鎖脂肪族型エポキシ化合物などである。
グリシジルエーテル型エポキシ化合物は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物およびビスフェノールF型エポキシ化合物などである。ノボラック型エポキシ化合物は、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ化合物およびフェノールノボラック型エポキシ化合物などである。この他、エポキシ化合物の種類は、例えば、難燃性エポキシ化合物、ヒダントイン系エポキシ樹脂およびイソシアヌレート系エポキシ化合物などでもよい。
なお、グリシジルエーテル型エポキシ化合物の具体例は、グリシジルエーテル型の構造(基)を含んでいる化合物であれば、特に限定されない。このように特定の構造を含んでいれば種類が限定されないことは、グリシジルエステル型エポキシ化合物などの他のエポキシ化合物の具体例に関しても同様である。
中でも、エポキシ化合物は、1つの分子の中にメソゲン骨格を含んでいることが好ましい。その理由は、以下の通りである。
第1に、エポキシ化合物の分子同士において、ベンゼン環同士が重なりやすくなるため、そのベンゼン環間の距離が小さくなる。これにより、樹脂組成物では、エポキシ化合物の密度が向上する。また、樹脂硬化物では、分子の格子振動が散乱しにくくなるため、高い熱伝導率が得られる。
特に、上記した分子の格子振動の散乱現象は、熱伝導率を低下させる大きな要因であるため、その分子の格子振動の散乱現象が抑制されることで、熱伝導率の低下が著しく抑制される。
第2に、エポキシ化合物およびトリフェニルベンゼン化合物において、エポキシ化合物のメソゲン骨格に含まれているベンゼン環と、トリフェニルベンゼン化合物の骨格(1,3,5−トリフェニルベンゼン)に含まれているベンゼン環とが重なりやすくなる。よって、上記したエポキシ化合物の分子同士においてベンゼン環同士が重なりやすくなる場合と同様の理由により、高い熱伝導率が得られる。
この「メソゲン骨格」とは、2つ以上の芳香環を含むと共に剛直性および配向性を有する原子団の総称である。具体的には、メソゲン骨格は、例えば、2つ以上のベンゼン環を含むと共にベンゼン環同士が単結合および非単結合のうちのいずれかを介して結合された骨格である。
なお、3つ以上のベンゼン環が結合される場合、その結合の方向性は、特に限定されない。すなわち、3つ以上のベンゼン環は、直線状となるように結合されてもよいし、途中で1回以上折れ曲がるように結合されてもよいし、2つ以上の方向に分岐するように結合されてもよい。
「非単結合」とは、1または2以上の構成元素を含むと共に1または2以上の多重結合を含む2価の基の総称である。具体的には、非単結合は、例えば、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)および水素(H)などの構成元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。また、非単結合は、多重結合として、二重結合および三重結合のうちの一方または双方を含んでいる。
メソゲン骨格は、ベンゼン環同士の結合の種類として、単結合だけを含んでいてもよいし、非単結合だけを含んでいてもよいし、単結合および非単結合の双方を含んでいてもよい。また、非単結合の種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。
非単結合の具体例は、下記の式(2−1)〜式(2−10)のそれぞれで表される結合などである。なお、式(2−6)および式(2−10)のそれぞれに示した矢印は、配位結合を表している。
Figure 2016210971
メソゲン骨格の具体例は、ビフェニルおよびターフェニルなどである。なお、ターフェニルは、o−ターフェニルでもよいし、m−ターフェニルでもよいし、p−ターフェニルでもよい。
[トリフェニルベンゼン化合物]
硬化剤であるトリフェニルベンゼン化合物は、骨格(1,3,5−トリフェニルベンゼン)と反応基とを含む化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上である。すなわち、トリフェニルベンゼン化合物では、1つの分子の中に骨格として1,3,5−トリフェニルベンゼンが含まれていると共に、その骨格に反応基が導入されている。
この骨格(1,3,5−トリフェニルベンゼン)は、中心に位置する1つのベンゼン環(中心ベンゼン環)と、その中心ベンゼン環の周囲に位置する3つのベンゼン環(周辺ベンゼン環)とを含んでいる。
以下では、R1〜R5が導入されている周辺ベンゼン環を「第1周辺ベンゼン環」、R6〜R10が導入されている周辺ベンゼン環を「第2周辺ベンゼン環」、R11〜R15が導入されている周辺ベンゼン環を「第3周辺ベンゼン環」とする。
R1〜R15のそれぞれの種類は、水素基および反応基のうちのいずれかであれば、特に限定されない。すなわち、R1〜R15のそれぞれは、水素基でもよいし、反応基でもよい。
この反応基は、水酸基およびアミノ基のうちのいずれかである。すなわち、トリフェニルベンゼン化合物は、反応基として、水酸基だけを含んでいてもよいし、アミノ基だけを含んでいてもよいし、水酸基およびアミノ基の双方を含んでいてもよい。
ただし、R1〜R15の種類に関しては、以下の2つの条件が満たされている。
第1条件として、R1〜R15のうちの1つ以上は、反応基である。すなわち、トリフェニルベンゼン化合物は、1つの分子の中に、1つ以上の反応基を含んでいる。この反応基の数は、1つでもよいし、2つでもよいし、3つ以上でもよい。このため、R1〜R15の全てが水素基である1,3,5−トリフェニルベンゼンなどは、ここで説明するトリフェニルベンゼン化合物から除かれる。中でも、R1〜R15のうちの2つ以上は、反応基であることが好ましい。エポキシ化合物とトリフェニルベンゼン化合物とが反応しやすくなるからである。
第2条件として、R3、R8およびR13のうちの1つ以上は、水素基である。すなわち、R3、R8およびR13に着目すると、そのR3、R8およびR13のそれぞれが水素基であるか反応基であるかは、3つの態様に分類される。第1の態様では、R3、R8およびR13の全てが水素基である。第2態様では、R3、R8およびR13のうちの1つが水素基であると共に、残りの2つが反応基である。第3態様では、R3、R8およびR13のうちの2つが水素基であると共に、残りの1つが反応基である。このため、R3、R8およびR13の全てが反応基であると共にそれ以外の全てが水素基である化合物などは、ここで説明するトリフェニルベンゼン化合物から除かれる。
この2つの条件が満たされていれば、第1〜第3周辺ベンゼン環のそれぞれにおける反応基の数および導入位置などは、特に限定されない。
ここで、上記した2つの条件が満たされているのは、その2つの条件が満たされていない場合と比較して、反応基(反応点)の数および位置が適正化されるからである。これにより、エポキシ化合物とトリフェニルベンゼン化合物との反応時において架橋密度が確保されるため、樹脂硬化物のガラス転移点が上昇すると共に、その樹脂硬化物の熱伝導率が高くなる。しかも、広い温度範囲において樹脂組成物の溶融粘度が低くなるため、その樹脂組成物の使用時において広い温度範囲において流動性が確保される。
なお、上記した2つの条件が満たされていない場合とは、例えば、以下の場合などである。第1条件は満たされているが、第2条件は満たされていない場合である。第1条件は満たされていないが、第2条件は満たされている場合である。第1および第2条件の双方が満たされていない場合である。
中でも、R1〜R15の種類に関しては、さらに、以下の3つの条件のうちの1つまたは2つ以上が満たされていることが好ましい。
第3条件として、R1〜R5のうちの1つ以上は反応基であり、R6〜R10のうちの1つ以上は反応基であり、R11〜R15のうちの1つ以上は反応基であることが好ましい。この場合における反応基の総数は、3つ以上になる。反応基の総数が多くても、その反応基の導入位置が第1〜第3周辺ベンゼン環のそれぞれに分散されるため、エポキシ化合物とトリフェニルベンゼン化合物とが反応しやすくなるからである。
この場合において、R1〜R5のうちの1つ以上が反応基であれば、その1つ以上の反応基が第1周辺ベンゼン環に導入される位置は、特に限定されない。このように、反応基の数が1つ以上である場合において、その1つ以上の反応基の導入位置が限定されないことは、第2周辺ベンゼン環に導入される1つ以上の反応基の位置に関しても同様であると共に、第3周辺ベンゼン環に導入される1つ以上の反応基の位置に関しても同様である。
第4条件として、R1〜R5のうちの1つは反応基であり、R6〜R10のうちの1つは反応基であり、R11〜R15のうちの1つは反応基であることが好ましい。この場合における反応基の総数は、3つになる。反応基の総数が3つでも、その反応基の導入位置が第1〜第3周辺ベンゼン環のそれぞれに分散されるため、エポキシ化合物とトリフェニルベンゼン化合物とが反応しやすくなるからである。
この場合において、R1〜R5のうちの1つが反応基であれば、その1つの反応基が第1周辺ベンゼン環に導入される位置は、特に限定されない。このように、反応基の数が1つである場合において、その1つの反応基の導入位置が限定されないことは、第2周辺ベンゼン環に導入される1つの反応基の位置に関しても同様であると共に、第3周辺ベンゼン環に導入される1つの反応基の位置に関しても同様である。
第5条件として、反応基の種類は、水酸基だけであるか、アミノ基だけであることが好ましい。トリフェニルベンゼン化合物を容易に合成しやすいからである。
トリフェニルベンゼン化合物の具体例は、下記の式(1−1)〜式(1−6)のそれぞれで表される化合物などである。これらの一連の化合物は、上記した第1〜第5条件を満たしている。
Figure 2016210971
式(1−1)〜式(1−3)のそれぞれに示した化合物は、反応基として水酸基だけを含んでおり、いずれの化合物においても、水酸基の総数は3つである。式(1−4)〜式(1−6)のそれぞれに示した化合物は、反応基としてアミノ基だけを含んでおり、いずれの化合物においても、アミノ基の総数は3つである。
[他の材料]
この樹脂組成物は、上記したエポキシ化合物およびトリフェニルベンゼン化合物と共に、他の材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。
他の材料の種類は、特に限定されないが、例えば、添加剤、溶媒、他の硬化剤および無機粒子などである
添加剤は、例えば、硬化触媒およびカップリング剤などである。硬化触媒の具体例は、ホスフィン、イミダゾールおよびそれらの誘導体などであり、そのイミダゾールの誘導体は、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどである。カップリング剤の具体例は、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤などである。
溶媒は、液体状の樹脂組成物において、エポキシ化合物およびトリフェニルベンゼン化合物を分散または溶解させるために用いられる。この溶媒は、有機溶剤などのうちのいずれか1種類または2種類以上であり、その有機溶剤の具体例は、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、キシレン、アセトン、1,3−ジオキソラン、N−メチルピロリドンおよびγ−ブチロラクトンなどである。
他の硬化剤は、骨格として1,3,5−トリフェニルベンゼンを含んでいないが、1つ以上の反応基を含んでいる化合物である。この他の硬化剤の具体例は、フェノール、アミンおよび酸無水物などである。
無機粒子は、粒子状の無機材料のうちのいずれか1種類または2種類以上である。この無機粒子の具体例は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al2 3 )および窒化ホウ素(BN)などである。
<1−2.製造方法>
この樹脂組成物は、例えば、以下の手順により製造される。
固体状の樹脂組成物を得る場合には、エポキシ化合物と、トリフェニルベンゼン化合物とを混合する。塊状などのエポキシ化合物を用いる場合には、混合前にエポキシ化合物を粉砕してもよい。このように混合前に粉砕してもよいことは、トリフェニルベンゼン化合物に関しても同様である。これにより、エポキシ化合物とトリフェニルベンゼン化合物とを含む固体状の樹脂組成物が得られる。
なお、固体状の樹脂組成物を得たのち、必要に応じて、金型などを用いて樹脂組成物を成形してもよい。
液体状の樹脂組成物を得る場合には、上記したエポキシ化合物とトリフェニルベンゼン化合物との混合物に溶媒を加えたのち、ミキサなどの撹拌装置を用いて溶媒を撹拌する。これにより、溶媒中にエポキシ化合物およびトリフェニルベンゼン化合物が分散または溶解される。よって、エポキシ化合物とトリフェニルベンゼン化合物とを含む液体状の樹脂組成物が得られる。
この他、液体状の樹脂組成物を得る場合には、固体状の樹脂組成物を加熱して、その樹脂組成物を溶融させてよい。この場合には、必要に応じて、金型などを用いて樹脂組成物の溶融物を成形したのち、その溶融物を冷却してもよい。
なお、エポキシ化合物としては、粉体状および塊状などの固体状の化合物を用いてもよいし、液体状の化合物を用いてもよいし、双方を併用してもよい。同様に、トリフェニルベンゼン化合物などの硬化剤としては、粉体状および塊状などの固体状の化合物を用いてもよいし、液体状の化合物を用いてもよいし、双方を併用してもよい。ここで説明したことは、上記した他の材料に関しても同様である。
<1−3.作用および効果>
この樹脂組成物によれば、エポキシ化合物と共に式(1)に示したトリフェニルベンゼン化合物を含んでいる。この場合には、上記したように、樹脂組成物がトリフェニルベンゼン化合物を含んでいない場合と比較して、エポキシ化合物とトリフェニルベンゼン化合物との反応時において架橋密度が確保されるため、樹脂硬化物のガラス転移点が上昇すると共に、その樹脂硬化物の熱伝導率が高くなる。しかも、広い温度範囲において樹脂組成物の溶融粘度が低くなるため、その樹脂組成物の使用時において広い温度範囲において流動性が確保される。よって、優れた熱的特性を得ることができる。
なお、樹脂組成物が式(1)に示したトリフェニルベンゼン化合物を含んでいない場合とは、例えば、樹脂組成物が他の化合物を含んでいる場合である。この他の化合物は、例えば、下記の式(3−1)および式(3−2)のそれぞれで表される化合物などである。
Figure 2016210971
式(3−1)に示した化合物は、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼンである。この化合物では、式(1)に示したR3,R8,R13がいずれも反応基(水酸基)であると共に、それ以外の全てが水素基である。このため、上記した第1および第2条件のうち、第1条件は満たされているが、第2条件は満たされていない。
式(3−2)に示した化合物は、1,3,5−トリス(4−アミノフェニル)ベンゼンである。この化合物では、式(1)に示したR3,R8,R13がいずれも反応基(アミノ基)であると共に、それ以外の全てが水素基である。このため、上記した第1および第2条件のうち、第1条件は満たされているが、第2条件は満たされていない。
特に、樹脂組成物では、式(1)において、R1〜R5のうちの1つ以上が反応基であり、R6〜R10のうちの1つ以上が反応基であり、R11〜R15のうちの1つ以上が反応基であれば、エポキシ化合物とトリフェニルベンゼン化合物とが反応しやすくなるため、より高い効果を得ることができる。
また、R1〜R5のうちの1つが反応基であり、R6〜R10のうちの1つが反応基であり、R11〜R15のうちの1つが反応基であれば、エポキシ化合物とトリフェニルベンゼン化合物とがより反応しやすくなるため、さらに高い効果を得ることができる。
また、反応基の種類が水酸基またはアミノ基のいずれかだけであれば、トリフェニルベンゼン化合物を容易に合成しやすいため、より高い効果を得ることができる。
また、トリフェニルベンゼン化合物が式(1−1)〜式(1−6)のそれぞれに示した化合物であれば、第1〜第5条件が満たされるため、より高い効果を得ることができる。
<2.樹脂シート>
次に、本発明の一実施形態の樹脂シートに関して説明する。以下では、既に説明した樹脂組成物を「本発明の樹脂組成物」という。
樹脂シートは、本発明の樹脂組成物を含んでいる。この樹脂シートの構成は、本発明の樹脂組成物を含んでいれば、特に限定されない。すなわち、樹脂シートは、樹脂組成物と一緒に他の構成要素を備えていなくてもよいし、その樹脂組成物と一緒に他の構成要素を備えていてもよい。
<2−1.構成>
図1は、樹脂シート10の断面構成を表している。この樹脂シート10は、シート状に成形された樹脂組成物(樹脂組成物層1)であり、より具体的には、1つの樹脂組成物層1からなる単層体である。樹脂シート10の厚さなどは、特に限定されない。樹脂組成物層1の構成は、シート状に成形されていることを除き、本発明の樹脂組成物の構成と同様である。
図2は、樹脂シート20の断面構成を表している。この樹脂シート20は、複数の樹脂組成物層1が積層された積層体である。樹脂シート20において、樹脂組成物層1が積層される数(積層数)は、2層以上であれば、特に限定されない。図2では、例えば、樹脂組成物層1の積層数が3層である場合を示している。なお、樹脂シート20において、各樹脂組成物層1の構成は、特に限定されない。すなわち、各樹脂組成物層1における樹脂組成物の構成は、同じでもよいし、異なってもよい。もちろん、複数の樹脂組成物層1のうち、一部の樹脂組成物層1における樹脂組成物の構成が同じでもよい。
図3は、樹脂シート30の断面構成を表している。この樹脂シート30は、シート状に成形された樹脂組成物(樹脂組成物層1)と一緒に芯材2を備えており、例えば、2つの樹脂組成物層1により芯材2が挟まれた3層構造を有している。
芯材2は、例えば、繊維状物質および非繊維状物質などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、シート状に成形されている。繊維状物質は、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、天然繊維および合成繊維などであり、シート状に成形された繊維状物質は、例えば、織布および不織布などである。合成繊維の具体例は、ポリエステル繊維およびポリアミド繊維などである。非繊維状物質は、例えば、高分子化合物などであり、シート状に成形された非繊維状物質は、例えば、高分子フィルムなどである。高分子化合物の具体例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などである。
芯材2の厚さは、特に限定されないが、機械的強度および寸法安定性などの観点から、例えば、0.03mm〜0.2mmであることが好ましい。
なお、樹脂シート30に用いられる樹脂組成物層1は、1層だけでもよいし、2層以上でもよい。このように1層でも2層以上でもよいことは、芯材2に関しても同様である。
また、樹脂シート30は、2つの樹脂組成物層1により芯材2が挟まれた3層構造に限らず、樹脂組成物層1と芯材2とが積層された2層構造を有していてもよい。なお、2つ以上の樹脂シート30が積層されていてもよい。
<2−2.製造方法>
樹脂シート10を製造する場合には、例えば、本発明の樹脂組成物の製造方法と同様の手順を用いる。
具体的には、固体状の樹脂組成物を用いる場合には、シート状となるように樹脂組成物を成形して、樹脂組成物層1を形成する。この場合には、固体状の樹脂組成物をそのまま成形してもよいし、固体状の樹脂組成物の溶融物を成形してもよい。溶融物を成形する場合には、まず、固体状の樹脂組成物を加熱して、その樹脂組成物を溶融させる。続いて、樹脂組成物の溶融物を成形したのち、その成形物を冷却する。
液体状の樹脂組成物を用いる場合には、高分子フィルムなどの支持体の表面に液体状の樹脂組成物を塗布したのち、その液体状の樹脂組成物を乾燥させる。これにより、液体状の樹脂組成物に含まれていた溶媒が揮発するため、支持体の表面において樹脂組成物がシート状に成形される。すなわち、支持体の表面において樹脂組成物が膜化する。よって、樹脂組成物層1が形成される。こののち、支持体から樹脂組成物層1を剥離する。
樹脂シート20を製造する場合には、上記した樹脂組成物層1の形成手順を繰り返して、複数の樹脂組成物層1を積層させる。この場合には、複数の樹脂組成物層1が積層された積層体を形成したのち、必要に応じて加熱しながら、積層体を加圧してもよい。これにより、樹脂組成物層1同士が密着する。
3層構造を有する樹脂シート30を製造する場合には、例えば、液体状の樹脂組成物を芯材2の両面に塗布したのち、その液体状の樹脂組成物を乾燥させる。これにより、芯材2を挟むように2つの樹脂組成物層1が形成される。この液体状の樹脂組成物の塗布工程では、芯材2が繊維状物質を含んでいる場合には、その液体状の樹脂組成物により芯材2の表面が被覆されると共に、その液体状の樹脂組成物の一部が芯材2の内部に含浸する。または、芯材2が非繊維状物質を含んでいる場合には、その液体状の樹脂組成物により芯材2の表面が被覆される。
もちろん、2層構造を有する樹脂シート30を製造する場合には、液体状の樹脂組成物を芯材2の片面だけに塗布すればよい。
なお、樹脂シート30を製造する場合には、例えば、固体状の樹脂組成物を加熱して、その樹脂組成物を溶融させたのち、その溶融物中に芯材2を浸漬させてもよい。この場合には、溶融物中から芯材2を取り出したのち、その芯材2を冷却する。これにより、芯材2の両面に樹脂組成物層1が形成される。
ここで、樹脂シート10,20,30を製造するために液体状の樹脂組成物を用いる場合には、上記したように、乾燥工程において液体状の樹脂組成物が膜化(固体化)する。ただし、ここで説明する「膜化(固体化)」とは、流動性を有する状態(液体状態)の物質が自立可能な状態(固体状態)に変化することを意味しており、いわゆる半硬化状態も含む。すなわち、液体状の樹脂組成物が膜化する場合には、硬化反応が実質的に完了していないため、その樹脂組成物が実質的に未硬化の状態にある。このため、液体状の樹脂組成物を膜化させる際の乾燥条件は、硬化反応を実質的に完了させない条件であることが好ましい。具体的には、乾燥温度は60℃〜150℃であると共に乾燥時間は1分間〜120分間であることが好ましく、乾燥温度は70℃〜120℃であると共に乾燥時間は3分間〜90分間であることがより好ましい。
このように硬化反応を実質的に完了させない条件が好ましいことは、樹脂シート10,20,30を製造するために固体状の樹脂組成物の溶融物を用いる場合に関しても同様である。すなわち、固体状の樹脂組成物を溶融させる際の加熱条件(加熱温度および加熱時間)は、硬化反応を実質的に完了させない条件であることが好ましい。
<2−3.作用および効果>
この樹脂シートによれば、上記した本発明の樹脂組成物を含んでいるので、その樹脂組成物と同様の理由により、優れた熱的特性を得ることができる。これ以外の作用および効果は、本発明の樹脂組成物と同様である。
<3.樹脂硬化物>
次に、本発明の一実施形態の樹脂硬化物に関して説明する。
<3−1.構成>
樹脂硬化物は、上記した本発明の樹脂組成物の硬化反応物を含んでおり、より具体的には、エポキシ化合物とトリフェニルベンゼン化合物との硬化反応物を含んでいる。この硬化反応物では、エポキシ化合物に含まれているエポキシ基と、トリフェニルベンゼン化合物に含まれている反応基とが架橋反応しているため、いわゆる架橋ネットワークが形成されている。
なお、樹脂硬化物の形状は、特に限定されない。具体的には、樹脂硬化物は、所望の形状となるように成型されていてもよし、成型されていなくてもよい。
また、樹脂硬化物の物性は、特に限定されない。具体的には、樹脂硬化物は、外力に応じて変形しにくい性質(剛性)を有していてもよいし、外力に応じて変形しやすい性質(可撓性または柔軟性)を有していてもよい。
<3−2.製造方法>
この樹脂硬化物を製造する場合には、樹脂組成物を加熱する。これにより、樹脂組成物が硬化反応するため、硬化反応物である樹脂硬化物が得られる。
加熱温度および加熱時間などの加熱条件は、特に限定されないが、上記した樹脂シートの製造方法とは異なり、硬化反応を実質的に進行させる条件であることが好ましい。
<3−3.作用および効果>
この樹脂硬化物によれば、上記した本発明の樹脂組成物の硬化反応物を含んでいるので、その樹脂組成物と同様の理由により、優れた熱的特性を得ることができる。これ以外の作用および効果は、本発明の樹脂組成物と同様である。
<4.樹脂基板>
次に、本発明の一実施形態の樹脂基板に関して説明する。以下では、既に説明した樹脂シートを「本発明の樹脂シート」、樹脂硬化物を「本発明の樹脂硬化物」とそれぞれ呼称する。
樹脂基板は、上記した本発明の樹脂硬化物の適用例の1つであり、その本発明の樹脂硬化物を含んでいる。ここで説明する樹脂基板は、例えば、本発明の樹脂シートの硬化反応物を含んでおり、その樹脂基板の構成は、本発明の樹脂シートの硬化反応物を含んでいれば、特に限定されない。
なお、樹脂硬化物の物性に関して説明したこと(剛性の有無)は、樹脂基板の物性に関しても同様である。
すなわち、樹脂基板に関する剛性の有無は限定されないため、その樹脂基板は、剛性を有していてもよいし、可撓性または柔軟性を有していてもよい。このため、ここで説明する樹脂基板には、例えば、樹脂シートの硬化反応物であれば、剛性を有する硬化反応物だけでなく、可撓性または柔軟性を有する硬化反応物も含まれる。この可撓性または柔軟性を有する硬化反応物は、例えば、シート状の接着剤である接着テープなどである。
また、樹脂基板が含んでいる樹脂シートの硬化反応物の数は、特に限定されない。すなわち、樹脂シートの硬化反応物の数は、1つだけでもよいし、2つ以上でもよい。なお、樹脂シートの硬化反応物の数が2つ以上である場合、その2つ以上の樹脂シートの硬化反応物は、積層されていてもよい。
<4−1.構成>
図4は、樹脂基板40の断面構成を表している。この樹脂基板40は、図1に示した樹脂シート10の硬化反応物である。すなわち、樹脂基板40は、樹脂組成物層1の硬化反応物(樹脂硬化物層3)であり、より具体的には、1つの樹脂硬化物層3からなる単層体である。
図5は、樹脂基板50の断面構成を表している。この樹脂基板50は、図2に示した樹脂シート20の硬化反応物であり、より具体的には、複数の樹脂組成物層1の硬化反応物(樹脂硬化物層3)が積層された積層体である。樹脂硬化物層3が積層される数(積層数)は、2層以上であれば、特に限定されない。図5では、例えば、樹脂硬化物層3の積層数が3層である場合を示している。
図6は、樹脂基板60の断面構成を表している。この樹脂基板60は、図3に示した樹脂シート30の硬化反応物であり、より具体的には、2つの樹脂硬化物層3により1つの芯材2が挟まれた3層構造を有している。
図7は、樹脂基板70の断面構成を表している。この樹脂基板70では、2つ以上の樹脂シート30の硬化反応物が積層されている。ここでは、例えば、3つの樹脂シート30の硬化反応物が積層されている。すなわち、2つの樹脂硬化物層3により1つの芯材2が挟まれた3層構造が形成されており、その3層構造が3段重ねられている。
なお、上記した3層構造が重ねられる数(段数)は、3段に限らず、2段でもよいし、4段以上でもよい。この段数は、樹脂基板70の厚さおよび強度などの条件に基づいて適宜設定可能である。
ここでは図示していないが、樹脂基板70は、金属層を備えていてもよい。この金属層は、例えば、最上層の樹脂硬化物層3の表面に設けられると共に、最下層の樹脂硬化物層3の表面に設けられる。
金属層は、例えば、銅、ニッケルおよびアルミニウムなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。また、金属層は、例えば、金属箔および金属板などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、単層でもよいし、多層でもよい。金属層の厚さは、特に限定されないが、例えば、3μm〜150μmである。この金属層を備えた樹脂基板70は、いわゆる金属張り基板である。
なお、金属層は、最上層の樹脂硬化物層3の表面だけに設けられてもよいし、最下層の樹脂硬化物層3の表面だけに設けられてもよい。
この金属層を備えた樹脂基板70には、必要に応じて、エッチング処理および穴開け処理などの各種処理のうちのいずれか1種類または2種類以上が施されていてもよい。この場合には、樹脂基板70と、上記した各種処理が施された金属層と、樹脂シート10,20,30のうちのいずれか1種類または2種類以上とを重ねることで、多層基板としてもよい。
このように、金属層を設けてもよいと共に、多層基板としてもよいことは、樹脂基板70に限らず、上記した樹脂基板40,50,60に関しても同様である。
<4−2.製造方法>
樹脂基板40を製造する場合には、樹脂シート10を加熱する。これにより、上記したように、樹脂組成物層1中において樹脂組成物の硬化反応が実質的に完了するため、図4に示したように、樹脂組成物層1の硬化反応物である樹脂硬化物層3が形成される。
樹脂基板50を製造する場合には、樹脂シート20を加熱する。これにより、上記したように、各樹脂組成物層1中において樹脂組成物の硬化反応が実質的に完了するため、図5に示したように、複数の樹脂組成物層1の硬化反応物である複数の樹脂硬化物層3が形成される。
樹脂基板60を製造する場合には、樹脂シート30を加熱する。これにより、上記したように、各樹脂組成物層1中において樹脂組成物の硬化反応が実質的に完了するため、図6に示したように、芯材2の両面に樹脂組成物層1の硬化反応物である樹脂硬化物層3が形成される。
図8は、樹脂基板70の製造方法を説明するために、図7に対応する断面構成を表している。この樹脂基板70を製造する場合には、まず、図8に示したように、3つの樹脂シート30を積層させる。これにより、3つの樹脂シート30の積層体が得られる。こののち、積層体を加熱する。これにより、各樹脂シート30では、各樹脂組成物層1中において樹脂組成物の硬化反応が実質的に完了するため、図7に示したように、各芯材2の両面に、樹脂組成物層1の硬化反応物である樹脂硬化物層3が形成される。
ここで、樹脂シート10,20,30を製造するために樹脂組成物の溶融物を用いる場合には、上記したように、樹脂組成物の溶融時において硬化反応が実質的に完了することを回避する。このため、樹脂組成物の硬化反応が実質的に完了する温度よりも、溶融物を得るために樹脂組成物を加熱する温度を低くすることが好ましい。言い替えれば、樹脂組成物の溶融温度は、その樹脂組成物の硬化反応が実質的に完了する温度よりも低いことが好ましい。
一例を挙げると、金型を用いた成形工程では、一般的に、成形時の加熱温度の最高値(最高温度)が250℃程度になる。このため、樹脂組成物の溶融温度は、250℃よりも低い温度であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましい。
ここで説明する「溶融温度」とは、樹脂組成物の硬化反応が実質的に完了することを回避しつつ、その樹脂組成物が固体状態から流動(溶融)状態に変化する温度である。この溶融温度を特定するためには、例えば、ホットプレートなどの加熱器具を用いて樹脂組成物を加熱しながら、その樹脂組成物の状態を目視で観察する。この場合には、へらなどを用いて樹脂組成物を混ぜ合わせながら、加熱温度を次第に上昇させる。これにより、樹脂組成物が溶融し始めた温度を溶融温度とする。
上記したように、成形時の最高温度が250℃程度である場合には、例えば、その成形時の加熱温度を樹脂組成物の溶融温度よりも50℃以上高い温度、具体的には100℃〜250℃とすると共に、加熱時間を1分間〜300分間程度とする。これにより、硬化反応が実質的に完了する温度において樹脂組成物が十分に加熱されるため、その硬化反応が均一に進行する。
なお、金型を用いた成形工程では、必要に応じて、プレス機などを用いて樹脂組成物を加圧してもよいし、その樹脂組成物が存在する環境中の圧力を増減してもよい。
特に、樹脂基板70を製造する場合には、樹脂シート30の積層方向において積層体を加圧しながら、その積層体を加熱することが好ましい。樹脂シート30同士の密着性などが向上するからである。この場合の加熱条件および加圧条件は、特に限定されない。一例を挙げると、加熱温度は100℃〜250℃、加熱時間は1分間〜300分間であると共に、加圧圧力は0.5MPa〜8MPaである。
<4−3.作用および効果>
この樹脂基板によれば、本発明の樹脂硬化物を含んでいるので、その樹脂硬化物と同様の理由により、優れた熱的特性を得ることができる。これ以外の作用および効果は、本発明の樹脂硬化物と同様である。
本発明の実施例に関して、詳細に説明する。
(実験例1〜10)
以下で説明する手順により、図5に示したように、複数の樹脂硬化物層3が積層された積層体からなる樹脂基板50を製造した。なお、以下で説明する含有量(質量部)は、固形分に換算した値である。
樹脂基板50を製造する場合には、最初に、エポキシ化合物と、硬化剤と、添加剤(硬化触媒)とを混合した。この場合には、エポキシ化合物に含まれているエポキシ基の数と硬化剤に含まれている活性水素の数との比が1:1になるように、エポキシ化合物と硬化剤との混合比を調整した。
エポキシ化合物および硬化剤のそれぞれの種類および混合物中の含有量(質量部)は、表1に示した通りである。
エポキシ化合物として、ビフェニル型エポキシ樹脂(BER:三菱化学株式会社製のYL6121H)を用いた。硬化剤として、式(1−1)〜式(1−6)、式(3−1)および式(3−2)のそれぞれに示した化合物と、4,4’−ジアミノ−p−ターフェニル(DAT)と、1,5−ジアミノナフタレン(DAN)とを用いた。表1に示した「TPB骨格」の有無は、硬化剤が骨格として1,3,5−トリフェニルベンゼンを含んでいるか否かを表している。また、「反応基(導入位置)」は、反応基の種類(式(1)における反応基の導入位置)を表している。硬化触媒として、2−エチル−4−メチルイミダゾールを用いると共に、その硬化触媒の添加量は、エポキシ化合物と硬化剤との合計に対して1質量%とした。
続いて、溶媒(メチルエチルケトン)に混合物を投入したのち、その溶媒を撹拌した。この硬化触媒の添加量は、エポキシ化合物と硬化剤との合計に対して1質量%とした。これにより、溶媒中においてエポキシ化合物および硬化剤が溶解されたため、液体状の樹脂組成物が得られた。この場合には、固形分(エポキシ化合物および硬化剤)の濃度を65質量%とした。
続いて、支持体(PETフィルム,厚さ=0.05mm)の表面に液体状の樹脂組成物を塗布したのち、その液体状の樹脂組成物を乾燥(温度=100℃)した。これにより、支持体の表面に樹脂組成物層1が形成されたため、図1に示した単層体である樹脂シート10(厚さ=0.1mm)が得られた。こののち、支持体から樹脂シート10を剥離した。
続いて、10枚の樹脂シート10を重ねて、図2に示した積層体である樹脂シート20(樹脂組成物層1の積層数=10層)を作製した。最後に、平板プレス機を用いて積層体を加熱(温度=170℃)および加圧(圧力=1MPa,時間=20分間)したのち、さらに積層体を加熱(温度)=200℃および加圧(圧力=4MPa,時間=1時間)した。この加熱工程では、各樹脂組成物層1中において樹脂組成物の反応が実質的に完了したため、その樹脂組成物の硬化反応物を含む樹脂硬化物層3が形成された。これにより、樹脂基板50(樹脂硬化物層3の積層数=10層,厚さ=0.9mm)が完成した。
この樹脂シート20(樹脂組成物層1)および樹脂基板50(樹脂硬化物層3)のそれぞれの熱的特性を調べたところ、表1に示した結果が得られた。ここでは、樹脂シート20の成形性を調べると共に、樹脂基板50の耐熱性および熱伝導性を調べた。
成形性を調べる場合には、粘弾性測定装置を用いて樹脂シート20を加熱しながら、その樹脂シート20の溶融時の下限温度(℃)および上限温度(℃)を調べた。この下限温度は、樹脂シート20の溶融粘度が1Pa・s以下になる温度であると共に、上限温度は、樹脂シート20の溶融粘度が1Pa・s以上になる温度である。この場合には、樹脂シート20を圧縮成形して、円形状の測定用試料(直径=20mm,厚さ=1.8mm)を作製した。こののち、粘弾性測定装置(サーモサイエンティフィック株式会社製のRheo Stress 6000)を用いて、開始温度=100℃、昇温速度=2.5℃/分および周波数=1Hzの条件において測定用試料を加熱した。
ここで、図9は、実験例1〜10を代表して、実験例1に関する溶融粘度の測定結果を表している。図9において、横軸は加熱温度(℃)であると共に、縦軸は溶融粘度(Pa・s)である。
温度を上昇させながら樹脂シート20を加熱すると、その樹脂シート20の溶融粘度は、加熱温度が上昇するにしたがって下向き凸型の曲線を描くように変化する。すなわち、温度上昇時の前半では、加熱に応じて樹脂シート20が次第に溶融するため、その樹脂シート20の溶融粘度は、加熱温度が上昇するにしたがって次第に減少する。一方、温度上昇時の後半では、加熱に応じて樹脂シート20において硬化反応が次第に進行するため、その樹脂シート20の溶融粘度は、加熱温度が上昇するにしたがって次第に増加する。この溶融粘度の測定結果から、温度上昇時の前半において溶融粘度が1Pa・s以下になる温度(下限温度)と、温度上昇時の後半において溶融粘度が1Pa・s以上になる温度(上限温度)とが求められる。
耐熱性を調べる場合には、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて樹脂基板50のガラス転移点(℃)を測定した。具体的には、最初に、樹脂基板50を切断して、矩形状の測定用試料(3mm×25mm)を作製した。続いて、動的粘弾性測定装置(レオロジー株式会社製のDVE−V4型)を用いて、測定用試料を加熱しながら貯蔵弾性率を測定した。この場合には、昇温速度を5℃/分として、加熱温度を25℃から300℃まで上昇させた。最後に、貯蔵弾性率の変曲点に対応する加熱温度をガラス転移点とした。
熱伝導性を調べる場合には、樹脂基板50の熱伝導率(W/(m・K))を測定した。具体的には、最初に、樹脂基板50を切断して、円形状の測定用試料(直径=10mm,厚さ=0.9mm)を作製した。続いて、熱伝導率測定装置(アドバンス理工株式会社(旧アルバック理工株式会社)製のTCシリーズ)を用いて測定用試料を分析して、熱拡散係数α(m2 /s)を測定した。また、サファイアを標準試料として、示差走査熱量分析(DSC)を用いて測定用試料の比熱Cpを測定した。さらに、アルキメデス法を用いて測定用試料の密度rを測定した。最後に、下記の数式(A)に基づいて、熱伝導率λ(W/(m・K))を算出した。
λ=α×Cp×r ・・・(A)
(λは熱伝導率(W/(m・K))、αは熱拡散率(m2 /s)、Cpは比熱(J/kg・K)、rは密度(kg/m3 )である。)
Figure 2016210971
熱伝導率、ガラス転移点、下限温度および上限温度は、エポキシ化合物の種類に依存せずに、硬化剤の種類に応じて大きく変動した。
詳細には、硬化剤がTPB骨格を含んでいない場合(実験例9,10)には、樹脂組成物が根本的に溶融しなかった。この場合には、熱伝導率およびガラス転移点を根本的に測定できないか、熱伝導率およびガラス転移点を測定できたとしても、その熱伝導率およびガラス転移点はいずれも著しく低かった。
これに対して、硬化剤がTPB骨格を含んでいる場合(実験例1〜8)には、その硬化剤の構造に応じて明確な差異が見られた。
反応基の導入位置が適正でない場合(実験例7,8)には、上記した硬化剤がTPB骨格を含んでいない場合と比較して、熱伝導率およびガラス転移点はいずれも高くなったが、上限温度は十分に高くならなかった。
このように上限温度が十分に高くならないということは、下限温度と上限温度との間の温度範囲が狭いため、樹脂組成物の状態が成形に適した流動状態となる加熱温度のマージンが狭いことを表している。この場合には、樹脂組成物の成形工程において、その樹脂組成物の流動性を向上させるために加熱温度を高くしたいところであるが、その加熱温度を高くするとかえって硬化反応に起因して流動性が低下する。これにより、加熱温度の管理が困難であるため、成形用途において樹脂組成物を扱いにくくなる。
これに対して、反応基の導入位置が適正である場合(実験例1〜6)には、上記した反応基の導入位置が適正でない場合と比較して、同等の熱伝導率が得られると共に、ガラス転移点が同等以上になった。しかも、下限温度がほぼ維持されたまま、上限温度が十分に高くなった。
このように上限温度が十分に高くなったということは、下限温度と上限温度との間の温度範囲が高温方向に広がったため、樹脂組成物の状態が成形に適した流動状態になる加熱温度のマージンが広いことを表している。この場合には、上記した加熱温度のマージンが狭い場合とは異なり、硬化反応に起因する流動性の低下を抑制しつつ、樹脂組成物を高温まで加熱することができるため、高温の広い温度範囲において樹脂組成物の状態を成形に適した流動状態にすることができる。これにより、加熱温度の管理が容易であるため、成形用途において樹脂組成物を扱いやすくなる。
特に、反応基の導入位置が適正である場合には、上記したように、熱伝導率およびガラス転移点の双方が低下することを抑制しつつ、上限温度だけが高くなる。このため、樹脂組成物の成形性の改善と、樹脂硬化物の耐熱性および熱伝導性の改善とを両立できる。
表1に示した結果から、樹脂組成物がエポキシ化合物と式(1)に示したトリフェニルベンゼン化合物とを含んでいると、その樹脂組成物の成形性が改善されると共に、樹脂基板(樹脂硬化物)の耐熱性および熱伝導性も改善された。よって、優れた熱的特性が得られた。
以上、実施形態および実施例を挙げながら本発明を説明したが、本発明は実施形態および実施例において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。
1…樹脂組成物層、2…芯材、3…樹脂硬化物層、10,20,30…樹脂シート、40,50,60,70…樹脂基板。

Claims (9)

  1. エポキシ化合物と、
    下記の式(1)で表されるトリフェニルベンゼン化合物と
    を含む、樹脂組成物。
    Figure 2016210971
    (R1〜R15のそれぞれは、水素基(−H)および反応基のうちのいずれかであり、その反応基は、水酸基(−OH)およびアミノ基(−NH2 )のうちのいずれかである。ただし、R1〜R15のうちの少なくとも1つは、反応基であると共に、R3、R8およびR13のうちの少なくとも1つは、水素基である。)
  2. 前記R1〜R5のうちの少なくとも1つは、前記反応基であり、
    前記R6〜R10のうちの少なくとも1つは、前記反応基であり、
    前記R11〜R15のうちの少なくとも1つは、前記反応基である、
    請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 前記R1〜R5のうちの1つは、前記反応基であり、
    前記R6〜R10のうちの1つは、前記反応基であり、
    前記R11〜R15のうちの1つは、前記反応基である、
    請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記R1〜R15のそれぞれは、水素基および水酸基のうちのいずれかであり、
    または、前記R1〜R15のそれぞれは、水素基およびアミノ基のうちのいずれかである、
    請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記トリフェニルベンゼン化合物は、下記の式(1−1)〜式(1−6)のそれぞれで表される化合物のうちの少なくとも1種を含む、
    請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
    Figure 2016210971
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む、
    樹脂シート。
  7. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化反応物を含む、
    樹脂硬化物。
  8. 請求項6に記載の樹脂シートの硬化反応物を含む、
    樹脂基板。
  9. 2以上の前記樹脂シートの硬化反応物を含み、
    前記2以上の樹脂シートの硬化反応物は、積層されている、
    請求項8記載の樹脂基板。
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