JP2013001802A - 熱伝導性樹脂組成物およびそれからなる成形体 - Google Patents

熱伝導性樹脂組成物およびそれからなる成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】熱伝導性、絶縁性に優れ、加工時の溶融流動性に優れた樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂(A)と層状フィロケイ酸塩鉱物(B)と所定量の溶融粘度低下剤(C)とを含み、前記所定量の溶融粘度低下剤(C)は、下記(a)と(b)とのいずれかであることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
(a)溶融粘度低下剤(C)が多官能性アリル化合物(C1)であり、熱可塑性樹脂(A)と層状フィロケイ酸塩鉱物(B)と多官能性アリル化合物(C1)との合計100容量部に対する(C1)の含有量が3〜20容量部である。
(b)溶融粘度低下剤(C)がダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)であり、熱可塑性樹脂(A)と層状フィロケイ酸塩鉱物(B)とダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)との合計100容量部に対するダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)の含有量が5〜35容量部である。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導性、絶縁性に優れ、加工時の溶融流動性に優れた樹脂組成物に関するものである。
近年、電子機器においては、その高性能化、小型化および軽量化に伴い、各種の電子部品で発生する熱を効果的に外部へ放散させる熱対策が非常に重要な課題になっている。このため、その電子機器の構成材料である樹脂成形材料の放熱性の改良を求める声が大きくなってきている。樹脂成形材料の放熱性を改良するための公知の手段として、熱伝導率の高い充填材料(窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、黒鉛等)を配合する手法が知られているが、近年では電子機器周りに用いることからこれらの中でも絶縁性の充填材料が求められている。
しかしながら、絶縁性物質の熱伝達は格子振動によるもので、導電性物質(自由電子による熱伝達)に比べて非常に低いため、絶縁性かつ高熱伝導性の樹脂組成物を得るには、充填材を多量に添加する必要がある。例えば、特許文献1には、ポリフェニレンスルフィド樹脂に酸化マグネシウムや酸化アルミニウムを40質量%以上充填した樹脂製放熱板が記載されている。しかしながら、充填材を高濃度で添加すると成形加工性が著しく低下するという問題があった。また、酸化マグネシウムや酸化アルミニウムを充填材とした場合、モース硬度が高いため、成形加工時に金属機器を磨耗するという問題があった。
特開2001−151905号公報
そこで、本発明の課題は、熱伝導性、絶縁性に優れ、加工時の溶融流動性に優れた樹脂組成物を提供することにある。
本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)熱可塑性樹脂(A)と層状フィロケイ酸塩鉱物(B)と所定量の溶融粘度低下剤(C)とを含み、前記所定量の溶融粘度低下剤(C)は、下記(a)と(b)とのいずれかであることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
(a)溶融粘度低下剤(C)が多官能性アリル化合物(C1)であり、熱可塑性樹脂(A)と層状フィロケイ酸塩鉱物(B)と多官能性アリル化合物(C1)との合計100容量部に対する(C1)の含有量が3〜20容量部である。
(b)溶融粘度低下剤(C)がダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)であり、熱可塑性樹脂(A)と層状フィロケイ酸塩鉱物(B)とダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)との合計100容量部に対するダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)の含有量が5〜35容量部である。
(2)層状フィロケイ酸塩鉱物(B)がタルクであることを特徴とする(1)記載の樹脂組成物。
(3)熱可塑性樹脂(A)と層状フィロケイ酸塩鉱物(B)との容量比(A/B)が、20/80〜95/5であることを特徴とする(1)または(2)記載の樹脂組成物。
(4)多官能性アリル化合物(C1)が、骨格にイソシアヌレートを有する化合物であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の樹脂組成物。
(5)多官能性アリル化合物(C1)が、下記式(i)で示されるアミン化合物(D)と、アリル基及びグリシジル基を有する多官能性化合物(E)との反応によって得られるアリル化合物であることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載の樹脂組成物。
R−(NH (i)
ここで、n=1〜4、Rは芳香族系または脂肪族系の置換残基を示す。
(6)アリル基及びグリシジル基を有する多官能性化合物(E)が、骨格にイソシアヌレートを有する化合物であることを特徴とする(5)記載の樹脂組成物。
(7)骨格にイソシアヌレートを有する化合物が、モノグリシジルジアリルイソシアヌレートであることを特徴とする(4)〜(6)いずれかに記載の樹脂組成物。
(8)ダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)がポリアミド樹脂および/またはポリエステル樹脂であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の樹脂組成物。
(9)熱可塑性樹脂(A)がポリアミド樹脂であることを特徴とする(1)〜(8)いずれかに記載の樹脂組成物。
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載の樹脂組成物を成形したものであることを特徴とする成形体。
(11)成形体に放射線を照射したものであることを特徴とする(10)の成形体。
本発明によれば、層状フィロケイ酸塩鉱物(B)と溶融粘度低下剤(C)とを含むため、熱伝導性と絶縁性に優れ、加工時の溶融流動性に優れた樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱伝導性樹脂は、熱可塑性樹脂(A)と層状フィロケイ酸塩鉱物(B)と溶融粘度低下剤(C)から構成される。
熱可塑性樹脂(A)としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPE、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸類、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルケトン、ポリケトン、液晶ポリマー等が挙げられる。中でも成形性、耐薬品性、経済性の点でポリアミドが好ましい。
ポリアミド樹脂としては、ラクタムあるいはアミノカルボン酸の重合、またはジアミンとカルボン酸の重縮合によって得られるホモポリアミドおよびコポリアミド、そしてこれらの混合物が挙げられる。
ポリアミド樹脂としては、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプラミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリウンデカミド(ナイロン11)、ポリカプラミド/ポリウンデカミドコポリマー(ナイロン6/11)、ポリドデカミド(ナイロン12)、ポリカプラミド/ポリドデカミドコポリマー(ナイロン6/12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリカプラミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリカプラミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMDT)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)、とこれらの混合物および共重合体等が挙げられる。中でも、成形性、経済性の点でナイロン6、ナイロン66が好ましい。
本発明の樹脂組成物には、層状フィロケイ酸塩鉱物(B)を含有させる必要がある。(B)層状フィロケイ酸塩鉱物とは、ケイ酸塩鉱物類の中でSiO四面体(一部SiがAl等他の金属原子と置き換わったものを含む。)が面状に結合している層状型ケイ酸塩鉱物である。層状フィロケイ酸塩鉱物を含有させることで、熱伝導率を向上させることができる。また、層状とは、板状、鱗片状、針状、扁平状であることを表し、単鎖状、2本鎖状(例えば、イノケイ酸塩)、3次元網目状 (例えば、テクトケイ酸塩)であることは表さない。層状フィロケイ酸塩鉱物を用いることで、樹脂組成物の熱伝導性を向上させることができる。
層状フィロケイ酸塩鉱物(B)としては、アンチゴライト、クリソタイル、カオリナイト、タルク、パイロフィライト、モンモリロナイト、マイカ(白雲母、金雲母、黒雲母、緑泥石)、およびこれらの混合物が挙げられる。中でも、タルクとマイカが好ましい。タルクとマイカは、モース硬度が1〜3程度と軟らかい材料であるため成型時の加工性に優れ、安価で熱伝導率が高い。
本発明の樹脂組成物において、熱可塑性樹脂(A)と層状フィロケイ酸塩鉱物(B)との容量比(A/B)は、20/80〜95/5であることが好ましく、30/70〜90/10であることがより好ましく、30/70〜60/40であることが特に好ましい。(A)と(B)の合計に対する(B)の含有量が5容量%未満では層状フィロケイ酸塩鉱物を配合した効果が十分に得られない場合があり、(B)の含有量が80容量%を超えると、流動性が著しく低下するため成形時にショートショットが発生したり、また成形片の外観が不良になる場合がある。
層状フィロケイ酸塩鉱物(B)の平均粒子径は、1〜100μmであることが好ましく、7〜60μmであることがより好ましい。平均粒子径が1μm未満では、分散不良により凝集塊が生じやすくなり、均一な成形品が得られず機械的物性が低下したり熱伝導性にバラツキが生じたりする場合がある。一方、平均粒子径が100μmを超えると、樹脂中に高濃度に充填することが難しくなったり、成形品の外観が不良になったりする場合がある。
層状フィロケイ酸塩鉱物(B)は、熱可塑性樹脂(A)との密着性を向上させるために、カップリング剤で表面処理を施されたものでもよい。カップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルジメトキシメチルシラン等のアミノシラン系カップリング剤や、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系カップリング剤や、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタン系カップリング剤等を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよいし、併用してもよい。
本発明の樹脂組成物は、溶融粘度低下剤(C)を含有させることが必要である。(C)を含有させない場合、溶融粘度が高いため、成形時にショートショットが発生したり、また成形片の外観が不良になる場合がある。本発明で用いられる(C)は、多官能性アリル化合物(C1)とダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)とのいずれかである。
多官能性アリル化合物(C1)は、特に限定されないが、樹脂組成物の溶融加工温度において液状であることが必要である。また(C1)は、添加された樹脂の溶融粘度を低下させ得ることから、可塑剤としても有効に作用することになる。
多官能性アリル化合物(C1)について説明する。多官能性アリル化合物(C1)とは、アリル基を1つ以上有する化合物である。(C1)としては、トリアリルイソシアヌレート、モノグリシジルジアリルイソシアヌレート、ジグリシジルモノアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、モノグリシジルジメタアリルイソシアヌレート、ジグリシジルモノメタアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、モノグリシジルジアリルシアヌレート、ジグリシジルモノアリルシアヌレート、トリメタアリルシアヌレート、モノグリシジルジメタアリルシアヌレート、ジグリシジルモノメタアリルシアヌレート、アリルグリシジルアミン、ジアリルモノグリシジルアミン、モノアリルジグリシジルアミン、モノグリシジルジメタアリルアミン、ジグリシジルモノメタアリルアミン、グリシジルアリルクロレンデート、アリルグリシジルアジペート、アリルグリシジルカーボネート、アリルグリシジルジメチルアンモニウムクロリド、アリルグリシジルフマレート、アリルグリシジルイソフタレート、アリルグリシジルマロネート、アリルグリシジルオキサレート、アリルグリシジルフタレート、アリルグリシジルプロピルイソシアヌレート、アリルグリシジルセバセート、アリルグリシジルサクシネート、アリルグリシジルテレフタレート、アリルグリシジルタトレート、グリシジルメチルアリルフタレート等が挙げられる。これらの化合物のうち、骨格にイソシアヌレートを有する化合物が好ましく、特に、トリアリルイソシアヌレート、モノグリシジルジアリルイソシアヌレートが、取扱い性、経済性の点で好ましい。
また、多官能性アリル化合物(C1)として、上記化合物のほかに、下記式(i)で示されるアミン化合物(D)と、アリル基及びグリシジル基を有する多官能性化合物(E)との反応によって得られるアリル化合物を用いることができる。
R−(NH (i)
ここで、n=1〜4、Rは芳香族系または脂肪族系の置換残基を示す。
式(i)で示されるアミン化合物(D)は、n=2であるジアミン類が好ましい。
n=2のジアミン類としては、エチレジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、4,4´−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロへキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロへキサン、4,4´−ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)スルホン、4,4´−ジアミノジシクロヘキシルエーテル、2,2´−ジメチル−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2´−ビス(トリフルオロメチル)−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2´−ビス(トリクロロメチル)−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2´−ビス(トリブロモメチル)−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2´−ジフルオロ−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2´−ジクロロ−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2´−ジブロモ−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2−ビス(4−アミノシクロへキシル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,3−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,7−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,3−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1,2−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン、2,2´−ジメチル−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリフルオロメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリクロロメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリブロモメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ジフルオロ−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ジクロロ−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ジブロモ−4,4´−ジアミノビフェニル、4,4´−ジアミノビフェニル、4,4´−ジアミノ−ベンゾフェノン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−2−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−2−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェニル)フルオレン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル等が挙げられる。
式(i)で示されるアミン化合物(D)のうち、n=1であるモノアミン類としては、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、モノアミルアミン、ジアミルアミン、エチルブチルアミン、n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,3−キシリジン、2,6−キシリジン、3,4−キシリジン、3,5−キシリジン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、m−ブロモアニリン、p−ブロモアニリン、o−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、o−フェネチジン、m−フェネチジン、p−フェネチジン、o−アミノベンツアルデヒド、m−アミノベンツアルデヒド、p−アミノベンツアルデヒド、o−アミノベンゾニトリル、m−アミノベンゾニトリル、p−アミノベンゾニトリル、2−アミノビフェニル、3−アミノビフェニル、4−アミノビフェニル、2−アミノフェニルフェニルエーテル、3−アミノフェニルフェニルエーテル、4−アミノフェニルフェニルエーテル、2−アミノベンゾフェノン、3−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、2−アミノフェニルフェニルスルフィド、3−アミノフェニルフェニルスルフィド、4−アミノフェニルフェニルスルフィド、2−アミノフェニルフェニルスルホン、3−アミノフェニルフェニルスルホン、4−アミノフェニルフェニルスルホン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、1−アミノ−2−ナフトール、2−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、7−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−1−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノアントラセン等が挙げられる。
式(i)で示されるアミン化合物(D)のうち、n=3であるトリアミン類としては、1,3,5−トリアミノベンゼン、トリス(3−アミノフェニル)アミン、トリス(4−アミノフェニル)アミン、トリス(3−アミノフェニル)ベンゼン、トリス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−アミノフェノキシ)トリアジン等が挙げられる。
式(i)で示されるアミン化合物(D)のうち、n=4であるテトラアミン類としては、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン、3,3´,4,4´−テトラアミノビフェニル、3,3´,4,4´−テトラアミノジフェニルスルホン、3,3´,4,4´−テトラアミノジフェニルスルフィド、2,3,6,7−テトラアミノナフタレン、1,2,5,6−テトラアミノナフタレン等が挙げられる。
種々の特性を調整する等の目的で、アミン化合物(D)は単独で用いてもよいし、併用してもよい。
上記アミン化合物(D)と反応させるアリル基及びグリシジル基を有する多官能性化合物(E)としては、アリル基とグリシジル基の両方を有するモノマー性化合物であれば特に限定されない。多官能性化合物(E)としては、モノグリシジルジアリルイソシアヌレート、ジグリシジルモノアリルイソシアヌレート、モノグリシジルジメタアリルイソシアヌレート、ジグリシジルモノメタアリルイソシアヌレート、モノグリシジルジアリルシアヌレート、ジグリシジルモノアリルシアヌレート、モノグリシジルジメタアリルシアヌレート、ジグリシジルモノメタアリルシアヌレート、アリルグリシジルアミン、ジアリルモノグリシジルアミン、モノアリルジグリシジルアミン、モノグリシジルジメタアリルアミン、ジグリシジルモノメタアリルアミン、グリシジルアリルクロレンデート、アリルグリシジルアジペート、アリルグリシジルカーボネート、アリルグリシジルジメチルアンモニウムクロリド、アリルグリシジルフマレート、アリルグリシジルイソフタレート、アリルグリシジルマロネート、アリルグリシジルオキサレート、アリルグリシジルフタレート、アリルグリシジルプロピルイソシアヌレート、アリルグリシジルセバセート、アリルグリシジルサクシネート、アリルグリシジルテレフタレート、グリシジルメチルアリルフタレート等が挙げられる。
多官能性化合物(E)としては骨格にイソシアヌレートを有する化合物が好ましく、特に、モノグリシジルジアリルイソシアヌレートが好ましい。
上記した、アミン化合物(D)と、アリル基及びグリシジル基を有する多官能性化合物(E)とを混合し加熱することにより、(D)のアミノ基と(E)のグリシジル基の熱による反応により、1分子中に多数のアリル基を有する化合物が得られる。(D)と(E)の含有比は、(D)1当量に対しグリシジル基が1〜2当量となるようにすればよい。(D)が脂肪族系の場合は、アミンの求核性が強いため、1つのアミンに対して2つのグリシジル基を付加反応させることができる。例えば、式(i)のアミン化合物が脂肪族ジアミンであれば、脂肪族ジアミン1モルに対し、グリシジル基は4モル量反応すると考えられる。(D)が芳香族系の場合は、アミンの求核性が比較的弱く、2つのグリシジル基を付加反応させることができない場合がある。
アミン化合物(D)と多官能性化合物(E)とを反応させる方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上述のように、(D)と(E)とを所定量混合し、加熱溶融させることにより、上記反応を簡便に行うことができる。その際、必要に応じて適当な反応溶媒を用いることも可能である。反応させるための加熱温度は、通常80〜200℃の範囲で設定すればよい。反応させる際の雰囲気は、特に限定されず、大気中で反応を行えばよい。ただし、酸素による酸化が問題となる場合は、窒素ガス等不活性ガスで雰囲気を置換すればよい。
このようにして得られた反応生成物は、沸点が高いため、溶融加工する際に揮発しにくく、架橋助剤、末端封鎖剤等としても有効に使用できる。また、1分子中に多数のアリル基を有することから、公知の方法でアリル基と樹脂とを架橋させることができて、効率良く樹脂を強化することができる。
本発明の樹脂組成物において、多官能性アリル化合物(C1)の含有量は、熱可塑性樹脂(A)と層状フィロケイ酸塩鉱物(B)と多官能性アリル化合物(C1)との合計100容量部に対して、3〜20容量部であることが必要であり、好ましくは4〜15容量部である。(C1)の含有量が3容量部未満の場合は十分な溶融流動性が得られないので好ましくない。一方、(C1)の含有量が20容量部を超える場合は、溶融粘度が低下しすぎて溶融混練時にペレット化ができなくなる場合があったり、得られる成形体の物性が大幅に低下したりする場合があるので好ましくない。
多官能性アリル化合物(C1)は、1分子中に多数のアリル基を有することから、公知の方法に従い、架橋剤との併用、または、電子線やγ線等の放射線照射処理との併用により、熱可塑性樹脂(A)を架橋させることができる。中でも、所望の形に成形した後に短時間で処理ができるという点から、電子線やγ線により架橋することが好ましい。γ線は電子線に比べて透過性が強いために照射が均一となるので、γ線を用いた架橋がより好ましい。電子線照射には公知の電子加速器等が使用でき、γ線の照射には、公知のコバルト60線源等による照射装置を用いることができる。電子線の照射線量は1〜300kGyが好ましく、50〜100kGyがより好ましい。γ線照射の場合は、照射線量は10〜100kGyが好ましく、20〜40kGyがより好ましい。放射線の照射線量が上記上限値を超えると、樹脂の分解によって強度が低下してしまうため好ましくない。また、上記下限値未満では、架橋による効果が発揮されないため好ましくない。照射雰囲気は通常空気存在下で差し支えないが、所望により窒素雰囲気下や真空中で照射を行うことができる。
ダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)について説明する。本発明において、ダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)とは、大豆油、桐油、ト−ル油等の脂肪酸の二量体であるダイマー酸、またはそのアミドを生成可能な誘導体、もしくはそのエステルを生成可能な誘導体を含むジカルボン酸を主な酸成分として、これと、ジアミン、グリコール等の成分とを重縮合して得られる熱可塑性樹脂である。ダイマー酸の主成分は二量体であるが、その他に単量体や三量体等を含んでいてもよい。また、脂肪酸の二量体であるダイマー酸、またはそのアミドを生成可能な誘導体、もしくはそのエステルを生成可能な誘導体を含むジカルボン酸は、水素添加されたものでもよい。
ダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)は、熱可塑性樹脂(A)に比べて溶融粘度が低く、これが添加されることで樹脂の溶融粘度を低下させることができることから、可塑剤として有効に作用する。しかも、(C2)は、樹脂であり分解温度が高く、溶融加工する際に揮発しないため、可塑剤として有効に使用できる。さらに、これが添加されても機械的強度の低下が少なく、さらにブリードアウトをしないという点で有効である。
ダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)としては、特に限定されないが、ポリアミド、ポリエステル等が挙げられる。中でも、取扱い性、経済性の点でポリアミドが好ましい。
ダイマー酸ベースポリアミドとしては、特に限定されるものではないが、ダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体を含むジカルボン酸成分と、ジアミンとからなるポリアミド樹脂等が挙げられる。例えば大豆油、桐油、ト−ル油等の脂肪酸の二量体であるダイマー酸と、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミンのようなアルキルポリアミン類等との反応生成物を挙げることができる。
ダイマー酸ベースポリエステルとしては、特に限定されるものではないが、ダイマー酸またはそのエステル生成可能な誘導体を含むジカルボン酸成分と、グリコールとからなるポリエステル樹脂等が挙げられる。例えば大豆油、桐油、ト−ル油等の脂肪酸の二量体であるダイマー酸と、エチレングリコールや1,4−ブタンジオールのようなグリコールと、テレフタル酸、イソフタル酸のようなジカルボン酸との反応生成物を挙げることができる。
ダイマー酸ベースポリアミドとダイマー酸ベースポリエステルは、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
本発明の樹脂組成物において、ダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)の含有量は、熱可塑性樹脂(A)と層状フィロケイ酸塩鉱物(B)とダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)との合計100容量部に対して、5〜35容量部であることが必要であり、好ましくは9〜30容量部である。(C2)の含有量が5容量部未満では(C2)を添加した効果が十分に得られないので好ましくない。一方、(C2)の含有量が35容量部を超えると、機械的物性が著しく低下したり、溶融混練時にペレット化できなかったりする場合があるので好ましくない。
本発明の樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、結晶核剤、相溶化剤等を添加することができる。熱安定剤や酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられる。難燃剤としては、水和金属化合物(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等)、窒素含有化合物(メラミン系、グアニジン系)、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤等が挙げられる。結晶核剤としては、ソルビトール化合物、安息香酸およびその化合物の金属塩、燐酸エステル金属塩、ロジン化合物等が挙げられる。相溶化剤としては、アイオノマー系相溶化剤、オキサゾリン系相溶化剤、エラストマー系相溶化剤、反応性相溶化剤、共重合体系相溶化剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明の樹脂組成物にこれらを混合する方法は、特に限定されない。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)と、層状フィロケイ酸塩鉱物(B)と、多官能性アリル化合物(C1)またはダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)とを、さらには必要に応じて各種添加物を、一般的な押出機、例えば一軸押出機、二軸押出機、ロール混錬機、ブラベンダー等を用いて溶融混練することにより、製造することができる。このとき、スタティックミキサーやダイナミックミキサーを併用することも効果的である。混練状態をよくするためには、二軸押出機を使用することが好ましい。(B)と、(C1)または(C2)とは、特に限定されるものではないが、押出機において、ホッパーから、あるいは、サイドフィーダーを用いて、添加することができる。
本発明の樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形、押出し成形、トランスファー成形、シート成形等の公知の溶融成形手法を用いて、所望の形状に成形することで成形体とすることができる。樹脂組成物を所望の形状に成形したうえで、上述のように放射線を照射することで樹脂を架橋させることができる。
本発明において、高い熱伝導率を有した樹脂組成物を成形して得られる成形体の具体例としては、半導体素子や抵抗等のための封止材料、コネクター、ソケット、リレー部品、コイルボビン、光ピックアップ、発振子、コンピュータ関連部品等の電気・電子部品;VTR、テレビ、アイロン、エアコン、ステレオ、掃除機、冷蔵庫、炊飯器、照明器具等の家庭電気製品部品;放熱シート、ヒートシンク、ファン等の電子部品からの熱を外部に逃すための放熱部材;ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング等照明器具部品;コンパクトディスク、光ディスク、スピーカー等の音響製品部品;光ケーブル用フェルール、携帯電話機、固定電話機、ファクシミリ、モデム等の通信機器部品;分離爪、ヒータホルダー等の複写機、印刷機関連部品;インペラー、ファン歯車、ギヤ、軸受け、モーター部品及びケース等の機械部品;自動車用機構部品、エンジン部品、エンジンルーム内部品、電装部品、内装部品等の自動車部品;マイクロ波調理用鍋、耐熱食器等の調理用器具;航空機、宇宙機、宇宙機器用部品;センサー類部品等が挙げられる。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
1.測定方法
(1)MFR(メルトフローレート)
熱可塑性樹脂組成物のペレットについて、降下式フローテスター(東洋精機製作所社製)を用い、100kgの荷重下、成形温度でのMFR値を測定した。このときのオリフィスは、直径1mm×長さ10mmのものを使用した。
(2)曲げ強度、曲げ弾性率
成形片を用いて、ASTM規格D−790に記載の方法に準じて測定した。
(3)Izod衝撃強度
成形片にノッチを付けて、ASTM規格D−256に記載の方法に準じて測定した。
(4)熱伝導率
熱伝導率λは、熱拡散率α、密度ρ、比熱Cpを下記方法により求め、その積として次式で算出した。
λ=αρCp
λ:熱伝導率(W/(m・K))
α:熱拡散率(m/sec)
ρ:密度(g/m
Cp:比熱(J/g・K)
熱拡散率αは、成形片の樹脂流れ方向について、レーザーフラッシュ法熱定数測定装置TC−7000(アルバック理工社製)を用い、レーザーフラッシュ法にて測定した。密度ρは、後述の密度の測定方法に従って測定した。比熱Cpは、示差走査熱量計DSC―7(パーキンエルマー社製)を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
(5)体積抵抗率
成形片を用いて、ASTM規格D−257に記載の方法に準じて測定した。
(6)平均粒子径
第一測範製作所社製グラインドゲージを用いて、JIS K5600−2−5に準じて測定した。
(7)密度
電子比重計ED−120T(ミラージュ貿易社製)を用いて測定した。
(8)5%質量減少温度
5mgの試料を、TGA装置(Perkin−Elmer社製 TGA−7)を用いて、窒素置換雰囲気中で昇温速度20℃/分の速度で室温から600℃まで昇温させ、5%質量が変化した温度を測定した。
2.使用材料
<熱可塑性樹脂(A)>
(1)PA6(ポリアミド6)
ラクタムの重合によって得られた重合物、相対粘度1.9、密度1.13g/cm
(2)PA66(ポリアミド66)
ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重合によって得られた重合物、相対粘度2.8、密度1.14g/cm
(3)PP(ポリプロピレン)
日本ポリプロ社製 MA1B、密度0.9g/cm
(4)LCP(液晶ポリエステル)
ユニチカ社製 ロッドランLC−5000、密度1.41g/cm
(5)PLA(ポリ乳酸)
NatureWorks社製、重量平均分子量(M)=190,000、密度1.25g/cm
<層状フィロケイ酸塩鉱物(B)>
(1)タルク
日本タルク社製 K−1、平均粒子径8μm、密度2.7g/cm
(2)白雲母
ヤマグチマイカ社製 A−51S、平均粒子径52μm、密度2.8g/cm
(3)カオリナイト
白石カルシウム社製 ST−C219、平均粒子径9μm、密度2.8g/cm
<多官能性アリル化合物(C1)>
(1)TAIC(トリアリルイソシアヌレート)
日本化成社製 TAIC、液体
(2)DAMGIC(モノグリシジルジアリルイソシアヌレート)
四国化成社製 DA−MGIC、固体、5%質量減少温度178℃
(3)C11
アミン化合物(D)として1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン(MXDA)を用い、多官能性化合物(E)としてモノグリシジルジアリルイソシアヌレート(DAMGIC)を用い、MXDA1当量に対し、DAMGICが2当量になるよう秤りとり、これらを丸底フラスコに加え、攪拌しながら80℃で30分間加熱した。さらに180℃で30分間加熱して、無色透明な液状物を得た。得られた液状物を室温まで徐冷し、そのときに生成した固形物を粉砕して、多官能性アリル化合物(C11)の白色粉末を得た。C11の5%質量減少温度は375℃であった。
<ダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)>
(1)C21
ダイマー酸(築野食品工業社製、水素添加なし)/1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン=46.5/53.5(モル比)の割合の原料を反応槽に仕込み、240℃で2時間反応させた。反応終了後に払い出し、切断して、ダイマー酸ベースポリアミド樹脂ペレットを得た。C11の2kg荷重下、230℃でのメルトフローレート(MFR)は、1800g/分であった。
(2)C22
ダイマー酸(築野食品工業社製、水素添加なし)/65.3%ヘキサメチレンジアミン水溶液/カプロラクタム=10.3/7.3/82.4(モル比)の割合の原料を反応槽に仕込み、250℃で2時間反応させた。反応終了後に払い出し、切断してダイマー酸ベースポリアミド樹脂ペレットを得た。C22の2kg荷重下、230℃でのメルトフローレート(MFR)は、1300g/分であった。
<その他の充填材>
(1)ガラス繊維
オーウェンスコーニング社製、平均繊維径10μm、平均繊維長3mm、密度2.50g/cm
(2)ワラストナイト
林化成社製 VM−8N、平均粒子径16.5μm、密度2.9g/cm
(3)ゼオライト
中部電力社製 シーキュラス(Caタイプ)、平均粒子径10〜30μm、密度2.0g/cm
実施例1
二軸押出機(東芝機械社製:TEM26SS、スクリュ径26mm)の主ホッパーに、ポリアミド6樹脂(PA6)46容量部と、層状フィロケイ酸塩鉱物(B)としてのタルク46容量部と、多官能性アリル化合物(C1)としてモノグリシジルイソシアヌレート(DAMGIC)8容量部とを供給し、250℃で溶融混練した。そしてストランド状に押出して冷却固化した後、ペレット状に切断して、樹脂組成物を得た。
次にこの樹脂組成物を、(東芝機械社製:EC−100型)射出成形機にて、シリンダ温度260℃、金型温度80℃、射出時間20秒、冷却時間10秒で射出成形し、評価用の成形片を得た。なお、混練および射出成形操作において揮発ガスの発生は観測されなかった。
実施例2〜22、比較例1〜8
樹脂組成と成形温度を表1のように変更する以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
その際、樹脂、層状フィロケイ酸塩鉱物、溶融粘度低下剤は主ホッパーより供給し、その他の充填材はサイドフィーダーにより途中から供給した。
表1に、樹脂組成およびその成形温度と特性値を示す。
実施例1〜22は、多官能性アリル化合物またはダイマー酸ベース熱可塑性樹脂を可塑剤として用い、層状フィロケイ酸塩鉱物を充填材として用いたため、成形温度でのMFR値が高く良好な流動性を示していた。また、熱伝導率、体積抵抗率が高く、熱伝導性、絶縁性に優れていた。
実施例2、16、18、20、22ではガラス繊維を充填材として用いているが、成形温度でのMFR値が高く良好な流動性を示した。
実施例13、14は、層状フィロケイ酸塩鉱物としてタルク以外を用いていたため、タルクを用いた場合よりも、やや熱伝導率が劣った。
実施例15〜22では、熱可塑性樹脂としてポリアミド66樹脂(PA66)、ポリプロピレン樹脂(PP)、液晶ポリエステル(LCP)、ポリ乳酸(PLA)を用いた場合であるが、実施例1〜12と同様に、成形温度でのMFR値が高く良好な流動性を示し、熱伝導率が高かった。
比較例1においては可塑剤が配合されていないため、成形温度でのMFR値が小さく流動性が悪かった。そのため、実施例1、3〜12と同じ成形条件では、成形片の外観が不良であった。
比較例2、4は、溶融粘度低下剤の含有量が少なかったため、それぞれ実施例1、7と比べて、成形温度でのMFR値が低く、流動性に劣っていた。
比較例3、5は、溶融粘度低下剤の含有量が多すぎたため、それぞれ実施例1、7と比べて、成形温度でのMFR値が高く、溶融混練時にストランド状に押出して冷却固化することができず、射出成形用のペレットを作製できなかった。
比較例6〜8は、層状フィロケイ酸塩鉱物を用いていなかったため、熱伝導率が低かった。

Claims (11)

  1. 熱可塑性樹脂(A)と層状フィロケイ酸塩鉱物(B)と所定量の溶融粘度低下剤(C)とを含み、前記所定量の溶融粘度低下剤(C)は、下記(a)と(b)とのいずれかであることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
    (a)溶融粘度低下剤(C)が多官能性アリル化合物(C1)であり、熱可塑性樹脂(A)と層状フィロケイ酸塩鉱物(B)と多官能性アリル化合物(C1)との合計100容量部に対する(C1)の含有量が3〜20容量部である。
    (b)溶融粘度低下剤(C)がダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)であり、熱可塑性樹脂(A)と層状フィロケイ酸塩鉱物(B)とダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)との合計100容量部に対するダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)の含有量が5〜35容量部である。
  2. 層状フィロケイ酸塩鉱物(B)がタルクであることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 熱可塑性樹脂(A)と層状フィロケイ酸塩鉱物(B)との容量比(A/B)が、20/80〜95/5であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 多官能性アリル化合物(C1)が、骨格にイソシアヌレートを有する化合物であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 多官能性アリル化合物(C1)が、下記式(i)で示されるアミン化合物(D)と、アリル基及びグリシジル基を有する多官能性化合物(E)との反応によって得られるアリル化合物であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の樹脂組成物。
    R−(NH (i)
    ここで、n=1〜4、Rは芳香族系または脂肪族系の置換残基を示す。
  6. アリル基及びグリシジル基を有する多官能性化合物(E)が、骨格にイソシアヌレートを有する化合物であることを特徴とする請求項5記載の樹脂組成物。
  7. 骨格にイソシアヌレートを有する化合物が、モノグリシジルジアリルイソシアヌレートであることを特徴とする請求項4〜6いずれかに記載の樹脂組成物。
  8. ダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)がポリアミド樹脂および/またはポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 熱可塑性樹脂(A)がポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂組成物を成形したものであることを特徴とする成形体。
  11. 成形体に放射線を照射したものであることを特徴とする請求項10の成形体。
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