JP2014091771A - 樹脂組成物およびそれからなる成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた機械特性に加え、成形加工性を向上させた樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリアミド樹脂(A)、充填材(B)およびアジピン酸(C)を含有し、(C)は、(A)と(B)の合計100質量部に対して、0.1〜0.5質量部であることを特徴とする樹脂組成物、および前記樹脂組成物が、さらに溶融粘度低下剤を含有することを特徴とする樹脂組成物、および前記溶融粘度低下剤が、多官能性アリル化合物、ダイマー酸ベース熱可塑性樹脂またはロジンであることを特徴とする樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、機械特性と成形加工性に優れた樹脂組成物に関するものである。
近年、PDA、携帯電話、パソコンなどの携帯電子機器の分野においては、小型化、軽量化が進められている。それにともない、これらの機器の筐体を構成する成形体を薄肉にすることが求められている。一般に、樹脂成形体の製造には、樹脂にタルクやガラス繊維などの強化用充填材を配合させた樹脂組成物が使用されている。強化用充填材を含有する樹脂組成物を成形することによって、強度が向上した成形体が得られる。しかしながら、強化用充填材を含有する樹脂組成物は、流動性が低く成形加工性が良好でないため、特に、薄肉であり形状が複雑な成形体を成形することは困難であった。
強化用充填材を含有させた樹脂組成物の流動性を高めて成形加工性を向上させる方法としては、樹脂組成物に、脂肪族炭化水素、ポリオレフィンワックス、高級脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸アミド、金属石鹸、脂肪酸エステル等を滑材として添加することや、従来公知の可塑剤を添加することが知られている。例えば、特許文献1には、ポリアミド樹脂と充填材に、さらに高級脂肪酸であるベヘン酸を含有させた樹脂組成物が開示されている。しかしながら、成形加工性をさらに向上させるために、これらの滑材を増加させると、得られる成形体の機械特性が低下したり、ブリードアウトしたりすることがあった。またこれらの滑材を添加しても、強化用充填材の含有量が多い樹脂組成物においては、十分な成形加工性を得ることができなかった。
特開2011−195790号公報
本発明の課題は、優れた機械特性に加え、成形加工性を向上させた樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリアミド樹脂と充填材とアジピン酸を含有することで、上記問題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)ポリアミド樹脂(A)、充填材(B)およびアジピン酸(C)を含有し、(C)は、(A)と(B)の合計100質量部に対して、0.1〜0.5質量部であることを特徴とする樹脂組成物。
(2)(1)記載の樹脂組成物が、さらに溶融粘度低下剤を含有することを特徴とする樹脂組成物。
(3)溶融粘度低下剤が、多官能性アリル化合物、ダイマー酸ベース熱可塑性樹脂またはロジンであることを特徴とする(1)または(2)記載の樹脂組成物。
(4)ポリアミド樹脂(A)と充填材(B)との容量比(A/B)が、90/10〜20/80であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5)充填材(B)の熱伝導率が5W/(m・K)以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(6)充填材(B)が、黒鉛、窒化ホウ素、タルク、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムからなる群から選ばれた一種以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の樹脂組成物を成形したものであることを特徴とする成形体。
本発明によれば、優れた機械特性に加え、成形加工性を向上させた樹脂組成物を提供することができる。また、本発明の樹脂組成物は、充填材を多く含有する場合であっても優れた成形加工性を有し、添加したアジピン酸がブリードアウトすることもない。
充填材として例えば熱伝導性を有するものを使用することで、本発明の樹脂組成物は、放熱性に優れた成形体をすることができ、この成形体は、電子機器の筐体などに好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)と充填材(B)とアジピン酸(C)から構成される。
本発明に用いられるポリアミド樹脂(A)は特に限定されるものではないが、例えばアミド結合を有するホモポリアミドやコポリアミド、およびこれらの混合物である。アミド結合を有するホモポリアミドやコポリアミドは、ラクタム、アミノカルボン酸、ジアミン、ジカルボン酸を重合することによって得ることができる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプラミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリウンデカミド(ナイロン11)、ポリカプラミド/ポリウンデカミドコポリマー(ナイロン6/11)、ポリドデカミド(ナイロン12)、ポリカプラミド/ポリドデカミドコポリマー(ナイロン6/12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリカプラミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリカプラミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMDT)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン10T)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)およびこれらの混合物ないし共重合体が挙げられる。中でも、経済性の点からナイロン6、ナイロン66が好ましい。
充填材(B)は、特に限定されないが、機械的性質や熱的性質等を改善する目的で用いたり、導電性、熱伝導性、磁性、圧電性、電磁波吸収、難燃性、紫外線吸収等を付与する目的で用いたりすることができる。充填材(B)の形態としては、例えば、球状、粉状、繊維状、針状、鱗状、鱗片状、ウィスカ状、マイクロコイル状、ナノチューブ状が挙げられる。
充填材(B)の具体例としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、金属粉(銀、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、錫、鉄、ステンレス等)、導電性酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、各種フェライト、磁性酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボン、黒鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸カリウム、ゾノトライト、マイカ、タルク、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、テフロン(登録商標)粉、シリカ、ガラスビーズ、ガラスバルーン、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、ホウ酸、ホウ酸亜鉛、酸化セリウム、酸化カルシウム、シリカゲル、セピオライト、活性炭、ゼオライト、タングステン、酸化ジルコニウム、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛化炭素繊維、アラミド繊維、金属繊維、ステンレス繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維、ケナフや麻等の天然繊維が挙げられる。
充填材(B)として熱伝導性充填材を用いることで、熱伝導性の樹脂組成物とすることができる。熱伝導性充填材は導電性、絶縁性、何れであってもよいが、その熱伝導率は、5W/m・K以上であることが好ましい。熱伝導性充填材の熱伝導率は、その焼結品を用いて測定することができる。熱伝導性充填材の具体的な例としては(括弧内に熱伝導率の代表値(単位:W/(m・K))を記す。)、タルク(5〜10)、酸化アルミニウム(36)、酸化マグネシウム(60)、酸化亜鉛(25)、炭酸マグネシウム(15)、炭化ケイ素(160)、窒化アルミニウム(170)、窒化ホウ素(210)、窒化ケイ素(40)、カーボン(10〜数百)、黒鉛(10〜数百)等の無機系充填材、銀(427)、銅(398)、アルミニウム(237)、チタン(22)、ニッケル(90)、錫(68)、鉄(84)、ステンレス(15)等の金属系充填材が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、ポリアミド樹脂(A)に配合した際の熱伝導率が高いことから、黒鉛、窒化ホウ素を使用することが好ましい。また、経済性の点では、タルク、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムを使用することが好ましい。
黒鉛の形態としては、例えば、球状、粉状、繊維状、針状、鱗片状、ウィスカ状、マイクロコイル状、ナノチューブ状が挙げられる。なかでも鱗片状黒鉛は、ポリアミド樹脂(A)に配合した際に熱伝導効率を高くすることができるため、より好ましい。鱗片状黒鉛の平均粒径は、分散不良による凝集塊を生じさせず、機械的物性や熱伝導性が均一な成形体を作製することができることから、1〜300μmであることが好ましく、5〜150μmであることがより好ましく、流動性が向上し成形加工性を向上させることができることから、30〜150μmであることがさらに好ましい。
タルクの形態としては、例えば、板状、鱗状、鱗片状、薄片状が挙げられる。なかでも鱗片状タルク、薄片状タルクは、成形体としたときに、面方向に配向しやすく、その結果、熱伝導率を高めることができるため、より好ましい。鱗片状タルク、薄片状タルクの平均粒径は、上述と同様の理由から、1〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましく、流動性が向上し成形加工性を向上させることができることから、15〜100μmであることがさらに好ましい。
窒化ホウ素の形態としては、例えば、板状、鱗片状、薄片状が挙げられる。なかでも鱗片状窒化ホウ素は成形体としたときに、面方向に配向しやすく、その結果、熱伝導率を高めることができるため、より好ましい。鱗片状窒化ホウ素の平均粒径は、上述と同様の理由から、1〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましく、流動性が向上し成形加工性を向上させることができることから、15〜100μmであることがさらに好ましい。窒化ホウ素の結晶系は、特に限定されるものではなく、六方晶系、立方晶系、その他いずれの結晶構造の窒化ホウ素であっても適用可能である。なかでも、六方晶系結晶構造を有する窒化ホウ素は、熱伝導率が高いので好ましい。
酸化マグネシウム、酸化アルミニウムの形態としては、例えば、球状、繊維状、紡錘状、棒状、針状、筒状、柱状が挙げられる。なかでも球状酸化マグネシウムは、成形加工性を向上させることができるため、より好ましい。球状酸化マグネシウムの平均粒径は、上述と同様の理由から、1〜150μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましく、流動性が向上し成形加工性を向上させることができることから、30〜100μmであることがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物において、ポリアミド樹脂(A)と充填材(B)との容量比(A/B)は、90/10〜20/80であることが好ましく、70/30〜30/70であることがより好ましく、65/35〜35/65であることがさらに好ましい。容量比(A/B)をこの範囲とすることで、優れた機械特性を有することができる。
本発明に用いられる充填材(B)は、ポリアミド樹脂(A)との密着性を向上させるため、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルジメトキシメチルシラン等のアミノシラン系カップリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系カップリング剤、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタン系カップリング剤のカップリング剤で表面処理を施してもよい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物は、アジピン酸(C)を含有することが必要である。アジピン酸(C)を含有させることで、流動性が向上し成形加工性を向上させることができる。アジピン酸の含有量はポリアミド樹脂(A)充填材(B)の合計100質量部に対して、0.1〜0.5質量部であることが必要であり、0.2〜0.3質量部であることがより好ましい。アジピン酸の含有量が0.1質量部より少ないとアジピン酸を含有した効果が十分に得られず、0.5質量部より多くなると機械特性が著しく低下してしまう。
本発明の樹脂組成物においては、アジピン酸(C)とは別の溶融粘度低下剤を併用させることができる。アジピン酸(C)とは別の溶融粘度低下剤を併用することにより、流動性が向上し成形加工性を向上させることができる。アジピン酸(C)とは別の溶融粘度低下剤は、特に限定されないが、多官能性アリル化合物、ダイマー酸ベース熱可塑性樹脂、ロジンであることが好ましい。
多官能性アリル化合物は、樹脂組成物の溶融加工温度において液状であることが好ましい。また多官能性アリル化合物は、添加された樹脂の溶融粘度を低下させ得ることから、可塑剤としても有効に作用することができる。
多官能性アリル化合物としては、例えば、トリアリルイソシアヌレート、モノグリシジルジアリルイソシアヌレート、ジグリシジルモノアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、モノグリシジルジメタアリルイソシアヌレート、ジグリシジルモノメタアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、モノグリシジルジアリルシアヌレート、ジグリシジルモノアリルシアヌレート、トリメタアリルシアヌレート、モノグリシジルジメタアリルシアヌレート、ジグリシジルモノメタアリルシアヌレート、アリルグリシジルアミン、ジアリルモノグリシジルアミン、モノアリルジグリシジルアミン、モノグリシジルジメタアリルアミン、ジグリシジルモノメタアリルアミン、グリシジルアリルクロレンデート、アリルグリシジルアジペート、アリルグリシジルカーボネート、アリルグリシジルジメチルアンモニウムクロリド、アリルグリシジルフマレート、アリルグリシジルイソフタレート、アリルグリシジルマロネート、アリルグリシジルオキサレート、アリルグリシジルフタレート、アリルグリシジルプロピルイソシアヌレート、アリルグリシジルセバケート、アリルグリシジルサクシネート、アリルグリシジルテレフタレート、グリシジルメチルアリルフタレートが挙げられる。これらの化合物のうち、骨格にイソシアヌレートを有する化合物が好ましく、トリアリルイソシアヌレート、モノグリシジルジアリルイソシアヌレートが、取扱い性、経済性の点でより好ましい。
また、多官能性アリル化合物として、上記化合物に加えて、下記式(1)で示される1級アミン化合物と、アリル基およびグリシジル基を有する多官能性化合物との反応によって得られるアリル化合物を用いることができる。
R−(NH (1)
ここで、nは1〜4、Rは芳香族系もしくは脂肪族系の1〜4置換残基を示す。
式(1)で示される1級アミン化合物のうち、n=2であるジアミン類が好ましい。n=2のジアミン類としては、例えば、エチレジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、4,4´−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロへキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロへキサン、4,4´−ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)スルホン、4,4´−ジアミノジシクロヘキシルエーテル、2,2´−ジメチル−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2´−ビス(トリフルオロメチル)−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2´−ビス(トリクロロメチル)−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2´−ビス(トリブロモメチル)−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2´−ジフルオロ−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2´−ジクロロ−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2´−ジブロモ−4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、4,4´−ジアミノジシクロヘキサン、2,2−ビス(4−アミノシクロへキシル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,3−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,7−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,3−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1,2−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン、2,2´−ジメチル−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリフルオロメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリクロロメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリブロモメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ジフルオロ−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ジクロロ−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ジブロモ−4,4´−ジアミノビフェニル、4,4´−ジアミノビフェニル、4,4´−ジアミノ−ベンゾフェノン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−2−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−2−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェニル)フルオレン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3,4´−ジアミノジフェニルエーテルが挙げられる。
式(1)で示される1級アミン化合物のうち、n=1であるモノアミン類としては、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、モノアミルアミン、ジアミルアミン、エチルブチルアミン、n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,3−キシリジン、2,6−キシリジン、3,4−キシリジン、3,5−キシリジン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、m−ブロモアニリン、p−ブロモアニリン、o−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、o−フェネジン、m−フェネジン、p−フェネジン、o−アミノベンツアルデヒド、m−アミノベンツアルデヒド、p−アミノベンツアルデヒド、o−アミノベンゾニトリル、m−アミノベンゾニトリル、p−アミノベンゾニトリル、2−アミノビフェニル、3−アミノビフェニル、4−アミノビフェニル、2−アミノフェニルフェニルエーテル、3−アミノフェニルフェニルエーテル、4−アミノフェニルフェニルエーテル、2−アミノベンゾフェノン、3−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、2−アミノフェニルフェニルスルフィド、3−アミノフェニルフェニルスルフィド、4−アミノフェニルフェニルスルフィド、2−アミノフェニルフェニルスルホン、3−アミノフェニルフェニルスルホン、4−アミノフェニルフェニルスルホン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、1−アミノ−2−ナフトール、2−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、7−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−1−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノアントラセンが挙げられる。
式(1)で示される1級アミン化合物のうち、n=3のトリアミン類としては、例えば、1,3,5−トリアミノベンゼン、トリス(3−アミノフェニル)アミン、トリス(4−アミノフェニル)アミン、トリス(3−アミノフェニル)ベンゼン、トリス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−アミノフェノキシ)トリアジンが挙げられる。
式(1)で示される1級アミン化合物のうち、n=4であるテトラアミン類としては、例えば、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン、3,3´,4,4´−テトラアミノビフェニル、3,3´,4,4´−テトラアミノジフェニルスルホン、3,3´,4,4´−テトラアミノジフェニルスルフィド、2,3,6,7−テトラアミノナフタレン、1,2,5,6−テトラアミノナフタレンが挙げられる。
なお、種々特性を調整する等の目的で、これらのうち、複数のアミンを併用することも可能である。
アリル基およびグリシジル基を有する多官能性化合物としては、アリル基とグリシジル基の両方を有するモノマー性化合物であれば特に限定されない。このような多官能性化合物としては、例えば、モノグリシジルジアリルイソシアヌレート、ジグリシジルモノアリルイソシアヌレート、モノグリシジルジメタアリルイソシアヌレート、ジグリシジルモノメタアリルイソシアヌレート、モノグリシジルジアリルシアヌレート、ジグリシジルモノアリルシアヌレート、モノグリシジルジメタアリルシアヌレート、ジグリシジルモノメタアリルシアヌレート、アリルグリシジルアミン、ジアリルモノグリシジルアミン、モノアリルジグリシジルアミン、モノグリシジルジメタアリルアミン、ジグリシジルモノメタアリルアミン、グリシジルアリルクロレンデート、アリルグリシジルアジペート、アリルグリシジルカーボネート、アリルグリシジルジメチルアンモニウムクロリド、アリルグリシジルフマレート、アリルグリシジルイソフタレート、アリルグリシジルマロネート、アリルグリシジルオキサレート、アリルグリシジルフタレート、アリルグリシジルプロピルイソシアヌレート、アリルグリシジルセバケート、アリルグリシジルサクシネート、アリルグリシジルテレフタレート、グリシジルメチルアリルフタレートが挙げられる。
多官能性化合物としては骨格にイソシアヌレートを有する化合物が好ましく、特に、モノグリシジルジアリルイソシアヌレートが好ましい。
上記した、アミン化合物と、アリル基およびグリシジル基を有する多官能性化合物とを混合し加熱することで、アミン化合物のアミノ基と多官能性化合物のグリシジル基の熱による反応で、1分子中に多数のアリル基を有する化合物が得られる。アミン化合物と多官能性化合物の含有比は、アミン化合物1当量に対しグリシジル基が1〜2当量となるようにすればよい。アミン化合物が脂肪族系の場合は、アミンの求核性が強いため、1つのアミンに対して2つのグリシジル基を付加反応させることができる。例えば、アミン化合物が脂肪族ジアミンであれば、脂肪族ジアミン1モルに対し、グリシジル基は4モル量反応すると考えられる。アミン化合物が芳香族系の場合は、アミンの求核性が比較的弱く、2つのグリシジル基を付加反応させることができない場合がある。
アミン化合物と多官能性化合物とを反応させる方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上述のように、アミン化合物と多官能性化合物とを所定量混合し、加熱溶融させることで、上記反応を簡便におこなうことができる。その際、必要に応じて適当な反応溶媒を用いることも可能である。反応させるための加熱温度は、通常80〜200℃の範囲で設定すればよい。反応させる際の雰囲気は、特に限定されず、大気中で反応をおこなえばよい。ただし、酸素による酸化が問題となる場合は、窒素ガス等不活性ガスで雰囲気を置換すればよい。
このようにして得られた反応生成物は、沸点が高いため、溶融加工する際に揮発しにくく、架橋助剤、末端封鎖剤等としても有効に用いることができる。また、1分子中に多数のアリル基を有することから、公知の方法でアリル基と樹脂とを架橋させることができて、効率良く樹脂を強化することができる。
多官能性アリル化合物を用いる場合、その含有量は、ポリアミド樹脂(A)充填材(B)の合計100質量部に対して、3〜20質量部であることが好ましく、5〜15質量部であることがより好ましい。多官能性アリル化合物の含有量を3〜20質量部とすることで、機械特性を大きく低下させることなく、流動性が向上し成形加工性を向上させることができる。
多官能性アリル化合物は、1分子中に多数のアリル基を有することから、公知の方法に従い、架橋剤との併用、または、電子線やγ線等の放射線照射処理との併用することで、ポリアミド樹脂(A1)またはポリエステル樹脂(A2)を架橋させることができる。中でも、所望の形に成形した後に短時間で処理ができるという点から、電子線やγ線により架橋することが好ましい。γ線は電子線に比べて透過性が強いために照射が均一となるので、γ線を用いた架橋がより好ましい。電子線照射には公知の電子加速器等が用いることができ、γ線の照射には、公知のコバルト60線源等による照射装置を用いることができる。電子線の照射線量は1〜300kGyが好ましく、50〜100kGyがより好ましい。γ線照射の場合は、照射線量は10〜100kGyが好ましく、20〜40kGyがより好ましい。放射線の照射線量が上記上限値を超えると、樹脂の分解によって強度が低下してしまうため好ましくない。また、上記下限値未満では、架橋による効果が発揮されないため好ましくない。照射雰囲気は通常空気存在下で差し支えないが、所望により窒素雰囲気下や真空中で照射をおこなうことができる。
ダイマー酸ベース熱可塑性樹脂とは、ダイマー酸やその誘導体を含むジカルボン酸と、ジアミンやグリコールとを重縮合して得られる熱可塑性樹脂である。ダイマー酸は、大豆油、桐油、ト−ル油等の脂肪酸の二量体であり、その他に単量体や三量体を含んでいてもよく、また水素添加されたものでもよい。
ダイマー酸ベース熱可塑性樹脂は、ポリアミド樹脂(A)に比べて溶融粘度が低く、これを添加されることで樹脂組成物の溶融粘度を低下させることができる。しかも、ダイマー酸ベース熱可塑性樹脂は、樹脂であり、分解温度が高く、溶融加工する際に揮発しないという点や、さらに、これを添加しても機械的強度の低下が少なく、さらにブリードアウトをしないという点でも有効である。
ダイマー酸ベース熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。中でも、取扱い性、経済性の点でポリアミド樹脂が好ましい。
ダイマー酸ベースポリアミド樹脂としては、特に限定されるものではないが、ダイマー酸やその誘導体を含むジカルボン酸成分と、ジアミン成分とからなるポリアミド樹脂が挙げられる。ジアミン成分としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼンのようなポリアミン類が挙げられる。ダイマー酸ベースポリアミド樹脂は、上記ジカルボン酸成分やジアミン成分以外に、アミノカルボン酸成分を含有してもよい。
ダイマー酸ベースポリエステルとしては、特に限定されるものではないが、ダイマー酸やその誘導体を含むジカルボン酸成分と、グリコール成分とからなるポリエステル樹脂が挙げられる。グリコール成分としては、例えば、エチレングリコールや1,4−ブタンジオールのようなグリコール成分が挙げられ、ダイマー酸以外のジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸が挙げられる。
ダイマー酸ベース樹脂において、ダイマー酸の含有量は8〜50モル%であることが好ましく、10〜50モル%であることがさらに好ましい。ダイマー酸含有量が8モル%未満では、ダイマー酸ベース樹脂の溶融粘度が大きくなり、流動性改善剤として充分な効果が得られず、一方、ダイマー酸含有量が50モル%を超えると、重合度が上がらずペレット化できない場合や、ダイマー酸ベース樹脂の耐熱性が悪くなり、得られる成形体の物性が著しく低下したり、ブリードアウトする場合がある。
ダイマー酸ベースポリアミド樹脂とダイマー酸ベースポリエステル樹脂とは、それぞれ単独に用いてもよいし、併用してもよい。
溶融粘度低下剤としてダイマー酸ベース熱可塑性樹脂を用いる場合、その含有量は、ポリアミド樹脂(A)充填材(B)の合計100容量部に対して、5〜45容量部であることが好ましく、10〜30容量部であることがより好ましく、10〜25容量部であることがさらに好ましい。ダイマー酸ベース熱可塑性樹脂の含有量を5〜45容量部とすることで、機械特性を大きく低下させることなく、流動性が向上し成形加工性を向上させることができる。
ロジンとは、樹脂酸(ロジン酸)といわれるジテルペン酸系化合物である。ロジンとしては、天然ロジン、変性ロジン、重合ロジンが挙げられる。
天然ロジンとは、マツ科植物から採取される樹脂酸の混合物であり、生産方法によりガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等に分けられる。該樹脂酸の主成分はアビエチン酸であり、さらに、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、レボピマール酸等が含まれる。変性ロジンとは、天然ロジンを変性したものであり、例えば、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸等の水素化ロジン、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸等の不均化ロジン、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸等により天然ロジンを変性した酸変性ロジン、これらのエステル体が挙げられる。そして、重合ロジンとは、天然ロジンまたは変性ロジン同士を反応させたものであり、それらの2量化物、3量化物が挙げられる。
溶融粘度低下剤としてロジンを用いる場合、その含有量は、ポリアミド樹脂(A)と充填材(B)との合計100質量部に対して、0.3〜5質量部であることが好ましく、0.5〜3質量部であることがより好ましい。ロジンの酸価は、60mgKOH/g以上であることが好ましく、180mgKOH/g以上であることがより好ましく、200mgKOH/g以上であることがさらに好ましい。ロジンの含有量を0.3〜5質量部とすることで、機械特性を大きく低下させることなく、流動性が向上し成形加工性を向上させることができる。
ロジンの軟化温度は100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましい。100℃以上の軟化温度を有するロジンを用いることで、ロジンそのものの成形時の分解を抑制することができ、成形後の製品からロジンがブリードアウトすることを抑制することができる。
本発明の樹脂組成物には、機械的強度、耐熱性の諸特性をさらに向上させるために、繊維状充填材を含有させることも可能である。繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、金属繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維、ケナフ等天然繊維が挙げられる。これら繊維状充填材は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、樹脂組成物にこれらを混合する方法は特に限定されない。
本発明の樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、結晶核剤、相溶化剤等を添加することができる。熱安定剤や酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属等のハロゲン化物が挙げられる。難燃剤としては、例えば、水和金属化合物(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等)、窒素含有化合物(メラミン系、グアニジン系等)、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤が挙げられる。結晶核剤としては、例えば、ソルビトール化合物、安息香酸およびその化合物の金属塩、燐酸エステル金属塩、ロジン化合物が挙げられる。相溶化剤としては、例えば、アイオノマー系相溶化剤、オキサゾリン系相溶化剤、エラストマー系相溶化剤、反応性相溶化剤、共重合体系相溶化剤が挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明の樹脂組成物にこれらを混合する方法は、特に限定されない。
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)と、充填材(B)と、アジピン酸(C)とを、さらには必要に応じてアジピン酸(C)とは別の溶融粘度低下剤や各種添加物を、一般的な押出機、例えば一軸押出機、二軸押出機、ロール混錬機、ブラベンダー等を用いて溶融混練することで、製造することができる。このとき、スタティックミキサーやダイナミックミキサーを併用することも効果的である。混練状態をよくするためには、二軸押出機を用いることが好ましい。(A)〜(C)および(C)とは別の溶融粘度低下剤は、押出機において、ホッパーから、あるいは、サイドフィーダーを用いて、添加することができる。
本発明の樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形、押出成形、トランスファー成形、シート成形等の公知の溶融成形手法を用いて、所望の形状に成形することで成形体とすることができる。溶融粘度低下剤として多官能性アリル化合物を用いた場合には樹脂組成物を所望の形状に成形したうえで、上述のように放射線を照射することで樹脂を架橋させることができる。
本発明の樹脂組成物は、半導体素子や抵抗等のための封止材料、コネクター、ソケット、リレー部品、コイルボビン、光ピックアップ、発振子、コンピュータ関連部品等の電気・電子部品、VTR、テレビ、アイロン、エアコン、ステレオ、掃除機、冷蔵庫、炊飯器、照明器具等の家庭電気製品部品、放熱シート、ヒートシンク、ファン等の電子部品からの熱を外部に逃すための放熱部材、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング等照明器具部品、コンパクトディスク、光ディスク、スピーカー等の音響製品部品、光ケーブル用フェルール、携帯電話機、固定電話機、ファクシミリ、モデム等の通信機器部品、分離爪、ヒータホルダー等の複写機、印刷機関連部品、インペラー、ファン歯車、ギヤ、軸受け、モーター部品およびケース等の機械部品、自動車用機構部品、エンジン部品、エンジンルーム内部品、電装部品、内装部品等の自動車部品、マイクロ波調理用鍋、耐熱食器等の調理用器具、航空機、宇宙機、宇宙機器用部品、センサー類部品等が挙げられる。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
1.測定方法
(1)ロジンの酸価
JIS規格K5902に記載の方法に準じて測定した。
(2)溶融粘度
樹脂組成物のペレットについて、降下式フローテスター(島津製作所製)を用い、所定温度での溶融粘度を測定した。オリフィスは、直径1mm×長さ10mmのものを用いた。
溶融粘度は低いほど流動性が高く、成形加工性が高い。
(3)曲げ強度、曲げ弾性率
成形片を用いて、ISO規格178に記載の方法に準じて測定した。
曲げ強度、曲げ弾性率が高いほど、機械特性に優れている。
(4)シャルピー衝撃強さ
ノッチ付き試験片を用いて、ISO規格179−1eAに記載の方法に準じて測定した。
(5)熱伝導率
熱伝導率λは、下記方法で求めた熱拡散率α、密度ρ、比熱Cpの積として次式で算出した。
λ=α・ρ・Cp
λ:熱伝導率(W/(m・K))
α:熱拡散率(m/sec)
ρ:密度(g/m
Cp:比熱(J/(g・K))
熱拡散率αは、成形片の樹脂流れ方向について、レーザーフラッシュ法熱定数測定装置TC−7000(アルバック理工社製)を用い、レーザーフラッシュ法にて測定した。密度ρは、後述の密度の測定方法に従って測定した。比熱Cpは、示差走査熱量計DSC―7(パーキンエルマー社製)を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
(6)ポリアミド樹脂の相対粘度
ポリアミド樹脂を96%硫酸に溶解し、濃度1g/dLの試料溶液を作製した。続いて、ウベローデ型粘度計を用い、25℃の温度で試料溶液および溶媒の落下時間を測定し、以下の式を用いて相対粘度を求めた。
相対粘度=(試料溶液の落下時間)/(溶媒のみの落下時間)
(8)充填材の平均粒子径
第一測範製作所社製グラインドゲージを用いて、JIS K5600−2−5に記載の方法に準じて測定した。
(9)ポリアミド樹脂、充填材の密度
電子比重計ED−120T(ミラージュ貿易社製)を用いて測定した。
(10)多官能性アリル化合物の5%質量減少温度
5mgの試料を、TGA装置(Perkin−Elmer社製 TGA−7)を用いて、窒素置換雰囲気中で昇温速度20℃/分の速度で室温から600℃まで昇温させ、5%質量が変化した温度を測定した。
(11)ロジンの軟化温度
JIS−7206:1999に記載の方法に準じて測定した。
2.使用材料
<ポリアミド樹脂(A)>
・PA6:ポリアミド6、相対粘度1.9、密度1.13g/cm
・PA66:ポリアミド66、相対粘度2.8、密度1.14g/cm
<充填材(B)>
・GrA:鱗片状黒鉛、日本黒鉛工業社製、平均粒子径130μm、熱伝導率100W/(m・K)、密度2.25g/cm
・GrB:鱗片状黒鉛、日本黒鉛工業社製、平均粒子径40μm、熱伝導率100W/(m・K)、密度2.25g/cm
・Tc:タルク、日本タルク社製、平均粒子径8μm、熱伝導率10W/(m・K)、密度2.7g/cm
・MgO:酸化マグネシウム、神島化学社製、平均粒子径2.4μm、熱伝導率50W/(m・K)、密度3.58g/cm
・ALO:酸化アルミニウム、電気化学工業社製DAW−10、平均粒子径10μm、熱伝導率38W/(m・K)、密度3.97g/cm
・BN:六方晶系鱗片状窒化ホウ素、電気化学社製SGP、平均粒子径15μm、熱伝導率210W/(m・K)、密度2.26g/cm
・GF:ガラス繊維、オーウェンスコーニング社製、平均繊維径10μm、平均繊維長3mm、密度2.50g/cm
<アジピン酸(C)>
・旭化成ケミカルズ社製 アジピン酸
<多官能性アリル化合物>
・DAMGIC:モノグリシジルジアリルイソシアヌレート、四国化成社製DA−MGIC、固体、5%質量減少温度178℃
・D11:
アミン化合物として1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン(MXDA)を用い、多官能性化合物としてモノグリシジルジアリルイソシアヌレート(DAMGIC)を用い、MXDA1当量に対し、DAMGICが2当量になるよう秤りとり、これらを丸底フラスコに加え、攪拌しながら80℃で30分間加熱した。さらに180℃で30分間加熱して、無色透明な液状物を得た。得られた液状物を室温まで徐冷し、そのときに生成した固形物を粉砕して、多官能性アリル化合物(D11)の白色粉末を得た。D11の5%質量減少温度は375℃であった。
<ダイマー酸ベース熱可塑性樹脂>
・D21:
ダイマー酸(築野食品工業社製、水素添加なし)/1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン=46.5/53.5(モル比)の割合の原料を反応槽に仕込み、240℃で2時間反応させた。反応終了後に払い出し、切断して、ダイマー酸ベースポリアミド樹脂ペレットを得た。
・D22:
ダイマー酸(築野食品工業社製、水素添加なし)/65.3%ヘキサメチレンジアミン水溶液/カプロラクタム=10.3/7.3/82.4(モル比)の割合の原料を反応槽に仕込み、250℃で2時間反応させた。反応終了後に払い出し、切断してダイマー酸ベースポリアミド樹脂ペレットを得た。
<ロジン>
・D31:
マレイン化ロジン、荒川化学工業社製マルキードNo.31、酸価188mgKOH/g、軟化温度141℃、密度1.13g/cm
・D32:
マレイン化ロジン、荒川化学工業社製パインクリスタルKE−604、酸価237mgKOH/g、軟化温度129℃、密度1.13g/cm
実施例1
東芝機械社製二軸押出機TEM26SS(スクリュ径26mm)の主ホッパーに、ポリアミド樹脂としてPA6を40容量部と、充填剤としてGrAを60容量部と、PA6とGrAの合計100質量部に対してアジピン酸0.3質量部を供給し260℃で溶融混練した。そしてストランド状に押出して冷却固化後、ペレット状に切断して、樹脂組成物を得た。
次に、この樹脂組成物を、東芝機械社製EC−100型射出成形機にて、シリンダ温度280℃、金型温度100℃、射出時間15秒、冷却時間10秒で射出成形し、評価用の成形片を得た。
実施例2〜53、比較例1〜16
樹脂組成を変更する以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。なお、ポリアミド樹脂としてPA66を用いる場合、混練温度および射出成形時のシリンダ温度は290℃とした。ポリアミド樹脂、充填材、アジピン酸、溶融粘度低下剤はいずれも主ホッパーより供給し、ガラス繊維はサイドフィーダーにより途中から供給した。
表1〜4に、得られた樹脂組成物の樹脂組成と特性値を示す。
実施例1〜53の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂、充填材、アジピン酸を含有し、それらの含有量が本発明で規定する範囲であったため、それぞれ、アジピン酸を含有しておらず、ポリアミド樹脂、充填材、溶融粘度低下剤の種類や含有比が同じである比較例1、4〜16の樹脂組成物と同程度の優れた曲げ特性や曲げ弾性率を維持しつつも、溶融粘度が低かった。前記効果は、実施例1〜8と実施例22〜26と実施例38〜42は比較例1と対比した場合、実施例9〜12と実施例27〜30と43〜46は、比較例4〜7と対比した場合、実施例13、14は、比較例8、9と対比した場合、実施例16は、比較例11と比較した場合、実施例15、17〜21と実施例31〜37と実施例47〜53は、比較例10、12〜16と対比した場合、明確である。
なかでも、実施例4〜8、22〜26、38〜42の樹脂組成物は、さらに溶融粘度低下剤を含有していたため、アジピン酸の含有量が同じである実施例1の樹脂組成物よりも溶融粘度が低かった。
また、実施例1、22の樹脂組成物は、粒径が小さい充填材を含有させたため、実施例16、36の樹脂組成物よりも、溶融粘度が低かった。
比較例2の樹脂組成物は、アジピン酸の含有量が本発明の規定する含有量よりも低かったため、実施例1〜3の樹脂組成物よりも、溶融粘度が高かった。
比較例3の樹脂組成物は、アジピン酸の含有量が本発明の規定する含有量よりも高かったため、実施例1〜3の樹脂組成物よりも、曲げ強度や曲げ弾性率が低かった。

Claims (7)

  1. ポリアミド樹脂(A)、充填材(B)およびアジピン酸(C)を含有し、(C)は、(A)と(B)の合計100質量部に対して、0.1〜0.5質量部であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の樹脂組成物が、さらに溶融粘度低下剤を含有することを特徴とする樹脂組成物。
  3. 溶融粘度低下剤が、多官能性アリル化合物、ダイマー酸ベース熱可塑性樹脂またはロジンであることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. ポリアミド樹脂(A)と充填材(B)との容量比(A/B)が、90/10〜20/80であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 充填材(B)の熱伝導率が5W/(m・K)以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 充填材(B)が、黒鉛、窒化ホウ素、タルク、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムからなる群から選ばれた一種以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物を成形したものであることを特徴とする成形体。
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